JP2017514106A - 不混和性抽出溶媒を用いる抽出サンプルの分析 - Google Patents

不混和性抽出溶媒を用いる抽出サンプルの分析 Download PDF

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Abstract

本発明は、概して、混和しない抽出溶媒を使用して、抽出されたサンプルを分析するためのシステムおよび方法に関する。ある実施形態では、本発明は、サンプル中の検体を分析するためのシステムを提供する。本システムは、イオン化プローブと、質量分析計とを含む。イオン化プローブは、随意に、遠位先端を含む、中空本体を含む。中空本体は、本体内に基質が存在せず、電極が本体の表面上に配置されないように構成される。電極は、少なくとも部分的に、中空本体内に配置される。

Description

(関連出願)
本出願は、2014年2月21日に出願された米国仮特許出願番号第61/942,949号、および2014年6月17日に出願された米国仮特許出願番号第62/013,007号の利益およびこれら出願に基づく優先件を主張しており、これら出願の各々の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
(政府支援)
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられた第GM106016号の下で政府支援によって成された。政府は、本発明において一定の権利を有する。
(発明の分野)
本発明は、概して、不混和性抽出溶媒を使用して、抽出されたサンプルを分析するためのシステムおよび方法に関する。
(背景)
複合生物学的サンプル(例えば、血液、唾液、または尿等の複合混合物)の高速分析は、臨床、法医学、および多くの他の用途において非常に着目されている。質量分析法を使用したそのようなサンプルの分析における問題は、生物学的サンプルの非標的成分(例えば、塩)が、イオン化プロセスの間、電荷に対してサンプル中の標的と競合することである。そのような競合は、サンプルの非標的成分がサンプル中の標的のイオン化を抑制することにつながり、これは、マトリクス効果として知られる。検体イオン化に及ぼす抑制効果を最小限にし、検体を事前に濃縮するために、複合生物学的サンプルが、ルーチン的に抽出され、次いで、質量分析法測定の前に、クロマトグラフィを使用して分離される。しかしながら、そのようなプロセスは、高価なクロマトグラフィ機器および時間のかかるサンプル調製プロトコルを使用する、実験室設定においてのみ行われることができる。
(要旨)
本発明は、液体−液体抽出のための新しいアプローチを提供し、また、サンプル調製および事前処理がイオン化プロセスと組み合わせられることを可能にする、システムおよび方法を提供する。特に、本発明は、液体−液体抽出が、2つの液体間に非常に小さい界面を提供する、非常に小さい直径の毛細管(例えば、500μm程の小さい内径の毛細管)内で行われることを可能にする。これは、典型的には、従来の液体−液体抽出には非常に好ましくないと考えられる。毛細管内の液体は、前後に移動され、抽出プロセスの制御を可能にする、すなわち、抽出は、オンおよびオフにされることができる。この運動は、不混和性流体の各プラグの内側に循環を誘発し、抽出を促進する。薄型毛細管を使用する付加的利点は、少量のサンプルが定量的分析のために取り扱われることができることである。
加えて、抽出毛細管は、イオン化プローブとしての役割も果たすことが可能である。このように、本発明は、サンプル中の標的検体が、別個のサンプル調製および事前処理プロトコルを行わずに、質量分析法によって抽出および分析されることを可能にする、システムおよび方法を提供する。むしろ、本発明のシステムおよび方法は、サンプル調製および事前濃縮がイオン化プローブ内で行われるように構成される。精製された検体は、次いで、直接、イオン化され(但し、要求されない)、サンプル調製および事前処理が生じるイオン化プローブから質量分析計の中に注入されることができる。
本発明の側面は、サンプルと混和しない溶媒を使用して遂行される。溶媒およびサンプルは、本発明のイオン化プローブ内に置かれる。サンプルからの1つまたはそれを上回る標的検体は、溶媒の中に抽出される一方、サンプルの非標的成分(例えば、尿中の塩)は、サンプル中に残る。電極は、次いで、イオン化プローブの本体内の溶媒に動作可能に結合され、標的検体は、イオン化され、質量分析計の中に注入される。このように、サンプル調製および事前処理は、イオン化プロセスと組み合わされ、電圧が溶媒に印加されると、標的検体は、電荷に対してサンプルの非標的成分と競合する必要はない。故に、本発明のシステムおよび方法は、マトリクス効果を効果的に抑制し、サンプルからの標的検体、特に、血液、唾液、尿、または脊髄液等の生物学的サンプルからのより優れたイオン化を可能にする。本発明のシステムおよび方法はまた、標的検体をサンプルから抽出溶媒の中に事前に濃縮させ、それによって、高価なクロマトグラフィ機器および時間のかかる分離プロトコルを回避し、診療現場サンプル分析システムおよび方法を可能にする利点を追加する。
本発明の側面は、サンプル中の検体を分析するための方法を提供する。これらの方法は、溶媒を、随意に、遠位先端を有する中空本体の中に導入するステップを伴い得る。サンプルもまた、中空本体の中に導入される。溶媒は、サンプルと混合しない。本方法は、次いで、少なくとも1つの検体をサンプルから溶媒の中に抽出するステップを伴う。電圧が、検体が本体の遠位先端から排出されるように、中空本体内に抽出された検体を含む溶媒に印加され、それによって、検体のイオンを生成する。イオンは、次いで、分析される。当業者は、サンプルおよび溶媒が中空本体に導入される順序が問題ではないことを認識し得る。ある実施形態では、溶媒が、最初に、導入され、サンプルが、次に、導入される。他の実施形態では、サンプルが、最初に、導入され、溶媒が、次に、導入される。ある実施形態では、サンプルおよび溶媒は、混和しない。ある実施形態では、1つを上回る溶媒が、使用される。例えば、第2の溶媒が、第1の溶媒とサンプルとの間にあるように導入されることができる(3相実施形態)。第2の溶媒は、溶媒架橋として作用することができ、そしてサンプルおよび第1の溶媒とは混和せず、これらは、このような実施形態では、典型的には、相互に混和性である。
ある実施形態では、サンプルおよび溶媒は、電圧の印加に先立って、ゆっくり混合される。これは、毛細管をゆっくり傾けることによって、手動で、または可動機構の使用を通して、行われることができる。ある実施形態では、2つまたはそれを上回る相は、相互に混合しない。例示的可動機構は、中空本体内に交互する空気圧力を印加し、サンプルを本体内で押動および引動させ、それによって、ゆっくりとした移動を生じさせる、ポンプである。ある実施形態では、高電圧が、溶媒に印加され、溶媒を中空本体から吐出し、サンプルを脱溶媒和およびイオン化する。他の実施形態では、噴霧ガスもまた、パルス状または連続流れのいずれかとして、抽出されたサンプルに印加される。
本発明の方法は、任意のタイプのサンプルと併用されることができる。ある実施形態では、サンプルは、血液、尿、唾液、または脊髄液等の生物学的流体である。サンプルは、典型的には、着目標的を含む。生物学的サンプルの場合、その標的は、治療用薬物、乱用薬物、またはステロイド等の他の分子であってもよい。標的は、サンプル由来の成分またはサンプルに人工的に導入されたものであってもよい。ある実施形態では、内部標準もまた、導入される。
ある実施形態では、分析されるべき標的は、例えば、スプレーイオン化によって効率的にイオン化されない標的である。そのような実施形態では、荷電基を標的に付与し、それによって、イオン化をより受けやすくすることが可能な薬剤を導入することによって、標的分子を誘導体化することが有益である。例えば、ステロイドは、スプレーイオン化によってイオン化することが困難である。ヒドロキシルアミン等の薬剤をサンプルに導入することは、荷電基をステロイドに付与し、スプレーイオン化を受けやすくする。
選定される抽出溶媒は、抽出されるべき標的に依存し得る。また、イオン化のための溶媒の有効性を考慮することも重要である。理想的溶媒は、抽出およびイオン化の両方に良好である。そのような例示的溶媒は、酢酸エチルであるが、当業者は、他の溶媒もまた、サンプル中の標的の抽出およびイオン化の両方に効果的であることを認識し得る。複数の検体がサンプルから溶媒の中に抽出される実施形態では、溶媒はまた、検体を差動的に抽出することが可能であってもよい。
イオンを分析するための多数の方法が、存在する。ある実施形態では、分析は、イオンを質量分析計または小型質量分析計の質量分析器に導入するステップを伴う。例示的小型質量分析計は、例えば、Gao et al.(Anal.Chem.2008,80,7198−7205)に説明されており、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。数千ワットの電力を伴う実験室規模の器具のために使用されるポンプシステムと比較して、小型質量分析計は、Gao et alに説明されるシステムの場合、5L/分(0.3m/時間)ダイヤフラムポンプおよび11L/秒ターボポンプのみを伴う18Wポンプシステム等、概して、より小さいポンプシステムを有する。他の例示的小型質量分析計は、例えば、Gao et al.(Anal.Chem.,2006,80:7198−7205,2008)、Hou et al.(Anal. Chem., 83:1857−1861, 2011)、およびSokol et al.(Int.J.Mass Spectrom.,2011、306、187−195)に説明されており、そのそれぞれの内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
