JP2017206476A - 血小板接着促進剤及び血管内皮細胞修復促進剤のスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】血小板から放出される血小板因子による治療効果を従来よりも高めることができる血小板接着促進剤を提供する。
【解決手段】障害された血管内皮細胞へ血小板を接着させるための血小板接着促進剤であって、この血小板接着促進剤は、造血幹細胞、単核球細胞、及び、骨髄細胞、の少なくとも何れか一つを含む。血小板接着促進剤は、一次凝集は促進するが二次凝集は促進しない。血小板接着促進剤は、血管内皮細胞の障害時から24時間以後に使用される。
【選択図】図4
【解決手段】障害された血管内皮細胞へ血小板を接着させるための血小板接着促進剤であって、この血小板接着促進剤は、造血幹細胞、単核球細胞、及び、骨髄細胞、の少なくとも何れか一つを含む。血小板接着促進剤は、一次凝集は促進するが二次凝集は促進しない。血小板接着促進剤は、血管内皮細胞の障害時から24時間以後に使用される。
【選択図】図4
Description
本発明は、障害された血管内皮細胞へ血小板を接着させるための血小板接着促進剤、及び、血管内皮細胞修復促進剤のスクリーニング方法に関する。
血小板は、赤血球、白血球と共に血液に含まれる細胞であり、血管内皮細胞に破綻が生じ出血等に至った際、細胞や血漿中に存在する凝固因子と協調して、止血をする機能を担っている。また、血小板中には、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、上皮成長因子(EGF)、血小板第4因子、β−トロンボグロブリン等の組織増殖/栄養因子(以下、血小板因子と略することがある。)が含まれ、VEGFやPDGF等は血管内皮細胞に対する活性化作用を有していることが知られている。
一方、心筋梗塞や脳梗塞、四肢虚血等の虚血性循環器疾患患者においては、血小板が障害された血管内皮細胞へ接着し凝集することにより、血管の閉塞及びそれに伴う血流の遮断を引き起こすことが知られている。慢性の血管障害によって引き起こされる動脈硬化巣では不安定なプラーク(血管壁での脂肪の沈着部位)に血小板が接着し凝集して動脈を閉塞する結果、心筋梗塞や脳梗塞等の重篤な疾患を引き起こすことが知られている。また、急性血管内皮障害部位での血小板の接着及び凝集は、血管の閉塞及びそれに伴う血流の遮断を引き起こすことが知られている。そのため、慢性期及び急性期の循環器疾患患者に対しては、障害された血管内皮細胞に血小板が接着/凝集することを防止する抗血小板薬が世界中で汎用されており(特許文献1、2)、例えば脳卒中治療ガイドライン(2015)では、慢性期脳梗塞患者に対しては再発予防のための抗血小板薬投与がグレードA(行うよう強く勧められる)で推奨されており、急性期脳梗塞患者に対しても抗血小板薬投与がグレードA(行うよう強く勧められる)で推奨されている。同様に、慢性心筋梗塞患者の再発予防及び急性期心筋梗塞患者においても抗血小板薬投与が強く推奨されており、虚血性循環器病疾患患者に対しては、本発明とは全く逆に、障害された血管内皮細胞に血小板が接着/凝集しないための治療がなされている。
血小板が、血流の遮断を引き起こすステップには、血小板が接着/凝集する一次止血及び、一次止血に引き続き血液中の凝固因子が働き最終的にはフィブリン血栓が形成される二次止血がある。また、一次止血には血小板が血管内皮に接着した状態である一次凝集と、血小板どうしが凝集した二次凝集があり、血管を閉塞させる病態は二次凝集及び二次止血であることが知られている。さらに、障害された血管内皮細胞に血小板が接着するメカニズムとして、障害血管内皮上に発現したヴォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor、以下vWFと略することがある。)が、血小板上に発現するGP1b受容体やGP2b受容体と結合することが知られている。
