以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の蓄電装置用外装材は、少なくとも基材層、接着剤層、金属箔層、及び、シーラント層がこの順で積層された構造を有し、金属箔層の少なくともシーラント層側の面に腐食防止処理層が設けられている。すなわち、本実施形態の蓄電装置用外装材は、より具体的には、少なくとも基材層、接着剤層、金属箔層、腐食防止処理層、及び、シーラント層がこの順で積層された構造、又は、少なくとも基材層、接着剤層、腐食防止処理層、金属箔層、腐食防止処理層、及び、シーラント層がこの順で積層された構造を有する。そして、本実施形態の蓄電装置用外装材において、シーラント層が、ポリオレフィン樹脂を主成分とする層と酸変性ポリオレフィン樹脂を主成分とする層とを含む2以上の層からなり、上記2以上の層のうち、金属箔層から最も遠い位置に配置された最内層以外の少なくとも1層が、ポリオレフィン樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂が(メタ)アクリロキシ基又はアリル基を有する化合物に由来する構造を介して架橋された架橋構造を有する架橋層であり、且つ、最内層は上記架橋層ではない。なお、本実施形態の蓄電装置用外装材においては、基材層、接着剤層、金属箔層、腐食防止処理層、及び、シーラント層がこの順序で並んでいればよく、各層の間には別の層が配置されていてもよい。但し、密着性及び絶縁性の観点から、腐食防止処理層とシーラント層との間には別の層が配置されず、腐食防止処理層とシーラント層とが接していることが好ましい。以下、本実施形態の蓄電装置用外装材についていくつかの態様を例示しつつ説明する。
[蓄電装置用外装材]
図1は、本実施形態の蓄電装置用外装材の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示すように、本実施形態の外装材(蓄電装置用外装材)10は、基材層11と、該基材層11の一方の面上に形成された接着剤層12と、該接着剤層12の基材層11とは反対の面上に形成された金属箔層13と、該金属箔層13の接着剤層12とは反対の面上に形成された腐食防止処理層14と、該腐食防止処理層14の金属箔層13とは反対の面上に形成されたシーラント層16と、が順次積層された積層体である。外装材10は、基材層11が最外層、シーラント層16が最内層である。すなわち、外装材10は、基材層11を蓄電装置の外部側、シーラント層16を蓄電装置の内部側に向けて使用される。また、シーラント層16は、金属箔層13側に配置された金属箔側層16aと、金属箔層13から最も遠い位置に配置された最内層16bとを備える。以下、各層について説明する。
<基材層11>
基材層11は、蓄電装置製造時のシール工程における耐熱性付与、加工や流通の際に起こりうるピンホール対策という目的で設けるものであり、絶縁性を有する樹脂層を用いるのが好ましい。そのような樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムを、単層又は2層以上積層した多層フィルムとして使用することができる。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとナイロン(Ny)フィルムとを接着性樹脂を用いて共押出後に、延伸処理を施した共押し出し多層延伸フィルムを用いることが可能である。
基材層11の厚さは、6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。基材層11の厚さが6μm以上であることにより、蓄電装置用外装材10の耐ピンホール性及び絶縁性を向上できる傾向がある。一方、基材層11の厚さが40μm以下であることにより、蓄電装置用外装材10の深絞り成型性を十分に維持できる。
<接着剤層12>
接着剤層12は、基材層11と金属箔層13とを接着する層である。接着剤層12を構成する材料としては、具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系;イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系の二塩基酸の一種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなど脂肪族系;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコルなどの脂環式系;キシリレングリーコルなどの芳香族系のジオールの一種以上と、を用いて得られる。
また、ポリエステルポリオールとしては、上述した二塩基酸とジオールとを用いて得られるポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、あるいは少なくとも一種以上から選択される上記イソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテル系のポリオールや、鎖長伸長剤として上述したイソシアネート化合物を作用させたポリエーテルウレタンポリオールを用いることが可能である。
アクリルポリオールとしては、ポリ(メタ)アクリル酸(又はその塩)、あるいはポリ(メタ)アクリル酸を主成分とする共重合体が挙げられる。この共重合体の共重合成分としては、アルキル基がメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、又はシクロヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシランなどのシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー等が挙げられる。
カーボネートポリオールとしては、カーボネート化合物とジオールとを反応させて得ることができる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどを用いることができる。一方、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリールなどの脂環式ジオール;キシリレングリールなどの芳香族ジオールなどを用いることができる。カーボネートポリオールとしては、上述したカーボネート化合物の1種又は2種以上の混合物と、上述したジオールの1種又は2種以上の混合物とを用いたカーボネートポリオール、あるいは上述したイソシアネート化合物により鎖伸長を施したポリカーボネートウレタンポリオールが挙げられる。
上述した各種ポリオールは、外装材に求められる機能や性能に応じて、単独又は2種以上を併用して用いることができる。また、これらの主剤に、上述したイソシアネート系化合物を硬化剤として用いることでポリウレタン系接着剤として用いることも可能である。
更に、接着促進を目的として、上述したポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合してもよい。
カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドなどが挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、例えば、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2−オキサゾリンなどのモノオキサゾリン化合物、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などのジオキサゾリン化合物が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールのような脂肪族のジオールのジグリシジルエーテル、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパンなどの脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族、芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステル又はポリグリシジルエステル、レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンなどの多価フェノールのジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテル、N,N’−ジグリシジルアニリン、N,N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタンのようなアミンのN−グリシジル誘導体、アミノフェールのトリグリシジル誘導体、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、オルソクレゾール型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシが挙げられる。
リン化合物としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなど各種シランカップリング剤を使用することが可能である。
また、接着剤に求められる性能に応じて、上述したポリウレタン樹脂に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
接着剤層12の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
<金属箔層13>
金属箔層13は、水分が蓄電装置の内部に浸入することを防止する水蒸気バリア性を有する。また、金属箔層13は、深絞り成形をするために延展性を有する。金属箔層13としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属箔を使用することができ、質量(比重)、防湿性、加工性及びコストの面から、アルミニウム箔が好ましい。
アルミニウム箔としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができるが、さらなる耐ピンホール性、及び成形時の延展性を付与させる目的で、鉄を含むアルミニウム箔を用いるのが好ましい。アルミニウム箔中の鉄の含有量は、アルミニウム箔100質量%中、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた耐ピンホール性及び延展性を有する外装材10を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた外装材10を得ることができる。
また、アルミニウム箔としては、所望の成型時の延展性を付与できる点から、焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔(例えば、JIS規格でいう8021材、8079材よりなるアルミニウム箔)が更に好ましい。
金属箔層13の厚さは、特に限定されるものではないが、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9〜200μmとすることが好ましく、15〜100μmとすることがより好ましい。
金属箔層13にアルミニウム箔を用いる場合、アルミニウム箔としては、未処理のアルミニウム箔を用いてもよいが、耐電解液性を付与する点で脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いるのが好ましい。脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプが挙げられる。
ウェットタイプとしては、酸脱脂やアルカリ脱脂などが挙げられる。酸脱脂に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸が挙げられ、これら無機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルミニウム箔のエッチング効果を向上させるという観点から、必要に応じてFeイオンやCeイオンなどの供給源となる各種金属塩を配合しても構わない。アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものを用いてもよい。これらの脱脂は浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプとしては、アルミニウムを焼鈍処理する工程で、脱脂処理を行う方法が挙げられる。また、脱脂処理の他にも、フレーム処理やコロナ処理などを行ってもよい。更には特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去するような脱脂処理も挙げられる。
なお、アルミニウム箔に脱脂処理する場合は、アルミニウム箔の片面のみに脱脂処理を施してもよく、両面に脱脂処理を施してもよい。
<腐食防止処理層14>
腐食防止処理層14は、電解液、又は、電解液と水分の反応により発生するフッ酸による金属箔層13の腐食を防止するために設けられる層である。腐食防止処理層14としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれらの処理の組み合わせにより形成される。
脱脂処理としては、酸脱脂あるいはアルカリ脱脂が挙げられる。酸脱脂としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸の単独、又はこれらの混合液を使用する方法などが挙げられる。また、酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウムなどのフッ素含有化合物を上記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、特に金属箔層13にアルミニウム箔を用いた場合に、アルミニウムの脱脂効果が得られるだけでなく、不動態であるアルミニウムのフッ化物を形成させることができ、耐フッ酸性という点で有効である。アルカリ脱脂としては、水酸化ナトリウムなどを使用する方法が挙げられる。
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理するベーマイト処理が挙げられる。
陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。
