JP2017227088A - 高排水性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 重力とは異なる力を推進力として、水を自律的に移動させる物品の提供。【解決手段】 表面が複数の導水単位を備えてなり、導水単位が、親水領域と疎水領域とを、それぞれ複数備えてなり、記親水領域における親水性が前記表面の一定方向に向けて増加するか、もしくは疎水領域における疎水性が、前記一定方向に向けて減少するか、または親水領域における親水性の増加と、疎水性領域における疎水性の減少をともに生じさせ、もって当該方向に水が見かけ上自律的に移動する性質を有する物品において、複数の導水単位の少なくとも一つの導水単位の前記水移動方向が、他の導水単位の前記水移動方向と非平行であり、かつそれぞれの導水単位の水移動方向が特定領域に集束するよう、前記複数の導水単位が配置されてなる物品。このような物品表面からは、水を特定の方向へより効率よく移動させ、水を効率よく排除することができる。【選択図】図6

Description

本発明は、水が見かけ上自律的に移動し、その表面から排除される物品に関し、詳しくは、表面に付着した水が水平面でも重力や動力等の利用無しに特定の方向へ移動し、その表面から排除される物品に関する。
水と接触する物品、例えば水まわり部材や、ユニットバスの床、天井板の表面に付着した水は、量が多い場合、重力により排水溝まで導かれ排除されるが、残った水は、ふき取るか、自然乾燥により除かれる。ふき取りには手間を用意し、自然乾燥には時間がかかる、あるいはウォータスポット、水垢の原因になるなど、場合により望ましくない水排除の方法である。したがって、水と接触する物品の表面から水を、好ましくは速やかに、排除する技術について種々の提案がなされている。
例えば、特開2003−39013号公報(特許文献1)には、その表面に凹凸を形成し、凸部には撥水塗料層を形成し、凹部には親水塗料層を形成した水まわり部材が開示されている。このような構造においては、撥水塗料層により水がはじかれるため、水は溝状の凹部内に流れ込み、この凹部に形成されている親水塗料層4により水が広がって、表面張力で玉状となる水が発生せず、良好に凹部に沿って流され排水される。
また、特開2008−31665号公報(特許文献2)には、オンデマンド方式により塗装した塗装層の各部における水に対する性質を異ならせ、ある部分においては相対的に水をはじき、且つ、他の部分においては、水を薄く膜状に広げるようにし、両者の組み合わせにより、水を素早く排水することが可能となる水まわり部材が開示されている。
上記特許文献に開示された技術はいずれも、撥水性の領域にかかった水が弾かれて親水性領域に移動し、この親水性領域において水が濡れ広がる作用を利用する。そして最終的な部材表面からの排水のためには、基材に傾斜があることが前提であり、重力の作用により水は親水性領域を移動する。
また、特開2005−744号公報(特許文献3)には、トンネル形状の流路の一面を親水面と疎水面とで構成し、親水面に対して疎水面を除した値を上流から下流に向け連続的に増加させ液滴を輸送するマイクロ液滴輸送デバイスが開示されている。このデバイスによれば、液滴を一方向に輸送することができるとされているが、親水面と疎水面を三角形のパターンで形成するとき、底辺が1μmから200μm、高さが10μmから200μmの三角形とするとの記載があり、また輸送される液滴は血液などの生体由来のものである。また、特開2005−331410号公報(特許文献4)には、上流側に第1の疎水面が、下流側に第1の疎水面より接触角が小さい第2の疎水面が、そして上流側と下流側の中間部に第1の疎水面および第2の疎水面が混在した面が形成され、上流から下流に向け第2の疎水面の面積を連続的に増加させた流路により、液滴を輸送する微量液滴輸送デバイスが開示されている。このデバイスによれば、異なる疎水領域によって流路に構築される表面張力勾配により、疎水性の官能基を有するタンパク質などの生体分子を含む微量液滴を輸送することができるとされているが、中間部の形状を第1の疎水面と第2の疎水面とが交互にくさび形状で並べたものとするとき、このくさび形状の寸法は、底辺が10μmから1mm、長さが10μmから30mmであると記載されている。従って、これらの特許文献に開示された技術はいずれも、極めて微量の血液等をわずかな距離、移送させる技術に止まり、建材などの大きな表面において水を移送する技術を開示するとは言い難いものである。
