以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[課題等]
前述の課題等について補足説明する。従来の普通ガソリン車では、制動時を除く走行中に、発電機であるオルタネータから供給される電力を、鉛蓄電池等の蓄電池に充電し、蓄電池をほぼ満充電状態に保っていた。この場合、オルタネータから供給される回生電力が熱消費されていた。一方、ISS車では、前述のように、オルタネータから供給される回生電力を蓄電池に充電し、蓄電池からの放電により負荷へ電力供給する。オルタネータ回生車両として、μHEVでは、蓄電池の充電状態が、予め定められた設定値以下となった場合に、蓄電池の過放電等を防止するために、走行中または走行前にオルタネータを作動させて蓄電池を充電する。
電源システムの蓄電池として、鉛蓄電池の単独構成の場合では、充電可能な電流が例えば120A程度と小さいため、制動時のオルタネータからの回生電力をすべて受け入れて蓄電池へ充電することは難しい。即ち、その構成では、充電受け入れ性能が低い。その電源システムで、回生電力をすべて受け入れて充電可能とするためには、蓄電池の容量や数の増加、蓄電池の充電受け入れ性能の向上等が必要である。しかし、それは、設置スペースやコストの増大、性能向上限界等の点で課題がある。
そこで、前述のように、複数の種類の蓄電池を組み合わせた複合構成の蓄電池システムも検討されている。特許文献1の例のように鉛蓄電池とリチウムイオン電池との複合構成や、鉛蓄電池とニッケル水素電池との複合構成等が挙げられる。しかし、それらの複合構成では、システム複雑化やコスト、あるいは高出力の充放電が難しい等の点で課題がある。
一方、高出力の蓄電池として、ニッケル亜鉛電池が知られている。ニッケル亜鉛電池は、鉛蓄電池よりも高い電流値での高出力の充放電が可能であるため、充電受け入れ性能に優れている。ニッケル亜鉛電池は、エネルギー密度が高いため、省スペース化及び軽量化が可能である。ニッケル亜鉛電池は、ニッケル水素電池と同様に、リチウムイオン電池よりもコストの点で優位であり、水溶液系の電解液を用いることから安全性の点でも優れる。ニッケル亜鉛電池は、デンドライトによりサイクル寿命の点で遜色する等の理由から、蓄電池としての普及が遅れていた。近時では、デンドライトを抑えて高サイクル寿命のニッケル亜鉛電池の開発が進められている。
そこで、実施の形態の電源システムは、オルタネータ回生車両に搭載可能である好適な電源システムとして、1種類の蓄電池であるニッケル亜鉛電池の単独構成を備える電源システムとした。この電源システムは、充電受け入れ性能、コスト、安全性等の点を、バランス良く所定水準を満たすようにした。
また、自動車では、オルタネータの回生電力の電圧値等を含め、仕様が規定されている。そのため、自動車に搭載する電源システムとしては、自動車の仕様に合わせて、蓄電池等を設計する必要がある。そこで、実施の形態の電源システムは、ニッケル亜鉛電池の採用と共に、回生電力の電圧値等の仕様に合わせて、蓄電池への充放電の際の電圧値を好適に調整するために、電圧変換部等を設け、充放電の切り替えを制御する構成とした。これにより、この電源システムでは、自動車の仕様に合わせた効率的な充放電を実現する。
(実施の形態)
図1〜図5を用いて、本発明の実施の形態の電源システム及び自動車について説明する。図1は、実施の形態の電源システム1及び自動車2の構成を示す。実施の形態の電源システム1は、実施の形態の自動車2に搭載される電源システム、言い換えると蓄電池システムである。
[自動車]
実施の形態の自動車2は、電源システム1を搭載したオルタネータ回生車両であり、特にISS機能を持つISS車である。自動車2は、ISS車であるため、電源システム1の蓄電池部14から負荷22への放電は、自動車2のエンジン始動の際の放電を含む。自動車2の負荷22は、エンジン始動用のスタータを含む。
自動車2は、電源システム1、車両制御部20、オルタネータ21、負荷22、電線24等を備える。オルタネータ21及び負荷22は、電線24を通じて、電源システム1の充放電切り替え部11と接続されている。
自動車2は、車両制御部20により、オルタネータ21等の作動を制御し、回生を制御する。自動車2は、オルタネータ21により生成する回生電力を、電源システム1へ供給することにより、蓄電池部14へ充電させる。また、自動車2は、電源システム1の蓄電池部14からの放電による電力を、負荷22に供給する。自動車2の車両制御部20は、電源システム1との間でのインタフェースを通じて、電源システム1を制御可能である。
オルタネータ21からは電線24へ回生電力が出力される。出力された回生電力は、充放電切り替え部11に入力される。その回生電力の流れを、電源システム1の充電入力101として示す。蓄電池部14からは電線24へ放電の電力が出力される。その出力された電力は、負荷22に入力される。その電力の流れを、電源システム1の放電出力102として示す。
車両制御部20は、オルタネータ21や負荷22等を含め、自動車2の全体を制御する。車両制御部20は、エンジンの制御、アクセルやブレーキの制御、オルタネータ21による回生の制御、アイドリングストップの制御等を行う。車両制御部20は、エンジン制御ユニット(ECU)等により構成される。
車両制御部20は、通信線25を通じて、電源システム1の制御部10の通信部17と接続されており、制御部10と通信可能である。車両制御部20は、その通信を通じて、電源システム1を制御可能である。車両制御部20は、その通信を通じて、電源システム1の状態を把握可能である。車両制御部20は、その通信を通じて、自動車2の状態を電源システム1へ通知可能である。
車両制御部20は、イグニッションスイッチが、OFF位置、ON/ACC位置、START位置のいずれの位置かを把握する。車両制御部20は、アクセル、ブレーキ、エンジン等の作動状態、速度、加速度、その他の車両状態を把握する。車両制御部20は、オルタネータ21の作動を制御し、その作動状態及び回生状態を把握する。車両制御部20は、把握した状態に応じた走行制御を行う。
車両制御部20は、把握した自車両の状態を、車両状態情報104として、電源システム1の制御部10へ通知する機能を有する。制御部10は、その車両状態情報104を取得する機能を有する。また、車両制御部20は、制御部10から電源状態情報103を取得する機能を有する。
車両状態情報104は、イグニッションスイッチ位置情報や、オルタネータ21の作動状態を表す情報であるオルタネータ作動情報を含む。言い換えると、オルタネータ作動情報は、回生状態を表す情報である。そのオルタネータ作動情報は、例えば、回生電力の出力の開始を表す回生開始情報、回生電力の出力の終了を表す回生終了情報を含む。車両制御部20は、オルタネータ21を作動させるタイミングに伴い、オルタネータ作動情報を含む車両状態情報104を、通信部17へ送信する。
