JP2017226878A - ボルト用鋼材 - Google Patents
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Abstract
Description
これまで、高力ボルトの耐候性を向上させる手法としては、例えば、特許文献1では、Cu、Moを添加し、さらに0.80質量%以上のCrを添加した耐候性及び耐火性に優れた高力ボルト用鋼が開示されている。
特許文献3では、Moを添加し、さらに1.0質量%以上のNiを添加した海岸耐候性に優れた高強度鋼が開示されている。
特許文献5では、Cuに加え、さらに2.3質量%以上のNiを添加した耐遅れ破壊特性および海浜耐候性に優れるボルト部品の製造方法が開示されている。
特許文献7では、1質量%以上のNiを添加した海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼が開示されている。
特許文献9では、0.1質量%以上のCrと、Snを添加した耐候性ボルト用鋼材が開示されている。
また、特許文献2に開示されるように、Moに加え、多量のCr、Niを含有した場合、高飛来塩分環境において耐食性が劣化してしまうことと合金コストの上昇により鋼材価格が上昇してしまうという問題点がある。
また、特許文献4、5、および6に開示されるように、Cuに加え、多量のNiを含有した場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまうという問題点がある。
また、特許文献8、9に開示されるようにSnを多量に添加した場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまうという問題点がある。
C:0.15%以上0.30%未満、
Si:0.05%以上1.00%以下、
Mn:0.20%以上2.00%以下、
P:0.001%以上0.030%以下、
S:0.0001%以上0.0100%以下、
Al:0.010%以上0.100%以下、
Cu:0.010%以上1.000%以下、
Nb:0.005%以上0.200%以下、
Sn:0.005%以上0.200%以下および
N:0.0010%以上0.0100%以下
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物の成分組成を有することを特徴とするボルト用鋼材。
質量%で、
Ni:0.01%以上1.00%以下
を含有することを特徴とする、上記1に記載のボルト用鋼材。
質量%で、
Cr:0.10%未満を含有することを特徴とする、上記1または2に記載のボルト用鋼材。
質量%で、
Mo:0.001%以上1.500%以下、
V:0.005%以上0.200%以下および
W:0.001%以上2.000%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記1から3のいずれかに記載のボルト用鋼材。
質量%で、
Ti:0.005%以上0.200%以下、
Zr:0.005%以上0.200%以下および
B:0.0001%以上0.0050%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記1から4のいずれかに記載のボルト用鋼材。
質量%で、
Ca:0.0001%以上0.0100%以下、
Mg:0.0001%以上0.0100%以下および
REM:0.0001%以上0.0100%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記1から5のいずれかに記載のボルト用鋼材。
Cは鋼の強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するため0.15%以上含有する必要がある。一方、0.30%以上になるとボルト成形加工時の変形抵抗が増大し加工性が低下する。したがって、C含有量は0.15%以上0.30%未満とする。好ましくは、0.18%以上0.28%以下である。より好ましくは0.20%以上0.25%以下である。
Siは脱酸元素として有効な元素であり、また、焼入れ性の向上に対しても有効な元素である。Si含有量が0.05%未満では脱酸効果および焼入れ性の向上効果が十分に得られず、一方、1.00%を超えて添加すると粒界が脆化し、耐遅れ破壊特性が劣化する。このため、Si含有量は0.05%以上1.00%以下とする。好ましくは、0.10%以上0.80%以下である。より好ましくは、0.15%以上0.60%以下である。
Mnは焼入れ性確保の観点から有効な元素であり、0.20%未満の含有量では焼入れ性の向上効果が十分に得られず、一方、2.00%を超えて過剰に含有すると粒界強度が低下し耐遅れ破壊特性が劣化する。したがって、Mn含有量は0.20%以上2.00%以下とする。好ましくは0.40%以上1.80%以下である。より好ましくは0.60%以上1.65%以下である。
Pは鋼の耐食性を向上させる元素である。このような効果を得るためには0.001%以上含有する必要がある。一方、0.030%を超えて含有すると結晶粒界に偏析することで結晶粒の接合強度が低下し、耐遅れ破壊特性が劣化する。したがって、P含有量は0.001%以上0.030%以下とする。好ましくは0.020%以下である。より好ましくは、0.010%以下である。
Sは0.0100%を超えて含有すると介在物の量が多くなり、耐遅れ破壊特性が劣化する。一方、含有量を0.0001%未満まで低下させると、生産コストが増大する。したがって、S含有量は0.0001%以上0.0100%以下とする。
Alは、製鋼時の脱酸に必要な元素であるとともに、Al系窒化物の微細析出物としてピンニング効果によりオーステナイト粒の粗大化を抑制し、耐遅れ破壊特性を向上させる効果を有する。このような効果を得るため、Al含有量として0.010%以上含有する必要がある。一方、0.100%を超えると鋼の表面疵が発生しやすくなる。したがって、Al含有量は0.010%以上0.100%以下とする。好ましくは0.015%以上0.080%以下である。より好ましくは0.020%以上0.500%未満である。
