JP2017200694A - 分離膜、セルロース系樹脂組成物および分離膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
1.セルロースエステルを含有する分離膜であって、
前記セルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造を備え、
前記空隙の幅が1nm以上200nm以下である、
分離膜。
2.前記分離膜の空隙の幅の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形の視野で撮影された顕微鏡画像をフーリエ変換して得られる、横軸が波数、縦軸が強度からなるグラフの曲線において、ピーク半値幅(a)、ピークの極大波数(b)とするとき、0<(a)/(b)≦1.5となる領域を含む、前記1に記載の分離膜。
3.50kPa、25℃における膜透過流束が0.05m3/m2/h以上20m3/m2/h以下である、前記1又は2に記載の分離膜。
4.前記分離膜の厚みが1μm以上1000μm以下である前記1〜3のいずれか1に記載の分離膜。
5.前記分離膜が中空糸形状である、前記1〜4のいずれか1に記載の分離膜。
6.前記中空糸の外径が100μm以上5000μm以下である、前記1〜5のいずれか1に記載の分離膜。
7.前記セルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、前記1〜6のいずれか1に記載の分離膜。
8.セルロースエステルを含有する第1相、及び、前記第1相と部分相溶する第2相からなる共連続構造を備え、第2相の幅が1nm以上1000nm以下である、樹脂組成物。
9.第2相の幅の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形の視野で撮影された顕微鏡画像をフーリエ変換して得られる、横軸が波数、縦軸が強度からなるグラフの曲線において、ピーク半値幅(a)、ピークの極大波数(b)とするとき、0<(a)/(b)≦1.5となる領域を備える、前記8に記載の樹脂組成物。
10.前記樹脂組成物の厚みが1μm以上1000μm以下である、前記8又は9に記載の樹脂組成物。
11.前記樹脂組成物が中空糸形状である、前記8〜10のいずれか1に記載の樹脂組成物。
12.前記樹脂組成物からなる中空糸の外径が100μm以上5000μm以下である、前記8〜11のいずれか1に記載の樹脂組成物。
13.前記セルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、前記8〜12のいずれか1に記載の樹脂組成物。
14.20重量%以上90重量%以下のセルロースエステルと、10重量%以上60重量%以下の構造形成剤とを溶融および混練することで溶融樹脂を調製する樹脂溶融工程と、
前記溶融樹脂を吐出口金から吐出することで膜状の成形体を得る成形工程と、
前記溶融樹脂又は成形体において、熱誘起相分離によって、セルロースエステルを含有する第1相と前記第1相と部分相溶する第2相とからなる共連続構造を形成する共連続構造形成工程と、
前記共連続構造形成工程および成形工程後に、前記成形体から前記第2相を溶出することで空隙を形成する空隙形成工程と、
を有する分離膜の製造方法。
15.前記成形工程において、前記吐出口金として紡糸口金を用いることで、中空糸を形成する、前記14に記載の分離膜の製造方法。
(1−1)分離膜の構成概要
本発明の分離膜は、セルロースエステルを含有する。また、分離膜は、セルロースエステルを含有する相と空隙とからなる共連続構造を備える。
なお、分離膜は、形状を保持するために水等の液体をその中に含んでいてもよい。ただし、以下の説明では、形状を保持するためのこれらの液体は分離膜の構成要素として考慮しない。
<セルロースエステル(A)>
本発明におけるセルロースエステル(A)の具体例としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、及びセルロースのグルコースユニットに存在する3つの水酸基が2種類以上のアシル基により封鎖されたセルロース混合エステル等が挙げられる。セルロース混合エステルの具体例としては、例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートラウレート、セルロースアセテートオレート、及びセルロースアセテートステアレート等が挙げられる。
1.0≦(アセチル基の平均置換度+他のアシル基の平均置換度)≦3.0
0.1≦(アセチル基の平均置換度)≦2.6
0.1≦(他のアシル基の平均置換度)≦2.6
