JP2017223043A - 腹起しの接合構造 - Google Patents

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【課題】安価で作業性がよく、かつ山留め壁内の作業空間において上空に障害物のない領域を広く確保することの可能な、腹起しの接合構造を提供する。【解決手段】山留め壁7を補剛する腹起しの接合構造であって、一方の腹起しの端部3bを他方の腹起し3aのフランジ32に直接突き合せた上で接合することによりコーナー部4を形成するものであり、前記コーナー部4は、出隅部を覆うように配置されたL字形状をなす引張力負担部材1が、高力ボルト5により前記腹起し各々に接合されるとともに、入隅部に配置され前記腹起し各々に接する圧縮力負担部材2が、前記腹起し各々のフランジ32に高力ボルト5にて接合されており、前記腹起し各々の、前記引張力負担部材1と前記圧縮力負担部材2とに挟まれた領域には補剛材34が設置され、前記山留め壁7と前記コーナー部4の間には裏込め材8が設置されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、山留め壁を補剛する同一平面上で直接突き合わせた腹起しどうしを接合し、コーナー部を形成するための腹起しの接合構造に関する。
従来より、山留め壁を補剛する支保工の一つである切梁式支保工では、枠組みされた複数の腹起しの外側を山留め壁に当接させるとともに、内側に切梁や火打ち材を設置して枠組みを補強することにより、山留め壁が内側へ変形するのを防止している。枠組みのなかでも、腹起しが直交して接合されるコーナー部は、周辺地盤から山留め壁に過大な土圧が作用すると大きな曲げモーメントが生じるため、これに耐えうる高い剛性を確保する必要がある。
例えば、特許文献1では、同一平面上で直交して配置された腹起しどうしの端部の間にL字型の接合部材を介挿し、この接合部材を介してボルトにて腹起しどうしを連結するとともに、内隅側に火打ちばりを設置することにより、コーナー部に剛性を確保している。
特開2001−262560号公報
上記の構成は、L字型の接合部材を用いることにより、直交して位置する腹起しどうしを同一平面状で、かつボルトを用いて接合できるため、接合構造を簡略化できる。しかし、L字型の接合部材は、腹起しと同様の断面を有する部材により構成されることからその重量および外形形状はともに大きく、設置作業が煩雑なものとなる。また、接合部材は専用部品として製作する必要があるため、コストの上昇を招きやすい。さらに、火打ちばりは、腹起しよりなる枠組みの内側において開口の一部を占有するように配置されることから、掘削工事を行う場合の障害となりやすい。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、安価で作業性がよく、かつ山留め壁内の作業空間において上空に障害物のない領域を広く確保することの可能な、腹起しの接合構造を提供することである。
かかる目的を達成するため、本発明の腹起しの接合構造は、山留め壁を補剛する腹起しの接合構造であって、一方の腹起しの端部を他方の腹起しのフランジに直接突き合せた上で接合することによりコーナー部を形成するものであり、前記コーナー部は、出隅部を覆うように配置されたL字形状をなす引張力負担部材が、高力ボルトにより前記腹起し各々に接合されるとともに、入隅部に配置され前記腹起し各々に接する圧縮力負担部材が、前記腹起し各々のフランジに高力ボルトにて接合されており、前記腹起し各々の、前記引張力負担部材と前記圧縮力負担部材とに挟まれた領域には補剛材が設置され、前記山留め壁と前記コーナー部の間には裏込め材が設置されることを特徴とする。
上述する本発明の腹起しの接合構造によれば、コーナー部の適所に引張力負担部材と圧縮力負担部材と補剛材を設置することで、これらが互いに補い合って、外力が作用することにより生じる曲げモーメントおよびせん断力をスムーズに伝達しあうことができる程度の耐力および剛性をコーナー部に確保することができる。これにより、コーナー部の内隅部に火打ち材を設置する必要がないことから、コーナー部の上空に障害物のない作業空間を山留め壁内に確保することが可能となる。
また、山留め壁とコーナー部の間に裏込め材が設置されることにより、コーナー部の出隅部を覆う引張力負担部材に、腹起しを押圧する方向の外力が作用するため、引張力負担部材を補剛することが可能となる。
さらに、直交する腹起しどうしを直接突き合わせて接合できることから、直交する腹起しの間に、従来のような重量および外形形状の大きい接合部材を用いる必要がなく、作業性を大幅に向上することが可能となる。
