JP2017515830A - 7−ヒドロキシマタイレシノールを含む組成物 - Google Patents
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Abstract
メタボリックシンドローム状態を予防、軽減または改善するための、7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)を含む組成物、またはその立体異性体、塩、錯体、付加物もしくは誘導体、またはそれらを含有する抽出物。
Description
本発明は、メタボリックシンドローム状態を改善するための7−ヒドロキシマタイレシノールを含む組成物に関する。詳細には、本発明は、メタボリックシンドロームを予防、軽減または治療することが可能な医薬組成物および/または食品、例えば7−ヒドロキシマタイレシノールを含む組成物、またはその立体異性体、塩、錯体、付加物もしくは誘導体、またはそれらを含有する抽出物に関する。
メタボリックシンドローム(MetS)は、幾つかの医学的状態の併発である。高血圧、脂質代謝異常および高血糖が付随する内臓型肥満(即ち、腹部の過剰な脂肪蓄積)であるMetSの高罹患率は、健康に関するクオリティオブライフの実質的な低下を伴う、人々の健康にとっての大きい脅威である。
WHO(世界保健機関)、OECD(経済協力開発機構)およびWHF(世界心臓連合)によれば、欧州地域の成人人口の30〜80%が過体重である(ボディマスインデックス(BMI)が25を超える)。欧州人口の平均BMIは約26.5であり、肥満(30を超えるBMI)はその成人人口の3分の1にまで及んでいる。これは、欧州における成人4億人のうちの約1億3千万人が過体重であるか、または肥満であることを意味する。さらに、小児肥満が深刻な健康危機となっている。小児の約20%が過体重であり、その3分の1が肥満である。
MetSは、幾つかの相互に関係した代謝に起因するリスクからなる複合的な生活習慣病である。脂質代謝異常、高血圧および高血糖に加えて、この症候群は炎症誘発状態を有する。MetSの罹患者においては、心血管疾患(2倍)、2型糖尿病(5倍)、呼吸不全、胆嚢疾患、特定の種類の癌および心理社会的問題のリスクが高まる。
MetSは食事に関連する疾患であり、MetSは正しい生活習慣および食事をとることにより予防し得ると考えられる。
メタボリックシンドロームの第一選択となる臨床介入が生活習慣の変更であるという点では概して意見が一致しているが、これは多くの患者においてリスク要因を正常化するには不十分であり、したがって、残存リスクは薬物療法を妥当とするのに十分に高いものであり得る。
しかしながら、現在、長期にわたって代謝リスク要因の全てを確実に低下させることができる承認された薬物はなく、したがって、複数のリスク要因をより有効に標的化し、それによって長期にわたる薬物の複数の摂取に関連する問題を最小限に抑え得る治療ストラテジーへの関心が高まっている。
リグナン類は、穀類、油糧種子、ナッツ、野菜(アブラナ属(brassica))および果実類(液果類)などの食物繊維の豊富な食品に見られる化合物の群であり、典型的には健康に良い食事の成分と見なされる。
リグナンは、結腸での発酵による変換後、エンテロラクトンおよびエンテロジオールを生じ、MetSに関連する代謝パラメータに好影響を及ぼすことで、ヒトにおいて有益な効果を有すると予想されている。リグナン類の摂取量が多い一部の集団は、大幅に低い疾患頻度を示す。
脂質代謝異常および2型糖尿病などの代謝疾患の管理においてリグナンが豊富な種子(油糧種子)を補給する食事に有益な効果があることを示した無作為化対照試験が数件ある。動物モデルにおいても試験が行われており、ここでは部分的に精製されたリグナン画分によって血中脂質が改善され、血糖コントロールが増進し、かつ1型および2型糖尿病が改善された。
リグナン類を抗酸化剤、フィトエストロゲンおよび核内受容体モジュレーターとして同定するインビトロ試験も数件実施されている。
最近の研究において(Biasotto G.et al.,“Oilseeds ameliorate metabolic parameters in male mice,while contained lignans inhibit 3T3−L1 adipocyte differentiation in vitro",European Journal of Nutrition,2014)、約1重量%の総リグナンを含有する最もリグナンが豊富な食物源のうちの2つである全ゴマおよび亜麻仁の分量が多い(飼料の20%w/w)餌を与えた雄マウスで代謝パラメータの改善が示された。ゴマ抽出物は主にセサミン(SES)およびピノレジノール(PIN)リグナンを含み、一方、亜麻仁抽出物は主にセコイソラリシレシノール(SEC)リグナンを含む。7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)はゴマ抽出物中には微量のみ存在し、亜麻仁抽出物には全く存在しない。
HMRは、ヨーロッパトウヒ(ピケア・アビエス(Picea abies))におけるリグナン類の主要な単一成分であり、総リグナンの約60パーセントの濃度に達し、主に非共役型の遊離形態で存在する。
太い根のリグナン濃度は2〜3パーセントである。リグナン類は枝の心材(5〜10パーセント)およびねじれた部分(twist)、特に節に豊富に存在し、ここではリグナン類の量は10パーセントより高いこともある。これらの濃度は、リグナンが豊富な材料として知られる亜麻仁の挽き粉と比較して約100倍である。
国際公開第00/59946号パンフレットおよび米国特許第6,451,849号明細書は、癌、ある種の非癌性ホルモン依存性疾患および/または心血管疾患を予防するためのHMRの使用を開示している。
国際公開第2006/072647号パンフレットは、個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状、例えば、閉経期または閉経後症状、更年期症状、ホットフラッシュ、腟乾燥、膣萎縮、下部尿路萎縮、骨塩量の減少、閉経期血管運動症状、気分変動、不眠症、骨粗鬆症または任意の他の閉経関連状態を予防または軽減するためのHMRの使用を開示している。
本出願人は、メタボリックシンドロームに関連する医学的状態の併発を予防、軽減または治療することが可能な活性化合物を選択する問題に直面した。
詳細には、本出願人は、高血圧、脂質代謝異常(即ち、トリグリセリドの増加およびHDL−Cの減少)および高血糖の1つ以上に関連する内臓型肥満を予防、軽減または治療することが可能な活性化合物を選択する問題に直面した。