化成処理としては、浸漬型、塗工型が挙げられる。浸漬型の化成処理としては、例えばクロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合相からなる各種化成処理が挙げられる。一方、塗工型の化成処理としては、腐食防止性能を有するコーティング剤を金属箔層13上に塗工する方法が挙げられる。
これら腐食防止処理のうち、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理のいずれかで腐食防止処理層の少なくとも一部を形成する場合は、事前に上述した脱脂処理を行うことが好ましい。なお、金属箔層13として焼鈍工程を通した金属箔など脱脂処理済みの金属箔を用いる場合は、腐食防止処理層14の形成において改めて脱脂処理する必要なはい。
塗工型の化成処理に用いられるコーティング剤は、好ましくは3価クロムを含有する。また、コーティング剤には、後述するカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーが含まれていてもよい。
また、上記処理のうち、特に熱水変成処理、陽極酸化処理は、処理剤によってアルミニウム箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れるアルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト)を形成させる。そのため、アルミニウム箔を用いた金属箔層13から腐食防止処理層14まで共連続構造を形成した形態になるので、化成処理の定義に包含されるが、後述するように化成処理の定義に含まれない、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層14を形成することも可能である。この方法としては、例えば、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素酸化物のゾルを用いる方法が挙げられる。この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔などの金属箔に腐食防止効果を付与することが可能となる。
上記希土類元素酸化物のゾルとしては、例えば、水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系などの各種溶媒を用いたゾルが挙げられる。なかでも、水系のゾルが好ましい。
上記希土類元素酸化物のゾルには、通常その分散を安定化させるために、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸又はその塩、酢酸、りんご酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸が分散安定化剤として用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸は、外装材10において、(1)ゾルの分散安定化、(2)リン酸のアルミキレート能力を利用した金属箔層13との密着性の向上、(3)フッ酸の影響で溶出したアルミニウムイオンを捕獲(不動態形成)することよる電解液耐性の付与、(4)低温でもリン酸の脱水縮合を起こしやすいことによる腐食防止処理層14(酸化物層)の凝集力の向上、などが期待される。
上記リン酸又はその塩としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、又はこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。なかでも、外装材10における機能発現には、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、又はこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が好ましい。また、上記希土類元素酸化物のゾルを用いて、各種コーティング法により希土類元素酸化物からなる腐食防止処理層14を形成させる時の乾燥造膜性(乾燥能力、熱量)を考慮すると、低温での脱水縮合性に優れる点から、ナトリウム塩がより好ましい。リン酸塩としては、水溶性の塩が好ましい。
希土類元素酸化物に対するリン酸(あるいはその塩)の配合比は、希土類元素酸化物100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。上記配合比が希土類元素酸化物100質量部に対して1質量部以上であれば、希土類元素酸化物ゾルがより安定になり、外装材10の機能がより良好になる。上記配合比は、希土類元素酸化物100質量部に対して5質量部以上がより好ましい。また、上記配合比が希土類元素酸化物100質量部に対して100質量部以下であれば、希土類元素酸化物ゾルの機能が高まり、電解液の浸食を防止する性能に優れる。上記配合比は、希土類元素酸化物100質量部に対して、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましい。
上記希土類元素酸化物ゾルにより形成される腐食防止処理層14は、無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても層自身の凝集力が低くなるおそれがある。そこで、この場合の腐食防止処理層14は、凝集力を補うために、下記アニオン性ポリマー、又はカチオン性ポリマーにより複合化されていることが好ましい。
アニオン性ポリマーとしては、カルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸(あるいはその塩)、あるいはポリ(メタ)アクリル酸を主成分として共重合した共重合体が挙げられる。この共重合体の共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など。);(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基など。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシランなどのシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。
これらアニオン性ポリマーは、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層14(酸化物層)の安定性を向上させる役割を果たす。これは、硬くて脆い酸化物層をアクリル系樹脂成分で保護する効果、及び、希土類元素酸化物ゾルに含まれるリン酸塩由来のイオンコンタミ(特にナトリウムイオン)を捕捉する(カチオンキャッチャー)効果によって達成される。つまり、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層14中に、特にナトリウムなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、このイオンを含む場所を起点にして腐食防止処理層14が劣化しやすくなる。そのため、アニオン性ポリマーによって希土類元素酸化物ゾルに含まれるナトリウムイオンなどを固定化することで、腐食防止処理層14の耐性が向上する。
アニオン性ポリマーと希土類元素酸化物ゾルを組み合わせた腐食防止処理層14は、アルミニウム箔にクロメート処理を施して形成した腐食防止処理層14と同等の腐食防止性能を有する。アニオン性ポリマーは、本質的に水溶性であるポリアニオン性ポリマーが架橋された構造であることが好ましい。この構造の形成に用いる架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシ基、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類;あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類;あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化したブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸などのジカルボン酸と、エピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いてもよい。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物、あるいはイソプロペニルオキサゾリンのような重合性モノマーを用いる場合には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどのアクリル系モノマーを共重合させたものが挙げられる。
また、アニオン性ポリマーには、シランカップリング剤のように、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にさせてもよい。この場合、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどが使用できる。なかでも、特にアニオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮すると、エポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好ましい。
アニオン性ポリマーに対するこれらの架橋剤の比率は、アニオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して1質量部以上であれば、架橋構造が十分に形成されやすい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して50質量部以下であれば、塗液のポットライフが向上する。
アニオン性ポリマーを架橋する方法は、上記架橋剤に限らず、チタニウム、ジルコニウム化合物を用いてイオン架橋を形成する方法などであってもよい。
カチオン性ポリマーとしては、アミンを有するポリマーが挙げられ、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノールなどのカチオン性のポリマーが挙げられる。
カチオン性ポリマーは、カルボキシ基やグリシジル基などのアミン/イミンと反応が可能な官能基を有する架橋剤と併用することが好ましい。カチオン性ポリマーと併用する架橋剤としては、ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーも使用でき、例えば、ポリアクリル酸あるいはそのイオン塩などのポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入した共重合体、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩などのカルボキシ基を有する多糖類などが挙げられる。ポリアリルアミンとしては、例えば、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体などが挙げられる。これらのアミンは、フリーのアミンであってもよく、酢酸あるいは塩酸による安定化物であってもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化硫黄などを使用してもよい。更に、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与したタイプも使用でき、また、アミノフェノールも使用できる。特に、アリルアミンあるいはその誘導体が好ましい。
本実施形態では、カチオン性ポリマーも腐食防止処理層14を構成する一構成要素として記載している。その理由は、蓄電装置用外装材で要求される電解液耐性、フッ酸耐性を付与するべく様々な化合物を用い鋭意検討を行った結果、カチオン性ポリマー自体も、電解液耐性、耐フッ酸性を付与することが可能な化合物であることが判明したためである。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基で補足する(アニオンキャッチャー)ことで、アルミニウム箔が損傷することを抑制しているためであると推測される。
カチオン性ポリマーは、接着性の向上という点でより好ましい材料である。また、カチオン性ポリマーも、上記アニオン性ポリマーと同様に、水溶性であることから、架橋構造を形成させて耐水性を付与することがより好ましい。カチオン性ポリマーに架橋構造を形成する際の架橋剤は、アニオン性ポリマーの項で説明した架橋剤を使用できる。腐食防止処理層14として希土類元素酸化物ゾルを用いた場合、その保護層として上記アニオン性ポリマーを用いる代わりに、カチオン性ポリマーを用いてもよい。
クロメート処理に代表される化成処理による腐食防止処理層は、アルミニウム箔との傾斜構造を形成させるため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いてアルミニウム箔に処理を施し、次いでクロムやノンクロム系の化合物を作用させて化成処理層をアルミニウム箔に形成させるものである。しかしながら、上記化成処理は、化成処理剤に酸を用いていることから、作業環境の悪化やコーティング装置の腐食を伴う。一方、前述したコーティングタイプの腐食防止処理層14は、クロメート処理に代表される化成処理とは異なり、アルミニウム箔を用いた金属箔層13に対して傾斜構造を形成させる必要がない。そのため、コーティング剤の性状は、酸性、アルカリ性、中性などの制約を受けることがなく、良好な作業環境を実現できる。加えて、クロム化合物を用いるクロメート処理は、環境衛生上、代替案が求められている点からも、コーティングタイプの腐食防止処理層14が好ましい。
以上の内容から、上述したコーティングタイプの腐食防止処理の組み合わせの事例として、(1)希土類元素酸化物ゾルのみ、(2)アニオン性ポリマーのみ、(3)カチオン性ポリマーのみ、(4)希土類元素酸化物ゾル+アニオン性ポリマー(積層複合化)、(5)希土類元素酸化物ゾル+カチオン性ポリマー(積層複合化)、(6)(希土類元素酸化物ゾル+アニオン性ポリマー:積層複合化)/カチオン性ポリマー(多層化)、(7)(希土類元素酸化物ゾル+カチオン性ポリマー:積層複合化)/アニオン性ポリマー(多層化)、等が挙げられる。中でも(1)及び(4)〜(7)が好ましく、(4)〜(7)が特に好ましい。ただし、本実施形態は、上記組み合せに限られるわけではない。たとえば腐食防止処理の選択の事例として、カチオン性ポリマーは、後述するシーラント層(金属箔側層16a)の説明で挙げる変性ポリオレフィン樹脂との接着性が良好であるという点でも非常に好ましい材料であることから、シーラント接着層が変性ポリオレフィン樹脂で構成される場合においては、シーラント接着層に接する面にカチオン性ポリマーを設ける(例えば、構成(5)及び(6)などの構成)といった設計が可能である。
