JP2017200889A - イオン液体の製造方法及びイオン液体製造のための中間体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所望のイオン液体を高純度で合成するためのイオン液体の製造方法とこのイオン液体を合成するための中間体の製造方法を提供する。【解決手段】 本発明のイオン液体の製造方法は、カチオンQ+とアニオンZ-からなる所望のイオン液体Q+Z-を製造する方法であって、カチオンQ+とアニオンY-からなり再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+Y-を再結晶により精製する工程と、前記精製後の高融点中間体Q+Y-から直接又は間接にイオン液体Q+Z-を得る工程とを含む。本発明の強塩基型中間体や超親水型中間体の製造方法は、精製後の高融点中間体Q+Y-から複分解沈殿法により強塩基型中間体又は超親水型中間体を得る工程を含み、或いは、精製後の高融点中間体Q+Y-から複分解沈殿法により強塩基型中間体を得る工程と、前記強塩基型中間体から中和法により超親水型中間体を得る工程とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、イオン液体の製造方法及びイオン液体製造のための中間体の製造方法に関する。
イオン液体は、イオンのみをその構成要素とする物質のうち、常温近く(一般的には100℃以下あるいは150℃以下)で液体状態をとる物質群をさす。
イオン液体は、広い温度域で液体状を維持する、耐熱性が高い、蒸気圧が低く、一般に不揮発性である、電気伝導度が高い、電位窓が広いなど、ユニークな特性を有し、水とも有機溶媒とも異なる第3の液体として、様々な分野での利用が期待されている。
具体的には、電気化学的特性から電気化学デバイスへの利用や、環境負荷が低く、高い耐熱性を有することから溶媒としての利用が検討されているほか、摩擦特性を利用した潤滑油としての利用、吸着性を利用して二酸化炭素吸収液としての利用(例えば、特許文献1参照。)なども検討されている。
ところで、所望のカチオンとアニオンを有するイオン液体を一度の操作で合成することは通常困難である。ホスホニウム、アンモニウムなどのカチオン部位は、通常、有機合成の手法を用いて合成するが、実際には、用いた合成原料に応じて特定のアニオン(通常は塩化物、臭化物、ヨウ化物イオン、アルキル炭酸イオン、アルキル硫酸イオン)も付随して塩の形で得られる。このような塩を前駆体として、この前駆体の不要なアニオンを所望のアニオンに変換する操作を行うことで、所望のカチオンとアニオンを有するイオン液体を製造することが一般的である。
前駆体から所望のアニオンを得るための手順としては、例えば、以下のようなものが知られている。
すなわち、アルキル炭酸水素塩型の前駆体を合成し、所望のアニオンの共役酸で中和するか、所望のアニオンを有するアルカリ土類金属塩と反応させることで、所望のイオン液体を得る方法が知られている(特許文献2など参照)。
また、イオン交換樹脂を用いて、前駆体をOH型中間体に変換し、このOH型中間体を所望のアニオンの共役酸で中和することで、所望のイオン液体を得る方法が知られている(非特許文献1参照)。
また、アルキル硫酸型の前駆体を合成し、これを加水分解して硫酸水素型中間体としたあと、強アルカリと反応させることによりOH型中間体を得て、そのあとに所望のアニオンの共役酸で中和することで、所望のイオン液体を得る方法が知られている(非特許文献2参照)。
また、ハロゲン型の前駆体にパラ−t−ブチルフェノールのアルカリ金属塩を作用させることにより、パラ−t−ブチルフェノキシド型中間体を合成し、これを所望のアニオンの共役酸で中和し、副生するアルキルフェノールを有機溶媒に抽出、除去することで、所望のイオン液体を得る方法が知られている(非特許文献3参照)。
特開2015−71152号公報 米国特許第8075803号明細書
Kenta Fukumoto, Masahiro Yoshizawa and Hiroyuki Ohno, "Room Temperature Ionic Liquids from 20 Natural Amino Acids", J. Am.Chem.Soc, 127, 2398-2399 (2005年) Jamie L. Ferguson, John D. Holbrey, Shieling Ng, Natalia V. Plechkova, Kenneth R. Seddon, Alina A. Tomaszowska and David F. Wassell, "A greener, halide-free approach to ionic liquid synthesis", Pure Appl. Chem., Vol84, pp723-744 (2011年) Kallidanthiyil Chellappan Lethesh, Dries Parmentier, Wim Dehaen and Koen Binnemans, "Phenolate platform for anion exchange in ionic liquids", RSC Advances., Vol.2, pp.11936-11943 (2012年)
イオン液体は、上述したユニークな特性を有するために、種々の用途への展開が期待されているが、他方、そのユニークな特性のために、蒸留や再結晶など、一般的な精製手法を適用することが困難である。
しかし、上述したいずれの合成技術においても、得られるイオン液体の純度を高める方法については検討されていない。そして、いずれにおいても、そもそもの前駆体の純度が悪ければ、高純度なイオン液体を得ることはできない。
したがって、従来の合成方法によって、高純度(例えば99%超)のイオン液体を合成することは困難であった。
このように、従来の合成方法では精製が不十分なため、不純物の存在によりイオン液体が着色したり、不快臭を発する他、電位窓が狭くなったり、耐熱性が減少するなどの弊害があった。
そこで、本発明は、所望のイオン液体を高純度で合成するためのイオン液体の製造方法とそのようなイオン液体を合成するための中間体の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行い、カチオンQ+とアニオンZ-からなる所望のイオン液体Q+-を製造するに当たり、その製造プロセスにおいて、高融点中間体の再結晶による精製工程を経由させることで高純度化し、精製工程後の高純度の高融点中間体から目的のイオン液体Q+-に変換することとすれば、従来達成できなかった高純度のイオン液体Q+-を得ることが可能となることを見出した。
また、高純度の高融点中間体から目的のイオン液体Q+-に変換する際、強塩基型中間体や超親水型中間体を経由しても、一定以上に高純度化されたイオン液体Q+-を得ることが可能であることも分かった。
本発明は、上記知見と、実験に基づく確認を経て、完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明にかかるイオン液体の製造方法は、カチオンQ+とアニオンZ-からなる所望のイオン液体Q+-を製造する方法であって、カチオンQ+とアニオンY-からなり再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を再結晶により精製する工程と、前記精製後の高融点中間体Q+-から直接又は間接にイオン液体Q+-を得る工程とを含む。
本発明にかかるイオン液体の中間体の製造方法は、上記イオン液体Q+-の製造のための中間体の製造方法に関するものであり、強塩基型中間体の製造方法と超親水型中間体の製造方法の2つの製造方法が含まれる。
すなわち、本発明にかかるイオン液体の中間体の製造方法のうち、強塩基型中間体の製造方法は、カチオンQ+とアニオンY-からなり再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を再結晶により精製する工程と、前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法により強塩基型中間体Q+-を得る工程とを含む。
また、本発明にかかるイオン液体の中間体の製造方法のうち、超親水型中間体の製造方法は、カチオンQ+とアニオンY-からなり再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を再結晶により精製する工程と、前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法により強塩基型中間体Q+-を得る工程と、前記強塩基型中間体Q+-から中和法により超親水型中間体Q+-を得る工程とを含むか、カチオンQ+とアニオンY-からなり再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を再結晶により精製する工程と、前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法により超親水型中間体Q+-を得る工程とを含む。
本発明のイオン液体の製造方法によれば、所望のイオン液体を高純度で合成することができる。
