JP2017200698A - シリコーンゴム型及びその型の製造方法 - Google Patents

シリコーンゴム型及びその型の製造方法 Download PDF

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拓夫 戸田
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Abstract

【課題】キャビティに注入された液状ワックスを速やかに冷却して固化させる。
【解決手段】本発明のシリコーンゴム型10は、内部に所定形状の原型に相応する形状のキャビティ14が形成され、このキャビティ14に液状ワックス16が注入されて固化したワックス模型を取出し可能に半割りにされた第1及び第2割型11,12を有する。これらの第1及び第2割型11,12には、キャビティ14に注入された液状ワックスの熱の放散を促進する放熱促進部材19が設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、原型のワックス模型を作製するためのシリコーンゴム型と、このシリコーンゴム型を製造する方法に関するものである。
従来、マスタモデルとして中空装飾部品を分割した形状の割型を基にしてゴム型を作製し、このゴム型に蝋を注入して割型に対応する分割蝋型を作製し、複数の分割蝋型を合体して中空形状を有する中空蝋型成型体を作製した後に、この中空蝋型成型体を用いて作製した蝋型ツリーを容器内へ配置した状態で容器内にインベストメントを注入して生鋳型を作製し、更にこの生鋳型を焼成して鋳型を作製し、この鋳型に金属を流し込んで固化させた後に、鋳型を破壊して中空装飾部品を取出して仕上げる眼鏡用中空装飾部品の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この眼鏡用中空装飾部品の製造方法では、先ず、外枠内に割型を配置した状態で外枠内にシリコーンゴムを注入し、割型をその上下方向より加圧手段でゆっくり加圧すると同時に、シリコーンゴムを加熱し加硫する。次いで、シリコーンゴムを半割りにして割型を取出した後、一対の半割り型を互いに張合せたシリコーンゴム型の内部(キャビティ)に液状の蝋(例えば、動物の分泌物、樹脂、パラフィン、プラスチック等を混合して作成したインジェクションワックス)を注入し、蝋が冷却し固化した後、シリコーンゴム型を解放してその内部から一方の分割蝋型を取出す。他方の分割蝋型も上記と同様にして作製する。これらの分割蝋型のフランジ部分を突合せて加熱溶着することにより、中空蝋型成型体を作製した後に、この中空蝋型成型体を使用して蝋型ツリーを作製する。次に、この蝋型ツリーを容器内へ配置し、容器内へ流動性のある石膏を注入して生鋳型を作製する。この生鋳型を焼成炉へ入れて焼成することにより、蝋型ツリーが燃焼しかつ石膏が固化して蝋型ツリーの形状の湯路(キャビティ)を有する鋳型を作製する。更に、鋳込金属材料としてベリリウム銅合金を採用し、鋳型を650℃〜750℃に加熱し、鋳込金属材料を1010℃〜1120℃まで加熱して溶解させた状態で、この溶解した鋳込金属材料を鋳型の湯路(キャビティ)に流し込む。そして、湯路(キャビティ)内の鋳込金属材料が固化した後に、鋳型を破壊して中空装飾部品を取出して仕上げる。これにより中空装飾部品が完成する。
このように構成された眼鏡用中空装飾部品の製造方法では、ある程度の長さを有する中空形状の装飾部品を製作する場合において、精密に成型した蝋材を取出すときに、中空部を成形型から適切に取出すことができるので、蝋材の変形や折れ等の損傷が殆ど発生せず、原型パターンの歩留まりが極めて高く、極めて緻密な装飾品を作製できる。この結果、直線形状又は曲線形状の眼鏡用中空装飾部品でも、或いは肉厚変動を伴う眼鏡用中空装飾部品でも、容易に成形できる。
一方、成形空間を上面に形成した型板に溶融ワックスを充填した後に、型板を蓋板により閉じ、これら型板及び蓋板に圧力を加えて冷却固化するワックスパターンの製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。このワックスパターンの製造方法では、先ず、木の葉の原形を型枠の底部に設置した状態で、型枠に液状シリコーンゴムを充填し冷却して固化させる。このシリコーンゴム製の型板から原形を除去することにより型板の表面に、原形上面の成形空間である凹部が形成される。蓋型板もシリコーンゴムにより上記型板と同様に製造する。この蓋型板の下面には、原形下面の成形空間である凹部が形成される。次いで、上方を開放した型板の凹部に溶融したワックスをやや多めに流し込んで固化させる。