前記課題は本発明によって解決される。
一態様において、本発明は、
(i)抗原に対して活性化されたT細胞を有する患者に、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞、およびTh-1媒介応答を支持するアジュバントを投与する段階であって、該ペプチドが抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞が再活性化される、前記段階
を含む、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法における使用のための医薬であって、
段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与される、前記医薬に関する。
「細胞性の細胞傷害性免疫応答」は、所定の抗原に対して誘発され得るTh1型の細胞性細胞傷害性免疫反応と理解される。これは、主にTh2抗原提示経路を扱いかつ主にTh2型(中和)抗体および免疫反応の発生をもたらす古典的なワクチンに対する応答とは対照的である。
「延長された」細胞性の細胞傷害性免疫応答は、下述されるような抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法について記載される送達システムによるなど、抗原を用いるプライミングによって得られる細胞性の細胞傷害性免疫応答と比較して、より長い間生じる細胞性の細胞傷害性免疫応答と理解される。例えば、応答は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、またはそれ以上延長され得る。
好ましい態様において、延長された細胞性の細胞傷害性免疫応答は、例えば下述されるような抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法について記載される送達システムによる、抗原を用いる「プライミング」によって得られる細胞性の細胞傷害性免疫応答と比較してさらに増幅される細胞性の細胞傷害性免疫応答と理解される。例えば、応答は、抗原での患者のプライミング後に存在する抗原に特異的なCD8+ T細胞と比較して、抗原に特異的なCD8+ T細胞の2倍以上、3倍以上、5倍以上、10倍以上、または20倍以上の増幅を特徴とし得る。さらに、応答は、抗原に特異的なナイーブCD8+ T細胞と比較して、抗原に特異的なCD8+ T細胞の100倍以上、1000倍以上、100.000倍以上、または106倍以上の増幅を特徴とし得る。抗原に特異的なCD8+ T細胞を決定するための方法は、当業者に公知であり、例えば実施例に記載される。
本発明の一つの好ましい態様において、方法は、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインを投与する段階をさらに含み、より好ましくは、方法は、インターロイキン2(IL-2cx)または複合体化インターロイキン15(IL-15cx)を投与する段階をさらに含み、最も好ましくは、方法は、下述するように、インターロイキン2(IL-2cx)を投与する段階をさらに含む。ADASと、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテイン、より好ましくはインターロイキン2(IL-2cx)または複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、最も好ましくはインターロイキン2(IL-2cx)との組み合わせのそのような態様において、応答は、抗原で患者をプライミングした後に存在する抗原に特異的なCD8+ T細胞と比較して、抗原に特異的なCD8+ T細胞の4倍以上、10倍以上、20倍以上、または100倍以上の増幅を特徴とし得る。さらに、応答は、そのような態様において、抗原に特異的なナイーブCD8+ T細胞と比較して、抗原に特異的なCD8+ T細胞の400倍以上、1000倍以上、100.000倍以上、または106倍以上の増幅を特徴とし得る。
本発明によれば、「抗原依存的増幅システム(Antigen-Dependent Amplification System)」または「ADAS」は、抗原に対して活性化されたT細胞を有する患者に、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞、およびTh-1媒介応答を支持するアジュバントを投与する段階であって、該ペプチドが抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞が再活性化される、前記段階に関する、上記の本発明の段階(i)と理解される。特に、ADASは、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の指示される時間枠内で行われる。
実施例(例えば実施例6を参照のこと)において示されるように、ADASは、患者におけるプライミング後に存在する抗原特異的細胞傷害性T細胞の増幅をもたらす。従って、ADASシステムは、細胞性の細胞傷害性免疫応答を増幅する方法をさらに提供する。
従って、さらなる態様において、本発明は、
(i)抗原に対して活性化されたT細胞を有する患者に、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞、およびTh-1媒介応答を支持するアジュバントを投与する段階であって、該ペプチドが抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞が再活性化される、前記段階
を含む、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を増幅する方法における使用のための医薬であって、
段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与される、前記医薬に関する。
本発明に従う「プライミング」は、所定の抗原に対して一次細胞性細胞傷害性免疫応答を誘導することとして理解される。そのようなプライミング段階は、典型的に、患者においてインビボで誘導され;しかし、細胞の養子移入前にインビトロでそのような応答を誘発することも可能である。
本発明者らは、所定の抗原に特異的なCD8+ T細胞の細胞傷害性の延長または増幅のための新規のシステムを開発した。本発明の実施例において、モデル抗原オボアルブミン(OVA)、またはOVA由来ペプチドSIINFEKLを、XCR1特異的ケモカインリガンドXCL1、またはDCの表面上のケモカイン受容体XCR1へ向けられた抗体のいずれかのC末端部分へ組換え融合させ、そして宿主中へ注射した。ターゲティングされたOVAは、Th1アジュバントと一緒に適用された場合、2〜5%のレベルの抗原特異的細胞傷害性CD8+ T細胞を誘導した(実施例1〜5を参照のこと)。このシステムにおけるCD8+ T細胞プライミングの程度を評価するためにインビボ細胞傷害性アッセイを行った場合、本発明者らは、驚くべきことに、標的細胞が殺傷されただけでなく、プライミングされたCD8+ T細胞も活性化され、拡大され、そして細胞傷害性エフェクターへさらに分化されたことに気付いた。
この観察から、本発明者らは、「抗原依存的増幅システム」(ADAS)をさらに開発した。詳細に下述するように、様々なプライマリー細胞のMHC-Iに、様々な方法によって関連する抗原を結合させることができる。
ADASの有効性についての細胞要件を調べるために、様々なリンパ球集団(脾細胞、B細胞、T細胞、およびDC)にインビトロでSIINFEKL(SEQ ID NO: 11)を比較のために結合させ、第2アジュバント(ポリI:C、LPS、CpG、または等価物)と一緒にマウスに最適な時間枠内で(第5日)注射した。この実験は、MHC-Iを発現するこれらのリンパ球集団の全てが、初期活性化、拡大、および細胞傷害性エフェクター細胞へのCD8+ T細胞の機能的分化を継続するために必要なシグナルを提供することができたことを突き止めた(図3B)。プライミング単独は第10日に脾臓CD8 T細胞集団内で1%〜5%の抗原特異的CD8+ T細胞を生じさせたが、ADASの適用はこの頻度をおよそ15%〜25%へ上昇させた。
本発明者らは、驚くべきことに、細胞性細胞傷害応答の延長および増幅が、プライミングされた抗原特異的CD8+ T細胞が患者内に存在する場合はいつでも観察されたが(実施例6を参照のこと)、しかし、最良の結果はターゲティングされたアプローチを用いて観察される(図6を参照のこと)ことをさらに観察した。
従って、いかなる主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞も本発明の方法の実施または本発明の使用のための医薬に適している。
本発明者らは、ADASが、抗原でのCD8+ T細胞のプライミング後の一定の期間においてのみ有効であることを観察した(実施例3を参照のこと)。プライミングの数日後に適用される場合、ADASは、新たに活性化されたCD8+ T細胞に対して別の活性化/分化ステップを提供する。従って、本発明者らは、指示される時間スキーム内での患者への投与によって進行中のCD8+ T細胞活性化を延長および増幅するための方法としてADASを同定した。
ADASの有効性についての細胞要件を調べるために、様々なリンパ球集団(脾細胞、B細胞、T細胞、およびDC)にインビトロでSIINFEKL(SEQ ID NO: 11)を比較のために結合させ、Th1アジュバント(ポリI:C、LPS、CpG、または等価物)と一緒にマウスに最適な時間枠内で(第5日)注射した。この実験は、MHC-Iを発現するこれらのリンパ球集団の全てが、初期活性化、拡大、および細胞傷害性エフェクター細胞へのCD8+ T細胞の機能的分化を継続するために必要なシグナルを提供することができたことを突き止めた(図3B)。プライミング単独は第10日に脾臓CD8 T細胞集団内で1%〜5%の抗原特異的CD8+ T細胞を生じさせたが、ADASの適用はこの頻度をおよそ15%〜25%へ上昇させた。
得られた結果から、ADASは、リンパ球細胞またはさらに非リンパ球細胞の表面上に十分に高い密度のペプチド結合MHC-I分子を提供することができる任意のシステムを用いてインビボで機能すると結論付けることができる。
インビトロで外部的にMHC-I分子にペプチドを結合させる代わりに、細胞に抗原含有タンパク質全体をインビトロで供給し、細胞が抗原を処理しそしてMHC-Iのコンテクストにおいて抗原性ペプチドを提示することを可能にするシステムを想定することができる。細胞に感染することができるウイルスシステムに細胞をインビトロで曝露し、MHC-Iのコンテクストにおいて多量のペプチドを発現させるシステムを想定することもできる。さらに、MHC-I保有細胞に、所定のタンパク質またはペプチド配列をコードする発現ベクターをトランスフェクトし、再びMHC-Iのコンテクストにおいてペプチドの効率的な提示を生じさせることができる。
抗原提示細胞(APC)へ送達された全抗原は、MHC-IのコンテクストにおいてCD8+ T細胞へ提示されるだけでなく、MHC-IIのコンテクストにおいてCD4+ T細胞へも提示されるため、ADASはCD4+ T細胞応答を増幅するためにも使用され得る。この特定の増幅のために、ADASについて使用される細胞はまた、細胞表面上にMHC-II分子を発現しなければならず、これに適切なペプチドが結合されると考えられる。この結合は、好適なペプチドへの外部曝露によって行うことができ、またはMHC-II保有細胞に、所定のタンパク質もしくはペプチド配列をコードする発現ベクターをトランスフェクトし、再びMHC-IIのコンテクストにおいてペプチドの効率的な提示を生じさせることができる。
「ペプチドは抗原含有タンパク質に由来する」は、該ペプチドの配列が抗原含有タンパク質の配列の一部である(即ち、抗原含有タンパク質配列の部分配列である)こととして理解される。好ましい態様において、ペプチドは関心対象の抗原またはエピトープを含む。
「ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞」は、MHC-Iへの結合によって細胞の表面上に所望のペプチドを提示する細胞として理解される。
「抗原含有タンパク質」は、関心対象の抗原またはエピトープを含むタンパク質として理解される。
さらなる態様において、本発明は、
(i)抗原に対して活性化されたT細胞を有する患者に、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞、およびTh-1媒介応答を支持するアジュバントを投与する段階であって、該ペプチドが抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞が再活性化される、前記段階
を含む、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法であって、
段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与される、前記方法に関する。
驚くべきことに、指示される時間枠内でのADASの単回適用が、細胞性細胞傷害応答の強力な増幅および延長を得るために十分であることが見出された。
従って、本発明の使用のための医薬または方法の好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、前記患者に1回のみ投与される。
従って、好ましい態様において、ADASのさらなる投与を行わない。従って、好ましい態様において、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、指示される時間枠内で1回のみ患者に投与され、かつ、
・ ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞のさらなる投与は行われないか、または
・ ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞のさらなる投与は、T細胞が抗原に対して活性化された後の0日〜14日の時間枠内で行われない。
ナイーブマウスにおける所定の抗原性ペプチド(例えば、SIINFEKL)を認識するCD8+ T細胞の数は少なく、ほぼ200個のCD8+ T細胞であると推測され得る。インビボでのそのような抗原性ペプチド(例えば、OVA)を含有する抗原によるこれらのナイーブCD8+ T細胞のプライミングは、DCおよびTh1アジュバントを必要とし、最適条件(即ち、DCおよびB細胞のようなプロフェッショナルAPCへの抗原のターゲティング)下で、SIINFEKL特異的CD8+ T細胞の数をおよそ200.000へ増加させる。このCD8+ T細胞数のさらなる実質的な増加(即ち、増幅)は、さらなる刺激を必要とする。理論に拘束されないが、MHC-Iのコンテクストにおいておよび同時に炎症性のコンテクスト(これはTh1アジュバントを投与することによって提供され得る(あるいはこのシステムは自己アジュバント化される))において、抗原性ペプチドを提示する明らかにより多数の細胞が、細胞性の細胞傷害性免疫応答の所望の延長および/または増幅のために必要であると考えられている。これらの要件は、過去において行われたように、ペプチドが結合しそしてリンパ節中へまたは腫瘍中へ局所(例えば皮下)注射されたDCもしくは他の抗原提示細胞または任意の他のプライマリー細胞などの、より少数のMHC-I保有細胞(例えば、ヒトにおいて1×106または1×107個未満の細胞)の注射によっては恐らく満たされないとさらに考えられている。これが、今日まで臨床的に試験された全ての腫瘍ワクチン接種スキームにおいて多数の抗原特異的細胞傷害性CD8+ T細胞を達成することが全体的にできなかった理由である。
代わりに、CD8+ T細胞の拡大のためのさらなる刺激は、好ましくは、抗原性ペプチドが結合したMHC-I分子を保有する多数のプライマリー細胞を全身注射(例えば、静脈内、腹腔内、または髄腔内)することによって効果的に提供され得る。多数のMHC-I保有プライマリー細胞、および全身適用を介する注射された細胞の広い免疫学的アクセス可能性は、最近プライミングされたCD8+ T細胞集団全体の必要とされる同時再活性化を保証する。局所注射される場合、MHC-I保持細胞は、恐らく組織中に閉じ込められ、従って、最近プライミングされたCD8+ T細胞に広くアクセス可能ではない。結果として、局所注射されたペプチド保有細胞は、循環中に存在する最近プライミングされたCD8+ T細胞の集団全体に対して迅速かつ同時的な再活性化刺激を提供することができない。しかし、プライミングされたCD8+ T細胞の集団全体の同時再活性化がMHC-I保持プライマリー細胞の全身適用によって達成される場合、これは最近プライミングされたCD8+ T細胞のさらに大量の拡大をもたらす。本発明者らの実験によって示されたように、このタイプの刺激(ADAS)は、数日以内に抗原特異的CD8+ T細胞の総数を細胞200 000個から細胞2×106個へ、そして最大10×106個へさらに拡大することができ、これは10〜50倍の増幅を示す(実施例3、4、および9を参照のこと)。同様の要件がヒト免疫系において予想され得る。
細胞の投与は、特に様々な投与経路を使用して、当業者に公知の方法によって行われ得る。好ましい態様において、細胞は生細胞である。典型的に、細胞は、好ましくは緩衝化されている生理学的に許容される水溶液などの水溶液中の細胞の懸濁剤として調製される。例えば、そのような溶液は、生理学的食塩濃度を有する生理学的に許容される緩衝溶液である。
投与は、全身に、特に静脈内に、腹腔内に、もしくは髄腔内注射によって、または、皮下にもしくは腫瘍中への投与によって、行われ得る。しかし、上述したように、細胞の全身投与、特に、静脈内、腹腔内、または髄腔内投与が特に好ましい。
最も好ましい態様において、細胞の投与は細胞の静脈内投与である。
別の態様において、細胞の高局所濃度を達成するために、例えば腫瘍組織中への注射による、腫瘍中への投与が行われ得る。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、全身に、特に静脈内に、腹腔内に、もしくは髄腔内注射によって、または、皮下にもしくは腫瘍中への投与によって(腫瘍に罹患している患者の場合)投与され、細胞の全身投与、特に、静脈内、腹腔内、または髄腔内投与が特に好ましい。
特に好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、静脈内投与される。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のなおさらに好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、全身に、かつ/または、好ましくは緩衝化されている生理学的に許容される水溶液中の懸濁剤として、投与される。
実施例から理解され得るように、脾細胞などの様々なMHC-I提示細胞が、この目的に適している。従って、この目的のために樹状細胞を使用する必要はない。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、樹状細胞ではない。
細胞は、好ましくは患者と同じ種に由来する。従って、患者がヒトである場合、細胞のドナーは好ましくはヒトである。ドナーは、患者とは異なっていてもよく、または患者自身であってもよい。望ましくない免疫応答を回避するために、ドナーは患者自身であり、即ち、段階(i)の主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は該患者から入手される。従って、自己細胞の使用が好ましい。
従って、本発明の使用のための医薬または方法の別の好ましい態様において、段階(i)の主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、前記患者から入手される。
血液は、当技術分野において公知の方法によって患者から容易に得ることができ、従って、本発明のペプチド結合細胞を作製するために使用されるMHC-I提示細胞の好ましい供給源を示す。血液サンプルは、一態様において、細胞に結合させるために直接使用され得る。しかし、赤血球などの、MHC-Iを提示しない細胞は、好ましくは、細胞への結合前に血液サンプルから除去される。特に、末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、単球またはリンパ球細胞およびそれらの混合物が、この目的に特に適している。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、MHC-I提示細胞は、血液細胞、特に末梢血単核細胞(PBMC)、例えば単球またはリンパ球細胞である。
典型的に、MHC-I提示細胞は、好ましくは患者であるドナーから入手され、僅か2時間〜3日間、より好ましくは2時間〜2日間、さらにより好ましくは2時間〜1日間インビトロで培養され、続いて本発明に従って患者に投与される。
前記培養を、抗原含有タンパク質に由来するペプチドでの結合を達成するためにより詳細に以下に記述しているように行う。以下に記述するように、外部的結合法および内部的結合法の両方が可能である。例えば、外部的結合は、外部的に添加されたペプチドの存在下で培養することによって可能であり得る。この態様では、2時間〜12時間のペプチドの存在下での培養で十分であり得る。抗原含有タンパク質に融合された細胞透過性ペプチドを使用することによるなどの、内部的結合手順の場合、細胞がタンパク質を処理し、結果として生じるペプチドをMHC-Iのコンテクストにおいて提示することを可能にするために、より多くの時間が好ましくは必要とされる。そのような態様において、約10時間〜2日間または3日間の培養が好ましい。
従って、より好ましい態様において、前記患者から得られた段階(i)の主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、2時間〜3日間、より好ましくは2時間〜2日間インビトロで培養される。
投与される細胞の量は、抗原および患者などの様々な因子に依存して変動し得る。例えば、投与される細胞の上限量は、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を作製するために患者から最初に得ることができる細胞の量によって制限され得る。典型的に、1×106〜4×108個の細胞または5×108個の細胞がヒトヘ投与され得る。例えば、1×107、3×107、5×107、8×107、1×108、2×108、3×108、4×108または5×108個の細胞がヒト患者に投与され得る。しかし、上述したように、より多量のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞、特に、少なくとも1×106、1×107、3×107、5×107、または8×107個の細胞を投与することが好ましく、特に、患者はヒトである。
ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞の投与が、全身に、特に静脈内に、腹腔内に、または髄腔内注射によって行われ、かつ、1×106〜4×108個、より好ましくは1×107〜4×108個のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が前記患者に投与されることが特に好ましい。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のなおさらに好ましい態様において、1×106〜4×108個、好ましくは1×107〜4×108個のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が前記患者に投与される。
上記および実施例において記載するように、0時間〜14日の時間枠において患者に段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を投与することが、細胞性細胞傷害応答の増幅および/または延長を生じさせる。好ましくは、細胞を時間枠内で1回のみ投与する。
驚くべきことに、単回投与は、細胞性細胞傷害応答の所望の増幅および/または延長を達成するために十分かつ好ましいことがわかった。実施例において示され得るように、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与された場合に有効であり、マウスにおいて、最良の結果は、最初の抗原刺激後5〜9日の時間枠において達成される(実施例3)。
ヒトにおいて、最適な時間枠は、最初の抗原刺激後5日〜12日、より好ましくは5日〜9日などに延長されると予想され得る。
さらに、ADASを、プライミング後しばらくしてから、即ち、最初の抗原刺激後48時間以上後に、より好ましくは72時間以上後に行うことが好ましい(実施例3および11を参照のこと)。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、時間枠は、72時間〜12日、好ましくは5日〜12日、より好ましくは5日〜9日である。
一つの好ましい態様において、細胞および第2アジュバントは、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において1回のみ投与される。
さらに好ましい態様において、時間枠は、T細胞が抗原に対して活性化された後の、48時間〜14日、または72時間〜14日である。
例えば、投与を、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に行う。
好ましい態様において、時間枠は、T細胞が抗原に対して活性化された後の、3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日、または5日〜9日、例えば4日、5日、6日、7日、8日または9日である。
さらに好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜14日、または72時間〜14日の時間枠において1回のみ投与される。
例えば、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に1回のみ投与される。
さらに好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、T細胞が抗原に対して活性化された後の3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日、4日〜9日、または5〜9日の時間枠において、例えば、4日、5日、6日、7日、8日、または9日後に1回のみ投与される。
さらに驚くべきことに、活性化細胞傷害性T細胞が記憶状態へ戻った後に再びADASを行うことによって、細胞性細胞傷害応答の増幅および/または延長が再び可能であることを見出した(実施例10、図10を参照のこと)。
