JP2017204434A - 車両用灯具、及び有機el素子の検査方法 - Google Patents

車両用灯具、及び有機el素子の検査方法 Download PDF

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治 久保山
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義朗 伊藤
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Toru Ito
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Abstract

【課題】有機EL素子を搭載する車両用灯具の信頼性を向上させる技術を提供する。【解決手段】車両用灯具100は、有機EL素子120と、5ミリ秒以下の電圧の立ち上がり時間で有機EL素子120へ電圧を印加する点灯回路200と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用灯具、及び有機EL素子の検査方法に関する。
従来、有機EL素子で構成される面状発光体を備える車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−215995号公報
本発明者らは、有機EL素子を備える車両用灯具について鋭意検討した結果、この車両用灯具は、有機EL素子に起因して信頼性が低下し得ることを認識するに至った。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機EL素子を搭載する車両用灯具の信頼性を向上させる技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、有機EL素子と、5ミリ秒以下の電圧の立ち上がり時間で有機EL素子へ電圧を印加する点灯回路と、を備える。この態様によれば、車両用灯具の信頼性を向上させることができる。
上記態様において、立ち上がり時間は、1ミリ秒以下であってもよい。また、上記いずれかの態様において、有機EL素子は、第1電極と、第2電極と、第1電極及び第2電極の間に配置される有機層と、を備え、有機層には、有機層の厚さよりも小さい大きさの導電性粒子のみが含まれてもよい。これらの態様によれば、車両用灯具の信頼性をより向上させることができる。
本発明の他の態様は有機EL素子の検査方法である。当該検査方法は、電圧の立ち上がり時間を、有機EL素子の置かれる温度環境に基づいて定まる所定のしきい値以上とするか、有機EL素子の置かれる温度環境によらず10ミリ秒以上として、有機EL素子に電圧を印加し、電圧の印加による有機EL素子の点灯状態に基づいて、有機EL素子の不良品を選別することを含む。この態様によれば、車両用灯具の信頼性を向上させることができる。上記態様において、有機EL素子を−40℃以下の温度環境に置いてもよい。これにより、車両用灯具の信頼性をより向上させることができる。
本発明の他の態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、電極と有機層とを有する有機EL素子と、有機層に生じた焼損痕によって有機層から剥離した電極が、有機EL素子への電圧の印加によって生じるクーロン力により焼損痕に当接するまでの時間よりも短い電圧の立ち上がり時間で、有機EL素子へ電圧を印加する点灯回路と、を備える。これにより、車両用灯具の信頼性を向上させることができる。
本発明によれば、有機EL素子を搭載する車両用灯具の信頼性を向上させることができる。
実施の形態に係る車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。 光源の概略構造を示す断面図である。 実施の形態に係る車両用灯具のブロック図である。 図4(A)、図4(B)、図4(C)及び図4(D)は、有機EL素子における不点灯の発生機序を説明するための模式図である。 図5(A)は、環境温度及び電圧の立ち上がり時間と、不点灯の発生との関係を示す表である。図5(B)は、出力電流及び出力電圧の変化の一例を示すグラフである。 図6(A)及び図6(B)は、有機EL素子の電圧対電流特性を測定した結果を示すグラフである。 図7(A)及び図7(B)は、有機EL素子の電圧対電流特性を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
図1は、実施の形態に係る車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。本実施の形態に係る車両用灯具100は、例えば車両後方に配置されるテールランプである。車両用灯具100は、車両のリアパネル1に固定される。具体的には、リアパネル1は車両前方側に凹んだ凹部2を有し、車両用灯具100は凹部2に収容される。車両用灯具100は、凹部2に収容された状態でリアパネル1に固定される。
