JP2017210094A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速操縦安定性及び荷重耐久性が優れた空気入りタイヤを提供する。【解決手段】空気入りタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、一対のビード部間にトロイド状に延在させた1層以上のカーカス層を有する。カーカス層はカーカスコードとして芳香族系オキサジアゾール化合物コードが複数本の配列されている。空気入りタイヤはサイドウォール部におけるカーカス層のタイヤ幅方向内側に断面三日月形状のサイド補強ゴム層が配置されていることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、カーカス層のカーカスコードに芳香族系オキサジアゾール化合物コードを用いた空気入りタイヤに関し、特に、高速操縦安定性及び荷重耐久性が優れた空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、トレッド部にタイヤの骨格を形成するカーカス層が配置され、このカーカスの外側にベルト層が配置されると共にその外側にベルト補強層が配置されている。カーカス層は左右一対のビード部に装架されている。カーカス層は、補強コード(カーカスコード)がコーディングゴムで被覆されたものである。
高速操縦安定性及び荷重耐性等の空気入りタイヤに要求される特性に応じて、種々のカーカス層の補強コードが検討され、カーカス層の補強コードとして種々のものが用いられている。例えば、特許文献1には、片撚りレーヨンコードを、カーカスコードに用いることが記載されている。片撚りレーヨンコードは、繊度が1000〜3600dtexのヤーンを、撚り数をT(回/10cm)、繊度をD(dtex)としたとき、T×(D/1.52)1/2で定義される撚り係数Kが1000〜1800になるように撚って形成されたものであり、片撚りレーヨンコードの撚り角度が18°〜33°である。
特開2015−54680号公報
特許文献1に示されている片撚りレーヨンコード等のレーヨン繊維は、剛性が高いが、温度依存性が低いことが知られている。しかしながら、レーヨン繊維は、タイヤの走行時の発熱により、乾熱酸化劣化が生じ、耐久性低下及び高速操安性低下を招くという問題点がある。
特に、ランフラットタイヤのカーカスコードにレーヨン繊維を用いた場合、ランフラット走行時にカーカスコードのレーヨン繊維が乾熱酸化劣化することで、耐久性の低下、及び高速操安性の低下を招く。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、高速操縦安定性及び荷重耐久性が優れた空気入りタイヤを提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明は、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、一対のビード部間にトロイド状に延在させた1層以上のカーカス層を有する空気入りタイヤであって、カーカス層は、カーカスコードとして芳香族系オキサジアゾール化合物コードが複数本の配列されていることを特徴とする空気入りタイヤを提供するものである。
サイドウォール部におけるカーカス層のタイヤ幅方向内側に断面三日月形状のサイド補強ゴム層が配置されていることが好ましい。
カーカスコードは、芳香族系オキサジアゾール化合物コードが第1液と第2液で被覆されたディップ処理コードであり、第1液は(a)エポキシ化合物、(b)スチレン/ブタジエン比が5/95〜45/55(質量比)のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス及び(c)式(1)
(式中Aは官能基数3〜5の有機ポリイソシアネート化合物のイソシアネート残基を示し、Yは熱処理によりイソシアネート基を遊離するブロック剤化合物の活性水素残基を示し、Zは分子中、少なくとも1個の活性水素原子及び少なくとも1個のアニオン形成性基を有する化合物の活性水素残基を示し、Xは2個の水酸基を有し、平均分子量が5000以下のビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の活性水素残基であり、nは2〜4の整数であり、p+mは2〜4の整数(m≧0.25)である)で示される熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂を、成分(a)エポキシ化合物、(b)SBRラテックス及び(c)熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂を固形分質量比で、(1)0.1≦(a)/〔(b)+(c)〕≦2及び(2)(c)/(b)≦2の割合で配合されたものであり、第2液は、レゾルシン・ホルマリン縮合物及びゴムラテックスからなるものであることが好ましい。