本出願人は、意外にも、HMRが肥満、脂質代謝異常、および糖血症を低減可能であることを見出した。
本出願人は、意外にも、HMRが脂肪細胞の数および範囲を低減可能であるとともに、精巣上(epidydimal)体脂肪組織および肝臓における炎症誘発性サイトカインの濃度を低減可能であることも見出した。
さらに、本出願人は、意外にも、HMRが肝臓(PPARg遺伝子およびTFEB遺伝子など)および精巣上体脂肪組織(ATGL mRNA、PLA2g7遺伝子、およびLPL遺伝子など)における脂質代謝遺伝子の調節に寄与可能であることを見出した。
最後に、本出願人は、予想外にも、HMRが細胞酸化ストレスを低減可能であること、およびメタボリックシンドロームに関しても、鉄代謝を調節可能であることを見出した。
したがって、本発明の第1の態様は、メタボリックシンドローム状態を予防、軽減または治療するための7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)の使用に関する。
さらに詳細には、本発明は、内臓型肥満、脂肪症、炎症、脂質代謝異常(即ち、トリグリセリドの増加およびHDL−Cの減少)、インスリン感受性および高血糖などのメタボリックシンドロームに関連する医学的状態の併発を予防、軽減または治療するためのHMRの使用に関する。
本発明の第2の態様は、メタボリックシンドローム状態を予防、軽減または治療するための、1つ以上のさらなる成分および/または賦形剤とともに7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)を含む組成物、例えば医薬組成物または食品に関する。
本発明の第3の態様は、メタボリックシンドローム状態の予防、軽減または治療を、それを必要とする人において行う方法であって、前記人に有効量の7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)を投与することを含む、方法に関する。
本記載および続く特許請求の範囲の目的上、用語「7−ヒドロキシマタイレシノール」には、その立体異性体、塩、錯体、付加物もしくは誘導体、またはそれらを含有する抽出物が含まれることが意図される。
本発明との関連において、用語「7−ヒドロキシマタイレシノールの誘導体」は、木に天然に存在する修飾または木材からの抽出中に生じる修飾を含む化合物を指す。7−ヒドロキシマタイレシノールの天然の修飾は、例えば7−ヒドロキシマタイレシノールのグリコシド類およびアグリコン類の形成である。木の抽出中に得られる7−ヒドロキシマタイレシノールの最も重要な誘導体は、ジメチルマタイレシノール、7−メトキシマタイレシノール、7−オキソマタイレシノール、ジデメチルマタイレシノール、イソヒドロキシマタイレシノール、エンテロラクトン、コニデンドリン、および7’,8’−デヒドロ−7−ヒドロキシマタイレシノールである。
本発明は、限定としてではなく例示として提供される、添付の図面とともに読まれるべき以下の例を読むことにより、より良く理解されるであろう。
本発明は、メタボリックシンドローム状態を予防、軽減または治療するための7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)の使用に関する。
HMRの化学構造は以下の式(I)によって表される。
HMRは、リグナン、即ち、ジベンジルブタン骨格にモノリグノールとして知られる置換桂皮アルコール類が二量化することによってフェニルアラニンから誘導される、植物に見られる化学的化合物の群である。リグナン類は、エストロゲン様化学物質であり、かつ抗酸化剤としても作用するフィトエストロゲン類の主要なクラスの1つである。
亜麻仁およびゴマ種子は、他の多くの食品と比べて高レベルのリグナン類を含有する。多量のリグナン類は針葉樹にも見られる。リグナン類のタイプは種によって異なり、リグナン類の量は樹木の部分によって様々である。
HMRはトウヒ(ピケア・アビエス(Picea abies))抽出物中におけるリグナン類の中で最も豊富な単一成分であり、総リグナンの約60%w/wの濃度に達する。
トウヒでは、太い根のリグナン濃度は2〜3パーセントである。リグナン類は枝の心材(5〜10パーセント)およびねじれた部分、特に節に豊富に存在し、ここではリグナン類の量は10パーセントより高いこともある。これらの濃度は、リグナンが豊富な材料として知られる亜麻仁の挽き粉と比較して約100倍である。
本発明で使用されるHMRの単離は、トウヒ(ピケア・アビエス(Picea abies))の圧縮あて材の過度に粗い木片(枝、ねじれた部分および節を含む)から行うことができる。ピケア・アビエス(Picea abies)全抽出物(TEP、HMRおよび異性体を含有する)およびHMRlignan(商標)精製HMR(主にHMRを含有する)が、Linnea SA、Riazzino、スイスから市販されている。
用語「メタボリックシンドローム」(MetS)は、過栄養、座りっぱなしで体を動かさない生活、および結果として起こる脂肪過多を反映する構成要素の群を指し、および内臓型肥満、脂肪症、炎症、脂質代謝異常(即ち、トリグリセリドの増加およびHDL−Cの減少)、インスリン感受性および高血糖などの医学的状態の併発に関連する。例えば、メタボリックシンドロームには、(i)肥満、(ii)血圧、(iii)グルコース、(iv)トリグリセリド、および(v)コレステロールなどの診断基準に基づく障害が含まれる。
詳細には、メタボリックシンドロームの最も新しい定義が、IDF(国際糖尿病連合)による刊行物"The IDF consensus worldwide definition of the metabolic syndrome"(2006)、ならびにP.ZimmetおよびG.Albertiによる論文、"The IDF definition:why we need a global consensus",Diabetes Voice,May 2006,Volume 51,Special Issue,Pages 11−14に提供されている。
用語「メタボリックシンドローム」は、男性では94cm以上および女性では80cm以上の腹囲または30kg/m2より高いボディマスインデックスに該当することに加えて、以下の条件、即ち(i)130mmHg以上の収縮期血圧、または85mmHg以上の拡張期血圧;(ii)100mg/dL以上のグルコース;(iii)150mg/dLより高い血中トリグリセリド;および(iv)男性で40mg/dL未満および女性で50mg/dL未満のHDLコレステロールのうちの少なくとも2つが該当することによって特徴付けられる、一般的な肥満の状態の発生を意味する。
