JP2017206012A - 積層フィルムおよびそれを用いた液晶投影用合わせガラス - Google Patents

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孝行 宇都
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Abstract

【課題】 合わせガラスとした際に外観が良好であり、かつヘッドアップディスプレイとした際に高い透明性と表示の明るさを備えたヘッドアップディスプレイとなすことができる積層フィルムを提供する。【解決手段】結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に合計11層以上積層されてなる積層フィルムであって、かつ前記積層フィルムの配向軸方向におけるヤング率が6GPa以上であり、かつ結晶性ポリエステルのガラス転移温度Tg(A)と熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度Tg(B)のうちより高い温度のガラス転移温度をTg(h)とすると、前記積層フィルムの配向軸方向または配向軸方向に直交する方向のいずれかにおいて、Tg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率が0.5%以上であることを特徴とする積層フィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムおよびそれを用いた液晶投影用合わせガラスに関する。さらに詳しくは、合わせガラスとした際に外観が良好であり、かつヘッドアップディスプレイとした際に高い透明性と表示の明るさを備えたヘッドアップディスプレイとなすことができる積層フィルムに関する。
人間の視野に直接情報を映し出す手段として、ヘッドアップディスプレイが知られている。これは、例えば、自動車の運転中、車両内で計器類の速度などの情報を直接、フロントガラスに虚像として映し出すため、視野を変化させることなく運転でき、事故防止につながる特徴をもつ。通常、小型の液晶プロジェクターなどの投影機から放たれた光が、ハーフミラー材を含んだ透明基材からなる表示部で、透過および反射される。観測者は、表示部に表示された情報を取得するとともに、表示部を透かして外の風景などの外部情報を同時に取得する。
ヘッドアップディスプレイにおいては、安全上の問題から高い透過率と運転者へ表示を正確に伝達するための表示の鮮明さが求められる。そのため、例えば特許文献1では液晶プロジェクター照射される偏光のみを反射する偏光反射特性を備えたフィルムを用いたヘッドアップディスプレイが示されている。
一方、ヘッドアップディスプレイの構成の一つとして、情報を表示するフロントガラスに上記の偏光反射特性を備えたフィルムを内封した合わせガラスを用いることも、長期の使用に際に接着剥がれ、傷、樹脂の劣化に伴う透明性、外観悪化、安全性の低下を抑制する上が有用である。
特表2006−512622号公報
特許文献1には、ガラス転移温度が122℃であるポリエチレンナフタレート(PEN)を用いたフィルムが、偏光反射特性に優れる旨記載されている。しかしながら、PENの高いガラス転移温度のため、特許文献1に記載のフィルムでは、130℃近傍で実施される合わせガラスなどに加工する際にフィルムに発生する歪みを抑制できず、作製しようとする合わせガラスの形状によっては外観の良好な合わせガラスが得られないという課題があった。
そこで、本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、合わせガラスとした際に外観が良好であり、かつヘッドアップディスプレイとした際に高い透明性と表示の明るさを備えたヘッドアップディスプレイとなすことができる積層フィルムを供することを目的とする。
係る課題を解決するため、本発明は、結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に合計11層以上積層されてなる積層フィルムであって、かつ前記積層フィルムの配向軸方向におけるヤング率が6GPa以上であり、かつ前記結晶性ポリエステルのガラス転移温度をTg(A)、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度Tg(B)のうちより高い温度のガラス転移温度をTg(h)とすると、前記積層フィルムの配向軸方向または配向軸方向に直交する方向のいずれかにおいて、Tg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率が0.5%以上であることを特徴とする積層フィルム、である。
本発明の積層フィルムによって、合わせガラスとした際の外観が良好であり、さらにヘッドアップディスプレイのための液晶投影用合わせガラスとして用いた際に高い透明性と高い表示の明るさとなることから、安全性に優れたヘッドアップディスプレイとなる。
フィルム配向軸方向を含む入射面に対して垂直な偏光と、フィルム配向軸方向を含む入射面に対して平行な偏光と表す模式図である。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。また、説明を簡略化する目的で一部の説明は異なる光学的性質の異なる2種の熱可塑性樹脂が交互に積層された積層フィルムを例にとり説明するが、3種以上の熱可塑性樹脂を用いた場合においても、同様に理解されるべきものである。
本発明の積層フィルムは、結晶性ポリエステル(以下、結晶性ポリエステルAと称することがある。)からなる層(A層)と前記の結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Bと称することがある。)からなる層(B層)が交互に、合計11層以上積層されてなる積層フィルムである。
ここで、結晶性ポリエステルAとは、具体的には、JIS K7122(1999)に準じて示差走査熱量測定(以下、DSCと称することがある。)を行い、昇温速度20℃/分で樹脂を25℃から300℃の温度まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)し、その状態で5分間保持後、次いで25℃以下の温度となるように急冷し、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが、15J/g以上であるポリエステルのことを指す。より好ましくは、結晶融解熱量は20J/g以上であり、さらに好ましくは25J/g以上である。
また、熱可塑性樹脂Bは、A層に用いられる結晶性ポリエステルAとは異なる光学特性または熱特性を示すものである。なお、本発明において、「熱可塑性樹脂Aとは異なる」とは、熱可塑性樹脂Aと異なる光学特性または熱特性を示すことを表す。本発明において、熱可塑性樹脂Aと異なる光学特性を示すとは、フィルムの面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向のいずれかにおいて、屈折率が0.01以上異なることをあらわす。また、熱可塑性樹脂Aと異なる熱特性を示すとは、示差走査熱量測定(DSC)において、結晶性ポリエステルAと融点またはガラス転移点温度が1℃以上異なることを示す。
また、ここでいう交互に積層されてなるとは、A層とB層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいう。例えば、A(BA)n(nは自然数)で表される規則的な配列で積層されたものである。このように光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係より設計した波長の光を反射させることができる干渉反射を発現させることが可能となる。
また、熱特性の異なる樹脂が交互に積層されることにより、二軸延伸フィルムを製造する際に各々の層の配向状態を高度に制御することが可能となり、光学特性や機械特性や熱収縮特性を制御することが可能となる。
積層フィルムの好ましい積層の形態として、結晶性ポリエステルAからなるA層、結晶性ポリエステルAとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層、および結晶性ポリエステルAならびに熱可塑性樹脂Bとは異なる熱可塑性樹脂CからなるC層を有する場合も挙げられる。このような場合には、CA(BA)n、CA(BA)nC、およびA(BA)nCA(BA)mなど、層Cが最外層もしくは中間層に積層される構成とすることができる。
また、積層する層数がそれぞれ10層以下の場合には、所望する帯域において高い反射率を得られないため、ヘッドアップディスプレイとして用いる場合に、十分は反射性能が得られず、液晶プロジェクターからの情報表示が暗くなり使用に適さないものとなる。また、前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになり、所望する帯域の光を反射する積層フィルムが得られるようになる。好ましくは100層以上であり、より好ましくは200層以上。さらに好ましくは400層以上である。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じるために、現実的には10000層程度が実用範囲となる。
