JP2017201180A - メカニカルシール - Google Patents

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Abstract

【課題】静止密封環のシール面の反対側となる背面の平坦度が低下するのを抑制することができるメカニカルシールを提供する。【解決手段】メカニカルシール1は、回転軸Sに一体回転可能に取り付けられシール面9aを有する回転密封環9と、回転軸Sを包囲しているケーシングC側に取り付けられ、当該ケーシングC側に接触して取り付けられる取付面13b,13c、及び回転密封環9のシール面9aに摺接するシール面13aを有する静止密封環13と、静止密封環13のシール面13aの反対側となる背面13fと、当該背面13fに対向するケーシングC側の対向面c2との間を密封する樹脂製の密封面14c,14dを有するガスケット13と、を備える。静止密封環13には、シール面13aから取付面13bに亘ってダイヤモンド膜d1が連続して形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、腐食性流体をシールするメカニカルシールに関する。
従来より、回転流体機器の内部の被密封流体をシール(一次シール)するものとして、図5に示すように、ケーシング101側のシールケース100に固定された静止密封環103と、回転軸102側に一体回転可能に取り付けられた回転密封環104とを備え、静止密封環103に形成されたシール面103aと回転密封環104に形成されたシール面104aとが摺接するメカニカルシールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなメカニカルシールは、半導体や医薬品等の分野において、腐食性の高い流体を被密封流体としてシールする場合がある。この場合には、静止密封環103のシール面103aの反対側の面である背面103bと、この背面103bに対向するケーシング101の対向面101aとの間をシール(二次シール)する部材として、耐食性とコスト面において優れた、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)包みガスケット等の樹脂製の密封面106aを有するガスケット106が用いられている。
特開2010−261573号公報
上記メカニカルシールにあっては、静止密封環103の背面103bは、摩擦熱が発生するシール面103aや、機内側の高温又は低温の流体に直接接触する内周面103cの温度変化によって熱歪が生じる場合がある。このような熱歪が生じると、背面103bの平坦度が低下し、ガスケット106のシール性能が低下するという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、静止密封環のシール面の反対側となる背面の平坦度が低下するのを抑制することができるメカニカルシールを提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係るメカニカルシールは、回転軸に一体回転可能に取り付けられ、シール面を有する回転密封環と、前記回転軸を包囲しているケーシング側に取り付けられ、当該ケーシング側に接触して取り付けられる取付面、及び前記回転密封環のシール面に摺接するシール面を有する静止密封環と、前記静止密封環のシール面の反対側となる背面と、当該背面に対向する前記ケーシング側の対向面との間を密封する樹脂製の密封面を有するガスケットと、を備えたメカニカルシールであって、前記静止密封環には、そのシール面の少なくとも一部から前記取付面の少なくとも一部に亘ってダイヤモンド膜が連続して形成されている。
上記のように構成されたメカニカルシールによれば、静止密封環には、そのシール面から、ケーシング側に取り付けられる取付面に亘って、大きな熱伝導率を有するダイヤモンド膜が連続して形成されているため、静止密封環のシール面で発生した摩擦熱を、ダイヤモンド膜のシール面側から取付面側に伝熱させてケーシング側に逃がすことができる。これにより、静止密封環のシール面の反対側となる背面において、前記摩擦熱に起因する熱歪が生じにくくなるので、前記背面の平坦度が低下するのを抑制することができる。その結果、ガスケットのシール性能が低下するのを効果的に抑制することができる。