加えて、上記の条件のいずれか1つに対応する症例は、潜在的なメタボリックシンドローム群に属するものとして定義され、および潜在的なメタボリックシンドローム群における状態もメタボリックシンドロームに含まれる。いずれにしろ、他の任意の診断基準に関する他の状態も除外されない。例えば、メタボリックシンドロームの定義および状態のレビューについては、M.A.Cornier et al.,The Metabolic Syndrome",Endocrine Reviews,December 2008,29(7):777−822を参照することができる。
メタボリックシンドロームを予防、軽減または治療するとは、メタボリックシンドローム患者の状態および潜在的なメタボリックシンドローム群と診断される任意の状態の予防、軽減または治療を指す。
例えば、白色脂肪組織、血糖値、血中インスリン濃度、血中コレステロール、血中LDLコレステロール、および血中トリグリセリド濃度の低下が含まれる。
加えて、メタボリックシンドロームの予防、軽減または治療には、脂肪肝の低減、耐糖能の改善、インスリン抵抗性の低減、IL−6およびTNF−αなどの炎症性サイトカインの低減、ATGL mRNA、PLA2g7、LPL、PPARgおよびTFEBなどの脂質代謝遺伝子の発現の調節、細胞酸化ストレスの低減が含まれる。
本発明は、メタボリックシンドローム状態を予防、軽減または治療するための、1つ以上のさらなる成分および/または賦形剤とともにHMRを含む組成物、例えば医薬組成物または食品にも関する。有利には、さらなる成分および/または賦形剤は抗酸化剤である。
本発明に係る医薬組成物は、好ましくは経口製剤である。活性化合物(HMR)の所要量は、予防しようとする詳細な状態によって異なり得る。HMRの典型的な用量は、1日成人1人当たり約10〜約500mg、好ましくは1日成人1人当たり約30〜約300mgの範囲である。
本発明の組成物の形態は、例えば、溶液、懸濁液、シロップ、錠剤、顆粒、ペレット、カプセル、ロゼンジおよび丸薬など、経口投与に有用な形態によって表され得る。
本発明に係る食品は、HMRの特性に影響を及ぼすことなくHMRと混合するのに好適な任意の食用の非毒性固体または液体生成物であり得る。この生成物の役割は、主に、HMRの正確な投薬量調節を容易にすることである。
本発明に係る食品は、特に、機能性食品、栄養補助剤、ニュートラシューティカルズ、健康食品、または任意の食品である。食品中のHMRの濃度は、成人について1日約10〜約500mg、好ましくは成人1人当たり1日約30〜約300mgのHMRの補給を確実にするため、食品のタイプに応じて適切に計算されることになる。
本発明に係る機能性食品は、例えば、バター、マーガリン、ビスケット、パン、ケーキ、キャンディー、菓子類、ヨーグルトもしくは別の発酵乳製品、またはミューズリーなどのシリアルの形態であり得る。
本発明の医薬組成物のさらなる成分および/または賦形剤は、任意の薬学的に許容可能な成分および/または賦形剤であり得る。
薬学的に許容可能な賦形剤という用語は、いかなる特定の限定もなしに、生物に投与される医薬組成物の調製に好適な任意の材料を含むものと理解される。既に考察した通り、賦形剤は、その果たす役割に応じて、(i)充填剤賦形剤、(ii)製造用賦形剤、(iii)保存剤賦形剤、および(iv)体裁用賦形剤に分類される。当技術分野において公知のこれらの材料は、例えば(i)希釈剤、吸収剤、吸着剤、充填剤および保湿剤、(ii)滑沢剤、結合剤、滑剤、可塑剤および粘度調整剤、(iii)保存剤、抗菌薬、抗酸化剤およびキレート剤、および(iv)香味料、甘味料および着色剤である。
本発明の食品のさらなる成分および/または賦形剤は、任意の食用の成分および/または賦形剤であり得る。
有利には、本発明の食品は、炭水化物、タンパク質、アミノ酸および誘導体、脂質、リン脂質、ビタミンおよび無機塩類を含む群から選択される少なくとも1つの食用成分を含む。
本発明の食品は、完全食材、栄養補助食品、胃腸内投与用、例えば経鼻胃管および経鼻腸管によって投与される経腸栄養用の栄養溶液、非経口投与用の栄養溶液、または糖尿病患者用の食材もしくはサプリメントの形態であり得る。
完全食材は、物質およびエネルギーの摂取量の点で使用者の一日所要量を満たすのに必要なあらゆる栄養物質を含む。したがって、製剤は、30重量%〜70重量%の分量の炭水化物、10重量%〜30重量%の分量のタンパク質および20重量%〜40重量%の脂質を含有しなければならない。
これに加えて、製剤は1日2000〜2900kcalを提供することが可能でなければならず、水または他の飲料中に溶解または分散させる固体の形態であってもよく、または即時使用可能な形態のもしくは濃縮物としての液体であってもよい。特定の状況では(食事療法用またはスポーツ用のレジメン)、より少ないまたはより多いエネルギー摂取量が提供されてもよい。
栄養補助食品は、タンパク質およびエネルギー摂取量の点で使用者の一日所要量を満たすために要求される栄養物質の一部のみを含有し得る。したがって、製剤は、1日1500kcal未満、好ましくは100〜1000kcalを提供することが可能であり得る。あるいは、栄養補助食品は栄養物質を含まなくてもよい。そのような場合、その食品製剤はエネルギー摂取を提供せず、医薬組成物に関して記載される通りの従来の賦形剤を含むのみである。この場合もまた、製剤は、普通の食事に加えるための、または普通の食事の一構成要素としての、上記に記載した通りの固体または液体形態であってよい。
本発明の食品は、その外観、美味しさおよび保存性を改善するためのさらなる従来の食品添加剤、例えば着色剤、保存剤、抗酸化剤、酸性度調整剤、増粘剤、安定剤、乳化剤、調味料、香味料、保湿剤および甘味料を含有し得る。
140匹のマウス(C57BL/6J)の群を4つのサブ群に分け、群1は20匹のマウスを有し、および群2〜4は各々40匹のマウスを有した。群1には低脂肪(LF)食(脂肪から10%カロリーを提供する)を60日間与えた。群2には高脂肪(HF)食(脂肪から50%カロリーを提供する)を60日間与えた。群3および群4には、それぞれ、高脂肪食と3mg/kg/日のHMRlignan(商標)精製HMR(HF+HMR)または10mg/kg/日のピケア・アビエス(Picea abies)全抽出物(HF+TEP)を60日間与えた。