また、本発明者を含む者らは、建材表面の親水領域の疎水領域に対する面積比率を一定方向に向けて増加するよう制御することで、水を見かけ上自律的に移動させる技術を提案している(2016年3月29日出願、PCT/JP2016/60238号出願(特許文献5))。
特開2003−39013号公報 特開2008−31665号公報 特開2005−744号公報 特開2005−331410号公報 PCT/JP2016/60238号出願
本発明者らは、今般、重力とは異なる力を推進力として、水を見かけ上自律的に移動させる、先に提案した物品を改変・改良し、表面から水をより効率よく排除できる本発明を完成させた。とりわけ、水を特定の領域に集束させ集めることを可能にし、集められた水はより大きな水滴(集団)となり、より効率よく移動させることができる。また、水を特定の領域に集束させ集めることで、水の移動方向を制御することも可能になる。
従って、本発明は、表面に付着した水を水平面でも重力や動力等の利用無しに特定の方向へより効率よく移動させ、その表面から排除される物品の提供を目的としている。
そして、本発明による物品は、
水と接触する表面を有する物品であって、
前記表面が、複数の導水単位を備えてなり、
前記導水単位が、親水領域と疎水領域とを、それぞれ複数備えてなり、
前記親水領域における親水性が前記表面の一定方向に向けて増加するか、もしくは
前記疎水領域における疎水性が、前記一定方向に向けて減少するか、または
前記親水領域における親水性の増加と、前記疎水性領域における疎水性の減少をともに生じさせ、
もって当該方向に水が見かけ上自律的に移動する(以下、この方向を「水移動方向」という)性質を有し、
前記複数の導水単位の少なくとも一つの導水単位の前記水移動方向が、他の導水単位の前記水移動方向と非平行であり、かつそれぞれの導水単位の水移動方向が特定領域に集束するよう、前記複数の導水単位が配置されてなることを特徴とするものである。
本発明による物品の表面の一態様を示す図である。図中、物品の表面100a上に、親水領域11が逆三角形の形状で形成され、疎水領域12が三角形の形状で複数形成されている。 図1の物品の表面に置かれた水の見かけ上の自律的移動を説明する図である。 物品の表面における複数の親水領域および複数の疎水領域が略同じ形状である態様を説明する図である。 図3の物品の表面に置かれた水の見かけ上の自律的移動を説明する図である。 導水単位101および102を二つ並べた態様の図であり、これら導水単位は、親水性表面11の上に、三角形の疎水領域12が複数設けられた構成を有する。導水単位101と、102の水移動方向は非平行とされる。 導水単位をさらに複数並べた態様の図である。列1〜5にある導水単位のそれぞれの水移動方向は非平行であるが、図中の領域Aを目指す方向を向いている。 (a)に示される複数の導水単位101の並びを連続的に構成した態様が(b)に示される構成であり、この(b)の態様において、特定領域Aが帯状または線状であり、この特定領域を挟んで、第一の導水単位と、第二の導水単位とが、非平行の関係にあるそれぞれの水移動方向を特定領域Aに向けられて置かれてなる。 (a)は実施例1に作成された表面の模式図であり、特定領域Aを挟んで置かれた導水単位の組み合わせ2列を表し、(b)はその疎水領域の形状であり、(c)は親水領域の形状を表す。 (a)は実施例2に作成された表面の模式図であり、特定領域Aを挟んで置かれた導水単位の組み合わせ3列を表し、(b)はその疎水領域の形状であり、(c)は親水領域の形状を表す。
上記したように、本発明は、先に提案したPCT/JP2016/60238号出願に記載の発明を改変・改良したものであり、本発明と矛盾しない限り、上記先の出願の明細書に開示は本明細書の開示に一部として本発明の説明とする。すなわち、上記先の出願の明細書の開示は引用することにより、本明細書の開示の一部とされる。
定義