ワックスとしてはパラフィンに蜜蝋や松ヤニ等を混ぜたものが用いられる。次に、蓋型板により型板を閉じ、型板及び蓋型板を一組としてホットプレスの熱板間に設置し、可動定盤を作動させて熱板の熱により加熱し、同時に圧縮して、溶融した余分なワックスを流出し、原形に対応してワックスの厚みを調節する。更に、凹部内のワックスを冷却して固化させた後に、ワックス模型であるワックスパターンを取出す。この結果、平面の微細な箇所まで確実にワックスが充填されるので、精密な薄い平面状のワックスパターンを作製できる。なお、このワックスパターンを利用してロストワックス鋳造法により鋳造する。即ち、ワックス模型である薄い平面状のワックスパターンの周囲に石膏等の鋳型材料を詰めた状態で、加熱してワックスを流出した後に溶融金属を流し込んで造型する。これにより木の葉と同一形状の貴金属等金属製の装身具、工芸品、工業用小物等を鋳造できる。
特開2001−121244号公報(請求項1、段落[0020]〜[0034]、[0044]、図3〜図6) 特開平8−57871号公報(請求項1、段落[0001]、[0009]〜[0015]、図1〜図5)
上記従来の特許文献1に示された眼鏡用中空装飾部品の製造方法では、一対の半割り型を互いに張合せたシリコーンゴム型の内部(キャビティ)にパラフィン等の液状の蝋を注入した後に蝋を冷却し固化させているけれども、シリコーンゴムの熱伝導率は約0.2W/(m・K)と極めて小さいため、シリコーンゴム型の内部(キャビティ)内のパラフィン等の蝋を冷却するのに多くの時間を要する不具合があった。また、上記従来の特許文献2に示されたワックスパターンの製造方法では、シリコーンゴム製の型板の凹部にパラフィン等のワックスをやや多めに流し込んだ状態でシリコーンゴム製の蓋型板により型板を閉じ、型板及び蓋型板を一組としてホットプレスの熱板間に設置した状態で加熱・圧縮することにより、溶融した余分なワックスを流出して、原形に対応してワックスの厚みを調節した後に、凹部内のワックスを冷却して固化させているけれども、上記と同様に、シリコーンゴムの熱伝導率は約0.2W/(m・K)と極めて小さいため、シリコーンゴム製の型板及び蓋型板間の凹部内のパラフィン等のワックスを冷却するのに多くの時間を要する問題点があった。
本発明の目的は、キャビティに注入された液状ワックスを速やかに冷却して固化させることができる、シリコーンゴム型及びその型の製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、液状シリコーンゴムの原料に金属粉末を混合するという僅かな製造工数の増大で、キャビティに注入された液状ワックスを速やかに冷却して固化させることができる、シリコーンゴム型の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、図1〜図3に示すように、内部に所定形状の原型13に相応する形状のキャビティ14が形成され、このキャビティ14に液状ワックス16が注入されて固化したワックス模型17を取出し可能に半割りにされた第1及び第2割型11,12を有するシリコーンゴム型10であって、キャビティ14に注入された液状ワックス16の熱の放散を促進する放熱促進部材19が第1及び第2割型11,12に設けられたことを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、放熱促進部材19が、第1及び第2割型11,12中に分散された熱伝導率15〜418W/(m・K)の金属粉末19aと、第1及び第2割型11,12の外周面に密着する放熱板19b,19cとを有することを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図5に示すように、放熱促進部材59が、第1及び第2割型51,52中にキャビティ54に近接して埋設されたチューブ61,62と、チューブ61,62内に冷却流体を流通させる冷却流体加圧装置63とを有することを特徴とする。
本発明の第4の観点は、図1及び図2に示すように、ゴム用型枠21内に所定形状の原型13を設置する工程と、液状シリコーンゴムの原料に熱伝導率15〜418W/(m・K)の金属粉末19aを混合して分散液23を調製する工程と、この分散液23をゴム用型枠21に流し込んで固化させる工程と、この固化したシリコーンゴム型10を半割りにしてシリコーンゴム型10から原型13を取出すことにより原型13に相応する形状のキャビティ14を有する第1及び第2割型11,12を作製する工程と、第1及び第2割型11,12の外周面に放熱板19b,19cを密着させる工程とを含むシリコーンゴム型の製造方法である。
