JP2017200534A - プライミング用キャップ - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成でプライミング液の漏出を防止する。
【解決手段】プライミング用キャップ1は、内腔10aを有するハウジング10と、内腔10aと外界とが連通するようにハウジング10に設けられた第1孔21及び第2孔22と、第2孔22を介して内腔10aと外界とを連通させる経路上に設けられた疎水性フィルタ23と、第2孔22を開閉するためのシール材25とを備える。第1孔21は、オス部材941と接続可能なように常時開放されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、輸液ラインをプライミングする際に、輸液ラインの下流側端のコネクタに装着して使用されるプライミング用キャップに関する。
水分や栄養等を含む輸液を静脈を通じて患者に投与する輸液療法が知られている。疾患の治療等を目的として、輸液に薬剤を混入させることもある。患者に投与される輸液は、一般に、輸液容器内で調製される。輸液容器内の輸液は、輸液ラインを介して患者に投与される。
輸液を患者に投与するのに先立って、輸液ラインの流路内の空気を液体に置き換える、「プライミング」が行われる。プライミングでは、輸液ラインの下流側端までを液体で満たす必要がある。このため、輸液ラインの下流側端のオスコネクタから液体を漏らしてしまうという誤操作をする可能性がある。
プライミングの際に使用される液体(一般にプライミング液と呼ばれる)としては、生理食塩水の他、輸液が用いられることがある。輸液に、例えば一部の抗がん剤のように劇薬に指定された危険な薬剤を混入させる場合がある。このような危険な薬剤を含む輸液を用いてプライミングを行って上記の誤操作をした場合には、輸液が作業者の指などに付着するなどの曝露事故が生じうる。
特許文献1には、プライミング時に輸液ラインの下流側端のオスコネクタに装着して使用されるキャップが記載されている。キャップは、オスコネクタに接続される第1開口部と、疎水性フィルタが配設された第2開口部とを備えた貯蔵装置を含む。プライミングは以下のようにして行う。最初に、輸液ラインの下流側端のオスコネクタに、キャップの第1開口部を接続する。次いで、輸液ラインに液体を導入する。輸液ライン内の空気は、キャップの貯蔵装置へ押し出され、更に、第2開口部に設けられた疎水性フィルタを通過し外界に排出される。液体は、輸液ラインを満たし、更にオスコネクタからキャップの貯蔵装置に流入する。但し、貯蔵装置内の液体は、疎水性フィルタを通過することはできない。輸液ラインを液体で満たした後、キャップをオスコネクタから分離する。キャップは廃棄される。
このようなキャップを用いることにより、プライミング時に、輸液ラインの下流側端のオスコネクタから液体を漏らしてしまうという誤操作を防止することが可能である。
特開2009−522048号公報 特開2014−079355号公報 国際公開第2013/154050号パンフレット 特開2013−165830号公報 特開2004−000483号公報 国際公開第2010/061742号パンフレット 国際公開第2010/061743号パンフレット
特許文献1のキャップでは、プライミング後にオスコネクタから分離されたキャップの貯蔵装置内に液体が残留している場合がある。従って、第1開口部を下方に向けると、重力により貯留装置内の液体が第1開口部から漏出するという事態が起こりうる。特に、第2開口部に設けられた疎水性フィルタを介して空気が貯留装置内に流入すれば、貯留装置内の液体は第1開口部から容易に漏出してしまう。
本発明は、簡単な構成で液体の漏出を防止することが可能なプライミング用キャップを提供することを目的とする。
本発明のプライミング用キャップは、内腔を有するハウジングと、前記内腔と外界とが連通するように前記ハウジングに設けられた第1孔及び第2孔と、前記第2孔を介して前記内腔と外界とを連通させる経路上に設けられた疎水性フィルタと、前記第2孔を開閉するためのシール材とを備える。前記第1孔は、オス部材と接続可能なように常時開放されている。
本発明によれば、簡単な構成で、プライミング時及びプライミング後に液体が外界に漏出するのを防止することができる。このため、プライミングに使用する液体が危険な薬剤を含む場合であっても、当該液体を誤って漏出させて作業者が被曝するという曝露事故が起こる可能性を低減することができる。
