以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。以下においては、説明の便宜上、特に指定する場合を除き、図1に示す左右方向をクラッチレリーズ装置106の前後方向として説明するものとする。
図1に示すように、クラッチ装置100は、エンジンのクランクシャフト101と一緒に回転するフライホイール102を備えている。フライホイール102の後方側には、クラッチディスク103が対向して配置されている。クラッチディスク103の後方側には、ダイヤフラムスプリング104の付勢力を受けてクラッチディスク103をフライホイール102側に付勢するプレッシャープレート105が配置されている。
ダイヤフラムスプリング104の中央部の後方側には、クラッチレリーズ装置106が配置されている。クラッチレリーズ装置106には、図示しない変速機の入力軸107が前後方向に挿入される。入力軸107の外周部には、上述したクラッチディスク103が接続されている。入力軸107の前方側端部は、軸受108を介してフライホイール102の中央部に支持されている。
フライホイール102の外周近傍の後方側の側面には、クラッチカバー109が固定されている。クラッチカバー109は、周縁部に形成されたフランジ部109aと、このフランジ部109aから後方側に向けて延出する支持部109bとを有する。支持部109bの先端部は、ワイヤスプリング110を介してダイヤフラムスプリング104の周縁部近傍を支持する。ダイヤフラムスプリング104は、クラッチレリーズ装置106が作動していない初期状態において、周縁部の前方側側面でプレッシャープレート105をクラッチディスク103側に付勢している。
クラッチレリーズ装置106は、後述する電動モータ213を駆動源とする駆動機構を内蔵している。クラッチレリーズ装置106は、車両に搭載された図示しないECUの制御の下、ダイヤフラムスプリング104の中央近傍を前方側に押圧しない初期状態から、ダイヤフラムスプリング104の中央近傍を前方側に押圧する作動状態に摺動可能に構成される。ダイヤフラムスプリング104は、クラッチレリーズ装置106により押圧されていない状態で初期状態(図1に示す状態)となり、一定位置まで前方側に押圧された状態で作動状態(図3に示す状態)となる。
クラッチレリーズ装置106がダイヤフラムスプリング104を押圧していない初期状態では、ダイヤフラムスプリング104によりプレッシャープレート105がクラッチディスク103側に付勢され、クラッチディスク103がフライホイール102に押し付けられる。これにより、クラッチディスク103がフライホイール102と一体回転する。この結果、エンジンの動力が、フライホイール102からクラッチディスク103を介して入力軸107に伝達される。
一方、クラッチレリーズ装置106がダイヤフラムスプリング104を押圧した作動状態では、ダイヤフラムスプリング104の変形により、プレッシャープレート105がクラッチディスク103側に付勢されなくなり、クラッチディスク103がフライホイール102から離間する。これにより、フライホイール102の回転が入力軸107に伝達されなくなる。この結果、入力軸107に対するエンジンの動力の伝達が遮断される。
ところで、電動モータの駆動力によってレリーズベアリングユニットを動かしてクラッチを断接する電気式のクラッチレリーズ装置では、電動モータの出力軸(駆動軸)が、レリーズベアリングユニットのストローク方向と同方向に配置されることが多い。この場合、電動モータの全長に応じてクラッチレリーズ装置の寸法が大きくなってしまう。また、レリーズベアリングユニットのストロークは、クラッチ装置における適切な断接を確保する上で不可欠であり、一定値以上に短縮することは難しい。さらに、電動モータの回転数をレリーズベアリング動作に適した回転数に減速するために大きく減速比を取る必要がある。このため、減速ギヤ径が大きくなり、出力軸の径方向にクラッチレリーズ装置が大きくなってしまう。
本発明者は、電動モータの出力軸の軸方向の配置及びレリーズベアリングユニットのストローク確保と、電動モータの回転数を減速するための減速ギヤの存在がクラッチレリーズ装置の小型化の制約となっていることに着目した。そして、電動モータの出力軸の軸方向をクラッチレリーズ装置のストローク方向と直交する方向に配置し、且つ、レリーズベアリングユニットのストロークを段階的に伸縮すると共に、減速ギヤと異なる手法により所望の減速比を確保することがクラッチレリーズ装置の小型化に寄与することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の骨子は、レリーズベアリングユニットを段階的に伸縮する複数のボールカム機構を備え、電動モータの出力軸をレリーズベアリングユニットのストローク方向と直交する方向に配置すると共に、電動モータの出力軸に設けたウォームギヤによりウォームホイールを介して駆動力をレリーズベアリングユニットに伝達することである。
本発明に係るクラッチレリーズ装置によれば、電動モータの駆動に応じてレリーズベアリングユニットを段階的に伸縮する複数のボールカム機構(第1、第2ボールカム機構)を備えたことから、レリーズベアリングユニットのストローク量を確保しつつ、軸方向の装置の寸法を短縮することができる。また、電動モータの出力軸に設けられたウォームギヤによりウォームホイールを介してレリーズベアリングユニットを駆動することから、レリーズベアリングユニットのストローク方向に直交して電動モータを配置することができる。このため、電動モータの体格に影響を受けず、ストローク方向の装置の寸法を短縮することができる。さらに、ウォームギヤによりウォームホイールを介してレリーズベアリングユニットを駆動することから、大きな減速比を必要とせず、ストローク方向と直交する方向の装置の寸法を短縮することができる。