本発明のイオン液体の中間体の製造方法によれば、高純度のイオン液体Q+-に容易に変換し得る強塩基型中間体Q+-や超親水型中間体Q+-を製造することができる。イオン液体Q+-が保存や運搬に適しない場合などには、強塩基型中間体Q+-や超親水型中間体Q+-として保存や運搬を行うことも可能となる。
本発明のイオン液体の製造方法に関する4つの実施形態(第1〜第4のルート)を示す工程図である。 実施例1における高融点中間体のNMR測定結果を示す図である。 実施例1における目的物たるイオン液体のNMR測定結果を示す図である。 実施例2における高融点中間体のNMR測定結果を示す図である。 実施例2における目的物たるイオン液体のNMR測定結果を示す図である。 実施例3における高融点中間体のNMR測定結果を示す図である。 実施例3における目的物たるイオン液体のNMR測定結果を示す図である。 実施例4における高融点中間体のNMR測定結果を示す図である。 実施例4における目的物たるイオン液体のNMR測定結果を示す図である。 実施例5における超親水型中間体のNMR測定結果を示す図である。 実施例5における目的物たるイオン液体のNMR測定結果を示す図である。 実施例6における超親水型中間体のNMR測定結果を示す図である。
以下、本発明にかかるイオン液体の製造方法及びイオン液体製造のための中間体の製造方法の好ましい実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
以下では、まず、本発明にかかるイオン液体の製造方法及びイオン液体製造のための中間体の製造方法におけるカチオンQ+並びにアニオンZ-、Y-、X-、A-及びB-の意義等を明らかにした上で、各工程に関し、詳述する。
〔カチオンQ+並びにアニオンZ-、Y-、X-、A-及びB-の意義〕
本発明は、後述するように、カチオンQ+とアニオンZ-からなるイオン液体Q+-の製造に適用されるものであり、再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を精製する精製工程を経由することを必須とする。
また、高融点中間体Q+-は、例えば、カチオンQ+とアニオンX-からなるイオン液体前駆体Q+-から得ることができる。
また、高融点中間体Q+-から、イオン液体Q+-の製造のための強塩基型中間体Q+-や超親水型中間体Q+-を得ることができる。
ここで、これらのカチオン及びアニオン(Q+、Z-、Y-、X-、A-、B-)として如何なるイオンが本発明の対象となるかは、本発明におけるイオン液体Q+-の一連の製造プロセスとの関係で相対的に理解されるべきものである。
例えば、本発明における精製工程では、再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を精製する。したがって、再結晶可能な融点を有しないものは、本発明にいう高融点中間体Q+-には当たらない。しかし、再結晶可能な融点を有するか否かは、カチオン又はアニオンの一方のみによって決せられるものではなく、カチオンとアニオンの組み合わせによっても異なる。このように、あるカチオンが本発明にいうカチオンQ+に当たるか否かを、当該カチオンのみに着目して一律に論ずることはできない。あるアニオンが本発明にいうアニオンY-に当たるか否かについても同様である。
また、アニオンX-は、カチオンQ+を得るための有機合成の際に用いる合成原料に由来するものであり、その限度において、アニオンの種類は特定される。
さらに、アニオンZ-は、如何なるイオン液体Q+-を目的物とするか否かによって異なるものであり、精製後の高融点中間体Q+-から直接又は間接に所望の純度のイオン液体Q+-が得られるものであれば、その限度において、任意のアニオンである。
また、アニオンA-は、強塩基性であり、中和反応によって容易に他のアニオンZ-に交換できるものを選択すれば良く、その限度において、任意のアニオンである。
さらに、アニオンB-は、親水性が高く、油水抽出をした際に水層に移行しやすい性質をもつ超親水型中間体Q+-を与えるものであって、複分解抽出法によって容易に他のアニオンZ-に交換できるものを選択すれば良く、その限度において、任意のアニオンである。
このように、本発明にいうカチオン又はアニオン(Q+、Z-、Y-、X-、A-、B-)は、上記のような観点からイオン液体Q+-の一連の製造プロセスとの関係で本発明に適用可能と理解される限度において、任意のカチオン又はアニオンを指すものである。
なお、これらのカチオン、アニオンの表記において、上付き記号「+」又は「−」は、電荷の正又は負を意味するにとどまり、一価のカチオン又はアニオンへの限定まで含意するものではない。すなわち、本発明において、Q+、Z-、Y-、X-、A-、B-等と表記するときは、多価のカチオン又はアニオンも概念的に含まれる。
なお、本発明は、再結晶可能な融点を有する高融点中間体を得る点が重要な特徴の1つであるが、再結晶可能な融点を有する高融点中間体を与えるカチオン及びアニオンの組み合わせは、当業者であれば、本明細書における複数の実施形態の開示と、カチオン及びアニオンの構造、電子状態等から推測可能であり、融点を測定して容易に確認することもできるから、その選定について、過度の試行錯誤を要するものではない。
〔本発明の製造方法の目的物であるイオン液体Q+-
本発明において製造方法を提供するイオン液体Q+-は、例えば、炭素、窒素、リン、硫黄原子などに1つあるいは複数のアルキル基が付加した構造をもつ多原子陽イオンQ+と任意の陰イオンZ-からなる塩であり、特に、下記の一般式(1)〜(7)で表されるテトラアルキルホスホニウム塩系イオン液体(一般式(1))、テトラアルキルアンモニウム塩系イオン液体(一般式(2))、ピロリジニウム塩系イオン液体(一般式(3))、ピペリジニウム塩系イオン液体(一般式(4))、イミダゾリウム塩系イオン液体(一般式(5))の他、トロピリウム塩系イオン液体(一般式(6))、ピリジニウム塩系イオン液体(一般式(7))などが好ましく例示される。
なお、下記の各一般式(1)〜(7)において、R1〜R7、X1〜X3は、それぞれ独立して水素又はアルキル基である。
Figure 2017200889
Figure 2017200889
Figure 2017200889
Figure 2017200889
Figure 2017200889
Figure 2017200889
Figure 2017200889
これらの塩は融点が100℃以下の物質が多いが、融点を持たない(固体状態であって加熱すると分解する)ものも本発明の対象に含まれる。
〔製造工程〕
本発明にかかるイオン液体の製造方法及びイオン液体製造のための中間体の製造方法については、いくつかのルートが考えられる。工程図を図1に示す。
図1に示す例は、イオン液体前駆体Q+-からアニオン交換法により高融点中間体Q+-を得る工程(以下、「工程A」と称する)、高融点中間体Q+-を再結晶により精製して高純度化された高融点中間体Q+-を得る工程(以下、「工程B」と称する)を含む。
そして、精製後の高融点中間体Q+-からは、直接又は間接に目的物のイオン液体Q+-を得ることができる。
1つの考え得るルートは、精製後の高融点中間体Q+-からアニオン交換法によりイオン液体Q+-を直接得る(以下、「工程C1」と称する)というものである。
以下、工程A、工程B、工程C1を経るルートを「第1のルート」と称する。
また、別のルートとして、精製後の高融点中間体Q+-からアニオン交換法により強塩基型中間体Q+-を得て(以下、「工程C2」と称する)、次に、強塩基型中間体Q+-から中和法によりイオン液体Q+-を得る(以下、「工程D1」と称する)ことも考えられる。
以下、工程A、工程B、工程C2、工程D1を経るルートを「第2のルート」と称する。
さらに別のルートとして、上記工程C2の後、強塩基型中間体Q+-から中和法により超親水型中間体Q+-を得て(以下、「工程D2」と称する)、この超親水型中間体Q+-からアニオン交換法によりイオン液体Q+-を得る(以下、「工程E」と称する)ことも考えられる
以下、工程A、工程B、工程C2、工程D2、工程Eを経るルートを「第3のルート」と称する。
さらに別のルートとして、精製後の高融点中間体Q+-からアニオン交換法により超親水型中間体Q+-を得て(以下、「工程C3」と称する)、次に、第3のルートの工程Eと同様に、超親水型中間体Q+-からアニオン交換法によりイオン液体Q+-を得ることも考えられる
以下、工程A、工程B、工程C3、工程Eを経るルートを「第4のルート」と称する。
以下、上記各工程について詳述する。
<工程A:第1〜4のルートに共通>
工程Aでは、イオン液体前駆体Q+-からアニオン交換法により高融点中間体Q+-を得る。
図1に示す例では、まず、カチオンQ+とアニオンX-からなるイオン液体前駆体Q+-を有機合成してから、このイオン液体前駆体Q+-から高融点中間体Q+-を得ることとしている。もっとも、イオン液体前駆体Q+-は、合成によらず、既に存在するものを入手しても構わない。また、適切な溶媒から再結晶したものでもよい。
イオン液体前駆体Q+-は、上述のとおり、製造しようとするイオン液体Q+-とカチオンを同じくする任意の塩である。
従来技術においても、まずは、所望のカチオンを有するイオン液体前駆体を有機合成することが一般的であった(ただし、従来は、イオン液体前駆体からアニオン交換法により目的のイオン液体を合成していたため、低純度であった)。
