JP2017515852A - 代謝障害を処置するための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本開示は、糖尿病、インスリン分泌の阻害に関連する状態を含む、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に関連する代謝障害を処置するための、または長寿を増加させるための組成物および方法を特色とする。特に、本方法は、代謝障害を患う対象に、治療有効量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を投与するステップを含む。一部の実施形態では、対象は、治療有効量の1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後に、インスリン分泌増加、グルコース耐性増加および長寿増加を示し得る。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる2014年5月16日に出願された米国仮出願第61/994,739号に基づく優先権を主張する。
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配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる配列表を含む。2015年5月15日に作成された当該ASCIIコピーは、7158−92366−02_SL.txtという名称で、サイズが60,178バイトである。
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CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、カルシトニン、アドレノメデュリンおよびアミリンを含むペプチドのファミリーに属する、37アミノ酸のニューロペプチドである。ヒトにおいて、2つの型のCGRP(α−CGRPおよびβ−CGRP)が存在し、同様の活性を有する。これらは、3個のアミノ酸によって変動し、差次的分布を示す。少なくとも2種のCGRP受容体サブタイプが、差次的活性を説明することもできる。CGRPは、中枢神経系における神経伝達物質であり、末梢における強力な血管拡張薬であることが示されており、CGRP含有ニューロンが血管と密接に関連する。CGRP媒介性血管拡張は、血漿の血管外漏出および微小血管系の血管拡張をもたらす事象のカスケードの一部として、神経原性炎症にも関連し、片頭痛に見られる。
代謝障害(例えば、肥満、糖尿病等)および加齢に関連する状態は、2つの重複し増加しつつある公衆衛生上の問題である。代謝障害は、脂質およびグルコース代謝における異常を反映するいくつかの徴候を有する。これらの異常は、粥状動脈硬化、心血管疾患(CVD)、真性糖尿病その他の原因であると考えられる。代謝障害の頻度は、生活習慣および年齢に依存する。高齢者集団における代謝障害は、死亡率または心血管(CV)罹患率、特に、脳卒中および冠動脈心疾患(CHD)の証明済みのリスク因子である。高齢者集団における代謝障害、心発作および糖尿病の高い有病率は、年齢のエビデンスを、代謝異常発症の独立的リスク因子とする。したがって、代謝障害の処置または長寿促進の差し迫った必要がある。
対象における代謝障害を処置するための方法の差し迫った必要がある。本開示は、これらの必要に取り組む。
本開示は、代謝障害を処置するための方法を提供する。本方法は、代謝障害を患う対象に、治療有効量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を投与するステップを含むことができる。例示的な代謝障害として、体重増加、糖尿病、心血管疾患またはこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、代謝障害は、糖尿病である。一部の実施形態では、代謝障害は、インスリン分泌の阻害によって特徴付けられる障害である。
一部の実施形態では、対象は、治療有効量の1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後に、インスリン分泌増加、グルコース耐性増加および長寿増加を示し得る。
本明細書に提供されている方法のいずれかの実施において、抗体は、ヒトまたはヒト化抗体であり得る。一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている対象は、ヒト等の哺乳動物である。
本明細書に開示されている方法は、CGRPに結合する治療有効量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を投与するステップを含むことができる。一部の事例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、37℃における表面プラズモン共鳴によって測定される50nMまたはそれ未満のKDでCGRPに結合する。一部の事例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、in vivoで少なくとも7日間の半減期を有する。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPのC末端領域に特異的に結合することができる。一部の事例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、配列GSKAF(配列番号48)によって規定されるエピトープを特異的に認識する。一部の事例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、配列番号1または155に示すアミノ酸配列を有するVHドメインを含む。一部の事例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、配列番号2または156に示すアミノ酸配列を有するVLドメインを含む。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、(a)配列番号3、169もしくは170に表記されているCDR H1;配列番号4もしくは171に表記されているCDR H2;配列番号5に表記されているCDR H3;配列番号6に表記されているCDR L1;配列番号7に表記されているCDR L2;および配列番号8に表記されているCDR L3;(b)配列番号157、172もしくは173に表記されているCDR H1;配列番号158もしくは174に表記されているCDR H2;配列番号159に表記されているCDR H3;配列番号160に表記されているCDR L1;配列番号161に表記されているCDR L2;および配列番号162に表記されているCDR L3;または(c)表6に示す(a)に従った抗体のバリアントを含む。一部の事例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するVHドメインと、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するVLドメインとを含むことができる。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)受託番号PTA−6867および/またはPTA−6866を有する発現ベクターによって産生される。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、C末端リシンを有するまたは有さない、配列番号11に示す抗体G1重鎖完全抗体アミノ酸配列と、配列番号12に示す抗体G1軽鎖完全抗体アミノ酸配列とを含む。一部の事例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、配列番号165に示す抗体G2重鎖完全抗体アミノ酸配列と、配列番号166に示す抗体G2軽鎖完全抗体アミノ酸配列とを含む。
抗CGRPアンタゴニスト抗体は、末梢に等、いずれかルーチンの方法を使用して投与することができる。一部の例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、経口、舌下、吸入により、経皮、皮下、静脈内、動脈内、関節内、関節周囲、局所的および/または筋肉内投与される。一部の例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、皮下または静脈内投与される。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、投与後に末梢に作用することができる。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、(a)CGRPに結合する;(b)CGRPがその受容体に結合するのを遮断する;(c)CGRP受容体活性化を遮断もしくは減少させる;(d)CGRPの生物学的活性を阻害、遮断、抑制もしくは低下させる;(e)CGRPのクリアランスを増加させる;および/または(g)CGRP合成、産生もしくは放出を阻害する。
本開示の前述および他の目的および特色は、添付の図面を参照しつつ進行する次の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
配列表
添付の配列表に収載されている核酸およびアミノ酸配列に関して、37 C.F.R.1.822に規定されている通り、ヌクレオチド塩基は標準文字略語を、アミノ酸は3文字コードを使用して示す。各核酸配列の一方の鎖のみを示しているが、表示されている鎖のいずれかの参照により、相補鎖が含まれていると理解される。
添付の配列表に収載されている核酸およびアミノ酸配列に関して、37 C.F.R.1.822に規定されている通り、ヌクレオチド塩基は標準文字略語を、アミノ酸は3文字コードを使用して示す。各核酸配列の一方の鎖のみを示しているが、表示されている鎖のいずれかの参照により、相補鎖が含まれていると理解される。
配列番号1は、G1重鎖可変領域アミノ酸配列である。
配列番号2は、G1軽鎖可変領域アミノ酸配列である。
配列番号3は、G1 CDR H1(延長されたCDR)アミノ酸配列である。
配列番号4は、G1 CDR H2(延長されたCDR)アミノ酸配列である。
配列番号5は、G1 CDR H3アミノ酸配列である。
配列番号6は、G1 CDR L1アミノ酸配列である。
配列番号7は、G1 CDR L2アミノ酸配列である。
配列番号8は、G1 CDR L3アミノ酸配列である。
配列番号9は、G1重鎖可変領域ヌクレオチド配列である。
配列番号10は、G1軽鎖可変領域ヌクレオチド配列である。
配列番号11は、G1重鎖完全抗体アミノ酸配列(本明細書に記載されている修飾IgG2を含む)である。
配列番号12は、G1軽鎖完全抗体アミノ酸配列である。
配列番号13は、G1重鎖完全抗体ヌクレオチド配列(本明細書に記載されている修飾IgG2を含む)である。
配列番号14は、G1軽鎖完全抗体ヌクレオチド配列である。
配列番号15は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列である。
配列番号16は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の断片(アミノ酸8〜37)である。
配列番号17は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の断片(アミノ酸19〜37)である。
配列番号18は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(P28Aアミノ酸19〜37)である。
配列番号19は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(K35Kアミノ酸19〜37)である。
配列番号20は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(K35Eアミノ酸19〜37)である。
配列番号21は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(K35Mアミノ酸19〜37)である。
配列番号22は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(K35Qアミノ酸19〜37)である。
配列番号23は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(F37Aアミノ酸19〜37)である。
配列番号24は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(38Aアミノ酸25〜38)である。
配列番号25は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の断片(25〜37)である。
配列番号26は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(F27Aアミノ酸25〜37)である。
配列番号27は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(V28Aアミノ酸25〜37)である。
配列番号28は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(P29Aアミノ酸25〜37)である。
配列番号29は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(T30Aアミノ酸25〜37)である。
配列番号30は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(N31Aアミノ酸25〜37)である。
配列番号31は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(V32Aアミノ酸25〜37)である。
配列番号32は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(G33Aアミノ酸25〜37)である。
配列番号33は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(S34Aアミノ酸25〜37)である。
配列番号34は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の突然変異体断片(F37Aアミノ酸25〜37)である。
配列番号35は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列の断片(アミノ酸26〜37)である。
配列番号36は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列のアミド化断片(アミノ酸19〜37)である。
配列番号37は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列のアミド化断片(アミノ酸19〜36)である。
配列番号38は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列のアミド化断片(アミノ酸1〜36)である。
配列番号39は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列のアミド化断片(アミノ酸1〜19)である。
配列番号40は、ヒトα−CGRPアミノ酸配列のアミド化断片(アミノ酸1〜13)である。
配列番号41は、ラットα−CGRPアミノ酸配列である。
配列番号42は、ラットα−CGRPアミノ酸配列の断片(アミノ酸19〜37)である。
配列番号43は、ヒトβ−CGRPアミノ酸配列である。
配列番号44は、ラットβ−CGRPアミノ酸配列である。
配列番号45は、ヒトカルシトニンアミノ酸配列断片(アミノ酸1〜32)である。
配列番号46は、ヒトアミリンアミノ酸配列断片(アミノ酸1〜37)である。
配列番号47は、ヒトアドレノメデュリンアミノ酸配列断片(アミノ酸1〜52)である。
配列番号48は、CGRPエピトープ配列である。
配列番号49〜55は、プライマー配列である。
配列番号56は、6−Hisタグ配列である。
配列番号57は、リンカー配列である。
配列番号58〜154は、プライマー配列である。
配列番号155は、抗体G2重鎖可変領域アミノ酸配列である。
配列番号156は、抗体G2軽鎖可変領域アミノ酸配列である。
配列番号157は、抗体G2 CDR H1(Kabat CDR)アミノ酸配列である。
配列番号158は、抗体G2 CDR H2(延長されたCDR)アミノ酸配列である。
配列番号159は、抗体G2 CDR H3アミノ酸配列である。
配列番号160は、抗体G2 CDR L1アミノ酸配列である。
配列番号161は、抗体G2 CDR L2アミノ酸配列である。
配列番号162は、抗体G2 CDR L3アミノ酸配列である。
配列番号163は、抗体G2重鎖可変領域ヌクレオチド配列である。
配列番号164は、抗体G2軽鎖可変領域ヌクレオチド配列である。
配列番号165は、抗体G2重鎖完全抗体アミノ酸配列(Fcドメインを含まない)である。
配列番号166は、抗体G2軽鎖完全抗体アミノ酸配列である。
配列番号167は、抗体G2重鎖完全抗体ヌクレオチド配列(Fcドメインを含まない)である。
配列番号168は、抗体G2軽鎖完全抗体ヌクレオチド配列である。
配列番号169は、抗体G1 CDR H1(Chothia CDR)アミノ酸配列である。
配列番号170は、抗体G1 CDR H1(Kabat CDR)アミノ酸配列である。
配列番号171は、抗体G1 CDR H2(Chothia CDR)アミノ酸配列である。
配列番号172は、抗体G2 CDR H1(延長されたCDR)アミノ酸配列である。
配列番号173は、抗体G2 CDR H1(Chothia CDR)アミノ酸配列である。
配列番号174は、抗体G2 CDR H2(Chothia CDR)アミノ酸配列である。
詳細な説明
詳細な説明
本開示は、対象に治療有効量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を投与することにより、対象における代謝障害を処置および/または予防するための方法を提供する。対象に治療有効量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を投与することにより、対象の長寿を増加させるための方法も本明細書に記載されている。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPに特異的に結合する抗体であり得る。本開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2007/054809の表6に示す、G1またはそのバリアントに由来する抗CGRPアンタゴニスト抗体およびポリペプチドも提供する。
他に説明がなければ、本明細書に使用されているあらゆる技術および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。分子生物学における共通用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes V、Oxford University Pressにより出版、1994年(ISBN0−19−854287−9);Kendrewら(編)The Encyclopedia of Molecular Biology、Blackwell Science Ltd.により出版、1994年(ISBN0−632−02182−9);およびRobert A. Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、VCH Publishers, Inc.により出版、1995年(ISBN1−56081−569−8)に見出すことができる。
単数形の用語「a」、「an」および「the」は、文脈がそれ以外を明らかに示さない限り、複数の指示対象を含む。同様に、単語「または(もしくは)」は、文脈がそれ以外を明らかに示さない限り、「および(ならびに)」を含むことを意図する。したがって、「AまたはBを含む(comprising)」は、AもしくはBまたはAおよびBを含む(including)ことを意味する。さらに、用語「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している」、「有する」、「備える」またはこれらの変種が、詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される程度まで、かかる用語は、用語「含む(comprising)」と同様の様式で包括的となることを意図する。核酸またはポリペプチドに与えられているあらゆる塩基サイズまたはアミノ酸サイズおよびあらゆる分子量または分子質量値は、近似であり、説明のために提供されていることをさらに理解されたい。本開示の実施または検査において、本明細書に記載されているものと同様または均等な方法および材料を使用することができるが、適した方法および材料について後述する。本明細書に言及されているあらゆる刊行物、特許出願、特許、GenBank(登録商標)受託番号および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾が生じる場合、用語の説明を含む本明細書が優先するであろう。加えて、材料、方法および例は、単なる実例的なものであり、限定的なものとなることを意図しない。
本開示の様々な実施形態の概説を容易にするために、特異的な用語に関して次の説明を提供する:
用語「約」または「およそ」は、値が測定または決定される仕方、すなわち、測定システムの限界に一部には基づく、当業者によって決定される特定の値の許容される誤差範囲内を意味する。例えば、「約」は、当技術分野の慣例に従った、1以内のまたは1を超える標準偏差を意味することができる。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%または最大1%の範囲を意味することができる。あるいは、特に、生物学的な系または過程に関して、この用語は、値の5倍以内または2倍以内等、1桁以内を意味することができる。特定の値が、本願および特許請求の範囲に記載されている場合、他に断りがなければ、特定の値の許容される誤差範囲内を意味する用語「約」を想定すべきである。
「処置」、「処置している」、「緩和している」および「寛解している」は、本明細書において、互換的に使用されている。これらの用語は、治療上の利益および/または予防上の利益が挙げられるがこれらに限定されない、有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチを指す。治療上の利益とは、処置されている根底にある障害の根絶または寛解を意味する。また、治療上の利益は、患者が根底にある障害に依然として苦しみ得るにもかかわらず患者において改善が観察されるように、根底にある障害に関連する生理的症状のうち1種または複数の根絶または寛解により達成される。予防上の利益のため、組成物は、この障害の診断が為されていない可能性がある場合であっても、特定の障害を発症するリスクがある患者に、または障害の生理的症状のうち1種もしくは複数を報告する患者に投与することができる。
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1個の抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等の標的に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書において、この用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体のみならず、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、dAb等)、単鎖抗体(ScFv)、その突然変異体、キメラ抗体、ダイアボディ、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む他のいずれかの修飾された構成の免疫グロブリン分子も包含する。抗体は、IgG、IgAまたはIgM(またはこれらのサブクラス)等、いずれかのクラスの抗体を含むことができる。その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。5種の免疫グロブリン主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのうちいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ぶことができる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元構成は周知である。「Fv」は、完全抗原認識および結合部位を含有する抗体断片を指す。二鎖Fv種において、この領域は、緊密に非共有結合性会合した1個の重鎖および1個の軽鎖可変ドメインの二量体からなる。単鎖Fv種において、1個の重鎖および1個の軽鎖可変ドメインは、軽鎖および重鎖が二鎖Fv種のものと類似の二量体構造で会合できるように、可動性ペプチドリンカーによって共有結合性連結することができる。この構成において、各可変ドメインの3個のCDRは、VH−VL二量体の表面において抗原結合特異性を画定するように相互作用することができる。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3個のCDRのみを含むFvの半分)は、一般に、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識および結合する能力を有することができる。
Fab断片は、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1個または複数のシステインを含む、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における数残基の付加がFab断片とは異なる。F(ab)2断片は、ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって連結した2個のFab断片を含む二価断片である。
抗体は、1個または複数の結合部位(抗原と組み合わせるための)を有することができる。2個以上の結合部位が存在する場合、これらの結合部位は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。例えば、天然起源の免疫グロブリンは、2個の同一結合部位を有することができ、単鎖抗体またはFab断片は、1個の結合部位を有することができるが、「二特異的」または「二官能性」抗体(ダイアボディ)は、配列および/または抗原/エピトープ認識の観点から、2個の異なる結合部位を有することができる。
「単離された抗体」は、(1)その天然状態においてこれを伴う、他の天然に会合する抗体を含む天然に会合する構成成分と会合していない、(2)同じ種由来の他のタンパク質を含まない、(3)異なる種由来の細胞によって発現される、および/または(4)自然に発生しない抗体を指す。
「モノクローナル抗体」は、均質な抗体集団を指し、このモノクローナル抗体は、抗原の選択的結合に関与するアミノ酸(天然起源および非天然起源)で構成される。モノクローナル抗体の集団は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して作製されている。用語「モノクローナル抗体」は、インタクトなモノクローナル抗体および全長モノクローナル抗体のみならず、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv等)、単鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ならびに要求される特異性および抗原に結合する能力のある抗原認識部位を含む他のいずれかの修飾された構成の免疫グロブリン分子も包含する。これは、抗体の供給源またはこれが作製される様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物等による)に関して限定されることを意図しない。
「ヒト化抗体」は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、特異的キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはこれらの断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合部分配列等)である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。例えば、非ヒト免疫グロブリンに由来する配列は、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満もしくは0.01%未満であり得る;またはさらには非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を実質的に含まなくてよい。一般に、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および生物学的活性を有するマウス、ラットまたはウサギ等、非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基に置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の事例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、相当する非ヒト残基に置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRまたはフレームワーク配列にも存在しないが、抗体性能をさらに緻密化および最適化するために含まれる残基を含むことができる。一般に、ヒト化抗体は、全てまたは実質的に全てのCDR領域が、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に相当し、全てまたは実質的に全てのFR領域が、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。一部の例において、ヒト化抗体は、典型的には、ヒト免疫グロブリンの、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも部分を含むであろう。抗体は、WO99/58572に記載されている通りに修飾されたFc領域を有することができる。他の形態のヒト化抗体は、本来の抗体に対して変更された1個または複数のCDR(1、2、3、4、5、6個)を有し、これらは、本来の抗体由来の1個または複数のCDR「に由来する」1個または複数のCDRとも称される。
「ヒト抗体」は、ヒトにおいて産生される抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有する抗体である、および/または当技術分野で公知のもしくは本明細書に開示されているヒト抗体を作製するための技法のいずれかを使用して作製された。ヒト抗体は、少なくとも1個のヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1個のヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含むことができる。かかる一例は、マウス軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技法を使用して産生することができる。一実施形態では、ヒト抗体は、ヒト抗体を発現するファージライブラリーから選択される(Vaughanら、1996年、Nature Biotechnology、14巻:309〜314頁;Sheetsら、1998年、PNAS, (USA)95巻:6157〜6162頁;HoogenboomおよびWinter、1991年、J. Mol. Biol.、227巻:381頁;Marksら、1991年、J. Mol. Biol.、222巻:581頁)。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活性化されたトランスジェニック動物、例えば、マウスに導入することにより作製することもできる。このアプローチは、全てこれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;および同第5,661,016号に記載されている。一例において、ヒト抗体は、標的抗原に対する抗体を産生するヒトBリンパ球を不死化させることにより調製される(かかるBリンパ球は、個体から回収することができるか、またはin vitroで免疫化されていてよい)。例えば、Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、77頁(1985年);Boernerら、1991年、J. Immunol.、147巻(1号):86〜95頁;および米国特許第5,750,373号を参照されたい。
「単鎖抗体(scFc)」は、VLおよびVH領域が、これらが単一のタンパク質鎖となることを可能にする合成リンカーを介して対になって一価分子を形成した抗体を指す(例えば、Birdら、Science、242巻:423〜426頁(1988年)およびHustonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85巻:5879〜5883頁(1988年)を参照)。
「ダイアボディ」は、VHおよびVLドメインが、単一のポリペプチド鎖において発現されるが、同じ鎖における該2個のドメインの間で対形成させるには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインを別の鎖の相補ドメインと対形成させて2個の抗原結合部位を作製した、二価二特異的抗体を指す。
「キメラ抗体」は、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの1個の部分が、特定の種に由来するまたは特定のクラスに属する抗体における相当する配列と相同であるが、鎖の残るセグメントが、別の種またはクラスの抗体における相当する配列と相同である抗体を指す。このようなキメラ抗体において、軽鎖および重鎖両方の可変領域は、哺乳動物のある種に由来する抗体の可変領域を模倣することができるが、定常部分は、別の種に由来する抗体における配列と相同であり得る。かかるキメラ形態の1つの利点は、例えば限定されないが、可変領域が、例えば、ヒト細胞調製物に由来する定常領域と組み合わせて、非ヒト宿主生物由来の容易に入手できるハイブリドーマまたはB細胞を使用した現在公知の供給源に簡便に由来し得ることである。可変領域は、調製の容易さおよび特異性がその供給源による影響を受けないという利点を有することができるが、ヒトのものである定常領域は、非ヒト供給源由来の定常領域よりも、抗体を注射する際にヒト対象から免疫応答を誘発する可能性が低くなり得る。この定義は、この特定例に限定されない。
「機能的Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の少なくとも1種のエフェクター機能を保有することができる。例示的な「エフェクター機能」として、C1q結合;補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方調節その他が挙げられるがこれらに限定されない。かかるエフェクター機能は、一般に、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わせるためにFc領域を必要とし、かかる抗体エフェクター機能を評価するための、当技術分野で公知の様々なアッセイを使用して評価することができる。
「ネイティブ配列Fc領域」は、自然に存在するFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。「バリアントFc領域」は、少なくとも1個のアミノ酸修飾が理由でネイティブ配列Fc領域のものとは異なるアミノ酸配列を含むが、ネイティブ配列Fc領域の少なくとも1種のエフェクター機能を依然として保持する。一例において、バリアントFc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1個のアミノ酸置換、例えば、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域における約1〜約10個のアミノ酸置換または約1〜約5個のアミノ酸置換(1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸置換等)を有する。バリアントFc領域は、一部の例において、ネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域に対し少なくとも約80%の配列同一性、例えば、それに対する少なくとも約90%の配列同一性、それに対する少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を保有する。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的な細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)が、標的細胞における結合された抗体を認識し、その後に該標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応を指す。目的の分子のADCC活性は、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されているアッセイ等、in vitro ADCCアッセイを使用して評価することができる。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびNK細胞を含む。あるいはまたは加えて、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynesら、1998年、PNAS (USA)、95巻:652〜656頁に開示されているモデル等、動物モデルにおいて評価することができる。
「Fc受容体(FcR)」は、抗体のFc領域に結合する受容体について記載する。FcRは、ネイティブ配列ヒトFcRであり得る。さらに、例示的なFcRは、IgG抗体に結合するFcRであり(ガンマ受容体)、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これは、これらの受容体の対立遺伝子バリアントおよび選択的(alternatively)スプライス型を含む。FcγRII受容体は、その細胞質ドメインが主に異なる同様のアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)を含む。FcRは、RavetchおよびKinet、1991年、Ann. Rev. Immunol.、9巻:457〜92頁;Capelら、1994年、Immunomethods、4巻:25〜34頁;ならびにde Haasら、1995年、J. Lab. Clin. Med.、126巻:330〜41頁に概説されている。「FcR」は、胎児への母性IgGの移入の原因となる新生児受容体FcRnも含む(Guyerら、1976年、J. Immunol.、117巻:587頁;およびKimら、1994年、J. Immunol.、24巻:249頁)。
「補体依存性細胞傷害(CDC)」は、補体の存在下での標的の溶解を指す。補体活性化経路は、同族抗原と複合体形成した分子(例えば、抗体)への補体系の第1の構成成分(C1q)の結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano−Santoroら、J. Immunol. Methods、202巻:163頁(1996年)に記載されているCDCアッセイを行うことができる。
「カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)」は、CGRPの活性の少なくとも一部を保持する、いずれかの形態のカルシトニン遺伝子関連ペプチドおよびそのバリアントを指す。例えば、CGRPは、α−CGRPまたはβ−CGRPであり得る。本明細書において、CGRPは、あらゆる哺乳動物種のネイティブ配列CGRP、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマおよびウシを含む。ヒトα−CGRPに関する追加的な情報は、OMIM114130に見出すことができる。ヒトβ−CGRPに関する追加的な情報は、OMIM114160に見出すことができる。CGRP配列は、例えば、GenBank(登録商標)配列データベースから公開されている。当業者であれば、追加的なCGRP核酸およびタンパク質配列を同定することができる。他の具体例が本明細書に提供されている(例えば、ヒトα−CGRP(配列番号15);ヒトβ−CGRP(配列番号43);ラットα−CGRP(配列番号41);およびラットβ−CGRP(配列番号44))。例示的なCGRP配列のアライメントを図18に示す。
「抗CGRPアンタゴニスト抗体」は、CGRPの生物学的活性および/またはCGRPシグナリングによって媒介される下流経路(複数可)を阻害することができる抗体を指す。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、受容体結合および/またはCGRPに対する細胞性応答の誘発等、CGRPシグナリングによって媒介される下流経路を含むCGRPの生物学的活性を遮断、アンタゴナイズ、抑制または低下(有意に、を含む)させる抗体を包含する。本開示の目的のため、用語「抗CGRPアンタゴニスト抗体」が、それによって、CGRPそれ自体、CGRPの生物学的活性(頭痛のいずれかの側面を媒介するその能力が挙げられるがこれに限定されない)または生物学的活性の帰結が、実質的に無効にされる、減少するまたはいずれか有意義な程度で中和される、あらゆる以前に同定された用語、表題ならびに機能的状態および特徴を包含することが理解されるであろう。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPに結合し、CGRP受容体へのCGRP結合を防止する。他の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPに結合し、CGRP受容体の活性化を防止する。抗CGRPアンタゴニスト抗体の例が、本明細書に提供されている。CGRPに結合する抗体は、本明細書において、「抗CGRP抗体」とも称される。
「G1」および「抗体G1」は、寄託番号ATCC−PTA−6867およびATCC−PTA−6866を有する発現ベクターによって産生される抗体を指すよう互換的に使用されている。重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号1および2に示す。抗体G1のCDR部分(ChothiaおよびKabat CDRを含む)は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2007/054809の図5において図表により描写されている。重鎖および軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、配列番号9および10に示す。抗体G1の特徴付けは、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2007/054809の実施例に記載されている。G1は、ニューロペプチドCGRP(aおよびb)の結合および活性ならびにCGRP放出に起因するその神経原性血管拡張効果を遮断する、ヒト化モノクローナル遮断抗体(IgG2)である。G1は、マウス形質細胞腫細胞と融合された、ヒトおよびラットCGRPで免疫化したマウスから調製された脾臓細胞を使用したスクリーニングにおいて同定される、muMAb7E9と表示されるマウス抗CGRPアンタゴニスト抗体前駆体に由来するIgG2.DELTA.aモノクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体である。G1は、muMAb 7E9由来の軽鎖および重鎖CDRを、最も近縁のヒト生殖系列配列にグラフトし、続いて各CDRに少なくとも1個の突然変異およびVHに2個のフレームワーク突然変異を導入することにより作製された。G1のFcドメインに2個の突然変異を導入して、ヒトFc受容体活性化を抑制した。G1およびmuMab7E9は、同じエピトープを認識することが示された。
「G2」および「抗体G2」は、Wongら、Hybridoma 12巻:93〜106頁(1993年)に記載されている抗ラットCGRPマウスモノクローナル抗体を指すよう互換的に使用されている。重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号155および156に示す。重鎖および軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、配列番号163および164に示す。抗体G2のCDR部分は、配列番号157〜162に提示する。G2は、G1と同じエピトープを認識することが示された。
抗体の「免疫特異的」結合は、抗体の抗原結合部位と、該抗体によって認識される特異的抗原との間に発生する抗原特異的結合相互作用を指す(すなわち、抗体は、ELISAまたは他のイムノアッセイにおいてこのタンパク質と反応し、無関係なタンパク質とは検出可能に反応しない)。
抗体またはポリペプチドに「特異的に結合」または「優先的に結合」(本明細書において互換的に使用)するエピトープは、当技術分野で十分に理解されている用語であり、かかる特異的または優先的結合を決定する方法も、当技術分野で周知である。分子は、代替細胞または物質と反応または会合するよりも頻繁に、それよりも急速に、それよりも優れた持続時間でおよび/またはそれよりも優れた親和性で、特定の細胞または物質と反応または会合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われる。抗体は、他の物質に結合するよりも優れた親和性で、アビディティーで、それよりも容易におよび/またはそれよりも優れた持続時間で結合する場合、標的に「特異的に結合」または「優先的に結合」する。例えば、第1の標的に特異的にまたは優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)が、第2の標的に特異的にまたは優先的に結合してもしなくてもよいことも理解される。そのようなものとして、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を必ずしも必要としない(これを含んでもよいが)。一般に、ただし必然的ではなく、結合の言及は、優先的結合を意味する。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、いずれかの長さのアミノ酸のポリマーを指すよう本明細書において互換的に使用されている。ポリマーは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、修飾されたアミノ酸を含むことができ、非アミノ酸によって中断されていてよい。この用語は、天然にまたは介入によって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する;例えば、標識構成成分とのコンジュゲーション等、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化または他のいずれかの操作もしくは修飾。例えば、アミノ酸の1種または複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸等を含む)および当技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。本明細書に提供されているポリペプチドは、抗体に基づくため、ポリペプチドが、単鎖または会合した鎖として発生し得ることが理解される。