本発明の分離膜は、可塑剤(B)を含有することができる。可塑剤(B)が製造時に製膜に用いられる樹脂組成物中に含まれる場合、膜の製造においてにセルロースエステル(A)を熱可塑化した後は、可塑剤(B)は分離膜の中に残存してもよいし、少なくとも一部の可塑剤(B)が分離膜の中から溶出してもよい。
可塑剤(B)の詳細は後述する。
本発明の分離膜は、構造形成剤(C)を含有することができる。
構造形成剤(C)の詳細については後述する。
本発明の分離膜は酸化防止剤(D)を含有することができる。酸化防止剤(D)としては、特にリン系酸化防止剤を含有することが好ましく、特にペンタエリスリトール系化合物が好ましい。ペンタエリスリトール系化合物として具体的には、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
本発明の分離膜の形状は特に限定されないが、中空糸形状の分離膜(以下、中空糸膜ともいう)又は、平面形状の膜(以下、平膜ともいう)が好ましく採用される。このなかでも、中空糸膜は効率良くモジュールに充填することが可能であり、モジュールの単位体積当たりの有効膜面積を大きくとることができるためより好ましい。中空糸膜とは中空を有する糸状の膜である。
本発明の分離膜は、セルロースエステル(A)を含有する相と空隙とが共連続構造を有する。
セルロースエステルを含有する相の組成については、分離膜の組成についての説明が適用される。
共連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)にも記載されている。
なお、孔径の測定方法の詳細は実施例にて記載する。
本発明の分離膜は、表面の開孔率(以下、単に開孔率と呼ぶことがある。)が10%以上70%以下であることが好ましい。10%以上であることで良好な透過流束が得られ、70%以下であることで良好な膜強度が得られる。15%以上60%以下であることがより好ましく、20%以上40%以下であることがさらに好ましく、25%以上35%以下であることが特に好ましい。
開孔率とは表面を観察した際に、観察面積に占める空隙の面積の割合であり、開孔率(%)=表面の空隙の面積/観察面積×100で表される。
本発明の分離膜は、50kPa、25℃における膜透過流束が0.05m3/m2/hr以上20m3/m2/hr以下であることが好ましい。膜透過流束は0.1m3/m2/hr以上15m3/m2/hr以下であることがより好ましく、0.2m3/m2/hr以上10m3/m2/hr以下であることがさらに好ましい。膜透過流束の測定条件は実施例にて詳細に説明する。
本発明の分離膜は、本発明の効果を損なわない範囲で上述した物質以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、有機滑剤、結晶核剤、有機粒子、無機粒子、末端封鎖剤、鎖延長剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、制電剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、抗酸化剤、イオン交換剤、消泡剤、着色顔料、蛍光増白剤、及び染料等が使用できる。
本発明の分離膜は、特に水処理に利用可能な膜である。水処理用膜としては、具体的には、精密濾過膜及び限外濾過膜等が挙げられる。本発明の分離膜は特に、限外濾過膜に好ましく適用される。
本発明の分離膜は、使用時には分離膜モジュールに組み込まれてもよい。分離膜モジュールは、例えば、複数本の中空糸膜で構成された膜束と、この膜束を収容する筐体とを備える。
本発明は、以下の樹脂組成物を提供する。すなわち、本発明の樹脂組成物は、セルロースエステルを含有する第1相、及び、第1相と部分相溶する第2相からなる共連続構造を備える(図2参照)。
<樹脂組成物全体>
樹脂組成物は、セルロースエステル(A)および構造形成剤(C)以外にも、可塑剤(B)、酸化防止剤(D)、および添加剤等の他の成分を含むことができる。樹脂組成物の成分およびその含有率については、後述の樹脂溶融工程における溶融樹脂の原料についての記載が適用される。
第1相は、好ましくはセルロースエステルを主成分とする。すなわち、第1相においてセルロースエステル(A)が占める割合は、50重量%以上であり、60重量%以上または70重量%以上であることが好ましい。また、第1相はセルロースエステル(A)のみで構成されていてもよい。
第1相は、可塑剤(B)を含有する。また、第1相は酸化防止剤等の他の成分をさらに含有してもよい。
第1相中には可塑剤が0.1重量%以上含まれる。