図1は、輸液療法の構成の一例を示した図である。 図2Aは、本発明の一実施形態にかかるプライミング用キャップの上方から見た斜視図である。図2Bは、当該キャップの上方から見た断面斜視図である。 図3Aは、本発明の一実施形態にかかるプライミング用キャップの下方から見た斜視図である。図3Bは、当該キャップの下方から見た断面斜視図である。 図4Aは、第2孔がシール材で塞がれた、本発明の一実施形態にかかるプライミング用キャップの下方から見た斜視図である。図4Bは、当該キャップの下方から見た断面斜視図である。 図5Aは、本発明の一実施形態にかかるプライミング用キャップが装着されるオスコネクタの斜視図である。 図5Bは、本発明の一実施形態にかかるプライミング用キャップが装着されるオスコネクタの断面図である。 図6は、本発明の一実施形態にかかるプライミング用キャップを用いたプライミング方法の一工程を示した断面図である。 図7は、本発明の一実施形態にかかるプライミング用キャップを用いたプライミング方法の次の工程を示した断面図である。 図8は、本発明の一実施形態にかかるプライミング用キャップを用いたプライミング方法の更に次の工程を示した断面図である。
本発明の上記のキャップは、前記内腔に液体が貯留され且つ前記シール材が前記第2孔を塞いだ状態で第1孔を下方に向けても、前記液体が前記第1孔から漏れ出ないように構成されていることが好ましい。かかる好ましい構成は、プライミング後に液体が外界に漏出するのをより確実に防止するのに有利である。
前記オス部材を備えたオスコネクタは、前記オス部材が前記第1孔に接続されていないときに前記オス部材の開口から液体が漏出するのを防止するシールドを備えていてもよい。前記シールドは、前記開口が前記シールド外に露出されるように前記オス部材の長手方向に沿って圧縮変形可能であってもよい。この場合、本発明のキャップは、前記第1孔と前記オス部材とを接続したとき前記第1孔の端縁と前記シールドとの間に液密なシールが形成されるように構成されていてもよい。これは、プライミング時に液体が第1孔の端縁とシールドとの間を通って外界に漏れ出るのを防止するのに有利である。
本発明の上記のキャップは、前記第1孔を取り囲むように前記ハウジングに設けられた環状のリブを更に備えていてもよい。この場合、本発明のキャップは、前記第1孔と前記オス部材とを接続したとき前記リブの先端と前記シールドとの間に液密なシールが形成されるように構成されていてもよい。これは、形成されるシールの液密性の向上に有利である。また、リブは、第1孔を長くするので、プライミング後に液体が外界に漏出するのを防止するのに有利である。
本発明の上記のキャップは、前記オス部材を備えたオスコネクタに設けられたロック爪が係合可能な係合構造を更に備えていてもよい。これは、プライミング中にキャップが意図せずにオスコネクタから脱落し、液体が外界に漏れ出るという事態の発生を防止するのに有利である。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の各図に示された各部材を変更または省略し得る。以下に示す図において、同一の部材には同一の符号をしており、それらについての重複する説明を省略する。
1.輸液療法の構成
図1に、輸液療法の構成の一例を示す。患者に投与される輸液は輸液容器900に貯留される。輸液容器900は、輸液装置900に対して液体を出し入れするためのポート901を備える。ポート901の開口はゴム栓(図1では見えない)で封止されている。
ポート901に、アダプタ910を介して、輸液セット920が接続される。
アダプタ910は、特許文献2に記載されたものと概略同じ構成を有し、一端に鋭利な先端を備えた穿刺針を備え、他端に混注ポートを備える。混注ポートは、ゴム等の弾性材料からなる自閉式の弁体を備える。アダプタ910は、穿刺針を取り囲むように配された、略「U」字状の4つアームを更に備える。各アームには、穿刺針に向かって突出した係合爪が設けられている。アダプタ910の穿刺針はポート901のゴム栓に穿刺される。アダプタ910の係合爪はポート901に係合される。
輸液セット920は、輸液を流すための柔軟なチューブ921を有する。チューブ921の上流側端には第1オスコネクタ927が設けられ、チューブ921の下流側端には第2オスコネクタ930が設けられている。チューブ921上には、チューブ921内の流路を開閉する機能を有するクランプ923、輸液の流れを可視化するための点滴筒924、チューブ921内を流れる輸液の流量を調整するためのクレンメ925が設けられている。図示を省略するが、チューブ921上に、輸液を濾過するためのフィルタが設けられている場合もある。