本発明の他の側面は、サンプル中の検体を分析するためのシステムを提供する。本システムは、イオン化プローブと、質量分析計とを含む。前述のように、質量分析計は、ベンチトップ質量分析計または小型質量分析計であってもよい。イオン化プローブは、遠位先端を含む、中空本体(例えば、先端まで伸展されたガラス製毛細管)を含む。中空本体は、本体内に基質が存在せず、電極が本体の表面上に配置されないように構成される。むしろ、電極は、少なくとも部分的に、中空本体内に配置される。ある実施形態では、電極は、中空本体の表面から離間される、すなわち、中空本体の表面に触れない。ある実施形態では、電極は、中空本体内に同軸に配置される。ある実施形態では、電極は、中空本体の遠位部分まで延在する。例示的電極は、金属ワイヤである。
ある実施形態では、プローブは、空気圧補助を伴わずに動作する。他の実施形態では、本システムは、噴霧ガス源を含む。噴霧ガス源は、ガスのパルスを提供するように構成されてもよく、またはガスの連続流れを提供するように構成されてもよい。
他の側面では、本発明は、検体をサンプルから抽出するための方法を提供する。これらの方法は、溶媒を毛細管の中に導入するステップを伴う。検体を含むサンプルもまた、毛細管の中に導入される。溶媒は、サンプルと混合しない。サンプルおよび溶媒は、毛細管内で移動され、サンプルおよび溶媒内に循環を誘発し、それによって、検体をサンプルから溶媒の中に抽出させる。ある実施形態では、溶媒が、最初に、導入され、サンプルは、次に、導入される。他の実施形態では、サンプルが、最初に、導入され、溶媒は、次に、導入される。ある実施形態では、サンプルおよび溶媒は、混和しない。ある実施形態では、1つを上回る溶媒が、使用される。例えば、第2の溶媒が、第1の溶媒とサンプルとの間にあるように導入されることができる(架橋溶媒を使用する3相実施形態)。第2の溶媒は、溶媒架橋として作用することができ、そのような実施形態では、典型的には、相互に混和性である、サンプルおよび第1の溶媒と混和しない。
ある実施形態では、本方法は、加えて、抽出された検体を分析するステップを伴ってもよい。分析は、検体が毛細管から排出されるように、毛細管内において、電圧を抽出された検体を含む溶媒に印加し、それによって、検体のイオンを生成し、イオンを分析するステップを伴ってもよい。他の実施形態では、分析するステップは、抽出された検体を含む溶媒を毛細管から除去するステップと、検体を分析するアッセイを行うステップとを伴ってもよい。
本発明の方法は、反応が監視されることを可能にする。反応を監視するために、本方法は、加えて、毛細管内のサンプルおよび溶媒の移動を停止させるステップ、溶媒の中に抽出された検体のある量を分析するステップを伴ってもよい。分析するステップの結果に基づいて、本発明の方法は、加えて、分析するステップの結果に基づいて、毛細管内のサンプルおよび溶媒の移動を再開させるステップを伴ってもよい。
本発明の別の側面は、複数の溶媒を毛細管の中に導入するステップを伴う、検体をサンプルから抽出するための方法を提供し、この方法では、各2つの隣接する溶媒は、相互に混合せず、毛細管内の溶媒を移動させ、各溶媒内に循環を誘発し、それによって、化学的化合物を溶媒間で移送させる。
図1Aは、本発明の例示的システムを示す。
図1Bは、本発明のシステムを使用する方法を示す。本図では、液体サンプルおよび有機溶媒の2つの不混和性相が、延伸先端を伴う毛細管内で隣接して注入される。液相は、毛細管を傾けるか、またはガス圧力を印加することによって、毛細管内で前後に移動され、マイクロ抽出を促進する。液相は、次いで、ガス圧力を印加することによって、抽出相が毛細管の延伸先端に到達するのに伴って押動され、ワイヤ電極が、抽出溶媒の中に挿入され、ナノESIのために、DC電圧を印加する。
図2パネルA−Cは、合成尿サンプル中の異なる化合物の定量化のための較正曲線を示す。図2パネルAは、メタンフェタミンを示す。図2パネルBは、ニコチンを示す。図2パネルCは、ベンゾイルエクゴニンを示す。薬物および内部標準を含有する10μLの合成尿が、測定のためのサンプルとして使用された。5μLの酢酸エチル(EA)が、抽出、精製、およびスプレーのための抽出相として使用された。内部標準:メタンフェタミン−d8(0.8ng/mL)、ニコチン−d32(ng/mL)、ベンゾイルエクゴニン−d3(1ng/mL)。使用された単一反応監視(SRM)遷移:メタンフェタミンm/z150→91、メタンフェタミン−d8m/z158→93;ニコチン163→130、ニコチン−d3m/z166→130;ベンゾイルエクゴニンm/z290→168、ベンゾイルエクゴニン−d3m/z293→171。分配係数:LogPメタンフェタミン=2.07;LogPニコチン=1.17、LogPベンゾイルエクゴニン=−0.59。
図3Aは、反応性スラグ流マイクロ抽出ナノESIを示し、サンプル相、誘導体化試薬相、および抽出相が隣接して注入された。抽出相は、試薬相またはサンプル相と混和しない。サンプル相および試薬相は、混和性であり得る。サンプル相中の検体は、SFME動作の間、誘導体化され、抽出相の中に抽出される。液相は、次いで、押動され、したがって、抽出相は、毛細管の延伸先端に到達するように押動され、ワイヤ電極が、抽出相の中に挿入され、ナノESIのために、DCスプレー電圧を印加する。
図3Bは、荷電錯体を形成するための荷電試薬とサンプル中の標的の結合を示し、これは、非荷電標的をよりスプレーイオン化を受けやすくする。
図4パネルA−Bは、スラグ流マイクロ抽出ナノESIを使用して得られたMS/MSスペクトルを示す。それぞれ、40ng/mLニコチン(図4パネルA)および40ng/mLメタンフェタミン(図4パネルB)を含有する、ウシ血液サンプルが、水で10倍に希釈され、次いで、SFMEナノESIを使用して分析された。10μLの希釈されたサンプル、5μLの酢酸エチルが使用された。
図5パネルA−Dは、試薬としてヒドロキシルアミンを伴う反応性スラグ流マイクロ抽出ナノESIを使用して得られたMS/MSスペクトルを示す。合成尿中、10μLの8ng/mLエピテストステロン(図5パネルA)、5ng/mL5α−アンドロスタン−3β、17β−ジオール−16−オン(図5パネルB)、5ng/mL6−デヒドロコレステノン(図5パネルC)、および5ng/mLスチグマスタジエノン(図5パネルD)とした。0.1%酢酸および10%ヒドロキシルアミンを含有する5μL水溶液が、試薬相として添加された。5μL酢酸エチルが、抽出相として使用された。
図6は、例示的3相流体システムを示す。不混和性3相SFMEを使用したサンプル分析:サンプル相は、高極性であって、HOおよびアセトニトリル等の比較的に高極性の溶媒が、抽出溶媒として使用されている。サンプルおよび抽出溶媒と混和しない、比較的に低極性の溶媒は、それらの間にプラグされ、それらを分離して保つ。ガラス製管類ではなく、疎水性管類が、この場合、使用され、単離を確実にする。押動および引動力は、抽出のために印加され、スラグ流移動を誘発する。抽出後、抽出物は、ナノESIによって直接もしくは間接的のいずれかで分析されるか、またはさらなる動作のために貯蔵されることができる。
図7は、低極性サンプル中の化学物質を分析するためのマイクロ抽出を示す。比較的に高極性の溶媒が、抽出およびスプレーイオン化のために使用され得る。
図8は、本発明のシステムおよび方法を使用した植物油の分析を示す。水およびメタノールの混合物が、抽出溶媒として使用された。図8パネルAは、ジアシルグリセロールおよびトリアシルグリセロール種が、ポジティブモードにおいて、MSスペクトル中で観察されたことを示す、MSスペクトルである。図8パネルBは、異なる脂肪酸が、ネガティブモードにおいて取得されたMSスペクトル中で観察されたことを示す、MSスペクトルである。
図9パネルA−Bは、3相SFME(図6)を使用した尿中の100ng/mLフェニルアラニン(165Da、logP=−1.38)の分析を示す。分子イオンのMS/MSスペクトルが、収集された。図9パネルAは、マトリクスの減少としてメタノールを使用して10倍に希釈され、直接、ナノESIによってスプレーされた5μLサンプルのMSスペクトルを示す。図9パネルBは、ヘキサン/HO:MeOH(1:1)を架橋/抽出溶媒として用いて3相SFMEによって処理され、次いで、ナノESIによって分析された5μLサンプルのMSスペクトルを示す。
図10は、溶融石英製毛細管を使用したウシ全血中の50ng/mLアミトリプチリンの分析を示す。
図11パネルAは、スラグ流マイクロ抽出を使用した毛細管内サンプル抽出を示す。図11パネルBは、ナノESI.MS/MSスペクトルを用いた後続MS分析を示す。図11パネルCは、5μL尿中の10ngmL−1メタンフェタミンの分析を示す。図11パネルDは、5μL尿中の50ngmL−1ベンゾイルエクゴニンの分析を示す。図11パネルEは、検体の抽出に及ぼすSFMEサイクルの回数の影響を示し、MS/MS生成イオンの強度は、それぞれ、尿サンプル中50ng/mLにおいて、メタンフェタミン(m/z150→91)、ニコチン(m/z163→130)およびベンゾイルエクゴニン(m/z290→168)であることが監視された。2kVが、ナノESIのために使用された。
図12パネルA−Bは、毛細管の内側の液体プラグの移動が2つの方法において生成され得ることを示す。図12パネルAは、毛細管を上下にゆっくりと傾ける様子を示す。図12パネルBは、ピペットを通して空気圧によって押動力および引動力を加える様子を示す。ピペット採取体積は、本目的のために、10μLと設定された。
図13パネルA−Bは、直接MS/MS分析のために記録されたスペクトルを示す。図13パネルAは、5μLの未希釈のヒト貯留血液中の1ngmL−1ベラパミルを示す。図13パネルBは、ヒト全血中に含有される内因性クレアチニンを示す。
図14Aは、平衡時の濃度を計算するための導出を示す。
図14Bは、SFME後の平衡時の内部標準的(IS)組み込み濃度を計算するための導出を示す。