本明細書において互換的に使用されている「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」は、いずれかの長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによってポリマーに取り込むことができるいずれかの基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびその類似体等、修飾ヌクレオチドを含むことができる。存在するのであれば、ポリマーのアセンブリ前または後にヌクレオチド構造に対する修飾を付与することができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断することができる。ポリヌクレオチドは、標識構成成分とのコンジュゲーション等により、重合後にさらに修飾することができる。他の種類の修飾は、例えば、類似体による天然起源のヌクレオチドのうち1個または複数の「キャップ」置換、例えば、無電荷結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カバメート(cabamate)等)および荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)による修飾、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ(ply)−L−リシン等)等のペンダント部分を含有する修飾、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラレン等)による修飾、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化的金属等)を含有する修飾、アルキル化剤を含有する修飾、修飾された結合(例えば、アルファアノマー核酸等)による修飾等、ヌクレオチド間修飾、ならびに非修飾型のポリヌクレオチド(複数可)を含む。さらに、糖に通常存在するヒドロキシル基のいずれかは、例えば、ホスホネート基、リン酸基によって置き換えることができるか、標準保護基によって保護することができるか、または活性化して追加的なヌクレオチドへの追加的な結合を調製することができるか、または固体支持体にコンジュゲートすることができる。5’および3’末端OHは、リン酸化することができるか、または1〜20個の炭素原子のアミンもしくは有機キャッピング基部分で置換することができる。他のヒドロキシルは、標準保護基に誘導体化することもできる。ポリヌクレオチドは、例えば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、α−アノマー糖、アラビノース、キシロースまたはリキソース等のエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体およびメチルリボシド等の脱塩基ヌクレオシド類似体を含む、当技術分野で一般に公知であるリボースまたはデオキシリボース糖の類似型を含有することもできる。1個または複数のホスホジエステル結合は、代替連結基に置き換えることができる。このような代替連結基として、リン酸が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)(式中、各RまたはR’は独立に、H、またはエーテル(−−O−−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジルを任意選択で含有する置換もしくは非置換アルキル(1〜20C)である)に置き換えられる実施形態が挙げられるがこれらに限定されない。ポリヌクレオチドにおける全ての結合が同一である必要はない。先行する記載は、RNAおよびDNAを含む、本明細書に参照されるあらゆるポリヌクレオチドに当てはまる。
抗体の「可変領域」は、単独のまたは組み合わせた、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域はそれぞれ、高頻度可変領域としても公知の3個の相補性決定領域(CDR)によって接続された4個のフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖におけるCDRは、FRによってごく近接して一体に保持され、他の鎖由来のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するための少なくとも2種の技法が存在する:(1)異種間配列可変性に基づくアプローチ(例えば、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版、1991年、National Institutes of Health、Bethesda Md.));および(2)抗原−抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(例えば、Chothiaら(1989年)Nature 342巻:877頁;Al−lazikaniら(1997年)J. Molec. Biol.273巻:927〜948頁))。本明細書において、CDRは、いずれか一方のアプローチまたは両方のアプローチの組合せによって定義されるCDRを指すことができる。
抗体の「定常領域」は、単独のまたは組み合わせた、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指す。
「実質的に純粋」は、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋または少なくとも99%純粋等、少なくとも50%純粋(すなわち、夾雑物を含まない)である材料を指す。
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入物を取り込むためのベクター(複数可)のレシピエントとなり得るまたはそうであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を含み、後代は、天然、偶発的または計画的突然変異により、本来の親細胞と必ずしも(形態またはゲノムDNA相補体が)完全に同一でなくてもよい。宿主細胞は、本開示のポリヌクレオチド(複数可)をin vivoでトランスフェクトされた細胞を含む。
本明細書にさらに記載されている用語「有効量」、「治療有効量」または「治療量」は、このようなより少ない有効量および通常の有効量の両方を包含し、実際に、特定の状態、効果および/または応答の誘発に有効であるいずれかの量を包含する。そのようなものとして、同時発生的投与のいずれかのかかる対象の用量は、単独で投与される場合に使用できる用量未満であり得る。投与のいずれかのかかる対象(複数可)の1種または複数の効果は、相加的または相乗的であり得る。投与のいずれかのかかる対象(複数可)は、2回以上投与することができる。有効量は、当業者によって容易に決定することができる、意図される適用(in vitroまたはin vivo)または処置されている対象および疾患状態、例えば、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与の様式その他に応じて変動し得る。この用語は、標的細胞において特定の応答、例えば、増殖の低下または標的タンパク質の活性の下方調節を誘導するであろう用量にも当てはまる。特異的な用量は、選択された特定の化合物、従うべき投薬レジメン、他の化合物と組み合わせて投与されるか否か、投与のタイミング、これが投与される組織およびこれを運ぶ物理的送達系に応じて変動し得る。
薬剤または治療法の「治療量以下の量」は、治療的とみなされる量を下回る、該薬剤または治療法の有効量未満の量である。しかし、かかる量は、有効量または治療量以下の量の別の薬剤または治療法と組み合わされると、例えば、得られた有効な効果における相乗作用またはこの組合せにおいて使用される薬剤のうち1種もしくは複数の副作用の低下により、医師が望む結果を生じることができる。例えば、FDAガイドラインは、特定の状態を処置するための投薬の指定のレベルを提案することができ、治療量以下の量は、FDAが提案する投薬レベルを下回るいずれかのレベルとなるであろう。
薬剤または治療法の「相乗的に有効な治療量」は、有効量または治療量以下の量の別の薬剤または治療法と組み合わされると、この2種の薬剤または治療法のどちらかが単独で使用される場合よりも優れた効果を生じる量である。一部の実施形態では、薬剤または治療法の相乗的に有効な治療量は、組み合わせて使用される場合、単独で使用された場合のこの2種の薬剤または治療法のそれぞれの相加的効果よりも優れた効果を生じる。
「治療効果」は、本明細書において、本明細書に記載されている治療上の利益および/または予防上の利益を包含する。予防効果は、疾患もしくは状態の出現の遅延もしくは排除、疾患もしくは状態の症状の発病の遅延もしくは排除、疾患もしくは状態の進行を遅くすること、停止もしくは逆転、またはこれらのいずれかの組合せを含む。
用語「薬学的に許容される塩」は、当技術分野で周知の様々な有機および無機対イオンに由来する塩を指す。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸により生成することができる。塩を生じることができる無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸その他を含む。塩を生じることができる有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸その他を含む。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基により生成することができる。塩を生じることができる無機塩基は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムその他を含む。塩を生じることができる有機塩基は、例えば、一級、二級および三級アミン、天然起源の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂その他、特に、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミン等を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩から選択される。よって、本明細書に開示されている抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)は、対象への投与に適した塩等、1種または複数の薬学的に許容される塩と組み合わせることができる。
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張性および吸収遅延剤その他を含む。薬学的活性物質のためのかかる培地および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。いずれかの従来の培地または薬剤が活性成分と不適合性である場合を除いて、本開示の治療用組成物におけるその使用が企図される。補足的活性成分を組成物に取り込むこともできる。本明細書において、「薬学的に許容される担体」は、活性成分と組み合わされた場合に、該成分が生物学的活性を保持することを可能にし、対象の免疫系と非反応性であるいずれかの材料を含む。例として、リン酸緩衝食塩水溶液、水、油/水エマルション等のエマルションおよび様々な種類の湿潤剤等、標準医薬品担体のいずれかが挙げられるがこれらに限定されない。エアロゾルまたは非経口的投与に好ましい希釈液は、リン酸緩衝食塩水または通常の(0.9%)生理食塩水である。かかる担体を含む組成物は、周知の従来の方法によって製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A. Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1990年;およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing、2000年を参照)。よって、本明細書に開示されている抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)は、対象への投与に適した1種または複数の薬学的に許容される担体中に存在することができる。
一実施形態では、本明細書における「のために調製される」は、医薬が、末梢投与における使用のために適宜包装および/またはマークされた、投薬量単位その他の形態であることを意味する。
「生物学的試料」は、個体から得られる様々な試料型を包含し、診断またはモニタリングアッセイにおいて使用することができる。この用語は、血液および生物学的起源の他の液体試料、生検標本等の固形組織試料またはこれに由来する組織培養物もしくは細胞、ならびにこれらの後代を包含する。この用語は、試薬による処置、可溶化またはタンパク質もしくはポリヌクレオチド等のある特定の構成成分の濃縮、または切片作製する目的での半固体もしくは固体マトリックスにおける包埋による等、その調達後にいずれかの仕方で操作された試料も含む。用語「生物学的試料」は、臨床試料を包含し、培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生体液および組織試料も含む。
「個体」または「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒト等、脊椎動物である。哺乳動物として、家畜(ウシ、ブタ、ヒツジ等)、競技(sport)動物、ペット(ネコ、イヌおよびウマ等)、霊長類、ウサギ、マウスおよびラットが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書に記載されている方法は、ヒト治療薬、前臨床および獣医学適用の両方において有用であり得る。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物であり、一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
用語「in vivo」は、対象の身体において起こる事象を指す。
「ベクター」は、宿主細胞において1種または複数の目的の遺伝子または配列を送達することができ、一部の例においては、これを発現することができる構築物である。ベクターの例として、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤を伴うDNAまたはRNA発現ベクター、リポソームに被包されたDNAまたはRNA発現ベクター、および産生細胞等、ある特定の真核細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
「発現制御配列」は、核酸の転写を方向付ける核酸配列である。発現制御配列は、構成的もしくは誘導性プロモーター等のプロモーターまたはエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写しようとする核酸配列に作動可能に連結される。
用語「末梢に投与される」は、物質、医薬および/または抗CGRPアンタゴニスト抗体が送達されるべき経路を指し、特に、中枢にではなく、脊髄にではなく、くも膜下腔内ではなく、CNSへと直接的に送達されないことを意味する。この用語は、直前に述べた経路以外の投与経路を指し、経口、舌下、頬側、外用、直腸、吸入による、経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、心臓内、骨内、真皮内、腹腔内、経粘膜、腟、硝子体内、関節内、関節周囲、局所的または皮膚上である経路によることを含む。よって、本明細書に開示されている抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)は、これらの方法のいずれかを使用して対象に投与することができる。
用語「末梢に作用する」は、物質、化合物、医薬および/または抗CGRPアンタゴニスト抗体の作用部位を指し、前記部位は、中枢神経系とは対照的に末梢神経系内であり、前記化合物、医薬および/または抗CGRPアンタゴニスト抗体は、末梢に投与されるとCNSおよび脳への関門を通過できないことによって限定される。用語「中枢に浸透」は、脳またはCNSへの関門を通過する物質の能力を指す。
用語「kon」は、抗原への抗体の会合の速度定数を指すことを意図する。
用語「koff」は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離の速度定数を指すことを意図する。
用語「KD」は、抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を指すことを意図する。
「薬剤」は、生物学的、薬学的または化学的化合物もしくは他の部分を指す。非限定例として、単純もしくは複雑な有機もしくは無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素または化学療法的化合物が挙げられる。様々な化合物を合成することができ、例えば、小分子およびオリゴマー(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)、ならびに様々なコア構造に基づく合成有機化合物が挙げられる。加えて、様々な天然供給源が、植物または動物抽出物その他等、スクリーニングのための化合物を提供することができる。当業者であれば、本開示の薬剤の構造的性質に関する限界がないことを容易に認識することができる。
一般に、構成成分、薬剤、物質、材料、組成物および/またはその他等、対象の身体への投与のための2種またはそれを超える投与対象を参照した用語「同時発生的投与」、「同時投与」または「と併せた投与」は、投与対象が、僅少な量未満の時間間隔にわたり、対象の身体内または対象の身体における作用部位に共に存在するような、用量(複数可)および時間間隔(複数可)を使用して為される投与を指す。時間間隔は、例えば、数分間、数時間、数日間または数週間の適切な間隔等、いずれか適した時間間隔であり得る。投与対象は、例えば単一の組成物の一部または他の仕方による等、共に投与することができる。投与対象は、実質的に同時に(例えば、互いに約5分間、約3分間もしくは約1分間未満またはこれに等しい時間内等)または互いに短い時間内で(例えば、互いに約1時間、30分間もしくは10分間未満もしくはこれに等しい時間内等または約5分間超から最大約1時間以内)投与することができる。このように投与された投与対象は、実質的に同時に投与されたとみなすことができる。当業者であれば、投与対象が対象の身体内に僅少を超えるレベルでおよび/または対象の身体内に有効濃度で存在するように、対象の身体への投与対象の投与に適切な用量(複数可)および時間間隔(複数可)を決定することができるであろう。投与対象が、対象の身体に同時発生的に投与される場合、いずれかのかかる投与対象は、単独で投与された場合に使用できる有効量に満たずに有効量となることができる。
「真性糖尿病」は、膵臓が、十分なインスリンを産生しないために、または細胞が、産生されたインスリンに応答しないために、対象が高血糖を有する代謝性疾患の群を指す。1型糖尿病は、身体が、インスリンを産生できないことに起因する。この型は、「インスリン依存性真性糖尿病」(IDDM)または「若年性糖尿病」とも呼ばれる。2型糖尿病は、細胞がインスリンを適切に使用できない状態である、インスリン抵抗性に起因し、絶対的インスリン欠乏と組み合わされる場合もある。この型は、「インスリン非依存性真性糖尿病」(NIDDM)または「成人発症型糖尿病」とも呼ばれる。インスリンに対する体組織の応答性欠損は、インスリン受容体に関与すると考えられる。真性糖尿病は、反復性または持続性高血糖症によって特徴付けられ、一部の例において、
a.絶食時血漿グルコースレベル≧7.0mmol/l(126mg/dl);
b.グルコース耐性検査における75g経口グルコース負荷の2時間後の血漿グルコース≧11.1mmol/l(200mg/dL);
c.高血糖症の症状および随時(casual)血漿グルコース≧11.1mmol/l(200mg/dl);
d.糖化ヘモグロビン(Hb A1C)≧6.5%
のうちいずれか一項目を実証することによって診断される。
a.絶食時血漿グルコースレベル≧7.0mmol/l(126mg/dl);
b.グルコース耐性検査における75g経口グルコース負荷の2時間後の血漿グルコース≧11.1mmol/l(200mg/dL);
c.高血糖症の症状および随時(casual)血漿グルコース≧11.1mmol/l(200mg/dl);
d.糖化ヘモグロビン(Hb A1C)≧6.5%
のうちいずれか一項目を実証することによって診断される。
代謝障害/疾患:正常な哺乳動物の代謝過程の破壊に起因する疾患または障害。メタボリックシンドロームを含む。例として、(1)真性糖尿病(I型および2型)、妊娠性糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、異常グルコース代謝、「前糖尿病」(絶食時血中ブドウ糖不良(IFG)またはグルコース耐性障害(IGT))および例えば、膵β細胞破壊等の病理組織学的変化を含む、高血糖性状態に伴うまたはこれに起因する他の生理的障害を含む、グルコース利用障害およびこれに伴う続発症;(2)脂質異常症およびその続発症、例えば、粥状動脈硬化、冠動脈疾患、脳血管障害その他等;(3)肥満およびボディマス上昇(非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)等が挙げられるがこれらに限定されない、その併存症状態を含む)等、メタボリックシンドロームに関連し得、血栓症、凝固性亢進および血栓形成促進性状態(動脈および静脈)、高血圧症、心血管疾患、脳卒中ならびに心不全も含む他の状態;(4)粥状動脈硬化、慢性炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、喘息、エリテマトーデス、関節炎または他の炎症性リウマチ性障害を含む、炎症性反応が関与する障害または状態;(5)例えば、脂肪肉腫、固形腫瘍および新生物を含む脂肪細胞腫瘍、脂肪性(lipomatous)癌等、細胞周期または細胞分化過程の障害;(6)アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、進行性多巣性白質脳症およびギラン(Guillian)・バレー症候群を含む、中枢および末梢神経系の神経変性疾患および/もしくは脱髄性障害、ならびに/または神経炎症性(neuroinfiammatory)過程に関与する神経学的疾患、ならびに/または他の末梢性ニューロパチー;(7)紅斑性(erythemato)扁平上皮皮膚病を含む、皮膚および皮膚科学的障害ならびに/または創傷治癒過程の障害;ならびに(8)シンドロームX、骨関節炎および急性呼吸促迫症候群等、他の障害が挙げられるがこれらに限定されない。他の例は、WO2014/085365(参照により本明細書に組み込まれる)に提供されている。
具体例において、代謝性疾患は、糖尿病(2型糖尿病、非2型糖尿病、1型糖尿病、潜在性自己免疫性糖尿病(LAD)または若年発症成人型糖尿病(MODY)等)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、メタボリックシンドローム(MetS)、肥満、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、脂質異常症(例えば、高脂血症)および心血管疾患(例えば、高血圧症)のうち1種または複数(少なくとも2または少なくとも3種等)を含む。
代謝障害を処置するための方法
代謝障害を処置するための方法
代謝障害または加齢を有効に処置、予防または遅延させるのに有用である組成物および方法の臨床的な必要がある。代謝障害および/または1種もしくは複数の代謝障害の症状を処置、予防、進行を遅くする、制御または寛解するための組成物および方法が本明細書に開示されている。本方法は、代謝障害を有するまたはそれを発症するリスクがある対象に治療有効量の1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を投与するステップを含むことができる。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPに結合する抗体であり得る。一部の事例において、当技術分野で公知である、代謝障害または加齢を処置するための治療量以下の量の第2の薬剤を、開示されている組成物と同時投与することができる。開示されている組成物および方法は、第2の薬剤の副作用の低下においても有用であり得る。
CGRPは、それと血管運動症状との関連可能性で知られている(Wyonら、Scand. J. Urol. Nephrol.35巻:92〜96頁(2001年);Wyonら、Menopause 7巻(1号):25〜30頁(2000年))。のぼせおよび寝汗等、血管運動症状(VMS)が、閉経期に伴う最も一般的な症状であり、天然または外科的に誘導される閉経期の後に全女性の60%〜80%において発生する。のぼせは、減退する性ステロイドに対する中枢神経系(CNS)の適応応答である可能性がある(Freedman, Am. J. Human Biol.13巻:453〜464頁(2001年))。男性も、ステロイドホルモン(アンドロゲン)退薬後にのぼせを経験する。これは、加齢に伴うアンドロゲン減退の場合(Katovichら、Proceedings of the Society for Experimental Biology & Medicine、1990年、193巻(2号):129〜35頁)および前立腺がんの処置に伴うホルモン欠乏症の極端な症例(Berendsenら、European Journal of Pharmacology、2001年、419巻(1号):47〜54頁)に当てはまる。これらの患者の3分の1もの患者が、有意な不快感および不自由を引き起こすのに十分に重症な持続性かつ頻繁な症状を経験するであろう。
CGRPは、片頭痛(前兆ありまたはなし)および群発性頭痛を含むあらゆる形態の血管性頭痛等、他の血管運動症状の病理に関与する強力な血管拡張薬である。Durham, N. Engl. J. Med.350巻:1073〜1075頁、2004年。外頸静脈におけるCGRPの血清レベルは、片頭痛性頭痛中に患者において上昇する。Goadsbyら、Ann. Neurol.28巻:183〜7頁、1990年。ヒトα−CGRPの静脈内投与は、前兆なしの片頭痛を患う患者において、頭痛および片頭痛を誘導し、CGRPが、片頭痛において原因となる役割を有することを示唆する。Lassenら、Cephalalgia 22巻:54〜61頁、2002年。片頭痛におけるCGRPの関与は、CGRPの放出を阻害する(例えば、スマトリプタン)、CGRP受容体をアンタゴナイズする(例えば、ジペプチド誘導体BIBN4096BS(Boerhringer Ingelheim);CGRP(8−37))、または両者がCGRPとその受容体との結合に影響する、受容体活性膜タンパク質(RAMP)もしくは受容体構成成分タンパク質(RCP)等、受容体関連タンパク質のうち1種もしくは複数と相互作用する、いくつかの化合物の開発および検査のための基盤であった。Brainら、Trends in Pharmacological Sciences 23巻:51〜53頁、2002年。アルファ−2アドレナリン受容体サブタイプおよびアデノシンA1受容体も、CGRP放出および三叉神経活性化を制御(阻害)する(Goadsbyら、Brain 125巻:1392〜401頁、2002年)。ヒトにおける神経原性血管拡張および三叉神経侵害受容を阻害することが示された、アデノシンA1受容体アゴニストGR79236(メトラファジル(metrafadil))も、抗片頭痛活性を有し得る(Arulmaniら、Cephalalgia 25巻:1082〜1090頁、2005年;Giffinら、Cephalalgia 23巻:287〜292頁、2003年)。この理論を混乱させているのは、神経原性炎症(例えば、タキキニンNK1受容体アンタゴニスト)または三叉神経活性化(例えば、5HT1D受容体アゴニスト)を排他的に阻害する化合物による処置が、片頭痛のための急性処置として相対的に無効であると示されたという観察であり、一部の研究者に、CGRPの放出の阻害が、有効な抗片頭痛処置の一次作用機構であるか疑問視させる。Arulmaniら、Eur. J. Pharmacol.500巻:315〜330頁、2004年。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,623,366号に記載されている通り、片頭痛または疼痛を処置するために使用されてきた。
生物は、生存に有害な環境における潜在的な有害な刺激を感知、認識およびこれに対し適切に応答するように指定された受容体およびその関連するシグナリング経路を進化させてきた。侵害性刺激を検出する神経受容体は、さらなる危害からの回避および生物の保護を促進するために、痛覚を誘引することができる。一過性受容器電位カチオンチャネルサブファミリーVメンバー1(TRPV1)は、皮膚の真皮および表皮層、口腔および鼻粘膜ならびに関節等、標的組織における極めて高い温度および有痛性刺激を検出する求心性感覚ニューロンにおいて発現される。このようなニューロンの細胞体は、脊髄の後角への投射による中枢神経系への環境刺激に関する情報を中継する。その疼痛感受性縮小に加えて、TRPV1ヌル突然変異体マウスは、食事誘導性肥満に対するその保護である表現型を示すことができる。TRPV1は、代謝における役割を有することができる。TRPV1を発現する無髄C線維は、膵臓を神経支配する高密度の網目構造を形成し、その刺激は、それぞれ神経原性炎症を促進するまたはin vivoアッセイにおいてインスリン放出をアンタゴナイズするニューロペプチド、サブスタンスPおよびカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の放出を引き起こす。しかし、生物のCGRP放出、加齢ならびに全体的な健康および代謝の間の関係性は、十分に理解されていない。
疼痛の経験は必然的に、生物にストレスを引き起こすが、依然として不明なのは、疼痛の経験ではなく知覚が、生物のための長期的結果を誘発する程度である。臨床試験は、慢性レベルの疼痛を経験する患者における、寿命の相関性の減少および健康の全体的な減少を観察した。さらに、加齢過程が、環境因子に強く影響される無脊椎動物において、正準感覚的知覚の変更は、正常な加齢に急性に影響し得る。CRTC1/CREB経路の遺伝子操作が、C.elegansの加齢をモジュレートし、化学受容性知覚の破壊が、虫およびハエにおける寿命を延長することが示されてきたが、同様の機構が哺乳動物の長寿を調節するかは不明であった。本明細書において、侵害受容に決定的なイオンチャネルであるTRPV1の遺伝的欠失が、末梢感覚ニューロンにおけるCRTC1の活性を調節することにより、マウスおよびC.elegansの寿命を延長することが示される。TRPV1突然変異体マウスも、軽度のインスリン抵抗性にもかかわらず、加齢を通じて改善されたグルコース耐性および増加したエネルギー支出を有する。前者を除いて、これらの表現型は、これらのマウスの例外的な長寿の根底にある可能性がある。加齢を通じた改善されたエネルギー支出は、炭水化物および脂肪代謝の間のより健康的な移行を確実にすることにより、脂肪貯蔵および脂肪代謝に関連する全身性損傷を予防する。改善されたエネルギー支出と一貫して、TRPV1突然変異体マウスは、グルコース耐性における有益な効果および高脂肪食によって誘導される肥満に対する抵抗性を示す。
本明細書において、TRPVチャネルが、CRTC1/CREB回路により代謝活性を調整することにより、複数の感覚入力を統合し、長寿を促進する神経内分泌シグナルへとこれらを伝達する進化的に保存された系として感覚ニューロンにおいて機能することが示されている。特に、これらのデータは、哺乳動物における長寿の決定的な神経内分泌調節因子ならびに予測寿命および健康寿命の可能なバイオマーカーとしてのニューロペプチドCGRPの役割を強調する。興味深いことに、30年間を超えて生きる極めて長寿命のハダカデバネズミは、DRGにおけるCGRPを天然に欠く(Parkら、J. Comp. Neurol.465巻、104〜120頁、2003年)。本明細書において、TRPV1および/またはCGRPの薬理学的操作が、疼痛に有用となるのみならず、グルコース恒常性および加齢も改善し得ることが提案される。この考えと一貫して、TRPV1ニューロンを過剰刺激し、その死を引き起こし得るカプサイシンが豊富な食事は、ヒトにおける糖尿病および代謝調節不全のより低い発生率に長年関連付けられてきた(Westerterp−Plantengaら、Int. J. Obes.2005年、29巻、682〜688頁、2005年)。
本明細書に記載されている方法は、代謝障害を患う(またはそのリスクがある)対象に治療有効量の1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体(1、2、3、4または5種の異なる抗CGRPアンタゴニスト抗体等)を含む組成物を投与するステップを含む。例示的な対象は、哺乳動物、例えば、ヒト等、動物を含む。本明細書に記載されている方法および組成物は、ヒト治療薬、前臨床および獣医学適用の両方において有用であり得る。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物であり、一部の実施形態では、対象は、ヒトである。処置される対象は、対象の年齢によって限定されない。例えば、ヒト対象は、小児(例えば、新生児、乳児、幼児、青年期直前)、青年期、思春期または成人(例えば、若年期成人、中年期成人、高齢者)であり得る。一部の実施形態では、ヒト対象は、高齢者である。ヒト対象は、約0ヶ月齢〜約120歳またはそれ超の間であり得る。例えば、ヒト対象は、約0〜約12ヶ月齢の間;約0〜12歳の間;約13歳〜19歳の間(例えば、約13、14、15、16、17、18または19歳);約20〜約39歳の間(例えば、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38または39歳);約40〜約59歳の間(例えば、約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58または59歳);またはさらには59歳超(例えば、約60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119または120歳)であり得る。特異的な実施形態では、ヒト対象は、約45歳もしくはそれ超;または55歳もしくはそれ超である。ヒト対象は、男性対象または女性対象であり得る。
対象は、代謝障害を誘導し得る、異なる種類の食事を摂ることができる。「食事」は、対象が、ある期間習慣的に消費する食物の種類を指す。期間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヶ月間;2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100年間超であり得る。一部の実施形態では、いくつかの種類の食事を摂る対象は、代謝障害のリスクがあり得る。一部の実施形態では、対象は、糖分の多い食事、高脂肪食、高タンパク質食、低繊維食または精製デンプンが多い食事を摂ることができる。食事の各種類に関して、「高」は、食品医薬局(Food and Drug Administration)(「Dietary Guidelines for Americans」、2010年)に記載されている、当技術分野で周知である通常の食事における含量よりも一般に高い含量レベルを指す。対象は、1種または複数の代謝障害リスク因子レベルの上昇を引き起こし得る食事を摂ることができる。対象は、アルコールを過剰に消費することができる。対象は、デザートが多い食事を摂ることができる。対象は、加工食品が多い食事を摂ることができる。
処置される対象は、様々な体重を有することができる。体重は、代謝障害を示す、またはこれに関連し得る。対象は、過体重または肥満であり得る。過体重または肥満であるということは、対象の体重が、理想体重範囲を上回ることを意味する。一般に、理想体重範囲は、約18〜25のボディマスインデックス(BMI)である。BMIは、メートル単位の対象の身長の二乗で割った、キログラム単位の対象の体重によって計算される。対象は、約25〜30であるBMIを有することができる。例えば、対象は、約25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、29.9または30であるBMIを有することができる。対象は、約30よりも高いBMIを有することができる。例えば、対象は、約30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40であるBMIを有することができる。対象は、約40よりも高いBMIを有することができる。対象は、約50、75、100、125、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390または400lbを超える重さであり得る。
対象は、習慣を有していてもよく、または習慣を欠いていてもよい。かかる習慣または習慣の欠如は、代謝障害に関連することがあり、対象を、代謝障害を発症するリスクにさらすことがある。「習慣」は、対象によってルーチンに、または通常よりも高い頻度で為される活動を指す。一部の実施形態では、習慣は、血流もしくは血清中のグルコースレベルを増加させることができる、または対象におけるインスリン分泌を阻害することができる。対象は、喫煙または紫煙吸入の習慣を有していてもよい。対象は、巻きたばこ、葉巻またはパイプが挙げられるがこれらに限定されない、タバコ製品による喫煙の習慣を有していてもよい。対象は、喫煙または受動喫煙を含有する環境に置かれていてもよい。対象は、定期的に運動するまたは身体活動を行う習慣を有していなくてもよい。対象は、通常よりも低い頻度で、運動するまたは身体活動を行っていてもよい。対象は、平均して、1週間、1ヶ月間、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月間、2、3、4、5、6、7、8、9、10年間に約1回運動していてもよい。対象は、1週間に約1回;1ヶ月間に1回;2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月間に1回;または2、3、4、5、6、7、8、9、10年間に1回未満運動していてもよい。対象は、動けなくなっていてもよい。
本明細書に記載されている治療有効量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物および方法を使用して、状態を患うまたはこれを患うリスクがある対象を処置することができる。対象が患い得るまたは患うリスクがある状態は、代謝障害または代謝障害に関連する状態であり得る。一部の実施形態では、状態は、糖尿病(例えば、I型またはII型)、肝臓障害、膵臓障害、妊娠、心血管疾患、高脂血症、肥満、体重増加、加齢および/またはアルコール消費、エストロゲン投与その他等の薬物関連の脂質代謝変化である。一部の実施形態では、心血管疾患は、冠動脈疾患、脳卒中、高血圧症、末梢血管疾患、心発作もしくは虚血性心疾患および/または先天性心疾患である。対象が患い得るまたはリスクがある他の例示的な代謝障害として、酸性リパーゼ疾患、バース症候群、橋中心髄鞘崩壊症、ファーバー病、ガングリオシドーシス、リソソーム蓄積症、ゴーシェ病、ハンター症候群、ハーラー症候群、トリメチルアミン尿症、レッシュ・ナイハン症候群、脂質蓄積症、筋肉の代謝性疾患、代謝性筋疾患、ミトコンドリア筋症、ムコリピドーシス、ムコ多糖症、ニーマン・ピック病、ポンペ病、I型糖原病、サンドホフ病、テイ・サックス病、ポンペ病、尿素サイクル異常症、高シュウ酸尿症およびシュウ酸症その他が挙げられるがこれらに限定されない。他の例は、本明細書に提供されている。
一態様では、本方法および組成物を使用して、糖尿病を患う対象を処置することができる。真性糖尿病(DM)または糖尿病は、高血糖症としても公知の、血流中の過剰なグルコースレベルによって特徴付けられる代謝性疾患の群である。糖尿病は、その有病率、罹患率および死亡率によって公衆衛生を脅かす主要な疾患の1つである。近年、糖尿病または関連する状態の発病は、より若い患者において出現している。糖尿病の臨床症状は、過食症、多飲症、多尿症、疲労、体重減少、霧視、不十分な創傷治癒、口渇症、乾燥もしくは敏感肌、足もしくは踵におけるピリピリ感、勃起機能不全、反復性感染症、外耳感染症、心不整脈、昏迷、昏睡または発作であり得る。糖尿病は、高血圧症、高脂血症、冠動脈心疾患、慢性腎不全および他の合併症をさらにもたらし得る。
糖尿病は、2つの型、I型糖尿病およびII型糖尿病にカテゴリー化することができる。I型糖尿病は、膵β細胞の機能減退に起因する。したがって、I型糖尿病は、インスリンの欠如に起因する疾患である。I型糖尿病患者は、ケトアシドーシス等、急性合併症の傾向がある。II型糖尿病は、異なるレベルの病理学的症状を有する複合代謝障害である。これは、膵島β細胞機能の減退、インスリン抵抗性およびグリコーゲン代謝障害によって特徴付けることができる。よって、対象が患う可能性があり(またはリスクがあり)、本組成物および方法によって処置することができる代謝障害は、II型糖尿病等、I型またはII型糖尿病であり得る。
対象が患う可能性がある(またはリスクがある)状態は、インスリン分泌の阻害または高血糖(すなわち、高血糖症、血流、血漿または血清中を循環する高レベルまたは過剰量のグルコース)によって特徴付けられる障害であり得る。高血糖症は、100mg/dlよりも高い絶食時グルコースレベルによって特徴付けることができるが、症状は、250〜300mg/dl等、さらにより高い値まで注目すべきものになり始めていなくてよい。100〜126mg/dl(米国糖尿病協会(American Diabetes Association)ガイドライン)の間の一貫した範囲を有する対象は、高血糖性とみなされるが、126mg/dlまたは7mmol/l超は、一般に、糖尿病または高血糖症であると考えられる。70mg/dlまたは4mmol/lを下回る一貫した範囲を有する対象は、低血糖とみなすことができる。7mmol/l(125mg/dl)を超える慢性レベルは、臓器損傷を生じ得る。グルコースレベルは、食事の前後および一日の様々な時間で変動し得る。一般に、多くの人にとっての絶食時グルコースレベルの正常範囲は、約80〜110mg/dlであり得る。絶食時グルコースレベルは、一般に、8〜12時間の絶食後に、または5時間、8時間、10時間、12時間、15時間、24時間もしくはさらにより長い時間の絶食後に測定される血清グルコースレベルを指す。絶食中の成人において、正常血漿グルコースは、126mg/dL未満であり得る。持続したより高いレベルの血糖は、血管およびそれが供給する臓器に損傷を引き起こし、糖尿病の合併症を生じ得る。高血糖症は、HbA1c検査またはグルコース耐性検査を含む、医学技術分野で公知のいずれかの方法を使用して測定することができる。よって、対象が患うまたは患うリスクがある状態は、対象におけるグルコースの過剰な血清レベル(200mg/dl超またはさらには300mg/dl超等、126mg/dlを上回るグルコースレベルを有する対象等)に関連する状態であり得る。1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物を使用して、対象におけるグルコースの血清レベルを変化させることができる。本抗体は、CGRPに結合する抗体であり得る。
一部の実施形態では、対象のグルコースレベルは、本治療用組成物の投与前の時点と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%またはさらには少なくとも60%の低下等、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後に下げられる。下げられるグルコースレベルは、絶食時グルコースレベルまたは食後のもしくはグルコース耐性検査の際のグルコースレベルであり得る。グルコース耐性検査またはグルコース負荷検査は、グルコースが与えられ、その後に血液試料が採取されて、血液からこれがどの程度速く排除されるかを決定する医学的検査である。検査を使用して、糖尿病、インスリン抵抗性、ならびに場合により反応性低血糖および先端巨大症またはより珍しい炭水化物代謝障害に関して検査することができる。グルコース耐性検査は、標準用量のグルコースの経口摂取および2時間後の血液レベルのチェックを含む、経口グルコース耐性検査(OGTT)として行うことができる。数年間にわたって、様々な目的のため、異なる標準用量のグルコース、異なる投与経路、異なるサンプリング間隔および持続時間、ならびに血中グルコースに加えて測定される様々な物質を用いて、グルコース耐性検査の多くの変種が考案されてきた。
一部の例において、対象におけるインスリン耐性が、本治療用組成物の投与前の時点等の対照と比較した、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%またはさらには少なくとも200%の増加等、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後に増加する。インスリン耐性を測定する方法は、当技術分野で公知であり、その例は、本明細書に提供されている。
一部の例において、対象の寿命は、同じ代謝障害を有するが、本治療用組成物を与えなかった対象または対象群の寿命との比較等、対照と比較した、少なくとも1ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間または少なくとも10年間の増加等、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後に増加する。
一部の例において、対象における呼吸交換率(RER)は、本治療用組成物の投与前の時点等の対照と比較した、または同じ代謝障害を有するが、本治療用組成物を与えなかった対象もしくは対象群のRERと比較した、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%またはさらには少なくとも200%の増加等、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後に増加する。RERを測定する方法は、当技術分野で公知であり、その例は、本明細書に提供されている。