血小板は種々の栄養/成長因子を放出することが知られているものの、虚血性循環器疾患患者において血中を循環している血小板が血管の内腔を構成する血管内皮細胞に接着し凝集することは、血管閉塞を誘導し虚血病態の悪化をもたらす危険性が高いため、本発明とは全く逆に血小板の血管内皮に対する作用を防止するための抗血小板薬が汎用されている。本発明は、障害された血管内皮細胞にvWFを発現させることにより、循環器疾患患者において血中を循環している血小板の血管内皮細胞への接着(一次凝集)を促進する一方、血小板の凝集(二次凝集)をおこさない血小板接着促進剤を提供することを目的とする。また、本発明は、血管内皮細胞修復促進剤のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる血小板接着促進剤は、障害された血管内皮細胞へ血小板を一次凝集にて接着させるための血小板接着促進剤であって、前記血小板接着促進剤は、造血幹細胞、単核球細胞、及び、骨髄細胞、の少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる血管内皮細胞修復促進剤のスクリーニング方法は、被験物質が不存在の場合、障害された血管内皮細胞への血小板の接着数を測定する第1工程と、被験物質が存在の場合、障害された血管内皮細胞への血小板の接着数を測定する第2工程と、第2工程の接着数が第1工程の接着数よりも増加している場合、前記被験物質を障害された血管内皮細胞の修復促進剤であると判定することを特徴とする。
本発明によれば、血小板から放出される血小板因子による治療効果を従来よりも安全性を担保しつつ高めることができる。また、本発明によれば、障害された血管内皮細胞を修復できる血管内皮細胞修復促進剤をスクリーニングできる。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
本発明者は、造血幹細胞等を血管内に投与することにより、障害された血管内皮細胞にvWFが発現し、障害された血管内皮細胞への血小板の一次凝集が促進されることを新知見として見出し、かかる見出された事実に基づいて本発明を完成させた。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、障害された血管内皮細胞へ血小板を一次凝集にて接着させるための血小板接着促進剤であって、この血小板接着促進剤は、造血幹細胞、単核球細胞、及び、骨髄細胞、の少なくとも何れか一つを含む。
障害された血管内皮細胞に一次凝集した血小板が放出する血小板因子は、特に限定されるものではないが、例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、上皮成長因子(EGF)、血小板第4因子、β−トロンボグロブリン等である。
本発明において、障害された血管内皮細胞への血小板の接着促進とは、血小板が血小板接着促進剤に曝露されない場合と比較して、障害された血管内皮細胞への血小板の接着数が、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは100%以上、増大することをいう。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、障害された血管内皮細胞に血小板が一次凝集することを促進するが、二次凝集即ち血小板どうしの凝集を促進するものではない。これにより、動脈硬化巣における障害された血管内皮細胞を修復する際に、本実施形態にかかる血小板接着促進剤を使用しても、血小板どうしの凝集による梗塞部位の発生を抑制することができる。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、急性血管内皮障害時には血管内皮細胞の障害時から24時間以後に使用されることが好ましい。
急性血管内皮障害部位では、障害後は速やかにセレクチン/フォンヴイレブラント因子等の白血球/血小板の接着因子の発現が増加するが、数時間後にはピークを迎え、24時間以内にはほぼ消失する。そこで、血管内皮細胞の障害時から24時間以後に、本実施形態にかかる血小板接着促進剤を使用することにより、血小板からの血小板因子の放出により障害された血管内皮細胞の修復が促進できる。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、例えば造血幹細胞を包含する。造血幹細胞は血球系細胞に分化可能な幹細胞である。ヒト成体では主に骨髄に存在し、白血球(好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球、マクロファージ)、赤血球、樹状細胞等を生み出す。造血幹細胞は、例えば、骨髄由来の造血幹細胞、末梢血由来の造血幹細胞、又は、臍帯血由来の造血幹細胞である。造血幹細胞は例えばFICOLLを用いた比重液による遠心分離法や赤血球沈降剤であるヒドロキシエチルスターチを用いた遠心分離法により採取できる。
