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選択的に拡大された低屈折率の領域を備え、特に非線形効果の発生及び応力測定用の微細構造光ファイバ
本発明の主題は、選択的に拡大された低屈折率の領域を備え、特に非線形効果の発生及び応力測定用の微細構造光ファイバである。
有効な広帯域光源は、幅広く利用できる可能性があり、顕微鏡検査、分光法、計量、及びその他のものを含む多くの科学及び技術の分野で用いられる見通しのある、需要の高い製品である。更に、広帯域光スペクトルが利用できれば、特殊な光ファイバを用いることで、従来のレーザでは得られない幾つかの波長を分離することが可能となる。光の広帯域スペクトルの発生の可能性は、組み合わされた場合に、極めて広い波長範囲の放射スペクトルを与える一連の非線形効果に基づいている。特に重要な非線形効果は、自己位相変調、四光波混合、相互位相変調、変調不安定性、誘導ラマン散乱、及びその他のものを互いに区別することが必要なことである。適切な分散特性を持ってこれらの効果が組み合わされると光の広帯域化が生じ、スーパーコンティニウム(SC)が発生する。この場合、狭いスペクトル幅の光パルスを用いて、上述の非線形効果及びそれらの相互作用によって広い波長範囲が得られる。非線形効果が発生する媒体は、ガラス又は光ファイバ、特に微細構造光ファイバ(MOF)であるかもしれない。
スーパーコンティニウムを発生させることができる本発明の微細構造光ファイバ以前には、上光の広帯域化がガラスや標準的な光ファイバで達成された。しかしながら、このスーパーコンティニウム発生方法には、長尺の光ファイバ区分、先細りの光ファイバ、及び極端なピークパワーレベルのレーザ、例えばチタンサファイアフェムト秒レーザの使用が必要であった。それにもかかわらず、従来の光ファイバは、例えばスーパーコンティニウムのような光ファイバ光源の期待されるスペクトルを得るために、MOFを用いた場合に可能であるような、広範囲での色分散特性及び高次分散の適合を行うことができない。更に、色分散特性及び高次分散で極めて多様な変化が生じ得ることによって、非線形効果の工学及び非常に需要の高い用途での使用が見込まれる。そのような効果の1つの例として、もつれ光子(entangled photon)の発生及びそれらの量子暗号での使用を挙げることができる。他の用途には、例えば光ファイバ調節可能光源等が含まれる。
文献で開示された微細構造光ファイバは、空孔によって特徴付けられる。空孔で囲まれた小さいコアにおける集光の物理的な可能性により、従来の光ファイバでは発生しない効果及びパラメータを得ることができる。これらの可能性によって、微細構造光ファイバは、光ファイバ伝送、光ファイバレーザ、非線形計器、高パワー伝送、様々なセンサ、同調可能光ファイバコンポーネント(例えば光ファイバスイッチ、フィルタ)、及びその他のものにおける用途がある。
文献で開示された、非線形効果発生のために用いられる微細構造光ファイバは、極めて小さいコア(通常は2μm未満)によって特徴付けられる。このような極小サイズの場合、光は、従来の微細構造光ファイバに対して2桁小さい領域に閉じ込められる。所与の領域上での光閉じ込め(entrapment)の程度を数値的に決定するパラメータは、モードフィールド同心性(mode field concentricity)である。モードフィールド同心性が高くなればなるほど、例えばスーパーコンティニウム発生のような要求されるスケールでの非線形効果を観察するために必要な励起レーザのパワーレベルは低くなる。非線形特性に匹敵する光ファイバパラメータは非線形性のパラメータであり、光ファイバが作製された材料の非線形屈折率とこの光ファイバ内で伝搬するモードフィールドとの比によって表される。更に、非線形性のパラメータを増大させるため、例えばテルル又はカルコゲニドガラス等の高い非線形性によって特徴付けられる特別なガラスタイプを使用してもよい。小さいコアと高い非線形率の材料を組み合わせて用いることで、極端な非線形性レベルが得られる。しかしながら、石英以外のガラスの使用は費用が高く問題がある。更に、極小コア直径を有する光ファイバの製造には大きな技術的困難が伴い、設計、製造されたファイバの寸法から大幅に逸脱するリスクがあり、結果として分散特性となって対応する非線形効果の発生を妨げる恐れがある。開示された多くの微細構造光ファイバでは、極小コアのために、コアと光ファイバのクラッドとの間に好ましくない分離がある。そのようなコアは文献において「懸垂型コア(suspended core)」と呼ばれている。