以下、本実施の形態に係るクラッチレリーズ装置106の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図2においては、説明の便宜上、クラッチレリーズ装置106のストローク方向を上下方向に対応づけて示し、この上下方向を軸方向として、径方向、周方向を定義する。ここでは、図2に示す方向に沿ってクラッチレリーズ装置106の各構成部品の配置及び構成について説明するものとする。
クラッチレリーズ装置106は、図2に示す上下方向(図1に示す左右方向)に開口した中空の円筒軸201aと、この円筒軸201aの軸方向の一端(図2に示す下端)に設けられた平面部201bとを有する中空軸201を備える。円筒軸201aの内側の空間は、変速機の入力軸107が挿入可能な寸法に構成される(図1参照)。円筒軸201aの他端(図2に示す上端)部近傍の外周面には、上下方向に延在してガイド溝201cが設けられている。このガイド溝201cは、後述するレリーズベアリングスリーブ208dに設けられた突出片208eを収容し、クラッチレリーズ装置106の作動に応じてレリーズベアリングスリーブ208dを上下方向に案内する。
平面部201bは、概して円盤形状を有し、円筒軸201aの軸方向と直交して設けられている。平面部201bは、後述するケース212の下方側の開口部を閉塞する寸法に設けられている。図1に示すように、本実施の形態に係るクラッチレリーズ装置106では、中空軸201の円筒軸201aの周囲に、概して円環形状を有する複数の構成部材が配置される。平面部201bは、これらの構成部材が後述するケース212に収容された状態において、クラッチレリーズ装置106の底面部を構成する。
中空軸201の平面部201bの上面には、軸受部材202が設けられている。軸受部材202は、円環形状を有する平板状の基材202aに複数のニードル軸受202bを埋設して構成されている。基材202aは、中空軸201の円筒軸201aと同心に配置され、平面部201bの周縁部近傍に配置された状態で固定されている。ニードル軸受202bは、基材202aの周方向に回転可能に基材202aに支持されている。
第1リング部材203は、中空軸201の平面部201b(より具体的には、軸受部材202)の上方に配置される。第1リング部材203は、平面形状を有する環状部203aを備える。環状部203aの上面には、複数(本実施の形態では4つ)の傾斜面部203bが設けられている。これらの傾斜面部203bは、第1リング部材203の周方向に均等に配置され、それぞれ軸方向の厚さ寸法が最も大きい部分(最厚部)に、隣接する傾斜面部203bの軸方向の厚さ寸法が最も薄い部分(最薄部)が接続されている。
それぞれの傾斜面部203bの上面には、凹部で構成される第1レール203cが設けられている。これらの第1レール203cは、第1ボールカム機構の一部を構成する。第1レール203cには、後述するボール205aの一部(下部)が転動可能に収容される。傾斜面部203bのうち、対向して配置される一対のそれぞれの最厚部の外周面には、ピン203dを収容する収容溝203eが形成されている。収容溝203eは、ピン203dの内側の一部を収容する。ピン203dは、収容溝203eと、後述するウォームホイール204の収容溝204bとに収容され、ウォームホイール204と第1リング部材203とを一体に回転させる役割を果たす。
第1リング部材203の外周面には、ウォームホイール204が配置される。ウォームホイール204は、駆動機構の一部を構成するものであり、円環形状を有している。ウォームホイール204の内径寸法は、第1リング部材203の複数の傾斜面部203bの外周面で構成される外径寸法と略同一に構成されている。ウォームホイール204の外周面には、後述するウォームギヤ213cと噛合する複数のギヤ204aが設けられている。ウォームホイール204の内周面には、上述したピン203dを収容する一対の収容溝204bが形成されている。収容溝204bは、ピン203dの外側の一部を収容する。
第1リング部材203の上方には、複数のボール205aを保持した第1ホルダ205が配置される。第1ホルダ205は、円環形状を有する基部205bと、この基部205bの上端部から径方向外側に突出する複数(本実施の形態では4対)の突出片205cとを有している。これらの突出片205cは、それぞれ対をなし、その間にボール205aを保持する。これにより、ボール205aは、隣り合うボール205a間の位置(間隔)が保持される。クラッチレリーズ装置106が組み立てられた状態において、第1ホルダ205に保持された複数のボール205aは、それぞれ第1リング部材203の傾斜面部203bの第1レール203cと、後述する第2レール206eとの間に配置される。これらのボール205aは、第1ボールカム機構の一部を構成する。
第1ホルダ205の上方には、第2リング部材206が配置される。第2リング部材206は、上方に配置される第1環状部206aと、下方に配置される第2環状部206bとを有する。第1環状部206aは、第2環状部206bよりも径方向の外側に配置されている。これらの第1環状部206aと第2環状部206bとが側面部206cで連結されている。側面部206cは、図2に示す上下方向に延在し、第1環状部206aの内周縁と第2環状部206bの外周縁とを連結する。
