JP2017222344A - 船舶用舵 - Google Patents

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良穂 池田
Yoshiho Ikeda
良穂 池田
幸人 檜垣
Yukito Higaki
幸人 檜垣
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Abstract

【課題】旋回性能を低下させることなく、直進時の摩擦抵抗を低減することができる船舶用舵を提供する。
【解決手段】船舶用舵1は、前端側に最大幅W1を有し、後端側に突設部6を有する本体部2と、本体部2の後端側に連設される楔部4とから構成されている。突設部6の頂点同士の幅である頂点間幅W2は、最大幅W1よりも小さく、楔部4の楔幅W3よりも大きい。また、突設部6における舵面1aに対する突設高さW4は、楔幅W3よりも小さい。突設部6を除く本体部2の舵面1aは略流線型に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、高揚力型の船舶用舵に関する。
現在、国際海事機関(IMO)において行われている海洋環境保護分野の取り組みの一つに、船舶から排出される温室効果ガスの削減を目的とした船舶のエネルギー効率設計指標(EEDI)の実施が含まれている。
船舶においては、空気や水から受ける抵抗が航行の妨げとなるため、これらの抵抗を低減することが、温室効果ガス排出量の削減に繋がる。このうち、水から受ける摩擦抵抗が大半を占める。また、大型船舶では、舵の面積も大きくなるため、舵に生じる抵抗も無視できない。
船舶の操縦を行うための舵は、一般的には流線型の対称形状断面をもち、舵を回転させて流れに対して迎え角をもたせて船体とは直角の揚力を発生させることで、船を旋回させたり、外力下で真っ直ぐに走らせたりする機能を持つ重要な構成要素の一つである。しかし、舵面積が大きくなると舵にも抵抗が働くため、舵面積はできるだけ小さい方が望ましい。
一般に、舵面積を小さくすると、船体の旋回性能が下がる。しかし、この旋回性能の低下を補うために、舵をある角度以上切ると、背面において流れが剥離して揚力が最大値となり、それ以上の迎え角では揚力が急速に低下する失速を起こし、舵が効かなくなる。このため、舵の揚力の最大値を増加させる様々な工夫が行われている。
例えば、フラップ舵は、舵の後端に可動式のフラップを設けて、舵を切るとフラップが自動的に翼面に対して角度を持つようになっており、揚力を50%近く増加させることができる。可動部のない高揚力舵としては、フィッシュテール型とウェッジ型がある。
フィッシュテール型は、舵の後半部を魚の形に似せて、後端は魚の尾びれのように若干開いた形をしており、揚力が大きくなる。また、舵後端部に三角形状のウェッジを取り付けて大きな揚力を発生させる舵もある。
しかし、上記のフラップ舵は構造が複雑で、フラップを動かすための動力も大きく初期及び運転コストが高いという欠点がある。また、フィッシュテール型の舵は、揚力が大きくなるが、同時に直進時の抵抗も発生する。ウェッジ型の場合もフィッシュテール型と同様に、揚力を増加させることができるが、迎え角が0度のときの抵抗が増加する。
直進時の舵に働く抵抗の問題については、上述のような高揚力化のための構造を維持しながら効果的に低減する構成が考えられている。この直進抵抗を低減できる高揚力舵の従来例を図8に示す。
図8は、従来の高揚力舵の水平断面形状を示している。舵本体100の後端部には、幅方向に僅かに突出するように幅W101のフラットバー101が接続されている。また、舵本体100は、舵外方へ凸となるように流線型に形成されている。このように構成されているので、旋回時においては、後端側のフラットバー101が作用して強い旋回力が生じる。そして、直進時には、一部剥離を伴った乱流域が後端側に形成されるので、フラットバー101による直進抵抗を低減することが可能である。
以上のように、図8の高揚力舵(舵本体100及びフラットバー101)では、基本的にウェッジ型舵と同様に同一面積の一般の舵に比べて強い旋回力を得ることができると共に、直進時における抵抗の増大を防止できる。
このような技術については、特許文献1に記載がある。
特開2003−276689号公報