カーカス層のカーカスコードは、上撚り係数が1800〜2200であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤによれば、高速操縦安定性及び荷重耐久性が優れる。本発明の空気入りタイヤをランフラットタイヤに適用した場合にも、高速操縦安定性及び荷重耐久性が優れ、ランフラット耐久性が優れる。
本発明の実施形態の空気入りタイヤの断面形状を示す断面図である。 本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層を示す模式的断面図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の空気入りタイヤを詳細に説明する。
図1に示す空気入りタイヤ(以下、単にタイヤともいう)10は、トレッド部12と、ショルダー部14と、左右一対のサイドウォール部16と、左右一対のビード部18とを主な構成部分として有する。両サイドウォール部16にトレッド部12が連なる。
なお、以下の説明において、図1中に矢印で示すように、タイヤ幅方向とは、タイヤの回転軸(図示せず)と平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、回転軸と直交する方向をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を回転の中心となる軸として回転する方向をいう。
更に、タイヤ内側とは、タイヤ径方向において図1中タイヤの下側、すなわちタイヤに所定の内圧を与える空洞領域Rに面するタイヤ内面側をいい、タイヤ外側とは、図1中タイヤの上側、すなわち、タイヤ内周面と反対側の、ユーザが視認できるタイヤ外面側をいう。図1の符号CLは、タイヤ赤道面のことであり、タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ10の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ10のタイヤ幅の中心を通る平面である。
タイヤ10は、カーカス層20と、ベルト層22と、ベルト補助補強層24(ベルトカバー層)と、ビードコア28と、ビードフィラー30と、トレッド部12を構成するトレッドゴム層32と、サイドウォール部16を構成するサイドウォールゴム層34と、リムクッションゴム層36と、タイヤ内周面に設けられるインナーライナゴム層38とを主に有する。
トレッド部12には、タイヤ外側のトレッド面12aを構成する陸部12bと、トレッド面12aに形成されるトレッド溝12cとが設けられ、陸部12bは、トレッド溝12cによって区画される。トレッド溝12cは、タイヤ周方向に連続して形成される主溝とタイヤ幅方向に延在する複数のラグ溝(図示せず)を有する。トレッド面12aには、トレッド溝12cと陸部12bとによりトレッドパターンが形成される。
タイヤ10のタイヤ幅方向における最大幅Wmは、タイヤサイド39のタイヤ幅方向における最大長さを示す位置である最大幅位置39a間の距離のことである。タイヤの最大幅位置39aを中心としてタイヤ径方向にタイヤ断面高さSHの±30(%)の範囲内にある領域をサイドトレッドという。
ビード部18には、カーカス層20を折り返し、タイヤ10をホイールに固定するために機能する左右一対のビードコア28と、ビードコア28に接するようにビードフィラー30が設けられている。そのため、ビードコア28及びにビードフィラー30は、カーカス層20の本体部20aと折り返し部20bとで挟み込まれている。
カーカス層20は、左右一対のビード部18間にトロイド状に延在されており、タイヤ幅方向に、トレッド部12に対応する部分から、ショルダー部14及びサイドウォール部16に対応する部分を経てビード部18まで延在してタイヤ10の骨格をなすものである。
カーカス層20は、カーカスコード(補強コード)として、複数本の有機繊維コードが配列され、コードコーティングゴムで被覆された構成である。有機繊維コードは、後述の芳香族系オキサジアゾール化合物コードで構成されている。
カーカス層20は、左右一対のビードコア28にタイヤ内側からタイヤ外側に折り返され、サイドウォール部16の領域で端部を成しており、ビードコア28を境とする本体部20aと折り返し部20bとから構成されている。すなわち、カーカス層20が1層、左右一対のビード部18間にトロイド状に延在されて装架されている。
また、カーカス層20は、1つのシート材で構成されても、複数のシート材で構成されてもよい。複数のシート材で構成する場合、カーカス層20は継部(スプライス部)を有することになる。なお、カーカス層20については後に詳細に説明する。
