長年の特許法の慣習にしたがって、「1(a)」及び「1(an)」という語は、請求項を含めて本明細書で含むこと(comprising)という語に合わせて用いられる場合、「1または複数」を意味する。本発明のいくつかの実施形態は、1つ以上の本発明の構成要素、方法工程、及び/又は方法からなってもよく、又は本質的にそれらからなってもよい。本明細書に記載のいずれの方法又は組成物は、開示された本明細書実施形態に記載の他の方法又は組成物のいずれに対しても実行でき、それでもやはり本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様又は類似の結果を獲得できることが企図される。
サバイビンは、幅広く発現される腫瘍関連抗原であり、がん細胞において非常に重要な機能を発揮する。しかし、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)を用いてこの抗原を標的にする免疫療法は、同種異系HLAミスマッチTCRレパトアから単離された高アビディティーサバイビン特異的TCRを発現するT細胞において見られる「同胞殺し」活性が障害となってきた。本明細書において、自己TCRレパトアからもとにした場合、インビトロ及び生体内で抗腫瘍活性をもつ一方で同胞殺し傷害性がないHLA−A2−拘束性サバイビン特異的TCRが単離できることが示されている。この選択的活性の基本機序を理解するために、アラニンスキャニングが行なわれ、自己TCRは、「同胞殺し」TCRに比べて、サバイビンペプチドとの相互作用がより特異的であることが明らかとなった。よって、最大限のペプチド認識がTCR選択性に肝要であり、不必要なオフターゲット(off-target)傷害性を軽減するのに非常に重要である可能性がある。この方法は、選択的抗腫瘍活性をもつと思われる他の共通腫瘍/自己抗原特異的TCRを同定及び選択するのにように適応されうる。
I.例示的なサバイビン特異的T細胞受容体
本開示は特定のアルファ鎖及びベータ鎖をもつT細胞受容体(TCR)に関し、そのT細胞はサバイビン抗原に特異的である。特定の態様では、受容体は人の手によって遺伝子操作された受容体である。特定の実施形態では、受容体は遺伝子を組み換えて作られ、T細胞などの免疫細胞に発現する。受容体はがん細胞上のサバイビン抗原を認識することができ、具体的な実施形態では、受容体は非がん細胞上のサバイビン抗原を認識しないか、又はがん細胞と比較して低いレベルで該抗原を認識する。
具体的な実施形態では、TCRは、配列番号1を含むアルファ鎖又はその機能的断片若しくは機能的誘導体を含む。具体的な実施形態では、TCRは、配列番号2を含むベータ鎖又はその機能的断片若しくは機能的誘導体を含む。具体的な実施形態では、TCRは、配列番号1を含むアルファ鎖又はその機能的断片若しくは機能的誘導体及び配列番号2を含むベータ鎖又はその機能的断片若しくは機能的誘導体の両方を含む。
本開示の実施形態では、T細胞受容体は、サバイビンの1つ以上のエピトープと結合する。エピトープはいずれの種類であってもよいが、具体的な実施形態では、エピトープは、配列番号15若しくは配列番号16又はその機能的断片を含むその断片を含み、それから成り、又は本質的にそれから成る。特定の実施形態では、本開示のT細胞受容体によって認識されるエピトープは配列番号15若しくは配列番号16又はその断片、例えば、その機能的断片であるか、それに少なくとも70、75、77、80、85、88、90、91、91、95、97、又は99%同一である。エピトープは、配列番号15又は配列番号16に関してN末端及び/又はC末端の伸長又はトランケーションを有しうる。そのようなN末端及び/又はC末端の伸長は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個以上のアミノ酸でありうる。そのようなN末端及び/又はC末端のトランケーションは、1、2、3、4、又は5個以上のアミノ酸でありうる。本開示のTCRは、配列番号15又は配列番号16と比較して特定の残基に1、2、3、4、又は5つ以上の変更があるサバイビンエピトープと結合できうる。具体的な実施形態では、配列番号15のLeu4、Gly5、及び/又はPhe7は変更されないが、代替的な実施形態では、それらの1つ以上が変更される。
A.タンパク質性組成物、一般
ある実施形態では、本発明は少なくとも1つのタンパク質性分子を含む新規のTCR組成物に関する。本明細書で使用される場合、「タンパク質性分子」、「タンパク質性組成物」、「タンパク質性化合物」、「タンパク質性鎖」、又は「タンパク質性材料」は一般に、限定はされないが、約200個を超えるアミノ酸若しくは遺伝子から翻訳された全長内在配列のタンパク質、約100個を超えるアミノ酸のポリペプチド、及び/又は約3〜約100個のアミノ酸のペプチドを指す。上記の「タンパク質性」用語はすべて、本明細書において互換可能に用いられうる。
ある実施形態では、少なくとも1つのタンパク質性分子の大きさは、限定されないが、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約275、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、約500、約525、約550、約575、約600、約625、約650、約675、約700、約725、約750、約775、約800、約825、約850、約875、約900、約925、約950、約975、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1750、約2000、約2250、又は約2500個以上のアミノ分子残基及びそこから導き出せるいずれの範囲を含みうる。
本明細書で使用される場合、「アミノ分子」は、当業者に公知と思われるいずれのアミノ酸、アミノ酸誘導体又はアミノ酸模倣体を指す。ある実施形態では、非アミノ分子がアミノ分子残基の配列を少しも割り込むことなく、タンパク質性分子の残基は連続的である。その他の実施形態では、配列は1つ以上の非アミノ分子部分を含んでいてもよい。特定の実施形態では、タンパク質性分子の残基の配列は1つ以上の非アミノ分子部分によって割り込まれてもよい。
したがって、「タンパク質性組成物」という用語は、うち少なくとも1つの、天然に合成されたタンパク質の20個の一般的なアミノ酸又は少なくとも1つの修飾アミノ酸若しくは異常(unusual)アミノ酸を含むアミノ分子配列を包含する。
ある実施形態では、タンパク質性組成物は、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを含む。さらなる実施形態では、タンパク質性組成物は、生体適合性のタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを含む。本明細書で使用される場合、「生体適合性の」という用語は、本明細書に記載の方法及び量に従って所与の生物に適用又は投与されたとき、著しい悪い影響を及ぼさない物質を指す。
生物としては、限定されないが、以下が挙げられ、そのような悪影響又は望ましくない影響が著しい傷害性又は有害な免疫反応などのものである。好ましい実施形態では、組成物を含有する生体適合性のタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドは一般に各々、毒素、病原体、及び有害な免疫原が本質的に存在しない哺乳類タンパク質若しくはペプチド又は合成タンパク質若しくはペプチドあることになる。
タンパク質性組成物は、標準的な分子生物学的手法を通したタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドの発現、天然源からのタンパク質性化合物の単離、又はタンパク質性材料の化学合成を含む、当業者に公知のいずれかの手法によって作られうる。様々な遺伝子に関するヌクレオチド配列並びにタンパク質、ポリペプチド、及びペプチド配列がこれまで開示されてきており、当業者に公知のコンピューター化されたデータベースで見られうる。1つのそのようなデータベースは、国立生物工学情報センターのジェンバンク(登録商標)及びGenPept(登録商標)データベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)である。これらの既知遺伝子のコード領域は、本明細書において開示される手法又は当業者に公知であろう手法を用いて増幅及び/又は発現しうる。代替的に、多様なタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドの市販調製品が当業者に公知である。
ある実施形態では、タンパク質性化合物は精製されうる。一般に、「精製された」とは、分画に供されて、さまざまな他のタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを除去した特定の組成物又はタンパク質、ポリペプチド、若しくはペプチ組成物を指すことになり、その組成物は、その特定又は所望のタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドについて当業者に公知であると思われる、例えば、タンパク質アッセイによって評価されたとき、その活性を実質的に保持する。
構成要素を含有する事実上いずれのタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドでも、本明細書に開示の組成物及び方法に使用されうることが企図される。しかし、タンパク質性材料は生体適合性であることが好ましい。ある実施形態では、組成物がより正確且つ容易に組織に適用でき、手順全体を通して組織と接触して維持できるという点で、より粘性のある組成物の形成が有利であろうことが想定される。そのようなケースでは、ペプチド組成物、又はより好ましくは、ポリペプチド若しくはタンパク質組成物に使用が企図される。粘度の範囲としては約40〜約100ポアズが挙げられるが、これに限定されない。ある態様では、約80〜約100ポアズの粘度が好ましい。
本発明での使用に適したタンパク質及びペプチドは自己由来タンパク質又はペプチドでありうる。しかし、本発明がそのような自己由来タンパク質の使用に限定されないことは明らかである。本明細書で使用される場合、「自己由来タンパク質、ポリペプチド、又はペプチド」という用語は、生物に由来する又は生物から得られるタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを指し、該生物は好ましくは、選ばれた動物又はヒト対象である。次に、「自己由来タンパク質、ポリペプチド、又はペプチド」は、選ばれた動物又はヒト対象への適用を意図された組成物の構成要素として使用されうる。ある態様では、自己由来のタンパク質又はペプチドが、例えば、選ばれた提供者の全血漿から調製される。その血漿はチューブに入れられ、約−80℃の冷凍庫に少なくとも約12時間に置かれた後、約12,000倍gで約15分間遠心分離して沈殿物を得る。フィブリノゲンなどの沈殿物は最長で約1年間で保存されうる(Oz、1990)。
B.生物学的機能等価物
類似の特徴又は向上した特徴をもつ分子を得る間に、修正及び/又は変更が本発明によるTCRポリヌクレオチド及び/又はタンパク質の構造になされうるので、そのような生物学的に機能が等価な物ものもまた、本発明内に包含される。