第1オスコネクタ927及び第2オスコネクタ930は、概略同じ構成を有し、筒状のオスルアーと、片持ち支持構造のロックレバーとを備える。ロックレバーの自由端から、ロック爪がオスルアーに向かって突出している。第1オスコネクタ927はアダプタ910に接続される。より詳細には、第1オスコネクタ927のオスルアーが、アダプタ910の混注ポートに挿入される。第1オスコネクタ927のロック爪はアダプタ910の混注ポートに係合される。
輸液療法を行うのに先立って、輸液容器900内に貯留された液体を、第2オスコネクタ930のオスルアー941(後述する図5B参照)内にまで導入するプライミングを行う必要がある。本発明のプライミング用キャップ1は、プライミングを行う際に第2オスコネクタ930に装着される。
2.キャップの構成
図2Aは、本発明の一実施形態にかかるプライミング用キャップ(以下、単に「キャップ」という)1の上方から見た斜視図、図2Bはキャップ1の上方から見た断面斜視図である。図3Aはキャップ1の下方から見た斜視図、図3Bはキャップ1の下方から見た断面斜視図である。
図2B及び図3Bに最もよく示されているように、キャップ1は、全体として中空の円筒形状を有するハウジング10を備える。ハウジング10に、ハウジング10内の空間である内腔10aとハウジング10の外界とを連通させる第1孔21及び第2孔22が設けられている。第1孔21及び第2孔22は、内腔10aを挟むように、ハウジング10の両端に、ハウジング10と同軸に対向して配されている。以下の説明の便宜のため、第1孔21が設けられた側を「上」側といい、第2孔22が設けられた側を「下」側という。第1孔21と第2孔22とを結ぶ方向を「上下方向」といい、上下方向に垂直な平面に沿った方向を「水平方向」という。但し、これらの表現は、キャップ1の実際の使用時の向きを限定するものではない。
図2Bに示されているように、第1孔21の内周面は、円筒面である。第1孔21の端縁に沿って第1孔21を取り囲む環状のリブ21aが、外向き(即ち、上方に向かって)に突出している。
第2孔22が設けられた円形の底板に、第2孔22を塞ぐように疎水性フィルタ23が設けられている。疎水性フィルタ23は、気体は通過させるが、液体は通過させない特性を有する。疎水性フィルタ23は、内腔10aと略同一径の円形のシート状部材であり、その外周部分が第2孔22が設けられた円形の底板にヒートシール法により固定されている。第2孔22を内側から塞ぐように疎水性フィルタ23が設けられているので、疎水性フィルタ23を通過して外界に放出される空気流や内腔10a内に貯留される液体に抗して疎水性フィルタ23を所定位置に安定的に保持させることができる。
ハウジング10の外周面は、略円筒面である。但し、第1孔21の側に、相対的に大きな外径を有する径大部15が設けられている。この結果、径大部15と、径大部15よりも下側(第2孔22側)との部分との間に、両者の外径差に起因する段差が形成されている。
図3A及び図3Bに示されているように、キャップ1は、更に、略円柱形状の突起であるシール材25を備える。シール材25は、ハウジング10の下側の外周端縁から延びたベルト26上に設けられている。図4A及び図4Bに示されているように、ベルト26を屈曲させて、シール材25を第2孔22に嵌入させることができる。第2孔22は、シール材25によって気密に封止される。
ハウジング10の材料は、制限はないが、硬質の材料が好ましく、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアミド、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料を用いることができる。内腔10a内の液体の貯留状態をハウジング10を介して透視できるように、ハウジング10は透明性を有することが好ましい。図2B及び図3Bに示されているように、本実施形態では、ハウジング10は、第1孔21が設けられた第1部品11と、第2孔22及びシール材25が設けられた第2部品12との2部品で構成されている。第1部品11及び第2部品12の材料は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2部品12は、屈曲可能なベルト26を備えることを考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いることができる。