第2相が「第1相と部分相溶する」とは、具体的には、第2相が、第1相と部分相溶する物質である構造形成剤(C)を主成分とすることを意味する。つまり、第2相は、セルロースエステルと可塑剤との混合物と部分相溶する物質を主成分とする。部分相溶については後述する。第2相において構造形成剤(C)が占める割合は、50重量%以上であり、60重量%以上または70重量%以上であることが好ましい。また、第2相は、構造形成剤(C)のみで構成されてもよいし、可塑剤(B)等の他の成分をさらに含有してもよい。
樹脂組成物は、共連続構造を備えればよく、その形状は特に限定されない。樹脂組成物は、中空糸であっても、平膜であってもよい。中空糸とは中空を有する糸状の樹脂組成物である。分離膜と区別するために、これらの形状をそれぞれ、「中空糸」、「フィルム」と呼ぶ。
樹脂組成物における共連続構造の定義および観察方法は、分離膜についての記載とほぼ同様であるので、説明を省略する。ただし、樹脂組成物において共連続構造を形成するのは、第1相および第2相であるので、「セルロースを含有する相」を「第1相」に、「空隙」を「第2相」に読み替えればよい。
次に、本発明の樹脂組成物および分離膜を製造する方法について、樹脂組成物、および分離膜が、それぞれ中空糸、および中空糸膜の場合を例に具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
溶融紡糸法とは、原料を加熱により溶融および混練することで溶融樹脂を調製する工程(樹脂溶融工程)と、次にこの溶融樹脂を吐出口金であるスリット状の紡糸口金から吐出し、冷却により固化する工程(成形工程)とを含む、樹脂組成および膜の形成方法である。溶融紡糸法は、中空糸および中空糸膜のいずれの製造にも適用可能である。
樹脂溶融工程は、溶融製膜に用いられる溶融樹脂を調整する工程である。溶融製膜には、平膜の形成および中空糸膜の形成が含まれる。中空糸膜の形成は特に溶融紡糸と呼ばれる。
溶融樹脂の原料(つまり樹脂溶融工程に用いられる材料)は、少なくともセルロースエステル(A)及び構造形成剤(C)を含み、可塑剤(B)及び酸化防止剤(D)をさらに含んでもよい。
原料の総量におけるセルロースエステル(A)の含有量は、20重量%以上90重量%以下である。セルロースエステル(A)の含有量を20重量%以上とすることで、高い強度を有する膜を実現することができる。セルロースエステル(A)の含有量を90重量%以下とすることで、可塑剤などの添加による溶融成形が可能になり、良好な曳糸性を付与することができる。セルロースエステル(A)の含有量は、より好ましくは30%以上85重量%以下、さらに好ましくは40%以上80重量%以下である。
部分相溶とは、2種類以上の物質が、ある条件下では完全相溶するが、別の条件下では相分離することである。構造形成剤は、後述の共連続構造形成工程において、特定の温度条件下に置かれることで、セルロースエステルと相分離する物質である。具体的な条件は後述する。
溶融樹脂は、溶媒を含まないか、溶媒の含有率が20重量%以下であることで、後述の成形工程後も全体としての組成変動がないため、後述の共連続構造形成工程において、熱処理による孔造形成が容易となる。
成形工程は、溶融樹脂を中空糸状または平膜状などの所望の形状に成形する工程である。成形工程を経た溶融樹脂を、「成形体」と称する。
上記で調整した、セルロースエステル(A)を主成分とする溶融樹脂を溶融紡糸法により中空糸化する場合は、紡糸温度(紡糸パックの温度)は、(Tm+5℃)〜(Tm+50℃)とすることが好ましい。Tmは、この溶融樹脂の示差走査熱量計(DSC)の昇温測定における結晶融解温度である。DSCの測定条件は実施例にて詳細に説明する。
共連続構造形成工程は、樹脂溶融工程の後に行われる。ただし、共連続構造形成工程は、成形工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。つまり、共連続構造形成工程は、溶融樹脂および成形体のいずれであっても処理の対象とすることができる。
本工程で得られ、共連続構造を有する溶融樹脂または成形体は、上述の「樹脂組成物」に該当する。
空隙形成工程は、上記共連続構造形成工程および成形工程を経て得られた成形体(この成形体は共連続構造を有するので樹脂組成物でもある)から第2相の少なくとも一部を除去(溶出)することで、空隙を形成することができる。
実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
セルロースにアセチル基およびアシル基が結合したセルロースエステル(A)の平均置換度の算出方法については下記の通りである。
