JP2017226878A - ボルト用鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐食性に優れるボルト用鋼材を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.15%以上0.30%未満、Si:0.05%以上1.00%以下、Mn:0.20%以上2.00%以下、P:0.001%以上0.030%以下、S:0.0001%以上0.0100%以下、Al:0.010%以上0.100%以下、Cu:0.010%以上1.000%以下、Nb:0.005%以上0.200%以下、Sn:0.005%以上0.200%以下およびN:0.0010%以上0.0100%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物の成分組成を有することを特徴とするボルト用鋼材を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、建築・土木分野の各種鋼構造物に用いられるボルト用鋼材に関し、特に海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境下で耐食性・耐候性が要求される部材として好適な高力ボルト用鋼材に関する。なお、本発明におけるボルトとは、ボルトの他、ナット、座金を含むものとする。
鋼構造物を屋外の大気腐食環境で供用する場合、なんらかの防食処理が必要である。従来、塗装、亜鉛メッキ、溶射等の防食技術が用いられてきたが、その中でも耐候性鋼材(JIS G 3114「溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材」)の無塗装使用に注目が集まっている。耐候性鋼材は、適切な大気腐食環境下において、保護性のさび層に表面が覆われることにより著しく腐食速度が低減する鋼材であり、その優れた耐候性により、例えば、耐候性鋼を使用した橋梁は、無塗装のまま数十年間の供用に耐えることが知られている。耐候性鋼を用いることにより、例えば塗装の塗り替え作業などによるメンテナンス費用を削減することが可能となり、ライフサイクルコストを低く抑えることができる。
建築、橋梁等の鋼構造物には、高力ボルトを用いた継手が用いられる。高力ボルトは、大気腐食環境で供用する場合には、鋼板と同様になんらかの防食処理を必要とする。従来、鋼板と同様に、塗装、亜鉛メッキなどの防食技術が用いられてきたが、近年、耐候性鋼材と同等の耐候性を具備させた高力ボルトが実用化されてきている。
しかしながら、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境では、上記した保護性の高いさび層は生成しにくく、実用的な耐候性が得難いことが知られている。
これまで、高力ボルトの耐候性を向上させる手法としては、例えば、特許文献1では、Cu、Moを添加し、さらに0.80質量%以上のCrを添加した耐候性及び耐火性に優れた高力ボルト用鋼が開示されている。
特許文献2では、Moに加え、2質量%以上のCrと1質量%以上のNiを添加した耐候性、対遅れ破壊特性に優れた高強度ボルト用鋼が開示されている。
特許文献3では、Moを添加し、さらに1.0質量%以上のNiを添加した海岸耐候性に優れた高強度鋼が開示されている。
特許文献4では、Cuに加え、Niを添加したボルト用鋼が開示されている。
特許文献5では、Cuに加え、さらに2.3質量%以上のNiを添加した耐遅れ破壊特性および海浜耐候性に優れるボルト部品の製造方法が開示されている。
特許文献6では、Cuに加え、1.2質量%以上のNiを添加したボルト用鋼が開示されている。
特許文献7では、1質量%以上のNiを添加した海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼が開示されている。
特許文献8では、0.5質量%以上のCr+Mnと、Snを添加したボルト用鋼が開示されている。
特許文献9では、0.1質量%以上のCrと、Snを添加した耐候性ボルト用鋼材が開示されている。
特開平9-53152号公報 特開2009-249731号公報 特開2000-119814号公報 特開2000-212696号公報 特開2001-107139号公報 特開2003-183780号公報 特開2001-107190号公報 特開2008-274367号公報 特開2014-1442号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるように、多量のCrを含有した場合、飛来塩分の多い環境において耐食性が劣化してしまうという問題点がある。
また、特許文献2に開示されるように、Moに加え、多量のCr、Niを含有した場合、高飛来塩分環境において耐食性が劣化してしまうことと合金コストの上昇により鋼材価格が上昇してしまうという問題点がある。
また、特許文献3に開示されるように、Moを添加し、さらに多量のNiを含有した場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまうという問題点がある。
また、特許文献4、5、および6に開示されるように、Cuに加え、多量のNiを含有した場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまうという問題点がある。
また、特許文献7に開示されるように多量のNiを含有した場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまうという問題点がある。
また、特許文献8、9に開示されるようにSnを多量に添加した場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまうという問題点がある。