LF食およびHF食の組成は以下の表1に報告する。LF食およびHF食は、Piccioni Srl、Rome、イタリアから市販されるものであった。HMRlignan(商標)精製HMRおよびTEPは、Linnea SA、Riazzino、スイスから市販されるものであった。
マウスは、23℃の温度に維持した動物キャビネットにおいて自然光明暗サイクルで飼育した。治療前、マウスに低脂肪食を5日間とらせた。マウスは60日間にわたり毎日強制給餌し(群3および群4)、一方、対照群(1および2)には強制給餌によって担体(トウモロコシ油)のみを与えた。頸椎脱臼によって動物を犠牲にし、組織を解剖し、直ちにドライアイスで凍結するか、または組織学的評価のため固定した。
以下の試験を実施した。
試験1 − 体脂肪量および除脂肪量の定量化
エコー磁気共鳴イメージングシステム(EchoMRI)(Medical System、Houston、TX)によって体脂肪量および除脂肪量の計測を実施した。
エコー磁気共鳴イメージングシステム(EchoMRI)(Medical System、Houston、TX)によって体脂肪量および除脂肪量の計測を実施した。
EchoMRIは、生きているマウスにおいて麻酔または鎮静を行う必要なしに1分未満で全身組成パラメータ(総体脂肪および除脂肪量)の最も正確な計測を提供する。改良食を摂取する結果としてのマウス全身組成の変化を評価した。本試験の全期間中にわたり定期的に体脂肪量および除脂肪量ならびに体重の計測を行った。
EchoMRI−100(商標)QNMRシステムは、疾患または汚染物質の侵入を最小限に抑えるために専用領域に設置した。各QNMRランの前に、Echo Medical Systemによって提供される標準を使用してシステムを校正した。各マウスを適切なサイズのチューブ内に置き、計測のためにQNMR機に置いた。47秒ランの間、マウスを所定の一連の高周波エネルギーに供した。各マウスにつき3回連続で独立したスキャンを行い、データはデータベースに自動転送された。出力情報はグラム単位の除脂肪組織量および体脂肪量として表現された。
図1には、全観察期間に沿った各群の平均全体重の増加をプロットした。観察期間終了時の各群の平均全脂肪量、平均精巣上(epidymal)体脂肪組織量、および平均臀部脂肪組織量をそれぞれ図2a、図2bおよび図2cに報告した。
試験2 − 組織学的検査
新鮮な精巣上体脂肪組織をホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、3μm切片に切り分けた。切片をヘマトキシリンで染色し、エオシンで対比染色し、次にDPX(BDH、Poole、英国)を加えてカバーガラスをかけた。画像収集はデジタルカメラ(Nikon Digital Camera DMX 1200)によって達成した。
新鮮な精巣上体脂肪組織をホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、3μm切片に切り分けた。切片をヘマトキシリンで染色し、エオシンで対比染色し、次にDPX(BDH、Poole、英国)を加えてカバーガラスをかけた。画像収集はデジタルカメラ(Nikon Digital Camera DMX 1200)によって達成した。
専用ソフトウェア(Image Pro Plus;Imaging and Computer、Milan)によって倍率20倍で平均脂肪細胞面積を計算した。全ての試料において、3つの異なる組織切片の少なくとも4つの異なる視野を評価している。
以下の表2に結果を要約する。
細胞の形状およびサイズのばらつきが極めて大きく、かつ手作業による組織学的検査であったため、データは示唆的なものに過ぎない。群2対群1のデータおよび群3対群2のデータは統計的に違いがある。
試験3 − 脂肪肝
新鮮な肝組織をホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、3μm切片に切り分けた。切片をヘマトキシリンで染色し、エオシンで対比染色し、次にDPX(BDH、Poole、英国)を加えてカバーガラスをかけた。画像収集はデジタルカメラ(Nikon Digital Camera DMX 1200)によって達成した。4群の試料画像は図3に示した。
新鮮な肝組織をホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、3μm切片に切り分けた。切片をヘマトキシリンで染色し、エオシンで対比染色し、次にDPX(BDH、Poole、英国)を加えてカバーガラスをかけた。画像収集はデジタルカメラ(Nikon Digital Camera DMX 1200)によって達成した。4群の試料画像は図3に示した。
群1マウスの肝臓は正常な肝臓構造を呈し、一方、群2マウスの肝臓には、小滴性および大滴性脂肪変性が見られた。群3および群4の肝臓は幾らかの空胞を示したが、群2と比べるとはるかに少なかった。
試験4 − 耐糖能試験
耐糖能試験のため、動物を一晩12時間にわたり絶食させ、尾静脈から血液試料を得た。次に動物に2g/Kg体重のグルコースを腹腔内注射し、図4に示す間隔で血液試料を採取した。グルコース濃度は標準方法によって評価した(Benjamin B.Whiddon and Richard D.Palmiter.Ablation of Neurons Expressing Melanin−Concentrating Hormone(MCH)in Adult Mice Improves Glucose Tolerance Independent of MCH Signaling.J Neurosci.2013 January 30;33(5):2009−2016)。
耐糖能試験のため、動物を一晩12時間にわたり絶食させ、尾静脈から血液試料を得た。次に動物に2g/Kg体重のグルコースを腹腔内注射し、図4に示す間隔で血液試料を採取した。グルコース濃度は標準方法によって評価した(Benjamin B.Whiddon and Richard D.Palmiter.Ablation of Neurons Expressing Melanin−Concentrating Hormone(MCH)in Adult Mice Improves Glucose Tolerance Independent of MCH Signaling.J Neurosci.2013 January 30;33(5):2009−2016)。
結果は図4に示した。
試験5 − インスリン抵抗性恒常性モデル評価の決定