本発明においてイオン液体前駆体Q+-を有機合成する場合にも、従来技術と同様の合成方法を利用することができ、例えば、有機分子と任意のアルキル化剤(ハロゲン化アルキル、炭酸アルキル、硫酸アルキルなど)との反応によって行うことができる。
このほか、目的とするカチオンQ+を有するイオン液体がすでに存在して、これをリサイクルあるいは精製したい場合も、これをイオン液体前駆体Q+-として本発明に適用することができる。
-としては、具体的には、例えば、ハロゲン化物イオン、アルキル炭酸イオン、アルキル硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、炭酸イオンなどが挙げられる。
前記イオン液体前駆体Q+-からアニオン交換法により高融点中間体Q+-を得ることができる。
高融点中間体Q+-は、Q+とY-の組み合わせにより融点が高く、再結晶によって精製できる。
アニオンY-としては、疎水性が高いアニオンであるほうが有利である。これは複分解抽出法でX-からY-への変換が容易に行えるからである。
上記のような観点も考慮すると、高融点中間体Q+-としては、アニオンY-がホウ素またはホウ素より重い1個または複数の原子に相異なってもよい4つ以上のハロゲン(フッ素、臭素、ヨウ素)原子、酸素原子、アルキル基又はフェニル基が結合した構造を有するアニオンが好ましい。
そのようなアニオンY-としては、例えば、BF4 -、PF6 -,PF3(CF2CF33 -,BPh4 -,(CH3CH2CH2CH24-,ClO4 -,SiF6 2-などが挙げられ、特に、BF4 -、PF6 -,BPh4 -が好ましい。
前記アニオン交換法としては、例えば、複分解抽出法を好適に挙げることができる。
複分解抽出法は、下式(8)で表すことができる。得ようとする高融点中間体Q+-とアニオンを同じくする高融点中間体原料塩M+-を、イオン液体前駆体Q+-および溶媒と接触させ、混合物を撹拌あるいは振盪して、その後に静置することにより、高融点中間体Q+-を副生物とは異なる相へ抽出させるものである。なお、このとき用いる塩M+-は、後の工程(工程C1または工程C2)で副生する塩を利用してもよい。
Figure 2017200889
ここで、M+は任意の金属イオンである。なお、Q+、X-、Y-については上述のとおりである。
具体的な操作としては、<1>イオン液体前駆体Q+-、<2>水、<3>有機溶媒および<4>高融点中間体原料塩M+-を混合して撹拌または振盪する。これらの混合の順番は、特に限定されない。
<3>有機溶媒は炭素数4以上のアルコールが好適である。ただし、高融点中間体Q+-を溶解することができ、かつその状態で水と相分離するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、ジクロロメタン、トルエンなどでもよい。
なお、高融点中間体Q+-の融点が室温以下でかつ水と相分離する場合は、<3>有機溶媒は必須ではない。
<2>水は、<1>イオン液体前駆体Q+-に対して、重量基準で2倍量程度用いることが好ましい。
また、<4>高融点中間体原料塩M+-は、<1>イオン液体前駆体Q+-に対して、物質量(モル数)で1.1〜2.0当量程度の範囲で用いることが好ましい。少なすぎる(特に1当量を下回る)と目的物の純度が低下する恐れがある。
上記混合物を静置すると、副生物M+-を含む水層と高融点中間体Q+-を含む有機層の二層に分かれる。そこで、有機層を分取し、必要に応じて溶媒を留去することにより、高融点中間体Q+-を得ることができる。
本発明において、高融点中間体Q+-は、再結晶可能な融点を有するものであり、再結晶の条件にもよるが、実用性なども考慮すると、例えば、融点が−30℃以上であることが好ましく、25℃以上であることがより好ましい。
<工程B:第1〜4のルートに共通>
工程Bでは、高融点中間体Q+-を再結晶により精製して高純度化された高融点中間体Q+-を得る。
具体的には、例えば、工程Aで得た高融点中間体Q+-を室温〜50℃の温度でアルコールなどの溶媒に溶解し、その後、適切な温度まで冷却することで精製された高融点中間体Q+-の結晶を得ることができる。
ここで、溶媒としてアルコールを使用する場合、その種類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール(異性体を含む)などが好適である。
炭素数が多いほど溶解力が低くなるが、溶解力が低い方が冷却温度をあまり低くしなくてもよい。従って、プロパノールが好適であるケースが多い。
ただし、高融点中間体Q+-がプロパノールに不溶な場合もあり、その場合はエタノールを選択し、エタノールにも不溶な場合はメタノールを選択するというような選定方法が考えられる。また、どのアルコールでも再結晶が等しく高収率で行える場合は、コストの観点から最も安価であるメタノールを選択することも考えられる。
冷却温度については、高融点中間体Q+-の溶解度を考慮して決めるとよい。一般に温度が低いほど溶解度は低下するので、再結晶の収率は高くなる。高融点中間体Q+-の溶解度が1重量%前後にまで低下する温度を選択するのが好適である。これが何℃になるかは高融点中間体の種類と溶媒の組み合わせにより異なるので、実際に溶解度を測定して決定するとよい。
再結晶の操作を複数回繰り返すと、より純度を高めることができる。
<工程C1:第1のルート>
工程C1は、第1のルートにおいて、工程Bに続く工程であり、目的物たるイオン液体Q+-を得ることができる。
工程C1では、上記精製後の高融点中間体Q+-からアニオン交換法により目的物たるイオン液体Q+-を得る。
前記アニオン交換法としては、例えば、複分解沈殿法を好適に挙げることができる。
複分解沈殿法は、下式(9)で表すことができ、<2>アニオン源N+-と、<1>高融点中間体Q+-を溶媒中で反応させる。
Figure 2017200889
ここで、<2>アニオン源N+-は、製造しようとするイオン液体Q+-とアニオンを同じくする任意の化合物である。ただし、アニオン源N+-は、高融点中間体Q+-を溶解する溶媒と同様の溶媒に可溶であるものを用いる。N+は、例えば、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのイオンや、アンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオンなどが好ましく挙げられる。なお、Q+、Y-、Z-については上述のとおりである。
溶媒は、水やアルコールを主要成分として含むことが好ましく、特にアルコールが好ましく採用できる。
+や溶媒の選定に関しては、例えば、以下のような観点を考慮することができる。
すなわち、まず、上式(9)から分かるように、上記複分解沈殿法においては、N+-の溶解度が低いほどアニオン交換の交換率が高くなる。従って、より高純度なイオン液体Q+-を得るには、N+-の溶解度ができるだけ低くなるようなN+を選択することが望ましいと言える。
参考のため、複分解沈殿法における沈殿塩N+-の各溶媒中、20℃における溶解度(10-3mol/L)を下表1(Y-=BF4 -)及び下表2(Y-=PF6 -)に示す。
Figure 2017200889
Figure 2017200889
上記表1及び表2から読み取れるように、N+-の溶解度は水よりアルコールの方が低く、アルコールでも炭素数が大きいほど低くなる。このことは、溶媒選定の1つの指針になり得る。
ただし、N+と溶媒の選択においてはN+-の溶解度の他に、<2>アニオン源N+-がその溶媒に可溶性であるかどうかもあわせて考慮する必要がある。
次に、具体的な操作としては、例えば、<1>高融点中間体Q+-と<2>アニオン源N+-をそれぞれアルコールに溶解し、室温程度で両者を混合する。
<2>アニオン源N+-は、<1>高融点中間体Q+-に対して物質量(モル数)で1.2当量前後用いることが好ましい。少なすぎる(特に1当量を下回る)と目的物の純度が著しく低下する恐れがある。多すぎると<2>アニオン源N+-が目的物に混入する恐れがある。
溶媒としてアルコールを用いる場合、炭素数1〜3のアルコールが好ましく、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノールが特に好ましい。粘度を下げる目的でヘキサンなど他の溶媒を適宜加えてもよい。メタノールや水を用いると上式(9)におけるN+-の沈殿が不完全となり目的物の純度がやや低くなるおそれがあり、他方、プロパノールより長鎖のアルコールを用いると<2>アニオン源N+-が十分に溶解せずに目的物の純度が低くなる恐れがある(上記表1及び表2も参照。)。
次に、<1>高融点中間体Q+-と<2>アニオン源N+-の混合時に生じる沈殿N+-をろ別し、ろ液を−20℃〜−85℃に冷却して再度ろ過を行うことが好ましい。冷却しないとろ液に高融点中間体Q+-のアニオンY-(BF4 -など)が残留するおそれがある。冷却温度が低すぎると溶液が凝固してしまいろ過できなくなる恐れがある。
得られたろ液から溶媒を留去すると、<2>アニオン源N+-の過剰分(1当量を超えた部分)が目的のイオン液体Q+-中に析出してくる。このN+-の過剰分は、例えば、以下のいずれかの方法によって取り除くことができる。