本発明において、「水と接触する表面を有する物品」とは、降雨により、または人による水を使った所定の作業・動作時またはその後に、その表面に水が残る可能性がある物品を意味する。本発明の一つの態様によれば、この物品により建材を構成することができ、例えば、外壁材;浴室やシャワールームの内壁、天井および床材;浴槽;洗面器や手洗器(例えば、ボウル面や縁);シンク;便器;水栓;テーブル、ドラフト、カウンターなどに用いられる天板;鏡、窓などのガラス部材;内壁材などが挙げられる。カウンターの例としては、手洗い場、洗面所および浴室で用いられるカウンター、キッチンカウンター、実験室で用いられるカウンター、ドラフトチャンバーのカウンター等が挙げられる。とりわけ、本発明による建材は、浴室やシャワールームの内壁、天井および床材;浴槽;洗面器や手洗器(例えば、ボウル面や縁);シンク;便器;水栓;テーブル、ドラフト、カウンターなどに用いられる天板;鏡、窓などのガラス部材;手洗い場、洗面所および浴室で用いられるカウンター、キッチンカウンター、実験室で用いられるカウンター、ドラフトチャンバーのカウンターなど、いわゆる「水まわり部材」と呼ばれる建材として好ましく用いられる。
本発明において物品の材質・材料は特に限定されないが、例えば、ガラス、プラスチック、タイル、石、金属、木材、セラミック等が挙げられる。さらに、これら材料に塗装が施されたもの、プラスチックが積層されたもの(例えば、積層鋼板、塗装鋼板等の複合材)なども利用可能である。
物品の表面および水移動
本発明による物品の表面は、複数の導水単位を備えてなり、かつこの複数の導水単位が、後記する「水移動方向」に縦列配列されてなることを特徴とする。そしてこの導水単位は、親水領域と疎水領域とを、複数備えてなり、親水領域における親水性が物品の表面の一定方向に向けて増加するか、もしくは疎水領域における疎水性が、物品の表面の一定方向に向けて減少するか、またはこの親水領域における親水性の増加と疎水性領域における疎水性の減少をともに生じさせるよう構成される。
ここで、親水性の増加または前記疎水性領域における疎水性の減少は、本発明に好ましい態様によれば、次の二つのいずれかにより生じさせる。すなわち、その1の態様として、親水領域の疎水領域に対する面積比率(以下、「親水疎水面積比」という)を物品の表面の前記一定方向に向けて増加するよう構成することによって生じさせる。また、その2の態様として、物品の表面の前記一定方向に向けて、親水領域の単位面積当たりにおける水への親和性が増加するよう、または疎水領域の単位面積当たりにおける水への親和性が増加するよう構成することによって生じさせる。このような表面において、水が見かけ上自律的に移動する機序は、以下のように考えられるが、この理論は仮定であって、本発明はかかる理論に限定されるものではない。
本発明による物品の表面は親水領域と疎水領域を含み、この親水領域と疎水領域の双方に接するように水が置かれたとき、水には疎水領域からの押される力と、親水領域からの引かれる力とが作用する。上記その1の態様にあっては、この親水領域の疎水領域に対する面積比が一定方向に変化し、水は親水領域の面積比の大きな側に引かれる。また、上記その2の態様にあっては、この親水領域または疎水領域の水に対する親和性が一定方向に変化し、水は、水への親和性が相対的に増加する方向に引かれる。これらの力を推進力とし、その表面において水が見かけ上自律的に移動するものと考えられる。本発明にあっては、この水の見かけ上の自律的移動方向を「水移動方向」とよぶ。この推進力は重力とは異なるものであり、表面が水平であって水に対して重力がなんら水平方向への力を作用させない環境下にあっても、水が移動する。本発明にあっては、この水が見かけ上自律的に移動する方向を、「水移動方向」と呼ぶ。また、表面に傾斜があり、あるいは垂直である場合には、水の自律的移動方向と重力との双方の力によって、より効率よく水を移動させることも可能である。本発明の一つの態様によれば、水平面において5mL以上の比較的大きな水滴あるいは水のまとまりを、少なくとも数cm〜5cm以上移動させることが可能である。
導水単位
本発明が複数備える導水単位について、まず説明する。
その1の態様の導水単位:親水疎水面積比を変える態様
本発明における「親水疎水面積比」の概念、およびそれを変える手法について、以下説明する。本発明において、親水領域および疎水領域は、複数の疎水領域が水移動方向を長手方向に向けて、並列し、好適には水移動方向と平行に並び、当該複数の疎水領域の間に親水領域が配置され、言い換えれば複数の親水領域が水移動方向を長手方向に向けて、並列し、好適には水移動方向と平行に並び、当該複数の親水領域の間に疎水領域が配置されて形成される。その具体的態様を、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明による物品の表面における、複数の親水領域および複数の疎水領域が形成された状態を表す模式図である。図1において、物品の表面100a上に、親水領域11が逆三角形の形状で複数形成され、さらに疎水領域12が三角形の形状で形成されている。この態様において、物品表面100aはそれ自体親水性の性質を有する表面とし、疎水領域12を形成し、親水領域11が結果として設けられるよう構成されてもよい。