車両用灯具100は、ランプボディ102と、透光カバー104とを備える。ランプボディ102は、車両後方側(灯具前方側)に開口部を有する筐体である。透光カバー104は、ランプボディ102の開口部を覆うようにしてランプボディ102に取り付けられる。透光カバー104は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成され、インナーカバー(インナーレンズ)として機能する。透光カバー104の灯具前方側には、車両用灯具100の外筐を構成するアウターカバー(アウターレンズ)106が設けられる。アウターカバー106により、凹部2の開口が塞がれる。
ランプボディ102と透光カバー104とにより灯室103が形成される。灯室103内には、光源110及び点灯回路200が収容される。光源110は、ブラケット108に搭載される。ブラケット108は、ランプボディ102に固定される。点灯回路200によって、光源110に電圧が印加される。なお、点灯回路200は灯室103の外に設けられてもよい。
図2は、光源110の概略構造を示す断面図である。光源110は、第1基板112と、第2基板114と、封止材116とを有する。封止材116は、第1基板112及び第2基板114の周縁部において基板間に介在する。第1基板112、第2基板114及び封止材116は、従来公知の材料からなる。例えば、第1基板112及び第2基板114は、ガラス基板、あるいは透光性を有する樹脂基板である。封止材116は、例えば第1基板112と第2基板114とを固定する接着剤である。
第1基板112及び第2基板114と、封止材116とで、内部空間118が形成される。内部空間118には、有機EL素子120が収容される。有機EL素子120は、従来公知の一般的な有機EL素子であり、発光面122を有する。発光面122から出射される光L1は、第1基板112を通過して灯具前方に照射される。なお、光源110の構造は特に限定されず、有機EL素子120が基板の主表面に搭載されるとともに、有機EL素子120の上面と側面とが封止材で覆われた構造等を有してもよい。
図3は、実施の形態に係る車両用灯具のブロック図である。本実施の形態に係る車両用灯具100では、例えば、高速応答性に優れるヒステリシス制御(Bang-Bang制御)が採用される。車両用灯具100は、有機EL素子120と、点灯回路200とを備える。点灯回路200は、スイッチングコンバータ202、コンバータコントローラ204、入力フィルタ206及び出力フィルタ208を含む。
スイッチングコンバータ202は、バッテリから入力フィルタ206を介してバッテリ電圧VBAT(入力電圧VINともいう)を受け、出力フィルタ208を介して有機EL素子120にランプ電流(駆動電流)ILAMPを供給する。例えばスイッチングコンバータ202は、昇降圧チョッパ方式のDC/DCコンバータであり、スイッチングトランジスタ、ダイオード、インダクタ等を含む。入力フィルタ206は、バッテリから入力される電磁波ノイズを除去する。出力フィルタ208は、ランプ電流ILAMPのリップルを除去する。
コンバータコントローラ204は、定電流制御を実施し、また出力過電圧保護回路及び出力過電流保護回路として機能する。コンバータコントローラ204は、ランプ電流ILAMPを検出し、ランプ電流ILAMPが有機EL素子120の目標光量に対応する目標電流IREFと一致するように、スイッチングコンバータ202に含まれるスイッチングトランジスタのスイッチングのデューティ比を調節する。コンバータコントローラ204はヒステリシス制御方式のコントローラであり、電流検出回路、ヒステリシスコンパレータ、ドライバ等を備える。ランプ電流ILAMPの経路上には、電流検出抵抗(以下、センス抵抗という)RCSが挿入される。センス抵抗RCSには、ランプ電流ILAMPに比例した電圧降下が発生する。コンバータコントローラ204の電流検出回路は、センス抵抗RCSの電圧降下に基づいて現在のランプ電流ILAMPを示す電流検出信号VCSを生成する。
コンバータコントローラ204のヒステリシスコンパレータは、電流検出信号VCSを基準電圧VREFに応じて定まる2つのしきい値信号VTHL,VTHHと比較し、比較結果に応じた制御パルスSCNTを生成する。具体的には制御パルスSCNTは、電流検出信号VCSが、ランプ電流ILAMPのピーク値IPEAKに相当する上側しきい値信号VTHHに達すると第1レベルに遷移し、電流検出信号VCSがランプ電流ILAMPのボトム値IBOTTOMに相当する下側しきい値信号VTHLに達すると第2レベルに遷移する。コンバータコントローラ204のドライバは、制御パルスSCNTに基づいてスイッチングコンバータ202のスイッチングトランジスタを駆動する。ランプ電流ILAMPは、ピーク値IPEAKとボトム値IBOTTOMの間を往復することとなり、したがって有機EL素子120は、ピーク値IPEAKとボトム値IBOTTOM(2つのしきい値信号VTHH,VTHL)の平均値IREFに応じた輝度で発光する。