加えて、引張力負担部材、圧縮力負担部材および補剛材は、専用備品を製作することなく、鉄骨造の仮設構造物を構築する際に一般に使用されている既存の部材を適用することができるため、これらすべての部材が再利用でき、安価でかつ容易に仮設構造物を構築することが可能となる。
本発明によれば、コーナー部の適所に引張力負担部材と圧縮力負担部材と補剛材を設置することにより、安価でかつ作業性良く、直交する腹起しを直接突き合せたコーナー部を剛接合とみなすことの可能な接合構造に形成できるため、コーナー部の内隅に設置される火打ち材を不要にして、山留め壁内の上空に障害物のない作業空間を確保することが可能となる。
本発明のコーナー部における腹起しの接合構造を示す図である。 本発明の圧縮力負担部材を示す図である。 本発明のコーナー部における腹起しの接合構造の耐力を確認した結果を示すものである。 本発明のコーナー部における腹起しの接合構造の剛性を確認した結果を示すものである。 本発明のコーナー部における腹起しの接合構造の他の事例を示す図である。
本発明の山留め支保工は、直交して配置される腹起しどうしを直接突き合せて接合したコーナー部を剛接合とみなせる構造とし、火打ち材を不要にしたものである。以下に、本発明の腹起しの接合構造を、図1〜図4を参照しつつ説明する。
図1で示すように、山留め支保工を構成する腹起し3a、3bは、ウェブ31と一対のフランジ32とを備えたH形鋼の端面にエンドプレート33が設置された、いわゆる山留主材よりなり、ウェブ31を水平にした状態で山留め壁7の内壁面に沿って複数設置されている。これら腹起し3a、3bは、同一平面状で隣り合う腹起し3a、3bどうしが接合されて枠組みをなし、その内側に設置されて枠組みを補強する図示しない切梁とともに、山留め壁7が内側へ変形するのを防止している。
このような腹起し3a、3bは、一方の腹起し3bのエンドプレート33を他方の腹起し3aのフランジ32に直接突き合せることにより直交して配置され、コーナー部4を形成している。そして、これらコーナー部4における腹起し3a、3bの接合構造は、出隅側に設置される引張力負担部材1と、入隅部に設置される圧縮力負担部材2と、腹起し3a、3bに備えた補剛材34を備えている。
引張力負担部材1は、腹起し3a、3bのフランジ32と同様の幅を有する帯状鋼板をL字型となるよう溶接固定したものであり、長さ方向および幅方向に所定の間隔を有してボルト孔が設けられている。本実施の形態では、引張力負担部材1として鉄骨部材どうしを高力ボルトにて接合する際に一般に用いられるスプライスプレートを2枚溶接したものを採用している。なお、コーナー部4の出隅側に位置する腹起し3aのフランジ32および腹起し3bのフランジ32の両者にも、引張力負担部材1に設けたボルト孔と同一の配置間隔をもって複数のボルト孔が設けられている。
そして、引張力負担部材1はコーナー部4の出隅部を覆うように配置され、互いのボルト孔に高力ボルト5を挿通して締結することにより、腹起し3aのフランジ32とエンドプレート33および腹起し3bのフランジ32に面で接するようにして、腹起し3a、3bに接合されている。
なお、引張力負担部材1は、上記のL字形状に限定されるものではなく、接合しようとする腹起し3a、3bとの間で生じる引張力をスムーズに伝達できる部材であれば、その形状や材料はいずれでもよい。ただし、引張力負担部材1にL字形状の部材を採用すると、引張力負担部材1は腹起し3aのフランジ32およびエンドプレート33に広い範囲で接触する。これにより、腹起し3a、3bを接合する際に用いる高力ボルト5を多数用いることができ、大きな摩擦力が期待できるため、より効率よく引張力を伝達できる。
また、図2で示すように圧縮力負担部材2は、立設状態で直交して配置される一対の当接板21と、一対の当接板21を連結するようこれらに直交して配置される3枚の連結板22により構成される。一対の当接板21は、高さ方向が腹起し3a、3bのフランジ32の幅と同様の大きさを有する鋼板よりなり、長手方向に所定の間隔を有してボルト孔が設けられている。3枚の連結板22は、当接板21の高さ方向に間隔を設けて平行に配置される略三角形状の鋼板より構成される。
なお、本実施の形態では、圧縮力負担部材2に鉄骨部材どうしを直交して配置する際の入隅に一般に用いられている、隅部ブロックを採用している。また、コーナー部4の入隅側に位置する腹起し3a、3bのフランジ32各々には、一対の当接板21に設けたボルト孔と同一の配置間隔をもって複数のボルト孔が設けられている。
このような構成の圧縮力負担部材2はコーナー部4の入隅部において、図1で示すように、一対の当接板21各々が腹起し3a、3bのフランジ32各々と当接し、3枚の連結板22のうち中央に位置する連結板22が腹起し3a、3bのウェブ31と同一平面を形成する高さに位置するよう配置される。そして、これら一対の当接板21と腹起し3a、3bのフランジ32、32の互いのボルト孔に高力ボルト5を挿通して締結することにより、圧縮力負担部材2は腹起し3a、3bとの間に挟まれるようにして接合される。