第1及び第2部品11,12のそれぞれは、上記の樹脂材料を射出成形することにより一部品として一体的に製造されることが好ましい。本実施形態では、第1部品は、内腔10aを規定する内管と、径大部15が設けられた外管とを備えた二重管構造を有しているが、本発明はこれに限定されず、単純な一重管構造であってもよい。第1部品11と第2部品12との分割位置は、本実施形態に限定されない。ハウジング10を構成する部品数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。ハウジング10が複数の部品で構成される場合、第1及び第2孔21,22を除いて液密な内腔10aが形成されるように、複数の部品は液密に接続される。
3.第2オスコネクタ
キャップ1は、輸液セット920(図1参照)にプライミングを行う際に、第2オスコネクタ930に装着して使用される。第2オスコネクタ(以下、単に「オスコネクタ」という)930について説明する。図5Aはオスコネクタ930の斜視図、図5Bはオスコネクタ930の断面図である。図5Bに示されているように、オスコネクタ930は、コネクタ本体940と、シールド960と、固定部材935とを備える。
コネクタ本体940は、特許文献3に記載されたものと概略同じ構成を有し、オス部材として棒状のオスルアー941を備える。オスルアー941内には、その長手方向に沿って流路942が形成されている。オスルアー941の先端の近傍で、横孔943がオスルアー941を径方向に貫通している。横孔943は流路942と連通している。
円形の基板949が、オスルアー941の基端部から外向きにフランジ状に突出している。基板949の外周端縁に、フード947が設けられている。フード947は、オスルアー941と同軸の中空の円筒形状を有し、オスルアー941を取り囲む。フード947の内周面(オスルアー941に対向する面)の内径は、キャップ1の径大部15(図2A参照)の外径とほぼ同じかこれよりわずかに大きい。
図5Aに示されているように、フード947に、切り欠き(開口)948が設けられている。切り欠き948は、フード947を半径方向に貫通する穴である。切り欠き948内にロックレバー950が設けられている。ロックレバー950は、オスルアー941に対向し、オスルアー941と略平行に延びている。ロックレバー950は、基板949に片持ち支持されている。ロックレバー950の先端(自由端)から、オスルアー941に向かってロック爪951が突出している(図5B参照)。ロックレバー950のオスルアー941とは反対側の面に、操作アーム955が設けられている。操作アーム955は、基板949を越えて上方に延びている。操作アーム955の先端は操作部956である。操作部956を押すと、ロックレバー950は弾性的に曲げ変形し、ロック爪951がオスルアー941から離れるように変位する。
基板949のオスルアー941とは反対側に、筒状部945が設けられている。筒状部945は、オスルアー941の流路942と連通している。筒状部945に輸液セット920のチューブ921(図1参照)が、直接的に、または、何らかの部材を介して間接的に、接続される。
シールド960は、特許文献4に記載されたものと概略同じであり、図5Bに示されているように、略筒形状を有する外周壁961と、外周壁961の一端に設けられた頭部965と、外周壁961の他端に外方向に突出するように設けられた基部969とを備える。シールド960は可撓性(ゴム弾性)を有する材料(例えばイソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等のゴム材料や、熱可塑性エラストマー等)で一体的に作成されている。シールド960に上下方向(オスルアー941の長手方向)の圧縮力が印加されると、外周壁961が、その上下方向寸法が短縮するように弾性的に圧縮変形する。
頭部965には、外周壁961の内部空間と連通したキャビティ966が形成されている。キャビティ966内に、オスルアー941の先端が挿入されている。キャビティ966の内周面は、オスルアー941の外周面に密着し、オスルアー941に設けられた横孔943を液密に封止している。キャビティ966の最深部には頭部965を上下方向に貫通するスリット967が形成されている。図5Aに示されているように、スリット967は、「−」(マイナス)字状の平面視形状を有する直線状の切り込みである。外周壁961が圧縮変形していない初期状態では、スリット967が液密に封止されるように、スリット967を形成する互いに対向する端縁は接触している。
