JP2017207155A - 防火材及び区画貫通部の防火構造 - Google Patents

防火材及び区画貫通部の防火構造 Download PDF

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Abstract

【課題】区画貫通部の耐火処理及び目隠しを容易に実現可能な防火材を提供する。【解決手段】建築物の区画体11に形成される区画貫通部12に設置される防火材1であって、耐火性かつ弾性を有するクッション層2と、クッション層2に形状保持性を付与する形状保持具3と、熱膨張性を有する熱膨張層4とを備える。防火材1は、周縁部から内部に延びる切り込み6が設けられ、切り込み6により間に管体13が挟まれる互いに拡開可能な一対の切片7を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の例えば壁や床、天井等の区画体に形成された区画貫通部に挿通される防火材及びこの防火材を備える区画貫通部の防火構造に関する。
区画貫通部の防火構造として、区画貫通部に耐火性を有する防火材を設置し、防火材の内部に電気配線や配管を貫通させて、区画貫通部の耐火処理を施す工法が知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1では、防火材として金属製のスリーブを区画貫通部に設置し、スリーブ内に配線や配管等の配管類を挿通している。ここで、区画体に区画貫通部を形成した場合には、区画貫通部により区画体の一方側から他方側が普通には見えないように、区画貫通部を目隠しする必要がある。そのため、特許文献1では、スリーブ内の配管類の周囲をモルタル等の耐火パテで充填して、区画貫通部を閉塞している。
特開2014−137085号公報
しかしながら、特許文献1のように、区画貫通部を耐火パテで埋める作業は煩雑であり、特に区画貫通部が部屋の隅や天井近傍等に形成されている場合には尚更煩雑となり、作業者に多大な負担を要する。また、床や天井に形成された区画貫通部を耐火パテで埋める場合には、耐火パテが自重で垂れるおそれがあるため、耐火パテを受ける器具を区画貫通部に設置する必要があり、施工に手間もかかる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、区画貫通部の耐火処理及び目隠しを容易に実現可能な防火材及びこの防火材を備える区画貫通部の防火構造を提供することである。
本発明の上記目的は、建築物の区画体に形成されかつ少なくとも1本の管体が挿通される区画貫通部に設置される防火材であって、耐火性かつ弾性を有するクッション層を備え、該防火材は、周縁部から内部に延びる切り込みが設けられ、前記切り込みにより間に管体が挟まれる互いに拡開可能な一対の切片を有する防火材により達成される。
上記構成の防火材は、前記クッション層に形状保持性を付与する形状保持具をさらに備えることが好ましい。
また、上記構成の防火材は、前記クッション層の表面にアルミガラスクロスが貼り付けられていることがさらに好ましい。
また、上記構成の防火材は、前記形状保持具は線状材又は板材により構成されており、前記切り込みを間に挟むように湾曲していることがさらに好ましい。
また、本発明の上記目的は、区画貫通部を有する区画体と、前記区画貫通部に挿通される少なくとも1本の管体と、上記構成の防火材と、を備え、前記管体は、前記防火材の前記切り込みから前記防火材の内部に押し込まれ、前記一対の切片により挟まれている区画貫通部の防火構造によっても達成される。
また、本発明の上記目的は、区画貫通部を有する区画体と、前記区画貫通部に挿通される少なくとも1本の管体と、耐火性かつ弾性を有する防火材と、を備え、前記防火材は、前記区貫通部と前記管体との間で圧縮変形しながら前記管体に巻き付けられている区画貫通部の防火構造によっても達成される。
本発明の防火構造によれば、管体の周囲を防火材で囲むという簡易な作業で耐火処理を実現できる。このため、耐火パテ材を埋める煩雑な作業を要しない。また、クッション層が弾性を有し、管体の外周面の形状に合わせて圧縮変形して管体に密接するので、区画貫通部を目隠しすることもできる。よって、区画貫通部により区画体の一方側から他方側が見えないようにすることができる。また、本発明の防火材によれば、一対の切片を拡開し、その間に管体を押し込むという簡易な作業で管体の周囲を囲むことができる。
本発明の一実施形態に係る防火構造の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る防火構造の平面図である。 本発明の一実施形態に係る防火構造の断面図である。 本発明の一実施形態に係る防火材の平面図である。 図4の正面図である。 防火材を区画体の区画貫通部に設置する方法を説明する斜視図である。 変形例の防火材の平面図である。 変形例の防火構造の平面図である。 本発明の他の実施形態に係る防火構造の斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る防火構造の断面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の防火材は、建築物の例えば壁や床、天井等の区画体に形成された区画貫通部に設置され、この区画貫通部の内周面と、区画貫通部に挿通される配管やケーブル等の配管類(管体)との隙間から、火災時に火や熱が漏洩することを防止するためのものである。
