JP2017223130A - ターボチャージャの制御方法、制御装置及び運転制御プログラム並びに過給システム - Google Patents

ターボチャージャの制御方法、制御装置及び運転制御プログラム並びに過給システム Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンの状態によらず適切に制御可能なターボチャージャの制御方法を提供する。【解決手段】エンジン又はターボチャージャの状態を示す第1状態量を用いた予測モデルに基づいて、エンジンの過渡状態でのノズルベーンの開度指令値である第1暫定指令値を取得する第1取得ステップと、エンジンの定常状態における、エンジン又はターボチャージャの状態を示す第2状態量と、該第2状態量に対応するノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップに基づいて、エンジンの定常状態でのノズルベーンの開度指令値である第2暫定指令値を取得する第2取得ステップと、エンジンの現在の状態が過渡状態又は定常状態のいずれかを判定する状態判定ステップと、該判定結果に基づいて、第1暫定指令値又は第2暫定指令値の一方を用いて、実際に制御のためにターボチャージャに与えるノズルベーンの最終開度指令値を取得する最終指令値取得ステップと、を備える。【選択図】図3

Description

本開示は、ターボチャージャの制御方法、制御装置及び運転制御プログラム並びに過給システムに関する。
ターボチャージャにおいて、エンジンの排ガス流路に設けたノズルベーンを用いて過給圧を調節することが知られている。
特許文献1には、ノズルベーンの開度を変化させることにより、タービンホイールに向かって流れる気体の流路面積を変化させて過給圧を変化させることが可能なターボチャージャを備えたエンジンが記載されている。このエンジンでは、エンジンのトルクアップが求められる際、エンジンの燃料噴射圧を上昇させた後、上昇後の燃料噴射圧に応じた過給圧が得られるように、ノズルベーンの開度を調節するようになっている。
特許第4957651号明細書
ところで、エンジンの過渡状態においては目標過給圧が急激に変化することがある。この場合、ターボチャージャの慣性によりターボチャージャの回転数の増加が遅れて、応答性能(レスポンス)が低下することがある。このため、エンジンの過渡状態において、ターボチャージャの応答性能を向上させることが望まれる。
この点、特許文献1に記載のターボチャージャでは、エンジンのトルクアップが求められる過渡状態において、燃料噴射圧の上昇量が大きいほど、過給圧の増加量が大きくなるように、ノズルベーンの開度が調節されるようになっている。
しかしながら、エンジンの過渡状態における、様々なエンジン回転数又は負荷に応じた、各燃料噴射圧に対応する過給圧を求めるための具体的な手法は、特許文献1には記載されていない。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、エンジンの状態(定常状態又は過渡状態)によらず適切に制御可能なターボチャージャの制御方法、制御装置及び運転制御プログラム並びに過給システムを提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るターボチャージャの制御方法は、
エンジンからの排ガスにより回転駆動されるように構成されたタービンと、前記タービンに流入する前記排ガスの流路面積を変えるように開度調節可能なノズルベーンと、を含むターボチャージャの制御方法であって、
前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第1状態量を用いた予測モデルに基づいて、前記エンジンの過渡状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第1暫定指令値を取得する第1取得ステップと、
前記エンジンの定常状態における、前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第2状態量と、該第2状態量に対応する前記ノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップに基づいて、前記エンジンの定常状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第2暫定指令値を取得する第2取得ステップと、
前記エンジンの現在の状態が前記過渡状態又は前記定常状態のいずれの状態であるかを判定する状態判定ステップと、
前記状態判定ステップでの判定結果に基づいて、前記第1暫定指令値又は前記第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて、実際に前記ターボチャージャに与える前記ノズルベーンの最終開度指令値を取得する最終指令値取得ステップと、
を備える。
上記(1)の方法では、エンジン又はターボチャージャの状態を示す状態量に基づいて、予測モデルを用いて過渡状態での制御のためのノズルベーン開度指令値である第1暫定指令値を取得するとともに、予め作成されたマップから定常状態での制御のノズルベーン開度指令値である第2暫定指令値を取得し、状態判定ステップでのエンジンの状態の判定結果に応じて、第1暫定指令値又は第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて実際にターボチャージャに与える最終開度指令値を取得する。これにより、エンジン又はターボチャージャの動作状態が時々刻々変化する過渡状態においても、ノズルベーンの開度を適切に調節することができる。よって、上記(1)の方法によれば、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記第1取得ステップでは、前記少なくとも1つの前記第1状態量から、前記予測モデルに基づいて前記第1暫定指令値を算出する。
上記(2)の方法によれば、予測モデルを用いて、エンジン又はターボチャージャの状態を示す第1状態量から未来の状態量を予測し、予測された未来の状態量に基づいて過渡状態での制御のための開度指令値である第1暫定指令値が算出される。このように算出された第1暫定指令値に基づいて取得される最終開度指令値を用いることで、過渡状態において時々刻々変化するエンジン又はターボチャージャの動作状態に応じて、ノズルベーンの開度を適切に調節することができる。これにより、エンジンの過渡状態においても、応答性能が良好なターボチャージャの制御が可能となり、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記第1取得ステップでは、前記予測モデルを用いて予め作成され、前記エンジンの過渡状態における、前記少なくとも1つの第1状態量と、該第1状態量に対応する前記ノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップを参照することにより前記第1暫定指令値を取得する。
上記(3)の方法によれば、エンジン又はターボチャージャの状態を示す第1状態量と、予測モデルを用いて前述の第1状態量から予測される未来の状態量から求まるノズルベーンの開度指令値と、の関係を表すマップを参照することにより、過渡状態での制御のための開度指令値である第1暫定指令値が取得される。このように取得された第1暫定指令値に基づいて取得される最終開度指令値を用いることで、過渡状態において時々刻々変化するエンジン又はターボチャージャの動作状態に応じて、ノズルベーンの開度を適切に調節することができる。これにより、エンジンの過渡状態においても、応答性能が良好なターボチャージャの制御が可能となり、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの方法において、
前記少なくとも1つの第1状態量は、前記エンジンの過給圧、前記エンジンの回転数、前記エンジンのマニホールドの温度、前記マニホールドの圧力、前記ノズルベーンの開度、または、前記エンジンの目標過給圧の少なくとも一つのパラメータの現在値を含む。