本発明の第2の観点に係るメカニカルシールは、回転軸に一体回転可能に取り付けられ、シール面を有する回転密封環と、前記回転軸を包囲しているケーシング側に取り付けられ、当該ケーシング側に接触して取り付けられる取付面、及び前記回転密封環のシール面に摺接するシール面を有する静止密封環と、前記静止密封環のシール面の反対側となる背面と、当該背面に対向する前記ケーシング側の対向面との間を密封する樹脂製の密封面を有するガスケットと、を備えたメカニカルシールであって、前記静止密封環には、前記ケーシング内の流体と直接接触する接触面の少なくとも一部から、前記取付面の少なくとも一部に亘ってダイヤモンド膜が連続して形成されている。
上記のように構成されたメカニカルシールによれば、静止密封環には、ケーシング内の流体と直接接触する接触面から、ケーシング側に取り付けられる取付面に亘って、大きな熱伝導率を有するダイヤモンド膜が連続して形成されているため、前記流体が高温である場合、静止密封環の接触面において前記流体に接触して発生した熱を、ダイヤモンド膜の接触面側から取付面側に伝熱させてケーシング側に逃がすことができる。また、前記流体が低温である場合、静止密封環の接触面を介して背面の温度が低下しようとするが、当該背面は、ケーシング側の熱がダイヤモンド膜の取付面側から背面側に伝熱することでその熱を取り込むことができる。これにより、静止密封環のシール面の反対側となる背面において、前記接触面の温度変化に起因する熱歪が生じにくくなるので、前記背面の平坦度が低下するのを抑制することができる。その結果、ガスケットのシール性能が低下するのを効果的に抑制することができる。
本発明のメカニカルシールによれば、静止密封環のシール面の反対側となる背面の平坦度が低下するのを抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係るメカニカルシールを示す断面図である。 図1のメカニカルシールの静止密封環及びガスケットを示す拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係るメカニカルシールを示す断面図である。 図3のメカニカルシールの静止密封環及びガスケットを示す拡大断面図である。 従来のメカニカルシールを示す断面図である。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るメカニカルシールを示す断面図である。図1において、このメカニカルシール1は、腐食性流体を扱う攪拌機等の回転流体機器の軸封装置として用いられ、回転軸Sと、この回転軸Sを包囲している回転流体機器のケーシングCとの間に配置されている。なお、本明細書において、図1の左側を機外側、図1の右側を機内側という(図2〜図4についても同様)。
メカニカルシール1は、回転側ユニットとして、ベローズ2と、固定リング3と、ドライブカラー4と、ストッパリング5と、リテーナ6と、弾性部材7と、挟圧リング8と、回転密封環9とを備えている。
ベローズ2は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなり、軸方向の中間部を断面蛇行状の伸縮部2aとした円筒状のものである。ベローズ2は、その基端部である固定部2bが、固定リング3、環状のドライブカラー4及びストッパリング5を介して回転軸Sに強固に嵌合固定されている。
具体的には、ストッパリング5は、その周方向に所定間隔をあけて螺合させた複数のセットスクリュー10を締め付けることにより、回転軸Sに固定されている。ドライブカラー4の内周面は、機内側からストッパリング5に向かうに従って漸次拡径するように裁頭円錐状に形成されたカム面4aとされており、ドライブカラー4は、ストッパリング5に対して周方向に所定間隔をあけて複数の締付ボルト11により取り付けられている。
固定リング3は、その内周側がベローズ2の固定部2bに形成されている環状突起2cに係合された状態で当該固定部2bに外嵌されている。固定リング3の外周面は、ドライブカラー4のカム面4aに嵌合するように、裁頭円錐状に形成されたカム面3aとされている。したがって、締付ボルト11を締め付けてドライブカラー4をストッパリング5側(機外側)に移動させることにより、カム面3a,4aにより固定リング3を介してベローズ2の固定部2bが回転軸Sに強固に固定されている。