イオン液体Q+-が非水溶性の場合、N+-の過剰分を含む粗製のイオン液体Q+-を水とともに振盪し、その後静置すると二層に分かれる。N+-の過剰分は水層に抽出されるので、これを除去する。なお、目的のイオン液体Q+-の融点が室温より高い場合は、前記抽出操作に先立って粗製のイオン液体Q+-を、N+-を溶かさない有機溶媒(たとえばジクロロメタン)に溶解しておく必要がある。
また、イオン液体Q+-が水溶性の場合、N+-を溶かさない溶媒(たとえばジクロロメタン)で粗製のイオン液体Q+-を希釈した後、溶け残ったN+-の微結晶をろ過して取り除くことができる。
<工程C2:第2,第3のルートに共通>
工程C2は、第2及び第3のルートにおいて、工程Bに続く工程である。
工程C2では、工程B後における精製後の高融点中間体Q+-からアニオン交換法により強塩基型中間体Q+-を得る。
この工程C2は、基本的に工程C1と同様の操作により行うことができ、工程C1で述べたアニオン源N+-に代えて、金属水酸化物、金属アルコキシド、金属メチド、金属アミド、金属アルキルなどの強塩基型中間体原料N+-を用いればよい(下式(10)参照)。
Figure 2017200889
強塩基型中間体Q+-は、そのアニオンA-が強塩基性であり、中和反応によって容易に他のアニオンZ-に交換できる。
-の好適な例としては、水酸化物イオンOH-、メトキシドイオンCH3-、エトキシドイオンCH3CH2-、t−ブトキシドイオン(CH33CO-などが挙げられる。
具体的な操作としては、例えば、<1>高融点中間体Q+-と<2>強塩基型中間体原料N+-をそれぞれアルコールに溶解し、室温程度で両者を混合する。アルコールの選択については、工程C1と同様である。
混合時に副生物として生じる沈殿をろ別した後、例えば、0.5倍量前後のヘキサンなどを加えてろ液を強く冷却し、再度ろ過を行うことが好ましい。強塩基型中間体Q+-は不安定であり単離できないので、ろ液の濃縮は行わない方が好ましい。
<工程C3:第4のルート>
工程C3は、第4のルートにおいて、工程Bに続く工程である。
工程C3では、工程B後における精製後の高融点中間体Q+-からアニオン交換法により超親水型中間体Q+-を得る。
この工程C3は、基本的に工程C1と同様の操作により行うことができ、工程C1で述べたアニオン源N+-に代えて、アニオン(B-)が硫酸、リン酸、水酸基を2つ以上有するカルボン酸などの共役塩基である超親水型中間体原料N+-を用いればよい(下式(11)参照)。
Figure 2017200889
超親水型中間体Q+-は、そのアニオンB-が多価陰イオンであるか、又は一価であっても二つ以上の水酸基を有していて、そのため親水性が極めて高く、油水抽出をした際に水層に移行しやすい性質をもつ。
超親水型中間体Q+-のアニオンB-は、複分解抽出法によって、容易に他のアニオンZ-に交換できる(複分解抽出法では親水性の高いイオンを低いイオンに交換できるがその逆はできない)。
-の好適な例としては、硫酸イオンSO4 2-、リン酸イオンPO4 3-、クエン酸イオン ―OOC−CH2−C(OH)(COO-)−CH2COO-、酒石酸イオン ―OOC−CH(OH)−CH(OH)(COO-)、グリコール酸イオンCH2(OH)COO-、乳酸イオンCH3CH(OH)COO-などが挙げられる。
具体的な操作としては、例えば、<1>高融点中間体Q+-と<2>超親水型中間体原料N+-をそれぞれアルコールに溶解し、室温程度で両者を混合する。アルコールの選択については、工程C1と同様である。また、混合時に副生物として生じる沈殿の除去についても工程C1と同様である。
<工程D1:第2のルート>
工程D1は、第2のルートにおいて、工程C2に続く工程であり、目的物たるイオン液体Q+-を得ることができる。
工程D1は、工程C2で得た強塩基型中間体Q+-を、目的アニオンの共役酸HZで中和する工程である。
単なる中和反応であり、従来一般の手法によればよい。
中和の操作が終わったあと、溶媒を留去することで目的のイオン液体を得ることができる。
ただし、本工程D1においては、工程C2における<2>強塩基型中間体原料N+-(上式(10)参照)の過剰分(1当量を超えた部分)が、酸HZ(目的アニオンの共役酸)に中和されることで、N+-が生成する。そして、このN+-が、目的のイオン液体Q+-に混ざって微結晶として析出してくる。これを取り除くためには、工程C1において説明したのと同様に、例えば、以下のいずれかの方法によって取り除くことができる。
イオン液体Q+-が非水溶性の場合、N+-の過剰分を含む粗製のイオン液体Q+-を水とともに振盪し、その後静置すると二層に分かれる。N+-の過剰分は水層に抽出されるので、これを除去する。なお、目的のイオン液体Q+-の融点が室温より高い場合は、前記抽出操作に先立って粗製のイオン液体Q+-を、N+-を溶かさない有機溶媒(たとえばジクロロメタン)に溶解しておく必要がある。
また、イオン液体Q+-が水溶性の場合、N+-を溶かさない溶媒(たとえばジクロロメタン)で粗製のイオン液体Q+-を希釈した後、溶け残ったN+-の微結晶をろ過して取り除くことができる。
<工程D2:第3のルート>
工程D2は、第3のルートにおいて、工程C2に続く工程である。
工程D2は、基本的に工程D1と同様の操作により行うことができ、工程D1で述べた中和で用いる酸として、硫酸、リン酸、水酸基を2つ以上有するカルボン酸などを用いればよい。
<工程E:第3及び第4のルートに共通>
工程Eは、第3のルートにおいては工程D2に続く工程であり、また、第4のルートにおいては工程C3に続く工程であって、目的物たるイオン液体Q+-を得ることができる。
工程Eでは、工程D2又は工程C3後における超親水型中間体Q+-からアニオン交換法によりイオン液体Q+-を得る工程であり、基本的に工程Aと同様の操作により行うことができる。
すなわち、工程Aで述べたような複分解抽出法が好適であり、工程Aで述べた<1>イオン液体前駆体に代えて超親水型中間体Q+-を用い、工程Aで述べた<4>高融点中間体原料塩M+-に代えて塩M+-(M+は任意の金属イオン)を用いればよい(下式(12)も参照)。
Figure 2017200889
溶媒としては、水を用いればよく、目的物たるイオン液体Q+-を副生物とは異なる相へ抽出させ、その後、イオン液体Q+-から溶媒を取り除くことにより、イオン液体Q+-を得ることができる。
以下、実施例を用いて、本発明にかかるイオン液体の製造方法及びイオン液体製造のための中間体の製造方法について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:第1のルートの実施例〕
<工程A>
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(1)で表され、R1=R2=R3=R4=n−オクチル基であるホスホニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[P8888]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づき、トリオクチルホスフィンとブロモオクタンを無溶媒、108℃で直接反応させ、[P8888][Br]を合成した。
次に、得られた[P8888][Br]を複分解抽出法により[P8888][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[P8888][Br]の1−ペンタノール溶液と、NaBF4水溶液を混合し、撹拌した。なお、NaBF4は、[P8888][Br]に対して、1.2当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取することにより、少量の1−ペンタノールを含有する[P8888][BF4]を得た。
<工程B>
上記により得られた[P8888][BF4]を下記の条件で6回再結晶した。
溶媒:メタノール
仕込み濃度:20重量%
冷却温度:−18℃
冷却温度における飽和溶液濃度:1.5重量%
固相(回収時)の溶媒吸着量:15重量%
収率(1回あたり):94.2%
再結晶後に、得られた高融点中間体を真空乾燥した。この精製された高融点中間体[P8888][BF4]の1H−NMRと13C−NMRスペクトルを図2に示す。1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルにおいて不純物は検出限界(0.05%)未満であった。また、前駆体のBr-の残留をMohr法により分析したが、検出限界(0.03%)未満であった。
したがって、精製された高融点中間体[P8888][BF4]の純度は99.9%以上であることが確認できた。融点を測定したところ86℃であった。
<工程C1>
上記により精製した[P8888][BF4]27g(47mmol)を2−プロパノール250mLに室温で溶解した。9.3gのギ酸セシウム(52mmol)を2−プロパノール55mLに室温で溶解した。
室温で両者を混合したところ、沈殿を生じたので、吸引ろ過した。
ろ液の成分をNMR分析し、Cs+の濃度がBF4 -の濃度を2倍以上上回っていることを確認した後、このろ液を冷凍庫で−40℃に冷却し、十分冷えたところで新たに生じた沈殿を除くため2回自然ろ過した。エバポレータで2−プロパノールを留去した。