本開示は、それぞれ配列番号1及び配列番号2の断片及び/又は誘導体であるTCRアルファ鎖及びベータ鎖を提供する。そのような断片及び/又は誘導体は、それぞれ配列番号1及び配列番号2の活性を維持することになる。特定の実施形態では、全体として、TCRの一部としての断片及び/又は誘導体は選択的抗腫瘍活性を提供する。
1.修飾ポリヌクレオチド及びポリペプチド
生物学的機能等価物は、「野生型」又は標準タンパク質をコードする能力を同時に保持しつつ異なる配列を含有するよう遺伝子操作されたポリヌクレオチドを含みうる。これは、同じアミノ酸をコードする遺伝コードの縮重、すなわち、複数のコドンの存在に関して達成できる。1つの例では、当業者は、タンパク質をコードするそのポリヌクレオチドの能力を妨げずに、制限酵素認識配列をポリヌクレオチドに導入したいと望むかもしれない。
別の例では、ポリヌクレオチドは、より重要な変更をもつ生物学的機能等価物でありうる(及びコードしうる)。あるアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域、基質分子の結合部位、受容体などの構造体との相互作用的な結合能を明らかに感知できるほど失うことなく、タンパク質構造において他のアミノ酸に置換されうる。いわゆる「保存的」変更は、その構造変化がタンパク質の設計された機能を実行する能力に影響を与えるものではないのでタンパク質の生物学的活性を乱さない。よって、さまざまな変更が、本発明の目的を依然として実現させつつ、本明細書に開示の遺伝子及びタンパク質の配列においてなされうることが発明者によって企図される。
機能等価物という点で、許容可能なレベルの等価な生物学的活性をもつ分子を保持しつつ、分子の画定された部分内になされうる変更の数に制限があるという概念が「生物学的機能等価な」タンパク質及び/又はポリヌクレオチドの定義に本来備わっていることが当業者によって理解される。よって生物学的機能等価物は、選ばれたアミノ酸(又はコドン)のタンパク質(及びポリヌクレオチド)が置換されうるように本明細書において定義される。具体的な実施形態では、機能活性としては、同胞殺し効果又は正常造血幹細胞/前駆細胞に対する傷害性を生じない活性を含む選択的抗腫瘍活性が挙げられる。特定の実施形態では、機能活性は自己傷害性がない。ある態様では、機能活性は自己組織上のサバイビンと腫瘍関連サバイビン発現との識別を可能にし、「オンターゲット オフ腫瘍」活性なしに抗腫瘍反応性を選択的に仲介する。
一般に、分子長が短いほど、機能を維持しつつ分子内に可能である変更は少ない。より長い領域には、中間の数(intermediate number)の変更がなされうる。全長タンパク質はより多くの数の変更に最も寛容であろう。しかし、その構造に大きく依存するあるいくつかの分子又は領域は、ほとんど又は全く修飾に寛容がない場合があることが理解されなければならない。
アミノ酸置換は一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性、例えば、その疎水性、親水性、電荷、サイズ及び/又は同種のものに基づく。アミノ酸側鎖置換基のサイズ、形状、及び/又は種類の分析は、アルギニン、リジン、及び/若しくはヒスチジンはすべて正の電荷をもつ残基であり、アラニン、グリシン、及び/若しくはセリンはすべて同様のサイズであり、並びに/又はフェニルアラニン、トリプトファン、及び/若しくはチロシンはすべて、概して同様の形状をもつことを明らかにする。したがって、これらの考慮に基づいて、アルギニン、リジン、及び/若しくはヒスチジン、アラニン、グリシン、及び/若しくはセリン、並びに/又はフェニルアラニン、トリプトファン、及び/若しくはチロシンが、本明細書において生物学的機能等価物として定義される。
より定量的変更をもたらすために、アミノ酸のハイドロパシーインデックス(hydropathic index)が考慮されうる。各アミノ酸にはその疎水性及び/又は電荷特性に基づいてハイドロパシーインデックスが付与されており、それらは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(0.4);トレオニン(0.7);セリン(0.8);トリプトファン(0.9);チロシン(1.3);プロリン(1.6);ヒスチジン(3.2);グルタミン酸(3.5);グルタミン(3.5);アスパラギン酸(3.5);アスパラギン(3.5);リジン(3.9);及び/又はアルギニン(4.5)である。
相互作用的な生物学的機能タンパク質に付与する際のハイドロパシーアミノ酸インデックス(hydropathic amino acid index)の重要性は一般に当該技術分野において理解されている(Kyte & Doolittle, 1982、参照により本願明細書に組み込まれる)。あるアミノ酸が、同様のハイドロパシーインデックス及び/若しくはスコアをもつ他のアミノ酸に置換され、且つ/又はそれでもなお生物学的活性を保持しうることが知られている。ハイドロパシーインデックスに基づいて変更するとき、そのハイドロパシーインデックスが±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、且つ/又は±0.5以内のものがさらに特に好ましい。
特に、その置換によって作られる生物学的機能等価タンパク質及び/又はペプチドが、本発明のある実施形態のように免疫に関する実施形態での使用を意図される場合、類似アミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的になされうることが当該技術分野においてまた理解される。米国特許第4,554,101号は、参照により本願明細書に組み込まれ、その隣接するアミノ酸の親水性によって左右されるタンパク質の最大局所平均親水性が、その免疫原性及び/又は抗原性、すなわち、タンパク質の生物学的性質と相関することを述べている。
米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に付与されている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(0.5);ヒスチジン(0.5);システイン(1.0);メチオニン(1.3);バリン(1.5);ロイシン(1.8);イソロイシン(1.8);チロシン(2.3);フェニルアラニン(2.5);トリプトファン(3.4)。類似の親水性値に基づいて変更するとき、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、且つ/又は±0.5以内のものがさらに特に好ましい。
2.改変アミノ酸
態様では、本発明は適切なポリヌクレオチドの転写及び翻訳を介した細胞質(cyto)でのペプチド及びポリペプチドの合成に依存する。これらのペプチド及びポリペプチドは、20個の「天然」アミノ酸及びその翻訳後修飾を含むことになる。しかし、インビトロペプチド合成は、修飾アミノ酸及び/又は異常アミノ酸の使用を許容する。限定しないが、例示的な修飾アミノ酸及び/又は異常アミノ酸は次の通りである:2−アミノアジピン酸、N−エチルアスパラギン、3−アミノアジピン酸、ヒドロキシリシン、β−アラニン、ベータ−アミノ−プロピオン酸、アロ−ヒドロキシリシン、2−アミノ酪酸、3−ヒドロキシプロリン、4−アミノ酪酸、ピペリジン酸、4−ヒドロキシプロリン、6−アミノカプロン酸、イソデスモシン、2−アミノヘプタン酸、アロ−イソロイシン、2−アミノイソ酪酸、N−メチルグリシン、サルコシン、3−アミノイソ酪酸、N−メチルイソロイシン、2−アミノピメリン酸、6−N−メチルリジン、2,4−ジアミノ酪酸、N−メチルバリン、デスモシン、ノルバリン、2,2’−ジアミノピメリン酸、ノルロイシン、2,3−ジアミノプロピオン酸、オルニチン、及びN−エチルグリシン。
3.模倣体
上記で論じられた生物学的機能等価物に加えて、本発明の発明者はまた、構造的に類似した化合物が本発明のペプチド又はポリペプチドの重要な部分を模倣するのに調合されうることを企図する。そのような化合物はペプチド模倣体と呼ばれることがあり、本発明のペプチドと同じように使用されうる。故に機能等価物でもある。
タンパク質二次及び三次構造の構成要素を模倣するあるいくかの模倣体が、Johnson et al. (1993)に記載されている。ペプチド模倣体の使用の背後にある基本的な理論的根拠は、タンパク質のペプチド主鎖が、主として、抗体及び/又は抗原の分子相互作用などの分子相互作用を容易にするようにアミノ酸側鎖を配向するために存在することである。よって、ペプチド模倣体は天然の分子に類似した分子相互作用を許容するように設計されている。
ペプチド模倣体概念のいくつかの成功した用途では、抗原性が高いことが知られている、タンパク質内のβターンの模倣体が注目されている。おそらく、ポリペプチド内のβターン構造は、本明細書で論じられるコンピューターに基づいたアルゴリズムによって予想できる。いったんそのターンの構成アミノ酸が決定されると、模倣体が構築されてアミノ酸側鎖の必須要素の類似空間配向を達成できる。
他の方法では、大きいタンパク質の結合部位を模倣する生物学的活性コンフォメーションを作るための魅力的な構造鋳型として、小さい、複数のジスルフィドを含有するタンパク質の使用が注目されている。Vita et al. (1998)。あるいくつかの毒素の進化的に保存されていると思われる構造モチーフは、小さく(30〜40個のアミノ酸)、安定で、容易に変異を入れることができる。このモチーフは、3つのジスルフィドによって内部コア内で架橋されたベータシート及びアルファヘリックスから構成される。
ベータIIターンは、環式L−ペンタペプチド及びD−アミノ酸をもつものを用いて成功裡に模倣されている。Weisshoff et al. (1999)。また、Johannesson et al. (1999)は、特性を含めて逆向ターンをもつ二環式トリペプチドについて報告している。
特有の構造を作る方法が当該技術分野で開示されている。例えば、アルファヘリックス模倣体は、米国特許第5,446,128号;同第5,710,245号;同第5,840,833号;及び同第5,859,184号に開示されている。これらの構造は、ペプチド又はタンパク質をより熱的に安定にし、タンパク質分解に対する耐性も増加させる。6員環、7員環、11員環、12員環、13員環、及び14員環構造が開示されている。
立体配座的に拘束された(conformationally restricted)ベータターン及びベータバルジを作る方法が、例えば、米国特許第5,440,013号;同第5,618,914号;及び同第5,670,155号に記載されている。ベータターンは、対応するする主鎖コンフォメーションにおける変化を有することなく、側鎖置換基を許容し、標準的な合成手順によってペプチドに組み込むための適切な末端をもつ。他のタイプの模倣ターンとして、逆向ターン及びガンマターンが挙げられる。逆向ターン模倣体は米国特許第5,475,085号及び同第5,929,237号に開示され、ガンマターン模倣体は米国特許第5,672,681号及び同第5,674,976号に記載されている。
4.具体的な実施形態
