JP2017204585A - 高変換効率を有する色素増感太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高変換効率を有する色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】光電極と対極とが電解質層を介して対向配置された色素増感太陽電池であって、
(1)光電極が、チタン材料上にブロック層が設けられ、更に該ブロック層上に色素増感剤を含有する多孔質酸化チタン層が形成されたものであり、
(2)対極が、透明導電性ガラス又は透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされていることを特徴とする、色素増感太陽電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感型太陽電池に関する。
太陽電池としては、単結晶、多結晶又はアモルファスのシリコン型太陽電池、CIGS、CdTe、GaAs等の化合物半導体太陽電池、有機薄膜太陽電池、色素増感型太陽電池等、多種類のものがある。
現在、シリコン型太陽電池が主流となっている。しかしながら、シリコン型太陽電池は、高純度のシリコン材料が必要である。また、シリコン型太陽電池は、高温及び高真空下で製造する必要があり、製造コストが高いという点については改善の余地がある。
こうした中、近年、色素増感型太陽電池が注目を集めている。色素増感型太陽電池は、その構造が簡単であることから容易に作製でき、また構成材料は豊富である。また、色素増感型太陽電池は、安価で作製でき、高い光電変換効率を有する。そのため、色素増感型太陽電池は、次世代太陽電池として注目されている。
色素増感型太陽電池は、光電極と対極との間に、可逆な電気化学的酸化還元特性を有する電解液を注入後、光電極と対極とを封止及び結線するという簡便な手法により、構築できる。
光電極は、従来は以下の手法により作製されるものである。
先ず、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine Tin Oxide)等の透明導電膜を形成させたガラス基板である透明導電性ガラスの表面に、酸化チタン微粒子を含むペースト剤をコーティングする。次いで、得られたコーティング物を400〜500℃の温度で熱処理することにより、多孔質状の半導体層である酸化チタン層を有する電極を作製する。
次いで、ルテニウム系色素、インドリン系色素等の色素増感剤を含む有機溶液中に、得られた電極を浸漬することにより、多孔質状の酸化チタンの表面に色素増感剤が吸着した光電極を作製する。
次に、対極は、通常スパッタリング等の手法により、透明導電膜を形成させたガラス基板やフィルム上に、電気化学的還元作用を発揮する白金層を形成させることにより作製されるものである。
光吸収された色素から発生した励起電子は、色素が吸着されている多孔質な酸化チタン層を通じて光電極基板に移動する。この光電極に移動した励起電子は、外部回路を経由して対極に移動する。対極に移動した励起電子は、電解液を還元する。一方、電子を放出し酸化状態になっている色素は、電解液を酸化する。
こうした一連の流れを繰り返すことで、色素増感太陽電池は、発電を行う。上記色素から発生した励起電子は、色素が吸着されている多孔質な酸化チタン層を通じて、光電極基板に移動する過程において、励起電子が酸化状態である色素と再結合したり、電解液に接した光電極基板の表面から電解液側に逆電子移動を起こしたりする。その結果、変換効率が減少するという問題点があった。
この問題点を解決するために、光電極基板上にブロック層を構成する技術が提案されている。そのブロック層は、電解液に接した光電極基板の表面から電解液側に逆電子移動を防ぐ。
例えば、特許文献1は、光電極基板として透明導電膜がコーティングされたガラス基板上に、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物をコーティングする技術を用いることにより、得られた色素増感太陽電池の構成する変換効率の向上を図る技術が開示されている。
しかしながら、この様な処理を行っても、変換効率は3.47%から4.48%程度にしか向上していないという問題点があった。この理由は、従来の色素増感型太陽電池では、光電極を構成する透明導電膜の電気抵抗が比較的に大きいからである。その結果、透明導電膜上にブロック層を形成させても、変換効率はわずかにしか向上しないという問題点があった。
特開2008-77924号公報
本発明は、高変換効率を有する色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者は、従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討をした処、特定の構造を備える色素増感型太陽電池が上記目的を達成できることを見出した。
即ち、本発明は、下記の色素増感型太陽電池である。
項1:
光電極と対極とが電解質層を介して対向配置された色素増感太陽電池であって、
(1)光電極が、チタン材料上にブロック層が設けられ、更に該ブロック層上に色素増感剤を含有する多孔質酸化チタン層が形成されたものであり、
(2)対極が、透明導電性ガラス又は透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされていることを特徴とする、色素増感太陽電池。
項2:
前記チタン材料が、金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料であることを特徴とする、前記項1に記載の色素増感太陽電池。
項3:
前記電気化学的還元触媒層が、白金触媒層であることを特徴とする、前記項1又は2に記載の色素増感太陽電池。
項4:
前記ブロック層が、酸化チタンの層、酸化アルミニウムの層、酸化ケイ素の層、酸化ジルコニウムの層、チタン酸ストロンチウムの層、酸化マグネシウムの層及び酸化ニオブの層からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料の層であることを特徴とする、前記項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池。
項5:
前記ブロック層が、酸化チタンの層、酸化アルミニウムの層、酸化ケイ素の層、酸化ジルコニウムの層、チタン酸ストロンチウムの層、酸化マグネシウムの層及び酸化ニオブの層からなる群から選ばれる少なくともの2つの層で構成されること特徴とする、前記項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池。
項6:
前記ブロック層が、酸化チタンの層、酸化アルミニウムの層及び酸化ニオブの層からなる群から選ばれる少なくともの2つの層で構成されること特徴とする、前記項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池。
項7:
前記項1〜6のいずれかに記載の色素増感太陽電池の製造方法であって、
前記光電極のチタン材料が、以下の表面処理方法により製造される製造方法:
(1)金属チタン材料又はチタン材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、及び
(2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物を形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有する電解液を用いて、火花放電発生電圧以上にて陽極酸化を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
項8:
前記項1〜6のいずれかに記載の色素増感太陽電池の製造方法であって、
前記光電極のチタン材料が、以下の表面処理方法により製造される製造方法:
(1)金属チタン材料又はチタン材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、
(2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物を形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有しない電解液を用いて、陽極酸化を行う工程、及び
(3)工程(2)で得られた、陽極酸化処理を施した金属チタン材料又はチタン合金材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタン皮膜を形成する工程。
項9:
前記チタン窒化物を形成する工程が、PVD処理、CVD処理、溶射処理、アンモニアガス雰囲気下での加熱処理及び窒素ガス雰囲気下での加熱処理よりなる群から選択された1種の処理方法により行うものであること特徴とする、前記項7又は8に記載の製造方法。
項10:
前記窒素ガス雰囲気下での加熱処理が、酸素トラップ剤の存在下で実施するものであること特徴とする、前記項9に記載の製造方法。
本発明の色素増感太陽電池(色素増感型太陽電池)は、光電極基板がチタン材料で形成され、更にブロック層を設けることで、著しく変換効率の高い色素増感電池を実現することができる。
ブロック層は、光電極及び光電極基板界面で、電解液層への電子の漏出を防いだり、電子と色素増感剤との再結合を防いだりすることができる。
ブロック層により、色素から発生した励起電子は、色素が吸着されている多孔質酸化チタン層を通じて、光電極基板に移動する過程において、酸化状態である色素と再結合しないことや、電解液に接した光電極基板の表面から電解液側に逆電子移動を起こすことがない。