オルタネータ21は、自動車2の制動時やアクセルオフ時に、エンジンの回転力を電力に変換する発電機である。この電力を回生電力と称する。オルタネータ21は、回生電力を交流電力から直流電力に変換して出力する。即ち、電線24には、直流電力の回生電力が供給される。オルタネータ21の一方の端子は電線24に接続されており、他方の端子はグランドに接続されている。グランドは、グランド電位を示し、車両シャーシ電位と同じである。
オルタネータ21は、発電部、整流部、電圧レギュレータ等により構成される。発電部は、ステータ及びロータで構成される。整流部は、発電部で発電された交流電力を直流電力に変換する。電圧レギュレータは、整流部で変換後の直流電力の電圧を一定にする。
実施の形態では、自動車2の仕様の1つとして、オルタネータ21からの回生電力における出力電圧が、14Vに規定されている。これに対応して、充電入力101における第1電圧V1は、V1=14Vである。
なお、オルタネータ21は、自動車2の始動時に、電圧駆動により、スタータとして機能させることもできる。オルタネータ21をスタータとして用いる場合、蓄電池部14からの放電の電力が、オルタネータ21へ供給される。
負荷22は、蓄電池部14からの放電の電力を利用する負荷であり、自動車2に搭載されている各種の電装品や補機、自動車2の構成要素を含む。負荷22の一方の端子は電線24に接続されており、他方の端子はグランドに接続されている。負荷22は、スタータ等を含む。電装品や補機は、例えばランプ、エンジンポンプ、エアコン、ファン、ラジオ、テレビ、カーナビゲーション装置等が挙げられる。電装品や補機は、作動のための最低電圧(例えば8V)以上の電圧が、蓄電池部14からの放電により供給されればよい。
自動車2のエンジン始動時には、イグニッションスイッチがSTART位置に位置付けられる。すると、蓄電池部14からの放電の電力が、スタータに対応する負荷22へ供給される。それにより、スタータが回転し、クラッチ機構を介して、エンジンの回転軸に、スタータの回転駆動力が伝達される。これにより、エンジンが始動する。
[電源システム]
電源システム1及び蓄電池部14は、オルタネータ21からの回生電力を受け入れ可能である。即ち、その回生電力を充電入力101として蓄電池部14に充電可能である。電源システム1は、蓄電池部14に蓄えられている電力を、負荷22へ放電により供給可能である。電源システム1は、自動車2の車両制御部20及びオルタネータ21等との間のインタフェースを通じて、蓄電池部14の充放電を好適に制御する。電源システム1は、例えば自動車2のエンジンルームに搭載される。
電源システム1は、蓄電池部14、制御部10、充放電切り替え部11、電圧変換部12、電線13等を備える。各部は接続線により接続されている。
蓄電池部14は、蓄電池14A、蓄電池制御部14Bを含む。蓄電池部14の蓄電池14Aは、1種類の蓄電池としてニッケル亜鉛電池の単独構成を有する。蓄電池部14は、オルタネータ21から供給される回生電力を受け入れて充電が可能であり、かつ、自動車2の負荷22へ放電による電力供給が可能である。実施の形態では、蓄電池14Aは、自動車2のエンジンを始動させるためのメイン蓄電池としても使用される。
蓄電池14Aは、複数個の単電池の直列接続による組電池を含む。蓄電池14Aは、更に、複数の組電池の並列接続を含んでもよい。実施の形態では、蓄電池14Aは、7個のニッケル亜鉛電池の直列接続による組電池の構成を有する。蓄電池14Aは、その組電池の構成において、充電時の満充電電圧である、第2電圧V2として、V2=13.3Vである。
蓄電池制御部14Bは、蓄電池14Aにおける組電池及び単電池のそれぞれの電圧、電流、及び温度等の状態を計測する。蓄電池制御部14Bは、それらの計測値を、信号線を通じて検出値107として蓄電池状態検出部15へ出力する。蓄電池制御部14Bは、蓄電池14Aの充放電の際、及び充放電の休止の際、それらの計測値をメモリに格納してから、検出値107として蓄電池状態検出部15へ出力する。
蓄電池制御部14Bは、例えば、所定時間毎に、例えば10ミリ秒の時間間隔で、蓄電池14A内の温度センサにより、電圧に基づいて温度を計測する。
蓄電池制御部14Bは、所定時間毎に、例えば2ミリ秒の間隔で、蓄電池14Aの組電池の電圧である、正極端子と負極端子との間の電圧を計測する。また、蓄電池制御部14Bは、蓄電池14Aが過充電及び過放電にならないように監視するために、蓄電池14Aの各々の単電池の電圧についても計測する。
蓄電池制御部14Bは、所定時間毎に、例えば2ミリ秒の間隔で、蓄電池14Aの正極端子の電流値を計測する。蓄電池14Aの正極端子が接続されている電線13には、電流値の計測のため、ホール素子またはシャント抵抗等により構成される電流センサが設けられている。
また、蓄電池制御部14Bは、自動車2の停車時等、充放電の休止時には、蓄電池14Aの開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)及び温度を計測する。このOCV及び温度は、蓄電池状態検出部15でのSOC値の推定の際に利用される。なお、蓄電池制御部14Bは、蓄電池14Aの各々の単電池の容量を調整するための容量調整回路等を有してもよい。
制御部10は、蓄電池状態検出部15、切り替え制御部16、通信部17を含む。制御部10は、自動車2の車両制御部20との通信で連携しつつ、電源システム1を制御する。制御部10は、充放電切り替え部11等の制御により、蓄電池部14の充電または放電の切り替え、その際の電流や電圧、開始や停止のタイミング等を制御する。制御部10は、充電または放電の指示、及びその際の電流値等の指示を含む制御信号106を、充放電切り替え部11へ与える。
制御部10は、例えばマイコン等により構成される。マイコンは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、バス等により構成される。CPUは、ROM等のプログラムをRAMにロードして実行することにより、切り替え制御部16等の処理部を実現する。ROMにはプログラムや各種のデータが格納されている。RAMはワークエリアとして使用される。不揮発性メモリには設定情報等が格納されている。
通信部7は、通信インタフェース基板等により構成される。通信部7のポートには、車両制御部20との通信線25、蓄電池制御部14Bとの信号線、充放電切り替え部11との信号線等が接続されている。
制御部10は、電源システム1の状態を、電源状態情報103として、車両制御部20へ通知する機能を有する。制御部10は、車両制御部20から車両状態情報104を取得する機能を有する。電源状態情報103は、蓄電池部14等の状態を表す情報を含む。電源状態情報103は、蓄電池14AのSOC値を含む。
充放電切り替え部11は、制御部10からの制御信号106による制御に従い、蓄電池部14の充電または放電を切り替え、またその際の電流や電圧、開始や停止等を切り替える。充放電切り替え部11は、その切り替えの状態になるように、蓄電池部14を制御する。充放電切り替え部11は、大電流が通電可能である複数のスイッチング素子、例えばパワーMOSFET、等により構成される。