マウス由来のTCRアルファ及びTCRベータのベータ鎖、アルファ鎖、複数のフレームワーク領域、複数の多様性領域、連結領域、及び定常領域を含むサバイビン特異的T細胞受容体の例が配列番号3に提供される。マウス由来のTCRアルファ及びTCRベータのベータ鎖、アルファ鎖、複数のフレームワーク領域、複数の多様性領域、連結領域、及び定常領域を含むサバイビン特異的T細胞受容体をコードするポリヌクレオチドの例が配列番号5に提供される。マウス由来のTCRアルファ及びTCRベータのベータ鎖、アルファ鎖、複数のフレームワーク領域、複数の多様性領域、複数の連結領域、及び定常領域をコードするベクターの例が配列番号4に提供される。前記ポリヌクレオチドは5’LTR及び3’LTRも含む。
II.サバイビン特異的TCRを発現する宿主細胞
本明細書で使用される場合、「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養物」という用語は互換可能に用いられうる。これらの用語はすべて、いずれのすべての次の世代である、その子孫世代も含む。意図的変異又は不測の変異のため、すべての子孫世代は全く同じではないことが理解される。異種の核酸配列を発現するという文脈で、「宿主細胞」は、ベクターを複製でき、且つ/又はベクターでコードされる異種遺伝子を発現できる真核細胞を指す。宿主細胞はベクターのレシピエントとして使用でき、そのようにされてきた。宿主細胞は「トランスフェクションする」又は「形質転換した」されうる。それは外来の核酸が宿主細胞に移入又は導入される過程を指す。形質導入された細胞は、初代対象細胞及びその子孫世代を含む。本明細書で使用される場合、"engineered" and "recombinant" 細胞又は宿主細胞という用語は、例えば、ベクターなどの外来の核酸配列が導入されている細胞を指すことが意図される。したがって、組換え細胞は、遺伝子を組み換えて導入された核酸を含有しない天然の細胞と識別される。本発明の実施形態では、宿主細胞は細胞傷害性T細胞(TC、細胞傷害性Tリンパ球、CTL、Tキラー細胞、細胞傷害性(cytolytic)T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、又はキラーT細胞としても知られる)を含むT細胞であり、NK細胞及びNKT細胞も本発明に包含される。
1つの態様では、1つ以上のTCRを発現するように遺伝子組換えされている細胞が本明細書で提供される。ある実施形態では、遺伝子組換え細胞は、例えば、Tリンパ球(T細胞)、ナチュラルキラー(NK)T細胞、又はNK細胞である。他のある実施形態では、遺伝子組換え細胞は、非免疫細胞、例えば、間葉系幹細胞(MSC)、神経幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、又は胚性幹細胞である。具体的な実施形態では、細胞はまた、遺伝子操作されたTCR又はその機能を高めうるいずれの他の遺伝子改変も含む。
ある実施形態では、RNA又はタンパク質性配列が、同一CTLなどの同一細胞の他の選ばれたRNA又はタンパク質性配列と共発現されうることが企図される。共表現は、CTLを2つ以上の異なる組換えベクターで共トランスフェクションすることによって達成されうる。代替的に、単一の組換えベクターがRNAの複数の異なるコーディング領域を含むように構築されてもよく、それは該単一ベクターでトランスフェクションされたCTLにおいて発現されうる。
いくつかのベクターは、原核細胞と真核細胞の両方でのその複製及び/又は発現を可能にする調節配列を用いうる。さらに、上記すべての宿主細胞をインキュベーションしてそれらを維持し、且つベクターの複製を許容する条件を当業者なら理解するであろう。また、大量のベクターの産生並びにベクターによってコーディングされた核酸及びその同族ポリペプチド、タンパク質、又はペプチドの産生を可能にすると思われる手法及び条件も理解され、且つ公知である。
細胞は、自己由来細胞、同系細胞、同種異系細胞であることができ、場合によっては異種細胞でもあることができる。
遺伝子組換えT細胞を殺傷できることを望むかもしれない多くの状況において、その細胞の存在後のそれらの不在が対象又は他の目的である研究では、治療を終えたい場合、その細胞は新生物となる。この目的のために、誘導可能な自殺遺伝子などの、制御された条件下で遺伝子操作された細胞を殺傷できるある特定の遺伝子産物の発現を提供できる。そのような自殺遺伝子は当技術分野で公知であり、例えば、カスパーゼ9の改変された形態が低分子、例えば、AP1903と二量体化可能であるiCaspase9システムがある。例えば、Straathof et al., Blood 105:4247-4254 (2005)を参照されたい。
さらに、本開示の医薬組成物が、本明細書で定義されるベクターで形質転換又はトランスフェクションされた宿主細胞を含むことが想定される。宿主細胞は、少なくとも1つの上記ベクター又は少なくとも1つの上記核酸分子を宿主細胞に導入することによって作製されうる。宿主内の少なくとも1つのベクター又は少なくとも1つの核酸分子の存在は、上記の特有の一本鎖抗体コンストラクトをコードする遺伝子の発現を仲介しうる。
宿主細胞に導入されている記載の核酸分子又はベクターは、宿主のゲノムに組み込まれるか、又は染色体外に維持されうるかのいずれかである。
宿主細胞はいずれの原核細胞又は真核細胞であることができ、具体的な実施形態では、宿主細胞は真核細胞である。具体的な実施形態では、宿主細胞は、細菌細胞、昆虫細胞、真菌細胞、植物細胞、又は動物細胞である。記載の宿主は、哺乳類細胞、より好ましくは、ヒト細胞又はヒト細胞株でありうることが特に想定される。特に好ましい宿主細胞は、免疫細胞、CHO細胞、COS細胞、SP2/0又はNS/0といった骨髄腫細胞株を含む。
また、本開示の医薬組成物は、活性化シグナルを細胞増殖又は細胞刺激に有用な免疫エフェクター細胞に提供できるタンパク質性化合物を含みうる。本開示を踏まえると、活性化シグナルを免疫エフェクター細胞に提供する「タンパク質性化合物」は、例えば、T細胞に対するさらなる活性化シグナル(例えば、さらなる共刺激分子:B7ファミリーの分子、OX40L、4−1BBL)、又はさらなるサイトカイン:インターロイキン(例えば、IL−2、IL−7、若しくはIL−15)、又はNKG−2D結合(engaging)化合物でありうる。また、タンパク質性化合物は活性化シグナルを非T細胞である免疫エフェクター細胞に提供しうる。非T細胞である免疫エフェクター細胞の例は、とりわけ、NK細胞、又はNKT細胞を含む。
1つの実施形態は本開示の組成物を作製するための方法に関し、該方法は、コンストラクトの発現を可能する条件下で本明細書において上記に定義される宿主細胞を培養することを含み、該細胞又は複数の細胞は個人に提供される。
TCR分子の発現を可能にする、発現コンストラクトを内部にもつ細胞を培養する条件は当技術分野で公知であり、所望の場合にコンストラクトを精製/回収する手順も同様に公知である。
1つの実施形態では、宿主細胞は、選択され、クローンされ、且つ/又は続いて養子免疫療法に使用されるT細胞の集団に導入される、選ばれた標的抗原に対するアビディティー及び反応性が高いTCRを含む遺伝子組換えT細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球)である。
III.医薬組成物
遺伝子組換え免疫細胞、例えば、遺伝子組換えサバイビン特異的TCR発現T細胞を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
本開示においては、「医薬組成物」という用語は個人に投与するための組成物に関する。好ましい実施形態では、医薬組成物は、非経口投与、経皮投与、管腔内投与、動脈内投与、髄腔内投与、若しくは静脈内投与、又はがんへの直接注入のための組成物を含む。前記医薬組成物は注入又は注射によって個人に投与されることが特に想定される。好適な組成物の投与はさまざまな方法、例えば、静脈内投与、皮下の投与、腹膜内投与、筋肉内投与、局所投与、又は皮内投与によってもたらされうる。
本開示の医薬組成物は、薬理学的に許容される担体をさらに含みうる。好適な医薬担体の例は当該技術分野で周知であり、例えば、リン酸緩衝生理食塩溶液、水、油/水エマルションなどのエマルション、さまざまな種類の湿潤剤、滅菌溶液などが挙げられる。そのような担体を含む組成物は周知の従来の方法によって調合できる。これらの医薬組成物は被験者に好適な投与量で投与できる。
投与計画は、担当医及び臨床的な因子によって決定されることになる。医療分野において周知のように、いずれの1名の患者に対する投与量は、患者の体格、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間及び経路、全身の健康状態、並びに同時に投与される他の薬を含む多くの因子に依存する。投与量の例は、体表面積1m2当たり2x107個の細胞又は体重1Kg当たり1×106個の細胞から最高で1m2当たり2×108個の細胞又は体重1Kg当たり5×106個の細胞の範囲であると推定される。これらの注入は反復されてよい。経過は定期評価によってモニターできる。
本開示のTCR細胞組成物は局所的にまたは全身的に投与されうる。投与は一般に非経口、例えば、静脈内であることになり、またDNAは、体内若しくは体外の標的部位への微粒子銃送達又は動脈内の部位へのカテーテルによって標的部位に直接投与もされうる。好ましい実施形態では、医薬組成物は皮下に投与され、さらにより好ましい実施形態では静脈内に投与される。非経口投与用の製剤としては、滅菌水溶液又は非水溶液、懸濁液、及びエマルションが挙げられる。非水溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能有機エステルである。水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルション、又は懸濁液が挙げられ、生理食塩水及び緩衝媒質を含む。非経口媒体としては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、又は不揮発性油が挙げられる。静脈内媒体としては、流体及び栄養素補充液、(リンゲルデキストロースを基にしたものなどの)電解物補充液などが挙げられる。また、例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、及び不活性ガスなどの防腐剤及び他の添加物が存在してもよい。くわえて、本開示の医薬組成物が、例えば、血清アルブミン又は免疫グロブリンといったタンパク質性担体を含みうることが推定され、ヒト由来のものが好ましい。本開示の医薬組成物は、タンパク質性二重特異性一本鎖抗体コンストラクト若しくは核酸分子又は(本開示で記載されるように)それらをコードするベクターの他に、医薬組成物の使用目的に応じてさらなる生物活性薬品を含みうることが想定される。
V.TCR及びTCRを含む宿主T細胞の治療用途
さまざまな実施形態では、本明細書で企図されるTCRコンストラクト、核酸配列、ベクター、宿主細胞及び/又はそれらを含む医薬組成物は、腫瘍性疾患などのがん性疾患の予防、治療、又は改善に使用される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、例えば、腫瘍のあるがんを含むがんを予防、改善及び/又は治療するのに特に有用である。
