JP2017501184A - 低減された眼圧で術後の炎症を治療するための方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】眼科手術後の被験者を治療する組成物および方法を開示する。【解決手段】その組成物と方法は、少なくとも1つ副腎皮質ステロイドとその眼科的に許容可能な塩を、少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩の持続放出を供給することができる眼科的に許容可能な賦形剤に含む組成物を、治療が必要な被験者の眼に投与することを含む。有利には、その組成物は、2週間の期間にわたって1日2回投与される場合、統計学的に有意な数の被験者の眼で、統計学的に有意な眼圧の上昇をもたらさない。
Description
本願は、2014年1月7日に出願された米国特許出願第14/149,743号の利益を主張し、その全体の開示を、参照により本明細書中に組み込む。
本発明は、持続放出賦形剤中に1つ以上の副腎皮質ステロイドを含む組成物を、それを必要とする被験者に投与することによって、白内障手術のような眼科手術後における術後炎症反応を治療する方法に関する。
背景技術
(グルココルチコイドを含む)外用副腎皮質ホルモン剤は、一般的に、手術に対する炎症反応および眼科手術から生じる他の可能な合併症を軽減するために、手術後の所定の治療として使用される。しかしながら、メドリゾン、フルオロメトロン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、およびそれらのエステルなどの特定の副腎皮質ステロイドは、有害な眼圧の上昇を引き起こすことが広く知られている。Mindelら、「Comparative Ocular Pressure Elevation by Medrysone, Fluorometholone, and Dexamethasone Phosphate(メドリゾン、フルオロメトロン、およびリン酸デキサメタゾンによる眼圧上昇の比較)」、Arch. Ophthalmol. 1980:98:1577−78;Laurellら、「Effects of dexamethasone, diclofenac, or placebo on the inflammatory response after cataract surgery(白内障手術後の炎症反応のデキサメタゾン、ジクロフェナク、またはプラセボの効果)」、Br. J. Ophthamol 2002:86:1380−1384参照。
(グルココルチコイドを含む)外用副腎皮質ホルモン剤は、一般的に、手術に対する炎症反応および眼科手術から生じる他の可能な合併症を軽減するために、手術後の所定の治療として使用される。しかしながら、メドリゾン、フルオロメトロン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、およびそれらのエステルなどの特定の副腎皮質ステロイドは、有害な眼圧の上昇を引き起こすことが広く知られている。Mindelら、「Comparative Ocular Pressure Elevation by Medrysone, Fluorometholone, and Dexamethasone Phosphate(メドリゾン、フルオロメトロン、およびリン酸デキサメタゾンによる眼圧上昇の比較)」、Arch. Ophthalmol. 1980:98:1577−78;Laurellら、「Effects of dexamethasone, diclofenac, or placebo on the inflammatory response after cataract surgery(白内障手術後の炎症反応のデキサメタゾン、ジクロフェナク、またはプラセボの効果)」、Br. J. Ophthamol 2002:86:1380−1384参照。
さらに、眼圧上昇のリスクは、副腎皮質ステロイドの使用期間とともに上昇する。例えば、Mindelらは、1578頁で、1週間後約1〜2mmHg、2週間後3〜4mmHgおよび6週間後5〜6mmHgのリン酸デキサメタゾンの使用で眼圧の上昇を示している。Laurellらは、1382頁で、グループIの患者を眼科手術後の炎症に対してリン酸デキサメタゾンで治療した8日後、中央値眼圧は、プラセボ(生理食塩水0.9%)を受けた被験者(グループIII)よりも有意に高かったことを報告する。
副腎皮質ステロイドで眼科手術後の術後炎症反応を治療する薬効にもかかわらず、副腎皮質ステロイドなどの使用は、特に副腎皮質ステロイドが1週間以上の期間に渡って投与される場合、眼圧に悪影響を与えうる。したがって、副腎皮質ステロイドでの眼科手術後の術後炎症反応をより安全かつ効果的に治療する必要が存在する。
発明の概要
本開示の利点は、眼に損傷を与える可能性のある、高い眼圧の副作用を引き起こすことなく長期間にわたって眼科手術後の眼の治療のためのステロイドの使用である。
本開示の利点は、眼に損傷を与える可能性のある、高い眼圧の副作用を引き起こすことなく長期間にわたって眼科手術後の眼の治療のためのステロイドの使用である。
これらの利点および他の利益は、少なくとも部分的に、眼科手術、例えば、白内障手術後の被験者を治療する方法によって満たされる。その方法は、そのような治療を必要とする被験者の眼に、少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩を、該少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩の持続放出を提供することができる眼科的に許容可能な賦形剤に含む組成物を投与することを含む。
本発明の別の態様は、眼科手術後の患者を治療する方法を含み、その方法は、デキサメタゾンまたはその眼科的に許容可能な塩を、該デキサメタゾンまたはその薬学的に許容可能な塩の持続放出を提供することができる眼科的に許容可能な賦形剤に含む組成物を、それを必要とする被験者の眼に投与することを含む方法である。
2週間の期間にわたって1日2回投与される場合、有利なことに、本発明の組成物は、統計学的に有意な数の被験者の眼で統計学的に有意な眼圧の上昇をもたらさない。その組成物は、例えば、1〜6週間の期間の間、1日1〜4回投与されることができる。
本発明の実施形態としては、賦形剤が、組成物の約0.5重量%〜約1.5重量%の量でカルボキシ含有ポリマー、例えば、ポリカルボフィルおよび任意にカチオン性ポリマー、例えばキトサンを含む水性懸濁液を含み、組成物の粘度が、約1,000〜約2,000cpsの範囲であり、少なくとも1つの副腎皮質ステロイド、例えばデキサメタゾン、またはその眼科的に許容可能な塩が、組成物の約0.01重量%〜約1重量%の量である実施形態が挙げられる。
本発明のさらなる利点は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるが、詳細な説明おける本発明の好ましい実施形態は、単に発明を実施するための考えられる最良の形態を例示するためにのみ、示され、記載される。理解されるように、本発明は、他のおよび異なる実施形態が可能であり、いくつかの記述は、全て本発明から離れることなく、様々な明白な点で変更が可能である。したがって、詳細な説明は、本質的に例示であり、限定とみなされるべきではない。
本発明の詳細な説明
本発明は、副腎皮質ステロイド、例えば、デキサメタゾン、またはその眼科的に許容可能な塩が薬剤の持続放出を提供することができる眼科的に許容可能な賦形剤において投与される場合、その副腎皮質ステロイド、またはその眼科的に許容可能な塩が、最小の眼圧上昇又は眼圧上昇が無い効果的な量で、炎症および/または痛みによって特徴付けられ被験者の眼の症状を治療するための組成物において投与することができるという驚くべき発見に関する。副腎皮質ステロイドは、有害な眼圧(IOP)の上昇を引き起こし、IOPは、副腎皮質ステロイドの使用の期間と頻度の増加に伴って増加することが広く知られている。しかしながら、そのような薬剤は、白内障手術後のような眼科手術後の眼の炎症を減少させるのに有用である。本発明の方法は、数週間の治療期間でさえIOPの同時に起こる副作用を伴うことなく、副腎皮質ステロイド、またはその眼科的に許容可能な塩で術後の眼の炎症反応を治療することができる。
本発明は、副腎皮質ステロイド、例えば、デキサメタゾン、またはその眼科的に許容可能な塩が薬剤の持続放出を提供することができる眼科的に許容可能な賦形剤において投与される場合、その副腎皮質ステロイド、またはその眼科的に許容可能な塩が、最小の眼圧上昇又は眼圧上昇が無い効果的な量で、炎症および/または痛みによって特徴付けられ被験者の眼の症状を治療するための組成物において投与することができるという驚くべき発見に関する。副腎皮質ステロイドは、有害な眼圧(IOP)の上昇を引き起こし、IOPは、副腎皮質ステロイドの使用の期間と頻度の増加に伴って増加することが広く知られている。しかしながら、そのような薬剤は、白内障手術後のような眼科手術後の眼の炎症を減少させるのに有用である。本発明の方法は、数週間の治療期間でさえIOPの同時に起こる副作用を伴うことなく、副腎皮質ステロイド、またはその眼科的に許容可能な塩で術後の眼の炎症反応を治療することができる。