その結果、ブロック層を有する色素増感型太陽電池は、変換効率が向上する。
本発明の色素増感型太陽電池の一実施形態を示す概略図(断面図)である。
以下に本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書では、金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料を単にチタン材料と記すこともある。
本発明の色素増感太陽電池(色素増感型太陽電池)は、
光電極と対極とが電解質層を介して対向配置された色素増感太陽電池であって、
(1)光電極が、チタン材料上にブロック層が設けられ、更に該ブロック層上に色素増感剤を含有する多孔質酸化チタン層が形成されたものであり、
(2)対極が、透明導電性ガラス又は透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされていることを特徴とする。
ブロック層は、光電極及び光電極基板界面で、電解液層への電子の漏出を防いだり、電子と色素増感剤との再結合を防いだりする。
本発明の色素増感型太陽電池は、光電極が光透過性のないチタン材料にて構成されるために、光照射を、対極から実施する。
本発明の色素増感太陽電池は、以下の部材にて構成される。
(1)光電極
色素増感型太陽電池は、光電極と対極とが電解質層を介して対向配置されている。光電極は、金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料(以下「チタン材料」とも記す、光電極基板)上に、色素増感剤を含有する酸化チタン層が形成されたものである。
光電極基板
光電極基板は、チタン材料自体を用いることも可能である。チタン材料は基材となる。
金属チタン材料とは、チタンそのものである。チタン合金材料を使用する場合、その種類については、特に限定されない。当該チタン合金としては、Ti-6Al-4V、Ti-4.5Al-3V-2Fe-2Mo、Ti-0.5Pd、Ti-Ni、Ti-5Al-2.5Sn、Ti-8Al-1Mo-1V、Ti-3Al-2.5V、Ti-6Al-6V-2Sn、Ti-6Al-2Sn-4Zr-6Mo、Ti-3Al-2.5V-6Cr-4Zr-4Mo、Ti-10V-2Fe-3Al、Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al、Ti-5Al-1Fe、Ti-0.5Cu、Ti-1Cu、Ti-1Cu-0.5Nb、Ti-3Al-5V、Ti-20V-4Al-1Sn、Ti-22V-4Al等が挙げられる。
光電極基板は、色素増感剤の光励起に伴う電子が酸化チタン層から光電極基板に移行する際に電解液層への電子の漏出等の逆電子移動を防ぐという理由から、チタン材料に対して、下記表面処理方法A又はBを施し、チタン材料の表面に半導体層となるアナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成させたものを使用することが好ましい。
アナターゼ型酸化チタンの皮膜は半導体層となる。
金属チタンやチタン合金を光電極基板として用いる場合も、色素増感剤を含有する酸化チタン層(半導体層)を形成する際に、酸化チタン微粒子を含むペースト剤をコーティングする。
次いで、得られたコーティング物を400〜500℃の温度で熱処理する工程が実施される。この400〜500℃の温度で熱処理する工程において、金属チタンやチタン合金の表面には、酸化チタン層が形成される。この酸化チタン層も電解液層への電子の漏出等の逆電子移動を防ぐことができる。
更に光電極基板に移行する際に電解液層への電子の漏出を防ぐとともに、色素増感剤への逆電子移動を防ぎ、再結合を抑制する等という理由から、チタン材料を光電極基板としたものにてさらにブロック層を設けることにより、著しく変換効率の高い色素増感電池を実現することができることを見出し、本発明が完成するに至った。
光電極基板の厚みは、通常0.01〜10 mm程度、好ましくは0.01〜5 mm程度、より好ましくは0.05〜1 mm程度である。
表面処理方法A
光電極基板(光電極のチタン材料)は、以下の表面処理方法により製造される、表面にアナターゼ型酸化チタンを有する半導体層を有する光電極基板からなるものであることが好ましい。
(1)金属チタン材料又はチタン合金材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、及び
(2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物が形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有する電解液を用いて、火花放電発生電圧以上にて陽極酸化を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
表面処理方法B
光電極基板(光電極のチタン材料)は、以下の表面処理方法により製造される、表面にアナターゼ型酸化チタンを有する半導体層を有する光電極基板からなるものであることが好ましい。
(1)金属チタン材料又はチタン合金材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、
(2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物が形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有しない電解液中で、陽極酸化を行う工程、及び
(3)工程(2)で得られた、陽極酸化処理を施した金属チタン材料又はチタン合金材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
表面処理方法Aの工程(1)及びBの工程(1)
チタン材料(金属チタン又はチタン合金)の表面にチタン窒化物を形成する工程(工程(1))では、チタン材料の表面にチタン窒化物の層を、通常0.1〜100μm程度形成することができる。
チタン窒化物の層は、好ましくは0.5〜50μm程度であり、より好ましくは1〜10μm程度である。
チタン材料の表面にチタン窒化物を形成させる手段については、特に限定されない。例えば、チタン材料の表面にチタン窒化物を物理的又は化学的に付着させる方法や、チタン材料の表面上でチタンと窒素とを反応させてチタン窒化物を形成させる方法が挙げられる。
チタン窒化物を形成する工程は、PVD処理(物理気相蒸着)、CVD処理(化学気相蒸着)、溶射処理(吹きつけによる被膜形成)、アンモニアガス雰囲気下での加熱処理及び窒素ガス雰囲気下での加熱処理よりなる群から選択された1種の処理方法により行うものであることが好ましい。
PVD処理としては、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられる。CVD処理としては、熱CVD処理、プラズマCVD処理、レーザーCVD処理等が挙げられる。溶射処理としては、フレーム溶射、アーク溶射、プラズマ溶射、レーザー溶射等が挙げられる。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下での加熱処理の加熱温度は、500℃程度以上が好ましく、750〜1050℃程度がより好ましく、750℃〜950℃程度が更に好ましい。窒素ガス雰囲気下で、通常500℃程度以上(好ましくは750℃程度以上)でチタン材料を加熱する方法が好ましい。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下での加熱処理は、酸素トラップ剤の存在下で行われることが好ましい。
特に、酸素トラップ剤の存在下、窒素ガス雰囲気下での加熱処理を行って、チタン窒化物を形成することが好ましい。
チタン材料の加熱処理で用いられる酸素トラップ剤は、チタン材料よりも酸素に対する親和性が高い物質又は気体が挙げられる。例えば、カーボン材料、金属粉末、水素ガス等が好ましい材料である。これらの酸素トラップ剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カーボン材料としては、特に制限されず、例えば黒鉛質系カーボン、非晶質カーボン、これらの中間的結晶構造を持つカーボン等が挙げられる。カーボン材料は、平板状、箔状、粉末状等如何なる形状のものでもよい。
取扱い性やチタン材料の加熱処理中の熱歪を防止できるという理由から、平板状のカーボン材料を使用することが好ましい。
金属粉末としては、特に制限されず、例えばチタン、チタン合金、クロム、クロム合金、モリブデン、モリブデン合金、バナジウム、バナジウム合金、タンタル、タンタル合金、ジルコニウム、ジルコニウム、ジルコニウム合金、シリコン、シリコン合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属粉末が挙げられる。酸素親和性が高いという理由から、チタン、チタン合金、クロム、クロム合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属粉末を使用することが好ましい。最も好ましい金属粉末は、微粒子状のチタン、チタン合金の金属粉末である。前記金属粉末を1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