高粘性液体が得られ、これが目的物であるが、微結晶(ギ酸セシウムの過剰分)の析出が見られた。そこで、この高粘性液体に約100gの水を加えてよく撹拌した。静置すると目的のイオン液体[P8888][HCOO]とギ酸セシウム水溶液に分離したので、後者を取り除いた。このときイオン液体は含水していた(モル比で5.9の水分を含んでいた)が、イオン液体は含水状態の方が保存性に優れる。水を完全に除去するとギ酸イオンの還元的な性質のために容易に空気酸化され純度が低下してしまう。この含水した状態で目的物たるイオン液体が22.6g(36mmol、収率76%)得られた。
得られたイオン液体[P8888][HCOO]の13C−NMRスペクトルを図3に示す。スペクトルよりアニオンがギ酸イオンに交換できたことが確認された。一方このイオン液体中には高融点中間体に由来するBF4 -、アニオン源に由来するCs+、複分解沈殿法の溶媒である2−プロパノールが不純物として予期される。そこで、これらの不純物の存在を分析したところ、19F−NMRによってBF4 -が18ppm(物質量ベースのアニオン交換率99.989%)検出された。一方、133Cs−NMRによってCs+は検出されなかった(検出限界50ppm)。また1H−NMRにおいて2−プロパノールは検出されなかった(検出限界20ppm)。従って、得られたイオン液体[P8888][HCOO]の純度は、99.9%以上であることが確認できた。
〔実施例2:第1のルートの実施例〕
<工程A>
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(2)で表され、R1=n−オクチル基、R2=R3=R4=n−ブチル基であるアンモニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[N4448]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づきトリブチルアミンとヨウ化オクチルを無溶媒、108℃で直接反応させ、[N4448][I]を合成した。未反応のトリブチルアミンを除くため、生成物を3倍量のメタノールに溶解し、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加えてpHを9前後に調整した。黄色油状物質(未反応のトリブチルアミン)が分離したので、これを分液により取り除いた。
次に、得られた[N4448][I]を複分解抽出法により[N4448][PF6]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[N4448][I]の水溶液と、KPF6水溶液を混合し、ジクロロメタンを加え撹拌した。なお、KPF6は、[N4448][I]に対して、1.1当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[N4448][PF6]を得た。
<工程B>
上記により得られた[N4448][PF6]を下記の条件で7回再結晶した。
溶媒:メタノール
仕込み濃度:20重量%
冷却温度:−6℃
冷却温度における飽和溶液濃度:6.4重量%
固相(回収時)の溶媒吸着量:52重量%
収率(1回あたり):78.5%
再結晶後に、得られた高融点中間体を真空乾燥した。この精製された高融点中間体[N4448][PF6]の1H−NMRと13C−NMRスペクトルを図4に示す。1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルにおいて不純物は検出限界(0.05%)未満であった。また、前駆体のBr-の残留をMohr法により分析したが、検出限界(0.03%)未満であった。
したがって、精製された高融点中間体[N4448][PF6]の純度は99.9%以上であることが確認できた。融点を測定したところ78℃であった。
<工程C1>
上記により精製した[N4448][PF6]を11.7重量%(7.76mmol)含む2−プロパノール溶液28.9gを調製した。これと別に3.47g(8.4mmol)のCs[(CF3SO22N]を2−プロパノール30mLに溶解した。
両溶液を混合したところ、沈殿を生じたので、吸引ろ過した。
ろ液の成分をNMR分析し、Cs+の濃度がPF6 -の濃度を2倍以上上回っていることを確認した後、このろ液を冷凍庫で−60℃に冷却し、十分冷えたところで新たに生じた沈殿を除くため2回自然ろ過した。
エバポレータで2−プロパノールを留去した。少量の微結晶(過剰のCs[(CF3SO22N])が析出したため、一度イオン液体を少量のジクロロメタンで希釈して、水洗によりこれを除去した。その後、イオン液体層からジクロロメタンと水分を留去して、目的物(0.9g、収率20%)を得た。
得られたイオン液体[N4448][(CF3SO22N]の13C−NMRおよび19F−NMRスペクトルを図5に示す。スペクトルよりアニオンが[(CF3SO22N]イオンに交換できたことが確認された。このイオン液体中には高融点中間体に由来するPF6 -、アニオン源に由来するCs+、合成途中で用いた溶媒である2−プロパノールおよびジクロロメタンが不純物として予期される。そこで、これらの不純物の存在を分析したところ、19F−NMRによってPF6 -は検出されなかった(検出限界10ppm、物質量ベースのアニオン交換率99.999%以上)。一方、133Cs−NMRによってCs+は106ppm検出された。1H−NMRにおいて2−プロパノールとジクロロメタンは検出されなかった(検出限界20ppm)。従って、得られたイオン液体[N4448][(CF3SO22N]の純度は、99.9%以上であることが確認できた。
〔実施例3:第1のルートの実施例〕
<工程A>
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(3)で表され、R1=メチル基、R2=n−プロピル基であるピロリジニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[Pyrr13]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づき、1−メチルピロリジンとブロモプロパンを無溶媒、60℃で直接反応させ、[Pyrr13][Br]を得た。
次に、得られた[Pyrr13][Br]を複分解抽出法により[Pyrr13][PF6]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[Pyrr13][Br]の水溶液と、KPF6水溶液を混合し、さらにジクロロメタンを加え撹拌した。なお、KPF6は、[Pyrr13][Br]に対して、1.1当量の物質量比で用いた。ジクロロメタンは、[Pyrr13][Br]に対し重量で2倍量用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[Pyrr13][PF6]を得た。
<工程B>
上記により得られた[Pyrr13][PF6]を下記の条件で3回再結晶した。
溶媒:メタノール
仕込み濃度:25重量%
冷却温度:−20℃
冷却温度における飽和溶液濃度:1.6重量%
固相(回収時)の溶媒吸着量:3重量%
収率(1回あたり):95.2%
再結晶後に、得られた高融点中間体を真空乾燥した。この精製された高融点中間体[Pyrr13][PF6]の1H−NMRと13C−NMRスペクトルを図6に示す。1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルにおいて不純物は検出限界(0.05%)未満であった。また、前駆体のBr-の残留をMohr法により分析したが、検出限界(0.03%)未満であった。
したがって、精製された高融点中間体[Pyrr13][PF6]の純度は99.9%以上であることが確認できた。融点を測定したところ112℃であった。
<工程C1>
上記により精製した[Pyrr13][PF6]8.21g(30.2mmol)をフラスコに収めた。ここにCsHCOOを14.9重量%含む2−プロパノール溶液39.53g(すなわち33mmolのギ酸セシウムを含む)を加えた。[Pyrr13][PF6]は2−プロパノールに難溶性であるが、溶液を室温で2日間撹拌したところ、[Pyrr13][PF6]が反応により消費され、新たに沈殿(Cs[PF6])が生じた。この沈殿を吸引ろ過した。この溶液を冷凍庫で−40℃に冷却し、十分冷えたところで新たに生じた沈殿を除くため2回自然ろ過した。
エバポレータで2−プロパノールを留去した。溶媒が留去されると、イオン液体に混ざって微結晶(ギ酸セシウムの過剰分)が析出した。この微結晶を取り除くため、ジクロロメタンでイオン液体を希釈し、ろ過した。ろ液から溶媒を留去することにより目的のイオン液体[Pyrr13][HCOO]4.0g(収率77%)を得た。
得られたイオン液体[Pyrr13][HCOO]の13C−NMRスペクトルを図7に示す。スペクトルよりアニオンがギ酸イオンに交換できたことが確認された。このイオン液体中には高融点中間体に由来するPF6 -、アニオン源に由来するCs+、合成途中で用いた溶媒である2−プロパノールおよびジクロロメタンが不純物として予期される。そこで、これらの不純物の存在を分析したところ、19F−NMRによってPF6 -は1100ppm検出された(物質量ベースのアニオン交換率99.87%)。133Cs−NMRによってCs+は3000ppm検出された。1H−NMRにおいて2−プロパノールとジクロロメタンは検出されなかった(検出限界20ppm)。従って、得られたイオン液体[Pyrr13][HCOO]の純度は、99.6%であることが確認できた。
