JP2017222805A - 接着シート - Google Patents

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Yuji Umeyama
裕史 梅山
敏朗 永井
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Abstract

【課題】製造される接着シートの表面粗さを小さくすることができ、その接着シートを介して2枚の基板を貼り合わせることにより作製される積層体に気泡の残存を防止することができる接着シート製造用組成物の提供。【解決手段】EVA及び架橋剤を含む接着シート12製造用組成物であって、EVAの60℃における粘度(V60℃)と90℃における粘度(V90℃)が式(I)(V60℃−V90℃)/V60℃×100≦93(%)を満たし、EVAの90℃における粘度(V90℃)と110℃における粘度(V110℃)が式(II)(V90℃−V110℃)/V90℃×100≧30(%)を満たし、EVAの100℃における粘度が、8.4×103〜1.5×104Pa・sである接着シート12製造用組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、接着シートに関し、特に板状やシート状の基板を互いに貼り合わせるために使用される接着シートに関する。
自動車や航空機、建築物等の窓ガラスとして用いられる合わせガラスや、ディスプレイ用の光学フィルタなど、複数の板状やシート状の基板を貼り合わせて作製される積層体には、その貼り合わせのために接着シートが従来から用いられている。
このような接着シートとしては、接着性や強度等の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAともいう)やポリビニルブチラール(以下、PVBともいう)等のポリマーが用いられている。特に、EVAを用いた接着シートは、優れた耐水性、接着性、透明性を有する点で好ましく用いられている。EVAを用いた接着シートでは、有機過酸化物などの架橋剤を用いてEVAを架橋させることにより、接着性、耐貫通性、耐久性等を向上させている。
このような接着シートは、EVAと添加剤を加熱しながら混練し、押出成形やカレンダー成形などによりシート状に成形することにより製造される。そして、接着シートを介して2枚の基板を互いに貼り合わせる方法としては、例えば、基板/接着シート/基板の順で積層した後、これを加熱しながらニップロールで仮圧着した後、更にオートクレーブなどで加熱及び加圧してEVAを架橋させて本圧着するニップロール法や、上記と同様に積層して得た積層体を真空袋に入れ、脱気し、加熱下で押圧することにより仮圧着し、その後オートクレーブやオーブン等で加熱してEVAを架橋させることにより本圧着する真空袋法が知られている。ニップロール法は連続的な製造が可能な点で従来から好ましく用いられている。
特開2012−066984号公報
しかしながら、EVAは粘度の温度依存性が高い傾向があるため、仮圧着工程の際の加熱において温度のムラが生じることにより圧着の度合いが面内で不均一となる場合があり、これが原因で最終製品(積層体)に気泡が残存する場合があった。さらに、この気泡の残存は、接着シートの表面が粗いと発生しやすくなることから、表面粗さが小さい接着シートが求められる。
したがって、本発明の目的は、接着シートを製造するための組成物であって、製造される接着シートの表面粗さを小さくすることができ、更に、その接着シートを介して2枚の基板を貼り合わせることにより作製される積層体に気泡が残存することを防止することができる接着シート製造用組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、この接着シート製造用組成物からなる接着シート、及び、この接着シートを用いて積層体を製造する方法を提供することにある。
上記目的は、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び架橋剤を含む接着シート製造用組成物であって、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の60℃における粘度(V60℃)と90℃における粘度(V90℃)が下記式(I)
(V60℃−V90℃)/V60℃×100≦93(%) (I)
の関係を満たし、
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の90℃における粘度(V90℃)と110℃における粘度(V110℃)が下記式(II)
(V90℃−V110℃)/V90℃×100≧30(%) (II)
の関係を満たし、
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の100℃における粘度が、8.4×10〜1.5×10Pa・sであることを特徴とする接着シート製造用組成物により達成される。
上記構成のように、本発明ではEVAの60〜90℃の粘度変化率と90〜110℃の粘度変化率を規定している。60〜90℃という温度範囲は、接着シートを介して2枚の基板を貼り合わせる際の仮圧着工程で一般に用いられる温度範囲であり、この範囲の粘度変化率が93%以下であれば、粘度の温度依存性が低くなり、接着シートをムラなく均一に仮圧着することができる。これにより、気泡が残存していない品質の良好な積層体(合わせガラス等)を得ることができる。さらに、90〜110℃の温度範囲は接着シートを製造する際の成形過程における接着シート樹脂組成物の一般的な温度範囲であり、この範囲の粘度変化率が30%以上で且つその温度範囲の中心である100℃における粘度が上記範囲であれば成形時に必要とされる所定の流動性が確保されるので、表面粗さが小さい接着シートを得ることができ、この接着シートを用いることで上述した気泡の残存を更に確実に防止することができる。