金属粉末の平均粒子径は、好ましくは0.1〜1000μm程度であり、より好ましくは0.1〜100μm程度であり、更に好ましくは0.1〜10μm程度である。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気中での酸素トラップ剤を使用する条件を、酸素トラップ剤の種類や形状に応じて適時設定することができる。
酸素トラップ剤としてカーボン材料や金属粉末を使用する場合であれば、チタン材料にカーボン材料や金属粉末を接触させ、チタン材料の表面をカーボン材料や金属粉末で覆い、チタン材料をアンモニアガス又は窒素ガス雰囲気中で加熱処理する方法が挙げられる。
酸素トラップ剤として水素ガスを使用する場合であれば、アンモニアガス、窒素ガス雰囲気下に水素ガスを導入した状態で、チタン材料を加熱処理する方法が挙げられる。
アンモニアガス、窒素ガス、又はアンモニアガス及び窒素ガスの混合ガス雰囲気下で加熱処理を行うことができる。簡便性、経済性、安全性を考慮すると、窒素ガスを用いるのが最も好ましい。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下での加熱処理の反応気圧としては、0.01〜100 MPa程度、好ましくは0.1〜10 MPa程度、更に好ましくは0.1〜1 MPa程度である。窒素ガス雰囲気下での加熱処理が好ましい。
アンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下での加熱処理の加熱時間は、1分〜12時間程度が好ましく、10分〜8時間程度がより好ましく、1時間〜6時間程度が更に好ましい。この時間で、チタン材料を加熱処理することが好ましい。
チタン材料をアンモニアガス又は窒素ガス雰囲気下で加熱処理する方法では、チタン材料の表面にチタン窒化物を効率よく形成するために、ロータリー式真空ポンプや必要に応じてメカニカルブースターポンプ、油拡散ポンプを用いて加熱処理する炉内を減圧し、加熱処理する炉内(窒化炉内)に残留する酸素濃度を減少させておくことが好ましい。
加熱処理する炉内の真空度を、好ましくは10 Pa程度以下、より好ましくは1 Pa程度以下、更に好ましくは0.1 Pa程度以下まで減圧することで、チタン材料表面にチタン窒化物を効率よく形成できる。
前記減圧された炉内に、アンモニアガス、窒素ガス又はアンモニアガス及び窒素ガスの混合ガスを炉内に供給して、炉内を復圧し、チタン材料を加熱処理することにより、チタン材料の表面にチタン窒化物を効率よく形成できる。本炉を用いた加熱処理の加熱温度、加熱時間等については、前記した条件と同じ条件でよい。ガス組成としては、簡便性、経済性、安全性を考慮すると、窒素ガスを用いることが最も好ましい。
また、加熱処理する炉内に残留する酸素濃度を減少させる減圧処理と、窒素ガス等を炉内に供給する復圧処理とを、交互に繰り返すこと(数回)で、チタン材料の表面にチタン窒化物をより効率良く形成できる。更に、酸素トラップ剤の存在下で減圧処理、アンモニアガス、窒素ガス等のガス雰囲気下での加熱処理を行うことにより、チタン材料の表面にチタン窒化物をより効率良く形成できる。
チタン材料の表面に形成されるチタン窒化物の種類については、特に制限されない。例えば、TiN、Ti2N、α-TiN0.3、η-Ti3N2-X、ζ-Ti4N3-X(但し、Xは0以上3未満の数値を示す)、これらの混在物、及びアモルファス状チタン窒化物等が挙げられる。これらの中で好ましくは、TiN、Ti2N、及びこれらの混在物、更に好ましくはTiN、及びTiNとTi2Nの混在物、特に好ましくはTiNが例示される。
本発明では、上記チタン窒化物を形成する手段として、上記方法の内、1つの方法を単独で行ってもよく、また2種以上の方法を任意に組み合わせて行ってもよい。上記チタン窒化物を形成する方法の中で、簡便性、量産性、或いは製造コスト等の観点から、好ましくは、窒素ガス雰囲気下でのチタン材料の加熱処理である。
表面処理方法Aの工程(2)
表面処理方法Aでは、表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を、チタンに対してエッチング作用を有する電解液を用いて、火花放電発生電圧以上にて陽極酸化を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する(工程(2))。
表面にアナターゼ型酸化チタンを有する半導体層を有する光電極基板を製造できる。陽極酸化処理を行うことにより、アナターゼ型の酸化チタン皮膜を好適に形成できる。アナターゼ型の酸化チタンの皮膜を形成することにより、高い光電変換効率を好適に発揮することができる。
火花放電発生電圧以上の電圧を印加する方法により表面処理としては、チタン材料に対してエッチング作用を有する電解液が好ましい。電解液は、チタンに対してエッチング作用を有する無機酸及び/又は有機酸を含むことが好ましい。電解液は、更に過酸化水素を含有するものであることが好ましい。放電発生電圧以上の電圧を印加することにより陽極酸化を行うことが好ましい。
電解液として、チタン材料に対してエッチング作用を有する無機酸及び/又は該作用を有する有機酸が含有されている水溶液を用いることが好ましい。
チタン材料に対してエッチング作用を有する無機酸としては、硫酸、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、王水等が挙げられる。チタンに対してエッチング作用を有する有機酸としては、例えば、シュウ酸、ギ酸、クエン酸、トリクロル酢酸等が挙げられる。これらの酸は、1種単独で使用してもよく、また有機酸、無機酸の別を問わず、これらの酸を2種以上任意に組み合わせて使用しても良い。
2種以上の酸を含有する電解液の好ましい態様の一例として、硫酸に必要に応じてリン酸を含有する水溶液が挙げられる。当該電解液における上記酸の配合割合については、使用する酸の種類、陽極酸化条件等によって異なるが、通常、上記酸の総量で0.01〜10 M、好ましくは0.1〜10 M、更に好ましくは1〜10 Mとなる割合を挙げることができる。例えば、硫酸及びリン酸を含有する電解液の場合であれば、硫酸1〜8 M及びリン酸0.1〜2 Mの割合で含有する電解液を例示できる。
当該電解液は、上記有機酸及び/又は無機酸に加えて、過酸化水素を含有しているものが望ましい。電解液中に過酸化水素が含まれていることによって、一層効率的にアナターゼ型酸化チタンの皮膜を調製することが可能になる。電解液に過酸化水素を配合する場合、その配合割合については、特に制限されないが、例えば0.01〜5 M、好ましくは0.01〜1 M、更に好ましくは0.1〜1 Mとなる割合が例示される。
陽極酸化で使用される電解液の好ましい態様の一例として、硫酸1〜8 M、リン酸0.1〜2 M及び過酸化水素0.1〜1 Mの割合で含有する水溶液が挙げられる。
上記電解液中にチタン材料を浸漬し、火花放電発生電圧以上の電圧を印加できるよう一定電流印加し陽極酸化を行うことにより、アナターゼ型の酸化チタンの皮膜が得られる。火花放電発生電圧以上の電圧としては、通常100 V以上、好ましくは150 V以上が例示される。
陽極酸化は、例えば、上記の火花放電発生電圧まで一定の割合にて電圧を上昇させ、火花放電発生電圧以上の電圧にて、一定時間定電圧を印加することにより行うことができる。火花放電発生電圧まで電圧を上昇させる速度としては、通常0.01〜1 V/秒、好ましくは0.05〜0.5 V/秒、更に好ましくは0.1〜0.5 V/秒に設定される。また、火花放電発生電圧以上の電圧を印加する時間としては、通常1分以上、好ましくは1〜60分間、更に好ましくは10〜30分間に設定される。
火花放電による陽極酸化は、電圧を制御する代わりに、電流を制御することにより行うこともできる。陽極酸化において、電流密度は、0.1 A/dm2以上であればよいが、経済性、簡便性、性能面の観点から1 A/dm2から10 A/dm2が好ましい。
上記方法によれば、膜厚が1〜100μm程度のアナターゼ型酸化チタンを含む皮膜を得ることができる。
表面処理方法Bの工程(2)
表面処理方法Bでは、表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を、チタンに対してエッチング作用を有しない電解液中で、陽極酸化を行い(工程(2))、次いで陽極酸化処理を施したチタン材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する(工程(3))。表面にアナターゼ型酸化チタンを有する半導体層を有する高い光電変換効率を好適に発揮する光電極基板を製造できる。
電解液は、チタンに対してエッチング作用を有しない無機酸及び有機酸よりなる群から選択される少なくとも1種の酸やこれらの塩化合物を含有することが好ましい。表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を、チタンにエッチング性を有しない電解液中で、陽極酸化を行うことにより、チタン材料の表面に非晶質(アモルファス)なチタンの酸化皮膜を形成することができる。
チタンに対してエッチング作用を有しない電解液としては、無機酸、有機酸及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下「無機酸等」とも記す)を含有する電解液であることが好ましい。前記無機酸等を含有する電解液は、リン酸、リン酸塩等の希薄な水溶液であることが好ましい。
表面処理方法Bの陽極酸化を行う工程(2)だけでは、火花放電が発生しない条件であり、通常、アナターゼ型酸化チタン等の結晶性酸化チタンは形成されない。