上記(4)の方法によれば、第1状態量として、前記エンジンの過給圧、前記エンジンの回転数、前記エンジンのマニホールドの温度、前記マニホールドの圧力、前記ノズルベーンの開度、または、前記エンジンの目標過給圧の少なくとも一つのパラメータの現在値を予測モデルに適用する。これにより、現在の状態量(第1状態量)に応じた未来の状態量を予測し、これに基づき過渡状態での制御のための開度指令値(第1暫定指令値)及び最終開度指令値を取得することができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの方法において、
前記少なくとも1つの第2状態量は、前記エンジンの目標過給圧を含むことを特徴とする。
上記(5)の方法によれば、エンジンの定常状態における目標過給圧と、該目標過給圧に対応するノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップに基づいて、エンジンの定常状態での制御のためのノズルベーンの開度指令値である第2暫定指令値を取得することができる。これにより、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの方法において、
前記状態判定ステップでは、前記エンジンの第3状態量の現在値と、前記エンジンの前記第3状態量の目標値との差と、閾値との比較に基づいて、前記エンジンの現在の状態が前記過渡状態又は前記定常状態のいずれの状態であるかを判定する。
上記(6)の方法によれば、エンジンの第3状態量の現在値と目標値との差(偏差)と、閾値との比較に基づいて、エンジンの現在の状態が過渡状態又は定常状態のいずれの状態であるかを判定する。この判定結果に基づいて、ターボチャージャに与えるノズルベーンの最終開度指令値を適切に取得することができるので、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの方法において、
前記最終指令値取得ステップでは、前記第1暫定指令値をAとし、前記第2暫定指令値をBとしたとき、重み付け係数α(0≦α≦1)を用いて、X=α×A+(1−α)×Bにより表される値Xに基づいて、前記最終開度指令値を算出する。
上記(7)の方法によれば、重み付け係数αが0≦α≦1の範囲で可変であるので、重み付け係数αによって定まるXも、過渡状態での制御のための第1暫定指令値Aと定常状態での制御のための第2暫定指令値Bとの間で可変である。したがって、エンジンの状態が定常状態と過渡状態との間で遷移したときに、XをAとBとの間で重み付け係数αに応じて変化させることにより、エンジンの遷移的状態(例えば、過渡状態から定常状態への到達度合い)に応じて最終開度指令値を適切に設定することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の方法において、
前記エンジンが前記過渡状態のときに1であり、前記エンジンが前記定常状態のとき0である過渡度αに対して、レートリミット処理を施すことで前記重み付け係数αを求める重み付け係数算出ステップをさらに備える。
上記(8)の方法によれば、過渡度αに対してレートリミット処理を施すことで重み付け係数αが求められる。すなわち、定常状態(α=0)から過渡状態(α=1)、又は、過渡状態(α=1)から定常状態(α=0)に遷移するとき、重み付け係数αの時間変化率に制限が設けられる。このため、エンジンの状態が遷移するとき、重み付け係数αが徐々に変化するとともに、重み付け係数によって定まるXも徐々に変化する。これにより、最終開度指令値の急激な変化を効果的に抑制して、ノズルベーン開度又は過給圧のオーバーシュート又はハンチングを抑制することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の方法において、
前記レートリミット処理では、
前記過渡度αが0から1に変化したとき前記重み付け係数αの変化速度の絶対値が第1レート制限Rmax1以下に制限されるとともに、
前記過渡度αが1から0に変化したとき前記重み付け係数αの変化速度の絶対値が第2レート制限Rmax2以下に制限され、
前記第1レート制限Rmax1と前記第2レート制限Rmax2とは、Rmax1>Rmax2の関係を満たす。
上記(9)の方法によれば、エンジンの状態が定常状態から過渡状態に遷移するとき(すなわち過渡度αが0から1に変化したとき)には、重み付け係数αの変化速度の絶対値が比較的大きいRmax1以下に制限される。よって、このとき、重み付け係数αによって定まるXについても比較的大きな時間変化率が許容されるため、Xに基づく最終開度指令値を比較的大きな時間変化率で変化させることができる。これにより、例えば、過給圧を迅速に要求値に近づけることができる。
一方、上記(9)の方法によれば、エンジンの状態が過渡状態から定常状態に遷移するとき(すなわち過渡度αが1から0に変化したとき)には、重み付け係数αの変化速度の絶対値が比較的小さいRmax2以下に制限される。よって、このとき、重み付け係数αによって定まるXについても比較的小さな時間変化率で変化するので、最終開度指令値の急激な変化を効果的に抑制して、ノズルベーン開度又は過給圧のオーバーシュート又はハンチングを抑制することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の方法において、
前記最終指令値取得ステップでは、
前記状態判定ステップでの判定結果が前記定常状態から前記過渡状態に変化したときには、前記定常状態から前記過渡状態に変化してから少なくとも規定時間の間、前記状態判定ステップでの判定結果に関わらず、前記第1暫定指令値に基づいて前記最終開度指令値を決定し、
前記規定時間を除く期間において、前記第2暫定指令値に基づいて前記最終開度指令値を決定する。
第1暫定指令値に基づくノズルベーン開度の制御の結果、過給圧が目標値に近づいたとしても、エンジンにおいて過給圧以外の状態が定常状態に完全に移行できていない場合もある。
この点、上記(10)の方法によれば、規定時間の間は、状態判定ステップでの判定結果に関わらず、過渡状態での制御のための第1暫定指令値に基づいて最終開度指令値を決定するとともに、それ以外の期間においては、定常状態の制御のための第2暫定指令値に基づいて最終開度指令値を決定するので、エンジンが完全な定常状態に近づくのを待ってから、定常状態に適した制御に移行できる。これにより、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の方法において、
前記最終指令値取得ステップで取得される前記最終開度指令値の時間変化率は、レート制限以下に制限されている。
上記(11)の方法によれば、最終開度指令値の時間変化率がレート制限以下に制限されるので、最終指令値は徐々に変化する。これにより、最終開度指令値の急激な変化を効果的に抑制して、ノズルベーン開度又は過給圧のオーバーシュート又はハンチングを抑制することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の方法において、
前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第4状態量に基づいて、前記予測モデルを修正するステップをさらに備える。
上記(12)の方法によれば、エンジン又はターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第4状態量に基づいて、予測モデルが修正される。これにより、エンジン又はターボチャージャの製品状態に変化(例えば径時劣化)が生じた場合に、エンジン又はターボチャージャの製品状態の変化に応じて予測モデルが修正されるので、エンジン又はターボチャージャの現在の製品状態において適切な最終開度指令値を取得することができる。よって、エンジンの製品寿命にわたって、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
(13)本発明の少なくとも一実施形態に係るターボチャージャの制御装置は、