本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
(1)前記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、2種のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む。
(2)一方のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAα)のメルトフローレート(JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgにて測定、以下同じ)が、0.1〜3g/10minであり、他方のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAβ)のメルトフローレートが、8〜20g/10minである。
(3)EVAα:EVAβの質量比が25:75〜75:25である。
(4)エチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量(JIS K 6924−2に準拠)が、前記エチレン−酢酸ビニル含有量を基準として、27〜41質量%である。
(5)前記接着シートは、ニップロール法により2枚の基板を互いに貼り合わせるための接着シートである。
(6)前記接着シートは、合わせガラス用中間膜である。
また、上記目的は、上記接着シート製造用組成物からなる接着シートにより達成される。
さらに、上記目的は、本発明の接着シート製造用組成物を加熱してシート状に成形し、接着シートを得る成形工程、及び前記接着シートを2枚の基板で挟み、加熱しながら圧着する圧着工程により達成される。
本発明によれば、本発明の接着シートを用いて製造される積層体に気泡が残存することを防止することができるので、外観の良好な積層体を製造することができる。また、接着シートの成形加工時及び積層体の圧着工程時において行われる加熱の温度制御が容易となる。
本発明の接着シートを有する積層体の概略断面図である。 ニップロール法の概略説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。上述したように、本発明の接着シート製造用組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAとも称する。)及び架橋剤を含んでいる。
使用するEVAとして、60℃における粘度(V60℃)と90℃における粘度(V90℃)が下記式(I)
(V60℃−V90℃)/V60℃×100≦93(%) (I)
の関係を満たし、
エチレン−酢酸ビニル共重合体の90℃における粘度(V90℃)と110℃における粘度(V110℃)が下記式(II)
(V90℃−V110℃)/V90℃×100≧30(%) (II)
の関係を満たし、且つ、
100℃における粘度が8.4×10〜1.5×10Pa・sの範囲のものを使用する。
上記式(I)の「(V60℃−V90℃)/V60℃×100」で表される粘度変化率(60〜90℃)は90%以下であることがより好ましく、その下限値は、例えば、50%である。また、上記式(II)の「(V90℃−V110℃)/V90℃×100」で表される粘度変化率(90〜110℃)は33%以上であることがより好ましく、上限値は、例えば、70%である。
各温度の具体的粘度について、60℃における粘度は、例えば、4.5×10〜2.0×10Pa・sである。90℃における粘度は、例えば、7.5×10〜2.5×10Pa・sである。110℃における粘度は、例えば、4.5×10〜1.5×10Pa・sである。上述したように、100℃における粘度は、8.4×10〜1.5×10Pa・sであり、好ましくは8.5×10〜1.5×10Pa・sである。
本発明において、粘度は、キャピログラフID(炉体径:φ9.55mm、キャピラリー:φ1.0×10mm、東洋精機製)等のキャピラリーレオメーター用い、試験速度1mm/minの条件にて、1℃刻みで粘度を計測することにより測定することができる
(JIS K 7199に準拠)。
エチレン−酢酸ビニル共重合体として、2種のエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用することが好ましい。これにより、上記条件を満たすEVA混合物を容易に得ることができる。
2種のエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用する場合、上記所定の粘度条件を得るため、一方のエチレン−酢酸ビニル共重合体(「EVAα」とも称する。)のメルトフローレートが、0.1〜3g/10min、特に0.2〜2g/10minであることが好ましく、他方のエチレン−酢酸ビニル共重合体(「EVAβ」)のメルトフローレートが、8〜20g/10min、特に10〜18g/10min、更に12〜16g/10minであることが好ましい。なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件にて測定されたものである。
上記2種のEVAα及びEVAβの質量比は25:75〜75:25であることが好ましく、より好ましくは30:70〜70:30、特に好ましくは40:60〜60:40である。この範囲内であれば、接着シートにおける表面の荒れ及び積層体における気泡の残存を更に確実に防止することができる。
本発明において、EVAの酢酸ビニル含有量(JIS K 6924−2に準拠)は、EVAの質量を基準として、好ましくは27〜41質量%であり、より好ましくは30〜41質量%であり、更に好ましくは32〜41質量%である。この範囲であれば、2枚の基板を接着シートで貼り合わせる圧着工程の際に、適度な柔軟性が得られ、気泡の残存を更に確実に防止することができる。