次工程の酸化性雰囲気下での加熱処理では、非晶質な酸化チタンからアナターゼ型酸化チタンを形成することができる。そのため、チタン材料の表面に非晶質なチタンの酸化皮膜が効果的に形成されるという理由から、表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を陽極酸化することが好ましい。
チタンに対してエッチング作用を有しない電解液としては、無機酸(リン酸等)、有機酸及びこれらの塩(リン酸塩等)よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(無機酸等)を含有する電解液であることが好ましい。
チタンに対してエッチング作用を有しない無機酸としては、簡便性、経済性、安全性等を考慮し、リン酸、炭酸等が好ましい。チタンに対してエッチング作用を有しない有機酸としては、酢酸、アジピン酸、乳酸等が好ましい。またこれらの酸の塩である、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、乳酸ナトリウム等を用いることもできる。
その他、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム等の電解質を含有する電解液を用いることが好ましい。
チタンに対してエッチング作用を有しない電解液としては、無機酸(リン酸等)、有機酸及びこれらの塩(リン酸塩等)よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(無機酸等)を含有する電解液であることが好ましい。前記無機酸等としては、リン酸及びリン酸塩が最も好ましい。
電解液は、無機酸等の希薄な水溶液であることが好ましい。電解液中の無機酸等の濃度は、経済性等の理由から、1重量%程度の範囲であることが好ましい。例えば、リン酸が含まれる電解液では、0.01〜10重量%程度の濃度範囲が好ましく、0.1〜10重量%程度の濃度範囲がより好ましく、1〜3重量%程度の濃度範囲が更に好ましい。
これらの酸は、1種単独で使用してもよく、また有機酸、無機酸の別を問わず、これらの酸を2種以上任意に組み合わせて使用してもよい。2種以上の酸を含有する電解液の好ましい態様の一例として、リン酸塩及びリン酸を含有する水溶液が挙げられる。当該電解液における上記酸の配合割合については、使用する酸及び酸の塩の種類、陽極酸化条件等によって異なるが、通常、上記酸の総量で0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは1〜3重量%となる割合を挙げることができる。
チタンに対してエッチング作用を有しない無機酸等を含有する希薄な電解液中に、前記チタン窒化物を形成する工程で得られた表面にチタン窒化物が形成されたチタン材料を浸漬する。次いで、好ましくは10〜300 V程度の電圧を印加することにより陽極酸化を行う。50〜300 V程度の電圧で陽極酸化を行うことがより好ましく、50〜200 V程度の電圧で陽極酸化を行うことが更に好ましい。
陽極酸化の処理温度は、簡便性、経済性、安全性等の理由から、0〜80℃程度が好ましい。10〜50℃程度の温度で陽極酸化を行うことがより好ましく、20〜30℃程度の温度で陽極酸化を行うことが更に好ましい。
陽極酸化の処理時間は、1秒〜1時間程度が好ましい。10秒〜30分程度の時間で陽極酸化を行うことがより好ましく、5分〜20分程度の時間で陽極酸化を行うことが更に好ましい。
表面処理方法Bの工程(3)
次に、表面にチタンの酸化皮膜が形成されたチタン材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する(工程(3))。
金属チタン材料等に単に酸化性雰囲気中で加熱処理するだけでは、ルチル型酸化チタンは形成されるが、アナターゼ型酸化チタンは十分に形成されない。
チタン窒化物が形成され、チタンの酸化皮膜(非晶質な酸化チタン膜)が形成されたチタン材料(陽極酸化処理後のチタン材料)を、酸化性雰囲気中で加熱処理(大気酸化処理等)することにより、結晶性の酸化チタンにおいて光電変換特性に優れたアナターゼ型酸化チタン皮膜を形成することができる。その結果、加熱処理後のチタン材料は光電変換特性に優れる。
加熱処理を行う酸化性雰囲気として、大気酸化雰囲気、酸素ガスと窒素ガスを混合させた任意な酸素ガス濃度の雰囲気、酸素ガス雰囲気等から選択されたものであればよいが、簡便性、経済性、安全性等という理由から、大気酸化雰囲気化での加熱処理が好ましい。
酸化性雰囲気中で加熱処理の温度は、非晶質な酸化チタンからアナターゼ型酸化チタンに効率よく変化するという理由から、300℃程度以上が好ましい。酸化性雰囲気中で加熱処理の温度は、アナターゼ型酸化チタンからルチル型酸化チタンに相転移しないようにする理由から、800℃程度以下が好ましい。アナターゼ型酸化チタンに比べて、ルチル型酸化チタンは、光電変換特性が良くないからである。酸化性雰囲気中で加熱処理の温度は、300〜800℃程度がより好ましく、300〜700℃程度が更に好ましく、400〜700℃程度が特に好ましい。
加熱処理を行う反応気圧としては、0.01〜10 MPa程度、好ましくは0.01〜5 MPa程度、更に好ましくは0.1〜1 MPa程度である。
加熱処理を行う加熱時間は、1分〜12時間程度が好ましく、10分〜8時間程度がより好ましく、1時間〜6時間程度が更に好ましい。
結晶性の酸化チタン皮膜は、アナターゼ型の酸化チタン皮膜であることが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンを色素増感型太陽電池の光電極に用いることに比べて、開放電圧値が向上するために、光電変換特性も高い。本発明の陽極酸化後の加熱処理により、光電変換特性が高いアナターゼ型酸化チタンの量が多い皮膜を形成することができる。
加熱処理により、チタン材料の表面に活性の高いアナターゼ型酸化チタンが多量に形成された光電変換素子用材料を調製することができる。高い変換効率を達成する光電変換素子用材料に使用することも可能である。
上記方法によれば、膜厚が1〜100μm程度のアナターゼ型酸化チタンを含む皮膜を得ることができる。
チタン材料の表面にチタン窒化物を形成させ、チタン窒化物の形成後、酸化性雰囲気中での加熱処理前に、リン酸等のチタンに対してエッチング性を有しない希薄な酸性水溶液、リン酸等の塩の水溶液等の電解液中で陽極酸化を行う工程を組み込むことにより、良好な光電変換素子用材料を製造できる。
チタン材料は、それらの材料表面にアナターゼ型酸化チタン(皮膜)が形成されるので、次世代太陽電池として注目されている色素増感型太陽電池の光電極基板等の光電変換素子用材料として用いることができる。
ブロック層
本発明の色素増感型太陽電池では、光電極基板がチタン材料で形成され、更にブロック層を設けることで、変換効率を著しく高く向上させることが可能である。
ブロック層は、電子が光電極基板に移行する際に、光電極及び光電極基板界面で、電解液層への電子の漏出を防ぐだけではなく、電子と酸化状態となった色素増感剤との再結合を抑えることにより電子の逆電子移動を防ぐことができる。これにより、色素増感太陽電池の変換効率が著しく高まる。
ブロック層としては、n型半導体が好ましい。
ブロック層は、酸化チタンの層、酸化アルミニウムの層、酸化ケイ素の層、酸化ジルコニウムの層、チタン酸ストロンチウムの層、酸化マグネシウムの層及び酸化ニオブの層からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料の層であることが好ましい。これら材料の中から少なくとも一つの材料を選択し、光電極基板上に緻密なコーティングすることで、色素増感太陽電池の逆電子移動を防止し、変換効率の著しい向上を図ることができる。
ブロック層は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ等を、光電極基板(チタン材料)上に、コーティングすることで、形成することができる。
コーティング方法として、ブロック層の前駆体であるチタン化合物(四塩化チタン等)、アルミニウム化合物(塩化アルミニウム等)、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、チタン酸ストロンチウム化合物、マグネシウム化合物、ニオブ化合物(塩化ニオブ等)等を含有する液を、光電極基板上に、スピンコート法、ディップ法、スキージ法、スクリーン印刷法、スプレー法等の方法にて塗布する。次いで、熱処理(450℃程度の焼成等)することが好ましい。
ブロック層は、チタン化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、チタン酸ストロンチウム化合物、マグネシウム化合物、ニオブ化合物等の材料を、スパッタリング、イオンプレーティング法、真空蒸着、電子ビーム蒸着法等のPVD処理やCVD処理等により、形成することができる。これにより、容易に緻密なブロック層を光電極基板であるチタン材料上に形成させることができる。
ブロック層は、酸化チタンの層、酸化アルミニウムの層、酸化ケイ素の層、酸化ジルコニウムの層、チタン酸ストロンチウムの層、酸化マグネシウムの層及び酸化ニオブの層からなる群から選ばれる少なくともの2つの層で構成されること(2層構造又は3層構造)が好ましい。
ブロック層は、酸化チタンの層、酸化アルミニウムの層及び酸化ニオブの層からなる群から選ばれる少なくともの2つの層で構成されること(2層構造又は3層構造)がより好ましい。
ブロック層の膜厚は、物質の種類やコーティング手法により変化させることができる。ブロック層の好ましい膜厚は、0.1nm〜10μm程度が好ましい、1nm〜1μm程度がより好ましい。