ところで、上述の温室効果ガスの排出に対する規制は厳しくなる傾向にあり、更なる効率化への要求が高まっている。
これに対して、上述の図8の構成を基に、舵面の面積を縮小することによってエネルギー効率の向上を図る場合、面積の縮小に伴う旋回性能の低下を補うために、フラットバー101の幅方向への突出量W102を増大させる必要がある。
しかし、図8の構成では、舵本体100が流線型に形成されており、一部剥離により生じる乱流域は僅かであるため、張り出し量を増大させたフラットバー101がその乱流域に収まらない場合が生じ得る。この場合、乱流域外に張り出した部分には外部流が当たることによって直進抵抗が生じるので、舵面の面積縮小による摩擦低減の効果が半減する。
このように、一定の旋回性能の維持という問題があるため、単に面積を縮小するだけでは効果的に摩擦抵抗を低減することは難しい。
そこで、本発明では、旋回性能を低下させることなく、直進時の抵抗を低減することができるウェッジ型船舶用舵を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の船舶用舵は、水平断面形状が流線型である本体部と、前記本体部の後端側に連設されている楔部(ウェッジ)と、前記本体部の前後方向における中間位置と前記楔部との間に、前記本体部の最大幅よりも小さい突出幅で両舵面に突設されている突設部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の船舶用舵は、水平断面形状が流線型である本体部と、前記本体部の後端側に厚みを減ずるように段差を形成して連設されている薄肉部と、前記薄肉部の後端側に連設されている楔部とを備え、前記段差は、前記本体部、前記薄肉部及び前記楔部からなる全体の前後方向における中間位置よりも後端寄りに形成されており、前記本体部側の前記段差近傍の面の向きと、前記薄肉部側の前記段差近傍の面の向きとが略同じであることを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、直進時において、前後方向における前端側で本体部の流線型の外形に沿った水の流れが、全体の中間位置と楔部との間に設けられている突設部後端の段差により流れは剥離し、後端側の楔部との間に死水域が形成されるので、外部流れが見掛け上流線型を維持することから直進抵抗が低減される。
また、突設部は全体のうち後端寄りに形成されていると共に、本体部のうち突設部以外の部分は流線型に形成されている。これにより、舵を切った際、進行方向の舵面側において突設部により形成された死水域に水が流れ込み易くなり、舵の後端側において舵直圧力が有効に作用する状態が速やかに形成される。
また、本発明によれば、直進時において、前後方向の前端側で本体部の流線型の外形に沿った水の流れが、全体の中間位置と楔部との間に設けられている段差により剥離し、段差と後端側の楔部との間に死水域が形成されるので、直進抵抗が低減される。
また、段差は全体のうち後端寄りに形成されていると共に、段差の近傍において本体部と薄肉部の面の向きが略同じになるように形成されている。これにより、舵を切った際、進行方向の前端側において段差により形成される渦は小さくなり、舵後端のウェッジに水が流れ込み易くなり、舵の後端側において圧力が高くなる結果、舵直圧力が大きくなる。
さらに、本発明によれば、上記効果に加えて、舵を切った際に、進行方向の背面においても段差により形成された死水域の効果で水の流れがスムーズになるので、ウェッジ前方の圧力増加が抑えられ、舵直圧力の増加に寄与する。
本発明の第1の実施の形態に係る船舶用舵の平面図である。 図1の船舶用舵の作用を説明するものであって、(a)は直進時、(b)は旋回時を示す平面図である。 図1の船舶用舵の突設部周辺の部分拡大図である。 本発明の第2の実施の形態に係る船舶用舵の平面図である。 図4の船舶用舵の作用を説明するものであって、(a)は直進時、(b)は旋回時を示す平面図である。 図4の船舶用舵の薄肉部の拡大図である。 実施例のシミュレーションで用いたモデルの形状を示す図である。 特許文献1の高揚力舵を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る船舶用舵について図を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態に係る船舶用舵の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る船舶用舵1の水平断面形状を表している。以下、船舶用舵1を単に舵1と呼ぶこととする。
