JP2017227295A - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造で防振特性を低下させることなく、キャビテーション崩壊に起因する異音の発生を抑える。
【解決手段】制限通路24は、第1液室に面する第1障壁34に形成されるとともに、第1液室に開口する第1連通部26、第2液室に面する第2障壁35に形成されるとともに、第2液室に開口する第2連通部27、および第1連通部26と第2連通部27とを連通する本体流路25を備え、第1連通部26および第2連通部27のうちの少なくとも一方は、第1障壁34または第2障壁35を貫通する複数の細孔26aを備え、本体流路25において、第1連通部26および第2連通部27のうちの少なくとも一方との接続部分には、第1連通部26および第2連通部27のうちの他方側からの液体の流速に応じて液体の旋回流を形成し、この液体を、細孔26aを通して流出させる渦室29が配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば自動車や産業機械等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を吸収および減衰する防振装置に関する。
この種の防振装置として、従来、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、これらの両取付け部材を連結する弾性体と、液体が封入された第1取付け部材内の液室を主液室と副液室とに区画する仕切り部材と、を備える構成が知られている。仕切り部材には、主液室と副液室とを連通する制限通路が形成されている。この防振装置では、振動入力時に、両取付け部材が弾性体を弾性変形させながら相対的に変位し、主液室の液圧を変動させて制限通路に液体を流通させることで、振動を吸収および減衰している。
ところで、この防振装置では、例えば路面の凹凸等から大きな荷重(振動)が入力され、主液室の液圧が急激に上昇した後、弾性体のリバウンド等によって逆方向に荷重が入力されたときに、主液室が急激に負圧化されることがある。すると、この急激な負圧化により液中に多数の気泡が生成されるキャビテーションが発生し、さらに生成した気泡が崩壊するキャビテーション崩壊に起因して、異音が生じることがある。
そこで、例えば下記特許文献1に示される防振装置のように、制限通路内に弁体を設けることで、大きな振幅の振動が入力されたときであっても、主液室の負圧化を抑制する構成が知られている。
特開2012−172832号公報
しかしながら、前記従来の防振装置では、弁体が設けられることで構造が複雑になり、弁体のチューニングも必要となるため、製造コストが増加するといった課題がある。また、弁体を設けることで設計自由度が低下し、結果として防振特性が低下するおそれもある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、簡易な構造で防振特性を低下させることなく、キャビテーション崩壊に起因する異音の発生を抑えることができる防振装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、これら両取付け部材を弾性的に連結する弾性体と、液体が封入された前記第1取付け部材内の液室を第1液室と第2液室とに区画する仕切り部材と、を備えるとともに、前記仕切り部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、前記制限通路は、前記第1液室に面する第1障壁に形成されるとともに、前記第1液室に開口する第1連通部、前記第2液室に面する第2障壁に形成されるとともに、前記第2液室に開口する第2連通部、および前記第1連通部と前記第2連通部とを連通する本体流路を備え、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの少なくとも一方は、前記第1障壁または前記第2障壁を貫通する複数の細孔を備え、前記本体流路において、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの少なくとも一方との接続部分には、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの他方側からの液体の流速に応じて液体の旋回流を形成し、この液体を、前記細孔を通して流出させる渦室が配置されている。
本発明によれば、振動入力時に、両取付け部材が弾性体を弾性変形させながら相対的に変位して第1液室の液圧が変動し、液体が制限通路を通って第1液室と第2液室との間を流通しようとする。このとき液体は、第1連通部および第2連通部のうちの一方を通して本体流路に流入した後、第1連通部および第2連通部のうちの他方を通して本体流路から流出する。