2層構造のブロック層は、下層(チタン材料側)に酸化アルミニウムの層を形成し、上層(電解質層又は多孔質酸化チタン側)に酸化チタンの層を形成することが好ましい。
2層構造のブロック層は、下層(チタン材料側)に酸化ニオブの層を形成し、上層(電解質層又は多孔質酸化チタン側)に酸化チタンの層を形成することが好ましい。
3層構造のブロック層は、下層(チタン材料側)に酸化アルミニウムの層を形成し、中間層に酸化ニオブの層を形成し、上層(電解質層又は多孔質酸化チタン側)に酸化チタンの層を形成することが好ましい。
多孔質酸化チタン層
光電極は、チタン材料(金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料)上に色素増感剤を含有する多孔質酸化チタン層(半導体層)を形成されたものである。
酸化チタン層は多孔質である。
前記表面処理方法A及びBにより調製されるアナターゼ型酸化チタンの皮膜が半導体層を形成しても良い。更に、酸化チタンの微粒子を含むペースト剤を塗布後、酸化性雰囲気下での加熱処理する工程により、多孔質酸化チタン層を形成することができる。
酸化チタン等の微粒子を含むペースト剤の塗布前に、UVオゾン処理等を実施することで、光電極基板の濡れ性が向上し、良質な酸化チタン層が形成される。
酸化チタン微粒子の平均粒径は、0.1〜3000 nm程度が好ましく、1〜1000 nm程度がより好ましく、10〜500 nm程度が更に好ましい。また酸化チタン微粒子粉末としては、1種類のものを使用する必要はなく、粒径の小さいものと大きなものを混合することにより、酸化チタン層中にて光が散乱することにて得られた色素増感太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
ペースト剤は、例えば、酸化チタン微粒子を溶剤中に分散させることにより調製できる。溶剤としては、ポリエチレングリコールが好ましい。ペースト剤中における酸化チタン微粒子の含有量は特に限定されず、焼結体が好適に形成されるよう適宜調節すればよい。
ペースト剤を前記チタン材料上に塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、スクリーンプリント、インクジェット、ロールコート、ドクターブレード、スプレーコート等が挙げられる。
ペースト剤を塗布した後の塗膜の厚みは、特に限定されず、目的とする厚みの酸化チタン焼結体が形成されるよう適宜設定すればよい。
多孔質酸化チタン層の塗布形状は、長方形であることが好ましい。酸化チタン層を正方形ではなく長方形にすることにより、色素増感剤の光励起に伴う電子が酸化チタン層にて電子が消失することなく、光電変換効率が向上する。
光電極基板が、表面処理した金属チタン材料、チタン合金材料の際においては、多孔質酸化チタン層として、前記酸化チタン焼結体と前記酸化チタン膜との積層体が得られる。
熱処理の温度は、100〜600℃程度が好ましく、400〜500℃程度がより好ましい。特に、400〜500℃程度の温度で熱処理することにより、酸化チタン微粒子同士を好適に焼結させることができる。熱処理の時間は、熱処理温度等に応じて適宜設定すればよい。前記熱処理は、酸化性雰囲気中(例えば空気中等の酸素が存在する雰囲気中)で行われる。
色素増感剤
光電極は、チタン材料上に色素増感剤を含有する酸化チタン層が形成されたものである。
前記の手法にて酸化チタン層(半導体層)を形成させた光電極を、色素増感剤を含む溶液にて浸漬させることにより色素増感剤を酸化チタン層に吸着させることができる。
色素増感剤への浸漬前に、UVオゾン処理等を実施することで、色素増感太陽電池の酸化チタン層への吸着がし易くなり、好ましい。
色素増感剤としては、近赤外光領域、可視光領域に光吸収を持つ色素であれば特に限定されるものではない。色素増感剤の中でも、レッドダイ(N719)、ブラックダイ(N749)等のルテニウム金属錯体;銅フタロシアニン等のルテニウム以外の金属錯体;エオシン、ローダンミン、メロシリニン、インドリン等の有機錯体等が好ましい。
これらの色素増感剤は、1種単独又は2種以上を込み合わせての使用ができる。色素増感剤の中でも、ルテニウム錯体が好ましく、レッドダイ(N719)と近赤外線領域に光吸収を有するブラックダイ(N749)を混合したものがさらに好ましい。
色素増感剤を酸化チタン層に吸着させる手法としては、色素増感剤を含む溶液中に、酸化チタン層等の半導体層を浸漬する方法がある。色素増感剤を、半導体層に、付着(化学吸着、物理吸着又は堆積等)させることができる。
色素増感剤を付着させる量は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、半導体層の面積等に応じて適宜設定すればよい。
(2)対極
色素増感型太陽電池では、対極は、透明導電性ガラス又は透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされたものが好ましい。
透明導電性ガラス又は透明導電性フィルムは、透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine Tin Oxide)等を透明ガラスや透明なプラスチック材料であるPET(polyethylene terephthalate)やPEN(polyethylene naphthalate)等にコーティングしたものである。透明導電性ガラス又は透明導電性フィルムの電解質側の表面上に、電気化学的還元触媒層を電子ビーム蒸着やスパッタリング等のPVD処理にてコーティングするものを使用する。
電気化学的還元触媒層としては、白金触媒層、炭素層、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)層、金層、銀層、銅層、アルミニウム層、ロジウム層、インジウム層等を用いることができる。電気化学的還元触媒層は、水素過電圧が低いために電解層中の電子を失った電解質に電子注入がされ易い等という理由から、白金触媒層であることが好ましい。
本発明品は、光電極としては光透過性のないチタン材料にて構成されるために光照射手段は、対極から実施する。
(3)電解質層
電解質層は、光励起され、半導体層へ電子注入を果たした色素増感剤に、電子を供給でき、色素増感剤を還元できる層であれば良い。電解質層は、更に、電子を失った電解質に、対極の白金触媒層から電子を供給される層であればよい。
液体状の電解質層としては、酸化還元種を含む非水系電解液等があげられる。酸化還元種としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム等のヨウ化物塩とヨウ素の組み合わせ、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム等の臭化物塩と臭素の組み合わせが好ましい。夫々1種単独又は2種類以上の併用でもよい。またDMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、TBP(tert-ブチルピリジン)等を添加してもよい。
溶媒としては、アセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、炭酸エチレン、炭酸プロピオン、γ-ブチルラクトン等があげられる。これらの溶媒は、1種単独又は2種を組み合わせて使用してもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、集光装置、対極材料、電解液層を経由して、光電極上の酸化チタン層に吸着された色素に光照射がなされて、色素が光励起するために、電解液層は光透過性が高いことが必要である。
電解質層の厚み、即ち光電極と対極との距離は、25〜100μmが好ましく、25〜50μmが更に好ましい。
(4)セパレータ(スペーサー)及び封止材
色素増感型太陽電池では、光電極と対極との接触を防ぐためにセパレータ(スペーサー)を設置することが好ましい。
光電極と対極間に設置するセパレータ(スペーサー)の厚みは、電解液層の厚みを決定する。電解液層の厚みが薄い程、本発明の色素増感太陽電池は、集光装置、対極材料、電解液層を経由して、光電極上の酸化チタン層に吸着された色素に光照射がなされて、色素が光励起するために、電解液層は光透過性が高いことが必要であり、電解液層の厚みが薄い好ましい。
セパレータ(スペーサー)が薄すぎると、光電極と対極との接触が起きる。セパレータ(スペーサー)としては、25〜100μmが好ましく、さらに好ましいのは、25〜50μmである。
セパレータとしては、電池分野で通常使われる公知のセパレータを用いることができる。セパレータとして、アイオノマー系樹脂フィルム、ポリイミド系樹脂フィルム、アクリル系UV硬化樹脂、ガラス材、シラン変性ポリマー、ポリイミド系テープ等を用いることができる。
セパレータの面積についても、特に限定されず、目的とする太陽電池の規模等に応じて適宜設定すればよい。
封止材として、アクリル系UV硬化樹脂、アイオノマー系樹脂フィルム、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ホットメルト系樹脂、シリコーン系エラストマー、ブチルゴム系エラストマー、ガラス材等を用いることができる。アクリル系UV硬化樹脂としては、スリーボンド製のTB3017B、TB3035Bを用いることができる。光電極及び対極の両極間を封止することができる。
(5)色素増感型太陽電池の製造方法
本発明の色素増感型太陽電池は、公知の方法に従って製造できる。