有機EL素子120は、均一な面発光が可能である。また、有機EL素子120は、比較的柔軟性が高く、曲面形状等も取り得る。また、有機EL素子120は全体が透明に近い。このため、光源110に有機EL素子120を用いることで、車両用灯具100の意匠性を高めることができる。また、有機EL素子120は薄く軽量であるため、車両用灯具100の奥行き寸法を小さくすることができ、また車両用灯具100の軽量化も可能である。さらに、有機EL素子120は、LED等に比べ光の指向性が低い。このため、車両用灯具100の被視認性を高めることができる。また、他車両の運転者等にグレアを与えにくい車両用灯具100を実現できる。
一方で、本発明者らは、有機EL素子120を備える車両用灯具100について鋭意検討を重ねた結果、車両用灯具100は、有機EL素子120に起因して信頼性が低下し得ることを見出した。すなわち、有機EL素子120は、異物として導電性粒子を含むことが多く、この導電性粒子によって有機EL素子120の点灯が阻害される可能性がある。この結果、車両用灯具100の信頼性の低下が引き起こされる。図4(A)、図4(B)、図4(C)及び図4(D)は、有機EL素子120における不点灯の発生機序を説明するための模式図である。図4(A)〜図4(D)は、有機EL素子120において導電性粒子140を含む領域を拡大して示している。
図4(A)に示すように、有機EL素子120は、第1電極124、有機層126、第2電極128、及び無機封止層130を備える。例えば、第1電極124は陽極であり、第2電極128は陰極である。また、第1電極124はITO等からなる透明電極であり、第2電極128は金属電極、例えば有機層126へのアルミニウムの蒸着によって得られるアルミニウム電極である。有機層126は、第1電極124及び第2電極128の間に配置される発光層である。無機封止層130は、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(AlO)等からなり、水分や酸素等に対するバリア層として機能する。無機封止層130は、外部空間から内部空間118内に進入した水分や酸素が第2電極128等に接触することを防ぐ。有機層126の厚さaは、例えば約500nmであり、第1電極124、有機層126及び第2電極128の合計の厚さbは、例えば約1μmである。
有機EL素子120の製造時、第1電極124に有機層126を積層する際に、チャンバー内に存在する導電性粒子140が、第1電極124に付着することがある。第1電極124における導電性粒子140が付着した領域には、導電性粒子140の上に有機層126、第2電極128及び無機封止層130が積層される。導電性粒子140には、例えば第1電極124と第2電極128との間の距離、言い換えれば有機層126の厚さ以上の大きさを有するものが含まれる。例えば、導電性粒子140の大きさは約800nmである。なお、導電性粒子140の大きさcは、導電性粒子140の外縁上の2点をつなぐ直線のうち最大のものと定義される。
このような導電性粒子140を含む有機EL素子120に電圧を印加すると、図4(B)に示すように、導電性粒子140がリークパスとなって、第1電極124と第2電極128間がショートする場合がある。ショートが発生すると、図4(C)に示すように、有機層126の一部が焼損して、焼損痕142が生じ得る。また、第2電極128の一部が焼損したり剥離したりし得る。焼損痕142はリークパスの一部を形成し得る。このため、焼損痕142の発生により、第1電極124と第2電極128間がショートする可能性が高まる。導電性粒子140あるいは焼損痕142を介した第1電極124と第2電極128間のショートによって、有機EL素子120が不点灯になる場合がある。有機EL素子120が点灯しなくなれば、車両用灯具100の信頼性が低下する。
すなわち、図4(C)に示す状態では、第2電極128と焼損痕142とが離間している。このため、有機層126のうち、導電性粒子140及び焼損痕142が延在する部分と、第2電極128の焼損、剥離した部分とを除いた領域は発光することができる。しかしながら、図4(D)に示すように、以下に説明するクーロン力Fの発生等によって第2電極128の剥離部分が有機層126側に引き寄せられ焼損痕142に当接すると、第1電極124と第2電極128間がショートし、有機EL素子120の全体が不点灯になり得る。