本発明を実施する方法は、例えば、少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩を、当該少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩の持続放出を提供することができる眼科的に許容可能な賦形剤に含む組成物を、それを必要とする被験者の眼に投与することによって眼科手術後の被験者を治療することを含む。有利には、2週間の期間にわたって1日2回投与される場合、その組成物は、統計学的に有意な数の被験者の眼で、統計学的に有意な眼圧の上昇をもたらさない。
本発明において使用される組成物は、2週間にわたって1日2回投与される場合、統計学的に有意な数の被験者の眼で統計学的に有意な眼圧の上昇をもたらさないが、本発明の組成物は、そのように投与される必要はない。当技術分野で知られているように、薬剤の投与は、必ずしもその最大耐容または試験条件に限定されない。実際、薬剤は、頻繁にそれらの許容限界以下で投与されるが、適切な場合は、それらの試験条件より上で投与される。本発明によれば、被験者を治療する方法は、組成物を投与することを含む方法であって、少なくとも1、2、4、6週間またはそれ以上の期間の間、少なくとも1日に1、2、3〜4回またはそれ以上、組成物を投与することを含む被験者を治療する方法である。
2週間にわたって1日2回投与される場合、本発明の方法を実施するのに有用な組成物は、統計学的に有意な数の被験者の眼で統計学的に有意な眼圧の上昇を引き起こさない。組成物が統計学的に有意な眼圧の上昇をもたらすかどうかを決定することは、眼科分野でよく知られている。Mindelら、「メドリゾン、フルオロメトロン、およびリン酸デキサメタゾンによる眼圧上昇の比較」、Arch. Ophthalmol. 1980:98:1577−78参照。そのような決定は、例えば、適切な統計学的に有意な数の被験者の眼で標準的な眼圧計を使用し、投与期間前と投与期間終了時に測定することによって行うことができる。本発明の1つの態様において、統計学的に有意な眼圧の上昇は、2週間にわたって1日2回、少なくとも12の眼に組成物を投与することによって決定することができる。本発明の他の態様は、1、2、3、4、6週間またはそれ以上の期間にわたって、少なくとも毎日、1日2回、1日3回、1日4回、組成物を投与することを含む。
本発明の方法の実施において、被験者は、外科手術による外傷、例えば、眼科手術の後、炎症および/または痛み等に関連する症状のために、治療されることができる。本発明の実施形態では、白内障手術、レーシック、光屈折矯正手術、屈折矯正手術に関連したエキシマレーザー屈折矯正角膜切除手術の条件等の眼科手術に引き続いて被験者を治療することを含む。本発明の1つの態様において、被験者は、少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩の持続放出を提供できる眼科的に許容可能な賦形剤に、少なくとも1つの副腎皮質ステロイド、例えば、デキサメタゾン、またはその眼科的に許容可能な塩を含む組成物を、それを必要とする被験者の眼(単数)または眼(複数)に投与することによって、炎症および/または痛みのために、白内障手術後に治療される。投与は、少なくとも1〜6週間またはそれ以上の期間の間、1日に少なくとも1〜4回とすることができる。有利には、組成物は、この投与量や投与期間において、統計学的に有意な数の対象の眼において、統計学的に有意な眼圧の上昇を引き起こさない。
典型的には、IOPの上昇を引き起こす副腎皮質ステロイドは、副腎皮質ステロイドの投与で、統計学的に有意なIOPが最小であるか、又は存在しない結果となるように、本発明の組成物で使用されることができる。そのような副腎皮質ステロイドとしては、例えば、コルチコステロン、メドリゾン、フルオロメトロン、それらのエステルおよびそれらの眼科的に許容可能な塩が挙げられる。また、本発明の副腎皮質ステロイドとして、グルココルチコイド、それらのエステルおよびその眼科的に許容可能な塩が挙げられる。そのようなグルココルチコイドとしては、例えば、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、およびベクロメタゾン、フルロメトロンが挙げられる。眼瞼炎を治療する方法で有用な他のグルココルチコイドとしては、例えば、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコートロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコートロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコータナート、ロテプレドノールエタボナート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、モメタゾンフロアート、パルメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−アセタート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、それらの眼科的に許容可能な塩、それらの組み合わせおよびそれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態においては、グルココルチコイドとしては、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メドリゾン、トリアムシノロン、ロテプレドノールエタボナート、それらの眼科的に許容可能な塩、それらの組み合わせ、およびそれらの混合物が挙げられる。
本発明のために有用な副腎皮質ステロイドおよびグルココルチコイドは、エステル誘導体を含む。例えば、デキサメタゾンエステルは、リン酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾンジメチルブチラート、デキサメタゾントリメチルアセタート、デキサメタゾンジプロピオナート、デキサメタゾンアセフラート等が挙げられる。本明細書で使用される場合、副腎皮質ステロイド、グルココルチコイドまたは任意の特定の副腎皮質ステロイド、またはグルココルチコイドという用語は、特に明記しない限り、それらのエステルを含む。したがって、デキサメタゾンという用語は、デキサメタゾン(アルコール)およびそのエステルを含む。
少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩の持続放出を提供することができる眼科的に許容可能な賦形剤としては、例えば、少なくとも1つの軽度に架橋されたカルボキシ含有ポリマー、例えば、ポリカルボフィル、カルボポール(Carbopol)、またはノベオン(Noveon)ポリマーを含む水性懸濁液が挙げられる。特定の実施形態においては、そのような組成物はさらに、少なくともカチオン性ポリマー、例えば、キトサンを含む。
眼科用賦形剤は、好ましくは、眼の中への薬剤送達が実施可能で、角膜での保持を提供する望ましいレオロジー特性を有する。その賦形剤は、実質的により少ない量の第二のポリマー、例えば、カチオン性ポリマーと組み合わせて、アニオン性カルボキシ含有ポリマーの組み合わせを使用する。第二のポリマーは、カルボキシ含有ポリマーの粒子が懸濁したままとなるように十分に低い濃度で含まれるが、第二のポリマーと組み合わされると、得られた賦形剤は、カルボキシ含有ポリマーだけを有する賦形剤よりも高い粘度を有する。本明細書で開示される賦形剤は、涙液と組み合わされると、涙液のより高いpHによってその粘度が増加する特性を有する。得られた粘度は、それが薬剤送達および角膜での保持の効率を高める手段を提供する。
本発明のために有用な眼科的に許容可能な賦形剤は、好ましくは眼の粘膜と薬剤の接触時間を増加させることによって薬剤の吸収を促進することができる適切な粘膜接着特性を有する。賦形剤と眼の粘膜の間の相互作用は、眼粘膜のムチンとカルボキシ含有ポリマーおよび第二のポリマーとの間のファンデルワールス引力、水素結合、および静電相互作用を含むことができる。これらの力は、一緒に、眼の薬剤の滞留時間を増加させることができる。本明細書中に開示される眼科的に許容可能な賦形剤のさらなる利点は、持続放出の方式で薬剤を提供する能力である。
本発明のために有用な眼科的に許容可能な賦形剤は、1つ以上のカルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマーおよび約5重量%未満の架橋剤を重合することによって調製されるカルボキシ含有ポリマーを、懸濁液の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約6.5重量%、例えば、約0.5重量%〜約1.5重量%含む水性懸濁液を含む。モノマーの重量パーセンテージは、重合されるモノマーの合計重量に基づく。カルボキシ含有ポリマーは、球径相当で(equivalent spherical diameter)約50μm以下の平均粒径を有し、軽度に架橋されている。