また、腐食防止処理層14は、前述した層には限定されない。例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノールなど)にリン酸とクロム化合物を配合した処理剤を用いて形成してもよい。この処理剤を用いれば、腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。また、塗液の安定性を考慮する必要があるものの、希土類元素酸化物ゾルとポリカチオン性ポリマーあるいはポリアニオン性ポリマーとを事前に一液化したコーティング剤を使用して腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。
腐食防止処理層14の単位面積当たりの質量は、多層構造、単層構造いずれであっても、0.005〜0.200g/m2が好ましく、0.010〜0.100g/m2がより好ましい。上記単位面積当たりの質量が0.005g/m2以上であれば、金属箔層13に腐食防止機能を付与しやすい。また、上記単位面積当たりの質量が0.200g/m2を超えても、腐食防止機能はあまり変らない。一方、希土類元素酸化物ゾルを用いた場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不十分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。なお、腐食防止処理層14の厚みについては、その比重から換算できる。
<シーラント層16>
シーラント層16は、外装材10にヒートシールによる封止性を付与する層である。シーラント層16は、ポリオレフィン樹脂を主成分とする層と酸変性ポリオレフィン樹脂を主成分とする層とを含む2以上の層からなり、少なくとも金属箔側層16a及び最内層16bの2層を有する。腐食防止処理層14との密着性、成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性を向上する観点から、金属箔側層16aは酸変性ポリオレフィン樹脂を主成分とする層であることが好ましく、電解液が関与するシール特性を向上する観点から、最内層16bはポリオレフィン樹脂(酸変性されていないポリオレフィン樹脂)を主成分とする層であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、全構成成分のうち最も多い成分を意味する。図1に示した外装材10においては、金属箔側層16aが架橋層であり、最内層16bは架橋層ではない(非架橋層である)。
<金属箔側層16a>
外装材10における金属箔側層16aは、ポリオレフィン樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂が(メタ)アクリロキシ基又はアリル基を有する化合物に由来する構造を介して架橋された架橋構造を有する架橋層である。上記架橋構造を有する金属箔側層16aは、ポリオレフィン樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂と、架橋助剤としての(メタ)アクリロキシ基又はアリル基を有する化合物とを含む樹脂組成物を用いて樹脂層を形成し、当該樹脂層に活性エネルギー線を照射してポリオレフィン樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂を架橋させることで形成することができる。また、上記樹脂層は、光開始剤としてのベンゾイル基を有する化合物又はアジド化合物を更に含むことが好ましい。以下、金属箔側層16aの形成に用いる樹脂組成物の成分について詳細に説明する。
樹脂組成物は、特に制限されないが、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分と、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分とを含有することが好ましい。また、樹脂組成物は、添加剤成分として、アタクチック構造のポリプロピレン及び/又はプロピレン−αオレフィン共重合体を含むことが好ましい。中でも、添加剤成分は、アタクチック構造のポリプロピレン又はアタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(c)を含むことがより好ましい。以下、各成分について説明する。
(変性ポリオレフィン樹脂(a))
変性ポリオレフィン樹脂(a)は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が、ポリオレフィン樹脂にグラフト変性された樹脂であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂などが挙げられるが、耐熱性の観点からポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
これらのポリオレフィン樹脂をグラフト変性する際に用いる化合物としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が挙げられる。
具体的には、不飽和カルボン酸として、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などが挙げられる。
不飽和カルボン酸の酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸の酸無水物などが挙げられる。
不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸のエステルなどが挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂(a)は、ベースとなるポリオレフィン樹脂100質量部に対し、上述した不飽和カルボン酸誘導体成分0.2〜100質量部をラジカル開始剤の存在下、グラフト重合(グラフト変性)することで製造することができる。グラフト変性の反応温度は、50〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましい。また、反応時間は、製造方法に応じて適宜設定されるが、例えば二軸押出機による溶融グラフト重合の場合、押出機の滞留時間内、具体的には2〜30分が好ましく、5〜10分がより好ましい。なお、グラフト変性は、常圧、加圧のいずれの条件下においても実施できる。
グラフト変性に用いられるラジカル開始剤としては、アルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。
これらの有機過酸化物は、上述した反応温度や反応時間の条件によって適宜選択して用いることができる。例えば、二軸押出機による溶融グラフト重合の場合、アルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステルが好ましく、具体的にはジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−ヘキシン−3、ジクミルペルオキシドなどが好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂(a)としては、無水マレイン酸により変性されたポリオレフィン樹脂が好ましく、例えば、三井化学社製の「アドマー」、三菱化学社製の「モディック」などが適している。このような変性ポリオレフィン樹脂(a)成分は、各種金属や各種官能基を有するポリマーとの反応性に優れるため、該反応性を利用して金属箔側層16aに密着性を付与することができ、耐電解液性を向上することができる。
(マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b))
マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)は、変性ポリオレフィン樹脂(a)に対し、分散相サイズが200nmを超え、50μm以下の範囲でマクロ相分離構造を形成するものである。
樹脂組成物が、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分を含有することにより、金属箔側層16aを構成する主成分となる変性ポリオレフィン樹脂(a)成分等をラミネートする際に発生する残留応力を開放することができ、熱弾性的な接着性を金属箔側層16aに付与することができる。従って、金属箔側層16aの密着性がより向上して、耐電解液性により優れた外装材10が得られる。
マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)は、変性ポリオレフィン樹脂(a)上で海島状に存在するが、分散相サイズが200nm以下であると、粘弾性的な接着性の改善を付与させることが困難になる。一方、分散相サイズが50μmを超えると、変性ポリオレフィン樹脂(a)とマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)とは本質的に非相溶性であるため、ラミネート適正(加工性)が著しく低下すると共に、金属箔側層16aの物理的強度が低下しやすくなる。以上より、分散相サイズは、500nm〜10μmであることが好ましい。
このようなマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)としては、例えば、エチレン−プロピレンゴム、並びに、エチレン及び/又はプロピレンに、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンから選ばれるα−オレフィンを共重合させたポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
また、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分としては、市販品を使用することができ、例えば、三井化学社製の「タフマー」、三菱化学社製の「ゼラス」、モンテル社製の「キャタロイ」などが適している。
樹脂組成物中の変性ポリオレフィン樹脂(a)成分に対するマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分の含有量は、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分100質量部に対して、1〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。ここで、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分の含有量が1質量部未満であると、(b)成分の添加による金属箔側層16aの密着性の向上が期待できない。一方、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分の含有量が40質量部を越えると、本来、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分とマクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分とは相溶性が低いために加工性が著しく低下しやすくなる。また、マクロ相分離熱可塑性エラストマー(b)成分は接着性を示す樹脂ではないため、最内層16bや腐食防止処理層14などの他の層に対する金属箔側層16aの密着性が低下しやすくなる。
(アタクチック構造のポリプロピレン又はアタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(c))
樹脂組成物は、添加剤成分として、アタクチック構造のポリプロピレン又はアタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(以下、単に、「成分(c)」と称する)を含むことが好ましい。ここで、成分(c)は、完全非晶性の樹脂成分である。
アタクチック構造のポリプロピレン又はアタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体とは、プロピレン及びα−オレフィンの少なくとも一方の側鎖の配列がアタクチック構造であることを示す。言い換えると、このような構造としては、次の4つの場合が挙げられる。
(1)ポリプロピレンのプロピレン連鎖の側鎖の配向がアタクチック構造である場合
(2)プロピレン−αオレフィン共重合体中のプロピレン連鎖の側鎖の配向がアタクチック構造である場合
(3)プロピレン−αオレフィン共重合体中のα−オレフィンの連鎖の側鎖の配向がアタクチック構造である場合
(4)プロピレン−αオレフィン共重合体中のプロピレン/α−オレフィン複合連鎖の側鎖の配向がアタクチック構造である場合
本実施形態に係るポリプロピレン又はプロピレン−αオレフィン共重合体のアタクチック構造は、例えば、次の方法によって確認することができる。まず、本実施形態に係るポリプロピレン又はプロピレン−αオレフィン共重合体の重合に用いた遷移金属錯体を用いてホモポリプロピレンを重合する。次いで、13C−NMRスペクトルにより、プロピレンメチル炭素のmm、mr、及びrrに帰属される各シグナルの強度をそれぞれ[mm]、[mr]、及び[rr]で表したとき、下記式で定義されるF(1)が得られる。この式で得られるF(1)の値が、40以上60以下である場合、上述の重合によって得られたホモポリプロピレンがアタクチック構造を有すると判定することができる。F(1)の値は、43以上57以下であることが好ましく、45以上55以下であることが更に好ましい。F(1)の値が上記範囲内であると、接着性樹脂層において、冷間成型時などの応力によるクラックの発生がより抑制され、成型後の絶縁性をより向上させることができる。
F(1)=100×[mr]/([mm]+[mr]+[rr])
以下、樹脂組成物において、主成分となる成分(a)及び成分(b)に添d加剤成分(c)を添加する効果について説明する。