本発明の第5の観点は、図5及び図6に示すように、ゴム用型枠72内に所定形状の原型53を設置する工程と、原型53に近接するようにゴム用型枠72内にチューブ61,62を配設する工程と、液状シリコーンゴム77の原料をゴム用型枠72に流し込んで固化させる工程と、この固化したシリコーンゴム型50を半割りにしてシリコーンゴム型50から原型53を取出すことにより原型53に相応する形状のキャビティ54を有する第1及び第2割型61,62を作製する工程と、チューブ61,62の一端にこのチューブ61,62内に冷却流体を流通させる冷却流体加圧装置63を接続する工程とを含むシリコーンゴム型の製造方法である。
本発明の第1の観点のシリコーンゴム型では、第1及び第2割方に放熱促進部材を設けたので、キャビティに注入された液状ワックスの熱が上記放熱促進部材により速やかに放散される。この結果、キャビティ内の液状ワックスは短時間で冷却されて固化するので、キャビティに液状ワックスを注入してからワックス模型をキャビティから取出すまでの時間を短縮できる。従って、単一のシリコーンゴム型を用いて比較的多くのワックス模型を作製する場合、その作製時間を短縮できるので、量産に適する。
本発明の第2の観点のシリコーンゴム型では、放熱促進部材が、第1及び第2割型中に分散された熱伝導率15〜418W/(m・K)の金属粉末と、第1及び第2割型の外周面に密着する放熱板とを有するので、第1及び第2割型中の有機ケイ素ポリマーを伝わる速度は遅いけれども、第1及び第2割型中の金属粉末を伝わる速度が極めて速くなる。この結果、キャビティに注入された液状ワックスの熱が第1及び第2割型中の有機ケイ素ポリマー及び金属粉末を伝わって比較的速やかに第1及び第2割型の外周面に至り、放熱板から速やかに放散される。この結果、上記と同様に、キャビティ内の液状ワックスは短時間で冷却されて固化するので、キャビティに液状ワックスを注入してからワックス模型をキャビティから取出すまでの時間を短縮できる。従って、上記と同様に、単一のシリコーンゴム型を用いて比較的多くのワックス模型を作製する場合、その作製時間を短縮できるので、量産に適する。
本発明の第3の観点のシリコーンゴム型では、放熱促進部材が、第1及び第2割型中にキャビティに近接して埋設されたチューブと、チューブ内に冷却流体を流通させる冷却流体加圧装置とを有するので、キャビティに注入された液状ワックスの熱がチューブ内を流通する冷却流体に伝わって速やかにシリコーンゴム型外に放散される。この結果、上記と同様に、キャビティ内の液状ワックスは短時間で冷却されて固化するので、キャビティに液状ワックスを注入してからワックス模型をキャビティから取出すまでの時間を短縮できる。従って、上記と同様に、単一のシリコーンゴム型を用いて比較的多くのワックス模型を作製する場合、その作製時間を短縮できるので、量産に適する。
本発明の第4の観点のシリコーンゴム型の製造方法では、ゴム用型枠内に所定形状の原型を設置し、液状シリコーンゴムの原料に金属粉末を混合して分散液を調製し、この分散液をゴム用型枠に流し込んで固化させた後に、この固化したシリコーンゴム型を半割りにしてシリコーンゴム型から原型を取出すことにより原型に相応する形状のキャビティを有する第1及び第2割型を作製し、更に第1及び第2割型の外周面に放熱板を密着させたので、第1及び第2割型中の有機ケイ素ポリマーを伝わる速度は遅いけれども、第1及び第2割型中の金属粉末を伝わる速度が極めて速くなり、これによりキャビティに注入された液状ワックスの熱が第1及び第2割型中の有機ケイ素ポリマー及び金属粉末を伝わって比較的速やかに第1及び第2割型の外周面に至り、放熱板から速やかに放散される。この結果、上記と同様に、キャビティ内の液状ワックスは短時間で冷却されて固化するので、キャビティに液状ワックスを注入してからワックス模型をキャビティから取出すまでの時間を短縮できる。従って、上記と同様に、単一のシリコーンゴム型を用いて比較的多くのワックス模型を作製する場合、その作製時間を短縮できるので、量産に適する。また、従来のシリコーンゴム型の製造方法と比較して、本発明のシリコーンゴム型の製造方法では、液状シリコーンゴムの原料に金属粉末を混合して分散液を調製するという比較的簡単な工程を追加するだけであるため、僅かな製造工数の増大で済む。