一部の例において、対象における酸素消費は、本治療用組成物の投与前の時点等の対照と比較した、または同じ代謝障害を有するが、本治療用組成物を与えなかった対象もしくは対象群の酸素消費と比較した、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%またはさらには少なくとも200%の増加等、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後に増加する。酸素消費を測定する方法は、当技術分野で公知であり、その例は、本明細書に提供されている。
代謝障害または代謝障害に関連する状態を患う(またはそのリスクがある)対象は、医学技術分野で公知である1種または複数の検査を使用して診断または選択することができる。代謝障害を患うまたは代謝障害を患うリスクがある対象の同定、選択または診断に使用することができる方法または検査として、代謝パネル(米国臨床化学会(American Association for Clinical Chemistry))から選択されるバイオマーカーのレベル、乳酸検査、メチルマロン酸検査、ミトコンドリア病症状、尿臭(urine odor)、グルコース耐性検査その他が挙げられるがこれらに限定されない。
一部の実施形態では、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む方法および組成物は、ガイドラインに従って、糖尿病または代謝障害に関して血清グルコースレベルが非常に高リスク、高リスク、境界域高リスクまたはほぼ最適であると分類される対象への投与に有用である。例えば、対象は、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、126、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、250または300mg/dLよりも高い絶食時血清グルコースレベルを有することができる。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、約80〜300、80〜250、80〜125、80〜100、100〜300、100〜250、100〜125、125〜300または250〜300mg/dLである絶食時血清グルコースレベルを有する対象に投与することができる。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、約100、125または250mg/dLよりも高い絶食時血清グルコースレベルを有する対象に使用することができる。所望であれば、治療有効量の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後の血清グルコースの選択された生理的レベルは、絶食条件下で、例えば、少なくとも約8時間、10時間、12時間、15時間、24時間もしくはさらにはより長く、または8〜12時間食物を摂らずに、測定することができる。一部の事例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後の血清グルコースレベルは、グルコースの摂取または食後2時間後に測定される。
対象の状態が、抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与後に改善されるように、治療有効量の1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を、状態を有する対象に投与するための方法および組成物が本明細書に記載されている。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPに結合する抗体であり得る。治療有効量の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも5%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%および少なくとも99%の状態改善をもたらすことができる。一部の実施形態では、状態は、50%を超えて改善される。改善は、処置されている状態に関連するバイオマーカー等、対象におけるバイオマーカーまたはリスク因子のレベルに関して特徴付けることができる。改善は、その正常機能と比較した、臓器の機能改善によって特徴付けることもできる。改善は、インスリン分泌の増加、グルコース耐性の増加、長寿または全体的な代謝的健康の増加によって特徴付けることもできる。かかる改善は、かかる処置の前の状態と比べたものであり得るか、または同じ代謝性状態(複数可)を有するもしくはそのリスクがある対象において予想されるものと比べたものであり得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物および方法は、抗代謝障害剤の1種または複数の副作用の寛解または低下に有用である。本明細書に記載されている抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む方法および組成物は、1種または複数の抗代謝障害剤も投与された対象に投与することもできる。一部の実施形態では、1種または複数の抗代謝障害剤は、代謝障害を処置するのに有効な量で投与される。一部の実施形態では、1種または複数の抗代謝障害剤は、対象におけるグルコースレベルを低くするのに有効な量で投与される。一部の実施形態では、1種または複数の抗代謝障害剤は、副作用を有し得る。別の事例では、1種または複数の抗高血糖剤は、抗CGRPアンタゴニスト抗体と併せて治療量以下のレベルで投与して、副作用を最小化することができる。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPに結合する抗体であり得る。
一部の実施形態では、対象に、抗代謝障害剤または抗糖尿病剤を含む有効量の1種または複数の治療剤をさらに投与することができる。よって、本明細書に記載されている方法は、治療量の1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を投与するステップと、治療量の1種または複数の追加的な治療剤(例えば、抗代謝障害剤または抗糖尿病剤)を投与するステップとを含むことができる。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、同時に同じ経路で、1種または複数の追加的な治療剤と共に投与される。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、1種または複数の追加的な治療剤とは別々に投与される。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体および1種または複数の追加的な治療剤は、追加的な治療剤を最初にまたは抗CGRPアンタゴニスト抗体を最初に、続けて投与することができる。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、1種または複数の追加的な治療剤と併せて対象に投与される。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、1種または複数の追加的な治療剤と同じ投与経路で投与される。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、1種または複数の追加的な治療剤とは異なる投与経路で投与することができる。例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、皮下投与することができる一方、1種または複数の追加的な治療剤は、静脈内注射により投与することができる。1種または複数の追加的な治療剤のそれぞれは、同じまたは異なる投与経路により投与することができる。
1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体(および1種または複数の追加的な治療剤(例えば、抗代謝障害剤または抗糖尿病剤))は、いずれか適した様式で投与することができる。かかる投与は、皮下注射であり得る。経口、経皮、静脈内、エアロゾル、筋肉内、腟、直腸、真皮下、非経口的、点眼、肺、経粘膜、耳、経鼻および外用投与等、他の投与経路を使用することができる。抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体のバイオアベイラビリティを増加させるための少なくとも1種の薬剤または少なくとも1種の追加的な治療剤等、本明細書に記載されている組成物の構成成分は、本明細書および/または米国特許出願公開番号US2006/0089335A1に記載されている同時発生的投与のいずれかの様式等で、同時発生的に対象に投与することができる。加えて、単なる一例として、非経口的送達は、筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射ならびにくも膜下腔内、直接的脳室内、腹腔内、リンパ内および鼻腔内注射を含む。
一実施形態では、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体は、部位特異的または標的化局所的送達技法により投与される。部位特異的または標的化局所的送達技法の例として、抗CGRPアンタゴニスト抗体の様々な植え込み型デポ源または注入カテーテル、留置カテーテルもしくは針カテーテル等の局所的送達カテーテル、合成グラフト、外膜ラップ、シャントおよびステント、または他の植え込み型デバイス、部位特異的担体、直接的注射もしくは直接的適用が挙げられる。例えば、PCT公開番号WO00/53211および米国特許第5,981,568号を参照されたい。
さらに、一部の事例において、本明細書に記載されている方法は、1種または複数の追加的な治療剤と同じまたは異なる処置持続時間、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を投与するステップを含む。例えば、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体は、30日間投与することができる一方、1種または複数の追加的な治療剤は、10日間投与される。対象は、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を投与する前の期間に、1種または複数の追加的な治療剤による処置を受けることができる。1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体および1種または複数の追加的な治療剤は、代謝障害に相乗的に作用することができる。
1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体と同時投与することができる追加的な治療剤の例として、当技術分野で公知の抗糖尿病剤が挙げられる。追加的な治療剤として、HMG−CoA阻害剤(またはスタチン)、ビグアナイド、スルホニルウレア(sufonylurea)、チアゾリジンジオン、メグリチニド、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害剤、レパグリニド、ナテグリニド、DPP−IV阻害剤、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチンまたはインスリンおよびインスリン類似体のうち1種または複数(1、2、3、4または5種等)を挙げることができるがこれらに限定されない。高血糖症または糖尿病、特に、I型糖尿病の処置に使用するためのインスリンおよびインスリン類似体の非限定例は、速効型インスリン、中間型インスリンおよび長時間作用型インスリンを含むことができる。速効型インスリンは、レギュラーインスリン(ヒューマリンR、ノボリンR)、インスリンリスプロ(ヒューマログ)、インスリンアスパルト(ノボログ(Novolog))、インスリングルリジン(アピドラ)、迅速型インスリン亜鉛(セミレンテ(Semilente))その他を含むことができる。中間型インスリンは、イソフェンインスリン、中性プロタミンハーゲドルン(hagedorn)(ヒューマリンN、ノボリンN)、インスリン亜鉛(レンテ)その他を含むことができる。長時間作用型インスリンは、延長型インスリン亜鉛インスリン(ウルトラレンテ)、インスリングラルギン(ランタス)、インスリンデテミル(レベミル)その他を含むことができる。抗高血糖剤は、インスリン感受性改善薬(sensitizer)であり得る。インスリン感受性改善薬を使用して、特にII型糖尿病を処置することができる。例示的なインスリン感受性改善薬として、ビグアナイドまたはチアゾリジンジオンが挙げられるがこれらに限定されない。ビグアナイドは、メトホルミン、フェンホルミンまたはブホルミンであり得る。メトホルミンは通常、臨床でのII型糖尿病の処置に使用される第一選択薬物療法である。チアゾリジンジオンは、ロシグリタゾン(アバンディア)、ピオグリタゾン(アクトス)またはトログリタゾン(レズリン)であり得る。抗高血糖剤は、分泌促進物質等、膵臓からのインスリン産出量を増加させる薬剤であり得る。分泌促進物質は、スルホニルウレアまたは非スルホニルウレア分泌促進物質であり得る。スルホニルウレアとして、トルブタミド(tolutamide)(オリナーゼ(Orinase)、ラスチノン(Rastinon)商品名)、アセトヘキサミド(ジメロール(Dymelor))、トラザミド(トリナーゼ(Tolinase))、クロルプロパミド(ジアビナーゼ(Diabinase))、グリピジド(グルコトロール(Glucotrol)、ミニジアブ(Minidiab)、グリベネス(Glibenese))、グリブリドまたはグリベンクラミド(ジアベタ(Diabeta)、ミクロナーゼ(Micronase)、グリナーゼ、ダニル(Danil)、ユーグリコン(Euglycon))、グリメピリド(アマリール)、グリクラジド(ユニジアミクロン(Uni Diamicron))、グリクロピラミド(glycopyramide)、グリキドン(グルレノルム(Glurenorm))を挙げることができるがこれらに限定されない。非スルホニルウレア分泌促進物質は、メグリチニド、レパグリニド(プランジン(Prandin)、ノボノルム(Novonorm))またはナテグリニド(スタルリクス(Starlix))を含むことができる。抗高血糖剤または抗糖尿病剤は、アルファグルコシダーゼ阻害剤であり得る。アルファグルコシダーゼ阻害剤は、食事のデンプン由来のグルコースが、さらにゆっくりと血流に進入でき、不良なインスリン応答または感受性によってより有効にマッチできるように、小腸におけるデンプンの消化を遅らせることができる。アルファグルコシダーゼ阻害剤の非限定例として、ミグリトール(グリセット(Glyset))、アカルボース(プレコース(Precose)/グルコバイ)またはボグリボースを挙げることができる。抗高血糖剤は、ペプチド類似体であり得る。ペプチド類似体として、注射用インクレチンミメティック、注射用グルカゴン様ペプチド類似体およびアゴニスト、胃抑制ペプチド類似体、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤または注射用アミリン類似体を挙げることができるがこれらに限定されない。注射用インクレチンミメティックは、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)および胃抑制ペプチド(グルコース依存性インスリン分泌性ペプチド、GIP)を含むことができる。注射用グルカゴン様ペプチド類似体およびアゴニストは、エキセナチド(同様にエキセンディン−4またはバイエッタ)、リラグルチド、タスポグルチドまたはリキシセナチド(リクスミア(Lyxumia))sanofi aventisを含むことができる。ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤は、ジペプチジルペプチダーゼ−4によるその分解を阻害することにより、インクレチンGLP−1の血中濃度を増加させることができる。ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤は、ビルダグリプチン(ガルブス(Galvus))、シタグリプチン(ジャヌビア)、サキサグリプチン(オングリザ)、リナグリプチン(トラゼンタ)、アログリプチンまたはセプタグリプチンを含むことができる。注射用アミリン類似体は、プラムリンチドであり得る。抗高血糖または抗糖尿病剤は、グリコスリクスであり得る。グリコスリクスは、ナトリウム/グルコースコトランスポーター2(SGLT2)であり得、これは、腎尿細管におけるグルコースの再取り込みを遮断するように機能し、尿中のグルコースの喪失を促進する。グリコスリクスは、カナグリフロジン(インボカナ(Invokana))またはダパグリフロジン(フォシーガ)であり得る。一部の事例において、抗高血糖剤または抗糖尿病剤は、植物、元素または漢方薬等、天然の物質であり得る。抗高血糖または抗糖尿病剤としての天然の物質の非限定例として、シナモン、白檀、キノの木、Gentiana olivieri、クロムサプリメント、硫酸バナジルまたはチアミンが挙げられる。
1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体と同時投与することができる追加的な治療剤の他の例として、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、アミリンアゴニスト、ジペプチジル−ペプチダーゼ4(DPP−4)阻害剤、メグリチニド、スルホニルウレアまたはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)−ガンマアゴニストが挙げられるがこれらに限定されない。PPAR−ガンマアゴニストの例として、チアゾリジンジオン(TZD)(ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾンまたはトログリタゾン等)、アレグリタザル、ファルグリタザル、ムラグリタザルまたはテサグリタザルが挙げられる。
本明細書に記載されている1種または複数の治療剤(例えば、抗高血糖剤または抗糖尿病剤)が、抗CGRPアンタゴニスト抗体と共に投与される場合、1種または複数の治療剤は、治療量以下の量で使用することができる。本明細書に記載されている治療剤または抗糖尿病剤の治療量以下の量は、単独で使用される場合に治療量であるとみなされる量よりも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または99%少なくなり得る。治療量は、FDAガイドラインによって提案される用量、または全て1種もしくは複数の特徴を有する個々の対象もしくは対象群に対して評価される量であり得る。この特徴は、年齢、体重、人種、性別、民族性、国籍、特定の食事、身体活動レベルまたはある特定のバイオマーカーのレベルのうち1種または複数であり得る。
抗CGRPアンタゴニスト抗体
抗CGRPアンタゴニスト抗体
一部の実施形態では、本明細書に提供されている方法は、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を使用する。
抗CGRPアンタゴニスト抗体は、次の特徴のうちいずれか1種または複数を示すことができる:(a)CGRPに結合する;(b)CGRPがその受容体(複数可)に結合するのを遮断する;(c)CGRP受容体活性化(cAMP活性化を含む)を遮断または減少させる;(d)CGRPの生物学的活性またはCGRPシグナリング機能によって媒介される下流経路を阻害する;(e)頭痛(例えば、片頭痛)のいずれかの側面を予防、寛解または処置する;(f)CGRPのクリアランスを増加させる;および(g)CGRP合成、産生または放出を阻害(低下)する。いくつかの抗CGRPアンタゴニスト抗体が、当技術分野で公知である。例えば、Tanら、Clin. Sci. (Lond).89巻:565〜73頁、1995年;Sigma(Missouri、US)、製品番号C7113(クローン#4901);Plourdeら、Peptides 14巻:1225〜1229頁、1993年を参照されたい。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPおよび/またはCGRPシグナリング機能によって媒介される下流経路を阻害する様式で、CGRPと反応する。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、ヒトCGRP(配列番号15等)を認識する。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、ヒトα−CGRPおよびβ−CGRP(例えば、配列番号15および43)の両方に結合する。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、ヒトおよびラットCGRP(例えば、配列番号15および41、43および44、またはこれらの配列の全4種)に結合する。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPのアミノ酸25〜37を有するC末端断片(例えば、配列番号25)に結合する。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPのアミノ酸25〜37内(例えば、配列番号25内)のC末端エピトープに結合する。
本開示において有用な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fc等)、キメラ抗体、二特異的抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、ラクダ科動物抗体、単鎖(ScFv)、これらの突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質(例えば、ドメイン抗体)、ヒト化抗体、ならびに抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアントおよび共有結合により修飾された抗体を含む要求される特異性の抗原認識部位を含む他のいずれかの修飾された構成の免疫グロブリン分子を含む。抗体は、マウス、ラット、ヒトまたは他のいずれかの起源(キメラまたはヒト化抗体を含む)のものであり得る。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体は、ヒトである。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、抗体G1(本明細書に記載されている)である。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、表6に示す抗体G1またはG1のバリアントの1個または複数のCDR(1、2、3、4、5個、または一部の実施形態では、全6個のCDR等)を含む。さらに他の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、図5に示す重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号1)および図5に示す軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号2)を含む。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されている免疫学的に不活性である定常領域等、修飾された定常領域を含む。一部の実施形態では、定常領域は、Eur. J. Immunol.(1999年)29巻:2613〜2624頁;PCT出願番号PCT/GB99/01441;および/または英国特許出願第9809951.8号に記載されている通りに修飾される。他の実施形態では、抗体は、次の突然変異:A330P331からS330S331(野生型IgG2配列を参照したアミノ酸ナンバリング)を含むヒト重鎖IgG2定常領域を含む。Eur. J. Immunol.(1999年)29巻:2613〜2624頁。一部の実施形態では、抗体は、次の突然変異:E233F234L235からP233V234A235を含むIgG4の定常領域を含む。さらに他の実施形態では、定常領域は、N結合型グリコシル化のために脱グリコシル化(aglycosylate)される。一部の実施形態では、定常領域は、定常領域におけるN−グリコシル化認識配列の一部であるオリゴ糖取り付け残基(Asn297等)および/または隣接する残基を突然変異させることにより、N結合型グリコシル化のために脱グリコシル化される。一部の実施形態では、定常領域は、N結合型グリコシル化のために脱グリコシル化される。定常領域は、酵素により、またはグリコシル化欠損宿主細胞における発現により、N結合型グリコシル化のために脱グリコシル化することができる。
CGRP(ヒトα−CGRP等)に対する抗CGRPアンタゴニスト抗体の結合親和性(KD)は、約0.02〜約200nMであり得る。一部の実施形態では、結合親和性は、約200nM、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約60pM、約50pM、約20pM、約15pM、約10pM、約5pMまたは約2pMのいずれかである。一部の実施形態では、結合親和性は、約250nM、約200nM、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pMまたは約50pMのいずれか未満である。
CGRPに対する抗体の結合親和性を決定または測定する1つの仕方は、抗体の単官能性Fab断片の結合親和性を測定することによる。単官能性Fab断片を得るために、抗体(例えば、IgG)をパパインで切断するか、または組換えにより発現させることができる。抗体の抗CGRP Fab断片の親和性は、HBS−EPランニングバッファー(0.01M HEPES、pH7.4、0.15 NaCl、3mM EDTA、0.005%v/v界面活性物質P20)を使用して、予め固定化されたストレプトアビジンセンサーチップ(SA)を備える表面プラズモン共鳴(Biacore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、Biacore,INC、Piscataway NJ)によって決定することができる。ビオチン化ヒトCGRP(または他のいずれかのCGRP)は、0.5ug/mL未満の濃度となるようにHBS−EPバッファーに希釈し、可変的な接触時間を使用して個々のチップチャネルにわたって注射して、詳細な動態研究のために50〜200応答単位(RU)またはスクリーニングアッセイのために800〜1,000RUのいずれか2種の範囲の抗原密度を達成することができる。再生研究は、25%v/vエタノールにおける25mM NaOHが、200回超の注射にわたってチップにおけるCGRPの活性を維持しつつ、結合したFabを有効に除去することを示した。典型的には、精製Fab試料の系列希釈(0.1〜10×推定KDの濃度に及ぶ)が、100μL/分で1分間注射され、最大2時間の解離時間が置かれる。Fabタンパク質の濃度は、標準として公知濃度(アミノ酸解析によって決定)のFabを使用して、ELISAおよび/またはSDS−PAGE電気泳動によって決定される。動態学的会合速度(kon)および解離速度(koff)は、BIAevaluationプログラムを使用して、1:1ラングミュア結合モデル(Karlsson, R. Roos, H. Fagerstam, L. Petersson, B.(1994年)Methods Enzymology 6巻、99〜110頁)にデータを網羅的に適合させることにより同時に得られる。平衡解離定数(KD)値は、koff/konとして計算される。このプロトコールは、ヒトCGRP、別の哺乳動物のCGRP(マウスCGRP、ラットCGRP、霊長類CGRP等)および異なる型のCGRP(αおよびβ型等)を含むいずれかのCGRPに対する抗体の結合親和性の決定における使用に適する。抗体の結合親和性は、一般に25℃で測定されるが、37℃で測定することもできる。
抗CGRPアンタゴニスト抗体は、当技術分野で公知のいずれかの方法によって作製することができる。宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは一般に、本明細書にさらに記載されている、抗体刺激および産生のための確立された従来の技法を順守したものである。ヒトおよびマウス抗体の産生のための一般技法は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されている。
ヒトまたはそれに由来する抗体産生細胞を含むいずれかの哺乳動物対象を操作して、ヒトを含む哺乳動物のハイブリドーマ細胞株の産生のための基盤とすることができることが企図されている。典型的には、宿主動物は、腹腔内、筋肉内、経口、皮下、足底内および/または真皮内に、本明細書に記載されているものを含むある量の免疫原を接種される。
ハイブリドーマは、Kohler, B.およびMilstein, C.(1975年)Nature 256巻:495〜497頁の一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技法を使用して、またはBuckら、In Vitro、18巻:377〜381頁(1982年)によって修正される通りに、リンパ球および不死化ミエローマ細胞から調製することができる。X63−Ag8.653およびSalk Institute for Biological Studies、Cell Distribution Center、San Diego、Calif.、USA由来の系統が挙げられるがこれらに限定されない、利用できるミエローマ系統をハイブリダイゼーションにおいて使用することができる。一般に、技法は、ポリエチレングリコール等、膜融合物質(fusogen)を使用したまたは当業者に周知の電気的手段による、ミエローマ細胞およびリンパ系細胞の融合を含む。融合後に、細胞は、融合培地から分離し、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培地等、選択的成長培地において成長させて、ハイブリダイズしなかった親細胞を排除する。血清を補充したまたは補充しなかった本明細書に記載されている培地のいずれかを、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために使用することができる。細胞融合技法の別の代替として、EBV不死化B細胞を使用して、本開示の抗CGRPモノクローナル抗体を産生することができる。ハイブリドーマを拡大増殖させ、必要に応じてサブクローニングし、従来のイムノアッセイ手順(例えば、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイまたは蛍光イムノアッセイ)により抗免疫原活性に関して上清をアッセイする。
抗体の供給源として使用することができるハイブリドーマは、CGRPに特異的なモノクローナル抗体またはその部分を産生する親ハイブリドーマのあらゆる派生体、後代細胞を包含する。
かかる抗体を産生するハイブリドーマは、公知の手順を使用して、in vitroまたはin vivoで成長させることができる。モノクローナル抗体は、必要に応じて硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィーおよび限外濾過等、従来の免疫グロブリン精製手順により、培養培地または体液から単離することができる。望まれない活性が存在する場合、例えば、固相に取り付けられた免疫原でできた吸着剤に調製物を流し、免疫原から所望の抗体を溶出または放出させることにより、除去することができる。二官能性または誘導体化薬剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホサクシニミドエステル(システイン残基を介したコンジュゲーション)、N−ヒドロキシサクシニミド(リシン残基を介した)、グルタルアルデヒド(glutaradehyde)、無水コハク酸、SOCl2またはR1N=C=NR(式中、RおよびR1は、異なるアルキル基である)を使用した、免疫化しようとする種において免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリンまたはダイズトリプシン阻害剤にコンジュゲートされた標的アミノ酸配列を含有するヒトCGRPまたは断片による宿主動物の免疫化は、抗体(例えば、モノクローナル抗体)の集団を生じることができる。
必要に応じて、目的の抗CGRPアンタゴニスト抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)を配列決定し、続いて相当するポリヌクレオチド配列を発現または繁殖のためのベクターにクローニングすることができる。目的の抗体をコードする配列は、宿主細胞中のベクターにおいて維持することができ、次にこの宿主細胞を拡大増殖させ、将来的な使用のために凍結することができる。代替として、ポリヌクレオチド配列を遺伝子操作に使用して、抗体を「ヒト化」する、または抗体の親和性もしくは他の特徴を改善することができる。例えば、定常領域は、ヒト定常領域により似るように操作して、ヒトにおける臨床治験および処置において抗体が使用される場合の免疫応答を回避することができる。CGRPに対するより優れた親和性およびCGRP阻害におけるより優れた有効性を得るように、抗体配列を遺伝的に操作することが望ましくなり得る。当業者には、1個または複数のポリヌクレオチド変化を抗CGRPアンタゴニスト抗体に生じさせても、CGRPに対するその結合能力を依然として維持できることが明らかであろう。
モノクローナル抗体をヒト化するための4つの一般的ステップが存在する。それらは(1)出発抗体軽および重可変ドメインのヌクレオチドおよび予測アミノ酸配列の決定、(2)ヒト化抗体の設計、すなわち、ヒト化過程中にどの抗体フレームワーク領域を使用するかに関する決断、(3)実際のヒト化方法論/技法ならびに(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現である。例えば、米国特許第4,816,567号;同第5,807,715号;同第5,866,692号;同第6,331,415号;同第5,530,101号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,585,089号;および同第6,180,370号を参照されたい。
ヒト定常ドメインに融合された齧歯類または修飾された齧歯類V領域およびそれらの関連する相補性決定領域(CDR)を有するキメラ抗体を含む、非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含むいくつかの「ヒト化」抗体分子が記載されている。例えば、Winterら、Nature 349巻:293〜299頁(1991年)、Lobuglioら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86巻:4220〜4224頁(1989年)、Shawら、J Immunol.138巻:4534〜4538頁(1987年)およびBrownら、Cancer Res.47巻:3577〜3583頁(1987年)を参照されたい。他の参考文献は、適切なヒト抗体定常ドメインとの融合に先立ちヒト支持フレームワーク領域(FR)にグラフトされた齧歯類CDRについて記載する。例えば、Riechmannら、Nature 332巻:323〜327頁(1988年)、Verhoeyenら、Science 239巻:1534〜1536頁(1988年)およびJonesら、Nature 321巻:522〜525頁(1986年)を参照されたい。別の参考文献は、組換えにより切り接ぎ(veneer)された齧歯類フレームワーク領域によって支持される齧歯類CDRについて記載する。例えば、欧州特許公開第0519596号を参照されたい。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療適用の持続時間および有効性を限定する齧歯類抗ヒト抗体分子に向かう望まれない免疫学的応答を最小化するように設計されている。例えば、抗体定常領域は、免疫学的に不活性となる(例えば、補体溶解を誘引しない)ように操作することができる。例えば、PCT公開番号PCT/GB99/01441;英国特許出願第9809951.8号を参照されたい。同様に利用することができる抗体をヒト化する他の方法は、Daughertyら、Nucl. Acids Res.19巻:2471〜2476頁(1991年)ならびに米国特許第6,180,377号;同第6,054,297号;同第5,997,867号;同第5,866,692号;同第6,210,671号;および同第6,350,861号;ならびにPCT公開番号WO01/27160により開示されている。
一部の実施形態では、完全ヒト抗体は、特異的なヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作された市販のマウスを使用することにより得ることができる。ヒト化またはヒト抗体を作製するために、望ましい(例えば、完全ヒト抗体)またはより頑強な免疫応答を生じるように設計されたトランスジェニック動物を使用することもできる。かかる技術の例は、Abgenix,Inc.(Fremont、CA)製のXenomouse(商標)ならびにMedarex,Inc.(Princeton、NJ)製のHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC Mouse(商標)である。
一部の実施形態では、抗体は、当技術分野で公知のいずれかの方法を使用して、組換えにより作製および発現させることができる。一部の実施形態では、抗体は、ファージディスプレイ技術によって、組換えにより作製することができる。例えば、米国特許第5,565,332号;同第5,580,717号;同第5,733,743号;および同第6,265,150号;ならびにWinterら、Annu. Rev. Immunol.12巻:433〜455頁(1994年)を参照されたい。ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature 348巻:552〜553頁(1990年))を使用して、未免疫化ドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、in vitroでヒト抗体および抗体断片を産生することができる。この技法に従って、抗体Vドメイン遺伝子を、M13またはfd等、糸状バクテリオファージの大または小コートタンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面上に機能的抗体断片として提示する。糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するため、抗体の機能特性に基づく選択も、このような特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択をもたらす。よって、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイは、様々な形式で行うことができる;概説のため、例えば、JohnsonおよびChiswell、Current Opinion in Structural Biology 3巻:564〜571頁(1993年)を参照されたい。V−遺伝子セグメントの数種類の供給源をファージディスプレイのために使用することができる。Clacksonら、Nature 352巻:624〜628頁(1991年)は、免疫化マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小型のランダムコンビナトリアルライブラリーから多種多様な抗オキサゾロン抗体を単離した。Markら、J. Mol. Biol.222巻:581〜597頁(1991年)またはGriffithら、EMBO J.12巻:725〜734頁(1993年)に記載されている技法に基本的に従って、未免疫化ヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを構築することができ、多種多様な抗原(自己抗原を含む)に対する抗体を単離することができる。自然免疫応答において、抗体遺伝子は、高い比率で突然変異を蓄積する(体細胞高頻度突然変異)。導入された変化の一部は、より高い親和性を付与し、高親和性表面免疫グロブリンを提示するB細胞が、その後の抗原負荷中に優先的に複製および分化される。この天然過程は、「鎖シャッフリング」として公知の技法を用いることにより模倣することができる。Marksら、Bio/Technol.10巻:779〜783頁(1992年))。この方法において、重鎖および軽鎖V領域遺伝子を未免疫化ドナーから得られるVドメイン遺伝子の天然起源のバリアント(レパートリー)のレパートリーに連続的に置き換えることにより、ファージディスプレイによって得られる「一次」ヒト抗体の親和性を改善することができる。この技法は、pM〜nM範囲内の親和性を有する抗体および抗体断片の産生を可能にする。非常に大型のファージ抗体レパートリー(「究極の(mother−of−all)ライブラリー」としても公知)を作製するための戦略は、Waterhouseら、Nucl. Acids Res.21巻:2265〜2266頁(1993年)に記載されている。遺伝子シャッフリングを使用して、齧歯類抗体からヒト抗体を派生させることもでき、このヒト抗体は、出発齧歯類抗体と同様の親和性および特異性を有する。「エピトープインプリンティング」とも称されるこの方法に従って、ファージディスプレイ技法によって得られる齧歯類抗体の重鎖または軽鎖Vドメイン遺伝子は、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーに置き換えられ、齧歯類−ヒトキメラを作製する。抗原における選択は、機能的抗原結合部位を回復することができるヒト可変領域の単離をもたらす、すなわち、エピトープは、パートナーの選択を支配(インプリント)する。残る齧歯類Vドメインを置き換えるためにこの過程が反復されると、ヒト抗体が得られる(PCT公開番号WO93/06213、1993年4月1日発表を参照)。CDRグラフトによる齧歯類抗体の伝統的なヒト化とは異なり、この技法は、齧歯類起源のフレームワークまたはCDR残基がない、完全ヒト抗体を提供する。
上述の考察は、ヒト化抗体に関係するが、述べられている一般原則は、例えば、イヌ、ネコ、霊長類、ウマおよびウシにおける使用のための抗体のカスタマイズに適用可能である。本明細書に記載されている抗体のヒト化の1種または複数の態様を、例えば、CDRグラフト、フレームワーク突然変異およびCDR突然変異と組み合わせることができることがさらに明らかである。
まず、宿主動物から抗体および抗体産生細胞を単離し、遺伝子配列を得て、遺伝子配列を使用して、宿主細胞(例えば、CHO細胞)において組換えにより抗体を発現させることにより、抗体を組換えにより作製することができる。用いることができる別の方法は、植物(例えば、タバコ)またはトランスジェニックミルクにおいて抗体配列を発現させることである。植物またはミルクにおいて組換えにより抗体を発現させるための方法が開示されている。例えば、Peetersら、Vaccine 19巻:2756頁(2001年);LonbergおよびHuszar、Int.Rev.Immunol 13巻:65頁(1995年);およびPollockら、J Immunol Methods 231巻:147頁(1999年)を参照されたい。抗体の誘導体、例えば、ヒト化、単鎖等を作製するための方法は、当技術分野で公知である。
イムノアッセイおよび蛍光標識細胞分取(FACS)等のフローサイトメトリー選別技法を用いて、CGRPに特異的な抗体を単離することもできる。
開示されている抗体は、多くの異なる担体に結合させることができる。担体は、活性および/または不活性であり得る。使用することができる周知の担体の例として、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよびマグネタイトが挙げられるがこれらに限定されない。担体の性質は、本開示の目的のために可溶性または不溶性のいずれかであり得る。当業者であれば、抗体を結合するための他の適した担体が分かるであろう、またはルーチン実験法を使用してこれを確認することができるであろう。一部の実施形態では、担体は、心筋を標的化する部分を含む。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、容易に単離および配列決定することができる。ハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの好ましい供給源として機能する。単離されたら、DNAを発現ベクター(PCT公開番号WO87/04462に開示されている発現ベクター等)中に配置し、次にこれを、この操作がなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないE.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはミエローマ細胞等の宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得ることができる。例えば、PCT公開番号WO87/04462を参照されたい。例えば、相同マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより、Morrisonら、Proc. Nat. Acad. Sci.81巻:6851頁(1984年)、または免疫グロブリンコード配列に、非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全体または一部を共有結合により連結することにより、DNAを修飾することもできる。この様式で、本明細書における抗CGRPモノクローナル抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体が調製される。