第1環状部206aの下面には、複数(本実施の形態では4つ)の傾斜面部206dが設けられている。これらの傾斜面部206dは、第1環状部206aの周方向に均等に配置され、それぞれ軸方向の厚さ寸法が最も厚い部分(最厚部)に、隣接する傾斜面部206dの軸方向の厚さ寸法が最も薄い部分(最薄部)が接続されている。これらの傾斜面部206dは、上述した傾斜面部203bと同等の周方向の寸法を有すると共に、同等の傾斜角度を有する。それぞれの傾斜面部206dの下面には、凹部で構成される不図示の第2レール206eが設けられている。これらの第2レール206eは、上述した第1レール203cと同等の寸法を有する。第2レール206eには、上述したボール205aの一部(上部)が転動可能に収容される。これらの第2レール206eは、第1ボールカム機構の一部を構成する。
第2環状部206bの上面には、複数(本実施の形態では4つ)の傾斜面部206fが設けられている。これらの傾斜面部206fは、第2環状部206bの周方向に均等に配置され、それぞれ軸方向の厚さ寸法が最も厚い部分(最厚部)に、隣接する傾斜面部206fの軸方向の厚さ寸法が最も薄い部分(最薄部)が接続されている。それぞれの傾斜面部206fの上面には、凹部で構成される第3レール206gが設けられている。第3レール206gには、後述するボール207aの一部(下部)が転動可能に収容される。これらの第3レール206gは、第2ボールカム機構の一部を構成する。
第2環状部206bの上方には、複数のボール207aを保持した第2ホルダ207が配置される。第2ホルダ207は、円環形状を有する基部207bと、この基部207bの上端部から径方向外側に突出する複数(本実施の形態では4対)の突出片207cとを有している。これらの突出片207cは、それぞれ対をなし、その間にボール207aを保持する。これにより、ボール207aは、隣り合うボール207a間の位置が保持される。クラッチレリーズ装置106が組み立てられた状態において、第2ホルダ207に保持された複数のボール207aは、それぞれ第2環状部206bの傾斜面部206fの第3レール206gと、後述する第4レール208cとの間に配置される。これらのボール207aは、第2ボールカム機構の一部を構成する。
第2ホルダ207の上方には、第3リング部材208が配置される。第3リング部材208は、環状部208aを有する。環状部208aの下面には、複数(本実施の形態では4つ)の傾斜面部208bが設けられている。これらの傾斜面部208bは、環状部208aの周方向に均等に配置され、それぞれ軸方向の厚さ寸法が最も厚い部分(最厚部)に、隣接する傾斜面部208bの軸方向の厚さ寸法が最も薄い部分(最薄部)が接続されている。これらの傾斜面部208bは、上述した傾斜面部206fと同等の周方向の寸法を有すると共に、同等の傾斜角度を有する。それぞれの傾斜面部208bの下面には、凹部で構成される不図示の第4レール208cが設けられている。これらの第4レール208cは、上述した第3レール206gと同等の寸法を有する。第4レール208cには、上述したボール207aの一部(上部)が転動可能に収容される。これらの第4レール208cは、第2ボールカム機構の一部を構成する。
環状部208aの上方には、レリーズベアリングスリーブ208dが設けられている。レリーズベアリングスリーブ208dは、概して円筒形状を有し、環状部208aの内周縁から立ち上がるように設けられている。クラッチレリーズ装置106が組み立てられた状態において、レリーズベアリングスリーブ208dは、中空軸201の円筒軸201aの外周面に摺動可能に配置される。
レリーズベアリングスリーブ208dの上端部近傍の内周面には、一対の突出片208eが設けられている。これらの突出片208eは、中空軸201の円筒軸201aの外周面に形成されたガイド溝201cに収容される位置に設けられる。これらの突出片208eは、レリーズベアリングスリーブ208dが周方向に回転することを規制しながら、図2に示す上下方向に案内するガイド部材として機能する。
レリーズベアリングスリーブ208dの下端部近傍の外周面には、環状の支持溝部208fが形成されている。この支持溝部208fは、後述するレリーズベアリングユニット209のリテーナ209hを支持する(図2に不図示、図1参照)。なお、ここでは、レリーズベアリングスリーブ208dが第3リング部材208の一部として設けられる場合(すなわり、環状部208aと一体的に設けられる場合)について説明している。しかしながら、レリーズベアリングスリーブ208dの構成については、これに限定されるものではなく、環状部208aと独立した構成とし接着等により一体化するようにしてもよい。
第3リング部材208の上方には、レリーズベアリングアウター209a及びレリーズベアリングインナー209bを含むレリーズベアリングユニット209が配置される。レリーズベアリングユニット209は、全体として円筒形状を有し、第3リング部材208のレリーズベアリングスリーブ208dに被せられるように配置される。
レリーズベアリングアウター209aは、円環形状を有する底面部209cと、この底面部209cの外周縁から上方側に延出して設けられる側面部209dとを有する。レリーズベアリングアウター209aは、これらの底面部209cと側面部209dとで図2に示す上方側に開口した形状を有する。クラッチレリーズ装置106が組み立てられた状態において、底面部209cは、第3リング部材208の環状部208aに対向して配置される(図1参照)。
レリーズベアリングインナー209bは、上下方向に延在する円筒状部209eと、この円筒状部209eの上端部から径方向外側に広がるように形成された押圧部209fとを有している。円筒状部209eは、レリーズベアリングアウター209a内に収容される外径寸法を有すると共に、レリーズベアリングスリーブ208dに摺動可能な内径寸法を有する。押圧部209fは、上面に円弧面を有し、クラッチレリーズ装置106の作動に伴い、ダイヤフラムスプリング104を押圧可能に構成される。