次に図2は、図1の物品の表面に置かれた水の見かけ上の自律的移動を説明する図である。図中の領域Aにおいて、親水疎水面積比は図の上の方向に向けて増加し、さらにこの領域Aと領域Bとを比較すると、親水疎水面積比は領域AからBに向けて増加する。このような表面に水20が置かれると、この水に対して疎水領域12側から押し出される力31が働き、親水領域11側からは引かれる力32が働く。これら双方の力を推進力として、水20は図の下から上方向に移動する。本発明において、親水疎水面積比が増加するこの方向、すなわち水20が移動する方向を「水移動方向」と定義する。また本明細書において、親水疎水面積比が小さい領域またはその側を上流と、また親水疎水面積比が大きな領域またはその側を下流と表現することがある。また、本発明において、疎水および親水とは、上記の水20に対する推進力を生じさせる限りにおいて相対的な意味で用いられ、例えば水との接触角として絶対的な値で表現させる性質を意味するものではないが、本発明の好ましい態様によれば、親水領域は水との静的接触角として0°以上120°以下とされ、疎水領域は水との静的接触角として40°以上180°以下の範囲に置かれる。
本発明において、親水領域および疎水領域の形成は次のように行うことができる。例えば、図1の態様において、物品表面100aはそれ自体親水性の性質を有する表面とし、疎水領域12を塗装により形成した塗装層とする。また、別の態様によれば、疎水領域のみならず、親水領域を塗装層として形成してもよい。また、物品表面100aが疎水性表面である場合、親水領域11を塗装層として形成してもよい。
疎水領域を塗装層とする場合、この塗装層は、疎水性樹脂塗料(例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、複合樹脂)、無機系塗料(例えば、シリコーン塗料)、疎水性光触媒塗料などで形成してよい。また、親水領域を塗装層とする場合、この塗装層は、親水性樹脂塗料、無機塗料、親水性光触媒塗料などで形成してよい。塗装層の形成方法は特に限定されないが、インクジェット、スクリーン印刷、ロト印刷、グラビア印刷等の手法により形成されてよい。
本発明の好ましい態様によれば、塗装層としての親水領域、疎水領域を、ドットの集合体として形成する。例えば、インクジェット方法により親水性または疎水性の物質を適用して、ドットを形成してもよい。特断らない限り、本態様に止まらず、本発明において親水領域または疎水領域をドットで形成した場合、親水領域および疎水領域の面積とは、その領域を形成するドットの面積の和として表現され、そのドットの面積の和を比較することにより、親水疎水面積比が定義される。
また、本発明の一つの好ましい態様によれば、この塗装層は可視光に対して透明であることが、物品の意匠に影響を与えない、あるいはそれを損ねないとの観点から好ましい。
本発明のこの態様において、親水領域および疎水領域は一つの水滴に接するように構成されていることが好ましく、例えば、浴室におけるシャワー使用による水滴付着を想定した場合、その水滴の付着サイズが5mm〜100mmとすれば、親水領域または疎水領域の最大幅は、すなわち水移動方向と直交する方向のサイズが最大となる箇所では、2mm〜50mmとすることが好ましい。言い換えれば、各領域の最大幅は、液滴のサイズの半分よりも小さいものとされることが好ましい。
その2の態様の導水単位:単位面積当たりにおける水への親和性を変える態様
さらに本発明の別の態様によれば、親水性の増加または疎水性領域における疎水性の減少が、一定方向に向けて、親水領域の単位面積当たりにおける水への親和性が増加するよう、または疎水領域の単位面積当たりにおける水への親和性が増加するよう構成することによって生じる態様と組み合わせて物品が構成される。
図3は、上記その2の態様を説明する図である。図において、物品の表面100a上に、矩形の親水領域12が複数形成され、さらに矩形の疎水領域11が複数形成されている。さらにこの態様にあっては、疎水領域11が、図では9の領域21〜29に分けられ、それぞれの水への親和性の程度が異なり、この態様にあっては21から順に親水性の程度が上がる、つまり疎水性が低下するよう構成される。すなわち、図にあっては、黒からグレー、そして白になるにつれて、疎水性の程度が低くなることを意味する。この態様においても、物品表面100aはそれ自体親水性の性質を有する表面とし、疎水領域11を形成し、親水領域12が結果として設けられるよう構成されてもよい。