本発明の第5の観点のシリコーンゴム型の製造方法では、ゴム用型枠内に所定形状の原型を設置し、原型に近接するようにゴム用型枠内にチューブを配設し、液状シリコーンゴムの原料をゴム用型枠に流し込んで固化させた後に、この固化したシリコーンゴム型を半割りにしてシリコーンゴム型から原型を取出すことにより原型に相応する形状のキャビティを有する第1及び第2割型を作製し、更にチューブの一端にこのチューブ内に冷却流体を流通させる冷却流体加圧装置を接続したので、キャビティに注入された液状ワックスの熱がチューブ内を流通する冷却流体に伝わって速やかにシリコーンゴム型外に放散される。この結果、上記と同様に、キャビティ内の液状ワックスは短時間で冷却されて固化するので、キャビティに液状ワックスを注入してからワックス模型をキャビティから取出すまでの時間を短縮できる。従って、上記と同様に、単一のシリコーンゴム型を用いて比較的多くのワックス模型を作製する場合、その作製時間を短縮できるので、量産に適する。
本発明第1実施形態のシリコーンゴム型の縦断面構成図である。 そのシリコーンゴム型の製造工程を示す断面構成図である。 そのシリコーンゴム型を用いてワックス模型を作製した後にこのワックス模型を用いて石膏型を作製するまでの工程を示す断面構成図である。 その石膏型からワックス模型を溶かして排出した後に石膏型のキャビティに用金属を注入して金属製品を成形する工程を示す断面構成図である。 本発明第2実施形態のシリコーンゴム型の縦断面構成図である。 そのシリコーンゴム型の製造工程を示す断面構成図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1及び図3に示すように、シリコーンゴム型10は、内部に所定形状の原型13に相応する形状のキャビティ14が形成され、このキャビティ14に液状ワックス16が注入されて固化したワックス模型17を取出し可能に半割りにされた第1及び第2割型11,12を有する。原型13は、この実施の形態では、椀状に形成された物品であるため、キャビティ14も原型13に相応する形状である椀状に形成される。また、第1割型11には、椀状のワックス模型17を作製するためのキャビティ14の外面が形成されるとともに、キャビティ14に液状ワックス16を流し込むための湯道18を縦割りにした一方の半分が形成される。第2割型12には、椀状のワックス模型17を作製するためのキャビティ14の内面が形成されるとともに、キャビティ14に液状ワックス16を流し込むための湯道18を縦割りにした他方の半分が形成される。更に、第1及び第2割型11,12には、キャビティ14に注入された液状ワックス16の熱の放散を促進する放熱促進部材19が設けられる。なお、この実施の形態では、原型として、椀状に形成された物品を挙げたが、原型は球状、直方体状、多角形状、又は一般的な樹脂若しくは金属の射出成型法では成形できない形状の物品でもよく、或いは3Dプリンタを用いて形成された複雑な形状の物品であってもよい。ここで、原型として、一般的な樹脂若しくは金属の射出成型法では成形できない形状の物品でもよく、或いは3Dプリンタを用いて形成された複雑な形状の物品であってもよいとしたのは、このような形状の原型に相応する形状のキャビティをシリコーンゴム型内に形成しても、シリコーンゴム型を損傷させずに弾性変形させることにより、原型を取出すことができるとともに、キャビティ内に液状ワックスを流し込んで固化したワックス模型もシリコーンゴム型を損傷させずに弾性変形させることにより取出せるからである。
一方、放熱促進部材19は、この実施の形態では、第1及び第2割型11,12中に分散された金属粉末19aと、第1及び第2割型11,12の外周面にそれぞれ密着する第1及び第2放熱板19b,19cとを有する。金属粉末19aは、熱伝導率が15〜418W/(m・K)の範囲内にある金属粉末が好ましい。熱伝導率が15〜418W/(m・K)の範囲内にある金属粉末19aとしては、アルミニウム、アルミニウム−青銅の合金、鉄、ステンレス鋼、銅、銀、タングステン、黄銅、マグネシウム等の粉末を挙げることができる。また、金属粉末19aの平均粒径は、好ましくは10μm以下であり、更に好ましくは3〜10μmの範囲内である。更に、金属粉末とシリコーンゴムの混合割合、即ち金属粉末/シリコーンゴムは、体積比で1/10〜5/10の範囲内であることが好ましい。
ここで、金属粉末19aの好ましい熱伝導率を15〜418W/(m・K)の範囲内に限定したのは、15W/(m・K)未満ではキャビティ内のワックス模型の持つ熱を速やかに放出できず、418W/(m・K)を超える金属粉末は存在しないからである。また、金属粉末19aの平均粒径の好ましい範囲の上限値を10μmに限定したのは、10μmを超えるとシリコーンゴム型10の形状転写性が低下してシリコーンゴム型10としての機能を失ってしまうからである。また、金属粉末19aの平均粒径の更に好ましい範囲の下限値を3μmに限定したのは、3μm未満では金属粉末19aが凝集してしまい、金属粉末19aを液状シリコーンゴムに均一に分散し難く、また金属粉末19aの取扱いに支障をきたすからである。