特定の実施形態では、治療有効量の複数の本開示のいずれかの細胞を個人に提供する工程を含む個人をがん治療する方法が本明細書において提供される。ある態様では、がんは固形腫瘍であり、腫瘍はいずれの大きさでもありうる。ある態様では、該方法は治療有効量のさらなるがん療法を個人に提供する工程をさらに含む。
本明細書において使用する場合、「治療」又は「治療すること」は、病気又は病態の症状又は病理へのいずれの有益な効果又は望ましい効果を含み、治療されている病気又は疾患、例えば、がんの1つ以上の測定可能なマーカーの減少が最小であってもそれを含みうる。治療は、随意に、病気若しくは疾患の症状の低減若しくは改善すること、又は病気若しくは疾患の進行を遅らせることを含むことができる。「治療」は必ずしも、病気若しくは疾患又はその関連症状を完全になくすことや治癒させることを示さない。
本明細書で使用される場合、「予防する」及び「予防された」、「予防すること」などの類似の語は、病気又は疾患、例えば、がんの発生又は再発の可能性を予防、阻止、又は軽減する方法を指す。また、病気又は疾患の発症若しくは再発を遅らせること又は病気又は疾患の症状の発生若しくは再発を遅らせることも指す。本明細書で使用される場合、「予防」及び類似の語はまた、病気又は疾患の発症又は再発の前の病気又は疾患の強度、影響、症状、及び/又は負荷を軽減することも含む。
特定の実施形態では、本発明は、部分的には、標準的なベクター及び/又は遺伝子送達系を用いて単独又はいずれの組み合わせで、少なくともいくつかの態様では、薬理学的に許容される担体又は賦形剤とともに投与できる細胞、TCRコンストラクト、核酸分子、及びベクターを企図する。ある実施形態では、投与に続いて、前記核酸分子又はベクターは対象のゲノムに安定に組み込まれる。
具体的な実施形態では、ある細胞又は組織の特異的であり、前記細胞に存続するウィルスベクターが使用されうる。好適な医薬担体及び賦形剤が当該技術分野において周知である。本開示に従って調製された組成物は、上記の特定された疾患を予防又は治療又は遅らせるのに使用できる。
さらに本開示は、本明細書において記載される及び/又は本明細書において記載される方法によって作られる、サバイビン特異的TCR発現細胞;TCRをコードする核酸配列;TCRをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを内部にもつ免疫細胞、例えば、T細胞又は細胞傷害性Tリンパ球の有効量を、それを必要とする対象又は個人に投与する工程を含む、腫瘍性疾患を予防、治療、又は改善する方法に関する。
例示的なTCR細胞の組成物の投与の可能性のある適応症は、腫瘍性疾患を含むがん性疾患、例えば、乳がん、前立腺がん、肺がん、及び結腸がん、又は乳がん、結腸がん、前立腺がん、頭頸部がん、皮膚がん、尿生殖路のがん、例えば、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、及び腎臓がん、肺がん、胃がん、小腸のがん、肝がん、膵がん、胆嚢がん、胆管のがん、食道がん、唾液腺のがん、及び甲状腺のがんなどの上皮性がん/上皮性悪性腫瘍である。本開示の組成物の投与は、微小残存病変、初期がん、進行がん、及び/又は転移がん及び/又は難治性がんを含むすべてのステージ及び種類のがんに有用であり、例えば、がんは病原性血管新生と関連する。
さらに本開示は、他の化合物、例えば、二重特異性抗体コンストラクト、標的毒素、又は免疫細胞を介して作用する他の化合物との共投与プロトコールを包含する。本発明の化合物の共投与に関する臨床投与計画は、他の構成要素の投与と同時、投与前、又は投与後の共投与を包含しうる。特定の併用療法としては、化学療法、放射線、手術、ホルモン療法、又は他のタイプの免疫療法が挙げられる。
療法のための特定の投与量は当該技術分野で慣用の方法を用いて決定されうる。しかし具体的な実施形態では、T細胞はそれを必要としている個人に1回送達される。一方で場合によっては複数回、例えば、2、3、4、5、6回以上である。複数回投与で投与される場合、投与間の期間の長さはいずれの好適な期間であってよく、具体的な実施形態では、投与間は数週間又は数か月(weeks or months)である。投与間の期間は単一投与計画で異なりうる。特定の実施形態では、投与間の期間は2、3、4、5、6、7、8、9、又は10週間以上である。具体的な場合では、投与間の期間は、例えば、4〜8又は6〜8 週間である。
特定の実施形態では、医薬組成物はサバイビン特異的TCRを発現する細胞を含む。有効量の細胞がそれを必要としている個人に与えられる。
実例として、がん患者又はがんを罹患しやすい患者又はがんの疑いのある患者は、次にように治療されうる。本明細書に記載されるように改変された細胞が患者に投与され、長期間保持されうる。個人は細胞の投与を1回以上受けうる。いくつかの実施形態では、遺伝子組換え細胞はカプセル封入されて免疫認識を阻み、腫瘍部位に配置される。
特定の場合では、個人は、サバイビンに特異的なTCRを含むように遺伝子操作された治療用T細胞が提供される。送達が複数回繰り返され、細胞は同一の製剤又は別個の製剤で送達されうる。細胞は個人に別々の送達経路で提供されうる。細胞は例えば、腫瘍部位での注射又は経静脈若しくは経口で送達されうる。そのような組成物のための慣用の送達経路は当技術分野において公知である。
TCRをコードする発現ベクターは1つ以上のDNA分子又はコンストラクトとして導入でき、そこにはコンストラクトを含有する宿主細胞の選択を可能にする少なくとも1つのマーカーが存在する。コンストラクトは従来のやり法で調製でき、遺伝子及び調節領域は必要に応じて単離され、ライゲーションされ、適切なクローニング宿主にクローニングされ、制限酵素又はシークエンシング又は他の簡便な手段で分析される。具体的には、PCRを用いて、機能単位の全部または一部を含む個々の断片が単離されうる。そこでは1つ以上の変異が、「プライマー修復」、ライゲーション、インビトロ突然変異誘発などを用いて適宜導入されうる。いったん完成されて、適切な配列をもつことが示されたコンストラクトは次に、いずれかの簡便な手段によってCTLに導入されうる。コンストラクトは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、又は単純ヘルペスウイルス(HSV)などといった非複製、欠陥ウイルスゲノムに組み込まれ且つパッケージされうる。例えば、細胞への感染又は形質導入のためのレトロウィルスベクターが挙げられる。所望の場合、コンストラクトはトランスフェクション用のウィルス配列を含んでもよい。代替的に、コンストラクトは、融合、エレクトロポーレーション、微粒子銃、トランスフェクション、リポフェクションなどによって導入されてもよい。宿主細胞はコンストラクトの導入前に培養で成長及び増殖し、続いてコンストラクトの導入及びコンストラクトの組み込みのために適切に処理されうる。次に、細胞を増殖させ、コンストラクトに存在するマーカーに基づいてスクリーニングされる。成功裡に使用されうるさまざまなマーカーとしては、hprt、ネオマイシン耐性、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシン耐性などが挙げられる。
場合によって、コンストラクトが特定の座に組み込まれることが望ましい場合、相同性組換えのための標的部位を有してもよい。例えば、内在遺伝子をノックアウトし、その遺伝子を(同じ座又は別の座において)、相同性組換えに関して当該技術分野で公知の材料及び方法を用いて、コンストラクトによってコードされる遺伝子で置換できる。相同性組換えのために、.OMEGA.又はO−ベクターのいずれかを使用しうる。例えば、Thomas and Capecchi, Cell (1987) 51, 503-512、Mansour, et al., Nature (1988) 336, 348-352、及びJoyner, et al., Nature (1989) 338, 153-156を参照されたい。
コンストラクトは、少なくともTCR及び随意に別の遺伝子をコーディングする単一のDNA分子又は1つ以上の遺伝子をもつ別個のDNA分子として導入されうる。コンストラクトはそれぞれ同一マーカー又は異なるマーカーとともに、同時又は連続して導入されうる。
コンストラクトDNAのストックを調製し、トランスフェクションを実行するのに使用されうる、細菌又は酵母の複製起点、選択可能及び/又は増幅可能なマーカー、原核生物又は真核生物での発現のプロモーター/エンハンサーエレメントなどの有用な要素を含有するベクターは、当該技術分野において周知であり、多くは市販されている。
次に、TCRコンストラクトを含むように遺伝子操作された例示的なT細胞を選択条件下培養で成長させ、次いで、コンストラクトを有するものとして選択される細胞を増殖させ、宿主細胞でのコンストラクトの有無を決定するために、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用いてさらに分析する。遺伝子操作された宿主細胞が特定されたら、次にそれらの細胞は次に計画通りに使用され、例えば、培養され増殖するか又は宿主生物に導入される。
細胞の性質に応じて、細胞は宿主生物、例えば哺乳類に、多様な方法で導入されうる。特定の実施形態では、細胞は腫瘍部位に導入されうる。一方で代替的な実施形態では、細胞はがんに的を絞っているか、がんに的を絞るよう改変されている。使用されうる細胞の数は、いろいろな周囲の状況、導入の目的、細胞の生存期間、使用されるプロトコール、例えば、投与の数、細胞の増殖能、組換えコンストラクトの安定性などに依存することになる。細胞は分散体として適用され、一般に目的の部位又はその近くに注射されうる。細胞は生理学的に許容される培地中に存在してよい。
DNA導入は、必ずしもすべての場合において結果として組み込まれる必要はない。いくつかの状況では、導入されたDNAの一過的な維持が充分であることがある。このように、細胞が宿主に導入され、所定の時間の後、例えば、細胞が特定の部位に存在できた後に作動されうる場合、効果は短期である可能性がある。
所望の場合、細胞は投与されうる。所望の応答、投与の方法、細胞の寿命、存在する細胞の数に応じて、さまざまなプロトコールが採用されうる。投与の回数は少なくとも上記因子に依存することになる。
系が、リガンドに対する細胞応答、発現の効率、及び、適宜、発現産物の活性、患者の特有のニーズなどの、多くの変数に供され、該変数は、時間及び周囲の状況、細胞又は個々の細胞の発現活性の喪失の結果としての細胞活性の喪失の速度などに伴って変化しうることが理解されるべきである。したがって一人一人の患者に関して、普遍的特質をもつ細胞が集団全般に投与されうるとしても、各患者はその個人にとって適切な投与量についてモニターされることが期待され、そのような患者モニターの実行は当該技術分野において慣用である。
別の態様では、少なくともTCRを発現する細胞の治療有効量を個人に投与すること含む、腫瘍細胞をもつ個人を治療する方法が、本明細書において提供される。関連する態様では、少なくともサバイビン特異的TCRを発現する細胞の治療有効量を個人に投与すること含む、腫瘍細胞をもつ個人を治療する方法が、本明細書において提供される。具体的な実施形態では、前記投与することは該個人の腫瘍の増殖の測定可能な減少をもたらす。別の具体的な実施形態では、前記投与することは該個人の腫瘍の大きさの測定可能な減少をもたらす。さまざまな実施形態において、腫瘍の大きさ又は増殖速度は、例えば、直接イメージング(例えば、CTスキャン、MRI、PETスキャンなど)、蛍光イメージング、組織生検、及び/又は関連する生理学的マーカー(例えば、前立腺がんに関するPSAレベル、絨毛がんに関するHCGレベルなど)の評価によって決定されうる。本発明の具体的な実施形態では、個人は悪い予後と相関がある高レベルの抗原をもつ。いくつかの実施形態では、個人は、手術、放射線、化学療法、ホルモン療法、免疫療法、又はそれら組み合わせなどのさらなるがん療法を提供される。