非線形効果発生のために極小コア直径の微細構造光ファイバが見出されて使用される前は、モードフィールド同心性はファイバのテーパ化によってのみ可能であった。現在、そのようなテーパ化方法は微細構造光ファイバにおいて広域スペクトルを得るためにも使用されている。幾何学的形状において必要な変化が達成されるように適切な精度で微細構造光ファイバをテーパ化すると、極めて壊れやすくて機械的に不安定な要素の構造物が出来上がり、実用的な用途での使用は極めて難しく、多くの場合、色分散特性の制御に支障を来す。更に、光ファイバのテーパ化は伝搬する放射のモード特性の制御を妨げ(例えばシングルモード動作を妨害し)、このためスーパーコンティニウムスペクトル安定性に影響を及ぼす。
スーパーコンティニウム源発生の効果を達成する一例として、特許文献1による光ファイバを挙げることができる。この場合、微細構造光ファイバの断面はテーパ化され、このテーパ化はスーパーコンティニウム発生のための1つの条件である。微細構造光ファイバは、いかなる長さ及び直径にも製作可能であるが、例えばG.652勧告に準拠したファイバであるコーニング社のSMF−28e光ファイバのような標準的な光ファイバに合致させるとよい。
別の光ファイバが、非特許文献に開示されている。著者らが提案した解決策は、コアから始まって、第1のリングにおいて選択的に大きくされた孔と、後続のリングで孔のサイズが大きくなる微細構造光ファイバである。提案された寸法、即ちΛ=1.5μm、d1=1.2μm、d2=0.24μm、d3=0.54μm、d4=0.32μm、d5=0.36μm、d6=0.4μmは、構造の著しい極小化を確定する。この極小化は、本発明の「選択的に拡大された低屈折率の領域を備え、特に非線形効果の発生及び応力測定用の微細構造光ファイバ」では回避されている。更に、この論文に記載されたような光ファイバのバージョンでは、別の自由度を与えて技術プロセスを遅らせるドープコアが存在する。また、ドープコアの存在によって、光ファイバを介して誘導され得る最大出力密度が、ドーピングされていないコアの場合よりも低くなる。非線形効果発生のための本発明による、選択的に大きくした孔を有する光ファイバの場合、コアのドーピングは必要ない。しかしながら何よりもまず、上記論文は多数のシミュレーションの結果のみを検討しており、技術的な理由のため明らかであるが、6つの異なる直径の空孔を有する光ファイバを製造することは実際には不可能である。著者らが提案した異なる孔のサイズで決まる極めて難しい構造を構築する必要性と、全体的な寸法の更なる極小化との組み合わせでは、寸法公差を大きくすることは不可能となる。しかしながら文献で開示されている通り、非線形光ファイバの場合、微細構造が極小化されればされるほど寸法公差が小さくなると共に、必要な光ファイバパラメータの維持が難しくなる。文献に添付された図から、著者らが提案した計画の寸法公差は、コア直径では約0.1μm、最大の孔の直径では約0.05μmのレベルであると思われる。
スーパーコンティニウムを発生させるためは、光ファイバにおける高い非線形性パラメータは必要であるが、条件的に未だ充分ではない。同様に重要なのは、分散パラメータ及び構造特性を効果的に制御して、光ファイバのシングルモード動作を可能とすることである。これら双方の態様、即ち分散制御及びシングルモードを維持する造は、微細構造光ファイバの登場と共に同時に開発されてきた。