更に、金属粉末/シリコーンゴムの好ましい範囲を質量比で1/10〜5/10の範囲内に限定したのは、1/10未満では第1及び第2割型11,12の熱伝導率が低下して、キャビティ14内の液状ワックス16が固化する時間が長くなってしまい、5/10を超えるとシリコーンゴム型10の弾性力が低下してシリコーンゴム型10としての弾性機能を失ってしまうからである。なお、金属粉末19aの平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−950)にて測定し、粒子径基準を個数として演算した50%平均粒子径(D50)をいう。このレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置による個数基準平均粒径の値は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製 S−4300SE及びS−900)により観察した画像において、任意の50個の粒子について粒径を実測したときのその平均粒径とほぼ一致する。
このように構成されたシリコーンゴム型10の製造方法を図1及び図2に基づいて説明する。先ず、ゴム用型枠21内に所定形状の原型13を設置する(図2(a))。原型13は、この実施の形態では、椀状に形成されており、金属粉末19aを分散させたシリコーンゴム製の直方体状のブロック22に載せておく。このとき原型13を接着剤で直方体状のブロック22に接着することにより仮止めしておくことが好ましい。次いで、液状シリコーンゴムの原料に熱伝導率15〜418W/(m・K)の金属粉末19aを所定の混合割合で混合して分散液23を調製する。ここで、液状シリコーンゴムとしては、主剤及び硬化剤が予め混合されている一液型のシリコーンゴムや、主剤と硬化剤が別々に包装されこれらを混合することにより硬化させる二液型のシリコーンゴムを用いることができるが、保存安定性の良好な二液型のシリコーンゴムを用いることが好ましい。二液型のシリコーンゴムとしては、信越シリコーン社製のKE-1310Tや、イタリアのZhermack社製のHT45 TRANSPARENT等を挙げることができる。また、上記金属粉末19aを分散させたシリコーンゴム製の直方体状のブロック22は、この分散液23を用いて作製される。
次に、上記分散液23をゴム用型枠21に流し込んで固化させる(図2(b))。そして、この固化したシリコーンゴム型10をゴム用型枠21から取出して半割りにした後に(図2(c))、このシリコーンゴム型10内から原型13を取出す(図2(d))。これにより原型13に相応する形状のキャビティ14を有する第1及び第2割型11,12が作製される。ここで、シリコーンゴム型10を半割りにするとき、第1及び第2割型11,12の合せ面11a,12aを平面状に形成するのではなく、凹凸面に形成することが好ましい。これは、互いに密着した第1及び第2割型11,12の合せ面11a,12aの面積を広くすることにより、摩擦抵抗を増大させるとともに、第1及び第2割型11,12の合せ面11a,12aを、この合せ面方向に対して平行な面ではなく、上記合せ面と異なる角度を有する複数の面で形成することにより、第1及び第2割型11,12の合せ面方向へのずれに対する抵抗を増大させるためである。また、第1及び第2割型11,12にはキャビティ14に液状ワックス16を流し込むための湯道18がキャビティ14に連通して形成される。更に、第1及び第2割型11,12の外周面に第1及び第2放熱板19b,19cをそれぞれ密着させる(図1)。第1及び第2放熱板19b,19cとしては、アルミニウム、銅、黄銅等の板により形成されることが好ましい。また、第1及び第2放熱板19b,19cには、放熱性を更に向上するために複数のフィン(図示せず)を立設することができる。更に、第1及び第2放熱板19b,19cの内部には、水や油などの冷却用媒体を流す回路を設けてもよい。
このように製造されたシリコーンゴム型10を用いてワックス模型17を作製する方法を図3(a)〜(d)に基づいて説明する。先ず、湯道18の入口、即ち湯口18aが上面に向くようにシリコーンゴム型10を設置する(図3(a))。このときシリコーンゴム型10を型締めする、即ち第1及び第2割型11,12が互いに密着した状態を保ち、かつキャビティ14が変形しない程度の圧力で、第1及び第2放熱板19b,19cを互いに近付く方向に圧接する。次に、湯口18aから液状ワックス16を注入する。これにより液状ワックス16が湯道18を通ってキャビティ14内に流れ込む(図3(b))。