CGRPの生物学的活性の低下、寛解または中和を検出および/または測定する当技術分野で公知の方法を使用して、抗CGRPアンタゴニスト抗体および抗体に由来するポリペプチドを同定または特徴付けることができる。例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、候補薬剤をCGRPと共にインキュベートし、次の特徴のうちいずれか1種または複数をモニターすることにより同定することもできる:(a)CGRPに結合する;(b)CGRPがその受容体(複数可)に結合するのを遮断する;(c)CGRP受容体活性化(cAMP活性化を含む)を遮断または減少させる;(d)CGRPの生物学的活性またはCGRPシグナリング機能によって媒介される下流経路を阻害する;(e)頭痛(例えば、片頭痛)のいずれかの側面を予防、寛解または処置する;(f)CGRPのクリアランスを増加させる;および(g)CGRP合成、産生または放出を阻害(低下)する。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体またはポリペプチドは、候補薬剤をCGRPと共にインキュベートし、CGRPの結合および/またはその生物学的活性の付随する低下もしくは中和をモニターすることにより同定される。結合アッセイは、精製CGRPポリペプチド(複数可)またはCGRPポリペプチド(複数可)を天然に発現するもしくはこれを発現するようにトランスフェクトされた細胞を用いて行うことができる。一実施形態では、結合アッセイは、CGRP結合に関して公知の抗CGRPアンタゴニストと競合する候補抗体の能力が評価される競合的結合アッセイである。アッセイは、ELISA形式を含む様々な形式で行うことができる。他の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、候補薬剤をCGRPと共にインキュベートし、細胞表面に発現されるCGRP受容体活性化の結合および付随する阻害をモニターすることにより同定される。
初期同定後に、候補抗CGRPアンタゴニスト抗体の活性は、標的化された生物学的活性を検査することが公知のバイオアッセイによりさらに確認および緻密化することができる。あるいは、バイオアッセイを使用して、直接的に候補をスクリーニングすることができる。例えば、CGRPは、応答性細胞におけるいくつかの測定可能な変化を促進する。それらには、細胞(例えば、SK−N−MC細胞)におけるcAMPの刺激が含まれるがこれに限定されない。ラット伏在神経の刺激によって誘導される皮膚血管拡張の測定等、動物モデルを使用して、アンタゴニスト活性を測定することもできる。Escottら、Br. J. Pharmacol.110巻:772〜776頁、1993年。アンタゴニスト抗体またはポリペプチドの有効性を検査するために、頭痛(片頭痛等)の動物モデルをさらに使用することができる。Reuterら、Functional Neurology(15巻)追補3号、2000年。抗CGRPアンタゴニスト抗体またはポリペプチドを同定および特徴付けるための方法のいくつかは、実施例において詳細に記載されている。
抗CGRPアンタゴニスト抗体は、当技術分野で周知の方法を使用して特徴付けることができる。例えば、一方法は、それが結合するエピトープを同定することまたは「エピトープマッピング」である。例えば、HarlowおよびLane、Using Antibodies, a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1999年の第11章に記載されている、抗体−抗原複合体の結晶構造の解析、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイおよび合成ペプチドに基づくアッセイを含む、タンパク質におけるエピトープの位置をマッピングおよび特徴付けるための当技術分野で公知の多くの方法が存在する。追加的な例において、エピトープマッピングを使用して、抗CGRPアンタゴニスト抗体が結合する配列を決定することができる。エピトープマッピングは、様々な供給源、例えば、Pepscan Systems(Edelhertweg 15、8219 PH Lelystad、The Netherlands)から市販されている。エピトープは、直鎖状エピトープであり得る、すなわち、単一のストレッチのアミノ酸に含有されるか、または単一のストレッチに必ずしも含有されていなくてもよいアミノ酸の三次元的相互作用により形成される立体構造エピトープであり得る。変動する長さ(例えば、少なくとも4〜6アミノ酸長)のペプチドを単離または合成(例えば、組換えにより)し、抗CGRPアンタゴニスト抗体による結合アッセイに使用することができる。別の例において、抗CGRPアンタゴニスト抗体が結合するエピトープは、CGRP配列に由来する重複ペプチドを使用し、抗CGRPアンタゴニスト抗体による結合を決定することにより、体系的スクリーニングにおいて決定することができる。遺伝子断片発現アッセイに従って、CGRPをコードするオープンリーディングフレームは、ランダムに、または特異的遺伝的構築により断片化され、CGRPの発現された断片と検査しようとする抗体との反応性が決定される。遺伝子断片を例えばPCRによって産生し、次に、放射性アミノ酸の存在下でin vitroで転写および翻訳してタンパク質にすることができる。次に、免疫沈降およびゲル電気泳動により、放射標識されたCGRP断片への抗体の結合が決定される。ファージ粒子の表面上に提示されたランダムペプチド配列の大型のライブラリー(ファージライブラリー)を使用することにより、ある特定のエピトープを同定することもできる。重複ペプチド断片の定義されたライブラリーは、単純な結合アッセイにおいて被験抗体への結合に関して検査することができる。追加的な例において、抗原結合ドメインの突然変異誘発、ドメイン取り替え実験およびアラニンスキャニング突然変異誘発を行って、エピトープ結合に要求される、十分なおよび/または必要な残基を同定することができる。例えば、ドメイン取り替え実験は、CGRPポリペプチドの様々な断片が、密接に関係するが、抗原的に別個のタンパク質(ニューロトロフィンタンパク質ファミリーの別のメンバー等)由来の配列に置き換えられた(取り替えられた)突然変異体CGRPを使用して行うことができる。突然変異体CGRPへの抗体の結合を評価することにより、抗体結合に対する特定のCGRP断片の重要性を評価することができる。
抗CGRPアンタゴニスト抗体を特徴付けるために使用することができるさらに別の方法は、同じ抗原、すなわち、CGRPにおける様々な断片に結合することが公知の他の抗体との競合アッセイを使用して、抗CGRPアンタゴニスト抗体が、他の抗体と同じエピトープに結合するか決定することである。競合アッセイは、当業者に周知である。
発現ベクターを使用して、抗CGRPアンタゴニスト抗体の発現を方向付けることができる。当業者は、in vivoで外来性タンパク質の発現を得るための発現ベクターの投与に精通している。例えば、米国特許第6,436,908号;同第6,413,942号;および同第6,376,471号を参照されたい。発現ベクターの投与は、注射、経口投与、パーティクルガンまたはカテーテル処置投与および外用投与を含む、局所的または全身性投与を含む。別の実施形態では、発現ベクターは、交感神経幹もしくは神経節に、または冠動脈、心房、心室(ventrical)もしくは心膜内へと直接的に投与される。
発現ベクターまたはサブゲノムポリヌクレオチドを含有する治療用組成物の標的化送達を使用することもできる。受容体媒介性DNA送達技法は、例えば、Findeisら、Trends Biotechnol.(1993年)11巻:202頁;Chiouら、Gene Therapeutics: Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A. Wolff編)(1994年);Wuら、J. Biol. Chem.(1988年)263巻:621頁;Wuら、J. Biol. Chem.(1994年)269巻:542頁;Zenkeら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1990年)87巻:3655頁;Wuら、J. Biol. Chem.(1991年)266巻:338頁に記載されている。ポリヌクレオチドを含有する治療用組成物は、遺伝子療法プロトコールにおける局所的投与のために、約100ng〜約200mgのDNAの範囲内で投与される。約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μgおよび約20μg〜約100μgのDNAの濃度範囲を遺伝子療法プロトコール中に使用することもできる。治療用ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達媒体を使用して送達することができる。遺伝子送達媒体は、ウイルスまたは非ウイルス起源のものであり得る(一般に、Jolly、Cancer Gene Therapy(1994年)1巻:51頁;Kimura、Human Gene Therapy(1994年)5巻:845頁;Connelly、Human Gene Therapy(1995年)1巻:185頁;およびKaplitt、Nature Genetics(1994年)6巻:148頁を参照)。内在性哺乳動物または異種プロモーターを使用して、かかるコード配列の発現を誘導することができる。コード配列の発現は、構成的であっても調節されてもよい。
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞における発現のためのウイルスに基づくベクターは、当技術分野で周知である。例示的なウイルスに基づく媒体として、組換えレトロウイルス(例えば、PCT公開番号WO90/07936;WO94/03622;WO93/25698;WO93/25234;WO93/11230;WO93/10218;WO91/02805;米国特許第5,219,740号および同第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;ならびに欧州特許第0345242号を参照)、アルファウイルスに基づくベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923;ATCC VR−1250;ATCC VR 1249;ATCC VR−532))およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT公開番号WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984およびWO95/00655を参照)が挙げられるがこれらに限定されない。Curiel、Hum. Gene Ther.(1992年)3巻:147頁に記載されている死滅させたアデノウイルスに連結されたDNAの投与を用いることもできる。
非ウイルス送達媒体および方法を用いることもでき、その例として、死滅させたアデノウイルス単独に連結されたまたは連結されないポリカチオン性凝縮DNA(例えば、Curiel、Hum. Gene Ther.(1992年)3巻:147頁を参照);リガンド連結されたDNA(例えば、Wu、J. Biol. Chem.(1989年)264巻:16985頁を参照);真核細胞送達媒体細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;PCT公開番号WO95/07994;WO96/17072;WO95/30763;およびWO97/42338を参照)および核(nucleic)荷電中和または細胞膜との融合が挙げられるがこれらに限定されない。ネイキッドDNAを用いることもできる。例示的なネイキッドDNA導入方法は、PCT公開番号WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達媒体として作用し得るリポソームは、米国特許第5,422,120号;PCT公開番号WO95/13796;WO94/23697;WO91/14445;およびEP0524968に記載されている。追加的なアプローチは、Philip、Mol. Cell Biol.(1994年)14巻:2411頁およびWoffendin、Proc. Natl. Acad. Sci.(1994年)91巻:1581頁に記載されている。
抗体G1および関連する抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
抗体G1および関連する抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
表6に示す抗体G1およびそのバリアントまたは表6に示す抗体G1およびそのバリアントに由来するポリペプチド;ならびにG1およびそのバリアントまたはポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む、医薬組成物を含む組成物が本明細書に開示されている。一部の実施形態では、本組成物は、CGRPに結合する1種もしくは複数の抗体もしくはポリペプチド(抗体であってもそうでなくてもよい)、および/またはCGRPに結合する1種もしくは複数の抗体もしくはポリペプチドをコードする配列を含む1種もしくは複数のポリヌクレオチドを含む。このような組成物は、当技術分野で周知であるバッファーを含む薬学的に許容される賦形剤等、適した賦形剤をさらに含むことができる。
本開示の抗CGRPアンタゴニスト抗体およびポリペプチドは、次の特徴のうちいずれか(1種または複数)によって特徴付けられる:(a)CGRPに結合する;(b)CGRPがその受容体(複数可)に結合するのを遮断する;(c)CGRP受容体活性化(cAMP活性化を含む)を遮断または減少させる;(d)CGRPの生物学的活性またはCGRPシグナリング機能によって媒介される下流経路を阻害する;(e)頭痛(例えば、片頭痛)のいずれかの側面を予防、寛解または処置する;(f)CGRPのクリアランスを増加させる;および(g)CGRP合成、産生または放出を阻害(低下)する。
したがって、本開示は、次のうちいずれか、または次のうちいずれかを含む組成物(医薬組成物を含む)を提供する:(a)表6に示す抗体G1またはそのバリアント;(b)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの断片または領域;(c)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖;(d)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの重鎖;(e)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖および/または重鎖由来の1個または複数の可変領域;(f)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの1個または複数のCDR(1、2、3、4、5または6個のCDR);(g)抗体G1の重鎖由来のCDR H3;(h)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖由来のCDR L3;(i)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖由来の3個のCDR;(j)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの重鎖由来の3個のCDR;(k)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖由来の3個のCDRおよび重鎖由来の3個のCDR;ならびに(l)(b)〜(k)のうちいずれか1つを含む抗体。本開示は、上述のうちいずれか1種または複数を含むポリペプチドも提供する。
抗体G1のCDR部分(ChothiaおよびKabat CDRを含む)は、図5において図表で描写されている。CDR領域の決定は、十分に当技術分野の技能範囲内にある。一部の実施形態では、CDRが、KabatおよびChothia CDRの組合せ(「組み合わされたCDR」または「延長されたCDR」とも命名される)であり得ることが理解される。一部の実施形態では、CDRは、Kabat CDRである。他の実施形態では、CDRは、Chothia CDRである。言い換えると、2個以上のCDRによる実施形態では、CDRは、Kabat、Chothia、組合せCDRまたはこれらの組合せのいずれかであり得る。
一部の実施形態では、本開示は、表6に示すG1またはそのバリアントの少なくとも1個のCDR、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5または全6個のCDRと実質的に同一である、少なくとも1個のCDR、少なくとも2、少なくとも3または少なくとも4、少なくとも5または全6個のCDRを含むポリペプチド(抗体であってもそうでなくてもよい)を提供する。他の実施形態は、G1のまたはG1に由来する少なくとも2、3、4、5または6個のCDRと実質的に同一である、少なくとも2、3、4、5または6個のCDRを有する抗体を含む。一部の実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5または6個のCDRは、表6に示すG1またはそのバリアントの少なくとも1、2、3、4、5または6個のCDRと少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。本開示の目的のため、活性の程度は、表6に示すG1またはそのバリアントと比較して変動し得る(より大きくまたは小さくなり得る)が、結合特異性および/または全体的活性が一般に保持されることが理解される。
本開示は、次のうちいずれかを有する表6に示すG1またはそのバリアントのアミノ酸配列を含むポリペプチド(抗体であってもそうでなくてもよい)も提供する:表6に示すG1またはそのバリアントの配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも8個の連続するアミノ酸、少なくとも約10個の連続するアミノ酸、少なくとも約15個の連続するアミノ酸、少なくとも約20個の連続するアミノ酸、少なくとも約25個の連続するアミノ酸、少なくとも約30個の連続するアミノ酸であって、アミノ酸のうち少なくとも3個は、表6に示すG1(図5)またはそのバリアントの可変領域に由来する。一実施形態では、可変領域は、G1の軽鎖に由来する。別の実施形態では、可変領域は、G1の重鎖に由来する。例示的なポリペプチドは、G1の重鎖および軽鎖可変領域の両方に由来する連続するアミノ酸(上述の長さ)を有する。別の実施形態では、5個の(またはそれを超える)連続するアミノ酸は、図5に示すG1の相補性決定領域(CDR)に由来する。一部の実施形態では、連続するアミノ酸は、G1の可変領域に由来する。
CGRP(ヒトα−CGRP等)に対する抗CGRPアンタゴニスト抗体およびポリペプチドの結合親和性(KD)は、一部の例において、約0.06〜約200nMであり得る。一部の実施形態では、結合親和性は、約200nM、100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約60pM、約50pM、約20pM、約15pM、約10pM、約5pMまたは約2pMのいずれかである。一部の実施形態では、結合親和性は、約250nM、約200nM、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pMまたは約50pMのいずれか未満である。
本開示は、これらの抗体またはポリペプチドのいずれかを作製する方法も提供する。抗体は、当技術分野で公知の手順によって作製することができる。ポリペプチドは、抗体のタンパク質分解もしくは他の分解により、上述の組換え方法(すなわち、単一または融合ポリペプチド)により、または化学合成により産生することができる。抗体のポリペプチド、特に、最大約50アミノ酸のより短いポリペプチドは、化学合成によって簡便に作製される。化学合成の方法は、当技術分野で公知であり、市販されている。例えば、抗体は、固相方法を用いる自動ポリペプチド合成機によって産生することができる。米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第6,331,415号も参照されたい。
一部の実施形態では、抗体は、当技術分野で周知の手順を使用して、組換えにより作製することができる。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号9および配列番号10に示す抗体G1の重鎖および/または軽鎖可変領域をコードする配列を含む。別の実施形態では、配列番号9および配列番号10に示すヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、発現または繁殖のための1種または複数のベクターにクローニングされる。目的の抗体をコードする配列を宿主細胞中のベクターにおいて維持することができ、次に宿主細胞を拡大増殖させ、将来的な使用のために凍結することができる。ベクター(発現ベクターを含む)および宿主細胞は、本明細書にさらに記載されている。
本開示は、G1等、本開示の抗体の単鎖可変領域断片(「scFv」)も包含する。単鎖可変領域断片は、典型的には、短い連結ペプチドを使用して軽鎖および/または重鎖可変領域を連結することにより作製される。Birdら(1988年)Science 242巻:423〜426頁。連結ペプチドの例は、一方の可変領域のカルボキシ末端および他方の可変領域のアミノ末端の間のおよそ3.5nmを架橋する(GGGGS)3(配列番号57)である。他の配列のリンカーが設計および使用されている。Birdら(1988年)。続いて、リンカーは、薬物の取り付けまたは固体支持体への取り付け等、追加的な機能のために修飾することができる。単鎖バリアントは、組換えまたは合成のいずれかにより産生することができる。scFvの合成産生のため、自動合成機を使用することができる。scFvの組換え産生のため、scFvをコードするポリヌクレオチドを含有する適したプラスミドを、酵母、植物、昆虫もしくは哺乳動物細胞等の真核生物またはE.coli等の原核生物のいずれかの、適した宿主細胞に導入することができる。目的のscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーション等、ルーチン操作によって作製することができる。得られたscFvは、当技術分野で公知の標準タンパク質精製技法を使用して単離することができる。
ダイアボディ等、他の形態の単鎖抗体も包含される。ダイアボディは、二価二特異的抗体であり、この抗体は、単一のポリペプチド鎖においてVHおよびVLドメインが発現されるが、同じ鎖における2個のドメインの間を対形成させるには短すぎるリンカーを使用し、それによってこのドメインを別の鎖の相補的ドメインと対形成させ、2個の抗原結合部位を生成する(例えば、Holligerら(1993年)Proc. Natl. Acad Sci. USA 90巻:6444〜6448頁;Poljakら(1994年)Structure 2巻:1121〜1123頁を参照)。
例えば、少なくとも2種の異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である二特異的抗体は、本明細書に開示されている抗体を使用して調製することができる。二特異的抗体を作製するための方法は、当技術分野で公知である(例えば、Sureshら、1986年、Methods in Enzymology 121巻:210頁を参照)。伝統的には、二特異的抗体の組換え産生は、2個の重鎖が異なる特異性を有する2個の免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの同時発現に基づいた(MillsteinおよびCuello、1983年、Nature 305巻、537〜539頁)。
二特異的抗体を作製する1つのアプローチによると、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。融合体は、好ましくは、ヒンジ、CH2およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインを有する。一例において、軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)は、融合体の少なくとも1種に存在する。免疫グロブリン重鎖融合体および必要に応じて免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、適した宿主生物にコトランスフェクトされる。これは、構築において使用される3種のポリペプチド鎖の不均等な比が最適な収量をもたらす実施形態において、3種のポリペプチド断片の相互割合の調整において優れた柔軟性をもたらす。しかし、等しい比の少なくとも2種のポリペプチド鎖の発現が高収量をもたらす場合、または比が特に有意ではない場合、2または全3種のポリペプチド鎖のコード配列を1種の発現ベクターに挿入することが可能である。
1つのアプローチにおいて、二特異的抗体は、一方の腕に第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方の腕におけるハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペア(第2の結合特異性をもたらす)で構成される。二特異的分子の半分側にのみ免疫グロブリン軽鎖を有するこの非対称構造は、望まれない免疫グロブリン鎖組合せからの所望の二特異的化合物の分離を容易にする。このアプローチは、PCT公開番号WO94/04690、1994年3月3日に発表に記載されている。
2個の共有結合により連結された抗体を含むヘテロコンジュゲート抗体も、本開示の範囲内である。かかる抗体は、望まれない細胞に免疫系細胞を標的化するため(米国特許第4,676,980号)およびHIV感染の処置のため(PCT出願公開番号WO91/00360およびWO92/200373;EP03089)に使用されてきた。ヘテロコンジュゲート抗体は、いずれか簡便な架橋方法を使用して作製することができる。適した架橋剤および技法は、当技術分野で周知であり、米国特許第4,676,980号に記載されている。
キメラまたはハイブリッド抗体は、架橋剤を含む方法を含む、合成タンパク質化学の公知方法を使用してin vitroで調製することもできる。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することにより構築することができる。この目的に適した試薬の例として、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートが挙げられる。
表6に示す抗体G1もしくはそのバリアントの1個もしくは複数のCDRまたは表6に示す抗体G1もしくはそのバリアントに由来する1個もしくは複数のCDRを含むヒト化抗体は、当技術分野で公知のいずれかの方法を使用して作製することができる。例えば、4つの一般的ステップを使用して、モノクローナル抗体をヒト化することができる。
本開示は、その特性に有意に影響しない機能的に均等な抗体ならびに増強または減少した活性および/または親和性を有するバリアントを含む、表6に示す抗体G1またはそのバリアントに対する修飾を包含する。例えば、表6に示す抗体G1またはそのバリアントのアミノ酸配列を突然変異させて、CGRPに対し所望の結合親和性を有する抗体を得ることができる。ポリペプチドの修飾は、当技術分野におけるルーチン実務であり、本明細書に詳細に記載する必要はない。ポリペプチドの修飾は、実施例に例証されている。修飾されたポリペプチドの例として、アミノ酸残基の保存的置換、機能活性を有意に有害に変化させないアミノ酸の1個もしくは複数の欠失もしくは付加、または化学的類似体の使用を有するポリペプチドが挙げられる。
アミノ酸配列挿入は、1残基〜百またはそれを超える残基を含有するポリペプチドに及ぶ長さのアミノおよび/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体またはエピトープタグに融合された抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントは、酵素の抗体または抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドのNまたはC末端への融合を含む。
置換バリアントは、抗体分子における少なくとも1個のアミノ酸残基を除去され、その位置に異なる残基が挿入される。置換突然変異誘発にとって最も関心がある部位は、高頻度可変領域を含むが、FR変更も企図される。保存的置換は、表1において「保存的置換」の見出しの下に示す。かかる置換が、生物学的活性に変化を生じる場合、表1における「例示的な置換」と命名されるまたはアミノ酸クラスを参照してさらに後述する、より実質的な変化を導入して、産物をスクリーニングすることができる。
抗体の生物学的特性における実質的な修飾は、(a)例えば、シートもしくはヘリックス立体構造としての、置換の区域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の容積の維持におけるその効果が有意に異なる置換を選択することにより達成される。天然起源の残基は、共通側鎖特性に基づく群に分けられる:
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)電荷なしの極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性(負電荷を持つ):Asp、Glu;
(4)塩基性(正電荷を持つ):Lys、Arg;
(5)鎖の配向性に影響を与える残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)電荷なしの極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性(負電荷を持つ):Asp、Glu;
(4)塩基性(正電荷を持つ):Lys、Arg;
(5)鎖の配向性に影響を与える残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
非保存的置換は、これらのクラスのうち1つのメンバーを別のクラスと交換することにより為される。
抗体の適切な立体構造の維持に関与しないいずれかのシステイン残基を一般にセリンに置換して、分子の酸化的安定性を改善し、異常な架橋を予防することもできる。逆に、特に、抗体が、Fv断片等、抗体断片である場合、システイン結合(複数可)を抗体に加えて、その安定性を改善することができる。
アミノ酸修飾は、1個または複数のアミノ酸の変化または修飾から、可変領域等の領域の完全な再設計までに及び得る。可変領域の変化は、結合親和性および/または特異性を変更することができる。一部の実施形態では、1〜5個以下の保存的アミノ酸置換が、CDRドメイン内に為される。他の実施形態では、1〜3個以下の保存的アミノ酸置換が、CDRドメイン内に為される。さらに他の実施形態では、CDRドメインは、CDR H3および/またはCDR L3である。
修飾は、グリコシル化および非グリコシル化ポリペプチド、ならびに例えば、異なる糖によるグリコシル化、アセチル化およびリン酸化等、他の翻訳後修飾を有するポリペプチドも含む。抗体は、その定常領域における保存された位置でグリコシル化される(JefferisおよびLund、1997年、Chem. Immunol.65巻:111〜128頁;WrightおよびMorrison、1997年、TibTECH 15巻:26〜32頁)。免疫グロブリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boydら、1996年、Mol. Immunol.32巻:1311〜1318頁;WittweおよびHoward、1990年、Biochem.29巻:4175〜4180頁)ならびに立体構造に影響し得る糖タンパク質の部分および糖タンパク質の提示されている三次元表面の間の分子内相互作用(HefferisおよびLund、上記参照;WyssおよびWagner、1996年、Current Opin. Biotech.7巻:409〜416頁)に影響する。オリゴ糖は、特異的な認識構造に基づき、ある特定の分子に所与の糖タンパク質を標的化するように機能することもできる。抗体のグリコシル化は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)に影響することも報告された。特に、二分GlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼであるβ(1,4)−N−アセチルグルコサミン転移酵素III(GnTIII)のテトラサイクリン調節発現を有するCHO細胞は、改善されたADCC活性を有することが報告された(Umanaら、1999年、Mature Biotech.17巻:176〜180頁)。
抗CGRPアンタゴニスト抗体等、抗体のグリコシル化は、典型的に、N結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への糖鎖の取り付けを指す。トリペプチド配列、アスパラギン−X−セリン、アスパラギン−X−スレオニンおよびアスパラギン−X−システイン(式中、Xは、プロリンを除くいずれかのアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への糖鎖の酵素による取り付けのための認識配列である。よって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作製する。O結合型グリコシル化は、最も一般的にはセリンまたはスレオニンであるが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンを使用してもよいヒドロキシアミノ酸への糖、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースのうち1種の取り付けを指す。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、上述のトリペプチド配列のうち1種または複数を含有するように、アミノ酸配列を変更することにより簡便に達成される(N結合型グリコシル化部位のための)。変更は、本来の抗体の配列への1個または複数のセリンまたはスレオニン残基の付加またはこれによる置換によって為すこともできる(O結合型グリコシル化部位のため)。
根底にあるヌクレオチド配列を変更することなく、抗体のグリコシル化パターンを変更することもできる。グリコシル化は、大部分は、抗体の発現に使用される宿主細胞に依存する。潜在的な治療薬としての組換え糖タンパク質、例えば、抗体の発現に使用される細胞型は、ネイティブ細胞であることはめったにないため、抗体のグリコシル化パターンにおける変種を予想することができる(例えば、Hseら、1997年、J. Biol. Chem.272巻:9062〜9070頁を参照)。
宿主細胞の選択に加えて、抗体の組換え産生中のグリコシル化に影響する因子は、成長様式、培地製剤、培養密度、酸素添加、pH、精製スキームその他を含む。オリゴ糖産生に関与するある特定の酵素の導入または過剰発現を含む、特定の宿主生物において達成されるグリコシル化パターンを変更するための様々な方法が提案された(米国特許第5,047,335号;同第5,510,261号および同第5.278,299号)。グリコシル化またはある種のグリコシル化は、例えば、エンドグリコシダーゼH(Endo H)、N−グリコシダーゼF、エンドグリコシダーゼF1、エンドグリコシダーゼF2、エンドグリコシダーゼF3を使用して、糖タンパク質から酵素により除去することができる。加えて、組換え宿主細胞は、ある種の多糖のプロセシングを欠損するように遺伝子操作することができる。上述および同様の技法は、当技術分野で周知である。
他の修飾方法は、酵素的手段、酸化的置換およびキレート化が挙げられるがこれらに限定されない、当技術分野で公知のカップリング技法の使用を含む。修飾は、例えば、イムノアッセイのための標識の取り付けに使用することができる。修飾されたG1ポリペプチドは、当技術分野で確立された手順を使用して作製され、その一部を後述および実施例に記載する当技術分野で公知の標準アッセイを使用してスクリーニングすることができる。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、免疫学的に不活性または部分的に不活性である、例えば、補体媒介性溶解を誘引しない、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を刺激しない、またはミクログリアを活性化しない;あるいは次のうちいずれか1種または複数:補体媒介性溶解の誘引、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の刺激またはミクログリアの活性化において低下した活性(非修飾抗体と比較して)を有する定常領域等の修飾された定常領域を含む。定常領域の異なる修飾を使用して、エフェクター機能の最適レベルおよび/または組合せを達成することができる。例えば、Morganら、Immunology 86巻:319〜324頁(1995年);Lundら、J. Immunology 157巻:4963〜9頁、157巻:4963〜4969頁(1996年);Idusogieら、J. Immunology 164巻:4178〜4184頁(2000年);Taoら、J. Immunology 143巻:2595〜2601頁(1989年);およびJefferisら、Immunological Reviews 163巻:59〜76頁(1998年)を参照されたい。一部の実施形態では、定常領域は、Eur. J. Immunol.(1999年)29巻:2613〜2624頁;PCT出願番号PCT/GB99/01441;および/または英国特許出願第9809951.8号に記載されている通りに修飾される。他の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、次の突然変異を含むヒト重鎖IgG2定常領域を含む:A330P331からS330S331(野生型IgG2配列を参照したアミノ酸ナンバリング)。Eur. J. Immunol.(1999年)29巻:2613〜2624頁。さらに他の実施形態では、定常領域は、N結合型グリコシル化に関して脱グリコシル化される。一部の実施形態では、定常領域は、グリコシル化されるアミノ酸残基または定常領域におけるN−グリコシル化認識配列の一部である隣接する残基を突然変異させることにより、N結合型グリコシル化に関して脱グリコシル化される。例えば、N−グリコシル化部位N297は、A、Q、KまたはHに突然変異させることができる。Taoら、J. Immunology 143巻:2595〜2601頁(1989年);およびJefferisら、Immunological Reviews 163巻:59〜76頁(1998年)を参照されたい。一部の実施形態では、定常領域は、N結合型グリコシル化に関して脱グリコシル化される。定常領域は、N結合型グリコシル化に関して酵素により(酵素PNGaseによる炭水化物の除去等)またはグリコシル化欠損宿主細胞における発現により脱グリコシル化することができる。
他の抗体修飾は、PCT公開番号WO99/58572、1999年11月18日に発表に記載されている通りに修飾された抗体を含む。このような抗体は、標的分子において方向付けられた結合ドメインに加えて、ヒト免疫グロブリン重鎖の定常ドメインの全体または一部と実質的に相同なアミノ酸配列を有するエフェクタードメインを含むことができる。このような抗体は、標的の有意な補体依存性溶解または細胞媒介性破壊を誘引することなく、標的分子に結合することができる。一部の実施形態では、エフェクタードメインは、FcRnおよび/またはFcγRIIbに特異的に結合することができる。これらは典型的には、2種またはそれを超えるヒト免疫グロブリン重鎖CH2ドメインに由来するキメラドメインに基づく。この様式で修飾された抗CGRPアンタゴニスト抗体等の抗体は、従来の抗体療法に対する炎症および他の有害反応を回避するための、慢性抗体療法における使用に特に適している。
本開示は、親和性成熟された実施形態を含む。例えば、親和性成熟された抗CGRPアンタゴニスト抗体は、当技術分野で公知の手順によって産生することができる(Marksら、1992年、Bio/Technology、10巻:779〜783頁;Barbasら、1994年、Proc Nat. Acad. Sci, USA 91巻:3809〜3813頁;Schierら、1995年、Gene、169巻:147〜155頁;Yeltonら、1995年、J. Immunol.、155巻:1994〜2004頁;Jacksonら、1995年、J. Immunol.、154巻(7号):3310〜9頁;Hawkinsら、1992年、J. Mol. Biol.、226巻:889〜896頁;およびWO2004/058184)。
次の方法は、抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体の親和性を調整し、CDRを特徴付けるために使用することができる。抗体のCDRを特徴付けるおよび/または抗体等のポリペプチドの結合親和性を変更する(改善する等)1つの仕方は、「ライブラリースキャニング突然変異誘発」と命名される。一般に、ライブラリースキャニング突然変異誘発は、次の通りに機能する。当技術分野で認識されている方法を使用して、CDRにおける1個または複数のアミノ酸位置を、2種またはそれを超える(3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20種等)アミノ酸に置き換える。これは、クローンの小型のライブラリーを作製し(一部の実施形態では、解析される全アミノ酸位置に対し1種)、それぞれ、2種またはそれを超えるメンバーの複雑性を有する(全位置において2種またはそれを超えるアミノ酸が置換される場合)。一般に、ライブラリーは、ネイティブ(非置換)アミノ酸を含むクローンも含む。各ライブラリーから少数のクローン、例えば、約20〜80クローン(ライブラリーの複雑性に依存する)が、標的ポリペプチド(または他の結合標的)に対する結合親和性に関してスクリーニングされ、結合が増加した、同じ、減少したまたは結合なしの候補が同定される。結合親和性を決定するための方法は、当技術分野で周知である。結合親和性は、約2倍またはそれを超える結合親和性の差を検出する、Biacore表面プラズモン共鳴解析を使用して決定することができる。出発抗体が既に、相対的に高い親和性、例えば、約10nMまたはそれより低いKDで結合した場合、Biacoreは特に有用である。Biacore表面プラズモン共鳴を使用したスクリーニングは、本明細書の実施例に記載されている。
結合親和性は、Kinexa Biocensor、シンチレーション近接アッセイ、ELISA、ORIGENイムノアッセイ(IGEN)、蛍光クエンチング、蛍光移動および/または酵母ディスプレイを使用して決定することができる。結合親和性は、適したバイオアッセイを使用してスクリーニングすることもできる。
一部の実施形態では、当技術分野で認識されている突然変異誘発方法(その一部は本明細書に記載されている)を使用して、CDRにおける全アミノ酸位置が、全20種の天然アミノ酸に置き換えられる(一部の実施形態では、一度に1個)。これは、クローンの小型のライブラリーを作製し(一部の実施形態では、解析される全アミノ酸位置に対し1種)、それぞれが、20種のメンバーの複雑性を有する(全位置において全20種のアミノ酸が置換される場合)。
一部の実施形態では、スクリーニングしようとするライブラリーは、同じCDRまたは2個もしくはそれを超えるCDRに存在し得る、2個またはそれを超える位置における置換を含む。よって、ライブラリーは、1個のCDRにおける2個またはそれを超える位置における置換を含むことができる。ライブラリーは、2個またはそれを超えるCDRにおける2個またはそれを超える位置における置換を含むことができる。ライブラリーは、3、4、5個またはそれを超える位置における置換を含むことができ、前記位置は、2、3、4、5または6個のCDRに存在する。置換は、低冗長性コドンを使用して調製することができる。例えば、Balintら(1993年)Gene 137巻(1号):109〜18頁の表2を参照されたい。
CDRは、CDRH3および/またはCDRL3であり得る。CDRは、CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2および/またはCDRH3のうち1種または複数であり得る。CDRは、Kabat CDR、Chothia CDRまたは延長されたCDRであり得る。
改善された結合を有する候補を配列決定し、これにより、改善された親和性をもたらすCDR置換突然変異体を同定することができる(「改善された」置換とも命名される)。結合する候補を配列決定し、これにより、結合を保持するCDR置換を同定することもできる。
複数ラウンドのスクリーニングを行うことができる。例えば、改善された結合を有する候補(それぞれ、1個または複数のCDRの1個または複数の位置にアミノ酸置換を含む)は、改善されたCDR位置(すなわち、置換突然変異体が改善された結合を示したCDRにおけるアミノ酸位置)のそれぞれに少なくとも本来のおよび置換されたアミノ酸を含有する、第2のライブラリーの設計にも有用である。このライブラリーの調製およびスクリーニングまたは選択についてさらに後述する。
改善された結合、同じ結合、減少した結合または結合なしのクローンの頻度が、抗体−抗原複合体の安定性に対する各アミノ酸位置の重要性に関する情報も提供する限りにおいて、ライブラリースキャニング突然変異誘発は、CDRを特徴付けるための手段も提供する。例えば、CDRの位置が、全20種のアミノ酸に変化させた場合に結合を保持する場合、該位置は、抗原結合に必要とされる可能性が低い位置として同定される。逆に、CDRの位置が、ごくわずかなパーセンテージの置換において結合を保持する場合、該位置は、CDR機能に重要な位置として同定される。よって、ライブラリースキャニング突然変異誘発方法は、多くの異なるアミノ酸(全20種のアミノ酸を含む)に変化させることができるCDRにおける位置および変化させることができないまたはいくつかのアミノ酸にしか変化させることができないCDRにおける位置に関する情報を生じる。
改善された親和性を有する候補は、所望のスクリーニングまたは選択方法を使用して、該位置に改善されたアミノ酸、本来のアミノ酸を含み、望まれるまたは許されるライブラリーの複雑性に応じて、該位置に追加的な置換をさらに含むことができる第2のライブラリーにおいて組み合わせることができる。加えて、必要に応じて、隣接するアミノ酸位置は、少なくとも2種またはそれを超えるアミノ酸にランダム化することができる。隣接するアミノ酸のランダム化は、突然変異体CDRにおける追加的な立体構造上の可動性を可能にすることができ、これは続いて、より多数の改善突然変異の導入を可能にまたは容易にすることができる。ライブラリーは、スクリーニングの第1ラウンドにおいて改善された親和性を示さなかった位置に置換(複数可)を含むこともできる。
Biacore表面プラズモン共鳴解析を使用したスクリーニング、ならびにファージディスプレイ、酵母ディスプレイおよびリボソームディスプレイを含む選択のための当技術分野で公知のいずれかの方法を使用した選択を含む、当技術分野で公知のいずれかの方法を使用して、第2のライブラリーは、改善および/または変更された結合親和性を有するライブラリーメンバーに関してスクリーニングまたは選択される。