光ファイバの分散は、周波数(波長)に応じた電磁波の伝搬速度の変化を決定するものであり、負及び正の値で表すことができる。分散が正の値である場合は異常(anomalous)と呼ばれ、負の値の場合は正常(normal)分散と呼ばれる。分散特性の最も重要なパラメータの1つは、ゼロ分散波長(ZDW)、即ち分散がゼロになる波長である。また、分散曲線の勾配は、特にZDW、又は一般的には高次分散で極めて重要である。微細構造光ファイバの励起(短光パルスの導入)がレーザ光源によって行われ、光ファイバが正常分散を示す範囲に対応してフェムト秒波長パルス発生する場合、異常分散の範囲におけるファイバ励起よりも時間的コヒーレントなスペクトルを得ることができる。ピコ秒又はより長いパルス励起のレーザ光源の場合では、初期拡張メカニズム確率的ゆらぎ及びパルス発生源の位相振幅に由来する特に変調不安定性の効果)が時間的コヒーレントなスペクトルの生成を妨げる。励起信号のための正常分散の発生は、励起信号に異常分散が対応する場合よりも優れたコヒーレンス特性を生じる。同時に、分波長がゼロに近い異常分散範囲における励起は、多くの場合、正常分散励場合よりも強いスペクトルの広がりを得ることができる。
スーパーコンティニウム発生中のシングルモード動作の必要性を決定づけるのは、そのような広帯域スペクトルの要因を得るために高次モードが生じると、シングルモード伝搬の場合よりも高いパワーレベルの使用が必要となることである。これは、高次モードの分散特性が基本モードのそれとは異なるので、高次モードでは往々にして有効なスーパーコンティニウムスペクトルの発生が少ないからである。更に、いくつかのモードがファイバ構造を伝搬する状況では、非線形効果発生のために必要な位相整合の条件を満たすことは著しく困難であり、結果としてスーパーコンティニウムのスペクトル分布におけるパワーの不安定性や、有効な非線形性の低下、即ち非線形効果が発生する境界線のシフトが起こり得る。光ファイバから射出し、Mパラメータと表されることが多い光ビームの幾何学的形状は、実用の観点から極めて重要である。このパラメータをできる限り1に近付けた場合に、高品質ビームと言うことができ、これは光ファイバにおけるシングルモード伝搬の場合に当てはまる。光ファイバにおける伝搬、及びその結果生じる光発生がシングルモードでない場合、Mパラメータが示す値は1より著しく大きくなり、そのような光ビームを様々な光学システムで使用することは極めて難しい。
特に短い波長のためのシングルモード伝搬は、懸垂型コア(より一般的には、総面積の大きい孔で囲まれたコア)を有する光ファイバではより困難である。これは、非線形効果発生のための開示された光ファイバの解決策において頻繁に発生する。その理由は、コアを取り囲むクラッドが実際には、極めて薄いブリッジ又は比較的小さいガラス領域により分離された空孔から成ることである。このような構造では、コア領域から高次モードが漏れ出ることができない。コアと孔から成る構造が、できれば広帯域スペクトルでシングルモードを伝搬する状況を実現するには、充填パラメータ(空孔間の距離に対する空孔の比)が0.45を超えないことが必要である。
励起波長(光ファイバ内に導入される光パルス)と比較してゼロ分散波長の効果的な修正、並びに励起波長近傍の分散曲線及び高次分散特性の適切な勾配の設定を可能とすることは、広域スペクトルでのスーパーコンティニウム発生と同時にシングルモード伝搬を可能とするもので、技術上大いに求められている解決策であり、広帯域スペクトルの品質を著しく向上させると共に新しいファイバ光源設計を提供する。同時に、現在の解決策では、(高いモード同心性の達成のため)小型化によって達成するのが技術的に難しく、計算されたファイバ特性を維持するために必要なコア懸垂限界、その寸法の問題を解決しない。更に、そのような光ファイバは、劈開面での光学品質を維持しながら劈開を行うことが極めて難しい。