本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムの配向軸方向におけるヤング率が、6GPa以上であることが必要である。ここでいう積層フィルムの配向軸方向とは、フィルムのヤング率をフィルム面内に10°毎に方向を変えて測定し、そのヤング率が最大になる方向のことである。ヤング率は、フィルムの初期変形時に必要な力を示す指標であり、ヤング率が高くなることにより、合わせガラス化の工程での打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工時に積層フィルムに力がかかった際にも加工不良や使用時の性能変化を抑制することが容易となる。好ましくは、積層フィルムの配向軸方向におけるヤング率は8GPa以上であり、より好ましくは10GPa以上である。ヤング率が増加するに従い積層フィルムは変形しがたいものとなり、例えば、打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工時の加工条件の制御範囲が広がるため、単に加工不良を抑制できるのみでなく、得られる製品の性能を高めるためにも有用である。ヤング率を高めるためには、後述のとおり、樹脂の選択に加えてフィルムの製造方法によって達成されるものである。
また、単層や数層程度の層数の場合、積層フィルムの配向軸方向におけるヤング率が6GPa以上であると、その樹脂の配向の強さゆえに積層フィルムが脆くなる傾向があり、ハンドリング性が低下する場合もあった。一方、本発明のとおり、結晶性ポリエステルAからなるA層と結晶性ポリエステルAとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に、合計11層以上積層されてなる積層フィルムの場合、ヤング率が6GPa以上であってもその積層界面での界面張力や熱可塑性樹脂BからなるB層の緩衝効果によって、ハンドリング性を損なわずにヤング率を高めること、ひいては打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工工程や機能性フィルムとして使用時に積層フィルムに力がかかった際にも、変形を抑制する効果を得ることができる。
また、本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムの配向軸方向とそれと同一の面内で直交する方向のヤング率の比(配向軸方向のヤング率/配向軸方向と同一の面内で直交する方向のヤング率)が2以上であることも好ましい態様である。単純に樹脂の選択やフィルムの製造方法によってヤング率の比を高めようとした場合にも、積層フィルムの面内方向に均等なヤング率を備えた積層フィルムでは、ヤング率に限界がある。これは、ヤング率は積層フィルムを構成する樹脂の配向の強さに依存するためで、ヤング率を高めたい方向に如何に強く配向しているかがヤング率の大きさに影響する。
一方で、打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工工程においては、その連続可能性の観点から積層フィルム長手方向におけるヤング率を高めることが加工工程の安定化に有効である。したがって、積層フィルムの配向軸方向とそれと同一の面内で直交する方向のヤング率の比を2以上とすることによって、配向軸側のヤング率をさらに高めることができ、ヤング率が最大となる方向(積層フィルムの配向軸方向)におけるヤング率が6GPa以上とすることが容易になる。より好ましくは積層フィルムの配向軸方向とそれと同一の面内で直交する方向のヤング率の比は3以上であり、この場合、積層フィルムの配向軸方向におけるヤング率が10GPa以上とすることも容易となる。
本発明の積層フィルムにおいては、結晶性ポリエステルのガラス転移温度Tg(A)と熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度Tg(B)のうち、より高い温度のガラス転移温度をTg(h)とすると、前記積層フィルムの配向軸方向または配向軸方向に直交する方向のいずれかにおいて、Tg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率が0.5%以上であることが必要である。なお、ガラス転移温度は、後述する測定方法においてDSCにて求められるものであり、DSCにてガラス転移温度に相当するピークが2箇所以上確認される場合は、その中で最も高温で測定されるピークトップがある温度をガラス転移温度とする。また、ガラス転移温度に相当するピークが1つしか見られない場合には、そのピークトップがある温度をガラス転移温度とする。一般的に樹脂は、ガラス転移温度以上になってミクロブラウン運動を始める一方、ガラス転移温度以下ではガラス状態のため変形しがたいものとなる。そのため、フィルムとした場合においても、フィルムを構成する樹脂の中で最も高いガラス転移温度以下では大きな変形は生じない。一方で合わせガラスで一般的に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などは室温近傍にガラス転移温度を備え、かつフィルムと対比して低い温度で軟化、収縮挙動を示すようになる。ここで、高い温度にガラス転移温度を備えたフィルムと低い温度にガラス転移温度を備えたポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて合わせガラスとすると、その収縮開始温度の違いから外観不良を生じるという課題がある。そこで、前記積層フィルムの配向軸方向または配向軸方向に直交する方向のいずれかにおいて、Tg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率が0.5%以上であることにより、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体と組み合わせて合わせガラスとした際にも、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体の収縮開始温度とフィルムの収縮開始温度を合わせることが容易となり、外観に問題のない高品位の合わせガラスとすることができる。このような積層フィルムは、後述のとおりフィルムの製造方法によって達成されるものである。
好ましくは、前記積層フィルムの配向軸方向または配向軸方向に直交する方向のいずれかにおいてTg(h)−20℃での熱収縮率が1.0%以上であることであり、さらに好ましくは2.0%以上である。収縮率を高めることにより、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体の収縮開始温度とフィルムの収縮開始温度や収縮量を合わせることが容易となることに加えて、合わせガラスとする加工プロセス条件の選択範囲が広くなったり、カーブの大きな合わせガラス形状への追従性が向上することから、より外観や性能面で優れ、かつ多様な形状の合わせガラスとできる。また、前記積層フィルムの配向軸方向と配向軸方向に直交する方向のでTg(h)−20℃での熱収縮率が5.0%以下であることも好ましい。熱収縮率が大きくなるに従い、カーブの大きな合わせガラスの形状にもフィットしやすくなる一方で、フィルムの収縮でガラスの周縁部での空隙が生じるという問題が発生する場合もある。
本発明の積層フィルムにおいては、前記積層フィルムの配向軸方向または配向軸方向に直交する方向のいずれかにおいて、85℃6時間加熱した際の熱収縮率が0.5%以上であることも好ましい。ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体の収縮温度は一般的に50〜100℃、特に80〜90℃近傍であり、85℃での熱収縮率を向上させることにより、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体の収縮開始温度とフィルムの収縮開始温度を合わせることが容易となるため外観に優れた合わせガラスを得られる。より好ましくは1.0%以上である。この場合、収縮率を高めることにより、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体の収縮開始温度とフィルムの収縮開始温度を合わせることが容易となることに加えて、合わせガラスとする加工プロセス条件の選択範囲が広くなったり、カーブの大きな合わせガラス形状への追従性が向上することから、より外観や性能面で優れかつ多様な形状の合わせガラスとできる。
本発明の積層フィルムにおいては、前記積層フィルムの配向軸方向のTg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率と、配向軸方向に直交する方向のTg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率との熱収縮率の差が0.5%以上であることも好ましい。液晶投影用合わせガラスは主にフロントガラスに用いられるが、フロントガラスの形状は横長であり、かつ縦方向と横方向ではカーブの大きさが異なるケースが多い。この際、配向軸方向と配向軸方向と直交する方向での熱収縮率の差が小さい場合、合わせガラスの建縦横でのカーブの大きさの違いから、縦または横方向のいずれかは良好な合わせガラス形状とできるのに対して他方で外観不良が発生する場合がある。積層フィルムの配向軸方向と配向軸方向に直交する方向のTg(h)−20℃での熱収縮率の差が0.5%以上である場合、合わせガラスの縦横でのカーブの大きさの違いに対応した収縮挙動差とすることができるので、外観に優れた合わせガラスを得ることが容易となる。好ましくは配向軸方向と配向軸方向に直交する方向のTg(h)−20℃での熱収縮率の差が1.0%以上である。この場合、より縦横のカーブの大きさの差が大きい合わせガラスにも適用できるようになる。