図15は、メタンフェタミン(1−100ngmL−1)がスパイクされた全血の定量的分析を示す。血液サンプルは、粘度低下のために、10倍に希釈された。抽出溶媒酢酸エチル中のメタンフェタミン−d8(2ngmL−1)。
図16パネルAは、生体流体サンプルと抽出溶媒との間に注入された試薬プラグを伴う、反応性SFME−ナノESIを示す。図16パネルBのMS/MSスペクトルは、合成尿中の200ngmL−1エピテストステロンの直接SFME−ナノESI分析を示す。50mMヒドロキシルアミンを含有する5μL水が、試薬液体プラグのために使用された。図16パネルCは、合成尿中の200ngmL−1エピテストステロンの反応性SFME−ナノESI分析を示す。50mMヒドロキシルアミンを含有する5μLの水が、試薬液体プラグのために使用された。
図17パネルAは、コリンエステラーゼ(ChE)によって触媒されたアセチルチオコリン(ATCh)からチオコリン(TCh)の酵素変換の反応スキームを示す。図17パネルBは、SFME−ナノESIによって判定されたATCh消化の進行曲線を示す。インキュベーションが、30分にわたって行われ、血液コリンエステラーゼ(ChE)によって室温で触媒された。ヨウ化アセチルチオコリン標準が、ヒト全血の中に添加され、インキュベーション前の最終濃度1.8mg/mLとした。チオコリン(m/z102→61)および酵素基質(m/z162→103)からの生成イオンの強度比が、MRMを使用して監視された。図17パネルCは、異なるレベルの酵素阻害を伴う、血液ChEの評価を示す。血液サンプル中のChE活性は、5分間のインキュベーション後、SFME−ナノESIによって判定された。
図18パネルAは、希釈された血液の中へのアセチルチオコリンの混合直後(上)と60分後(下)に得られたサンプル(それぞれ5μL)のSFME−ナノESI MS分析のために記録されたSFME−ナノESI−MSスペクトルを示す。図18パネルBは、抽出溶媒による酵素活性に及ぼす影響の調査を示す。特定の溶媒の試験のために、5μL血液サンプル(希釈された)が、アセチルチオコリンを血液の中に混合直後、抽出溶媒プラグとともに毛細管の中に注入された。毛細管内での5分間のインキュベーション後、TCh/ATch比が、SFMEナノESI MSを使用して測定された。対照のために、アセチルチオコリンを希釈された血液の中に混合して5分後、サンプルが、採取され、SFMEナノESI MSと抽出相として酢酸エチルを併用して、直ちに分析された。1.5kVのスプレー電圧が、ナノESIのために使用された。
図19は、SFME−ナノESIにおいて使用される抽出相のための異なる有機溶媒の比較を示す。試験毎に、5ngmL−1メタンフェタミンがスパイクされたウシ全血が、水で10倍に希釈され、5μLサンプルが、次いで、サンプルプラグを調製するために使用され、5μLの1つの有機溶媒が、抽出プラグのために使用された。遷移m/z150→91を伴うSRM(単一反応監視)が、スプレー電圧が変動される間、プロトン化メタンフェタミンm/z150からの生成イオンm/z91の強度を記録するために使用された。
図20パネルA−Dは、5μL生物学的サンプル(未希釈)中の低濃度の薬物またはステロイドのMS/MS分析を示す。図20パネルAは、ウシ全血中の0.5ngmL−1メタンフェタミンを示す。図20パネルBは、ウシ全血中の0.5ngmL−1アミトリプチリンを示す。図20パネルCは、ウシ全血中の0.8ngmL−1ベラパミルを示す。図20パネルDは、反応性SFMEを使用した合成尿中の9ngmL−1エピテストステロンを示す。
図21は、エピテストステロンの誘導体化およびMS/MS断片化経路と、反応性SFME−ナノESIを使用したステロイドのMS/MS分析のための標的イオンの概要を提供する表とを示す。
図22は、SLMEナノESIを用いて得られたLODと、検出または監視するためのカットオフ濃度とを示す、表である。
(詳細な説明)
本発明は、スラグ流マイクロ抽出(SFME)、随意に、サンプルの高速分析のための抽出された検体のイオン化が続くためのシステムおよび方法を提供する。本発明のシステムおよび方法は、生体医療分野、医薬品分野、食品安全分野、および環境分野等、任意の商業または研究分野における検体の分析のために有用である。
ある実施形態では、本発明は、サンプル中の検体を分析するためのシステムを提供する。図1Aは、本発明のシステムの例示的実施形態を提供する。本システムは、イオン化プローブと、質量分析計とを含む。イオン化プローブは、遠位先端を含む、中空本体を含む。多数の異なるタイプの中空本体が、当業者によって想定されることができ、全て、本発明のシステムと協働し得。中空本体は、プローブの中に装填される溶媒のスプレーを吐出するための遠位先端を有することができる。例示的中空本体は、遠位先端を伴う、ナノESIプローブ毛細管である。例示的ナノESIプローブは、例えば、Karas et al.(Fresenius J Anal Chem.366(6−7):669−76、2000)およびEl−Faramawy et al.(J Am Soc Mass Spectrom,16:1702−1707、2005)のそれぞれに説明されており、そのそれぞれの内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。ナノESI針は、Proxeon Biosystems(Odense,Denmark)およびNew Objective Inc(Woburn,MA)から市販され入手可能である。他の実施形態では、本システムは、1つまたはそれを上回るスプレー先端と、1つまたはそれを上回る電極とを含む、サンプルカートリッジを含んでもよい。
例示的中空本体は、延伸先端を伴う、0.86mm内径のホウケイ酸ガラス製毛細管である。先端は、典型的には、約2μm〜約50μmの直径を有し得る。プラスチックおよびゴム製管類もまた、中空本体のために使用されることができる。例えば、中空本体は、PEEK管類(ポリエーテルエーテルケトンポリマー管類)またはTEFLON(登録商標)管類(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマー管類)、もしくはTYGON管類(種々のベース材料から成る可撓性管類)を含むことができる。
例示的中空本体は、延伸先端の有無にかかわらず、0.5mmまたは0.25mm内径の溶融石英製毛細管である。
図1Aに示されるように、中空本体は、溶媒と、溶媒と混和しないサンプルと等、少なくとも2つの不混和性流体で装填され、抽出は、プローブの中空本体内で行われる。本発明のこれらの側面は、以下により詳細に論じられる。ある実施形態では、プローブ本体内で抽出を行うために、本体は、任意の他の材料を欠いているべきである。例えば、基質(例えば、紙基質等の多孔性基質)、フィルタ、ビーズ、ゲル、または本体内に配置される他の物質は、存在しない。むしろ、本体は、抽出に伴われるであろう不混和性流体を受容するために、他の物質がなく、完全に空のままである。
ある実施形態では、磁気ビーズが、サンプルおよび溶媒プラグ中に添加され、交流磁場が、印加され、液体プラグの内側の磁気ビーズの移動を誘発し、それによって、液体−液体界面へおよびそこからの検体の移送のために、各プラグの内側の乱流を促進する。
ある実施形態では、本体の内側表面は、本体の内側表面の疎水性を調節するためにコーティングされる。疎水性領域は、フォトリソグラフィ、印刷方法、またはプラズマ処理を使用して等、公知の技法を使用して表面上にコーティングされてもよい。Martinez et al.(Angew.Chem.Int.Ed.2007,46,1318−1320);Martinez et al.(Proc.Natl Acad.Sci.USA2008,105,19606−19611);Abe et al.(Anal.Chem.2008,80,6928−6934);Bruzewicz et al.(Anal.Chem.2008,80,3387−3392);Martinez et al.(Lab Chip 2008,8,2146−2150);およびLi et al.(Anal.Chem.2008,80,9131−9134)(そのそれぞれの内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。ある実施形態では、本体は、均一疎水性を有するように調製される。他の実施形態では、本体は、多数の異なる領域を有するように調製されることができ、それぞれ、本体のその領域を充填する液体のタイプに基づき得る、異なる疎水性を有する。例えば、油系サンプルを受容する本体の領域は、水およびメタノール系溶媒を受容する本体の領域より疎水性となるように処理されることができる。
ある実施形態では、中空本体は、電極が本体の表面上に配置されないように構成される。代わりに、電極は、少なくとも部分的に、中空本体内に配置される。図1Aに示されるように、電極は、中空本体の中に延在する、金属ワイヤであることができる。電極のために典型的に使用される任意の金属が、金属電極のために使用されることができる。本金属ワイヤは、高電圧源等の電圧源に接続される。図1Aに示される金属ワイヤの長さは、例示にすぎない。金属ワイヤは、中空本体の中に任意の長さで延在することができる。金属ワイヤは、図1Aに示されるように、中空本体の遠位端まで延在することができる。代替として、金属ワイヤは、本体の中にそれほど遠く延在せず、図1Aに示されるものよりはるかに短くあることができる。中空本体に添加される溶媒の量は、ワイヤが本体に添加された溶媒と相互作用するために本体の中に十分に延在すべきであるため、金属ワイヤの長さを決定し得る。