IV.本開示のキット
実施形態は、本明細書において定義される細胞、本明細書において定義されるTCRコンストラクト、本明細書において定義される核酸配列、及び/又は本明細書において定義されるベクターを含むキットに関する。また、本開示のキットが本明細書の上記に記載医薬組成物を単独で含むか、又は薬物治療若しくは治療介入を必要とする個人に投与されるさらなる薬剤と組み合わせて含むことが企図される。
本明細書において記載される組成物はいずれもキットに含まれうる。非限定的な例では、細胞療法のための細胞又は該細胞を作るための1つ以上の試薬がキットに含まれうる。よってキットは、好適な容器手段内に、細胞、ベクター、プライマー、酵素、バッファー、塩、ヌクレオチド、ポリヌクレオチドなどを含むことになる。特定の実施形態では、細胞はサバイビンに特異的なTCR、例えば、配列番号1を含む前記受容体のアルファ鎖又はその機能的断片若しくは機能的誘導体及び配列番号2を含む前記受容体のベータ鎖又はその機能的断片若しくは機能的誘導体の一方又は両方を含むTCRをコードする特定のベクターで形質導入されている。キットはまた、受容体又はそれをコードするポリヌクレオチドをさらに操作するための細菌も含んでもよい。キットは、本開示のTCRの一部又は全部をコードするベクターで形質導入できる免疫細胞などの非形質導入哺乳類免疫細胞を含んでよい。キットは、発現コンストラクトを含むものなど、本開示のTCRの一部又は全部をコードするポリヌクレオチド、例えば、ベクターポリヌクレオチドを含んでよい。
キットは、好適に分注された本開示の細胞組成物又は好適に分注された細胞を生成するための試薬を含みうる。キットの構成要素は水性媒質中に又は凍結乾燥形態でパッケージされうる。キットの容器手段は一般に、構成要素が入り、好ましくは、好適に分注されうる、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、注射器、又は他の容器手段を含みうる。キットはまた、滅菌された、薬理学的に許容される緩衝液及び/又は他の希釈剤を含むための第2の容器手段を含んでもよい。キット中に2つ以上の構成要素がある場合、キットはまた一般に、追加の構成要素が別々に入る第2、第3、又は他の追加の容器を含んでもよい。しかし、構成要素のさまざまな組合せがバイアルに含まれうる。キットは単一の容器手段を有してもよく、及び/又は各化合物用に別々容器手段を有してもよい。また、本発明のキットは典型的には、商業販売のために密に閉じたいずれの容器を含有する手段を含むことになる。そのような容器としては、所望のバイアルがそのなかに保持される射出成形又は中空成形プラスチック容器が挙げられる。
本開示のキットは、T細胞受容体の一部又は全部をコードするポリヌクレオチド及び/又はそのようなポリヌクレオチドを、例えば、増幅によって作るためのプライマーを含みうる。そのようなポリヌクレオチドは、例えば、T細胞受容体ベータ鎖、T細胞受容体アルファ鎖、又は受容体の別の領域をコードする。
キットの構成要素が1種及び/又は複数種の液体溶液中に提供される場合、液体溶液は水溶液でありうる。滅菌水溶液が特に好ましい。また、組成物は送達可能組成物に製剤されてもよい。その場合では、容器手段自体が、注射器、ピペット、及び/又は他のそのような種類の装置であってよく、そこから製剤が身体の感染領域に適用されてもよく、動物に注射されてもよく、且つ/又はキットの他の構成要素に適用及び/若しくは混合されさえしてもよい。
しかし、ある実施形態では、キットの構成要素は乾燥粉末として提供されうる。試薬及び/又は構成要素が乾燥粉末として提供される場合、粉末は好適な溶媒を添加することによって再溶解できる。別の容器手段で提供されうることが想定される。
容器の数及び/又は種類に関係なく、本発明のキットはまた、注射/投与及び/又は最終的な配置を補助する器具を含んでもよく、且つ/又は該器具とパッケージされてもよい。そのような器具は、注射器、ピペット、鉗子、及び/又はいずれのそのような医学的に承認された送達媒体でありうる。
本開示のある実施形態では、キットは特定の種類のがんを診断するための1つ以上の装置又は試薬を含む。本開示の特定の実施形態では、キットは、例えば化学療法などの1つ以上のさらなる療法を含む。
V.TCRをコードするポリヌクレオチド
本開示はまた、本明細書において定義されるTCRをコードする核酸配列を含む組成物及び該核酸配列を内部にもつ細胞を包含する。特定の態様では核酸分子は組換え核酸分子であり、合成されたものであってもよい。該核酸分子としてはDNA、RNA、及びPNA(ペプチド核酸)が挙げられうる。それらのハイブリッドであってもよい。
1つ以上の調節配列が本開示の組成物に含まれる核酸分子に付け加えられうることが当業者に明らかである。例えば、プロモーター、転写エンハンサー、及び/又は本開示のポリヌクレオチドの誘導発現を可能にする配列が採用されうる。例えば、好適な誘導可能な系は、例えば、Gossen and Bujard (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992), 5547-5551)及びGossen et al. (Trends Biotech. 12 (1994), 58-62)で記載されるテトラサイクリン調節遺伝子発現、又は例えば、Crook (1989) EMBO J. 8, 513-519で記載されるデキサメタゾン誘導遺伝子発現系である。
さらに、核酸分子が、例えば、チオエステル結合及び/又はヌクレオチド類似体を含有しうることが、さらなる目的のために想定される。改変が、細胞内のエンドヌクレアーゼ及び/又はエキソヌクレアーゼに対する核酸分子の安定化に有用でありうる。核酸分子は、細胞内での前記核酸分子の転写を可能にするキメラ遺伝子を含む適切なベクターによって転写されうる。これに関して、そのようなポリヌクレオチドは「遺伝子ターゲティング」又は「遺伝子治療」アプローチに使用できることも理解されるべきである。別の実施形態では、核酸分子は標識される。核酸の検出方法は当該技術分野において周知であり、例えば、サザンブロッティング及びノーザンブロッティング、PCR、又はプライマー伸長である。この実施形態は、遺伝子治療アプローチの間に上記核酸分子導入の成功を検証するスクリーニング方法に有用でありうる。
核酸分子は、前述の核酸分子のいずれかを単独又は組み合わせて含む、遺伝子を組み換えて作られたキメラ核酸分子でありうる。具体的な態様では、核酸分子はベクターの一部である。
したがって、本開示はまた、本開示に記載の核酸分子を含むベクターを含む組成物にも関する。
多くの好適なベクターが分子生物学分野の当業者に公知であり、その選択は所望の機能に依存することになり、例としては、プラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージ、及び遺伝子工学で従来用いられる他のベクターが挙げられる。当業者に周知の方法がさまざまなプラスミド及びベクターを構築するのに使用でき、例えば、Sambrook et al. (1989)及びAusubel, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989), (1994)に記載の手法を参照されたい。代替的に、本開示のポリヌクレオチド及びベクターは、標的細胞への送達用リポソームに再構成できる。クローニングベクターがDNAの個々の配列を特定するのに使用されうる。特定のポリペプチドの発現が必要とされる場合は、関連配列が発現ベクターに移されることができる。典型的なクローニングベクターとしては、pBluescript SK、pGEM、pUC9、pBR322、及びpGBT9が挙げられる。典型的な発現ベクターとしては、pTRE、pCAL−n−EK、pESP−1、pOP13CATが挙げられる。
具体的な実施形態では、ベクターは本明細書において定義されるTCRコンストラクトをコードする核酸配列に作動可能に連結された調節配列である核酸配列を含む。そのような調節配列(調節エレメント)は当業者に公知であり、プロモーター、スプライスカセット(splice cassette)、翻訳開始コドン、翻訳及びベクターにインサートを導入するための挿入部位を含みうる。具体的な実施形態では、核酸分子は前記発現調節配列に作動可能に連結され、真核細胞又は原核細胞での発現を可能にする。
ベクターは本明細書において定義されるTCRコンストラクトをコードする核酸分子発現ベクターであることが想定される。具体的な態様では、ベクターは、レンチウイルスベクターなどのウィルスベクターである。例えば、レンチウイルスベクターは、例えば、クロンテック(カリフォルニア州マウンテンビュー)又はジーンコピア(メリーランド州ロックビル)から市販されている。
「調節配列」という用語は、ライゲーションされるコード配列の発現をもたらすのに必要であるDNA配列を指す。そのような調節配列の性質は宿主生物に応じて異なる。原核生物では、調節配列は一般に、プロモーター、リボソーム結合部位、及びターミネーターを含む。真核生物では一般に、調節配列はプロモーター、ターミネーター、及び場合によっては、エンハンサー、トランス転写活性化因子、又は転写因子を含む。「調節配列」という用語は、最低でもその存在が発現に必要であるすべての構成要素を含み、さらなる有益な構成要素も含みうることが意図される。
「作動可能に連結された」という用語は、そのように記載される構成要素が、意図されたやり方で機能すること許容する関係にある並置を指す。コード配列に「作動可能に連結された」調節配列は、コード配列の発現が調節配列に適合する条件下で達成されるようにライゲーションされる。調節配列がプロモーターの場合、二本鎖の核酸が好ましく使用されることは当業者にとって明らかである。
よってある実施形態では、記載のベクターは発現ベクターである。「発現ベクター」は選ばれた宿主を形質転換するのに使用できるコンストラクトであり、その選ばれた宿主内でコード配列の発現を提供する。発現ベクターは、例えば、クローニングベクター、バイナリーベクター、又は組込み型ベクターであることができる。発現は、核酸分子の転写、好ましくは、翻訳可能なmRNAへの転写を含む。原核細胞及び/又は真核細胞での発現を確実にする調節エレメントは当業者に周知である。真核細胞の場合、調節エレメントは、通常は、転写の開始を確実にするプロモーター、並びに随意に、転写の終結及び転写産物の安定化を確実にするポリAシグナルを含む。原核生物の宿主細胞内での発現を許容する可能性のある調節エレメントとしては、例えば、大腸菌のPL、lac、trp、又はtacプロモーターが挙げられ、真核生物の宿主細胞内での発現を許容する調節エレメントの例は、酵母におけるAOX1若しくはGAL1プロモーター又は哺乳類細胞及び他の動物細胞におけるCMV−、SV40−、RSV−プロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMV−エンハンサー、SV40−エンハンサー、若しくはグロビンイントロンである。