カーカス層20のコードコーティングゴムとしては、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)から選ばれた1種類又は複数種類のゴムが好ましく用いられる。また、これらのゴムを窒素、酸素、フッ素、塩素、ケイ素、リン、又は硫黄等の元素を含む官能基、例えば、アミン、アミド、ヒドロキシル、エステル、ケトン、シロキシ、若しくはアルキルシリル等により末端変性したもの、又はエポキシにより末端変性したものを用いることができる。
これらゴムに配合するカーボンブラックとしては、例えば、ヨウ素吸着量が20〜100(g/kg)、好ましくは20〜50(g/kg)であり、DBP吸収量が50〜135(cm/100g)、好ましくは50〜100(cm/100g)であり、かつCTAB吸着比表面積が30〜90(m/g)、好ましくは30〜45(m/g)であるものが用いられる。
また、使用する硫黄の量は、例えば、ゴム100質量部に対して1.5〜4.0質量部であり、好ましくは2.0〜3.0質量部である。
ベルト層22は、タイヤ周方向に貼り付けられ、カーカス層20を補強するための補強層である。ベルト層22はカーカス層20のタイヤ径方向の外側に設けられている。このベルト層22は、トレッド部12に対応する部分に設けられ、内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bを有する。
内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、その補強コードが層間で互いに交差するように配置されている。内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、補強コードが、例えば、スチールコードであり、上述のコードコーティングゴム等で被覆して構成されている。
内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、ベルト層22に関し、補強コードのタイヤ周方向に対するコード角度が、例えば、24〜35°であり、好ましくは27〜33°である。これにより、高速耐久性を向上させることができる。
ベルト層22の内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、いずれも補強コードがスチールコードであることに限定されるものではなく、いずれか一方のみにスチールベルトを適用しても良いし、少なくとも一方を、ポリエステル、ナイロン、芳香族ポリアミド等からなる有機繊維コード等からなる従来公知の補強コードとしても良い。
タイヤ10には、ベルト層22の最上層である外側ベルト層22b上に、すなわち、ベルト層22のタイヤ径方向の外側に、ベルト層22の補強を行うベルト補助補強層24がタイヤ周方向に配置されている。
ベルト補助補強層24は、補強コードとして、例えば、1本又は複数本の有機繊維コードが引き揃えられ、上述のコードコーティングゴム等で被覆された帯状部材である。ベルト補助補強層24は、帯状部材をタイヤ周方向に螺旋状に巻き回すことで構成されたタイヤ周方向のベルト補助補強層である。ベルト補助補強層24は、タイヤ周方向に螺旋状に配置されている。
図1に示すベルト補助補強層24は、例えば、ベルト層22の端部22eを含め、ベルト層22をタイヤ幅方向に端から端まで覆う構成の、いわゆるフルカバー24aと呼ばれるものと、ベルト層22の端部22eを選択的に覆う構成の、いわゆるエッジカバー24bと呼ばれるものを有する。
なお、ベルト補助補強層24については、上述のフルカバー24a及びエッジカバー24bのうち、いずれか一方だけでもよい。
ベルト補助補強層24の有機繊維コードには、例えば、ナイロン66(ポリヘキサメチレンアジパミド)繊維、アラミド繊維、アラミド繊維とナイロン66繊維とからなる複合繊維(アラミド/ナイロン66ハイブリッドコード)、PEN繊維、POK(脂肪族ポリケトン)繊維、耐熱PET繊維、及びレーヨン繊維等が用いられる。
タイヤ10は、ランフラットタイヤと呼ばれるものである。サイドウォール部16におけるカーカス層20のタイヤ幅方向内側には、ゴムからなる断面三日月形状のサイド補強ゴム層40が設けられている。サイド補強ゴム層40はサイドウォール部16の他のゴムよりも硬く設定されている。具体的には、サイド補強ゴム層40は、JIS−A硬度が、例えば、70〜80であり、100%伸長時のモジュラスが、例えば、9.0MPa〜10.0MPaのゴムから構成されている。このように断面三日月形状のサイド補強ゴム層40を配設することで、サイド補強ゴム層40の剛性に基づいてランフラット走行時の荷重が支持される。