図3の態様にあっては、このように構成された結果、物品の表面の親水性は図の上の方向に向けて増加し、さらにこの領域Aと領域Bとを比較すると、親水性の程度は領域AからBに向けて増加することなる。このような親水性の変化により、この図の態様にあっても、その1の態様、すなわち図1の態様における場合と同様に水は見かけ上自律的に移動を行う。
図4は、図3に示される物品の表面に置かれた水の見かけ上の自律的移動を説明する図である。図3の示される物品の表面に水20が置かれると、この水に対して上記その1の態様における親水性または疎水性の変化にともない、押し出される力31が働く。この力を推進力として、水20は図の下から上方向、すなわち矢印32の方向に移動する。つまり本発明において、疎水領域において親水性が増加する方向、または疎水性が減少する方向に水20が移動する。この方向を、本発明にあっては、水移動方向と定義する。親水領域12は、その親水性ゆえ水が通る領域(水路)となり、かつ疎水領域に挟まれることで液滴の変形方向が制限され、水移動方向への液滴変形(すなわち親水側に液滴が伸びる)が促進されることにより、より下流側への到達を容易にする。その2の態様においては、親水領域12を水移動方向の下流側に向けて親水性を増大させてもよく、その場合は、親水領域12において親水性の変化に伴い生じる水を押し出す力によって、もしくは、疎水領域11において疎水性の変化に伴い生じる水を押し出す力に加えて、親水性領域にて生じる力とが相まって、水20が下流方向に移動する。
本発明のこの態様において、親水領域または疎水領域内で区分される各領域の大きさは、一つの水滴が、少なくとも2つ以上の領域、より望ましくは、3つ以上の領域をまたがるものとされることが好ましい。例えば、浴室におけるシャワー使用による水滴付着を想定した場合、その水滴の付着サイズが5mm〜100mmとすれば、各領域は水移動方向に沿って2mm〜50mmとすることが好ましく、そのような領域を複数連ねて、数cm以上に水を移動させることが可能な表面を形成することが、より好ましい。さらに、親水領域と疎水領域とが一つの水滴に接するように構成されていることが好ましく、例えば、浴室におけるシャワー使用による水滴付着を想定した場合、その水滴の付着サイズが5mm〜100mmとすれば、親水領域または疎水領域の幅、すなわち水移動方向と直交する方向のサイズは、2mm〜50mmとすることが好ましい。また、以上を言い換えれば、各領域のサイズは、液滴のサイズの半分よりも小さいものとされることが好ましい。
図3の態様において、親水領域および疎水領域の形成は次のように行うことができる。例えば、物品表面100aはそれ自体親水性の性質を有する表面とし、疎水領域11を塗装により形成した塗装層とする。ここで、疎水領域21〜29を、疎水性の程度の異なる領域とするため、その種類または量を変えて形成する。また、別の態様によれば、疎水領域のみならず、親水領域を塗装層として形成してもよい。
本態様についても、塗装層を形成する塗料および塗装層の形成方法は上記したものと同様のものが挙げられる。
複数の導水単位の組み合わせ
本発明にあっては、物品の表面に、上記の導水単位を、複数配置する。具体的には、複数の導水単位の少なくとも一つの導水単位の水移動方向が、他の導水単位の水移動方向と非平行であり、かつそれぞれの導水単位の水移動方向が特定領域に集束するよう、複数の導水単位が配置される。これにより、水を特定の領域に集束させ集めることを可能にし、集められた水はより大きな水滴(集団)となり、より効率よく水を移動させることができる。特に、大きな水滴(集団)は、導水単位の境界領域を容易に乗り越えて移動することができることから、より長い距離を移動させることができる。また、水を特定の領域に集束させ集めることで、水の移動方向を制御することも可能になる。