本発明の積層フィルムにおいては、結晶性ポリエステルAからなるA層が最外層であることが好ましい。この場合、結晶性ポリエステルAが最外層となるため、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムのような結晶性ポリエステルフィルムと同様にして、二軸延伸フィルムを製造することが可能となる。結晶性ポリエステルではなく、例えば、非結晶性の樹脂からなる熱可塑性樹脂Bが最外層となる場合、結晶性ポリエステルフィルムと同様にして二軸延伸フィルムを得る場合、ロールやクリップなどの製造設備への粘着による製膜不良や、表面性の悪化などの問題が生じる場合がある。
本発明で用いられる結晶性ポリエステルAとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールとを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましく用いられる。
ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用することもできる。
特に、本発明の積層フィルムに用いられる結晶性ポリエステルAを構成するカルボン酸成分としては、最延伸後に高屈折率を発現し、ヤング率に代表される機械強度や寸法安定性を高めるという観点から、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸は、高い対称性を備えた芳香族環を含むことから、配向および結晶化させることにより、高い屈折率と優れた機械物性を両立することが容易となる。特に、結晶性ポリエステルAを構成するカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸を含む場合、芳香族環の体積比率が増えることにより、低コストであり、かつ溶融製膜可能な樹脂としてはきわめて高い屈折率と優れた機械物性を達成することが可能である。
本発明の積層フィルムにおいては、結晶性ポリエステルは、結晶性ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうち、ナフタレンジカルボン酸を50mol%以上含むことが好ましい。ナフタレンジカルボン酸を50mol%以上含むことにより、配向および結晶化が進行し高い屈折率とそれに伴う高い反射性能、優れた機械物性を両立することが容易となる。好ましくは、ナフタレンジカルボン酸を50mol%以上90mol%以下含むことである。カルボン酸成分に含まれるナフタレンジカルボン酸の含有量が90mol%以下とすることで、結晶性ポリエステルの配向・結晶性を制御できることからより合わせガラス化工程に適した積層フィルムを得ることが容易となる。
また、本発明の積層フィルムに用いられる結晶性ポリエステルAを構成するカルボン酸成分としては、上記のテレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸に加えてイソフタル酸を含むことも好ましい。イソフタル酸を含むことにより、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸のみでなる場合と比較して積層フィルムの高い偏光反射性能を維持しつつ、結晶性ポリエステルの配向・結晶性を制御できることからより合わせガラス化工程に適した積層フィルムを得ることが容易となる。
また、本発明の積層フィルムに用いられる結晶性ポリエステルAを構成するジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、およびスピログリコールなどを挙げることができる。中でも、重合が容易であるという観点から、エチレングリコールが主たる成分であることが好ましい態様である。
ここで主たる成分とは、ジオール成分のうち50mol%以上であることを指す。これらのジオール成分は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを、一部共重合することもできる。
本発明の積層フィルムにおいては、ジオール成分が少なくとも2種類以上からなり、かつ主たるジオール成分の含有量が50mol%以上90mol%以下であることも好ましい。この場合、結晶性ポリエステルの配向・結晶性を制御できることからより合わせガラス化工程に適した積層フィルムを得ることが容易となる。
本発明の積層フィルムにおいては、結晶性ポリエステルAを構成するジオール成分が炭素数の2〜5のアルキレングリコールを含んでなることも好ましい。結晶性ポリエステルAを構成するジオール成分に炭素数2〜5のアルキレングリコールを含む場合、配向・結晶性は維持しつつも樹脂としてのガラス転移温度を低温化することが可能となり、より低い温度で積層フィルムを収縮させることが出来るようになり、より合わせガラス化工程に適した積層フィルムを得ることが容易となる
本発明の積層フィルムにおいては、結晶性ポリエステルAを構成する主たるジカルボン酸成分およびジオール成分以外のジカルボン酸とジオール成分の和が20mol%未満であることも好ましい(この場合、すべてのジカルボン酸成分とジオール成分の和は200mol%となる)。主たるジカルボン酸成分およびジオール成分以外のジカルボン酸とジオール成分の和が20mol%未満であることにより、適度な結晶性を備えつつより低い温度で成型することが容易となるため、より合わせガラス化工程に適した積層フィルムを得ることが容易となるとともに、実際に得られた積層フィルムは高い偏光反射性能を備えたものとできる。
さらに好ましくは、本発明の結晶性ポリエステルAからなるA層が、2種類以上の結晶性ポリエステルの混合物からなることである。2種類以上の結晶性ポリエステルの混合物である場合も、結晶性ポリエステルの配向・結晶性を制御できることからより合わせガラス化工程に適した積層フィルムを得ることがさらに容易となる。また、結晶性ポリエステルの組成で配向・結晶性を制御する場合には、樹脂そのものの結晶性が低下するためにフィルムを製膜する際の樹脂の乾燥や押出に問題が生じるケースもあるが、2種類の結晶性ポリエステルを混合する場合、各々の樹脂は乾燥・押出性に優れるため安定してフィルムを製膜することが容易となる。2種類以上のポリエステルを混合するさらに好ましい効果として、各々の結晶性ポリエステルが完全に混合せずにドメインと呼ばれる微小な領域を持って分散するため、各々のドメイン内での結晶化が進行し、結晶性ポリエステルの配向・結晶性を制御に優れながら、延伸時にロール粘着などの製膜トラブルを抑制するという効果を示す。
本発明の積層フィルムにおいては、結晶性ポリエステルAからなるA層が、分子量500以上10000以下のエステル結合を有する化合物を含むことも好ましい。このような分子量を有する化合物を含むことにより、結晶化度を低下させることなく高い偏光反射特性を維持しつつ、ポリエステル分子鎖の絡み合いを抑制することでガラス転移温度を抑制し、ひいてはより合わせガラス化工程に適した積層フィルムを得ることが容易となる。また、分子量が10000を超えると、ポリエステル分子鎖の絡み合いの抑制効果や、結晶化度を高める効果が低くなる場合がある。一方、分子量が500未満であると、添加剤がブリードアウトし易くなる傾向がある。ここでいう分子量とは数平均分子量を指す。より好ましくは3000以下である。下限としては1000以上であることも好ましい。
また、本発明の積層フィルムにおいては、分子量500以上10000以下のエステル結合を有する化合物の含有量が、当該化合物を含有する層に対して2重量%〜10重量%の範囲であることも好ましい。2重量%未満である場合は、ポリエステル分子鎖の絡み合いを抑制する効果が十分に得られない場合がある。10重量%よりも多い場合は、ポリエステル分子鎖の絡み合いを抑制する効果が大きくなりすぎてポリエステル分子鎖が配向せず、機械強度や透明性を損なう場合がある。2重量%〜10重量%の範囲であることで、高い偏光反射特性と合わせガラス化工程適正を両立できるようになる。
上記のエステル結合を有する化合物は、ブチレン基を含む芳香族エステルであることがより好ましい。ブチレン基を含むことで、ポリエステルフィルムのポリエステル分子鎖の絡み合いの抑制効果や、結晶化度を高める効果が増し、芳香族エステルであることで、ポリエステルとの相溶性が高く内部ヘイズを低くすることができる。特に、テレフタル酸、ブチレン基、エチルヘキシル基からなる芳香族エステルが好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂Bとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などの鎖状ポリオレフィン;ノルボルネン類の開環メタセシス重合、付加重合、他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート;ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどのポリエステル;ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、およびポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。
これらの中でも、強度、耐熱性、透明性および汎用性の観点に加え、A層に用いられる結晶性ポリエステルAとの密着性および積層性という観点から、ポリエステルが好ましく用いられる。これらは、共重合体であっても混合物であっても用いられる。