頭部965の外表面の先端には、ドーム状に突出した凸部968が設けられている。スリット967は、凸部968の最も突出した部分(頂部)を横切るように設けられている。
固定部材935は、円形の環状部材である。固定部材935は、シールド960をコネクタ本体940に固定するために用いられる。即ち、図5Bに示されているように、オスルアー941を覆うようにシールド960をコネクタ本体940のフード947内に挿入する。次いで、固定部材935をフード947内に挿入する。シールド960は固定部材935内に挿入される。フード947の内周面の基板949近傍の位置に、オスルアー941に向かって複数の突起(図示せず)が突出している。固定部材935をこの突起に係合させる。シールド960の基部969は、固定部材935と基板949との間に挟持される。
4.プライミング方法
キャップ1を用いたプライミング方法を説明する。
最初に、図1に示すように、輸液容器900のポート901に、アダプタ910を介して輸液セット920を接続する。輸液容器900内には所定の液体(例えば輸液)が貯留されている。輸液セット920のクランプ923は閉じられている。アダプタ910からオスコネクタ930のオスルアー941内の流路942(図5B参照)までの流路には空気が存在している。
次いで、図6に示すように、オスコネクタ930にキャップ1を装着する。キャップ1の第2孔22は、開放されている。図6では、図面を簡単化するために、オスコネクタ930の筒状部945に接続されたチューブ921(図1参照)の図示を省略している。
キャップ1の径大部15がオスコネクタ930のフード947内に挿入されている。ロック爪951が、径大部15に係合している。ロック爪951と径大部15との係合が解除されない限り、キャップ1に引張り力を加えても、キャップ1をオスコネクタ930から分離することはできない。従って、プライミング中にキャップ1が意図せずにオスコネクタ930から脱落し、液体が外界に漏れ出るという事態の発生が防止される。
キャップ1のリブ21aがシールド960の先端の凸部968に当接することによってシールド960は上下方向の圧縮力を受け、特にその外周壁961が上下方向寸法が縮小するように変形している。オスルアー941が、シールド960の頭部965に設けられたスリット967(図5B参照)を貫通し、キャップ1の第1孔21内に挿入されている。オスルアー941に設けられた横孔943は、キャップ1の内腔10a内に露出されている。このため、オスルアー941の流路942とキャップ1の内腔10aとが連通される。
圧縮されたシールド960が初期状態に復帰しようとする弾性力によって、シールド960の凸部968がキャップ1の環状のリブ21aの先端に押し付けられ、シールド960とリブ21aとの間に液密なシールが形成される。本実施形態のように、非常に狭い面積を有するリブ21aの先端にシールド960を当接させることは、両者間に形成されるシールの液密性の向上に有利である。
図6の状態で、輸液セット920のクランプ923(図1参照)を開き、輸液容器900内の液体を、アダプタ910を介して輸液セット920内に導入する。液体がアダプタ910及び輸液セット920内に流入するのに伴って、これらに存在していた空気は、オスルアー941の横孔943からキャップ1の内腔10aへ押し出され、更に、疎水性フィルタ23及び第2孔22を順に通過して外界に排出される。液体は、アダプタ910及び輸液セット920を順に満たし、更に、オスルアー941の横孔943からキャップ1の内腔10a内に流入する。液体は、疎水性フィルタ23を通過することができないから、内腔10aが液体で満たされると、液体の流れは停止する。内腔10aに流入する液体は、ハウジング10を介して透視することができる。図6において、オスルアー941の流路942及びキャップ1の内腔10aに付した多数のドットは、これらを満たす液体を示す。キャップ1のリブ21aとシールド960の凸部968との間に液密なシールが形成されているので、液体が両者間の間を通って外界に漏れ出ることはない。
次いで、輸液セット920のクランプ923(図1参照)を閉じる。続いて、図7に示すように、シール材25でキャップ1の第2孔22を塞ぐ。図6と同様に、流路942及び内腔10aは液体(多数のドットで示されている)で満たされている。内腔10aと第2孔22との間に疎水性フィルタ23が設けられているので、第2孔22内に液体は存在しない。このため、第2孔22にシール材25を嵌入しても、液体が外界に漏れ出ることはない。