レリーズベアリングインナー209bは、レリーズベアリングアウター209a内に形成された空間に収容される。レリーズベアリングアウター209aとレリーズベアリングインナー209bとの間には、ベアリング209gが配置される(図2に不図示、図1参照)。これにより、レリーズベアリングインナー209bは、レリーズベアリングアウター209aの内周部に回転自在に収容される。クラッチレリーズ装置106が作動していない状態において、レリーズベアリングインナー209bは、押圧部209fを上方に露出した状態でレリーズベアリングアウター209aに収容される。
レリーズベアリングユニット209の周囲には、第1スプリングガイド210及び第2スプリングガイド211が配置される。詳細について後述するように、これらの第1スプリングガイド210及び第2スプリングガイド211は、クラッチレリーズ装置106により駆動されたレリーズベアリングユニット209を初期位置に復帰させる役割を果たす。
また、これらの第1スプリングガイド210及び第2スプリングガイド211は、本実施の形態におけるボールカム機構に予めバネ圧(予圧)を与える役割を果たす。第1スプリングガイド210及び第2スプリングガイド211は、レリーズベアリングユニット209(より具体的には、レリーズベアリングアウター209a)に対してギャップを介在させた状態で配置される。このようにギャップを挟んでレリーズベアリングユニット209に配置されることから、後述するリテーナ209hによる自動調心機能を阻害することなく、ボールカム機構に予圧を与えることができる。
第1スプリングガイド210は、概して円筒形状のガイド部材210aと、ガイド部材210aの外周面に配置された第1リターンスプリング210bとを有する。ガイド部材210aの下端部には、径方向外側に僅かに突出する円環状の外側係止部210cが設けられている。ガイド部材210aの上端部には、径方向内側に僅かに突出する円環状の内側係止部210dが設けられている。
外側係止部210cは、第1リターンスプリング210bの一端(下端)を係止する。内側係止部210dは、後述する第2リターンスプリング211bの一端(上端)を係止すると共に、第2スプリングガイド211が第1スプリングガイド210から脱落するのを防止する(図1参照)。
第1リターンスプリング210bは、圧縮ばねで構成される。第1リターンスプリング210bは、一端(下端)をガイド部材210aの外側係止部210cで係止される一方、他端(上端)を後述するケース212の係止部212eで係止される。このように配置された状態において、第1リターンスプリング210bは、ガイド部材210aを下方側に付勢する。
第2スプリングガイド211は、第1スプリングガイド210と同様に、概して円筒形状のガイド部材211aと、ガイド部材211aの外周面に配置された第2リターンスプリング211bとを有する。第2スプリングガイド211のガイド部材211aは、第1スプリングガイド210のガイド部材210aよりも小径に設けられ、ガイド部材210aの内側に収容される。ガイド部材211aの下端部には、径方向外側に僅かに突出する円環状の外側係止部211cが設けられている。ガイド部材211aの上端部には、径方向内側に僅かに突出する円環状の内側係止部211dが設けられている。
外側係止部211cは、第2リターンスプリング211bの他端(下端)を係止する。内側係止部211dは、レリーズベアリングアウター209aの側面部209dの上端部を係止すると共に、レリーズベアリングアウター209aが第2スプリングガイド211からケース212の外側に脱落するのを防止する(図1参照)。
第2リターンスプリング211bは、圧縮ばねで構成される。第2リターンスプリング211bは、他端(下端)をガイド部材211aの外側係止部211cで係止される一方、一端(上端)を第1スプリングガイド210のガイド部材210aの内側係止部210dで係止される。このように配置された状態において、第2リターンスプリング211bは、ガイド部材211aを下方側に付勢すると共に、レリーズベアリングアウター209aを下方側に付勢する。
本実施の形態における第1スプリングガイド210及び第2スプリングガイド211において、第1リターンスプリング210bのばね圧と第2リターンスプリング211bのばね圧とは同一の値に設定される。しかしながら、これらのばね圧に大小を設けるようにしてもよい。例えば、第1リターンスプリング210bのばね圧を、第2リターンスプリング211bのばね圧よりも大きく設定することができる。
上述したこれらの構成部品が、ケース212に収容される。ケース212は、クラッチレリーズ装置106の筐体を構成する。ケース212は、概して図2に示す上下方向に開口した円筒形状部212aと、円筒形状部212aの外側に設けられたモータ支持部212bとを有している。円筒形状部212aは、図2に示す下方側に設けられた太径部212cと、同図に示す上方側に設けられた細径部212dとを有する。細径部212dの上端には、径方向内側に僅かに突出する円環形状の係止部212eが設けられている。係止部212eは、上述した第1リターンスプリング210bの他端(上端)を係止する。
モータ支持部212bは、太径部201aの外周面に径方向外側に突出して設けられている。モータ支持部212bは、図2に示す上下方向と直交する方向(径方向)に延在して設けられている。モータ支持部212bの端部には、開口部212fが形成されている。開口部212fの内側には、モータ支持部212bの延在方向(図2に示す水平方向)に沿って円筒状の空間(不図示)が形成されている。モータ支持部212b内の空間は、ケース212の内側の空間に連通している。モータ支持部212bは、後述する電動モータ213の出力軸213bを収容し、電動モータ213を支持する。