一般に、EVAの酢酸ビニル含有量が高いとMFRも高くなり易いことから、上記EVAαのようなMFRが低く且つ酢酸ビニル含有量が比較的高いEVAを得るためには、所望の酢酸ビニル含有量を有し且つMFRが比較的高いEVAを、有機過酸化物や電子線によりEVAの分子鎖を連結させて分子量を増大させるか又は分子鎖を微量に架橋させることによりMFRを低下させることが好適である。有機過酸化物としては下記に列挙したものを好適に使用することができる。
本発明においては、上述したように、EVAの60〜90℃の粘度変化率と90〜110℃の粘度変化率を規定している。60〜90℃という温度範囲は、接着シートを介して2枚の基板を貼り合わせる際の仮圧着工程で一般に用いられる温度範囲であり、この範囲の粘度変化率が93%以下であれば、粘度の温度依存性が低くなり、接着シートをムラなく均一に仮圧着することができる。これにより、気泡が残存していない品質の良好な積層体(合わせガラス等)を得ることができる。さらに、90〜110℃の温度範囲は接着シートを製造する際の成形過程における接着シート樹脂組成物の一般的な温度範囲であり、この範囲の粘度変化率が30%以上で且つその温度範囲の中心である100℃における粘度が上記範囲であれば成形時に必要とされる所定の流動性が確保されるので、表面粗さが小さい接着シートを得ることができ、この接着シートを用いることで上述した気泡の残存を更に確実に防止することができる。
[架橋剤]
架橋剤は、有機過酸化物又は光重合開始剤を用いることが好ましい。なかでも、接着力、耐湿性、耐貫通性の温度依存性が改善された封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等が挙げられる。
有機過酸化物として、特に、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又はtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが好ましい。これにより、優れた接着性を有する接着シートが得られる。
また、光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタ−ルなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレ−トなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のような安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種単独または2種以上の混合で使用することができる。
架橋剤の含有量は、EVA100質量部に対して、好ましくは0.05〜3質量部、より好ましくは0.1〜2.5質量部、更に好ましくは0.1〜1.3質量部である。有機過酸化物の含有量は、上記範囲より少ないと接着性が十分でない場合があり、上記範囲より多いとラジカルが発生しやすくなり、長期に亘り紫外線に曝されると剥離が生じる場合がある。
[架橋助剤]
本発明の接着シート製造用組成物は、必要に応じて、さらに架橋助剤を含んでいてもよい。架橋助剤は、EVAのゲル分率を向上させ、接着シートの接着性及び耐久性を向上させることができる。
架橋助剤の含有量は、EVA100質量部に対して、一般に10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.1〜2.5質量部で使用される。
架橋助剤(一般に、官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等を挙げることができる。なかでも、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
[シランカップリング剤]
本発明の接着シート製造用組成物は、接着性を向上させるためシランカップリング剤を更に含んでいてもよい。シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましく挙げられる。
シランカップリング剤の含有量はEVA100質量部に対して0.1〜3質量部、特に0.3〜2質量部であることが好ましい。
[その他]
本発明の接着シート製造用組成物は、種々の物性(機械的強度、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、可塑剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物、紫外線吸収剤、光安定剤および老化防止剤などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
[接着シート]
本発明の接着シート製造用組成物を用いて接着シートを製造するには、公知の方法に準じて行えばよい。例えば、上記の各材料をスーパーミキサー(高速流動混合機)、ロールミル等を用いて公知の方法で混合した組成物を通常の押出成形、又はカレンダー成形(カレンダリング)等により成形してシート状物を得る方法により製造することができる。また、上記組成物を溶剤に溶解させ、この溶液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状物を得ることもできる。なお、シート成形時の加熱温度は、特に架橋剤として有機過酸化物を使用する場合、有機過酸化物が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、90〜110℃の範囲とするのが好ましい。接着シートの厚さは、特に制限されず、用途によって適宜設定することができる。一般に、0.05〜2mmの範囲である。本発明では、90〜110℃の粘度変化率及び100℃における粘度範囲が上述したとおりとなっているので、成形時に必要な所定の流動性を確保することができ、これによって製造される接着シートの表面粗さを低下させることができる。
本発明の接着シートは、2枚の基板11A及び11Bを互いに貼り合わせて積層体を製造するために使用されるものである。すなわち、図1に示すように、積層体は、2枚の基板11A、11Bに接着シート12が挟持された構造を有する。積層体の例として合わせガラスが挙げられ、その場合、接着シート12は合わせガラス用中間膜として使用される。