「活性化細胞傷害性T細胞が記憶状態へ戻った」は、患者におけるそのような抗原でのプライミング後5日と比較して10%以下の抗原特異的CD8+ T細胞が検出され得ることとして理解される。記憶T細胞は、当業者に公知であり、過去において特異的抗原を認識しそして該抗原に対して応答したT細胞であって、同じ抗原による再チャレンジに対して迅速かつより強力に応答することができるT細胞と理解される。当業者は、様々な表面マーカーを使用して、ナイーブT細胞と、最近活性化された「プライミングされた」T細胞とを、および、最近活性化された「プライミングされた」T細胞と記憶T細胞とを識別することができる。ヒトにおいて、好適なバイオマーカーは、例えばPaul W.E. (2012)に記載される、例えば、CD25、CD45RA、CD45R0、CD62L、CCR7、ICOS、およびXCL1である。当業者は、バイオマーカーパターンは様々な器官において異なることを認識している。抗原特異的CD8+ T細胞を決定するための方法は当業者に公知であり、例えば実施例10に記載される。
一般に、活性化細胞傷害性T細胞は、T細胞が抗原に対して活性化された後、3週間後、好ましくは4週間後、例えば40日後、記憶状態へ戻っている。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において前記患者に1回のみ投与され、かつ、抗原に対して活性化されたT細胞が記憶状態へ戻った後に、さらに1回または複数回投与される。より好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、さらに1回のみ、即ち抗原に対して活性化されたT細胞が記憶状態へ戻った後に1回のみ投与される。より好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、T細胞が抗原に対して活性化された後3週間以上後に、好ましくは4週間以上後に投与される。さらにより好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、さらに1回のみ、T細胞が抗原に対して活性化された後3週間後に、好ましくは4週間以上後に1回のみ投与される。例えば、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、T細胞が抗原に対して活性化された後の3週間〜6ヵ月もしくは1年の時間枠において、または4週間〜6ヵ月もしくは1年の時間枠において投与され、好ましくは、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、T細胞が抗原に対して活性化された後の3週間〜6ヵ月もしくは1年の時間枠において、または4週間〜6ヵ月もしくは1年の時間枠において、1回のみ投与される。従って、抗原に対して活性化されたT細胞が記憶状態へ戻った後の単回投与もまた、驚くべきことに、実施例10に示されるように、十分かつ好ましい。
本発明の段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を得るために、様々な方法が利用可能である。
一つの好ましい態様において、上記は、例えば実施例3などにおける、関心対象の抗原を含むペプチド(例えば、該実施例におけるようなSIINFEKL)を用いる外部的結合によってインビトロで行われ得る。典型的には、細胞を、一定の期間、例えば10分間〜24時間または48時間、特に20分間〜12時間、水溶液または媒体などの好適な流体中において、ペプチドと共にインキュベートする。
MHC-Iのコンテクストにおいて提示されるペプチドは典型的にアミノ酸8、9または10個の長さを有するため、即ち、この長さがMHC-Iのコンテクストにおけるペプチドの結合のために必要とされるため、外部的結合のために使用されるペプチドは、好ましくはこの長さを有する。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、少なくとも1つの主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を前記ペプチドと共にインビトロでインキュベートすることによって得られる。
インビトロで細胞に外部的に結合させる場合、ペプチド配列は当技術分野において公知の方法によって選択され得る。インビトロで細胞に外部的に結合させることは、当技術分野において公知の方法によって、例えば、ペプチドの水溶液を提供し、細胞(これは好ましくは緩衝溶液または媒体中にある)に溶液を添加し、細胞をペプチドと共にインキュベートし、それぞれのペプチドによるMHC-Iおよび/またはMHC-IIの高飽和を達成し、そして例えば水溶液で細胞を任意で洗浄することによって、行われ得る。
一つの好ましい態様において、細胞は、抗原含有タンパク質の部分配列である配列を有し、かつ抗原またはエピトープを含む1つのペプチドにインビトロで結合される。例えば、一つのそのようなペプチドを含む水溶液を、好ましくは患者から得られた細胞集団である細胞集団にインビトロで添加してもよい。
あるいは、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチド結合細胞主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞集団の混合物が使用され得、この混合物において、細胞は異なるペプチドに結合されている。好ましくは、細胞は患者から入手される。
細胞のそのような混合物は、PBMC細胞のような、好適な細胞集団と、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドの混合物とをインキュベートし、それによってMHC-Iのコンテクストにおいて異なるペプチドが結合された細胞を得ることによって、得られ得る。あるいは、別個の細胞集団、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の細胞集団を、異なるペプチド、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドと共にインビトロでインキュベートしてもよい。それによって、異なるペプチドがそれぞれ結合された、別個の主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞集団がそれによって得られる。異なるペプチド結合細胞主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞集団を別々に投与してもよく、または異なるペプチド結合細胞主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞集団の混合物を調製してもよく、次いでこれを患者に投与してもよい。
異なるペプチドを用いる場合、特に、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドを用いる場合、そのようなペプチドは同じまたは異なる抗原含有タンパク質に由来し得る。好ましい態様において、1つの腫瘍抗原に由来する2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドを使用してもよい。これは、各ペプチドの配列が腫瘍抗原の部分配列であることを意味する。そのような異なるペプチドの配列は、重複していても重複していなくてもよい。さらなる態様において、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なる腫瘍抗原に由来する2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドを使用してもよい。そのような態様において、異なる腫瘍抗原は、同じまたは異なる腫瘍に関連しており、好ましくは同じ腫瘍に関連している。さらに好ましい態様において、1つの感染性病原体抗原に由来する2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドを使用してもよい。これは、各ペプチドの配列が病原体の抗原の部分配列であることを意味する。そのような異なるペプチドの配列は、重複していても重複していなくてもよい。さらなる態様において、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なる病原体抗原に由来する2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドを使用してもよい。そのような態様において、異なる病原体抗原は、同じまたは異なる病原体に関連しており、好ましくは同じ病原体に関連している。
好ましくは、アミノ酸8、9または10個の長さのペプチド配列が選択される。その理由は、MHC-Iによって提示されるペプチドは典型的にこの長さのものであるためである。
HLA対立遺伝子は非常に多型性に富む。従って、結合されるペプチドは、好ましくは、頻度の高いHLA対立遺伝子によって提示されるペプチドである。従って、ヒトにおいて、最も頻度の高い対立遺伝子HLA-A2によって提示されるペプチドが特に好ましい。あるいは、白人起源に関連する対立遺伝子であるHLA-A1、-A3、-B7、-B35によって提示されるペプチドが使用され得る。HLA-A24はアジア人について使用され得、HLA-A30はアフリカ人について使用され得る。
いくつかの好適な腫瘍関連ペプチドが、Speiser and Romero (Seminars in Immunology 22 (2010) 144-154)およびその中の参考文献に記載されている。それらの大部分は、HLA-A2拘束性のもの、例えば、以下に由来するペプチドである:メラノサイト分化抗原についての、Melan-A/MART-1、gp100エピトープの1つ、およびチロシナーゼ;前立腺についての前立腺表面抗原およびPSAP;粘膜腫瘍についての癌胎児性抗原およびMUC-1;乳癌についてのHER-2/neu;腎細胞癌についてのG250;顆粒球において通常発現され、骨髄性白血病細胞において過剰発現される、2つの骨髄性白血病関連抗原によって共有されるPR1、PR3および好中球エラスターゼ;様々な腫瘍タイプについての共有腫瘍特異的抗原MAGE-AおよびNY-ESO-1;ならびに過剰発現されるタンパク質サバイビンおよびテロメラーゼ。好適なA型インフルエンザ由来ペプチドがWu et al (前記)に記載されている。
従って、さらなる態様において、抗原含有タンパク質に由来するペプチドは、MHC-Iによって、好ましくは対立遺伝子HLA-A2、HLA-A1、HLA-A3、HLA-B7、HLA-B35、HLA-A24、またはHLA-A30によって、より好ましくは対立遺伝子HLA-A2によって提示されるペプチドである。そのようなペプチドを同定するための方法は、Wu et al. (PNAS, 2011, 108(22): 9178-9183)に記載および要約されている。例えば、Wu et al. (前記)の系統的同定アプローチ、またはそこに記載される好適なアルゴリズムを使用することができる。
従って、本発明の使用のための医薬または方法の別の好ましい態様において、抗原含有タンパク質に由来するペプチドは、アミノ酸8、9もしくは10個の長さを有し、かつ/または、MHC-Iによって、好ましくは対立遺伝子HLA-A2、HLA-A1、HLA-A3、HLA-B7、HLA-B35、HLA-A24、もしくはHLA-A30によって、より好ましくは対立遺伝子HLA-A2によって、提示されるペプチドである。
主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞上に結合されたペプチドは、所望の応答を誘発するために、関心対象の抗原またはエピトープを含むことが好ましい。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、少なくとも1つのペプチドは抗原またはエピトープを含む。
抗原含有タンパク質は1つを超える抗原またはエピトープを含有し得るため、異なる抗原またはエピトープを含み得る2つ以上の異なるペプチドを、細胞に結合させてもよい。さらに、その2つ以上のペプチドは、同じ抗原またはエピトープを含有し得るが、異なる長さを有し得る。
あるいは、前記結合は、プライミングした宿主中へTh1アジュバントと一緒に(再)投与する前に、非限定的にエレクトロポレーション、トランスフェクション、またはインビトロでの感染などの様々な方法によって細胞に抗原を「内部的に」結合させることによって、インビトロで行われ得る(実施例1〜5を参照のこと)。この手順は、実施例において示されるように、プライミングされたCD8+ T細胞の強力な増幅および拡大を生じさせ、細胞傷害性細胞へのそれらのさらなる分化を誘発する。
ペプチドを用いるADASにおけるMHC-Iの外部的結合は、ヒト集団におけるMHC-I分子の異質性に起因して、ヒトにおいてある制限を与える。結果として、同じ抗原(例えば、インフルエンザの核タンパク質または黒色腫由来のTRP-1)に由来する異なるペプチドが、ADASのために異なる個体について好ましくは使用される。この問題は、多くの抗原性エピトープを含有するタンパク質全体または長鎖ペプチドを用いる、ADASのために使用されるMHC-I保有細胞の「内部的」結合によって克服することができる。この目的のために、未処理の抗原含有タンパク質または抗原もしくはエピトープを含むその断片が、MHC-I保有細胞中へ導入され、それが複数の異なるペプチドへ酵素的に分解される(「処理される」)と、これらは次いでMHC-I(およびMHC-II)のコンテクストにおいて表面上に提示される。
細胞中への未処理の抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片の輸送は、当業者に公知である様々な物理的または化学的方法、例えば、これらに限定されないが、エレクトロポレーション、強制エンドサイトーシス、注入、および細胞透過性ペプチドで達成され得る。
MHC-I保有細胞に内部的に結合させるための別の方法は、抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片をコードする、DNAまたはRNAなどの核酸をそれらに取り込ませることである。細胞中への核酸の導入は、任意の化学的、物理的または生物学的手段、例えば、これらに限定されないが、エレクトロポレーション、注入、トランスフェクション、または抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片をコードする核酸配列を有するように組換え改変された生物での感染によって行われ得る。いったんコードされたタンパク質が細胞機構によって発現されると、それは処理され、MHC-I(およびMHC-II)のコンテクストにおいて細胞表面上に提示され、細胞は、本発明に従うペプチド結合細胞となる。当業者は、好適なDNAおよびRNA構築物ならびにDNA-もしくはRNA-ベースの発現システムを認識している。例えば、好適なRNA構築物またはRNAベースの発現システムは、関心対象の細胞中において翻訳および従ってタンパク質の発現を可能にするエレメントを好ましくはさらに含む。例えば、好適なDNA構築物またはDNAベースの発現システムは、関心対象の細胞中において転写ならびに翻訳および従ってタンパク質の発現を可能にするエレメントを好ましくはさらに含む。任意で、そのようなシステムは、それぞれ、DNAもしくはRNA構築物、またはDNA-もしくはRNA-ベースの発現システムの複製を可能にする好適なエレメントをさらに含む。
例えば、主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞中において関心対象のタンパク質(この場合、抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片)を発現することができるウイルスシステムおよび非ウイルス発現システムが、この目的に適している。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、
抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片、または抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片をコードする核酸を、少なくとも1つの主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞中へ導入するための、物理的、化学的または生物学的な方法を適用して、
核酸の場合、少なくとも1つの細胞が、抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片を少なくとも1つの主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞中へ発現することを可能にすること、および
少なくとも1つの細胞が、該抗原を処理し、MHC-Iの環境においてペプチドを提示することを可能にすること
によって、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が入手される。
特に、以下の態様が、そのような細胞を得ることについて好ましい:
a.少なくとも1つの主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を、抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片と共にインキュベートすること、および
少なくとも1つの細胞が、該抗原を処理し、MHC-Iのコンテクストにおいてペプチドを提示することを可能にすること、
または
b.少なくとも1つの主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を、(i)該細胞に感染しそして(ii)該細胞中において抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片を発現することができるウイルスシステムへ曝露すること、および
少なくとも1つの細胞が、該抗原含有タンパク質抗原もしくはその抗原含有断片を処理することを可能にすること、および
少なくとも1つの細胞が、MHC-Iのコンテクストにおいてペプチドを提示することを可能にすること、
または
c.少なくとも1つの主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞に、抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片をコードする核酸を含むDNA、もしくはRNA、もしくはDNA-もしくはRNA-ベースの発現システムをトランスフェクトすること、および
少なくとも1つの細胞が、該抗原含有タンパク質抗原もしくはその抗原含有断片を発現および処理することを可能にすること、および
少なくとも1つの細胞が、MHC-Iのコンテクストにおいてペプチドを提示することを可能にすること、
または
d.少なくとも1つの主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を、細胞透過性ペプチド(CPP)と抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片とを含む化合物と共にインキュベートすること、および
少なくとも1つの細胞が該化合物を処理することを可能すること、および
少なくとも1つの細胞が、MHC-Iのコンテクストにおいてペプチドを提示することを可能にすること。
細胞透過性ペプチド(CPP)と抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片とを含む化合物は、細胞透過性ペプチド(CPP)が、任意で好適なリンカーによって、抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片に化学的に連結されている化合物と理解される。そのようなリンカーは、例えば、ペプチドリンカー、例えば、1〜50個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸の長さを有するペプチドリンカーであり得、しかし、他のリンカーも使用することができる。一つの好ましい態様において、化合物は、細胞透過性ペプチド(CPP)と抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片とを含む融合タンパク質であり、この融合タンパク質は好適なペプチドリンカーを任意で含有し得る。一態様において、化合物は、細胞透過性ペプチド(CPP)と抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片とからなる融合タンパク質であり、ここで、細胞透過性ペプチド(CPP)および抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片は、ペプチド結合によって連結されている。好ましい態様において、細胞透過性ペプチド(CPP)は、化合物中において抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片のN末端またはC末端に位置している。
態様c.の場合、核酸が用いられる。核酸は、多くの場合、自己アジュバント化システムを示す。従って、Th-1媒介応答を支持するアジュバントの追加の投与は、そのような態様において義務的ではない。
タンパク質形質導入ドメイン(PTD)、膜輸送配列(MTS)としても公知の、「細胞透過性ペプチド」(CPP)は、ほぼ全ての細胞中へ透過することができる、アミノ酸3〜40個のペプチドと理解される。好ましくは、細胞透過性ペプチドは、高カチオン性であり、かつ/または、高含量のアルギニンおよび/もしくはリジンアミノ酸を含有する。好ましい細胞透過性ペプチドは、アルギニン残基9個からなるペプチドである、R9である。そのようなペプチドは、長鎖OVAペプチドを脾細胞に内部的に結合させるために成功裏に使用された(実施例7、図7)。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、患者はヒトである。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法は、腫瘍および/もしくは感染症を予防的に処置するもしくは処置するためのものであり、かつ/または、患者は免疫無防備状態もしくは免疫抑制状態である。
細胞性の細胞傷害性免疫応答の延長および/または増幅は、特に、腫瘍を予防的に処置するまたは処置するためのものである。患者は、腫瘍に罹患していてもよく、または、予防的処置の場合、腫瘍に罹患していなくてもよいが、それぞれの感染症または腫瘍疾患から保護される。従って、予防的処置は、好ましくは、前記腫瘍に対する免疫化に関する。
一つの好ましい態様において、腫瘍は、ウイルス誘発癌、特に、B型肝炎もしくはC型肝炎誘発肝細胞癌、ヒト乳頭腫ウイルス誘発癌、例えば、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、中咽頭癌、エプスタイン・バーウイルス誘発癌、カポジ肉腫、および成人T細胞白血病(HTLV1)より選択される。
ウイルス誘発癌について、抗原含有タンパク質は、好ましくはウイルスのタンパク質である。
さらに好ましい態様において、腫瘍は、特にAML、CML、CMML、およびMDSより選択される、白血病である。
なおさらに好ましい態様において、腫瘍は、1つまたは複数の癌特異的抗原を発現する固形癌、例えば、乳癌、前立腺癌、肺癌、例えば肺扁平上皮癌および非小細胞肺癌、皮膚癌、例えば黒色腫、膀胱癌、食道腺癌および扁平上皮癌、結腸直腸癌、腸管腺癌、腎臓癌、例えば腎細胞癌、卵巣癌、神経芽腫、神経膠腫、多発性骨髄腫、膵臓癌、ならびに肉腫である。
ヒトの、腫瘍の予防的処置、特に、腫瘍に対する免疫化のための使用が、特に好ましい。
さらなる態様において、細胞性の細胞傷害性免疫応答の延長および/または増幅は、特に、感染症を予防的に処置するまたは処置するためのものである。患者は、感染症に罹患していてもよく、または、予防的処置の場合、感染症に罹患していなくてもよいが、それぞれの感染症から保護される。従って、予防的処置は、好ましくは、前記感染症に対する免疫化に関する。
さらに好ましい態様において、感染症は病原体による、特に、細菌、ウイルス、寄生生物および真菌より選択される感染性病原体による感染症である。好ましくは、感染性病原体は、マラリア、結核、リーシュマニア、ならびにウイルス、特に、オルトミクソウイルス、インフルエンザウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、レンチウイルス、特にHIウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス、乳頭腫ウイルス、ブニヤウイルス、カリシウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、および呼吸器ウイルスより選択されるウイルスより選択され、より好ましくは、感染性病原体は、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、乳頭腫ウイルス、パラミクソウイルス、および呼吸器ウイルスより選択されるウイルスである。ウイルス感染症について、抗原含有タンパク質は、好ましくはウイルスのタンパク質である。
好適な抗原含有タンパク質は当業者に公知である。抗原含有タンパク質の選択は、考慮される医学的適応症に依存する。非ウイルス誘発腫瘍の予防的処置または処置に関して、抗原含有タンパク質は好適な腫瘍抗原である。病原体による感染症の予防的処置または処置に関して、抗原含有タンパク質は、好適な病原体抗原である。