図1では、前後における全体の中間位置を一点鎖線で表し、便宜的にこの一点鎖線に対して紙面左側を前端側とし、紙面右側を後端側として示している。最大幅W1を有する部分は前端側に形成されており、後端側には最大幅W1より小さい幅で突出するように突設部6が形成されている。突設部6の頂点同士の間隔は、図1中に、頂点間幅W2として示されている。この突設部6を除いて舵1の舵面1aは流線型に形成されている。また、本体部2の後端側には、三角形状のウェッジ(楔部)4が連設されている。
ウェッジ4の幅を示すウェッジ幅W3は、突設部6の頂点間幅W2よりも更に小さくなるように形成されている。本実施の形態に係る構成において、突設部6が本体部2から突設された突設高さW4は、ウェッジ4のウェッジ幅W3よりも小さくなるように形成されている。なお、後述する実施例で示すように、ウェッジ4の角の部分にR処理を施すことで、抵抗を低下させることができる。
ここでR処理とは、角になっている部分を削る処理であり、ウェッジ4の先端から舵1の中心線に向かう傾斜部分があればよい。ウェッジの先端から内向きに向かう流れを作ることで抵抗が低減するからである。R処理には、面取りおよび丸面取りを含む。
上記ウェッジ4又は突設部6は、本体部2に対して同一部材で一体的に形成されていても良く、また、別部材を組み合わせた構成であっても構わない。なお、図1以下では、舵1の内部構造については図示を省略し、斜線を施して表している。
次に、図2を用いて、舵1の周りの水の流れ方について説明する。
図2は、図1の舵1の作用を説明するものであって、(a)は直進時の状態を示し、また、(b)は旋回時の状態を示している。図2において、舵1の周辺の水の流れのうち境界層の外部の流れ(以下、外部流れと呼ぶ。)は、説明の便宜のため、矢印付の点線で表している。また、突設部6背後およびウェッジ4背後に形成される死水域の外端を1点鎖線で表している。
図2(a)を参照して、直進時においては、舵1は一様流Uに対して平行に配置される。一般に、ウェッジ4のように幅方向へ一定の角をなして張り出した構造体の後流には、剥離により渦が生じて、構造体背面に負圧域が形成される。このため、負圧により後方へ引く力が生じて直進抵抗となる。
これに対して、舵1の本体部2は上述のように略流線型に形成されているので、前端側から突設部6に達するまでの領域においては、水流は舵面1aに沿ったスムーズな流れとなる。
しかし、本実施の形態では、突設部6が流線型の舵面1aから厚み方向へ突設されており、突設部6の後端の段差によって流れが剥離をして、その後方に渦によって占められる閉鎖水域である死水域R1が形成される。この死水域R1がちょうど突設部6後端の段差とウェッジ4との領域を埋めるように突設部6とウェッジ4の大きさを設計する。
このように形成された死水域R1は、ウェッジ4の後方に形成された圧力の低い後流域R2と一体になり、外部流れはあたかも流線型のように流れて抵抗の増加をなくする。
すなわち、本実施の形態に係る舵1によれば、ウェッジ4の前方で突設部6により剥離を生じさせることによって、外部流れをウェッジ4の先端を回らせてあたかもウェッジ4を翼内部に収納したのと同様の流れを形成することが可能となる。
こうして、ウェッジ4を外部流れに晒すことなく、ウェッジ4による舵1の抵抗の増加を抑えることができる。
ここで、突設部6の近傍の構造を図3に示す。図3は図2(a)の破線の楕円形で囲んだ部分Xの拡大図である。図3には、突設部6の前端側近傍の本体部2の面の法線方向を矢印2aで示し、突設部6の後端側近傍の本体部2の面の法線方向を矢印2bで示している。図3から分かるように、矢印2a及び矢印2bは、共に後端側へ傾いた略同じ向きを指している。このように、本実施の形態に係る舵1では、最大幅W1(図1参照)よりも後端側において幅方向に収束する傾斜領域に突設部6が設けられている。
この突設部6は、前端側の傾斜面6aと後端側の傾斜面6bとにより形成されている。これら傾斜面6a、6bのうち、少なくとも、前端側の傾斜面6aの方が本体部2の舵面1aに対して滑らかに連続するように形成されている。