また、本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、例えば単核球細胞を包含する。単核球細胞は、例えば、骨髄単核球細胞、末梢血単核球細胞、又は、臍帯血単核球細胞である。単核球細胞は例えばFICOLLを用いた比重液による遠心分離法により分離して採取することができる。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、造血幹細胞、単核球細胞、及び、骨髄細胞の少なくとも何れか一つを含む細胞そのものを血小板接着促進剤として利用することができるし、また、この細胞を有効成分として含有する血小板接着促進剤として利用することもできる。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、通常の細胞移植用剤と同様の注射剤乃至注入剤形態に調製することができ、例えば筋肉内、皮下、皮内投与等に投与される。また、心疾患患者、脳梗塞患者等への適用に当たっては、血管カテーテル操作により、心内膜側、冠状動脈、脳動脈内より投与することが可能である。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤を注射用製剤とする場合は、当技術分野で通常使用されている添加剤を適宜用いることができる。添加剤としては、例えば、等張化剤、安定化剤、緩衝剤、保存剤、キレート剤、抗酸化剤、又は溶解補助剤等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール等の糖類、塩化ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、酢酸緩衝剤等が挙げられる。保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、ベンジルアルコール、クロロクレゾール、フェネチルアルコール、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、デキストラン、ポリビニルピロリドン、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン、サリチル酸アミド、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等が挙げられる。
投与量は、患者の疾患、投与形態、投与経路等に応じて適宜決定することができる。例えば、血小板接着促進剤が骨髄単核球細胞を有効成分とする場合、成人一人一回当たりの投与量1×105個/kg〜1×109個/kgとすることができる。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、自己もしくは血縁者由来の細胞を使用することが好ましいが、特にこれに限定されるものではなく、骨髄バンク等に保管されている非血縁者由来の細胞を使用することも可能であり、かかる場合には、免疫抑制剤、免疫寛容誘導剤等を併用することが好ましい。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、広く、障害された血管内皮細胞へ血小板を接着させるための用途に使用することができ、障害された血管内皮細胞へ血小板の接着が促進されることにより、接着した血小板から血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等の血小板因子が放出され、障害された血管内皮細胞が治癒される。具体的な症例は、特に限定されるものではないが、例えば、脳梗塞、心筋梗塞、四肢虚血、腎梗塞、肺梗塞、脾梗塞、腸管梗塞、糖尿病、加齢等により血管内皮細胞の障害が発生している症例である。脳梗塞には、例えば、ラクナ梗塞、アテローム血栓症脳梗塞、又は心原性脳塞栓症が挙げられる。なお、動脈閉塞の原因には血栓と塞栓があるが、血栓形成には3つの大きな要因(Virchow's triad)が存在し、それらは血管内皮細胞の障害、血流の変化、血液成分の変化である。本発明にかかる血小板接着促進剤は、動脈閉塞の一因である血栓の一要因である障害された血管内皮細胞への血小板の接着を促進させるものであるが、血小板の一次凝集のみを促進し、二次凝集および二次凝血を促進しないという特徴を有する。
本実施形態にかかる血小板接着促進剤は、障害された血管内皮細胞へ血小板の一次凝集を促進することにより上記症例の治療及び/又は予防を可能とする。「治療」には、症状を治癒すること、症状を改善すること及び症状の進行を抑えることが含まれる。「予防」には疾患の発症を抑えること及び遅延させることが含まれ、疾患になる前の予防だけでなく、治療後の疾患の再発に対する予防も含まれる。