そこで、本発明の目的は、スーパーコンティニウム発生のために、開示した解決策におけるようなサイズまでコア寸法を極小化する必要がないファイバ幾何学形状の設計であった。そのようなコア寸法の極小化は費用が高く複雑な製造プロセスを必要とするからである。第2の目的は、非線形性の高い材料の使用による非線形性パラメータの増大をシミュレーションする必要がなく、光ファイバを従来の利用可能な材料で製造することができる構造の設計であった。本発明の第3の目的は、大きい幾何学的公差を有する幾何学的形状光ファイバ構造設計することであった。この態様は特に重要である。なぜなら、利用可能な解決策では、設計される幾何学的形状からわずかに逸脱するだけで、ファイバに要求される非線形効果の発生が、より困難になるばかりか、時々、不可能にさえなる。しかしながら、設計上のファイバ幾何学的形状からの逸脱は、ファイバ製造プロセスの技術的な欠点のために避けられない(微細構造非線形光ファイバは多くの場合、周知であり、且つ充分に説明されているスタックアンドドロー法(stack-and-draw method)により製造される)。この技術的な欠点には、線引きするための試算となる毛管(キャピラリ)寸法の差や、ストーブの温度、加える圧力、及び光ファイバ線引き速度や他のものの正確な制御が不可能であることが含まれる。設計モデルで想定される値からの幾何学的パラメータの逸脱公差レベルが大きいので、必要な分散特徴を有する光ファイバの製造プロセスの制御が容易になり、分散特性、シングルモード伝搬、及び非線形性パラメータの安定性を維持することができる。
同時に、本発明の重要な目的は、シングルモード伝搬を提供すると共に、スーパーコンティニウム発生過程における計画された励起波長に依存するゼロ分散波長、分散勾配及び高次分散特性の修正を容易にするように設計された構造を有する光ファイバの設計であった。特に、目的とするのは、可視波長域でゼロ分散を達成し、赤外線、VIS、及びUVに近い波長範囲でのスーパーコンティニウム発生を可能にさせることである。
上述の5つの目的を同時に実現することは、開示された解決策のいずれにおいても達成されていない。
他に、本発明の同様の目的は、機械的応力、特に引張応力だけでなく圧縮、曲げ、ねじり、圧力、又はその他のタイプの応力に対する高い感度を特徴とし、同時にシングルモード伝搬の選択肢を備えた光ファイバ幾何学的形状の設計であった。
微細構造光ファイバは特許文献2に開示されている。この場合、光ファイバ製造に用いるガラスの屈折率はコア中央から半径方向外側へ向かうにつれて大きくなり、断面では、光ファイバ製造に用いるガラスの屈折率は反転したガウス曲線に近い形状を有する。しかしながら、この解決策によって設計された光ファイバは、シングルモード伝搬が可能でなく、その構造内の全ての孔は同一サイズである。更に、この種の光ファイバ幾何学的形状では、ゼロ分散波長のシフトが可能でない。
また、特許文献3にも光ファイバが開示されている。ここでは、コアがクラッドで被覆され、コア中心に対するクラッドの所与のポイントの距離に応じてクラッドの屈折率に差を設けた光ファイバ設計が開示されている。コアに比べて屈折率を低くした領域では、屈折率は相互に異なる。特許文献3に開示された構造は、シングルモード伝搬を達成することができず、ゼロ分散はIR範囲でのみ生じる。
この他にも、選択された波長範囲でのみ有効な動作が可能である光ファイバが開示されている。一例として特許文献4に開示された光ファイバが挙げられる。この場合、有効な光学コア領域は30μm未満であり、光ファイバの最も有効な波長は1550nmである。
また、特許文献5は、分散制御が可能である光ファイバを開示している。この発明による電気通信用途に専用の光ファイバでは、非線形性のパラメータが制限される。このパラメータ値が高いと電気通信における光ファイバの利用が不可能となるからである。この開示により設計された光ファイバでは、極端なパワーレベルが適用されない限り非線形効果は発生しない。コアの周りに構成された低屈折率の領域を有するシステムは、これらの領域のサイズが等しいことによって特徴付けられる。更に、低屈折率領域のリングは最大で2つあるが、これは多くの場合、充分に低いレベルの伝送損失を達成するには不充分であり、この光ファイバの充填パラメータではシングルモード伝搬は可能でない。更に、この発明による光ファイバにおいて分散を補償するには、一方が正常分散を有し他方が異常分散を有する2つのファイバ区分を利用する必要がある。