例えば、光電極及び対極にスペーサーを介して対向配置させ、光電極及び対極間に電解質層を封入する。電解質層の封入方法は限定的ではなく、例えば、前記光電極の前記半導体層側に前記対極を積層した後、注入口を設け、この注入口から電解質層を構成する材料を注入する方法が挙げられる。この注入口は、前記材料の注入を完了した後に、所定の部材や樹脂により塞げばよい。
また、前記材料の注入の際、前記電解質層がゲル状の場合には加熱により液化すればよい。また、前記電解質層が固体状の場合には、例えば、固体電解質を溶解可能な溶媒を用いて固体電解質を溶解した液を調製し注入口に注入した後、溶媒を除去すればよい。
本発明の色素増感型太陽電池は、光電変換効率が高い次世代太陽電池である。本発明の色素増感型太陽電池は、複数の電池を併設したモジュールの形態を有することができる。
図1は、本発明の色素増感太陽電池の一実施形態を示す概略図(断面図)である。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)陽極酸化処理したチタン材料の作製
金属チタン板(チタン材料、光電極基板)を、トリクロロエチレンを用いて脱脂処理した後、窒化炉(NVF-600-PC、中日本炉工業製)を使用して、脱脂処理した金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
先ず、窒化炉内に設置した平板状のカーボン材により、金属チタン板を挟んだ。次いで、酸素を取り除くために窒化炉を1 Pa以下まで減圧処理した後、窒化炉に99.99%以上の高純度の窒素ガスを導入して0.1 MPa(大気圧)まで復圧させた。次いで、窒化炉を2時間かけて950℃まで昇温した。次いで、この950℃の窒化炉において、1時間加熱処理を行い、金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
表面にチタン窒化物を形成させた金属チタン板を、1.5 M硫酸(和光純薬製工業(株)製)、0.05 Mリン酸(和光純薬製工業(株)製)、0.3 M過酸化水素(和光純薬製工業(株)製)にて電流密度4A/dm2にて30分間陽極酸化処理を実施した。アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成させた。
(2)光電極の作製
上記表面処理した9mm×50 mmの金属チタン板を光電極として用いて、色素増感型太陽電池を作製した。先ず、上記表面処理した金属チタン板を溶剤であるエタノールにて洗浄、乾燥させた。次に、UVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05 MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、更に窒素フロー(0.2 MPa,7.5 min)実施した。
ブロック層(酸化チタン)
その後各種濃度の四塩化チタンTiCl4(和光純薬工業製)水溶液に70℃で30分間浸漬、乾燥後、450℃にて15分間焼成することにおいて、チタン材料上に酸化チタンにて構成されたブロック層(緻密な層)を形成させた。
本処理をした上記表面処理材に、酸化チタン材料(PST-18NR、日揮触媒化成製)を、塗布面積が0.4cm2(1mm×40 mm)になるように、スキージ法にて塗布し450℃で15分間焼成した、これを膜厚15μmとなるよう5回コーティングした(半導体層、酸化チタン層(多孔質))後、450℃で1時間焼成した。
更にUVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05 MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、更に窒素フロー(0.2 MPa,7.5 min)実施した。
次いで、ルテニウム系色素のN719を0.45 mM(Solaronix製、色素増感剤)とルテニウム系色素のN749を0.15 mM(Solaronix製、色素増感剤)を、tert-ブタノール(t-BuOH)(和光純薬製工業(株)製)及びアセトニトリル(CH3CN)(和光純薬製工業(株)製)を含む混合溶液に希釈し、色素溶液を調製した。混合液は、t-BuOH:CH3CN=1:1の混合割合である。
焼成後の金属チタン板を、本色素溶液に40℃にて14時間浸漬し、色素増感剤を含有する酸化チタン層(多孔質)を形成させた。これにより光電極材料を得た。
表面処理した金属チタンに精密グラインダー(サンハヤト(株)、AC-D12)を用いて研磨処理をすることで集電部を設けた。
(3)対極板の作製
対極としては、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着(コーティング)ガラス板(旭硝子(株)製)(透明導電性ガラス)を、溶剤としてアセトン、エタノールを用いて洗浄し、乾燥させた後、白金(電気化学的還元触媒層)を電子ビーム蒸着にて1nm蒸着した。
ターミナル部位としては、特殊ハンダ セラソルザ#186(黒田テクノ製)にてコーティングした。
(4)色素増感型太陽電池の作製
光電極と対極との隙間に30μmのアイオノマー樹脂のスペーサ―(ハイミラン、三井・デュポン ポリケミカル(株)製)を設置した。
次いで、0.01 M I2(ヨウ素)、0.02 M LiI(ヨウ化リチウム)、0.24 M DMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、1.0M TBP(tert-ブチルピリジン)をアセトニトリル中(和光純薬製工業(株)製)に溶解させて、電解液を調製した。調製した電解液を、光電極と対極との隙間に入れた(電解質層)。
次いで、アクリル系UV硬化樹脂TB3035B((株)スリーボンド製、封止材)を用いて、両極間を封止し、コンベア型UV照射装置(ウシオ電機(株)製、VB-15201BY-A)を用いて積算強度40kJ/m2で封止剤を硬化させることにより色素増感型太陽電池を作製した。
(5)評価結果
ブロック層に酸化チタンを用いた色素増感太陽電池において、光電変換効率について調べた結果を、表1に示した。
本結果から、酸化チタンをブロック層として形成されことにより、短絡電流密度や曲線因子が改善され、光電変換効率の向上が認められた。
実施例2
(1)陽極酸化処理したチタン材料の作製
金属チタン板(チタン材料、光電極基板)を、トリクロロエチレンを用いて脱脂処理した後、窒化炉(NVF-600-PC、中日本炉工業製)を使用して、脱脂処理した金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
先ず、窒化炉内に設置した平板状のカーボン材により、金属チタン板を挟んだ。次いで、酸素を取り除くために窒化炉を1 Pa以下まで減圧処理した後、窒化炉に99.99%以上の高純度の窒素ガスを導入して0.1 MPa(大気圧)まで復圧させた。次いで、窒化炉を2時間かけて950℃まで昇温した。次いで、この950℃の窒化炉において、1時間加熱処理を行い、金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
表面にチタン窒化物を形成させた金属チタン板を、1.5 M硫酸(和光純薬製工業(株)製)、0.05 Mリン酸(和光純薬製工業(株)製)、0.3 M過酸化水素(和光純薬製工業(株)製)にて電流密度4A/dm2にて30分間陽極酸化処理を実施した。アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成させた。
(2)光電極の作製
上記表面処理した9mm×50 mmの金属チタン板を光電極として用いて、色素増感型太陽電池を作製した。先ず、上記表面処理した金属チタン板を溶剤であるエタノールにて洗浄、乾燥させた。
次に、UVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05 MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、更に窒素フロー(0.2 MPa,7.5 min)実施した。
ブロック層(下層:酸化アルミニウム、上層:酸化チタン)
その後50mMの塩化アルミニウムAlCl3(和光純薬工業製)水溶液に室温で2分間浸漬し、乾燥後450℃で15分間焼成した。次に40mMの四塩化チタンTiCl4(和光純薬工業製)水溶液に70℃で30分間浸漬、乾燥後、450℃にて15分間焼成した。このAlCl3、TiCl4処理を行うことにより、チタン材料上に下層(チタン材料側)に酸化アルミニウム、上層(電解質層又は多孔質酸化チタン側)に酸化チタンにて構成されたブロック層(2層構造、緻密な層)を形成させた。
本処理をした上記表面処理材に、酸化チタン材料(PST-18NR、日揮触媒化成製)を、塗布面積が0.4cm2(1mm×40 mm)になるように、スキージ法にて塗布し450℃で15分間焼成した、これを膜厚15μmとなるよう5回コーティングした(半導体層、酸化チタン層(多孔質)))後、450℃で1時間焼成した。
更にUVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05 MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、さらに窒素フロー(0.2 MPa,7.5 min)実施した。
次いで、ルテニウム系色素のN719を0.45 mM(Solaronix製、色素増感剤)とルテニウム系色素のN749を0.15 mM(Solaronix製、色素増感剤)を、tert-ブタノール(t-BuOH)(和光純薬製工業(株)製)及びアセトニトリル(CH3CN)(和光純薬製工業(株)製)を含む混合溶液に希釈し、色素溶液を調製した。混合液は、t-BuOH:CH3CN=1:1の混合割合である。