充放電切り替え部11は、オルタネータ21及び負荷22と蓄電池部14との間の接続状態を切り替えるためのスイッチとして、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bを含む。充放電切り替え部11は、一方端が、電線24を通じて、オルタネータ21及び負荷22に接続されている。充放電切り替え部11は、他方端が、電圧変換部12を介して、蓄電池部14と接続されている。
電線24から分岐する電線13上に、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bが設けられている。第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bのそれぞれの一方端は電線24に共通に接続されている。分岐する電線13は、蓄電池部14の蓄電池14Aの一方端に共通に接続されている。第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bは、それぞれ、制御端子に入力される信号に従い、接続状態としてオン状態とオフ状態とが切り替えられる。充放電切り替え部11は、切り替え制御部16からの制御信号106に応じて、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bのそれぞれの接続状態を切り替える。
充放電切り替え部11は、オルタネータ21からの回生電力を蓄電池部14へ受け入れる充電入力101の際に、電圧変換部12を介して充電するように、スイッチの接続状態を切り替える。また、充放電切り替え部11は、蓄電池14Aに蓄えられている電力を負荷22へ供給する放電出力102の際に、電圧変換部12を介さずに放電するように、スイッチの接続状態を切り替える。
第1スイッチ11Aの他方端は、電圧変換部12の一方端に接続されている。電圧変換部12の他方端が、蓄電池14Aの一方端に接続されている。第1スイッチ11Aは、電線13及び電圧変換部12を介して、蓄電池14Aの一方端に接続されている。第1スイッチ11Aは、オルタネータ21及び負荷22と電圧変換部12との接続状態を切り替えるためのスイッチである。第1スイッチ11Aは、特に回生電力を蓄電池14Aへ充電する際にオン状態にされる。
第2スイッチ11Bの他方端は、電線13を通じて、電圧変換部12を介さずに、蓄電池14Aの一方端に接続されている。第2スイッチ11Bは、オルタネータ21及び負荷22と蓄電池14Aとの接続状態を切り替えるためのスイッチである。第2スイッチ11Bは、特に蓄電池14Aの電力を負荷22へ放電する際にオン状態に切り替えられる。
電圧変換部12は、充放電切り替え部11の第1スイッチ11Aと蓄電池部14の蓄電池14Aとの間に設けられている。電圧変換部12は、オルタネータ21からの回生電力による充電入力101における第1電圧V1を入力する。電圧変換部12は、第1電圧V1を、蓄電池部14の電圧である第2電圧V2に合わせるように電圧変換を行う。電圧変換部12は、DC/DCコンバータ等を用いて構成される。DC/DCコンバータは、スイッチング素子、チョークコイル、ダイオード、電解キャパシタ等により構成される。
実施の形態では、回生電力の第1電圧V1が14Vであり、それに対し、蓄電池14Aの第2電圧V2が13.3Vであり、V1>V2である。そのため、実施の形態では、電圧変換部12は、第1電圧V1を第2電圧V2へ降圧する電圧変換を行うための直流降圧回路を含む。
上記のように、電圧変換部12は、オルタネータ21の回生電力の仕様における第1電圧V1、及び蓄電池14Aであるニッケル亜鉛電池の満充電電圧である第2電圧V2の構成に合わせて設計されている。充電入力101の際には、回生電力の第1電圧V1である14Vは、電圧変換部12で降圧されて、第2電圧V2である13.3Vにされる。これにより、蓄電池14Aは、適切な第2電圧で充電され、過充電等が防止される。放電出力102の際には、蓄電池14Aからの放電の第3電圧V3は、電圧変換部12を介さずに、充放電切り替え部11の制御に応じて、負荷22への放電に好適な電圧として供給することができる。実施の形態の電源システム1は、1つの電圧変換部12を設ける構成であるため、比較的低コストで実現できる。
蓄電池状態検出部15は、蓄電池制御部14Bを通じて、蓄電池14Aの状態を検出する。蓄電池状態検出部15は、蓄電池制御部14Bからの検出値107を入力してメモリに格納し、検出値107から蓄電池14Aの電圧、電流、温度等の状態を把握する。蓄電池状態検出部15は、蓄電池14Aの電圧、電流、温度等の把握に基づいて、蓄電池14AのSOC値を推定する処理を行う。その際、蓄電池状態検出部15は、例えば予めメモリに格納されている関数またはテーブル情報等を用いて、所定の方式でSOC値を推定する。その関数またはテーブル情報は、ニッケル亜鉛電池における、基準温度及びOCV等における、電圧や電流の関係を規定する情報である。SOC推定の方式としては公知の方式を適用可能である。蓄電池状態検出部15は、SOC値を含む、蓄電池14Aの状態を表す検出値を、切り替え制御部16や通信部17へ出力する。蓄電池状態検出部15は、自動車2の走行中や走行前の時を含め、所定の時間間隔で蓄電池14Aの状態を検出する。
切り替え制御部16は、車両制御部20から、通信部17の通信を通じて、オルタネータ作動情報等の車両状態情報104を受信して取得する。切り替え制御部16は、蓄電池状態検出部15から、蓄電池14Aの現在のSOC値を含む、蓄電池14Aの状態の検出値を取得する。切り替え制御部16は、蓄電池14Aの状態の検出値に基づいて、その状態を含む電源状態情報103を、通信部17の通信を通じて、車両制御部20へ通知する。
切り替え制御部16は、蓄電池14Aの状態及び自動車2の回生状態等に応じて、蓄電池14Aの充放電の切り替えを制御する。切り替え制御部16は、蓄電池14Aの状態及び回生状態の把握に基づいて、充放電切り替え制御の内容を決定する。切り替え制御部16は、その制御のための指示を含む制御信号106を、充放電切り替え部11へ出力する。
通信部17は、車両制御部20から受信した車両状態情報104を、切り替え制御部16へ渡す。通信部17は、蓄電池状態検出部15または切り替え制御部16から受け取った検出値を含む電源状態情報103を、車両制御部20へ通知する。
なお、実施の形態では、制御部10、充放電切り替え部11、及び蓄電池制御部14B等は、蓄電池部14から供給される電力を用いて稼動する。
[蓄電池部、ニッケル亜鉛電池]
蓄電池14Aにおけるニッケル亜鉛電池の詳しい構成は以下である。ニッケル亜鉛電池は、例えば公称電圧が1.65V、満充電電圧が1.9Vである。実施の形態では、蓄電池14Aとして、7個のニッケル亜鉛電池の単電池の直列接続による組電池を用いる。組電池における公称電圧は1.65V×7=11.55V、満充電電圧は1.9V×7=13.3Vである。