特許文献6に開示された非線形光ファイバは、非線形効果発生のために用いられ、コアに比べて屈折率を高くした領域が光ファイバの中央領域(コア)の周りに構成されている。このような光ファイバ構造では、2つの伝搬機構、即ち屈折率伝搬型とフォトニックバンドギャップによるものとの間で挑戦(challenge)した結果として信号伝搬が決定される。このため、多くの場合、そのような光ファイバの構造には2つ以上のモードがあり、広帯域スペクトルのためのシングルモード伝搬は不可能である。この発明による光ファイバは、単一/離散的な波長について非線形効果を発生することを意図しており、その結果としては例えば、とりわけ周波数を3倍にすること及び他のものによって新たな光波周波数/光波長を発生することができる。これらの効果により、スペクトルに新たな波長が出現するが、スーパーコンティニウム発生によるような連続スペクトルの達成は不可能である。更に、この発明による光ファイバの構造は、コアの屈折率に比べて屈折率を高くした領域がコアでの広い波長範囲の伝搬を不可能とすることに加えて、高屈折率の領域と屈折率の高くない領域の双方の寸法が等しいことを示している。
また、特許文献7が開示する光ファイバでは、コアの周りの第1のリングに低屈折率の拡大領域があり、低屈折率の形状の大きい領域が所与のリングの全ての領域に適用される。光が伝搬される微細構造の周りには、開示された光ファイバの大多数で用いられるタイプのガラスマトリックスの代わりに、低屈折率を有し、光が伝搬される微細構造のサイズに近い直径を有する領域がある(毛管と呼ばれる)。この発明による光ファイバは、別個に選択された波長について単一の非線形効果を発生させるために用いられる擬似位相整合の問題の解決にかかわっている。この発明による光ファイバの例に含まれる光ファイバでは、シングルモード伝搬は達成されるものの、記載された構造の色分散特性の変化を得るための方法は、完全に異なる著しく複雑なものであり、本発明に比べると技術的な処理が難しい。更に、特許文献7に開示された構造においてゼロ分散波長が可能となるのは赤外線範囲のみである。
特許文献6と同様に、特許文献7による構造は、非線形効果の発生を可能とするが、その結果として得られる連続スペクトルは、(スーパーコンティニウム発生におけるような)広帯域ではない。従って、これは、スペクトル内の波長数を増す(例えば周波数を3倍にする)効果に関して最適化され、このため擬似位相整合の必要性が生じるが、広域の連続スペクトルを得ること(スーパーコンティニウム発生)に関しては最適化されない。更に、この発明による光ファイバ製造方法は複雑であり、光ファイバ構造において問題となる費用の高い要素の利用が必要である。これは例えば、標準的な光ファイバ製造ラインでは適用することができない要素である電極等である。
米国特許出願公開第2013/0182999号明細書 欧州特許第1582915号明細書 米国特許出願公開第2005/0238307号明細書 米国特許第6959135号明細書 欧州特許第1148360号明細書 欧州特許第2533081号明細書 欧州特許第1205788号明細書
"New nonlinear and dispersion flattened photonic crystal fiber with low confinement loss" by Ming Chen and Shizhong Xie, published in Optics Communications 281 (2008) 2073-2076
技術の現状から既知であるこれら全ての欠点、すなわち、シングルモードビーム伝搬の同時達成、光ファイバゼロ分散波長、分散曲線の勾配、及び高次分散の過程を含む色分散特性を比較的容易に操作できること、並びに、容易に入手できない費用の高い材料を用いない光ファイバコア寸法の極小化の限界、すなわち非線形性の増大、幾何学的寸法についての大きい公差の達成、及び応力に対する高感度の達成は、本発明による、選択的に拡大された低屈折率の領域を備え、特に非線形効果の発生及び応力測定用の微細構造光ファイバにおいて克服された。