本発明の積層フィルムにおいて、熱可塑性樹脂Bがポリエステルの場合は、芳香族ジカルボン酸成分および/または脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分とを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましく用いられる。ここで、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分およびジオール成分としては、結晶性ポリエステルAで挙げられた成分が好適に用いられる。
本発明の積層フィルムにおいて、熱可塑性樹脂Bは、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分を主たる構成成分とする芳香族ポリエステルであることが好ましい。さらに、干渉反射機能を備えた積層フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂Bとしては、非晶性樹脂であることも好ましい態様である。結晶性樹脂と比較して非晶性樹脂は二軸延伸フィルムを製造する際に配向が生じにくいため、熱可塑性樹脂BからなるB層の配向結晶化に伴う屈折率の増加を抑制でき、結晶性ポリエステルAからなるA層との屈折率差を容易に発生させることが可能となる。
ここでいう非晶性樹脂とは、JIS K7122(1999)に準じて、昇温速度20℃/分で樹脂を25℃から300℃の温度まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)、その状態で5分間保持後、次いで25℃の温度以下となるように急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃の温度まで昇温を行って、得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが、5J/g以下の樹脂であり、より好ましくは結晶融解に相当するピークを示さない樹脂である。
また、積層フィルムを再度延伸し再延伸フィルムとした際に干渉反射機能を備えた積層フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂Bとしては、結晶性ポリエステルAの融点より20℃以上低い融点をもつ結晶性樹脂も好ましく用いられる。この場合、熱可塑性樹脂Bの融点と結晶性ポリエステルAの融点との間の温度でさらに熱処理を実施することにより、熱処理工程で完全に緩和させることができ、結晶性ポリエステルAからなるA層との屈折率差を最大化できる。好ましくは、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの融点の差は、40℃以上である。この場合、熱処理工程での温度の選択幅が広くなるために、熱可塑性樹脂Bの配向緩和の促進や結晶性ポリエステルの配向の制御がさらに容易にできるようになる。
結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、両者のSP値の差の絶対値は、1.0以下であることが好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下になると、A層とB層の層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bは、同一の基本骨格を供えた組み合わせからなることである。
ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことである。例えば、結晶性ポリエステルAとしてカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸のみからなるポリエチレンナフタレートまたは2,6−ナフタレンジカルボン酸をカルボン酸成分の50%以上含む主成分とするポリエチレンナフタレート共重合体を用いる場合は、熱可塑性樹脂Bとして非晶性のポリエチレンナフタレート共重合体または結晶性ポリエステルAより融点の低い結晶性ポリエチレンナフタレート共重合体を用いることが好ましい。
また、積層フィルムを再度延伸し再延伸フィルムとした際に干渉反射機能を備えた積層フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が結晶性ポリエステルAのガラス転移温度より10℃以上低いことが好ましい。この場合、各延伸工程においても結晶性ポリエステルを延伸するために最適な延伸温度をとった場合に、熱可塑性樹脂Bでの配向が進まないため、結晶性ポリエステルからなるA層との屈折率差を大きくとることができる。より好ましくは、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が結晶性ポリエステルAのガラス転移温度より20℃以上低いことである。後述する本発明の積層フィルムを得るために好適な製造方法においては、熱可塑性樹脂Bの配向結晶化が進みやすく所望の干渉反射機能が得られない場合もあるが、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が結晶性ポリエステルAのガラス転移温度より20℃以上低くすることにより、配向結晶化を抑制できるものである。
また、本発明の積層フィルムにおいては、示差走査熱量測定(DSC)による5J/g以上である融解ピークが一つしか確認されないことも好ましい。示差走査熱量測定(DSC)による5J/g以上である融解ピークが一つしか確認されないということは、その融解ピークは結晶性ポリエステル由来のものであることから、熱可塑性樹脂Bは配向・結晶化していないことを示している。従って、結晶性ポリエステルからなるA層と結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層の各層の屈折率の差を大きくすることが容易となり、高い光学性能を備えた積層フィルムを得ることが可能となる。
また、熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、および核剤などを、その特性を悪化させない程度に添加させることができる。
本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムの配向軸方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR1とし、それと積層フィルムの配向軸方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR2とした場合、波長550nmにおける反射率が下記式(1)および式(2)を満足することが好ましい。下記の式(1)および式(2)を満足することにより、いずれかの偏光を反射し、他方の偏光を透過するという偏光反射特性を付与することが可能となる。
下記の式(1)を満足するフィルムを得るためには、積層フィルムの配向軸方向におけるA層とB層の屈折率差を0.02以下、より好ましくは、0.01以下、さらに好ましくは、0.005以下となる樹脂の組合せで調整することができる。また、下記の式(2)を満足するフィルムを得るためには、積層フィルムの配向軸方向と直交する方向におけるA層とB層の屈折率差を0.08以上、より好ましくは、0.1以上、さらに好ましくは、0.15以上となる樹脂の組合せの選択および製膜条件で調整できる。その最適な組み合わせの例は前述のとおりである。
・R2(550)≦40% ・・・(1)
・R1(550)≧70% ・・・(2)
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下について説明する。
また、本発明で用いられる積層フィルムの積層構造は、特開2007−307893号公報の[0053]〜[0063]段に記載の内容と同様の方法により簡便に実現することができる。
まず、結晶性ポリエステルAおよび熱可塑性樹脂Bを、ペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、加熱溶融された樹脂は、ギアポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂は、多層積層装置に送り込まれる。
多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、本発明の構成を効率よく得るためには、11個以上の微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いることにより、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となる。
そして、ダイから吐出された積層シートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化されることにより、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力により、吐出されたシートを冷却体に密着させ、急冷固化させることが好ましい。また、吐出されたシートを冷却体に密着させる方法としては、スリット状、スポット状および面状の装置からエアーを吹き出すこと、およびニップロールを用いる方法も好ましい態様である。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、フィルムを長手方向および幅方向に延伸することをいう。