蓄電池14Aの組電池の最上位電位側には正極端子が設けられ、最下位電位側には負極端子が設けられている。正極端子は電線13に接続されており、蓄電池制御部14Bにより電流値の計測が可能となっている。負極端子はグランドに接続されている。
蓄電池14Aの組電池における中央付近の単電池には、サーミスタ等による温度センサが接着剤により固定されている。
ニッケル亜鉛電池は、亜鉛を主成分とした負極と、水酸化ニッケルを主成分とした正極とが、微多孔性セパレータを介して、積層または捲回された電極群を有する。電極群は、水酸化カリウム等の水溶液系の電解液に浸潤されて、角型、円筒型、または偏平円筒型の形状を持つ電池缶内に収容されている。
ニッケル亜鉛電池の充放電のサイクル寿命を延ばすためには、負極の形態変化、凝集、及びデンドライトの抑制や、負極の導電性の向上、等が必要である。例えば、負極の形態変化、凝集、及びデンドライトの抑制に対しては、以下のような対策手段が有効なものとして挙げられる。即ち、負極活物質として、カルシウム、水酸化物、フッ化物、リン酸を添加すること。電解液に、リン酸、フッ化物、炭酸塩を添加すること。セパレータに、ポリオレフィン微多孔膜を使用すること。また、負極の導電性の向上に対しては、負極活物質として、ビスマス、鉛、カーボン等を添加することが挙げられる。
[充放電切り替え制御]
電源システム1の充放電切り替え制御について以下である。制御部10は、オルタネータ21からの回生電力を蓄電池部14へ受け入れて充電する充電入力101と、蓄電池部14からの放電の電力を負荷22へ供給する放電出力102との切り替えを制御する。制御部10は、充電入力101の際には、第1スイッチ11Aをオン状態にし、第2スイッチ11Bをオフ状態にするように切り替えを制御する。即ち、切り替え制御部16は、その切り替えの指示の制御信号106を充放電切り替え部11へ与える。充放電切り替え部11は、その制御信号106に従い、各スイッチの接続状態を切り替える。
制御部10は、放電出力102の際には、第1スイッチ11Aをオフ状態にし、第2スイッチ11Bをオン状態にするように切り替えを制御する。即ち、切り替え制御部16は、その切り替えの指示の制御信号106を充放電切り替え部11へ与える。充放電切り替え部11は、その制御信号106に従い、各スイッチの接続状態を切り替える。
充電入力101の際には、電線24から回生電力の電流値が第1スイッチ11Aを通じて電圧変換部12に入力される。電圧変換部12は、その入力の第1電圧V1を、第2電圧V2になるように電圧変換して出力する。電圧変換後の第2電圧V2に対応する電流値が蓄電池14Aに入力され、第2電圧V2で蓄電池14Aが充電される。
放電出力102の際には、蓄電池部14からの放電により電線13へ出力される電力が、電圧変換部12を介さずに、第2スイッチ11Bを介して電線24へ出力され、負荷22へ供給される。蓄電池部14からの放電の電圧を、第3電圧V3として示す。
切り替え制御部16は、基本的な制御として、車両状態情報104のオルタネータ作動情報で示される回生状態に応じて、充放電を切り替える。切り替え制御部16は、例えば、充電を行っていない状態で、回生開始情報を受信した場合、回生電力の充電を開始させるように切り替える。また、切り替え制御部16は、回生終了情報を受信した場合、蓄電池14Aへの充電を停止させるように切り替える。また、切り替え制御部16は、その充電停止と共に、蓄電池14Aから負荷22への放電を開始させるように切り替える。
また、制御部10は、蓄電池状態検出部15により検出した、蓄電池14AのSOC値を含む状態に基づいて、後述のSOC管理を含む充放電切り替え制御を行う。
[制御状態]
図2は、電源システム1における充放電切り替え制御の制御状態についてまとめた表を示す。表において、行で示す3つの制御状態として、「休止」、「充電」、「放電」がある。各制御状態について、充放電切り替え部11のスイッチの接続状態や備考を示す。切り替え制御部16は、3つの制御状態の切り替えを制御する。
第1状態として、休止制御状態は、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bを共にオフ状態にする制御状態である。この休止制御状態では、オルタネータ21及び負荷22が蓄電池部14に接続されず、蓄電池部14の充電及び放電のいずれも休止される。
第2状態として、充電制御状態は、第1スイッチ11Aをオン状態、かつ、第2スイッチ11Bをオフ状態にする制御状態である。回生開始等の場合には、第2状態に切り替えられる。この第2状態では、回生電力が電圧変換を通じて蓄電池14Aへ充電され、負荷22への放電は行われない。また、この第2状態では、SOC管理に対応させて、後述の第1充電制御等が実行される。
第3状態として、放電制御状態は、第1スイッチ11Aをオフ状態、かつ、第2スイッチ11Bをオン状態にする制御状態である。回生終了等の場合には、第3状態に切り替えられる。この第3状態では、蓄電池14Aからの放電の電力が、電圧変換を介さずに出力されて負荷22へ供給され、回生電力の充電は行われない。また、この第3状態では、SOC管理に対応させて、後述の第1放電制御等が実行される。
なお、切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aと第2スイッチ11Bとの両方がオン状態になる状態にはならないように、スイッチの切り替えを制御する。例えば、切り替え制御部16は、第2状態から第3状態へ切り替える際には、まず、第1スイッチ11Aをオン状態からオフ状態に切り替えるように制御信号106を与える。これにより、短い期間、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bを共にオフ状態にする。次に、切り替え制御部16は、第2スイッチ11Bをオフ状態からオン状態に切り替えるように制御信号106を与える。これにより第3状態となる。
[SOC管理]
図3は、実施の形態の電源システム1におけるSOC管理のSOC値の規定について示す。蓄電池14Aであるニッケル亜鉛電池における0%から100%までのSOC値において、使用上限SOC値、第1SOC値、使用下限SOC値が規定されている。実施の形態では、使用上限SOC値=100%、第1SOC値=90%、使用下限SOC値=70%、と規定されている。
使用上限SOC値は、95%以上で100%以下の範囲内の値に設定されればよい。第1SOC値は、85%以上で95%未満の範囲内の値に設定されればよい。使用下限SOC値は、65%以上で75%未満の範囲内の値に設定されればよい。
使用上限SOC値及び第1SOC値は、蓄電池14Aの過充電による劣化を抑え、かつ、回生電力の利用効率を高めるために、所定値である100%及び90%に設計されている。第1SOC値は、例えば使用上限SOC値である100%に対して10%の差を設けるように90%に設定されている。使用下限SOC値は、蓄電池14Aの過放電による劣化を抑え、かつ、回生電力の利用効率を高めるために、所定値である70%に設計されている。