図5は、導水単位101および102を二つ並べた態様の図であり、これら導水単位は、親水性の表面11の上に、三角形の疎水領域12が複数設けられた構成を有する。そして、導水単位101と、102の水移動方向は非平行とされる。すなわち、図中の導水単位101の水移動方向は図中の矢印101aの方向を向き、他方、導水単位102の水移動方向は矢印102aの方向を向き、両者は平行とはされない。そしてこの二つの水移動方向は、図中のAで示される領域を向く。このような物品表面に水が置かれると、導水単位101上の水は矢印101aの方向に移動し、導水単位102上の水は矢印102aの方向に移動し、そしてこの二つの方向にそれぞれ移動した水は、図中のAで示される領域に向かい集束する。この結果、水の移動方向を制御し、また水滴(集団)を大きくしてより移動し易いものとすることができる。
図6は、導水単位をさらに複数並べた態様の図である。図において、列1の行1〜3にある導水単位のそれぞれの水移動方向はほぼ平行であり、かつ図中の領域Aを目指す方向を向いている。列1、行1の導水単位に置かれた水は、列1の行2、そして行3の導水単位へと自律的に移動する。また、列2の行1〜3の導水単位のそれぞれの移動方向はほぼ平行であり、列2、行1の導水単位に置かれた水は、列2の行2、そして行3の導水単位へと自律的に移動する。つまり、まず、列1、行1〜3は、親水領域における親水性の増加の方向または疎水性領域における疎水性の減少の方向が平行である第一群の複数の導水単位であり、列2、行1〜3が、親水領域における親水性の増加の方向または疎水性領域における疎水性の減少の方向が平行であり、かつ前記の第一群の上記方向とは非平行である第二群の複数の導水単位となる。そして、これら導水単位に置かれた水は、特定領域Aに集束するよう、見かけ上自律的に移動することとなる。
図6の態様にあっては、さらに、列3〜5のそれぞれ行1〜3の導水単位を備える。第一群、第二群と同様に、第三群〜第5群の複数の導水単位となる。これら第一群〜第5群の複数の導水単位は、親水領域における親水性の増加の方向または前記疎水性領域における疎水性の減少の方向が、それぞれ非平行であり、それぞれの群の親水領域における親水性の増加の方向または疎水性領域における疎水性の減少の方向が、特定領域に至るものとされてなる。これらさらなる複数の導水単位に置かれた水は、特定領域Aに集束するよう、見かけ上自律的に移動することとなる。
本発明の好ましい態様によれば、この図7の態様において、複数の導水単位の間の領域は親水性とされる。
図7は、本発明の別の態様による物品表面を表す図である。図7(a)に示されるような複数の導水単位101の並びを連続的に構成したものが、図7(b)の態様である。親水性の表面11の上に、三角形の疎水領域が複数設けられ、それぞれ列121および列122として並ぶ構成を有する。そして、導水単位の列121および列122の水移動方向は非平行とされてなる。このような表面を有する物品に置かれた水は、列121と122の間の特定領域Aに集束するよう自律的に移動する。すなわち、図7に示される物品は、特定領域が帯状または線状であり、この特定領域を挟んで、第一の導水単位と、第二の導水単位とが、非平行の関係にあるそれぞれの前記水移動方向を前記特定領域に向けられて置かれてなる。特定領域Aに集まった水は、ある程度の量になると、わずかな傾きまたは外力で容易に移動し、物品表面から排除可能となる。また、下流端では親水性の領域が広がる形状のため、集まった水が特定領域Aの下流端に至ると、水は下流端にある広い親水性の領域に解放される形で見かけ上自律的に移動する現象もみられ、これにより特定領域Aから水が排除され得る。さらに、例えば、この物品表面が垂直におかれていると、特定領域Aに集束した水は重力で効率よく、この領域Aを水路のように図の下方向に移動し、効率よく物品表面から排除される。
本発明を以下の実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
150mm×65mm×2mmの板ガラスにフッ化アンモニウムを含有するガラス用洗浄剤を塗布し、水のハジキが無い状態になったところで水で洗い流し、乾燥させた。ガラス板の表面に撥水剤(ソフト99コーポレーション製、商品名:超ガラコ)を塗布し、70℃で充分に乾燥させた。撥水化した表面にマスキングテープを貼り、図8に示されるようなパターン形状に沿って親水領域となる部分のマスキングテープを切り取り、当該部分を親水化することで、パターンを形成した。すなわち、親水性のガラス表面11に、図8(b)に示した疎水領域の複数からなる長さ130mm、幅15mmの導水単位121および122の組み合わせ2列を、その間に幅1mmの特定領域Aを設けながら形成した。この導水単位における親水領域の形状は図8(c)に示される形状を有する。すなわち、特定領域Aに向かい、親水性の領域の面積が大きくなる。