80℃で8時間乾燥したセルロースエステル0.9gを秤量し、アセトン35mlとジメチルスルホキシド15mlを加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。撹拌しながら0.5N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間ケン化した。熱水50mlを加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果から、下記式により置換度を計算した。
DSace=(162.14×TA)/[{1−(Mwace−(16.00+1.01))×TA}+{1−(Mwacy−(16.00+1.01))×TA}×(Acy/Ace)]
DSacy=DSace×(Acy/Ace)
TA:全有機酸量(ml)
A:試料滴定量(ml)
B:空試験滴定量(ml)
F:硫酸の力価
W:試料重量(g)
DSace:アセチル基の平均置換度
DSacy:アシル基の平均置換度
Mwace:酢酸の分子量
Mwacy:他の有機酸の分子量
Acy/Ace:酢酸(Ace)と他の有機酸(Acy)とのモル比
162.14:セルロースの繰り返し単位の分子量
16.00:酸素の原子量
1.01:水素の原子量
セルロースエステル(A)の濃度が0.15重量%となるようにテトラヒドロフランに完全に溶解させ、GPC測定用試料とした。この試料を用い、以下の条件のもと、Waters2690でGPC測定を行い、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)を求めた。
カラム :東ソー製TSK gel GMHHR−Hを2本連結
検出器 :Waters2410 示差屈折計RI
移動層溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :1.0ml/分
注入量 :200μl
中空糸または中空糸膜の長手方向と垂直な方向(繊維径方向)と、膜の厚み方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、中空糸または中空糸膜の外径(μm)を算出した。なお、中空糸または中空糸膜の外径は、中空糸または中空糸膜10本を用いて算出し、その平均値とした。
なお、中空糸は、成形体でありかつ樹脂組成物でもあるので、以下では中空糸を「樹脂組成物」と呼ぶことがある。
中空糸または中空糸膜の繊維径方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、中空糸または中空糸膜1本につき6箇所の厚みを測定した。この測定を中空糸または中空糸膜10本に対して行い、平均値をとることで中空糸または中空糸膜の厚みとした。
中空糸または中空糸膜の繊維径方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、断面の全面積Saと中空部の面積Sbを測定し、下式を用いて算出した。なお、中空率は中空糸または中空糸膜10本を用いて算出し、その平均値とした。
中空率(%)=(Sb/Sa)×100
[樹脂組成物中の第2相の幅]
前処理(TEM):第2相を染色した後、樹脂組成物の長手方向に垂直な方向に超薄切片を切り出した
前処理(SEM):樹脂組成物を液体窒素で凍結した後、樹脂組成物の長手方向に垂直な方向の断面が出るように、応力を加えることにより割断した後、第2相を染色した。
観察:透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率10,000〜100,000で樹脂組成物の長手方向に垂直な方向の断面を観察し、1視野の画像を得た。なお、第2相がSEMで観察できない微小な幅を有する場合にTEMにより観察を行った。得られた画像から正方形の画像を切り出し、フーリエ変換した後、波数を横軸に強度を縦軸にグラフをプロットした。極大ピークの波数から周期を算出し、この周期をその視野の第2相の幅とした。極大ピークが得られなかった場合は観察倍率を適宜調節して再度観察し、第2相の幅の算出を行った。得られた第2相の幅と、上記正方形の画像の一辺が式(1)の関係を満たさなかった場合は、上記正方形の大きさを変えて第2相の幅を算出し、式(1)の関係を満たすよう調節した。なお、観察箇所は両表面の近傍を含み、膜厚方向に等間隔となるよう10箇所として、各観察箇所で第2相の幅を算出した。このうち最も第2相の幅が小さくなった観察箇所の数値を第2相の幅として採用した。
第2相の幅×10≦正方形の一辺≦第2相の幅×100・・・式(1)
前処理(TEM):分離膜の長手方向に垂直な方向に超薄切片を切り出した。