本発明は、かかる事情に鑑み、低コストで耐食性に優れたボルト用鋼材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、発明者らは、耐食性の観点から鋼材の成分組成について鋭意検討した。その結果、Cuを含有し、さらに微量のNbおよびSnを含有することにより、鋼材の耐食性が向上することを見出した。さらに、Niを含有することで、更なる耐食性の向上効果が得られることを見出した。
上記成分組成を含有する鋼材が優れた耐食性を示す詳細な理由は不明であるが、以下のように推定される。Cu、Niはさび粒子を微細化させることでさび層を緻密化させ、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。Nbは地鉄表面近傍に濃化することで鋼材のアノード反応およびカソード反応を抑制する。Snは、Nbと同様に、地鉄表面近傍において濃化することで鋼材のアノード反応およびカソード反応を抑制する。ただし、これらの効果は単独含有では不十分でありCu、Nb、およびSnの複合含有により耐食性が著しく向上すると推定される。本発明は、上記の新規な知見に基づき、さらに検討を重ねた末に完成されたもので、その要旨構成は、以下の通りである。
1.質量%で、
C:0.15%以上0.30%未満、
Si:0.05%以上1.00%以下、
Mn:0.20%以上2.00%以下、
P:0.001%以上0.030%以下、
S:0.0001%以上0.0100%以下、
Al:0.010%以上0.100%以下、
Cu:0.010%以上1.000%以下、
Nb:0.005%以上0.200%以下、
Sn:0.005%以上0.200%以下および
N:0.0010%以上0.0100%以下
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物の成分組成を有することを特徴とするボルト用鋼材。
2.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Ni:0.01%以上1.00%以下
を含有することを特徴とする、上記1に記載のボルト用鋼材。
3.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Cr:0.10%未満を含有することを特徴とする、上記1または2に記載のボルト用鋼材。
4.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Mo:0.001%以上1.500%以下、
V:0.005%以上0.200%以下および
W:0.001%以上2.000%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記1から3のいずれかに記載のボルト用鋼材。
5.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Ti:0.005%以上0.200%以下、
Zr:0.005%以上0.200%以下および
B:0.0001%以上0.0050%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記1から4のいずれかに記載のボルト用鋼材。
6.前記成分組成は、さらに、
質量%で、
Ca:0.0001%以上0.0100%以下、
Mg:0.0001%以上0.0100%以下および
REM:0.0001%以上0.0100%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記1から5のいずれかに記載のボルト用鋼材。
本発明によれば、低コストで耐食性に優れたボルト用鋼材を得ることができる。本発明のボルト用鋼材は、特定の耐食性向上に有効な元素を複合含有させることで、従来よりも優れた耐食性を有することができる。
以下、本発明の一実施形態によるボルト用鋼材について説明する。まず、ボルト用鋼材の成分組成の限定理由について述べる。なお、本明細書において、各成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
C:0.15%以上0.30%未満
Cは鋼の強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するため0.15%以上含有する必要がある。一方、0.30%以上になるとボルト成形加工時の変形抵抗が増大し加工性が低下する。したがって、C含有量は0.15%以上0.30%未満とする。好ましくは、0.18%以上0.28%以下である。より好ましくは0.20%以上0.25%以下である。
Si:0.05%以上1.00%以下
Siは脱酸元素として有効な元素であり、また、焼入れ性の向上に対しても有効な元素である。Si含有量が0.05%未満では脱酸効果および焼入れ性の向上効果が十分に得られず、一方、1.00%を超えて添加すると粒界が脆化し、耐遅れ破壊特性が劣化する。このため、Si含有量は0.05%以上1.00%以下とする。好ましくは、0.10%以上0.80%以下である。より好ましくは、0.15%以上0.60%以下である。
Mn:0.20%以上2.00%以下
Mnは焼入れ性確保の観点から有効な元素であり、0.20%未満の含有量では焼入れ性の向上効果が十分に得られず、一方、2.00%を超えて過剰に含有すると粒界強度が低下し耐遅れ破壊特性が劣化する。したがって、Mn含有量は0.20%以上2.00%以下とする。好ましくは0.40%以上1.80%以下である。より好ましくは0.60%以上1.65%以下である。
P:0.001%以上0.030%以下
Pは鋼の耐食性を向上させる元素である。このような効果を得るためには0.001%以上含有する必要がある。一方、0.030%を超えて含有すると結晶粒界に偏析することで結晶粒の接合強度が低下し、耐遅れ破壊特性が劣化する。したがって、P含有量は0.001%以上0.030%以下とする。好ましくは0.020%以下である。より好ましくは、0.010%以下である。
S:0.0001%以上0.0100%以下
Sは0.0100%を超えて含有すると介在物の量が多くなり、耐遅れ破壊特性が劣化する。一方、含有量を0.0001%未満まで低下させると、生産コストが増大する。したがって、S含有量は0.0001%以上0.0100%以下とする。