次に、合わせガラス等の積層体の製造方法について説明する。図2は積層体の製造方法の代表的な一例を示す概略断面図である。図示しているように、接着シートを2枚の基板で挟持した積層体20を形成し、これを加熱しながら仮圧着した後、加熱架橋することで製造される。
基板は用途によって適宜選択される。例えば、グリーンガラス、珪酸塩ガラス、無機ガラス板、無着色透明ガラス板などのガラス板の他、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンブチレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のプラスチック製の板状又はシート状の基板である。基板の厚さは、0.5〜20mm程度が一般的である。基板は、同一のもの用いてもよく、異なる基板を組み合わせて用いてもよい。合わせガラスの場合には透明な基板、特にガラス板が一般に用いられる。
図2における接着シートを用いて2枚の基板を貼り合わせる方法を詳述する。上述した積層体20(圧着前)を搬送装置33により、搬送しながら加熱炉31を通過させる。加熱炉31はヒーター部32を備え、積層体20が加熱炉31を通過する間に、接着シート12を所定の温度になるまで加熱する。その後、積層体20を、対向する2基1対のロール部で構成されるニップロール34の間を通過させる。ニップロール34は、ロール部間を通過するものを所定の線圧で連続的に加圧する装置である。これにより積層体20が加圧され、加熱された接着シートが2枚の基板の境界面に圧着する。
搬送装置33、加熱炉31、及びニップロール34は従来公知のものを使用することができる。加熱炉31のヒーター部32の加熱方式はどの様な方式でも良く、例えば、赤外線加熱方式、熱風方式等が挙げられる。加熱炉31ではなく、加熱ロール方式の加熱装置であっても良い。加熱方式は、接着シートを直接均一に加熱することができる赤外線加熱方式が好ましい。これにより、接着シートの加熱温度の制御が容易になり、EVA層が均一に溶融し易くなるため、ニップロールによる加圧の際に接着シートムラなくガラス板との境界面に行き渡らせることができる。加熱は、接着シートに含まれる架橋剤が反応しない温度であれば特に制限はないが、例えば、60〜90℃である。
ニップロール34はどの様なものでも良く、複数対のニップロールを有していてもよい。また、加圧時の温度低下を避けるため、加熱ロールで構成されているものでも良い。ニップロール34による加圧の線圧は特に制限は無いが、一般に5〜100kN/mである。
上述の仮圧着工程後、積層体20を加熱及び加圧し、EVAを架橋一体化して本圧着する工程(本圧着工程)を行うことで圧着された積層体を得ることができる。加熱架橋工程は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、オートクレーブ等の高温高圧処理を用いることができる。加熱条件は、特に制限は無く、後述のEVA層に含まれる架橋剤等の配合によっても調節する。通常、110〜160℃で10分〜1時間加熱する。加熱は、1.0×10Pa〜5.0×10Paの圧力で加圧しながら行うのが好ましい。このとき、積層体を架橋後の冷却は一般に室温で行われるが、特に、冷却は速いほど好ましい。以上により、本発明の接着シートを介して2枚の基板を貼りあわせた積層体を得ることができる。このようなニップロール法では、従来のEVAの接着シートを使用した場合は、仮圧着時の加熱において端部が中心部よりも高温となることにより、粘度の差異が生じ、仮圧着が面内で不均一となる状況が生じていたが、本発明では、上述したように60〜90℃における粘度変化率が比較的小さいEVAを使用しているので、仮圧着を面内で均一とすることができる。
本発明の接着シートは上述したニップロール法だけでなく、真空袋を用いる方法においても同様に使用することができる。真空袋は一般に熱板を有し、その熱板上に基板/接着シート/基板の順で部材を積層し、脱気した後、加熱及び加圧して圧着を行う方法である。本発明の接着シートを用いることにより、真空袋法でも同様に積層体の圧着を均一に行うことが可能である。
本発明の接着シートは、2枚の基板を互いに貼り合わせるために使用されるものであり、合わせガラス用中間膜以外の用途にも使用することができる。例えば、ディスプレイ用光学フィルタや太陽電池モジュールに使用される太陽電池用封止膜が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明する。
1.接着シートの製造
下記表に示す各材料を各配合量でロールミルに供給し、50℃で混練することにより、本発明の接着シート製造用組成物を得た。この組成物を、カレンダーロールの温度を63〜68℃に設定し、カレンダー成形し、放冷後、接着シート(厚さ:0.4mm)を作製した。なお、上記カレンダーロール間で接着シート製造用組成物が滞留するバンクの温度は90〜110℃の範囲であった(カレンダーロールの回転によるせん断力を受けてカレンダーロールの設定温度よりも上昇する)。
2.合わせガラスの製造
作製した接着シートを、2枚のガラス板(大きさ:914mm×914mm、厚さ:3mm)の間に挟持した積層体を形成し、図2に示したように、加熱装置及びニップロールによる加圧装置を有する圧着装置を用いてで仮圧着を行った。なお、このときのニップロール線圧は5〜100kN/mであった。仮圧着直後の積層体の温度は65℃であった。次に、仮圧着後の積層体をオートクレーブにより、温度135℃の条件下で120分間加圧処理して合わせガラスを作製した。
3.評価
(1)気泡の有無(圧着加工性)
上記で得られた合わせガラスについて、気泡の有無を目視で確認した。気泡が全く認められなかったものを○、気泡が残存していたものを×とした。
(2)接着シートの表面評価(成形加工性)