次いで、図8に示すように、キャップ1をオスコネクタ930から分離する。キャップ1の分離は、オスコネクタ930の操作部956を筒状部945に向かって押してロック爪951と径大部15との係合を解除することにより可能である。図6及び図7と同様に、オスルアー941の流路942及びキャップ1の内腔10aに付した多数のドットは、これらを満たす液体を示す。
キャップ1がフード947から抜け出ると、シールド960の外周壁961は、その弾性回復力によって直ちに初期状態(図5B参照)に伸張する。オスルアー941はシールド960内に収納され、オスルアー941の横孔943は頭部965のキャビティ966の内周面で液密に封止される。横孔943から液体が漏出することはない。アダプタ910からオスルアー941までの流路は液体で満たされている。
オスコネクタ930から分離されたキャップ1の内腔10a内には液体が貯留されている。第1孔21からオスルアー941が抜き去られたことによって、第1孔21には空気が流入している。第1孔21の内周面は円筒面であり、その内径は比較的小さい。また、第2孔22はシール材25で封止されているので、第2孔22及び疎水性フィルタ23を通って空気が内腔10a内に流入することはない。このため、第1孔21が下方を向くようにキャップ1を上下反転させても、内腔10a内の液体の表面張力及び第1孔21を下方に向けた時に内腔10a内に発生する負圧によって(あるいは、第1孔21を下方に向けた時に内腔10a内の液体に作用する重力と第1孔21を通じて内腔10a内の液体に作用する大気圧とがバランスすることによって)、液体が第1孔21を通って外界に漏れ出ることはない。キャップ1は、液体が貯留されたままで廃棄される。
以上のように、本実施形態のキャップ1は、プライミング時に、輸液セット920の下流側端に設けられたオスルアー941に第1孔21を接続して使用される。液体は、第1孔21を通って内腔10aに貯留される。輸液セット920内の空気は内腔10a及び第2孔22を通って外界に排出される。第2孔22を介して内腔10aと外界とを連通させる経路上に疎水性フィルタ23が設けられているので、プライミング時に液体が外界に漏出することはない。
キャップ1は、更に、第2孔22を開閉するためのシール材25を備える。プライミング後、シール材25で第2孔22を塞いだ状態で、第1孔21とオスルアー941とを分離する。第2孔22がシール材25で塞がれているので、第1孔21を下方に向けても、更に、第1孔21が下方を向いた状態でわずかな振動がキャップ1に加えられても、キャップ1の内腔10a内に貯留された液体が第1孔21を通って外界に漏出することはない。
このように、本実施形態のキャップ1は、簡単な構成で、プライミング時及びプライミング後に液体が外界に漏出するのを防止することができる。このため、プライミングに使用する液体が危険な薬剤を含む場合であっても、当該液体を誤って漏出させて作業者が被曝するという曝露事故が起こる可能性を低減することができる。
第1孔21は、オスルアー941と接続可能なように常時開放された開放孔である。即ち、第1孔21に、オスルアー941が接続されていないときに閉じられるように動作する弁は設けられていない。これにより、第1孔21を備えるキャップ1の構成が簡単になり、キャップ1を構成する部品数を少なくすることができ、更にキャップ1の製造が容易になる。また、第1孔21とオスルアー941との接続の信頼性が向上し、プライミング時に液体を内腔10aへ確実に流入させることができる。
キャップ1は、内腔10aに液体が貯留され且つシール材25が第2孔22を塞いだ状態(図8参照)で第1孔21を下方に向けても、内腔10a内の液体が第1孔21から外界に漏れ出ないように構成される。これは、プライミング後に液体が外界に漏出するのをより確実に防止するのに有利である。