こうして得られた表面に、再び上記洗浄剤を塗布し、水のハジキが無い状態を確認し、その後水で十分にすすいだ。残ったマスキングテープをとり、乾燥させてサンプルを作製した。
サンプルを水平面に置き、上方から約10mLの水をかけると、パターン中央部の親水領域に水が集まり、下流端の親水領域に水が達すると水が一定方向に排水された。
実施例2
図9に示されるパターンとした以外は実施例1と同様にサンプルを作製した。すなわち、親水性のガラス表面11に、図9(b)に示した疎水領域の複数からなる長さ130mm、幅10mmの導水単位121および122の組み合わせ3列を、その間に幅1mmの特定領域Aを設けながら形成した。この導水単位における親水領域の形状は図9(c)に示される形状を有する。
このサンプルを立てかけ、スプレーで水をかけると、パターン中央部の親水流路に水が集まり流れていった。また、サンプルを水平に置き、上からスプレーで水を吹き掛けた。水滴が大きくなると、上流側には水が到達せず、下流側に水が流れていった。

Claims (7)

  1. 水と接触する表面を有する物品であって、
    前記表面が、複数の導水単位を備えてなり、
    前記導水単位が、親水領域と疎水領域とを、それぞれ複数備えてなり、
    前記親水領域における親水性が前記表面の一定方向に向けて増加するか、もしくは
    前記疎水領域における疎水性が、前記一定方向に向けて減少するか、または
    前記親水領域における親水性の増加と、前記疎水性領域における疎水性の減少をともに生じさせ、
    もって当該方向に水が見かけ上自律的に移動する(以下、この方向を「水移動方向」という)性質を有し、
    前記複数の導水単位の少なくとも一つの導水単位の前記水移動方向が、他の導水単位の前記水移動方向と非平行であり、かつそれぞれの導水単位の水移動方向が特定領域に集束するよう、前記複数の導水単位が配置されてなることを特徴とする、物品。
  2. 前記親水性の増加または前記疎水性領域における疎水性の減少が、前記親水領域の前記疎水領域に対する面積比率(以下、「親水疎水面積比」という)を前記一定方向に向けて増加するよう構成することによって生じる、請求項1に記載の物品。
  3. 前記親水性の増加または前記疎水性領域における疎水性の減少が、前記一定方向に向けて、前記親水領域の単位面積当たりにおける水への親和性が増加するよう、または前記疎水領域の単位面積当たりにおける水への親和性が増加するよう構成することによって生じる、請求項1に記載の物品。
  4. 前記親水領域における親水性の増加の方向または前記疎水性領域における疎水性の減少の方向が平行である第一群の複数の導水単位と、
    前記親水領域における親水性の増加の方向または前記疎水性領域における疎水性の減少の方向が平行であり、かつ前記第一群の当該方向とは非平行である第二群の複数の導水単位とを備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
  5. 前記親水領域における親水性の増加の方向または前記疎水性領域における疎水性の減少の方向が、前記第一群および第二群の複数の導水単位の当該方向とは非平行である、1以上の複数の導水単位の群をさらに有し、
    各群の前記親水領域における親水性の増加の方向または前記疎水性領域における疎水性の減少の方向が、特定領域に至るものとされた、請求項4に記載の物品。
  6. 前記特定領域が帯状または線状であり、
    当該特定領域を挟んで、第一の導水単位と、第二の導水単位とが、非平行の関係にあるそれぞれの前記水移動方向を前記特定領域に向けられて置かれてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
  7. 水まわり部材である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111609558A (zh) * 2020-05-15 2020-09-01 华帝股份有限公司 一种防止水管腐蚀的方法及应用其的热水器
CN119287651A (zh) * 2024-12-05 2025-01-10 东华大学 一种耐久型导水织物及其制备方法

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