図1Aに示されるように、金属ワイヤは、中空本体内で同軸に配置されてもよいが、これは、要求されない。典型的には、金属ワイヤは、図1Aに示されるように、中空本体の壁に触れない。金属ワイヤ電極およびその結合部は、中空本体に取り外し可能または恒久的に取り付けられることができる。図1Aに示されるように、金属ワイヤ電極およびその連結部は、中空本体に取り外し可能に取り付けられる。これは、中空本体の近位端が、本体の中への流体の導入のためのポートとして作用することを可能にする。そのような実施形態では、金属ワイヤ電極およびその結合部は、中空本体から除去され、流体が本体の中に導入される開口部を残す。いったん導入されると、金属ワイヤ電極およびその結合部は、中空本体に取り付けられ、中空本体を密閉する。
他の実施形態では、取付は、恒久的取付であって、本体に沿った1つまたはそれを上回る別個の流体ポートが、流体を中空本体に導入するために使用される。中空本体への金属ワイヤ電極およびその結合部の取付が、取り外し可能な取付である場合でも、中空本体は、依然として、本体に沿って1つまたはそれを上回る別個のポートを含み、流体を中空本体に導入することができる。
図1Aに示されるように、中空本体内の液体への高電圧の導入は、スプレーの形態で中空本体の遠位先端から液体を吐出させる。質量分析計の入口は、プローブから吐出された液体を受容するように動作可能に位置する。本距離は、典型的には、10mm未満であるが、しかしながら、サンプルからの信号が質量分析計内において生成されることを可能にする任意の距離が、好適である。本距離は、単に、プローブと質量分析計の入口との間の間隔を調節し、質量分析計によって生成される読取値を監視することによって、当業者によって決定されることができる。
他の実施形態では、延伸先端の外側壁は、金属でコーティングされることができる。高電圧は、スプレーイオン化のために、金属コーティングを通して印加されることができる。
当技術分野において公知の任意のタイプの質量分析計が、本発明のプローブと併用されることができる。例えば、質量分析計は、標準的ベンチトップ質量分析計であることができる。他の実施形態では、質量分析計は、小型質量分析計である。例示的小型質量分析計は、例えば、Gao et al.(Z. Anal. Chem ,2006, 78, 5994−6002)に説明されており、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。数千ワットの電力を伴う実験室規模の器具のために使用されるポンプシステムと比較して、小型質量分析計は、概して、Gao et al.に説明されるシステムのための5L/分(0.3m/時間)ダイヤフラムポンプおよびllL/秒ターボポンプのみを伴う18Wポンプシステム等、より小さいポンプシステムを有する。他の例示的小型質量分析計は、例えば、Gao et al.(Anal.Chem.,80:7198−7205,2008)、Hou et al.(Anal.Chem.,83:1857−1861,2011)、およびSokol et al.(Int.J.Mass Spectrom.,2011、306,187−195)に説明されており、そのそれぞれの内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。小型質量分析計はまた、例えば、Xu et al.(JALA,2010,15,433−439);Ouyang et al.(Anal.Chem.,2009,81,2421−2425);Ouyang et al.(Ann.Rev.Anal.Chem.,2009,2,187−214);Sanders et al.(Euro.J.Mass Spectrom.,2009,16,11−20);Gao et al.(Anal.Chem.,2006,78(17),5994−6002);Mulligan et al.(Chem.Com.,2006,1709−1711);およびFico et al.(Anal.Chem.,2007,79,8076−8082)にも説明されており、そのそれぞれの内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
ある実施形態では、質量分析計入口は、イオン化プローブから遠隔に位置し、イオン移送部材が、より長い距離にわたって移送するために使用される。例示的イオン移送部材は、例えば、Ouyang et al.(米国特許第8,410,431号)に説明されており、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
ある実施形態では、本発明のイオン化プローブは、空気圧補助を伴わずに動作する。すなわち、本発明のプローブを用いると、空気圧補助が、検体を輸送するために要求されない。むしろ、電圧は、単に、質量分析計の正面に保持される基質に印加される。しかしながら、ある実施形態では、噴霧ガスが、本発明のシステムと併用され、脱溶媒和を補助してもよい。噴霧ガスは、パルス状であるか、または連続流れとして提供されるかのいずれかであってもよい。他の実施形態では、ガス生成デバイスが、ガスを中空本体の中に注入し、サンプルおよび溶媒をプローブの遠位先端まで押動し得るように、プローブに動作可能に結合される。ガスは、典型的には、窒素またはアルゴン等の不活性ガスであるが、また、空気であることもできる。
ある実施形態では、イオン化プローブは、溶媒の連続流れ等の溶媒流れから離散(すなわち、別個または分断される)されて保たれる。代わりに、溶媒およびサンプルの離散量が、プローブの中空本体の中に導入される。プローブは、次いで、電圧源に接続され、サンプルのイオンを生成し、これは、続いて、質量分析される。サンプルは、別個の溶媒流れの必要なく、中空本体を通して輸送される。前述のように、空気圧補助は、検体を輸送するために要求されない。むしろ、電圧は、単に、質量分析計の正面に保持される、抽出された検体を含むプローブ内の溶媒に印加される。
図1Bは、本発明のシステムのための例示的使用方法を示す。ある実施形態では、そのような方法は、溶媒を遠位先端を含む中空本体の中に導入するステップを伴う。サンプルもまた、中空本体の中に導入される。溶媒は、サンプルと不混和性であって、少なくとも1つの検体をサンプルから溶媒の中に抽出する。電圧は、検体が本体の遠位先端から排出されるように、中空本体内において、抽出された検体を含む溶媒に印加され、それによって、検体のイオンを生成する。これらの排出されたイオンは、次いで、分析される。
図1Bは、延伸先端を伴う毛細管内に隣接して注入される、液体サンプルおよび有機溶媒の2つの不混和性相を示す。異なる相の異なる極性を前提として、1つまたはそれを上回る検体は、サンプルから溶媒の中に移動する(サンプルから溶媒の中への検体の抽出)。本抽出プロセスは、毛細管を傾けるか、またはガス圧力を印加すること等により、液相を前後に毛細管内で移動させ、マイクロ抽出を促進することによって、促進されることができる。液相は、次いで、ガス圧力を印加することによって(プローブに動作可能に結合されるガス生成デバイスから)、抽出相が毛細管の延伸先端に到達するのに伴って押動され得、ワイヤ電極が、抽出溶媒の中に挿入され、ナノESIのために、DC電圧を印加する。電圧は、質量分析計の入口に到達するスプレーとして、溶媒を中空本体の遠位先端から排出させる。
本発明の方法は、有機または非有機、生物学的または非生物学的等、任意のタイプのサンプルと併用されることができる。ある実施形態では、サンプルは、生体組織から導出されるか、または血液、尿、唾液、もしくは脊髄液等の生物学的流体である。サンプルは、分析されるべき着目検体を含んでもよい。本検体は、サンプル由来であることができ、またはサンプルの中に導入されてもよい。例示的検体として、治療用薬物、乱用薬物、および他のバイオマーカーが挙げられる。本明細書における実施例は、マトリクス効果の効果的抑制が、治療用薬物、乱用薬物、および他のバイオマーカーに対して達成されたことを示す。ある実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、生体流体サンプルまたは液体サンプルの直接分析のために使用されることができる。
溶媒は、サンプルと不混和性であって、サンプルの抽出およびイオン化の両方に対して機能する限り、任意の溶媒であってもよい。典型的には、選定される溶媒は、分析されるべきサンプルおよび/またはサンプル中にあると考えられる着目検体に依存し得る(図19)。考慮されるべき要因は、溶媒の極性である。2相抽出システムでは、理想的には、溶媒は、サンプルおよび/またはサンプル中にあると考えられる着目検体と異なる極性を有する。例えば、水性サンプルは、典型的には、高極性を有し、したがって、溶媒の良好な選択肢は、低極性を伴う有機溶媒となるであろう(例えば、メタノールまたは酢酸エチル、もしくはそれらの溶媒を含む混合物、例えば、水/メタノール混合物または水/酢酸エチル混合物)。油サンプルは、典型的には、低極性を有し、したがって、溶媒の良好な選択肢は、水/メタノール混合物等のより高い極性を伴う溶媒となるであろう。当業者は、分析されるべきサンプルに基づいて、使用に適切な溶媒を判定することが可能であり得る。
溶媒の別の考慮点は、サンプルからの検体の抽出のために良好であることに加え、また、サンプルをイオン化するためにも使用されることができることである。すなわち、溶媒は、抽出および抽出された検体のイオン化の両方に適合性であり得る。実施例に図示されるように、メタノールおよび酢酸エチルは、検体の抽出ならびに検体のイオン化のために良好に機能する一方、クロロホルムは、抽出のためには良好に機能するが、検体のイオン化のためにはそうではない。典型的には、溶媒がまた、サンプルと不混和性であって、検体をサンプルから抽出可能である限り、エレクトロスプレーイオン化と適合性のある溶媒が、可能性として、本発明のシステムおよび方法と併用されることができる。質量分析法の経験を有する当業者は、エレクトロスプレーイオン化と適合性のある特定の溶媒を熟知している。
本発明の方法はまた、標的検体の全体的分析効率を改善するために使用され得る、リアルタイム化学的反応を伴うことができる。そのような派生を行うために、荷電官能基を検体に付与する薬剤を含有する溶液が、中空本体に導入される。本溶液は、典型的には、溶媒とサンプルとの間に導入される。溶液中の薬剤は、サンプル中の検体と相互作用し、荷電官能基をサンプルに付与し、検体のイオン化を可能にする。