HOMAカルキュレーター(Diabetes Trials Unit)、Oxford Centre for Diabetes,Endocrinology and Metabolism:homa.calculator@dtu.ox.ac.ukを用いることにより、給餌中止の6時間後に得られたグルコースおよびインスリン濃度を使用してインスリン抵抗性恒常性モデル評価(HOMA−IR)を計算した。血漿インスリンレベルはインスリンELISAキット(Millipore、マウスインスリン96ウェルプレートアッセイ;カタログ番号EZRMI−13K)で計測した。
HOMAカルキュレーター(Diabetes Trials Unit)、Oxford Centre for Diabetes,Endocrinology and Metabolism:homa.calculator@dtu.ox.ac.ukを用いることにより、給餌中止の6時間後に得られたグルコースおよびインスリン濃度を使用してインスリン抵抗性恒常性モデル評価(HOMA−IR)を計算した。血漿インスリンレベルはインスリンELISAキット(Millipore、マウスインスリン96ウェルプレートアッセイ;カタログ番号EZRMI−13K)で計測した。
以下の表3および図5に結果を要約する。
試験6 − 脂質プロファイル
ILab ARIESアナライザー(Instrumentation Laboratory Company、Lexington、MA、米国)および専用試薬キットIL Test(Instrumentation Laboratory Company、Lexington、MA、米国)を使用することにより、コレステロール(総合)、コレステロールHDL(HDL)、コレステロールLDL(LDL)およびトリグリセリド(TG)の血中濃度を標準方法に従って決定した。
試薬:
IL Test HDLコレステロール:コード0018255740
IL Test LDLコレステロール:コード0018256040
IL Testトリグリセリド:コード0018255640
IL Testコレステロール:コード0018250540
ILab ARIESアナライザー(Instrumentation Laboratory Company、Lexington、MA、米国)および専用試薬キットIL Test(Instrumentation Laboratory Company、Lexington、MA、米国)を使用することにより、コレステロール(総合)、コレステロールHDL(HDL)、コレステロールLDL(LDL)およびトリグリセリド(TG)の血中濃度を標準方法に従って決定した。
試薬:
IL Test HDLコレステロール:コード0018255740
IL Test LDLコレステロール:コード0018256040
IL Testトリグリセリド:コード0018255640
IL Testコレステロール:コード0018250540
以下の表4に結果を要約する。
試験7 − 炎症性サイトカイン
以下の通りの標準手順に従い、4群のマウスの精巣上体脂肪組織(IL−6およびTNF−α)および肝臓(IL−6)における炎症性サイトカインmRNAの発現を計測した。
以下の通りの標準手順に従い、4群のマウスの精巣上体脂肪組織(IL−6およびTNF−α)および肝臓(IL−6)における炎症性サイトカインmRNAの発現を計測した。
RNeasy Lipid Tissueキット(Qiagen、Maryland、米国)を使用して、製造者の指示に従って10〜30mgの組織から全RNAを抽出した。ハイキャパシティcDNA Archiveキット(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用して各試料のRNAを逆転写した。TaqManケミストリーに基づくAssay on Demandキット(Applied Biosystems)を用いて定量的PCRを実施した。ABI PRISM 7000配列検出システム機器でRT−PCR反応を実施し、ABI PRISM 7000 SDSソフトウェア(Applied Biosystems)でデータ解析を行った。基準ハウスキーピング遺伝子として18S RNAを使用した。特異的オリゴヌクレオチドペアはApplied Biosystemsサービスによって設計された。計算は、ABI PRISM配列検出システムのUser Bulletin 2にComparative Methodについて記載される通りに行った。上記の方法の詳細な説明については、"Biasotto G.et al.,“Oilseeds ameliorate metabolic parameters in male mice,while contained lignans inhibit 3T3−L1 adipocyte differentiation in vitro",European Journal of Nutrition,2014"を参照することができる。
結果は図6a、図6bおよび図6cに示した。
試験8 − 脂質代謝の遺伝子の調節(精巣上体脂肪組織)
肥満は、脂肪組織におけるトリアシルグリセロール(TAG)蓄積の増加およびインスリン抵抗性に関連する。インスリン抵抗性のヒト対象の脂肪組織ではATGL mRNAが減少する。体脂肪量および体脂肪分布自体の増加よりむしろ、肥満におけるIRおよび高インスリン血症の程度がATGL mRNAの減少に関連する。
肥満は、脂肪組織におけるトリアシルグリセロール(TAG)蓄積の増加およびインスリン抵抗性に関連する。インスリン抵抗性のヒト対象の脂肪組織ではATGL mRNAが減少する。体脂肪量および体脂肪分布自体の増加よりむしろ、肥満におけるIRおよび高インスリン血症の程度がATGL mRNAの減少に関連する。
PLA2g7は、肥満に関連した炎症において役割を果たしている可能性のある脂肪および循環酵素PAF−AH(血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ)をコードする遺伝子である。PAFを分解することによって抗炎症活性を有することに加えて、PAF−AHは、リン脂質を大量に加水分解してリゾホスファチジルコリン(lys−PC)および遊離酸化脂肪酸(両方ともに酸化LDLのアテローム生成促進活性に関与する炎症誘発性メディエーター)を生成することによって炎症誘発活性も及ぼし得る。脂肪細胞におけるこれらの遺伝子の上方制御は、脂肪組織拡大に適応するための細胞外マトリックスの変化(組織リモデリング)ももたらし得る。