転写の開始の原因となるエレメントの他に、そのような調節エレメントはまた、SV40−poly−Aサイト又はtk−poly−Aサイトなどの、ポリヌクレオチドの下流に転写終了シグナルを含みうる。さらに、使用される発現系に応じて、ポリペプチドを細胞コンパートメントに向けることができるリーダー配列又はポリペプチドを培地に分泌することができるリーダー配列が、記載の核酸配列のコード配列に付け加えられてもよく、当該技術分野において周知である。リーダー配列は、翻訳配列、開始配列及び終結配列、並びに好ましくは、翻訳されたタンパク質又はその一部に分泌をペリプラズム又は細胞外の培地に向けることができるリーダー配列を用いて適切な段階で組み立てられる。随意に異種配列が、所望の特徴、例えば、発現された組換え産物の安定化又は簡便な生成を与えるN末端同定ペプチド(N-terminal identification peptide)を含む融合タンパク質をコードできる。上記を参照されたい。これに関連して、Okayama−Berg cDNA発現ベクターpcDV1(ファルマシア)、pEF−Neo、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(インビトロジェン)、pEF−DHFR及びpEF−ADA(Raum et al. Cancer Immunol Immunother (2001) 50(3), 141-150)、又はpSPORT1(ギブコBRL)などの好適な発現ベクターが当該技術分野において公知である。
いくつかの実施形態では、発現調節配列は、真核生物宿主細胞を形質転換又はトランスフェクションできるベクター中の真核生物プロモーター系であり、原核生物宿主用の調節配列も使用されうる。いったんベクターが適切な宿主に組み込まれると、宿主はヌクレオチド配列の高いレベルの発現に適した条件下で維持され、所望な場合、それに続いて本開示のポリペプチドは集められて精製されうる。
さらなる調節エレメントは、転写エンハンサー及び翻訳エンハンサーを含みうる。有利には、本開示の上記ベクターは選択可能マーカー及び/又は定量可能(scorable)マーカーを含む。形質導入された細胞の選択に有用な選択可能マーカー遺伝子は当業者に周知であり、例えば、メトトレキサートに対する耐性を与えるdhfr(Reiss, Plant Physiol. (Life-Sci. Adv.) 13 (1994), 143-149);アミノグリコシドであるネオマイシン、カナマイシン、及びパロマイシンに対する耐性を与えるnpt(Herrera-Estrella, EMBO J. 2 (1983), 987-995)、並びにハイグロマイシンに対する耐性を与えるhygro(Marsh, Gene 32 (1984), 481-485)を選択の根拠とする代謝拮抗物質耐性が挙げられる。さらなる選択可能遺伝子が記載されている。具体的には、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpB;細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用することを可能にするhisD(Hartman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988), 8047);細胞がマンノースを利用することを可能にするマンノース−6−リン酸イソメラーゼ(国際公開第94/20627号)、及びオルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤、2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチン、DFMOに対する耐性を付与するODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)(McConlogue, 1987, In: Current Communications in Molecular Biology, Cold Spring Harbor Laboratory ed.)、又はブラストサイジンSに対する耐性を付与するアスペルギルス・テレウス由来のアミナーゼ(Tamura, Biosci. Biotechnol. Biochem. 59 (1995), 2336-2338)である。
有用な定量可能なマーカーもまた当業者に公知であり、市販されている。有利には、前記マーカーは、ルシフェラーゼ(Giacomin, Pl. Sci. 116 (1996), 59-72; Scikantha, J. Bact. 178 (1996), 121)、緑蛍光タンパク質(Gerdes, FEBS Lett. 389 (1996), 44-47)、又はベータ−グルクロニダーゼ(Jefferson, EMBO J. 6 (1987), 3901-3907)をコードする遺伝子である。本実施形態は、記載のベクターを含有する細胞、組織、及び生物を簡単且つ迅速にスクリーニングするのに特に有用である。
上記のように、核酸分子は、単独で又は細胞内でコードされたポリペプチドを発現するためのベクターの一部として細胞に使用できる。本明細書において記載されているTCRコンストラクトのいずれか1つをコードするDNA配列を含有する核酸分子又はベクターは、目的のポリペプチドを次に産生する細胞に導入される。記載の核酸分子及びベクターは、細胞への直接導入又はリポソーム若しくはウィルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介した導入のために設計されうる。ある実施形態では、細胞は、例えば、T細胞、TCR T細胞、NK細胞、NKT細胞、MSC、神経幹細胞、又は造血幹細胞である。
上記に一致して、本開示は、本明細書において定義されるTCRのポリペプチド配列をコードする核酸分子を含む、遺伝子工学で従来使用されるベクター、具体的に、プラスミド、コスミド、ウイルス、及びバクテリオファージを得る方法に関する。ある特定の場合では、前記ベクターは発現ベクター及び/又は遺伝子導入若しくは標的ベクターである。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、又はウシパピローマウイルスなどのウイルスに由来する発現ベクターが、標的細胞集団への記載のポリヌクレオチド又はベクターの送達に使用されうる。当業者に周知である方法が組換えベクターを構築するのに使用でき、例えば、Sambrook et al.(上記引用文中(loc cit.))、Ausubel(1989、上記引用文中)、又は他の標準的な教科書に記載の手法を参照されたい。代替的に記載の核酸分子及びベクターは、標的細胞に送達するためのリポソーム中に再構成できる。本開示の核酸分子を含有するベクターは、細胞宿主の種類に応じて異なる周知の方法によって宿主細胞内に移入できる。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションが一般に原核細胞に利用される一方で、他の細胞宿主にはリン酸カルシウム処理又はエレクトロポーレーションが使用されうる。上記Sambrookを参照されたい。
VI.併用療法
本発明のある実施形態では、臨床の態様に関する本発明の方法は、抗がん剤などの、過剰増殖性疾患の治療に有効な他の薬剤と併用される。「抗がん」剤は、例えば、がん細胞を殺傷すること、がん細胞のアポトーシスを誘導すること、がん細胞の増殖速度を下げること、腫瘍転移の発生若しくは数を減らすこと、腫瘍サイズを減らすこと、腫瘍増殖を阻害すること、腫瘍若しくはがん細胞への血液の供給を減らすこと、がん細胞若しくは腫瘍に対する免疫反応を促進すること、がんの進行を予防又は阻害すること、又はがんをもつ対象の寿命を長くすることによって対象のがんに負の影響を及ぼすことができる。より一般的に、これらの他の組成物は細胞の増殖を止める又は阻害するのに有効な総量で供されることになる。この方法は、がん細胞を発現コンストラクト及び薬剤又は複数の因子と同時に接触させることを含みうる。これは、両薬剤を含む単一の組成物若しくは薬理学的製剤と細胞を接触させること、又は1つの組成物が発現コンストラクトを含み、もう1つが第2の薬剤を含む2つの異なる組成物又は製剤と細胞を同時に接触させることによって達成されうる。
化学療法及び放射線療法の薬剤に対する腫瘍細胞の耐性は、臨床腫瘍学において大きな問題である。現在のがん研究の目標の1つは、遺伝子治療と組み合わせることによって化学療法及び放射線療法の有効性を向上する方法を見出すことである。本発明と関連して、他のアポトーシス促進剤の又は細胞周期調節剤に加えて、化学療法介入、放射線療法介入、又は免疫療法介入と併せて、細胞療法が同様に使用されうることが企図される。
代替的に、本発明の治療は、数分〜数週の範囲の間隔をあけて他の薬剤治療の前又は後に行われる。他の薬剤及び本発明が別々に個人に適用される実施形態では、該薬剤治療及び本発明の治療が細胞に対して有利に併用効果を依然発揮できることになるように、一般には必ず各送達の時間の間に相当長い期間が過ぎないようにするであろう。そのような例では、細胞を両モダリティー(modalities)と約12〜24時間内で互いに、より好ましくは、約6〜12時間内で互いに接触させうることが企図される。しかし状況によっては、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6、若しくは7)〜数週(1、2、3、4、5、6、7、若しくは8)が経過する場合、治療の時間を大幅に延ばすことが望ましいことがある。
さまざまな組み合わせが採用されうる。本開示を「A」、放射線療法又は化学療法などの第2の薬剤を「B」とする。
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
必要に応じて治療サイクルが繰り返されるであろうことが予想される。また、さまざまな標準的な療法及び外科的介入が本発明の細胞療法と併用して適用されうることも企図される。
A.化学療法