さらに、本発明の積層フィルムを得るために好適な二軸延伸の方法として、フィルム長手方向に倍率2〜45倍で延伸した後、フィルム幅方向に2〜45倍で延伸し、さらに再度フィルム長手方向に1.3〜4倍で延伸することが挙げられる。その詳細を、次に記す。
得られたキャストフィルムを、まず長手方向に延伸する。長手方向への延伸は、通常はロールの周速差により施される。この延伸は、1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行うこともできる。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、2〜45倍であることが好ましい。この1回目の長手方向への延伸の目的は、次に続くフィルム幅方向への延伸時の均一延伸性を向上させるために必要最低限の配向を設けることにある。そのため、延伸倍率を45倍より大きい倍率とする場合、後述のフィルム幅方向延伸、および、その工程後に実施される長手方向への再延伸時に十分な延伸倍率のフィルムが得られなくなる場合がある。また、延伸倍率が2倍未満である場合には、延伸時に必要最低限の配向も付与できず、かつフィルム長手方向に厚みムラが生じ品位が低下する場合もある。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する結晶性ポリエステルAのガラス転移温度〜ガラス転移温度+30℃の温度であることが好ましい。
このようにして得られた一軸延伸フィルムに、必要に応じてコロナ処理、フレーム処理およびプラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、および帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与することができる。
続いて、一軸延伸フィルムを幅方向に延伸する。幅方向の延伸は、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常、2〜4.5倍であることが好ましい。この幅方向への延伸の目的は、次に続くフィルム長手方向への延伸時の高い延伸性を付与するために必要最低限の配向を設けることにある。そのため、延伸倍率を4.5倍より大きい倍率とする場合、この工程に続いて実施されるフィルム長手方向への再延伸時に十分な延伸倍率のフィルムが得られなくなる場合がある。また、延伸倍率が2倍未満である場合には、延伸時にフィルム幅方向に厚みムラが生じ品位が低下する場合もある。また、延伸温度は、積層フィルムを構成する結晶性ポリエステルAのガラス転移温度〜ガラス転移温度+30℃、もしくはガラス転移温度〜結晶性ポリエステルの結晶化温度の間であることが好ましい。
続いて、得られた2軸延伸フィルムを再度長手方向に延伸する。この長手方向への延伸は、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行うこともできる。延伸の倍率は樹脂の種類により異なるが、1.3〜4倍であることが好ましい。この2回目の長手方向への延伸の目的は、フィルム長手方向へ可能な限り強く配向させることにあり、このように再度長手方向へ延伸することにより樹脂が強く配向され、結果として積層フィルムの配向軸方向または配向軸方向に直交する方向のいずれかにおいて、Tg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率が0.5%以上とすることや、積層フィルムの配向軸方向におけるヤング率を6GPa以上とすることが可能となる。特に、長手方向への延伸倍率が高いほどTg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率が1.0%以上としたりヤング率を10GPa以上とすることも容易なものとなる。また、延伸温度は、積層フィルムを構成する結晶性ポリエステルAのガラス転移温度〜ガラス転移温度+80℃であることが好ましい。
このようにして、得られた延伸フィルムは、平面性および寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の温度で熱処理を行うこともできる。熱処理を行うことにより、配向結晶化が促進されてヤング率が増大する効果が得られる。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、常温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理後、徐冷する際に弛緩処理などを行うこともできる。
上述のとおりの製造方法で得られる積層フィルムは、単にガラス転移温度以下でも高い熱収縮率を示したりヤング率が高いのみでなく、前述の式(1)および(2)を満足する偏光反射特性を備えた積層フィルムとすることもできる。これは、2回目のフィルム長手方向の延伸の際に、結晶性ポリエステルAからなるA層の配向をフィルム長手方向により強くすることができるためであり、結果として、フィルム長手方向の屈折率とフィルム長手方向に直交するフィルム幅方向の屈折率に差が生じるためである。さらには、熱可塑性樹脂Bとして、非晶性樹脂や延伸工程と熱処理工程において、配向を緩和できるガラス転移温度・融点の差のある結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの組み合わせを選択することにより、熱可塑性樹脂Bの配向を抑制することができ、偏光反射特性が付与されるものである。
上記の製膜プロセスと特許文献1ならびに特許文献1に開示される偏光反射特性を備えたフィルムの詳細な製造方法の開示される特許文献3(特表2002−509282号公報)との対比を行う。特許文献3にはフィルム幅方向に一軸延伸またはフィルム幅方向および長手方向に2軸延伸することにより偏光反射特性を備えたフィルムを得ている。一方、本発明ではフィルム長手方向に2回、幅方向に1回と計3回延伸することで積層フィルムを得る。樹脂は延伸倍率が高くなるに従い配向が強められていくことから、本発明の積層フィルムの製造方法を用いることで、特許文献3に開示されるフィルムの製造方法よりも強く配向された積層フィルムを得ることができる。この配向の強さゆえに、ヤング率を向上させることができるのに加えて、本来収縮挙動の生じないガラス転移温度以下の温度での高い収縮挙動を発現させることができるものである。
次に、このようにして得られた積層フィルムの合わせガラス化工程の一例を以下に説明する。
フロントガラスに適したサイズにカット合わせガラスとし、一方のガラス上に、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体に代表されるような中間膜として用いる樹脂シート、カットした積層フィルム、樹脂シート、他方のガラスを配置したのり、120℃雰囲気下で1時間程度加熱して仮圧着する。続いて、140℃、1.5MPaまで加圧、加熱した状態で30分保持することに本接着し、合わせガラスを得るものである。ここで、仮圧着、本接着の工程において、本発明の積層フィルムを用いることで、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体の収縮開始に合わせて積層フィルムの収縮も生じるため、外観の優れた積層フィルムを得られるものである。
このようにして得られた合わせガラスは、液晶投影用途に好適に用いることができる。特に、光源、液晶モジュールを含んでなるヘッドアップディスプレイ用途に好適に用いることができる。このとき、光源は特に限定されるものではなく、水銀、メタルハライド、ハロゲン、蛍光ランプ、白色LEDランプ、RGBの3波長LEDランプなどが搭載されており、低消費電力の面で優れているLEDランプが好ましい。また、このときの液晶モジュールは特に限定されるものではなく、たとえばSTN(Super Twisted Nematic)式やTFT(Thin Film Transistor)方式、さらにDSTN(Dual Super Twisted Nematic)、FSTN(Film-compensated STN)方式などがある。
液晶モジュールを含むことにより、液晶投影用合わせガラスに投影される映像は特定の偏光状態を備えてなる。本発明の積層フィルムのように偏光反射特性を備えている場合の効果を、仮に一方の偏光の反射率を100%、他方の偏光の反射率を0%としたモデルケースで説明する。このときの無偏光状態での反射率は50%である。液晶モジュールから投影された映像を反射できる方向の積層フィルムを配置すると、液晶モジュールからの映像は反射率100%で表示されるため、運転手に届く光量は100%となる。一方、無偏光状態であるフロントガラス外部の情報は、反射率50%にて反射されるため、運転手に届く光量は50%となる。一方、偏光反射特性の全くない反射率50%のフィルムを同様に用いた場合、運転手に届く液晶モジュールから情報の光量もフロント外部からの情報の光量も50%となり、偏光反射特性を備えた本発明の積層フィルムのほうが、液晶モジュールからの情報を2倍明るく得ることができる。さらに偏光度を調整することにより、液晶モジュールからの光量を高めつつもフロントガラス外部の視認性を高めることもできるようになり、安全性、視認性の点で優れたヘッドアップディスプレイとなるものである。
また、合わせガラスとせずにフロントガラスに貼り付けても同様の効果は得られるものの、長期の使用に際に接着剥がれ、傷、樹脂の劣化などが生じ、結果として透明性、外観の悪化ひいては安全性が低下する懸念がある。一方、合わせガラスの内部に積層フィルムを封入することで、これらの問題を防ぐことができ、長期の使用に適したヘッドアップディスプレイとできる。