本実施形態にかかる血管内皮細胞修復促進剤のスクリーニング方法は、被験物質が不存在の場合、障害された血管内皮細胞への血小板の接着数を測定する第1工程と、被験物質が存在の場合、障害された血管内皮細胞への血小板の接着数を測定する第2工程と、を有し、第2工程の接着数が第1工程の接着数よりも増加している場合、前記被験物質を障害された血管内皮細胞の修復促進剤であると判定する。第1工程及び第2工程にて測定する接着数は、血小板の一次凝集における接着数である。 例えば、ヒト由来血管内皮細胞の培養液中にLPS(リポ多糖類)を添加し、血管内皮細胞に障害を与え、第1工程では、生理食塩水を添加して障害された血管内皮細胞への血小板の接着数を測定し、そして、第2工程では、例えば骨髄単核球細胞を添加して障害された血管内皮細胞への血小板の接着数を測定する。第2工程の接着数が第1工程の接着数よりも増加している場合、被験物質である骨髄単核球細胞を障害された血管内皮細胞の修復促進剤であると判定することができる。
また、本発明は、障害された血管内皮細胞へ血小板を一次凝集にて接着させるための血小板接着促進キットであって、このキットは、造血幹細胞、単核球細胞、及び、骨髄細胞、の少なくとも何れか一つを含む細胞と、この細胞を収納する容器と、障害された血管内皮細胞を治癒させることについて用法用量が記載されている説明書と、を含む。
また、本発明は、障害された血管内皮細胞へ血小板を一次凝集にて接着させるための血小板接着促進方法であって、造血幹細胞、単核球細胞、及び、骨髄細胞、の少なくとも何れか一つを含む細胞を、障害された血管内皮細胞へ到達するように生体内へ投与することを特徴とする、障害された血管内皮細胞への血小板接着促進方法である。
(1)実施例1:骨髄細胞の静脈内投与による障害血管内皮細胞におけるvWFの発現促進。
CB-17マウスの中大脳動脈を閉塞させることによりその潅流領域にある大脳皮質の血管に障害を与えた。図1(A)に示すように、動脈閉塞手技により血流が遮断された領域においても側副血行路が存在するため、その潅流領域においては一定以上の血流が存在し、そのため、図1(B)に示すように動脈閉塞48時間後においても血管内皮細胞は生存していることが判る。
このマウスに対し、動脈閉塞48時間後に尾静脈より1x105個のマウス骨髄単核球細胞の投与を行った。細胞投与30分後に潅流固定を行い、蛍光顕微鏡を用いて脳梗塞領域の多重染色による組織学的評価を行った。図2(A)は赤色で標識された抗CD31抗体を使った血管内皮細胞の免疫組織化学染色像であり、血管内皮細胞が抗CD31抗体で染色されていることが確認できた。図2(B)は緑色で標識された抗vWF抗体を使った血管内皮細胞の免疫組織化学染色像であり、血管内皮細胞の内腔面と考えられる部位が抗vWF抗体で染色されていることが確認できた。図2(C)は、図2(A)と図2(B)の重ね合わせ画像であり、血管内皮細胞の内腔面にvWFが発現していることが確認された。
一方、CB-17マウスの中大脳動脈を閉塞させることによりその潅流領域にある大脳皮質の血管に障害を与え、動脈閉塞48時間後に尾静脈より生理食塩水を投与したマウスでは、血管内皮細胞は抗CD31抗体で染色されるものの(図3(A))、vWFの発現(図3(B))は観察されず、重ね合わせ画像においても血管内皮細胞の内腔面にvWFの発現は観察されなかった(図3(C))。
骨髄細胞投与の亜急性期における血管に与える作用を検証するモデルは下記の手法で作成した。8週齢のCB-17マウスをハロセン麻酔により全身麻酔し、左頬骨部よりアプローチして左中大脳動脈に直達できるよう頭蓋底に1.5mm程度の穿孔を行った。嗅索を通過した直後(嗅索交差部の遠位側)の左中大脳動脈を、バイポーラ電気メスを用いて凝固させ、凝固後切断することにより、左中大脳動脈を永久に閉塞し、左中大脳動脈領域の皮質に限局する虚血部位及び虚血強度の再現性に優れた虚血モデルを作成した。
一方、CB-17マウスの中大脳動脈を閉塞させることによりその潅流領域にある大脳皮質の血管に障害を与え、動脈閉塞48時間後に尾静脈より生理食塩水を投与したマウスでは、血管内皮細胞は抗CD31抗体で染色されるものの(図3(A))、vWFの発現(図3(B))は観察されず、重ね合わせ画像においても血管内皮細胞の内腔面にvWFの発現は観察されなかった(図3(C))。