液状ワックス16を、その融点より15℃程度高い温度で、キャビティ14内に流し込んだ状態で室温で放置すると、第1及び第2割型11,12中の有機ケイ素ポリマーを伝わる速度は遅いけれども、第1及び第2割型11,12中の金属粉末19aを伝わる速度が極めて速くなるので、キャビティ14に注入された液状ワックス16の熱が第1及び第2割型11,12中の有機ケイ素ポリマー及び金属粉末を伝わって比較的速やかに第1及び第2割型11,12の外周面に至り、第1及び第2放熱板19b,19cから速やかに放散される。この結果、キャビティ14内の液状ワックス16は短時間で冷却されて固化するので、キャビティ14に液状ワックス16を注入してからワックス模型17をキャビティ14から取出すまでの時間を短縮できる。従って、単一のシリコーンゴム型10を用いて比較的多くのワックス模型17を作製する場合、その作製時間を短縮できるので、量産に適する。また、従来のシリコーンゴム型の製造方法と比較して、この実施の形態のシリコーンゴム型10の製造方法では、液状シリコーンゴムの原料に金属粉末19aを混合して分散液23を調製するという比較的簡単な工程を追加するだけであるため、僅かな製造工数の増大で済む。なお、上記キャビティ14内で固化したスプルー付きワックス模型24をシリコーンゴム型10から取出して(図3(c))、スプルー付きワックス模型24からスプルー26を切り落とすことにより、ワックス模型17が完成する(図3(d))。ここで、スプルー26とは、湯道18に相応する形状に形成されかつワックス模型17と一体的に形成されたものであって、ワックス模型17の製造時には必要であるけれども、完成したワックス模型17には不要なものである。
このように製造されたワックス模型17を用いてロストワックス法により原型13と同一形状の鋳造品27を作製する方法を図3(d)〜(f)及び図4(g)〜(k)に基づいて説明する。先ず、吸水紙29上ワックス模型17を設置する(図3(d))。このときワックス模型17を接着剤で吸水紙29に接着する。そして、上記ワックス模型17が接着された吸水紙29と石膏用型枠を接着する(図3(e))。次いで、流動性のある石膏31を石膏用型枠28に流し込んで乾燥させることにより石膏の生鋳型32を作製する(図3(f))。次に、この生鋳型32を石膏用型枠28とともに焼成炉に入れて焼成すると、生鋳型32内のワックス模型17が溶融し、湯口33aを通って流出し、吸水紙29は焼失する(図4(g))。これにより石膏用湯道33に連通する石膏用キャビティ36が内部に形成された石膏鋳型34が作製される(図4(h))。更に、石膏用湯道33の入口、即ち石膏用湯口33aから溶融金属37を注入する。これにより溶融金属37が石膏用湯道33を通って石膏用キャビティ36内に流れ込む(図4(i))。そして石膏用キャビティ36内の溶融金属37が固化した後に、石膏鋳型34を砕いて金属スプルー付き鋳造品38を取出して(図4(j))、この金属スプルー付き鋳造品38から金属スプルー39を切り落とすことにより、原型53を忠実に模した鋳造品27が完成する(図4(k))。なお、上記溶融金属としては、金、銀、プラチナなどの貴金属や鉄をベースとした合金や、銅合金、アルミ合金、チタン合金など精密鋳造法で扱える種々の金属が挙げられる。
<第2の実施の形態>
図5及び図6は本発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態では、シリコーンゴム型50の放熱促進部材59が、第1及び第2割型51,52中にキャビティ54に近接して埋設された第1及び第2チューブ61,62と、第1及び第2チューブ61,62内に冷却流体を流通させる冷却流体加圧装置63とを有する。第1割型51には、第1の実施の形態の第1割型と同様に、椀状のワックス模型を作製するためのキャビティ54の外面が形成されるとともに、キャビティ54に液状ワックス56を流し込むための湯道58を縦割りにした一方の半分が形成される。また、第2割型52には、第1の実施の形態の第2割型と同様に、椀状のワックス模型を作製するためのキャビティ54の内面が形成されるとともに、キャビティ54に液状ワックス56を流し込むための湯道58を縦割りにした他方の半分が形成される。但し、第1及び第2割型51,52には金属粉末は分散されない。