Cuは、本発明において重要な構成要件であり、Nb、Snと共存させることにより、鋼の耐食性を著しく向上させる効果を有する。Cuはさび層のさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、腐食促進因子である塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。これらの効果は、含有量が0.010%以上で得られる。一方、1.000%を超えると、Cu消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Cu含有量は0.010%1.000%以下とする。好ましくは、0.030%以上0.450%以下である。より好ましくは、0.100%以上0.360%以下である。
Nbは、本発明において重要な構成要件であり、CuおよびSnと共存させることにより、鋼材の耐食性を著しく向上させる効果がある。Nbは、アノード部においてさび層と地鉄の界面付近に濃化し、アノード反応およびカソード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えるとこれらの効果が飽和するとともに合金コスト上昇により鋼材価格の上昇を招く。したがって、Nb含有量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは、0.008%以上0.100%以下である。さらに好ましくは、0.010%以上0.030%以下である。
Snは、本発明において重要な構成要件であり、CuおよびNbと共存させることにより、鋼の耐食性を著しく向上させる効果がある。Snは、鋼材表面にSnを含む酸化皮膜を形成し、鋼材のアノード反応およびカソード反応を抑制することで鋼材の耐候性を向上させる。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Sn含有量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは、0.010%以上0.100%以下である。より好ましくは、0.020%以上0.050%未満である。
NはAl系窒化物として析出し、オーステナイト粒の粗大化を抑制することで耐遅れ破壊特性を向上させる効果を有する。これらの効果は、0.0010%以上含有させることにより得られる。一方、0.0100%を超えて含有すると固溶Nにより靭性が劣化する。したがって、N含有量は0.0010%以上0.0100%以下とする。好ましくは、0.0020%以上0.0080%以下である。より好ましくは、0.0030%以上0.0060%以下である。
Ni:0.01%以上1.00%以下
Niは、Cu、NbおよびSnと共存させることにより、鋼の耐食性を著しく向上させる効果を有する。Niはさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、鋼材の耐食性を向上させる効果を有する。この効果を充分に得るためには0.01%以上含有することが好ましい。一方、1.00%を超えて含有するとNi消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Ni含有量は0.01%以上1.00%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.03%以上0.65%以下である。さらにより好ましくは0.20%以上0.50%以下である。
Cr:0.10%未満
Crは、高飛来塩分環境において耐食性を劣化させる。したがって、Crを添加する場合は0.10%未満とすることが好ましい。Crは0%であってもよい。ただし、含有量を0.01%未満まで低下させると生産コストが著しく増大することから、さらに好ましくは、0.01%以上0.08%以下とする。
Moは、焼入れ性の向上に対して有効な元素である。また、鋼材のアノード反応に伴ってMoO4 2−が溶出し、さび層中にMoO4 2−が分布することで、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、鋼材表面にMoを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.001%以上含有することが好ましい。一方、1.500%を超えるとMo消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、含有する場合、Mo含有量は0.001%以上1.500%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.050%以上0.800%以下である。さらにより好ましくは、0.100%以上0.500%以下である。
Vは、焼入れ性の向上に対して有効な元素である。また、鋼材のアノード反応に伴って溶出し、インヒビター作用によりアノード反応、カソード反応を抑制する効果を有する。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有することが好ましい。一方、0.200%を超えると効果が飽和するとともにV消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、含有する場合、V含有量は0.005%以上0.200%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.010%以上0.150%以下である。さらにより好ましくは、0.020%以上0.100%以下である。
Wは、焼入れ性の向上に対して有効な元素である。また、鋼材のアノード反応に伴ってWO4 2−が溶出し、さび層中にWO4 2−として分布することによって、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。さらに、鋼材表面にWを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.001%以上含有することが好ましい。一方、2.000%を超えるとWの消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、W含有量は0.001%以上2.000%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.010%以上1.000%以下である。さらにより好ましくは、0.050%以上0.800%以下である。