成分(c)は、樹脂組成物が溶融状態においては樹脂組成物中の変性ポリオレフィン樹脂(a)成分と相溶であるが、冷却に伴う結晶化の際に結晶外へ排出され、相分離する。これにより、成分(c)は、主成分である樹脂組成物中の変性ポリオレフィン樹脂(a)成分の結晶化度を阻害しない。また、樹脂組成物中に成分(c)を添加することで、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分の濃度が成分(c)によって希釈されて結晶成長が抑制されるため、ベース樹脂の接着成分(すなわち、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分)の結晶サイズ(球晶サイズ)を小さくすることが可能となる。また、結晶外に排出された成分(c)は、変性ポリオレフィン樹脂(a)成分の微小球晶の周辺に、均一に分散する。
また、樹脂組成物に添加剤成分として成分(c)を添加することにより、樹脂組成物中の変性ポリオレフィン樹脂成分(a)の結晶化度を保持しつつ、柔軟性を付与できるため、外装材10の電解液膨潤時のラミネート強度の低下を抑制することが可能となるとともに、冷間成型時の応力に伴う金属箔側層16aでのボイド−クレーズの発生が抑制できるため、成型後の絶縁性をより向上させることができる。
樹脂組成物中の成分(c)の割合は、下限値が2.5質量%であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。一方、上限値は、60質量%であることが好ましい。ここで、樹脂組成物中の成分(c)の割合が2.5質量%未満であると、上述したような成分(c)を添加することによる効果が十分に得られない傾向がある。一方、60質量%を超えると、最内層16bや腐食防止処理層14などの他の層に対する金属箔側層16aの密着性が低下しやすくなる傾向がある。
(アイソタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(d))
樹脂組成物は、添加剤成分として、上述した成分(c)に加えて、アイソタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(以下、単に「成分(d)」と称する)を更に含むことが好ましい。
ここで、成分(d)は、樹脂組成物において、変性ポリオレフィン樹脂(a)が特にポリプロピレン系の接着性樹脂の場合に相溶ゴム成分として作用し、当該変性ポリオレフィン樹脂(a)の結晶化を抑制する。
すなわち、樹脂組成物に、添加剤成分として更に成分(d)を添加することにより、応力を緩和するための柔軟性が付与でき、冷間成型時の応力に伴う金属箔側層16aでのボイド−クレーズの発生が抑制できるため、成型後の絶縁性をより向上させることができる。
樹脂組成物中の添加剤成分(すなわち、成分(c)と成分(d)との総量)の割合は、5〜40質量%であることが好ましい。ここで、樹脂組成物中の添加剤成分の割合が5質量%未満であると、上述したような添加剤を添加することによる効果が十分に得られない傾向がある。一方、40質量%を超えると、最内層16bや腐食防止処理層14などの他の層に対する金属箔側層16aの密着性が低下しやすくなる傾向がある。
なお、樹脂組成物中の、添加剤成分である成分(c)の分析方法としては、例えば、核磁気共鳴分光法(NMR)による立体規則性評価によって定量することが可能である。
一方、成分(d)の分析としては、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)を用いて、α−オレフィンの分岐に帰属される吸収体と、変性ポリオレフィン樹脂(a)の特性吸収体に帰属される吸収体とで検量線を作成することで、配合比を確認することができる。
(接着剤成分)
樹脂組成物の樹脂成分としては、上述した成分(a)〜(d)を含む組成物に代えて、腐食防止処理層14及び最内層16bに対して接着性を有する一般的な接着剤成分を用いることもできる。
接着剤成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入したものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基などが挙げられ、カルボキシ基が特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、上記変性ポリオレフィン樹脂(a)として例示したものと同様のものを用いることができる。
腐食防止処理層14が上述したカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む層を有する場合、接着剤成分は、腐食防止処理層14に含まれる上記ポリマーと反応性を有する化合物(以下、「反応性化合物」とも言う)を含むことが好ましい。
例えば、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマーを含む場合、接着剤成分はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含むことが好ましい。腐食防止処理層14がアニオン性ポリマーを含む場合、接着剤成分はアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含むことが好ましい。また、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーを含む場合、接着剤成分はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物と、アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物とを含むことが好ましい。ただし、接着剤成分は必ずしも上記2種類の化合物を含む必要はなく、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの両方と反応性を有する化合物を含んでいてもよい。ここで、「反応性を有する」とは、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーと共有結合を形成することである。
カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、カルボジイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
これら多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、カルボジイミド化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示した多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、カルボジイミド化合物などが挙げられる。これらの中でも、カチオン性ポリマーとの反応性が高く、架橋構造を形成しやすい点で、多官能イソシアネート化合物が好ましい。
アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。これらグリシジル化合物、オキサゾリン基、を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示したグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性ポリマーとの反応性が高い点で、グリシジル化合物が好ましい。
反応性化合物は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基とも反応性を有する(すなわち、酸性基と共有結合を形成する)ことが好ましい。これにより、腐食防止処理層14との接着性がより高まる。加えて、上記反応性化合物も酸変性ポリオレフィン樹脂による架橋構造の形成に寄与し、外装材20の耐溶剤性がより向上する。なお、上記反応性化合物のみで形成される架橋構造は、成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性の向上には不十分であるため、後述する架橋助剤、あるいは架橋助剤及び光開始剤の添加が必要である。
反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基に対し、等量から10倍等量であることが好ましい。等量以上であれば、反応性化合物が酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基と十分に反応する。一方、10倍等量を超えると、酸変性ポリオレフィン樹脂との架橋反応としては十分飽和に達しているため、未反応物が存在し、各種性能の低下が懸念される。
なお、金属箔層とシーラント層とを接着させるために用いる一般的な接着剤には、シランカップリング剤が含まれている場合がある。これは、シランカップリング剤を配合することで接着を促進し、接着強度を高めるためである。しかし、シランカップリング剤を配合する接着剤を用いると、シランカップリング剤に含まれる官能基の種類によっては、金属箔側層16a形成用の樹脂組成物に含まれるシランカップリング剤以外の成分とシランカップリング剤とが副反応を起こし、本来の目的の架橋反応に弊害が生じるおそれがある。そのため、本実施形態で用いる接着剤成分には、シランカップリング剤が含まれていないことが好ましい。
接着剤成分が上述した反応性化合物を含むことにより、腐食防止処理層14中のポリマーと共有結合を形成し、腐食防止処理層14と金属箔側層16aとの接着強度が向上する。よって、接着剤成分には接着を促進する目的でシランカップリング剤を配合する必要がなく、接着剤成分はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
(架橋助剤)
樹脂組成物は、架橋助剤として、(メタ)アクリロキシ基又はアリル基を有する化合物を含む。(メタ)アクリロキシ基を有する化合物とアリル基を有する化合物とは併用してもよい。樹脂組成物が上記架橋助剤を含むことにより、樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して架橋構造を形成する際に、架橋反応が進行しやすくなり、架橋が形成され難い高分子においても、架橋構造を形成することが可能となる。
(メタ)アクリロキシ基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アミド等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基としては、メチル基、エチル基、ドデシル基、ステアリル基、ラウリル基等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の代わりに、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基などで置換されていてもよい。更に、(メタ)アクリロキシ基を含有する化合物としては、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロキシ基を有する化合物としては、より緻密な架橋構造が形成されて成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性がより向上する観点から、(メタ)アクリロキシ基を2つ以上有する化合物が好ましく、(メタ)アクリロキシ基を3つ以上有する化合物がより好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アリル基を有する化合物としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられる。これらの中でも、アリル基を有する化合物としては、より緻密な架橋構造が形成されて成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性がより向上する観点から、アリル基を2つ以上有する化合物が好ましく、アリル基を3つ以上有する化合物がより好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂組成物における架橋助剤の含有量は、上述した成分(a)及び成分(b)の総量100質量部に対して0.05〜5.0質量部であることが好ましく、0.1〜2.0質量部であることがより好ましい。架橋助剤の含有量が0.05質量部以上であれば、架橋構造を十分に形成でき、5.0質量部以下であれば、過度の反応を防止でき、発泡や分解による樹脂の劣化を防ぐことができる。
(光開始剤)
樹脂組成物は、光開始剤として、ベンゾイル基を有する化合物又はアジド化合物を含むことが好ましい。ベンゾイル基を有する化合物とアジド化合物とは併用してもよい。上記光開始剤を樹脂組成物に添加することで、低エネルギーの活性エネルギー線でも容易にラジカルを形成でき、また、架橋助剤が存在することで、光開始剤で形成されたラジカルを起点として架橋反応が効率的に進行する。そのため、樹脂組成物に架橋助剤及び光開始剤を添加することにより、架橋が形成され難い高分子においても、架橋構造を形成することが可能となる。また、架橋助剤及び光開始剤が添加された層では、活性エネルギー線の照射による反応が進行し易いため、選択的に層を架橋することが可能となる。なお、架橋された層は分子の流動が抑制されるため、ヒートシール特性が悪くなることから、最内層には適さない。
光開始剤としては、紫外線(UV)又は電子線(EB)などの活性エネルギー線により容易に分解し、各種ラジカルを形成できる、ベンゾイル基を有する化合物及びアジド化合物が挙げられる。ベンゾイル基を有する化合物は、置換基を有するベンゾイル基を含む化合物であってもよい。