しかも、図1を再度参照すると、この突設部6の突設高さW4は、図1に示したように、ウェッジ4のウェッジ幅W3よりも小さく、僅かな突出量となるように抑えられている。このため、突設部6の後端で発生する剥離が外部流れ方向に極端に広がることを防止できる。
再度図2を参照する。したがって、上述の死水域R1及び後流域R2と前端側の本体部2とによって形成される外形は滑らかに連続し、全体として流線型の仮想的な舵が存在しているかのような外部流れが形成される。
次に、図2(b)に、旋回時の状態を示す。また、図2(b)と合わせて、引き続き図3も参照する。図2(b)は、一様流Uに対して傾斜して配置された舵1の状態を示している。
図3に示すように、本実施の形態に係る舵1は、突設部6の近傍において、前端側及び後端側の舵面1aの面の向きが略同じになるように形成されている。また、突設部6は前端側の斜面が本体部2と滑らかに連設されている。このため、図2(b)に示すように、舵1を切った場合、流れの前面側の舵表面の突設部6とウェッジ4との間の死水域R1は小さくなり、舵1に沿った流れがウェッジ4に当たるようになる。
よって舵1を切った時の前面側の流れがせき止められて、ウェッジ4前方の舵表面に働く圧力f1が上昇するので、揚力Fを増加させることが可能となる。一方、流れに対して背面においては、突設部6によって剥離して形成された死水域R3がウェッジ4を覆うため圧力の上昇は抑えられ、これも揚力Fの増加に寄与する。
また、本実施の形態に係る舵1によれば、舵面積(舵板の面積)を小さく設計することができるので、舵軸に働くモーメントを減少させることに繋がり、これによって、動力を発生させる舵取器の容量を小さくできるというメリットもある。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る船舶用舵について説明する。
図4は、本実施の形態に係る船舶用舵11の水平断面形状を表している。以下、船舶用舵11を単に舵11と呼ぶこととする。
図4でも、図1と同様に、説明の便宜のため、前後における全体の中間位置を一点鎖線で表しており、この一点鎖線に対して紙面左側を前端側とし、紙面右側を後端側として示している。本実施の形態に係る舵11は、前端側に最大幅W11を有し流線型に形成された本体部12と、この本体部12に対して厚みを減ずるように段部16を介して後端側に連設された薄肉部13と、更にこの薄肉部13の後端側に連設された三角形状のウェッジ(楔部)14とから構成されている。
段部16の形成されている部分の幅W12(後述する角部16a同士の間隔)は、最大幅W11よりも小さくなるように形成されている。そして、ウェッジ14のウェッジ幅W13は、段部16の幅W12よりも更に小さくなるように形成されている。
上記本体部12、薄肉部13及びウェッジ14は、同一部材で一体的に形成されていても良く、また、別部材を組み合わせた構成であっても構わない。なお、本実施の形態においても、図4以下では、舵11の内部構造については図示を省略し、斜線を施して表す。
次に、図5を用いて、舵11の周りの水の流れ方について説明する。
図5は、図4の舵11の作用を説明するものであって、(a)は直進時の状態を示し、また、(b)は旋回時の状態を示している。図5において、舵11の周辺の境界層外部の水の流れは矢印付の点線で表している。
図5(a)を参照して、直進時においては、舵11は一様流Uに対して平行に配置される。舵11の本体部12は、上述のように、略流線型に形成されているので、前端側から段部16に達するまでの領域においては、水流は舵面11aに沿ったスムーズな流れとなる。
しかし、本実施の形態では、段部16が流線型の舵面11aから厚みを減ずるように薄肉部13が形成されている。すなわち、段部16、薄肉部13及びウェッジ14によって囲まれた凹状の領域が形成されている。この領域では、図5(a)に示されているように、舵11を切らない状態(迎え角がゼロの状態)では、段部16で外部の流れは剥離し、ウェッジ14の前に閉鎖的な渦流れで構成される死水域R11が形成される。
このように形成された死水域R11は、ウェッジ14の後方に形成された圧力の低い後流域R12と一体になり、ウェッジ14は、死水域R11と後流域R12とによって覆われる。すなわち、ウェッジ14の前部と後部はほぼ同じ圧力の流体で覆われることから抵抗はほとんど生じない。