賦形剤はさらに、ポリマー粒子懸濁液を失うことなく賦形剤の粘度を増加させるのに十分な量で添加されるカチオン性ポリマーのような第二のポリマーを含むが、依然として賦形剤を滴剤で眼に投与することができる。より高いpH涙液により低いpHの賦形剤が接触すると、賦形剤は、より大きな粘度へと急速にゲル化し、これにより賦形剤内に含まれる薬剤の持続放出のために眼に保持されることができる。
本明細書で使用される場合、「眼科的に許容可能な賦形剤」は、眼に有害な影響を与えることなく、眼症状を治療するために、眼および/または眼瞼に薬剤の送達を可能にするものである。眼科的に許容可能な賦形剤は、適切な眼圧を維持し、等張で、穏やかに低張、または穏やかに高張である薬剤の溶液を提供することができるものである。そのような状態を維持するために、それは、例えばグリセロール、マンニトール、ソルビトール、またはプロピレングリコールを含む多価アルコールなどの様々な非イオン性浸透圧調節化合物を含むことができる。あるいは、浸透圧調節化合物は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムなどのイオン性塩を含むことができる。眼科的に許容可能な賦形剤はまた、許容可能なpHに賦形剤を調節する緩衝液を含むことができ、約3〜6.5、いくつかの実施形態においては、約4〜8の範囲とすることができ、その間の任意のpHを含む。そのような緩衝系としては、酢酸塩緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物で有用な特定の緩衝液成分としては、クエン酸/クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(一塩基性リン酸ナトリウム一水和物および二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、およびそれらの混合物などのモノ、ジおよびトリ塩基性リン酸塩を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。任意の他の適切な眼科的に許容可能な緩衝液成分は、眼科用製剤のpHを維持するために使用することができるので、眼科用製剤は、許容可能なpHで提供され、上記緩衝液成分は、そのような緩衝液成分の単なる例示的な例であることに留意すべきである。
本明細書で使用される場合、用語「カルボキシル含有ポリマー」は、カルボン酸官能基を含むポリマーを意味する。この官能基は、例えば、実質的にイオン化されることができ、ポリマーを負に荷電するカルボキシ酸陰イオン(COO−)として存在することができる。眼科的に許容可能な賦形剤との関連で、イオン化の程度は、pHに依存し、これは、任意の緩衝系、及びアミン官能化ポリマーなどのルイス塩基原子を含む賦形剤中の他の成分の存在により媒介される。ルイス塩基は、電子対の供与体であり、そのようなものとして、カルボキシル基(COOH)からの水素イオン(H+)を受け入れることができる。
本明細書中で使用される場合、用語「カチオン性ポリマー」は、正に荷電したアミノ官能化ポリマーを意味する。ポリマーは、四級化されているか、或いは十分に低いpHへの調整により、および/またはカルボキシル含有ポリマー、または他のルイス酸(すなわち、電子対受容体)などのプロトン供与体の存在下で、四級化され得る窒素原子を含む。四級化される窒素原子は、4つの他の原子との結合に従事する窒素原子であり、したがって、窒素にプラスワン(+1)の正味の形式電荷をもたせる。正電荷を有する窒素原子の例としては、NR4 +、NR3H+、NR2H+、NRH2 +が挙げられるが、これらに限定されず、式中Rは、窒素原子に結合される任意の原子または原子団を表すことができる。
本明細書中で使用される「粘度」は、流れに対する流体の抵抗を意味する。粘度の単位は、平方センチメートル当たりのダイン・秒[dyne・s/cm2]、またはポイズ[P]である。このタイプ粘度はまた、動粘度(dynamic viscosity)、絶対粘度、または単純粘度と呼ばれる。これは、流体の密度に対する流体の粘度の比である動粘性率(kinematic viscosity)と区別される。
本明細書中で使用される「粘膜付着(mucoadhesive)」または「粘膜接着(mucoadhesion)」は、眼の粘膜に付着する眼科的に許容可能な添加剤の能力を意味する。組成物で使用される粘膜付着剤は、水素結合を形成できるカルボキシ含有ポリマーを含む。粘膜接着は、pHおよび水素結合基の密度に依存し得る。本発明の組成物の賦形剤において、カルボキシ含有ポリマー中の架橋密度は、粘膜接着に影響を与え得る。したがって、軽度に架橋したポリマーは、複数の水素結合を形成するのに十分な柔軟性を有し、それを良好な粘膜接着剤にする。粘膜接着に影響を与える得る他の賦形剤成分は、第二のポリマーであり、以下にさらに説明されるように、カルボキシ含有ポリマーと相互作用することができる。
本明細書で使用される場合、「眼に投与される」は、薬剤と共に眼科的に許容可能な賦形剤が、眼の表面および/または眼瞼辺縁に直接的に適用されることができる点眼薬の形態であることを意味し、このような投与技術は当業者に良く知られている。
本明細書で使用される場合、「有効量」は、眼症状を治療するのに関連して使用されるとき、特定の眼症状の治療で使用される薬剤の量を適正とすることを意図する。この量は、眼症状を予防、減少、排除するという目標を達成するだろう。眼科用製剤は、例えば、約0.01重量%〜約5.0重量%を含むことができるが、有効量は、投与される特定の薬剤に依存し、他の態様において、有効成分は、約0.05重量%〜約1重量%、例えば、約0.08重量%〜約0.15重量%の範囲で存在する。一実施形態では、投与ごとに0.01mg/ml〜100mg/mlであり、別の実施形態では、投与ごとに約1〜50mg/mlである。「有効量」は、1日1回、1日2回、1日3回などの用法を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「薬剤(medicament)」は、眼症状の臨床的徴候および症状を減少、予防、または排除することを担う主要化合物を意味する。
本明細書で使用される場合、「眼科的に許容可能な塩」は、眼に有害な影響を示さず、且つ活性成分それ自体および眼科的に許容可能な賦形剤の成分に適合するものが含まれる。薬剤の塩または両性イオン形は、水溶性または油溶性または分散性であることができる。塩は、薬剤の最終的な単離および精製の間に、または適切な酸または塩基で適切な医薬製剤のpHを調整することによって分離して調製されることができる。
いくつかの実施形態において、眼科的に許容可能な賦形剤は、賦形剤の粘度を増加させるのに十分な量で添加されたカチオン性ポリマーと一緒にカルボキシ含有ポリマーを含むが、依然としてカルボキシ含有ポリマー粒子が懸濁されていることを可能にしている。賦形剤は、眼に投与したときに、経時的に薬剤を放出するゲルまたは液滴の形態であることができる。カルボキシ含有ポリマーは、架橋されたカルボキシ含有ポリマーの懸濁液の総重量に基づき、いくつかの態様において、約0.1〜約6.5重量%であり、他の態様において、約0.5重量%〜約1.5重量%、例えば、約1.0〜1.3重量%である。適切なカルボキシ含有ポリマーとしては、例えば、米国特許第5,192,535号および8,501,800号に記載され(本明細書に参照によりその全体を組み込む)、ポリカルボフィル(Noveon AA−1またはオハイオ州のウィクリフ(Wickliffe)の、Lubrizol Corp.から利用可能なCARBOPOLS(登録商標)ポリマー)などの軽度に架橋されたカルボキシ含有ポリマーが挙げられる。商品名DURASITE(登録商標)として知られるカルボキシ含有ポリマー系は、本明細書に開示されるようなポリマーで修飾することもできるポリカルボフィルベースの持続放出局所眼科用送達系である。
特定の実施形態によれば、持続放出可能な眼科的に許容可能な担体は、約3〜約8のpHで、約10〜約400mOsm/kgの浸透圧の水性懸濁液を含み、この懸濁液は、1つ以上のカルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマーおよび約5%未満の架橋剤(このようなモノマーの重量%は重合されるモノマーの総重量に基づく)を重合することによって調製されるカルボキシ含有ポリマーを、懸濁液の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約6.5重量%含む。カルボキシ含有ポリマーは、球相当径で(equivalent spherical diameter)、約50μm以下、いくつかの実施形態において、30μm以下の平均粒径を有する。ポリマーは、懸濁液が滴剤で投与可能だが、眼の高pH涙液に低pH懸濁液が接した際に、懸濁液が滴剤で当初投与された際の懸濁液の粘度よりも実質的に高い粘度のゲル化が可能である程度に軽度に架橋される。したがって、得られたより粘性のゲルは、長期間の間、眼に留まることができるので、持続してその中に含まれる薬剤を放出する。これらの特性は、カルボキシ含有水性懸濁液へ第二のポリマーを添加した際にも維持される。理論に束縛されるものではないが、カチオン性ポリマーは、ベースのカルボキシ含有水性懸濁液の粘度を増加させ、有益なレオロジー的特性および粘膜付着特性を提供する。