なお、SOC値推定誤差等を考慮して、上記SOC値、特に使用下限SOC値が設計されている。SOC値推定誤差がある場合にも、過放電を防止し、蓄電池14Aの劣化を抑えることができる。例えば、蓄電池状態検出部15では、現在の検出値が取得できない場合、過去の検出値を用いてSOC値の推定を行う。その場合に推定の誤差がある程度あったとしても、過放電を防止することができる。
[SOC管理の制御]
図4及び図5は、実施の形態の電源システム1におけるSOC管理を含む充放電切り替え制御の内容を示す。制御部10は、切り替え制御部16により、以下のような制御を行う。制御部10は、基本的な制御としては、オルタネータ21からの回生電力の供給が有る状況の場合には、回生電力を蓄電池14Aへ充電する充電入力101を行い、回生電力の供給が無い状況の場合には、蓄電池14Aから負荷22へ放電する放電出力102を行う。制御部10は、車両制御部20から回生開始情報を受信した場合には、充電を開始させるように切り替え、回生終了情報を受信した場合には、放電を開始させるように切り替える。
制御部10は、上記基本的な制御に加え、充電入力101の際には、図4に示すようにSOC管理を含む充電制御を行い、放電出力102の際には、図5に示すようにSOC管理を含む放電制御を行う。
図4において、制御部10は、充電入力101の際には、SOC値及び回生状態に応じて、(A1)に示す第1充電制御を行う。制御部10は、充電入力101の際、蓄電池14AのSOC値が最大で使用上限SOC値までに抑えられる範囲内で、蓄電池14Aへの充電を行うように、第2状態となるように制御する。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aをオン状態、第2スイッチ11Bをオフ状態にするように、制御信号106を充放電制御部11へ与える。
制御部10は、蓄電池状態検出部15により検出したSOC値が、使用上限SOC値に達した場合には、まず、蓄電池14Aへの充電を停止させるように、第2状態から第1状態へ切り替える。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bを共にオフ状態にするように制御信号106を与える。これにより、蓄電池14Aの過充電が防止され、劣化が抑制される。(A1)では、SOC値が例えば値Xの状態から、回生電力の供給に応じて、使用上限SOC値まで充電される場合を示している。
更に、制御部10は、即時に、負荷22への放電を開始させるように、第1状態から第3状態へ切り替える。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aをオフ状態、第2スイッチ11Bをオン状態にするように制御信号106を与える。これにより、制御部10は、蓄電池14AのSOC値を、第1SOC値までの範囲内で低下させる。制御部10は、蓄電池14AのSOC値が、第1SOC値に達した場合には、負荷22への放電を停止させるように第3状態から第1状態へ切り替える。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bを共にオフ状態にするように制御信号106を与える。(A1)では、使用上限SOC値の状態から第1SOC値の状態まで低下するように放電される場合を示している。
このように、第1充電制御では、蓄電池14AのSOC値を、使用上限SOC値の状態に維持せずに、それよりも低い第1SOC値に近付けるようにする。即ち、第1充電制御では、回生電力の充電の受け入れが可能な状態となるように、予めSOCに余裕を持たせた状態にしておく。
上記放電後または放電中、蓄電池14AのSOC値が第1SOC値に近い状態である時に、回生電力の供給が生じた場合、即ち回生開始情報を受信した場合、制御部10は、その回生電力を受け入れる充電を開始させるように、第2状態に切り替える。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aをオン状態、第2スイッチ11Bをオフ状態にするように制御信号106を与える。これにより、使用上限SOC値までの範囲で充電され、以降同様に制御が行われる。
なお、実施の形態の変形例として、(A2)に示す第2充電制御を行う形態としてもよい。第2充電制御として、制御部10は、充電入力101の際に、SOC及び回生状態に応じて、蓄電池14AのSOC値が最大で使用上限SOC値までに抑えられる範囲内で、蓄電池14Aへ充電するように第2状態に制御する。制御部10は、蓄電池状態検出部15により検出したSOC値が、使用上限SOC値に達した場合には、蓄電池14Aへの充電を停止させるように、第2状態から第1状態へ切り替える。そして、制御部10は、負荷22への放電をせずに、そのSOC値が使用上限SOC値である状態を維持する。
即ち、第2充電制御では、蓄電池14AのSOCを、なるべく最大である使用上限SOC値の状態に維持しておくことにより、必要な際に高出力の放電を可能とする。なお、制御部10は、その状態で、車両制御部20から車両状態情報104として負荷22への放電を要求する旨の情報を受信した場合には、負荷22への放電を開始させるようにしてもよい。即ち、切り替え制御部16は、第1状態から第3状態へ切り替えるように制御信号106を与える。
蓄電池14Aの充電の際に、回生電力を熱消費せずにできるだけ多く受け入れることを優先する場合、第1充電制御を適用すればよい。一方、蓄電池14AのSOCをなるべく高い状態に維持することや、オルタネータ21の作動を抑制してガソリン消費低減を優先する場合、変形例の第2充電制御を適用すればよい。
図5において、制御部10は、放電出力102の際には、SOC値及び回生状態に応じて、(B1)に示す第1放電制御を行う。制御部10は、放電出力102の際、蓄電池14AのSOC値が最小で使用下限SOC値までに抑えられる範囲内で、蓄電池14Aからの放電を行うように、第3状態となるように制御する。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aをオフ状態、第2スイッチ11Bをオン状態にするように、制御信号106を充放電制御部11へ与える。
制御部10は、蓄電池状態検出部15により検出されたSOC値が、使用下限SOC値に達した場合には、まず、放電を停止させるように、第3状態から第1状態に切り替える。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bをオフ状態にするように制御信号106を与える。これにより、蓄電池14Aの過放電が防止され、劣化が抑制される。(B1)では、蓄電池14AのSOC値が例えば値Yの状態から、使用下限SOC値まで放電される場合を示している。
更に、制御部10は、即時に、蓄電池14Aへの充電を開始させるように制御する。この際、制御部10は、その充電を可能とするために、回生電力が供給されるように、車両制御部20へ要求する。切り替え制御部16は、その要求を、通信部17を通じて車両制御部20へ送信する。