またがん療法は、化学薬品に基づいた治療及び放射線に基づいた治療の両方との多様な併用療法を含む。併用抗がん剤としては、例えば、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩;メシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼレシン;セデフィンゴール;セレコキシブ(COX−2阻害剤);クロランブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;エフロルニチン(eflornithine)塩酸塩;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール;エソルビシン塩酸塩;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン(fluorocitabine);ホスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシ尿素;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモホシン(ilmofosine);イプロプラチン;イリノテカン;イリノテカン塩酸塩;ランレオチド酢酸塩;レトロゾール;リュープロレリン酢酸塩;リアロゾール塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン塩酸塩;マソプロコール;メイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン(metoprine);メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;マイトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパラガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;ペプロマイシン硫酸塩;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロン塩酸塩;ミトラマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニマスチン;プロカルバジン塩酸塩;ピューロマイシン;ピューロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスチン;シムトラゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム塩酸塩;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌール(sulofenur);タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテール;テガフール;テロキサントロン塩酸塩;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トレミフェンクエン酸塩;トレストロン酢酸塩;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;ツブロゾール塩酸塩;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビンデシン;ビンデシン硫酸塩;ビネピジン硫酸塩;ビングリシナート硫酸塩;ビンロイロシン硫酸塩;ビノレルビン酒石酸塩;ビンロシジン硫酸塩;ビンゾリジン硫酸塩;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;ゾルビシン塩酸塩;20−エピ−1,25−ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TK拮抗剤;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;拮抗剤D;拮抗剤G;アンタレリックス;抗背側化形態形成タンパク質(dorsalizing morphogenetic protein)−1;抗アンドロゲン、前立腺がん;抗エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシナート;アポトーシス遺伝子調節剤;アポトーシス制御因子;アプリン酸;アラ−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABL拮抗剤;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータアレチン;ベータクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフラート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRestM3;CARN700;軟骨由来阻害物質;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタンスレキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデンミンB(dehydrodidenmin B);デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド(dexifosfamide);デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン:ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール、9−;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲン作動薬;エストロゲン拮抗薬;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin)塩酸塩;ホルフェニメクス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;ガリウム硝酸塩;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニブ(例えば、グリベック(登録商標))、イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロン作動薬;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−;イロプラクト(iroplact);イルソグラジン;イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリンNトリアセタート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;レンチナン硫酸塩;レプトールスタチン;レトロゾール;白血病阻止因子;白血球アルプァインターフェロン;リュープロレリン+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメテレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ラルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン(lysofylline);細胞溶解性ペプチド(lytic peptides);マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン(meterelin);メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;アービタックス、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリア(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗がん剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン(napavin);ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン:ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節剤;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標));O.sup.6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシオン;経口サイトカイン誘導剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパラガーゼ;ペルデシン;ペントサン多硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセンチンA;プラセンチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金−トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;タンパク質Aベース免疫調節剤;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、ミクロアルガル(microalgal);プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン複合体;raf拮抗剤;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasタンパク質ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロン酸塩(rhenium Re 186 etidronate);リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス
;ルビジノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣剤;セムスチン;老化細胞由来阻害物質1(senescence derived inhibitor 1);センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シゾフラン(sizofuran);ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテイト;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸管ペプチド拮抗剤;スラジスタ(suradista);スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣剤;チマルファシン;チモポエチン受容体作動薬;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリンすず;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイントリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;泌尿生殖洞増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体拮抗剤;バプレオチド;バリオリンB;ベラレゾール(velaresol);ベラミン(veramine);ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマー、又は前述のものいずれかのアナログ若しくは誘導体バリアント並びにまたその組み合わせが挙げられる。
具体的な実施形態では、例えば、本発明の投与前、投与中、及び/又は投与後に、本発明と併せて個人に対する化学療法が採用される。
B.放射線療法
DNA損傷を引き起こし、広く使用されてきた他の因子としては、一般的にガンマ線として知られているもの、X線、及び/又は腫瘍細胞への放射性同位元素の直接送達が挙げられる。マイクロ波及びUV照射などのDNA損傷因子の他の形態も企図される。これらの因子のすべてが、DNA、DNAの前駆体、DANの複製及び修復、並びに染色体の構築及び維持に対して広範囲の損傷をもたらす可能性が非常に高い。X線の線量範囲は、長期間(3〜4週間)の一日線量50〜200レントゲンから単回投与の2000〜6000レントゲンに及ぶ。放射性同位元素の投与量は非常にさまざまであり、放射性同位元素の半減期、放出放射線の強さ及び種類、及び新生腫瘍細胞による取り込みに依存する。