エンジンからの排ガスにより回転駆動されるように構成されたタービンと、前記タービンに流入する前記排ガスの流路面積を変えるように開度調節可能なノズルベーンと、を含むターボチャージャの制御装置であって、
前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第1状態量を用いた予測モデルに基づいて、前記エンジンの過渡状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第1暫定指令値を取得する第1取得部と、
前記エンジンの定常状態における、前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第2状態量と、該第2状態量に対応する前記ノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップに基づいて、前記エンジンの定常状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第2暫定指令値を取得する第2取得部と、
前記エンジンの現在の状態が前記過渡状態又は前記定常状態のいずれの状態であるかを判定する状態判定部と、
前記状態判定部による判定結果に基づいて、前記第1暫定指令値又は前記第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて、実際に前記ターボチャージャに与える前記ノズルベーンの最終開度指令値を取得する最終指令値取得部と、
を備える。
上記(13)の構成では、エンジン又はターボチャージャの状態を示す状態量に基づいて、予測モデルを用いて過渡状態での制御のためのノズルベーン開度指令値である第1暫定指令値を取得するとともに、予め作成されたマップから定常状態での制御のノズルベーン開度指令値である第2暫定指令値を取得し、状態判定ステップでのエンジンの状態の判定結果に応じて、第1暫定指令値又は第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて実際にターボチャージャに与える最終開度指令値を取得する。これにより、エンジン又はターボチャージャの動作状態が時々刻々変化する過渡状態においても、ノズルベーンの開度を適切に調節することができる。よって、上記(13)の構成によれば、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
(14)本発明の少なくとも一実施形態に係る過給システムは、
エンジンからの排ガスにより回転駆動されるように構成されたタービンと、前記タービンに流入する前記排ガスの流路面積を変えるように開度調節可能なノズルベーンと、を含むターボチャージャと、
前記ターボチャージャを制御するための制御装置と、
を備える過給システムであって、
前記制御装置は、上記(13)の制御装置である。
上記(14)の構成では、エンジン又はターボチャージャの状態を示す状態量に基づいて、予測モデルを用いて過渡状態での制御のためのノズルベーン開度指令値である第1暫定指令値を取得するとともに、予め作成されたマップから定常状態での制御のノズルベーン開度指令値である第2暫定指令値を取得し、状態判定ステップでのエンジンの状態の判定結果に応じて、第1暫定指令値又は第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて実際にターボチャージャに与える最終開度指令値を取得する。これにより、エンジン又はターボチャージャの動作状態が時々刻々変化する過渡状態においても、ノズルベーンの開度を適切に調節することができる。よって、上記(14)の構成によれば、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係るターボチャージャの運転制御プログラムは、
エンジンからの排ガスにより回転駆動されるように構成されたタービンと、前記タービンに流入する前記排ガスの流路面積を変えるように開度調節可能なノズルベーンと、を含むターボチャージャの運転制御プログラムであって、
前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第1状態量を用いた予測モデルに基づいて、前記エンジンの過渡状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第1暫定指令値を取得する手順と、
前記エンジンの定常状態における、前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第2状態量と、該第2状態量に対応する前記ノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップに基づいて、前記エンジンの定常状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第2暫定指令値を取得する手順と、
前記エンジンの現在の状態が前記過渡状態又は前記定常状態のいずれの状態であるかを判定する手順と、
前記エンジンの状態の判定結果に基づいて、前記第1暫定指令値又は前記第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて、実際に前記ターボチャージャに与える前記ノズルベーンの最終開度指令値を取得する手順と、
をコンピュータに実行させる。
上記(15)のプログラムでは、エンジン又はターボチャージャの状態を示す状態量に基づいて、予測モデルを用いて過渡状態での制御のためのノズルベーン開度指令値である第1暫定指令値を取得するとともに、予め作成されたマップから定常状態での制御のノズルベーン開度指令値である第2暫定指令値を取得し、状態判定ステップでのエンジンの状態の判定結果に応じて、第1暫定指令値又は第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて実際にターボチャージャに与える最終開度指令値を取得する。これにより、エンジン又はターボチャージャの動作状態が時々刻々変化する過渡状態においても、ノズルベーンの開度を適切に調節することができる。よって、上記(15)のプログラムによれば、エンジンの状態によらず、ターボチャージャを適切に制御することができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、エンジンの状態によらず適切に制御可能なターボチャージャの制御方法、制御装置及び運転制御プログラム並びに過給システムが提供される。
一実施形態に係る過給システムが適用されるエンジンシステムの一例の概略構成図である。 一実施形態に係るターボチャージャのタービンの概略断面図である。 一実施形態に係るターボECU(制御装置)の構成を示すブロック図である。 一実施形態に係る第1取得部による処理の一例を示すフローチャートである。 一実施形態に係る状態判定部による処理の一例を示すフローチャートである。 一実施形態に係る最終指令値取得部による処理の一例を示すフローチャートである。 一実施形態に係る最終指令値取得部による処理の一例を示すフローチャートである。 一実施形態に係る最終指令値取得部による処理の一例を示すフローチャートである。 一実施形態に係る制御方法をシミュレーションした結果を示す図である。 一実施形態に係る制御方法をシミュレーションした結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
まず、図1を参照して、一実施形態に係る過給システムが適用されるエンジンシステムについて説明する。図1は、一実施形態に係る過給システムが適用されるエンジンシステムの一例の概略構成図である。図1に示すように、エンジンシステム1は、エンジン2と、ターボチャージャ3と、エンジン2及びターボチャージャ3を制御するための制御装置10と、を備える。
ターボチャージャ3は、エンジン2に供給される空気を圧縮するためのコンプレッサ3aと、回転シャフト3cを介してコンプレッサ3aに接続されるタービン3bと、を有する。コンプレッサ3aは、エンジン2の吸気側に接続される吸気管路4に設けられており、タービン3bは、エンジン2の排気側に接続される排気管路6に設けられている。