車両制御部20は、その要求に対して応答する。車両制御部20は、その要求に対し、回生電力の供給の開始が可能である場合、オルタネータ21を作動させて回生電力の出力を開始させると共に、回生開始情報を含む車両状態情報104を、制御部10へ送信する。その際、車両制御部20は、電磁クラッチを作動させてエンジンの回転力をオルタネータ21に伝達させてオルタネータ21を作動させる。
制御部10は、車両制御部20からの応答としてその車両状態情報104を、通信部17を通じて受信する。制御部10は、車両状態情報104として回生開始情報を取得した場合、蓄電池14Aへの充電を開始させるように第2状態へ切り替える。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aをオン状態、第2スイッチ11Bをオフ状態にするように制御信号106を与える。これにより、第1放電制御では、蓄電池14AのSOC値を使用下限SOC値よりも高いSOC値になるようにする。
なお、制御部10は、要求に対する車両制御部20からの応答として、その時の自動車2の状況に応じて回生電力の供給ができない状態である場合には、SOC値が使用下限SOC値である状態のまま、第1状態で待機する。
なお、実施の形態の変形例として、(B2)に示す第2放電制御を行う形態としてもよい。第2放電制御として、制御部10は、放電出力102の際に、SOC及び回生状態に応じて、蓄電池14AのSOC値が最小で使用下限SOC値までに抑えられる範囲内で、蓄電池14Aから放電するように第3状態に制御する。制御部10は、蓄電池状態検出部15により検出したSOC値が、使用下限SOC値に達した場合には、放電を停止させるように第3状態から第1状態へ切り替える。そして、制御部10は、SOC値が使用下限SOC値である状態を維持する。その後、制御部10は、回生開始情報を受信した場合には、蓄電池14Aへの充電を開始させるように第1状態から第2状態へ切り替える。
なお、上記充電制御の判断の際に、制御部10は、蓄電池状態検出部15により検出した蓄電池14AのSOC値として、組電池の複数の単電池の各単電池のSOC値を参照して判断する。例えば、制御部10は、いずれかの単電池のSOC値が使用上限SOC値に達した場合に、充電を停止させる。同様に、上記放電制御の判断の際に、制御部10は、いずれかの単電池のSOC値が使用下限SOC値に達した場合に、放電を停止させる。
また、変形例として、制御部10は、蓄電池14Aの組電池の単位でのSOC値や電圧値を用いて、上記判断を行ってもよい。制御で使用する単位に応じて、制御用のSOC値や電圧値が設定される。例えば、電圧値を用いて判断する場合には、使用上限電圧値、使用下限電圧値、第1SOC値に対応する第1電圧値、等が設定される。
[制御処理フロー]
図6は、上記SOC管理を含む充放電切り替え制御の制御処理例のフローを示す。図6のフローは、ステップS1〜S13を有する。以下、ステップの順に説明する。図6の制御は、図4の第1充電制御及び図5の第1放電制御を含む。
(S1) 自動車2は、イグニッションスイッチのON/ACC位置等の契機で起動される。電源システム1の制御部10は、自動車2の起動に合わせて、電源システム1を起動させる。制御部10は、起動に応じて、充放電切り替え制御の状態を、最初、第1状態である休止制御状態にする。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bをオフ状態にするように制御信号106を充放電切り替え部11へ与える。なお、制御部10は、自動車2の駐停車等の状態に伴って電源システム1をスリープ状態へ移行させる場合には、起動終了する。
(S2) 制御部10は、車両制御部20からの車両状態情報104の通知に基づいて、回生開始情報を受信したかどうかを判断し、受信した場合(Y)にはS4へ進み、そうでない場合(N)にはS3へ進む。
(S3) 制御部10は、車両状態情報104に基づいて回生終了情報を受信したかどうかを判断し、受信した場合(Y)にはS5へ進み、そうでない場合(N)にはS1へ戻る。
(S4) 制御部10は、回生電力の供給が有るので、充電入力101として、回生電力を蓄電池14Aへ充電するように第2状態へ切り替える。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aをオン状態、第2スイッチ11Bをオフ状態にするように制御信号106を与える。
(S5) 制御部10は、回生電力の供給が無いので、放電出力102として、蓄電池14Aから負荷22へ放電するように第3状態へ切り替える。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aをオフ状態、第2スイッチ11Bをオン状態にするように制御信号106を与える。
(S6) S4の後、S6で、制御部10は、回生終了情報を受信したかどうかを判断し、受信した場合(Y)にはS5へ進み、そうでない場合(N)にはS8へ進む。
(S7) S5の後、S7で、制御部10は、回生開始情報を受信したかどうかを判断し、受信した場合(Y)にはS4へ進み、そうでない場合(N)にはS9へ進む。
(S8) 制御部10は、蓄電池状態検出部15で検出された蓄電池14Aの現在のSOC値が、使用上限SOC値に達したかどうかを判断し、達していない場合(N)にはS6へ戻り、達した場合(Y)にはS10へ進む。
(S9) 制御部10は、蓄電池状態検出部15で検出された蓄電池14Aの現在のSOC値が、使用下限SOC値に達したかどうかを判断し、達していない場合(N)にはS7へ戻り、達した場合(Y)にはS11へ進む。
(S10) 制御部10は、充放電を休止する第1状態にする。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bをオフ状態にするように制御信号106を与える。S10の後、S12へ進む。
(S11) 制御部10は、充放電を休止する第1状態にする。即ち、切り替え制御部16は、第1スイッチ11A及び第2スイッチ11Bをオフ状態にするように制御信号106を与える。S11の後、S13へ進む。
(S12) 制御部10は、図4の第1充電制御に対応する処理を行う。制御部10は、即時に、負荷22への放電を開始させるように第3状態へ切り替え、第1SOC値までの範囲でその放電を許容する。切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aをオフ状態、第2スイッチ11Bをオン状態にするように制御信号106を与える。制御部10は、SOC値が、第1SOC値に達した場合には放電を停止させるように第1状態へ切り替える。S12の後はS1へ戻る。
(S13) 制御部10は、図5の第1放電制御に対応する処理を行う。制御部10は、即時に、車両制御部20へ回生電力の供給を要求し、応答として回生開始情報を受信した場合には、蓄電池14Aへの充電を開始させるように第2状態へ切り替える。切り替え制御部16は、第1スイッチ11Aをオン状態、第2スイッチ11Bをオフ状態にするように制御信号106を与える。S13の後はS1へ戻る。