ベンゾイル基を有する化合物として具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’メチル−ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−(t−ブチルパ−オキシカルボニルベンゾフェノン)、アセトフェノン、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2メチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも、ベンゾイル基を有する化合物としては、ポリオレフィン樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂の分解劣化を抑制できるUV照射において架橋反応を促進する化合物が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アジド化合物として具体的には、4−アセトアミド−フェニルスルホンアジド、4−アジド−N−(4−アジドフェニル)ベンゼンアミン、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム四水和物、4,4’−ジアジドスチルベン−α−カルボン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム、4−アジドベンザルアセトフェノン−2−スルホン酸、4,4’−ジアジドベンザルアセトフェノン−2−スルホン酸、4−アジドベンザルアセトフェノン、4−アジド−N−(4−アジドフェニル)ベンゼンアミン、2,6−ビス[(4−アジドフェニル)メチレン]−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらの中でも、アジド化合物としては、ポリオレフィン樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂の分解劣化を抑制できるUV照射において架橋反応を促進する化合物が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂組成物における光開始剤の含有量は、上述した成分(a)及び成分(b)の総量100質量部に対して0.001〜2.0質量部であることが好ましい。光開始剤の含有量が0.001質量部以上であれば、架橋反応を促進する効果が得られやすく、2質量部以下であれば、過剰なラジカル形成を防ぎ、樹脂の分解を抑制することができる。
樹脂組成物は、上述した各成分の他に、必要に応じて各種添加剤、例えば難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などを含有してもよい。
金属箔側層16aは、上述した樹脂組成物を押出成形又は塗工して樹脂層を形成し、当該樹脂層に活性エネルギー線を照射して架橋させることで形成することができる。押出成形により金属箔側層16aを形成する場合、樹脂組成物としては、上述した成分(a)〜(d)、架橋助剤及び光開始剤を含む樹脂組成物(但し、(b)〜(d)成分及び光開始剤は任意成分)を用いることが好ましい。塗工により金属箔側層16aを形成する場合、樹脂組成物としては、上述した接着剤成分、架橋助剤及び光開始剤を含む樹脂組成物(但し、光開始剤は任意成分)をトルエン等の溶剤で希釈して用いることが好ましい。具体的な形成方法は後述する。
このようにして形成される金属箔側層16aは、ポリオレフィン樹脂又は酸変性ポリオレフィン樹脂が、架橋助剤である(メタ)アクリロキシ基又はアリル基を有する化合物に由来する構造を介して架橋された架橋構造を有することとなる。架橋構造は、NMR(核磁気共鳴)又はMALDI−MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)によって解析可能である。また、金属箔側層16a中に存在する架橋助剤及び光開始剤の有無はIR(赤外線吸収スペクトル)やHPLC(高速液体クロマトグラフィー)、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)にて分析可能である。
金属箔側層16aの厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、並びに成型後及びデガッシングヒートシール後の十分な絶縁性を得る観点から、1〜30μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。
<最内層16b>
最内層16bは、上述した金属箔側層16aのような架橋構造を有さない非架橋層である。最内層16bは、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン樹脂を含んで構成されるものが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のポリプロピレン系樹脂のうち、プロピレン−エチレンランダム共重合体は、プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン単独重合体と比較して低温でのヒートシール性に優れており、電解液が関与するシール特性を向上することができる。また、プロピレン−エチレンランダム共重合体は、結晶性が低いため、熱収縮による体積変化を抑制して、クラックの発生を抑制し、成型後の絶縁性を向上することができる。
プロピレン−エチレンランダム共重合体において、エチレン含有量は0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜7質量%であることがより好ましく、2〜5質量%であることが更に好ましい。エチレン含有量が0.1質量%以上であると、エチレンを共重合させることによる融点低下効果が十分に得られ、電解液が関与するシール特性をより一層向上できる傾向がある。エチレン含有量が10質量%以下であると、融点が下がりすぎることを抑制でき、シール部以外での熱融着(過剰シール部分)の発生をより十分に抑制できる傾向がある。なお、エチレン含有量は、赤外線吸収スペクトル法(IR法)、核磁気共鳴吸収法(13C−NMR法、1H−NMR法)などで測定することができる。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の融点は、120〜145℃であることが好ましく、125〜140℃であることがより好ましい。融点が120℃以上であると、過剰シール部分の発生をより十分に抑制できる傾向がある。融点が145℃以下であると、電解液が関与するシール特性をより一層向上できる傾向がある。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の重量平均分子量は、融点が上記範囲内となるように適宜調整することが好ましいが、好ましくは10,000〜1,000,000であり、より好ましくは100,000〜300,000である。
プロピレン−エチレンランダム共重合体は、酸変性されたものであってもよく、例えば、無水マレイン酸をグラフト変性させた酸変性プロピレン−エチレンランダム共重合体であってもよい。酸変性プロピレン−エチレンランダム共重合体を用いることにより、タブシーラントがなくてもタブリードとの密着性を保つことができる。
最内層16bにおけるプロピレン−エチレンランダム共重合体の含有量は、最内層16bを構成する成分全量を基準として50〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
最内層16bには、プロピレン−エチレンランダム共重合体に対して相溶性を有する相溶系エラストマー及び/又はプロピレン−エチレンランダム共重合体に対して相溶性を有さない非相溶系エラストマーを更に含有させることができる。相溶系エラストマーは、クラックの発生を抑制して成型後の絶縁性の向上に寄与することができ、非相溶系エラストマーは、デガッシングヒートシール強度を含む電解液が関与するシール特性の向上に寄与することができる。
相溶系エラストマーは、プロピレン−エチレンランダム共重合体に対して相溶性を有するエラストマーである。ここで、プロピレン−エチレンランダム共重合体に対して相溶性を有する(相溶系)とは、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂中に分散相サイズ1nm以上200nm未満で分散することを意味する。相溶性を有さない(非相溶系)とは、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂中に分散相サイズ200nm以上で分散することを意味する。
相溶系エラストマーとしては、例えば、プロピレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマー、エチレン−αオレフィン系(α−オレフィンの炭素数が多く、α−オレフィンの含有率が高いもの)エラストマー等が挙げられる。エチレン−αオレフィン系エラストマーにおいて、α−オレフィンの炭素数は、例えば、4以上であり、α−オレフィンの含有率は、例えば、35mol%以上である。中でも、プロピレン−エチレンランダム共重合体との親和性に優れる観点から、プロピレン系エラストマーが好ましい。プロピレン系エラストマーとしては、例えばプロピレン−1−ブテンランダム共重合体のタフマー(三井化学社製)、ナノ結晶構造制御型エラストマーのノティオ(三井化学社製)等が挙げられる。相溶系エラストマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
相溶系エラストマーの融点は、電解液が関与するシール特性、及び成型後の絶縁性の向上の観点から、130℃以下であることが好ましく、60〜120℃であることがより好ましく、65〜90℃であることが更に好ましい。融点が130℃以下であることにより、電解液が関与するシール特性、特にデガッシングヒートシール特性をより向上することができる。また、融点が60℃以上であると、クラックの発生を抑制し、成型後の絶縁性をより向上する観点で有利である。
非相溶系エラストマーは、プロピレン−エチレンランダム共重合体に対して相溶性を有さないエラストマーである。ここで、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分に対して相溶性を有さない(非相溶系)とは、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂中に分散相サイズ200nm以上で分散することを意味する。
非相溶系エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、エチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エストマー等が挙げられる。中でも、上記相溶系エラストマーとの親和性に優れる観点から、エチレン−1−ブテンランダム共重合体及びスチレン系エラストマーが好ましい。また、電解液による膨潤が少ないことから、エチレン−1−ブテンランダム共重合体(例えば、エクセレン(住友化学社製))が好ましい。非相溶系エラストマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
非相溶系エラストマーの融点は、電解液が関与するシール特性、及び成型後の絶縁性の向上の観点から、130℃以下であることが好ましく、60〜120℃であることがより好ましく、65〜90℃であることが更に好ましい。融点が130℃以下であることにより、電解液が関与するシール特性、特にデガッシングヒートシール強度をより向上することができる。また、融点が60℃以上であると、クラックの発生を抑制し、成型後の絶縁性をより向上する観点で有利である。
最内層16bにおける相溶系エラストマー及び/又は非相溶系エラストマーの含有量の合計は、最内層16bを構成する成分全量を基準として5〜40質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることが更に好ましい。含有量の合計を上記範囲とすることにより、クラックの発生を抑制して成型後の絶縁性を向上することができるとともに、最内層16bの耐熱性の低下を抑制でき、且つ、電解液膨潤によるシール強度やデガッシングヒートシール強度の低下を抑制することができる。
相溶系エラストマーに対する非相溶系エラストマーの含有量の質量比(非相溶系エラストマー/相溶系エラストマー)は、0〜1であることが好ましく、0.3〜1であることがより好ましく、0.5〜1であることが更に好ましい。含有量の質量比を上記範囲とすることにより、クラックの発生を抑制することができ、成型後の絶縁性を向上し、且つ、デガッシングヒートシール強度をより向上することができる。
相溶系エラストマー及び非相溶系エラストマーは、共通のコモノマー成分を有することができる。相溶系エラストマー及び非相溶系エラストマーの組合せとしては、プロピレン−エチレンランダム共重合体との親和性に優れ、海島構造の界面における親和性をより向上する観点から、相溶系エラストマーが、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体であり、非相溶系エラストマーが、エチレン−1−ブテンランダム共重合体であることが好ましい。この場合、共通のコモノマー成分は、1−ブテンである。
最内層16bにおいて、1−ブテン等のコモノマー成分の存在は、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)により帰属することで確認可能である。また、コモノマー成分の含有量は、既知量のコモノマー成分を含むエラストマーを既知量配合した樹脂組成物を用いて、プロピレン−エチレンランダム共重合体と相溶系エラストマーの特性吸収帯の透過度あるいは吸光度にて検量線を作成することで確認することが可能である。更に、相溶系エラストマー、及び、非相溶系エラストマーのそれぞれのコモノマー成分の含有量についても、同様にFT−IRの特性吸収帯にてイメージングを行い、顕微FT−IR(透過法)でコモノマー成分起因の吸収帯でマッピングすることにより確認可能である。なお、FT−IR以外にも、最内層16bを溶媒で溶解させてNMRで測定することでコモノマー成分の存在及び含有量を確認することも可能である。
最内層16bには、上述した成分以外の他の成分を更に含んでいてもよい。他の成分としては、例えば引取性、加工性を向上させるためにLDPE(低密度ポリエチレン)などの他の樹脂を添加してもよい。添加する他の樹脂成分の含有量は、最内層16b全量を基準として10質量%以下であることが好ましい。また、樹脂以外の成分として、例えば、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤等が挙げられる。これら樹脂以外の他の成分の含有量は、最内層16b全量を基準として5質量%以下であることが好ましい。