そして、カーカス層20とサイドウォールゴム層13及びリムクッションゴム層36との間には追加補強層42が設けられている。なお、追加補強層42は必ずしも必要ではないが、追加補強層42を設けることにより、ランフラット走行時の耐久性を更に改善することができる。
次に、カーカス層20について詳細に説明する。図2は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層を示す模式的断面図である。
カーカス層20は、図2に示すように、ゴム層50と、補強コードとして複数本のカーカスコード52を有し、複数本のカーカスコード52が引き揃えて配列されてゴム層50に被覆された帯状部材である。例えば、ゴム層50は上述のコードコーティングゴムで構成される。
カーカスコード52は、芳香族系オキサジアゾール化合物コードで構成される。カーカス層20では、カーカスコードとして芳香族系オキサジアゾール化合物コードが複数本の配列されている。芳香族系オキサジアゾール化合物コードの構成は、1本(単糸)に限定されるものではなく、複数本撚ったものでもよい。
芳香族系オキサジアゾール化合物コードで構成されるカーカスコード52は、上撚り係数Kが1800〜2200であることが好ましい。上撚り係数Kが1800〜2200であれば、荷重耐久性および高速操縦安定性が更に向上するため好ましい。
上撚り係数Kが2200を超えると、更なる耐久性の改善効果が得られない。加えて、剛性が低下してしまうため、操縦安定性が低下する。一方、上撚り係数Kが1800未満では、芳香族系オキサジアゾール化合物コードの耐疲労性が悪化するため、タイヤの耐久性が低下する。ランフラットタイヤの場合にも、タイヤの耐久性が低下する。
上撚り係数Kは、K=N×D1/2で表されるものである。ここで、Nは撚り数(回/10cm)、Dは総繊度(dtex)である。上撚り係数Kの単位は(回・(dtex)1/2)/10cmである。
カーカス層20のカーカスコード52は、高速耐久性を重視する場合、タイヤ周方向に対するカーカス角度が80°〜88°であることが好ましい。
次に、芳香族系オキサジアゾール化合物コードについて説明する。芳香族系オキサジアゾール化合物コードには、芳香族系オキサジアゾール化合物ヤーンも含まれる。
芳香族系オキサジアゾール化合物コードは、下記に示す一般構造式で表されるオキサジアゾール芳香族で構成される。
芳香族系オキサジアゾール化合物コードは、耐熱温度が400℃であることが好ましい。耐熱温度が400℃であれば、十分な耐熱性が得られ、高速走行時のタイヤの発熱による剛性低下が抑制されるため好ましい。
芳香族系オキサジアゾール化合物コードは、温度120℃での剛性E(120℃)と温度25℃での剛性E(25℃)の剛性比E(120℃)/E(25℃)が0.7〜0.9であることが好ましい。剛性比E(120℃)/E(25℃)を0.7〜0.9とすることにより、高速走行時の操縦安定性を確保することができる。
温度120℃での剛性E(120℃)と温度25℃での剛性E(25℃)は、温度以外は同じ測定条件で、芳香族系オキサジアゾール化合物コードについて強度(cN/dtex)と伸びの関係を求めることで得ることができる。芳香族系オキサジアゾール化合物コードの強度(cN/dtex)と伸びの関係に基づき、温度25℃での最大の強度を剛性E(25℃)とし、温度120℃での最大の強度を剛性E(120℃)とする。
芳香族系オキサジアゾール化合物コードは、破断伸びが10%以上であることが好ましい。破断伸びが10%以上であれば、耐疲労性を確保することができる。一方、破断伸びが10%未満であると耐疲労性が悪化する虞がある。
なお、アラミド繊維は破断伸びが3%程度である。
破断伸びについては、温度20℃で、芳香族系オキサジアゾール化合物コードについて強度(cN/dtex)と伸びの関係を求める際に、芳香族系オキサジアゾール化合物コードが破断する迄の強度を求めることにより、破断伸びを得ることができる。
伸びが0〜2%の領域における芳香族系オキサジアゾール化合物の剛性Eoとナイロンの剛性Enの比Eo/Enで表される初期剛性比が4.5以上であることが好ましい。初期剛性比を4.5以上とすることで、高速耐久性を確保することができる。
初期剛性比は、芳香族系オキサジアゾール化合物コード及びナイロンコードについて、それぞれ同じ測定条件で強度(cN/dtex)と伸びの関係を求める。芳香族系オキサジアゾール化合物コード及びナイロンコードの各強度(cN/dtex)と伸びの関係を用いて、伸びが0〜2%の領域における、芳香族系オキサジアゾール化合物の剛性Eoとナイロンの剛性Enを求める。剛性Eoと剛性Enは、伸びが0〜2%の領域における強度(cN/dtex)に相当する。なお、ナイロンコードは、ナイロン66で構成されたものである。