回転密封環9は、耐食性に優れ、かつ静止密封環13(後述)との摺動特性(低摩擦性)及び機械的強度を向上させるべく、PTFEに適宜の充填剤を充填させたPTFE複合樹脂材からなる。回転密封環9の機内側の端部にはシール面9aが形成されている。
ベローズ2の先端部である連結部2dには環状の舌部2fが形成されており(図2も参照)、この舌部2fを、回転密封環9に突設された環状突起9bと挟圧リング8とで径方向に挟圧することで、ベローズ2と回転密封環9とが一体的に連結されている。
リテーナ6は、その機内側の先端部6aがベローズ2の連結部2dの外周面に嵌合するとともに、機外側の基端部6bがベローズ2の伸縮部2aを囲繞する円筒状のものであり、熱膨張係数がベローズ2の構成材であるPTFEと同等又は近似する樹脂材からなる。本実施形態のリテーナ6は、PTFEを主成分とする複合樹脂材であって、PTFEにカーボンを充填させたPTFE複合樹脂材からなる。
なお、リテーナ6の先端部6aの内径は、ベローズ2の連結部2dに密に外嵌しうるように設定されているが、リテーナ6の基端部6bの内径は、ベローズ2の連結部2dの外径より小さく且つベローズ2の伸縮部2aの外径より若干大きく設定されていて、リテーナ6が伸縮部2aに干渉しないように工夫されている。
リテーナ6の先端部6aの端面には、回転密封環9の外周面に周方向に所定間隔をあけて径方向外方に突出形成された複数の環状突起9cに係合する凹部6cが形成されており、この環状突起9cと凹部6cとの係合により、リテーナ6と回転密封環9の相対回転が規制されている。また、リテーナ6の内周部において先端部6aと基端部6bとの境界に形成される環状段部6dは、ベローズ2の外周部において伸縮部2aと連結部2dとの境界に形成される環状段部2eに当接しており、両段部2e,6dの係合により、弾性部材7による付勢力がリテーナ6を介してベローズ2に確実に作用するようになっている。
ドライブカラー4には、周方向に所定間隔をあけて複数のドライブピン4bが突設されていて、このドライブピン4bをリテーナ6の機外側の端面に形成された凹部6eに係合させることにより、リテーナ6は、回転軸Sに対して軸方向に移動可能に保持されながら、回転軸Sに対する相対回転が規制されている。
弾性部材7は、ストッパリング5とリテーナ6との間において周方向に所定間隔をあけて装着された複数の圧縮コイルばねからなり、リテーナ6(及びベローズ2)を軸方向の機内側へ付勢している。これにより、回転密封環9のシール面9aは、弾性部材7の付勢力により静止密封環13のシール面13a(後述)に押し付けられている。なお、弾性部材7は、ドライブカラー4に形成された貫通孔4cに挿通した状態でストッパリング5とリテーナ6との間に装着されている。
メカニカルシール1は、静止側ユニットとして、シールケース12と、静止密封環13と、ガスケット14と、カバー部材15とを備えている。
シールケース12は、環状部材からなり、軸方向に貫通する貫通孔12aが周方向に所定間隔をあけて複数形成されている。各貫通孔12aにはボルト16が挿通され、このボルト16はケーシングCに形成されたねじ穴c1に螺合されている。シールケース12の内周部には、静止密封環13が装着される環状段部12bが形成されている。
カバー部材15は、例えばアクリル製の円筒部材からなり、シールケース12の機外側の端面にボルト17により固定されている。このカバー部材15は、上記回転側ユニットのストッパリング5、ドライブカラー4、弾性部材7、ベローズ2及びリテーナ6を覆うように配置されている。
図2は、静止密封環13及びガスケット14を示す拡大断面図である。図2において、静止密封環13は、耐食性に優れたセラミックスからなり、本実施形態ではアルミナ(Al)又は炭化ケイ素(SiC)からなる。静止密封環13の機外側の端部には、回転密封環9のシール面9aに摺接するシール面13aが形成されている。また、静止密封環13の外周部には、シールケース12の環状段部12bの側面に面接触する第1取付面13bと、環状段部12bの周面に面接触する第2取付面13cとが形成されている。