ここで、防振装置に大きな荷重(振動)が入力された場合であって、第1連通部および第2連通部のうちの一方との接続部分に設けられた渦室に、第1連通部および第2連通部のうちの他方側から液体が流入されるときに、その液体の流速が十分に高く、渦室内で液体の旋回流が形成されると、例えば、この旋回流を形成することによるエネルギー損失や、液体と渦室の壁面との間の摩擦によるエネルギー損失などを起因として、液体の圧力損失を高めることができる。さらにその液体が、第1連通部または第2連通部に備えられた複数の細孔を通して流出するときには、これらの細孔が形成された第1障壁または第2障壁により液体が圧力損失させられながら液体が細孔を流通し、複数の細孔を流通する液体の流速の上昇を抑えることができる。しかも、液体が、単一の細孔ではなく複数の細孔を流通するので、液体を複数に分岐させて流通させることが可能になり、個々の細孔を通過した液体の流速を低減させることができる。これにより、細孔を通過して第1液室または第2液室に流入した液体と、第1液室内または第2液室内の液体と、の間で生じる流速差を小さく抑え、流速差に起因する渦の発生、およびこの渦に起因する気泡の発生を抑えることができる。さらに、仮に気泡が発生したとしても、細孔が複数配置されているので、発生した気泡同士を離間させることが可能になり、気泡が合流して成長するのを抑えて気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができる。また、仮に気泡が第1液室や第2液室ではなく制限通路内で発生しても、気泡が細孔を通過する際に、その気泡を細かい気泡に分割させ、その後、分散させることができる。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができる上、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
前記複数の細孔は、前記第1障壁または前記第2障壁に、前記渦室で形成される液体の旋回流の旋回方向に沿って配置され、前記第1障壁または前記第2障壁における所定面積当たりに占める、前記細孔における最小横断面の開口面積または投影面積の割合が、前記旋回方向の後側から前側に向かうに従い漸次、大きくなっていてもよい。
渦室内で液体の旋回流が形成されると、液体の圧力損失が生じるため、液体の流速は、旋回方向の後側から前側に向かうに従い漸次、低くなる。つまり、旋回流を形成する液体では、旋回方向の後側に位置するほど、防振装置の平面視において渦室の中心軸線に直交する方向(以下、「旋回径方向」という。)の外側に向かう慣性力が大きい。
ここで前記割合が、旋回方向の後側から前側に向かうに従い漸次、大きくなっていて、液体の流速が高い旋回方向の後側において、前記割合を抑えることができる。したがって、旋回流を形成する液体が、その液体に作用する慣性力を起因として、複数の細孔のうち、旋回方向の後側に位置する細孔を通して渦室から流出することを抑制し、旋回方向の前側に位置する細孔からも液体を流出させることができる。これにより、旋回方向の後側に位置する細孔から大量の液体が局所的に高速で流出するのを抑制することが可能になり、複数の細孔全体から、流速のばらつきを抑えつつ液体を流出させ、気泡の発生を効果的に抑えることができる。
本発明によれば、簡易な構造で防振特性を低下させることなく、キャビテーション崩壊に起因する異音の発生を抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る防振装置の縦断面図である。 図1に示す防振装置を構成する仕切り部材の平面図である。 図2に示す仕切り部材の斜視図である。 図2に示す仕切り部材の側面図である。 図2に示す仕切り部材の要部の拡大斜視図である。
以下、本発明に係る防振装置の実施の形態について、図1から図5に基づいて説明する。
図1に示すように、防振装置10は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材11と、振動発生部および振動受部のいずれか他方に連結される第2取付け部材12と、これらの第1取付け部材11、第2取付け部材12同士を弾性的に連結する弾性体13と、第1取付け部材11内を後述する主液室14(第1液室)と副液室15(第2液室)とに区画する仕切り部材16と、を備える液体封入型の防振装置である。
以下、第1取付け部材11の中心軸線を軸心Oといい、軸心Oに沿う方向を軸方向という。また、軸方向に沿う第2取付け部材12側を上側、仕切り部材16側を下側という。また、防振装置10を軸方向から見た平面視において、軸心O周りに周回する方向を周方向という。