タイヤ10では、カーカス層20のカーカスコード52に芳香族系オキサジアゾール化合物コードを用いることにより、高速操縦安定性及び荷重耐久性が優れる。特に、タイヤ10のようにランフラットタイヤに適用した場合、ランフラットタイヤは一般的な乗用車用タイヤに比して重く、走行時に生じる発熱量が多い。しかしながら、カーカスコード52に芳香族系オキサジアゾール化合物コードを用いることにより、ランフラットタイヤでも、耐久性が優れたものとすることができ、優れた高速操縦安定性及び荷重耐久性が得られる。
タイヤ10では、カーカス層20を1層設ける構成としたが、これに限定されるものではなく、カーカス層20は1層以上あってよく、複数層、例えば、2層有する構成でもよい。
なお、タイヤ10は、加硫工程を含む一般的な製造方法で製造することができる。
カーカスコード52は、ゴム層50との密着性をより高めるために、芳香族系オキサジアゾール化合物コードが第1液と第2液で被覆されたディップ処理コードでもよい。芳香族系オキサジアゾール化合物コードは第1液及び第2液のうち、少なくとも第1液で被覆されたディップ処理コードでもよい。
以下、第1液と第2液について説明する。
第1液は、(a)エポキシ化合物、(b)スチレン/ブタジエン比が5/95〜45/55(質量比)のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス及び(c)下記式(1)で示される熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂を、成分(a)エポキシ化合物、(b)SBRラテックス及び(c)熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂を固形分質量比で、(1)0.1≦(a)/〔(b)+(c)〕≦2及び(2)(c)/(b)≦2の割合で配合されたものである。
なお、下記式(1)中Aは官能基数3〜5の有機ポリイソシアネート化合物のイソシアネート残基を示し、Yは熱処理によりイソシアネート基を遊離するブロック剤化合物の活性水素残基を示し、Zは分子中、少なくとも1個の活性水素原子及び少なくとも1個のアニオン形成性基を有する化合物の活性水素残基を示し、Xは2個の水酸基を有し、平均分子量が5000以下のビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の活性水素残基であり、nは2〜4の整数であり、p+mは2〜4の整数(m≧0.25)である。
第1液は、(a)エポキシ化合物、(b)SBRラテックス及び(c)熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂からなり、これらは以下の組成(固形分質量比)を満足するものでなければならない。
(1)0.1≦(a)/〔(b)+(c)〕≦2及び(2)(c)/(b)≦2特に好ましい配合は、各固形分がSBRラテックス100質量部に対し、エポキシ化合物20〜70質量部及び熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂10〜100質量部である。
エポキシ化合物は、グリシジル基を分子中に1個又はそれ以上有する公知のエポキシ化合物、好ましくはグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリオール系エポキシ化合物である。第1液中のエポキシ化合物の配合量が少な過ぎるとゴム層50との十分な接着性が得られない虞があり、逆に多過ぎると第1液の安定性を低下させる虞があるので好ましくない。
第1液に用いられるSBRラテックスは、スチレン/ブタジエンのモノマー比(質量比)が5/95〜45/55、好ましくは10/90〜30/70の範囲の共重合体ゴムラテックスである。スチレン/ブタジエン質量比においてスチレン含量が少な過ぎるとディップ処理時のロールへのガムアップ等の加工性低下の虞があり、逆に多過ぎると接着力が低下する虞がある。SBRラテックスは従来公知の任意の乳化重合法で製造することができ、好ましい固形分含量は30〜60質量%である。なお、第1液中に配合されるSBRラテックスの量が少な過ぎると十分な接着が得られない虞があり、逆に多過ぎるとディップ処理時の加工性が低下する虞があるので好ましくない。
第1液に第三の成分として配合される熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂は上記式(1)のXが2個の水酸基を有するビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の活性水素残基である。
第1液中に配合される熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂の配合量が少な過ぎるとゴム層50との接着力が低下する虞があり、逆に多過ぎるとカーカスコードが硬くなり、耐疲労性低下の虞があるので好ましくない。