本発明者らは、不点灯の発生が有機EL素子120に印加される電圧の立ち上がり時間に依存することを突き止めた。すなわち、有機EL素子120に電圧が印加されると、電流が急激に立ち上がり始める電圧値Vfa(図6(A)、図6(B)、図7(A)及び図7(B)参照)までは、有機EL素子120に電荷が蓄積される。電荷の蓄積により、第1電極124と第2電極128との間にクーロン力Fが発生する。あるいは、2つの電極と、導電性粒子140あるいは焼損痕142との間にクーロン力Fが発生する。このクーロン力Fにより、2つの電極と、導電性粒子140あるいは焼損痕142とは互いに近づく方向に変位する。このため、導電性粒子140あるいは焼損痕142を介した第1電極124と第2電極128間のショートが発生しやすくなる。電圧の立ち上がり時間が遅いほど、電圧値Vfaに達するまでの時間は長くなる。このため、ショートが発生しやすい状態がより長く続くため、不点灯になる可能性は高まる。
また、本発明者らは、不点灯の発生が有機EL素子120の置かれる環境温度(雰囲気温度)にも依存することを突き止めた。有機EL素子120の環境温度が低温になると、不点灯が発生しやすくなる傾向にある。すなわち、有機EL素子120の環境温度が低温であると、有機EL素子120の各構成部材が収縮する。これにより、第1電極124、第2電極128、及び導電性粒子140あるいは焼損痕142は互いに近づく方向に変位する。このため、導電性粒子140あるいは焼損痕142を介した第1電極124と第2電極128間のショートが発生しやすくなり、不点灯の可能性が高まる。
本発明者らは、種々の環境温度と電圧の立ち上がり時間とを設定して、有機EL素子120における不点灯の発生を調査した。図5(A)は、環境温度及び電圧の立ち上がり時間と、不点灯の発生との関係を示す表である。図5(B)は、出力電流及び出力電圧の変化の一例を示すグラフである。図5(A)における「×」は、有機EL素子120が不点灯であったことを示し、「○」は、有機EL素子120が点灯したことを示す。環境温度は、車両用灯具100の使用状態を想定した温度である70℃と、車両用灯具100の不使用状態を想定した温度である25℃と、車両用灯具100の使用環境で想定される最低温度である−40℃とに設定した。図5(B)における上段は出力電圧Vfの変化を示し、下段は出力電流Ifの変化を示す。横軸は上段と下段とで共通し、ともに時間である。また、「Vfb」は定常時の電圧を示す。
図5(A)に示すように、有機EL素子120の環境温度が70℃の場合、電圧の立ち上がり時間が5ミリ秒以下で、有機EL素子120が点灯した。すなわち、有機EL素子120の不点灯を回避することができた。また、環境温度が25℃の場合、電圧の立ち上がり時間が3ミリ秒以下で、有機EL素子120の不点灯を回避することができた。また、環境温度が−40℃の場合、電圧の立ち上がり時間が1ミリ秒以下で、有機EL素子120の不点灯を回避することができた。いずれの環境温度においても、電圧の立ち上がり時間が10ミリ秒以上では有機EL素子120は不点灯となった。
調査結果から、電圧の立ち上がり時間が5ミリ秒以下であれば、少なくとも一部の環境温度において有機EL素子120が不点灯となることを回避できることが確認された。したがって、本実施の形態に係る車両用灯具100では、点灯回路200が5ミリ秒以下の電圧の立ち上がり時間で有機EL素子120へ電圧を印加する。電圧の立ち上がり時間は、有機EL素子120に印加される電圧が、有機EL素子120が規定の点灯状態になるために要する電流値、すなわち上述した目標電流IREFの10%に対応する電圧値(図5(B)において時間tにおける電圧値)から、90%に対応する電圧値(図5(B)において時間tにおける電圧値)に到達するまでの時間と定義される。したがって、図5(B)における時間tから時間tまでが、電圧の立ち上がり時間である。
点灯回路200が5ミリ秒以下の電圧の立ち上がり時間で有機EL素子120へ電圧を印加することで、少なくとも一部の温度環境において有機EL素子120が不点灯になることを抑制することができる。また、電圧の立ち上がり時間は、より好ましくは1ミリ秒以下である。これにより、有機EL素子120の環境温度がいずれの温度であっても、有機EL素子120の不点灯を抑制することができる。
また、好ましくは、有機EL素子120の有機層126には、有機層126の厚さaよりも小さい大きさcの導電性粒子140のみが含まれる。これにより、導電性粒子140を介した第1電極124と第2電極128間のショートが発生する可能性を低減させることができる。よって、有機EL素子120の不点灯をより一層抑制することができる。なお、この場合の有機層126の厚さaは、好ましくは有機EL素子120が−40℃の環境下に置かれた場合の厚さである。また、有機層126の厚さaは、例えば第1電極124、有機層126及び第2電極128の積層方向における有機層126の長さを所定数の箇所で計測し、得られた値を平均することで得ることができる。
なお、電圧の立ち上がり時間を5ミリ秒以下と短くすることで、車両用灯具100の外観不良も抑制することができる。すなわち、図4(A)に示すように、導電性粒子140は、それ自体がダークスポットとも呼ばれる非発光点DSとなる。また、図4(C)に示すように、焼損痕142や、第2電極128の焼損あるいは剥離した部分も非発光点DSの一部となる。したがって、第1電極124と第2電極128間のショートによって、非発光点DSが拡大する。