〔実施例4:第2のルートの実施例〕
<工程A>
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(1)で表され、R1=n−オクチル基、R2=R3=R4=n−ブチル基であるホスホニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[P4448]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づき、トリブチルホスフィンとブロモオクタンを無溶媒、108℃で直接反応させ、[P4448][Br]を合成した。
次に、得られた[P4448][Br]を複分解抽出法により[P4448][PF6]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[P4448][Br](液体)と、KPF6水溶液を混合し、撹拌した。なお、KPF6は、[P4448][Br]に対して、1.1当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[P4448][PF6]を得た。
<工程B>
上記により得られた[P4448][PF6]を下記の条件で4回再結晶した。
溶媒:メタノール
仕込み濃度:20重量%
冷却温度:−60℃(最初の2回)、−38℃(後の2回)
冷却温度における飽和溶液濃度:1.8重量%(最初の2回)、6.5重量%(後の2回)
固相(回収時)の溶媒吸着量:35重量%(最初の2回)、26重量%(後の2回)
収率(1回あたり):93.6%(最初の2回)、74%(後の2回)
再結晶後に、得られた高融点中間体を真空乾燥した。この精製された高融点中間体[P4448][PF6]の1H−NMRと13C−NMRスペクトルを図8に示す。1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルにおいて不純物は検出限界(0.05%)未満であった。
したがって、精製された高融点中間体[P4448][PF6]の純度は99.9%以上であることが確認できた。融点を測定したところ36℃であった。
<工程C2>
上記により精製した[P4448][PF6]31.6g(68.6mmol)を2−プロパノールに溶解した。25gのCsOH・H2O(ナカライテスクより購入,149mmol)を2−プロパノール250gに溶解した。後者の溶液の134gを前者に加えたところ沈殿(Cs[PF6])が析出したので吸引ろ過した。
ろ液の成分をNMR分析し、Cs+の濃度がPF6 -の濃度を2倍以上上回っていることを確認した後、ろ液に2−プロパノールを加え全量を1.0Lとした。さらにヘキサン430gを加え、ついで冷凍庫で−80℃に冷却し、十分冷えたところで新たに生じた沈殿を除くため2回自然ろ過した。ろ液をエバポレータで適度に濃縮することにより目的の強塩基型中間体[P4448][OH]を2−プロパノール溶液(12重量%)として得た。収量は純分として21.7g(65.3mmol、収率95%)であった。
得られた強塩基型中間体溶液中の不純物をNMR分析したところ、19F−NMRによってPF6 -イオンが90ppm(物質量ベースのアニオン交換率99.84%)、133Cs−NMRによってCs+が2740ppm検出された。
<工程D1>
[P4448][OH]の11.2重量%2−プロパノール溶液31.1g(10.5mmol)を0.22mol/L酢酸水溶液で中和した。中和点はpHメータで判断した。中和後、溶媒を留去し、ついでジクロロメタン20mLを加えたところ微結晶(酢酸セシウム)が析出したので、沈殿の沈降を待って、上澄みを集めた。ジクロロメタンを留去することにより目的のイオン液体[P4448][CH3COO]3.75g(10.0mmol,収率95%)を得た。
得られたイオン液体[P4448][CH3COO]の13C−NMRスペクトルを図9に示す。スペクトルよりアニオンが酢酸イオンに交換できたことが確認された。このイオン液体中には133Cs−NMRによってCs+が580ppm検出された。1H−NMRにおいて2−プロパノールとジクロロメタンは検出されなかった(検出限界20ppm)。従って、得られたイオン液体[P4448][CH3COO]の純度は、99%以上であることが確認できた。
〔実施例5:第3のルートの実施例〕
<工程A>
実施例4の工程Aと同様にして、[P4448][PF6]を得た。
<工程B>
実施例4の工程Bと同様にして、[P4448][PF6]を再結晶した。
<工程C2>
実施例4の工程C2と同様にして、[P4448][OH]を得た。
<工程D2>
[P4448][OH]の12.3重量%2−プロパノール溶液63.7g(23.6mmol)を0.50mol/L希硫酸で中和した。中和点はpHメータで判断した。中和後、溶媒を留去した。この操作により生成物に混じって沈殿(硫酸セシウム)が生じたので、一旦生成物をエチレングリコールジメチルエーテル20mLで希釈し、沈殿の沈降を待って、上澄みを採取した。上澄みから溶媒を留去し、その後目的物を水で希釈することにより超親水型中間体[P44482[SO4]の45.6重量%水溶液14.1g(8.85mmol,収率75%)を得た。
得られた超親水型中間体の17O−NMRスペクトルを図10に示す。スペクトルより硫酸イオンへのアニオン交換が確認できた。また、133Cs−NMRによるとこの超親水型中間体中にCs+は160ppm検出された。
<工程E>
工程D2で得た[P44482[SO4]の45.6重量%水溶液3.93g(2.47mmol)にメタンスルホン酸ナトリウム0.675gと水5gを加えた。さらにジクロロメタン6gを加え、撹拌した。二層に分離したので、下層を採取した。下層をメタンスルホン酸ナトリウム0.07gを含む水溶液でさらに2回洗浄した。下層を水洗したのち、エバポレータで溶媒を留去することにより目的のイオン液体([P4448][CH3SO3]1.59g(3.87mmol,収率78%)を得た。
得られたイオン液体[P4448][CH3SO3]の13C−NMRスペクトルを図11に示す。スペクトルよりアニオンがメタンスルホン酸イオンに交換できたことが確認された。このイオン液体中に133Cs−NMRでCs+は検出されなかった(検出限外20ppm)。また合成途中で用いた溶媒である2−プロパノールおよびジクロロメタンは検出されなかった(検出限界20ppm)。従って、得られたイオン液体[P4448][CH3SO3]の純度は、99%以上であることが確認できた。
〔実施例6:第4のルートの実施例〕
<工程A>
実施例4の工程Aと同様にして、[P4448][PF6]を得た。
<工程B>
実施例4の工程Bと同様にして、[P4448][PF6]を再結晶した。
<工程C3>
上記により精製した[P4448][PF6]6.30g(13.7mmol)をエタノール30gに室温で溶解した。1.99gのテトラメチルアンモニウム硫酸塩(東京化成より購入、8.15mmol)をエタノール20gに室温で溶解した。
室温で両者を混合したところ、沈殿を生じたので、吸引ろ過し、ろ液にエタノール10gを追加した。
ろ液の成分をNMR分析し、テトラメチルアンモニウムイオンの濃度がPF6 -の濃度を2倍以上上回っていることを確認した後、このろ液を冷凍庫で−53℃に冷却し、十分冷えたところで新たに生じた沈殿を除くため2回自然ろ過した。エバポレータでエタノールを留去した。
高粘性液体が得られ、これが目的物であるが、微結晶(テトラメチルアンモニウム硫酸塩)の析出が見られた。そこで、この高粘性液体を約20gのベンゼンで希釈し、不溶物をろ過した。ろ液からエバポレータでベンゼンを留去した。
得られた高粘性液体を適当に水で希釈することにより超親水型中間体[P44482[SO4]の27.7重量%水溶液10.1g(3.86mmol,収率56%)を得た。
得られた超親水型中間体の17O−NMRスペクトルを図12に示す。スペクトルより硫酸イオンへのアニオン交換が確認できた。一方このイオン液体中には高融点中間体に由来するPF6 -、アニオン源に由来するテトラメチルアンモニウムイオンが不純物として予期される。そこで、これらの不純物の存在を分析したところ、19F−NMRによってPF6 -が35ppm(物質量ベースでのアニオン交換率99.968%)検出された。一方、1H−NMRによってテトラメチルアンモニウムイオンが23ppm検出された。従って、得られた超親水型中間体[P44482[SO4]の純度は、99.9%以上(溶媒を除く)であることが確認できた。
<工程E>
実施例5の工程Eと同様にして、[P4448][CH3SO3]を得た。
〔参考例〕
本発明が上記実施例以外にも広範に適用可能であることを明らかにするため、さらにいくつかの参考例を以下に示す。
参考例1〜11は、図1に示す工程Bまでの操作に関するものである。