Al:0.010%以上0.100%以下
Alは、製鋼時の脱酸に必要な元素であるとともに、Al系窒化物の微細析出物としてピンニング効果によりオーステナイト粒の粗大化を抑制し、耐遅れ破壊特性を向上させる効果を有する。このような効果を得るため、Al含有量として0.010%以上含有する必要がある。一方、0.100%を超えると鋼の表面疵が発生しやすくなる。したがって、Al含有量は0.010%以上0.100%以下とする。好ましくは0.015%以上0.080%以下である。より好ましくは0.020%以上0.500%未満である。
Cu:0.010%以上1.000%以下
Cuは、本発明において重要な構成要件であり、Nb、Snと共存させることにより、鋼の耐食性を著しく向上させる効果を有する。Cuはさび層のさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、腐食促進因子である塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。これらの効果は、含有量が0.010%以上で得られる。一方、1.000%を超えると、Cu消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Cu含有量は0.010%1.000%以下とする。好ましくは、0.030%以上0.450%以下である。より好ましくは、0.100%以上0.360%以下である。
Nb:0.005%以上0.200%以下
Nbは、本発明において重要な構成要件であり、CuおよびSnと共存させることにより、鋼材の耐食性を著しく向上させる効果がある。Nbは、アノード部においてさび層と地鉄の界面付近に濃化し、アノード反応およびカソード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えるとこれらの効果が飽和するとともに合金コスト上昇により鋼材価格の上昇を招く。したがって、Nb含有量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは、0.008%以上0.100%以下である。さらに好ましくは、0.010%以上0.030%以下である。
Sn:0.005%以上0.200%以下
Snは、本発明において重要な構成要件であり、CuおよびNbと共存させることにより、鋼の耐食性を著しく向上させる効果がある。Snは、鋼材表面にSnを含む酸化皮膜を形成し、鋼材のアノード反応およびカソード反応を抑制することで鋼材の耐候性を向上させる。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Sn含有量は0.005%以上0.200%以下とする。好ましくは、0.010%以上0.100%以下である。より好ましくは、0.020%以上0.050%未満である。
N:0.0010%以上0.0100%以下
NはAl系窒化物として析出し、オーステナイト粒の粗大化を抑制することで耐遅れ破壊特性を向上させる効果を有する。これらの効果は、0.0010%以上含有させることにより得られる。一方、0.0100%を超えて含有すると固溶Nにより靭性が劣化する。したがって、N含有量は0.0010%以上0.0100%以下とする。好ましくは、0.0020%以上0.0080%以下である。より好ましくは、0.0030%以上0.0060%以下である。
以上、本発明の基本成分について説明した。上記成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物であるが、その他にも必要に応じて、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。なお、不可避的不純物として、O:0.0100%以下が許容できる。
さらに本発明では、以下の理由で、Niを含むことができる。
Ni:0.01%以上1.00%以下
Niは、Cu、NbおよびSnと共存させることにより、鋼の耐食性を著しく向上させる効果を有する。Niはさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、鋼材の耐食性を向上させる効果を有する。この効果を充分に得るためには0.01%以上含有することが好ましい。一方、1.00%を超えて含有するとNi消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Ni含有量は0.01%以上1.00%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.03%以上0.65%以下である。さらにより好ましくは0.20%以上0.50%以下である。
さらに本発明では、以下の理由で、Crを含むことができる。
Cr:0.10%未満
Crは、高飛来塩分環境において耐食性を劣化させる。したがって、Crを添加する場合は0.10%未満とすることが好ましい。Crは0%であってもよい。ただし、含有量を0.01%未満まで低下させると生産コストが著しく増大することから、さらに好ましくは、0.01%以上0.08%以下とする。
さらに本発明では、以下の理由で、Mo:0.001%以上1.500%以下、V:0.005%以上0.200%以下およびW:0.001%以上2.000%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含むことができる。
Mo:0.001%以上1.500%以下