カルボキシ含有ポリマーは、1つの実施形態において、少なくとも約50重量%、他の実施形態において、少なくとも約90重量%の1つ以上のカルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマーから調製される。カルボキシ含有ポリマーは、1つの実施形態において、球相当径で、約50μm以下、他の実施の形態において、約30μm以下の粒径に、アクリル酸と非ポリアルケニルポリエーテル二官能性架橋剤を懸濁または乳化重合することにより調製することができる。1つの実施形態において、架橋剤は、ジビニルグリコールである。他の実施形態において、カルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマーの約40重量%までは、生理学的および眼科学的に無害な置換基のみを含む1つ以上の非カルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマーで置き換えることができる。
浸透圧は、いくつかの実施形態において、懸濁液の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約1重量%の量で、生理学的および眼科学的に許容可能な塩を使用することによって達成される。典型的な塩は、上記で定義されるように塩化カリウムおよび塩化ナトリウム等を含む。
いくつかの実施形態において、持続放出の局所眼科学的に許容可能な賦形剤を調製する方法において、カチオン性ポリマーで修飾される上記の懸濁液は、滴剤での眼への投与のために1,000〜約30,000cpsの所望の粘度で調製され、パッケージされる。1つの例示的な送達方法において、薬剤を含む上記の懸濁液は、滴剤で初期粘度で眼に投与され、投与懸濁液は、眼のより高いpHの涙液と接触すると、有意に高い粘度へとその場で急速にゲル化する。より粘性のゲルは、長期間の間眼に留まり、持続して活性成分を放出する。
他の系とは対照的に、本発明の眼科学的に許容可能な賦形剤は、滴剤の投与の利益を有するだけではなく、摘剤に適した粘度での投与によって分解制限を受けない。懸濁液が滴剤で確実に投与できるような粘度であるが、懸濁液がそのように投与された時には実際には粘度が増加する投与を通じて、活性成分の制御される放出は、有意に増進される。
実質的に30,000cpsを超える粘度は、滴下製剤として有用ではない。粘度が、約1,000cpsよりも実質的に低い場合、涙と接触した際にゲル化する能力が妨げられ、眼の保持は低減される。約3〜約7.4のpHと約10〜約400mOsm/kgの浸透圧を有する懸濁液が約7.2〜約8.0の高いpHを有する涙液と接触する場合、涙に接触する際、ゲル化の増加が、pH変化とともに起こる。理論に束縛されるものではないが、pH増加で、カルボン酸(COOH)官能基は、カルボン酸陰イオン(COO−)に解離する。静電相互作用を介して、これらのカルボン酸イオンは、互いに反発し、ポリマーを膨張させる。系内の微量の第二のポリマーの存在は、ベースの賦形剤に初期の有益な粘度修飾特性を提供することに加えて、眼の粘膜のムチンと追加の静電的、水素結合、および可能な塩架橋相互作用を提供することができる。これらの化学的相互作用は、賦形剤からの薬剤の制御放出を強化する。
架橋と粒径との関係は、重要であり得る。粒子は、懸濁液に存在するので、架橋の程度は、必然的にポリマーの実質的な溶解を回避するレベルである。一方、急速なゲル化は、pH変化のときに達成されるので、架橋の程度は、必ずしも、ゲル化が排除されるほど大きくなくてもよい。さらに、ポリマーの粒径が大きすぎると、誘導される膨張は、ゲル化を引きこす傾向というよりも、互いに接触する大きい粒子間の体積の空隙を占める傾向にあり得る。
懸濁液において、粒径は、快適性に関連し得る。しかしながら、本発明の組成物の系において、小さい粒径と軽度の架橋は、pHが上昇した際に、急速なゲル化の生成が観察されるように相乗的に作用することが見出された。50μmより大きい粒子の使用は、賦形剤のpHが増加した際に観察されるゲル化を排除する。さらに、50μmのサイズでは、合理的に良好な眼の快適さもある。
いくつかの実施形態において、粒子は、上記のサイズの上限の制限を受けるだけではなく、狭い粒度分布となる。単分散の粒子の使用は、良好な粒子充填を補助し、涙と懸濁液の接触時に最大増加粘度をもたらし、眼での滞留時間を増やす。いくつかの実施形態で粒子の少なくとも約80%、他の実施形態で少なくとも90%、およびまた他の実施形態で少なくとも約95%は、約10μm以下の幅の主な粒径分布の範囲内であり、全体的には(すなわち、そのようなバンドの内と外の両方の粒子を考慮すると)、いくつかの実施形態で約20%以下、他の実施形態で約10%以下、また他の実施形態で約5%以下が、微粒(すなわち、1μm以下のサイズの粒子)であるべきである。いくつかの実施形態において、平均粒径は、上限の50μmから、たとえば、30μmであり、そして6μなどのさらに小さいサイズにまで低下し、その結果主な粒径分布の幅はまた、例えば5μmに狭くなる。いくつかの実施形態において、主な粒径分布の幅内の粒子サイズは、約30μm未満であり、他の実施形態において約20μm未満、また他の実施形態において約1μm〜約5μmである。
眼科学的に許容可能な賦形剤で使用されるアクリル酸または関連α、β−不飽和カルボン酸の軽度に架橋されたポリマーは、当該分野で周知である。1つの態様において、そのようなポリマーは、存在するモノマーの総重量に基づいて、少なくとも約90重量%、または約95重量%、または約99.9重量%の1つ以上のカルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマーから調製される。アクリル酸は、一般的なカルボキシル含有モノエチレン性不飽和モノマーであるが、メタクリル酸、エタクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、シス−α―メチルクロトン酸(アンゲリカ酸)、トランス−α−メチルクロトン酸(チグリン酸)、α−ブチルクロトン酸、α−フェニルアクリル酸、α−ベンジルアクリル酸、α−シクロヘキシルアクリル酸、β−フェニルアクリル酸(桂皮酸)、クマリン酸(o−ヒドロキシ桂皮酸)、ウンベリック酸(p−ヒドロキシクマリン酸)等の他の不飽和ポリマー化可能なカルボキシ含有モノマーがアクリル酸に追加してまたはその代わりに使用することができる。
そのようなポリマーは、小さなパーセンテージ、すなわち、存在するモノマーの総重量基づいて、約0.5%又は約0.1%〜約1%のように、約5%未満の、他の実施形態においては約0.2%〜約1%のポリ官能性架橋剤を使用して架橋される。そのような架橋剤に含まれるものとしては、ジビニルグリコール;2,3−ジヒドロキシヘキサ−1,5−ジエン;2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン;ジビニルベゼン;N,N−ジアリルアクリルアミド;N,N−ジアリルメタクリルアミド等の非ポリアルケニルポリエーテル二官能性架橋モノマーが挙げられる。1分子当たりに2つ以上のアルケニルエーテル基、好ましくは末端H2C=C<基を含むアルケニルエーテル基を含むポリアルケニルポリエーテル架橋剤も挙げられ、これらは、臭化アリル等のようなアルケニルハライドで、少なくとも4つの炭素原子および少なくとも3つのヒドロキシル基を含む多価アルコールをエーテル化することによって調製され、例えば、ポリアリルスクロース、ポリアリルペンタエリスリトール等が挙げられる。例えば、Brownの米国特許第2,798,053号参照。約400〜約8,000の分子量を有するジオレフィン性非親水性マクロメリック架橋剤もまた、架橋剤として使用されることができ、例えば、ジオールおよびポリオールの不溶性ジ−およびポリアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、ジイソシアネート−ヒドロキシアルキシルアクリレートまたはメタクリレート反応生成物、およびヒドロキシアルキルメタクリン酸エステルとポリエステルジオール、ポリエーテルジオールまたはポリシロキサンジオールに由来するイソシアナート末端プレポリマーとの反応生成物等が挙げられる。Muellerらの米国特許第4,192,827号および第4,136,250号参照。