Tiは、Ti系炭窒化物の微細析出物としてピンニング効果によりオーステナイト粒の粗大化を抑制し、耐遅れ破壊特性を向上させる効果を有する。また、フリーNをTi系窒化物として固定することでB系窒化物の生成を抑制し、焼入れ性の向上にフリーBを有効に活用する効果を有する。この効果を充分に得るためには、0.005%以上含有することが好ましい。一方、0.200%を超えると効果が飽和する。したがって、含有する場合、Ti含有量は0.005%以上0.200%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.010%以上0.100%以下である。さらにより好ましくは、0.015%以上0.050%以下である。
Zrは、Zr系炭窒化物の微細析出物としてピンニング効果によりオーステナイト粒の粗大化を抑制し、耐遅れ破壊特性を向上させる効果を有する。また、フリーNをZr系窒化物として固定することでB系窒化物の生成を抑制し、焼入れ性の向上にフリーBを有効に活用する効果を有する。この効果を充分に得るためには、0.005%以上含有することが好ましい。一方、0.200%を超えると効果が飽和する。したがって、含有する場合、Zr含有量は0.005%以上0.200%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.010%以上0.100%以下である。さらにより好ましくは、0.015%以上0.050%以下である。
Bは、焼入れ性の向上に対して有効な元素である。この効果を充分に得るためには、0.0001%以上含有することが好ましい。一方、0.0050%を超えると効果が飽和する。したがって、含有する場合、B含有量は0.0001%以上0.0050%以下とすることが好ましい。
Caは鋼中のSを固定し、靭性低下の原因となるMnSの生成を抑制する。この効果を十分に得るためには0.0001%以上含有することが好ましい。一方、0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の低下を招く。したがって、含有する場合、Ca含有量は0.0001%以上0.0100%以下とすることが好ましい。
Mgは鋼中のSを固定し、靭性低下の原因となるMnSの生成を抑制する。この効果を十分に得るためには0.0001%以上含有することが好ましい。一方、0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の低下を招く。したがって、含有する場合、Mg含有量は0.0001%以上0.0100%以下とすることが好ましい。
REMは鋼中のSを固定し、靭性低下の原因となるMnSの生成を抑制する。この効果を十分に得るためには0.0001%以上含有することが好ましい。一方、0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の低下を招く。したがって、含有する場合、REM含有量は0.0001%以上0.0100%以下とすることが好ましい。
上記成分組成を有する溶鋼を、通常の転炉、電気炉等の溶製方法で溶製し、通常の連続鋳造や分塊法により鋼素材とする。次いで、鋼素材を必要に応じ加熱し、板圧延、線棒圧延等の熱間圧延によりボルト用鋼材とする。加熱、圧延条件は特に限定されないが、要求される材質に応じて適宜決定すればよく、例えば、その後のボルト部品成形のための鍛造や機械加工等に有利なように組織制御を行えばよい。
その他の製造条件は、鋼材の一般的な製造方法に従えばよい。
表1に示した成分組成を含有する鋼を溶製し、熱間圧延により30mmφの丸棒にした。そして、850〜1000℃の温度に加熱し、焼入れを行い、その後、常温強度が1000〜1200MPaとなるよう焼き戻し処理を行った。
温度60℃、相対湿度35%RHの乾燥工程を3時間、その後、移行時間を1時間とった後、温度を40℃、相対湿度を95%RHの湿潤工程を3時間として、その後1時間移行時間をとり、合計8時間で1サイクルとした。また、19サイクルに1回、乾燥工程中に、試験片表面に付着する塩分量が0.20mddとなるよう調整した人工海水溶液を試験片表面に滴下した。この条件にて228サイクルの試験を行った。
Claims (6)
- 質量%で、
C:0.15%以上0.30%未満、
Si:0.05%以上1.00%以下、
Mn:0.20%以上2.00%以下、
P:0.001%以上0.030%以下、
S:0.0001%以上0.0100%以下、
Al:0.010%以上0.100%以下、
Cu:0.010%以上1.000%以下、
Nb:0.005%以上0.200%以下、
Sn:0.005%以上0.200%以下および
N:0.0010%以上0.0100%以下
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物の成分組成を有することを特徴とするボルト用鋼材。 - 前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Ni:0.01%以上1.00%以下
を含有することを特徴とする、請求項1に記載のボルト用鋼材。 - 前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Cr:0.10%未満を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のボルト用鋼材。 - 前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Mo:0.001%以上1.500%以下、
V:0.005%以上0.200%以下および
W:0.001%以上2.000%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のボルト用鋼材。 - 前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Ti:0.005%以上0.200%以下、
Zr:0.005%以上0.200%以下および
B:0.0001%以上0.0050%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のボルト用鋼材。 - 前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Ca:0.0001%以上0.0100%以下、
Mg:0.0001%以上0.0100%以下および
REM:0.0001%以上0.0100%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のボルト用鋼材。
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