電動モータ213は、モータ本体部213aと、モータ本体部213aから突出する出力軸213bとを有する。クラッチレリーズ装置106において、電動モータ213は、モータ本体部213aが図2に示す径方向に延在するように配置される。このため、出力軸213bも、モータ本体部213aから図2に示す径方向に延出している。
出力軸213bの先端には、ウォームギヤ213cが設けられている。電動モータ213は、出力軸213bとウォームギヤ213cがモータ支持部212b内の空間に収容された状態でモータ支持部212bに支持される。モータ支持部212b内に収容されたウォームギヤ213cは、ケース212内に収容されたウォームホイール204のギヤ204aと噛合する位置に配置される。
ここで、図1及び図2を参照し、組み立てられた状態のクラッチレリーズ装置106について説明する。ここでは、説明の便宜上、図1に示す方向に沿ってクラッチレリーズ装置106の各構成部品の配置及び構成について説明するものとする。
図1に示すように、入力軸107に取り付けられたクラッチレリーズ装置106内において、第1リング部材203は、中空軸201の平面部201bに設けられた軸受部材202に対向して配置されている。第1リング部材203の外側には、ウォームホイール204がピン203dを介して固定される。第1リング部材203と第2リング部材206の第1環状部材206aとの間には、第1ホルダ205に保持された複数のボール205aが配置される。これらのボール205aは、第1リング部材203の第1レール203cと、第2リング部材206の第2レール206eに収容された状態で配置される(図2参照)。
これらの複数のボール205aに対し、第2リング部材206の側面部206cを挟んで内側に、第2ホルダ207に保持された複数のボール207aが配置される。これらのボール207aは、第2リング部材206の第2環状部206bと第3リング部材208の環状部208aとの間に配置される。これらのボール207aは、第2環状部206bの第3レール206gと、第3リング部材208の第4レール208cに収容された状態で配置される(図2参照)。
第3リング部材208の環状部208aの前方側には、レリーズベアリングアウター209aの底面部209cが対向して配置される。レリーズベアリングアウター209aは、リテーナ209hにより環状部208a側に付勢されている。リテーナ209hは、レリーズベアリングスリーブ208dの支持溝部208fに固定され、レリーズベアリングアウター209aを環状部208a側に付勢可能に構成されている。
本実施の形態において、レリーズベアリングアウター209aは、一定のギャップを介してレリーズベアリングスリーブ208dに取り付けられている。このため、レリーズベアリングアウター209aは、レリーズベアリングスリーブ208dの径方向に僅かに移動可能に構成される。このようにレリーズベアリングアウター209aを、リテーナ209hにより付勢することにより、レリーズベアリングスリーブ208dに対してレリーズベアリングアウター209aを軸合わせを行うことができる(自動調心機能)。
レリーズベアリングアウター209aの内側には、ベアリング209gを介してレリーズベアリングインナー209bが配置されている。このため、レリーズベアリングインナー209bは、レリーズベアリングアウター209aから独立して回転可能に構成される。初期状態において、レリーズベアリングインナー209bの前方側端部は、レリーズベアリングアウター209aの前方側端部よりも前方側に突出して配置されている。レリーズベアリングインナー209bの前方側端部は、ダイヤフラムスプリング104の開口部104aの周辺部分に対向して配置される。
レリーズベアリングアウター209aの外側には、第1スプリングガイド210及び第2スプリングガイド211が配置される。第1スプリングガイド210は、ケース212の内側に配置され、第2スプリングガイド211は、第1スプリングガイド210の内側に配置される。ケース212とガイド部材210aとの間には、第1リターンスプリング210bが配置され、ガイド部材210aとガイド部材211aとの間には、第2リターンスプリング211bが配置される。
ケース212のモータ支持部212bには、電動モータ213の出力軸213bが収容される。出力軸213bは、クラッチレリーズ装置106によるレリーズベアリングユニット209のストローク方向(図1に示す左右方向)に直交する方向に延出している。出力軸213bに設けられたウォームギヤ213cは、第1リング部材203の外側に固定されたウォームホイール204のギヤ204aと噛合する位置に配置される。
次に、本実施の形態に係るクラッチレリーズ装置106によるエンジンの動力の遮断/伝達動作(断接動作)について、図1〜図3を参照して説明する。
以下においては、図1に示すように、クラッチレリーズ装置106が作動していない状態(初期状態)からエンジンの動力の断接動作が行われる場合について説明するものとする。なお、初期状態のクラッチレリーズ装置106においては、第1リターンスプリング210b及び第2リターンスプリング211bの付勢力により、レリーズベアリングスリーブ208dをクラッチレリーズ装置106の後方側(図1に示す右方側)に付勢する力が僅かに作用している。
また、初期状態において、第1ホルダ205に保持された複数のボール205aは、第1リング部材203の傾斜面部203bの最薄部と、第2リング部材206の第1環状部206aの傾斜面部206dの最薄部との間に配置されている。また、第2ホルダ207に保持された複数のボール207aは、第2リング部材206の第2環状部206bの傾斜面部206fの最薄部と、第3リング部材208の環状部208aの傾斜面部208bの最薄部との間に配置されている。すなわち、初期状態においては、クラッチレリーズ装置106のストローク方向の寸法が最も短くなった状態となっている。