軽度に架橋されたポリマーは、存在する唯一のモノエチレン性不飽和モノマーとしてのカルボキシ含有モノマー(単数または複数)から架橋剤(単数または複数)と一緒に作製されることができる。それらはまた、カルボキシル含有モノエチレン性不飽和ポリマー(単数または複数)の約40%まで、ある実施形態では約0重量%〜約20重量%が、生理学的におよび眼科学的に無害の置換基のみ含む1つ以上の非カルボキシル含有モノエチレン性不飽和モノマーによって置換されているポリマーとすることができ、これには、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート等、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等のアクリル酸およびメタクリル酸エステルが含まれる。このような追加のモノエチレン性不飽和モノマーのより広範なリストについてMuellerら、米国特許第4,548,990号参照。いくつかの実施形態において、ポリマーは軽度に架橋されたアクリル酸ポリマーであり、架橋モノマーは、2,3−ジヒドロキシヘキサ−1,5−ジエンまたは2,3−ジメチルヘキサ−1,5−ジエンである。
組成物に有益な市販されている典型的な軽度に架橋されたカルボキシ含有ポリマーとしては、例えば、ポリカルボフィル(例えば、Lubizol、Wichliffe、OHから入手可能)、ジビニルグリコールで架橋されたポリアクリル酸、Noveon AA−1が挙げられる。理論に束縛されるものではないが、このポリマーは、眼の活性成分の滞留時間を増加させることに役立つ粘膜付着特性から有益である。他の粘膜付着性ポリマーを、本明細書中で開示される軽度の架橋ポリマーと一緒に、またはその代わりに使用することができ、そのようなポリマーとしては、例えば、934P、940、941、971P、974P、980、981などのカルボポールまたはヒアルロン酸が挙げられる。後者は、眼科製剤で効果的な粘膜付着性ポリマーであることが証明されている(Saettoneら、Int. J. Pharm. 51: 203−212, (1989))。
軽度に架橋されたカルボキシ含有ポリマーは、従来のフリーラジカル重合触媒を使用して、球相当径で約50μm以下の乾燥粒径にモノマーを懸濁または乳化重合することによって調製することができる。例えば、球相当径で、約1〜約30μm、他の実施形態で約3〜約20μmの範囲の乾燥ポリマー粒子を提供する。一般的に、そのようなポリマーは、約100,000〜約4,000,000と推定される分子量の範囲であり、いくつかの実施形態において、約2,000,000,000〜約4,000,000,000である。
懸濁液または乳化重合によって調製される平均乾燥粒径が球相当径で約50μmよりかなり大きいポリマー粒子を含む水性懸濁液は、眼に投与される場合、球相当径が平均で約50μm以下であり、それ以外の組成では同一のポリマー粒子を含有する懸濁液よりも、快適ではない。また、上記平均50μmより大きいと、投与後の実質的に増加した粘度の利点が実現されない。また、球相当径で約50μmよりもかなり大きい乾燥粒径に調製され、次いで例えば機械的に粉砕または破砕することによって、相当する球径で約50μm以下の乾燥粒径に調製される、アクリル酸等の軽度に架橋されるポリマーは、本発明の眼科用賦形剤で水性懸濁液から作製されるポリマーと同様には作用しない。
本発明の眼科的に許容可能な賦形剤の機能を説明するいかなる理論または機構に拘束するわけではないが、単独の粒子状ポリマーとして存在する機械的に粉砕または破砕されたポリマー粒子の違いについての一つの可能な説明は、粉砕は、おそらくポリマー鎖から未架橋分枝を除去することにより、鋭いエッジまたは突起を有する粒子を生成することにより、または十分な送達システムの性能を与えるには、一般的に広すぎる粒径の範囲を生成することにより、50μmより大きい軽度に架橋されるポリマー粒子の空間的な幾何学構造又は立体配座を破壊することである。粒径の広い分布は、粘性ゲルとの関係を損なう。いずれにせよ、このように機械的に小径化される粒子は、懸濁または乳化重合により適切な大きさに調製される粒子よりも水性懸濁液中で水和し難く、涙液の影響下で眼において十分な程度にゲル化し難く、いったんゲル化されると、本発明の賦形剤の水性懸濁液を使用して眼で生成されるゲルよりも快適さが少ない。しかしながら、存在する軽度に架橋された粒子の総重量に基づいて、約40重量%までの、例えば、約0重量%〜約20重量%超えるそのような粉砕または破砕されたポリマー粒子は、本発明の眼科的に許容可能な賦形剤において、約50μm以下の乾燥粒径を有する溶液または乳化重合ポリマー粒子と混合することができる。そのような混合物はまた、眼科的に許容可能な賦形剤において、投与の容易さおよび快適さ、および眼への活性成分の満足な持続放出を伴うその場で眼で形成されるゲルで、満足な粘性レベルを提供し、特に乾燥形態で、そのような粉砕または破砕ポリマー粒子が球相当径で、平均約0.01〜約30μm、他の実施形態で、約1〜約5μmである場合には、そのような性レベルを提供する。
いくつかの実施形態において、粒子は、粒子の少なくとも80%、他の実施形態では、少なくとも90%、およびさらに他の実施形態では少なくとも95%を含む主な粒径分布が10μmバンド内にある狭い粒径分布を有する。また、1μm以下の大きさの粒子は、一般的に約20%以下、他の実施形態では約10%以下、さらに他の実施形態では約5%以下である。そのような微粒子の大量の存在は、眼との接触の際、所望のゲル化を阻害することが見出されている。それとは別に、単分散の粒子の使用は、所望の粒径のために、最大粘度と、眼科的に許容可能な賦形剤での活性成分の増加した眼滞留時間とを与える。約30μm以下の粒径を有する単分散粒子は、いくつかの実施形態で存在する。良好な粒子充填は、狭い粒径分布によって、補助される。
水性懸濁液は、水性懸濁液の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約6.5重量%、他の実施形態で約0.5重量%〜約4.5重量%の範囲である軽度に架橋されたポリマー粒子を含むことができる。それらは、いかなる生理学的または眼科学的に有害な成分を有しない、脱イオン化または蒸留されたような純粋な、滅菌水を使用して調製することができ、生理学的および眼化学的に許容可能なpHを調整するための酸、塩基または緩衝液、例えば、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸等のような酸、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、THAM(トリスヒロドキシメチルアミノメタン)等の塩基、およびクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム及び上記酸および塩基の混合物などの緩衝液を使用して、約3.0〜約6.5、他の態様で約4.0〜約6.5のpHに調整される。
第二のポリマーは、賦形剤の粘性と粘膜付着特性を向上できるポリマーであって、その組み合わせによって、各個別のポリマー単独よりも大きくなり、眼科的に許容可能なポリマーである。眼科的に許容可能なポリマーの多くの例は、WaghらのJ.Pharmaceutics(2008)において開示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示的な第二のポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール、カルボマー、ヒアルロン酸ナトリウム、キトサン、シクロデキストリン、ポリガラクツロン酸、ポリイタコン酸、キシログルカン、キサンタンガム、ジェランガム、ポリオルトエステル、セルロースアセトフタラート、ポリオキサマー407、ポリエチレンイミン、およびポリエチレンオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態で、第二のポリマーは、中性ポリマー、カチオン性ポリマー、または第二のアニオン性ポリマーとすることができる。
特定の実施形態において、第二のポリマーは、カチオン性ポリマーとすることができる。カチオン性ポリマーは、賦形剤のレオロジー特性および/または粘膜付着特性を調節することができる任意の眼科的に許容可能なポリアミンポリマーを含む。そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ−L−リジン(PLL)、キトサン、D−グルコサミンを含む天然の多糖類、ポリエチレンイミン(PEI)、及びポリクオタニウム化合物(ポリクオタニウム1、ポリクオタニウム7、およびポリクオタニウム10が挙げられるが、これらに限定されない。)が挙げられる。理論に束縛されるわけではないが、カチオン性ポリマーは、少なくとも2つの異なる方法で、賦形剤特性に影響を与えることができる。第一に、カチオン性ポリマーは、担体と角膜上皮の負に帯電したムチンとの間の静電相互作用を高めることができる。そのような相互作用は、賦形剤に有益な粘膜付着特性を付与することができる。第二に、カルボキシ含有ポリマーの水性懸濁液の粘度は、眼への投与前であっても、カチオン性ポリマーの追加によって増加される。再び、理論に拘束されるものではないが、カチオン性ポリアミンポリマーは、水素結合を介しておよび/または水性懸濁液の粘度を増加させるより大きな分子量の構築物を効果的に発生させる静電相互作用によって、粒子の凝集を補助することができる。これらの利点は懸濁状態からカルボキシ含有粒子が除去されると失われるので、追加されるカチオン性ポリマーの利点を実現するためには、カルボキシ含有ポリマーの粒子が懸濁されたままとなる量でカチオン性ポリマーが存在すべきである。カチオン性ポリマー/カルボキシ含有ポリマーの二重の系で増加した粘度はまた、眼のクリアランス機構の影響に対抗することを助けることができる。