エンジンシステム1において、不図示のエアクリーナを介して吸気管路4に導入された空気(吸気)は、ターボチャージャ3のコンプレッサ3aに流入し、該コンプレッサ3aによって圧縮される。
コンプレッサ3aで圧縮された吸気は、吸気管路4に設けられたインタークーラ8で冷却され、スロットルバルブ7でその吸気量が調整されて、吸気マニホールド5を介してエンジン2の各燃焼室2aに供給される。エンジン2の各燃焼室2aには、圧縮空気及び燃料が供給されて、これらが燃焼して生成した排ガスは、排気マニホールド9を介して排気管路6に排出されるようになっている。
排気管路6に排出された排ガスは、ターボチャージャ3のタービン3bに流入し、タービン3bを回転駆動させる。タービン3bが回転駆動されることにより、タービン3bに接続されたコンプレッサ3aが同軸駆動され、これにより、上述したように、コンプレッサ3aに流入した吸気が圧縮されるようになっている。
ターボチャージャ3は、タービン3bに流入する排ガスの流路面積を変えるように開度調節可能なノズルベーン3dをさらに備える。すなわち、ターボチャージャ3は、ノズルベーン3dの開度を変更可能な、可変型ターボチャージャである。
ノズルベーン3dの開度を変更してタービン3bに流入する排ガスの流路面積を調節することで、タービン3b及びこれと同軸駆動するコンプレッサ3aの回転数を調節し、これによりターボチャージャ3による過給圧が調節されるようになっている。
ノズルベーン3dの開度は、制御装置10によって制御される。一実施形態では、過給システム100は、上述したノズルベーン3dを有するターボチャージャ3と、制御装置10と、を含む。
図1に示すように、制御装置10は、エンジンECU10A(エンジンコントローラ)と、ターボECU10B(ターボコントローラ)と、を含む。エンジンECU10A及びターボECU10Bの各々は、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、およびI/Oインターフェイス等から構成される。
ここで、図2を参照して、ノズルベーンによる排ガスの流路面積の調節について説明する。図2は、一実施形態に係るターボチャージャ3のタービン3bの概略断面図である。
図2に示すように、タービン3bは、タービンケーシング50内に複数の動翼56が取り付けられたタービンロータ54を備える。タービンロータ54は回転シャフト3cを介してコンプレッサ3aに接続される。エンジン2からの排ガスがタービン3bに流入すると、動翼56が排ガスの流れを受けてタービンロータ54が回転し、これによりコンプレッサ3aが回転駆動されるようになっている。複数のノズルベーン3dは、タービンロータ54の外周側において、支持軸3eを回動軸として回動自在に設けられている。
複数のノズルベーン3dの開度は、アクチュエータ(不図示)によって支持軸3eを回転させることで変化させることができるようになっている。図2において、二点鎖線で示されるノズルベーン3d’は、実線で示されるノズルベーン3dよりも開度が大きい状態である。すなわち、二点鎖線で示されるノズルベーン3d’同士の間の距離Dは、実線で示されるノズルベーン3d同士の間の距離Dよりも大きい。このため、排ガスの流路面積は、開度が小さい時に比べて、開度が大きい時の方が大きくなる。
ノズルベーン3dの開度を減少させる(すなわち、排ガスの流路面積を減少させる)ことで、排ガスのタービン3bへの流入速度が上昇するため、過給システム100による過給圧を上昇させることができる。また、ノズルベーン3dの開度を開く(すなわち、排ガスの流路面積を増加させる)ことで、排ガスのタービン3bへの流入速度が減少するため、過給システム100による過給圧を減少させることができる。このようにして、ノズルベーン3dの開度を調整することにより、エンジン2における過給圧を調節することができる。
以下、図3〜図8を参照して、上述の構成を有するターボチャージャ3を制御するための制御装置(ターボECU)及び制御方法の例について説明する。
図3は、一実施形態に係るターボECU(制御装置)の構成を示すブロック図である。図3に示すように、ターボECU10Bは、エンジン2又はターボチャージャ3の状態を示す状態量に基づいて、ノズルベーン3dの暫定の開度指令値をそれぞれ取得するための第1取得部12及び第2取得部14と、エンジン2の現在の状態を判定するための状態判定部17と、状態判定部17の判定結果に基づいて、実際にターボチャージャ3に与えるノズルベーン3dの最終開度指令値を取得するための最終指令値取得部18と、を備えている。
第1取得部12は、エンジン2又はターボチャージャ3の状態を示す少なくとも1つの第1状態量を用いた予測モデルに基づいて、エンジン2の過渡状態での制御のためのノズルベーン3dの開度指令値である第1暫定指令値Aを取得するように構成されている。
第1状態量は、エンジン2又はターボチャージャ3の状態を示す状態量である。第1状態量は、エンジン2の過給圧、エンジン2の回転数、吸気マニホールド5の圧力、吸気マニホールド5の温度、排気マニホールド9の圧力、排気マニホールド9の温度、ノズルベーン3dの開度、または、エンジン2の目標過給圧の少なくとも一つのパラメータの現在値であってもよい。
上述の第1状態量は、エンジン2又はターボチャージャ3に設けられたセンサ30a〜30f等から取得されてもよい。
例えば、エンジン2の過給圧は、吸気管路4において吸気マニホールド5よりも上流側に設けられた圧力センサ30aにより取得してもよい。エンジン2の回転数は、エンジン2の回転数を検出するための回転数センサ30bにより取得してもよい。吸気マニホールド5の圧力又は温度は、吸気マニホールド5に設けられた圧力センサ30c又は温度センサ30dにより取得してもよい。排気マニホールド9の圧力又は温度は、排気マニホールド9に設けられた圧力センサ30e又は温度センサ30fにより取得してもよい。
ノズルベーン3dの開度は、ノズルベーン3dを作動させるためのアクチュエータの作動量を検出するセンサ(不図示)から取得されるデータに基づいて算出してもよい。
また、エンジン2の目標過給圧は、エンジン2又はターボチャージャ3に設けられた各種センサから取得したデータに基づいてエンジンECU10Aによって算出された値であってもよい。
幾つかの実施形態では、第1取得部12は、少なくとも1つの第1状態量から、予測モデルに基づいて第1暫定指令値Aを算出する。すなわち、上述したセンサ30a〜30f等によって取得される第1状態量の現在値に基づいて、該第1状態量に応じた第1暫定指令値Aが、リアルタイムに算出される。
第1取得部12による第1暫定指令値Aの算出フローの例について、図4を参照して説明する。図4は、一実施形態に係る第1取得部12による処理の一例を示すフローチャートである。
まず、上述したセンサ30a〜30f等によって第1状態量ベクトルxを取得する(ステップS102)。ここで、xは、エンジン2の過給圧やエンジン2の回転数等、予測モデル計算に用いる各第1状態量を成分とするベクトルである。
次に、第1取得部12は、ステップS102で取得した第1状態量ベクトルに基づいて、予測ステップ数先までのモデル行列を作成する(ステップS104)。
例えば、時間ステップkからNpステップ先までのモデル行列は、以下のように表現できる。
k+1=Ax+Bu ・・・(1)
k+2=Axk+1+Buk+1 ・・・(2)

k+Np=Axk+Np−1+Buk+Np−1 ・・・(Np)
ただし、上記式において、uはノズルベーン3dの開度指令値であり、添え字k、k+1、k+2、…、k+Npは、時間ステップを表し、A及びBは、それぞれ、エンジン2及びターボチャージャ3のモデルを行列形式で表現したものである。A及びBは、それぞれ、運動方式等から導出される物理関係から導かれる。
そして、最適化計算により、xk+Npを最適にするu〜uk+Np−1を算出する(ステップS108)。より具体的には、上述のモデル行列を表す上式(1)、(2)、…、(Np)より、A,B,x及びuを用いて、xk+Npを以下のように表現できる。