第1液は上述の各成分を一般的な方法で混合して調製することができ、必要に応じコードへの浸透性を良くするために界面活性剤、例えば、スルホコハク酸ナトリウム等を配合することができる。第1液による芳香族系オキサジアゾール化合物コードの処理方法は一般的な繊維の処理方法と同じく、液中への浸漬ロール塗布、スプレー噴霧等によることができる。芳香族系オキサジアゾール化合物コードへの第1液の付着量は好ましくは3〜8質量%である。処理された芳香族系オキサジアゾール化合物コードは、例えば、温度80〜150℃で乾燥された後、更に、例えば、温度200〜250℃で熱処理される。
第2液は、レゾルシン・ホルマリン縮合物及びゴムラテックスからなるものである。第2液のことを、RFL混合液ともいう。RFL混合液は、レゾルシン(R)・ホルマリン(F)の初期縮合物(RF初期縮合物)とゴムラテックス(L)との水系混合液であり、芳香族系オキサジアゾール化合物コードとゴム層50との接着性が向上する。
RFL混合液において、RF初期縮合物は、レゾルシンとホルマリンを水に溶解し、これに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を加えてレゾルシンとホルマリンとを反応させたレゾール型、あるいはシュウ酸、塩酸等の酸性触媒下でレゾルシンとホルマリンとを反応させたノボラック型があり、いずれのものを用いてもよい。好ましくはノボラック型を使用するとよい。
RF初期縮合物に混合するゴムラテックス(L)は、被覆ゴム層を構成するゴムの種類に応じて適宜選択することができる。ゴムラテックスとしては、例えば、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマー(VP)ラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)ラテックス、天然ゴムラテックス等が例示される。特にVPラテックスが接着性の観点から好ましい。また、VPラテックスにはSBRラテックス又は天然ゴムラテックスを適宜混合して用いることができる。
第2液の処理方法は従来の方法と同じとすることができる。芳香族系オキサジアゾール化合物コード等への付着量は好ましくは2〜6質量%である。処理された芳香族系オキサジアゾール化合物コード等は、例えば、温度80〜150℃で乾燥され、更に、例えば、温度200〜250℃で熱処理される。
第1液及び第2液で被覆された芳香族系オキサジアゾール化合物コード(ディップ処理コード)は、汎用の未加硫ゴム、例えば、天然ゴム、SBRゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴムに汎用の加硫配合剤、例えば、加硫剤、加硫促進剤、カーボンブラック、老化防止剤、充填剤等が配合されたゴム配合物と常法に従って一体化加硫され、カーカス層20とされる。
芳香族系オキサジアゾール化合物コードは、まず、特定のエポキシ化合物、特定のスチレン・ブタジエンゴム及び特定の熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂からなる第1液に浸漬され、乾燥及び熱処理が施されて、第1液で被覆される。次いで第2液に浸漬され、乾燥及び熱処理が施されて、第2液で被覆される。これにより、芳香族系オキサジアゾール化合物コードが第1液と第2液で被覆されたディップ処理コードが得られる。ディップ処理コードは、ゴム層50との接着性が優れたものであり、芳香族系オキサジアゾール化合物コードが複合されたカーカス層20の耐久性が著しく高められる。また、カーカス層20においてディップ処理コードとゴム層50との耐剥離性が向上する。ディップ処理コードをカーカスコードに用いたタイヤは、荷重耐久性が更に向上する。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、本発明の空気入りタイヤの実施例について具体的に説明する。
本実施例においては、下記表2に示す構成の実施例1〜実施例5及び比較例1の空気入りタイヤ(以下、単にタイヤという)を作製し、各タイヤについて、荷重耐久性及び高速操縦安定性を評価した。荷重耐久性及び高速操縦安定性の評価結果を下記表2に示す。
タイヤは、複数本の芳香族系オキサジアゾール化合物コード、又は複数本のレーヨンコードが配置されたカーカス層を2層有するランフラットタイヤとした。ランフラットタイヤの構成は図1に示すものとした。
なお、実施例1〜実施例5及び比較例1では、タイヤサイズを255/40RF18とした。実施例1〜実施例5のカーカス層の芳香族系オキサジアゾール化合物コードの配置は全て同じとし、打ち込み密度を33本/50mmとした。また、比較例1のカーカス層のレーヨンコードの配置は、芳香族系オキサジアゾール化合物コードと同じとし、打ち込み密度を33本/50mmとした。カーカス層のカーカス角度は90°とした。