本発明の積層フィルムは、合わせガラス以外にもヘッドアップディスプレイに用いる液晶プロジェクターの内部に設ける輝度向上フィルムとして用いることもできる。この場合、液晶プロジェクター内に設けられていた偏光板で本来吸収されていた偏光をあらかじめ反射・再利用することにより、偏光板に光が吸収されることを抑制することができ、同一光量の光を光源から照射したとしても、液晶プロジェクターから実際に照射される光量を増大させることができ、高輝度化、ひいては表示の鮮明化に伴う安全性向上や液晶プロジェクターに要する電力抑制などの効果が得られるものである。
以下、本発明の積層フィルムについて実施例を用いて説明する。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)積層数:
積層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面写真を撮影し、層数を確認した。
(2)ヤング率の測定、積層フィルムの配向軸方向の特定:
積層フィルムを、長さ150mm×幅10mmの短冊形に切り出し、サンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として引張試験を行った。測定は室温23℃、相対湿度65%の雰囲気で実施し、得られた荷重−歪曲線からヤング率を求めた。測定は、各サンプルについて、5回ずつ行い、それぞれの平均値をヤング率として求めた。この測定をフィルム面内に10°毎に方向を変えて測定し、そのヤング率が最大になる方向を積層フィルムの配向軸方向とした。
(3)偏光成分をもつ入射光に対する反射率の測定:
サンプルを配向軸方向の長さが最大となる線分上の配向軸方向中心から5cm×5cmで切り出した。日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。サンプルは、積層フィルムの配向軸方向を垂直方向にして積分球の後ろに設置した。また、付属のグランテーラ社製偏光子を設置して、偏光成分を0および90°に偏光させた直線偏光を入射して、波長250〜1500nmの反射率を測定した。
測定条件は、次のとおりである。スリットは、2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定し、方位角0〜180度における反射率を得た。サンプルの反射測定時は、裏面からの反射による干渉をなくすために、マジックインキ(登録商標)で黒塗りした。
(4)結晶融解熱量ΔHmおよびガラス転移温度:
測定する積層フィルムからサンプリングを行い、示差熱量分析(DSC)を用いてJIS−K−7122(1987年)に従って、測定サンプルのDSC曲線を測定した。試験は、25℃から300℃の温度まで20℃/分で昇温し、その際の融解エンタルピーならびにガラス転移温度を計測した。用いた装置等は、次のとおりである。
・装置:セイコー電子工業(株)製“ロボットDSC−RDC220”
・データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
・サンプル質量:5mg。
(5)熱収縮率
サンプルを150mm×10mmのサイズで切り出し、サンプル長手方向に100mmの間隔で印を付けた。印の間隔をNikon社製万能投影機(Model V−16A)を用いて測定しその値をAとした。次に、サンプルを3gの荷重をかけた状態でギアオーブンの中で吊り、Tg(h)−20℃または85℃の雰囲気中で6時間放置した。次いで、サンプルを取り出して冷却後、先につけた印の間隔を測定しこれをBとした。このとき、下記式(3)より、熱収縮率を求めた。n数は3とし、その平均値を求め、フィルム配向軸方向、配向軸方向と直交する方向のそれぞれについて測定を行なった。
熱収縮率(%)=100×(A−B)/A ・・・(3)。
(6)加工性:
ロール状のフィルムを打ち抜き機に導入し、長さを100mmの正方形状の金型を用いて、打ち抜きを実施した。次のA、BおよびC評価を行った。AとBを合格とした。
A:フィルムが破断なく連続的に搬送し、加工することができた。
B:フィルムが破断なく連続的に搬送できるものの、一部分でフィルムのわずかな破断が見られるもの
C:フィルムが完全に破断し、長手方向の連続加工連続加工ができなくなった。
(7)ナフタレンジカルボン酸の含有率:
積層フィルムの結晶性ポリエステルからなるA層を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)もしくはHFIPと重水素化クロロホルムの混合溶媒に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて組成分析した。
(実施例1)
結晶性ポリエステルAとして、融点が266℃で、ガラス転移温度122℃の2,6−ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。また、熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂でありガラス転移温度が103℃の2,6−ナフタレンジカルボン酸25mol%と、テレフタル酸25mol%と、エチレングリコール50mol%とを共重合した共重合PEN(共重合PEN1)を用いた。
準備した結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、2台の単軸押出機にそれぞれ投入し、290℃の温度で溶融させて混練した。次いで、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、スリット数11個の積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に11層積層された積層体を得た。積層体とする方法は、日本特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載の方法に従って行った。
ここでは、スリットの長さおよび間隔は、全て一定とした。得られた積層体は、結晶性ポリエステルAが6層、熱可塑性樹脂Bが5層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。また、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値が2.5となるようにした。
得られたキャストフィルムを、120℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルム長手方向に135℃の温度に設定されたロールで3.3倍に延伸し、その後一旦冷却した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、115℃の温度の熱風で予熱後、135℃の温度でフィルム幅方向に3.5倍延伸し、さらに160℃の温度でフィルム長手方向に1.5倍延伸し積層フィルムをフィルムロールとして得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も非常に高いものであった。一方、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであったが、透明度は非常に高いもののヘッドアップディスプレイとして用いた際に表示はできるが映像はやや暗かった。
得られた積層フィルムは、厚さ3mmの10cm角に板ガラスと厚さ0.7mmのポリビニルブチラールのシートで挟みこみ、日清紡LAMINATOR0303Sにて140℃、5分間真空引きした後10分間1.3MPaの圧力をかけることで合わせガラスとした。
得られた合わせガラスはしわや気泡などもなく、優れた外観のものであった。
(実施例2)
用いられる積層装置を、スリット数が101個である装置を用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸倍率を1.7倍としたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も非常に高いものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例1と比較しても高い偏光反射特性を示してよりヘッドアップディスプレイに適したものとなっていた。
また、実施例1と同様にして得られた合わせガラスもしわや気泡などもなく、優れた外観のものであった。
(実施例3)
用いられる積層装置をスリット数が201個である装置を用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸倍率を1.9倍としたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も非常に高いものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例2と比較しても高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして鮮明に表示できるものであった。
また、実施例1と同様にして得られた合わせガラスもしわや気泡などもなく、優れた外観のものであった。
(実施例4)