すなわち、本実施の形態に係る舵11によれば、ウェッジ14の前方で剥離を生じさせることによって、外部流れをウェッジ14の先端を回らせてあたかもウェッジ14を翼内部に収納したのと同様の流れを形成することが可能となる。
こうして、直進時においてはウェッジ14を外部流れに晒すことなく、ウェッジ14による舵11の抵抗の増加を抑えることができるので、エネルギー効率が良好な状態となり、温室効果ガス排出量を削減することが可能となる。
ここで、段部16の近傍の構造を図6に示す。図6は、図4の破線の楕円形で囲んだ部分Yの拡大図である。図6には、段部16の前端側近傍の本体部12の面の法線方向を矢印12aで示し、段部16の後端側近傍の薄肉部13の面の法線方向を矢印13aとして示している。図6から分かるように、矢印12a及び矢印13aは、共に、後端側へ傾いた略同じ向きを指している。このように、本実施の形態に係る舵11では、最大幅W11(図4参照)よりも後端側において幅方向に収束する傾斜領域に段部16が設けられている。
本実施の形態において、この段部16を形成する本体部12側の角部16aと、薄肉部13側の隅部16bとを繋ぐ面は、矢印12a、13aと略平行に形成されている。このように形成されていると、段部16において外部流れは剥離して、下流側に死水域を形成する。
しかも、この段部16の段差W14は、図5(a)に示したように、ウェッジ14のウェッジ幅W13(図4参照)よりも小さく、僅かな段差となるように抑えられている。
このため、段部16において剥離が生じても、外部流れ(境界層)が極端に広がることを防止できる。
したがって、上述の死水域R11及び後流域R12と前端側の本体部12とによって形成される外形は滑らかに連続し、全体として流線型の仮想的な舵が存在しているかのような外部流れが形成される。
次に、図5(b)に、旋回時の状態を示す。また、図5(b)と合わせて図6も参照する。図5(b)は、一様流Uに対して傾斜して配置された舵11の状態を示し、図6は、図4の領域Yの部分拡大図を示している。
図6に示すように、本実施の形態に係る舵11は、段部16の前後近傍において、本体部12及び薄肉部13の面の法線の向きが、12aと13aの矢印で示すように略同じになるように形成されている。ただし、第1の実施の形態において図3に示したように、突設部6の前端側の舵面1aの法線2aが、後端側の舵面1aの法線2bと略一致するのではなく、12aより13aの方が垂直に近くなっており、段部16の前後で舵の表面の傾きが違っている点で異なっている。
また、段部16は、前端部から厚みを減ずるように形成されているので、図1の突設部6のように本体部2の舵面1aから幅方向へ張り出していない。このため、図5(b)に示すように、舵11を切った場合、図1の突設部6よりも段部16後方に形成される死水域が小さくなり、さらにスムーズに薄肉部13の表面に流れが入ってきてウェッジ14に当たる。これにより、流れがウェッジ14によってせき止められて圧力が上昇し、揚力Fを増加させることが可能となる。
また、本実施の形態に係る舵11によれば、第1の実施の形態に示した舵1と同様に、舵面積を小さく設計することができるので、舵軸に働くモーメントを減少させることに繋がり、舵取り器の容量を小さくできるというメリットもある。
なお、上記第1及び第2の実施の形態で示した構成は、本発明の一実施形態を例示するものであり、以下に示すような変形例も含まれる。
上記の第2の実施の形態では、段部16を形成する角部16aと隅部16bに丸め加工が施されていない構成を例として示したが、少なくとも、角部16a側に面取り加工が施されていると、舵を切った際において、死水域へ水がスムーズに流れ込む。これにより、舵を切ると同時に、速やかに高揚力舵としての機能が得られる。
また、上記面取り加工については、丸め加工の一形態であり、複数の面により形成された構成や、曲面により形成された構成も含む。
また、上記の第2の実施の形態では、段部16を形成する角部16aと隅部16bとを繋ぐ面が、舵面11aに対して略直交する方向に延びるように形成された構成を例として示した。しかし、角部16aと隅部16bとを繋ぐ面が後方寄りに傾斜していても構わない。このように構成されていると、直進時においては、角部16aで剥離を発生させることができると共に、旋回時においては、速やかに薄肉部13の表面へ水の流れを導くことが可能となる。