ある実施形態では、1つを上回る検体(例えば、複数の検体)が、サンプルから溶媒の中に抽出される。複数の検体は、同時に抽出されることができる。代替として、検体は、典型的には、検体の極性および溶媒の極性に基づいて、溶媒の中に差動的に抽出される。
本発明の方法は、2つの不混和性流体を使用して論じられたが、本発明のシステムおよび方法は、2つの流体の使用に限定されない。任意の数の流体が、3つの流体、4つの流体、5つの流体等、本発明のシステムおよび方法と併用されることができる。ある実施形態では、3つの流体システムが、使用される。そのような実施形態では、2つの混和性流体は、不混和性流体によって分離される。例示的3つの流体システムは、図6に示される。サンプル−溶媒架橋−抽出/スプレー溶媒の極性は、高−低−高または低−高−低であることができる。適切な疎水性を伴う毛細管表面は、溶媒架橋を安定化させるために選択することができ、これは、類似極性(混和性であることを意味する)のサンプル相および抽出溶媒相を分離する。実施例として、抽出のための尿サンプルプラグおよびメタノール/水プラグが、酢酸エチルまたはヘキサンによって分離されることができ、そして疎水性表面を伴うTeflon毛細管が、使用され得る。
ある実施形態では、本発明のシステムおよび方法はまた、後に分析されるであろうサンプルを調製するために使用されることができる。抽出溶媒は、液体サンプルとして貯蔵されるか、または紙基質もしくはMALDIプレート上に堆積され、乾燥されたサンプルスポットを調製することができる。内部標準が、SFMEプロセスの間、乾燥されたサンプルスポットの中に組み込まれることができる。標的検体は、SFMEプロセスの間、化学修飾されることができる。
他の実施形態では、中空本体は、抽出毛細管がイオン化プローブとして使用されないため、遠位先端を要求しない。そのような実施形態では、抽出は、単に、前述のように、毛細管内で行われる。抽出が完了した後、抽出された検体を含有する溶媒は、毛細管から取り出され、次いで、当技術分野において公知の任意の方法を使用して分析される。例えば、抽出された検体を含有する溶媒が、図6に示されるように、別個のイオン化プローブの中に装填され、次いで、質量分析法によって分析されてもよい。他の実施形態では、検体は、当技術分野において公知の任意の分光法技法または他のアッセイ等の異なる様式で分析される。
(参照による援用)
特許、特許出願、特許公開、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツ等、他の文書の参照および引用が、本開示全体を通してなされている。全てのそのような文書は、あらゆる目的のために、それらの全体が、本明細書に参照することによって本明細書に援用される。
(均等物)
本明細書に示され、説明されるものに加えて、本発明の種々の修正および多くのそのさらなる実施形態が、本明細書に引用される科学的および特許文献の参照を含む、本書の全容から、当業者に明白となる。本明細書における主題は、その種々の実施形態およびその均等物における、本発明の実践に適合され得る、重要な情報、例示、および指針を含んでいる。
実施例1:マイクロ抽出プロトコル
本発明のシステムおよび方法が、ベンゾイルエクゴニン、ニコチン、またはメタンフェタミンを含有する10μL尿サンプルを分析するために使用され、1ng/mLを上回るLODが達成された(図2パネルA−C)。化学的平衡が、より高い傾斜率(約30/分)でより高速に達成された。信号の有意な改善が、マトリクス効果の効果的抑制に起因して、抽出溶媒に対して比較的に低分配係数を伴う検体に対しても観察された。異なる溶媒が、抽出のために試験された。クロロホルム等の非極性溶媒は、抽出のために効率的であるが、後続イオン化のためには比較的不良であることが見出された。メタノールのオンライン注入が、これらの溶媒の中に抽出される検体の直接イオン化を促進するために使用され得た。しかしながら、酢酸エチルは、ナノESIによって等、抽出およびイオン化の両方のために効果的であることが見出された。種々の方法がまた、動作手順を単純に維持しながら、定量化のための内部標準の組み込みのために模索された。良好な直線性(R2=0.99)を伴うニコチンの較正が、得られた(図2パネルB)。
実施例2:リアルタイム誘導体化
本発明の方法はまた、標的検体の全体的分析効率を改善するために使用され得る、リアルタイム化学反応を伴うことができる。これは、尿中のステロイドの分析によって例示される。その効率は、ステロイドを尿から抽出するために高いはずであると期待された。しかしながら、ステロイドは、スプレーイオン化によってイオン化することが困難である。リアルタイム誘導体化が、5%ヒドロキシルアミンを伴う3μL水溶液を抽出溶媒(酢酸エチル)と尿サンプルとの間に注入することによって、SFME−ナノESIのために行われた(図3A−B)。サンプルおよびステロイドと迅速に混合された反応物溶液は、有機相の中に抽出されている間に、荷電官能基を用いて誘導体化された。MSスペクトル中の信号は、数桁の大きさで改善された。0.2、0.7、0.6、0.8ng/mLのLODが、それぞれ、10mLを下回る量の尿サンプル中において、5α−アンドロスタン−3β、17β−ジオール−16−オン、エピテストステロン、4,6−コレスタジエン−3−オン、およびスチグマスタジエノンに対して得られた。
(反応スキーム)
(生成イオン)
スキーム1.ステロイドに及ぼすヒドロキシルアミンとカルボニル基との間の反応
図5パネルA−Dは、反応性スラグ流マイクロ抽出ナノESIと試薬としてヒドロキシルアミンを併用して得られたMS/MSスペクトルを示す。合成尿中、10μLの8ng/mLエピテストステロン(図5パネルA)、5ng/mL5α−アンドロスタン−3β、17β−ジオール−16−オン(図5パネルB)、5ng/mL6−デヒドロコレステノン(図5パネルC)、および5ng/mLスチグマスタジエノン(図5パネルD)とした。0.1%酢酸および10%ヒドロキシルアミンを含有する5μL水溶液が、試薬相として添加された。5μL酢酸エチルが、抽出相として使用された。
前述のサンプルの分析は、そうでなければ、サンプル抽出、液体クロマトグラフィ、およびエレクトロスプレーイオン化または大気圧化学的イオン化を使用した質量分析を使用する、従来の実験室手順を使用して分析される必要があるであろう。要求されるサンプル量は、有意により大きくなる(約1mL)。
実施例3:低粘度を伴う生物学的流体の直接分析
尿等の生物学的サンプルが、直接、SFMEナノESIを使用して分析された。図2パネルA−Cは、合成尿サンプル中のメタンフェタミン(図2パネルA)、ニコチン(図2パネルB)、およびベンゾイルエクゴニン(図2パネルC)の定量化のための較正曲線である。薬物および内部標準を含有する10μL合成尿が、測定のためのサンプルとして使用された。5μL酢酸エチル(EA)が、抽出、精製、およびスプレーのための抽出相として使用された。内部標準:メタンフェタミン−d8(0.8ng/mL)、ニコチン−d32(ng/mL)、ベンゾイルエクゴニン−d3(1ng/mL)。使用される単一反応監視(SRM)遷移:メタンフェタミンm/z150→91;メタンフェタミン−d8m/z158→93;ニコチン163→130、ニコチン−d3m/z166→130;ベンゾイルエクゴニンm/z290→168;ベンゾイルエクゴニン−d3m/z293→171。分配係数:LogPmethamphetamine=2.07;LogPnicotine=1.17、LogPbenzoylecgonine=−0.59。
高濃度塩に起因するマトリクス効果は、最小限にされた。良好なLODが、乱用薬物である、抽出相に対して比較的に低分配係数を伴うベンゾイルエクゴニンに対しても得られた。分配係数(LogP)は、以下のように定義される。
LogP=log([溶質]octanol/[溶質]water)(これは、平衡時の水性相と混和しないオクタノール等の有機相中の非イオン化化合物の溶解度差を表す。)
実施例4:粘性生体流体の直接分析
粘性生体流体サンプルのために、サンプルの希釈が、本発明のシステムおよび方法との動作を可能にするために適用された。実施例として、薬物を含有する血液サンプルは、SFMEナノESIによる分析の前に、10倍に希釈された。図4パネルA−Bにおけるデータは、本発明の方法が血液サンプルからの検体を分析可能であったことを示す。図4パネルA−Bは、スラグ流マイクロ抽出ナノESIを使用して得られたMS/MSスペクトルを示す。それぞれ、40ng/mLニコチン(図4パネルA)および40ng/mLメタンフェタミン(図4パネルB)を含有するウシ血液サンプルが、水で10倍に希釈され、次いで、SFMEナノESIを使用して分析された。10μLの希釈されたサンプル、5μL酢酸エチルが、使用された。
実施例5:分析性能の概要
実施例6:油サンプルの直接分析
前述の実施例は、血液または尿等の高極性の水性サンプル中の薬物化合物が、低極性の有機溶媒に対して抽出されたことを示す。本発明のシステムおよび方法はまた、図7に示されるように、油等の低極性サンプルのサンプルからの検体を水/メタノール溶媒等の高極性の抽出溶媒に対して抽出することによっても適用されることができる。結果は、図8に示されており、これは、本発明のシステムおよび方法を使用した植物油の分析を示す。水とメタノールの混合物が、抽出溶媒として使用された。図8パネルAは、ジアシルグリセロールおよびトリアシルグリセロール種が、ポジティブモードにおいて、MSスペクトル中で観察されたことを示す、MSスペクトルである。図8パネルBは、異なる脂肪酸がネガティブモードにおいて取得されたMSスペクトル中で観察されたことを示す、MSスペクトルである。
実施例7:3相法