用いられる積層装置をスリット数が401個である装置を用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸倍率を2.2倍としたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も非常に高いものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例3と比較しても高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして好適なものであった。
また、実施例1と同様にして得られた合わせガラスもしわや気泡などもなく、優れた外観のものであった。
(実施例5)
結晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度が119℃で、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸100mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN2)を用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を2.6倍としたこと以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も非常に高いものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例4と比較してもさらに高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして好適なものであった。
また、実施例1と同様にして得られた合わせガラスもしわや気泡などもなく、優れた外観のものであった。
(実施例6)
結晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度が117℃で、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸90mol%、テレフタル酸10mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール100mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN3)を用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を2.8倍としたこと以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も非常に高いものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例4と比較してもさらに高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして好適なものであった。
また、実施例1と同様にして得られた合わせガラスもしわや気泡などもなく、優れた外観のものであった。
(実施例7)
フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を3.0倍としたこと以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も非常に高いものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較してもさらに高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして好適なものであった。
また、実施例1と同様にして得られた合わせガラスもしわや気泡などもなく、優れた外観のものであった。
(実施例8)
フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を2.2倍としたこと以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、やや実施例5と比較して低下は見られるもののガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も高いものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較してやや低下は見られるものの高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして好適なものであった。
また、実施例1と同様にして得られた合わせガラスもしわや気泡などもなく、優れた外観のものであった。
(実施例9)
フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を1.8倍としたこと以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、やや実施例5と比較して低下は見られるもののガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も高いものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較してやや低下は見られるものの高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして鮮明に表示できるものであった。
一方、ガラス形状への打ち抜き工程にて一部のサンプルでわずかな破断が見られたほか、実施例1と同様にして得られた合わせガラスも使用できる範囲ではあるもののわずかにしわが見られるものとなっていた。
(実施例10)
結晶性ポリエステルとして、共重合PEN1を10重量%、共重合PEN2を90重量%混合して用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を3.2倍とした以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、やや実施例5と比較してガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、合わせガラス加工適したものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較してやや低下は見られるものの高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして鮮明に表示できるものであった。
(実施例11)
結晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度が112℃で、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸95mol%、イソフタル酸5mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN4)を、熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂でありガラス転移温度が98℃で、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸50mol%と、テレフタル酸50mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%と、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN5)を用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を3.0倍とした以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、やや実施例5と比較してガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、合わせガラス加工適したものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較してやや低下は見られるものの高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして鮮明に表示できるものであった。
(実施例12)
熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂でありガラス転移温度が92℃で、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸35mol%と、テレフタル酸65mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%と、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN6)を用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を3.2倍とした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、やや実施例5と比較してガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、合わせガラス加工適したものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較してやや低下は見られるものの高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして鮮明に表示できるものであった。