例えば、腫瘍疾患のコンテクストにおける多数の好適な抗原含有タンパク質および抗原含有ペプチドが公知である。さらに、ワクチンとして好適なペプチドが、例えば、Aranda et al., OncoImmunology 2:12, e26621; December 2013に要約されるように、神経膠腫、肺癌、肉腫、黒色腫、食道扁平上皮癌、胃癌、肝細胞癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、婦人科悪性腫瘍、および様々な他の腫瘍を含む、固形新生物について記載されている。これらの臨床試験において特異的に標的とされる抗原含有タンパク質は、癌-精巣抗原、例えば、NY-ESO-1、TTKプロテインキナーゼ(MOSとしても公知)、リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K(LY6K、URLC10として最も知られている)、インスリン様成長因子2 mRNA結合タンパク質3(IGF2BP3、IMP3として最も知られている)、リングフィンガータンパク質(RNF43)、およびミトコンドリア外膜のトランスロカーゼ34(TOMM34);癌胎児性抗原、例えばグリピカン-3;分化抗原、例えばメランA(MLANA)およびプレメラノソームタンパク質(PMEL、gp100として最も知られている);腫瘍限定抗原、例えば、SYT-SSX融合物(t(X;18)(p11;q11)染色体転座の結果として滑膜肉腫によって選択的に発現される);ならびにいわゆる「共有腫瘍関連抗原」(悪性細胞によって過剰発現されるが、1つまたはいくつかの健康な組織によって正常な量で産生される、抗原)、例えば、血管内皮成長因子受容体1(VEGFR1)およびVEGFR2、サバイビン、ウィルムス腫瘍1(WT1)、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)、ならびにp53を包含する。従って、そのようなタンパク質は、腫瘍のコンテクストにおいて好適な抗原含有タンパク質である。癌におけるペプチドワクチンに関するさらなる要約は、Yamada et al., Cancer Sci, 2013, 104(1):15-21である。
腫瘍疾患に関与する好適な抗原包含タンパク質は当技術分野において公知である。例えばTacken and Figdor (Tacken P.J., Figdor C.G.; Targeted antigen delivery and activation of dendritic cells in vivo: Steps towards cost effective vaccines. Semin. Immunol., 2011, 23(1):12-20)に記載されるように、理想的な腫瘍抗原は、共有腫瘍特異的抗原として公知のものであり、その理由は、それらが、様々な組織型の腫瘍細胞において選択的に発現され、MHC発現性正常組織においては発現されないためである。そのようなタイプの抗原の例はMAGE-AまたはNY-ESO-1抗原である。抗原のこのカテゴリー中の様々なメンバーが、腫瘍タイプおよび疾患段階に依存して可変比率で発現される。従って、これらの抗原に基づくワクチンは、標的抗原を発現する腫瘍を保有する患者の選択を必要とする。ワクチン開発について価値があると見なされる腫瘍抗原の別のカテゴリーは、腫瘍中において過剰発現される発癌性タンパク質に由来するものである。真正の非自己腫瘍抗原は、次の2つの主要な供給源に由来する:HPV感染によって引き起こされる子宮頸癌などの発癌性ウイルス起源の腫瘍の場合はウイルス抗原、および体細胞変異。
感染症に罹患している患者または感染性疾患(または感染症)に関して予防的に処置される患者において細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長または増幅する場合、病原体の好適な抗原包含タンパク質が使用され得、これらは特に、マラリア、結核、リーシュマニア、またはウイルス、特に、オルトミクソウイルス、インフルエンザウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、慢性C型肝炎ウイルス、レンチウイルス、特にHIウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス、乳頭腫ウイルス、ブニヤウイルス、カリシウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、または呼吸器ウイルスより選択されるウイルスより選択される病原体である。さらにより好ましい態様において、抗原含有タンパク質は、C型肝炎ウイルス、乳頭腫ウイルス、パラミクソウイルス、または呼吸器ウイルスより選択されるウイルスのタンパク質である。
ウイルス、特にRNAウイルスは、典型的に高突然変異率を示す。しかし、ウイルスポリメラーゼまたは核タンパク質をコードする領域のような、非構造および/または内部タンパク質をコードするゲノムセグメント中に特に見られる保存領域が典型的に存在する。そのような領域は古典的なワクチン接種技術には適しておらず、その理由は、そのような保存タンパク質がウイルス被膜表面上に露出されないからである。対照的に、そのような抗原包含タンパク質および/またはタンパク質中に含まれる抗原は、本発明に従う使用のための医薬において使用され得る。
好ましい態様において、抗原含有タンパク質および/またはウイルスのタンパク質中に含まれる抗原は、保存されている。
さらに好ましい態様において、抗原含有タンパク質は非構造タンパク質であり、かつ/または、抗原は非構造および/もしくは内部タンパク質中に含まれる。
なおさらに好ましい態様において、抗原含有タンパク質は、RNAウイルスのタンパク質である。
「非構造」または「内部」タンパク質は、ウイルス粒子の被膜またはエンベロープの一部ではないタンパク質である。
さらなる態様において、段階(i)におけるタンパク質中に含まれる抗原は、免疫優性である。免疫優性は、ある病原体について多くのpMHC複合体が利用可能であるが、T細胞応答が1つまたは少数の重要抗原に再現性よく集中することを意味し、上記の抗原は1つのそのような重要抗原である。
A型インフルエンザウイルスの好適な抗原含有タンパク質および抗原は、例えばWu et al. (PNAS, 2011, 108(22): 9178-9183)に記載されており、NP(核タンパク質)、塩基性ポリメラーゼ1およびM1を包含する。
さらに、本方法は、腫瘍および/もしくは感染症を予防的に処置する(例えば、免疫化する)または処置するために特に有利であり、ここで、患者は免疫無防備状態または免疫抑制状態である。
患者は、移植、例えば骨髄移植、化学療法、例えば癌化学療法、グルココルチコイド療法、白血病、AIDS、グルココルチコイド療法、または、例えば自己免疫疾患を処置するための免疫抑制療法に起因して、免疫無防備状態または免疫抑制状態であり得る。そのような患者は、本発明の使用のための医薬および方法から特に利益を得るであろう。
実施例6に示されるように、本発明の方法または本発明の使用のための医薬は、所定の抗原に対してT細胞を最初に活性化する様々な異なる「プライミング」ステップについて、細胞性細胞傷害応答を首尾よく延長および増幅する。
特に、
(a)抗原提示細胞の表面上の受容体に結合する分子、
(b)(a)の分子に結合された前記抗原含有タンパク質
を含む送達システムを用いる方法は、患者中の抗原に特異的なT細胞を活性化することに適しており、ここで、該受容体に(a)の分子が結合すると、(b)のタンパク質が内部移行して抗原提示細胞中で処理され、該タンパク質中に含有される抗原が抗原提示細胞の表面上に提示される。例えば、樹状細胞である抗原提示細胞(APC)が、特に有用であることが判明した。しかし、B細胞もまた、抗原提示細胞として成功裏に使用された。
さらに、抗原提示細胞の表面上の複数の受容体が、実施例6において成功裏に使用された。特に、好結果のプライミングが、樹状細胞の表面上の受容体としてXCR1、樹状細胞の表面上のDCIR2、およびB細胞の表面上のCD19を使用することによって達成され(図6を参照のこと)、続いて、本発明に従う細胞性細胞傷害応答の増幅および/または延長を行った。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、前記T細胞は、以下によって前記抗原に対して活性化されている:
(1)
(a)抗原提示細胞の表面上の受容体に結合する分子、
(b)(a)の分子に結合された前記抗原含有タンパク質
を含む送達システムであって、
該受容体に(a)の分子が結合すると、(b)のタンパク質が内部移行して抗原提示細胞中で処理され、該タンパク質中に含有される抗原が抗原提示細胞の表面上に提示され、それによって患者においてT細胞が活性化される、送達システム
を前記患者に投与すること;および
(2)Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを投与すること。
また、T細胞の「プライミング」または初期活性化のためのさらなる方法が可能であり、成功裏に使用された。
例えば、T細胞の養子移入によるT細胞活性化が可能であり、成功裏に使用された。細胞の養子移入は当業者に公知であり、免疫学的機能性および特徴を新しい宿主中へ移入する目的での、新しいレシピエント宿主中への、または再び同じ患者中への、細胞の移入と理解される。
従って、T細胞は、そのような態様において、以下によって前記抗原に対して活性化される:
(1)前記患者から得られた1つまたは複数のT細胞を、抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片を用いてインビトロで活性化する段階、および
(2)段階(1)において得られた1つまたは複数のT細胞を該患者に再移入する段階、および
(3)任意で、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを投与する段階。
養子移入の場合、段階(1)において得られた1つまたは複数のT細胞を前記患者に再移入することによって、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与される;即ち、時間枠は、前記患者への段階(1)において得られた1つまたは複数のT細胞の養子移入から計算される。
養子T細胞療法において、抗原特異的CD8+ T細胞、例えば、CMV抗原もしくは任意の他の病原性抗原へ向けられたT細胞、または定義された腫瘍抗原へ向けられたT細胞は、患者のPBMCからインビトロで濃縮される。これは、例えば、磁気細胞選別と組み合わせて、この病原体(例えば、CMV)または腫瘍由来の抗原性ペプチドまたはタンパク質でのPBMCのインビトロ刺激後にIFN-γ分泌捕獲を使用して行われる。次いで、濃縮された抗原特異的CD8+ T細胞を、全抗原、または、より頻繁には、ペプチド抗原の添加によってさらに刺激し、次いで、インビトロで拡大させる。拡大後、例えば病原体または腫瘍の排除によって患者を処置することなど、所望の効果を達成するために、活性化CD8+ T細胞を次いで患者に再注入する。現在、再注入されたCD8+ T細胞はインビボで短い寿命を有し、IFN-γを分泌するそれらの能力は限定的であり、それらの細胞傷害能は最適以下である。本発明者らは、驚くべきことに、実施例11に示されるように、養子T細胞療法のこの欠点が、ADAS手順を用いて非常に実質的に改善され得ることを見出した。
従って、細胞の養子移入は当業者に公知の方法である。例えば、患者から得られた血液サンプル由来のPBMC細胞を、関心対象の抗原を含むペプチドと共にインビトロでインキュベートしてもよい。次いで、PBMC細胞内での1つまたは複数のCD8+ T細胞の活性化を、IFN-γ分泌/産生を検出することによって検出する。好ましくは、そのようなIFN-γ産生/分泌細胞を、当技術分野において公知の方法によってさらに濃縮するおよび/または培養するおよび/または拡大する。1つまたは複数の活性化T細胞を含む細胞プローブを、続いて、例えば注入によって、前記患者に再移入する。
養子移入の前にインビトロで抗原に対してT細胞を活性化するために、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを、患者に投与しても投与しなくてもよく、好ましくは、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを患者に投与する。
T細胞の養子移入前のインビトロでのT細胞活性化は、免疫無防備状態または免疫抑制状態の患者を予防的に処置するまたは処置するために特に有用である。
あるいは、一態様において、ターゲティングされていないアプローチおよび/または核酸を用いるアプローチによって、T細胞を前記抗原に対して活性化した。例えば、多量の非標的抗原含有タンパク質を用いてさえ、抗原特異的T細胞の十分なプライミングが得られ、これは次いで本発明に従って増幅および延長され得たことが、示され得た(実施例6、図6)。
ターゲティングされていないアプローチにおいて投与される抗原含有タンパク質の場合、この抗原含有タンパク質は、任意で緩衝化されている食塩水溶液など、薬学的に許容される賦形剤を任意でさらに含有する、好適な製剤として投与され得る。そのような製剤は、リポソームまたはナノ粒子などの好適な担体を含有してもよい。
従って、T細胞は、そのような態様において、以下によって前記抗原に対して活性化される:
(1)以下より選択される送達システムを前記患者に投与すること:
(a)抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片を含む薬学的組成物、好ましくは、抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片に結合された担体、特にナノ粒子またはリポソームを含む、薬学的組成物、および
(b)該抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片をコードする核酸配列を含み、該患者において該抗原含有タンパク質またはその抗原含有断片を発現することができる核酸であって、
好ましくは、
・ 該核酸はDNAもしくはRNAであり、かつ/または
・ 該核酸は、ウイルスシステム、例えば、弱毒化ウイルス、非複製ウイルスシステム、ターゲティンクされたウイルスワクチンシステムもしくはターゲティンクされていないウイルスワクチンシステムであるか、または
・ 該核酸は非ウイルス発現システムであり、
それによって少なくとも1つのT細胞が活性化される、前記核酸;
ならびに
(2)Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを投与すること。
核酸に関する送達システムは上述されている。好適なウイルスシステム、例えば、弱毒化ウイルス、非複製ウイルスシステム、ターゲティングされたウイルスワクチンシステムまたはターゲティングされていないウイルスワクチンシステム、および非ウイルス発現システムは、当業者に公知であり、例えばRobert-Guroff et al. 2007, Barnes et al. 2012に開示されている。
核酸は、多くの場合、自己アジュバント化システムを示す。従って、Th-1媒介応答を支持するアジュバントの追加の投与は、そのような態様において必要ではない。むしろ、送達システム自体が、Th-1媒介応答を支持するアジュバントと、T細胞を活性化するための送達システムとの両方を示す。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、抗原提示細胞は、樹状細胞、マクロファージ、およびB細胞より選択される。例えば、効率的なプライミングが、樹状細胞、特に、XCR1+(CD141+)樹状細胞、およびSIRPα+樹状細胞、ならびにB細胞を標的とすることについて観察された(実施例6を参照のこと)。
本発明の使用のための医薬または方法のより好ましい態様において、抗原提示細胞は、XCR1+(CD141+)樹状細胞、SIRPα+樹状細胞、単球由来樹状細胞、皮膚樹状細胞、例えばランゲルハンス細胞、および形質細胞様樹状細胞(pDC)より好ましくは選択される樹状細胞(DC)である。例えば、効率的なプライミングが、樹状細胞、特にXCR1+(CD141+)樹状細胞、およびSIRPα+樹状細胞について観察された(実施例6)。
送達システムの好ましい態様については、詳細に下述される細胞性細胞傷害応答を誘導する方法を参照されたい。
抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法において、Th-1媒介応答を支持するアジュバントが段階(i)において投与される。
アジュバントは、単独で与えられた場合は直接的な効果をたとえあったとしてもほとんど有さないが、他の薬剤の効果を改変する薬剤である。薬理学において、アジュバントは、単独では薬理学的効果をほとんど有さないかまたは有さないが、同時に与えられると他の薬物の効能または効力を増加させ得る薬物である。免疫学において、アジュバントは、それ自体ではいかなる特異的抗原性効果も有さないが、免疫系を刺激し得、ワクチンに対する応答を増加させる薬剤である。本発明において使用されるアジュバントはTh1応答を支持する。「Th-1媒介応答を支持するアジュバント」または「Th1アジュバント」は、DCにおいてIL-12を誘導することができかつ応答性抗原反応性CD8+およびCD4+ T細胞によるIL-2、IFN-γおよびTNF-αの分泌、ならびに抗原反応性細胞傷害性CD8+およびCD4+ T細胞による細胞傷害性分子グランザイムBおよびパーフォリンの産生をもたらすアジュバントと理解される。Th1応答を支持する好適な好ましいアジュバントは当技術分野において公知であり、例えば、Tacken and Figdor、およびSpeiser and Romeroに記載されている(Tacken P.J., Figdor C.G.; Targeted antigen delivery and activation of dendritic cells in vivo: Steps towards cost effective vaccines. Semin. Immunol. (2011), doi:10.1016/j.smim.2011.01.001; Speiser D.E. and Romero P., Seminars in Immunology 22 (2010) 144-154)。
樹状細胞(DC)は、「デンジャーシグナル」認識受容体(例えば、トール様受容体、NOD様受容体)の大きなセットを介して、抗原が危険な性質のものであるかどうかまたはそれが無害であるかどうかを感知することができる。「デンジャーシグナル」認識受容体(「パターン認識受容体」とも呼ばれる)によって認識されるパターンは、通常、微生物に特有である分子構造である。これらは、微生物の場合は細胞壁成分(例えば、リポ多糖、ペプチドグリカン)または核酸修飾(例えば、非メチル化CpGモチーフ)、またはウイルスDNAもしくはウイルスRNAに特有である構造的特徴および修飾(例えば、二本鎖RNA)であり得る。さらに、体内においてアポトーシスにより瀕死の状態にある細胞は、「デンジャーシグナル」認識受容体を誘発することができる分子(例えば、高移動度群タンパク質B1(High Mobility Group Protein B1)、熱ショックタンパク質)を放出する。そのようなデンジャーシグナルは、本発明のTh1アジュバントが好まれる。
例えば、アジュバントのポリI:Cは、Th1アジュバントとして実施例において成功裏に使用された。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、Th-1媒介応答を支持するアジュバントは、RIG-Iアゴニスト、合成もしくは組換えTLRリガンド、特にTLR8アゴニスト、例えばレシキモド(R848)、またはTLR3アゴニスト、例えばポリICLCおよびポリイノシン:ポリシチジル酸(ポリI:C)、モンタニド(Montanide)、例えばISA51、ISA720、サポニン、例えばQuil-A、ISCOM、QS-21、AS02およびAS01、ポリイノシン:ポリシチジル酸(ポリI:C)、リポ多糖(LPS)、ならびにCpGオリゴデオキシヌクレオチドからなる群より選択され、より好ましくは、Th-1媒介応答を支持するアジュバントは、RIG-Iアゴニスト、TLR8アゴニスト、例えばレシキモド(R848)、ならびにTLR3アゴニスト、例えばポリICLCおよびポリイノシン:ポリシチジル酸(ポリI:C)より選択される。
ポリICLCは、ポリ-L-リジンおよびカルボキシメチルセルロースで安定化されたポリICからなり、Th1応答を支持することにおいて強力である。
R848は、マウスにおいてはTLR7についての、ヒトにおいてはTLR7およびTLR8についての選択的リガンドであり、NLRパイリンドメイン含有3(NLRP3)インフラマソームを活性化する。
ポリICLCおよびR848については、Tacken and Figdor (前記)およびそこに引用される参考文献を参照されたい。
モンタニド、例えばISA51およびISA720は、Speiser and Romeroおよびそこに引用される参考文献に開示されるように、乳化剤としてスクアレンおよびマンニドモノオレアートを含有する油中水型乳剤である。
サポニン、例えばQuil-A、ISCOM、QS-21、AS02およびAS01は、Speiser and Romeroおよびそこに引用される参考文献に開示されるように、植物から単離されたトリテルペン配糖体である。
Th-1媒介応答を支持するアジュバントの投与およびペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞の投与は、空間的にも時間的にも分離することができる。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、Th-1媒介応答を支持するアジュバントは、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞の投与前に、投与と同時に、または投与後に投与され、好ましくは、Th-1媒介応答を支持するアジュバントは、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞の投与前1日〜投与後3日の時間枠内で投与され、より好ましくは、Th-1媒介応答を支持するアジュバントは、(a) ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞の投与と同じ日に、または(b)該投与後1日〜3日の時間枠内で、特に、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞の投与後1日以内に、投与される。
好ましい態様において、Th-1媒介応答を支持するアジュバントは、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞の投与と同じ日に投与される(実施例8を参照のこと)。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、Th-1媒介応答を支持するアジュバントは、単一の薬学的組成物としてペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞と共に投与されるか、または、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞から空間的に分離した状態で投与される。
例えば、Th-1媒介応答を支持するアジュバントを、薬学的に許容される賦形剤を任意で含有する、水溶液中の細胞の懸濁剤などの単一の薬学的組成物として、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞と共に投与する。実施例8において、ADAS細胞およびポリI:Cを含有する溶液を静脈内投与した。
所定の抗原に対するT細胞の活性化のために、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを、上述したように、使用するかまたは任意で使用してもよい。
そのようなTh-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントは、本発明の使用のための医薬または方法の段階(i)において使用されるアジュバントと同じアジュバントであってもよく、異なるアジュバントであってもよい。
従って、本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントは、RIG-Iアゴニスト、合成もしくは組換えTLRリガンド、特にTLR8アゴニスト、例えばレシキモド(R848)、またはTLR3アゴニスト、例えばポリICLCおよびポリイノシン:ポリシチジル酸(ポリI:C)、モンタニド、例えばISA51、ISA720、サポニン、例えばQuil-A、ISCOM、QS-21、AS02およびAS01、ポリイノシン:ポリシチジル酸(ポリI:C)、リポ多糖(LPS)、ならびにCpGオリゴデオキシヌクレオチドからなる群より選択され、好ましくは、Th-1媒介応答を支持するアジュバントは、RIG-Iアゴニスト、TLR8アゴニスト、例えばレシキモド(R848)、ならびにTLR3アゴニスト、例えばポリICLCおよびポリイノシン:ポリシチジル酸(ポリI:C)より選択される。
実施例8に示されるように、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントの投与および送達システムの投与は、驚くべきことに、空間的にも時間的にも分離することができる。驚くべきことに、送達システムの投与の1日後にアジュバント、ポリI:Cを適用した場合に、最良の結果が達成された。
例えば、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを、薬学的に許容される賦形剤を任意で含有する水溶液などの単一の薬学的組成物として、送達システムと共に投与する。実施例8において、MARX10-OVAおよびポリI:Cを含有する溶液を静脈内投与した。
あるいは、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを、送達システムから空間的に分離した状態で投与してもよい。例えば、送達システムを含む、薬学的に許容される賦形剤を任意で含有する水溶液などの薬学的組成物を投与してもよく、そして、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを含む薬学的に許容される賦形剤を任意で含有する水溶液などのさらなる薬学的組成物を投与してもよい。そのような組成物は、上述したように、同時にまたは異なる時点で投与され得る。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントは、単一の薬学的組成物として送達システムと共に投与されるか、または送達システムから空間的に分離した状態で投与される。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントは、送達システムの投与前に、投与と同時に、または投与後に投与され、好ましくは、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントは、送達システムの投与前1日〜投与後3日の時間枠内で投与され、より好ましくは、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントは、(a)送達システムの投与と同じ日に、または(b)該投与後1日〜3日の時間枠内で投与される。
ADASを用いる本発明者らの実験において、本発明者らは、ADASによってもたらされたCD8+ T細胞の活性化状態の変化はまた、これらのCD8+ T細胞を複合体化IL-2(IL-2cx)の作用に対し感受性にし、従って、細胞傷害性CD8+ T細胞をさらに強く増幅し、それらの生物学的効力をさらに増加させることも見出した(実施例4を参照のこと)。