3相法が、図6に例示されるように行われることができる。サンプル−溶媒架橋−抽出/スプレー溶媒の極性は、高−低−高または低−高−低であることができる。適切な疎水性を伴う毛細管表面が、類似極性(混和性であることを意味する)のサンプル相および抽出溶媒相を分離する、溶媒架橋(中央相)を安定化させるために選択されることができる。実施例として、尿サンプルプラグおよび抽出のためのメタノール/水プラグが、酢酸エチルまたはヘキサンによって分離されることができ、疎水性表面を伴うTeflon毛細管が、使用されることができる。尿からのフェニルアラニンの分析は、図9パネルA−Bに示される。フェニルアラニンは、比較的に高極性である。フェニルアラニン分子は、尿中の塩からそれらを分離するヘキサンを通して、尿からHO:MeOH(1:1)に対して抽出された。これは、精製プロセスである。
尿およびヘキサンを伴う2相法が、使用される場合、フェニルアラニンは、比較的に高極性であって、したがって、ヘキサン中の溶解度は、比較的に低く、濃度は、ヘキサン中で低くなるであろう。また、ヘキサンは、HO:MeOH(1:1)等の極性溶媒と比較して、スプレーイオン化のためにあまり好ましくない。高−低−高としての極性順序におけるサンプル−架橋−スプレーを伴う3相法は、高極性の化合物が、高極性溶媒の中に濃縮されることを可能にし、これは、スプレーイオン化に好適である。後続分析が、前述のように、抽出溶媒をスプレーイオン化のための延伸先端を伴う毛細管(図6)に移送することによって、または毛細管からの直接スプレーイオン化を用いて行われる。
リアルタイム化学的誘導体化が、反応試薬を架橋溶媒または抽出/スプレー溶媒の一方または両方内に添加することによって適用されることができる。リアルタイム内部標準的組み込みは、架橋溶媒または抽出/スプレー溶媒の一方または両方内に内部標準を事前に添加することによって適用されることができる。
実施例8:溶融石英製管類(内径500μm)内におけるマイクロ抽出
SFMEサンプル処理は、一般に、液体クロマトグラフィシステム内の液体ラインとして使用される、より小さい直径の溶融石英製管類(例えば、500μmまたはそれ未満の内径を有する管類)内で行われることができる。抽出は、押動および引動力を管類の片側に印加することによって、誘発されることができる。抽出物は、ナノESIによって直接分析されるか、またはさらなる動作のために貯蔵されるかのいずれかであることができる。
図10は、ウシ全血中の50ng/mLアミトリプチリンの分析を示す。分子イオンのMS/MSスペクトルが、収集された。血液サンプルは、最初に、粘度の減少としてHOを使用して10倍に希釈された。抽出のために、5μmの希釈されたサンプルが、本発明の方法を使用して、溶融石英製管類(内径500μm)内で処理された。抽出物は、次いで、ナノESIエミッタの中に注入され、ナノESIによって分析された。
実施例9:スラグ流マイクロ抽出ナノESIを使用した生体流体サンプルの直接質量分析法分析
単純手順を伴う生体流体の直接質量分析法(MS)分析は、MS技術の臨床および診療現場用途への移行における重要なステップを表す。現在の研究は、血液および尿中の有機化合物のMS分析のために、スラグ流マイクロ抽出およびナノESI(エレクトロスプレーイオン化)を使用した単一ステップ方法の開発を報告している。高感度および定量化精度が、5μLサンプル中の治療用および違法薬物の分析のために達成されている。リアルタイム化学的誘導体化が、アナボリックステロイドを分析するために組み込まれている。酵素機能の監視もまた、湿潤血液中のコリンエステラーゼを用いて実証されている。報告された研究は、生物学的サンプルのMS分析の従来の複雑な実験室手順の代わりに、単純動作で高度に機能する使い捨てカートリッジの将来的開発を促す。
質量分析法(MS)は、化学的および生物学的分析のための有力なツールとして実証されている。定量化における高特異性、高感度、および高精度は、従来、マトリクス効果をMS分析に先立ったサンプル抽出およびクロマトグラフィ分離を通して排除することによって、実験室において達成される。特に、ペーパースプレーを使用した最近の実証を伴う、大気圧イオン化の開発は、高定量化性能であるが、ごく少量のサンプルを消費する高度に簡略化されたプロトコルを使用する、直接MS分析のための有望な将来性を示した。これは、MS分析の実験室外用途、特に、診療現場(POC)診断への移行に非常に重要であり得る。本方向性に沿った開発成功のための根本原理は、サンプル消費を最小限にし、検体抽出およびイオン化のための統合されたプロセス内で高効率を達成することである。スラグ流マイクロ抽出(SFME)およびナノESI(エレクトロスプレーイオン化)は、生体流体サンプルの1ステップ分析を行うために組み合わせられることができる。優れた感度および高定量化精度が、わずか5μLの血液および尿サンプルを用いて得られた。より重要なこととして、SFME−ナノESI方法は、単純デバイスを使用して、高性能質量分析のために必要である、液体−液体抽出、内部標準(IS)の組み込み、化学的誘導体化、またはさらに酵素反応を含む、種々の異なるプロセスを組み込む方法を実証した。
全ての実験は、TSQ Quantum Access Max(Thermo Fisher Scientific,San Jose,CA, USA)を用いて実施された。ウシ血液は、Innovative Research Inv.(Novi,MI,USA)から購入された。酵素反応研究のためのヒト貯留血液が、BioreclamationIVT(Baltimore,MD,USA)から購入された。合成尿は、CST Technologies(Great Neck,NY,USA)から購入された。ステロイドは、Steraloids Inc.(Newport,RI,USA)から購入された。全ての他の化学物質は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO,USA)から購入された。
ナノESIのための延伸先端を伴う0.8mm内径(図11パネルA)の使い捨てガラス製毛細管が、サンプリングイオン化プロセス全体を行うために使用された。2つの隣接する液体プラグが、5μL有機溶媒および5μL尿または血液サンプルを毛細管の中に連続して注入することによって形成された。生体流体から有機溶媒の中への検体の液体−液体抽出が、予期されるが、小界面接触面積に起因して、非常に低効率である。しかしながら、抽出速度は、毛細管を傾けることによって(図11パネルAおよび図12パネルA)、または空気圧を通して押動および引動力を印加することによって(図12パネルB)、促進され得る、2つの液体プラグの移動によって誘発されたスラグ流を用いて有意に改善され得た。スラグ流は、毛細管壁との摩擦に起因して形成され、各プラグの内側の流れ(図11パネルA)は、検体を液体−液体界面に、およびそこから離れるように移送し、したがって、抽出効率を有意に改善する。抽出プロセス後、有機溶媒プラグは、単に、毛細管の先端に押動されることができる。ステンレス鋼ワイヤが、次いで、生体流体サンプルを通して挿入され、有機溶媒プラグに到達した。高電圧が、印加され、MS分析のためのナノESIを生成した(図11パネルB)。有機溶媒の選択は、重要である。それは、生体流体サンプルと不混和性であって、標的検体に対して良好な溶解度を有し、ナノESIに好適なものであるべきである。いくつかの有機溶媒が、試験され(図19)、弱極性の酢酸エチルが、尿(図11パネルC−D)および血液サンプル(図13パネルA−B)中の広範囲の化学化合物を分析するための最適性能を提供することが見出された。
スラグ流を用いた抽出プロセスは、メタンフェタミン、ニコチン、およびベンゾイルエクゴニン(コカインの主要代謝物)を尿サンプルから抽出するために試験されたとき、非常に効率的であることが示された。平衡が、毛細管を5回傾けた後に達成された(図11パネルEおよび図20パネルA−D)。ベラパミルに対する0.05ng/mLと良好な検出限界(LOD)が、SFME−ナノESIを使用して、全血サンプルに対して得られた(表2)。
血液サンプルが粘度を減少させるために希釈された場合、平衡に到達するために、より少ない抽出サイクルが必要とされた。サンプルと抽出相との間の検体の分布は、分配係数(logP、図14参照)によって相対的に推定されることができる。logP2.1を伴うメタンフェタミンの場合、有機抽出溶媒中のその濃度は、SFME後の尿サンプル中より100倍高くあることができ、尿サンプルを用いて達成された0.03ng/mLの良好なLODを明白に説明している(表1)。ベンゾイルエクゴニンに対するlogP値は、−0.6であって、これは、有機溶媒中より尿中においてより高い溶解度を有し、酢酸エチルの中への抽出が希釈プロセスであったことを意味する。しかしながら、0.08ng/mLのLODは、それにもかかわらず達成された。これは、未加工尿サンプル中のベンゾイルエクゴニンの検出における制限要因が、ベンゾイルエクゴニンの絶対量または濃度ではなく、尿サンプル中の高濃度の塩に起因するイオン化抑制等のマトリクス効果による干渉であり得ることを示す。塩からのベンゾイルエクゴニンの効率的分離が、SFMEプロセスにおいて達成された。抽出相中のベンゾイルエクゴニン濃度が低くても、分析のイオン化効率および全体的感度は、有意に改善された。
感度に加え、定量化における適正な精度が、多くの場合、臨床およびPOC用途に必須である。内部標準の正確な組み込みのための単純手段が、重要であるが、低侵襲的方法によって採取される小体積のサンプルに対しては困難であり得る。SFME−ナノESIを使用することによって、IS化合物が、抽出相中にスパイクされ(図15)、続いて、スラグ流抽出プロセスの間、検体と混合され得る。この方法は、ISが2ng/mLで酢酸エチル中にスパイク混入されたとき、メタンフェタミン−d8を伴うウシ血液サンプル中のメタンフェタミンの定量化のために試験された。血液サンプルは、10倍に希釈され、次いで、SFME−ナノESIおよびMRM分析を使用して分析された(それぞれ、検体およびISに対して、遷移m/z150から91およびm/z158から94)(図15、差込図)。測定された検体/IS比(A/IS)は、図15に示されるように、血液中のオリジナル検体濃度の関数としてプロットされた。良好な直線性が、得られ、これは、分配プロセスによって左右される(補足情報における導出参照)。10%より良好なRSDが、10ng/mLより高い濃度のサンプルに対して得られた。