Moは、焼入れ性の向上に対して有効な元素である。また、鋼材のアノード反応に伴ってMoO 2−が溶出し、さび層中にMoO 2−が分布することで、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、鋼材表面にMoを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.001%以上含有することが好ましい。一方、1.500%を超えるとMo消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、含有する場合、Mo含有量は0.001%以上1.500%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.050%以上0.800%以下である。さらにより好ましくは、0.100%以上0.500%以下である。
V:0.005%以上0.200%以下
Vは、焼入れ性の向上に対して有効な元素である。また、鋼材のアノード反応に伴って溶出し、インヒビター作用によりアノード反応、カソード反応を抑制する効果を有する。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有することが好ましい。一方、0.200%を超えると効果が飽和するとともにV消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、含有する場合、V含有量は0.005%以上0.200%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.010%以上0.150%以下である。さらにより好ましくは、0.020%以上0.100%以下である。
W:0.001%以上2.000%以下
Wは、焼入れ性の向上に対して有効な元素である。また、鋼材のアノード反応に伴ってWO 2−が溶出し、さび層中にWO 2−として分布することによって、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。さらに、鋼材表面にWを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.001%以上含有することが好ましい。一方、2.000%を超えるとWの消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、W含有量は0.001%以上2.000%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.010%以上1.000%以下である。さらにより好ましくは、0.050%以上0.800%以下である。
さらに本発明では、以下の理由で、Ti:0.005%以上0.200%以下、Zr:0.005%以上0.200%以下およびB:0.0001%以上0.0050%以下のうちから選ばれる1種または2種以上含むことができる。
Ti:0.005%以上0.200%以下
Tiは、Ti系炭窒化物の微細析出物としてピンニング効果によりオーステナイト粒の粗大化を抑制し、耐遅れ破壊特性を向上させる効果を有する。また、フリーNをTi系窒化物として固定することでB系窒化物の生成を抑制し、焼入れ性の向上にフリーBを有効に活用する効果を有する。この効果を充分に得るためには、0.005%以上含有することが好ましい。一方、0.200%を超えると効果が飽和する。したがって、含有する場合、Ti含有量は0.005%以上0.200%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.010%以上0.100%以下である。さらにより好ましくは、0.015%以上0.050%以下である。
Zr:0.005%以上0.200%以下
Zrは、Zr系炭窒化物の微細析出物としてピンニング効果によりオーステナイト粒の粗大化を抑制し、耐遅れ破壊特性を向上させる効果を有する。また、フリーNをZr系窒化物として固定することでB系窒化物の生成を抑制し、焼入れ性の向上にフリーBを有効に活用する効果を有する。この効果を充分に得るためには、0.005%以上含有することが好ましい。一方、0.200%を超えると効果が飽和する。したがって、含有する場合、Zr含有量は0.005%以上0.200%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.010%以上0.100%以下である。さらにより好ましくは、0.015%以上0.050%以下である。
B:0.0001%以上0.0050%以下
Bは、焼入れ性の向上に対して有効な元素である。この効果を充分に得るためには、0.0001%以上含有することが好ましい。一方、0.0050%を超えると効果が飽和する。したがって、含有する場合、B含有量は0.0001%以上0.0050%以下とすることが好ましい。
さらに本発明では、以下の理由で、Ca:0.0001%以上0.0100%以下、Mg:0.0001%以上0.0100%以下およびREM:0.0001%以上0.0100%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含むことができる。
Ca:0.0001%以上0.0100%以下
Caは鋼中のSを固定し、靭性低下の原因となるMnSの生成を抑制する。この効果を十分に得るためには0.0001%以上含有することが好ましい。一方、0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の低下を招く。したがって、含有する場合、Ca含有量は0.0001%以上0.0100%以下とすることが好ましい。
Mg:0.0001%以上0.0100%以下
Mgは鋼中のSを固定し、靭性低下の原因となるMnSの生成を抑制する。この効果を十分に得るためには0.0001%以上含有することが好ましい。一方、0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の低下を招く。したがって、含有する場合、Mg含有量は0.0001%以上0.0100%以下とすることが好ましい。
REM:0.0001%以上0.0100%以下