図1に示す初期状態から、車両に搭載されたECUによりエンジンの動力の遮断が指示されると、例えば、電動モータ213が正転方向に駆動される。電動モータ213の駆動に応じてウォームギヤ213cが回転すると、ウォームホイール204が回転する。このウォームホイール204の回転に伴い、ウォームホイール204の内周面に固定された第1リング部材203が図2に示す矢印A1方向に回転する。
第1リング部材203が回転すると、第1ホルダ205に保持された複数のボール205aの前方側に配置される傾斜面部203bの厚さ寸法が徐々に大きくなる。これに伴い、複数のボール205aは、傾斜面部203bの第1レール203cを最厚部側に向けて転動する。この結果、複数のボール205aが前方側に押し出される。
複数のボール205aが回転することにより、ボール205aの回転に応じて第2リング部材206が図2に示す矢印B1方向に回転する。第2リング部材206が回転すると、複数のボール205aの前方側に配置される傾斜面部206dの厚さ寸法が徐々に大きくなる。これに伴い、複数のボール205aは、傾斜面部206dの第2レール206eを最厚部側に向けて転動する。この結果、第2リング部材206が前方側に押し出される。
第2リング部材206が回転すると、第2ホルダ207に保持された複数のボール207aの前方側に配置される傾斜面部206bの厚さ寸法が徐々に大きくなる。これに伴い、複数のボール207aは、傾斜面部206bの第3レール206gを最厚部側に向けて転動する。この結果、複数のボール207aが前方側に押し出される。
複数のボール207aが回転することにより、ボール207aの回転に応じて第3リング部材208が図2に示す矢印C1方向に回転する。第3リング部材208が回転すると、複数のボール207aの前方側に配置される傾斜面部208bの厚さ寸法が徐々に大きくなる。これに伴い、複数のボール207aは、傾斜面部208bの第4レール208cを最厚部側に向けて転動する。この結果、第3リング部材208が前方側に押し出される。
第3リング部材208が前方側に押し出されると、これに一体的に設けられたクラッチレリーズスリーブ208dが前方側に移動する。また、環状部208aの前方側に配置されたレリーズベアリングユニット209が前方側に押し出される。この場合、レリーズベアリングユニット209は、ボール205a、207aの転動に伴い、段階的に前方側に伸びていく。
一方、レリーズベアリングユニット209の前方側への移動に伴い、クラッチレリーズアウター209aの先端を係止する第2スプリングガイド211のガイド部材211aが前方側に引き出される。この場合、ガイド部材211aは、第2リターンスプリング211bの付勢力に抗して前方側に引き出される。そして、一定位置までガイド部材211aが前方側に引き出されると、第2リターンスプリング211bを介して第1スプリングガイド210のガイド部材210aが前方側に引き出される。この場合、ガイド部材210aは、第1リターンスプリング210bの付勢力に抗して前方側に引き出される。すなわち、第1スプリングガイド210及び第2スプリングガイド211は、レリーズベアリングユニット209の前方側への移動に応じて段階的に伸びていく。
レリーズベアリングユニット209が前方側まで押し出されると、クラッチレリーズインナー209bの押圧部209fがダイヤフラムスプリング104に接触する。この状態から更にレリーズベアリングユニット209が前方側の所定位置まで押し出されると、ワイヤスプリング110を支点としてダイヤフラムスプリング104が反転し、クラッチ装置100が図3に示す状態に移行する。
図3に示すように、ダイヤフラムスプリング104が反転すると、ダイヤフラムスプリング104から作用していた付勢力がなくなり、プレッシャープレート105が後方側に移動する。このプレッシャープレート105の移動に伴い、クラッチディスク103がフライホイール102から離間する。これにより、フライホイール102の回転が入力軸107に伝達されなくなる。この結果、入力軸107(変速機)に対するエンジンの動力の伝達が遮断される。
ここで、クラッチレリーズ装置106が初期状態から作動状態に移行する際における一対のボールカム機構(第1、第2ボールカム機構)の状態について、図4を参照して説明する。図4Aでは、クラッチレリーズ装置106の初期状態における一対のボールカム機構の状態を示し、図4Bでは、クラッチレリーズ装置106の作動状態における一対のボールカム機構の状態を示している。
図4においては、第1ボールカム機構を構成する、第1リング部材203の傾斜面部203bの第1レール203c、ボール205a及び第2リング部材206の傾斜面部206dの第2レール206eと、第2ボールカム機構を構成する、第2リング部材206の傾斜面部206fの第3レール206g、ボール207a及び第3リング部材208の傾斜面部208bの第4レール208cとを模式的に示している。
初期状態においては、図4Aに示すように、ボール205aは、第1リング部材203の傾斜面部203bの最薄部と、第2リング部材206の傾斜面部206dの最薄部との間に配置されている。一方、ボール207aは、第2リング部材206の傾斜面部206fの最薄部と、第3リング部材208の傾斜面部208bの最薄部との間に配置されている。