本開示は、本開示の抗体(G1等)またはポリペプチド由来の1種または複数の断片または領域を含む融合タンパク質も包含する。一実施形態では、配列番号2(図5)に示す可変軽鎖領域の少なくとも10個の連続するアミノ酸および/または配列番号1(図5)に示す可変重鎖領域の少なくとも10個のアミノ酸を含む融合ポリペプチドが提供される。他の実施形態では、配列番号2(図5)に示す可変軽鎖領域の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25もしくは少なくとも約30個の連続するアミノ酸、および/または配列番号1(図5)に示す可変重鎖領域の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25もしくは少なくとも約30個の連続するアミノ酸を含む融合ポリペプチドが提供される。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、図5の配列番号2および配列番号1に示すG1の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、G1の1種または複数のCDRを含む。さらに他の実施形態では、融合ポリペプチドは、抗体G1のCDR H3および/またはCDR L3を含む。本開示の目的のため、G1融合タンパク質は、1種または複数のG1抗体と、これがネイティブ分子においては取り付けられてない別のアミノ酸配列、例えば、別の領域由来の異種配列または相同配列とを含有する。例示的な異種配列として、FLAGタグまたは6Hisタグ(配列番号56)等、「タグ」が挙げられるがこれらに限定されない。タグは、当技術分野で周知である。
G1融合ポリペプチドは、当技術分野で公知の方法によって、例えば、合成または組換えにより作製することができる。典型的には、本開示のG1融合タンパク質は、本明細書に記載されている組換え方法を使用して、これをコードするポリヌクレオチドの発現を調製することにより作製されるが、例えば、化学合成を含む当技術分野で公知の他の手段によって調製することもできる。
本開示は、固体支持体へのカップリングを容易にする薬剤(ビオチンまたはアビジン等)にコンジュゲート(例えば、連結)された、G1に由来する抗体またはポリペプチドを含む組成物も提供する。簡潔にするため、これらの方法が、本明細書に記載されているCGRP結合実施形態のいずれかに当てはまるという理解により、一般に、G1または抗体に関する参照が為されるであろう。コンジュゲーションは、一般に、本明細書に記載されているこれらの構成成分の連結を指す。連結(一般に、少なくとも投与のための近接した関係性でのこれらの構成成分の固定)は、あらゆる仕方で達成することができる。例えば、それぞれが、相手と反応することができる置換基を保有する場合、薬剤および抗体の間の直接的な反応が可能である。例えば、一方におけるアミノまたはスルフヒドリル基等の求核基は、他方における無水物もしくは酸ハロゲン化物等のカルボニル含有基または優れた脱離基を含有するアルキル基(例えば、ハロゲン化物)と反応することができる。
本開示の抗体またはポリペプチドは、蛍光分子、放射性分子、酵素、ハプテン、化学発光分子または当技術分野で公知の他のいずれかの標識等、標識剤(あるいは「標識」と命名される)に連結することができる。シグナルを一般に生じる(直接的にまたは間接的に)標識が当技術分野で公知である。
本開示は、抗体G1、ならびに本明細書に記載されている抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)および/またはポリペプチドのうちいずれか1種または複数(または全種)を含む組成物(医薬組成物を含む)およびキットも提供する。
本開示は、抗体およびポリペプチド(図5に示す軽鎖および重鎖可変領域のポリペプチド配列を含む抗体を含む)をコードする単離されたポリヌクレオチド、ならびに該ポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞も提供する。
したがって、本開示は、次のうちいずれかをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド(または医薬組成物を含む組成物)を提供する:(a)表6に示す抗体G1またはそのバリアント;(b)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの断片または領域;(c)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖;(d)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの重鎖;(e)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖および/または重鎖由来の1個または複数の可変領域;(f)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの1個または複数のCDR(1、2、3、4、5または6個のCDR);(g)抗体G1の重鎖由来のCDR H3;(h)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖由来のCDR L3;(i)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖由来の3個のCDR;(j)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの重鎖由来の3個のCDR;(k)表6に示す抗体G1またはそのバリアントの軽鎖由来の3個のCDRおよび重鎖由来の3個のCDR;ならびに(l)(b)〜(k)のうちいずれか1種を含む抗体。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号9および配列番号10に示すポリヌクレオチドのいずれか一方または両方を含む。
一態様では、本開示は、不良なエフェクター機能を有する抗体およびポリペプチド等、本明細書に記載されている抗体(抗体断片を含む)およびポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の手順によって作製することができる。
一態様では、本開示は、本開示のポリヌクレオチドのいずれかを含む組成物(医薬組成物等)を提供する。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載されているG1抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に記載されている抗体またはポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。さらに他の実施形態では、組成物は、配列番号9および配列番号10に示すポリヌクレオチドのいずれか一方または両方を含む。発現ベクターおよびポリヌクレオチド組成物の投与は、本明細書にさらに記載されている。
一態様では、本開示は、本明細書に記載されているポリヌクレオチドのいずれかを作製する方法を提供する。
いずれかのかかる配列と相補的なポリヌクレオチドも、本開示に包含されている。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードまたはアンチセンス)であっても二本鎖であってもよく、DNA(ゲノム、cDNAまたは合成)であってもRNA分子であってもよい。RNA分子は、イントロンを含有し、1対1(one−to−one)様式でDNA分子に相当するHnRNA分子と、イントロンを含有しないmRNA分子とを含む。追加的なコードまたは非コード配列が、本開示のポリヌクレオチド内に存在してもよいが、そうである必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材料に連結されていてもよいが、そうである必要はない。
ポリヌクレオチドは、ネイティブ配列(すなわち、抗体またはその部分をコードする内在性配列)を含むことができるか、またはかかる配列のバリアントを含むことができる。コードされるポリペプチドの免疫反応性が、ネイティブ免疫反応性分子と比べて縮小されないように、ポリヌクレオチドバリアントは、1個または複数の置換、付加、欠失および/または挿入を含有する。コードされるポリペプチドの免疫反応性における効果は、一般に、本明細書に記載されている通りに評価することができる。バリアントは、ネイティブ抗体またはその部分をコードするポリヌクレオチド配列に対し、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも95%の同一性または少なくとも99%の同一性を示すことができる。
2種のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、後述する最大一致のためにアラインされると、該2配列におけるヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が同じである場合、「同一」であると言われる。2配列間の比較は、典型的には、比較ウィンドウにわたって配列を比較して、配列類似性の局所的領域を同定および比較することにより行われる。「比較ウィンドウ」は、本明細書において、2配列が最適にアラインされた後に配列を同数の連続する位置の参照配列と比較することができる、少なくとも約20の連続する位置、通常、30〜約75、40〜約50のセグメントを指す。
比較のための配列の最適なアライメントは、デフォルトパラメータを使用した、バイオインフォマティクスソフトウェアのLasergene一式におけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.、Madison、WI)を使用して行うことができる。このプログラムは、次の参考文献に記載されている数種類のアライメントスキームを具体化する:Dayhoff, M.O.(1978年)A model of evolutionary change in proteins − Matrices for detecting distant relationships、Dayhoff, M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure、National Biomedical Research Foundation、Washington DC、5巻、追補3号、345〜358頁;Hein J.、1990年、Unified Approach to Alignment and Phylogenes、626〜645頁、Methods in Enzymology、183巻、Academic Press, Inc.、San Diego, CA;Higgins, D.G.およびSharp, P.M.、1989年、CABIOS 5巻:151〜153頁;Myers, E.W.およびMuller W.、1988年、CABIOS 4巻:11〜17頁;Robinson, E.D.、1971年、Comb. Theor.11巻:105頁;Santou, N.、Nes, M.、1987年、Mol. Biol. Evol.4巻:406〜425頁;Sneath, P.H.A.およびSokal, R.R.、1973年、Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、San Francisco, CA;Wilbur, W.J.およびLipman, D.J.、1983年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80巻:726〜730頁。
一例において、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20個の位置の比較のウィンドウにわたって、2種の最適にアラインされた配列を比較することにより決定され、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2配列の最適なアライメントのための参照配列(付加も欠失も含まない)と比較して、20パーセントまたはそれ未満、通常、5〜15パーセントまたは10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含むことができる。パーセンテージは、両方の配列において同一核酸塩基またはアミノ酸残基が発生する位置の数を決定して、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を、参照配列における位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。よって、一部の例において、開示されている方法により使用することができる本明細書に提供されている抗体または抗体断片のいずれかは、本明細書に提供されている抗体または抗体断片に対し少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有することができる(例えば、配列番号1〜14または155〜174のいずれかに対しかかる配列同一性を有する)。
バリアントも同様にまたはその代わりに、ネイティブ遺伝子またはその部分もしくは相補体と実質的に相同であり得る。かかるポリヌクレオチドバリアントは、中程度にストリンジェントな条件下で、ネイティブ抗体をコードする天然起源のDNA配列(または相補的配列)とハイブリダイズすることができる。
適した「中程度にストリンジェントな条件」は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液における予洗;50℃〜65℃、5×SSCにおける一晩のハイブリダイズ;続く、0.1%SDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれによる65℃20分間の2回洗浄を含む。
本明細書において、「高度にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度および高温、例えば、0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、50℃を用いる;(2)ハイブリダイゼーション中に、ホルムアミド等の変性剤、例えば、50%(v/v)ホルムアミドと、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウムバッファー、pH6.5と、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、42℃を用いる;または(3)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDSおよび10%デキストラン硫酸、42℃を用い、42℃で0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)で洗浄し、50%ホルムアミド、55℃を用い、続くEDTAを含有する0.1×SSC、55℃からなる高ストリンジェンシー洗浄を用いる条件である。当業者であれば、必要に応じて温度、イオン強度等を調整して、プローブの長さその他等の因子を適応させる仕方を認識するであろう。
当業者であれば、遺伝暗号の縮重の結果として、本明細書に記載されているポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することを認めるであろう。これらのポリヌクレオチドの一部は、いずれかのネイティブ遺伝子のヌクレオチド配列に対し最小の相同性を有する。にもかかわらず、コドン使用の差により変動するポリヌクレオチドが、本開示によって特に企図されている。さらに、本明細書に提供されているポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本開示の範囲内に収まる。対立遺伝子は、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換等、1個または複数の突然変異の結果として変更される内在性遺伝子である。その結果得られるmRNAおよびタンパク質は、変更された構造または機能を有することができるが、そうである必要はない。対立遺伝子は、標準技法を使用して同定することができる(ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較等)。
本開示のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え方法またはPCRを使用して得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当技術分野で周知であり、本明細書に詳細に記載する必要はない。当業者であれば、本明細書に提供されている配列および市販のDNA合成機を使用して、所望のDNA配列を産生することができる。
本明細書にさらに述べられている通り、組換え方法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、所望の配列を含むポリヌクレオチドを適したベクターに挿入することができ、続いてこのベクターを、複製および増幅のために適した宿主細胞に導入することができる。ポリヌクレオチドは、当技術分野で公知のいずれかの手段により宿主細胞に挿入することができる。直接的取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F−接合またはエレクトロポレーションにより外来性ポリヌクレオチドを導入することにより、細胞を形質転換することができる。導入されると、外来性ポリヌクレオチドは、非組み込み型ベクター(プラスミド等)として細胞内で維持することができるか、または宿主細胞ゲノム中に組み込まれ得る。このようにして増幅されたポリヌクレオチドは、当技術分野内で周知の方法によって、宿主細胞から単離することができる。例えば、Sambrookら(1989年)を参照されたい。
あるいは、PCRは、DNA配列の再生産を可能にする。PCR技術は、当技術分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号および同第4,683,202号ならびにPCR: The Polymerase Chain Reaction、Mullisら編、Birkauswer Press、Boston(1994年)に記載されている。
RNAは、適切なベクターにおける単離されたDNAを使用し、これを適した宿主細胞に挿入することにより得ることができる。細胞が複製し、DNAがRNAに転写されると、次いでRNAは、例えばSambrookら(1989年)に表記されている通りに、当業者に周知の方法を使用して単離することができる。
適したクローニングベクターは、標準技法に従って構築することができるか、または当技術分野で利用できる多数のクローニングベクターから選択することができる。選択されるクローニングベクターは、使用しようとする宿主細胞に応じて変動し得るが、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼのための単一の標的を保有することができ、および/またはベクターを含有するクローンの選択において使用することができるマーカーの遺伝子を保持することができる。適した例として、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびその派生体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28等のシャトルベクターが挙げられる。上述および多くの他のクローニングベクターは、BioRad、StrategeneおよびInvitrogen等、商業的ベンダーから入手することができる。
発現ベクターは、一般に、本開示に係るポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターが、エピソームまたは染色体DNAの組み込み部分のいずれかとして宿主細胞において複製可能でなければならないことが暗示される。適した発現ベクターとして、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミドおよびPCT公開番号WO87/04462に開示されている発現ベクター(複数可)が挙げられるがこれらに限定されない。ベクター構成成分として一般に、次のうち1種または複数を挙げることができるがこれらに限定されない:シグナル配列;複製起点;1種または複数のマーカー遺伝子;適した転写制御エレメント(プロモーター、エンハンサーおよびターミネーター等)。発現(すなわち、翻訳)のため、リボソーム結合部位、翻訳開始部位および終止コドン等、1種または複数の翻訳制御エレメントも通常要求される。
目的のポリヌクレオチドを含有するベクターは、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストランまたは他の物質を用いたエレクトロポレーション、トランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターが、ワクシニアウイルス等の感染病原体である場合)を含む、いくつかの適切な手段のいずれかによって宿主細胞に導入することができる。導入ベクターまたはポリヌクレオチドの選択は多くの場合、宿主細胞の特色に依存するであろう。
本開示は、本明細書に記載されているポリヌクレオチドのいずれかを含む宿主細胞も提供する。異種DNAを過剰発現することができるいずれかの宿主細胞は、目的の抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的のために使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定例として、COS、HeLaおよびCHO細胞が挙げられるがこれらに限定されない。PCT公開番号WO87/04462も参照されたい。適した非哺乳動物宿主細胞は、原核生物(E.coliまたはB.subtillis等)および酵母(S.cerevisae、S.pombe;またはK.lactis等)を含む。一部の例において、宿主細胞は、存在するのであれば宿主細胞における目的の相当する内在性抗体またはタンパク質のレベルよりも約少なくとも5倍高い、少なくとも10倍高い、または少なくとも20倍高いレベルでcDNAを発現する。CGRPへの特異的結合に関する宿主細胞のスクリーニングは、イムノアッセイまたはFACSによってもたらされる。目的の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
医薬組成物
医薬組成物
1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物は、有効量の活性成分としての1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはその薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和化合物、水和物もしくは誘導体をもたらすように製剤化することができる。組成物は、医薬組成物であり得る。組成物は、処置されている状態に対するその特定の有用性のために選択される1種または複数の追加的な治療剤をさらに含むことができる。例えば、治療剤は、抗糖尿病剤であり得る。抗糖尿病剤は、糖尿病に関連した症状の処置において有効な量であり得る。望ましい場合、組成物は、薬学的に許容される塩および/またはその配位錯体、ならびに1種または複数の薬学的に許容される賦形剤、不活性固体希釈剤およびフィラーを含む担体、無菌水溶液および様々な有機溶媒を含む希釈液、透過促進剤、可溶化剤ならびにアジュバントを含有する。
一部の実施形態では、本開示の方法において使用される組成物は、本明細書に記載されている有効量の1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体または抗CGRPアンタゴニスト抗体由来のポリペプチドを含む。一実施形態では、組成物は、1種または複数の追加的なCGRPアンタゴニストをさらに含む。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、ヒトCGRPに結合する。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、抗体媒介性溶解またはADCC等、望まれないまたは望ましくない免疫応答を誘引しない定常領域を含む。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、抗体G1の1個または複数のCDR(G1由来の1、2、3、4、5、または一部の実施形態では、全6個のCDR等)を含む。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、ヒト抗体である。
組成物は、2種以上の抗CGRPアンタゴニスト抗体(例えば、CGRPの異なるエピトープを認識する抗CGRPアンタゴニスト抗体の混合物)を含むことができる。他の例示的な組成物は、同じエピトープ(複数可)を認識する2種以上の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRPの異なるエピトープに結合する異なる種の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む。組成物は、ポリクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体を含むことができる。組成物は、2種またはそれを超えるモノクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体(例えば、2、3、4、5種またはそれを超えるモノクローナル抗体)の混合物を含むことができる。
開示されている方法において使用される組成物は、凍結乾燥された製剤または水溶液の形態の、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington: The Science and practice of Pharmacy、第20版(2000年)Lippincott Williams and Wilkins、K. E. Hoover編)をさらに含むことができる。許容される担体、賦形剤または安定剤は、その投薬量および濃度ではレシピエントにとって無毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸等、バッファー;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等、アルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン等、タンパク質;ポリビニルピロリドン等、親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシン等、アミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストランを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTA等、キレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール等、糖;ナトリウム等、塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)等、非イオン性界面活性物質を含むことができる。薬学的に許容される賦形剤は、本明細書にさらに記載されている。
かかる組成物は、予防および/または治療に適するまたは有益となることができる。組成物は、栄養学もしくは予防適用および/または治療適用等、様々な適用のいずれかに適するまたは有益となることができるように、相対的に迅速な抗CGRPアンタゴニスト抗体摂取、供給および/または補給に適し得る。組成物は、例えば食糧および/または飲料等、食事性媒体または消費できる媒体を介して達成することができるいずれか等、抗CGRPアンタゴニスト抗体摂取、供給および/または補給適用(複数可)に適したまたは有益な媒体であり得る。
一部の実施形態では、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物は、単一の剤形で存在し得る。一部の事例において、組成物は、複数の剤形で存在し得る。組成物は、単一用量または複数用量で投与することができる。投薬は、1日当たり約1回、2回、3回、4回、5回、6回または6回超であり得る。投薬は、1ヶ月に約1回、2週間に1回、1週間に1回または1日おきに1回であり得る。一部の実施形態では、投薬は、毎日少なくとも1回であり得る。別の実施形態では、1種もしくは複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体および/または1種もしくは複数の追加的な治療剤(例えば、抗代謝障害剤または抗糖尿病剤)は共に、1日当たり約1回〜1日当たり約6回投与することができる。
別の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体および/または1種もしくは複数の追加的な治療剤の投与は、約7日間未満続けることができる。さらに別の実施形態では、投与は、約6、10、14、20、28、30日間、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月間、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30年間に等しいまたはそれを超える期間続ける。一部の事例において、連続的投薬は、必要な限り達成および維持される。一部の実施形態では、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物は、少なくとも約1ヶ月間投与される。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも約10日間投与される。抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物の投与は、必要な限り続けることができる。一部の実施形態では、本開示の化合物は、28、14、7、6、5、4、3、2または1日間未満の間投与される。一部の実施形態では、本開示の化合物は、例えば、慢性効果の処置のために、進行ベースで慢性的に投与される。
本開示の組成物は、投薬量で投与することができる。化合物薬物動態における対象間の可変性により、投薬レジメンの個別化が、最適な治療法に望まれ得ることが当技術分野で公知である。本開示を踏まえたルーチンの実験法により、本開示の化合物の投薬を見出すことができる。
対象への1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物の投与に適切な投薬量の決定は、先に言及した因子、例えば、いずれかの潜在的なもしくは実際の副作用(複数可)、ならびに/または状態処置目的、副作用低下目的および/もしくは抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物を対象に投与することができる他の目的(複数可)等、抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物の投与の目的等、様々な因子のいずれかを考慮に入れることができる。適切な投薬量の決定は、これらの因子、他のいずれかの適した因子(複数可)、いずれかの副作用(複数可)、動物試験モデリング、ヒト試験モデリング、臨床試験モデリング、薬物試験モデリングおよびこれらの間のいずれかの釣合せのいずれかを考慮に入れることができる。
対象によって吸収され得る抗CGRPアンタゴニスト抗体の量、または対象による抗CGRPアンタゴニスト抗体の吸収速度は、様々な因子のいずれかに基づき、対象間で変動し得る。かかる因子の例として、代謝速度、腎機能、全体的な健康および/または対象に関する他の因子(複数可)、ならびに対イオン、いずれかの増強剤、その投与媒体もしくは方法等の抗CGRPアンタゴニスト抗体それ自体を含む組成物の特性もしくは性質、ならびに/または1種もしくは複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物(複数可)および/または対象へのその投与に関する他の因子が挙げられる。
一部の実施形態では、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む製剤は、いずれか適した投与経路のために調製することができる。一部の例において、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体は、0.1mg〜3000mg、1mg〜1000mg、100〜1000mg、100〜500mg、10mg〜100mgまたは10mg〜25mgに及ぶ量で存在する。1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む製剤は、0.1mg、1mg、100mg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mgもしくは3000mg、多くても0.1mg、1mg、100mg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mgもしくは3000mg、または少なくとも0.1mg、1mg、100mg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mgもしくは3000mgの抗体量で、いずれか適した投与経路のために調製することができる。
一部の実施形態では、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む液体製剤は、0.1〜500mg/mL、0.1〜375mg/mL、0.1〜250mg/mL、0.1〜175mg/mLまたは0.1〜100mg/mLに及ぶ抗体濃度で、いずれか適した投与経路のために調製することができる。一部の実施形態では、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む液体製剤は、0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490もしくは500mg/mLの、多くても0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490もしくは500mg/mLの、少なくとも0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490もしくは500mg/mLの、または0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490もしくは500mg/mL未満の抗体濃度で、いずれか適した投与経路のために調製することができる。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体の初期用量(例えば、負荷用量)を対象に投与し、続いて所望の間隔で1または複数の追加的な用量を投与することができる。一部の実施形態では、初期用量および追加的な用量の1または複数は、同じ用量である。一部の実施形態では、1または複数の追加的な用量は、初期用量とは異なる用量である。一部の実施形態では、1または複数の追加的な用量が投与される頻度は、一定(例えば、毎月)である。一部の実施形態では、1または複数の追加的な用量が投与される頻度は、可変的(例えば、初期用量の1ヶ月後に1回の追加的な用量が投与され、続いて初期用量の3ヶ月後に別の追加的な用量が投与される)である。初期負荷用量、追加的な用量、ならびに追加的な用量の頻度(例えば、本明細書に記載されているものを含む)のいずれか望ましいおよび/または治療用レジメンを使用することができる。例示的なレジメンは、皮下投与される675mg抗CGRPアンタゴニスト抗体の初期負荷用量と、続く1ヶ月間の間隔で皮下投与される抗体の225mgのその後の維持用量を含む。
一部の実施形態では、0.1μg、1μg、100μg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mgまたは3000mgの1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の初期用量を対象に投与し、続いて0.1μg、1μg、100μg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mgまたは3000mgの1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の1または複数の追加的な用量を投与することができる。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体(複数可)の用量は、例えば、投与経路および/または投与される特定の製剤に応じて、部分用量(sub−dose)に分け、複数の部分用量として投与することができる。例えば、用量が皮下投与される場合、例えば、単一の部位におけるより多量の単一の皮下注射を回避するために、皮下用量を複数の部分用量に分け、各部分用量を異なる部位に投与することができる。例えば、900mgの皮下用量は、各225mgの4個の部分用量に分け、各225mg用量を異なる部位に投与することができ、これは、各部位に注射される容量を最小化するのを助けることができる。部分用量の分割は、等しくても(例えば、4個の等しい部分用量)、等しくなくてもよい(例えば、部分用量のうち2個が他の部分用量の2倍である、4個の部分用量)。
一部の実施形態では、処置の経過にわたって対象に投与される抗CGRPアンタゴニスト抗体(複数可)の用量の数は、例えば、対象における代謝障害症状の発生率低下の達成に応じて変動し得る。例えば、処置の経過にわたって投与される用量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49もしくは50であり得るか、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49もしくは50であり得るか、または多くても1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49もしくは50であり得る。一部の事例において、処置は、無期限に与えることができる。一部の事例において、多くても1、2、3、4、5または6用量が処置のために対象に投与されるように、処置は、急性であり得る。
一部の実施形態では、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の用量(または部分用量)を液体製剤において製剤化し、液体として対象に投与(例えば、皮下注射により)することができる。かかる事例において、対象に投与される1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む液体製剤の容量は、例えば、液体製剤における抗CGRPアンタゴニスト抗体の濃度、1種もしくは複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の所望の用量および/または使用される投与経路に応じて変動し得る。例えば、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含み、対象に投与される(例えば、皮下注射等、注射により)液体製剤の容量は、0.001mL〜10.0mL、0.01mL〜5.0mL、0.1mL〜5mL、0.1mL〜3mL、0.5mL〜2.5mLまたは1mL〜2.5mLであり得る。例えば、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含み、対象に投与される(例えば、皮下注射等、注射により)液体製剤の容量は、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5もしくは10.0mLであり得るか、少なくとも0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5もしくは10.0mLであり得るか、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5もしくは10.0mL未満であり得るか、または多くても0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5もしくは10.0mLであり得る。
抗CGRPアンタゴニスト抗体は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内等)を含むいずれか適した方法を使用して投与することができる。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されている通り、吸入により投与することもできる。一般に、抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与のため、初期候補投薬量は、約2mg/kgであり得る。本開示の目的のため、典型的な一日投薬量は、上に言及されている因子に応じて、3μg/kg〜30μg/kg〜300μg/kg〜3mg/kg〜30mg/kg〜100mg/kgまたはそれ超のいずれかにほぼ及び得る。例えば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kgおよび約25mg/kgの投薬量を使用することができる。数日間またはそれより長くにわたる反復的投与のため、状態に応じて、処置は、症状の所望の抑制が生じるまで、または十分な治療レベルが達成されて、例えば、疼痛が低下するまで持続される。例示的な投薬レジメンは、抗CGRPアンタゴニスト抗体の約2mg/kgの初期用量の投与と、続く約1mg/kgの毎週の維持用量または続く1週間おきの約1mg/kgの維持用量の投与を含む。別の例示的な投薬レジメンは、対象への1ヶ月当たり1回の皮下による100mg、125mg、150mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、675mgまたは900mgの用量の投与を含む。別の例示的な投薬レジメンは、皮下による675mgの初期用量の投与と、続く皮下による抗体の225mgの毎月の用量の投与を含む。しかし、開業医が達成を望む薬物動態減衰のパターンに応じて、他の投薬量レジメンが有用となり得る。例えば、一部の実施形態では、1週間に1〜4回の投薬が企図される。この治療法の進行は、従来の技法およびアッセイによって容易にモニターすることができる。投薬レジメン(使用されるCGRPアンタゴニスト(複数可)を含む)は、経時的に変動し得る。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体の用量は、0.1μg〜3000mg、1mg〜1000mg、100〜1000mgまたは100〜500mgに及び得る。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体の用量は、0.1μg、1μg、100μg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mgもしくは3000mgであり得るか、多くても0.1μg、1μg、100μg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mgもしくは3000mgであり得るか、0.1μg、1μg、100μg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mgもしくは3000mg未満であり得るか、または少なくとも0.1μg、1μg、100μg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mgもしくは3000mgであり得る。
一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体の用量は、0.1〜500、0.1〜100、0.1〜50、0.1〜20または0.1〜10mg/kg体重に及び得る。一部の実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体の用量は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475もしくは500mg/kg体重であり得るか、多くても0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475もしくは500mg/kg体重であり得るか、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475もしくは500mg/kg体重未満であり得るか、または少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475もしくは500mg/kg体重であり得る。
半減期等、経験的考察は、投薬量の決定に寄与することができる。例えば、ヒト化抗体または完全ヒト抗体等、ヒト免疫系と適合性の抗体を使用して、抗体の半減期を延長させ、抗体が宿主の免疫系によって攻撃されるのを防ぐことができる。投与の頻度は、治療法の経過にわたり決定および調整することができ、一般に、ただし必ずしもそうである必要はないが、頭痛(例えば、代謝障害)の処置および/または抑制および/または寛解および/または遅延に基づく。あるいは、抗CGRPアンタゴニスト抗体の持続した連続的放出製剤が適切であり得る。持続放出を達成するための様々な製剤およびデバイスが、当技術分野で公知である。
一実施形態では、抗CGRPアンタゴニスト抗体の投薬量は、抗CGRPアンタゴニスト抗体の1または複数の投与を与えた個体において経験的に決定することができる。個体に、抗CGRPアンタゴニスト抗体の増分投薬量を与える。抗CGRPアンタゴニスト抗体の有効性を評価するために、疾患の指標を追跡することができる。
本開示における方法に従った1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与は、例えば、レシピエントの生理的状態、投与の目的が治療であるか予防であるか、および熟練の開業医にとって公知の他の因子に応じて連続的または断続的であり得る。抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与は、予め選択された期間にわたり基本的に連続的であり得る、あるいは代謝障害(例えば、糖尿病)発症前、その最中またはその後のいずれか;代謝障害発症前;その最中;その前および後;その最中および後;その前および最中;またはその前、最中およびその後に、一連の間隔をあけた用量であり得る。投与は、代謝障害を生じる可能性のあるいずれかの事象の前、その最中および/またはその後であり得る。
一部の実施形態では、2種以上の抗CGRPアンタゴニスト抗体が存在し得る。少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5種の異なるまたはそれを超える抗CGRPアンタゴニスト抗体が存在し得る。一般に、これらの抗CGRPアンタゴニスト抗体は、互いに有害に影響しない相補的な活性を有することができる。抗CGRPアンタゴニスト抗体の非限定例として、ALD403(Alder BioPharmaceuticals製の抗CGRP抗体)、LY2951742(Arteaus Therapeutics製の抗CGRP抗体)または全てこれらの全体が参照により本明細書に組み込まれるPCT特許出願番号WO2012162243、米国特許第8,450,327号、PCT特許出願番号WO2010075238および欧州特許出願番号EP0348490に記載されている抗体を挙げることができる。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、他のCGRPアンタゴニストと併せて使用することもできる。例えば、次のCGRPアンタゴニストのうち1種または複数を使用することができる:CGRPに向けられたアンチセンス分子(CGRPをコードする核酸に向けられたアンチセンス分子を含む)、CGRP阻害性化合物、CGRP構造類似体およびCGRPに結合するCGRP受容体のドミナントネガティブ突然変異。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、薬剤の有効性を増強および/または補完するよう機能する他の薬剤と併せて使用することもできる。