一方、第1チューブ61は第1割型51の内部のうち椀状のキャビティ54内面に近接する部分に冷却流体を流すために埋設され、第2チューブ62は第2割型52の内部のうち椀状のキャビティ54内面に近接する部分に冷却流体を流すために埋設される。ここで、「キャビティ54内面に近接する」とは、椀状のキャビティ54の湾曲外側内面又は椀状のキャビティ54の湾曲内側内面から2〜15mmの範囲に位置することをいう。第1及び第2チューブ61,62は、ビニルチューブ、シリコーンゴムチューブ、鋼管等により形成される。また、第1及び第2チューブ61,62には、この実施の形態では、冷却流体としてエアが加圧されて流れるようになっている。なお、第1及び第2チューブには、エア以外の気体や水等の液体を加圧して流してもよい。但し、この場合、排液処理が必要である。更に、シリコーンゴム型50の型締め時に、即ち第1及び第2割型51,52を互いに密着させたときに、第1チューブ61のうち第1割型51内に埋設された部分と第2割型52内に埋設された部分とが連通することにより、1本の第1チューブ61になるように構成される。
一方、冷却流体加圧装置63は、この実施の形態では、100Vの電源で稼働し、金魚、熱帯魚などの観賞魚の水槽にエアレーションを生じさせる単一の小型の水槽用エアポンプである。この水槽用エアポンプ63により、エアが加圧されて加圧エアとなり、この加圧エアが第1及び第2チューブ61,62を流通するように構成される。具体的には、水槽用エアポンプ63の加圧エアの吐出口にはエアチューブ64の一端が接続され、このエアチューブ64の他端はT字継手66の基部に接続される。また、T字継手66の一方の分岐部は中間チューブ67及びソケット68を介して第1チューブ61の一端に接続され、T字継手66の他方の分岐部は中間チューブ69及びソケット71を介して第2チューブ62の一端に接続される。更に、第1及び第2チューブ61,62の他端は大気中に開放される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成されたシリコーンゴム型50の製造方法を図5及び図6に基づいて説明する。先ず、ゴム用型枠72内に所定形状の原型53を設置する(図6(a))。原型53は、この実施の形態では、椀状に形成されており、シリコーンゴム製の門型のブロック73に載せておく。このとき原型53を接着剤で門型のブロック73に接着することにより仮止めしておくことが好ましい。次いで、原型53に近接するようにゴム用型枠72内に第1及び第2チューブ61,62を配設する。ここで、第1チューブ61は、椀状の原型53の湾曲外面に近接して配設され、その両端をゴム用型枠72の上縁に掛け渡した状態で、その長手方向中央をシリコーンゴム製の直方体状のブロック74に載せておく。このとき第1チューブ61の長手方向中央を接着剤で直方体状のブロック74に接着することにより仮止めしておくことが好ましい。また、第2チューブ61は、椀状のキャビティ54の湾曲内面に近接して配設され、その両端が保持部材76により保持される。この保持部材76は、ゴム用型枠72の上端に架設された一対のステー76a,76aと、これらのステー76a,76aに嵌入された腕部76bと、この腕部76bの両端に設けられ第2チューブ62の両端をそれぞれ把持する一対の把持部76c,76cとを有する。
次に、液状シリコーンゴム77をゴム用型枠72に流し込んで固化させる(図6(b))。そして、この固化したシリコーンゴム型50をゴム用型枠72から取出して半割りにした後に(図6(c))、このシリコーンゴム型50内から原型53を取出す(図6(d))。これにより原型53に相応する形状のキャビティ54を有する第1及び第2割型51,52が作製される。ここで、シリコーンゴム型50を半割りにするとき、第1及び第2割型51,52の合せ面51a,52aを平面状に形成するのではなく、凹凸面に形成することが好ましい。また、第1及び第2割型51,52にはキャビティ54に液状ワックス56を流し込むための湯道58がキャビティ54に連通して形成される。更に、第2チューブ62から保持部材76を取外した後に、第1及び第2チューブ61,62の一端にこれらのチューブ61,62内に加圧エアを流通させる水槽用エアポンプ63を接続する(図5)。
このように製造されたシリコーンゴム型50を用いてワックス模型を作製するには、液状ワックス56を湯口58aから注入してキャビティ54内に流し込むときに、第1及び第2チューブ61,62に加圧エアを流通させること以外は、第1の実施の形態のシリコーンゴム型を用いてワックス模型を作製する方法と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。なお、液状ワックス56を湯口58aから注入してキャビティ54内に流し込むときに、第1及び第2チューブ61,62に加圧エアを流通させると、キャビティ54に注入された液状ワックス56の熱が第1及び第2チューブ61,62内を流通する加圧エアに伝わって速やかにシリコーンゴム型50外に放散される。この結果、第1の実施の形態と同様に、キャビティ54内の液状ワックス56は短時間で冷却されて固化するので、キャビティ54に液状ワックス56を注入してからワックス模型をキャビティ54から取出すまでの時間を短縮できる。従って、第1の実施の形態と同様に、単一のシリコーンゴム型50を用いて比較的多くのワックス模型を作製する場合、その作製時間を短縮できるので、量産に適する。また、このように製造されたワックス模型を用いてロストワックス法により原型53と同一形状の鋳造品を作製する方法は、第1の実施の形態のワックス模型を用いてロストワックス法により原型と同一形状の鋳造品を作製する方法と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