いくつかの実施形態において、カチオン性ポリマーはキトサンである。キトサンは、キチンの脱アセチル化によって得られ、正に帯電したキトサンアンモニウム基と負に帯電した粘膜表面の間の静電相互作用によって粘膜付着特性を有する。キトサンは、ランダムに分布するβ−(1−4)結合D−グルコサミンとN−アセチル−D−グルコサミンからなる直鎖状多糖である。キトサンは、様々な程度の脱アセチル化(%DA)を有するものを利用でき、約60〜約100%の脱アセチル化の範囲で一般的に生成される。キトサン中のアミノ基は、約6.5のpKa値を有し、したがって、キトサンは、正に帯電し、pHと%DA値に依存して電荷密度を有する酸性から中性溶液で可溶である。キトサンは、上皮表面を横断する極性薬物の輸送を促進することができ、生体適合性および生物分解性であると考えられている。
いくつかの実施形態において、賦形剤で使用されるキトサンは、約50kDa〜約100kDaの範囲の分子量(その間の任意の分子量を含む)を有する一方、他の実施態様では、賦形剤に使用されるキトサンは、約1,000〜約3,000kDaの範囲、およびその間の任意の分子量を有する。以下の例で示されるように、約1,000kDa〜約3,000kDaの範囲では、カチオン性ポリマーが非常に低濃度であっても、賦形剤の粘度に大きな影響を有するように思われる。キトサン単独で同等の粘度を達成するためには、キトサンを桁違いにより濃縮した溶液、例えば、約2%〜約4%の溶液が使用される。
本発明の眼科的に許容可能な賦形剤において、約50kDa〜約100kDaの範囲の分子量を有するカチオン性ポリマーを使用する場合、キトサンまたは他の第二のポリマーは、約0.01%〜約0.5%の間の範囲の量で存在する。カチオン性ポリマーまたはキトサンの量は、これらの間の任意の量とすることができ、それには約、0.01%、0.025%、0.05%、0.075%、0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、および0.50%およびこれらの値の間の任意の量を含む。約1,000〜約3,000kDaのような高分子量カチオン性ポリマーを使用する場合、有利な粘度を達成するために必要なカチオン性ポリマーの量は、実質的に低減することができる。例えば、1,000kDa〜3,000kDaのキトサンの量は、約0.01%と0.5%の間の範囲にあるか、またはそれらの間の任意の量であり、例えば、0.01%、0.015%、0.020%、0.025%、0.030%、0.035%、0.040%、0.045%、0.05%,0.1%、0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、および0.50%およびこれらの値の間の任意の量を含む。
水性懸濁液を処方する場合、それらの浸透圧は、適切な量の生理学的および眼科学的に許容可能な塩を使用して、約10mOsm/kg〜約400mOsm/kg、他の実施形態では、約100〜300mOsm/kgに調整されるだろう。塩化ナトリウムは、浸透圧調整剤として使用され、生理学的流体の浸透圧に近似するように水性懸濁液の浸透圧を調整することができる。水性懸濁液の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約1重量%、他の実施形態で、約0.05重量%〜約0.45重量%の範囲の塩化ナトリウムの量は、上記記載範囲内の浸透圧を与えるだろう。カリウム、アンモニウム等のカチオンおよび塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸水素塩等のアニオンで構成される1つ以上の塩、例えば、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム等の当量はまた、上記範囲内の浸透圧を達成するために、塩化ナトリウムに加えてまたはその代わりに使用される。
軽度に架橋されるカルボキシ含有ポリマー粒子、カチオン性ポリマー、pH、および上記範囲内から選択される浸透圧の量又は値は、互いに相関し得、番号25スピンドルと12rpmで13Rの少量のサンプルアダプターを装備したBrookfield Digital LVT粘度計を使用して、室温(約25℃)で測定された際に、約1,000〜約30,000cps、他の実施形態で約5,000〜20,000cpsの範囲である粘度を有する水性懸濁液を与える架橋の程度と相関し得る。それらのパラメータの相関関係により、懸濁液が涙液に接触してゲル化して、例えば、pH粘度曲線から観側する際、pHに依存して、上記のように測定される、約75,000〜約500,000cps、例えば、約200,000〜約300,000cpsの範囲と推定される粘度を有するゲルを与えるだろう。この効果は、設定された鋳型としての眼の上のより粘性の高い滴を観察することによって気付く。設定後、鋳型は、簡単に除去することができる。代わりに、粘度は、ブルックフィールド・コーン(Brookfield cone)および6rpmでスピンドル番号CP−52を有するプレート粘度計DV−II+で測定される場合、約1000〜約5000cpsであることができる。
いくつかの実施形態において、粘度は、約1,000〜約30,000cps、他の実施形態において、約5,000〜約20,000cpsの範囲である。さらに他の実施形態において、粘度は約10,000〜約15,000cpsの範囲である。粘度範囲はまた、約1,000〜5,000cpsの間とすることができ、これには、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、 3,500、4,000、4500および5,000cps、およびこれらの間のすべての値が含まれる。粘度範囲はまた、約5,000〜約10,000cpsの間とすることができ、これには、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500および10,000、およびこれらの間の全ての値が含まれる。粘度範囲はまた、約10,000〜約15,000cpsの間とすることができ、これには10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500および15,000cps、およびこれらの間のすべての値が含まれる。粘度範囲はまた、約15,000〜約20,000cpsの間とすることができ、これには、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500および20,000cps、およびこれらの間のすべての値が含まれる。粘度範囲はまた、約20,000〜約30,000cpsの間とすることができ、これには、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、29,000および30,000cps、およびこれらの間のすべての値が含まれる。いくつかの実施形態において、眼科的に許容可能な賦形剤は、賦形剤の粘度を調整する増粘剤(thickening agent)または増粘剤(viscosfier)を含むことができる。これらは、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、およびポリオキサマーが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、薬剤の有効量は、手術後の眼症状の治療のために使用される。有効量は、眼症状を予防、減少または排除するという目標を達成するだろう。有効量は、一つの実施形態において、一回投与当たり約1μg〜10,000μg、別の実施形態において、一回投与当たり約100μg〜約1000μgが挙げられる。有効量は、それらの間の全ての値およびそれらの間の総ての区分を含み、例えば、一回投与当たり0.1μg、100+1μgおよび約10000μgまでといった具合である。有効量は、1日1回、1日2回、1日3回、または1日あたりの任意の回数の投与計画で投与することができ、医師と相談して決定することができる。有効量は、溶液の活性成分の重量で約0.05%〜約5.0%の、滴剤の形態の溶液として、投与することができ、これには、例えば、約0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、0.50%、0.60%、0.75%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、および5.0%、およびこれらの間の全ての値およびこれらの総ての区分が含まれる。