リポタンパク質リパーゼ(LPL)は、膵リパーゼ、肝性リパーゼおよび内皮リパーゼを含むリパーゼ遺伝子ファミリーのメンバーである。LPLは、カイロミクロンおよび超低密度リポタンパク質(VLDL)に見られるものなどのリポタンパク質中のトリグリセリドを遊離脂肪酸および1つのモノアシルグリセロール分子に加水分解する。LPLは、カイロミクロンレムナント、コレステロールリッチリポタンパク質および遊離脂肪酸の細胞取込みの促進にも関与する。LPLは大部分が脂肪、心臓、および骨格筋組織ならびに乳腺に分布する。
以下の通りの標準手順に従い、4群のマウスの精巣上体脂肪組織におけるATGL、PLA2g7およびLPL mRNAの発現を計測した。
RNeasy Lipid Tissueキット(Qiagen、Maryland、米国)を使用して、製造者の指示に従って10〜30mgの組織から全RNAを抽出した。ハイキャパシティcDNA Archiveキット(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用して各試料のRNAを逆転写した。TaqManケミストリーに基づくAssay on Demandキット(Applied Biosystems)を用いて定量的PCRを実施した。ABI PRISM 7000配列検出システム機器でRT−PCR反応を実施し、ABI PRISM 7000 SDSソフトウェア(Applied Biosystems)でデータ解析を行った。基準ハウスキーピング遺伝子として18S RNAを使用した。特異的オリゴヌクレオチドペアはApplied Biosystemsサービスによって設計された。計算は、ABI PRISM配列検出システムのUser Bulletin 2にComparative Methodについて記載される通りに行った。上記の方法の詳細な説明については、"Penza M et al.,Genistein affects adipose tissue deposition in a dose−dependent and gender−specific manner;Endocrinology;2006 Dec;147(12):5740−51 2006"を参照することができる。
結果は図7a、図7b、および図7cに示した。
試験9 − 脂質代謝の遺伝子の調節(肝臓)
核内受容体スーパーファミリーに属するPPARgは、脂肪生成に必須である。先行研究では、PPARgが脂肪細胞肥大、肥満およびインスリン抵抗性において極めて重要な役割を有し得ることが示唆されている。PPARg遺伝子の転写の減少は、ボディマスインデックス(BMI)の低下、インスリンレベルの減少、HDLの増加およびインスリン感受性の増加、2型糖尿病リスクの低下に関連する。
核内受容体スーパーファミリーに属するPPARgは、脂肪生成に必須である。先行研究では、PPARgが脂肪細胞肥大、肥満およびインスリン抵抗性において極めて重要な役割を有し得ることが示唆されている。PPARg遺伝子の転写の減少は、ボディマスインデックス(BMI)の低下、インスリンレベルの減少、HDLの増加およびインスリン感受性の増加、2型糖尿病リスクの低下に関連する。
TFEBは、飢餓に対する代謝反応の中心的存在である。TFEB活性は栄養素によって調節される。TFEBが存在しない場合には脂質異化障害および肥満の動物において重度の代謝不均衡が起こり、一方、TFEBが過剰発現すると逆の効果が生じ、肥満および関連するメタボリックシンドロームがレスキューされる。
以下の通りの標準手順に従い、4群のマウスの肝臓におけるPPARgおよびTFEB mRNAの発現を計測した。
RNeasy Lipid Tissueキット(Qiagen、Maryland、米国)を使用して、製造者の指示に従って10〜30mgの組織から全RNAを抽出した。ハイキャパシティcDNA Archiveキット(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用して各試料のRNAを逆転写した。TaqManケミストリーに基づくAssay on Demandキット(Applied Biosystems)を用いて定量的PCRを実施した。ABI PRISM 7000配列検出システム機器でRT−PCR反応を実施し、ABI PRISM 7000 SDSソフトウェア(Applied Biosystems)でデータ解析を行った。基準ハウスキーピング遺伝子として18S RNAを使用した。特異的オリゴヌクレオチドペアはApplied Biosystemsサービスによって設計された。計算は、ABI PRISM配列検出システムのUser Bulletin 2にComparative Methodについて記載される通りに行った。上記の方法の詳細な説明については、"Penza M et al.,Genistein affects adipose tissue deposition in a dose−dependent and gender−specific manner;Endocrinology;2006 Dec;147(12):5740−51 2006"を参照することができる。
結果は図8a、および図8bに示した。
試験10 − 酸化ストレス
A.肝臓抗酸化酵素の発現
グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)は、解毒のために生体異物基質に対する還元型のグルタチオン(GSH)の抱合を触媒するその能力で最もよく知られる真核生物および原核生物第II相代謝酵素のファミリーを含む。GSTは一部の哺乳類器官における細胞質タンパク質の最大10%を構成し得る。この活性は、過酸化脂質などの内因性化合物を解毒し、生体異物の分解を可能にする。GSTは、毒素に結合して輸送タンパク質としても機能し得る。
A.肝臓抗酸化酵素の発現
グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)は、解毒のために生体異物基質に対する還元型のグルタチオン(GSH)の抱合を触媒するその能力で最もよく知られる真核生物および原核生物第II相代謝酵素のファミリーを含む。GSTは一部の哺乳類器官における細胞質タンパク質の最大10%を構成し得る。この活性は、過酸化脂質などの内因性化合物を解毒し、生体異物の分解を可能にする。GSTは、毒素に結合して輸送タンパク質としても機能し得る。
以下の通りの標準手順に従い、4群のマウスにおけるGST mRNAの発現を計測した。