化学的誘導体化は、MS分析のための分離またはイオン化の効率を改善するために、標的検体の特性を改変する効果的方法である。例えば、尿または血液サンプル中のステロイドは、SFMEを使用して、有機相の中に良好に抽出されることが予期される。しかしながら、ナノESIによる後続イオン化に対する効率は、ステロイド分子の低プロトン親和力に起因して低いであろう。ヒドロキシルアミンとの反応は、ステロイドのイオン化効率を改善する際に効果的であることが以前に証明されており、したがって、本研究では実施例として使用された。50mMヒドロキシルアミンを含有する5μL水の付加的液体プラグが、5μL酢酸エチルと200ngml−1エピテストステロンがスパイクされた5μL尿サンプルとの間に注入された(図16パネルA)。5回のSFMEサイクルを用いて、ヒドロキシルアミン溶液は、尿サンプルと良好に混合された。反応生成物m/z304のMS/MS分析は、有意に改善された信号対雑音比(S/N)のスペクトルを生成した(図16パネルB−Cおよび図21)。反応性SFME−ナノESIが、エピテストステロン、6−デヒドロコレステノン、5α−アンドロスタン−3β、17β−ジオール−16−オン、およびスチグマスタジエノンを含む、5μL尿サンプル中の一連のアナボリックステロイドの分析のために適用され、それぞれ、0.7、0.6、0.2、および0.8ng/mLのLODが、得られた(表1および図22)。
SFMEを用いた液体−液体抽出プロセスを使用することによって、分析は、今や、直接、湿潤血液サンプルを用いて行われることができる。これは、オリジナル液体サンプルとともにのみ存在する、化学的および生物学的特性を調査するための機会を提供する。例えば、タンパク質の酵素機能は、典型的には、乾燥された血液スポット内またはサンプル抽出のための従来の実験室手順後には、抑えられる。SFME−ナノESIが、全血サンプル中のコリンエステラーゼ(ChE)の酵素活性を監視するために適用された。ChEは、アセチルチオコリン(ATCh)からチオコリン(TCh)への酵素変換を促進する(図17、パネルA)。血液サンプルは、10倍に希釈され、反応速度を減速させ、SFMEのためのスラグ流を促進した。基質であるヨウ化アセチルチオコリンが、1.8mg/mLの濃度で希釈された血液サンプルの中に添加され、次いで、5μLサンプルが、直ちに採取され、5μL抽出相とともに毛細管の中に注入された。サンプルおよび抽出溶媒を伴う毛細管は、インキュベーションのために、室温25℃に置かれた。SFME−ナノESIは、同一サンプル上で繰り返し行われることができ、基質ATChと反応生成物TChの比率が、ChEの酵素活性を特性評価するために、時間の関数として監視することができた。本アプローチにおける潜在的問題は、有機溶媒による酵素機能への損傷であろう。有機抽出相による影響が、5分間のインキュベーションを用いて、酢酸エチルおよびクロロホルム等の他の溶媒に対して調査された。酢酸エチルとの接触に起因するChE活性の減少は、最小限であるが、クロロホルムでは、はるかに深刻であった(60%を上回る低下)ことが見出された。酢酸エチルのような弱極性溶媒は、酵素構造をより良好に保存することができる。
酢酸エチルを抽出溶媒として使用することによって、SFME−ナノESIが、30分にわたって繰り返し行われ、分析毎に1500VにおけるSFMEのための5回のサイクルおよび5秒(5s)のナノESIを伴った。TCh/ACTh比は、図17パネルBにおいて、時間の関数としてプロットされ、これは、ChEの酵素活性について特性である。酵素阻害研究が、次いで、本方法の検証として実施された。ドネペジル(アルツハイマー病のための治療用薬物)およびエチオン(ニューロン毒性物)の2つのChE阻害剤が、血液サンプルの中に別個にスパイクされ、酵素阻害を異なる程度でシミュレートした。損なわれた酵素活性が、次いで、5分間のインキュベーションを用いたSFME−ナノESI方法を使用して、判定された。阻害剤の添加を伴わない血液サンプルと比較して、測定された欠損が、25ng/mLおよび5μg/mLにおけるドネペジルと、10μg/mLにおけるエチオンで、処理された血液サンプルについて、図17パネルCで報告される。観察された低下%は、以前の研究で報告された知見と一致する。
要するに、スラグ流マイクロ抽出とナノESIとの組み合わせは、生体流体中の有機化合物の高感度直接分析を可能にした。従来、実験室における複雑な設定を要求する、サンプル処理のための複数のタイプのプロセスが、今や、非常に簡略化された動作手順を伴う、1ステップ分析の中に組み込まれることができる。生体流体サンプルは、乾燥されたスポットにされずに、直接分析されるため、効率的液体−液体抽出が、分配特性に基づいて、設計されることができる。湿潤生体流体の化学的および生物学的特性もまた、留保され、それによって、特性評価されることができる。抽出プロセスは、サンプルおよび抽出プラグの移動を制御することによって、オンおよびオフにされることができる。これは、わずか5μLの生体流体サンプル中の化学的および生物学的反応のオンライン監視を可能にする。MS技術の臨床用途への移行の増加する関心に伴って、本開発は、直接分析のための適正な機能を伴う使い捨てサンプルカートリッジを設計することに深い含意を有する。これは、最終的には、複雑な設定および専門知識を要求する、従来の実験室手順の排除につながり得る。小型質量分析計を伴うその実装は、POC診断のための有力な解決策をもたらすであろう。
実施例10:SFME−ナノESIによる酵素活性監視
酵素反応を開始するために、アセチルチオコリン(最終濃度1.8mgmL−1)が、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で10倍に希釈されたヒト血液サンプルの中に添加された。図17パネルBについてのデータを生成する実験のために、アセチルチオコリンが添加された5μL血液サンプルが、5μL抽出溶媒とともに毛細管の中に装填された。酵素反応進行は、基質(m/z162)および反応生成物チオコリン(m/z120)のSFME−ナノESIMS分析を周期的に行うことによって判定された(図18パネルA−B)。SFME−ナノESIMS分析毎に、液体プラグが、押動され、抽出溶媒をスプレーのための毛細管先端に到達させ、次いで、MS分析後に引き戻された。MRMが、TCh(m/z120→61)およびATCh(m/z162→102)の強度を測定するために行われた。TCh/ATchの比率は、図17パネルBにおけるプロットを生成するために使用される。3回の繰り返しが、各時間点について行われ、標準偏差は、図17パネルBにおける誤差バーでマークされる。
本発明の別の側面は、複数の溶媒を毛細管の中に導入するステップを伴う、検体をサンプルから抽出するための方法を提供し、この方法では、各2つの隣接する溶媒は、相互に混合せず、毛細管内の溶媒を移動させ、各溶媒内に循環を誘発し、それによって、化学的化合物を溶媒間で移送させる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
サンプル中の検体を分析するためのシステムであって、前記システムは:
中空の本体であって、前記本体内に基質はなく、前記本体の表面上に配置される電極はない中空本体と、少なくとも部分的に前記中空本体内に配置される電極とを備えるイオン化プローブと、質量分析計とを備える、システム。
(項目2)
前記プローブは、空気圧補助を伴わずに動作する、項目1に記載のシステム。
(項目3)
噴霧ガス源をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記噴霧ガス源は、ガスのパルスを提供するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記噴霧ガス源は、ガスの連続流れを提供するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記電極は、前記中空本体内で同軸に配置される、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記電極は、前記中空本体の遠位部分まで延在する、項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記電極は、金属ワイヤである、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記中空本体は、ガラスを含む、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記質量分析器は、小型質量分析器である、項目1に記載のシステム。
(項目11)
サンプル中の検体を分析するための方法であって、
溶媒を遠位先端を備える中空本体の中に導入するステップと、
サンプルを前記中空本体の中に導入するステップであって、前記溶媒は、前記サンプルと混合しない、ステップと、
少なくとも1つの検体を前記サンプルから前記溶媒の中に抽出するステップと、
前記検体が前記本体の遠位先端から排出されるように、前記中空本体内において、電圧を前記抽出された検体を含む溶媒に印加し、それによって、前記検体のイオンを生成するステップと、
前記イオンを分析するステップと
を含む、方法。
(項目12)
前記方法はさらに、荷電官能基を前記検体に付与する薬剤を導入するステップを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記溶媒は、前記抽出および前記抽出された検体のイオン化の両方に適合する、項目11に記載の方法。