なお、圧縮力負担部材2は、隅部ブロックのような略三角柱の形状をなすものに限定されるものではない。一対の当接板21とこれを連結する少なくとも1枚の連結板22を有し、接合しようとする腹起し3a、3bとの間で生じる圧縮力をスムーズに伝達できる部材であれば、その形状や材料はいずれでもよい。
さらに、補剛材34は図1で示すように、腹起し3a、3bにおけるフランジ32の幅の1/2に相当する高さを有する角筒状部材により構成されており、4つの側面のうち一方の対向する2面が、腹起し3a、3bのウェブ31の高さと同様の長さを有する。これにより、補剛材34を腹起し3a、3b各々の一対のフランジ32間に配置すると、他方の対向する2面は一対のフランジ32各々の内面に当接する。なお、本実施の形態では、腹起し3a、3bに対して着脱自在とするよう、腹起し3a、3bの一対のフランジ32各々と当接する他方の対向する2面には、ボルト孔を設けている。
このような構成の補剛材34は、腹起し3a、3bにおける引張力負担部材1と圧縮力負担部材2に挟まれた範囲に、開口面がウェブ31と平行となるように配置され、フランジ32に対してボルトを介して設置される。本実施の形態では、引張力負担部材1と圧縮力負担部材2を接合する際に用いた高力ボルト5を補剛材34の設置に兼用させているが、その設置方法は、必ずしもこれに限定されるものではない。
また、本実施の形態では、腹起し3a、3bの各々に3体の補剛材34を設置したが、必要に応じてその数量は適宜変更するとよい。さらに、補剛材34は、引張力負担部材1と圧縮力負担部材2に挟まれた範囲のなかでも、コーナー部4の内隅から最も離れた位置に配置すると、効率よく腹起し3a、3bを補剛することができる。
上述する構成のコーナー部4における腹起し3a、3bの接合構造は、例えば図1で示すように、一方の腹起し3bの端部に時計回りの曲げモーメントMおよびせん断力Qが生じると、これらを他方の腹起し3aにスムーズに伝達する。つまり、曲げモーメントMによる引張力は、引張力負担部材1を介して他方の腹起し3aに伝達され、曲げモーメントMによる圧縮力は、圧縮力負担部材2および補剛材34を介して他方の腹起し3aに伝達される。
また、一方の腹起し3bの端部に生じたせん断力Qは、他方の腹起し3aに対して高力ボルト5にてボルト接合された圧縮力負担部材2の当接板21と腹起し3aのフランジ32とのボルト接合により他方の腹起し3aに伝達される。
このように、コーナー部4の適切な位置に引張力負担部材1と圧縮力負担部材2と補剛材34とを配置することによりこれらが互いに補い合って、外力が作用することにより生じる曲げモーメントMおよびせん断力Qを、腹起し3a、3bの間でスムーズに伝達できる程度の耐力および剛性を、コーナー部4に確保できる。したがって、溶接接合を用いることなく、腹起し3a、3bを直接突き合わせて高力ボルト5により接合したコーナー部4を剛接合とみなして合理的な設計を行うことが可能となる。
上述した腹起し3a、3bに対して引張力負担部材1と圧縮力負担部材2と補剛材34とを高力ボルト5を用いて接合し形成したコーナー部4について、以下のとおり室内実験を実施してその耐力および剛性を確認した。
まず、図3(a)で示すように、一方の腹起し3bを水平となるように、また他方の腹起し3aを鉛直となるように配置した上で、一方の腹起し3bを他方の腹起し3aに突き合せて、上述した手段にて接合することによりコーナー部4を形成する。そして、他方の腹起し3aをピンを介して地盤面に支持させるとともに一方の腹起し3bはピンを介して載荷装置6に連結し、載荷装置6から一方の腹起し3bに対して軸方向の荷重を載荷する。この後、コーナー部4が終局状態に至ったところで、載荷を停止する。
一方で、上記の腹起し3a、3bを溶接接合により接合して剛接合としたコーナー部4をあらかじめ準備しておき、上記の載荷装置6を利用して降伏荷重を算定しておく。本実施の形態では、溶接接合する腹起し3a、3bに寸法が350mmのH鋼材を採用した場合、195kNを超えたところで降伏するとの知見を得た。
そこで、本実験では設計荷重を195kNに設定し、本実施の形態におけるコーナー部4が、195kNを超えた後に降伏した場合には、剛接合とみなすのに必要な耐力が備えられているものと判定することとした。そして、図3(b)をみると、荷重が200kNを超えたところで降伏し、終局荷重は約400kN程度となっている様子がわかる。