RNeasy Lipid Tissueキット(Qiagen、Maryland、米国)を使用して、製造者の指示に従って10〜30mgの組織から全RNAを抽出した。ハイキャパシティcDNA Archiveキット(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用して各試料のRNAを逆転写した。TaqManケミストリーに基づくAssay on Demandキット(Applied Biosystems)を用いて定量的PCRを実施した。ABI PRISM 7000配列検出システム機器でRT−PCR反応を実施し、ABI PRISM 7000 SDSソフトウェア(Applied Biosystems)でデータ解析を行った。基準ハウスキーピング遺伝子として18S RNAを使用した。特異的オリゴヌクレオチドペアはApplied Biosystemsサービスによって設計された。計算は、ABI PRISM配列検出システムのUser Bulletin 2にComparative Methodについて記載される通りに行った。上記の方法の詳細な説明については、"Penza M et al.,Genistein affects adipose tissue deposition in a dose−dependent and gender−specific manner;Endocrinology;2006 Dec;147(12):5740−51 2006"を参照することができる。
結果は図9に示した。
B.酸化DNAの定量化
8−ヒドロキシデオキシグアノシン(8OHdG)は、酸化ストレスによって誘導されるDNA損傷の広く用いられているマーカーである。8OHdG形成は局所的抗酸化能力およびDNA修復酵素活性によって調節される。したがって、DNA修復産物8−ヒドロキシデオキシグアノシン(8OHdG)の血清レベル、詳細には8OHdGとその非酸化型の対応する塩基2’−デオキシ−グアノシン(dGU)との比から、酸化的DNA損傷を評価することができる。
8−ヒドロキシデオキシグアノシン(8OHdG)は、酸化ストレスによって誘導されるDNA損傷の広く用いられているマーカーである。8OHdG形成は局所的抗酸化能力およびDNA修復酵素活性によって調節される。したがって、DNA修復産物8−ヒドロキシデオキシグアノシン(8OHdG)の血清レベル、詳細には8OHdGとその非酸化型の対応する塩基2’−デオキシ−グアノシン(dGU)との比から、酸化的DNA損傷を評価することができる。
以下の通りの標準手順に従い、4群のマウスにおける8OHdGおよびdGU mRNAの発現を計測した。
DNA抽出および消化。市販のキットPUREGENE(Gentra Systems MN、米国)を用いて製造者の指示に従ってゲノムDNAを単離し、次にNanodrop分光光度計(Thermo Scientific、DE、米国)を使用して定量化した。DNAをその個々のヌクレオシド成分に分解するヌクレアーゼ混合物である市販の試薬DNA Degradase Plus(Zymoresearch、CA、米国)によって各試料につき3μgのDNAを消化した。
LC−MS/MS試薬。8−オキソ−7,8−ジヒドロ−2’−デオキシグアノシン(8OHdG、≧98%)、2’−デオキシ−グアノシン(dGU、≧98%)、2’−デオキシシチジン(dCyt、≧99%)、コチニン−d3(98%)、アスコルビン酸、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム、ギ酸、過酸化水素、HPLCグレード水およびメタノールはSigma−Aldrich(Milan、イタリア)から購入した。5−メチル−2’−デオキシシチジン(5−MedCyt、≧98%)および5−メチル−2’−デオキシシチジン−d3(5−MedCyt−d3)はTRC(Ontario、カナダ)からのものであった。[15N5]dGU(U−15N5、96〜98%)はCambridge Isotope Laboratories,INC.(Andover、MA)から入手した。[15N5]8OHdGは、Hu et al.[Hu,C.W.;Wu,M.T.;Chao,M.R.;Pan,C.H.;Wang,C.J.;Swenberg,J.A.;Wu,K.Y.Comparison of analyses of urinary 8−hydroxy−2’−deoxyguanosine by isotope−dilution liquid chromatography with electrospray tandem mass spectrometry and by enzyme−linked immunosorbent assay,Rapid Commun.Mass Spectrom.18:505−510;2004]に基づき、[Andreoli,R.;Manini,P.;De Palma,G.;Alinovi,R.;Goldoni,M.;Niessen,W.M.A.;Mutti,A.Quantitative determination of urinary 8−oxo−7,8−dihydro−2’−deoxyguanosine,8−oxo−7,8−dihydroguanine,8−oxo−7,8−dihydroguano−sine,and their non−oxidized forms:daily concentration profile in healthy volunteers.Biomarkers 15:221−231;2010]に記載される通りに若干の変更を加えて、[15N5]dGUから合成したものであった。内部標準(IS)として安定同位体標識化合物を使用した。全ての標準はさらなる精製なしに使用した。