また、上記の第2の実施の形態では、薄肉部13が凹状に形成されている構成を例として示したが、少なくとも、段部16近傍の面の向きが本体部12と同じ向きで形成されていれば、凸状に形成されていても構わない。
また、前記ウェッジ14は、本体部12又は薄肉部13に対して一体的に固定された構成を例として示した。しかし、舵11を切る際に連動するフラップ舵のような構成であっても構わない。
以下に本発明に係る舵1の実施例について説明する。実施例は流体シミュレーションを用いた。図7にシミュレーションに用いたモデルを示す。なお、図7は、図1とほぼ同じ図であるので、図1と同じ部分については同じ符号を付した。シミュレーションでは、ウェッジ4の角度であるウェッジ角θも変化させた。また、突設部6の設定位置は、後端からの位置(T−Rcと表示した)と、前端からの位置(F−Rcと表示した)および最大幅での位置(MAXと表示した)を設けた。なお「Rc」はモデル「オリジナル」の全長cに対する比率を意味する。
また、表1にシミュレーションに用いた舵1のモデルの諸元を示す。モデル「オリジナル」は、ウェッジ4および突設部6がなく、単に断面が流線形をした舵である。各諸元は、このモデル「オリジナル」の全長を「c」として表してある。
「0.9c−W2.5」および「0.8c−W5.0」は、全長がそれぞれ0.9cおよび0.8cで、ウェッジ幅W3がそれぞれ全長cの2.5%および5.0%であることを示している。これらのモデルには、突設部6は設けられていない。
「0.9c−W10−θ30」から「0.9c−W10−θ30a」までは、全長がモデル「オリジナル」の90%であり、ウェッジ幅W3が0.1cであり、ウェッジ角θが規定されたモデルである。θの後の数字がウェッジ角θの角度を表している。たとえば「0.9c−W10−θ30」は、ウェッジ角θが30度であることを示している。なお、「0.9c−W10−θ30a」のテール部分を図7(b)に示す。このモデルはウェッジ4の角の部分をR処理したものである。これらのモデルについても、突設部6は設けられていない。
「0.9c−W10−θ30a−ap0.5−20」は、全長がモデル「オリジナル」の90%であり、ウェッジ幅W3が0.1cで、ウェッジ角θが30度(R処理付)で、突設高さW4がモデル「オリジナル」の全長の0.5%であり、設置位置が舵後端から0.2cの位置にあることを意味する。このサンプルには突設部6が設けられている。
以下のモデルにおいても全長、ウェッジ幅W3、ウェッジ角θについては、同じであるので、標記として例えば「0.9c−W10−θ30a−ap0.5−20」を「ap0.5−20」と略す。「ap0.5−MAX」は、突設部6の設置位置が最大幅の部分にしたものである。「ap0.5−20f」および「ap0.5−10f」は、突設部6を先頭から0.2cおよび0.1cの位置に配置した場合である。
なお、「ap0.5−20」と「ap0.5−30」は、本発明に係る舵1の要件を満たしており、本発明に係る舵1である。
シミュレーションは流速を2m/sとし、SSTk−ω乱流モデルを用いて、流れに対して迎角0度の場合と20度の場合について行った。表2には、迎角0度の場合の抗力係数Cと、迎角20度の場合の揚力係数Cの結果を示す。なお、抗力係数Cおよび揚力係数Cは、それぞれ(1)式および(2)式で表される。
ただし、Dは抗力、Lは揚力、ρは流体密度、Aは舵の側面投影面積、Uは流体速度である。
表中でDifferenceとは、モデル「オリジナル」のC若しくはCからの減少率を表し、(3)式によって求めたものである。
まず、モデル「0.9c−W2.5」およびモデル「0.8c−W5.0」を参照する。これらは、舵の全長が90%および80%と短くなり、小さなウェッジ4が付加されたものである。ウェッジ4が付加されると、抗力係数Cおよび揚力係数Cは増加した。
次に全長をモデル「オリジナル」の90%、ウェッジ幅W3をモデル「オリジナル」の全長の10%(0.1c)に固定し、ウェッジ角θを30度、45度、60度、30度+R処理のものを参照する。ウェッジ角θを大きくするにつれ、抗力係数Cは小さくなった。一方、揚力係数Cは、ウェッジ角θを大きくするにつれ、大きくなった。