第1孔21の内径が大きい場合や、第1孔21の長さ(上下方向の寸法)が短い場合には、第1孔21を下方に向けたとき、空気が第1孔21を通って内腔10aに流入し、その代わりに、内腔10a内の液体が第1孔21を通って外界に流出してしまうことが起こりうる。第1孔21からの液体の漏出を防止するためには、一般に、第1孔21の内径は小さい方が有利であり、また、第1孔21は長い方が有利である。好ましい第1孔21の内径や長さは、第1孔21の内周面を構成するハウジング10(本実施形態では第1部品11)の材料(より具体的には当該材料に対する液体の濡れ性)等に応じて変わりうる。一般には、第1孔21の内径は2mm以下、更には1.5mm以下であることが好ましい。また、第1孔21の長さは、第1孔21の内径の0.5倍以上、更には0.8倍以上、特に1.0倍以上であることが好ましい。第1孔21を取り囲むようにリブ21aを設けることは、第1孔21の長さを長くするのに有利である。第1孔21の内径の下限は、制限はないが、0.5mm以上、更には1.0mm以上であることが好ましい。また、第1孔21の長さの上限は、制限はないが、第1孔21の内径の3.0倍以下、更には2.0倍以下であることが好ましい。第1孔21の内径が小さくなればなるほど、また第1孔21が長くなればなるほど、ハウジング10を樹脂成形して製造する場合には、成形性が低下する。
上記の実施形態は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
上記の実施形態では、疎水性フィルタ23をヒートシール法により固定したが、疎水性フィルタ23の固定方法はこれに限定されない。例えば、疎水性フィルタ23を接着剤を用いて固定してもよい(接着法)。あるいは、図3Bにおいて、第1部品11の第2部品12内に嵌入した部分を下方に延長して、第1部品11の下側(第2孔22側)を向いた開口の端縁11aと第2部品12の底板との間に疎水性フィルタ23を挟持させてもよい。この場合、ヒートシール法若しくは接着法を併用してもよく、より詳細には、疎水性フィルタ23を、第1部品11の端縁11aまたは第2部品12の底板のいずれかにヒートシール法若しくは接着法で固定してもよい。
疎水性フィルタ23が設けられる位置は、上記の実施形態に限定されない。第2孔22を介して内腔10aと外界とを連通させる経路上の任意の位置に疎水性フィルタ23を設けることができる。例えば、図3Bにおいて、第1部品11の端縁11aに疎水性フィルタ23を取り付けてもよい。あるいは、第2孔22の外界に露出した端縁22aに疎水性フィルタ23を取り付けてもよい。
シール材25の構成も、上記の実施形態に限定されない。シール材25は、第2孔22を開閉することができるように構成されていればよい。従って、上記の実施形態のようにシール材25が第2孔22に嵌入することは必須ではない。特に、疎水性フィルタ23の位置によっては(例えば、上述したように疎水性フィルタ23を第2孔22の端縁22aに設けた場合)、シール材の構成もこれに対応して変更する必要が生じうる。例えば、シール材が、第2孔22を取り囲み且つ外界に突出した円筒状の部材22b(図3B参照)を覆ってこれに嵌着できるように、または、ハウジング10の第2孔22側の端部全体を覆ってこれに嵌着できるように、構成されていてもよい。あるいは、シール材は、第2孔22の中心軸に対して直交する方向にスライドすることによって、第2孔22を開閉することができるように構成されていてもよい。あるいは、シール材の表面に粘着剤層を設け、第2孔22を塞ぐようにシール材が粘着剤層を介してハウジング10に貼着できるように構成されていてもよい。シール材とハウジング10とがベルト26で連結されている必要はない。シール材が、ハウジング10から分離された別個の部品であってもよい。
一旦、シール材で第2孔22を塞いだ後は、再度第2孔22を開放することができないように、シール材は第2孔22を不可逆的に塞ぐことができるように構成されていてもよい。これは、キャップ1をオスコネクタ930から分離した後(図8参照)、第2孔22を開放して第1孔21から液体を漏出させてしまうという誤操作をする可能性を低減するのに有利である。
第1孔21の端縁から突出したリブ21aを省略してもよい。リブ21aが省略されても、キャップ1をオスコネクタ930に装着したとき、シールド960の凸部968をハウジング10の第1孔21の周囲部分に当接させて、両者間に液密なシールを形成させることは可能である。
本発明では、キャップ1をオスコネクタ930に装着したとき、好ましくは、オスルアー941の流路942とハウジング10の内腔10aとが液密に連通される。これを実現するための構成は、上記の実施形態に限定されず、種々のものが考えられる。
例えば、オスルアー941が第1孔21に挿入されたとき(図6参照)、オスルアー941の外周面と第1孔21の内周面とが互いに嵌合し合い、これにより両者間に液密なシールが形成されてもよい。