上記で得られた接着シートの表面について、算術平均粗さRaと凹凸の平均間隔Smを測定した。算術平均粗さRaは、JIS−B0601(1994)に準拠した方法により測定した。凹凸の平均間隔Smは、JIS−B0601(1994)に準拠した方法により測定した。Raが16.5μm未満であり且つSmが1279.0未満のものを○とし、それ以外を×とした。
(3)耐紫外線性
上記で得た合わせガラスについて、s−UV照射試験機(アイスーパーUVテスター(岩崎電気社製)を用いて、光源としてメタルハライドランプを使用して、照射強度1000W/mで紫外線(波長295〜450nm)を900時間照射した。紫外線照射後の合わせガラスを目視で観察し、剥離が生じていないものを○、剥離が生じていたものを△とした。
(4)耐湿熱性
上記で得た合わせガラスについて、恒温恒湿槽(エスペック社製)を用いて、温度85℃、湿度85%の条件下で2000時間曝露した。湿熱曝露後の合わせガラスを目視で観察し、剥離が生じていないものを○、剥離が生じていたものを△とした。
結果を下記表に示す。なお、各材料の詳細は以下のとおりである。
PVB:ポリビニルブチラール
EVA(1):東ソー製、ウルトラセン634
EVA(2):三井・デュポン製、エバフレックスEV170
EVA(3):東ソー製、9B54A
EVA(4):東ソー製、YX11
EVA(5):三井・デュポン製、エバフレックスV523
EVA(6):三井・デュポン製、エバフレックスEV40LX
EVA(7):東ソー製、ウルトラセン750
EVA(8):東ソー製、ウルトラセン710
架橋剤:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート
Figure 2017222805
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<評価結果>
60〜90℃の粘度変化率が93%を超える場合は合わせガラスに気泡が残存していた。90〜110℃の粘度変化率が30%未満の場合及び100℃における粘度が8.4×10〜1.5×10Pa・sの範囲外の場合は接着シートの表面粗さが大きいことが認められた。架橋剤の含有量が0.1〜2.0質量部の場合は耐紫外線性に優れることが認められた。
11A、11B 基板
12 接着シート
20 積層体
31 加熱炉
32 ヒーター部
33 搬送装置
34 ニップロール

Claims (9)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体及び架橋剤を含む接着シート製造用組成物であって、
    前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の60℃における粘度(V60℃)と90℃における粘度(V90℃)が下記式(I)
    (V60℃−V90℃)/V60℃×100≦93(%) (I)
    の関係を満たし、
    前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の90℃における粘度(V90℃)と110℃における粘度(V110℃)が下記式(II)
    (V90℃−V110℃)/V90℃×100≧30(%) (II)
    の関係を満たし、
    前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の100℃における粘度が、8.4×10〜1.5×10Pa・sであることを特徴とする接着シート製造用組成物。
  2. 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、2種のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 一方のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAα)のメルトフローレート(JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgにて測定、以下同じ)が、0.1〜3g/10minであり、
    他方のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAα)のメルトフローレートが、8〜20g/10minである、請求項2に記載の組成物。
  4. EVAα:EVAβの質量比が25:75〜75:25である、請求項3に記載の組成物。
  5. エチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量(JIS K 6924−2に準拠)が、前記エチレン−酢酸ビニル含有量を基準として、27〜41質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記接着シートは、ニップロール法により2枚の基板を互いに貼り合わせるための接着シートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記接着シートは、合わせガラス用中間膜である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着シート製造用組成物からなる接着シート。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着シート製造用組成物を加熱してシート状に成形し、接着シートを得る成形工程、及び
    前記接着シートを2枚の基板で挟み、加熱しながら圧着する圧着工程、
    を含む積層体製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111261740A (zh) * 2020-01-20 2020-06-09 晶澳太阳能有限公司 光伏太阳能组件组装结构及光伏太阳能组件

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