次に、図4(a)で示すように、引張力負担部材1における、腹起し3aのエンドプレート33と腹起し3bのフランジ32と当接している領域に、12個のひずみゲージ(T1〜T9、X1〜X3)を取り付け、設計荷重として設定した195kNを載荷した場合の、引張力負担部材1に生じるひずみの状態を確認する。
発明者らは、上記の引張力負担部材1に用いる母材について、設計上の降伏点に達した際のひずみが1050μであるとの知見を得ている。そこで、本実験では、コーナー部4に設計荷重195kNを載荷した際に、引張力負担部材1のひずみが1050μを超えない場合に、コーナー部4を剛接合とみなすのに必要な剛性が備えられているものと判定することとした。
図4(b)で示すように、T8およびX3の位置でひずみが1050μをやや超えるものの、全体として1050μ内に収まっている。なお、実験では採用していないが、本実施の形態では図1で示すように、裏込め材8をコーナー部4を含めた腹起し3a、3bと山留め壁7との間に充填している。
裏込め材8は、山留め壁7に作用した土圧を効率よく腹起し3に伝達させる機能だけでなく、引張力負担部材1を補剛する部材としても機能する。つまり、コーナー部4と山留め壁7との間に裏込め材8が介挿させることで、地山から裏込め材8を介してコーナー部4の出隅部を覆う引張力負担部材1に、腹起し3a、3bを押圧する方向の外力が作用する。これにより、引張力負担部材1は、腹起し3a、3bと裏込め材8に拘束されるため、ひずみ量を大幅に低減することができる。
上記のとおり、裏込め材8を備えたコーナー部4は、腹起し3a、3bを溶接により剛接合とした場合と同等の耐力および剛性を備えていることから、腹起し3a、3bを直交して突き合わせたコーナー部4における腹起し3a、3bの接合構造は剛接合とみなせる。したがって、コーナー部4の内隅部に火打ち材を設置する必要はなく、山留め壁7内にはコーナー部4の上空に障害物のない作業空間を確保することが可能となる。
また、コーナー部4における腹起し3a、3bの接合構造は、直交する腹起し3a、3bどうしを直接突き合わせて接合するから、従来のような重量および外形形状の大きい接合部材等の専用部品を製造して介挿する必要がなく、作業性を大幅に向上することが可能となる。
加えて、例えば引張力負担部材1にスプライスプレート、圧縮力負担部材2に隅角ピース、補剛材34に腹起しのスチフナー等、鉄骨造の仮設構造物を構築する際に一般に使用されている既存部品を採用することができる。そして、これらすべての部材は再利用できることから、安価でかつ容易にコーナー部4を構築することが可能となる。
本発明の腹起しの接合構造は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施の形態では、圧縮力負担部材2における一対の当接面21の大きさを同一にしているが、必ずしもこれに限定するものではなく、例えば、コーナー部4を形成する腹起し3a、3bのうち、一方の腹起し3bに接する当接面21の長さを長くしてもよい。
また、本実施の形態では、裏込め材8としてコンクリートを充填しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、裏込めブロックを挿入する等、山留め支保工で一般に採用されている手段であれば、いずれの裏込め材8を採用してもよい。
さらに、本実施の形態では、図1で示すように、腹起し3a、3bを直交して突き合わせたコーナー部4の接合構造を鋼矢板による山留め壁に採用しているが、必ずしもこれに限定するものではない。例えば、図5で示すような、親杭・横矢板工法による山留め壁に採用する等、腹起し3a、3bを直交して突き合わせるものであれば、いずれの山留め壁に採用するものであってもよい。
1 引張力負担部材
2 圧縮力負担部材
3a 腹起し
3b 腹起し
31 ウェブ
32 フランジ
33 エンドプレート
34 補剛材
4 コーナー部
5 高力ボルト
6 載荷装置
7 山留め壁
8 裏込め材

Claims (1)

  1. 山留め壁を補剛する腹起しの接合構造であって、
    一方の腹起しの端部を他方の腹起しのフランジに直接突き合せた上で接合することによりコーナー部を形成するものであり、
    前記コーナー部は、出隅部を覆うように配置されたL字形状をなす引張力負担部材が、高力ボルトにより前記腹起し各々に接合されるとともに、入隅部に配置され前記腹起し各々に接する圧縮力負担部材が、前記腹起し各々のフランジに高力ボルトにて接合されており、
    前記腹起し各々の、前記引張力負担部材と前記圧縮力負担部材とに挟まれた領域には補剛材が設置され、前記山留め壁と前記コーナー部の間には裏込め材が設置されることを特徴とする腹起しの接合構造。
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