あるいは、オスルアー941の流路942がオスルアー941の長手方向に沿ってオスルアー941を貫通していてもよい。即ち、横孔943を省略し、これに代えて、オスルアー941の先端に流路942が開口していてもよい。この場合、キャップ1をオスコネクタ930に装着したとき、オスルアー941が第1孔21に挿入されず、オスルアー941の先端が第1孔21の周囲部分に突き合わされ、これにより、両者間に液密なシールが形成されてもよい。これは、第1孔21の内径を小さくすることができるので、プライミング後に内腔10a内の液体が第1開口21を通って外界に漏出するのを防止するのに有利である。
上記のようにオスルアー941と第1孔21の内周面又はその周囲部分との間に液密なシールが形成される場合には、シールド960の凸部968と第1孔21の周囲部分との間に上記の実施形態のような液密なシールが形成されなくてもよい。従って、プライミング時に液体が外界に漏出するのを防止するという観点からは、オスコネクタ930がシールド960を備えなていなくてもよい。
オスコネクタ930のロック爪951が係合可能な係合構造の構成は、径大部15に限定されない。例えば、係合構造が、ハウジング10の外周面に設けられた凹部(例えば、周方向に連続する環状の溝)であってもよい。この場合、ロック爪951が当該凹部に嵌入することによって、キャップ1はロック爪951に係合される。径大部15を省略することができる。
キャップ1が装着されるオスコネクタ930が備えるオス部材が、オスルアー941に代えて、ゴム栓に穿刺可能なように鋭利な先端が設けられた穿刺針であってもよい。
本発明のキャップが適用される輸液ラインの構成は、図1に限定されず、任意である。例えば、アダプタ910を省略し、第1オスコネクタ927をポート901に直接接続してもよい。この場合、ポート901がアダプタ910の混注ポートと同様の混注ポートを備えているか、若しくは、第1オスコネクタ927がポート901のゴム栓に穿刺可能な、鋭利な先端を有する穿刺針を備えていることが好ましい。
コネクタ本体940が、特許文献5〜7に記載されているように、2つのロックレバーを有し、各ロックレバーがキャップに係合するロック爪を備えていてもよい。
本発明は、医療分野、更には輸液療法で用いられる輸液ラインをプライミングする際に使用されるキャップとして好ましく利用することができる。特に、抗がん剤などの曝露事故が問題となる成分を含む液体を用いてプライミングする場合に好ましく利用することができる。
1 プライミング用キャップ
10 ハウジング
10a ハウジングの内腔
15 径大部(係合構造)
21 第1孔
21a リブ
22 第2孔
23 疎水性フィルタ
25 シール材
930 オスコネクタ
941 オスルアー(オス部材)
943 横孔(オス部材の開口)
951 ロック爪
960 シールド

Claims (5)

  1. 内腔を有するハウジングと、
    前記内腔と外界とが連通するように前記ハウジングに設けられた第1孔及び第2孔と、
    前記第2孔を介して前記内腔と外界とを連通させる経路上に設けられた疎水性フィルタと、
    前記第2孔を開閉するためのシール材とを備え、
    前記第1孔は、オス部材と接続可能なように常時開放されていることを特徴とするプライミング用キャップ。
  2. 前記内腔に液体が貯留され且つ前記シール材が前記第2孔を塞いだ状態で第1孔を下方に向けても、前記液体が前記第1孔から漏れ出ないように構成されている請求項1に記載のプライミング用キャップ。
  3. 前記オス部材を備えたオスコネクタは、前記オス部材が前記第1孔に接続されていないときに前記オス部材の開口から液体が漏出するのを防止するシールドを備え、前記シールドは、前記開口が前記シールド外に露出されるように前記オス部材の長手方向に沿って圧縮変形可能であり、
    前記第1孔と前記オス部材とを接続したとき前記第1孔の端縁と前記シールドとの間に液密なシールが形成されるように構成されている請求項1又は2に記載のプライミング用キャップ。
  4. 前記第1孔を取り囲むように前記ハウジングに設けられた環状のリブを更に備え、
    前記第1孔と前記オス部材とを接続したとき前記リブの先端と前記シールドとの間に液密なシールが形成されるように構成されている請求項3に記載のプライミング用キャップ。
  5. 前記オス部材を備えたオスコネクタに設けられたロック爪が係合可能な係合構造を更に備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライミング用キャップ。
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