REMは鋼中のSを固定し、靭性低下の原因となるMnSの生成を抑制する。この効果を十分に得るためには0.0001%以上含有することが好ましい。一方、0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の低下を招く。したがって、含有する場合、REM含有量は0.0001%以上0.0100%以下とすることが好ましい。
本発明における成分組成のうち、上記以外の成分はFeおよび不可避的不純物である。ただし、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、上記以外の成分の含有を拒むものではない。
本発明に係るボルト用鋼材の好適な製造方法について述べる。
上記成分組成を有する溶鋼を、通常の転炉、電気炉等の溶製方法で溶製し、通常の連続鋳造や分塊法により鋼素材とする。次いで、鋼素材を必要に応じ加熱し、板圧延、線棒圧延等の熱間圧延によりボルト用鋼材とする。加熱、圧延条件は特に限定されないが、要求される材質に応じて適宜決定すればよく、例えば、その後のボルト部品成形のための鍛造や機械加工等に有利なように組織制御を行えばよい。
本発明に係る鋼材からの高力ボルトの製造方法は、一般的な方法でよく、所望の寸法形状に応じ冷間鍛造、熱間鍛造、機械加工などから選択して成形加工を施し、焼入れ焼戻し処理を施して製造される。なお、焼入れ温度は850℃〜1000℃が好ましく、焼戻し温度はAc変態点以下の温度とすることが好ましい。
また、各元素の含有量は、スパーク放電発光分光分析法、蛍光X線分析法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法、燃焼法等により求めることができる。
その他の製造条件は、鋼材の一般的な製造方法に従えばよい。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
表1に示した成分組成を含有する鋼を溶製し、熱間圧延により30mmφの丸棒にした。そして、850〜1000℃の温度に加熱し、焼入れを行い、その後、常温強度が1000〜1200MPaとなるよう焼き戻し処理を行った。
以上のようにして得られた焼入れ焼き戻し後の丸棒の中心から、25mm×35mm×3mmの矩形試験片を採取して腐食試験に供した。試験片は、表面を表面粗さRaが1.6μm以下となるよう研削加工し、端面および裏面をテープシールし、表面露出部の面積が20mm×30mmとなるよう表面もテープシールした。
以上により得られた試験片について、乾湿繰返し腐食試験を行い、耐食性を評価した。具体的な腐食試験の条件は以下のとおりである。
温度60℃、相対湿度35%RHの乾燥工程を3時間、その後、移行時間を1時間とった後、温度を40℃、相対湿度を95%RHの湿潤工程を3時間として、その後1時間移行時間をとり、合計8時間で1サイクルとした。また、19サイクルに1回、乾燥工程中に、試験片表面に付着する塩分量が0.20mddとなるよう調整した人工海水溶液を試験片表面に滴下した。この条件にて228サイクルの試験を行った。
上記の腐食試験終了後、試験片を塩酸にヘキサメチレンテトラミンを加えた水溶液に浸漬して脱錆してから重量を測定し、得られた重量と初期重量との差を求め、テープシール部を除く試験片の表面積と鉄の密度から、片面の平均板厚減少量を求め、腐食量とした。腐食量(平均板厚減少量)が12μm以下であれば、耐食性が優れているといえる。表1に腐食量を示す。
Figure 2017226878

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.15%以上0.30%未満、
    Si:0.05%以上1.00%以下、
    Mn:0.20%以上2.00%以下、
    P:0.001%以上0.030%以下、
    S:0.0001%以上0.0100%以下、
    Al:0.010%以上0.100%以下、
    Cu:0.010%以上1.000%以下、
    Nb:0.005%以上0.200%以下、
    Sn:0.005%以上0.200%以下および
    N:0.0010%以上0.0100%以下
    を含有し、残部が鉄および不可避的不純物の成分組成を有することを特徴とするボルト用鋼材。
  2. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Ni:0.01%以上1.00%以下
    を含有することを特徴とする、請求項1に記載のボルト用鋼材。
  3. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Cr:0.10%未満を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のボルト用鋼材。
  4. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Mo:0.001%以上1.500%以下、
    V:0.005%以上0.200%以下および
    W:0.001%以上2.000%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のボルト用鋼材。
  5. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Ti:0.005%以上0.200%以下、
    Zr:0.005%以上0.200%以下および
    B:0.0001%以上0.0050%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のボルト用鋼材。
  6. 前記成分組成は、さらに、
    質量%で、
    Ca:0.0001%以上0.0100%以下、
    Mg:0.0001%以上0.0100%以下および
    REM:0.0001%以上0.0100%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のボルト用鋼材。
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