金属箔側層16aには、架橋構造を形成させるために活性エネルギー線の照射を行うが、これにより発生したラジカルは、隣接する架橋助剤を有さない層、すなわち最内層16bへと移動し、高分子を分解してシーラント特性を低下させる場合がある。この問題は、特に架橋構造の形成に光開始剤を用いた場合に顕著である。そこで、この問題を改善するため、最内層16bには酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤を用いることが好ましい。フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤を添加することで高分子のラジカルによる分解を抑制することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリストールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒロドキシフェニル]メチル]ホスフォネート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及び1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメルチエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、及びビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールフォスファイト等が挙げられる。その他、ラクトン系の酸化防止剤も使用可能である。
最内層16bにおける酸化防止剤の含有量は、最内層16b全量を基準として、0.05〜1.0質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。酸化防止剤の含有量が0.05質量%以上であると、金属箔側層16aから移動してきたラジカルによる高分子の分解を抑制することができる。酸化防止剤の含有量が0.05質量%未満であると、高分子の分解抑制が不十分になる。また、酸化防止剤の含有量が1.0質量%以下であると、高分子の分解を十分に抑制することができる。
最内層16bの厚さは、特に限定されるものではないが、シール特性及び薄膜化の観点から、5〜80μmの範囲であることが好ましく、10〜60μmの範囲であることがより好ましく、10〜30μmの範囲であることがより好ましい。
シーラント層16全体の厚さは、特に限定されるものではないが、シール特性、成型後の絶縁性、デガッシングヒートシール後の絶縁性及び薄膜化の観点から、10〜100μmの範囲であることが好ましく、20〜60μmの範囲であることがより好ましく、20〜40μmの範囲であることがより好ましい。
本実施形態においては、薄膜化の観点から、シーラント層16の厚さが35μm以下であってもよい。本実施形態の蓄電装置用外装材は、このような薄膜構成であっても、成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性の低下を抑制することができる。
以上、本実施形態の蓄電装置用外装材の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、図1では、腐食防止処理層14が金属箔層13のシーラント層16側の面に形成されている場合を示したが、腐食防止処理層14は金属箔層13の接着剤層12側の面にも形成されていてもよい(すなわち、腐食防止処理層14は金属箔層13の両面に形成されていてもよい)。金属箔層13の両面に腐食防止処理層14が形成されている場合、金属箔層13の接着剤層12側に形成される腐食防止処理層14の構成と、金属箔層13のシーラント層16側に形成される腐食防止処理層14の構成とは、同一であっても異なっていてもよい。
また、図1では、シーラント層16が金属箔側層16a及び最内層16bの2層構造である場合を示したが、図2に示す蓄電装置用外装材20のように、シーラント層16は、金属箔側層16aと最内層16bとの間に中間層16cを備えた3層構造であってもよい。更に、シーラント層16は、複数の中間層を備えた4層以上の多層構造であってもよい。以下、中間層16cについて説明する。
<中間層16c>
中間層16cは、シーラント層16を構成する層の一つであり、金属箔側層16aと最内層16bとの間に配置される。シーラント層16が中間層16cを備えることにより、絶縁性以外の必要特性(シール強度及びラミネート強度など)を維持又は付与することができる。
中間層16cの構成成分としては、金属箔側層16a又は最内層16bと同様の構成成分を用いることができる。シーラント層16においては、最内層16b以外の少なくとも1層が架橋層であるため、シーラント層16の構成は、金属箔側層16aが架橋層であり中間層16cが非架橋層である構成、金属箔側層16aが非架橋層であり中間層16cが架橋層である構成、又は、金属箔側層16a及び中間層16cの両方が架橋層である構成とすることができる。いずれの構成においても、少なくとも1層の架橋層が存在することで、成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性を十分に維持することができる。
金属箔側層16aが非架橋層である場合、金属箔側層16aは、上述した外装材10における金属箔側層16aを形成する樹脂組成物から架橋助剤及び光開始剤を除いた樹脂組成物を用いて形成することができる。
中間層16cが非架橋層である場合、中間層16cは、上述した外装材10における金属箔側層16aを形成する樹脂組成物から架橋助剤及び光開始剤を除いた樹脂組成物を用いて形成することができる。また、中間層16cは、上述した外装材10における最内層16bと同様の構成成分を用いて形成してもよい。
成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性をより十分に維持できることから、外装材20におけるシーラント層16の構成は、金属箔側層16aが架橋層であり中間層16cが非架橋層である構成、又は、金属箔側層16a及び中間層16cの両方が架橋層である構成であることが好ましく、金属箔側層16aが架橋層であり中間層16cが非架橋層である構成であることがより好ましい。
シーラント層16において、架橋層に隣接する層には、上述したようにラジカルによる高分子の分解を抑制する観点から、酸化防止剤を添加することが好ましい。すなわち、金属箔側層16aが架橋層であり中間層16cが非架橋層である場合、中間層16cには酸化防止剤を添加することが好ましく、金属箔側層16aが非架橋層であり中間層16cが架橋層である場合、金属箔側層16a及び最内層16bには酸化防止剤を添加することが好ましく、金属箔側層16a及び中間層16cの両方が架橋層である場合、最内層16bには酸化防止剤を添加することが好ましい。各層における酸化防止剤の好ましい添加量は、外装材10における最内層16bでの添加量と同様である。
中間層16cの厚さは、特に限定されるものではなく、必要特性に応じて設定できる。
中間層16c及び金属箔側層16a以外の蓄電装置用外装材20の構成は、蓄電装置用外装材10と同様である。
蓄電装置用外装材20においても、薄膜化の観点から、シーラント層の厚さが35μm以下であってもよい。本実施形態の蓄電装置用外装材は、このような薄膜構成であっても、成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性の低下を抑制することができる。
図1及び図2では、接着剤層12を介して基材層11と金属箔層13とが接着されている場合を示したが、接着剤層12を介さずに、コーティング法により金属箔層13上に基材層11が直接形成されていてもよい。本明細書中、このようにコーティング法により金属箔層13上に直接形成された基材層を被覆層と言う。なお、金属箔層13の被覆層側の面には、腐食防止処理層14が形成されていてもよい。以下、被覆層について説明する。
<被覆層>
被覆層は、蓄電装置を製造する際のシール工程における耐熱性を付与し、加工や流通の際に起こり得るピンホールの発生を抑制する役割を果たす。
被覆層は樹脂で形成され、金属箔層13の一方の面に、接着剤等を介さずに直接形成されている。このような被覆層の形成は、被覆層となる樹脂材料を金属箔層13上に塗布又は塗工することにより形成することができる。
被覆層を形成する樹脂材料としては、ポリエステル、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができ、中でもウレタンアクリレートが好ましい。これは、ウレタンアクリレートからなる塗膜が好適な延展性を有するからである。これらの樹脂材料を含む塗工液として、2液硬化型の塗工液が用いられてもよい。
被覆層の厚さは、3μm〜30μmが好ましく、5μm〜20μmがより好ましい。被覆層は、金属箔層13上に直接形成されるため、被覆層の厚さを20μm以下とすることで、従来の外装材よりも薄い構成とすることも容易である。
[外装材の製造方法]
次に、図1に示す外装材10の製造方法の一例について説明する。なお、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材10の製造方法は、金属箔層13に腐食防止処理層14を積層する工程と、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程と、シーラント層16(金属箔側層16a及び最内層16b)を更に積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体を熱処理する工程とを含んで概略構成されている。また、金属箔側層16aを積層する工程は、上述した金属箔側層16aを形成する樹脂組成物を用いて樹脂層を形成し、当該樹脂層に活性エネルギー線を照射して架橋させることで、架橋構造を有する金属箔側層(架橋層)16aを形成する工程を含む。
(金属箔層13への腐食防止処理層14の積層工程)
本工程は、金属箔層13に対して、腐食防止処理層14を形成する工程である。その方法としては、上述したように、金属箔層13に脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理を施したり、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工したりする方法などが挙げられる。
また、腐食防止処理層14が多層の場合は、例えば、下層側(金属箔層13側)の腐食防止処理層を構成する塗工液(コーティング剤)を金属箔層13に塗工し、焼き付けて第一層を形成した後、上層側の腐食防止処理層を構成する塗工液(コーティング剤)を第一層に塗工し、焼き付けて第二層を形成すればよい。
脱脂処理についてはスプレー法又は浸漬法にて、熱水変成処理や陽極酸化処理については浸漬法にて、化成処理については化成処理のタイプに応じ、浸漬法、スプレー法、コート法などを適宜選択して行えばよい。
腐食防止性能を有するコーティング剤のコート法については、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど各種方法を用いることが可能である。
上述したように、各種処理は金属箔の両面又は片面のどちらでも構わないが、片面処理の場合、その処理面はシーラント層16を積層する側である。なお、要求に応じて、基材層11の表面にも上記処理を施してもよい。
また、第一層及び第二層を形成するためのコーティング剤の塗布量はいずれも、0.005〜0.200g/m2が好ましく、0.010〜0.100g/m2がより好ましい。
また、乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層14の乾燥条件に応じて、母材温度として60〜300℃の範囲で行うことができる。
(基材層11と金属箔層13との貼り合わせ工程)
本工程は、腐食防止処理層14を設けた金属箔層13と、基材層11とを、接着剤層12を介して貼り合わせる工程である。貼り合わせの方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法を用い、上述した接着剤層12を構成する材料にて両者を貼り合わせる。接着剤層12は、ドライ塗布量として1〜10g/m2の範囲、より好ましくは3〜7g/m2の範囲で設ける。
(シーラント層16の積層工程)
本工程は、先の工程により形成された腐食防止処理層14上に、シーラント層16を形成する工程である。その方法としては、押出ラミネート機を用いてシーラント層16の金属箔側層16aを最内層16bと共にサンドラミネーションする方法が挙げられる。更には、金属箔側層16aを最内層16bとを押出すタンデムラミネート法、共押出法でも積層可能である。金属箔側層形成用の樹脂組成物及び最内層形成用の樹脂組成物は、上述した各成分を配合することにより調製できる。
上記工程で得られた積層体では、金属箔側層は未架橋の樹脂層の状態である。よって、この樹脂層に対し、活性エネルギー線を照射して架橋させる。活性エネルギー線は、紫外線(UV)、電子線(EB)などを用いることができる。また、活性エネルギー線の照射は、積層体の最内層側の表面から、最内層を通して行うことができる。
また、金属箔側形成用の樹脂組成物として、上述した接着剤成分、架橋助剤及び光開始剤を含む樹脂組成物(但し、光開始剤は任意成分)を用いる場合、これをトルエン等の溶剤で溶解あるいは分散させた溶液を用いて、塗工により金属箔側層16aを形成してもよい。この場合、上記溶液を腐食防止処理層14上に、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコート等のコーティング法により塗工した後、得られた塗膜に対し、上記と同様の活性エネルギー線を照射して架橋させることで、金属箔側層16aを形成することができる。塗膜は、乾燥後、活性エネルギー線を照射する。その後、上述したサンドラミネート法、タンデムラミネート法、共押出法等により、金属箔側層16a上に最内層16bを積層することができる。また、活性エネルギー線の照射は、塗工により形成した塗膜上に最内層16bを積層した後、積層体の最内層側の表面から、最内層を通して行ってもよい。また、この樹脂組成物はコーティング剤として用いることが可能なため、酸変性ポリオレフィン樹脂を用いた場合には、上述した架橋助剤とは別に、酸変性ポリオレフィンと反応する化合物、例えば多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物、カルボジイミド化合物などを配合してもかまわない。
以上の工程により、図1に示すような、基材層11/接着剤層12/金属箔層13/腐食防止処理層14/金属箔側層16a/最内層16bの順で各層が積層された積層体が得られる。