従って、本発明者らは、驚くべきことに、ADASおよび複合体化IL-2(IL-2cx)の組み合わせの適用による、細胞性細胞傷害応答の増幅および延長における強力かつ予想外の相乗効果を観察した。特に、驚くべきことに、本発明者らの実験において、ADASおよび複合体化IL-2の組み合わせが、ADAS単独と比較して、OVA抗原に対して活性化されたT細胞の数をさらに約100倍増幅することがわかった。
従って、本発明に従うADASと複合体化IL-2との組み合わせが特に好ましい。
本発明によれば、「複合体化IL-2」または「IL-2cx」は、高親和性IL-2受容体鎖(CD25)へのその結合を遮断する結合性分子、特に抗体または抗体断片に非共有結合されているIL-2タンパク質と理解される。好ましい態様において、抗体はヒト化抗体またはヒト抗体である。好ましい態様において、IL-2は、ヒトIL-2、より好ましくはヒトwt IL-2である。IL-2は、適切な宿主を使用して、合成的にまたは組換え的に合成され得、より好ましくは、IL-2は組換え的に作製される。好ましい態様において、CD25への複合体化IL-2の結合は、CD25への非複合体化IL-2の結合と比較して、少なくとも35%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%または95%、例えば100%減少する。CD25への結合は、当業者に公知である、表面プラズモン共鳴分光法を使用して、Kd値として決定され得る。
プレ活性化CD8+ T細胞に対するその適切な作用のために、IL-2は、制御性T細胞(Treg)上に主に発現される高親和性受容体鎖CD25へのIL-2の結合を遮断する抗体と複合体化されなければならい。そのような遮断なしでは、IL-2は主にTregに作用し、これは次いで細胞傷害性細胞へのCD8+ T細胞の活性化および分化を抑制するだろう。本発明者らは、実際に、非複合体化IL-2の有利な効果を観察せず、有害な効果さえ観察した(示さず)。従って、複合体化IL-2、またはCD122に結合することができる変異IL-2(ここで、CD25への結合は、それぞれ、CD25への非複合体化IL-2の結合、またはCD25への野生型(wt)IL-2の結合と比較して減少し、特に、少なくとも35%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%または95%、例えば100%減少する)は、ADAS応答の観察される増幅を達成するだろう。受容体への結合は、当業者に公知である、表面プラズモン共鳴分光法を使用して、Kd値として決定され得る。
複合体化または変異IL-2は、ある欠点、例えば、Tregに対する残存する活性または血管に対する残存する毒性を依然として有し得る。IL-15は多くの生物学的機能をIL-2と共有するため、本発明者らは、特にIL-15はTregに対して作用しないため、ADASをさらに増幅することにおいてIL-2cxの代わりにIL-15が使用され得ると推論した。IL-15は、生物学的活性を発揮するためにその受容体と複合体化される必要があることが公知である。しかし、IL-15は、IL-2との低い構造類似性しか有さず、異なって調節され、インビボで異なる生物学的役割を全体的に有するため(Ring et al. 2012)、複合体化IL-15(IL-15cx)がADAS処置個体においてCD8+ T細胞応答をさらに増幅することができるかどうかが明らかではなかった。
驚くべきことに、ADASおよび複合体化IL-15(IL-15cx)の組み合わせの適用によって、細胞性細胞傷害応答の増幅および延長において、相乗効果が同様に観察されることを見出した(実施例9)。IL-2およびIL-15に対する受容体は、IL-4およびIL-7の受容体と「共通γ鎖」を共有しており、同じ細胞タイプ(NK細胞、活性化および記憶CD8+ T細胞)に作用する。従って、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)または複合体化インターロイキン7(IL-7cx)を使用することによって、相乗効果が達成され得る。
本発明によれば、「複合体化IL-15」または「IL-15cx」は、IL-15とその受容体IL-15Rの可溶性形態(sIL-15R)とを含む、好ましくはこれらからなる複合体と理解され、ここで、sIL1-5Rは、任意で、融合タンパク質、例えば、sIL-15Rと抗体またはその断片(例えば、Fc、またはFcを含む抗体もしくは抗体断片)との融合タンパク質中に含まれる。例えば、sIL-15R-Fcは実施例9において成功裏に使用された。IL-15は、複合体においてその受容体IL-15Rの可溶性形態(sIL-15R)へ非共有結合されている。sIL-15Rは当業者に公知であり、先行技術において記載されている。sIL-15Rと抗体またはその断片(例えば、Fc、またはFcを含む抗体もしくは抗体断片)とのそのような融合タンパク質の使用が好ましく、その理由は、融合タンパク質はインビボでプレ活性化CD8+ T細胞のさらなる活性化を可能にし得るためである。IL-15は好ましくはヒトIL-15である。さらに好ましい態様において、IL-15RはヒトIL-15Rである。さらに好ましい態様において、IL-15は、好ましくはwt IL-15、より好ましくはヒトwt IL-15である。
本発明によれば、「複合体化IL-4」または「IL-4cx」は、IL-4とIL-4へ特異的に結合する抗体またはその断片とを含む、好ましくはこれらからなる複合体と理解される。IL-4は好ましくはヒトIL-4である。さらに好ましい態様において、IL-4は好ましくはwt IL-4、より好ましくはヒトwt IL-4である。IL-4へ特異的に結合する抗体またはその断片は、好ましくは、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体またはその断片、例えば、scFv、scFvの多量体、例えば、ダイアボディ、トリアボディもしくはテトラボディ、Fab、タンダブ(tandab)、またはフレキシボディ(flexibody)である。IL-4は、好ましくは、複合体において、IL-4へ特異的に結合する抗体またはその断片へ非共有結合されている。
本発明によれば、「複合体化IL-7」または「IL-7cx」は、IL-7とIL-7へ特異的に結合する抗体またはその断片とを含む、好ましくはこれらからなる複合体と理解される。IL-7は好ましくはヒトIL-7である。さらに好ましい態様において、IL-7は好ましくはwt IL-7、より好ましくはヒトwt IL-7である。IL-7へ特異的に結合する抗体またはその断片は、好ましくは、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体またはその断片、例えば、scFv、scFvの多量体、例えば、ダイアボディ、トリアボディもしくはテトラボディ、Fab、タンダブ、またはフレキシボディである。IL-7は、好ましくは、複合体において、IL-7へ特異的に結合する抗体またはその断片へ非共有結合されている。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、方法は、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインを投与する段階をさらに含む。より好ましい態様において、そのような作用物質の投与を、前記ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を前記患者に投与した後に行う。
複合体化インターロイキン2(IL-2cx)または複合体化インターロイキン15(IL-15cx)のいずれかをさらに投与した実施例において、強い相乗効果が観察された。従って、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)または複合体化インターロイキン15(IL-15cx)のさらなる投与が特に好ましい。
複合体化IL-2を実施例において使用した場合、驚くほど強力かつ有利な相乗効果が観察された。従って、本発明の最も好ましい態様において、方法は、患者に複合体化インターロイキン2(IL-2cx)を投与する段階をさらに含む。
IL-2ムテインは、wt IL-2タンパク質と比較して変異されており、CD122に結合するが、wt IL-2タンパク質と比較してCD25への減少した結合を示すIL-2タンパク質、特にヒトIL-2タンパク質と理解される。好ましい態様において、CD25への結合は、CD25へのwt IL-2タンパク質の結合と比較して、少なくとも35%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%または95%、例えば100%減少する。CD25への結合は、当業者に公知である、表面プラズモン共鳴分光法を特に使用して、Kd値として表される親和性として決定され得る(may be determined as determining affinity)。さらに、CD122への結合は、表面プラズモン共鳴分光法を使用して決定され得る。好ましい態様において、CD122へのIL-2ムテインの結合は、CD122へのwt IL-2タンパク質の結合の、少なくとも10%、好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも90%または95%、例えば100%またはそれ以上である。本発明における使用について特に好ましいIL-2ムテインはCarmenate, Journal of Immunology 2013に開示されている。特に、wt IL-2のR38、F42、Y45、E62ムテイン、好ましくはwt IL-2のR38A、F42A、Y45A、E62Aムテインが使用され得、これらのムテインは、C125変異、例えばC125S変異をさらに含み得る。本発明に従って使用され得る別の特に好ましいIL-2ムテインは、Klein et al. 2014に記載されている。
本発明の使用のための医薬または方法のより好ましい態様において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインが、繰り返し、特に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14回投与され、さらにより好ましくは、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、もしくはIL-2ムテインが、1日もしくは2日毎に投与され、かつ/または、5日間〜1ヵ月間、さらにより好ましくは1〜2週間、繰り返し投与される。
上述したように、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテイン、好ましくは、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)または複合体化インターロイキン15(IL-15cx)が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において、T細胞が抗原に対して活性化された後、繰り返し投与される。複合体化IL-2インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインの1つまたは複数のさらなる投与を、T細胞が抗原に対して活性化された後、14日後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は0時間〜14日の時間枠において行われる。
さらに好ましい態様では、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインが、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜14日、さらにより好ましくは3日〜12日、5日〜12日または5日〜9日、または3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に、好ましくは投与される。
なおさらに好ましい態様において、組み合わせの場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインは、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜9、10、11、12、13または14日、さらにより好ましくは3日〜8または9日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日または9日後に、繰り返し好ましくは投与される。従って、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインは、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜14日または48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8または9日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日または9日後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回、好ましくは投与される。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)または複合体化インターロイキン15(IL-15cx)は、毎日または2日毎に投与され得る。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)または複合体化インターロイキン15(IL-15cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、3日、4日、5日、6日、7日および8日後に投与され得る。別の例において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)または複合体化インターロイキン15(IL-15cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、4日、6日、および8日後に投与され得る。
複合体化IL-2、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテイン、好ましくは、複合体化IL-2または複合体化インターロイキン15(IL-15cx)の1つまたは複数のさらなる投与を、段階(i)の投与後、例えば14日、好ましくは9または8日の指示される時間枠後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は好ましくは指示される時間枠内である。
複合体化IL-2、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインの投与は、様々な投与経路によって、好適な製剤を使用して行われ得る。例えば、薬学的に許容される緩衝化合物など、薬学的に許容される賦形剤を任意でさらに含む、複合体化IL-2、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインの水溶液が使用され得る。
本発明の使用のための医薬または方法の別のより好ましい態様において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインを、静脈内に、皮下に、腹腔内に、皮内に、もしくは髄腔内に投与するか、または、好ましくは注射によって、腫瘍中へ投与する。
複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテインを、好ましくは、液剤として、かつ/または、1μg/kg体重〜200μg/kg体重、より好ましくは1μg/kg体重〜50μg/kg体重、さらにより好ましくは1μg/kg体重〜20μg/kg体重の範囲内の投薬量で投与する。
なおさらなる態様において、本発明は、
(i)抗原に対して活性化されたT細胞を有する患者に、静脈内投与によってペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞、およびTh-1媒介応答を支持するアジュバントを投与する段階であって、該ペプチドが抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞を再活性化し、かつ、該ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が樹状細胞ではない、前記段階
を含む、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長および/または増幅する方法における使用のための医薬に関する。
さらなる態様において、本発明は、
(i)抗原に対して活性化されたT細胞を有する患者に、全身投与によってペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞、およびTh-1媒介応答を支持するアジュバントを投与する段階であって、該ペプチドが抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞を再活性化し、かつ、該ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が樹状細胞ではない、前記段階
を含む、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長および/または増幅する方法に関する。
上述したように、全身投与は、驚くべきことに、細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長および/または増幅することにおいて有効である。全身投与のための好ましい経路は、静脈内、腹腔内、または髄腔内投与であり、ここで、静脈内投与が特に好ましい。
なおさらに好ましい態様において、1×106〜4×108個、より好ましくは1×107〜4×108個のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が前記患者に投与される。それによって、多量の細胞を投与することができる。
本発明の使用のための医薬または方法の好ましい態様において、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、血液細胞、特に末梢血単核細胞(PBMC)である。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、段階(i)のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与される。
本発明の上記の使用のための医薬および方法に対し、それぞれ、本明細書上記および下記に記載される本発明の使用のための医薬および方法についての態様と同じ好ましい態様が適用される。
より好ましい態様において、本発明は、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を増幅する方法における使用のための医薬、および抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を増幅する方法に関する。
なおさらに好ましい態様において、本発明は、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法における使用のための医薬、および抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長および増幅する方法、ならびに抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長および増幅する方法に関する。
なおさらなる態様において、本発明は、上記に定義されるペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞、ならびに
(i)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、およびIL-2ムテインより選択される少なくとも1つの作用物質、ならびに/または
(ii)上記に定義される送達システム、
を含み、
任意で、Th-1媒介応答を支持する少なくとも1つのアジュバントをさらに含む、パーツのキットに関する。
本発明のパーツのキットに対し、本明細書に記載される本発明の使用のための医薬および方法についての態様と同じ好ましい態様が適用される。
キットのパーツは、好ましくは、個別の容器中にある。
特に、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞は、懸濁液中に含まれてもよく(例えば、水溶液中に懸濁された細胞)、任意で、薬学的に許容される賦形剤をさらに含有する。容器、例えばバイアルは、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を含む薬学的組成物を含有し得る。好ましい態様において、薬学的組成物は、全身投与、特に静脈内投与に適している。薬学的組成物は、Th-1媒介応答を支持する少なくとも1つのアジュバントをさらに含んでもよく、またはTh-1媒介応答を支持する少なくとも1つのアジュバントを含まなくてもよい。
さらに、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、およびIL-2ムテインより選択される少なくとも1つの作用物質は、溶液(例えば、水溶液)中に含まれてもよく、または乾燥もしくは凍結乾燥されてもよく、任意で、薬学的に許容される賦形剤をさらに含有する。容器、例えばバイアルは、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、およびIL-2ムテインを含む薬学的組成物を含有し得る。
さらに、送達システムは、溶液(例えば、水溶液)もしくは懸濁液中に含まれてもよく、または乾燥もしくは凍結乾燥されてもよく、任意で、薬学的に許容される賦形剤をさらに含有する。容器、例えばバイアルは、送達システムを含む薬学的組成物を含有し得る。薬学的組成物は、Th-1媒介応答を支持する少なくとも1つのアジュバントをさらに含んでもよく、またはTh-1媒介応答を支持する少なくとも1つのアジュバントを含まなくてもよい。
さらに、Th-1媒介応答を支持する少なくとも1つのアジュバントは、溶液(例えば、水溶液)中に含まれてもよく、または乾燥もしくは凍結乾燥されてもよく、任意で、薬学的に許容される賦形剤をさらに含有する。従って、パーツのキットは、Th-1媒介応答を支持する少なくとも1つのアジュバントを含む薬学的組成物をさらに含み得る。一態様において、薬学的組成物は、送達システムを含有せず、かつ/または、本発明のペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞を含有しない。
なおさらなる態様において、本発明は、細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法における使用のための医薬に関し、該方法は以下の段階を含む:
(A)
(i)
(1)
(a)抗原提示細胞の表面上の受容体に結合する分子、
(b)(a)の分子に結合された抗原含有タンパク質
を含む送達システムであって、
該受容体に(a)の分子が結合すると、(b)のタンパク質が内部移行して抗原提示細胞中で処理され、該タンパク質中に含有される抗原が抗原提示細胞の表面上に提示され、それによって患者においてT細胞が活性化される、送達システム
を患者に投与する段階、および
(2)Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを投与する段階
または
(ii)
(1)該患者から得られた1つもしくは複数のT細胞を、抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片を用いてインビトロで活性化する段階、
(2)段階(1)において得られた1つもしくは複数のT細胞を該患者に再移入する段階、および
(3)任意で、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを投与する段階、
または
(iii)
(1)抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片、
もしくは
該患者において抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片を発現することができる、抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片をコードする核酸配列を含む核酸
を該患者に投与する段階であって、それによって少なくとも1つのT細胞が活性化される、段階、および
(2)Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを投与する段階
ならびに
(B)
(a)ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞およびTh-1媒介応答を支持するアジュバント(該ペプチドは抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞が再活性化される)、ならびに
(b)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテイン
より選択される少なくとも1つの再賦活剤を患者に投与する段階であって、
該再賦活剤が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与され、好ましくは、該再賦活剤が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において1回のみ投与される、前記段階。
なおさらなる態様において、本発明は、細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法に関し、該方法は以下の段階を含む:
(A)
(i)
(1)
(a)抗原提示細胞の表面上の受容体に結合する分子、
(b)(a)の分子に結合された抗原含有タンパク質
を含む送達システムであって、
該受容体に(a)の分子が結合すると、(b)のタンパク質が内部移行して抗原提示細胞中で処理され、該タンパク質中に含有される抗原が抗原提示細胞の表面上に提示され、それによって患者においてT細胞が活性化される、送達システム
を患者に投与する段階、および
(2)Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを投与する段階