本発明においては、特に、高融点中間体を得て再結晶するまでの工程が重要な特徴の1つであるから、当業者は、本明細書の他の記載も考慮して、下記参考例1〜11の記載に基づき工程Bまでの操作を行うとともに、さらに工程C1などを経て、目的のイオン液体や中間体を得ることが可能であり、従って、下記参考例1〜11は、実質的には本発明の実施例と同視し得るものである。
なお、工程Bにおける再結晶の条件と再結晶された高融点中間体の乾燥状態における融点については、下表3にまとめて示す。参照上の便宜のため、上述の実施例1〜6の工程Bにおける再結晶の条件も表3に併記する。
Figure 2017200889
<参考例1:ホスホニウム塩系イオン液体>
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(1)で表され、R1=メチル基、R2=R3=R4=n−ブチル基であるホスホニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[P4441]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づき、トリブチルホスフィンとヨードメタンをヘキサン中室温で反応させ、[P4441][I]を合成した。このとき[P4441][I]は吸引ろ過により溶媒から分離した。
次に、得られた[P4441][I]を複分解抽出法により[P4441][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[P4441][I]のジクロロメタン溶液と、NaBF4水溶液を混合し、撹拌した。なお、NaBF4は、[P4441][I]に対して、2.0当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[P4441][BF4]を得た。
得られた[P4441][BF4]を表3の条件で10回再結晶した。
<参考例2:ホスホニウム塩系イオン液体>
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(1)で表され、R1=n−プロピル基、R2=R3=R4=n−ブチル基であるホスホニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[P4443]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づき、トリブチルホスフィンとブロモプロパンを無溶媒、70℃で直接反応させ、[P4443][Br]を合成した。
次に、得られた[P4443][Br]を複分解抽出法により[P4443][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[P4443][Br]のジクロロメタン溶液と、NaBF4水溶液を混合し、撹拌した。なお、NaBF4は、[P4443][Br]に対して、1.3当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[P4443][BF4]を得た。
得られた[P4443][BF4]を表3の条件で6回再結晶した。
<参考例3:ホスホニウム塩系イオン液体>
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(1)で表され、R1=R2=R3=R4=n−ブチル基であるホスホニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[P4444]と略記する)。
すなわち、[P4444][Br](東京化成より購入)を複分解抽出法により[P4444][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[P4444][Br]の水溶液と、NaBF4水溶液を混合し、さらに1−ペンタノールを加え撹拌した。なお、NaBF4は、[P4444][Br]に対して、1.3当量の物質量比で用いた。1−ペンタノールは[P4444][Br]に対して重量で25%用いた。
得られた[P4444][BF4]を表3の条件で6回再結晶した。
<参考例4:ホスホニウム塩系イオン液体>
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(1)で表され、R1=n−オクチル基、R2=R3=R4=n−ブチル基であるホスホニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[P4448]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づき、トリブチルホスフィンとブロモオクタンを無溶媒、108℃で直接反応させ、[P4448][Br]を合成した。
次に、得られた[P4448][Br]を複分解抽出法により[P4448][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[P4448][Br](液体)と、NaBF4水溶液を混合し、撹拌した。なお、NaBF4は、[P4448][Br]に対して、1.2当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、[P4448][BF4](室温で液体)を得た。
得られた[P4448][BF4]を表3の条件で2回再結晶した。
〔参考例5:アンモニウム塩系イオン液体〕
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(2)で表され、R1=エチル基、R2=R3=R4=n−ブチル基であるアンモニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[N4442]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づき、トリブチルアミンとブロモエタンの無溶媒直接反応により[N4442][Br]を合成した。
次に、[N4442][Br]を複分解抽出法により[N4442][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[N4442][Br]の水溶液と、NaBF4水溶液を混合し、撹拌した。なお、NaBF4は、[N4442][Br]に対して、1.5当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[N4442][BF4]を得た。
得られた[N4442][BF4]を表3の条件で6回再結晶した。
〔参考例6:アンモニウム塩系イオン液体〕
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(2)で表され、R1=R2=R3=R4=n−ブチル基であるアンモニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[N4444]と略記する)。
すなわち、東京化成より購入した[N4444][Br]を複分解抽出法により[N4444][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[N4444][Br]の水溶液と、NaBF4水溶液を混合し、さらにジクロロメタンを加え撹拌した。なお、NaBF4は、[N4444][Br]に対して、1.5当量の物質量比で用いた。ジクロロメタンは[N4444][Br]に対して重量で1倍量用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[N4444][BF4]を得た。
得られた[N4444][BF4]を表3の条件で3回再結晶した。
〔参考例7:アンモニウム塩系イオン液体〕
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(2)で表され、R1=R2=R3=R4=n−ペンチル基であるアンモニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[N5555]と略記する)。
すなわち、東京化成より購入した[N5555][Br]を複分解抽出法により[N5555][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[N5555][Br]の水溶液と、NaBF4水溶液を混合し、さらに1―ペンタノールを加え撹拌した。なお、NaBF4は、[N5555][Br]に対して、1.5当量の物質量比で用いた。1―ペンタノールは[N5555][Br]に対して重量で2倍量用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、1―ペンタノールを含有する[N5555][BF4]を得た。
得られた[N5555][BF4]を表3の条件で3回再結晶した。
〔参考例8:アンモニウム塩系イオン液体〕
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(2)で表され、R1=R2=R3=R4=n−オクチル基であるアンモニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[N8888]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づきトリオクチルアミンとヨウ化オクチルを無溶媒、108℃で直接反応させ、[N8888][I]を合成した。未反応のトリオクチルアミンを除くため、生成物を3倍量のメタノールに溶解し、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加えてpHを9前後に調整した。黄色油状物質(未反応のトリオクチルアミン)が分離したので、これを分液により取り除いた。