試料採取および分析。消化後、試料を6倍希釈し、Amicon Ultra 0.5ml 3Kによって13rpmで15分間限外ろ過した。Andreoli et al.[上記に引用]による方法に従い、同じクロマトグラフィーランで5MedCytおよびdCytを決定するため幾らかの修正を加え、空気圧補助エレクトロスプレー用のTurboIonSpray(商標)インタフェースを備えたAPI 4000トリプル四重極質量分析計(AB SCIEX、MA、米国)を使用して、同位体希釈液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC−MS/MS)によって核酸酸化およびメチル化のバイオマーカーならびにそれらの非修飾ヌクレオシド、8OHdG、5−MedCyt、dGUおよびdCytを実施した。簡潔に言えば、ろ過した試料(30μL)を、50nmol/Lの[15N5]8OHdG、5μmol/Lの[15N5]dGUおよび600nmol/Lの5−MedCyt−d3を含有する90μLのIS水性混合物と加え合わせた。次に、クロマトグラフシステムに10μLの試料を注入した。Atlantis(登録商標)dC18カラム(100×2.0mm内径、3μm;Waters、Milford、MA)で、種々の割合の10mmol/l含水ギ酸(pH3.75)およびメタノールを0.2mL/分の流量で使用して分析物の分離を実施した。分析物(およびIS)を陽イオンモードで電離し、以下のSRM移行をモニタした:8OHdGおよびそのIS [15N5]8OHdGについてm/z284→168およびm/z289→173;dGUおよびそのIS [15N5]dGUについてm/z268→152およびm/z273→157;5−MedCytおよびそのIS 5−MedCyt−d3についてm/z242→126およびm/z245→129;dCytについてm/z228→112。定量分析のため、8OHdGについて0〜80nmol/L、5−MedCytについて0〜500nmol/L、およびdGUおよびdCytについて0〜10μmol/Lの濃度範囲の標準溶液でプール消化試料をスパイクすることにより動作キャリブレーションを達成した。各分析物について、注射した既知の濃度の分析物に対する分析物対IS面積比の線形回帰分析によって検量線を作成した(r2>0.998)。dCytについては、5−MedCyt−d3を内部標準として使用した。LOQは、それぞれ8OHdGおよび5−MedCytについて0.75nmol/L、dGUおよびdCytについて1nmol/Lであった。%CVは、全ての分析物ならびに全ての日中および日間測定について2.0%〜6.3%の範囲であった。
結果は図10に示した。
試験11 − 鉄代謝
鉄代謝は、ヒトにおける鉄レベルを一定に維持する幾つもの生物学的反応を含む。鉄(潜在的に高濃度で毒性)の制御はヒトの健康の維持に必須である。鉄は、人体の鉄のほとんどが含まれる赤血球にとって必須である。鉄代謝障害には、ヘモクロマトーシスなどの鉄過剰、および鉄欠乏性貧血などの鉄欠乏が含まれる。
鉄代謝は、ヒトにおける鉄レベルを一定に維持する幾つもの生物学的反応を含む。鉄(潜在的に高濃度で毒性)の制御はヒトの健康の維持に必須である。鉄は、人体の鉄のほとんどが含まれる赤血球にとって必須である。鉄代謝障害には、ヘモクロマトーシスなどの鉄過剰、および鉄欠乏性貧血などの鉄欠乏が含まれる。
ヘプシジンは肝臓によって産生され、鉄恒常性の主要な調節因子と見られる。ヘプシジンは腸粘膜を通じた鉄輸送を調節(阻害)し、それによって過剰な鉄吸収を防ぎ、体内の正常な鉄レベルを維持する。ヘプシジンは、鉄がマクロファージ(鉄の貯蔵および輸送部位)から運び出されるのも阻害する。したがって、高ヘプシジンレベルの状態(炎症状態を含む)では、鉄がマクロファージ内に捕捉されるため血清鉄レベルが降下し得る。ヘプシジンは、マウスモデルにおいて、レベル上昇を引き起こし得る炎症の鎮静化において負のフィードバックとして機能する抗炎症特性を有することも分かっている。
フェリチンは、鉄の貯蔵およびその放出を制御された方法で行う遍在性の細胞内タンパク質である。フェリチンの貯蔵量は鉄の貯蔵量を反映する。このタンパク質は、藻類、細菌、高等植物、および動物を含めたほぼ全ての生物によって産生される。ヒトでは、フェリチンは鉄欠乏および鉄過剰に対する緩衝として機能する。
フェロポーチンは、細胞の内部からその外部へと鉄を輸送する膜貫通タンパク質である。フェロポーチンは肝臓および十二指腸細胞で発現する。
肥満の人ではヘプシジン、フェリチンおよびフェロポーチンのレベルが変化し、肥満は鉄欠乏に関連する。
例えば、An−Sheng Zhang et al."Suppression of hepatic hepcidin expression in response to acute iron deprivation is associated with an increase of matriptase−2 protein",Blood.Feb 3,2011;117(5):1687−1699)に記載される通りの標準手順に従い、4群のマウスにおけるヘプシジン、フェリチンおよびフェロポーチンのレベルを計測した。
結果は図11に示した。
Claims (10)
- メタボリックシンドローム状態の予防、軽減または治療における使用のための7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)。
- メタボリックシンドロームに関連する医学的状態の併発の予防、軽減または治療における、請求項1に記載の使用のための7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)。
- 前記メタボリックシンドロームに関連する医学的状態が、内臓型肥満、脂肪症、炎症、脂質代謝異常、インスリン感受性および高血糖からなる群から選択される、請求項2に記載の使用のための7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)。
- メタボリックシンドローム状態を予防、軽減または治療するための、1つ以上のさらなる成分および/または賦形剤とともに7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)を含む組成物。
- 1つ以上のさらなる薬学的に許容可能な成分および/または賦形剤を含む医薬組成物である、請求項4に記載の組成物。
- 1つ以上のさらなる食用成分および/または賦形剤を含む食品である、請求項4に記載の組成物。
- 前記成分および/または賦形剤が抗酸化剤である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の組成物。
- メタボリックシンドローム状態の予防、軽減または治療を、それを必要とする人において行う方法であって、前記人に有効量の7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)を投与することを含む、方法。
- 前記有効量が1日成人1人当たり約10〜約500mgの範囲である、請求項8に記載の方法。
- 前記有効量が1日成人1人当たり約30〜約300mgの範囲である、請求項8に記載の方法。
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