骨髄細胞投与の亜急性期における血管に与える作用を検証するモデルは下記の手法で作成した。8週齢のCB-17マウスをハロセン麻酔により全身麻酔し、左頬骨部よりアプローチして左中大脳動脈に直達できるよう頭蓋底に1.5mm程度の穿孔を行った。嗅索を通過した直後(嗅索交差部の遠位側)の左中大脳動脈を、バイポーラ電気メスを用いて凝固させ、凝固後切断することにより、左中大脳動脈を永久に閉塞し、左中大脳動脈領域の皮質に限局する虚血部位及び虚血強度の再現性に優れた虚血モデルを作成した。
投与細胞の処理は以下の方法で行った。マウス大腿骨及び脛骨より骨髄液を採取し、Ficoll-Paque液(GEヘルスケアバイオサイエンス製)の上に重層した後、400Gの遠心力にて40分間遠心分離を行い、赤血球の層と血漿の層の間の造血幹細胞を含む層を分取し、PBSで洗浄後、実験に供した。
免疫組織学評価は、パラフォルムアルデハイドによる潅流固定を行った後、ビブラトームで切片作成し、抗CD31抗体に対する二次抗体は赤色の蛍光を、抗vWF抗体に対する二次抗体は緑色の蛍光を用いて、二重染色を行った。
(2)実施例2:骨髄細胞の静脈内投与による障害血管内皮細胞における血小板の接着促進、血管内皮障害の修復の促進
CB-17マウスの中大脳動脈を閉塞させることによりその潅流領域にある大脳皮質の血管に障害を与えた。このマウスに対し、動脈閉塞48時間後に尾静脈より1x105個のマウス骨髄単核球細胞の投与を行った。
その結果、骨髄単核球細胞投与30分後において、障害された血管内皮細胞に血小板が密着して接着していることが観察された(図4(A))。図4(B)はその強拡大図である。この図に示されるように、骨髄単核球細胞の静脈内投与により、開放小管系や閉塞小管系、α顆粒、グリコーゲン顆粒を有する血小板が障害された血管内皮細胞に密着して接着することが、判明した。一方、骨髄単核球細胞ではなく、生理食塩水を投与したマウスにおいては、障害された血管内皮に対する血小板の接着は観察されなかった(図5)。また、図4(A)、4(B)で示されるように、骨髄単核球細胞の静脈内投与は血小板を障害内皮に接着させる作用があるものの、血小板同士の凝集や血栓形成等は誘導しないことが、判明した。
CB-17マウスの中大脳動脈を閉塞させることによりその潅流領域にある大脳皮質の血管に障害を与えた。このマウスに対し、動脈閉塞48時間後に尾静脈より1x105個のマウス骨髄単核球細胞の投与を行った。
その結果、骨髄単核球細胞投与30分後において、障害された血管内皮細胞に血小板が密着して接着していることが観察された(図4(A))。図4(B)はその強拡大図である。この図に示されるように、骨髄単核球細胞の静脈内投与により、開放小管系や閉塞小管系、α顆粒、グリコーゲン顆粒を有する血小板が障害された血管内皮細胞に密着して接着することが、判明した。一方、骨髄単核球細胞ではなく、生理食塩水を投与したマウスにおいては、障害された血管内皮に対する血小板の接着は観察されなかった(図5)。また、図4(A)、4(B)で示されるように、骨髄単核球細胞の静脈内投与は血小板を障害内皮に接着させる作用があるものの、血小板同士の凝集や血栓形成等は誘導しないことが、判明した。
動脈閉塞72時間後の障害内皮細胞の電子顕微鏡写真図を図6に示す。骨髄単核球細胞を中大脳動脈閉塞48時間後に静脈内投与された個体では、障害された血管内皮細胞とともに血管構築が保たれている(図6(A))。一方、動脈閉塞48時間後に生理食塩水を投与された群では、血管内皮細胞の障害はさらに進行している(図6(B))。図6(B)で示されるように、生理食塩水投与群においては、左心室からの潅流固定により全身の血管中の細胞成分を全て固定液に置換した後のサンプルであるにもかかわらず、血管内に赤血球が残存しているのが認められた。この血管は形態学的にもすでに崩壊しているだけでなく、左心室からの潅流固定液が到達しない、即ち血管としての機能も喪失していることを示している。一方、図6(A)で示されるように、骨髄単核球細胞投細胞与群においては、血管腔内に赤血球は残存しておらず、形態学的にも血管構築が保たれているだけでなはなく、血管機能も保たれていることが判明した。
(3)実施例3:in vitroにおける、骨髄細胞による急性期以降の障害血管内皮細胞と血小板の接着の促進
ヒト由来血管内皮細胞の培養液中にLPS(リポ多糖類)を添加し、血管内皮細胞に障害を与えた。血管内皮細胞を48時間LPS存在下で培養後、蛍光で標識した血小板を添加した。血小板添加30分後に洗浄し、血管内皮細胞に接着していない血小板を除去した後、血管内皮細胞に接着している血小板を蛍光顕微鏡にて観察した。