前処理(SEM):空隙形成工程を実施して得られた分離膜を液体窒素で凍結した後、分離膜の長手方向に垂直な方向の断面が出るように、応力を加えることにより割断し、白金でスパッタリングを行った。
観察:透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率10,000〜100,000で分離膜の長手方向に垂直な方向の断面を観察し、1視野の画像を得た。なお、空隙がSEMで観察できない微小な幅を有する場合にTEMにより観察を行った。得られた画像から正方形の画像を切り出し、フーリエ変換した後、波数を横軸に強度を縦軸にグラフをプロットした。極大ピークの波数から周期を算出し、この周期をその視野の空隙の幅とした。極大ピークが得られなかった場合は観察倍率を適宜調節して再度観察し、空隙の幅の算出を行った。得られた空隙の幅と、上記正方形の画像の一辺が式(2)の関係を満たさなかった場合は、上記正方形の大きさを変えて空隙の幅を算出し、式(2)の関係を満たすよう調節した。なお、観察箇所は両表面の近傍を含み、膜厚方向に等間隔となるよう10箇所として各観察箇所で空隙の幅を算出した。このうち最も空隙の幅が小さくなった観察箇所の数値を空隙の幅として採用した。
空隙の幅×10≦正方形の一辺≦空隙の幅×100・・・式(2)
温度25℃、ろ過差圧50kPaの条件で、30分間にわたって蒸溜水を送液し得られた透過水量(m3)を測定し、単位時間(h)および単位膜面積(m2)当たりの数値に換算し、純水の透過性能(単位=m3/m2/h)とした。なお、実施例では中空糸膜4本からなる有効長さ200mmの小型モジュールを作製して膜ろ過処理を行った。よって単位膜面積は平均外径と中空糸膜の有効長から算出した。
透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、樹脂組成物または分離膜の長手方向に垂直な方向の断面を倍率10,000〜200,000倍で観察して画像を得た。得られた画像を正方形の一辺が、樹脂組成物の第2相の幅または分離膜の空隙の幅の10〜100倍になるよう適宜範囲を選択してフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にグラフをプロットした。グラフのピーク波数と半値幅から平均孔径と均一性の指標である(a)/(b)を求めた。
上記溶融樹脂を急冷、固化させたものを試料とし、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量計DSC−6200を用い、25℃、8時間真空乾燥を行った試料約5mgをアルミニウム製受皿にセットし、−50℃から昇温速度20℃/分で350℃まで昇温後、350℃のまま5分間溶融保持した際に観測される結晶融解ピークを結晶融解温度(℃)とした。なお、結晶融解ピークが複数現れる場合は、最も高温側に現れる結晶融解ピークを採用した。
白金でスパッタリングを行い分離膜の前処理を実施した後、走査型電子顕微鏡を用いて倍率10,000〜200,000倍で分離膜表面を観察し、画像を得た。得られた画像を一辺1μmの正方形に切り出し、画像解析ソフトを用いて二値化及び面積計算を行い、空隙の面積を測定した。式(3)より表面の開孔率を求めた。
開孔率=空隙の面積/観察面積×100・・・式(3)
セルロースエステル(A1):セルロースアセテートプロピオネート
セルロース(コットンリンター)100重量部に、酢酸240重量部とプロピオン酸67重量部を加え、50℃で30分間混合した。混合物を室温まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸172重量部と無水プロピオン酸168重量部をエステル化剤として、硫酸4重量部をエステル化触媒として加えて、150分間撹拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、40℃を越える時は、水浴で冷却した。反応後、反応停止剤として酢酸100重量部と水33重量部の混合溶液を20分間かけて添加して、過剰の無水物を加水分解した。その後、酢酸333重量部と水100重量部を加えて、80℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム6重量部を含む水溶液を加えて、析出したセルロースアセテートプロピオネートを濾別し、続いて水で洗浄した後、60℃で4時間乾燥し、セルロースエステル(A1)(セルロースアセテートプロピオネート)を得た。得られたセルロースアセテートプロピオネートのアセチル基およびプロピオニル基の平均置換度は各々1.9、0.7であり、重量平均分子量(Mw)は17.8万であった。