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係る防火材1を用いた建築物の区画体11の区画貫通部12における防火構造(以下、単に「防火構造」という。)10を示している。区画体11は、部屋等の隣接する防火区画A,Bを仕切る役割を果たすものである。なお、本実施形態では、区画体11として、隣接する防火区画A,Bを水平に仕切る床や天井に防火材1を設置した防火構造10を例にして説明しているが、本発明の範囲はこの実施形態に限定されるものでなく、隣接する防火区画を垂直に仕切る壁に防火材1を設置した防火構造も本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
区画体11としての床/天井の構造や壁の構造は、特に限定されるものではない。例えば、例えば、鉄筋コンクリート構造(RC)や軽量気泡コンクリート構造(ALC)等の所定の厚さを有する中実構造の他、天井/床であれば上層階の床を構成する床材と下層階の天井を構成する天井材とを間隔をあけて配置した構造や、壁であれば木製又は鋼製の間柱を挟み込むように一対の壁材を固定した構造等の中空構造を挙げることができる。
区画体11には区画貫通部12が形成されており、区画貫通部12により隣接する防火区画A,Bが連通している。なお、天井/床や壁が中実構造の場合には、管体13を挿通するために形成された貫通孔により区画貫通部12が構成され、天井/床や壁が中空構造の場合には、床材及び天井材や一対の壁材に管体を挿通するために形成された2つの貫通孔と、両貫通孔の間の中空空間により区画貫通部12が構成される。区画貫通部12の形状は、平面視円形状の他、平面視矩形状等、種々の形状であってもよい。
区画貫通部12に挿通される管体13としては、例えば、冷媒管、熱媒管、水道管、下水管、注排水管、ガス管、暖冷房用媒体移送管、通気管等の各種の配管の他、電線ケーブル、光ファイバケーブル等のケーブル類が挙げられる。
防火材1は、図4及び図5に示すように、所定の厚みを有する平板状であり、本実施形態では平面視で矩形状である。防火材1は、耐火性及び弾性を有するクッション層2を少なくとも備えている。
クッション層2は、耐火性(耐熱性及び難燃性)を有しかつ弾性変形して圧縮可能な層を形成できれば、素材は特に限定されない。クッション層2としては、例えばグラスウール、ロックウール又はセラミックウール等からなるフェルト;耐炎繊維不織布;グラスファイバーやセラミックファイバー等の無機繊維材;熱硬化性樹脂、ゴム物質からなるスポンジや発泡体又は熱膨張性耐火材を含むスポンジや発泡体;建築用シーリング材、石膏ボード用目地処材、モルタルもしくはクロロプレンゴム等のゴムやシリコーン等に充填材・難燃剤等を配合してなる耐火パテ材やコーキング材を板状に成形したもの、を好適に用いることができる。熱硬化性樹脂としては、後述する熱膨張層3に用いられる熱硬化性樹脂(ポリウレタンやフェノール樹脂など)を挙げることができる。ゴム物質としては、後述する熱膨張層3に用いられるゴム物質のうち、例えばクロロプレンゴムやウレタンゴムなどの耐火性を有するものを挙げることができる。熱膨張性耐火材としては、後述する熱膨張層3に用いられるものを挙げることができる。クッション層2は、これらの素材を1種単独で構成してもよく、2種以上を組み合わせて構成してもよい。
クッション層2の厚みは、特に限定されるものではないが、10mm以上100mm以下が好ましい。クッション層2の大きさは、区画体11の区画貫通部12よりも大きく、区画貫通部12を覆い隠せる大きさである。
防火材1は、上述したクッション層2のみで構成されていてもよいが、さらに、熱膨張性及び耐火性を有する熱膨張層4及び/又はクッション層2の表面に貼り付けられるアルミガラスクロス5を備えていてもよく、クッション層2にアルミガラスクロス5又は熱膨張層4が積層された2層構造の積層体、もしくは、アルミガラスクロス5、クッション層2及び熱膨張層4のの順で積層された3層構造の積層体で構成されていてもよい。
熱膨張層4は、例えば、樹脂成分に熱膨張性層状無機物と無機充填材とを含有させた熱膨張性耐火材により構成できる。
上記の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム物質、及びそれらの組み合わせが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイソブチレン等の合成樹脂類が挙げられる。
上記の熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等が挙げられる。