(項目14)
分析するステップは、前記イオンをベンチトップ質量分析計または小型質量分析計に導入するステップを含む、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記溶媒は、前記サンプルの導入に先立って、前記中空本体に導入される、項目11に記載の方法。
(項目16)
前記電圧を印加するステップに先立って、前記サンプルおよび前記溶媒を混合するステップをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目17)
複数の検体が、前記溶媒の中に抽出される、項目11に記載の方法。
(項目18)
前記複数の検体は、前記溶媒の中に差動的に抽出される、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記電圧を印加するステップは、
前記サンプルを通して前記溶媒の中に金属ワイヤを挿入するステップと、
前記金属ワイヤを介して、前記電圧を前記溶媒に印加するステップと、を含む、項目11に記載の方法。
(項目20)
噴霧ガスもまた、前記抽出されたサンプルに印加される、項目11に記載の方法。
(項目21)
検体をサンプルから抽出するための方法であって、
溶媒を毛細管の中に導入するステップと、
検体を含むサンプルを前記毛細管の中に導入するステップであって、前記溶媒は、前記サンプルと混合しない、ステップと、
前記毛細管内の前記サンプルおよび前記溶媒を移動させるステップであって、前記サンプルおよび前記溶媒内に循環を誘発し、それによって、前記検体を前記サンプルから前記溶媒の中に抽出させるステップと
を含む、方法。
(項目22)
前記抽出された検体を分析するステップをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
分析するステップは、
前記検体が前記毛細管から排出されるように、前記毛細管内において、電圧を前記抽出された検体を含む溶媒に印加するステップであって、それによって、前記検体のイオンを生成するステップと、
前記イオンを分析するステップと
を含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
分析するステップは、
前記抽出された検体を含む溶媒を前記毛細管から除去するステップと、
前記検体を分析するアッセイを行うステップと
を含む、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記溶媒が、最初に、前記毛細管に導入される、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記サンプルが、最初に、前記毛細管に導入される、項目21に記載の方法。
(項目27)
前記毛細管内の前記サンプルおよび前記溶媒の移動を停止させること、
前記溶媒の一部を除去すること、
前記溶媒の中に抽出された検体のある量を分析することによって、前記抽出を監視するステップをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目28)
前記分析することの結果に基づいて、前記毛細管内の前記サンプルおよび前記溶媒の移動を再開させるステップをさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記溶媒は、前記サンプルと混和しない、項目21に記載の方法。
(項目30)
前記溶媒は、前記サンプルと混和性であって、前記方法はさらに、架橋溶媒が前記溶媒と前記サンプルとの間にある様式において前記溶媒および前記サンプルと混和しない架橋溶媒を前記毛細管の中に導入するステップを含む、項目21に記載の方法。

Claims (30)

  1. サンプル中の検体を分析するためのシステムであって、前記システムは:
    中空の本体であって、前記本体内に基質はなく、前記本体の表面上に配置される電極はない中空本体と、少なくとも部分的に前記中空本体内に配置される電極とを備えるイオン化プローブと、質量分析計とを備える、システム。
  2. 前記プローブは、空気圧補助を伴わずに動作する、請求項1に記載のシステム。
  3. 噴霧ガス源をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記噴霧ガス源は、ガスのパルスを提供するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記噴霧ガス源は、ガスの連続流れを提供するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記電極は、前記中空本体内で同軸に配置される、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記電極は、前記中空本体の遠位部分まで延在する、請求項6に記載のシステム。
  8. 前記電極は、金属ワイヤである、請求項7に記載のシステム。
  9. 前記中空本体は、ガラスを含む、請求項1に記載のシステム。
  10. 前記質量分析器は、小型質量分析器である、請求項1に記載のシステム。
  11. サンプル中の検体を分析するための方法であって、
    溶媒を遠位先端を備える中空本体の中に導入するステップと、
    サンプルを前記中空本体の中に導入するステップであって、前記溶媒は、前記サンプルと混合しない、ステップと、
    少なくとも1つの検体を前記サンプルから前記溶媒の中に抽出するステップと、
    前記検体が前記本体の遠位先端から排出されるように、前記中空本体内において、電圧を前記抽出された検体を含む溶媒に印加し、それによって、前記検体のイオンを生成するステップと、
    前記イオンを分析するステップと
    を含む、方法。
  12. 前記方法はさらに、荷電官能基を前記検体に付与する薬剤を導入するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記溶媒は、前記抽出および前記抽出された検体のイオン化の両方に適合する、請求項11に記載の方法。
  14. 分析するステップは、前記イオンをベンチトップ質量分析計または小型質量分析計に導入するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  15. 前記溶媒は、前記サンプルの導入に先立って、前記中空本体に導入される、請求項11に記載の方法。
  16. 前記電圧を印加するステップに先立って、前記サンプルおよび前記溶媒を混合するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  17. 複数の検体が、前記溶媒の中に抽出される、請求項11に記載の方法。
  18. 前記複数の検体は、前記溶媒の中に差動的に抽出される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記電圧を印加するステップは、
    前記サンプルを通して前記溶媒の中に金属ワイヤを挿入するステップと、
    前記金属ワイヤを介して、前記電圧を前記溶媒に印加するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
  20. 噴霧ガスもまた、前記抽出されたサンプルに印加される、請求項11に記載の方法。
  21. 検体をサンプルから抽出するための方法であって、
    溶媒を毛細管の中に導入するステップと、
    検体を含むサンプルを前記毛細管の中に導入するステップであって、前記溶媒は、前記サンプルと混合しない、ステップと、
    前記毛細管内の前記サンプルおよび前記溶媒を移動させるステップであって、前記サンプルおよび前記溶媒内に循環を誘発し、それによって、前記検体を前記サンプルから前記溶媒の中に抽出させるステップと
    を含む、方法。
  22. 前記抽出された検体を分析するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. 分析するステップは、
    前記検体が前記毛細管から排出されるように、前記毛細管内において、電圧を前記抽出された検体を含む溶媒に印加するステップであって、それによって、前記検体のイオンを生成するステップと、
    前記イオンを分析するステップと
    を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 分析するステップは、
    前記抽出された検体を含む溶媒を前記毛細管から除去するステップと、
    前記検体を分析するアッセイを行うステップと
    を含む、請求項22に記載の方法。
  25. 前記溶媒が、最初に、前記毛細管に導入される、請求項21に記載の方法。
  26. 前記サンプルが、最初に、前記毛細管に導入される、請求項21に記載の方法。
  27. 前記毛細管内の前記サンプルおよび前記溶媒の移動を停止させること、
    前記溶媒の一部を除去すること、
    前記溶媒の中に抽出された検体のある量を分析することによって、前記抽出を監視するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
  28. 前記分析することの結果に基づいて、前記毛細管内の前記サンプルおよび前記溶媒の移動を再開させるステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記溶媒は、前記サンプルと混和しない、請求項21に記載の方法。
  30. 前記溶媒は、前記サンプルと混和性であって、前記方法はさらに、架橋溶媒が前記溶媒と前記サンプルとの間にある様式において前記溶媒および前記サンプルと混和しない架橋溶媒を前記毛細管の中に導入するステップを含む、請求項21に記載の方法。
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