下記表2の「有機繊維コード材質」の欄にカーカス層の有機繊維コードの素材を示す。
下記表2の「有機繊維コード構造」の欄において、「/2」は2本撚ったものであることを示す。
下記表2の「カーカス構造」の欄は、カーカス層の構造を示すものであり、カーカス層は2層構造である。このため、「カーカス構造」の欄に2層と記した。
下記表2に示す「ディップ処方」の欄において、「エポキシ」は、上述の第1液を用いて被覆処理したことを表し、「RFL」は、上述の第2液を用いて被覆処理したことを表し、「エポキシ+RFL」は第1液と第2液を用いて被覆処理したことを表す。「エポキシ」、「RFL」及び「エポキシ+RFL」については後に詳細に説明する。
カーカス層は、下記表1に示す未加硫ゴム配合物を用いて、芳香族系オキサジアゾール化合物コード又はレーヨンコードと、未加硫ゴム配合物を一体化加硫(加硫条件170℃×20分間)して得た。
芳香族系オキサジアゾール化合物コード又はレーヨンコードに、下記表2に示すように、第1液、第2液、又は第1液と第2液を用いて被覆処理を施した。
「エポキシ」は、(a)エポキシ化合物、(b)ゴムラテックス及び(c)ウレタン樹脂を含有する第1液に、芳香族系オキサジアゾール化合物コード又はレーヨンコードを浸漬し、乾燥及び熱処理(乾燥100℃×1分、熱処理240℃×1分)を施して、第1液を被覆した。
第1液について説明する。
(a)エポキシ化合物:グリセロールポリグリシジルエーテル、(b)ゴムラテックス:スチレン/ブタジエン比が23/77(質量比)のSBRラテックス、(c)ウレタン樹脂:熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂A
配合は、固形分質量部で、(a)エポキシ化合物を100、(b)ゴムラテックスを100、(c)ウレタン樹脂を100とした。配合比を、固形分質量比で、(a)/[(b)+(c)]=0.50、(c)/(b)=1.00とした。
次に、熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂Aについて説明する。
熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂Aの製造
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含有量31.5%)100部とビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加物31.2部を85℃で30分間反応させ、遊離イソシアネート18.7%のウレタンプレポリマーを得た。次にジオキサン65部、ε−カプロラクタム50部、トリエチルアミン0.2部を添加した後、系内温度75℃で120分間反応させ、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加物の合計に対して遊離イソシアネート5.5%の部分ブロックドプレポリマーを得た。次に、濃度30%のタウリンソーダ水溶液84部を系内温度40℃で加え、40〜45℃で30分間反応させた。その後固形分30%になるように水希釈とジオキサンの除去を行い、熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂Aを得た。
「RFL」は、固形分18%のRFL処理液(組成:レゾルシン・ホルマリン縮合物/Vpラテックス(ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックス(質量比)=1/5)を用いた処理である。芳香族系オキサジアゾール化合物コード又はレーヨンコーをRFL処理液(第2液)に浸漬し、乾燥及び熱処理(乾燥100℃×1分、熱処理240℃×1分)を施して、第2液を被覆した。
「エポキシ+RFL」は、上述の「エポキシ」と「RFL」を連続して行い、芳香族系オキサジアゾール化合物コードに第1液と第2液を被覆した。
次に、高速操縦安定性及び荷重耐久性について説明する。
高速操縦安定性は、以下のようにして測定して評価した。
実施例1〜実施例5及び比較例1の各タイヤを、リムサイズ18×8JJのリムに内圧250kPaで組んだ後、各試験タイヤを排気量2500ccの乗用車に装着し、訓練された5名のドライバーにてテストコースを走行してフィーリングを評価した。
結果は、比較例1との相対比較にて、以下の判定基準をもとに5点法で採点し、平均点で表した。下記表2に示す「高速操縦安定性」の欄の数値は、3.0が基準であり、5.0に近い程、高速操縦安定性が優れていることを意味する。
判定基準
5:すばらしい、4:優れる、3.5:やや優れる、3:基準同等、2.5:やや劣る(実用下限)、2:劣る、1:大きく劣る