なお、第1取付け部材11、第2取付け部材12、および弾性体13はそれぞれ、平面視した状態で円形状若しくは円環状に形成されるとともに、軸心Oと同軸に配置されている。
この防振装置10が例えば自動車に装着される場合、第2取付け部材12が振動発生部としてのエンジンに連結され、第1取付け部材11が振動受部としての車体に連結される。これにより、エンジンの振動が車体に伝達することが抑えられる。
第2取付け部材12は、軸方向に延在する柱状部材であり、下端部が半球面状に形成されるとともに、この半球面状の下端部より上方に鍔部12aを有している。この第2取付け部材12の上部には、その上端面から下方に向かって延びるねじ孔12bが穿設され、このねじ孔12bにエンジン側の取付け具となるボルト(図示せず)が螺合されるようになっている。また、この第2取付け部材12は、弾性体13を介して、第1取付け部材11の上端開口部側に配置されている。
弾性体13は、第1取付け部材11の上端開口部と第2取付け部材12の下端側外周面とにそれぞれ加硫接着されて、これらの間に介在させられたゴム体であって、第1取付け部材11の上端開口部を上側から閉塞している。この弾性体13は、その上端部が第2取付け部材12の鍔部12aに当接することで、第2取付け部材12に充分に密着し、該第2取付け部材12の変位により良好に追従するようになっている。また、弾性体13の下端部には、第1取付け部材11の内周面と下端開口縁の一部とを液密に被覆するゴム膜17が一体形成されている。なお、弾性体13としては、ゴム以外にも合成樹脂等からなる弾性体を用いることも可能である。
第1取付け部材11は、下端部にフランジ18を有する円筒状に形成され、フランジ18を介して振動受部としての車体等に連結される。この第1取付け部材11の内部のうち、弾性体13より下方に位置する部分が、液室19となっている。本実施形態では、第1取付け部材11の下端部内に仕切り部材16が設けられ、さらにこの仕切り部材16の下方にダイヤフラム20が設けられている。
ダイヤフラム20は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料からなり、有底円筒状に形成されている。ダイヤフラム20の上端部は、仕切り部材16と、仕切り部材16より下方に位置するリング状の保持具21と、によって軸方向に挟まれている。仕切り部材16には、その外周にフランジ部22が形成されており、このフランジ部22の下面に前記保持具21の上面が当接している。フランジ部22は、仕切り部材16の外周面の下端に設けられている。フランジ部22の内周部の上面は、ゴム膜17の下端部に液密に当接している。
このような構成のもとに、第1取付け部材11の下端開口縁に、仕切り部材16のフランジ部22、および保持具21が下方に向けてこの順に配置され、ねじ23によって固定されることにより、ダイヤフラム20は仕切り部材16を介して第1取付け部材11の下端開口部に取り付けられている。なお、ダイヤフラム20は、本実施形態ではその底部が、外周側で深く中央部で浅い形状になっている。ただし、ダイヤフラム20の形状としては、このような形状以外にも、従来公知の種々の形状を採用することができる。
そして、このように第1取付け部材11に仕切り部材16を介してダイヤフラム20が取り付けられたことにより、前記したように第1取付け部材11内に液室19が形成されている。液室19は、第1取付け部材11内、すなわち平面視して第1取付け部材11の内側に配設されたもので、弾性体13とダイヤフラム20とにより液密に封止された密閉空間となっている。そして、この液室19には、液体Lが封入(充填)されている。
液室19は、仕切り部材16によって主液室14と副液室15とに区画されている。主液室14は、弾性体13の下面13aを壁面の一部として形成されたもので、この弾性体13と第1取付け部材11の内周面を液密に覆うゴム膜17と仕切り部材16とによって囲まれた空間であり、弾性体13の変形によって内容積が変化する。副液室15は、ダイヤフラム20と仕切り部材16とによって囲まれた空間であり、ダイヤフラム20の変形によって内容積が変化する。このような構成からなる防振装置10は、主液室14が鉛直方向上側に位置し、副液室15が鉛直方向下側に位置するように取り付けられて用いられる、圧縮式の装置である。
仕切り部材16の外周面は、ゴム膜17を介して第1取付け部材11内に嵌合されており、これにより、ゴム膜17と仕切り部材16との間が液密に閉塞されている。