上述の通り、かかる投薬量は、対象、例えばヒト対象に関する臨床治験の結果等、いずれか適した因子(複数可)に基づき決定、修正および/または緻密化することができる。一部の実施形態では、適した投薬量は、適した動物モデルに適した投薬量の決定に基づき、例えば、実験的試験または検査、およびかかる適した動物投薬量の適したヒト投薬量への変換に基づき、例えば、いずれか適した確立された変換因子(複数可)等、適した変換因子(複数可)に基づき、決定、修正および/または緻密化することができる。さらに、例として、いずれかのかかる適したヒト投薬量を、例えば、ヒト対象を含む臨床治験に基づきさらに決定、修正および/または緻密化することができることが企図される。
本開示の組成物は、本開示の活性成分(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)またはその薬学的に許容される塩および/または配位錯体、ならびに不活性固体希釈剤およびフィラー、希釈液、無菌水溶液および様々な有機溶媒、透過促進剤、可溶化剤およびアジュバントが挙げられるがこれらに限定されない、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤、担体を含むことができる。組成物は、1種または複数のサプリメントまたは他の活性成分をさらに含むことができる。組成物は、1種または複数の着色染料をさらに含むことができる。
非限定的な例示的な組成物およびこれを調製するための方法について後述する。一部の実施形態では、本開示は、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体および医薬品賦形剤を含む医薬組成物を提供する。対象への投与に適切な1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物は、例えば、液体形態、ゲル形態、半液体(例えば、ある程度固体を含有する粘稠性の液体等、液体)形態、半固体(ある程度液体を含有する固体)形態および/または固体形態等、いずれか適した形態で提供することができる。単なる例として、錠剤形態、カプセル形態、食物形態、噛み砕ける形態、噛み砕けない形態、緩徐もしくは持続放出形態、非緩徐もしくは非持続放出形態および/またはその他を用いることができる。漸進的放出錠剤は、当技術分野で公知である。かかる錠剤の例は、米国特許第3,456,049号に表記されている。かかる組成物は、能動的であれ受動的であれ、追加的な薬剤(単数または複数)を含むことができる。かかる薬剤の例として、単なる例として、いずれか適した形態における、甘味料、調味料、着色料、充填剤、結合剤、潤滑剤、賦形剤、保存料、製造用薬剤および/またはその他が挙げられるがこれらに限定されない。緩徐または持続放出形態は、例えば、相対的に長い期間等、ある期間にわたり、組成物および/またはその1種もしくは複数の構成成分の崩壊および/または吸収を遅延させることができる。食物形態は、例えば、棒状の食品(food bar)、シリアル製品、ベーカリー製品、乳製品および/またはその他の形態を採ることができる。ベーカリー製品形態は、単なる例として、ベーグルまたはパンそのもの、例えば、ドーナツ、マフィンおよび/またはその他等、パン型製品の形態を採ることができる。1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物の構成成分は、組成物の別の構成成分の形態以外の形態で提供することができる。例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、液体形態の抗代謝障害剤と共に摂取される固形食品またはシリアル等、固体形態で提供することができる。複数の形態における1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物のかかる投与は、同時に、または異なる時点で発生することができる。
一部の実施形態では、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物は、注射に適した固体または液体医薬組成物である。注射に適した本開示の医薬組成物は、それぞれ既定量の活性成分を含有する別々のまたは単位剤形として提示することができる。既定量の活性成分は、粉末または顆粒、ビーズ、水性または非水性液体における溶液または懸濁液、水中油型エマルションまたは油中水型液体エマルションであり得る。対象剤形は、薬局の方法のいずれかにより調製することができる。一部の事例において、本方法は、1種または複数の所望の成分を構成する担体と活性成分を関連させるステップを含むことができる。組成物は、活性成分を液体担体もしくは微粉化固体担体またはその両方と均一かつ密接に混合し、次に必要に応じて、この産物を所望の体裁に成形することにより調製することができる。
水は、一部の化合物の分解を容易にし得るため、本開示は、活性成分(1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体等)を含む無水医薬組成物および剤形をさらに包含する。例えば、薬学技術分野において、経時的な製剤の有効期間または安定性等の特徴を決定するために、長期貯蔵をシミュレートする手段として、水を加えることができる(例えば、5%)。本開示の無水医薬組成物および剤形は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。製造、包装および/または貯蔵中に水分および/または湿度との実質的な接触が予想される場合、本開示の医薬組成物および剤形は、無水にすることができる。無水医薬組成物は、その無水性質が維持されるように調製および貯蔵することができる。したがって、無水組成物は、適した処方キットに含まれ得るように、水への曝露を防止することが公知の材料を使用して包装することができる。適した包装の例として、密封ホイル、プラスチックその他、単位用量容器、ブリスターパックおよびストリップパックが挙げられるがこれらに限定されない。
活性成分(1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体等)は、従来の医薬品配合技法に従って、医薬品担体との密接な混合物において組み合わせることができる。担体は、投与に望まれる調製物の形態に応じて多種多様な形態を採ることができる。経口剤形のための組成物の調製において、通常の医薬品培地のいずれかを担体として用いることができ、その例として、経口液体調製物(懸濁液、溶液およびエリキシル剤等)またはエアロゾルの場合は水、グリコール、油、アルコール、調味料、保存料、着色料その他が挙げられるがこれらに限定されない;または、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈液、造粒剤、潤滑剤、バインダーおよび崩壊剤等の担体は、経口固体調製物の場合に、一部の実施形態では、ラクトースを使用することなく使用することができる。例えば、適した担体は、固体経口調製物による、粉末、カプセル、顆粒および錠剤を含む。必要に応じて、錠剤は、標準水性または非水性技法によりコーティングすることができる。
本医薬組成物および剤形における使用に適したバインダーとして、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたは他のデンプン、ゼラチン、アラビアゴム等の天然および合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガント、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロースならびにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書に開示されている医薬組成物および剤形における使用に適したフィラーの例として、タルク、タルカム、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプンおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
本開示の組成物において崩壊剤を使用して、水性環境に曝露されると崩壊する錠剤を提供することができる。多すぎる崩壊剤は、ボトル内で崩壊し得る錠剤を生じ得る。少なすぎると、崩壊の発生に不十分となる場合があり、よって、剤形からの活性成分(複数可)の放出の速度および程度を変更し得る。よって、活性成分(複数可)の放出を有害に変更するほど少なすぎも多すぎもしない十分な量の崩壊剤を使用して、本明細書に開示されている化合物の剤形を形成することができる。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類および投与様式に基づき変動する可能性があり、当業者には容易に識別可能である。約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤または約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を医薬組成物において使用することができる。本開示の医薬組成物および剤形の形成に使用することができる崩壊剤として、寒天−寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ポビドンk30、クロスポビドン、ポラクリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガムまたはこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
本開示の医薬組成物および剤形の形成に使用することができる潤滑剤として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素付加植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethyl laureate)、寒天またはこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。追加的な潤滑剤は、例えば、シロイド(syloid)シリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾルまたはこれらの混合物を含む。医薬組成物の約1重量パーセント未満の量の潤滑剤を任意選択で添加することができる。
1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物が、経口投与に望まれる場合、その中の組成物は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびこれらの様々な組合せ等の希釈液と共に、様々な甘味料または調味料(例えば、アスパルテーム、糖)、着色物質または色素(例えば、黄色染料)および所望であれば、乳化および/または懸濁化剤と組み合わせることができる。
甘味剤、甘味料または調味料は、食物、飲料または医薬組成物を甘くする物質である。甘味剤は、糖、サッカリンまたは他の低カロリー合成産物(Random House Unabridged Dictionary、第2版より)であり得る。甘味料または調味料の非限定例として、N−(N−(3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロピル)−アルファ−アスパルチル)−L−フェニルアラニン1−メチルエステル(アスパルテーム)、11−オキソ−モグロシドV、アスパルチル−アラニンフェンキルエステル、アブルソシドAメチルエステル、ネオテーム、オスラジン、SC45647、セロビオフルクトース(、ゲンチオビオフルクトース、4,4’,6,6’−テトラクロロ−4,4’,6,6’−テトラデオキシガラクトトレハロース、ブラゼインタンパク質、Pentadiplandra brazzeana、ヒドランゲノール−4’−O−グルコシド、ヒドランゲノール−8−O−ガラクトシド、3,3’−ジデオキシトレハロース、セリゲアインA、ペリアンドリンV、NC174、マビンリンタンパク質、Capparis masaikai、アリターム、シクロカリオシドA、マビリンIIタンパク質、Capparis masaikai、N−(4−シアノフェニル)−N’−(2−カルボキシエチル)ウレア、ステビオールビオシド、アデントール、ペリアンドラズルシンC、ペリアンドラズルシンB、ペリアンドラズルシンA、スウィートレクス、モネリン、Asn(22)−Gln(25)−Asn(26)−A−鎖−Asn(49)−Glu(50)−B−鎖、クルクリン、ロイクロース、ポリポドシドA、ルブソシド、グリチルレチル3−モノグルクロニド、オキシムV、ヘルナンズルシン、フンジテトラオース、ネオシュガー、モグロシドIV、モグロシドV、モグロシドVI、カップリング糖、4−クロロキヌレニン、グルコシルスクロース、6−クロロトリプトファン、レバウジオシドA、ペリラルチン、ヒドランゲノール、パラチニット、リカシン、シクロヘプチルスルファメート、CH401−Na、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、P4000、マルチトール、フィロズルシン、ミラクリンタンパク質、Synsepalum dulcificum、アセスルファム(acetosulfam)またはズルシンが挙げられる。
錠剤は、コーティングされていなくてもよいか、または公知技法によってコーティングされて、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、これにより、より長い期間にわたり持続した作用をもたらしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリル等、時間遅延材料を用いることができる。経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合された硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油培地、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセルとして提示することもできる。
本開示の医薬組成物および剤形の形成に使用することができる界面活性物質として、親水性界面活性物質、親油性界面活性物質およびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。すなわち、親水性界面活性物質の混合物を用いることができるか、親油性界面活性物質の混合物を用いることができるか、または少なくとも1種の親水性界面活性物質および少なくとも1種の親油性界面活性物質の混合物を用いることができる。
適した親水性界面活性物質は、一般に、少なくとも10のHLB値を有することができるが、適した親油性界面活性物質は、一般に、約10のまたはそれ未満のHLB値を有することができる。非イオン性両親媒性化合物の相対的親水性および疎水性の特徴付けに使用される経験的パラメータは、親水性−親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性物質は、より親油性または疎水性であり、油におけるより大きい溶解性を有するが、より高いHLB値を有する界面活性物質は、より親水性であり、水溶液におけるより大きい溶解性を有する。親水性界面活性物質は、一般に、約10よりも大きいHLB値を有する化合物、およびHLBスケールが一般に適用不能なアニオン性、カチオン性または双性イオン化合物であるとみなされる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性物質は、約10に等しいまたはそれ未満のHLB値を有する化合物である。しかし、界面活性物質のHLB値は、工業、医薬品および化粧品エマルションの製剤化を可能にするために一般に使用される単に大雑把な目安である。
親水性界面活性物質は、イオン性または非イオン性のいずれかであり得る。適したイオン性界面活性物質として、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチドおよびポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチドおよびポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンおよび水素付加レシチン;リゾレシチンおよび水素付加リゾレシチン;リン脂質およびその誘導体;リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルサルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルラクチレート;モノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル;サクシニル化モノおよびジグリセリド;モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
上述の群のうち、イオン性界面活性物質は、例として:レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質およびこれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルサルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルラクチレート(acylactylate);モノおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル;サクシニル化モノおよびジグリセリド;モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにこれらの混合物を含む。
イオン性界面活性物質は、電離型のレシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PVP−ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル−2−ラクチレート、ステアロイルラクチレート、サクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル硫酸塩、テラセシル硫酸塩、ドクセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチンならびにこれらの塩および混合物であり得る。
親水性非イオン性界面活性物質として、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテル等、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノール等、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル等、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル等、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリド、植物油、水素付加植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーによるポリオールの親水性エステル転移反応産物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体および類似体;ポリオキシエチル化ビタミンおよびその誘導体;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ならびにこれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ならびにトリグリセリド、植物油および水素付加植物油からなる群の少なくとも1つのメンバーによるポリオールの親水性エステル転移反応産物を挙げることができるがこれらに限定されない。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトールまたはサッカライドであり得る。
他の親水性非イオン性界面活性物質は、PEG−10ラウリン酸塩、PEG−12ラウリン酸塩、PEG−20ラウリン酸塩、PEG−32ラウリン酸塩、PEG−32ジラウリン酸塩、PEG−12オレイン酸塩、PEG−15オレイン酸塩、PEG−20オレイン酸塩、PEG−20ジオレイン酸塩、PEG−32オレイン酸塩、PEG−200オレイン酸塩、PEG−400オレイン酸塩、PEG−15ステアリン酸塩、PEG−32ジステアリン酸塩、PEG−40ステアリン酸塩、PEG−100ステアリン酸塩、PEG−20ジラウリン酸塩、PEG−25グリセリルトリオレイン酸塩、PEG−32ジオレイン酸塩、PEG−20グリセリルラウリン酸塩、PEG−30グリセリルラウリン酸塩、PEG−20グリセリルステアリン酸塩、PEG−20グリセリルオレイン酸塩、PEG−30グリセリルオレイン酸塩、PEG−30グリセリルラウリン酸塩、PEG−40グリセリルラウリン酸塩、PEG−40パーム核油、PEG−50水素付加ヒマシ油、PEG−40ヒマシ油、PEG−35ヒマシ油、PEG−60ヒマシ油、PEG−40水素付加ヒマシ油、PEG−60水素付加ヒマシ油、PEG−60トウモロコシ油、PEG−6カプリン酸塩/カプリル酸塩グリセリド、PEG−8カプリン酸塩/カプリル酸塩グリセリド、ポリグリセリル−10ラウリン酸塩、PEG−30コレステロール、PEG−25フィトステロール、PEG−30大豆ステロール、PEG−20トリオレイン酸塩、PEG−40ソルビタンオレイン酸塩、PEG−80ソルビタンラウリン酸塩、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE−9ラウリルエーテル、POE−23ラウリルエーテル、POE−10オレイルエーテル、POE−20オレイルエーテル、POE−20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG−100コハク酸塩、PEG−24コレステロール、ポリグリセリル−10オレイン酸塩、Tween40、Tween60、スクロースモノステアリン酸塩、スクロースモノラウリン酸塩、スクロースモノパルミチン酸塩、PEG10−100ノニルフェノールシリーズ、PEG15−100オクチルフェノールシリーズおよびポロクサマーを限定することなく含む。
適した親油性界面活性物質は、単なる一例として:脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロールおよびステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノおよびジグリセリドの乳酸誘導体;グリセリド、植物油、水素付加植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーによるポリオールの疎水性エステル転移反応産物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;ならびにこれらの混合物を含む。この群のうち、好ましい親油性界面活性物質は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびこれらの混合物を含む、または植物油、水素付加植物油およびトリグリセリドからなる群の少なくとも1つのメンバーによるポリオールの疎水性エステル転移反応産物である。
一実施形態では、組成物は、可溶化剤を含んで、本開示の化合物の十分な可溶化および/または溶解を確実にし、本開示の化合物の沈殿を最小化することができる。これは、非経口使用のための組成物、例えば、注射のための組成物に特に有益となり得る。可溶化剤を添加して、界面活性物質等、親水性薬物および/もしくは他の構成成分の溶解性を増加させる、または安定的もしくは均質な溶液もしくは分散として組成物を維持することもできる。
適した可溶化剤の例として、次のものが挙げられるがこれらに限定されない:エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびその異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体等、アルコールおよびポリオール;テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)またはメトキシPEG等、約200〜約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル;2−ピロリドン、2−ピペリドン、ε−カプロラクタム、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミドおよびポリビニルピロリドン等、アミドおよび他の窒素含有化合物;プロピオン酸エチル、クエン酸塩、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε−カプロラクトンおよびその異性体、δ−バレロラクトンおよびその異性体、β−ブチロラクトンおよびその異性体等、エステル;ならびにジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N−メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび水等、当技術分野で公知の他の可溶化剤。
可溶化剤の混合物を使用することもできる。例として、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200−100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコールおよびジメチルイソソルビドが挙げられるがこれらに限定されない。他の例示的な可溶化剤は、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG−400、グリコフロールおよびプロピレングリコールを含む。
含まれ得る可溶化剤の量は、特に限定されない。所与の可溶化剤の量は、当業者によって容易に決定することができる生体許容できる量に限定することができる。一部の状況では、例えば、蒸留または蒸発等の従来の技法を使用して、対象に組成物を与える前に過剰な可溶化剤を除去しつつ、薬物の濃度を最大化するために、生体許容できる量をはるかに超過した可溶化剤の量を含むことが有利であり得る。よって、存在する場合、可溶化剤は、薬物および他の賦形剤の組み合わされた重量に対して、重量で10%、25%、50%、100%または最大約200%の重量比であり得る。必要に応じて、5%、2%、1%またはさらにより少ない等、ごく少量の可溶化剤を使用することもできる。典型的には、可溶化剤は、重量で約1%〜約100%、より典型的には、約5%〜約25%の量で存在することができる。
組成物は、1種または複数の薬学的に許容される添加物および賦形剤をさらに含むことができる。かかる添加物および賦形剤は、粘着除去剤(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、保存料、キレート剤、粘性調節剤、浸透圧調節剤、香味料、着色剤、匂い物質、乳白剤、懸濁化剤、バインダー、フィラー、可塑剤、潤滑剤およびこれらの混合物を限定することなく含む。
加えて、加工を容易にするため、安定性を増強するため、または他の理由のため、酸または塩基を組成物に取り込むことができる。薬学的に許容される塩基の例として、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)その他が挙げられる。酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸その他等、薬学的に許容される酸の塩である塩基も適している。リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウム等、多塩基酸の塩を使用することもできる。塩基が塩である場合、カチオンは、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属その他等、いずれか簡便かつ薬学的に許容されるカチオンであり得る。例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムを挙げることができるがこれらに限定されない。
適した酸は、薬学的に許容される有機または無機酸である。使用することができる適した無機酸の例として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸その他が挙げられる。適した有機酸の例として、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸その他が挙げられる。
生理食塩水における水溶液も従来から注射のために使用されている。例として、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールその他(およびこれらの適した混合物)、シクロデキストリン誘導体が挙げられ、植物油を用いることもできる。分散の場合は要求される粒子サイズの維持のために、例えば、レシチン等、コーティングの使用により、また、界面活性物質の使用により、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールその他によってもたらすことができる。
無菌注射用溶液は、必要に応じて、上に列挙されている様々な他の成分を有する適切な溶媒において要求される量の本開示の化合物を取り込み、続いて濾過滅菌することにより調製される。一般に、分散は、基本分散媒および上に列挙されているもののうち要求される他の成分を含有する無菌媒体へと様々な滅菌した活性成分を取り込むことにより調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、ある特定の望ましい調製方法は、事前に滅菌濾過したその溶液から活性成分プラスいずれか追加的な所望の成分の粉末を生じる、真空乾燥およびフリーズドライ技法である。
吸入またはガス注入のための組成物は、薬学的に許容される、水性もしくは有機溶媒またはこれらの混合物における溶液および懸濁液ならびに粉末を含む。液体または固体組成物は、上記参照の通りの適した薬学的に許容される賦形剤を含有することができる。組成物は、局所的または全身性効果のための経口または鼻呼吸経路により投与することができる。薬学的に許容される溶媒における組成物は、不活性ガスの使用により噴霧することができる。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接的に吸入することができるか、または噴霧デバイスは、フェイスマスクテントもしくは断続的陽圧呼吸機械に取り付けることができる。溶液、懸濁液または粉末組成物は、適切な様式で製剤を送達するデバイスから好ましくは、経口または経鼻投与することができる。
医薬組成物は、本明細書に記載されている組成物、および舌下、頬側、直腸、骨内、眼内、鼻腔内、硬膜外または脊髄内投与に適した1種または複数の薬学的に許容される賦形剤から調製することもできる。かかる医薬組成物の調製は、当技術分野で周知である。例えば、全てこれらの全体が参照により本明細書に組み込まれるAnderson, Philip O.;Knoben, James E.;Troutman, William G編、Handbook of Clinical Drug Data、第10版、McGraw−Hill、2002年;PrattおよびTaylor編、Principles of Drug Action、第3版、Churchill Livingston、New York、1990年;Katzung編、Basic and Clinical Pharmacology、第9版、McGraw Hill、20037ybg;GoodmanおよびGilman編、The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、McGraw Hill、2001年;Remingtons Pharmaceutical Sciences、第20版、Lippincott Williams & Wilkins.、2000年;Martindale、The Extra Pharmacopoeia、第32版(The Pharmaceutical Press、London、1999年)を参照されたい。
1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含有するリポソームは、Epsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82巻:3688頁(1985年);Hwangら、Proc. Natl Acad. Sci. USA 77巻:4030頁(1980年);ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されている方法等、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。増強された循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物による逆相蒸発方法により、特に有用なリポソームを作製することができる。リポソームが、既定のポアサイズのフィルターを通して押し出されて、所望の直径を有するリポソームを生じる。
活性成分は、例えば、コアセルベーション技法または界面重合により調製されたマイクロカプセルに封入することもできる、例えば、それぞれコロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルションにおける、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリル酸(methylmethacylate))マイクロカプセル。かかる技法は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy 第20版、Mack Publishing(2000年)に開示されている。
キット
キット
本開示は、本方法における使用のためのキットも提供する。本開示のキットは、本明細書に記載されている1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体(ヒト化抗体等)またはポリペプチドを含む1個または複数の容器と、本明細書に記載されている本開示の方法のいずれかに従った使用のための説明書とを含む。一般に、このような説明書は、本明細書に記載されている方法のいずれかに従って代謝障害または代謝障害に関連する状態(糖尿病等)を処置、寛解または予防するための、1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与に関する記載を含む。キットは、個体が代謝障害を有するかまたは個体に代謝障害を有するリスクがあるかを同定することに基づく、処置に適した個体の選択に関する記載をさらに含むことができる。さらに他の実施形態では、説明書は、代謝障害(糖尿病等)を有するリスクがある個体への抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与に関する記載を含む。
一部の実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。一部の実施形態では、抗体は、ヒトである。一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では。一部の実施形態では、抗体は、抗体G1の1個または複数のCDR(G1由来の1、2、3、4、5個または一部の実施形態では、全6個のCDR等)を含む。
抗CGRPアンタゴニスト抗体の使用に関する説明書は、典型的に、意図される処置の投薬量、投薬スケジュールおよび投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルク包装(例えば、複数用量包装)またはサブユニット用量であり得る。本開示のキットに供給される説明書は、典型的に、ラベルまたは添付文書における書面の説明書である(例えば、キットに含まれる紙のシート)が、機械可読説明書(例えば、磁気または光学記憶ディスクに持ち込まれた説明書)も許容される。
一部の実施形態では、ラベルまたは添付文書は、組成物が、代謝障害(糖尿病等)の処置、寛解および/または予防に使用されることを示す。説明書は、本明細書に記載されている方法のいずれかを実施するために提供することができる。
一部の例において、キットは、当技術分野で公知のまたは本明細書に提供されている1種または複数の抗代謝障害剤または抗糖尿病剤等、1種または複数の追加的な治療剤を含む。よって、キットは、HMG−CoA阻害剤(またはスタチン)、ビグアナイド、スルホニルウレア(sufonylurea)、チアゾリジンジオン、メグリチニド、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害剤、レパグリニド、ナテグリニド、DPP−IV阻害剤、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチンまたはインスリンおよびインスリン類似体のうち1種または複数(1、2、3、4または5種等)を含むことができる。他の例示的な追加的な抗代謝障害剤または抗糖尿病剤は、上に提示されている。かかる追加的な治療剤は、抗CGRPアンタゴニスト抗体と同じまたは別々の容器に入れてよい。
一部の例において、キットは、当技術分野で公知のまたは本明細書に提供されている1種または複数の抗代謝障害剤または抗糖尿病剤等、1種または複数の追加的な治療剤を含む。よって、キットは、HMG−CoA阻害剤(またはスタチン)、ビグアナイド、スルホニルウレア(sufonylurea)、チアゾリジンジオン、メグリチニド、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害剤、レパグリニド、ナテグリニド、DPP−IV阻害剤、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチンまたはインスリンおよびインスリン類似体のうち1種または複数(1、2、3、4または5種等)を含むことができる。他の例示的な追加的な抗代謝障害剤または抗糖尿病剤は、上に提示されている。かかる追加的な治療剤は、抗CGRPアンタゴニスト抗体と同じまたは別々の容器に入れてよい。
本開示のキットは、典型的に、適した包装中に存在する。適した包装として、バイアル、ボトル、ジャー、フレキシブルな包装(例えば、封着されたMylarまたはプラスチック袋)その他が挙げられるがこれらに限定されない。インヘラー、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザ)またはミニポンプ等の注入デバイス等、特定のデバイスと組み合わせた使用のための包装も企図される。キットは、無菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、皮下組織注射針によって貫通可能なストッパを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。容器は、無菌アクセスポートを有することもできる(例えば、容器は、皮下組織注射針によって貫通可能なストッパを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。一部の実施形態では、組成物における少なくとも1種の活性薬剤は、抗CGRPアンタゴニスト抗体である。容器は、第2の薬学的活性薬剤または治療剤をさらに含むことができる。
キットは、バッファーおよび解釈的な情報等、追加的な構成成分を任意選択で提供することができる。通常、キットは、容器と、該容器に貼り付けたまたは結び付けたラベルまたは添付文書(複数可)を含む。
(実施例1)
CGRPに対するモノクローナル抗体の作製および特徴付け
抗CGRP抗体の作製。ラットおよびヒトCGRPに対し異種間反応性を有する抗CGRP抗体を作製するために、アジュバントにおけるKLHにコンジュゲートされた25〜100μgのヒトα−CGRPまたはβ−CGRPでマウスを様々な間隔で免疫化した(足蹠当たり50μl、マウス当たり合計100μl)。免疫化は、一般に、Geerligsら、1989年、J. Immunol. Methods 124巻:95〜102頁;Kenneyら、1989年、J. Immunol. Methods 121巻:157〜166頁;およびWicherら、1989年、Int. Arch. Allergy Appl. Immunol.89巻:128〜135頁に記載されている通りに行った。マウスはまず、CFA(完全フロイントアジュバント)におけるKLHにコンジュゲートされた50μgのヒトα−CGRPまたはβ−CGRPで免疫化した。21日後に、マウスを第2に、IFA(不完全フロイントアジュバント)におけるKLHにコンジュゲートされた25μgのヒトβ−CGRP(ヒトα−CGRPでまず免疫化したマウスのため)またはα−CGRP(ヒトβ−CGRPでまず免疫化したマウスのため)で免疫化した。第2の免疫化から23日後に、IFAにおけるKLHにコンジュゲートされた25μgのラットα−CGRPにより第3の免疫化を行った。10日後に、ELISAを使用して抗体価を検査した。第3の免疫化から34日後に、IFAにおける25μgのペプチド(ラットα−CGRP−KLH)により第4の免疫化を行った。第4の(forth)免疫化から32日後に、100μg可溶性ペプチド(ラットα−CGRP)により最終ブースターを行った。
CGRPに対するモノクローナル抗体の作製および特徴付け
抗CGRP抗体の作製。ラットおよびヒトCGRPに対し異種間反応性を有する抗CGRP抗体を作製するために、アジュバントにおけるKLHにコンジュゲートされた25〜100μgのヒトα−CGRPまたはβ−CGRPでマウスを様々な間隔で免疫化した(足蹠当たり50μl、マウス当たり合計100μl)。免疫化は、一般に、Geerligsら、1989年、J. Immunol. Methods 124巻:95〜102頁;Kenneyら、1989年、J. Immunol. Methods 121巻:157〜166頁;およびWicherら、1989年、Int. Arch. Allergy Appl. Immunol.89巻:128〜135頁に記載されている通りに行った。マウスはまず、CFA(完全フロイントアジュバント)におけるKLHにコンジュゲートされた50μgのヒトα−CGRPまたはβ−CGRPで免疫化した。21日後に、マウスを第2に、IFA(不完全フロイントアジュバント)におけるKLHにコンジュゲートされた25μgのヒトβ−CGRP(ヒトα−CGRPでまず免疫化したマウスのため)またはα−CGRP(ヒトβ−CGRPでまず免疫化したマウスのため)で免疫化した。第2の免疫化から23日後に、IFAにおけるKLHにコンジュゲートされた25μgのラットα−CGRPにより第3の免疫化を行った。10日後に、ELISAを使用して抗体価を検査した。第3の免疫化から34日後に、IFAにおける25μgのペプチド(ラットα−CGRP−KLH)により第4の免疫化を行った。第4の(forth)免疫化から32日後に、100μg可溶性ペプチド(ラットα−CGRP)により最終ブースターを行った。
免疫化マウスから脾細胞を得て、ポリエチレングリコール1500により、10:1の比でNSOミエローマ細胞と融合させた。96ウェルプレート内の20%ウマ血清および2−オキサロ酢酸塩/ピルビン酸塩/インスリン(Sigma)を含有するDMEMにハイブリッドを蒔き、ヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン選択を始めた。8日目に、20%ウマ血清を含有する100μlのDMEMを全ウェルに添加した。抗体捕捉イムノアッセイを使用することにより、ハイブリッドの上清をスクリーニングした。クラス特異的な第2の抗体により、抗体クラスの決定を行った。
さらなる特徴付けのために、ヒトおよびラットCGRPへのその結合に基づきモノクローナル抗体産生細胞株のパネルを選択した。これらの抗体および特徴を下表2および3に示す。
精製およびFab断片調製。さらなる特徴付けのために選択されたモノクローナル抗体を、プロテインA親和性クロマトグラフィーを使用してハイブリドーマ培養物の上清から精製した。上清をpH8に平衡化した。次に、上清を、pH8となるようPBSで平衡化したプロテインAカラムMabSelect(Amersham Biosciences#17−5199−02)にロードした。5カラム容量のPBS、pH8でカラムを洗浄した。50mMクエン酸塩−リン酸塩バッファー、pH3で抗体を溶出させた。溶出された抗体を1Mリン酸塩バッファー、pH8で中和した。精製された抗体をPBS、pH7.4で透析した。マウスモノクローナル抗体標準曲線を使用して、SDS−PAGEにより抗体濃度を決定した。
Immunopure Fabキット(Pierce#44885)を使用して、完全抗体のパパインタンパク質分解によりFabを調製し、製造業者の説明書に従ったプロテインAクロマトグラフィーのフロースルーにより精製した。公知濃度(アミノ酸解析により決定)の標準Fabを使用したELISAおよび/またはSDS−PAGE電気泳動により、また、1OD=0.6mg/ml(またはアミノ酸配列に基づく理論上の当量)を使用したA280により濃度を決定した。
Fabの親和性決定。製造業者独自のランニングバッファー、HBS−EP(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%v/vポリソルベートP20)によるBiacore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム(Biacore,INC、Piscataway NJ)を使用して、25℃または37℃のいずれかで抗CGRPモノクローナル抗体の親和性を決定した。SAチップに予め固定化されたストレプトアビジンを介して、N末端ビオチン化CGRPペプチド(GenScript Corporation、New JerseyまたはGlobal Peptide Services、Coloradoから特注)を捕捉し、CGRP表面にわたって力価決定された抗体Fabの結合動態を測定することにより親和性を決定した。ビオチン化CGRPをHBS−EPに希釈し、0.001mg/ml未満の濃度でチップ上に注射した。個々のチップチャネルにわたる可変的な流動時間を使用して、抗原密度の2種の範囲を達成した:詳細な動態研究のための<50応答単位(RU)ならびに濃度試験およびスクリーニングのための約800RU。典型的には、1μM〜0.1nM(0.1〜10×推定KDを目標とする)に及ぶ濃度の精製Fab断片の2または3倍系列希釈を100μL/分で1分間注射し、10分間の解離時間を置いた。各結合サイクル後に、25%v/vエタノール中25mM NaOHで表面を再生し、これは、数百サイクルにわたって耐容性を示した。BIAevaluationプログラムを使用してデータを1:1ラングミュア結合モデル(Karlsson, R. Roos, H. Fagerstam, L. Petersson, B.(1994年)Methods Enzymology 6巻99〜110頁)に適合させることにより、動態学的会合速度(kon)および解離速度(koff)を同時に得た。比KD=koff/konから網羅的平衡解離定数(KD)または「親和性」を計算した。マウスFab断片の親和性を表2および3に示す。