なお、S13の処理で、制御部10は、車両制御部20からの応答として、回生開始情報を所定時間内に受信できない場合には、回生電力の供給ができない状況と判断して、休止制御状態を維持するようにしてもよい。また、制御部10は、一定時間毎に、要求を送信するようにしてもよい。あるいは、車両制御部20からの応答として、回生電力の供給ができない状況である旨の応答を送信するようにしてもよい。
[自動車動作]
自動車2の動作とその動作に伴う電源システム1の動作について詳しくは以下である。まず、自動車2の駐停車時の動作については以下である。自動車2の走行後の駐停車の開始時には、ドライバーによりイグニッションスイッチがON/ACC位置からOFF位置に位置付けられ、イグニッションキーが引き抜かれる。車両制御部20は、監視に基づいてイグニッションスイッチがON/ACC位置からOFF位置に位置付けられたことを検出する。車両制御部20は、そのOFF位置状態を、車両状態情報104として、制御部10へ通知する。
制御部10は、車両制御部20から、そのOFF位置状態の車両状態情報104を受信する。すると、制御部10は、蓄電池制御部14B及び自身を、省エネモードに対応したスリープ状態へ移行させる。切り替え制御部16は、充放電を休止する第1状態にするように制御信号106を充放電切り替え部11へ与える。また、切り替え制御部16は、蓄電池状態検出部15を制御して状態検出を停止させる。これに従い、蓄電池状態検出部15は、蓄電池制御部14Bに、検出値の通知を停止させる。切り替え制御部16は、車両制御部20への電源状態の通知を停止する。切り替え制御部16は、上記OFF位置状態の通知を受信した時点からの時間を計測し、所定時間が経過したかを判断する。この所定時間は、蓄電池14Aの特性に応じて設計される。
切り替え制御部16は、上記所定時間が経過した時点で、蓄電池制御部14Bをスリープ状態から起動させるように、蓄電池状態検出部15を制御する。切り替え制御部16は、蓄電池状態検出部15を通じて、蓄電池制御部14Bに、蓄電池14AのOCV及び温度等の検出値を出力させる。切り替え制御部16は、その検出値を取得した後、蓄電池検出部14Bを、再度スリープ状態へ移行させる。
次に、制御部10は、蓄電池状態検出部15に、上記検出値であるOCV及び温度等の値を用いて蓄電池14Aの現在のSOC値を推定する演算を行わせる。蓄電池状態検出部15は、プログラム処理により、所定の関数やテーブル情報に基づいて、蓄電池14Aの現在の温度における現在のSOC値を計算する。蓄電池状態検出部15は、そのSOC値を、基準温度(例えば25℃)におけるSOC値に補正する。なお、基準温度におけるSOC値を、基準SOC値と称する。切り替え制御部16は、蓄電池状態検出部15から、その基準SOC値を含む状態の検出値を得る。
次に、制御部10は、上記現在の蓄電池14Aの基準SOC値、温度、電圧、電流等の値を含む電源状態情報103を、通信部17を通じて車両制御部20へ通知する。その後、制御部10は、自身を再度スリープ状態に移行させる。
上記のように、制御部10は、所定時間毎における、蓄電池14AのOCV及び温度等の検出、基準SOC値の計算、及びそれらの検出値の通知の際に、起動状態となり、それ以外の時にはスリープ状態となる。なお、自動車2の走行後にイグニッションスイッチがOFF位置に位置付けられた時、車両制御部20も、データ保存等の所定の処理を行った後にはスリープ状態になり、制御部10からの通知を受けた時には起動状態になる。上記OCV等の測定及びスリープ状態の制御は、制御部10が主体で行う形態でもよいし、車両制御部20が主体で行う形態でもよい。
次に、自動車2の駐停車後の走行開始前の動作については以下である。ドライバーにより、イグニッションスイッチにイグニッションキーが挿入される。そして、イグニッションスイッチがOFF位置からON/ACC位置に位置付けられ、更にON/ACC位置からSTART位置に位置付けられた後、再びON/ACC位置に位置付けられる。車両制御部20は、イグニッションスイッチが最初にON/ACC位置に位置付けられると、その状態を制御部10へ通知する。
制御部10は、その状態の通知を受けると、蓄電池制御部14B及び自身を起動状態へ移行させる。制御部10は、自動車2の走行中や走行前の状態では、前述のように、回生電力及びSOCの状態に応じて、蓄電池部14の充放電を制御する。制御部10は、その際、蓄電池制御部14Bから検出された所定時間毎の蓄電池14Aの電圧値、及び電流値を、蓄電池状態検出部15を通じて取得する。なお、その電圧値は、ニッケル亜鉛電池の各々の単電池の電圧値を含む。制御部10は、蓄電池状態検出部15により、前述の基準SOC値、及び既知の電池容量に基づいて、上記所定時間毎の電流値を積算して、蓄電池14Aの現在のSOC値を推定させる演算を行わせる。なお、その演算の際には、電圧値及び電流値としては、基準温度により補正された値が用いられる。制御部10は、所定時間毎に、蓄電池14Aの現在のSOC値及び電圧値等を含む電源状態情報103を、通信部17を通じて車両制御部20へ通知する。
車両制御部20は、制御部10からの電源状態情報103の通知を受けると、その蓄電池14Aの現在のSOC値及び電圧値等の参照に基づいて、オルタネータ21による回生電力を蓄電池部14へ充電させるか否かを判断する。車両制御部20は、蓄電池14Aの状態に基づいて、充電させると判断した場合、電磁クラッチを作動させてエンジンの回転力をオルタネータ21に伝達させて、回生電力を出力させる。
例えば、車両制御部20は、蓄電池14Aの現在のSOC値が、使用上限SOC値またはそれに近いSOC値である場合には、オルタネータ21を作動させないように、即ち回生電力を供給しないように制御してもよい。これにより、蓄電池14Aが過充電状態になることを防止する。また、変形例として、車両制御部20は、蓄電池14Aの現在の電圧値が所定の使用上限電圧値またはそれに近い値である場合に、上記制御を行ってもよい。あるいは、車両制御部20は、現在のSOC値及び電圧値の両方が上記の条件を満たす場合に、上記制御を行ってもよい。
また、車両制御部20は、蓄電池14Aの現在のSOC値が、使用下限SOC値またはそれに近いSOC値である場合には、ブレーキやアクセルの操作による回生電力の発生を待たずに、オルタネータ21を作動させて回生電力を発生させるように制御してもよい。これにより、蓄電池14Aが過放電状態になることを防止する。また、変形例として、車両制御部20は、蓄電池14Aの現在の電圧値が所定の使用下限電圧値またはそれに近い値である場合に、上記制御を行ってもよい。あるいは、車両制御部20は、現在のSOC値及び電圧値の両方が上記の条件を満たす場合に、上記制御を行ってもよい。