または
(ii)
(1)該患者から得られた1つもしくは複数のT細胞を、抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片を用いてインビトロで活性化する段階、
(2)段階(1)において得られた1つもしくは複数のT細胞を該患者に再移入する段階、および
(3)任意で、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを投与する段階
または
(iii)
(1)抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片、
もしくは
該患者において抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片を発現することができる、抗原含有タンパク質もしくはその抗原含有断片をコードする核酸配列を含む核酸
を該患者に投与する段階であって、それによって少なくとも1つのT細胞が活性化される、段階、および
(2)Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを投与する段階
ならびに
(B)
(a)ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞およびTh-1媒介応答を支持するアジュバント(該ペプチドは抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞が再活性化される)、ならびに
(b)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、複合体化インターロイキン15(IL-15cx)、複合体化インターロイキン4(IL-4cx)、複合体化インターロイキン7(IL-7cx)、またはIL-2ムテイン
より選択される少なくとも1つの再賦活剤を患者に投与する段階であって、
該再賦活剤が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与され、好ましくは、該再賦活剤が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において1回のみ投与される、前記段階。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、(B)(a)の再賦活剤は患者に1回のみ投与される。
細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法における使用のための医薬、および細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法に対し、本明細書に記載される、本発明の、細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法、および細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法についての態様と同じ好ましい態様が適用される。
本発明の使用のための医薬または方法の別の好ましい態様において、再賦活剤、好ましくは、(B)(a)の再賦活剤の再賦活剤が、T細胞が抗原に対して活性化された後の72時間〜12日、好ましくは5時間〜12日、より好ましくは5日〜9日の時間枠において投与される。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、上記(A)(i)の送達システムが投与される。この好ましい態様において、「プライミング」段階(A)をターゲティングされたアプローチによってもたらし、これは実施例に示されるように特に有効である。そのような態様において、送達システムは、(a)抗原提示細胞の表面上の受容体に結合する分子、および(b)(a)の分子に結合された抗原含有タンパク質を含み、ここで、該受容体に(a)の分子が結合すると、(b)のタンパク質が内部移行して抗原提示細胞中で処理され、該タンパク質中に含有される抗原が抗原提示細胞の表面上に提示され、それによって患者においてT細胞が活性化される。そのような態様において、Th-1媒介応答を支持するさらなるアジュバントを患者に投与する。
より好ましい態様において、抗原提示細胞は、樹状細胞、マクロファージおよびB細胞より選択される。
さらにより好ましい態様において、抗原提示細胞は樹状細胞である。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、樹状細胞の表面上の受容体は、交差提示樹状細胞の表面上の受容体である。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、樹状細胞の表面上の受容体は、ケモカイン(Cモチーフ)受容体1(XCR1)、ネクチン様分子2、c型レクチン(CLEC)、例えばCLEC9Aであり、好ましくは、樹状細胞の表面上の受容体はXCR1である。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、送達システムの(a)の抗原提示細胞の表面上の受容体に結合する分子は、該受容体に対するリガンドまたは該受容体に対する抗体もしくは抗体断片であり、特に、受容体はケモカイン(Cモチーフ)受容体1(XCR1)であり、かつ、(a)の分子は、抗XCR1抗体もしくはその断片またはケモカイン(Cモチーフ)リガンド1(XCL1)もしくはその機能的活性バリアントであり、特に、SEQ ID NO: 7〜10、好ましくはSEQ ID NO: 8〜10、より好ましくはSEQ ID NO: 9または10のいずれか、特にSEQ ID NO: 10の配列を含むかまたは該配列からなる。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、抗原含有タンパク質の抗原は、免疫原、病原体由来抗原、または腫瘍抗原である。
本発明の使用のための医薬または方法のさらに好ましい態様において、T細胞は、CD8+ T細胞またはCD4+ T細胞、好ましくはCD8+ T細胞である。
細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法における使用のための医薬および本発明の対応する方法に適用可能な好ましい態様はまた、細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法における使用のための医薬および本発明の対応する方法にも適用される。
Th1応答の誘導において主要な役割を果たす細胞が選択的に標的とされ得ることが、WO 2009/065561において見出された。ケモカイン(Cモチーフ)受容体1(XCR1)が、プロフェッショナル抗原提示細胞、特に樹状細胞(DC)の表面上に存在し、これらの細胞中へ物質を選択的に送達するために使用され得ることが見出された。XCR1保有DCへの物質のターゲティングされた送達は、哺乳動物/ヒトにおいて強力なTh1免疫反応の誘導を可能にする。現在のワクチンは、主にTh2抗原提示経路を扱い、主にTh2型(中和)抗体および免疫反応の発生をもたらす。特に、XCR1保有DCへのターゲティングによって、Th1型体液性および細胞性(細胞傷害性)免疫反応が所定の免疫原に対して誘発され得る。NK細胞、CD8+ T細胞、およびTh1CD4+ T細胞がこの反応に関与しているが他のCD4+ T細胞もこのタイプの反応に寄与し得ることが、予想され得る。アジュバントは、単独でまたは免疫原もしくは任意の薬学的化合物と組み合わせて、XCR1保有抗原提示細胞(APC)へ選択的にターゲティングされ得る。
末梢において、免疫系は、一方では無害な外来または自己の抗原と、他方では危険な(ウイルス、細菌、真菌、寄生生物、毒素様)抗原とを識別しなければならない。抗原は、DCによって取り込まれ、ペプチドへ分解される(「処理される」)。結果として生じるペプチドは、MHCクラスIまたはMHCクラスIIのコンテクストにおいてTリンパ球(T細胞)へ「提示」される。T細胞のCD4+サブセットはMHCクラスIIのコンテクストにおいて抗原を認識し、T細胞のCD8+サブセットはMHCクラスIのコンテクストにおいて抗原を認識する。抗原の取り込みと同時に、DCは、「デンジャーシグナル」認識受容体(例えば、トール様受容体、NOD様受容体)の大きなセットを介して、抗原が危険な性質のものであるかどうかまたはそれが無害であるかどうかを感知することができる。「デンジャーシグナル」認識受容体(「パターン認識受容体」とも呼ばれる)によって認識されるパターンは、通常、微生物に特有である分子構造である。これらは、微生物の場合は細胞壁成分(例えば、リポ多糖、ペプチドグリカン)または核酸修飾(例えば、非メチル化CpGモチーフ)、またはウイルスDNAもしくはウイルスRNAに特有である構造的特徴および修飾(例えば、二本鎖RNA)であり得る。さらに、体内においてアポトーシスにより瀕死の状態にある細胞は、「デンジャーシグナル」認識受容体を誘発することができる分子(例えば、高移動度群タンパク質B1、熱ショックタンパク質)を放出する。
危険な抗原の場合、DCは、特定の応答プログラムを活性化する(「成熟」)。抗原はCD4+およびCD8+ T細胞へ提示され、これらは、同時に抗原の危険な性質を示す追加のシグナルをDCから受け取る。結果として、両方のT細胞サブセットが活性化され、長期の寿命を伴って広範囲に拡大し、「エフェクターT細胞」へ発達する。これらは、他のDCもしくはB細胞または免疫系の他の細胞へ「ヘルプ」を提供するCD4+ T細胞であり得るか、またはCD4+細胞傷害性細胞でさえあり得る。CD8+ T細胞サブセット内で、再びヘルパーT細胞が発達するが、CD8+ T細胞の大部分は、IFN-γおよび他の可溶性因子の分泌によってまたは感染した体細胞の殺傷によって侵入病原体を排除することができるエフェクター細胞となる。B細胞へのT細胞ヘルプの結果として、抗原特異的B細胞は、抗原(病原体)へ向けられた抗体を分泌する形質細胞へ分化する。これらの抗体は、多数の機構(例えば、中和、改善された抗原取り込み、オプソニン化、補体結合)によって病原体と戦うのを助ける。
一定の数のエフェクターCD4+およびCD8+ T細胞が、病原体に対する免疫応答の急性期を生き延び、長寿命の「記憶T細胞」となる。記憶T細胞および長寿命の形質細胞は、同じ病原体(抗原)へ再曝露されると、極めて迅速な免疫応答を編成し、免疫系が非常に効果的に病原体(抗原)を排除することを可能にする。同じ病原体への再曝露時のT細胞およびB細胞免疫応答のこの高められた能力は、「免疫」と呼ばれ、免疫を誘導する抗原は「免疫原性」である。
要約すると、免疫系のT細胞の区分はCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含む。ナイーブ生物において、数百個のみのCD4+またはCD8+T細胞が所定の抗原を認識する。それらが抗原に遭遇していない限り、T細胞はナイーブ状態にあり、エフェクター機能を発揮することができない。APCによって取り込まれ、処理され、そしてMHCのコンテクストにおいて細胞表面上に「提示」される可溶性タンパク質またはポリペプチド抗原により、ナイーブCD4+およびCD8+ T細胞は、APCによってのみ活性化可能である。一次抗原曝露の供給源は、可溶性タンパク質もしくはポリペプチド、または任意のタイプのワクチン、例えば、弱毒化感染因子、所望の抗原性タンパク質もしくはペプチドをコードするウイルスもしくは細菌ベクター、または抗原性タンパク質もしくはペプチドをコードするDNAもしくはRNA発現ベクターであり得る。デンジャーシグナルのコンテクストにおける抗原への一次曝露の結果として、数日以内に「プライミングされた」CD4+およびCD8+ T細胞の集団が存在すると考えられる。
タンパク質抗原がAPC中へターゲティングされると、それはペプチドへ分解され(「処理され」)、これらのペプチドは、MHC-II(古典的提示)およびMHC-I(「交差提示」)のコンテクストにおいてAPCの表面上に提示される。ナイーブCD4+ T細胞はMHC-IIのコンテクストにおいて、ナイーブCD8+ T細胞はMHC-Iのコンテクストにおいて、それらのペプチド-抗原を認識する。それらは活性化され、増殖し、エフェクター機能を獲得する。ペプチドが「デンジャーシグナル」のコンテクストにおいてDCによって提示される場合、拡大されたCD8+ T細胞は細胞傷害性T細胞へ分化する。プロフェッショナルAPCのみが、ナイーブCD8+ T細胞においてこの細胞傷害性機能を誘導することができる(「プライミング」、「一次免疫化」)。いったんCD8+ T細胞がそれらの細胞傷害能を獲得すると、それらは、MHC-Iのコンテクストにおいて同じペプチドを発現する体内の細胞を殺傷できるようになる。従って、それらは、所定の感染因子によって感染された細胞または腫瘍細胞を殺傷する。
抗原提示可能な細胞によって取り込まれる抗原は、MHC-I(「交差提示」)のコンテクストにおいてだけでなく、MHC-II(「古典的提示」)のコンテクストにおいても提示される。従って、デンジャーシグナルを伴う、抗原提示細胞中への抗原送達は、CD8+ T細胞だけでなく、CD4+ T細胞も活性化する。CD4+ T細胞は、TNF-αおよびIFN-γを分泌するTh1 T細胞へ分化し、一部はさらに細胞傷害性T細胞へと発達する。
一次CD8+ T細胞活性化は、可溶性抗原を提供することによって、またはAPC(B細胞、マクロファージ、DC)中への、特にナイーブ宿主のXCR1+ DC中への抗原の直接的もしくは間接的ターゲティングによって、達成され得る。間接的ターゲティングは、APCではないが、インビボでAPCへ、特にXCR1+ DCへ抗原を手渡すことができる細胞に抗原を提供することによって達成される。抗原が「デンジャーシグナル」(例えば、LPS、ポリI:C、CpGなど)と一緒に適用されると、これは一次CD8+ T細胞細胞傷害性免疫を誘導する。
同様の初期T細胞活性化が、以前に抗原でプライミングされその抗原特異的CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞が非活性化記憶状態にある宿主の抗原再チャレンジ(デンジャーシグナルの存在下)によって予想され得る。
同様のT細胞活性化が、宿主によって取り除くことができない低悪性度慢性感染症(例えば、CMV、HCV、HIV)を保有する宿主において予想され得る。
抗原をAPC中へターゲティングすることができる。このターゲティングは、APC上の表面構造体に結合するモノクローナル抗体(mAb)もしくは抗体断片によって、またはAPCの表面上の受容体に結合する任意のリガンドによって、媒介され得る。これらのリガンドは、APC中への抗原の内部移行を可能にする糖部分、ケモカイン、可溶性タンパク質リガンドまたは任意の他の構造体であり得る。DCによって取り込まれた抗原は、MHC-IおよびMHC-IIのコンテクストの両方において提示される。樹状細胞(DC)中への抗原の直接的または間接的ターゲティングは、他の様式の抗原適用と比べて交差提示を実質的に改善する。最良の交差提示および従ってCD8+ T細胞のプライミングは、XCR1+ DC中へ抗原をターゲティングすることによって達成することができる(Bachem et al. 2010, J Exp Med 207, 1273-1281, Bachem et al., 2012, Front Immunol 3, 214; Caminschi et al. 2013, Radford et al. 2013, Kreutz et al. 2013)。
デンジャーシグナル(これは第1アジュバントでもある)のコンテクストにおけるCD8+ T細胞の効率的なプライミング後、これらの細胞傷害性T細胞は、CD8+ T細胞レパートリーのおよそ1%〜5%を示し、顕著な細胞傷害能を示す。例えば、達成された細胞傷害性は、抗原が由来した病原体から宿主を保護し得、この保護レベルは、新たに発達している癌組織に対しても有効であり得る(図2B)。
しかしながら、所定の抗原に対して長期的な免疫を確立するかもしくは切迫した感染症からの高レベルの細胞傷害性防御を提供するか、または既に確立された腫瘍に対して高レベルの細胞傷害性を提供しようとする場合、ナイーブCD8+ T細胞の初期プライミングによってまたはCD8+ T細胞の再活性化によって誘導される細胞傷害能は、十分ではない場合がある。これらの状況下では、活性化された抗原特異的CD8+ T細胞のさらなる増幅が必要である。
MHC-Iのコンテクストにおいて発現された抗原を認識した後、CD8+ T細胞は活性化され、様々な細胞表面分子、例えば、CD69、4-1BB、ICOS、CD25、CD40L、OX40をデノボで発現するかまたは強くアップレギュレートし、そしてマウスにおいて最長でおよそ8日間増殖する(時間枠はヒトにおいて多少異なり得る)。その後、最初に活性化されたCD8+ T細胞は、およそ2〜3週間にわたって休止「記憶」状態へと徐々に戻る。同時に、拡大された抗原特異的T細胞集団は強く縮小する。CD8+ T細胞の一部はこの縮小プロセスを生き延び、記憶T細胞となる(Cui et al., 2010, Immunol. Rev. 236, 151-166)。
古典的なワクチン接種スキームは、初期プライミングステップ、続いての1回または複数回の)「ブースティング」へ分割され得る。ブースティングの原理は、初期活性化のダウンモジュレーションを受けたかまたは既に休止状態へ戻った、最初に拡大されたB細胞またはT細胞のデノボ活性化に基づいている。
本発明の根底にあるさらなる課題は、先行技術の技術と比較して、細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導するための方法におけるおよび/または細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長するための方法における、使用のための改善された医薬を提供することである。
上記の課題は本発明によって解決される。
さらなる態様において、本発明は、
(i)(a)樹状細胞の表面上の受容体に結合する分子と、(b)(a)の分子に結合された抗原含有タンパク質と、(c)第1アジュバントとを含む送達システムを患者に投与する段階であって、該受容体に(a)の分子が結合すると、(b)のタンパク質が内部移行して樹状細胞中で処理され、該タンパク質中に含有される抗原が樹状細胞の表面上に提示され、それによって患者においてT細胞が活性化される、前記段階;ならびに
(ii)(d)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、(e)ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバント、ならびに(f)(d)および(e)の組み合わせからなる群より選択される再賦活剤を患者に投与する段階であって、該ペプチドが段階(i)に定義される抗原含有タンパク質に由来しそれによって段階(i)において活性化されたT細胞が再活性化される、前記段階
を含む、細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法における使用のための医薬であって、
段階(ii)の再賦活剤が、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において投与される、前記医薬に関する。
好ましい態様において、医薬は、ヒトにおける使用のためのものである。
患者は、好ましくは哺乳動物患者、より好ましくはヒト患者である。患者は、感染症もしくは腫瘍に罹患していてもよく、または、予防的処置の場合、感染症もしくは腫瘍に罹患していなくてもよいが、それぞれの感染症または腫瘍疾患から保護される。
さらに好ましい態様において、樹状細胞の表面上の受容体は、樹状細胞の表面上のヒト受容体である。
T細胞の強い細胞傷害性を短い時間内で提供する一つの可能性は、抗原によるCD8+ T細胞の初期活性化または再活性化の数日以内に下方調節機構が有効となることを妨げることであろう。CD8+ T細胞応答のこのダウンモジュレーションを防ぐために、本発明者らは、初期活性化または再活性化の短い時間枠内でCD8 T細胞上のT細胞受容体複合体に影響を与える別の刺激および/または適切な成長因子を提供しなければならないと推論した。この概念は、短い時間内でのT細胞受容体を介してのT細胞の度重なる活性化は「活性化誘導細胞死」を生じさせると教示する現在の定説に逆らう(Gorak-Stolinska et al., 2001, J Leukoc Biol 70, 756-766)。
本発明者らの概念を試験するために、Th1応答を支持する第1アジュバント(ポリI:C、LPS、CpG、または等価物)の存在下でXCR1+ DC中へ抗原をターゲティングすることによって、C57BL/6マウスを免疫化した(「プライミングした」)。この一次免疫化のための抗原として、本発明者らは、モデル抗原オボアルブミン(OVA)、またはオボアルブミン由来のペプチド配列(SIINFEKL (SEQ ID NO: 11))を使用した。このペプチド配列は、標的とされたAPCによるOVAの処理後にC57BL/6マウスのMHC-Iのコンテクストにおいて優先的に提示されることが公知である。この初期免疫化のために、以前に記載されたように(WO 200/065561)、タンパク質OVAまたはペプチドSIINFEKL(SEQ ID NO: 11)を、XCR1に特異的なモノクローナル抗体(mAb)、またはXCR1に結合するケモカインリガンドXCL1のいずれかへ組換え融合した。このプライミングステップ後の様々な時点(3〜20日)で、マウスを抗原へ再曝露した。本発明者らは宿主中へタンパク質またはペプチドを注射しなかった。何故ならば、本発明者らは、いずれの手順も宿主細胞上のMHC-Iのコンテクストにおいて抗原性ペプチドの提示をもたらし、これらは次いで、既に活性化された抗原特異的CD8+ T細胞によって殺傷されるだろうと予想したためであり(図1Aを比較のこと)、これは非常に望ましくない効果である。代わりに、同系脾臓細胞をC57BL/6マウスから単離し、インビトロでペプチドSIINFEKL(SEQ ID NO: 11)と共にインキュベートし(MHC-Iへの「結合」)、洗浄し、以前にプライミングされていたマウスへ静脈内注射した。
予想外に、かつ現在の知識に反して、本発明者らはこのレジメを用いて、CD8+ T細胞を狭い時間枠内で抗原へ再曝露した場合に、抗原特異的CD8+ T細胞の数の増幅を達成することができた。再曝露が非常に早く、第3日においてであった場合、増幅は観察されず、抗原への再曝露を初期CD8+ T細胞活性化の第9日に続いて行った場合は、非常に限定的な増幅が観察された(図3)。プライミングした動物中へのSIINFEKL結合同系脾臓細胞単独の注射は、プライミングされたCD8+ T細胞集団を拡大せず、第2アジュバント(ポリI:C、LPS、CpG、または等価物)を同時適用して「デンジャー」シグナルを提供した場合のみ、所望の効果が達成された。ペプチド結合脾細胞の注射を最適な時点で行った場合、抗原応答性CD8+ T細胞集団は、プライミング後、増幅無しでの0.2 x 106個から、増幅有りでの2 x 106個の細胞へ、およそ10倍拡大した(図4)。これらの拡大されたCD8+ T細胞は、高レベルのエフェクター分子、例えば、グランザイムB、パーフォリン、TNF-αおよびIFN-γ、感染因子のCD8+ T細胞防衛または腫瘍の根絶に関与する分子を発現した。ヒトにおいて、初期T細胞活性化の増幅のための最適な時間枠は、マウスにおける最適な時間枠(初期CD8+ T細胞活性化後およそ5〜8日)とは異なり得る。
様々な増幅時点を比較すると、初期プライミング後5〜8日における抗原での再曝露が、最も高い程度のCD8+ T細胞拡大、およびCD8+ T細胞中における細胞傷害性エフェクター分子(TNF-α、IFN-γ、グランザイムB、パーフォリン)の最も高い発現を提供することが明らかとなった。第5日〜第8日は、休止CD8+ T細胞による抗原の認識後の早い時点であり、従って、T細胞が依然として強く活性化されている時点である。従って、この増幅は古典的なブーストシステムを示さない。代わりに、このタイプの増幅は、T細胞が、ダウンレギュレーションおよび縮小の通常の段階に入る代わりに、それらの初期活性化および拡大期を継続することを可能にするシグナルを提供する。この特定の効果に起因して、本発明者らは、アジュバントと一緒に提供される場合の、この増幅を、「抗原依存的増幅システム」(ADAS)と名付けた。
従って、本発明によれば、「抗原依存的増幅システム」または「ADAS」は、再賦活剤を患者に投与する段階であって、再賦活剤がペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントであり、かつ、該ペプチドが本発明の段階(i)に定義される抗原含有タンパク質に由来しそれによって段階(i)において活性化されたT細胞が再活性化される、前記段階に関する、本発明の第2段階(ii)と理解される。任意で、ADASにおける再賦活剤は、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)をさらに含む。
ADASの有効性についての細胞要件を調べるために、様々なリンパ球集団(脾細胞、B細胞、T細胞、およびDC)にインビトロでSIINFEKL(SEQ ID NO: 11)を比較のために結合させ、第2アジュバント(ポリI:C、LPS、CpG、または等価物)と一緒にマウスに最適な時間枠内で(第5日)注射した。この実験は、MHC-Iを発現するこれらのリンパ球集団の全てが、初期活性化、拡大、および細胞傷害性エフェクター細胞へのCD8+ T細胞の機能的分化を継続するために必要なシグナルを提供することができたことを明らかにした(図3B)。プライミング単独は第10日に脾臓CD8 T細胞集団内で1%〜5%の抗原特異的CD8+ T細胞を生じさせたが、ADASの適用はこの頻度をおよそ15%〜25%へ上昇させた。
得られた結果から、ADASは、リンパ球細胞またはさらに非リンパ球細胞の表面上に十分に高い密度のペプチド結合MHC-I分子を提供することができる任意のシステムを用いてインビボで機能すると結論付けることができる。インビトロで外部的にMHC-I分子にペプチドを結合させる代わりに、細胞に抗原含有タンパク質全体をインビトロで供給し、細胞が抗原を処理しそしてMHC-Iのコンテクストにおいて抗原性ペプチドを提示することを可能にするシステムを想定することができる。細胞に感染することができるウイルスシステムに細胞をインビトロで曝露し、MHC-Iのコンテクストにおいて多量のペプチドを発現させるシステムを想定することもできる。さらに、MHC-I保有細胞に、所定のタンパク質またはペプチド配列をコードする発現ベクターをトランスフェクトし、再びMHC-Iのコンテクストにおいてペプチドの効率的な提示を生じさせることができる。