これまで有機EL素子120は、一般照明用灯具への利用が想定されていた。一般照明用灯具の場合、有機EL素子120が直視されることは少ない。また、仮に有機EL素子120が直視される場合であっても、有機EL素子120は観察者から比較的離れた位置にある。さらに、一般照明用灯具に求められる寿命は、車両用灯具100に比べて非常に短い。このため、一般照明用灯具では、使用上許容される非発光点DSの大きさPが車両用灯具100に比べて大きく、非発光点DSの成長は問題とならなかった。
これに対し、車両用灯具100の場合、有機EL素子120が直視されることが多い。また、有機EL素子120は、一般照明用灯具に比べて近い位置から観察者に直視されることが多い。さらに、車両用灯具100の使用期間すなわち使用末期は、一般照明用灯具よりもはるかに長い10年、さらには15年が想定される。このため、非発光点DSは、車両用灯具100の使用前において使用上許容される程度の大きさPであったとしても、使用により許容できない程度の大きさP、すなわち外観不良を引き起こす程の大きさPにまで拡大し得る。
本実施の形態では、電圧の立ち上がり時間を5ミリ秒以下とすることで、ショートが発生しやすい状況を短時間にすることができる。これにより、焼損痕142の発生あるいは拡大を抑制することができるため、非発光点DSの拡大を抑制することができる。その結果、車両用灯具100の外観不良を抑制することができる。
また、本発明者らが見出した環境温度と、電圧の立ち上がり時間と、有機EL素子120における不点灯の発生との関係に基づいて、有機EL素子120の検査方法が提供される。本実施の形態に係る有機EL素子120の検査方法は、電圧の立ち上がり時間を、有機EL素子120の置かれる温度環境に基づいて定まる所定のしきい値以上とするか、有機EL素子120の置かれる温度環境によらず10ミリ秒以上として、有機EL素子120に電圧を印加する工程と、電圧の印加による有機EL素子120の点灯状態に基づいて、有機EL素子120の不良品を選別する工程とを含む。
電圧印加工程で用いられる電圧の立ち上がり時間のしきい値は、図5(A)に基づくと、有機EL素子120の温度環境が70℃の場合は5ミリ秒超、より好ましくは10ミリ秒以上である。また、当該しきい値は、温度環境が25℃の場合は3ミリ秒超、より好ましくは5ミリ秒以上である。また、当該しきい値は、温度環境が−40℃の場合は1ミリ秒超、より好ましくは2ミリ秒以上である。不良品選別工程では、有機EL素子120の点灯状態が不点灯である場合に、有機EL素子120が不良品であると判定される。
導電性粒子140は、肉眼での視認が困難な大きさ(例えば50μm以下)であっても、不点灯の原因となり得る。このため、不点灯を誘発できる所定の立ち上がり時間で電圧を印加して有機EL素子120の点灯状態を確認することで、車両用灯具100の信頼性を低下させ得る有機EL素子120をより確実に取り除くことができる。これにより、車両用灯具100の信頼性を高めることができる。
有機EL素子120の検査方法は、好ましくは有機EL素子120を−40℃以下の温度環境に置くことを含む。有機EL素子120は、電圧印加工程を実施する際に−40℃以下の低温環境に置かれる。有機EL素子120を低温環境に置くことで、有機EL素子120の不点灯をより誘発することができる。これにより、検査精度をより高めることができる。
また、不点灯の原因となる導電性粒子140、すなわち電極間距離よりも大きい導電性粒子140の存在(焼損痕142の存在と言い換えることもできる)は、有機EL素子120に電圧を印加した場合の電圧対電流特性(いわゆるV−Iカーブ)に基づいて検知することができる。図6(A)、図6(B)、図7(A)及び図7(B)は、有機EL素子120の電圧対電流特性を測定した結果を示すグラフである。
図6(A)及び図6(B)は、有機EL素子120の温度環境を常温(25℃)としたときの電圧対電流特性を示す。図7(A)及び図7(B)は、有機EL素子120の温度環境を−40℃としたときの電圧対電流特性を示す。また、図6(A)及び図7(A)に示す電圧対電流特性は、不点灯の原因となる導電性粒子140を有機EL素子120が含まない場合のものであり、図6(B)及び図7(B)に示す電圧対電流特性は、不点灯の原因となる導電性粒子140を有機EL素子120が含む場合のものである。なお、電圧の立ち上がり時間は同一である。
図6(A)及び図7(A)に示すように、不点灯の原因となる導電性粒子140が存在しない場合、電流が急激に立ち上がり始める電圧値Vfaまでは電流値は0である。一方、図6(B)及び図7(B)に示すように、不点灯の原因となる導電性粒子140が存在する場合、印加電圧が電圧値Vfaに到達するまでの間に、わずかに電流が流れる。したがって、電圧値Vfa未満での電流値の変化に基づいて、不点灯の原因となる導電性粒子140の存在を検知することができる。これにより、車両用灯具100の信頼性を高めることができる。また、外観不良も抑制することができる。