上述のように、第1リング部材203の回転に伴い、ボール205aに対向する傾斜面部203b及び傾斜面部206dの厚さ寸法が大きくなる。これにより、第2リング部材206が図4に示す上方側へ移動する。このとき、ボール205aは、傾斜面部203bに設けられた第1レール203cと、傾斜面部206dに設けられた第2レール206eとの間を転動する。このボール205aの転動に伴い、第2リング部材206が回転する。この第2リング部材206の回転に伴い、ボール207aに対向する傾斜面部206f及び傾斜面部208bの厚さ寸法が大きくなる。これにより、第3リング部材208が図4に示す上方側へ移動する。
図4に示すように、ボールカム機構においては、電動モータ213の駆動に伴い、図4に示す上方側にボール205aを移動させることができる。これにより、ボール205aに対向配置された第2リング部材206を図4に示す上方側に移動することができる。さらに、第2リング部材206の上方側への移動に伴い、図4に示す上方側にボール207aを移動させることができる。これにより、ボール207aに対向配置された第3リング部材208を図4に示す上方側に移動することができる。
なお、本実施の形態に係る一対のボールカム機構においては、図4に示すように、ボール205aを転動させる傾斜面部203b、206dの勾配と、ボール207aを転動させる傾斜面部206f、208bの勾配とが同一である場合について示している。しかしながら、傾斜面部203b、206d及び傾斜面部206f、208bの勾配については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、一方の勾配を他方の勾配よりも大きく設定するようにしてもよい。
一方、図3に示す作動状態から、車両に搭載されたECUによりエンジンの動力の伝達が指示されると、例えば、電動モータ213が逆転方向に駆動される。電動モータ213の駆動に応じてウォームギヤ213cが回転すると、ウォームホイール204が回転する。このウォームホイール204の回転に伴い、第1リング部材203が図2に示す矢印A2方向に回転する。
なお、図3に示す作動状態においては、第1リターンスプリング210b、第2リターンスプリング211bが初期状態に比べて圧縮されている。したがって、第2スプリングガイド211よりも後方側の構成部品には、第1リターンスプリング210b及び第2リターンスプリング211bの付勢力が作用している。このため、第2スプリングガイド211よりも後方側の構成部品は、後方側に付勢された状態となっている。
第1リング部材203が回転すると、第1ホルダ205に保持された複数のボール205aの後方側に配置される傾斜面部203bの厚さ寸法が徐々に小さくなる。これに伴い、複数のボール205aは、傾斜面部203bの第1レール203cを最薄部側に向けて転動する。この結果、複数のボール205aが後方側に引き戻される。
複数のボール205aが回転することにより、ボール205aの回転に応じて第2リング部材206が図2に示す矢印B2方向に回転する。第2リング部材206が回転すると、複数のボール205aの前方側に配置される傾斜面部206dの厚さ寸法が徐々に小さくなる。これに伴い、複数のボール205aは、傾斜面部206dの第2レール206eを最薄部側に向けて転動する。この結果、第2リング部材206が後方側に引き戻される。
第2リング部材206が回転すると、第2ホルダ207に保持された複数のボール207aの後方側に配置される傾斜面部206bの厚さ寸法が徐々に小さくなる。これに伴い、複数のボール207aは、傾斜面部206bの第3レール206gを最薄部側に向けて転動する。この結果、複数のボール207aが後方側に引き戻される。
複数のボール207aが回転することにより、ボール207aの回転に応じて第3リング部材208が図2に示す矢印C2方向に回転する。第3リング部材208が回転すると、複数のボール207aの前方側に配置される傾斜面部208bの厚さ寸法が徐々に小さくなる。これに伴い、複数のボール207aは、傾斜面部208bの第4レール208cを最薄部側に向けて転動する。この結果、第3リング部材208が後方側に引き戻される。
第3リング部材208が後方側に引き戻されると、第1リターンスプリング210b及び第2リターンスプリング211bの付勢力により、環状部208aの前方側に配置されたレリーズベアリングユニット209が後方側に押し戻される。レリーズベアリングユニット209の位置は、上述した一対のボールカム機構におけるボール205a、207aの位置によって定まる。これらのボール205a、207aが図1に示す初期位置まで復帰すると、第1リターンスプリング210b及び第2リターンスプリング211bの付勢力により、レリーズベアリングユニット209も図1に示す初期位置に復帰する。
以上説明したように、本実施の形態に係るクラッチレリーズ装置106においては、電動モータ213の駆動に応じてレリーズベアリングユニット209を中空軸201の軸方向に移動させる一対のボールカム機構(第1、第2ボールカム機構)を備えたことから、レリーズベアリングユニット209のストローク量を確保しつつ、中空軸201の軸方向のクラッチレリーズ装置106の寸法を短縮することができる。
また、本実施の形態に係るクラッチレリーズ装置106においては、電動モータ213の出力軸213bに設けられたウォームギヤ213cにより、ウォームギヤ204を介して第1リング部材203を回転させ、この回転を通じてレリーズベアリングユニット209を移動させることから、中空軸201の軸方向に直交して電動モータ213を配置することができる。このため、電動モータ213の体格に影響を受けず、中空軸201の軸方向と直交方向のクラッチレリーズ装置106の寸法を短縮することができる。
さらに、本実施の形態に係るクラッチレリーズ装置106においては、ウォームギヤ213cを介してレリーズベアリングユニット209を移動することから、大きな減速比を必要とせず、中空軸201の軸方向と直交方向のクラッチレリーズ装置106の寸法を短縮することができる。