なお、金属箔側層16aは、上述した材料配合組成になるように、ドライブレンドした材料を直接、押出ラミネート機により積層させてもよいし、あるいは事前に単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダーミキサーなどの溶融混練装置を用いてメルトブレンドを施した後の造粒した金属箔側層16aの材料を押出ラミネート機を用いて積層させてもよい。
最内層16bは、最内層形成用の樹脂組成物として上述した材料配合組成になるようにドライブレンドした材料を直接、押出ラミネート機により積層させてもよいし、あるいは事前に単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダーミキサーなどの溶融混練装置を用いてメルトブレンドを施した後の造粒物を、押出ラミネート機で金属箔側層16aと最内層16bとを押出すタンデムラミネート法、共押出で積層させてもよい。また、最内層形成用の樹脂組成物を用いて、事前にキャストフィルムとしてシーラント単膜を製膜し、このフィルムを金属箔側層形成用の樹脂組成物と共にサンドラミネーションする方法により積層させてもよいし、接着剤を用いてドライラミネート法により積層させてもよい。また、活性エネルギー線の照射は、ドライラミネート法により積層させた後に、積層体の最内層側の表面から、最内層を通して行ってもよいし、あらかじめキャストフィルムとしてシーラント単膜を製膜した後に活性エネルギー線による架橋させたフィルムを作製し、ドライラミネート法により積層させてもよい。
また、多層の腐食防止処理層14を形成する場合、押出ラミネート機にアンカーコート層を塗工することが可能なユニットを備えていれば、該ユニットにて腐食防止処理層14の第二層を塗工してもよい。
(熱処理工程)
本工程は、積層体を熱処理する工程である。積層体を熱処理することで、金属箔層13/腐食防止処理層14/金属箔側層16a/最内層16b間での密着性を向上させ、より優れた耐電解液性や耐フッ酸性を付与することができ、また、金属箔側層16a及び最内層16bの結晶化を制御し、成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性を向上する効果も得られる。従って本工程では、上述した各層間での密着性を向上させるとともに、金属箔側層16a及び最内層16bの結晶化に適した熱処理を行うのが好ましい。
このようにして、図1に示すような、本実施形態の外装材10を製造することができる。また、図2に示すような外装材20についても、シーラント層16を積層する際に、上述したサンドラミネート法、タンデムラミネート法、共押出法等により、腐食防止処理層14上に金属箔側層16a、中間層16c及び最内層16bを積層することで、形成することができる。この場合も、上述したように金属箔側層16aは塗工により形成してもよい。
以上、本発明の蓄電装置用外装材及びその製造方法の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。なお、基材層11及び接着剤層12の代わりに被覆層を備える蓄電装置用外装材を製造する場合は、上述のように、被覆層となる樹脂材料を金属箔層13上に塗布又は塗工することにより被覆層を形成することができる。
本発明の蓄電装置用外装材は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタなどの蓄電装置用の外装材として好適に用いることができる。中でも、本発明の蓄電装置用外装材は、リチウムイオン電池用の外装材として好適である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例で使用した材料を以下に示す。
<基材層(厚さ12μm)>
ナイロンフィルム(東洋紡社製)を用いた。
<接着剤層(厚さ4μm)>
ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ社製)を用いた。
<第一の腐食防止処理層(基材層側)及び第二の腐食防止処理層(シーラント層側)>
(CL−1):溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度10質量%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」を用いた。なお、ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルは、酸化セリウム100質量部に対して、リン酸のNa塩を10質量部配合して得た。
(CL−2):溶媒として蒸留水を用い固形分濃度5質量%に調整した「ポリアリルアミン(日東紡社製)」90質量%と、「ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製)」10質量%からなる組成物を用いた。
(CL−3):溶媒として1質量%濃度のリン酸水溶液を用い、固形分濃度1質量%に調整した水溶性フェノール樹脂(住友ベークライト社製)に対し、フッ化クロム(CrF3)を最終乾燥皮膜中に存在するCr量として10mg/m2となるように濃度を調整した化成処理剤を用いた。
<金属箔層(厚さ35μm)>
焼鈍脱脂処理した軟質アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、「8079材」)を用いた。
<シーラント層>
下記表1に示す各成分を同表に示す配合量で混合した樹脂組成物(SL−1〜SL−11)を用いた。なお、表1中の配合量は、主樹脂、架橋助剤及び光開始剤については質量部を示し、酸化防止剤については当該酸化防止剤も含めた樹脂組成物全量(100質量%)に占める割合(質量%)を示した。各成分の詳細を以下に示す。
樹脂A:融点140℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体(プライムポリマー社製、「プライムポリプロ」)70質量部と、上記プロピレン−エチレンランダム共重合体に対して相溶性を有する、融点85℃のプロピレン−1−ブテンランダム共重合体エラストマー(三井化学社製、「タフマーXM」)20質量部と、上記プロピレン−エチレンランダム共重合体に対して相溶性を有さない、融点75℃のエチレン−1−ブテンランダム共重合体エラストマー(住友化学社製、「エクセレン」)10質量部との混合物。
樹脂B:以下の材料を質量比で(AR−1):(AR−2)=3:1となるように混合した混合物。
(AR−1):非相容系ゴム(マクロ相分離熱可塑性エラストマー)としてエチレン−プロピレンゴムを配合したランダムポリプロピレン(PP)ベースの酸変性ポリプロピレン樹脂組成物(三井化学社製)。
(AR−2):アタクチック構造のプロピレン−αオレフィン共重合体(住友化学社製、「タフセレンH」)。
樹脂C:トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、イソシアヌレート構造のポリイソシアネート化合物を10質量部(固形分比)で配合した接着剤。
架橋助剤A:トリアリルイソシアヌレート。
架橋助剤B:トリメチロールプロパントリメタクリレート。
光開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1。
酸化防止剤:フェノール系:テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン。
リン系:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト。
[実施例1]
まず、金属箔層に、第一及び第二の腐食防止処理層を以下の手順で設けた。すなわち、金属箔層の両方の面に(CL−1)を、ドライ塗布量として70mg/m2となるようにマイクログラビアコートにより塗工し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施した。次いで、得られた層上に(CL−2)を、ドライ塗布量として20mg/m2となるようにマイクログラビアコートにより塗工することで、(CL−1)と(CL−2)からなる複合層を第一及び第二の腐食防止処理層として形成した。この複合層は、(CL−1)と(CL−2)の2種を複合化させることで腐食防止性能を発現させたものである。
次に、第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第一の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。これを押出ラミネート機の巻出部にセットし、第二の腐食防止処理層上に290℃、100m/分の加工条件で共押出しすることでシーラント層として金属箔層側の層(以下、「AL側層」ともいう)(厚さ5μm)及び最内層(厚さ25μm)をこの順で積層した。なお、AL側層及び最内層は、事前に二軸押出機を用いて各種材料のコンパウンドを作製しておき、水冷・ペレタイズの工程を経て、上記押出ラミネートに使用した。AL側層の形成には樹脂組成物(SL−5)を用い、最内層の形成には樹脂組成物(SL−1)を用いた。次いで、得られた積層体について、該積層体の最高到達温度が190℃になるように、熱ラミネーションにより熱処理を施した後、該積層体のAL側層に対し、UV照射装置を用いて1000mJ/cm2のエネルギー量で、最内層を通してUV照射を行った。これにより、AL側層中の主樹脂を、架橋助剤を介して架橋させ、外装材(基材層/接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/AL側層/最内層の積層体)を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[実施例2]
実施例1と同様にして、金属箔層に第一及び第二の腐食防止処理層を設けた。第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第一の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。これを押出ラミネート機の巻出部にセットし、第二の腐食防止処理層上に290℃、100m/分の加工条件で共押出しすることでシーラント層としてAL側層(厚さ5μm)、中間層(厚さ5μm)及び最内層(厚さ20μm)をこの順で積層した。なお、AL側層、中間層及び最内層は、事前に二軸押出機を用いて各種材料のコンパウンドを作製しておき、水冷・ペレタイズの工程を経て、上記押出ラミネートに使用した。AL側層の形成には樹脂組成物(SL−5)を用い、中間層の形成には樹脂組成物(SL−4)を用い、最内層の形成には樹脂組成物(SL−1)を用いた。次いで、AL側層及び中間層に対し、UV照射装置を用いて1000mJ/cm2のエネルギー量で、最内層を通してUV照射を行った。これにより、中間層中の主樹脂を、架橋助剤を介して架橋させた。このようにして得られた積層体を、該積層体の最高到達温度が190℃になるように、熱ラミネーションにより熱処理を施して、外装材(基材層/接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/AL側層/中間層/最内層の積層体)を製造した。本実施例ではAL側層及び中間層が架橋層である。
[実施例3]
実施例1と同様にして、金属箔層に第一及び第二の腐食防止処理層を設けた。第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第一の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。次いで、第二の腐食防止処理層上に、樹脂組成物(SL−6)をグラビアコートにより塗工した後、事前に290℃、100m/分の加工条件でキャストフィルムとして作製した最内層(厚さ30μm)のフィルムとドライラミネート法で貼り合せを行った。最内層の形成には樹脂組成物(SL−1)を用いた。次いで、AL側層に対し、UV照射装置を用いて1000mJ/cm2のエネルギー量で、最内層を通してUV照射を行った。これにより、AL側層中の主樹脂を、架橋助剤を介して架橋させ、外装材(基材層/接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/AL側層/最内層の積層体)を製造した。本実施例ではAL側層(厚さ3μm)が架橋層である。
[実施例4]
実施例1と同様にして、金属箔層に第一及び第二の腐食防止処理層を設けた。第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第一の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。次いで、第二の腐食防止処理層上に、樹脂組成物(SL−6)をグラビアコートにより塗工した後、事前に290℃、100m/分の加工条件でキャストフィルムとして作製した中間層(厚さ5μm)/最内層(厚さ25μm)のフィルムとドライラミネート法で貼り合せを行った。中間層の形成には樹脂組成物(SL−4)と最内層の形成には樹脂組成物(SL−1)を用いた。次いで、AL側層に対し、UV照射装置を用いて1000mJ/cm2のエネルギー量で、最内層を通してUV照射を行った。これにより、AL側層と中間層中の主樹脂を、架橋助剤を介して架橋させ、外装材(基材層/接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/AL側層/最内層の積層体)を製造した。本実施例ではAL側層(厚さ3μm)と中間層が架橋層である。
[実施例5]
AL側層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−3)に変更した以外は実施例4と同様にして、外装材を製造した。本実施例では中間層が架橋層である。
[実施例6]
AL側層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−8)に変更した以外は実施例1と同様にして、外装材を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[実施例7]