マウス抗CGRP抗体のエピトープマッピング。ヒトα−CGRPにおける抗CGRP抗体が結合するエピトープを決定するために、SAセンサーチップにおいてN末端ビオチン化CGRP断片アミノ酸19〜37およびアミノ酸25〜37を捕捉することにより、上述の通り様々なCGRP断片に対するFab断片の結合親和性を測定した。図1は、25℃で測定されたその結合親和性を示す。図1に示す通り、抗体4901を除く全抗体が、全長ヒトα−CGRP(1〜37)に対するその結合親和性と同様の親和性で、ヒトα−CGRP断片19〜37および25〜37に結合する。抗体4901は、主にオフレートの損失のために、全長ヒトα−CGRP断片への結合よりも6倍低い親和性で、ヒトα−CGRP断片25〜37に結合する。データは、これらの抗CGRP抗体が一般に、CGRPのC末端に結合することを示す。
アラニンスキャニングを行って、抗CGRP抗体の結合に関与するヒトα−CGRPにおけるアミノ酸をさらに特徴付けた。単一のアラニン置換によるヒトα−CGRPの異なるバリアントをペプチド合成により作製した。そのアミノ酸配列を、Biacore解析に使用したあらゆる他のペプチドと共に表4に示す。上述の通りにBiacoreを使用して、これらのバリアントに対する抗CGRP抗体のFab断片の親和性を決定した。図1に示す通り、全12抗体は、C末端エピトープを標的とし、アミノ酸F37が、最も重大な残基である。F37からアラニンへの突然変異は、親和性を有意に低下させたか、またはさらにはペプチドへの抗CGRP抗体の結合を完全にノックアウトした。その次に重要なアミノ酸残基は、G33であるが、高親和性抗体(7E9、8B6、10A8および7D11)のみが、この位置におけるアラニン置き換えによって影響された。アミノ酸残基S34も、これら4種の高親和性抗体の結合において有意だがより重要性の低い役割を果たす。
(実施例2)
in vitroアッセイを使用した抗CGRPアンタゴニスト抗体のスクリーニング
in vitroアッセイを使用した抗CGRPアンタゴニスト抗体のスクリーニング
細胞に基づくcAMP活性化アッセイおよび結合アッセイを使用して、in vitroでアンタゴニスト活性に関してマウス抗CGRP抗体をさらにスクリーニングした。
cAMPアッセイによって測定されるアンタゴニスト活性。抗CGRP抗体(最終濃度1〜3000nM)の存在もしくは非存在下における5マイクロリットルのヒトもしくはラットα−CGRP(最終濃度50nM)、またはラットα−CGRPもしくはヒトα−CGRP(最終濃度0.1nM〜10μM;c−AMP活性化の陽性対照として)を384ウェルプレート(Nunc、Cat.No.264657)に分注した。刺激バッファー(20mM HEPES、pH7.4、146mM NaCl、5mM KCl、1mM CaCl2、1mM MgCl2および500uM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX))における10マイクロリットルの細胞(ヒトα−CGRPが使用される場合はヒトSK−N−MC、またはラットα−CGRPが使用される場合はATCC由来のラットL6)をプレートのウェルに加えた。このプレートを室温で30分間インキュベートした。
インキュベーション後に、製造業者の説明書に従ってHitHunter(商標)Enzyme Fragment Complementation Assay(Applied Biosystems)を使用してcAMP活性化を行った。アッセイは、酵素アクセプター(EA)および酵素ドナー(ED)と称される2種の断片からなる遺伝子操作されたβ−ガラクトシダーゼ酵素に基づく。この2種の断片が分離されると、酵素は不活性となる。これらの断片は、共に存在すると、補完と呼ばれる過程により、活性酵素を形成するように自発的に組み換えることができる。EFCアッセイプラットフォームは、抗cAMPによってcAMPが認識されるED−cAMPペプチドコンジュゲートを利用する。このED断片は、EAと再会合して、活性酵素を形成することができる。このアッセイにおいて、抗cAMP抗体は、ED−cAMPコンジュゲートに結合し、酵素形成を阻害するために最適に力価決定される。細胞溶解物試料におけるcAMPのレベルは、抗cAMP抗体への結合に関してED−cAMPコンジュゲートと競合する。アッセイにおける遊離EDコンジュゲートの量は、cAMPの濃度と比例する。したがって、cAMPは、β−ガラクトシダーゼルミネセンス基質のターンオーバーによって定量化される活性酵素の形成により測定される。10μlの溶解バッファーおよび抗cAMP抗体(1:1比)を添加し、続いて室温で60分間インキュベーションすることにより、cAMP活性化アッセイを行った。次に、10μlのED−cAMP試薬を各ウェルに添加し、60分間室温でインキュベートした。インキュベーション後に、20μlのEA試薬およびCL混合物(基質を含有)(1:1比)を各ウェルに添加し、1〜3時間または一晩室温でインキュベートした。PMT機器において1秒間/ウェルでまたは撮像装置において30秒間/プレートでプレートを読み取った。上表2および3において、α−CGRPによってcAMPの活性化を阻害する抗体を同定した(「あり」と称される)。表2および3におけるデータは、アッセイにおいてアンタゴニスト活性を実証した抗体が、全般的に高い親和性を有することを示す。例えば、ヒトα−CGRPに対し約80nMもしくはそれ未満のKD(25℃で決定)を有するまたはラットα−CGRPに対し約47nMもしくはそれ未満のKD(37℃で決定)を有する抗体は、このアッセイにおいてアンタゴニスト活性を示した。
放射性リガンド結合アッセイ。結合アッセイを行って、以前に記載されている通りに、CGRPが受容体に結合するのを遮断する抗CGRP抗体のIC50を測定した。Zimmermannら、Peptides 16巻:421〜4頁、1995年;Malleeら、J. Biol. Chem.277巻:14294〜8頁、2002年。総容量1mLにおいて10pM 125I−ヒトα−CGRPを含有するインキュベーションバッファー(50mM Tris−HCL、pH7.4、5mM MgCL2、0.1%BSA)において90分間室温で、SK−N−MC細胞由来の膜(25μg)をインキュベートした。阻害濃度(IC50)を決定するために、約100倍高いストック溶液から、抗体または非標識CGRP(対照として)を変動濃度でインキュベーションバッファーにおいて溶解し、膜および10pM 125I−ヒトα−CGRPと同時にインキュベートした。0.5%ポリエチレンイミン(polyethylemimine)によりブロッキングされたガラスマイクロファイバーフィルター(GF/B、1μm)を通した濾過により、インキュベーションを終了させた。用量応答曲線をプロットし、方程式:Ki=IC50/(1+([リガンド]/KD)(式中、SK−N−MC細胞に存在するCGRP1受容体に対するヒトα−CGRPの平衡解離定数KD=8pM、Bmax=0.025pmol/mgタンパク質)を使用してKi値を決定した。報告されたIC50値(IgG分子に関して)を結合部位に変換することにより(これに2を掛けることにより)、Biacoreによって決定される親和性(KD)と比較することができた(表2を参照)。
表2は、マウス抗体7E9、8B6、6H2および4901のIC50を示す。データは、抗体親和性が全般的にIC50と相関することを示す:より高い親和性(より低いKD値)を有する抗体は、放射性リガンド結合アッセイにおいてより低いIC50を有する。
(実施例3)
ラット伏在神経の刺激によって誘導される皮膚血管拡張における抗CGRPアンタゴニスト抗体の効果
(実施例3)
ラット伏在神経の刺激によって誘導される皮膚血管拡張における抗CGRPアンタゴニスト抗体の効果
抗CGRP抗体のアンタゴニスト活性を検査するために、以前に記載されたラットモデルを使用して、ラット伏在神経の刺激による皮膚血管拡張における抗体の効果を検査した。Escottら、Br. J. Pharmacol.110巻:772〜776頁、1993年。このラットモデルにおいて、伏在神経の電気的刺激は、神経終末からのCGRPの放出を誘導し、皮膚血流量の増加をもたらす。雄スプラーグドーリー(Sprague Dwaley)ラット(170〜300g、Charles River Hollister製)の足の皮膚における血流量を伏在神経刺激後に測定した。2%イソフルランによる麻酔下にラットを維持した。ブレチリウムトシレート(30mg/kg、i.v.投与)を実験の初めに与えて、伏在神経の交感神経線維の随伴性の刺激による血管収縮を最小化した。温度制御された加温パッドにサーモスタット接続された直腸探索子の使用により、37℃に体温を維持した。抗体、陽性対照(CGRP8−37)および媒体(PBS、0.01%Tween20)を含む化合物を、図3に示す実験を除いて、右大腿静脈を介して静脈内に与え、尾静脈を介して被験化合物および対照を注射し、図2Aおよび2Bに示す実験のため、抗体4901および7D11を腹腔内(IP)注射した。陽性対照化合物CGRP8−37(血管拡張アンタゴニスト)は、その短い半減期のため、400nmol/kg(200μl)で神経刺激の3〜5分前に与えた。Tanら、Clin. Sci.89巻:656〜73頁、1995年。異なる用量で抗体を与えた(1mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kgおよび25mg/kg)。
図2Aおよび2Bに示す実験のため、抗体4901(25mg/kg)、抗体7D11(25mg/kg)または媒体対照(0.01%Tween20含有PBS)を、電気パルス刺激の72時間前に腹腔内(IP)投与した。図3に示す実験のため、抗体4901(1mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kgまたは25mg/kg)または媒体対照(0.01%Tween20含有PBS)を、電気パルス刺激の24時間前に静脈内投与した。抗体または媒体対照の投与後に、右後肢の伏在神経を外科的に露出させ、近位にカットし、プラスチックラップで覆って乾燥を防いだ。伏在神経によって神経支配された領域である、後足皮膚の背側正中側の上にレーザードプラ探索子を置いた。血球細胞フラックスとして測定される皮膚血流量を、レーザードプラ流量計によりモニターした。安定的なベースラインフラックス(5%未満の変動)が、少なくとも5分間確立されたら、白金双極電極上に神経を置き、60パルス(2Hz、10V、1msを30秒間)で電気的に刺激し、次に20分後に再度行った。皮膚血流量の累積的変化は、電気パルス刺激に対するフラックス応答毎のフラックス−時間曲線下面積(AUC、時間変化を乗じたフラックス変化に等しい)によって推定された。2回の刺激に対する血流応答の平均をとった。1〜3時間の期間、動物を麻酔下に維持した。
図2Aおよび図2Bに示す通り、伏在神経における電子パルスの印加によって刺激される血流増加は、対照と比較して、CGRP8−37(400nmol/kg、i.v.投与)、抗体4901(25mg/kg、ip投与)または抗体7D11(25mg/kg、ip投与)の存在によって阻害された。CGRP8−37は、伏在神経刺激の3〜5分前に投与した;抗体は、伏在神経刺激の72時間前に投与した。図3に示す通り、伏在神経における電子パルスの印加によって刺激された血流増加は、伏在神経刺激の24時間前に静脈内投与された異なる用量(1mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kgおよび25mg/kg)の抗体4901の存在によって阻害された。
図4Aおよび4Bに示す実験のため、抗体投与前に伏在神経を外科的に露出させた。右後肢の伏在神経を外科的に露出させ、近位にカットし、プラスチックラップで覆って乾燥を防いだ。伏在神経によって神経支配された領域である、後足皮膚の背側正中側の上にレーザードプラ探索子を置いた。レーザードプラ流量計により、血球細胞フラックスとして測定される皮膚血流量をモニターした。ブレチリウムトシレート注射の30〜45分後に、安定的なベースラインフラックス(5%未満の変動)が少なくとも5分間確立されたら、白金双極電極の上に神経を置き、電気的に刺激し(2Hz、10V、1msを30秒間)、20分後に再度行った。これら2回の刺激に対する血流フラックス応答の平均を使用して、電気的刺激に対するベースライン応答(0時)を確立した。次に、抗体4901(1mg/kgまたは10mg/kg)、抗体7E9(10mg/kg)、抗体8B6(10mg/kg)または媒体(0.01%Tween20含有PBS)を静脈内(i.v.)投与した。神経をその後、抗体または媒体投与の30分、60分、90分および120分後に刺激した(2Hz、10V、1msを30秒間)。およそ3時間の期間、動物を麻酔下に維持した。皮膚血流量の累積的変化は、電気パルス刺激に対するフラックス応答毎のフラックス−時間曲線下面積(AUC、時間変化を乗じたフラックス変化に等しい)によって推定された。
図4Aに示す通り、抗体投与の60分、90分および120分後に電子パルス刺激が印加されると、伏在神経における電子パルスの印加によって刺激される血流増加は、i.v.投与された抗体4901、1mg/kgの存在によって有意に阻害され、抗体投与の30分、60分、90分および120分後に電子パルス刺激が印加されると、伏在神経における電子パルスの印加によって刺激される血流増加は、i.v.投与された抗体4901、10mg/kgの存在によって有意に阻害された。図4Bは、抗体投与の30分、60分、90分および120分後に電子パルス刺激が印加されると、伏在神経における電子パルスの印加によって刺激される血流増加が、抗体7E9(10mg/kg、i.v.投与)の存在によって有意に阻害され、抗体投与の30分後に電子パルス刺激が印加されると、抗体8B6(10mg/kg、i.v.投与)の存在によって有意に阻害されたことを示す。
これらのデータは、抗体4901、7E9、7D11および8B6が、ラット伏在神経の刺激によって誘導される皮膚血管拡張によって測定されるCGRP活性の遮断において有効であることを示す。
(実施例4)
抗CGRP抗体G1およびそのバリアントの特徴付け
(実施例4)
抗CGRP抗体G1およびそのバリアントの特徴付け
抗CGRP抗体G1の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を図5に示す。抗体G1およびそのバリアントの発現および特徴付けのために次の方法を使用した。
使用した発現ベクター。抗体のFab断片の発現は、Barbas(2001年)Phage display: a laboratory manual、Cold Spring Harbor、NY、Cold Spring Harbor Laboratory Press pg 2.10. Vector pComb3X)に記載されているものと同様のIPTG誘導性lacZプロモーターの制御下に置かれたが、修飾は、次の追加的なドメインの付加および発現を含んだ:IgG2ヒト免疫グロブリンのヒトカッパー軽鎖定常ドメインおよびCH1定常ドメイン、Igガンマ−2鎖C領域、タンパク質受託番号P01859;免疫グロブリンカッパー軽鎖(homosapiens)、タンパク質受託番号CAA09181。
小規模Fab調製。Fabライブラリーにより形質転換された(エレクトロポレーションコンピテントなTG1細胞または化学的にコンピテントなTop10細胞のいずれかを使用して)E.coliから、単一のコロニーを使用して、マスタープレート(寒天LB+カルベニシリン(50ug/mL)+2%グルコース)および作業プレート(2mL/ウェル、96ウェル/プレート)の両方に接種し、各ウェルは、1.5mL LB+カルベニシリン(50ug/mL)+2%グルコースを含有した。ガス透過性接着シール(ABgene、Surrey、UK)をプレートに貼った。両方のプレートを30℃で12〜16時間インキュベートした;作業プレートを激しく振盪した。マスタープレートを必要になるまで4℃で貯蔵する一方、作業プレート由来の細胞をペレット化し(4000rpm、4℃、20分間)、1.0mL LB+カルベニシリン(50ug/mL)+0.5mM IPTGに再懸濁して、5時間30℃の激しい振盪によりFabの発現を誘導した。誘導された細胞を4000rpm、4℃で20分間遠心分離し、0.6mL Biacore HB−SEPバッファー(10mM Hepes pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%v/v P20)に再懸濁した。HB−SEPに再懸濁した細胞の溶解は、凍結(−80℃)し、続いて37℃で解凍することにより達成された。細胞溶解物を4000rpm、4℃で1時間遠心分離して、Fab含有上清からデブリを分離し、これをその後、Millipore MultiScreen Assay System 96−Well Filtration Plateおよび真空マニフォールドを使用して濾過した(0.2um)。Biacoreを使用して、センサーチップ上のCGRPにわたって注射することにより、濾過した上清を解析した。Fabを発現する親和性選択されたクローンをマスタープレートからレスキューし、これは、PCR、配列決定およびプラスミド調製のための鋳型DNAをもたらした。
大規模Fab調製。動態学的パラメータを得るために、次の通りに、より大きな規模でFabを発現させた。150mL LB+カルベニシリン(50ug/mL)+2%グルコースを含有するエルレンマイヤーフラスコに、親和性選択されたFab発現E.coliクローン由来の1mLの「スターター」一晩培養物を接種した。スターター培養物の残り(ほぼ3mL)を使用して、配列決定およびさらなる操作のためにプラスミドDNAを調製した(QIAprepミニプレップ、Qiagenキット)。1.0のOD600nmが達成されるまで(典型的には12〜16時間)、30℃で激しく振盪しつつ大量の培養物をインキュベートした。4000rpm、4℃で20分間遠心分離することにより細胞をペレット化し、150mL LB+カルベニシリン(50ug/mL)+0.5mM IPTGに再懸濁した。30℃で5時間の発現後に、4000rpm、4℃で20分間遠心分離することにより細胞をペレット化し、10mL Biacore HBS−EPバッファーに再懸濁し、1回の凍結(−80℃)/解凍(37℃)サイクルを使用して溶解した。4000rpm、4℃で1時間遠心分離することにより細胞溶解物をペレット化し、上清を収集し、濾過した(0.2um)。濾過した上清を、PBS、pH8で平衡化したNi−NTAスーパーフロー(superflow)セファロース(Qiagen、Valencia.CA)カラム上にロードし、続いて5カラム容量のPBS、pH8で洗浄した。PBS(pH8)+300mMイミダゾールにより、異なる画分において溶出された個々のFab。Fabを含有する画分をプールし、PBSにおいて透析し、次に親和性特徴付けに先立ちELISAによって定量化した。
完全抗体調製。完全抗体の発現のため、重鎖および軽鎖可変領域を哺乳動物発現ベクターにクローニングし、リポフェクタミンを使用して一過性発現のためにHEK293細胞にトランスフェクトした。標準方法を使用したプロテインAを使用して、抗体を精製した。
ベクターpDb.CGRP.hFcGIは、G1抗体の重鎖を含む発現ベクターであり、重鎖の一過性または安定的発現に適している。ベクターpDb.CGRP.hFcGIは、次の領域に相当するヌクレオチド配列を有する:マウスサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド7〜612);合成イントロン(ヌクレオチド613〜1679);DHFRコード領域(ヌクレオチド688〜1253);ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1899〜1976);G1の重鎖可変領域(ヌクレオチド1977〜2621);次の突然変異を含有するヒト重鎖IgG2定常領域:A330P331からS330S331(野生型IgG2配列を参照したアミノ酸ナンバリング;Eur. J. Immunol.(1999年)29巻:2613〜2624頁を参照)。ベクターpDb.CGRP.hFcGIは、2005年7月15日にATCCに寄託され、ATCC受託番号PTA−6867を割り当てられた。
ベクターpEb.CGRP.hKGIは、G1抗体の軽鎖を含む発現ベクターであり、軽鎖の一過性発現に適している。ベクターpEb.CGRP.hKGIは、次の領域に相当するヌクレオチド配列を有する:マウスサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド2〜613);ヒトEF−1イントロン(ヌクレオチド614〜1149);ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1160〜1237);抗体G1軽鎖可変領域(ヌクレオチド1238〜1558);ヒトカッパー鎖定常領域(ヌクレオチド1559〜1882)。ベクターpEb.CGRP.hKGIは、2005年7月15日にATCCに寄託され、ATCC受託番号PTA−6866を割り当てられた。
親和性決定のためのBiacoreアッセイ。Biacore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム(Biacore,INC、Piscataway NJ)を使用して、25℃または37℃のいずれかで、G1モノクローナル抗体およびそのバリアントの親和性を決定した。予め固定化されたストレプトアビジン(SAセンサーチップ)によりN末端ビオチン化CGRPまたは断片を捕捉し、チップにおけるCGRPまたは断片にわたり力価決定された抗体G1 Fab断片またはバリアントの結合動態を測定することにより、親和性を決定した。HBS−EPランニングバッファー(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%v/vポリソルベートP20)において全Biacoreアッセイを行った。HBS−EPバッファーにおいて0.001mg/mL未満の濃度までN−ビオチン化CGRPを希釈し、可変的な接触時間を使用してSAセンサーチップにわたって注射することにより、CGRP表面を調製した。高分解能動態研究のために捕捉レベル<50応答単位(RU)に相当する低容量表面を使用した一方、濃度試験、スクリーニングおよび溶液親和性決定のために高容量表面(約800RUの捕捉CGRP)を使用した。1uM〜0.1nM(0.1〜10×推定KDを目標とする)に及ぶ濃度まで2または3倍増分で抗体G1 Fabを系列希釈することにより、動態学的データを得た。試料は典型的に、1分間100μL/分で注射し、少なくとも10分間の解離時間を置いた。各結合サイクルの後に、25%v/vエタノール中25mM NaOHにより表面を再生させ、これは、数百サイクルにわたって耐容性を示した。力価決定系列全体(典型的に2回複製して作製)を、BIAevaluationプログラムを使用して、1:1ラングミュア結合モデルに網羅的に適合させた。これは、各結合相互作用の会合および解離動態学的速度定数(それぞれ、konおよびkoff)の特有のペアを返し、その比は平衡解離定数(KD=koff/kon)をもたらした。このようにして決定された親和性(KD値)を表6および7に示す。
極めて遅いオフレートによる結合相互作用の高分解能解析。極めて遅いオフレートによる相互作用のため(特に、25℃でのチップにおけるヒトα−CGRPへの抗体G1 Fab結合)、二部構成(two−part)実験において親和性を得た。次の修正により上述のプロトコールを使用した。30秒間100uL/分で550nM〜1nMに及ぶ2倍力価決定系列(2回複製)を注射し、30秒間のみの解離相を置くことにより、会合速度定数(kon)を決定した。2回複製して同じ力価決定系列の3種の濃度(高、中および低)を30秒間注射し、2時間の解離相を置くことにより、解離速度定数(koff)を決定した。表5に示す通り、両方の種類の実験において得られるkonおよびkoff値を組み合わせることにより、各相互作用の親和性(KD)を得た。
Biacoreによる溶液親和性の決定。ラットα−CGRPおよびF37A(19〜37)ヒトα−CGRPに対する抗体G1の溶液親和性をBiacoreにより37℃で測定した。高容量CGRPチップ表面を使用し(検出目的のために高親和性ヒトα−CGRPを選択した)、HBS−EPランニングバッファーを5uL/分で流動させた。5nMの一定濃度の抗体G1 Fab断片(溶液に基づく相互作用の予想されるKDまたはそれ未満となることを目標とする)を、3倍系列希釈における1nM〜1uMに及ぶ最終濃度の競合ペプチドであるラットα−CGRPまたはF37A(19〜37)ヒトα−CGRPのいずれかとプレインキュベートした。溶液に基づく競合ペプチドの非存在または存在下における抗体G1 Fab溶液をチップ上のCGRPにわたって注射し、溶液競合の結果としてチップ表面において検出される結合応答の枯渇をモニターした。チップ上のCGRPにわたる抗体G1 Fab単独(5、2.5、1.25、0.625、0.325および0nM)の力価決定によって構築された較正曲線を使用して、これらの結合応答を「遊離Fab濃度」に変換した。「遊離Fab濃度」を、各データ点の作成に使用した競合する溶液に基づくペプチドの濃度に対してプロットし、BIAevaluationソフトウェアを使用して溶液親和性モデルに適合させた。このようにして決定された(間接的に)溶液親和性は、表5および7に示し、SAチップ上のN−ビオチン化CGRPにわたり直接的にFabを注射した際に得られる親和性の検証に使用した。これら2種の方法によって決定される親和性の間の密接な一致は、チップへのN−ビオチン化バージョンのCGRPの繋留が、そのネイティブ溶液結合活性を変更しないことを確認する。
下表5は、SAチップ上のN−ビオチン化CGRPにわたりFab断片を流動させることにより、Biacoreによって決定されるヒトα−CGRP、ヒトβ−CGRP、ラットα−CGRPおよびラットβ−CGRPに対する抗体G1の結合親和性を示す。極めて遅いオフレートによる結合相互作用の親和性をより良く解像するために、二部構成実験において親和性も決定して、このアッセイの方向性を補完し、ラットα−CGRP相互作用の溶液親和性も決定した(上述の通り)。両方のアッセイの方向性において測定される親和性の密接な一致は、溶液におけるネイティブラットα−CGRPの結合親和性が、これがN−ビオチン化されSAチップに繋留された場合に変更されないことを確認する。
*α−CGRP(ラットおよびヒト)に対する親和性は、高分解能二部構成実験において決定し、解離相は2時間モニターした(kon、koffおよびKDの値は、n回複製実験の平均と、パーセント分散として表される標準偏差を表す)。β−CGRP(ラットおよびヒト)に対する親和性は、20分間のみの解離相を使用した網羅的解析により決定し、これは、これらの極めてオフレートの定量化に十分なほど正確ではなかった(これらのオフレートは、ここに記述されるものよりも遅い可能性があり、したがって、これらの親和性は、さらにより高い可能性がある)。抗体G1 Fabは、Biacoreアッセイの分解能限界に近づくオフレートで、全CGRP(α−ラットCGRPを除いて)から極めてゆっくりと解離した(特に25℃で)。
**溶液に基づくラットα−CGRP競合体とプレインキュベートした抗体G1 Fabに対する、チップ上のCGRPにおいて検出される結合応答の枯渇の測定によって決定される溶液親和性。
下表6は、抗体G1と比較してアミノ酸配列変種を有する抗体、ならびにラットα−CGRPおよびヒトα−CGRPの両方に対するこれらの親和性を示す。表6に示すバリアントの全アミノ酸置換は、G1の配列と比べて記載されている。Fab断片の結合親和性は、これらをSAチップ上のCGRPにわたって流動させることにより、Biacoreによって決定した。
KabatおよびChothia CDRの両方を含む全CDR。アミノ酸残基に連続的に番号を振る(図5を参照)。全クローンは、G1と同一のL3+H1+H3配列を有する。
KD=koff/kon。全koff値は、Fab濃度系列の網羅的解析によって得られた下線を引いたものを除いてスクリーニング様式において決定した(G1は、高分解能様式において解析した)。したがって、下線を引いたKD値は、konを測定することにより実験的に決定した。他のkon値は、M25と同じであると推定した。
n.d.=決定されず
n.d.=決定されず
抗体G1によって認識されるヒトα−CGRPにおけるエピトープを決定するために、上述のBiacoreアッセイを使用した。N−ビオチン化バージョンとしてヒトα−CGRPを購入して、SAセンサーチップによるその高親和性捕捉を可能にした。CGRPペプチドの非存在または存在下におけるチップ上のヒトα−CGRPへのG1 Fab断片の結合を決定した。典型的には、2000:1molペプチド/Fab溶液(例えば、50nM G1 Fabにおける10uMペプチド)をチップ上のヒトα−CGRPにわたって注射した。図6は、競合ペプチドによって遮断される結合のパーセンテージを示す。図6に示すデータは、ヒトα−CGRPへのG1 Fabの結合を100%遮断するペプチドが、ヒトα−CGRPの1〜37(WT)、8〜37、26〜37、P29A(19〜37)、K35A(19〜37)、K35E(19〜37)およびK35M(19〜37);β−CGRP(WT)の1〜37;ラットα−CGRP(WT)の1〜37;ならびにラットβ−CGRP(WT)の1〜37であることを示す。これらのペプチドは全て、C末端がアミド化されている。ヒトα−CGRPのペプチドF37A(19〜37)および19〜37(後者はC末端がアミド化されていない)も、ヒトα−CGRPへのG1 Fabの結合の約80%〜90%を遮断した。ヒトα−CGRPのペプチド1〜36(C末端がアミド化されていない)は、ヒトα−CGRPへのG1 Fabの結合の約40%を遮断した。ヒトα−CGRPのペプチド断片19〜36(C末端がアミド化);ヒトα−CGRPのペプチド断片1〜13および1〜19(どちらもC末端がアミド化されていない);ならびにヒトアミリン、カルシトニンおよびアドレノメデュリン(全てC末端がアミド化)は、チップ上のヒトα−CGRPへのG1 Fabの結合と競合しなかった。これらのデータは、G1が、CGRPのC末端エピトープを標的とし、最末端残基(F37)の同一性およびそのアミド化の両方が、結合に重要であることを実証する。
ヒトα−CGRPのバリアントに対するG1 Fabの結合親和性(37℃における)も決定した。下表7は、チップ上のN−ビオチン化ヒトα−CGRPおよびバリアントにわたるG1 Fabの力価決定によって直接的に測定される親和性を示す。表7におけるデータは、抗体G1が、C末端エピトープに結合し、F37およびG33が最も重要な残基であることを示す。余分なアミノ酸残基(アラニン)がC末端(アミド化されている)に付加されると、G1は、CGRPに結合しない。
上のデータは、抗体G1が結合するエピトープが、ヒトα−CGRPのC末端に存在し、ヒトα−CGRPにおけるアミノ酸33および37が、抗体G1の結合に重要であることを示す。また、残基F37のアミド化は、結合に重要である。
(実施例5)
代謝的健康および長寿における抗CGRPアンタゴニスト抗体およびTRPV突然変異の効果
(実施例5)
代謝的健康および長寿における抗CGRPアンタゴニスト抗体およびTRPV突然変異の効果
本実施例は、低下した疼痛知覚が、進化的に保存されたTRPVを標的化することにより、哺乳動物の加齢をプラスに調節し得るか決定するために使用される方法について記載する。この長寿増加の機構も調査する。
マウスにおける長寿試験
TRPV1突然変異体マウスを作製し、これは、TRPV1遺伝子の5回および全6回推定膜貫通ドメインならびにポア−ループ領域の部分をコードするエクソンの欠失を含有する。ホモ接合動物は、生存可能であり、繁殖力があり、正常に見える。両者共にJackson laboratory(Bar Harbor、ME)から得られるC57BL/6Jおよび野生型(WT)C57BL/6Jブリーダーペアへと11回戻し交配されたホモ接合TRPV1突然変異体の16組のブリーダーペアから長寿試験を作製した。同様のサイズの同腹から使用した動物を各寿命試験に使用した。TRPV1遺伝子型決定を使用して、実験および対照群の両方を割り当てた。死後ゲノム走査解析を行って、遺伝的背景が、遺伝子型中で100%同一であったことを確認した(表11)。
病原体不含条件下において、水および固形飼料(PicoLab Rodent 20 5053*、LabDiet)への適宜アクセスにより、2〜5匹の同性同腹仔の群にマウスを収容した。個体を毎日モニターし、毎月秤量したが、それ以外は死ぬまで干渉せずにおいた。90匹の雌(48匹のTRPV1 KO、42匹のWT)および70匹の雄(38匹のTRPV1 KO、32匹のWT)マウスから生存を評価し、この報告の時点までに100%の動物が死んだ。自然死の直後に、マウスをホルマリンに浸漬し、70%エタノールにおいて乾燥させた。組織を解剖し、パラフィンに包埋し、ヘマトキシリンおよびエオシンによって染色した。獣医学スタッフによって死後病理学的解析を行った。追加的な実験コホートを作製して、代謝試験を行い、後述する初代ニューロン培養物を作製した。公知の誕生および死亡日を使用してカプラン・マイヤー生存曲線を構築し、ログランク検定を使用して群間の差を評価した。
マウスにおける代謝試験
Comprehensive Lab Animal Monitoring System(Columbus Instruments)において間接的熱量測定試験を行った。GTTおよびGSISのため、グルコース(2g/kg体重)を腹腔内投与し、One Touch Ultra glucometer(LifeScan)を使用して、注射後の表示時点で尾出血から血中グルコースを測定した。ITTのため、5時間絶食したマウスに、1u/kgのヒトインスリン(ヒューマリン;Eli Lily)を注射し、GTTと同様にグルコースを測定した。肝臓および筋肉組織におけるインスリン刺激されたシグナリングを以前に記載された通りに行った。5.5mg/mLでCGRP8−37(Tocris Bioscience)を拡散する浸透圧ポンプ(Alzet)を22ヶ月齢C57BL/6J雄(National Institute of Aging)に植え込んだ。CGRP8−37は、トランケートバージョンの抗CGRPアンタゴニスト抗体である。UltraSensitive Insulin ELISAキット(Crystal Chem)を使用して血清インスリンを測定した。Quantikine ELISAキット(R&D systems)を使用して絶食時レプチン、アディポネクチンの血清レベルを測定した。製造業者の説明書に従ってThermo酵素比色分析方法を使用して、トリグリセリドおよびコレステロールを測定した。ELISA(EIAab)を使用してCGRPを測定した。
定量的PCR解析およびタンパク質解析
膵島を単離した。各マウスから25〜40個のDRGを切除し、トリゾール中でホモジナイズした。トリゾール/クロロホルム抽出およびRNEasy Qiagenカラムを使用してRNAを単離した。quantitect逆転写キットを使用してRNAをcDNAに変換した。SYBR greenを使用したqPCRにより遺伝子発現を評価した。プライマー配列を表8に示す。
免疫組織化学的検査および組織学的試験
免疫組織化学的検査のため、PBS中4%パラホルムアルデヒドに組織を4〜16時間40Cで浸漬し、続いてPBS中30%スクロースにおいて一晩凍結保護した。OCT(Tissue−Tek)中で組織を凍結し、クリオスタットにおいて切片作製した。2%ロバ血清および0.4%Triton x100を含有するPBSにおける一次抗体で、12μm厚の切片をイムノブロットした。使用した抗体は、1:100の抗CRTC1(Bethyl laboratories)、1:500の抗CRTC1(LS Bio)、1:500の抗CGRP(Bachem)、1:500の抗TRPV1(Millipore)、1:500の抗インスリン(Millipore)、1:7000の抗グルカゴン(Millipore)であり、二次抗体(Alexxa)は、1:600に希釈した。LSM 710共焦点顕微鏡を使用して切片を撮像した。組織学的解析のため、組織をホルマリンに一晩浸漬し、70%エタノールにおいて乾燥させ、パラフィンに包埋した。β細胞質量を測定するために、膵臓全体を秤量し、切片作製し、その後、Envision+DAB sytemペルオキシダーゼ(Dako)と1:100のウサギ抗インスリン抗体(Cell Signaling)およびヘマトキシリンによる対比染色によるインスリン免疫染色および標識を行った。VS120スライドスキャナ(Olympus)によりスライドを撮像し、VS−ASWソフトウェアを使用したポイントカウンティング形態計測によりβ細胞質量を測定した。
細胞培養試験
Ulupi Jhala(UCSD、La Jolla、CA)から18継代目のMIN6インスリノーマ細胞を得て、以前に記載された通りに(Huisingら、Proc. Natl. Acad. Sci.107巻:912〜917頁、2010年)、11mMグルコース、10%FBS、Glutamax(Invitrogen)および10μM β−メルカプト(mercaptho)エタノールを含有するDMEM(Life technologies)において培養した。低(2.8mM)および高(16.8mM)のグルコース刺激を行った。処置は、2.8mMグルコースを有するクレブス・リンゲル炭酸水素塩バッファーにおいて希釈した。
DRGニューロンをマウスから解離させ、コラゲナーゼ処置後にパパインにおける粉砕によって解離させ、Geltrex(Life technologies)でコーティングしたチャンバースライド(Fisher Scientific)における皮質アストロサイトの単層上に播種し、B27、N2、50ng/mlラットBDNF、50ng/mlラットβ−NGFならびに有糸分裂後阻害剤17.5μg/mlウリジンおよび7.5μg/ml 5−フルオロ−2−デオキシウリジン(deoxyurine)を補充したDMEM/F12において培養した。DRGニューロン間で軸索再成長およびシナプス形成させるために、ラット皮質アストロサイトの単層上でニューロンを7〜10日間培養した。
媒体対照またはアンタゴニスト遮断(2時間)のいずれかに先立ちTTX(1μM)で4時間ニューロンを前処置し、続いて核外輸送を阻害するレプトマイシンB(10ng/ml)を補充して1時間薬物刺激して、CRTC1核蓄積を検出した。Cap、FSKおよびレプトマイシンBはSigma−Aldrichから、SB366791およびTTXはTocris Biosciencesから、CsAはCalbiochemから得た。薬物は、次の濃度で適用した:Cap(1μM)、FSK(25μM)、KCl(30mM)、SB366791(2μM)およびCsA(10μM)。次に、ニューロンをPBS中4%パラホルムアルデヒドにおいて固定し、免疫組織化学的検査のために調製した。
C.elegans実験
osm−9(ky4)、ocr−2(ak47)およびN2系統をCaenorhabditis Genetics Centerから得た。AGD418(N2;uthIs205[Pcrtc−1::crtc−1::RFP::unc−54 3’UTR、rol−6])およびAGD466(N2、uthEX222[crtc−1p::crtc−1 cDNA(S76A、S179A)::tdTOMATO::unc−54 3’UTR;rol−6(su1006)])は、他の場所で作製した(Mairら、2011年)。osm−9(ky4)、ocr−2(ak47)系統は、N2へと6回外交配した。AGD418およびAGD466は、osm−9(ky4);ocr−2(ak47)と交配した。寿命解析を20℃で行い、2〜4回反復した。条件につき100〜120匹の動物を使用し、1日おきにスコア化した。寿命は、表示の通り、対照GFP RNAiまたはtax−6 RNAiによるHT115において行った。GraphPad Prism 5を統計解析のために使用した。ログランク(Mantel−Cox)方法を使用してp値を計算した。
結果:TRPV1を欠くマウスは、若々しく長寿命である
TRPV1受容体を欠く動物は、そのカプラン・マイヤー生存曲線、中位および最大寿命によって示されている通り、例外的に長寿命であった(図7A、7Bおよび表9)。通常の適宜給餌条件下では、TRPV1突然変異は、その効果が性別特異的ではなかった:両性における長寿は、同様の程度まで延長され、野生型、同質遺伝子的C57BL/6対照(WT)と比較して、雄TRPV1突然変異体における11.9%増加および中位雌寿命における15.9%増加であった。平均して、TRPV1突然変異体雄は、対照動物よりもほぼ100日間長く生き、TRPV1突然変異体雌は、130日間長く生きた(平均寿命、表9)。最大寿命は、雌突然変異体マウスにおいて強く延長された。
がん発生率は、死後剖検および病理組織学検査を行うことにより決定した(図7C、7D)。がんの有病率は、TRPV1突然変異体対対照マウスにおいて低下する傾向があった(図7C)。本出願人らのマウスコホートにおいて観察される死亡の主原因である新生物は、幅広いパネルのがん型を含んだ(図7D)。とりわけ、両方の遺伝子型において観察される最も蔓延したがんであるリンパ系起源の造血器新生物の発生率は、TRPV1突然変異体動物において低下した。肉腫、癌腫、下垂体および肺腺腫を含む他のがん型も、両方の遺伝子型において存在したが、少数の観察は、遺伝子型間のこれらの病理の発生率に関するいかなる結論も許さなかった。さらに、遺伝子型間で非新生物疾患の発生率における有意差は観察されなかった(図7Cおよび表10)。
改善された長寿および低下した加齢と一貫して、30ヶ月齢TRPV1突然変異体マウスは、バーンズ迷路検査における訓練、保持および逆転パラダイムに挑戦した際に、その同齢対照動物と比較して改善された空間記憶を呈した(図8A、8B、8C)。回転ロッドからの転落までの潜時によって測定される運動協調性も、長寿命TRPV1突然変異体マウスにおいて遅延された(図8D)。TRPV1の存在が、海馬において検出されたため(Mezeyら、Proc. Natl. Acad. Sci.97巻、3655〜3660頁、2000年;Sasamuraら、Neuroreport 9巻、2045〜2048頁、1998年)、海馬のCA1、CA3および歯状回(DG)区域におけるニューロン密度をニッスル染色によって試験した(図8E)。これらの区域におけるニッスル陽性ニューロンの分布は、WTおよびTRPV1突然変異体マウスにおいて同様であり、TRPV1突然変異体における改善された認知機能が、TRPV1突然変異体動物におけるニューロン数の増加によるものではなく、これらのマウスにおける健康寿命の網羅的な改善によるものであることを示唆する。
結果:長寿命TRPV1突然変異体マウスは、低下した成長速度も変更されたIGF−1レベルも持たない
低下した成長ホルモン(GH)および/またはインスリン成長因子(IGF−1)シグナリングは、多くの場合成長遅延および小型の成体動物をもたらす、長寿に密接に関連付けられてきた(Bluher、Science 299巻:572〜574頁、2003年;Ortega−Molinaら、Cell Metab.15巻:382〜394頁、2012年;Selmanら、FASEB J.22巻:807〜818頁、2008年)。GH/IGF−1マウスとは異なり、TRPV1突然変異体マウスは、WTマウスとサイズが同様に見えた(図9A)。成長ホルモン(GH)またはIGF−1シグナリングのいずれかにおける活性変更によるマウスモデルとは対照的に(Bluher、Science 299巻:572〜574頁、2003年;Brown−Borgら、Nature 384巻:33頁、1996年;Coschiganoら、Endocrinology 141巻:2608〜2613頁、2000年、Coschiganoら、Endocrinology 144巻:3799〜3810頁、2003年;Flurkeyら、Proc. Natl. Acad. Sci.98巻:6736〜6741頁、2001年、Flurkeyら、Mech. Ageing Dev.123巻:121〜130頁、2002年;Holzenbergerら、Nature 421巻:182〜187頁、2003年;Ortega−Molinaら、Cell Metab.15巻:382〜394頁、2012年;Selmanら、FASEB J.22巻:807〜818頁、2008年、Selmanら、Science 326巻:140〜144頁、2009年;Zhangら、eLife 1巻、2012年)、その成長曲線は、加齢を通じて両性においてWT対照と同一であった(図9B)。年齢および性別が対応した(age and gender matched)対照の体組成の解析は、肺、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、脳、心臓および異なる脂肪パッド(鼠径部、性腺、後腹膜)を含む臓器が、両方の遺伝子型において同じサイズであったことを確認した(図9C)。重要な代謝組織(肝臓、白色脂肪、心臓)のH&E染色による基礎組織学的解析は、野生型およびTRPV1突然変異体マウスの間の形態学的な差を明らかにしなかった(図10)。正常な体重と一貫して、下垂体におけるGH含量は、TRPV1突然変異体成体マウスにおいて正常であった(図9D)。加えて、GHによって調節されるIGF−1の血漿レベルは、両方の遺伝子型において同一であった(図9E)。したがって、TRPV1の喪失は、GH/IGF−1軸とは独立的な機構における加齢過程をモジュレートすると思われる。
結果:長寿命TRPV1突然変異体マウスは、若々しい代謝プロファイルを有する