可塑剤(B1):ポリエチレングリコール、重量平均分子量600
構造形成剤(C1):ポリビニルピロリドン(PVP K17)
構造形成剤(C2):PVP/酢酸ビニル共重合(Kollidon VA 64 (BASFジャパン株式会社))
酸化防止剤(D1):ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
(実施例1)
セルロースエステル(A1)57.3重量%と、可塑剤(B)として重量平均分子量600のポリエチレングリコール(B1)(三洋化成工業株式会社)12.6重量%、PVP(K17)(C1)(BASFジャパン株式会社)30.0重量%および酸化防止剤(D)としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(D1)0.1重量%を二軸押出機にて240℃で溶融混練し、均質化した後にペレット化して、溶融紡糸用の樹脂を得た。この樹脂を80℃、8時間真空乾燥を行った。
50%エタノール水溶液に得られた樹脂組成物を12時間浸漬することで、構造形成剤を溶出して空隙を形成するとともに親水化を施した。エタノール処理を経た中空糸を「分離膜」として、物性を測定した。結果を表1に示した。
溶融紡糸用樹脂組成物の組成、製造条件をそれぞれ表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして中空糸(樹脂組成物)および分離膜を得た。得られた中空糸および分離膜の物性を表1に示した。
セルロースエステル(A1)41.1重量%と、可塑剤(B)として重量平均分子量600のポリエチレングリコール(B1)(三洋化成工業株式会社)8.8重量%、PVP(K17)(C1)(BASFジャパン株式会社)50.0重量%および酸化防止剤(D)としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(D1)0.1重量%を二軸押出機にて240℃で溶融混練し、均質化した後にペレット化して、溶融紡糸用の樹脂を得た。この樹脂を80℃、8時間真空乾燥を行った。
50%エタノール水溶液に得られた樹脂組成物を12時間浸漬することで、構造形成剤を溶出して空隙を形成するとともに親水化を施した。エタノール処理を経た中空糸を「分離膜」として、物性を測定した。結果を表1に示した。
溶融紡糸用樹脂組成物の組成、製造条件をそれぞれ表1のように変更した以外は、実施例12と同様にして中空糸および分離膜を得た。得られた中空糸(樹脂組成物)および分離膜の物性を表1に示した。
Claims (6)
- セルロースエステルを含有する第1相、及び、第2相からなる共連続構造を備え、第2相の幅が1nm以上1000nm以下である、厚みが1μm以上1000μm以下である、フィルム又は中空糸。
- 第2相の幅の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形の視野で撮影された顕微鏡画像をフーリエ変換して得られる、横軸が波数、縦軸が強度からなるグラフの曲線において、ピーク半値幅(a)、ピークの極大波数(b)とするとき、0<(a)/(b)≦1.5となる領域を備える、請求項1に記載のフィルム又は中空糸。
- 前記セルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1または2に記載のフィルム又は中空糸。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空糸であって、外径が100μm以上5000μm以下である中空糸。
- 20重量%以上90重量%以下のセルロースエステルと、10重量%以上60重量%以下のセルロースエステルと可塑剤との混合物と部分相溶する構造形成剤とを溶融および混練することで溶融樹脂を調製する樹脂溶融工程と、
前記溶融樹脂を吐出口金から吐出することで膜状の成形体を得る成形工程と、
前記溶融樹脂又は成形体において、熱誘起相分離によって、セルロースエステルを含有する第1相と前記第1相と部分相溶する第2相とからなる共連続構造を形成する共連続構造形成工程と、
前記共連続構造形成工程および成形工程後に、前記成形体から第2相を溶出することで空隙を形成する空隙形成工程と、
を有する分離膜の製造方法。 - 前記成形工程において、前記吐出口金として紡糸口金を用いることで、中空糸を形成する、請求項5に記載の分離膜の製造方法。
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