k+Np=Axk+Np−1+Buk+Np−1
=ANp+ANp−1Bu+ANp−2Buk+1+…+Buk+Np−1
この式に、既知のA〜ANp、AB〜ANp−1B、xを入力すれば、u,…,uk+Np−1を変数としてxk+Npを表現できる。これより、xk+Npを最適にするu,…,uk+Np−1を導出する。そして、このようにして求められたuを、第1暫定指令値Aとして取得する。
以上のようにして、第1取得部12により、少なくとも1つの第1状態量から、予測モデルに基づいて第1暫定指令値Aを算出することができる。
幾つかの実施形態では、第1取得部12は、センサ30a〜30f等によって取得される第1状態量の現在値に応じた第1暫定指令値Aをリアルタイムに算出する代わりに、例えば上述した予測モデルを用いて予め作成された第1状態量と、該第1状態量に対応するノズルベーン3dの開度指令値との関係を表すマップを参照し、センサ30a〜30f等によって取得される第1状態量の現在値に応じた第1暫定指令値Aを、該マップから取得するようになっていてもよい。
第1状態量とノズルベーン3dの開度指令値との関係を表すマップは、ターボECU10Bの内部又は外部に設けられた記憶部(例えばメモリ)に記憶されていてもよい。
第2取得部14は、エンジン2又はターボチャージャ3の状態を示す少なくとも1つの第2状態量とノズルベーン3dの開度指令値との関係を表すマップ16に基づいて、エンジン2の定常状態での制御のためのノズルベーン3dの開度指令値である第2暫定指令値Bを取得するように構成されている。
第2状態量とノズルベーン3dの開度指令値との関係を表すマップ16は、ターボECU10Bの内部又は外部に設けられた記憶部15(例えばメモリ)に記憶されていてもよい。
第2状態量は、エンジン2の目標過給圧であってもよい。すなわち、マップ16は、エンジン2の目標過給圧と、ノズルベーン3dの開度指令値との関係を表すマップであってもよい。
エンジン2の目標過給圧とノズルベーン3dの開度指令値との相関関係は、エンジン2の回転数によって異なる場合がある。この観点から、マップ16は、エンジン2の異なる回転数に対応するエンジン2の目標過給圧とノズルベーン3dの開度指令値との関係を表す複数のマップを含んでいてもよい。
状態判定部17は、第3状態量の現在値と目標値との差に基づいて、エンジン2の現在の状態が過渡状態又は定常状態のいずれの状態であるかを判定するように構成されている。なお、エンジン2の定常状態とは、エンジン2の状態量(回転数又は負荷等)が経時的に一定である状態のことであり、エンジン2の過渡状態とは、エンジン2が、ある定常状態から別の定常状態へと移っている最中の状態のことである。
第3状態量としては、例えば、エンジン2の過給圧、エンジン2のトルク、又はエンジン2における燃料噴射量の少なくとも1つを用いることができる。
状態判定部17によるエンジン2の状態判定のフローの例について、図5を参照して説明する。図5は、一実施形態に係る状態判定部17による処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、第3状態量がエンジン2の過給圧である場合を例として説明する。
状態判定部17は、まず、圧力センサ30aから取得されるエンジン2の過給圧の現在値と、エンジン2の過給圧の目標値との差を算出し、この差を予め設定された閾値範囲と比較する(ステップS202)。
ステップS202での比較の結果、エンジン2の過給圧の現在値と目標値との差が閾値範囲内である場合(S202のYES)、状態判定部17は、エンジン2は定常状態であると判断する(過渡度αを0とする)(ステップS204)。
一方、ステップS202での比較の結果、エンジン2の過給圧の現在値と目標値との差が閾値範囲外である場合(S202のNO)、状態判定部17は、エンジン2は過渡状態であると判断する(過渡度αを1とする)(ステップS206)。
ここで、過渡度αはエンジン2の状態を示すパラメータであり、エンジン2が過渡状態のときに1であり、エンジン2が定常状態のとき0であると定義する。
なお、状態判定部17によるエンジン2の状態の判定は、第1取得部12及び第2取得部14による第1暫定指令値A及び第2暫定指令値Bの取得より先に行われてもよく、後に行われてもよい。
例えば、状態判定部17によってエンジン2の状態が定常状態であるか過渡状態であるかを判定した後、その判定結果に基づいて、第1暫定指令値A又は第2暫定指令値Bのうち、最終開度指令値Zの取得のために必要とされる一方のみが取得されるようになっていてもよい。
最終指令値取得部18は、状態判定部17による判定結果に基づいて、第1暫定指令値A又は第2暫定指令値Bの少なくとも一方を用いて、実際にターボチャージャ3に与えるノズルベーン3dの最終開度指令値Zを取得するように構成されている。
幾つかの実施形態では、最終指令値取得部18は、第1暫定指令値A、第2暫定指令値B、及び、重み付け係数α(0≦α≦1)を用いて、X=α×A+(1−α)×Bにより表される値Xに基づいて、最終開度指令値Zを算出する。
この場合、重み付け係数αが0≦α≦1の範囲で可変であるので、重み付け係数αによって定まるXも、過渡状態での制御のための第1暫定指令値Aと定常状態での制御のための第2暫定指令値Bとの間で可変である。したがって、エンジン2の状態が定常状態と過渡状態との間で遷移したときに、XをAとBとの間で重み付け係数αに応じて変化させることにより、エンジン2の遷移的状態(例えば、過渡状態から定常状態への到達度合い)に応じて最終開度指令値Zを適切に設定することができる。
なお、上述の式から算出される値Xそのものを最終開度指令値Zとしてもよい。あるいは、上述の値Xに対して、後述するレートリミット処理を施したうえで、最終開度指令値Zとしてもよい。
一実施形態では、最終指令値取得部18は、上述の過渡度α(0又は1)に対して、レートリミット処理を施すことで前記重み付け係数αを求める重み付け係数を算出するように構成されていてもよい。
例えば、一実施形態では、エンジン2の状態が定常状態(α=0)から過渡状態(α=1)に遷移するとき、重み付け係数αは、定常状態における過渡度α=0から開始するとともに、ある時刻からΔtの期間におけるαの変化速度の絶対値(時間変化率)|Δα/Δt|に上限値である第1レート制限Rmax1が設けられる。そして、変化速度の絶対値がRmax1以下との制限のもと、αは0から1まで変化する。
また、例えば、一実施形態では、エンジン2の状態が過渡状態(α=1)から定常状態(α=0)に遷移するとき、重み付け係数αは、過渡状態における過渡度α=1から開始するとともに、ある時刻からΔtの期間におけるαの変化速度の絶対値(時間変化率)|Δα/Δt|に上限値である第2レート制限Rmax2が設けられる。そして、変化速度がRmax2以下との制限のもと、αは1から0まで変化する。
このように、重み付け係数αにレート制限処理を施すことにより、エンジン2の状態が遷移するとき、重み付け係数αが徐々に変化するとともに、重み付け係数によって定まる上述のXも徐々に変化する。これにより、Xに基づく最終開度指令値Zの急激な変化を効果的に抑制して、ノズルベーン3dの開度又は過給圧のオーバーシュート又はハンチングを抑制することができる。
ここで、重み付け係数αのレートリミット処理を含む最終開度指令値Zを取得するフローの一例について、図6を参照して説明する。図6は、一実施形態に係る最終指令値取得部18による処理の一例を示すフローチャートである。
最終指令値取得部18は、まず、状態判定部17による判定結果(定常状態:α=0)又は過渡状態:α=1)を受け取って、現在、エンジン2が定常状態(α=0)から過渡状態(α=1)に変化したか否か(ステップS312)、あるいは、エンジン2が過渡状態(α=1)から定常状態(α=0)に変化したか否か(ステップS314)、を判定する。