変更された代謝プログラムは、虫からマウスに及ぶ多くの長寿経路に関連付けられてきた。TRPV1突然変異体マウスが、野生型動物と比較して別個の代謝プロファイルを有するか決定された。代謝活性を示し、食事制限された長寿命Ames矮性マウスにおいて低いことが報告された(Brown−Borgら、Nature 384巻:33頁、1996年)体温の解析は、対照動物と比較して同齢TRPV1突然変異体マウスにおいて影響されなかった(図11A)。同様に、食事制限により寿命に影響し得る食物摂取は、影響されなかった(図11A)。代謝活性を示す血液因子の全般的な評価は、遺伝子型にわたる絶食時インスリンレベル、レプチン、アディポネクチンまたは循環トリグリセリドおよびコレステロールにおける差を明らかにしなかった(図11B)。肩甲骨間褐色脂肪組織における熱発生および褐色脂肪発達に特徴的な褐色脂肪特異的遺伝子の発現における変更はなかった(図11C)。しかし、TRPV1突然変異体動物は、同齢対照マウスと比較して若々しい代謝プログラムを保持した(図12A)。特に、グルコースから脂質代謝への一日の移行を測定する呼吸交換率(RER)は、老齢TRPV1突然変異体動物において夜から昼への若々しい概日シフトを保持した。3ヶ月目に、WTおよびTRPV1突然変異体マウスの両方が、夜から昼への同一の概日振動を呈した。しかし晩年期において、TRPV1突然変異体は、若齢マウスのものと比較して同様の桁の概日移行を保持した一方、WT動物は、その概日シフトを失った。実際に、より低いRERを含むエネルギー支出の減退は一般的に、老齢マウスにおいて観察され、加齢マウスが、脂肪に向かう比例的な基質優先度を有することを示す(Houtkooperら、Sci. Rep.1巻、2011年)。TRPV1突然変異体マウスが、晩年にこの優先度を持たないことが観察された。
代謝改善と同時発生的に、夜行性活動のピーク時の同齢WT対照と比較して、若齢および老齢時点の両方におけるTRPV1突然変異体において酸素消費が増強された(図11D)。加齢と共に消費される最大VO2の減退を呈するWT動物とは対照的に、TRPV1突然変異体は、晩年にそのVO2最大消費を維持した。興味深いことに、自発的活動は、若齢TRPV1突然変異体動物において僅かにより高かったが、老齢時にはWTと同じ程度まで縮小した(図11E)。総合すると、これらのデータは、老齢TRPV1突然変異体動物に観察される若々しいエネルギー支出が、自発的運動の増加によるものではないが、年齢に伴うより効率的な代謝維持によるものと思われることを示す。
結果:長寿命TRPV1突然変異体マウスは、変更されたインスリン代謝を有する
TRPV1突然変異体マウスの若々しい代謝表現型の根底にある機構を明らかにするために、これらのマウスのグルコース代謝プロファイルを特徴付けた。TRPV1突然変異体動物が、グルコース耐性であることが仮定された。TRPV1突然変異体マウスが、グルコース耐性検査(GTT、図12B)においてそれぞれ「若齢」および「老齢」時点に相当する3ヶ月齢および22ヶ月齢において、WTよりも顕著にグルコース耐性であることが観察された。絶食時グルコースレベルは、突然変異体および野生型マウスの間で変化しなかった。グルコース耐性改善は多くの場合、インスリン感受性増加に関連するため、インスリン耐性検査(ITT、図12C)によりインスリン注射後に、どの程度効率的にTRPV1突然変異体マウスが血中グルコースを排除するかを解析した。グルコース耐性改善にもかかわらず、67%下落したWT対照とは反対に、若齢TRPV1突然変異体マウスの血中グルコースレベルが、急性インスリン負荷後にほぼ40%減少したことが観察された。22ヶ月目に、WTマウスは、その血中グルコース下落は、若齢WTマウスよりも14%効率が低いため、予想される加齢発病インスリン抵抗性を呈した。
TRPV1突然変異体のインスリン抵抗性も、より老齢の動物において19%さらに増悪された。インスリン抵抗性は、β細胞不全をもたらす2型糖尿病の特徴であるため、本出願人らは、成体マウスにおける膵β細胞島形態を解析した。突然変異体または野生型マウスの島におけるインスリンおよびグルカゴンを染色した際に、島構造における差は観察されず、TRPV1突然変異体島が、正常であることを示唆する(図12D)。さらなる研究は、β細胞質量が、TRPV1突然変異体マウスにおいて増加したことを明らかにし、β細胞生存が、その増殖または新生速度とは独立に、これらのマウスにおいて改善されたことを示唆した(図12Eおよび11F)。定量的リアルタイムPCR(qPCR)による単離された島mRNAの遺伝子発現は、TRPV1突然変異体およびWT島内分泌マーカーの間の転写の差を明らかにしなかった(図12F)。グルカゴン(gcg)、ウロコルチン−3(ucn3)、アミリン(amy)、インスリン受容体基質2(irs2)、核ホルモン受容体nr4a2、fos遺伝子cFos、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ1(usp1)、Gタンパク質シグナリング2の調節因子(rgs2)およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマコアクチベーター1−アルファ(pgc1α)のレベルは、遺伝子型の間で変化しなかった。
TRPV1突然変異体マウスにおいて観察されるβ細胞質量増加のため、本出願人らは、その軽度のインスリン抵抗性を代償するために、グルコース耐性改善が、グルコースに応答したインスリン過分泌により達成されたと想定した。この仮説と一貫して、齧歯類におけるTRPV1ニューロンの化学除神経またはTRPV1の化学的阻害のいずれかが、グルコース依存性インスリン分泌を増加させる(Gramら、Eur. J. Neurosci.25巻:213〜223頁、2007年;Tanakaら、Life Sci.88巻:559〜563頁、2011年)。実際に、膵島mRNAのqPCR解析は、インスリン遺伝子(ins2)が、TRPV1突然変異体細胞においてほぼ2倍上方調節されたことを明らかにした。TRPV1およびインスリン分泌の間の関連を直接的に評価するために、グルコース注射後にインスリンレベルがモニターされる、グルコース刺激インスリン分泌実験(GSIS)を行った(図12G)。本出願人らは、インスリン放出が、WTよりもTRPV1突然変異体マウスにおいて有意に明白であった(p<0.05)ことを見出し、これにより、TRPV1突然変異体のグルコース耐性改善を説明する。健康であり、2型糖尿病の症状がないTRPV1突然変異体マウスと一貫して、絶食時インスリンレベルは、野生型マウスと比較して同様に低かった(図12G、11B)。したがって、TRPV1突然変異体マウスは、高インスリン性ではなく、むしろ、グルコース負荷に対しより頑強に応答するための食事インスリンの上昇を呈する。TRPV1突然変異体マウスのインスリン抵抗性の性質をさらに研究するために、本出願人らは、インスリン受容体経路の下流エフェクターを構成するAKTリン酸化を解析することにより、肝臓および骨格筋におけるインスリン刺激シグナリングを評価した。静脈内インスリン注射後に、セリン/スレオニンキナーゼAKTタンパク質のセリン473のリン酸化は、対照動物と比較してTRPV1突然変異体動物の両方の組織において変更されず(図12H)、インスリンシグナリングが、インスリンに応答してTRPV1突然変異体において機能的であることを示す。
総合すると、TRPV1の喪失は、成長遅延されず、変更されたIGF−1レベルまたは応答性を持たないが、グルコース負荷後のインスリン分泌増加によって媒介されるグルコース耐性増加による若々しい代謝プロファイルを有する長寿命マウスをもたらす。これらのデータは、不良なTRPV1感覚ニューロン機能が、グルコース恒常性および長寿に有益な効果を有することを示唆する。確立された長寿パラダイム(GH/IGF−1および食事制限)に対し正準ではない機構によって長く生きるこのようなマウスの能力に興味をそそられ、TRPV1ニューロンが、この長寿促進性シグナルをモジュレートすることができる機構を研究した。
結果:C.elegans TRPVは、CRTC1/CREBを介して寿命を調節する
哺乳動物神経内分泌系および代謝におけるその影響の複雑性に直面して、線虫C.elegansを使用して、TRPV1が、代謝および加齢過程をモジュレートすることができる可能な機構を明らかにした。より高レベルの統合および代償にもかかわらず、哺乳動物化学受容性臓器の機能的組織化は、解剖学的およびシグナリングレベルの両方で虫に対し多くの著しい類似性を呈する。保存されたシグナリング分子は、TRPVチャネルファミリーのメンバーを含む。虫において、osm−9およびocr−2は、嗅覚、侵害受容性およびセロトニン作動性ニューロンからシグナルを伝達するチャネル複合体として機能する(Colbertら、J. Neurosci. Off. J. Soc. Neurosci.17巻:8259〜8269頁、1997年;Tobinら、Neuron 35巻:307〜318頁、2002年;Zhang、Development 131巻:1629〜1638頁、2004年)。マウスによく似て、虫におけるTRPVの喪失は、長寿増加をもたらした(図13A、表11)。osm−9(ky4)およびocr−2(ak47)の両方のヌル突然変異体を使用して、本出願人らは、どちらかのtrpvの喪失が、長寿の中程度の増加をもたらすことを観察し、この受容体ペアの機能的冗長性と一貫した(Colbertら、J. Neurosci. Off. J. Soc. Neurosci.17巻:8259〜8269頁、1997年;Tobinら、Neuron 35巻:307〜318頁、2002年;Zhang、Development 131巻:1629〜1638頁、2004年)。しかし、osm−9およびocr−2の両方の喪失は、対照動物と比較して最大32%の頑強な寿命延長をもたらした。
リガンドに応答して、TRPV受容体は、細胞内カルシウム増加により、影響を受けた細胞の細胞質へとシグナルを伝達する(VenkatachalamおよびMontell、Neurobiol. Aging 14巻:287〜293頁、2007年)。細胞におけるカルシウムフラックスの主要なトランスポンダーの1種は、カルシニューリンである(Mellstromら、Physiol. Rev.88巻:421〜449頁、2008年)。虫カルシニューリンオルソログ、カルシウム活性化カルシニューリン触媒Aサブユニット、tax−6は、加齢過程における入り組んだ役割を果たす(Dongら、Science 317巻:660〜663頁、2007年;Mairら、Nature 470巻:404〜408頁、2011年)。tax−6の喪失は、長寿命動物をもたらし、過剰活性化は、短い寿命をもたらす。虫における加齢過程を調節するためのtax−6の1つの本質的な標的は、高度に保存されたcrtc−1(CREB調節転写コアクチベーター1)である。tax−6によるセリン76および179におけるCRTC1の脱リン酸化は、核局在、CREB転写標的のモジュレーションおよび長寿低下をもたらす。カルシニューリンに反して、AMPKは、エネルギー源をモニターし、CRTC1をリン酸化し、細胞質においてCRTC1を保持する。長寿増加をもたらすtax−6の喪失と一貫して、AMPKの活性増加は、セリン76および179におけるCRTC1のリン酸化により長寿増加をもたらし、部位は、tax−6によって相殺される(Mairら、Nature 470巻:404〜408頁、2011年)。長寿を調節するためのカルシニューリン下流の回路網は、十分に確立されているが、この経路の上流メディエーターは、不明である。
長寿およびカルシウム調節の間の関連のため、本出願人らは、tax−6およびcrtc−1が、trpv媒介性長寿の下流で機能することができるか尋ねた。細胞における細胞内カルシウムを増加させる薬物であるトリカイン処置後に、CRTC1は、野生型動物では核へとシャトルするが、tax−6(ok2065)突然変異体においては厳密に細胞質に残る(Mairら、Nature 470巻:404〜408頁、2011年)。tax−6突然変異体虫と同様に、trpv突然変異体(osm−9;ocr−2二重突然変異体動物)は、トリカイン処置後にCRTC1の細胞質局在を保持し(図13B)、TRPVが、tax−6/crtc経路内の上流で機能することを示す。カルシニューリン経路における上流で機能するTRPVと一貫して、虫におけるtrpvの喪失に起因する長寿増加は、CRTC1長寿経路に完全に依存した。野生型動物において寿命を延長するtax−6の不活性化は、trpv突然変異体の寿命をさらに増加させなかった(図13C)。CTRC1の翻訳後修飾により長寿をモジュレートするtax−6と合致して、本出願人らは、crtc−1が、カルシニューリン脱リン酸化部位S76A、S179Aにおいて突然変異されて、構成的に核にされると、trpv突然変異体の長寿増加が抑止されたことを見出した(図13D)。したがって、trpvシグナリングの喪失に起因する寿命延長は、AMPKおよびカルシニューリンによる調節に使用される同じリン酸化部位におけるCRTC1の核排除に完全に依存した。総合すると、これらの結果は、化学受容性ニューロンのサブセットが、動物の長寿を最終的に指示するCRTC1/CREB活性をモジュレートすることにより、TRPVカルシウムシグナリングカスケードを利用して、環境条件による虫代謝を調整することを示す。
結果:TRPV1は、マウスにおけるCRTC1/CREBを調節する
同じシステムが、長寿命TRPV1突然変異体マウスに関与し得るかに関して決定された。最も豊富なCREB調節転写コアクチベーターの細胞分布をニューロン組織において試験し、CRTC1をTRPV1突然変異体および野生型マウスから解離された後根神経節(DRG)ニューロン培養物において試験した(図14A〜14E)。以前の知見は、海馬培養物において、CRTC1が、カルシウム/カルシニューリンカスケードを使用して、グルタミン酸作動性シナプス活動下で興奮性細胞の核へとシャトルすることを示す(Ch’ngら、Cell 150巻:207〜221頁、2012年;Kovacsら、Proc. Natl. Acad. Sci.104巻:4700〜4705頁、2007年)。CRTC1の核局在の持続は、cAMPレベルによって調節される。カルシウムおよびcAMPカスケードが、DRGニューロンにおいてCRTC1の動的シャトリングを調節するか評価するために、これらの経路を薬理学的に操作することにより、TRPV1突然変異体から単離されたDRGニューロンの細胞体においてCRTC1の核から細胞質への輸送を解析した(図14A)。TRPV1またはTRPV1同時マーカー(co−marker)CGRPいずれかに対して直接的な免疫反応性は、TRPV1を発現する小から中間サイズの侵害受容器ニューロンの認識を可能にした(Bernardiniら、Neuroscience 126巻:585〜590頁、2004年;Caterinaら、Nature 389巻:816〜824頁、1997年;PriceおよびFlores、J. Pain Off. J. Am. Pain Soc.8巻:263〜272頁、2007年;Szallasiら、Brain Res.703巻:175〜183頁、1995年)。CRTC1免疫反応性は、末梢DRGニューロンにおいて観察され、細胞分布は、海馬培養物と同様であった(Ch’ngら、Cell 150巻:207〜221頁、2012年;Kovacsら、Proc. Natl. Acad. Sci.104巻:4700〜4705頁、2007年)。実際に、基本条件下において、CRTC1は、一次ニューロンの軸索、樹状突起および神経細胞体に局在化する(図14B)。ナトリウムチャネル遮断薬テトロドトキシン(TTX)を使用して、内在性シナプス活動を低下させ、NMDA受容体を介したカルシウム侵入を防止した。
TTX前処置下で、CRTC1の分布は、基本条件において観察される通りに、大部分は細胞質に残った(図14C)。CRTC1シャトリングをモニターするための条件を確立するために、cAMPレベルを高め、したがってCRTCリン酸化を減少させるフォルスコリン(FSK)(Kovacsら、Proc. Natl. Acad. Sci.104巻:4700〜4705頁、2007年;Screatonら、Cell 119巻:61〜74頁、2004年)ならびにカルシウム侵入およびカルシニューリンの活性化を誘引し、CRTC脱リン酸化をもたらすKClの組合せによるニューロンの刺激は、WTおよびTRPV1突然変異体DRG細胞においてCRTC1核侵入を誘導し、陽性対照として機能した(図14C)。
L型電位開口型カルシウムチャネル(LVGCC)の活性化は、ニューロンにおいて頑強なカルシウム電流を誘発し、海馬CRTC1シャトリングをもたらす(Ch’ngら、Cell 150巻:207〜221頁、2012年)。TRPV1の活性化およびその後のカルシウム侵入が、CRTC1を直接的にモジュレートしているか検査するために、天然TRPV1アゴニスト、カプサイシン(Cap)をDRGニューロンにアプライし、WT DRG培養物のTRPV1陽性細胞の核におけるCRTC1の蓄積を観察した(図14C)。核侵入は、FSKおよびKClによる処置と同様であった(図14C)。より重要なことに、Cap誘導性CRTC1シャトリングは、TRPV1突然変異体DRGニューロンにおいて消失した(図14C)。CRTC1核シャトリングにおけるTRPV1の役割の追加的な検査として、TRPV1の選択的化学的アンタゴニスト(SB−366791)によるTRPV1の遮断は、WT DRGニューロンにおけるCRTC1の頑強な核排除をもたらし(図14D)、TRPV1突然変異体DRGニューロンに見られるものとよく似ていた。
これらの知見は、TRPV1によるカルシウム侵入が、CRTC1の核再分布の促進に十分であり、カルシニューリン活性化を引き起こす可能性があることを実証する。TRPV1下流のカルシニューリン経路の必要性を試験するために、本出願人らは、カルシニューリン阻害剤シクロスポリンA(CsA)と共にDRGニューロンをインキュベートした。海馬細胞において以前に観察された通りに(Kovacsら、Proc. Natl. Acad. Sci.104巻:4700〜4705頁、2007年)、CsAは、TRPV1陽性DRGニューロンにおけるFSK+KCl媒介性CRTC1核蓄積を防止した(図14D)。CsA前処置は、WT DRGニューロンにおいてCRTC1を核に入れるCapの能力も阻害した(図14D)。総合すると、本出願人らのデータは、TRPV1が、無脊椎動物および脊椎動物の両方におけるカルシニューリン活性によるCRTC1シャトリングの強力な調節因子であることを示す。
結果:TRPV1は、DRGにおいてCREB標的遺伝子を調節する
TRPV1活性下で核へとシャトルするCRTC1の能力は、外部出力に迅速に適応する柔軟な転写機構の存在を実証する。TRPV1突然変異体DRGニューロンにおけるCRTC1の核排除は、CREB転写活性が、TRPV1突然変異体マウスのDRGニューロンにおいて変更される可能性があることを示唆する。炎症性条件下で、TRPV1発現DRGニューロンは、CREBシグナリングカスケードを利用して、CGRPプロモーターへのCREBの結合により、CGRPの放出により神経原性炎症を誘導する(Nakanishiら、Mol. Biol. Cell 21巻:2568〜2577頁、2010年)。TRPV1突然変異体マウスにおいて、CREB転写活性が、CRTC1の核排除により下方調節されることが仮定された。実際に、DRGニューロンのmRNA発現解析は、以前に特徴付けられたCREB標的遺伝子が、野生型動物と比較して長寿命TRPV1突然変異体において低下したことを明らかにした(図14E)。
結果:サブスタンスPではなくCGRPが、インスリン分泌を調節する
長寿命TRPV1突然変異体マウスは、グルコース負荷後のインスリン分泌増加により改善されたグルコース恒常性を含む若々しい代謝プログラムを享受する。DRGニューロンは、膵β細胞を神経支配する高密度網目構造を形成するため(Akibaら、Biochem. Biophys. Res. Commun.321巻:219〜225頁、2004年;Razaviら、Autoimmune Diabetes. Cell 127巻:1123〜1135頁、2006年)、DRG内のTRPV1ニューロンが、膵β細胞からのインスリン放出を阻害する因子を分泌し、これにより、正確なインスリン恒常性を確立し得ることが仮定された。さらに、CRTC1局在は、TRPV1ニューロンにおいて変更されるため、DRGにおけるTRPV1ニューロンから生じる分泌された因子(複数可)は、CRTC1/CREBによる転写制御下に置かれ得る。DRGニューロン内のCREB調節遺伝子の解析において、それぞれ2種のTRPV1分泌ニューロペプチド、CGRPおよびサブスタンスPの前駆体である、カルシトニン関連ポリペプチドα(calca)およびタキキニン1(tac1)転写産物の誘導は、TRPV1突然変異体マウスにおいて低下した(図14E)。したがって、本出願人らは、サブスタンスPまたはCGRPのいずれが、膵β細胞からのインスリン分泌に影響し得るか尋ねた。
膵β細胞グルコース媒介性インスリン放出を模倣するために、マウスインスリノーマMIN6細胞を使用した(Huisingら、Proc. Natl. Acad. Sci.107巻:912〜917頁、2010年)。16.8mMのグルコースにより刺激されると、MIN6細胞は、最大150ng/mlのインスリンを放出する。しかし、同じ細胞が、アミノ酸レベルで殆ど同一である(Emesonら、Nature 341巻:76〜80頁、1989年)組換えラットα−CGRPまたはβ−CGRPのいずれかの100nM〜500nMの間に及ぶ用量で処置されると(図15A、15B)、インスリン放出は大幅に鈍った。特に100nMのα−CGRP処置は、インスリン放出を46%も有意に低下させ、500nMのβ−CGRPは、最大インスリン応答の58%も低下させた。ヒトα−CGRPも、より少ない程度ではあるが、インスリン応答の有意な遮断を示した(図16A)。さらに、100nM〜500nMサブスタンスPによる処置は、MIN6細胞のインスリン分泌を変更せず、インスリン分泌におけるCGRPの効果が、CGRP受容体によって特異的に媒介されることを示唆する(図15C)。興味深いことに、エキセンディン4による負荷後に観察される通り、CGRPは、インクレチンによる高グルコース下のグルコース刺激インスリン分泌の増強を阻害しなかった(図16B)。これらのデータは、CGRPが、膵β細胞からのグルコース媒介性インスリン分泌を阻害するという以前の観察を確認する(Ahrenら、Diabetologia 30巻:354〜359頁、1987年;Kogireら、Pancreas 6巻:459〜463頁、1991年)。
結果:CGRP恒常性が、代謝的健康をモジュレートする
2型糖尿病の病態形成は、低度炎症を含み、これは、TRPV1ニューロンを連続的に刺激し、したがって、CGRP放出および炎症性応答の増悪を推定的に持続し得る(SuriおよびSzallasi、2008年)。これらの結果と一貫して、TRPV1突然変異体マウス由来の脳および筋肉組織におけるケモカインおよび炎症促進性遺伝子を含むより低レベルの炎症性マーカーに向かう傾向が観察された(図16C)。同様に、加齢は、慢性低度炎症をもたらし(Woodsら、Aging Dis.3巻:130〜140頁、2011年)、循環CGRPのレベル増加が高齢ラットにおいて検出される。総合すると、循環CGRPのレベル減少は、代謝性機能改善および長寿に有益となり得るが、高レベルは、有害となり得る。この仮説を検査するために、対照およびTRPV1突然変異体マウスにおける血清中の循環CGRPレベルを測定した(図15D)。ラットにおいて観察される通り、CGRPの血清レベルは、WTマウスにおいて年齢と共に42%増加する(6ヶ月vs24ヶ月)。しかし、この増加は、TRPV1突然変異体マウスにおいて遮断された。実際に、CGRPレベルは、若齢および老齢TRPV1突然変異体マウスの間で未変化のままである。
CGRP増加が、より老齢の動物の健康に有害となり得るか尋ねるために、本出願人らは、CGRP恒常性を回復させる試みにおいて、老齢野生型マウスに、CGRP受容体アンタゴニスト、CGRP8−37を負荷した(Poynerら、Br. J. Pharmacol.124巻:1659〜1666頁、1998年)(図15EおよびF)。6週間の処置後に、本出願人らは、老齢マウスが、媒体対照マウスとは反対に、そのRERによって測定される代謝の若返りを示す、夜から昼へのより若々しい代謝性概日シフトの再出現を呈することを見出した。TRPV1突然変異体マウスにおいて観察される通り、対照と比較して、CGRP8−37処置マウスにおいて酸素消費も増加した。これらのデータは、CGRP経路の薬理学的阻害が、老齢動物における代謝の若さの回復および野生型動物にとって有害な年齢に伴う天然CGRP蓄積の相殺に十分であることを示す。
考察
CRTC1/CREB経路の遺伝子操作が、C.elegansの加齢をモジュレートし、化学受容性知覚の破壊が、虫およびハエにおける寿命を延長することが示されたが、同様の機構が、哺乳動物の長寿を調節するか否かは不明であった。本明細書に示す結果は、侵害受容に決定的なイオンチャネルであるTRPV1の遺伝的欠失が、末梢感覚ニューロンにおけるCRTC1の活性を調節することにより、マウスおよびC.elegansの寿命を延長することのエビデンスを提供する。TRPV1を代謝に関連付ける既存の先例を考慮すると、このようなマウスのインスリン代謝は、掘り下げて特徴付けられた。in vivoおよびin vitroアプローチの組合せを使用して、TRPV1突然変異体動物が、軽度のインスリン抵抗性にもかかわらず、加齢を通して改善されたグルコース耐性および増加したエネルギー支出を有することが観察された。前者を除いて、これらの表現型は、このようなマウスの例外的な長寿の根底にあり得る。インスリン抵抗性が、改善されたグルコース耐性に関連する様々な長寿命マウスにおいて観察されており、したがって、必ずしも健康不良または寿命短縮の指標ではないことに留意されたい。反対に、エネルギー支出は、寿命延長に関連する推定長寿バイオマーカーとして出現した。加齢を通した改善されたエネルギー支出は、炭水化物および脂肪代謝の間のより健康的な移行を確実にすることにより、脂肪貯蔵および脂肪代謝に伴う全身性損傷を予防する。改善されたエネルギー支出と一貫して、TRPV1突然変異体マウスは、グルコース耐性および高脂肪食によって誘導される肥満に対する抵抗性に有益な効果を示す。興味深いことに、新生物リンパ系起源のがん発生率の減少は、TRPV1突然変異体マウスに観察される通り、エネルギー支出増加および寿命増加に以前に関連付けられ、エネルギー支出改善および若々しい加齢の間の関連を強化する。
CGRPは、膵臓におけるTRPV1線維から局所的に分泌されるため、本明細書のデータは、TRPV1が同様に存在し、海馬シナプス可塑性に影響する脳における役割ではなく、末梢神経系機能をモジュレートすることによる寿命におけるTRPV1の役割を支持して議論する。その上、神経膠におけるTRPV1の弱い存在は、膵島からのインスリン分泌の調節においてDRGニューロンを補助するグリア細胞の寄与の根底にある可能性がある。末梢ニューロン制御と一貫して、以前の研究は、CGRPの放出によるβ細胞におけるインスリン分泌のアンタゴナイズにおけるTRPV1ニューロンの直接的な役割を支持し、TRPV1突然変異体マウスに観察される改善された認知機能が、海馬におけるTRPV1の喪失よりもむしろ、このようなマウスにおける健康寿命改善によるものである可能性が高いことを示唆する。
ニューロンにおけるカルシウム恒常性の破壊は、加齢に伴い観察され、高度に年齢感受性の構造である加齢性海馬機能不全の文脈において実証される。TRPV1活性化は、ニューロンにおけるカルシウム流入を誘導し、CaMKおよびPKCアイソエンザイムの活性化を含むカルシウム媒介性シグナル伝達をもたらす。したがって、TRPV1シグナリングを破壊することによるカルシウムバランスの保存は、有益である可能性がある。遺伝子発現を制御するカルシウムおよびcAMP依存性経路は、セリン133におけるCREBのリン酸化および転写活性化を最終的にもたらす、多くの共通のプレーヤーおよびクロストークポイントを共有するため、そのコアクチベーターCRTC1によって調節されるCREB経路は、TRPV1シグナルを統合するために高度に可能性の高い候補を構成する。C.elegansおよびマウス一次DRGニューロンの両方における知見は、CREB転写因子のカルシウムおよびcAMP依存性、リン酸化非依存性活性化を媒介するための、カルシニューリン依存性様式で核を出入りするシャトリングにおけるCRTCの役割を強く支持する。結果は、CREB転写調節のサイレンシングが、CREB標的CGRPの合成に影響を与えることをさらに実証する。
CGRPレベルは、年齢と共に激しく増加し、β細胞からのインスリン分泌を遮断することにより、加齢に伴う2型糖尿病の発症に寄与し得る。この仮説と一貫して、低度炎症は、加齢発病T2Dに関連し、炎症促進剤は、持続的CGRP放出およびより高度な炎症状態の原因となるTRPV1ニューロンを刺激し、糖尿病増悪をもたらし得る。したがって、持続的な高CGRPレベルは、β細胞機能および代謝的健康にマイナスに影響する可能性がある。対照的に、TRPV1突然変異体マウスまたはCGRP受容体アンタゴニストCGRP8−37による薬物処置によって達成される低CGRPレベルの維持は、老齢マウスにおける若々しい代謝、加齢に伴う疾患の遅延および長寿増加に関連する。
総合すると、これらの知見は、TRPVチャネルが、複数の感覚入力を統合し、CRTC1/CREB回路を介して代謝活性を調整することにより長寿を促進する神経内分泌シグナルへとこれらを伝達する進化的に保存された系として感覚ニューロンにおいて機能することを示す。特に、これらのデータは、哺乳動物における長寿の決定的な神経内分泌調節因子ならびに予測寿命および健康寿命の可能なバイオマーカーとしてのニューロペプチドCGRPの役割を強調する。興味深いことに、30年間を超えて生きる極めて長寿命のハダカデバネズミは、DRGにおけるCGRPを天然に欠く(Parkら、J. Comp. Neurol.465巻、104〜120頁、2003年)。TRPV1および/またはCGRPの薬理学的操作は、疼痛に有用なだけではなく、グルコース恒常性および加齢を改善する可能性もある。この着想と一貫して、TRPV1ニューロンを過剰刺激し、その死の原因となり得るカプサイシンが豊富な食事は、ヒトにおける糖尿病および代謝調節不全のより低い発生率(incident)に長年関連付けられてきた(Westerterp−Plantengaら、Int. J. Obes.2005年、29巻、682〜688頁、2005年)。
(実施例6)
糖尿病動物の代謝的健康における抗CGRPアンタゴニスト抗体の効果
糖尿病動物の代謝的健康における抗CGRPアンタゴニスト抗体の効果
糖尿病動物におけるグルコースおよびインスリンの応答性、呼吸交換率ならびに酸素消費等、代謝的健康における本明細書に記載されている1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の使用について研究する。1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む組成物を使用して、糖尿病を患う対象におけるグルコース応答性、インスリン分泌および代謝的健康を増加させることができる。本明細書において、その効果について研究する。
糖尿病齧歯類モデル、例えば、BKS−DBマウスを試験のために獲得する。あるいは、齧歯類の糖尿病は、標準プロトコールに従ってストレプトゾトシン(STZ)を齧歯類に投与することにより誘導することができる。動物は、清潔環境維持管理業務に従って、温度(約24±1℃)および湿度制御環境(約50〜60%)においてほぼ定期的な明暗サイクルで、2〜5匹の群に収容される。動物は、食物および水に自由にアクセスできる。
全群に、注射により薬物媒体溶液(PBS、0.01%tween)または抗CGRP抗体溶液のいずれかを投与する。群は、薬物媒体溶液を投与されるDMモデル対照群、異なる投薬量の抗体を投与される抗CGRP抗体群を含む。加えて、糖尿病症状がない野生型動物の群に、対照媒体溶液を投与する。特に、齧歯類に静脈内注射する(10mg/kg、3mg/kgまたは1mg/kgの4901またはG1抗体)。
全動物は、消費される水および食物の量、尿の量、全般的な精神状態、活動ならびに毛色に関して密接にモニターされる。全動物は、週に1回秤量され、その経時的な生存が記録される。1、2、3、4週間目等、特異的な時点において、動物は、グルコース耐性およびグルコース応答性ならびにインスリン抵抗性に関して評価される。
5時間の絶食後に、全群における絶食動物の血液試料を、尾静脈から得る。グルコース耐性検査(GTT)も行って、動物のグルコース耐性およびグルコース応答性を評価する。全群由来の動物に、グルコース溶液(2g/kg体重)を腹腔内投与する。全群における血液試料は、グルコース溶液投与後0時(グルコース投与前)、15分、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間および2.5時間目に尾静脈から得られる。グルコースの血清/血漿レベルが測定される。インスリン耐性検査(ITT)のため、5時間絶食した齧歯類に、1u/kgのヒトインスリンを注射し、GTTと同様にグルコースを測定する。Jordenら、2011年に以前に記載された通りに、肝臓および筋肉組織におけるインスリン刺激シグナリングを行う。グルコースおよびインスリンレベルの絶食時血清/血漿レベル、ならびにGTTおよびITT検査の両方における各時点のこれらのレベルを測定する。呼吸交換率(RER)解析および酸素消費を評価する。動物の寿命も記録および比較する。
抗CGRPアンタゴニスト抗体が、糖尿病動物における代謝的健康を改善し、長寿を増加させるであろうことが予想される。
(実施例7)
糖尿病動物の代謝的健康における抗CGRPアンタゴニスト抗体およびTRPV−1阻害の比較
(実施例7)
糖尿病動物の代謝的健康における抗CGRPアンタゴニスト抗体およびTRPV−1阻害の比較
糖尿病動物におけるインスリン分泌ならびにグルコースレベルおよび耐性等、代謝的健康における本明細書に記載されている抗CGRPアンタゴニスト抗体およびTRPV−1阻害の効果の差について研究する。本明細書において、その効果について研究する。
糖尿病齧歯類モデル、例えば、BKS−DBマウスを使用することができる。あるいは、齧歯類の糖尿病は、標準プロトコールに従ってストレプトゾトシン(STZ)を齧歯類に投与することにより誘導することができる。動物は、清潔環境維持管理業務に従って、温度(約24±1℃)および湿度制御環境(約50〜60%)においてほぼ定期的な明暗サイクルで、2〜5匹の群に収容される。動物は、食物および水に自由にアクセスできる。
糖尿病マウスの群に、注射により抗CGRP抗体またはカプサゼピン(TRPV−1アンタゴニスト)のいずれかを含有する薬物媒体溶液(PBS、0.01%tween)を投与する。比較のため、糖尿病症状がない野生型動物の群に、同様の処置を与える。全動物は、消費される水および食物の量、尿の量、全般的な精神状態、活動ならびに毛色に関して密接にモニターされる。全動物は、週に1回秤量される。1、2、3、4週間目等、特異的な時点において、動物は、グルコース耐性およびグルコース応答性ならびにインスリン抵抗性に関して評価される。
5時間の絶食後に、全群における絶食動物の血液試料を、尾静脈から得る。グルコース耐性検査(GTT)も行って、動物のグルコース耐性およびグルコース応答性を評価する。全群由来の動物に、グルコース溶液(2g/kg体重)を腹腔内投与する。全群における血液試料は、グルコース溶液投与後0時(グルコース投与前)、15分、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間および2.5時間目に尾静脈から得られる。グルコースの血清/血漿レベルが測定される。インスリン耐性検査(ITT)のため、5時間絶食した齧歯類に、1u/kgのヒトインスリンを注射し、GTTと同様にグルコースを測定する。Jordenら、2011年に以前に記載された通りに、肝臓および筋肉組織におけるインスリン刺激シグナリングを行う。グルコースおよびインスリンレベルの絶食時血清/血漿レベル、ならびにGTTおよびITT検査の両方における各時点のこれらのレベルを測定する。呼吸交換率(RER)解析および酸素消費を評価する。動物の寿命も記録および比較する。
(実施例8)
糖尿病動物の代謝的健康および長寿における異なる抗CGRPアンタゴニスト抗体の比較
(実施例8)
糖尿病動物の代謝的健康および長寿における異なる抗CGRPアンタゴニスト抗体の比較
糖尿病動物のインスリン分泌ならびにグルコースレベルおよび耐性における、異なる供給源およびベンダーから得られる抗CGRPアンタゴニスト抗体の効果の差について研究する。本明細書において、その効果について研究する。
糖尿病齧歯類モデル、例えば、BKS−DBマウスを使用することができる。あるいは、齧歯類の糖尿病は、標準プロトコールに従ってストレプトゾトシン(STZ)を齧歯類に投与することにより誘導することができる。動物は、清潔環境維持管理業務に従って、温度(約24±1℃)および湿度制御環境(約50〜60%)においてほぼ定期的な明暗サイクルで、2〜5匹の群に収容される。動物は、食物および水に自由にアクセスできる。
群に、注射により抗CGRP抗体G1(本明細書に記載されている)、ALD403(Alder BioPharmaceuticals製の抗CGRP抗体)またはLY2951742(Arteaus Therapeutics製の抗CGRP抗体)を含有する薬物媒体溶液(PBS、0.01%tween)を投与する。抗体は、異なる濃度で投与することができる。比較のため、糖尿病症状がない野生型動物の群に、同様の処置を与える。全動物は、消費される水および食物の量、尿の量、全般的な精神状態、活動ならびに毛色に関して密接にモニターされる。全動物は、週に1回秤量される。1、2、3、4週間目等、特異的な時点において、動物は、グルコース耐性およびグルコース応答性ならびにインスリン抵抗性に関して評価される。呼吸交換率(RER)解析および酸素消費を評価する。動物の寿命も記録および比較する。
5時間の絶食後に、全群における絶食動物の血液試料を、尾静脈から得る。グルコース耐性検査(GTT)も行って、動物のグルコース耐性およびグルコース応答性を評価する。全群由来の動物に、グルコース溶液(2g/kg体重)を腹腔内投与する。全群における血液試料は、グルコース溶液投与後0時(グルコース投与前)、15分、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間および2.5時間目に尾静脈から得られる。グルコースの血清/血漿レベルが測定される。インスリン耐性検査(ITT)のため、5時間絶食した齧歯類に、1u/kgのヒトインスリンを注射し、GTTと同様にグルコースを測定する。Jordenら、2011年に以前に記載された通りに、肝臓および筋肉組織におけるインスリン刺激シグナリングを行う。グルコースおよびインスリンレベルの絶食時血清/血漿レベル、ならびにGTTおよびITT検査の両方における各時点のこれらのレベルを測定する。
全ての抗CGRPアンタゴニスト抗体が、糖尿病動物におけるグルコースおよびインスリン耐性および応答性の増加等、代謝的健康を促進し、動物の寿命を増加させるであろうことが予想される。
(実施例9)
糖尿病ヒトにおける抗CGRPアンタゴニスト抗体の効果
(実施例9)
糖尿病ヒトにおける抗CGRPアンタゴニスト抗体の効果
糖尿病患者の代謝的健康における本明細書に記載されている抗CGRPアンタゴニスト抗体の使用について研究する。糖尿病患者の群を、試験のために登録する。全患者は、同様の食事および運動習慣、年齢および/または体重を有する。各患者の体重を毎日モニターする。全患者に、注射によってプラセボまたは抗CGRP抗体溶液のいずれかを投与する。
各患者に、少なくとも約225mgの抗CGRPアンタゴニスト抗体の用量を投与する。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、少なくとも約150mg/mLの濃度の液体製剤として供給される。用量は、対象の身体の上腕後部への皮下注射として投与される。あるいは、用量は、静脈内注入により対象に与えることができる。かかる事例において、5.85mLの150mg/mL抗CGRP抗体は、バッグ内の総容量130mLに対しIVバッグにおいて0.9%塩化ナトリウム溶液(通常の生理食塩水)と組み合わせることができる。約100mLのIVバッグ容量は、総用量225mgに対し1時間の経過にわたり対象に静脈内注入することができる。投薬を反復する。全患者に、消費される水および食物の量、尿の量、全般的な精神状態および活動を毎日記録するように求める。8〜12時間の絶食後に、全群における絶食患者の血液試料を、ベースライン(抗体またはプラセボ投与前)および生理食塩水または薬物投与後の特異的な時点で得る。グルコースの絶食時血清/血漿レベルが測定される。グルコース耐性検査(GTT)およびインスリン抵抗性検査も行って、疾患の改善を評価する。
本開示の実施形態を本明細書に示し記載してきたが、かかる実施形態が、単なる一例として提供されていることが当業者には明らかであろう。そこで、当業者であれば、本発明から逸脱することなく多数の変種、変更および置換を思い付くであろう。本発明の実施において、本明細書に記載されている実施形態の様々な代替を用いることができることを理解されたい。次の特許請求の範囲が、本発明の範囲を定義し、かかる特許請求の範囲内の方法および構造ならびにこれらの均等物が、これにより包含されることが意図されている。
Claims (27)
- 代謝障害を患う対象に、治療有効量の1種または複数の抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト抗体を投与するステップを含む、代謝障害を処置するための方法。
- 前記代謝障害が、体重増加、糖尿病および/または心血管疾患である、請求項1に記載の方法。
- 前記代謝障害が、糖尿病である、請求項1に記載の方法。
- 前記代謝障害が、インスリン分泌の阻害によって特徴付けられる障害である、請求項1に記載の方法。
- 前記対象が、前記投与後にインスリン分泌増加、グルコース耐性増加および長寿増加を示す、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記抗体が、ヒトまたはヒト化抗体である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記対象が、ヒトである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、37℃における表面プラズモン共鳴によって測定される50nMまたはそれ未満のKDで、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に結合する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、in vivoで少なくとも7日間の半減期を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、CGRPのC末端領域に特異的に結合する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、配列GSKAF(配列番号48)によって規定されるエピトープを特異的に認識する、請求項11に記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、配列番号1または155に示すアミノ酸配列を有するVHドメインを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、配列番号2または156に示すアミノ酸配列を有するVLドメインを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、(a)配列番号3、33もしくは170に表記されているCDR H1;配列番号4もしくは171に表記されているCDR H2;配列番号5に表記されているCDR H3;配列番号6に表記されているCDR L1;配列番号7に表記されているCDR L2;および配列番号8に表記されているCDR L3;(b)配列番号157、172もしくは173に表記されているCDR H1;配列番号22もしくは174に表記されているCDR H2;配列番号159に表記されているCDR H3;配列番号160に表記されているCDR L1;配列番号161に表記されているCDR L2;および配列番号162に表記されているCDR L3;または(c)表6に示す(a)に従った抗体のバリアントを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するVHドメインと、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するVLドメインとを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、ATCC受託番号PTA−6867および/またはPTA−6866を有する発現ベクターによって産生される、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、C末端リシンを有するまたは有さない、配列番号11に示す抗体G1重鎖完全抗体アミノ酸配列;および配列番号12に示す抗体G1軽鎖完全抗体アミノ酸配列を含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、配列番号165に示す抗体G2重鎖完全抗体アミノ酸配列;および配列番号166に示す抗体G2軽鎖完全抗体アミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体が、末梢に投与される、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
- 前記抗CGRPアンタゴニスト抗体が、経口、舌下、吸入により、経皮、皮下、静脈内、動脈内、関節内、関節周囲、局所的および/または筋肉内投与される、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体が、皮下または静脈内投与される、請求項21に記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体が、投与の際に末梢に作用する、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体のうち少なくとも1種が、(a)CGRPに結合する;(b)CGRPがその受容体に結合するのを遮断する;(c)CGRP受容体活性化を遮断もしくは減少させる;(d)CGRPの生物学的活性を阻害、遮断、抑制もしくは低下させる;(e)CGRPのクリアランスを増加させる;および/または(g)CGRP合成、産生もしくは放出を阻害する、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
- 前記1種または複数の抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与が、血清グルコースを少なくとも10%低下させる、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
- 前記対象が、126mg/dlを上回る血中グルコースレベルを有する、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
- 前記対象が、末梢血管疾患および/または末梢性ニューロパチーを有していない、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
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- 2016-10-11 US US15/290,869 patent/US20170037117A1/en not_active Abandoned
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