焼成後の金属チタン板を、本色素溶液に40℃にて14時間浸漬し、色素増感剤を含有する酸化チタン層(多孔質)を形成させた。これにより光電極材料を得た。
表面処理した金属チタンに精密グラインダー(サンハヤト(株)、AC-D12)を用いて研磨処理をすることで集電部を設けた。
(3)対極板の作製
対極としては、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着(コーティング)ガラス板(旭硝子(株)製)(透明導電性ガラス)を、溶剤としてアセトン、エタノールを用いて洗浄し、乾燥させた後、白金(電気化学的還元触媒層)を電子ビーム蒸着にて1nm蒸着した。
ターミナル部位としては、特殊ハンダ セラソルザ#186(黒田テクノ製)にてコーティングした。
(4)色素増感型太陽電池の作製
光電極と対極との隙間に30μmのアイオノマー樹脂のスペーサ―(ハイミラン、三井・デュポン ポリケミカル(株)製)を設置した。
次いで、0.01 M I2(ヨウ素)、0.02 M LiI(ヨウ化リチウム)、0.24 M DMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、1.0M TBP(tert-ブチルピリジン)をアセトニトリル中(和光純薬製工業(株)製)に溶解させて、電解液を調製した。調製した電解液を、光電極と対極との隙間に入れた(電解質層)。
次いで、アクリル系UV硬化樹脂TB3035B((株)スリーボンド製、封止材)を用いて、両極間を封止し、コンベア型UV照射装置(ウシオ電機(株)製、VB-15201BY-A)を用いて積算強度40kJ/m2で封止剤を硬化させることにより色素増感型太陽電池を作製した。
(5)評価結果
ブロック層の下層に酸化アルミニウム、ブロック層の上層に酸化チタンを用いた色素増感太陽電池において、光電変換効率について調べた結果を、表2に示した。
本結果から、酸化アルミニウムを下層、酸化チタンをブロック層として形成されることにより、全ての光電変換特性である短絡電流密度や開放電圧、曲線因子が改善され、光電変換効率が7.46%から9.98%へと大幅に向上が認められた。
実施例3
(1)陽極酸化処理したチタン材料の作製
金属チタン板(チタン材料、光電極基板)を、トリクロロエチレンを用いて脱脂処理した後、窒化炉(NVF-600-PC、中日本炉工業製)を使用して、脱脂処理した金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
先ず、窒化炉内に設置した平板状のカーボン材により、金属チタン板を挟んだ。次いで、酸素を取り除くために窒化炉を1 Pa以下まで減圧処理した後、窒化炉に99.99%以上の高純度の窒素ガスを導入して0.1 MPa(大気圧)まで復圧させた。次いで、窒化炉を2時間かけて950℃まで昇温した。次いで、この950℃の窒化炉において、1時間加熱処理を行い、金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
表面にチタン窒化物を形成させた金属チタン板を、1.5 M硫酸(和光純薬製工業(株)製)、0.05 Mリン酸(和光純薬製工業(株)製)、0.3 M過酸化水素(和光純薬製工業(株)製)にて電流密度4A/dm2にて30分間陽極酸化処理を実施した。アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成させた。
(2)光電極の作製
上記表面処理した9mm×50 mmの金属チタン板を光電極として用いて、色素増感型太陽電池を作製した。先ず、上記表面処理した金属チタン板を溶剤であるエタノールにて洗浄、乾燥させた。
次に、UVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05 MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、さらに窒素フロー(0.2 MPa,7.5 min)実施した。
ブロック層(下層:酸化アルミニウム、上層:酸化チタン)
その後実施例2の3倍濃度である150mMの塩化アルミニウムAlCl3(和光純薬工業製)水溶液に室温で2分間浸漬、乾燥後450℃で15分間焼成する工程を2回繰り返した。次に120mMの四塩化チタンTiCl4(和光純薬工業製)水溶液に70℃で30分間浸漬、乾燥後、450℃にて15分間焼成する工程を2回繰り返した。このAlCl3、TiCl4処理を行うことにより、チタン材料上に下層(チタン材料側)に酸化アルミニウム、上層(電解質層又は多孔質酸化チタン側)に酸化チタンにて構成されたブロック層(2層構造)を形成させた。
本処理をした上記表面処理材に、酸化チタン材料(PST-18NR、日揮触媒化成製)を、塗布面積が0.4cm2(1mm×40 mm)になるように、スキージ法にて塗布し450℃で15分間焼成した、これを膜厚15μmとなるよう5回コーティングした(半導体層、酸化チタン層(多孔質))後、450℃で1時間焼成した。
更にUVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05 MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、さらに窒素フロー(0.2 MPa,7.5 min)実施した。
次いで、ルテニウム系色素のN719を0.45 mM(Solaronix製、色素増感剤)とルテニウム系色素のN749を0.15 mM(Solaronix製、色素増感剤)を、tert-ブタノール(t-BuOH)(和光純薬製工業(株)製)及びアセトニトリル(CH3CN)(和光純薬製工業(株)製)を含む混合溶液に希釈し、色素溶液を調製した。混合液は、t-BuOH:CH3CN=1:1の混合割合である。
焼成後の金属チタン板を、本色素溶液に40℃にて14時間浸漬し、色素増感剤を含有する酸化チタン層(多孔質)を形成させた。これにより光電極材料を得た。
表面処理した金属チタンに精密グラインダー(サンハヤト(株)、AC-D12)を用いて研磨処理をすることで集電部を設けた。
(3)対極板の作製
対極としては、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着(コーティング)ガラス板(旭硝子(株)製)(透明導電性ガラス)を、溶剤としてアセトン、エタノールを用いて洗浄し、乾燥させた後、白金(電気化学的還元触媒層)を電子ビーム蒸着にて1nm蒸着した。
ターミナル部位としては、特殊ハンダ セラソルザ#186(黒田テクノ製)にてコーティングした。
(4)色素増感型太陽電池の作製
光電極と対極との隙間に30μmのアイオノマー樹脂のスペーサ―(ハイミラン、三井・デュポン ポリケミカル(株)製)を設置した。
次いで、0.01 M I2(ヨウ素)、0.02 M LiI(ヨウ化リチウム)、0.24 M DMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、1.0M TBP(tert-ブチルピリジン)をアセトニトリル中(和光純薬製工業(株)製)に溶解させて、電解液を調製した。調製した電解液を、光電極と対極との隙間に入れた(電解質層)。
次いで、アクリル系UV硬化樹脂TB3035B((株)スリーボンド製、封止材)を用いて、両極間を封止し、コンベア型UV照射装置(ウシオ電機(株)製、VB-15201BY-A)を用いて積算強度40kJ/m2で封止剤を硬化させることにより色素増感型太陽電池を作製した。
(5)評価結果
ブロック層の下層に酸化アルミニウム、上層に酸化チタンを用いた色素増感太陽電池において、光電変換効率について調べた結果を、表3に示した。
本結果から、厚膜の酸化アルミニウムを下層、厚膜の酸化チタンをブロック層として形成されたることにより、短絡電流密度が大幅に改善され、光電変換効率が7.75%から16.77%へと2倍以上の飛躍的な向上が認められた。
実施例4
(1)陽極酸化処理したチタン材料の作製
金属チタン板(チタン材料、光電極基板)を、トリクロロエチレンを用いて脱脂処理した後、窒化炉(NVF-600-PC、中日本炉工業製)を使用して、脱脂処理した金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
先ず、窒化炉内に設置した平板状のカーボン材により、金属チタン板を挟んだ。次いで、酸素を取り除くために窒化炉を1 Pa以下まで減圧処理した後、窒化炉に99.99%以上の高純度の窒素ガスを導入して0.1 MPa(大気圧)まで復圧させた。次いで、窒化炉を2時間かけて950℃まで昇温した。次いで、この950℃の窒化炉において、1時間加熱処理を行い、金属チタン板の表面にチタン窒化物を形成した。
表面にチタン窒化物を形成させた金属チタン板を、1.5 M硫酸(和光純薬製工業(株)製)、0.05 Mリン酸(和光純薬製工業(株)製)、0.3 M過酸化水素(和光純薬製工業(株)製)にて電流密度4A/dm2にて30分間陽極酸化処理を実施した。アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成させた。
(2)光電極の作製
上記表面処理した9mm×50 mmの金属チタン板を光電極として用いて、色素増感型太陽電池を作製した。先ず、上記表面処理した金属チタン板を溶剤であるエタノールにて洗浄、乾燥させた。
次に、UVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05 MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、さらに窒素フロー(0.2 MPa,7.5 min)実施した。