エンジン2が定常状態から過渡状態に変化たと判定された場合(ステップS312のYES)、重み付け係数αの変化速度の絶対値|Δα/Δt|の上限値を第1レート制限Rmax1に設定する(ステップS313)。また、エンジン2が過渡状態から定常状態に変化したと判定された場合(ステップS312のNOかつステップS314のYES)、重み付け係数αの変化速度の絶対値|Δα/Δt|の上限値を第2レート制限Rmax2に設定する(ステップS315)。ここで、第1レート制限Rmax1と第2レート制限Rmax2とは、Rmax1>Rmax2の関係を満たす。
そして、上述の第1レート制限Rmax1又は第2レート制限Rmax2に基づいて求まる変化量Δαを加算することで、重み付け係数αを更新する(ステップS316)。このようにして取得された重み付け係数αに基づいて上述の値Xが算出され(ステップS318)、この値Xに基づいて最終開度指令値Zが取得される。
上述の例では、エンジン2の状態が定常状態から過渡状態に遷移するときには、重み付け係数αの変化速度の絶対値が比較的大きいRmax1以下に制限される。よって、このとき、重み付け係数αによって定まるXについても比較的大きな時間変化率が許容されるため、Xに基づく最終開度指令値Zを比較的大きな時間変化率で変化させることができる。これにより、例えば、過給圧を迅速に要求値に近づけることができる。
一方、上述の例では、エンジン2の状態が過渡状態から定常状態に遷移するときには、重み付け係数αの変化速度の絶対値が比較的小さいRmax2以下に制限される。よって、このとき、重み付け係数αによって定まるXについても比較的小さな時間変化率で変化するので、最終開度指令値Zの急激な変化を効果的に抑制して、ノズルベーン3dの開度又は過給圧のオーバーシュート又はハンチングを抑制することができる。
なお、図6のフローチャートのステップS312及びS314において、エンジン2の状態が定常状態と過渡状態との間で遷移しておらず、エンジン2は定常状態(α=0)又は過渡状態(α=1)であると判断された場合には(ステップS312のNOかつS314のNO)、過渡度α(0又は1)をそのまま重み付け係数αとして設定し(ステップS317)、このαに基づいて値Xを算出してもよい。
図7は、一実施形態に係る最終指令値取得部18による処理の一例を示すフローチャートである。
幾つかの実施形態では、最終指令値取得部18は、上述の可変の重み付け係数α(0≦α≦1)を用いる代わりに、エンジン2が定常状態であるか、又は過渡状態であるかにかかわらず、第1暫定指令値A又は第2暫定指令値Bに基づいて最終開度指令値Zを決定するように構成されていてもよい。
例えば、図7に示すように、最終指令値取得部18は、まず、状態判定部17による判定結果(定常状態:α=0)又は過渡状態:α=1)を受け取って、現在、エンジン2が定常状態(α=0)から過渡状態(α=1)に変化しているか否かを判定する(ステップS322)。
ステップS322で、エンジン2が定常状態(α=0)から過渡状態(α=1)に変化したと判定された場合(ステップS322のYES)、エンジン2が定常状態から過渡状態に変化してから規定時間Tが経過しなければ(ステップS324のYES)、過渡度α=1を重み付け係数αとして用い、過渡状態での制御のための第1暫定指令値AがXとして算出される(ステップS326)。
一方、それ以外の場合、すなわち、エンジン2が定常状態から過渡状態に変化してから規定時間Tが経過していた場合(ステップS324のNO)、又はエンジン2が定常状態(α=0)から過渡状態(α=1)に変化したと判定さていない場合(ステップS322のNO)は、過渡度α=0を重み付け係数αとして用い、定常状態での制御のための第2暫定指令値BがXとして算出される(ステップS328)。
上述の例では、エンジン2が定常状態から過渡状態に変化してから規定時間Tの間は、状態判定部17での判定結果に関わらず、過渡状態での制御のための第1暫定指令値Aに基づいて最終開度指令値Zを決定するとともに、それ以外の期間においては、定常状態の制御のための第2暫定指令値Bに基づいて最終開度指令値Zを決定するので、エンジン2が完全な定常状態に近づくのを待ってから、定常状態に適した制御に移行できる。これにより、エンジン2の状態によらず、ターボチャージャ3を適切に制御することができる。
幾つかの実施形態では、最終指令値取得部18で取得される最終開度指令値Zの時間変化率は、レート制限Smax以下に制限されている。すなわち、既に説明した幾つかの例において最終指令値取得部18で取得される値X(X=α×A+(1−α)×B)に対して、レートリミット処理を施したうえで、最終開度指令値Zとしてもよい。
この場合、最終開度指令値の時間変化率がレート制限以下に制限されるので、最終指令値は徐々に変化する。これにより、最終開度指令値の急激な変化を効果的に抑制して、ノズルベーン開度又は過給圧のオーバーシュート又はハンチングを抑制することができる。
ここで、上述の値Xに対するレートリミット処理を含む最終開度指令値Zを取得するフローの一例について、図8を参照して説明する。図8は、一実施形態に係る最終指令値取得部18による処理の一例を示すフローチャートである。
最終指令値取得部18は、状態判定部17による判定結果(定常状態:α=0)又は過渡状態:α=1)を受け取って、現在、エンジン2が定常状態(α=0)から過渡状態(α=1)に変化したか否か(ステップS332)、あるいは、エンジン2が過渡状態(α=1)から定常状態(α=0)に変化したか否か(ステップS334)、を判定する。
エンジン2が定常状態から過渡状態に変化したと判定された場合(ステップS332のYES)、既に取得された値Xの変化速度の絶対値|ΔX/Δt|の上限値を第1レート制限Smax1に設定する(ステップS333)。また、エンジン2が過渡状態から定常状態に変化したと判定された場合(ステップS332のNOかつステップS334のYES)、既に取得された値Xの変化速度の絶対値|ΔX/Δt|の上限値を第2レート制限Smax2に設定する(ステップS335)。ここで、第1レート制限Smax1と第2レート制限Smax2とは、Smax1>Smax2の関係を満たす。
そして、上述の第1レート制限Smax1又は第2レート制限Smax2に基づいて求まる変化量ΔXを加算することで、値Xを更新する(ステップS336)。このようにして取得された値Xに基づいて最終開度指令値Zが算出される(ステップS338)。
上述の例では、エンジン2の状態が定常状態から過渡状態に遷移するときには、最終開度指令値Zを決定するための値Xの変化速度の絶対値が比較的大きいSmax1以下に制限される。よって、このとき、値Xによって定まる最終開度指令値Zについても比較的大きな時間変化率が許容される。これにより、例えば、過給圧を迅速に要求値に近づけることができる。
一方、上述の例では、エンジン2の状態が過渡状態から定常状態に遷移するときには、最終開度指令値Zを決定するための値Xの変化速度の絶対値が比較的小さいSmax2以下に制限される。よって、このとき、値Xによって定まる最終開度指令値Zについても比較的小さな時間変化率で変化するので、最終開度指令値Zの急激な変化を効果的に抑制して、ノズルベーン3dの開度又は過給圧のオーバーシュート又はハンチングを抑制することができる。
なお、図8のフローチャートのステップS332及びS334において、エンジン2の状態が定常状態と過渡状態との間で遷移しておらず、エンジン2は定常状態(α=0)又は過渡状態(α=1)であると判断された場合には(ステップS332のNOかつS334のNO)、値Xをそのまま最終開度指令値Zとして設定するようにしてもよい(ステップS338)。
ここで、図9A及び図9Bは、一実施形態に係る制御方法をシミュレーションした結果を示す図である。図9Aは、ノズルベーン開度のシミュレーション結果を示すグラフであり、図9Bは、図9Aに示すノズルベーン開度に基づいて得られる過給圧のシミュレーション結果を示すグラフである。