いくつかの実施形態において、眼自体または眼の周りの組織を治療的に処置することを意図した薬、および眼以外の局所状態を治療的に治療するために眼科の経路を通じて投与される薬を含む、疾患または医学的状態を治療または改善するのに使用される薬剤、物質は、典型的には、他の投与形態で投与される量に匹敵する治療的に活性な量で、通常、製剤の総重量に基づいて、約0.005重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜約5重量%の範囲の量で、眼科的に許容可能な賦形剤で取り込まれる。したがって、例えば、抗炎症ステロイドのフルオロメトロンの約0.01重量%〜約1重量%は、この方法で投与することができる。
いくつかの実施形態において、コルチコステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩は、約0.05重量%〜約5.0重量%の範囲で存在する一方、他の実施形態において、その活性成分は、約0.05重量%〜約1重量%、例えば、約0.08重量%〜約0.05重量%の範囲で存在する。重量パーセントに基づく活性成分の量は、これらの値の間の任意の値とすることができ、これには、0.05重量%、0.060重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.10重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.20重量%、0.25重量%、0.30重量%、0.35重量%、0.40重量%、0.45重量%、0.50重量%、0.60重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%および5.0重量%、およびこれらの間の全ての値とこれらの総ての区分が含まれる。
眼への本発明の水性懸濁液の投与の際に生じる粘性ゲルは、約2〜約12時間、例えば、約3〜約6時間の範囲で眼における滞留時間を有する。これらの眼科的に許容可能な賦形剤に含まれる活性成分は、活性成分自体とその物理的形態、薬物充填の程度および系のpHのような因子、並びに存在することができる、眼表面に適合するイオン交換樹脂などの任意の薬物送達アドジュバント、に依存する速度でゲルから放出される。フルオロメトロンについては、例えば、4時間を超えるウサギの眼における放出速度が、房水(aqueous humor)に含まれるフルオロメトロンによって測定された際に、観側されている。
活性成分−眼科的に許容可能な賦形剤は、任意のいくつかの方法で処方することができる。例えば、活性成分、軽度に架橋されたポリマー粒子、および浸透圧調整剤を、乾燥形態で予備混合し、水の全部または一部に添加し、視認し得るポリマー凝集物がないことによって証明されるように、見かけ上ポリマー分散が完了するまで激しく撹拌するとことができる。次いで、十分なpH調整剤を、所望のpHに到達するように漸次加えられ、必要であれば、この時点で100%の式量に到達するようにさらなる水を添加することができる。別の便利な方法は、最終的な水の体積の約95パーセント量に薬物を添加し、溶液を飽和するのに十分な時間の間撹拌することを含む。溶液の飽和は、任意の既知の方法で、例えば、分光光度計を使用して決定することができる。軽度に架橋されたポリマー粒子と浸透圧調整剤を、最初に乾燥形態で混合し、次に薬物飽和懸濁液に添加し、見かけ上のポリマー水和が完了するまで撹拌する。所望のpHに到達するのに十分なpH調整剤を漸次添加した後、水の残りを撹拌しながら加えて100%式量の懸濁液をもたらす。
これらの水性懸濁液は、防腐剤を含まずに、単回投与の再密閉不可能な容器に充填させることができる。これは、一回に1滴で、単回投与量の活性成分が眼に送達されることを可能にし、使用後に廃棄される容器を用いる。そのような容器は、水銀保存剤を含む眼科用医薬品から特に生じることが観察されているような、防腐剤関連の刺激や角膜上皮の感作の可能性を排除する。所望であれば、複数回投与用容器も使用することができる。これは、特に本発明の水性懸濁液は粘度が比較的低く、一定の正確な投与量を、必要に応じて、毎日複数回、眼に滴下して投与することができることによる。
防腐剤が含まれている賦形剤において、適切な防腐剤としては、クロロブタノール、ポリクアット、塩化ベンザルコニウム、臭化セチル、塩化ベンゼトニウム、セチルピリジニウムクロリド、臭化ベンジル、EDTA、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メルチオレート、酢酸およびホウ酸フェニル水銀、クロルヘキシジン、ポリミキシンB硫酸塩、メチルおよびプロビルパラベン、フェニルエチルアルコール、第四級アンモニウムクロリド、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、および過ホウ酸ナトリウムが挙げられる。特定の態様において、防腐剤は、塩化ベンザルコイウムを含む。
いくつかの態様において、防腐剤は、約0.001重量%〜約0.02重量%の範囲で存在する。防腐剤は、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005%およびそれらの量の間の任意の量で存在することができる。特に、本発明は、殺菌成分の使用が実質的に減少するという利点を有する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、殺菌活性を有する防腐剤を、1つの実施形態では約0.01%未満、他の実施形態では約0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、または0.002%より少ない眼科的に許容可能な賦形剤を提供する。
いくつかの実施形態において、眼科的に許容可能な賦形剤は、湿潤剤を含む。そのような物質は、他の支配的な水性環境中で活性成分を分散するのに有用であり得る。そのような湿潤剤としては、例えば、ポロキサマー407、すなわちポリエチレングリコールの二つの親水性ブロックが両側に位置するポリプロピレングリコールで構成される中央の疎水性ブロックからなるトリブロック共重合体が挙げられる。使用できる他の湿潤剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセリン、マンニトール、ポリビニルアルコール、オクトキシノール40およびヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
薬剤および眼科的に許容可能な賦形剤を含む組成物は、単回投与のために、個別に、例えば、ボトル、瓶、アンプル、チューブ、シリンジ、エンベロープ、コンテナ、単位容器またはバイアルに充填することができる。組成物が個別に充填される場合、いくつかの実施形態では、組成物は、防腐剤を含まない。あるいは、組成物は、複数のユニットを保持できる包装、例えば、再密封可能なガラス又はプラスチック製の点眼ボトルに含ませることができる。
実施例
以下の実施例はさらに、本発明の特定の好ましい態様を説明するためのものであり、本質的に限定されない。当業者は、所定の実験を使用するだけで、本明細書中に記載される特定の物質および手順に対する多くの均等物を認識し、または確認することができるだろう。
以下の実施例はさらに、本発明の特定の好ましい態様を説明するためのものであり、本質的に限定されない。当業者は、所定の実験を使用するだけで、本明細書中に記載される特定の物質および手順に対する多くの均等物を認識し、または確認することができるだろう。
実施例1:
この例において、第三相試験が、無作為化、二重盲検、平行群、比較試験として実施され、特定の治験薬の臨床的有効性と安全性を評価した。この試験の間、副腎皮質ステロイド、例えば、デキサメタゾン、またはその眼科的に許容可能な塩が二週間の治療期間の間でさえ、IOPの付随する副作用なしに炎症を治療する有効量で投与できたことは、驚くべき発見であった。
この例において、第三相試験が、無作為化、二重盲検、平行群、比較試験として実施され、特定の治験薬の臨床的有効性と安全性を評価した。この試験の間、副腎皮質ステロイド、例えば、デキサメタゾン、またはその眼科的に許容可能な塩が二週間の治療期間の間でさえ、IOPの付随する副作用なしに炎症を治療する有効量で投与できたことは、驚くべき発見であった。
以下の表1は、眼科的に許容可能な賦形剤DuraSite(登録商標)における0.1%重量/重量溶液として、グルココルチコイドデキサメタゾンの処方を提供する。この処方は、試験で治験薬の一つとして使用された。