縦、横及び高さがそれぞれ6cm、4cm及び3cmである直方体状のシリコーンゴム型を作製した。このシリコーンゴム型内のキャビティの縦、横及び高さはそれぞれ3cm、1.5cm及び0.5cmであった。また、シリコーンゴムとしては、信越シリコーン社製のKE-1310T(二液型のシリコーンゴム)を用い、金属粉末としては、熱伝導率が16.3W/(m・K)であり平均粒径が10μmであるSUS304粉末を用いた。また、金属粉末/シリコーンゴムは、体積比で1/10の割合であった。更に、放熱板としては、縦、横及び高さがそれぞれ6cm、4cm及び0.5cmであるアルミニウム製のものを用いた。
<比較例1>
金属粉末を用いなかったことを以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム型を作製した。
<比較試験1及び評価>
実施例1及び比較例1のシリコーンゴム型のキャビティに、温度80℃に加熱して溶融した液状パラフィンを注入した。そして、この液状パラフィンが固化するまでの時間を測定した。
その結果、比較例1のシリコーンゴム型のキャビティに注入した液状パラフィンは60秒で固化したのに対し、実施例1のシリコーンゴム型のキャビティに注入した液状パラフィンは20秒と比較例1の1/3の時間で固化した。
10,50 シリコーンゴム型
11,51 第1割型
12,52 第2割型
13,53 原型
14,54 キャビティ
16,56 液状ワックス
17 ワックス模型
19,59 放熱促進部材
19a 金属粉末
19b,19c 放熱板
21,72 ゴム用型枠
23 分散液
61 第1チューブ(チューブ)
62 第2チューブ(チューブ)
63 水槽用エアポンプ(冷却流体加圧装置)
77 液状シリコーンゴム

Claims (5)

  1. 内部に所定形状の原型に相応する形状のキャビティが形成され、このキャビティに液状ワックスが注入されて固化したワックス模型を取出し可能に半割りにされた第1及び第2割型を有するシリコーンゴム型であって、
    前記キャビティに注入された前記液状ワックスの熱の放散を促進する放熱促進部材が前記第1及び第2割型に設けられたことを特徴とするシリコーンゴム型。
  2. 前記放熱促進部材が、前記第1及び第2割型中に分散された熱伝導率15〜418W/(m・K)の金属粉末と、前記第1及び第2割型の外周面に密着する放熱板とを有する請求項1記載のシリコーンゴム型。
  3. 前記放熱促進部材が、前記第1及び第2割型中に前記キャビティに近接して埋設されたチューブと、前記チューブ内に冷却流体を流通させる冷却流体加圧装置とを有する請求項1記載のシリコーンゴム型。
  4. ゴム用型枠内に所定形状の原型を設置する工程と、
    液状シリコーンゴムの原料に熱伝導率15〜418W/(m・K)の金属粉末を混合して分散液を調製する工程と、
    前記分散液を前記ゴム用型枠に流し込んで固化させる工程と、
    前記固化したシリコーンゴム型を半割りにして前記シリコーンゴム型から前記原型を取出すことにより前記原型に相応する形状のキャビティを有する第1及び第2割型を作製する工程と、
    前記第1及び第2割型の外周面に放熱板を密着させる工程と
    を含むシリコーンゴム型の製造方法。
  5. ゴム用型枠内に所定形状の原型を設置する工程と、
    前記原型に近接するように前記ゴム用型枠内にチューブを配設する工程と、
    液状シリコーンゴムの原料を前記ゴム用型枠に流し込んで固化させる工程と、
    前記固化したシリコーンゴム型を半割りにして前記シリコーンゴム型から前記原型を取出すことにより前記原型に相応する形状のキャビティを有する第1及び第2割型を作製する工程と、
    前記チューブの一端にこのチューブ内に冷却流体を流通させる冷却流体加圧装置を接続する工程と
    を含むシリコーンゴム型の製造方法。
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