また、図6(B)及び図7(B)に示すように、有機EL素子120の環境温度が低い方が、電圧値Vfa未満での電流値の変化がより大きくなる。このため、有機EL素子120の温度環境をより低温にすることで、不点灯の原因となる導電性粒子140をより高精度に検知することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具100は、有機EL素子120と、5ミリ秒以下の電圧の立ち上がり時間で有機EL素子120へ電圧を印加する点灯回路200とを備える。これにより、有機EL素子120の不点灯を抑制することができるため、車両用灯具100の信頼性を向上させることができる。また、電圧の立ち上がり時間を1ミリ秒以下とすることで、車両用灯具100の信頼性をより向上させることができる。さらに、有機EL素子120は、有機層126の厚さよりも小さい導電性粒子140のみを有機層126に含む。これにより、車両用灯具100の信頼性をより向上させることができる。また、有機EL素子120にオーバーシュート電流を印加することでも、有機EL素子120の不点灯を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る有機EL素子120の検査方法は、電圧の立ち上がり時間を、有機EL素子120の置かれる温度環境に基づいて定まる所定のしきい値以上とするか、有機EL素子120の置かれる温度環境によらず10ミリ秒以上として、有機EL素子120に電圧を印加し、その際の有機EL素子120の点灯状態に基づいて、有機EL素子120の不良品を選別することを含む。これにより、使用中に不点灯となり得る有機EL素子120を除外することができるため、車両用灯具100の信頼性を向上させることができる。また、当該検査方法は、有機EL素子120を−40℃以下の温度環境に置くことを含む。この場合、車両用灯具100の信頼性をより向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、電極と有機層126とを有する有機EL素子120と、有機層126に生じた焼損痕142によって有機層126から剥離した電極が、有機EL素子120への電圧の印加によって生じるクーロン力Fにより焼損痕142に当接するまでの時間よりも短い電圧の立ち上がり時間で、有機EL素子120へ電圧を印加する点灯回路200と、を備える車両用灯具100が提供される。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることが可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述の実施の形態に変形が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
車両用灯具100は、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプ等の標識灯や、ヘッドランプ、ブレーキランプ等であってもよい。
100 車両用灯具、 120 有機EL素子、 124 第1電極、 126 有機層、 128 第2電極、 140 導電性粒子、 200 点灯回路。

Claims (6)

  1. 有機EL素子と、
    5ミリ秒以下の電圧の立ち上がり時間で前記有機EL素子へ電圧を印加する点灯回路と、
    を備えることを特徴とする車両用灯具。
  2. 前記立ち上がり時間は、1ミリ秒以下である請求項1に記載の車両用灯具。
  3. 前記有機EL素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に配置される有機層と、を備え、
    前記有機層には、有機層の厚さよりも小さい大きさの導電性粒子のみが含まれる請求項1又は2に記載の車両用灯具。
  4. 電圧の立ち上がり時間を、有機EL素子の置かれる温度環境に基づいて定まる所定のしきい値以上とするか、有機EL素子の置かれる温度環境によらず10ミリ秒以上として、有機EL素子に電圧を印加し、
    前記電圧の印加による前記有機EL素子の点灯状態に基づいて、前記有機EL素子の不良品を選別することを含むことを特徴とする有機EL素子の検査方法。
  5. 前記有機EL素子を−40℃以下の温度環境に置くことを含む請求項4に記載の有機EL素子の検査方法。
  6. 電極と有機層とを有する有機EL素子と、
    前記有機層に生じた焼損痕によって前記有機層から剥離した前記電極が、前記有機EL素子への電圧の印加によって生じるクーロン力により焼損痕に当接するまでの時間よりも短い電圧の立ち上がり時間で、前記有機EL素子へ電圧を印加する点灯回路と、
    を備えることを特徴とする車両用灯具。
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