仕切り部材16の上面には、凹部31が形成されている。凹部31は、軸心Oと同軸に配置されている。凹部31は、仕切り部材16を上方から見た上面視において円形状に形成されている。凹部31は、仕切り部材16に、環状の外周部32aと、外周部32aの内部を閉塞する板状の中央部32bと、を形成する。外周部32aは、凹部31の側面と、仕切り部材16の外周面と、の間に形成される。中央部32bは、凹部31の底面と、仕切り部材16の下面と、の間に形成され、外周部32aよりも軸方向に小さい(薄い)。
仕切り部材16には、主液室14と副液室15とを連通する制限通路24が設けられている。制限通路24は、仕切り部材16内に配置された本体流路25と、本体流路25と主液室14とを連通する第1連通部26と、本体流路25と副液室15とを連通する第2連通部27と、を備えている。
図2に示すように、本体流路25は、整流路28と、渦室29と、を備えている。整流路28は、仕切り部材16の外周面に周溝状に形成されている。整流路28は、仕切り部材16の外周面の少なくとも半周以上にわたって延びている。整流路28は、前記外周部32aに形成されている。整流路28では、制限通路24の流路方向Rが周方向となっている。
渦室29は、整流路28の周方向における2つの端部のうち、第1端部28aに設けられている。第1端部28aは、整流路28における渦室29との接続部分となっている。図4に示すように、第1端部28aの流路断面積は、流路方向Rに沿って第2連通部27から離間するに従い、小さくなっている。第1端部28aは、流路方向Rに沿って第2連通部27から離間するに従い、軸方向に小さくなっている。
図2に示すように、渦室29は、前記外周部32aおよび前記中央部32bにわたって設けられている。渦室29は、前記上面視において円形状に形成されている。渦室29の内周面は、前記上面視において渦室29の外周縁を形成している。渦室29の直径は、仕切り部材16の直径よりも小さく、渦室29の中心軸線は、軸心Oに対して偏心している。前記上面視において、渦室29の外周縁は、仕切り部材16の外周面に内接している。
渦室29は、整流路28からの液体Lの流速に応じて液体Lの旋回流を形成する。渦室29内に流入する液体Lの流速が低いときには、渦室29内での液体Lの旋回が抑制されるものの、液体Lの流速が高いときには、渦室29内で液体Lの旋回流が形成される。旋回流は、渦室29の中心軸線回りに沿う方向に旋回する。つまり、渦室29で形成される液体Lの旋回流の旋回方向Tは、防振装置10を軸方向から見た平面視において、渦室29の中心軸線回りに沿う方向となる。
旋回方向Tに沿う前側は、前記上面視において反時計回り側となり、旋回方向Tに沿う後側は、前記上面視において時計回り側となる。なお以下では、防振装置10を軸方向から見た平面視において、渦室29の中心軸線に直交する方向を旋回径方向という。
図5に示すように、凹部31の底面には、溝部33が形成されている。溝部33は、旋回方向Tに沿って延びている。溝部33は、前記上面視において円弧状に形成されている。溝部33は、前記上面視において、渦室29の外周縁に沿って配置されている。前記上面視において、溝部33の両端部は、凹部31の側面に到達していて、溝部33は、凹部31の底面を2つの領域に区画している。
図1および図5に示すように、溝部33の側面のうち、旋回径方向の外側を向く第1側面33aは、軸方向に平行に延びている。溝部33の側面のうち、旋回径方向の内側を向く第2側面33bは、傾斜面33cと、水平面33dと、鉛直面33eと、を備えている。傾斜面33c、水平面33dおよび鉛直面33eは、上方から下方に向けてこの順に設けられている。傾斜面33cは、上方から下方に向かうに従い漸次、旋回径方向の内側に向けて延びている。水平面33dは、傾斜面33cの下端部から旋回径方向の内側に向けて延びている。鉛直面33eは、水平面33dの旋回径方向の内側の端部から下方に向けて延びている。溝部33の底面は、渦室29の下面と面一に配置されている。
図5に示すように、仕切り部材16は、主液室14に面する第1障壁34と、副液室15に面する第2障壁35と、を備えている。第1障壁34は、仕切り部材16のうち、渦室29の内周面と、第1側面33aと、の間に位置する部分によって形成されている。第1障壁34は、旋回方向Tに沿って延びている。第2障壁35は、仕切り部材16のうち、整流路28の内面と、仕切り部材16の下面と、の間に位置する部分によって形成されている。第2障壁35は、流路方向Rに沿って延びている。
第1連通部26は、第1障壁34に形成され、主液室14に開口している。第2連通部27は、第2障壁35に形成され、副液室15に開口している。
第1連通部26および第2連通部27のうちの少なくとも一方は、第1障壁34または第2障壁35を貫通する複数の細孔26aを備えている。本実施形態では、第1連通部26が、第1障壁34を貫通する複数の細孔26aを備えている。