選択的に拡大された低屈折率の領域を備え、特に非線形効果の発生及び応力測定用の微細構造光ファイバは、ガラス、好ましくは石英ガラス、又はポリマーで作製され、クラッドで被覆された少なくとも1つのコアを含み、その周りに均一な複数の領域が局在して配置されている。これらの領域は全て、断面の形状が円形に近く、屈折率がコア及びクラッドに比べて低く、好ましくはガス、好ましくは空気又は流体又はポリマーが充填されている。コアは、これを取り囲む領域(例えば空孔)に比べて屈折率が高い領域と理解すべきである。光ファイバを応力測定に適用する場合、コアに、少なくとも12%モルGeO の量の二酸化ゲルマニウムをドーピングすることが好ましい。低屈折率領域、(更に低屈折率領域として)好ましくはガス、好ましくは空気、又は流体又はポリマーが充填された領域が、コアの周りにリングを構成して円形に配置され、好ましくは格子定数に等しい格子交点間の距離を有する六方格子の交点に配置されている。コアの周りには、低屈折率領域を有する好ましくは六角形のリングが、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つある。少なくとも1つの六角形リングにおける低屈折率領域の直径は、選択的に拡大される。好ましくは、低屈折率を有する1つおきの領域の直径Dが拡大される場合、これは格子定数Λの2倍よりも小さい。リングに配置した領域で囲まれたコアは、好ましくは光ファイバの幾何学的中央に沿って局部配置されている。
屈折率dの全ての拡大領域の直径Dは等しいことが好ましく、また、低屈折率dの非拡大領域複数の直径は格子定数よりも小さく、同一の直径であることが好ましい。しかしながら、格子定数Λに対する非拡大領域の直径dの比は、好ましくは0.45未満であり、これによって構造についてのシングルモード特性が保証される。格子定数Λに対する非拡大空領域の直径dの比は、(更に損失の低減のために)好ましくは0.3〜0.45の範囲内に収まり、(損失の大幅な低減のために)好ましくは0.35〜0.45であるのが望ましい。
本発明によう、非線形効果発生の用途向けの光ファイバの製造例では、本発明による光ファイバの格子定数Λが好ましくは2.15μm〜2.65μmであり、空気が充填された拡大領域の直径Dが好ましくは2.7μm〜3.3μmの範囲であり、非拡大領域の直径dが好ましくは0.9μm〜1.1μmの範囲であり、クラッドの直径Eが好ましくは105μm〜145μmの範囲であり、低屈折率のリングの数が好ましくは少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つであるのが望ましい。そのような構成では、VISからIRの範囲でゼロ分散を達成することができる。
本発明による応力測定の用途向けの光ファイバの製造例では、格子定数Λが好ましくは5.5μm〜6.5μmであり、低屈折率の拡大領域の直径Dが好ましくは6.5μm〜7.5μmの範囲であり、低屈折率の非拡大領域の直径dが好ましくは1.75μm〜2.25μmの範囲であり、コア直径が好ましくは2.75μm〜3.25μmの範囲であり、クラッドの直径Eが好ましくは105μm〜145μmの範囲であり、低屈折率領域で作られるリングの数が好ましくは少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つであるのが望ましい。
本発明による非線形効果発生用の光ファイバを適用する場合、直径dは好ましくは特定のリングに関して等しく、直径Dに比較して小さい。低屈折率の非拡大領域の直径を大きくすると、分散特性が短波長の方向へシフトする。同時に、低屈折率の拡大領域の直径Dを大きくすると、分散特性の曲率が長波長の方向へシフトし、直径Dを大幅に拡大した場合には赤外線領域で第2のゼロ分散ポイントが得られる可能性が生じる。また、分散特性の曲率を長波長の方向へシフトするプロセスは、特に第1のリングにおいて直径dを拡大する可能性を支援する。ゼロ分散波長を短波長の方向へシフトし、分散特性の曲率を長波長の方向へシフトする効果は、格子定数Λを小さくする場合にも達成することができる。