この試験のために、被験者は、徹底的に手を洗い、その後、14日間、約12時間間隔で1日2回(b.i.d)、指先の上に治験薬(IMP)の1滴を載せ、彼らのまぶた全体の上に塗布するように指示された。両眼が炎症をおこした場合は、IMPは、両方のまぶたに使用した。それ以外の場合は、IMPは、試験まぶたに使用した。
IOP測定は、着色剤(フルオレセイン)と、麻酔剤/着色剤(例えば、FLURESS(登録商標))または局所麻酔薬(例えば、プロパラカイン、ベノキシネートなど)を組み合わせて使用して圧平眼圧計を使用して実施された。圧力は、mmHgとして記録した。IOPの測定は、視力および細隙灯生体顕微鏡検査法の評価の後に実施した。両眼で測定した場合、IOPの一つの測定が右眼について得られ、記録され、その手順は左目についても繰り返された。
表2は、賦形剤DuraSite(登録商標)単独とDuraSite(登録商標)中のデキサメタゾンを使用して被験者の眼についてのIOPデータを提供する(表1の処方)。以下の表中でIOP変化は、IMPの1日2回投与の2週間の期間後の被験者の眼のIOPとベースラインの間の差として測定された。
表2のデータによって示されるように、DuraSite(登録商標)中のデキサメタゾンの組成物は、2週間の期間にわたって1日2回組成物を投与した後、統計学的に有意な眼圧の上昇を引き起こさなかった。この研究に基づいて、被験者は、任意の有意なレベルにIOPを有害に上昇させることなく、少なくとも1、2、4、6週間またはそれ以上の期間、少なくとも1日1、2、3〜4回またはそれ以上、本発明の組成物を投与することによって、眼科手術後に治療されることができることが期待される。
実施例2:
第二の試験において、被験者の群は、眼瞼結膜炎の投薬を表1で示されるDuraSite(登録商標)のデキサメタゾン処方で眼に1日2回投与された。IOPデータを以下の表3に示す:
第二の試験において、被験者の群は、眼瞼結膜炎の投薬を表1で示されるDuraSite(登録商標)のデキサメタゾン処方で眼に1日2回投与された。IOPデータを以下の表3に示す:
表3で提供されたIOPの差は、DuraSite(登録商標)のデキサメタゾン処方(V4)の1日2回投与の2週間の期間後の被験者の眼のIOPとベースライン(V1)の間の差として測定された。このデータは、2週間の投与で、この方法の実験誤差の範囲内の変化は観察されなかったことを示す。このデータはまた、統計学的に有意な変化は、持続放出賦形剤の利益なしにデキサメタゾンが投与される場合、IOPの3〜4mmHg上昇の公開データを比較する場合、DuraSite(登録商標)のデキサメタゾン処方に対して観察されなかったことを示す。この試験と文献研究に基づいて、被験者は、いかなる有意のレベルにIOPを有害に上昇させることなく、少なくとも1、2、4、6週間以上の期間の間、1日に少なくとも1、2、3〜4回以上、本発明の組成物を投与することによって、眼科手術後に治療されることができることが期待される。
本発明の方法を実施するために有用な追加の例示的な組成物を以下の表4で提供する。
表4の処方1〜8を0.5時間、撹拌によって、水にポリカルボフィル、塩化ナトリウムおよびエデト酸を添加することによって作成することができる。その溶液を次に45分間、121℃で滅菌し、室温に冷却した。クエン酸緩衝液を水に溶解し、撹拌しながら、0.2μmのフィルターに通して無菌の添加によって加える。マンニトール、ポロキサマー、およびNSAIDを水に溶解し、無菌の添加によってバッチに添加する。Co60放射線によって滅菌されているステロイド性抗炎症剤を無菌乾燥粒子によってバッチに加え、バッチに混合する。トロメタミン緩衝液と塩化ベンザルコニウムを溶解し、混合しながら滅菌ろ過により追加する。水酸化ナトリウムを無菌の添加によって加えて、pHを目標値に調整する。
キトサンを含む処方については、キトサンの水溶液を塩酸を用いて調製し、その溶液を滅菌ポリカルボフィル懸濁液に滅菌ろ過する。
これらの組成物は、外科的外傷後の被験者を治療するために使用することができる本発明の組成物の例であり、その組成物は、2週間の期間にわたって1日2回投与される場合、統計学的に有意な数の被験者の眼で統計学的に有意な眼圧の上昇を引き起こさないことが予想される。
本発明の好ましい態様とその多用途性の例のみが本明細書に示され、記載される。本発明は、様々な他の組み合わせと環境で使用することができ、本明細書中で表される発明概念の範囲内で変更または修正することができる。したがって、例えば、当業者は、本明細書中に記載される特定の物質、手順および配置に対する数多くの均等物を、日常的な実験を超えない使用で、認識し、または確認することができるだろう。そのような均等物は、本発明の範囲内であると考えられ、以下の特許請求の範囲によって、カバーされる。
Claims (24)
- 眼科手術後の被験者の眼の治療のための眼科用組成物であって、少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩を、該少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩の持続放出を提供することができる眼科的に許容可能な賦形剤に含み、2週間の期間にわたって1日2回投与される場合、該組成物は、統計学的に有意な数の被験者の眼で眼圧の統計的に有意な上昇をもたらさない、上記組成物。
- 前記組成物が少なくとも1週間の期間にわたって毎日投与される、請求項1に記載の組成物。
- 前記組成物が、1〜6週間の期間1日1〜4回投与される、請求項1に記載の組成物。
- 前記賦形剤は、カルボキシル含有ポリマーを含む水性懸濁液を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 該カルボキシ含有ポリマーは、前記組成物の約0.5重量%〜約1.5重量%の量である、請求項4に記載の組成物。
- 前記組成物の粘度は、約1,000〜約2,000cpsの範囲である、請求項4に記載の組成物。
- 前記少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩は、該組成物の約0.01重量%〜約1重量%の量である、請求項4に記載の組成物。
- 眼科の手術が次のうちの1つである、請求項4に記載の組成物:白内障手術、レーシック、または光屈折矯正手術。
- 前記賦形剤は、カルボキシ含有ポリマーおよびカチオン性ポリマーを含む水性懸濁液を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記カルボキシ含有ポリマーは、前記組成物の約0.5重量%〜約1.5重量%の量である、請求項9に記載の組成物。
- 前記組成物の粘度は、約1,000〜約2,000cpsの範囲である、請求項9に記載の組成物。
- 前記少なくとも1つの副腎皮質ステロイドまたはその眼科的に許容可能な塩は、前記組成物の約0.01重量%〜約1重量%の範囲である、請求項9に記載の組成物。
- 前記カルボキシ含有ポリマーはポリカルボフィルであり、該カチオン性ポリマーはキトサンである、請求項9に記載の組成物。
- 眼科手術後の被験者の眼の治療のための眼科的組成物であって、デキサメタゾンまたはその眼科的に許容可能な塩を、該デキサメタゾンまたはその薬学的に許容可能な塩の持続放出を提供できる眼科的に許容可能な賦形剤に含み、該賦形剤は、カルボキシ含有ポリマーの水性懸濁液を含み、2週間の期間にわたって1日2回投与される場合、該組成物は、統計学的に有意な数の被験者の眼で眼圧の統計的に有意な上昇をもたらさない、上記組成物。
- 前記賦形剤はさらにカチオン性ポリマーを含む、請求項14に記載の組成物。
- 前記カルボキシ含有ポリマーはポリカルボフィルであり、該カチオン性ポリマーはキトサンである、請求項15に記載の組成物。
- 前記眼科手術としての白内障手術の後の炎症のために被験者を治療することを含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記カルボキシ含有ポリマーは、前記組成物の約0.5重量%〜約1.5重量%の量である、請求項17に記載の組成物。
- 前記組成物の粘度は、約1,000〜約2,000cpsの範囲である、請求項17に記載の組成物。
- デキサメタゾンまたはその薬学的に許容可能な塩は、該組成物の約0.08重量%〜約0.15重量%の量である、請求項17に記載の組成物。
- 前記組成物が、少なくとも1週間の期間にわたって毎日投与される、請求項17に記載の組成物。
- 前記組成物が1〜6週間の期間1日に1〜4回投与される、請求項17に記載の組成物。
- 前記組成物が、少なくとも1週間の期間に亘って毎日投与される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記組成物が、1〜6週間の期間1日1〜4回投与される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の組成物。
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