複数の細孔26aは、第1障壁34に旋回方向Tに沿って配置されている。複数の細孔26aは、旋回方向Tに間隔をあけて複数配置されている。細孔26aは、第1障壁34を旋回径方向に貫通している。複数の細孔26aの主液室14に向けた開口部はいずれも、旋回径方向の外側から見た正面視において、軸方向に延びる長方形状に形成されている。細孔26aの下端部は、渦室29の下面(溝部33の底面)上に位置している。複数の細孔26aの流路断面積は、各細孔26aの流路長さ方向(図示の例では、旋回径方向)の内側から外側に向かうに従い漸次、大きくなっている。
第1障壁34における所定面積当たりに占める、細孔26aにおける最小横断面の開口面積または投影面積の割合は、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い漸次、大きくなっている。なお「投影面積」とは、第1障壁34における主液室14内に位置する面への、細孔26aの最小横断面の中央を通る細孔中心線が延びる方向に向けた投影面積をいう。本実施形態における「投影面積」とは、細孔26aの最小横断面の第1側面33aへの旋回径方向(流路長さ方向)への投影面積をいう。
本実施形態では、複数の細孔26aの周方向の幅は、それぞれ互いに同等となっている。複数の細孔26aは、それぞれ周方向に同等の間隔をあけて配置されている。そして、複数の細孔26aの軸方向の長さは、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い漸次、大きくなっている。これにより、前記割合が、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い漸次、大きくなっている。
なお図示の例では、第1側面33aのうち、細孔26aを回避した部分には、第1側面33aと第2側面33bとを接続するブリッジ部36が設けられている。ブリッジ部36の下面は、溝部33の底面に固定され、ブリッジ部36の上面は、水平面33dと面一に形成されている。
第2連通部27は、第2障壁35を軸方向に貫通する。第2連通部27は、流路方向Rに長い矩形状に形成されている。第2連通部27は、整流路28の第2端部28bに開口する。
前記制限通路24では、本体流路25が、第1連通部26と第2連通部27とを連通している。そして渦室29は、本体流路25において、第1連通部26および第2連通部27のうちの少なくとも一方である第1連通部26との接続部分に形成されている。渦室29は、第1連通部26および第2連通部27のうちの他方側である第2連通部27側からの液体Lの流速に応じて液体Lの旋回流を形成し、この液体Lを、細孔26aを通して流出させる。
このような構成からなる防振装置10では、振動入力時に、両取付け部材11、12が弾性体13を弾性変形させながら相対的に変位する。すると、主液室14の液圧が変動し、主液室14内の液体Lが制限通路24を通って副液室15に流入し、また、副液室15内の液体Lが制限通路24を通って主液室14に流入する。すなわち、副液室15内の液体Lの一部が主液室14に戻る。
本実施形態に係る防振装置10によれば、防振装置10に大きな荷重(振動)が入力された場合であって、渦室29に、第2連通部27側から液体Lが流入されるときに、その液体Lの流速が十分に高く、渦室29内で液体Lの旋回流が形成されると、例えば、この旋回流を形成することによるエネルギー損失や、液体Lと渦室29の壁面との間の摩擦によるエネルギー損失などを起因として、液体Lの圧力損失を高めることができる。さらにその液体Lが、複数の細孔26aを通して流出するときには、これらの細孔26aが形成された第1障壁34により液体Lが圧力損失させられながら液体Lが細孔26aを流通し、複数の細孔26aを流通する液体Lの流速の上昇を抑えることができる。しかも、液体Lが、単一の細孔26aではなく複数の細孔26aを流通するので、液体Lを複数に分岐させて流通させることが可能になり、個々の細孔26aを通過した液体Lの流速を低減させることができる。これにより、細孔26aを通過して主液室14に流入した液体Lと、主液室14内の液体Lと、の間で生じる流速差を小さく抑え、流速差に起因する渦の発生、およびこの渦に起因する気泡の発生を抑えることができる。さらに、仮に気泡が発生したとしても、細孔26aが複数配置されているので、発生した気泡同士を離間させることが可能になり、気泡が合流して成長するのを抑えて気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができる。また、仮に気泡が主液室14ではなく制限通路24内で発生しても、気泡が細孔26aを通過する際に、その気泡を細かい気泡に分割させ、その後、分散させることができる。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができる上、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