まず、金属箔層に、第一及び第二の腐食防止処理層を以下の手順で設けた。すなわち、金属箔層の両方の面に(CL−3)を、ドライ塗布量として30mg/m2となるようにマイクログラビアコートにより塗工し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施した。次いで、得られた層上に(CL−2)を、ドライ塗布量として20mg/m2となるようにマイクログラビアコートにより塗工することで、(CL−3)と(CL−2)からなる複合層を第一及び第二の腐食防止処理層として形成した。この複合層は、(CL−3)と(CL−2)の2種を複合化させることで腐食防止性能を発現させたものである。このようにして第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層を用いた以外は実施例1と同様にして、外装材を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[実施例8]
実施例7と同様にして、金属箔層に第一及び第二の腐食防止処理層を設けた。このようにして第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層を用いた以外は実施例3と同様にして、外装材を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[実施例9]
まず、金属箔層に、第一及び第二の腐食防止処理層を以下の手順で設けた。すなわち、金属箔層の両方の面に(CL−3)を、ドライ塗布量として30mg/m2となるようにマイクログラビアコートにより塗工し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施すことで、第一及び第二の腐食防止処理層を形成した。このようにして第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層を用いた以外は実施例1と同様にして、外装材を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[実施例10]
実施例9と同様にして、金属箔層に第一及び第二の腐食防止処理層を設けた。このようにして第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層を用いた以外は実施例3と同様にして、外装材を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[実施例11]
実施例1と同様にして、金属箔層に第一及び第二の腐食防止処理層を設けた。第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第一の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。これを押出ラミネート機の巻出部にセットし、第二の腐食防止処理層上に290℃、100m/分の加工条件で共押出しすることでシーラント層としてAL側層(厚さ5μm)、中間層(厚さ5μm)及び最内層(厚さ20μm)をこの順で積層した。なお、AL側層、中間層及び最内層は、事前に二軸押出機を用いて各種材料のコンパウンドを作製しておき、水冷・ペレタイズの工程を経て、上記押出ラミネートに使用した。AL側層の形成には樹脂組成物(SL−2)を用い、中間層の形成には樹脂組成物(SL−5)を用い、最内層の形成には樹脂組成物(SL−1)を用いた。次いで、中間層に対し、UV照射装置を用いて1000mJ/cm2のエネルギー量で、最内層を通してUV照射を行った。これにより、中間層中の主樹脂を、架橋助剤を介して架橋させた。
このようにして得られた積層体を、該積層体の最高到達温度が190℃になるように、熱ラミネーションにより熱処理を施して、外装材(基材層/接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/AL側層/中間層/最内層の積層体)を製造した。本実施例では中間層が架橋層である。
[実施例12]
中間層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−4)に変更した以外は実施例11と同様にして、外装材を製造した。本実施例では中間層が架橋層である。
[実施例13]
AL側層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−5)に変更し、中間層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−2)に変更した以外は実施例11と同様にして、外装材を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[実施例14]
AL側層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−7)に変更した以外は実施例1と同様にして、外装材を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[実施例15]
AL側層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−9)に変更した以外は実施例1と同様にして、外装材を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[実施例16]
最内層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−11)に変更した以外は実施例1と同様にして、外装材を製造した。本実施例ではAL側層が架橋層である。
[比較例1]
AL側層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−2)に変更し、AL側層へのUV照射を行わなかった以外は実施例1と同様にして、外装材を製造した。本比較例では架橋層が存在しない。
[比較例2]
AL側層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−10)に変更した以外は実施例1と同様にして、外装材を製造した。本比較例ではAL側層へのUV照射を行ったが、AL側層は架橋構造を形成しなかった。よって、本比較例では架橋層が存在しない。
[比較例3]
最内層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−4)に変更した以外は実施例1と同様にして、外装材を製造した。本比較例では最内層を通してAL側層にUV照射した際に最内層にも架橋構造が形成された。よって、本比較例ではAL側層及び最内層の両方が架橋層である。
[比較例4]
AL側層の形成に用いた樹脂組成物を、樹脂組成物(SL−3)に変更し、AL側層へのUV照射を行わなかった以外は実施例3と同様にして、外装材を製造した。本実施例では架橋層が存在しない。
<評価>
実施例及び比較例で得られた外装材に対し、以下の評価試験を行った。
(電解液ラミネート強度)
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPF6を1Mになるように加えた電解液をテフロン(登録商標)容器に充填し、その中に外装材を15mm×100mmにカットしたサンプルを入れ、密栓後85℃、24時間で保管した。その後、共洗し、金属箔層/シーラント層(AL側層)間のラミネート強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じて、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:ラミネート強度が8N/15mm超
B:ラミネート強度が6N/15mm以上、8N/15mm以下
C:ラミネート強度が5N/15mm以上、6N/15mm未満
D:ラミネート強度が5N/15mm未満
(電解液ヒートシール強度)
外装材を60mm×120mmにカットしたサンプルを2つに折り畳み、1辺を10mm幅のシールバーで190℃、0.5MPa、3secで熱封緘した。その後、残りの2辺も熱封緘し袋状になった外装材に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPF6を1Mになるように加えた電解液を2ml注入したパウチを60℃で24時間保管後、熱封緘1辺目を15mm幅にカットし(図3を参照)、シール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じ、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:シール強度が50N/15mm以上、バースト幅が5mm超
B:シール強度が50N/15mm以上、バースト幅が3〜5mm
C:シール強度が40N/15mm以上、50N/15mm未満
D:シール強度が40N/15mm未満
(デガッシングヒートシール強度)
外装材を75mm×150mmにカットしたサンプルを37.5mm×150mmに2つ折りにした後(図4(a)を参照)、150mm辺と37.5mm辺の一方をヒートシールし、製袋する。その後、パウチ内に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPF6を1Mになるように加えた電解液を5ml注液し、37.5mm辺の他方をヒートシールして、シール部S1により密封されたパウチを得た。次いで、このパウチを60℃で24時間保管した後、電解液を含んだ状態でパウチ中央部を190℃、0.3MPa、2secでヒートシールした(デガッシングシール部S2、図4(b)を参照)。シール部を安定化させるため、常温で24時間保管後、デガッシングシール部S2を含む領域を15mm幅にカットし(図4(c)を参照)、ヒートシール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じて、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:シール強度が50N/15mm以上
B:シール強度が35N/15mm以上、50N/15mm未満
C:シール強度が25N/15mm以上、35N/15mm未満
D:シール強度が25N/15mm未満
(成型後の絶縁性(成型絶縁))
外装材を120mm×200mmにカットしたサンプル40を、シーラント層が成型機の凸部に接するように冷間成型用金型にセットし、成型速度15mm/secで2.0mmの深絞りを行って深絞り部41を形成した後、120mm×100mmに2つ折りにした(図5(a)を参照)。次いで、タブ42とタブシーラント43とを間に挟んだ状態で100mmの上辺部44をヒートシールした後(図5(b)を参照)、120mmの側辺部45をヒートシールして製袋した(図5(c)を参照)。その後、電極を接触させるために、サンプル40の外層の一部を削って金属箔層の露出部46を形成した(図5(d)を参照)。次いで、パウチ内に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPF6を1Mになるように加えた電解液を5ml注液し、100mmの下辺部47をヒートシールにて封止した(図5(e)を参照)。その後、タブ42と金属箔層の露出部46に電極48a,48bをそれぞれ接続し、耐電圧・絶縁抵抗試験器(KIKUSUI製、「TOS9201」)を用いて25Vを印加し、そのときの抵抗値を測定した(図5(f)を参照)。金型には、成型エリアが80mm×70mm(角筒型)、パンチコーナーラジアス(RCP)が1.0mmのものを用いた。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:抵抗値が200MΩ超
B:抵抗値が100MΩ以上200MΩ以下
C:抵抗値が30MΩ以上100MΩ未満
D:抵抗値が30MΩ未満
(デガッシングヒートシール後の絶縁性(デガス絶縁))
外装材を75mm×150mmにカットしたサンプル50を37.5mm×150mmに2つ折りにした(図6(a)を参照)。次いで、タブ52とタブシーラント53とを間に挟んだ状態で37.5mmの上辺部54をヒートシールした後(図6(b)を参照)、150mmの側辺部55をヒートシールして製袋した(図6(c)を参照)。その後、電極を接触させるために、サンプル50の外層の一部を削って金属箔層の露出部56を形成した(図6(d)を参照)。次いで、パウチ内に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPF6を1Mになるように加えた電解液を5ml注液し、37.5mmの下辺部57をヒートシールにて封止した(図6(e)を参照)。その後、このパウチを平置きした状態で、60℃で24時間放置し、電解液を含んだ状態でパウチ中央部58を190℃、0.3MPa(面圧)、2secでデガッシングヒートシールした。次いで、タブ52と金属箔層の露出部56に電極59a,59bをそれぞれ接続し、耐電圧・絶縁抵抗試験器(KIKUSUI製、「TOS9201」)を用いて25Vを印加し、そのときの抵抗値を測定した(図6(f)を参照)。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:抵抗値が200MΩ超
B:抵抗値が100MΩ以上200MΩ以下
C:抵抗値が30MΩ以上100MΩ未満
D:抵抗値が30MΩ未満
(総合品質)
各実施例及び比較例の構成及び上記各評価の結果を表2及び3に示す。下記表2及び3において、各評価結果にD評価がないものは、総合的な品質が優れていると言える。
表2及び3に示した結果から明らかなように、シーラント層における最内層以外の位置に架橋層を有する実施例1〜16の外装材は、成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性に優れるとともに、電解液ラミネート強度、電解液ヒートシール強度、及びデガッシングヒートシール強度においても十分な性能を有していることが確認された。一方、架橋層を有さない比較例1及び4の外装材は、デガッシングヒートシールによりシーラント層が変形し、デガッシングヒートシール後の絶縁性が低下したものと推察される。また、比較例2の外装材は、架橋助剤を含まず光開始剤を含む樹脂組成物を用いてAL側層を形成したため、光開始剤により主樹脂の劣化が生じて電解液ラミネート強度が低下したものと推察される。また、架橋層を有さない比較例2の外装材は、デガッシングヒートシールによりシーラント層が変形し、デガッシングヒートシール後の絶縁性が低下したものと推察される。更に、比較例2の外装材は、主樹脂の劣化により冷間成形時などの応力でシーラント層にクラックが発生し易くなり、成型後の絶縁性が低下したものと推察される。また、比較例3の外装材は、最内層を架橋層としたため、シール不良によりパウチを形成できなかった。そのため、成型後の絶縁性及びデガッシングヒートシール後の絶縁性を評価できなかった。