次に、得られた[N8888][I]を複分解抽出法により[N8888][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[N8888][I]のジクロロメタン溶液と、NaBF4水溶液を混合し、撹拌した。なお、NaBF4は、[N8888][I]に対して、1.3当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[N8888][BF4]を得た。
得られた[N8888][BF4]を表3の条件でメタノールから6回再結晶した。
〔参考例9:イミダゾリウム塩系イオン液体〕
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(5)で表され、R1=メチル基、R2=n−デシル基、X1=X2=X3=プロトンであるイミダゾリウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[C101Im]と略記する)。
すなわち、Iolitecより購入した[C101Im][Cl]を複分解抽出法により[C101Im][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[C101Im][Cl]の水溶液と、NaBF4水溶液を混合し、撹拌した。なお、NaBF4は、[C101Im][Cl]に対して、1.2当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、[C101Im][BF4](室温で液体)を得た。
得られた[C101Im][BF4]を表3の条件で2−プロパノールから4回、ついでメタノールから3回再結晶した。
〔参考例10:イミダゾリウム塩系イオン液体〕
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(5)で表され、R1=R2=n−プロピル基、X1=メチル基、X2=X3=プロトンであるイミダゾリウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[C33mIm]と略記する)。
すなわち、まず、2−メチルイミダゾールを出発物質として、公知の方法(モノグリムを溶媒として水素化ナトリウムによりプロトン引き抜きを行った後、室温で1等量のブロモプロパンと反応させることにより1−プロピル−2−メチルイミダゾールを得たのち、これを60℃、2−プロパノール中でさらに1等量のブロモプロパンと反応させる)に基づき[C33mIm][Br]を合成した。
次に、得られた[C33mIm][Br]を複分解抽出法により[C33mIm][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[C33mIm][Br]の水溶液と、NaBF4水溶液を混合し、さらにジクロロメタンを加え撹拌した。なお、NaBF4は、[C33mIm][Br]に対して、2.0当量の物質量比で用いた。ジクロロメタンは、[C33mIm][Br]に対し重量で2倍量用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[C33mIm][BF4]を得た。
得られた[C33mIm][BF4]を表3の条件で3回再結晶した。
〔参考例11:ピロリジニウム塩系イオン液体〕
高融点中間体Q+-として、上述の一般式(3)で表され、R1=メチル基、R2=n−オクチル基であるピロリジニウム塩系イオン液体を合成した(以下、このイオン液体におけるカチオンQ+を[Pyrr18]と略記する)。
すなわち、まず、公知の方法に基づき、1−メチルピロリジンとブロモオクタンを無溶媒、60℃で直接反応させ、[Pyrr18][Br]を得た。
次に、得られた[Pyrr18][Br]を複分解抽出法により[Pyrr18][BF4]へアニオン交換した。
具体的には、上述の式(8)に従い、[Pyrr18][Br]の水溶液と、NaBF4水溶液を混合し、撹拌した。なお、NaBF4は、[Pyrr18][Br]に対して、1.8当量の物質量比で用いた。
混合物を静置すると、水層と有機層の二層に分かれたので、有機層を分取し、溶媒を留去することにより、[Pyrr18][BF4](吸水しており、室温で液体)を得た。
得られた[Pyrr18][BF4]を表3の条件で3回再結晶した。
本発明にかかるイオン液体の製造方法及びイオン液体製造のための中間体の製造方法は、高純度のイオン液体を製造するために好適に利用でき、製造されるイオン液体は、従来、イオン液体に期待されてきたあらゆる用途への適用が可能であり、特に高純度のイオン液体であることから、従来以上にイオン液体の利用範囲の拡大に寄与するものと期待される。

Claims (11)

  1. カチオンQ+とアニオンZ-からなる所望のイオン液体Q+-を製造する方法であって、
    カチオンQ+とアニオンY-からなり再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を再結晶により精製する工程と、
    前記精製後の高融点中間体Q+-から直接又は間接にイオン液体Q+-を得る工程と
    を含む、イオン液体の製造方法。
  2. カチオンQ+とアニオンX-からなるイオン液体前駆体Q+-を有機合成した後、前記イオン液体前駆体Q+-からアニオン交換法により高融点中間体Q+-を得る工程を含む、請求項1に記載のイオン液体の製造方法。
  3. 前記アニオン交換法が複分解抽出法である、請求項2に記載のイオン液体の製造方法。
  4. 前記アニオンY-が、ホウフッ化物イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン又はテトラフェニルホウ酸イオンである、請求項1から3までのいずれかに記載のイオン液体の製造方法。
  5. 前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法によりイオン液体Q+-を得る、請求項1から4までのいずれかに記載のイオン液体の製造方法。
  6. 前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法により強塩基型中間体Q+-を得て、前記強塩基型中間体Q+-から中和法によりイオン液体Q+-を得る、請求項1から4までのいずれかに記載のイオン液体の製造方法。
  7. 前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法により強塩基型中間体Q+-を得て、前記強塩基型中間体Q+-から中和法により超親水型中間体Q+-を得て、前記超親水型中間体Q+-から複分解抽出法によりイオン液体Q+-を得る、請求項1から4までのいずれかに記載のイオン液体の製造方法。
  8. 前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法により超親水型中間体Q+-を得て、前記超親水型中間体Q+-から複分解抽出法によりイオン液体Q+-を得る、請求項1から4までのいずれかに記載のイオン液体の製造方法。
  9. カチオンQ+とアニオンZ-からなる所望のイオン液体Q+-を合成するための中間体を合成する方法であって、
    カチオンQ+とアニオンY-からなり再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を再結晶により精製する工程と、
    前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法により強塩基型中間体Q+-を得る工程と
    を含む、イオン液体の強塩基型中間体の製造方法。
  10. カチオンQ+とアニオンZ-からなる所望のイオン液体Q+-を合成するための中間体を合成する方法であって、
    カチオンQ+とアニオンY-からなり再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を再結晶により精製する工程と、
    前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法により強塩基型中間体Q+-を得る工程と、
    前記強塩基型中間体Q+-から中和法により超親水型中間体Q+-を得る工程と
    を含む、イオン液体の超親水型中間体の製造方法。
  11. カチオンQ+とアニオンZ-からなる所望のイオン液体Q+-を合成するための中間体を合成する方法であって、
    カチオンQ+とアニオンY-からなり再結晶可能な融点を有する高融点中間体Q+-を再結晶により精製する工程と、
    前記精製後の高融点中間体Q+-から複分解沈殿法により超親水型中間体Q+-を得る工程と
    を含む、イオン液体の超親水型中間体の製造方法。
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