また、静止密封環13の外周部には、第2取付面13cの機内側の端部から径方向内方に延びる環状の第1段差面13dと、第1段差面13dの内周端部から機内側に向かって軸方向に延びる第2段差面13eとが形成されている。第2段差面13eの機内側の端部は後述する背面13fの外周端部に接続されている。
静止密封環13の第1段差面13dは、シールケース12の機内側の端面12cに対して略面一に形成されており、これらの第1段差面13d及び端面12cには、環状のプレート18が押し当てられた状態でねじ19によりシールケース12に固定されている。これにより、静止密封環13は、シールケース12の環状段部12bとプレート18に挟持された状態で固定されている。
静止密封環13の内周面13gには、軸方向に延びる平坦面13g1と、この平坦面13g1から機内側に向うに従って漸次拡径するテーパ面13g2とが形成されている。静止密封環13の内周面13gは、ケーシングC内の流体(気体または液体の被密封流体)と直接接触する接触面とされている。
ガスケット14は、静止密封環13の背面13fと、この背面13fに対向するケーシングCの対向面c2との間をシール(二次シール)するものである。本実施形態のガスケット14は、耐食性とコスト面において優れたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)包みガスケットからなり、芯材である環状のガスケット本体14aと、このガスケット本体14aを軸方向両側から挟み込んだPTFEからなる包み部14bとを有している。なお、本実施形態の包み部14bは、ガスケット本体14aの内周側から外周側にかけて両端面を覆って包み込み、外周側を開放しているが、外周側も含めて包み込んでもよい。
包み部14bは、ガスケット本体14aの機外側において静止密封環13の背面13fに面接触する密封面14cと、ガスケット本体14aの機内側においてケーシングCの対向面c2に面接触する密封面14dとを有している。
以上の構成により、ボルト16(図1参照)を締め付けて、ガスケット14を静止密封環13の背面13fとケーシングCの対向面c2との間で挟圧することにより、これらの背面13fと対向面c2との間はガスケット14により密封されている。
図2に示すように、静止密封環13には、その全面にダイヤモンド膜d1〜d4が連続して形成されている。ダイヤモンド膜d1は、静止密封環13の機外側の端面、つまりシール面13aから第1取付面13bに亘って連続して形成されており、ダイヤモンド膜d2は、静止密封環13の外周面、つまり第2取付面13cから第2段差面13eに亘って連続して形成されている。
ダイヤモンド膜d3は、静止密封環13の機内側の端面である背面13fの全体に亘って連続して形成されており、ダイヤモンド膜d4は、静止密封環13の内周面(接触面)13gの全体に亘って連続して形成されている。なお、図2では、分かりやすいようにダイヤモンド膜d1〜d4の膜厚を誇張して描いている。
ダイヤモンド膜d1〜d4は、1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。このため、静止密封環13のシール面13aの耐摩耗性を向上させるだけでなく、以下の作用効果を奏する。すなわち、静止密封環13のシール面13aで発生した摩擦熱を、ダイヤモンド膜d1のシール面13a側から第1取付面13b側に伝熱させてシールケース12の環状段部12bに速やかに逃がすことができる。
また、ケーシングC内の流体が高温の場合、静止密封環13の内周面13gにおいて高温の流体に接触して発生した熱を、ダイヤモンド膜d4からダイヤモンド膜d3を経由してダイヤモンド膜d2に伝熱させてシールケース12の環状段部12bに速やかに逃がすことができる。さらに、ケーシングC内の流体が低温である場合、この流体に接触する静止密封環13の内周面13gを介して背面13fの温度が低下しようとするが、当該背面13fは、シールケース12の熱がダイヤモンド膜d2からダイヤモンド膜d3に伝熱することでその熱を取り込むことができる。
これにより、静止密封環13の背面13fにおいて、前記摩擦熱に起因する熱歪や、内周面13gの温度変化に起因する熱歪が生じにくくなるので、背面13fの平坦度が低下するのを抑制することができる。その結果、ガスケット14のシール性能が低下するのを効果的に抑制することができる。