また、渦室29内で液体Lの旋回流が形成されると、液体Lの圧力損失が生じるため、液体Lの流速は、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い漸次、低くなる。つまり、旋回流を形成する液体Lでは、旋回方向Tの後側に位置するほど、旋回径方向の外側に向かう慣性力が大きい。
ここで前記割合が、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い漸次、大きくなっていて、液体Lの流速が高い旋回方向Tの後側において、前記割合を抑えることができる。したがって、旋回流を形成する液体Lが、その液体Lに作用する慣性力を起因として、複数の細孔26aのうち、旋回方向Tの後側に位置する細孔26aを通して渦室29から流出することを抑制し、旋回方向Tの前側に位置する細孔26aからも液体Lを流出させることができる。これにより、旋回方向Tの後側に位置する細孔26aから大量の液体Lが局所的に高速で流出するのを抑制することが可能になり、複数の細孔26a全体から、流速のばらつきを抑えつつ液体Lを流出させ、気泡の発生を効果的に抑えることができる。
また、複数の細孔26aの最小横断面の投影面積または開口面積が、旋回方向Tの前側にする細孔26aほど、大きくなっているので、前記割合が、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い、漸次大きくなる構造を簡易な構成で確実に実現することができる。
また、第1端部28aの流路断面積が、第2連通部27から流路方向Rに離間するに従い漸次小さくなっているため、液体Lが第1端部28aを流通する過程で漸次、流通抵抗が増して液体Lの流速が抑えられる。これにより、渦室29に流入する液体Lの流速を低くすることが可能になり、慣性によって液体Lが旋回方向Tの後側に位置する細孔26aから流出するのを確実に抑えることができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
前記実施形態では、渦室29が、本体流路25における第1連通部26との接続部分に形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、渦室29が、本体流路25における第2連通部27との接続部分に形成されていてもよい。この場合、第1連通部26が複数の細孔26aを備えるのに代えて、第2連通部27が、旋回方向Tに沿って配置された複数の細孔を備える構成を採用することができる。この場合には、第2障壁35における所定面積あたりに占める、細孔における最小横断面の投影面積または開口面積の割合が、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い、漸次大きくなっていてもよい。この場合の複数の細孔では、旋回方向Tの前側に位置する細孔ほど、最小横断面の投影面積または開口面積が大きくなっていてもよい。なお、この場合における「投影面積」とは、第2障壁35における副液室15内に位置する面への、細孔の最小横断面の中央を通る細孔中心線が延びる方向に向けた投影面積をいう。
さらに、渦室29が、本体流路25における第1連通部26との接続部分、および第2連通部27との接続部分の両方に形成されていてもよい。
また、前記実施形態では、複数の細孔26aの最小横断面の投影面積または開口面積が、旋回方向Tの前側にする細孔26aほど、大きくなっていることで、前記割合を、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い、漸次大きくしたが、本発明はこれに限られない。例えば、旋回方向Tで互いに隣り合う細孔同士の間隔が、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い、漸次狭くなっていていることで、前記割合を、旋回方向Tの後側から前側に向かうに従い、漸次大きくしてもよい。
また、複数の細孔26aの流路長さが、旋回方向Tの後側にする細孔26aほど、長くなっていてもよい。
また、前記実施形態では、第1端部28aにおける流路断面積が第2連通部27から流路方向Rに離間するに従い漸次小さくなっていたが、第2端部28bにおける流路断面積が第1連通部26から流路方向Rに離間するに従い漸次小さくなっていてもよい。