ヒト由来血管内皮細胞の培養液中にLPS(リポ多糖類)を添加し、血管内皮細胞に障害を与えた。血管内皮細胞を48時間LPS存在下で培養後、蛍光で標識した血小板を添加した。血小板添加30分後に洗浄し、血管内皮細胞に接着していない血小板を除去した後、血管内皮細胞に接着している血小板を蛍光顕微鏡にて観察した。
その結果、骨髄単核球細胞を血小板と同時に添加した障害血管内皮細胞には多くの蛍光で標識された血小板の接着していることが観察された(図7(A))。一方、骨髄単核球細胞の代わりに生理食塩水を同時に添加した障害血管内皮細胞には比較的少数の蛍光で標識された血小板の接着していることが観察された(図7(B))。これらの差を定量的に評価するため、ランダムに各群で10視野の写真を撮像し、一視野あたりに観察される血小板数のカウントを行った。その結果、血管内皮細胞を48時間LPS存在下で培養し、そこに蛍光で標識した血小板を添加した場合、骨髄単核球細胞も同時に添加した障害血管内皮細胞には、生理食塩水を添加した場合に比べ、統計学的に多くの蛍光で標識された血小板の接着していることが判明した(図8(A))。また、これらの検討では、骨髄単核球細胞の添加によると考えられる血小板どうしの凝集反応は観察されなかった。
これらの骨髄細胞添加の効果が、急性期以降の障害血管内皮細胞に特有であるのか、否かを検討するために、LPS添加をしていない、健常な血管内皮細胞を用いて実験を行った。定量的評価では、骨髄細胞の添加によっても、血管内皮細胞への血小板の接着は増加しなかった(図8(B))。これらの結果は、骨髄細胞の添加による障害血管内皮細胞への血小板の接着促進は、正常血管や障害急性期の血管内皮細胞には、効果を示さないことが判明した。
血小板数の計測には、キーエンス製顕微鏡を用いた。図7は40倍の対物レンズを使用し撮影した。図8では20倍の対物レンズを使用し、視野全ての血小板数をカウントした(各群N=10)。
血小板数の計測には、キーエンス製顕微鏡を用いた。図7は40倍の対物レンズを使用し撮影した。図8では20倍の対物レンズを使用し、視野全ての血小板数をカウントした(各群N=10)。
障害された血管内皮細胞の修復に利用できる。
Claims (7)
- 障害された血管内皮細胞へ血小板を一次凝集にて接着させるための血小板接着促進剤であって、
前記血小板接着促進剤は、造血幹細胞、単核球細胞、及び、骨髄細胞、の少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする、障害された血管内皮細胞への血小板接着促進剤。 - 前記血小板接着促進剤は、二次凝集を促進しないことを特徴とする請求項1に記載の障害された血管内皮細胞への血小板接着促進剤。
- 前記血小板接着促進剤は、血管内皮細胞の障害時から24時間以後に使用されることを特徴とする請求項1又は2項に記載の障害された血管内皮細胞への血小板接着促進剤。
- 前記血小板接着促進剤は、障害されていない血管内皮細胞への血小板の接着を促進しないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の障害された血管内皮細胞への血小板接着促進剤。
- 前記造血幹細胞は、骨髄由来の造血幹細胞、末梢血由来の造血幹細胞、又は、臍帯血由来の造血幹細胞であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の障害された血管内皮細胞への血小板接着促進剤。
- 前記単核球細胞は、骨髄単核球細胞、末梢血単核球細胞、又は、臍帯血単核球細胞であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の障害された血管内皮細胞への血小板接着促進剤。
- 被験物質が不存在の場合、障害された血管内皮細胞への血小板の接着数を測定する第1工程と、
被験物質が存在の場合、障害された血管内皮細胞への血小板の接着数を測定する第2工程と、
第2工程の接着数が第1工程の接着数よりも増加している場合、前記被験物質を障害された血管内皮細胞の修復促進剤であると判定する、血管内皮細胞修復促進剤のスクリーニング方法。
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2016
- 2016-05-20 JP JP2016101201A patent/JP2017206476A/ja active Pending
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