ダイヤモンド膜d1〜d4は、例えばマイクロ波CVD法、熱フィラメントCVD法等の一般的な製造技術を用いて作製することができる。ダイヤモンド膜d1〜d4の厚さは、本発明において特に限定されるものではないが、通常、3〜30μm、好ましくは3〜10μmである。静止密封環13のシール面13aで発生した摩擦熱が当該静止密封環13の母材であるアルミナに移動する前に第1取付面13bに移動させるという観点からは、3μm以上の厚みであることが望ましい。また、ダイヤモンド膜が厚くなるほど膜の表面粗度も大きくなり、精密な機械部品であるメカニカルシールのシール面として使用するのが困難になるのに加えて、ダイヤモンド膜の残留応力を極力小さくするという観点からは、10μm以下であることが望ましい。
なお、ダイヤモンド膜d1〜d4の厚さは、同じ厚さであってもよいし、互いに異なる厚さであってもよい。静止密封環13のシール面13aで発生した摩擦熱を速やかに第1取付面13bからシールケース12に移動させるとともに、静止密封環13の内周面13gで発生した熱を速やかに第2取付面13cからシールケース12に移動させるという観点からは、シール面13a及び第1取付面13bのダイヤモンド膜d1の膜厚、及び第2取付面13cのダイヤモンド膜d2の膜厚が、他のダイヤモンド膜d3,d4の膜厚以上であることが望ましい。
また、本実施形態では、静止密封環13の全周にダイヤモンド膜を形成しているが、少なくとも静止密封環13の熱が発生する面の一部から、その熱をケーシングC側に放熱する面の一部に亘ってダイヤモンド膜が連続して形成されていればよい。例えば、摩擦熱が発生するシール面13aの少なくとも一部から、第1取付面13bの少なくとも一部に亘ってダイヤモンド膜が連続して形成されていてもよいし、前記高温の流体により熱が発生する内周面13gの少なくとも一部から第2取付面13cの少なくとも一部に亘ってダイヤモンド膜が連続して形成されていてもよい。
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係るメカニカルシールを示す断面図である。以下、第2実施形態のメカニカルシール1について、第1実施形態と相違する点について説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図3において、本実施形態のメカニカルシール1では、ストッパリング5が径方向に2分割されており、締付ボルト21を締め付けることにより、ストッパリング5は回転軸Sに強固に嵌合固定されている。
シールケース12には、周方向に所定間隔をあけて複数のねじ穴12dが形成されており、このねじ穴12dには、ケーシングCに形成された貫通孔c3を貫通したボルト16が螺合されている。
ケーシングCの機外側の端面、内周面、及び機内側の端面には、ケーシングCが腐食するのを防止するために、耐食性を有しかつ金属成分を含有しないノンメタル材料からなる被膜23が連続して形成されている。
図4は、第2実施形態のメカニカルシール1の静止密封環13及びガスケット14を示す拡大断面図である。図4において、静止密封環13の第1取付面13bとシールケース12の環状段部12bの側面との間は、静止密封環13の傾きを防止するために、例えばPTFEからなるガスケット22が設けられている。
シールケース12の端面12cの内周端部には、環状の切欠部12eが形成されている。この切欠部12eの底面12fとケーシングCの対向面c2との間にはガスケット14の外周部が配置されている。ガスケット14の内周部は静止密封環13の背面13fとケーシングCの対向面c2との間に配置されている。これにより、切欠部12eの底面12fとケーシングCの対向面c2との間、及び静止密封環13の背面13fとケーシングCの対向面c2との間は、単一のガスケット14によりシール(二次シール)されている。本実施形態のガスケット14は、PTFEシートガスケットからなり、切欠部12eの底面12fおよび静止密封環13の背面13fに面接触する密封面14eと、ケーシングCの対向面c2に面接触する密封面14fとを有している。