より離れたリングで直径dを変えると、分散特性の曲率を、比較的平坦な特性曲線が得られるまで変化させることができ、第1のゼロ分散(すなわち短波長についてのもの)よりも長い波長の方向に向かう。リングの数nを増加させると、好ましくはリングの数を少なくとも4つにすると、光ファイバの損失を低減することができる。構造についてのシングルモード特性は、充填パラメータが0.3〜0.45の範囲で、好ましくは0.35〜0.45である場合に達成される。本発明による光ファイバの充填パラメータを計算するには、格子定数に対する、特に第1のリングにおける非拡大孔の直径dの比を計算する必要がある。
光ファイバを非線形効果発生に適用する場合、格子定数Λ、並びに領域直径D及びdが同時に大幅に増大すると、モードフィールド同心性の低下及び分散特性、特にゼロ分散波長の望ましくないシフトのために、非線形効果の発生が妨害される。更に、そのような構造で使用する必要がある高パワーレーザは、高価で一般に入手し難く、危険であり、アプリケーションソリューションではめったに用いられない。本発明による光ファイバは、非線形効果発生のために提案された寸法を有する場合、開示された解決策のための代替案を提供する。本発明による光ファイバにおける寸法の極小化は、他の開示された解決策よりもはるかに小さいので、比較的低いパワーレベルで入手可能な光源を用いることができると同時に、寸法の極小化と共に増大する製造コストを節約することができる。
選択的に拡大された低屈折率の領域を備え、特に非線形効果の発生及び応力測定用の微細構造光ファイバの構造が図示されている。
本発明による光ファイバの概略断面を示す。 空気領域システムの詳細を示す図であり、(a)は応力測定向け用途の場合を示し、(b)は非線形効果発生の場合を示す。
(第1実施例)
本発明による選択的に拡大された低屈折率の領域を備えた、特に非線形効果の発生及び応力測定用の微細構造光ファイバは、石英ガラスから作製され、クラッド4で被覆されたコア1を含む。コア1の周りには均一な領域があり、それらの断面形状は円2及び3に近く、空気が充填されている。コアは、これを取り囲む構造物に比べて屈折率が高い領域と理解すべきである。空気が充填された領域2及び3は、コア1の周りに同心リング状を成して、格子定数Λに等しい格子交点間の距離を有する六方格子の交点に配置されている。コア1の周りには、空気充填領域2及び3の六角形リングが4つある。空気充填領域の直径Dは1つおきに拡大されている。コア1とその周りに領域2及び3を有するリング5とは、光ファイバの幾何学的中心に沿って局部配置されている。
全ての拡大された空気充填領域2の直径Dは等しく、非拡大の空気充填領域3の直径dは等しく、かつ格子定数Λよりも小さい。
本発明による光ファイバの格子定数Λは2.4μmであり、拡大された空気充填領域の直径Dは3μmであり、非拡大の空気充填領域の直径dは1μmであり、クラッドEの直径は125μmであり、空気領域を有する上記リングの数は4つである。
(第2実施例)
本発明による選択的に拡大された低屈折率の領域を備えた、非線形効果の発生及び応力測定用の微細構造光ファイバは、石英ガラスから作製され、クラッド4で被覆されたコア1を含む。コア1の周りには均一な領域があり、それらの断面形状は円に近く、空気が充填された領域2及び3である。コアは、これを取り囲む構造物に比べて屈折率が高い領域と理解すべきである。石英コア1には12%モルGeO の量でゲルマニウムがドーピングされている。空気充填領域2及び3は、コア1の周りに同心リング状を成して、格子定数Λに等しい格子交点間の距離を有する六方格子の交点に配置されている。コア1の周りには、空気充填領域2及び3の六角形リングが4つある。空気充填領域の直径Dは1つおきに拡大されている。コア1とその周りに領域2及び3を有するリング5とは、光ファイバの幾何学的中心に沿って局部配置されている。
全ての拡大された空気充填領域2の直径Dは等しく、非拡大の空気充填領域3の直径dは等しく、かつ格子定数Λよりも小さい。