荷重耐久性は、以下のようにして測定して評価した。
実施例1〜実施例5及び比較例1の各タイヤを、リムサイズ18×8JJのリムに組み付けた後、空気を抜いた状態で排気量2500ccの後輪駆動車の後輪右側に装着した。この状態で、楕円形の周回コースを90km/hの速度で反時計廻りに走行し、テストドライバーがタイヤ故障による異常振動を感じ、走行を中止するまでの走行距離を測定した。荷重耐久性は、比較例1を100とする指数値にて評価した。
なお、下記表2に示す「荷重耐久性」の欄の数値は、数値が大きい程、荷重耐久性が優れ、ランフラット耐久性が優れていることを意味する。
上記表2に示すように、実施例1〜5は、芳香族系オキサジアゾール化合物コードを用いており、高速操縦安定性及び荷重耐久性のいずれも良好な結果が得られた。実施例1〜5のうち、実施例2、実施例4及び実施例5は、ディップ処方が「エポキシ+RFL」であり、芳香族系オキサジアゾール化合物コード(ディップ処理コード)の接着性が向上し、荷重耐久性が高くなった。実施例4は上撚り係数が2100であり、好ましい範囲にある。実施例4は、上撚り係数が1700の実施例2よりも荷重耐久性について更に良好な結果が得られた。
実施例5は上撚り係数が2500であり、実施例5は上撚り係数が1700の実施例2よりも荷重耐久性について更に良好な結果が得られたが、剛性が低下し、高速操縦安定性について比較例1と同程度となった。
実施例1及び実施例3はディップ処方が「エポキシ」であり、実施例3は、上撚り係数が2100であり、好ましい範囲にある。実施例3は、上撚り係数が1700の実施例1よりも荷重耐久性について更に良好な結果が得られた。
10 空気入りタイヤ(タイヤ)
12 トレッド部
14 ショルダー部
16 サイドウォール部
18 ビード部
20 カーカス層
22 ベルト層
22a 内側ベルト層
22b 外側ベルト層
24 ベルト補助補強層
28 ビードコア
30 ビードフィラー
32 トレッドゴム層
34 サイドウォールゴム層
36 リムクッションゴム層
38 インナーライナゴム層
50 ゴム層
52 カーカスコード

Claims (4)

  1. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在させた1層以上のカーカス層を有する空気入りタイヤであって、
    前記カーカス層は、カーカスコードとして芳香族系オキサジアゾール化合物コードが複数本の配列されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記サイドウォール部における前記カーカス層のタイヤ幅方向内側に断面三日月形状のサイド補強ゴム層が配置されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記カーカスコードは、前記芳香族系オキサジアゾール化合物コードが第1液と第2液で被覆されたディップ処理コードであり、
    前記第1液は(a)エポキシ化合物、(b)スチレン/ブタジエン比が5/95〜45/55(質量比)のスチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス及び(c)式(1)

    (式中Aは官能基数3〜5の有機ポリイソシアネート化合物のイソシアネート残基を示し、Yは熱処理によりイソシアネート基を遊離するブロック剤化合物の活性水素残基を示し、Zは分子中、少なくとも1個の活性水素原子及び少なくとも1個のアニオン形成性基を有する化合物の活性水素残基を示し、Xは2個の水酸基を有し、平均分子量が5000以下のビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の活性水素残基であり、nは2〜4の整数であり、p+mは2〜4の整数(m≧0.25)である)で示される熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂を、成分(a)エポキシ化合物、(b)SBRラテックス及び(c)熱反応型水溶性ポリウレタン樹脂を固形分質量比で、
    (1)0.1≦(a)/〔(b)+(c)〕≦2及び(2)(c)/(b)≦2の割合で配合されたものであり、
    前記第2液は、レゾルシン・ホルマリン縮合物及びゴムラテックスからなるものである請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記カーカス層の前記カーカスコードは、上撚り係数が1800〜2200であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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