以上のように、第2実施形態のメカニカルシール1によれば、静止密封環13のシール面13aで発生した摩擦熱を、ダイヤモンド膜d1からダイヤモンド膜d2に伝熱させてシールケース12の環状段部12bに速やかに逃がすことができる。
また、ケーシングC内の流体が高温の場合、静止密封環13の内周面13gにおいて高温の流体に接触して発生した熱を、ダイヤモンド膜d4からダイヤモンド膜d3を経由してダイヤモンド膜d2に伝熱させてシールケース12の環状段部12bに速やかに逃がすことができる。さらに、ケーシングC内の流体が低温である場合、この流体に接触する静止密封環13の内周面13gを介して背面13fの温度が低下しようとするが、当該背面13fは、シールケース12の熱がダイヤモンド膜d2からダイヤモンド膜d3に伝熱することでその熱を取り込むことができる。
これにより、静止密封環13の背面13fにおいて、前記摩擦熱に起因する熱歪や、内周面13gの温度変化に起因する熱歪が生じにくくなるので、背面13fの平坦度が低下するのを抑制することができる。その結果、ガスケット14のシール性能が低下するのを効果的に抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、上記実施形態のガスケット14を、PTFE包みガスケット又はPTFEシートガスケットとしているが、これら以外の樹脂製の密封面を有するガスケットを用いていもよい。
1 メカニカルシール
2 ベローズ
2a 伸縮部
2b 固定部
2c 環状突起
2d 連結部
2e 環状段部
2f 舌部
3 固定リング
3a カム面
4 ドライブカラー
4a カム面
4b ドライブピン
4c 貫通孔
5 ストッパリング
6 リテーナ
6a 先端部
6b 基端部
6c 凹部
6d 環状段部
6e 凹部
7 弾性部材
8 挟圧リング
9 回転密封環
9a シール面
9b 環状突起
9c 環状突起
10 セットスクリュー
11 締付ボルト
12 シールケース
12a 貫通孔
12b 環状段部
12c 端面
12d ねじ穴
12e 切欠部
12f 底面
13 静止密封環
13a シール面
13b 第1取付面(取付面)
13c 第2取付面(取付面)
13d 第1段差面
13e 第2段差面
13f 背面
13g 内周面
13g1 平坦面
13g2 テーパ面
14 ガスケット
14a ガスケット本体
14b 包み部
14c 密封面
14d 密封面
14e 密封面
14f 密封面
15 カバー部材
16 ボルト
17 ボルト
18 プレート
19 ねじ
21 締付ボルト
22 ガスケット
23 被膜
C ケーシング
c1 ねじ穴
c2 対向面
c3 貫通孔
d1 ダイヤモンド膜
d2 ダイヤモンド膜
d3 ダイヤモンド膜
d4 ダイヤモンド膜
S 回転軸

Claims (2)

  1. 回転軸に一体回転可能に取り付けられ、シール面を有する回転密封環と、
    前記回転軸を包囲しているケーシング側に取り付けられ、当該ケーシング側に接触して取り付けられる取付面、及び前記回転密封環のシール面に摺接するシール面を有する静止密封環と、
    前記静止密封環のシール面の反対側となる背面と、当該背面に対向する前記ケーシング側の対向面との間を密封する樹脂製の密封面を有するガスケットと、を備えたメカニカルシールであって、
    前記静止密封環には、そのシール面の少なくとも一部から前記取付面の少なくとも一部に亘ってダイヤモンド膜が連続して形成されている、メカニカルシール。
  2. 回転軸に一体回転可能に取り付けられ、シール面を有する回転密封環と、
    前記回転軸を包囲しているケーシング側に取り付けられ、当該ケーシング側に接触して取り付けられる取付面、及び前記回転密封環のシール面に摺接するシール面を有する静止密封環と、
    前記静止密封環のシール面の反対側となる背面と、当該背面に対向する前記ケーシング側の対向面との間を密封する樹脂製の密封面を有するガスケットと、を備えたメカニカルシールであって、
    前記静止密封環には、前記ケーシング内の流体と直接接触する接触面の少なくとも一部から、前記取付面の少なくとも一部に亘ってダイヤモンド膜が連続して形成されている、メカニカルシール。
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