また、前記実施形態では細孔26aを長方形状に形成したが、円柱状や円錐状に形成してもよい。
また、前記実施形態では、細孔26aが軸方向に1つ配置されているが、細孔26aが軸方向に複数配置されていてもよい。
また、前記実施形態では、本体流路25(整流路28)が周方向に延びて配置されているが、本発明はこれに限られない。
また、前記実施形態では、仕切り部材16を第1取付け部材11の下端部に配置し、フランジ部22を第1取付け部材11の下端面に当接させているが、例えば仕切り部材16を第1取付け部材11の下端面より充分上方に配置し、この仕切り部材16の下側、すなわち第1取付け部材11の下端部にダイヤフラム20を配設することで、第1取付け部材11の下端部からダイヤフラム20の底面にかけて副液室15を形成するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、支持荷重が作用することで主液室14に正圧が作用する圧縮式の防振装置10について説明したが、主液室14が鉛直方向下側に位置し、かつ副液室15が鉛直方向上側に位置するように取り付けられ、支持荷重が作用することで主液室14に負圧が作用する吊り下げ式の防振装置にも適用可能である。
また前記実施形態では、仕切り部材16が、第1取付け部材11内の液室19を、弾性体13を壁面の一部に有する主液室14、および副液室15に仕切るものとしたが、これに限られるものではない。例えば、ダイヤフラム20を設けるのに代えて、弾性体13を軸方向に一対設けて、副液室15を設けるのに代えて、弾性体13を壁面の一部に有する受圧液室を設けてもよい。例えば、仕切り部材16が、液体Lが封入される第1取付け部材11内の液室19を、第1液室14および第2液室15に仕切り、第1液室14および第2液室15の両液室のうちの少なくとも1つが、弾性体13を壁面の一部に有する他の構成に適宜変更することが可能である。
また、本発明に係る防振装置10は、車両のエンジンマウントに限定されるものではなく、エンジンマウント以外に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントにも適用することも可能であり、或いは、工場等に設置される機械のマウントにも適用することも可能である。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
10 防振装置
11 第1取付け部材
12 第2取付け部材
13 弾性体
14 主液室(第1液室)
15 副液室(第2液室)
16 仕切り部材
19 液室
24 制限通路
25 本体流路
26 第1連通部
26a 細孔
27 第2連通部
29 渦室
34 第1障壁
35 第2障壁
L 液体
T 旋回方向

Claims (2)

  1. 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、
    これら両取付け部材を弾性的に連結する弾性体と、
    液体が封入された前記第1取付け部材内の液室を第1液室と第2液室とに区画する仕切り部材と、を備えるとともに、
    前記仕切り部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、
    前記制限通路は、前記第1液室に面する第1障壁に形成されるとともに、前記第1液室に開口する第1連通部、前記第2液室に面する第2障壁に形成されるとともに、前記第2液室に開口する第2連通部、および前記第1連通部と前記第2連通部とを連通する本体流路を備え、
    前記第1連通部および前記第2連通部のうちの少なくとも一方は、前記第1障壁または前記第2障壁を貫通する複数の細孔を備え、
    前記本体流路において、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの少なくとも一方との接続部分には、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの他方側からの液体の流速に応じて液体の旋回流を形成し、この液体を、前記細孔を通して流出させる渦室が配置されていることを特徴とする防振装置。
  2. 前記複数の細孔は、前記第1障壁または前記第2障壁に、前記渦室で形成される液体の旋回流の旋回方向に沿って配置され、
    前記第1障壁または前記第2障壁における所定面積当たりに占める、前記細孔における最小横断面の開口面積または投影面積の割合が、前記旋回方向の後側から前側に向かうに従い漸次、大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
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