APCへ送達された全抗原は、MHC-IのコンテクストにおいてCD8+ T細胞へ提示されるだけでなく、MHC-IIのコンテクストにおいてCD4+ T細胞へも提示されるため、ADASはCD4+ T細胞応答を増幅するためにも使用され得る。この特定の増幅のために、ADASについて使用される細胞は、細胞表面上にMHC-II分子を発現しなければならず、ここに適切なペプチドが結合される。この結合は、好適なペプチドへの外部曝露によって行うことができ、または、MHC-II保有細胞に所定のタンパク質もしくはペプチド配列をコードする発現ベクターをトランスフェクトし、再びMHC-IIのコンテクストにおいてペプチドの効率的な提示を生じさせることができる。
本発明者らは静脈内注射によってADASを適用したが、ペプチド結合細胞の他の適用経路が可能である。これは、皮下、皮内、筋肉内注射、腹腔内、髄腔内、または腫瘍組織中への直接注射によって行うことができる。
従って、本発明の段階(ii)の再賦活剤の投与は、特に、皮下(s.c.)、皮内、静脈内、筋肉内注射、腹腔内、髄腔内、または腫瘍組織中への直接注射より選択される公知の投与方法によって、より好ましくは静脈内または皮下注射によって、行われ得る。
また、本発明の段階(i)の送達システムの投与は、特に、皮下、皮内、静脈内、筋肉内注射、腹腔内、髄腔内、または腫瘍組織中への直接注射より選択される公知の投与方法によって、より好ましくは静脈内および皮下注射によって、行われ得る。
樹状細胞の表面上の受容体に結合する分子と、(b)(a)の分子に結合された抗原含有タンパク質と、(c)第1アジュバントとを、好ましくは、単一の薬学的調製物または組成物として投与する。そのような薬学的調製物または組成物は、好ましくは、緩衝化合物のような薬学的に許容される賦形剤をさらに含有し得る液体である。そのような薬学的調製物は好ましくは滅菌されている。
筋肉内投与のための段階(i)の送達システムの用量の体積は、好ましくは最高で約5 mL、例えば、0.3 mL〜3 mL、1 mL〜3 mL、約0.5〜1 mL、または約2 mLである。各用量中の有効成分の量は、処置または予防を提供するために十分であるべきである。異なる態様において、送達される物質の単位用量は、最高で約5μg物質/kg体重、約0.2〜3μg、約0.3〜1.5μg、約0.4〜0.8μg、または約0.6μgであるべきである。代替の態様において、単位用量は、最高で約6μg物質/kg体重、約0.05〜5μg、または約0.1〜4μgであり得る。1用量当たりのタンパク質の代表的な量は、およそ1μg〜およそ1 mg、より好ましくはおよそ5μg〜およそ500μg、さらにより好ましくはおよそ10μg〜およそ250μg、最も好ましくはおよそ25μg〜およそ100μgである。
段階(ii)において投与されるペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントを含む再賦活剤の細胞の数は変動し得、典型的に1×106〜400×106個の細胞の範囲内、好ましくは1×106〜200×106個の細胞の範囲内にある。
再賦活剤としての複合体化IL-2は、好ましくは、液剤として、かつ/または、1μg/kg体重〜200μg/kg体重、より好ましくは1μg/kg体重〜50μg/kg体重、さらにより好ましくは1μg/kg体重〜20μg/kg体重の範囲内の投薬量で投与され、ここで、該量は組成物中のIL-2含有量を指す。
本発明者らはXCR1+ DC中への抗原のターゲティング後のADASの効果を試験したが、本発明者らの結果から、インビボでのT細胞受容体誘発によって、CD8+ T細胞および/またはCD4+ T細胞の有意な初期活性化(「プライミング」)または再活性化をもたらす何らかのシステムを、ADASアプローチで増幅することができると結論付けることができる。
リンホカインIL-2は、T細胞およびNK細胞集団を拡大するために過去において使用され、「複合体化」形態で、即ち、高親和性IL-2受容体鎖へのその結合を遮断する抗体に結合された形態で提供される場合、有効であることが示された(CD25、Boyman et al., 2006, Science 311, 1924-1927)。
本発明者らは、XCR1+ DC中への抗原のターゲティングによるT細胞活性化の本発明者らのシステムにおいて複合体化IL-2(IL-2cx)を試験した。予想に反して、T細胞応答のプライミング、続いてのIL-2cx単独の適用は、抗原特異的CD8+ T細胞の数を有意には増加させなかった(図4)。第5日のADAS単独の適用は、上述したように、抗原特異的CD8+ T細胞の数を、プライミング単独後のおよそ0.2 x 106個からおよそ2 x 106個へ、従っておよそ10倍増加させた。しかし、非常に驚くべきことに、ADASのコンテクストにおいて適用された場合、IL-2cxは、およそ100〜200 x 106個の抗原特異的CD8+へ、即ちおよそ50〜100倍、抗原特異的CD8+ T細胞の増幅を非常に強く増大させた。この非常に相乗的な効果は、IL-2が複合体化形態で適用された場合に、ADASがIL-2の生物学的効果に好都合な条件を作り出すことを示した。ADASおよびIL-2cxの組み合わせは、今や全ての脾臓免疫細胞の大部分が抗原特異的CD8+ T細胞から構成されたような程度へ、初期プライミングを増幅した。さらに調べると、この大量に拡大されたT細胞集団は、グランザイムBをおよそ60〜70%発現し、これは高い細胞傷害能を示す。
様々な条件下で増幅されたCD8+ T細胞の細胞傷害能力を試験するために、本発明者らは腫瘍モデルを選択し、ここで、高悪性度のOVAトランスフェクト腫瘍株を、同系C57BL/6マウス中へ皮下注射し、実質的なサイズ(およそ20 mm2)へ6日間成長させた。第6日から、マウスの群を未処置のままにしたか、または異なるレジメで処置した。XCR1+DC中へのOVAのターゲティング単独による第6日における腫瘍担持マウスのプライミングは、腫瘍の成長に対してかろうじていくらかの効果を有し(図5)、マウスをプライミングしなかったがIL-2cx単独で処置した場合、同じことが当てはまった。驚くべきことに、第6日におけるマウスのプライミング、続いての連日のIL-2cx単独での処置は、第22日まで腫瘍の成長を有意に減少させ、このことは、インビボでの実質的な殺傷能力の誘導を示している。しかし、腫瘍は第22日あたりでその成長を再開し、このことは、腫瘍塊の全てが除去され得たわけではなかったことを示している。さらに、プライミング後第6日におけるADASの適用は、腫瘍の成長を非常に実質的に減少させたが、これは第18日あたりで再び成長し始めた(図5)。興味深いことに、IL-2cxの連続適用と組み合わせてのプライミング後第6日におけるADASの適用は、実験の終了まで腫瘍のサイズを減少させることにおいて、明らかに最も有効であった(図5)。得られた結果は、APC中への抗原のターゲティング後の所定の時間枠内でのIL-2cx単独の注射は、腫瘍の成長の制御において既に非常に有効であったことを示した。さらに、アウトカムは、ADASもまた、抗原によるCD8+ T細胞の初期活性化後の所定の時間枠内で適用された場合、この抗原を発現する腫瘍に対して強い殺傷活性を誘導したことを示した。悪性腫瘍の成長の制御において最も有効なのは、ADASおよびIL-2cxの組み合わせであった(図5)。この実験において最初にADASを、続いてIL-2cxを適用したが、処置順序は逆にすることもできる。この場合、最初にIL-2cxを、続いて適切な時にADASを適用する。
本発明の方法における使用のための医薬の段階(i)の好ましい態様は、樹状細胞の表面上の受容体としてのXCR1についてのWO 2009/065561に開示されている。WO 2009/065561に開示されるように、抗XCR1抗体もしくはその断片、またはXCL1もしくはその機能的に活性な断片を、好ましくは、樹状細胞の表面上の受容体に結合する分子として用いることができる。XCR1が樹状細胞の表面上の受容体である送達システムに関するWO 2009/065561の開示は、参照により本明細書に組み入れられ、そこに開示される態様は、本発明の使用のための医薬の段階(i)についても適用される。
好適な抗原含有タンパク質は当業者に公知である。
例えば、腫瘍疾患のコンテクストにおける多数の好適な抗原含有タンパク質が公知である。さらに、ワクチンとして好適なペプチドが、例えば、Aranda et al., OncoImmunology 2:12, e26621; December 2013に要約されるように、神経膠腫、肺癌、肉腫、黒色腫、食道扁平上皮癌、胃癌、肝細胞癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、婦人科悪性腫瘍、および種々の他の腫瘍を含む固形新生物に対して記載されている。これらの臨床試験において特異的に標的とされる抗原含有タンパク質は、癌-精巣抗原、例えば、NY-ESO-1、TTKプロテインキナーゼ(MOSとしても公知)、リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K(LY6K、URLC10として最も知られている)、インスリン様成長因子2 mRNA結合タンパク質3(IGF2BP3、IMP3として最も知られている)、リングフィンガータンパク質(RNF43)、およびミトコンドリア外膜のトランスロカーゼ34(TOMM34);癌胎児性抗原、例えばグリピカン-3;分化抗原、例えばメランA(MLANA)およびプレメラノソームタンパク質(PMEL、gp100として最も知られている);腫瘍限定抗原、例えば、SYT-SSX融合物(t(X;18)(p11;q11)染色体転座の結果として滑膜肉腫によって選択的に発現される);ならびにいわゆる「共有腫瘍関連抗原」(悪性細胞によって過剰発現されるが、1つまたはいくつかの健康な組織によって正常な量で産生される、抗原)、例えば、血管内皮成長因子受容体1(VEGFR1)およびVEGFR2、サバイビン、ウィルムス腫瘍1(WT1)、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)、ならびにp53を包含する。従って、そのようなタンパク質は、腫瘍のコンテクストにおいて好適な抗原含有タンパク質である。癌におけるペプチドワクチンに関するさらなる要約は、Yamada et al., Cancer Sci, 2013, 104(1):15-21である。
腫瘍患者または腫瘍に関して予防的に処置される患者において細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する場合、腫瘍疾患に関与する好適な抗原包含タンパク質が使用され得る。そのようなタンパク質は当技術分野において公知である。例えばTacken and Figdor (Tacken P.J., Figdor C.G.; Targeted antigen delivery and activation of dendritic cells in vivo: Steps towards cost effective vaccines. Semin. Immunol., 2011, 23(1):12-20)に記載されるように、理想的な腫瘍抗原は、共有腫瘍特異的抗原として公知のものである。何故ならば、それらは、様々な組織型の腫瘍細胞において選択的に発現され、MHC発現性正常組織においては発現されないためである。そのようなタイプの抗原の例はMAGE-AまたはNY-ESO-1抗原である。抗原のこのカテゴリー中の様々なメンバーが、腫瘍タイプおよび疾患段階に依存して可変比率で発現される。従って、これらの抗原に基づくワクチンは、標的抗原を発現する腫瘍を保有する患者の選択を必要とする。ワクチン開発について価値があると見なされる腫瘍抗原の別のカテゴリーは、腫瘍中において過剰発現される発癌性タンパク質に由来するものである。真正の非自己腫瘍抗原は、2つの主要な供給源に由来する:HPV感染によって引き起こされる子宮頸癌などの発癌性ウイルス起源の腫瘍の場合はウイルス抗原、および体細胞変異。
感染症に罹患している患者または感染性疾患(または感染症)に関して予防的に処置される患者において細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する場合、病原体、特に、マラリア、結核、リーシュマニア、またはウイルス、特に、オルトミクソウイルス、インフルエンザウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、慢性C型肝炎ウイルス、レンチウイルス、特にHIウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス、乳頭腫ウイルス、ブニヤウイルス、カリシウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、または呼吸器ウイルスより選択されるウイルスより選択される病原体の好適な抗原包含タンパク質が使用され得る。さらにより好ましい態様において、抗原包含タンパク質は、C型肝炎ウイルス、乳頭腫ウイルス、パラミクソウイルス、または呼吸器ウイルスより選択されるウイルスのタンパク質である。
ウイルス、特にRNAウイルスは、典型的に高い突然変異率を示す。しかし、ウイルスポリメラーゼまたは核タンパク質をコードする領域のような、非構造および/または内部タンパク質をコードするゲノムセグメント中に特に見られる保存領域が典型的に存在する。そのような領域は古典的なワクチン接種技術には適しておらず、その理由は、そのような保存タンパク質はウイルス被膜表面上に露出されないためである。対照的に、そのような抗原包含タンパク質および/またはタンパク質中に含まれる抗原は、本発明に従う使用のための医薬において使用され得る。
好ましい態様において、抗原包含タンパク質および/またはウイルスのタンパク質中に含まれる抗原は、保存されている。
さらに好ましい態様において、抗原包含タンパク質は非構造タンパク質であり、かつ/または、抗原は非構造および/もしくは内部タンパク質中に含まれている。
なおさらに好ましい態様において、抗原包含タンパク質は、RNAウイルスのタンパク質である。
「非構造」または「内部」タンパク質は、ウイルス粒子の被膜またはエンベロープの一部ではないタンパク質である。
さらなる態様において、段階(i)におけるタンパク質中に含まれる抗原は、免疫優性である。免疫優性は、ある病原体について多くのpMHC複合体が利用可能であるが、T細胞応答が1つまたは少数の重要抗原に再現性よく集中することを意味し、上記の抗原はそのような重要抗原の1つである。
A型インフルエンザウイルスの好適な抗原含有タンパク質および抗原は、例えばWu et al. (PNAS, 2011, 108(22): 9178-9183)に記載されており、NP(核タンパク質)、塩基性ポリメラーゼ1およびM1を包含する。
段階(ii)は、(d)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、(e)ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバント、ならびに(f)(d)および(e)の組み合わせからなる群より選択される再賦活剤を患者に投与することに関し、ここで、該ペプチドは、段階(i)に定義される抗原含有タンパク質に由来しそれによって段階(i)において活性化されたT細胞が再活性化される。
ある態様において、(e)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において投与される。
一つの好ましい態様において、(e)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与される。
好ましい態様において、(e)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜14日の時間枠において投与される。
例えば、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与の48時間、72時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に投与される。
より好ましい態様において、(e)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に投与される。
別の好ましい態様において、(e)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において、好ましくは48時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与される。
例えば、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与の48時間、72時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に、1回のみ投与される。
さらに好ましい態様において、(e)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に、1回のみ投与される。
(d)の場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において投与される。
(d)の場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において、段階(i)の送達システムの投与後、繰り返し好ましくは投与される。複合体化IL-2のさらなる投与を、段階(i)の送達システムの投与後、14日後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は0時間〜14日の時間枠において行われる。
さらに好ましい態様において、(d)の場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、好ましくは投与される。
なおさらに好ましい態様において、(d)の場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、繰り返し好ましくは投与される。従って、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回、好ましくは投与される。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は毎日または2日毎に投与され得る。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与の48時間、3日、4日、5日、6日、7日および8日後に投与され得る。別の例において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与の48時間、4日、6日、および8日後に投与され得る。
複合体化IL-2のさらなる投与を、段階(i)の送達システムの投与後、例えば14日、好ましくは9または8日である指示される時間の後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は、指示される時間枠において行われる。
(f)の場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)と、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントとの組み合わせを投与する。好ましい態様において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントの投与前に、投与と同時に、または投与後に投与され得る。好ましくは、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントが1回のみ投与され、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)が繰り返し投与される。そのような態様において、複合体化IL-2は、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントの投与前、投与と同時、および/または投与後のいずれにおいても投与され得る。
選択肢(f)について、選択肢(e)および(f)についての態様と同じ好ましい態様が、それぞれ、複合体化IL-2ならびにペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントの投与について適用される。
一態様において、(f)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与される。
好ましい態様において、(f)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜14日の時間枠において投与される。
例えば、(f)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与の48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に投与される。
より好ましい態様において、(f)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に投与される。
別の好ましい態様において、(f)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与される。
例えば、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与の48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に、1回のみ投与される。
さらに好ましい態様において、(f)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に、1回のみ投与される。
(f)の場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において、段階(i)の送達システムの投与後、繰り返し好ましくは投与される。複合体化IL-2のさらなる投与を、段階(i)の送達システムの投与後、14日後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は0時間〜14日の時間枠において行われる。
さらに好ましい態様において、(f)の場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、好ましくは投与される。
なおさらに好ましい態様において、(f)の場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に繰り返し好ましくは投与される。従って、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回、好ましくは投与される。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は毎日または2日毎に投与され得る。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与の48時間、3日、4日、5日、6日、7日および8日後に投与され得る。別の例において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与の48時間、4日、6日、および8日後に投与され得る。
複合体化IL-2のさらなる投与を、段階(i)の送達システムの投与後、例えば14日、好ましくは9または8日である指示される時間の後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は、指示される時間枠において行われる。
従って、さらに好ましい態様において、(f)の場合、
(A)細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日、好ましくは48時間〜14日の時間枠において、より好ましくは3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に、さらにより好ましくは、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜14日の時間枠において1回のみ、より特には3日〜9日の時間枠において1回のみ、さらにより特には4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に1回のみ、投与され、かつ
(B)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日、より好ましくは48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に投与され、最も好ましくは、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日、より好ましくは48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、繰り返し投与される。
複合体化IL-2のさらなる投与を、段階(i)の送達システムの投与後、14日後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は0時間〜14日の時間枠において行われる。
なおさらに好ましい態様において、(f)の場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、繰り返し好ましくは投与される。従って、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回、好ましくは投与される。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は毎日または2日毎に投与され得る。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与の48時間、3日、4日、5日、6日、7日および8日後に投与され得る。別の例において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、段階(i)の送達システムの投与の48時間、4日、6日、および8日後に投与され得る。
複合体化IL-2のさらなる投与を、段階(i)の送達システムの投与後、例えば14日、好ましくは9または8日である指示される時間の後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は、指示される時間枠において行われる。
別の好ましい態様において、(f)の場合、細胞および第2アジュバントは、段階(i)の送達システムの投与後0時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与される。
ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントは、好ましくは、単一の薬学的調製物として投与される。そのような薬学的調製物は、好ましくは、緩衝化合物のような薬学的に許容される賦形剤をさらに含有し得る液体である。そのような薬学的調製物は好ましくは滅菌されている。
使用のための医薬の好ましい態様において、
(x)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、繰り返し、特に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14回投与され、さらにより好ましくは、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、1日もしくは2日毎に投与され、かつ/もしくは、5日間〜1ヵ月間、さらにより好ましくは1〜2週間、繰り返し投与され、かつ/または
(xx) 抗原含有タンパク質に由来するペプチドは、アミノ酸8、9もしくは10個の長さを有し、かつ/もしくは、MHC-Iによって、好ましくは対立遺伝子HLA-A2、HLA-A1、HLA-A3、HLA-B7、HLA-B35、HLA-A24、もしくはHLA-A30によって、より好ましくは対立遺伝子HLA-A2によって、提示されるペプチドである。
好ましい態様において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、繰り返し、特に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14回投与され、さらにより好ましくは、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、1日もしくは2日毎に投与され、かつ/または、5日間〜1ヵ月間、繰り返し投与される。従って、上述したように、複合体化IL-2のさらなる投与を、14日、もしくは9もしくは8日の時間枠後に行うことが可能である。
上述したように、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントを、本発明の使用のための医薬の段階(ii)において再賦活剤として好ましくは投与する。さらに、該ペプチドは、段階(i)に定義される抗原含有タンパク質に由来する。
一態様において、前記結合は、実施例に記載されるように、インビトロで外部的にMHC-I分子にペプチドを結合することによって達成することができる。あるいは、細胞に抗原含有タンパク質全体をインビトロで供給し、細胞が抗原を処理しそしてMHC-Iのコンテクストにおいて抗原性ペプチドを提示することを可能にすることができるか、または細胞に感染することができるウイルスシステムに細胞をインビトロで曝露し、MHC-Iのコンテクストにおいて多量のペプチドを発現させるか、またはMHC-I保有細胞に、所定のタンパク質もしくはペプチド配列をコードする発現ベクターをトランスフェクトし、再びMHC-Iのコンテクストにおいてペプチドの効率的な提示を生じさせることができる。
MHC-Iのコンテクストにおける細胞への結合のためのペプチドを決定するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Wu et al. (PNAS, 2011, 108(22): 9178-9183)に記載される方法が使用され得る。
例えばインビトロで細胞に外部的に結合させることによって、規定のペプチドを結合に適用する場合、ペプチド配列は当技術分野において公知の方法によって選択され得る。インビトロで細胞に外部的に結合させることは、当技術分野において公知の方法によって、例えば、ペプチドの水溶液を提供し、細胞(これは好ましくは緩衝溶液または媒体中にある)へ該溶液を添加し、細胞をペプチドと共にインキュベートし、それぞれのペプチドによるMHC-Iおよび/またはMHC-IIの高飽和を達成し、そして例えば水溶液で細胞を任意で洗浄することによって、行われ得る。
一つの好ましい態様において、抗原含有タンパク質の部分配列である配列を有する一つのペプチドを細胞にインビトロで結合させる。例えば、一種類のそのようなペプチドを含む水溶液を、好ましくは患者の細胞集団である細胞集団へインビトロで添加してもよい。
あるいは、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチド結合細胞主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞集団の混合物が段階(ii)において使用され得、これらの細胞には異なるペプチドが結合されており、かつ、これらの細胞は、好ましくは患者の細胞である。
細胞のそのような混合物は、PBMC細胞のような細胞集団と、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドの混合物とをインキュベートし、それによってMHC-Iのコンテクストにおいて異なるペプチドが結合した細胞を得ることによって、得られ得る。あるいは、別個の細胞集団、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の細胞集団を、異なるペプチド、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドと共にインビトロでインキュベートしてもよい。それによって、異なるペプチドがそれぞれ結合した、別個の主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞集団がそれによって得られる。異なるペプチド結合細胞主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞集団を段階(ii)において別々に投与してもよく、または異なるペプチド結合細胞主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞集団の混合物を調製してもよく、次いでこれを段階(ii)において投与してもよい。
異なるペプチドを用いる場合、特に、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドを用いる場合、そのようなペプチドは同じまたは異なる抗原含有タンパク質に由来し得る。好ましい態様において、1つの腫瘍抗原に由来する2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドを使用してもよい。これは、各ペプチドの配列が腫瘍抗原の部分配列であることを意味する。そのような異なるペプチドの配列は、重複していても重複していなくてもよい。さらなる態様において、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なる腫瘍抗原に由来する2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれ以上の異なるペプチドを使用してもよい。そのような態様において、異なる腫瘍抗原は、同じまたは異なる腫瘍に関連しており、好ましくは同じ腫瘍に関連している。
好ましくは、アミノ酸8、9または10個の長さのペプチド配列が選択される。何故ならば、MHC-Iによって提示されるペプチドが典型的にこの長さのものであるためである。
Wu et al.においてさらに記載されるように、HLA対立遺伝子は非常に多型性に富む。従って、結合されるペプチドは、好ましくは、頻度の高いHLA対立遺伝子によって提示されるペプチドである。従って、ヒトにおいて、最も頻度の高い対立遺伝子HLA-A2によって提示されるペプチドが特に好ましい。あるいは、白人起源に関連する対立遺伝子であるHLA-A1、-A3、-B7、-B35によって提示されるペプチドが使用され得る。HLA-A24はアジア人に対し使用され得、HLA-A30はアフリカ人に対し使用され得る。
いくつかの好適な腫瘍関連ペプチドが、Speiser and Romero (Seminars in Immunology 22 (2010) 144-154)およびその中の参考文献に記載されている。それらの大部分は、HLA-A2拘束性のもの、例えば、以下に由来するペプチドである:メラノサイト分化抗原についての、Melan-A/MART-1、gp100エピトープの1つ、およびチロシナーゼ;前立腺についての前立腺表面抗原およびPSAP;粘膜腫瘍についての癌胎児性抗原およびMUC-1;乳癌についてのHER-2/neu;腎細胞癌についてのG250;顆粒球において通常発現され、骨髄性白血病細胞において過剰発現される、2つの骨髄性白血病関連抗原によって共有されるPR1、PR3および好中球エラスターゼ;様々な腫瘍タイプについての共有腫瘍特異的抗原MAGE-AおよびNY-ESO-1;ならびに過剰発現されるタンパク質サバイビンおよびテロメラーゼ。好適なA型インフルエンザ由来ペプチドがWu et al (前記)に記載されている。
従って、さらなる態様において、抗原含有タンパク質に由来するペプチドは、MHC-Iによって、好ましくは対立遺伝子HLA-A2、HLA-A1、HLA-A3、HLA-B7、HLA-B35、HLA-A24、またはHLA-A30によって、より好ましくは対立遺伝子HLA-A2によって提示されるペプチドである。そのようなペプチドを同定するための方法は、Wu et al. (前記)に記載および要約されている。例えば、Wu et al. (前記)の系統的同定アプローチ、またはそこに記載される好適なアルゴリズムを使用することができる。
従って、さらなる態様において、抗原含有タンパク質に由来するペプチドは、アミノ酸8、9または10個の長さを有し、かつ、MHC-Iによって、好ましくは対立遺伝子HLA-A2、HLA-A1、HLA-A3、HLA-B7、HLA-B35、HLA-A24、またはHLA-A30によって、より好ましくは対立遺伝子HLA-A2によって提示されるペプチドである。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、樹状細胞の表面上の受容体は、交差提示樹状細胞の表面上の受容体である。
交差提示樹状細胞は、MHC-Iのコンテクストにおいてペプチドを提示するために特に適している。交差提示DCは、可溶性のまたはターゲティングされたタンパク質を取り込み、それを処理し、そしてMHC-Iのコンテクストにおいてそれを提示することができる。従来のDCの全てが抗原交差提示をすることができる。定量的に最適な抗原交差提示は、マウスにおいてはXCR1+ DCによって、ヒトにおいてはBDCA3+ DC集団内のXCR1+ DCによって行われる。従って、XCR1+ DCは好ましいマウス交差提示DCであり、BDCA3+ DC集団内のXCR1+ DCは好ましいヒト交差提示DCである。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、樹状細胞の表面上の受容体は、ケモカイン(Cモチーフ)受容体1(XCR1)、ネクチン様分子2、c型レクチン(CLEC)、例えばCLEC9Aである。
C型レクチンは、それらの炭水化物認識ドメイン(CRD)において一次および二次構造相同性を共有するCa++依存性グリカン結合タンパク質である。これらのタンパク質は、C型レクチンフォールドを有し、これは、炭水化物に結合しない多くのタンパク質にも存在する非常に可変性のタンパク質配列を有するフォールドである。
ヒト受容体CLEC9Aの配列は、例えば、Caminschi et al., 2008, Blood 112, 3264-3273に記載されている。CLEC9Aに結合する好適な分子は、例えば、特異的モノクローナル抗CLEC9A抗体である。
ヒト受容体ネクチン様分子2は、Takai et al., 2003, Cancer Sci 94, 655-667に記載されている。ネクチン様分子2に結合する好適な分子は、例えば、特異的抗ネクチン様分子2モノクローナル抗体である。
送達システムは、免疫系において、Th1応答に、任意でさらにTh2応答に影響を与えるために特に適している。
XCR1はケモカイン受容体であり、現在のところ、ケモカイン受容体の「C」サブファミリの唯一のメンバーである。それはGPR5またはCCXCR1としても公知である。オーファンGタンパク質共役型受容体として以前にクローニングされたGPR5は、最初にヒトにおいて、次いでマウスにおいて、XCL1についての単一特異的受容体として認識され、従ってXCR1と呼ばれた。
XCR1の天然のリガンドは、ATAC、リンホタクチンまたはSCM-1としても公知であるXCL1である。それはケモカインのCファミリーの唯一のメンバーである。活性化により誘導されT細胞に由来しケモカインに関連するサイトカイン(activation-induced, T cell-derived, and chemokine-related cytokine:ATAC)は、ヒトにおいてクローニングされ(Muller et al., 1995, Eur. J. Immunol. 25, 1744-48)、独立して、マウスにおいてリンホタクチン(Kelner et al., 1994, Science 266, 1395-99)、ヒトにおいてSCM-1(Yoshida et al., 1995, FEBS Lett. 360, 155-9)としてクローニングされた。ケモカインの命名法により、ATAC/リンホタクチン/SCM-1は、現在、「XCL1」と名付けられている。XCL1は、主として、活性化されたCD8+ T細胞、Th1 CD4+ T細胞、およびNK細胞により分泌される。ヒトにおいて、全長タンパク質の28位および29位のアミノ酸アスパラギン酸およびリジンがそれぞれヒスチジンおよびアルギニンに交換された、XCL2と名付けられたXCL1のバリアントが、記載されており(Yoshida et al., 1996, FEBS Lett. 395, 82-8)、それも、本発明のために使用され得る。生物活性型のXCL1を作製するための例示的な方法は、WO 2009/065561の実施例8に記載される。その他の生物活性型のXCL1、例えば、他の種のものを作製するためにも、類似した方法が使用され得る。
さらにより好ましい態様において、樹状細胞の表面上の受容体はXCR1である。
ヒトXCR1のアミノ酸配列は公知である(NCBI; アクセッションNP_001019815):
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、(a)の分子は、受容体に対するリガンドまたは受容体に対する抗体もしくは抗体断片である。さらにより好ましい態様において、受容体はケモカイン(Cモチーフ)受容体1(XCR1)であり、(a)の分子は、抗XCR1抗体もしくはその断片またはケモカイン(Cモチーフ)リガンド1(XCL1)もしくはその機能的活性バリアントであり、特に、SEQ ID NO: 7〜10、好ましくはSEQ ID NO: 8〜10、より好ましくはSEQ ID NO: 9または10のいずれか、特にSEQ ID NO: 10の配列を含むかまたは該配列からなる。
いくつかの種のXCL1(ATAC)のアミノ酸配列(ヒト: SEQ ID NO: 1, GenBankアクセッションP47992;マウス: SEQ ID NO: 2, GenBankアクセッションP47993;およびラット SEQ ID NO: 3, GenBankアクセッションP51672を含む)が公知であり、SEQ ID NO: 1〜3として示される(下記を参照のこと)。さらに、ウイルスケモカイン様タンパク質であるK4.1 HHV8(SEQ ID NO:4, GenBankアクセッションAAB62672.1)(下記を参照のこと)と呼ばれる特異的なXCLR1アゴニストも公知である。これらの天然に存在するXCR1リガンドまたはその他の天然に存在するXCR1リガンドのうちの任意のものが使用され得る。
あるいは、任意の天然に存在するXCL1の機能的に活性なバリアントが使用されてもよい。バリアントという用語には、断片、1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失、および/または置換に由来するバリアント、ならびに、融合タンパク質のような、任意の天然に存在するXCL1またはその一部分を含む分子、特に、タンパク質が包含される。融合タンパク質のXCL1部分には、アミノ酸残基がC末端に隣接していてもよいし、N末端に隣接していてもよいし、またはC末端およびN末端に隣接していてもよい。
機能的に活性な断片は、1つまたは複数のアミノ酸欠失により、任意の天然に存在するXCR1リガンド、特にXCL1、特にSEQ ID NO:1〜4のものに由来することを特徴とする。欠失は、C末端、N末端、および/または内部にあり得る。好ましくは、断片は、多くても1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、または60個、より好ましくは多くても1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、または30個、さらに好ましくは多くても1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個、さらに好ましくは多くても1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、最も好ましくは1、2、3、4、または5個のアミノ酸欠失により得られる。本発明の機能的に活性な断片は、XCR1と結合して(b)のタンパク質の内部移行を媒介する能力を含む、それが由来するリガンドにより示されるものに類似している生物学的活性を有することを特徴とする。天然に存在するXCR1リガンド、特にXCL1、特にSEQ ID NO:1〜4のものの断片は、断片の活性(結合および内部移行)が、配列改変のないXCL1の活性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%、特に少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%となる場合、本発明の状況において機能的に活性である。これらの断片は、約18〜50アミノ酸長のような短い長さを含む、任意の所望の長さで設計され入手され得る。
天然に存在するXCR1リガンド、特にXCL1、特にSEQ ID NO:1〜4のものの機能的に活性な断片は、その他の構造的特色も特徴とし得る。従って、本発明の一つの好ましい態様において、機能的に活性な断片は、SEQ ID NO:1〜4のいずれかのXCR1リガンドのアミノ酸の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%からなる。上に定義されたような機能的に活性な断片は、1つまたは複数のアミノ酸欠失によりペプチドに由来するかもしれない。欠失は、C末端、N末端、および/または内部にあり得る。SEQ ID NO:1〜4の上記の配列アラインメントは、保存されていると考えられる天然に存在するリガンドのドメインを示している。本発明の好ましい態様において、これらのドメインは断片において維持されるべきである。
保存されたドメインには、1〜2位(V/S G)、13〜27位
、35〜51位
のプロセシングされたN末端(プロセシングされたN末端は、SEQ ID NO: 1〜3についてはプロセシングされていないN末端のアミノ酸22から開始し、SEQ ID NO: 4についてはアミノ酸27から開始する)のアミノ酸、ならびに11位および48位のシステイン残基の間のジスルフィド架橋が含まれる(上記アラインメントも参照のこと)。SEQ ID NO: 1〜4の配列のコンセンサス配列は、同一アミノ酸のみを考慮した場合には、
であり、同一アミノ酸および多数派アミノ酸(即ち、配列四つのうち三つに存在するアミノ酸;代替アミノ酸はスラッシュの後にリストされる)を考慮した場合には、
である。SEQ ID NO: 1〜3の配列のコンセンサス配列は、同一アミノ酸のみを考慮した場合には、
であり、同一アミノ酸および多数派アミノ酸(即ち、配列三つのうち二つに存在するアミノ酸;代替アミノ酸はスラッシュの後にリストされる)を考慮した場合には、
である。
従って、本発明における使用のための好ましい送達システムにおいて、XCL1の機能的に活性なバリアント、好ましくは機能的に活性な断片は、SEQ ID NO: 7〜10のいずれか、好ましくはSEQ ID NO: 8〜10のいずれか、より好ましくはSEQ ID NO: 9または10のいずれか、特にSEQ ID NO: 10の配列を含むか、またはこれらからなる。
本発明のさらに好ましい態様において、XCR1リガンドが、SEQ ID NO:1〜4のいずれかのXCR1リガンドの機能的に活性なバリアントであり、該バリアントが、SEQ ID NO:1〜4のいずれかのXCR1リガンドとの少なくとも50%の配列同一性を有する、上に定義されたようなXCL1バリアントを使用する。より好ましい態様において、機能的に活性なバリアントは、SEQ ID NO:1〜4のいずれかの抗原との少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%の配列同一性を有する。
配列同一性の割合は、例えば、配列アラインメントにより決定され得る。比較のための配列のアラインメントの方法は、当技術分野において周知である。様々なプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが、例えばSmith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2: 482, 1981またはPearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85: 2444-2448, 1988に記載されている。
NCBI Basic Local Alignment Search Tool (BLAST) (Altschul et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410, 1990)は、配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxに関連した使用のため、National Center for Biotechnology Information(NCBI,Bethesda,MD)を含むいくつかの供給元から、そしてインターネット上で入手可能である。SEQ ID NO:1〜4の配列のいずれかの抗原のバリアントは、典型的には、デフォルトパラメーターに設定されたNCBI Blast 2.0、gapped blastpを使用して特徴決定される。少なくとも35アミノ酸のアミノ酸配列の比較のためには、Blast 2 sequences機能が、デフォルトパラメーター(11のgap existence costおよび1のper residue gap cost)に設定されたデフォルトBLOSUM62マトリックスを使用して利用される。短いペプチド(約35アミノ酸未満)を整列化する場合には、アラインメントは、デフォルトパラメーター(open gap 9、extension gap 1 penalties)に設定されたPAM30マトリックスを利用して、Blast 2 sequences機能を使用して実施される。15アミノ酸以下のような、そのような短いウィンドウで配列同一性を決定する方法は、National Center for Biotechnology Information(Bethesda,Maryland)により維持されているウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)に記載されている。
あるいは、複数の配列のアラインメントは、ClustalVアラインメントアルゴリズム(Higgins et al., 1992, Comput. Appl. Biosci. 8, 189-91)を利用して、DNAStar(Madison,WI,USA)のMegAlign Sofwareを使用して実施され得る。上記のアラインメントにおいては、このソフトウェアが使用され、以下のデフォルトパラメーターに設定された:gap penalty 10、gap length penalty 10。極めて低い相同性のため、アラインメントにSEQ ID NO:4を含めるのには、手動の調整が必要であった。
機能的に活性なバリアントは、天然に存在するXCR1リガンドの配列改変により入手され、ここで、配列改変を有するXCR1リガンドは、未改変のXCR1リガンドの機能を保持しており、例えば、XCR1と結合して段階(i)における(b)のタンパク質の内部移行を媒介する能力を含む、天然に存在するXCR1リガンドにより示されるものに類似している生物学的活性を有する。そのような配列改変には、保存的置換、欠失、変異、および挿入が含まれ得るが、これらに限定はされない。機能的に活性なバリアントのこれらの特徴は、例えば、上に詳述されたようにして査定され得る。
さらにより好ましい態様において、使用のためのXCL1の機能的に活性なバリアントは、保存的置換により、SEQ ID NO:1〜4の配列のいずれかの天然に存在するXCR1リガンドに由来する。保存的置換とは、側鎖および化学的特性が関連しているアミノ酸ファミリーの内部で起こるものである。そのようなファミリーの例は、塩基性側鎖を含むアミノ酸、酸性側鎖を有するアミノ酸、無極性脂肪族側鎖を有するアミノ酸、無極性芳香族側鎖を有するアミノ酸、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸、小さな側鎖を有するアミノ酸、大きい側鎖を有するアミノ酸等である。一態様において、1個の保存的置換がペプチドに含まれる。別の態様において、2個以下の保存的置換がペプチドに含まれる。さらなる態様において、3個以下の保存的置換がペプチドに含まれる。
保存的アミノ酸置換の例には、以下にリストされたものが含まれるが、これらに限定はされない。
本発明に従う使用のための好適なモノクローナル抗XCR1抗体は、例えば、WO 2009/065561に開示されるmAb 6F8、またはMARX10(Bachem et al., 2012, Front Immunol 3, 214)である。