ゴム物質としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質は、一種もしくは二種以上を使用することができる。これらの合成樹脂類及び/又はゴム物質の中でも、柔軟でゴム的性質を持っているものが好ましい。この様な性質を持つものは無機充填材を高充填することが可能であり、得られる樹脂組成物が柔軟で扱い易いものとなる。より柔軟で扱い易い樹脂組成物を得るためには、ブチル等の非加硫ゴムやポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。代わりに、樹脂自体の難燃性を上げて防火性能を向上させるという観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
次に、熱膨張性層状無機物は加熱時に膨張するものであるが、かかる熱膨張性層状無機物に特に限定はなく、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛等を挙げることができる。熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。
上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和してもよい。熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「GREP−EG」、GRAFTECH社製「GRAFGUARD」等が挙げられる。
次に、無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
また、無機充填剤としては、これらの他に、硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため、粒径の小さいものが好ましいく、0.5μm以上であると、分散性が良好である。一方、無機充填剤の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができるため、粒径の大きいものが好ましいが、100μm以下の粒径が成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性の点で望ましい。無機充填剤の市販品としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径18μmの「ハイジライトH−31」(昭和電工社製)、粒径25μmの「B325」(ALCOA社製)、炭酸カルシウムでは、粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化工業社製)、粒径8μmの「BF300」(備北粉化工業社製)等が挙げられる。
さらに、熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物は、膨張断熱層の強度を増加させ防火性能を向上させるために、前記の各成分に加えて、さらにリン化合物を含んでもよい。リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記化学式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、防火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記化学式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
化学式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。ポリリン酸アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、Budenheim Iberica社製「FR CROS 484」、「FR CROS 487」等が挙げられる。
化学式(1)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。前記のリン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物は、上記の熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂成分100重量部に対し、熱膨張性層状無機物を10〜350重量部及び前記無機充填材を30〜400重量部の範囲で含むものが好ましい。
また、熱膨張性層状無機物及び無機充填材の合計は、樹脂成分100重量部に対し、50〜600重量部の範囲が好ましい。
かかる樹脂組成物は加熱によって膨張し耐火断熱層を形成する。この配合によれば、前記熱膨張性耐火材は火災等の加熱によって膨張し、必要な体積膨張率を得ることができ、膨張後は所定の断熱性能を有すると共に所定の強度を有する残渣を形成することもでき、安定した防火性能を達成することができる。
樹脂組成物における熱膨張性層状無機物及び無機充填材の合計量は、50重量部以上では燃焼後の残渣量を満足して十分な耐火性能が得られ、600重量部以下であると機械的物性が維持される。