(実施例13)
結晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度が110℃で、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸90mol%、イソフタル酸10mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN7)を用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を2.8倍とした以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、やや実施例5と比較して特に85℃において高い熱収縮率を示し、合わせガラス加工適したものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較してやや低下は見られるものの高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして鮮明に表示できるものであった。
(実施例14)
結晶性ポリエステルとして、共重合PEN2を95重量%、数平均分子量2000である、テレフタル酸、ブチレン基、エチルヘキシル基を有する芳香族エステルを5重量%混合して用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を3.2倍とした以外は、実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、やや実施例5と比較して特に85℃において高い熱収縮率を示し、合わせガラス加工適したものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較してやや低下は見られるものの高い偏光反射特性を示し、ヘッドアップディスプレイとして鮮明に表示できるものであった。
(比較例1)
キャストフィルムとして、PENの単層のフィルムを用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を1.3倍としたこと以外は、実施例1と同様にしてフィルム(実施例1の積層フィルムに相当)を得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も非常に高いものであった。一方、積層構造を有さないため、特異な反射性能は示さず、ヘッドアップディスプレイとして用いるには不適なものであった。
一方、ガラス形状への打ち抜き工程にて破断するため連続加工できないものであった。
(比較例2)
用いられる積層装置をスリット数が3個である装置を用い、フィルムを再度フィルム長手方向に延伸する際の延伸倍率を1.3倍としたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においても高い熱収縮率を示し、ヤング率も非常に高いものであった。一方、層数が少ないため、ほとんど反射性能は示さず、ヘッドアップディスプレイとして用いるには不適なものであった。
一方、ガラス形状への打ち抜き工程にて破断するため連続加工できないものであった。
(比較例3)
実施例5と同様にして得られたキャストフィルムを、120℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルム長手方向に135℃の温度に設定されたロールで4.5倍に延伸し、その後一旦冷却した。
このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、135℃の温度の熱風で予熱後、150℃の温度でフィルム幅方向に4.5倍延伸し、さらに220℃にて熱処理を行い二軸延伸フィルムをフィルムロールとして得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においてはほとんど収縮特性を示さず、ヤング率も実施例5対比低いものであった。一方、高い反射性能は備えているものの偏光特性はなく、ヘッドアップディスプレイとして用いるには不適なものであった。
また、実施例1と同様にして得られた合わせガラスはしわが多数見られ、外観上でもヘッドアップディスプレイに不適なものであった。
(比較例4)
実施例5と同様にして得られたキャストフィルムを、テンターに導き、135℃の温度の熱風で予熱後、150℃の温度でフィルム幅方向に5.0倍延伸して一軸延伸フィルムをフィルムロールとして得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、ガラス転移温度以下においてはほとんど収縮特性を示さず、ヤング率も実施例5対比低いものであった。一方、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較しても同等レベルの高い偏光反射特性を示し、光学特性の観点ではヘッドアップディスプレイとして好適なものであった。
また、ガラス形状への打ち抜き工程にて破断するため連続加工できず、実施例1と同様にして得られた合わせガラスでもしわが多数見られ、外観上ではヘッドアップディスプレイに不適なものであった。
Figure 2017206012
1.フィルム配向軸方向
2.フィルム配向軸方向を含む入射面に対して垂直な偏光
3.フィルム配向軸方向を含む入射面に対して平行な偏光
本発明は、積層フィルムおよびそれを用いた液晶投影用合わせガラスに関するものである。さらに詳しくは、合わせガラスとした際に外観が良好であり、かつヘッドアップディスプレイとした際に高い透明性と表示の明るさを備えたヘッドアップディスプレイに適した積層フィルムに関するものである。

Claims (9)

  1. 結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に合計11層以上積層されてなる積層フィルムであって、かつ前記積層フィルムの配向軸方向におけるヤング率が6GPa以上であり、かつ前記結晶性ポリエステルのガラス転移温度Tg(A)と前記熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度Tg(B)のうち、高い温度のガラス転移温度をTg(h)としたとき、前記積層フィルムの配向軸方向または配向軸方向に直交する方向のいずれかにおいて、Tg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率が0.5%以上であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記積層フィルムの配向軸方向のTg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率と、配向軸方向に直交する方向のTg(h)−20℃で6時間加熱した際の熱収縮率との熱収縮率の差が0.5%以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記結晶性ポリエステルが、前記結晶性ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうち、ナフタレンジカルボン酸を50mol%以上含んでなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記結晶性ポリエステルが、前記結晶性ポリエステルを構成するジオール成分として炭素数の2〜5のアルキレングリコールを含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記結晶性ポリエステルからなるA層が、さらに分子量500以上10000以下のエステル結合を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記積層フィルムの配向軸方向または配向軸方向に直交する方向のいずれかにおいて、85℃6時間加熱した際の熱収縮率が0.5%以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 前記積層フィルムの配向軸方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR1、それと積層フィルムの配向軸方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR2とした場合、波長550nmにおける反射率が下記式1および式2を満足すること特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
    ・R2(550)≦40% ・・・(1)
    ・R1(550)≧70% ・・・(2)
  8. 示差走査熱量測定(DSC)による5J/g以上である融解ピークが一つしか確認されないことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. ガラスと、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれかからなるシートと、請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムが重ねあわされてなる液晶投影用合わせガラス。
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