抗XCR1抗体もしくはその機能的に活性な断片は、一つの好ましい態様において、段階(i)において受容体としてのXCR1に結合する分子として使用され得る。抗XCR1抗体またはその機能的に活性な断片は、XCR1へ特異的に結合することができる。抗体の機能的に活性な断片は、XCL1の機能的に活性な断片(上記参照)と同様に定義され、即ち、機能的に活性な断片は、(a)C末端欠失、N末端欠失、および/または内部欠失のような1つまたは複数のアミノ酸欠失により任意の抗XCR1抗体に由来することを特徴とし、かつ(b)XCL1との結合能を含む、それが由来する抗XCR1抗体により示されるものに類似している生物学的活性を有することを特徴とする。天然に存在する抗体は、外来物質を同定し中和するために免疫系により使用されるタンパク質である。天然に存在する抗体は、各々、二つの大きい重鎖および二つの小さな軽鎖を有し、異なる抗原に結合することができる。本発明には、例えば、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、およびヒト化抗体が含まれ、Fab断片、Fab、Fab'、F(ab')2'、Fv、またはFab発現ライブラリーの産物も含まれる。抗体もしくは抗体成分は、その生物学的半減期を延ばすためにさらに修飾されてもよいし、またはそれらをターゲティングにさらに適したものにするためその他の方式で修飾されてもよい。XCR1に対して作製された抗体は、XCR1もしくはその断片を動物に直接注射することにより、またはXCR1もしくはその断片を動物、好ましくは非ヒトに投与することにより入手され得る。このようにして入手された抗体は、次いで、XCR1に結合するであろう。モノクローナル抗体の作製のためには、連続細胞系培養物、例えば、ハイブリドーマ細胞系により産生された抗体を提供する、当技術分野において公知の任意の技術が使用され得る。好適なモノクローナル抗体の作製は、WO 2009/065561にも詳述される。単鎖抗体の作製のための記載されている技術(米国特許第4,946,778号)は、XCR1に対する単鎖抗体を作製するために適合し得る。また、トランスジェニックのマウスまたはその他の哺乳動物のようなその他の生物が、XCR1に対するヒト化抗体を発現させるために使用されてもよい。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、
・ (b)の抗原含有タンパク質は、(a)の分子との融合タンパク質の状態にあり;かつ/または
・ (b)の抗原含有タンパク質の抗原は、免疫原、病原体由来抗原、もしくは腫瘍抗原である。
従って、一つの好ましい態様において、(b)の抗原含有タンパク質は、(a)の分子との融合タンパク質の状態にある。そのような融合タンパク質は、例えば、合成的にまたは組換え的に、好ましくは組換え的に合成され得る。そのような融合タンパク質は、樹状細胞への効率的なターゲティングを可能にする。例えば、抗体MARX10とOVAとの融合タンパク質、およびXCL1とOVAとの融合タンパク質が、実施例において成功裏に使用された。
免疫原とは、免疫応答を刺激する抗原である。抗原は、免疫系内で、T細胞上(T細胞受容体)およびB細胞上(B細胞受容体)の特異的な受容体により認識される物質であり、通常、タンパク質または多糖である。これには、細菌、ウイルス、およびその他の微生物の一部分(被膜、莢膜、細胞壁、鞭毛、線毛、および毒素)が含まれる。一般に、脂質および核酸は、タンパク質および多糖と組み合わせられた場合にのみ、抗原性である。非微生物性の外因性(非自己)抗原には、花粉、卵白、ならびに移植された組織および器官に由来する、または輸血された血球の表面上のタンパク質が含まれ得る。
抗原は、内因性または外因性に分類され得る。本発明の好ましい抗原は外因性抗原である。
好ましくはウイルス、細菌および/または真核生物性寄生生物の、病原体由来抗原を使用する場合、医薬は、好ましくは、そのような病原体での感染症に対して細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導することにおいて使用するためのものである。
腫瘍抗原を使用する場合、医薬は、好ましくは、そのような腫瘍に対して細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導することにおいて使用するためのものである。
樹状細胞は、MHCクラスI分子を介して外因性抗原を提示することができ、この過程は「交差提示」として公知である。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、(c)の第1アジュバントおよび第2アジュバントは、独立して、Th-1媒介応答を支持するアジュバントであり、好ましくは、それらは、合成もしくは組換えTLRリガンド、例えばポリICLCおよびレシキモド(R848)、モンタニド、例えばISA51、ISA720、サポニン、例えばQuil-A、ISCOM、QS-21、AS02およびAS01、ポリイノシン:ポリシチジル酸(ポリI:C)、リポ多糖(LPS)、ならびにCpGオリゴデオキシヌクレオチドからなる群より独立して選択される。
(c)の第1アジュバントおよび第2アジュバントを両方とも使用する場合、それらは同じであってもよく、またはそれらは互いに異なっていてもよい。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、再賦活剤は、好ましくはIL-2cxと組み合わせた、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントであり、ここで、細胞は血液細胞、特に末梢血単核細胞(PBMC)である。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、T細胞は、CD8+ T細胞またはCD4+ T細胞、好ましくはCD8+ T細胞である。
特に、CD8+ T細胞の再活性化は、強力でありかつ増強された細胞傷害性免疫応答を得るために特に有利である。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、時間枠は、72時間〜9日、特に5日〜8日である。
一つの好ましい態様において、方法の段階(i)および(ii)を1回のみ行う。
しかしながら、免疫系が再び落ち着いた場合、同じ送達システムおよび同じ再賦活剤を用いて方法の段階を繰り返すことが可能である。これは、典型的に、上述のように本発明に従って細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導した後、少なくとも1ヵ月後、好ましくは少なくとも2ヵ月後に当てはまる。
従って、別の好ましい態様において、段階(i)に従って同じ送達システムおよび段階(ii)に従って同じ再賦活剤を用いる方法の段階を、本発明の方法の段階を行った後、少なくとも1、2、または3ヵ月後に、繰り返す。
あるいは、方法の段階を、段階(i)に従って異なる送達システムを用いて繰り返してもよく、好ましくは、該異なる送達システムは、異なる抗原含有タンパク質(b)、および任意で、樹状細胞の表面上の受容体に結合する異なる分子(a)を含む。そのような態様においては、免疫系が再び落ち着くまで待つ必要はない。従って、方法は、最初の送達システムを用いて初めて本発明の方法の段階を行った例えば7または14日後に、異なる送達システムを用いて繰り返してもよい。そのような態様において、同じまたは異なる再賦活剤を段階(ii)において使用してもよい。
別の態様において、本発明は、
(i)抗原に対して活性化されたT細胞を有する患者に、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントを投与する段階であって、該ペプチドが抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞を再活性化し、任意で、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)がさらに投与される、前記段階
を含む、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法における使用のための医薬であって、
段階(i)の再活性化剤が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与される、前記医薬に関する。
この態様について、適用可能な場合、上述の本発明の使用のための医薬についての態様と同じ好ましい態様が適用される。
ある態様において、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与する。
一つの好ましい態様において、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与する。
さらに好ましい態様において、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜14日の時間枠において投与する。
例えば、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に投与する。
より好ましい態様において、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に投与する。
別の好ましい態様において、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与する。
さらに好ましい態様において、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与する。
例えば、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に、1回のみ投与する。
さらに好ましい態様において、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に、1回のみ投与する。
一つの好ましい態様において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)と、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントとの組み合わせを、投与する。より好ましい態様において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)を、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントの投与前に、投与と同時に、または投与後に投与してもよい。好ましくは、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントが1回のみ投与され、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)が繰り返し投与される。そのような態様において、複合体化IL-2が、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントの投与前、投与と同時、および/または投与後のいずれにおいても投与され得る。
組み合わせについて、細胞単独の投与についての態様と同じ好ましい態様が、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントの投与について適用される。
一態様において、組み合わせの場合、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与する。
好ましい態様において、組み合わせの場合、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜14日の時間枠において投与する。
例えば、組み合わせの場合、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に投与する。
より好ましい態様において、組み合わせの場合、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に投与する。
別の好ましい態様において、組み合わせの場合、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与する。
例えば、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日後に、1回のみ投与する。
さらに好ましい態様において、組み合わせの場合、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に、1回のみ投与する。
組み合わせの場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)を、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において、T細胞が抗原に対して活性化された後、繰り返し好ましくは投与する。複合体化IL-2のさらなる投与を、T細胞が抗原に対して活性化された後、14日後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は0時間〜14日の時間枠において行われる。
さらに好ましい態様において、組み合わせの場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)を、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、好ましくは投与する。
なおさらに好ましい態様において、組み合わせの場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、繰り返し好ましくは投与される。従って、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回、好ましくは投与される。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は毎日または2日毎に投与され得る。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、3日、4日、5日、6日、7日および8日後に投与され得る。別の例において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、4日、6日、および8日後に投与され得る。
複合体化IL-2のさらなる投与を、段階(i)の送達システムの投与後、例えば14日、好ましくは9または8日である指示される時間の後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は、指示される時間枠において行われる。
従って、さらに好ましい態様において、組み合わせの場合、
(A)細胞および第2アジュバントは、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日、好ましくは48時間〜14日の時間枠において、より好ましくは3日〜9日、さらにより好ましくは4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に、さらにより好ましくは、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜14日の時間枠において1回のみ、より特には3日〜9日の時間枠において1回のみ、さらにより特には4日〜8日の時間枠において、例えば4日、5日、6日、7日、8日後に1回のみ、投与され、かつ
(B)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日、より好ましくは48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に投与され、最も好ましくは、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日、より好ましくは48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、繰り返し投与される。
組み合わせの場合、複合体化IL-2のさらなる投与を、T細胞が抗原に対して活性化された後、14日後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は0時間〜14日の時間枠において行われる。
なおさらに好ましい態様において、組み合わせの場合、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、繰り返し好ましくは投与される。従って、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された後の48時間〜9日、さらにより好ましくは3日〜8日の時間枠において、例えば3日、4日、5日、6日、7日、8日後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回、好ましくは投与される。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は毎日または2日毎に投与され得る。例えば、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された48時間、3日、4日、5日、6日、7日および8日後に投与され得る。別の例において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)は、T細胞が抗原に対して活性化された0時間、48時間、4日、6日、および8日後に投与され得る。
複合体化IL-2のさらなる投与を、T細胞が抗原に対して活性化された後、例えば14日、好ましくは9または8日である指示される時間の後に行うことがさらに可能であり;しかし、少なくとも1つの投与は、指示される時間枠において行われる。
別の好ましい態様において、組み合わせの場合、細胞および第2アジュバントを、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14、好ましくは48時間〜14日の時間枠において、1回のみ投与する。
本発明者らはXCR1+ DC中への抗原のターゲティング後のADASの効果を試験したが、本発明者らの結果から、インビボでのT細胞受容体誘発によってCD8+ T細胞および/またはCD4+ T細胞の有意な初期活性化(「プライミング」)または再活性化をもたらす何らかのシステムをADASアプローチで増幅することができると結論付けることができる。T細胞集団は最初にインビトロでも活性化され、その後インビボで養子移入され得、その結果、次いでADASが、インビボでT細胞エフェクター応答を増幅するために使用され得る。
従って、一態様において、抗原に対して活性化されたT細胞は、送達システムを使用する段階(i)における使用のための医薬の状態で、上述したような方法を行うことによって得ることができる。
別の好ましい態様において、抗原に対して活性化されたT細胞は、インビトロで得ることができる。この目的のために、処置される患者から好ましくは得られるT細胞を抗原または抗原含有タンパク質およびAPCと共培養し、抗原応答性T細胞を、例えばIFN-γ分泌アッセイによって選択し、そして成長因子を用いて拡大する。あるいは、抗原特異的T細胞を、適切な四量体またはそのアナログを使用して選別し、APCの存在下で抗原へ曝露し、そして成長因子を用いて拡大する。
使用のための医薬の好ましい態様において、MHC-I提示細胞は、血液細胞、特に末梢血単核細胞(PBMC)である。
MHC-I提示細胞は、好ましくは、処置される患者から得られた細胞である。そのような細胞を得るための方法は当業者に公知である。例えば、血液が採取され得、次いでPBMC細胞が単離され得る。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)を投与し、好ましくは、繰り返し、特に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14回投与し、さらにより好ましくは、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)を、1日もしくは2日毎に投与し、かつ/または、5日間〜1ヵ月間、さらにより好ましくは1〜2週間、繰り返し投与する。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、抗原含有タンパク質に由来するペプチドは、アミノ酸8、9もしくは10個の長さを有し、かつ/または、MHC-Iによって、好ましくは対立遺伝子HLA-A2、HLA-A1、HLA-A3、HLA-B7、HLA-B35、HLA-A24、もしくはHLA-A30によって、より好ましくは対立遺伝子HLA-A2によって提示されるペプチドである。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、患者は、哺乳動物、特にヒトである。
使用のための医薬のさらに好ましい態様において、細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法は、腫瘍および/または感染症の予防的処置または処置のためのものである。
使用のための医薬は、感染症から保護するために提供され得る(「予防的処置」)。あるいは、そのような医薬は、治療目的のために使用され得る。病原体に対して十分なTh1免疫応答を開始することができない場合のある感染個体には、細胞性細胞傷害応答を誘導および/または延長するよう設計された医薬が投与され得、従って、感染症を封じ込めるまたは根絶することができるようになるであろう(「処置する」)。例は、マラリア、結核、リーシュマニア、プリオン病、オルトミクソウイルス、特にインフルエンザ、A型肝炎、B型肝炎、慢性C型肝炎、HIVおよび他のレンチウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス、乳頭腫ウイルス、ブニヤウイルス、カリシウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、特にC型肝炎ウイルス、乳頭腫ウイルス、パラミクソウイルス、様々な呼吸器ウイルスおよび他のウイルス、または本明細書において特定される任意の他の感染症であろう。
ワクチンは、公知の抗原性成分を有する腫瘍(例えば、黒色腫、前立腺癌)の発生から健康な個体を保護するためにも使用され得る(「腫瘍の予防的処置」)。あるいは、使用のための医薬は、既に腫瘍を発症した患者を治療するために使用され得る。そのような腫瘍の例は、ヒトウイルスにより誘発された腫瘍、特に、乳頭腫ウイルスにより誘発された腫瘍、HCVにより誘発された腫瘍、B型肝炎ウイルスにより誘発された腫瘍、およびその他の慢性感染時に腫瘍を誘発するウイルスであろう。さらに、処置される好適な腫瘍は、自然発生性の固形腫瘍(例えば、黒色腫、前立腺癌、乳癌、消化管の腺癌、肺癌)、および白血病である。
病原体または感染因子は、宿主に対して疾患または疾病を引き起こす生物学的因子、特に、生存している微生物である。病原体は、本発明によると、好ましくはウイルス、細菌、および/または真核生物性寄生生物を意味する。病原体由来抗原は、病原体に由来する抗原である。
抗原の交差提示も、体内の腫瘍の根絶のために中心的に重要である。抗腫瘍免疫応答を誘発するためには、腫瘍細胞および腫瘍抗原がDCにより取り込まれ、処理され、提示されなければならない。大部分の腫瘍の排除は、有効な細胞傷害性Th1 T細胞応答を必要とするため、腫瘍抗原の交差提示は不可欠である。従って、有効な抗腫瘍応答のため、交差提示DCは卓越した役割を果たす。実施例5に示されるように、本発明の使用のための医薬は、腫瘍モデルにおいて驚くべき有利な効果を示した。
一態様において、使用のための医薬は、(a)樹状細胞の表面上の受容体に結合する分子、および(b)(a)の分子に結合された抗原含有タンパク質を含み、好ましくはこれらからなる。
別の態様において、使用のための医薬は、(a)樹状細胞の表面上の受容体に結合する分子と、(b)(a)の分子に結合された抗原含有タンパク質と、(c)第1アジュバントとを含み、好ましくはこれらからなる。
さらに別の態様において、使用のための医薬は、(A)(a)樹状細胞の表面上の受容体に結合する分子、(b)(a)の分子に結合された抗原含有タンパク質、および(c)第1アジュバント、ならびに(B)(d)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、(e)ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバント、または(f)(d)および(e)の組み合わせ、を含み、好ましくはこれらからなり、ここで該ペプチドは(A)に定義される抗原含有タンパク質に由来する。
別の態様において、本発明は、上記に定義される送達システムおよび上記に定義される再賦活剤を含む、好ましくはこれらからなる、パーツのキットに関する。
さらに別の態様において、本発明は、(A)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、ならびに(B)ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントを含む、好ましくはこれらからなる、パーツのキットに関する。
なおさらなる態様において、本発明は、
(ii)抗原に対して活性化されたT細胞を有する患者に、ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバントを投与する段階であって、該ペプチドが抗原含有タンパク質に由来しそれによって活性化T細胞を再活性化し、任意で、複合体化インターロイキン2(IL-2cx)がさらに投与される、前記段階
を含む、抗原含有タンパク質に対する細胞性の細胞傷害性免疫応答を延長する方法であって、
段階(i)の再活性化剤が、T細胞が抗原に対して活性化された後の0時間〜14日の時間枠において投与される、前記方法に関する。
なおさらなる態様において、本発明は、
(i)(a)樹状細胞の表面上の受容体に結合する分子と、(b)(a)の分子に結合された抗原含有タンパク質と、(c)第1アジュバントとを含む送達システムを患者に投与する段階であって、該受容体に(a)の分子が結合すると、(b)のタンパク質が内部移行して樹状細胞中で処理され、該タンパク質中に含有される抗原が樹状細胞の表面上に提示され、それによって患者においてT細胞が活性化される、前記段階;ならびに
(ii)(d)複合体化インターロイキン2(IL-2cx)、(e)ペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)提示細胞および第2アジュバント、ならびに(f)(d)および(e)の組み合わせからなる群より選択される再賦活剤を患者に投与する段階であって、該ペプチドが、段階(i)に定義される抗原含有タンパク質に由来しそれによって段階(i)において活性化されたT細胞が再活性化される、前記段階
を含む、細胞性の細胞傷害性免疫応答を誘導する方法であって、
段階(ii)の再賦活剤が、段階(i)の送達システムの投与後の0時間〜14日の時間枠において投与される、前記方法に関する。
本発明の方法および本発明のパーツのキットについて、本発明の使用のための医薬についての態様と同じ態様が適用される。