ブロック層
その後上記表面処理した金属チタン板に以下の4種類のブロック層の形成を行った。
(A)ブロック層(酸化チタン)
40mMの四塩化チタンTiCl4(和光純薬工業製)水溶液に70℃で30分間浸漬、乾燥後、450℃にて15分間焼成することにより、酸化チタンのブロック層をチタン材料上に形成させた。
(B)ブロック層(酸化ニオブ)
10mMの塩化ニオブNbCl5(和光純薬工業製) 水溶液に70℃で30分間浸漬、乾燥後、450℃にて15分間焼成することにより、酸化ニオブのブロック層をチタン材料上に形成させた。
(C)ブロック層(下層:酸化ニオブ、上層:酸化チタン)
10mMの塩化ニオブNbCl5(和光純薬工業製) 水溶液に70℃で30分間浸漬、乾燥後、450℃にて15分間焼成する2回繰り返した後、120mMの四塩化チタンTiCl4(和光純薬工業製)水溶液に70℃で30分間浸漬、乾燥後、450℃にて15分間焼成する工程を2回繰り返したことにて下層(チタン材料側)に酸化ニオブ、上層(電解質層又は多孔質酸化チタン側)に酸化チタンのブロック層(2層構造)をチタン材料上に形成させた。
(D)ブロック層(下層:酸化アルミニウム、中間層:酸化ニオブ、上層:酸化チタン)
150mMの塩化アルミニウムAlCl3(和光純薬工業製)水溶液に室温で2分間浸漬、乾燥後450℃で15分間焼成する工程を2回繰り返した。次に、10mMの塩化ニオブNbCl5(和光純薬工業製) 水溶液に70℃で30分間浸漬、乾燥後、450℃にて15分間焼成する2回繰り返した後、120mMの四塩化チタンTiCl4(和光純薬工業製)水溶液に70℃で30分間浸漬、乾燥後、450℃にて15分間焼成する工程を2回繰り返したことにて下層(チタン材料側)に酸化アルミニウム、中間層に酸化ニオブ、上層(電解質層又は多孔質酸化チタン側)に酸化チタンのブロック層(3層構造)をチタン材料上に形成させた。
本処理をした上記の各種表面処理材に、酸化チタン材料(PST-18NR、日揮触媒化成製)を、塗布面積が0.4cm2(1mm×40 mm)になるように、スキージ法にて塗布し450℃で15分間焼成した、これを膜厚15μmとなるよう5回コーティングした(半導体層、酸化チタン層(多孔質))後、450℃で1時間焼成した。
更にUVオゾンクリーナー UV253S(フィルジェン(株)製)内にて酸素フロー(0.05 MPa,5分間)実施後紫外線照射を30分間実施、さらに窒素フロー(0.2 MPa,7.5 min)実施した。
次いで、ルテニウム系色素のN719を0.45 mM(Solaronix製、色素増感剤)とルテニウム系色素のN749を0.15 mM(Solaronix製、色素増感剤)を、tert-ブタノール(t-BuOH)(和光純薬製工業(株)製)及びアセトニトリル(CH3CN)(和光純薬製工業(株)製)を含む混合溶液に希釈し、色素溶液を調製した。混合液は、t-BuOH:CH3CN=1:1の混合割合である。焼成後の金属チタン板を、本色素溶液に40℃にて14時間浸漬し、光電極材料を得た。
表面処理した金属チタンに精密グラインダー(サンハヤト(株)、AC-D12)を用いて研磨処理をすることで集電部を設けた。
(3)対極板の作製
対極としては、FTO(Fluorine Tin Oxide)蒸着(コーティング)ガラス板(旭硝子(株)製)(透明導電性ガラス)を、溶剤としてアセトン、エタノールを用いて洗浄し、乾燥させた後、白金(電気化学的還元触媒層)を電子ビーム蒸着にて1nm蒸着した。
ターミナル部位としては、特殊ハンダ セラソルザ#186(黒田テクノ製)にてコーティングした。
(4)色素増感型太陽電池の作製
光電極と対極との隙間に30μmのアイオノマー樹脂のスペーサ―(ハイミラン、三井・デュポン ポリケミカル(株)製)を設置した。
次いで、0.01 M I2(ヨウ素)、0.02 M LiI(ヨウ化リチウム)、0.24 M DMPII(1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide)、1.0M TBP(tert-ブチルピリジン)をアセトニトリル中(和光純薬製工業(株)製)に溶解させて、電解液を調製した。調製した電解液を、光電極と対極との隙間に入れた(電解質層)。
次いで、アクリル系UV硬化樹脂TB3035B((株)スリーボンド製、封止材)を用いて、両極間を封止し、コンベア型UV照射装置(ウシオ電機(株)製、VB-15201BY-A)を用いて積算強度40kJ/m2で封止剤を硬化させることにより色素増感型太陽電池を作製した。
(5)評価結果
ブロック層の下層に酸化アルミニウム、ブロック層の上層に酸化チタンを用いた色素増感太陽電池において、光電変換効率について調べた結果を、表4に示した。
本結果から、酸化チタン、酸化ニオブをそれぞれブロック層として使用した際に、変換効率の向上が認められた。またブロック層を2種類以上のものにて構成させることにより、光電変換特性が2倍以上の飛躍的な向上が認められた。
1 光電極(チタン基板、チタン材料)
2 陽極酸化材(アナターゼ型酸化チタンの皮膜)
3 ブロック層(緻密な層)
4 色素増感剤を含有する酸化チタン層(多孔質)
5 電解液(電解質層)
6 スペーサー 、封止材
7 白金蒸着膜(電気化学的還元触媒層)
8 FTO膜(透明導電膜)
9 対極(ガラス又はフィルム)

Claims (10)

  1. 光電極と対極とが電解質層を介して対向配置された色素増感太陽電池であって、
    (1)光電極が、チタン材料上にブロック層が設けられ、更に該ブロック層上に色素増感剤を含有する多孔質酸化チタン層が形成されたものであり、
    (2)対極が、透明導電性ガラス又は透明導電性フィルム上に、電気化学的還元触媒層がコーティングされていることを特徴とする、色素増感太陽電池。
  2. 前記チタン材料が、金属チタン、チタン合金、表面処理した金属チタン及び表面処理したチタン合金からなる群から選ばれる材料であることを特徴とする、請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 前記電気化学的還元触媒層が、白金触媒層であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池。
  4. 前記ブロック層が、酸化チタンの層、酸化アルミニウムの層、酸化ケイ素の層、酸化ジルコニウムの層、チタン酸ストロンチウムの層、酸化マグネシウムの層及び酸化ニオブの層からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料の層であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池。
  5. 前記ブロック層が、酸化チタンの層、酸化アルミニウムの層、酸化ケイ素の層、酸化ジルコニウムの層、チタン酸ストロンチウムの層、酸化マグネシウムの層及び酸化ニオブの層からなる群から選ばれる少なくともの2つの層で構成されること特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池。
  6. 前記ブロック層が、酸化チタンの層、酸化アルミニウムの層及び酸化ニオブの層からなる群から選ばれる少なくともの2つの層で構成されること特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の色素増感太陽電池の製造方法であって、
    前記光電極のチタン材料が、以下の表面処理方法により製造される製造方法:
    (1)金属チタン材料又はチタン材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、及び
    (2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物を形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有する電解液を用いて、火花放電発生電圧以上にて陽極酸化を行い、アナターゼ型酸化チタンの皮膜を形成する工程。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の色素増感太陽電池の製造方法であって、
    前記光電極のチタン材料が、以下の表面処理方法により製造される製造方法:
    (1)金属チタン材料又はチタン材料の表面にチタン窒化物を形成する工程、
    (2)工程(1)で得られた、表面にチタン窒化物を形成された金属チタン材料又はチタン合金材料を、チタンに対してエッチング作用を有しない電解液を用いて、陽極酸化を行う工程、及び
    (3)工程(2)で得られた、陽極酸化処理を施した金属チタン材料又はチタン合金材料を、酸化性雰囲気中で加熱処理を行い、アナターゼ型酸化チタン皮膜を形成する工程。
  9. 前記チタン窒化物を形成する工程が、PVD処理、CVD処理、溶射処理、アンモニアガス雰囲気下での加熱処理及び窒素ガス雰囲気下での加熱処理よりなる群から選択された1種の処理方法により行うものであること特徴とする、請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 前記窒素ガス雰囲気下での加熱処理が、酸素トラップ剤の存在下で実施するものであること特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
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