車両制御部20は、ブレーキが踏まれた場合、またはアクセルが開放されてアクセルオフ状態になった場合には、オルタネータ21を作動させて回生電力を出力するように制御し、回生開始情報を制御部10へ送信する。また、車両制御部20は、ブレーキが開放された、またはアクセルオフ状態になった結果、自動車2の加速度が0になった場合には、オルタネータ21の作動を停止させて回生電力を出力しないように制御し、回生終了情報を制御部10へ送信する。
自動車2は、アイドリングストップ後のエンジン再始動の際には、メイン電池である蓄電池14Aからの放電により、負荷22のうちのスタータへ、大電流で電力を供給する。その放電出力102の際にも、蓄電池14AのSOC値の低下が使用下限SOC値までに抑えられるように制御される。使用下限SOC値は、そのアイドリングストップ後のエンジン再始動の際のスタータへの放電の電力量を考慮した値に設定されると好適である。例えば、アイドリングストップ時に負荷22へ放電する電力量をP1、エンジン再始動の際の放電の電力量をP2、と見積もる。電力量P1に対応したSOCの変動量をD1、電力量P2に対応したSOCの変動量をD2、と見積もる。すると、使用下限SOC値は、以下のような関係式に基づいた値に設定すると好適である。[使用下限SOC値]≦[使用上限SOC値]−(D1+D2)。
[異常処理]
また、制御部10は、蓄電池状態検出部15による状態検出に基づいて、蓄電池14Aの状態が異常であるかどうかを判断し、異常状態と判断した場合には、所定の異常処理を実行する。切り替え制御部16は、蓄電池14Aの組電池及び単電池の単位での現在の電圧値や温度が、所定の範囲内にある場合には正常状態と判断し、所定の範囲外になった場合には異常状態と判断する。制御部10は、異常状態を、例えば範囲の区分に応じて、複数の段階の異常状態として分けて判断することがより好ましい。制御部10は、異常状態と判断した場合、その異常状態に応じた異常処理を実行する。例えば、制御部10は、蓄電池14Aの充放電を休止する第1状態に切り替える。また、制御部10は、異常状態と判断した場合、その異常状態を、通信部17を通じて車両制御部20へ通知する。車両制御部20は、通知からその異常状態を把握して制御を行う。車両制御部20は、例えば、異常状態を、表示画面への表示、または音声出力等により、ユーザへ伝える。
[効果等]
以上説明したように、実施の形態の電源システム及び自動車によれば、充電受け入れ性能、コスト、安全性等の点で優れる好適なシステムを実現できる。これにより、自動車の燃費改善等に寄与できる。実施の形態では、回生電力の供給がある場合にその開始及び終了に応じて蓄電池14Aに充電し、供給が無い場合には蓄電池14Aから負荷22へ放電することができる。そのため、回生電力の受け入れ性能が高く、高効率で充放電ができ、燃費を改善させることができる。
実施の形態では、蓄電池部14として1種類の蓄電池であるニッケル亜鉛電池の単独構成とした。ニッケル亜鉛電池の採用により、高出力の充放電を可能とし、安全性にも優れている。これにより、実施の形態では、前述した従来の2種類の蓄電池の複合構成よりも、高出力で安全性に優れ、システム構成を簡易化して低コスト及び省スペース等で実現できる。特に、オルタネータ回生車両の車載に好適な電源システムを実現できる。電源システム1は、オルタネータ21の回生電力を高効率で利用し、蓄電池14Aの寿命を長くでき、燃費改善に寄与できる。
[変形例(1)]
実施の形態の変形例として以下が可能である。実施の形態では、自動車2の回生電力の仕様として第1電圧V1を14Vとし、それに合わせて電源システム1を14V系のシステムとしたが、これに限らず適用可能である。例えば、48V系の電源システム等も同様に可能であり、回生電力の出力電圧の仕様に応じて設計された電圧変換部12を備える形態とすればよい。
変形例として、蓄電池部14は、7個以下の単電池の直列接続による組電池の構成としてもよいし、8個以上の単電池の直列接続による組電池の構成としてもよい。電圧変換部12は、第1電圧V1及び第2電圧V2に応じて設計されればよい。蓄電池部14の第2電圧V2は、13.3Vに限らず適用可能である。変形例の電源システムでは、蓄電池部14の蓄電池14Aは、8個のニッケル亜鉛電池の直列接続による組電池の構成を有する。これにより、組電池における公称電圧は1.65V×8=13.2Vであり、満充電電圧は1.9V×8=15.2Vである。即ち、第2電圧V2は、V2=15.2Vであり、V1<V2である。これに対応して、電圧変換部12は、充電の際に第1電圧V1を第2電圧V2へ昇圧する電圧変換を行うための直流昇圧回路を含む。
[変形例(2)]
制御部10の蓄電池状態検出部15と蓄電池制御部14Bとが1つに統合された形態でもよい。車両制御部20側に蓄電池状態検出部15の機能を有してもよい。オルタネータ作動情報の取得については、オルタネータ21を制御する部分であるオルタネータ制御部や、ブレーキ制御部等から取得する形態でもよい。
[変形例(3)]
実施の形態では、自動車2の車両制御部20から回生状態を含む車両状態情報104を通知し、電源システム1の制御部10は、その回生状態に合わせて、SOC管理を含む充放電切り替え制御を行っている。これに限らず、以下のように自動車2が主体で制御を行う形態としてもよい。自動車2の車両制御部20は、電源システム1の制御部10から一定時間毎にSOC値を含む電源状態情報103を取得することにより、電源システム1の蓄電池14Aの状態を監視する。車両制御部20は、その蓄電池14Aの状態に合わせて、好適な充放電及びSOCの状態が実現されるように、オルタネータ21の作動による回生電力の供給を制御する。
実施の形態では、図4の第1充電制御、及び図6のS12の処理として、制御部10の判断により即時に放電を開始させる処理とした。変形例として、以下のように同様の制御を実現してもよい。車両制御部20は、制御部10から取得する電源状態情報103により、蓄電池14AのSOC値が使用上限SOC値に達したこと等を把握する。車両制御部20は、その電源状態の把握に応じて、判断により、オルタネータ21の作動を停止させて回生電力の供給を終了させて、回生終了情報を制御部10へ送信する。これにより、車両制御部20は、制御部10に蓄電池14Aへの充電を停止させることができる。
実施の形態では、図5の第1放電制御、及び図6のS13の処理として、制御部10が車両制御部20へ回生電力の供給を要求して充電を開始させる処理とした。変形例として、以下のように同様の制御を実現してもよい。車両制御部20は、制御部10から取得する電源状態情報103により、蓄電池14AのSOC値が使用下限SOC値に達したこと等を把握する。車両制御部20は、その電源状態の把握に応じて、判断により、回生電力の供給が可能である状況の場合には、オルタネータ21を作動させて回生電力の出力を開始させて、回生開始情報を制御部10へ送信する。これにより、車両制御部20は、制御部10に蓄電池14Aへの充電を開始させることができる。
以上、本発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。