このシミュレーションは、以下の条件において行われた。すなわち、過給圧のシミュレーション値と目標過給圧との差が所定範囲TH(図9B参照)のときにエンジン2が定常状態であり、それ以外の時にはエンジン2は過渡状態であると判断されるようにした。このエンジン2の状態判定結果に基づいて、目標過給値が図9Bに示すものとなるように、第1暫定指令値A及び第2暫定指令値Bを取得するとともに、X=α×A+(1−α)×B(ただし、αは重み付け係数(0≦α≦1))により表される値Xを、ノズルベーン開度(最終開度指令値Z)のシミュレーション値として算出した。ただし、重み付け係数αにはレート制限が設けられており、定常状態から過渡状態に変化するときの第1レート制限Rmax1及び過渡状態から定常状態に変化するときの第2レート制限Rmax2は、Rmax1がRmax2の10倍となるように設定した。
このようにして得られたシミュレーションの算出値が図9A及び図9Bに示されている。
図9A及び図9Bに示されるように、目標過給圧が急上昇した時刻tにおいて、エンジン2は定常状態から過渡状態に変化したと判断された。時刻tにおいて、目標過給圧と過給圧計算値の差が範囲THの範囲内となり、エンジン2は過渡状態から定常状態に変化したと判断された。
これに従い、時刻t〜tでは、比較的大きな第1レート制限Rmax1を用いてノズルベーン開度が算出され、時刻t〜tでは、比較的小さな第2レート制限Rmax2を用いてノズルベーン開度が算出された。これにより、時刻t〜tでは、ノズルベーン開度の増加速度(変化速度)は比較的大きく、時刻t〜tでは、ノズルベーン開度の減少速度(変化速度)は比較的小さくなっている。
その結果、エンジン2が定常状態から過渡状態に変化した時刻tからtまでの間は、過給圧の計算値が迅速に目標値に近づくとともに、過給圧の計算値が目標値に近づいて定常状態となった時刻t以後、過給圧の計算値は、安定的に目標値付近の値となっており、大きく目標値から外れていない。そして、時刻tでは、ノズルベーン開度が一定となり、定常状態での制御に移行したことがわかる。
すなわち、時刻t〜tの過程において、過給圧のオーバーシュートやハンチングが抑制されている。
以上より、本発明の実施形態に係る制御方法、制御装置又は制御プログラムにより、エンジン2又はターボチャージャ3の動作状態が時々刻々変化する過渡状態においても、ノズルベーン3dの開度を適切に調節することができ、エンジン2の状態によらず、ターボチャージャ3を適切に制御可能であることが示される。
幾つかの実施形態では、ターボECU10Bは、エンジン2又はターボチャージャ3の状態を示す少なくとも1つの第4状態量に基づいて、第1取得部12で第1暫定指令値Aを取得する際に用いる予測モデルを修正するための予測モデル修正部19をさらに備えていてもよい。
例えば、時間ステップkからNpステップ先までのモデル行列が上述の式(1)、(2)、…、(Np)で表される場合、予測モデル修正部19は、エンジン2及びターボチャージャ3のモデルを行列形式で表現した上述の式中のA又はBを構成するパラメータの少なくとも何れかを修正するようになっていてもよい。
第4状態量は、例えば、エンジン2の過給圧、エンジン2の回転数、吸気マニホールド5の圧力、吸気マニホールド5の温度、排気マニホールド9の圧力、排気マニホールド9の温度、ノズルベーン3dの開度、または、エンジン2の目標過給圧の少なくとも一つのパラメータの現在値であってもよい。
このように、エンジン2又はターボチャージャ3の状態を示す少なくとも1つの第4状態量に基づいて、予測モデルが修正されることにより、エンジン2又はターボチャージャ3の製品状態に変化(例えば径時劣化)が生じた場合に、エンジン2又はターボチャージャ3の製品状態の変化に応じて予測モデルが修正される。よって、エンジン2又はターボチャージャ3の現在の製品状態において適切な最終開度指令値Zを取得することができ、エンジン2の製品寿命にわたって、エンジン2の状態によらず、ターボチャージャ3を適切に制御することができる。
幾つかの実施形態に係る運転制御プログラムは、上述の実施形態で説明したターボチャージャ3の制御方法を、ターボECU10Bによって実行するためのプログラムである。
幾つかの実施形態では、運転制御プログラムは、第1暫定指令値Aを取得するための予測モデルが修正されるように、予測モデル修正部19等によって自動的に修正されるようになっていてもよい。
以上に説明した実施形態によれば、エンジン2又はターボチャージャ3の状態を示す状態量に基づいて、予測モデルを用いて過渡状態での制御のためのノズルベーン3dの開度指令値である第1暫定指令値Aを取得するとともに、予め作成されたマップから定常状態での制御のノズルベーン3dの開度指令値である第2暫定指令値Bを取得し、エンジン2の状態の判定結果に応じて、第1暫定指令値A又は第2暫定指令値Bの少なくとも一方を用いて実際にターボチャージャ3に与える最終開度指令値Zを取得する。これにより、エンジン2又はターボチャージャ3の動作状態が時々刻々変化する過渡状態においても、ノズルベーン3dの開度を適切に調節することができる。よって、以上説明した実施啓太いによれば、エンジン2の状態によらず、ターボチャージャ3を適切に制御することができる。
また、例えば、定常状態でのマップに基づく制御を過渡状態の制御に適用した場合、過給圧が目標値を超えて過大とならないようにするために、過給圧の制限値を設けることがあり、この場合、最適な過給圧が得られずに、エンジンの性能が低下する可能性がある。
この点、以上説明した実施形態によれば、モデル予測に基づいて将来の過給圧を予測できるので、過給圧の目標値を超えないように制御することが可能となる。したがって、過給圧制限値を低めに設定する必要がないため、エンジン2の性能低下を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
1 エンジンシステム
2 エンジン
2a 燃焼室
3 ターボチャージャ
3a コンプレッサ
3b タービン
3c 回転シャフト
3d ノズルベーン
3e 支持軸
4 吸気管路
5 吸気マニホールド
6 排気管路
7 スロットルバルブ
8 インタークーラ
9 排気マニホールド
10 制御装置
10A エンジンECU
10B ターボECU
12 第1取得部
14 第2取得部
15 記憶部
16 マップ
17 状態判定部
18 最終指令値取得部
19 予測モデル修正部
30a 圧力センサ
30b 回転数センサ
30c 圧力センサ
30d 温度センサ
30e 圧力センサ
30f 温度センサ
50 タービンケーシング
54 タービンロータ
56 動翼
100 過給システム

Claims (15)

  1. エンジンからの排ガスにより回転駆動されるように構成されたタービンと、前記タービンに流入する前記排ガスの流路面積を変えるように開度調節可能なノズルベーンと、を含むターボチャージャの制御方法であって、
    前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第1状態量を用いた予測モデルに基づいて、前記エンジンの過渡状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第1暫定指令値を取得する第1取得ステップと、
    前記エンジンの定常状態における、前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第2状態量と、該第2状態量に対応する前記ノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップに基づいて、前記エンジンの定常状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第2暫定指令値を取得する第2取得ステップと、
    前記エンジンの現在の状態が前記過渡状態又は前記定常状態のいずれの状態であるかを判定する状態判定ステップと、
    前記状態判定ステップでの判定結果に基づいて、前記第1暫定指令値又は前記第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて、実際に前記ターボチャージャに与える前記ノズルベーンの最終開度指令値を取得する最終指令値取得ステップと、
    を備えることを特徴とするターボチャージャの制御方法。