本発明による光ファイバの格子定数Λは6μmであり、拡大された空気充填領域の直径Dは7μmであり、非拡大空気充填領域の直径dは2μmであり、コア1の直径は3μmであり、クラッドの直径は125μmであり、空気領域を有するリングの数は3つである。

Claims (8)

  1. 石英ガラス、又はポリマーで作製されたファイバ・クラッド(4)の屈折率に対して低屈折率であり、円に近い断面形状を示し、ガス、好ましくは空気、又は流体又はポリマーで充たされて、格子定数Λに等しい格子交点間の距離を有する六方格子の交点に配置され、ファイバ中心のコア(1)の周りに、少なくとも2つの同心リング状に局在した領域(2,3)を有し、特に非線形効果の発生に使用される微細構造光ファイバであって、
    少なくとも1つのリングにおける低屈折率を有する1つおきの領域(2)の直径は、前記格子定数の2倍未満に拡大され(D<2Λ)、同じ大きさを有しており、低屈折率を有する非拡大の複数の領域(3)の直径dは、前記格子定数よりも小さく(d<Λ)、同じ大きさを有していることを特徴とする、微細構造光ファイバ。
  2. 前記格子定数Λに対する非拡大の領域の前記直径dの比は、0.30〜0.45の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の微細構造光ファイバ。
  3. 前記格子定数Λが2.15μm〜2.65μmの範囲であり、低屈折率の拡大された空気充填領域(2)の前記直径Dが2.7μm〜3.3μmの範囲であり、非拡大の空気充填領域(3)の前記直径dが0.9μm〜1.1μmの範囲であり、クラッド(4)の直径Eが105μm〜145μmの範囲であり、空気充填領域を有する前記リングの数がつであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の微細構造光ファイバ。
  4. 石英ガラス、又はポリマーで作製されたファイバ・クラッド(4)の屈折率に対して低屈折率であり、円に近い断面形状を示し、ガス、好ましくは空気、又は流体又はポリマーで充たされて、格子定数Λに等しい格子交点間の距離を有する六方格子の交点に配置され、屈折率が前記ファイバ・クラッド(4)の屈折率に比して高くなるようにドーピングされたファイバ中心のコア(1)の周りに、少なくとも2つの同心リング状に局在した領域(2,3)を有し、応力測定に使用される微細構造光ファイバであって、
    少なくとも1つのリングにおける低屈折率を有する1つおきの領域(2)の直径Dは、前記格子定数の2倍未満に拡大され(D<2Λ)、同じ大きさを有しており、低屈折率を有する非拡大の複数の領域(3)の直径dは、同じ大きさで前記格子定数よりも小さく(d<Λ)、同じ大きさを有していることを特徴とする、微細構造光ファイバ。
  5. 前記格子定数Λに対する非拡大の領域の前記直径dの比は、0.30〜0.45の範囲内であることを特徴とする、請求項4に記載の微細構造光ファイバ。
  6. 前記コア(1)は、二酸化ゲルマニウムでドーピングされていることを特徴とする、請求項4又は5記載の微細構造光ファイバ。
  7. 前記コア(1)は、少なくとも12%モルGeO の量で二酸化ゲルマニウムがドーピングされていることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の微細構造光ファイバ。
  8. 前記格子定数Λが5.5μm〜6.5μmの範囲であり、低屈折率の拡大された空気充填領域(2)の前記直径Dが6.5μm〜7.5μmの範囲であり、非拡大の空気充填領域(3)の前記直径dが1.75μm〜2.25μmの範囲であり、前記コア(1)の直径が2.75μm〜3.25μmの範囲であり、クラッド(4)の直径Eが105μm〜145μmの範囲であり、空気の領域を有する前記リングの数が2つであることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載の微細構造光ファイバ。
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