ウェッジ4の角にR処理を付したモデル「0.9c−W10−θ30a」は、抗力係数Cがその他の角度と比較して低下した。このモデルは揚力係数Cも、ウェッジ4の角にR処理を付さないモデル「0.9c−W10−θ30」より上がり、オリジナルに対して70%以上高い揚力係数Cを示した。
そこで、モデル「0.9c−W10−θ30a」の条件は固定し、さらに突設部6(突設高さW4はオリジナルの全長の0.5%)の設置位置を変えながらシミュレーションを行った。
モデル「ap0.5−20」からモデル「ap0.5−10f」は突設部6の設置位置を変えたモデルである。この中で最大幅部分から舵の前方に向かって突設部6を付加したモデル「ap0.5−MAX」、モデル「ap0.5−20f」、モデル「ap0.5−10f」はいずれもモデル「0.9c−W10−θ30a」より高い抗力係数Cを示した。
一方、最大幅部分より後に突設部6を設けたモデル「ap0.5−20」、モデル「ap0.5−30」は、モデル「0.9c−W10−θ30a」より低い抗力係数Cを有し、さらに揚力係数Cもモデル「オリジナル」に対して70%以上高い値を示した。
以上のように本発明に係る舵(モデル「ap0.5−20」とモデル「ap0.5−30」)は、全長をモデル「オリジナル」より短くし、抗力係数Cはモデル「オリジナル」の140%を超えない範囲で、70%以上高い揚力係数Cを示すものとなった。また、ウェッジ4の角にR処理を施すことで抗力係数Cを低下させることができた。
本発明の船舶用舵は、旋回時の高揚力機能を有するとともに、直進時の舵抵抗を低減することにより温室効果ガスの低減を図ることが可能となるので、省エネ化が必要とされる大型船舶において、低速時の舵効きの向上や舵面積の低減に貢献できる。
1 船舶用舵
1a 舵面
2 本体部
2a、2b 法線の向き
4 ウェッジ(楔部)
6 突設部
6a 前端側傾斜面
6b 後端側傾斜面
11 船舶用舵
11a 舵面
12 本体部
12a、13a 法線の向き
13 薄肉部
14 ウェッジ(楔部)
16 段部
16a 角部
16b 隅部
50 一点鎖線
100 舵本体
101 フラットバー
f1、f2 圧力
F 揚力
R1、R11 死水域
R2、R3、R12、R13 後流域
U 一様流
W1、W11 最大幅
W2 頂点間幅
W3、W13 ウェッジ幅
W4 突設高さ
W12 幅(頂点間幅、角部間幅)
W14 段差
W101、W102 幅
θ ウェッジ角

Claims (3)

  1. 水平断面形状が流線型である本体部と、
    前記本体部の後端側に連設されている楔部と、
    前記本体部の前後方向における中間位置と前記楔部との間に、前記本体部の最大幅よりも小さい突出幅で両舵面に突設されている突設部と、
    を備えたことを特徴とする船舶用舵。
  2. 水平断面形状が流線型である本体部と、
    前記本体部の後端側に厚みを減ずるように段差を形成して連設されている薄肉部と、
    前記薄肉部の後端側に連設されている楔部とを備え、
    前記段差は、前記本体部、前記薄肉部及び前記楔部からなる全体の前後方向における中間位置よりも後端寄りに形成されており、
    前記本体部側の前記段差近傍の面の向きと、前記薄肉部側の前記段差近傍の面の向きとが略同じであることを特徴とする船舶用舵。
  3. 前記楔部の角にR処理が施されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載された船舶用舵。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109466737A (zh) * 2018-10-31 2019-03-15 中国船舶工业集团公司第七0八研究所 一种兼具良好操纵性和快速性的舵剖面

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CN109466737A (zh) * 2018-10-31 2019-03-15 中国船舶工业集团公司第七0八研究所 一种兼具良好操纵性和快速性的舵剖面

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