  2. 前記第1取得ステップでは、前記少なくとも1つの前記第1状態量から、前記予測モデルに基づいて前記第1暫定指令値を算出することを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャの制御方法。
  3. 前記第1取得ステップでは、前記予測モデルを用いて予め作成され、前記エンジンの過渡状態における、前記少なくとも1つの第1状態量と、該第1状態量に対応する前記ノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップを参照することにより前記第1暫定指令値を取得することを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャの制御方法。
  4. 前記少なくとも1つの第1状態量は、前記エンジンの過給圧、前記エンジンの回転数、前記エンジンのマニホールドの温度、前記マニホールドの圧力、前記ノズルベーンの開度、または、前記エンジンの目標過給圧の少なくとも一つのパラメータの現在値を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のターボチャージャの制御方法。
  5. 前記少なくとも1つの第2状態量は、前記エンジンの目標過給圧を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のターボチャージャの制御方法。
  6. 前記状態判定ステップでは、前記エンジンの第3状態量の現在値と、前記エンジンの前記第3状態量の目標値との差と、閾値との比較に基づいて、前記エンジンの現在の状態が前記過渡状態又は前記定常状態のいずれの状態であるかを判定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のターボチャージャの制御方法。
  7. 前記最終指令値取得ステップでは、前記第1暫定指令値をAとし、前記第2暫定指令値をBとしたとき、重み付け係数α(0≦α≦1)を用いて、X=α×A+(1−α)×Bにより表される値Xに基づいて、前記最終開度指令値を算出することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のターボチャージャの制御方法。
  8. 前記エンジンが前記過渡状態のときに1であり、前記エンジンが前記定常状態のとき0である過渡度αに対して、レートリミット処理を施すことで前記重み付け係数αを求める重み付け係数算出ステップをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のターボチャージャの制御方法。
  9. 前記レートリミット処理では、
    前記過渡度αが0から1に変化したとき前記重み付け係数αの変化速度の絶対値が第1レート制限Rmax1以下に制限されるとともに、
    前記過渡度αが1から0に変化したとき前記重み付け係数αの変化速度の絶対値が第2レート制限Rmax2以下に制限され、
    前記第1レート制限Rmax1と前記第2レート制限Rmax2とは、Rmax1>Rmax2の関係を満たす
    ことを特徴とする請求項8に記載のターボチャージャの制御方法。
  10. 前記最終指令値取得ステップでは、
    前記状態判定ステップでの判定結果が前記定常状態から前記過渡状態に変化したときには、前記定常状態から前記過渡状態に変化してから少なくとも規定時間の間、前記状態判定ステップでの判定結果に関わらず、前記第1暫定指令値に基づいて前記最終開度指令値を決定し、
    前記規定時間を除く期間において、前記第2暫定指令値に基づいて前記最終開度指令値を決定する
    ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のターボチャージャの制御方法。
  11. 前記最終指令値取得ステップで取得される前記最終開度指令値の時間変化率は、レート制限以下に制限されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載のターボチャージャの制御方法。
  12. 前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第4状態量に基づいて、前記予測モデルを修正するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載のターボチャージャの制御方法。
  13. エンジンからの排ガスにより回転駆動されるように構成されたタービンと、前記タービンに流入する前記排ガスの流路面積を変えるように開度調節可能なノズルベーンと、を含むターボチャージャの制御装置であって、
    前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第1状態量を用いた予測モデルに基づいて、前記エンジンの過渡状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第1暫定指令値を取得する第1取得部と、
    前記エンジンの定常状態における、前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第2状態量と、該第2状態量に対応する前記ノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップに基づいて、前記エンジンの定常状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第2暫定指令値を取得する第2取得部と、
    前記エンジンの現在の状態が前記過渡状態又は前記定常状態のいずれの状態であるかを判定する状態判定部と、
    前記状態判定部による判定結果に基づいて、前記第1暫定指令値又は前記第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて、実際に前記ターボチャージャに与える前記ノズルベーンの最終開度指令値を取得する最終指令値取得部と、
    を備えることを特徴とするターボチャージャの制御装置。
  14. エンジンからの排ガスにより回転駆動されるように構成されたタービンと、前記タービンに流入する前記排ガスの流路面積を変えるように開度調節可能なノズルベーンと、を含むターボチャージャと、
    前記ターボチャージャを制御するための制御装置と、
    を備える過給システムであって、
    前記制御装置は、請求項13に記載の制御装置である
    ことを特徴とする過給システム。
  15. エンジンからの排ガスにより回転駆動されるように構成されたタービンと、前記タービンに流入する前記排ガスの流路面積を変えるように開度調節可能なノズルベーンと、を含むターボチャージャの運転制御プログラムであって、
    前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第1状態量を用いた予測モデルに基づいて、前記エンジンの過渡状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第1暫定指令値を取得する手順と、
    前記エンジンの定常状態における、前記エンジン又は前記ターボチャージャの状態を示す少なくとも1つの第2状態量と、該第2状態量に対応する前記ノズルベーンの開度指令値との関係を表すマップに基づいて、前記エンジンの定常状態での制御のための前記ノズルベーンの開度指令値である第2暫定指令値を取得する手順と、
    前記エンジンの現在の状態が前記過渡状態又は前記定常状態のいずれの状態であるかを判定する手順と、
    前記エンジンの状態の判定結果に基づいて、前記第1暫定指令値又は前記第2暫定指令値の少なくとも一方を用いて、実際に前記ターボチャージャに与える前記ノズルベーンの最終開度指令値を取得する手順と、
    をコンピュータに実行させるためのターボチャージャの運転制御プログラム。
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