さらに、本実施の形態に係るクラッチレリーズ装置106において、第1ボールカム機構は、第1リング部材203に設けられる第1レール203cと、第2リング部材206に設けられる第2レール206eと、第1レール203cと第2レール206eとの間に配置される複数のボール205aからなる第1ボール群とを有する。一方、第2ボールカム機構は、第2リング部材206に設けられる第3レール206gと、第3リング部材208に設けられる第4レール208cと、第3レール206gと第4レール208cとの間に配置される複数のボール207aからなる第2ボール群とを有する。このように、第1ボールカム機構の一部が第1リング部材203、第2リング部材206の一部で構成され、第2ボールカム機構の一部が第2リング部材206、第3リング部材208の一部で構成される。このため、第1、第2ボールカム機構の構成を簡素化でき、部品点数を削減すると共に製造コストを低減することができる。
特に、第1ボールカム機構は、図1に示すように、第2ボールカム機構の外側に配置され、レリーズベアリングユニット209が移動していない初期状態にて第2ボールカム機構の一部と重複して配置されている。このため、初期状態にて第1ボールカム機構と第2ボールカム機構とが中空軸201の軸方向に重複して配置されることから、一対のボールカム機構(第1、第2ボールカム機構)のための空間を縮小でき、中空軸201の軸方向のクラッチレリーズ装置106の装置全体の寸法を更に短縮することができる。
また、第1ボールカム機構は、第1ボール群が有する複数のボール205a間の位置を保持する第1ホルダ205を有し、第2ボールカム機構は、第2ボール群が有する複数のボール207a間の位置を保持する第2ホルダ207を有している。これらの第1、第2ホルダ205、207で複数のボール205a、207aを保持することにより、外部からの衝撃等により複数のボール205a、207aの位置がずれるのを防止できる。これにより、複数のボール205a、207aの位置ずれに起因してボールカム機構のストローク量が短くなるのを防止することができる。
さらに、本実施の形態に係るクラッチレリーズ装置106においては、ケース212内に収容される第1スプリングガイド210と、第1スプリングガイド210の内側に配置される第2スプリングガイド211とを備えている。そして、第1スプリングガイド210は、一端が第1リターンスプリング210bを介してケース212に弾性的に連結され、第2スプリングガイド211は、一端が第2リターンスプリング211bを介して第1スプリングガイド210の他端に弾性的に連結されると共に、他端がレリーズベアリングユニット209(より具体的には、レリーズベアリングアウター209a)に連結される。この構成によれば、レリーズベアリングユニット209を初期位置に復帰させるスプリングガイドを一対備え、一方のスプリングガイド(第2スプリングガイド211)を他方のスプリングガイド(第1スプリングガイド210)内に配置したことから、レリーズベアリングユニット209のストローク量を確保しつつ、中空軸201の軸方向のクラッチレリーズ装置106の装置全体の寸法を短縮することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、レリーズベアリングユニット209を中空軸201の軸方向に駆動する一対のボールカム機構(第1、第2ボールカム機構)を備える場合について説明している。しかしながら、ボールカム機構の数については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、3つ以上のボールカム機構を備え、レリーズベアリングユニット209を移動するようにしてもよい。この場合、複数のボールカム機構は、中空軸201の軸方向に一部又は全部が重複して配置されることが好ましい。
また、上記実施の形態においては、第1ボールカム機構が、第1リング部材203に設けられる第1レール203cと、第2リング部材206に設けられる第2レール206eと、第1レール203cと第2レール206eとの間に配置される複数のボール205aからなる第1ボール群とを有する場合について説明している。しかしながら、第1ボールカム機構の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。ボール205aを中空軸201の軸方向に移動させることを前提として、任意の構成のボールカム機構を適用することができる。なお、第2ボールカム機構についても同様である。
さらに、上記実施の形態においては、第1ボールカム機構が、第2ボールカム機構の外側に配置され、クラッチレリーズ装置106の初期状態にて中空軸201の軸方向に第2ボールカム機構の一部と重複して配置される場合について説明している。しかしながら、第1、第2ボールカム機構の配置については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、第1ボールカム機構は、第2ボールカム機構の外側に配置されていなくてもよく、中空軸201の軸方向に第2ボールカム機構の一部と重複して配置されていなくてもよい。
さらに、上記実施の形態においては、レリーズベアリングユニット209を初期状態に復帰させる一対のスプリングガイド(第1、第2スプリングガイド210、211)を備える場合について説明している。しかしながら、スプリングガイドの数については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、3つ以上のスプリングガイドを備え、レリーズベアリングユニット209を復帰させるようにしてもよい。この場合、複数のスプリングガイドは、中空軸201の軸方向に一部又は全部が重複して配置されることが好ましい。