さらに樹脂組成物は、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤の他、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂、成型補助材等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
上記の樹脂組成物の各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等公知の装置を用いて混練することにより、樹脂組成物を得ることができる。
熱膨張性耐火材は、市販品として入手することも可能であり、例えば、住友スリーエム社製のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーミキュライトを含有する樹脂組成物からなる熱膨張性耐火材、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなる熱膨張性耐火材、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)、積水化学工業社製フィブロック等の熱膨張性耐火材等も挙げられる。
熱膨張性耐火材は、火災時等の高温にさらされた際にその膨張層により断熱し、かつその膨張層の強度があるものであれば特に限定されないが、50kW/mの加熱条件下で30分間加熱した後の体積膨張率が3〜50倍のものであれば好ましい。前記体積膨張率が3倍以上であると、膨張体積が前記樹脂成分の焼失部分を十分に埋めることができ、また50倍以下であると、膨張層の強度が維持され、火炎の貫通を防止する効果が保たれる。
クッション層2、熱膨張層4及びアルミガラスクロス5の積層体からなる防火材1には、周縁部から内部に延びる切り込み6が設けられている。切り込み6は、本実施形態では、防火材1の周縁部を構成する4つの辺縁部分のうち、1つの辺縁部分の中央位置から対向する辺縁部分の近傍まで延びている。この切り込み6により、防火材1は互いに拡開可能な一対の切片7を有しており、図6に示すように、一対の切片7を互いに離反させることで、切り込み6から防火材1の内部に管体13を押し込むことができる。そして、防火材1の内部に押し込んだ管体13を一対の切片7により挟むことで、一対の切片7が圧縮変形しながら管体13の外周面に密接するため、管体13を囲むように防火材1を配置することができる。なお、本実施形態では、切り込み6は、防火材1の周縁部の1つの辺縁部分から延びているが、周縁部の角部分から対向する角部分の近傍まで延びていてもよい。
また、防火材1は、クッション層2に形状保持性を付与する形状保持具3をさらに備えていてもよい。形状保持具3は、例えば樹脂やゴム、金属(合金も含む)からなる線状材あるいは板材により構成される。形状保持具3は、本実施形態では、拡開可能なリング状(C字状)に湾曲した板材であり、クッション層2に内蔵されている。形状保持具3は、互いに離反する両端部の間に切れ込み6が位置するようにクッション層2に設けられ、切れ込み6の一部分を間に挟んでいる。形状保持具3は、一対の切片7の拡開とともに両端部が離反して拡開するが、その後は、その形状保持性(復元力)により両端部が接近して形状保持具3は元のリング状(C状)に復元する。したがって、防火材1は、一対の切片7を拡開して切り込み6から内部に管体13が押し込まれた後、形状保持具3の形状保持性(復元力)に基づき一対の切片7が自動的に互いに近接することで、防火材1(クッション層2)が元の形状(矩形状)に保持され、これにより、防火材1は管体13を囲んだ状態が維持される。
なお、形状保持具3は、本実施形態では、拡開可能なリング状(C字状)であるが、図7に示すようにU字状に湾曲した板材であってもよい。この場合には、形状保持具3は、切り込み6の全ての部分を間に挟むようにクッション層2に設けられる。また、形状保持具3を線状材とする場合には、クッション層2に内蔵する以外に、クッション層2の上下の表面に貼り付けてもよい。形状保持具3の寸法は特に限定されるものではなく、その形状保持性を発揮できる寸法に適宜設定できる。
次に、区画体11の区画貫通部12に対して上述した防火材1を設置する方法について説明する。
まず、区画体11の区画貫通部12に管体13を通す。次に、図6に示すように、防火材1の一対の切片7を離反させ、例えば防火区画Aの側から切り込み6を介して防火材1の内部に管体13を押し込む。そして、防火材1の内部に押し込まれた管体13を一対の切片7により挟んで管体13の外周面に密接させることで、管体13を囲むように防火材1を配置する。そして、防火材1を、接着剤や粘着剤、粘着テープ等を用いて区画体11の外面に固着することで、防火材1が区画体11に固定され、区画貫通部12に設置される。これにより、区画貫通部12の防火構造10が構築される。
上述した防火材1が用いられた防火構造10では、防火区画A又は防火区画Bにおいて火災が起きても、防火材1が区画体11の区画貫通部12を閉塞しかつ管体13の外周面に密着しているため、火炎や熱が区画貫通部12から隣接する防火区画に漏洩することを防ぐことができる。また、熱膨張層4が火災の熱により膨張して区画貫通部12を埋めることで、仮に火災時に管体13が溶融又は焼失して空間ができたとしても、熱膨張層4の熱膨張により管体13が溶融又は焼失してできた空間が埋められる。これにより、区画体11の区画貫通部12を完全に閉塞できるため、火炎や熱が区画貫通部12から隣接する防火区画に漏洩することを防ぐことができる。
このように、本実施形態によれば、防火材1を区画体11の区画貫通部12に設置する簡易な作業で防火処理を実現できる。このため、耐火パテ材を埋める煩雑な作業を要しない。
また、防火材1が区画体11の区画貫通部12を閉塞しかつ管体13の外周面に密着しているので、区画貫通部12により防火区画A,Bの一方側から他方側が視認されることを防止できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、防火材1の平面視の形状が矩形状であるが、円形状、六角形状等の多角形状など、管体13を囲むことができかつ区画体11の区画貫通部12を閉塞できるのであれば種々の形状であってもよい。
また、上記実施形態では、防火材1がクッション層2、熱膨張層4及びアルミガラスクロス5の積層体から構成されているが、防火材1は少なくともクッション層2を備えていればよい。
また、上記実施形態では、形態保持具3がC字状又はU字状をなす線状材もしくは板材より構成されているが、防火材1に形状保持性(復元力)を与えて、切り込み6により拡開した防火材1の一対の切片7を自動的に閉じるように機能するのであれば、種々の形態のものを採用することができる。
また、区画体11の区画貫通部12に対して、一方側及び他方側からそれぞれ防火材1を1つずつ設置してもよい。
また、上記実施形態では、耐火パテ材を埋める作業を省略できるので作業負担を軽減できる旨述べたが、本発明は、耐火パテ材を使用することを否定するものではなく、必要に応じて防火材1と管体13との間に生じ得る隙間等を耐火パテで埋めてもよい。例えば、図8に示すように、複数本(図示例では2本)の管体13を防火材1で囲む場合には、防火材1と管体13との間に隙間が生じるので、この隙間に耐火パテ材14を埋めることで、防火構造10の防火性能を向上できる。
また、上記実施形態では、防火材1の一対の切片7を離反させて切り込み6から防火材1の内部に管体13を押し込んだ後、管体13を一対の切片7により挟んで管体13の外周面に密接させることで、管体13を囲むように防火材1を配置している。しかしながら、図9及び図10に示すように、防火材1に切れ込み6を設けることなく、単に防火材1を管体13に巻き付けるとともに、圧縮変形させながら区貫通部12と管体13との間に挟み込むことで、管体13を囲むように配置し、これにより、区画貫通部12の防火構造10を構築してもよい。これによっても、管体13の外周面に防火材1が密接するので、区画体11の区画貫通部12を完全に閉塞できるため、火炎や熱が区画貫通部12から隣接する防火区画に漏洩することを防ぐことができるうえ、区画貫通部12により防火区画A,Bの一方側から他方側が視認されることを防止できる。また、防火材1を、接着剤や粘着剤、粘着テープ等の固定手段を用いることなく、防火材1を区画体11に固定できる。
なお、図9及び図10の実施形態においては、防火材1は、上述したクッション層2のみで構成されていてもよく、また、クッション層2に熱膨張層4が積層された2層構造の積層体で構成されていてもよい。さらに、クッション層2、又は、クッション層2及び熱膨張層4の積層体に、アルミガラスクロス5が積層された積層体で構成されていてもよい。
1 防火材
2 クッション層
3 形状保持具
4 熱膨張層
5 アルミガラスクロス
6 切り込み
7 切片
10 防火構造
11 区画体
12 区画貫通部
13 管体
14 耐火パテ材

Claims (6)

  1. 建築物の区画体に形成されかつ少なくとも1本の管体が挿通される区画貫通部に設置される防火材であって、
    耐火性かつ弾性を有するクッション層を備え、
    該防火材は、周縁部から内部に延びる切り込みが設けられ、前記切り込みにより間に管体が挟まれる互いに拡開可能な一対の切片を有する防火材。
  2. 前記クッション層に形状保持性を付与する形状保持具をさらに備える請求項1に記載の防火材。
  3. 前記クッション層の表面にアルミガラスクロスが貼り付けられている請求項1又は2に記載の防火材。
  4. 前記形状保持具は線状材又は板材により構成されており、前記切り込みを間に挟むように湾曲している請求項1〜3のいずれかに記載の防火材。
  5. 区画貫通部を有する区画体と、
    前記区画貫通部に挿通される少なくとも1本の管体と、
    請求項1〜4のいずれかに記載の防火材と、を備え、
    前記管体は、前記防火材の前記切り込みから前記防火材の内部に押し込まれ、前記一対の切片により挟まれている区画貫通部の防火構造。
  6. 区画貫通部を有する区画体と、
    前記区画貫通部に挿通される少なくとも1本の管体と、
    耐火性かつ弾性を有する防火材と、を備え、
    前記防火材は、前記区貫通部と前記管体との間で圧縮変形しながら前記管体に巻き付けられている区画貫通部の防火構造。
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