細胞に適用される場合、「接触させた(contacted)」及び「曝された(exposed)」という用語は、本明細書において、治療コンストラクト及び化学療法剤又は放射線療法剤が標的細胞に送達されたり、標的細胞に直接並置されたり過程を表現するのに使用される。細胞殺傷又は細胞静止を達成するには、両剤は細胞の殺傷又は細胞分割の防止に有効な総量で細胞に送達される。
C.免疫療法
免疫療法剤は一般に、がん細胞を標的にし、破壊する免疫エフェクター細胞及び分子の使用に依存する。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上のいくつかのマーカーに特異的な抗体でありうる。抗体は単独で治療とエフェクターとして役目を果たすこともあり、又は抗体は細胞殺傷を実際にもたらす他の細胞を動員することもある。また、抗体は薬物又は毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)に結合され、単に標的剤として働きうる。代替的に、エフェクターは、直接的又は間接的に腫瘍細胞標的と相互作用する表面分子をもつリンパ球であってもよい。多様なエフェクター細胞としては細胞傷害性T細胞及びNK細胞が挙げられる。
よって、本明細書において記載される本発明の療法以外の免疫療法は、併用療法の一部として本細胞療法と共に使用されうる。併用療法の一般的な方法を以下に論じる。一般に腫瘍細胞は、標的にしやすい、つまり、大部分の他の細胞にはないいくつかのマーカーをもたなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、それらのいずれも本発明に関連して標的にするのに好適でありうる。一般的な腫瘍マーカーとしては、癌胎児性抗原、前立腺特異的抗原、泌尿器腫瘍関連抗原、胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、シアリルルイス抗原(Sialyl Lewis Antigen)、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン受容体、ラミニン受容体、erbB、及びp155が挙げられる。
ある実施形態では、免疫療法は、Notch経路リガンド又は受容体に対する抗体、例えば、DLL4、Notch1、Notch2/3、Fzd7、又はWntに対する抗体である。ある実施形態では、免疫療法は、r−スポンジン(RSPO)1、RSPO2、RSPO3、又はRSPO4に対する抗体である。
D.遺伝子
さらに別の実施形態では、第2の治療は治療用ポリヌクレオチドが本発明の臨床実施形態の前、後、または同時に投与される遺伝子治療である。多様な発現産物が本発明に包含され、例えば、細胞増殖の誘導物質、細胞増殖の阻害物質、又はプログラム細胞死の調節物質が含まれる。
E.手術
がんをもつ人の約60%が、予防手術、診断及びステージング手術、根治手術、並びに姑息的手術を含む何らかの手術を受けると推定される。根治手術は、本発明の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、及び/又は代替療法などの他の療法と併せて用いられるうるがん治療である。
根治手術は、全部又は一部のがん性組織が物理的に除去、切除、及び/又は破壊される切除術を含む。腫瘍切除術は少なくとも一部の腫瘍の物理的除去を指す。腫瘍切除術にくわえて、手術による処置は、レーザー手術、凍結手術、電気手術、及び顕微鏡下手術(モース術)を含む。本発明が、表在がん、前がんの除去、又は偶発量の正常組織の除去と併せて用いられうることがさらに企図される。
がん性細胞、組織、又は腫瘍の一部又は全部を切除するときに、体内に空洞が形成される場合がある。治療は、さらなる抗がん療法と共に、領域の灌流、直接注射、または局所適用により達成されうる。そのような治療は、例えば、1、2、3、4、5、6、若しくは7日毎、又は1、2、3、4、及び5週間毎、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12か月毎に繰り返してもよい。また、これらの治療はさまざまな投薬量のものであってもよい。
F.他の薬剤
治療の治療有効性を向上するのに本発明と併用して他の薬剤が使用されることが企図される。これらのさらなる薬剤としては、免疫調節剤、細胞表面受容体及びギャップ結合の増加に影響を及ぼす薬剤、細胞増殖抑制剤及び分化剤、細胞接着の阻害剤、又はアポトーシス誘導物質に対する過剰増殖細胞の感受性を増加させる薬剤が挙げられる。免疫調節剤としは、腫瘍壊死因子;インターフェロンアルファ、ベータ、及びガンマ;IL−2及び他のサイトカイン;F42K及び他のサイトカインアナログ;又はMIP−1、MIP−1ベータ、MCP−1、RANTES、及び他のケモカインが挙げられる。Fas/Fasリガンド、DR4又はDR5/TRAILなどの細胞表面受容体又はそのリガンドの増加が、過剰増殖細胞への自己分泌又は傍分泌効果を確立することによって本発明のアポトーシス誘導能を増強するであろうことがさらに企図される。ギャップ結合の数が増えることによる細胞間のシグナリングの増加は、隣接する過剰増殖細胞集団への抗過剰増殖効果を増加させるであろう。その他の実施形態では、細胞増殖抑制剤又は分化剤が本発明と併用されて治療の抗過剰増殖効能を向上できる。細胞接着の阻害剤は本発明の有効性を向上するのに企図される。細胞接着阻害剤の例は、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤及びロバスタチンである。さらに、抗体c225などの過剰増殖細胞のアポトーシスに対する感度を上げる他の薬剤が、治療有効性を向上するのに本発明と併用して使用されうることが企図される。
下記の例が、本発明の好ましい実施形態を説明するために含まれる。下記の例に開示される手法が、本発明の実行に良好に機能するように発明者によって発見された手法を表わし、よってその実行に好ましいやり方を構成するものとみなされうることが当業者によって理解されるべきである。しかし、本開示に照らして、多くの変更が開示されている具体的な実施形態においてなされる可能性があり、それでもやはり本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様又は類似の結果を得ることができることを当業者は理解すべきである。
実施例1
選択的抗腫瘍効果をもつ自己サバイビン特異的T細胞クローンの生成
HLA−A*02+健康な提供者から採取した末梢血試料を使用して、そのヘテロクリット性バリアントサバイビン96−10497M(LMLと呼ぶ;LMLGEFLKL;配列番号16)を用いて、HLA−A*0201−拘束性サバイビン95−104(ELTと呼ぶ;ELTLGEFLKL;配列番号15)エピトープに対して特異的なCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)を生成した(Andersen, et al., 2001)。
IFN−γ ELISpotで評価すると、3回の抗原特異的刺激後、5つのCTL株のうち3つ(提供者#2、4、及び5に由来)が、LML(643±5、49±1、及び96±7SFCs/105個のT細胞)並びにELTペプチド(662±65、45±6、及び86±9SFCs/105個のT細胞)の両方に特異的に反応した。最も反応性のある提供者(#2)から限界希釈によって単一T細胞クローンを生成し、サバイビン特異的と非特異的な(無関係)クローンを比較する複数のアッセイを用いて、最適な機能的アビディティーをもつクローンを同定した。具体的には、クローン#24が、LML四量体に対して最も高い特異性(>99%)(図1A)及びLMLとELTペプチドともに最も高いTCRアビディティーを示した(IFN−γ ELISpotアッセイで評価した場合、10−7M(図1B)、並びに標準的な51Cr放出で測定した場合、LMLに対して5x10−8M及びELTに対して10−6M(図1C))。クローン#24の機能的アビディティーは、「同胞殺し」TCRに関してそれまで記載されていた広い範囲のアビディティーと重なった(表1)。重要なことには、クローン#24はHLA−A*02+サバイビン+腫瘍細胞株BV173(白血病)及びU266(骨髄腫)に対して細胞傷害活性(図1D)、並びにHLA−A*02+サバイビン+白血病前駆体のコロニー形成単位(CFU)の阻害(図1E)を示した。対照的に、同じクローンは、HLA−A*02−サバイビン+細胞株HL−60に対しても、HLA−A*02+正常造血前駆細胞(図1D、E)に対しても細胞傷害性ではなかった。このクローンはインビトロで効果的に増殖し(3週間後>63倍増殖)(図1F)、検出可能なT細胞同胞殺し効果がないことを示した。
表1.LMLペプチドでパルスしたT2細胞に対するサバイビン特異的T細胞クローンの機能的アビディティー
TCR A66、TCR A71、及びTCR A72は、既報のアロ拘束性サバイビン特異的TCRである(Leisegang, et al, 2010)。
実施例2
サバイビン特異的TCRを発現するように組換え操作されたポリクローナルT細胞は同胞殺しではない
クローン#24のTCRα鎖及びβ鎖(以下、s24−TCRという)を、クローニングし、コドンを最適化し、定常領域をマウスの対応する領域で置換した後、レトロウィルスベクターにコードした(図2A)。TCR鎖利用及び相補性決定領域は、これまで既報の同胞殺しTCR(表2及び表3)と全く異なった。
国際免疫遺伝情報システム(international Immunogenetics information system)のウェブサイトwww.imgt.orgに従った術語体系。TCR A66、TCR A71、及びTCR A72の配列は、同胞殺しを伴う既報のアロ拘束性サバイビン特異的TCRである(Leisegang, et al., 2010)。
国際免疫遺伝情報システムのウェブサイトwww.imgt.orgに従った術語体系。TCR A66、TCR A71、及びTCR A72の配列は、同胞殺しを伴う既報のアロ拘束性サバイビン特異的TCRである(Leisegang, et al., 2010)。
CD8+T細胞を形質導入し、LMLペプチドでパルスした人工APC(aAPC)及びIL−2の存在下で増殖させた。形質導入直後、89%±4%のT細胞がマウス定常β鎖(mCβ+)に関して染色され、47%±32%がLML四量体で染色された(図2B)。平均蛍光強度(MFI)が26±12で、LML四量体に関する陽性度はあまり大きくないが、LMLでパルスしたaAPCの存在下で増殖後、LML四量体+細胞は著しく富化した(97%±1%)(図2B、C)。異所的に発現したs24−TCRは機能し、LML(725±274SFCs/105個のT細胞)及びELT(978±341SFCs/105個のT細胞)ペプチド双方に応答してs24−TCR+T細胞がIFN−γを産生した(図3A)。また、s24−TCR+T細胞は、LMLペプチドでパルスしたT2細胞を溶解し(77%±8%特異的溶解、E:T 20:1)(図3B)、細胞傷害活性がMHCクラスIブロッキング抗体で予めインキュベーションすることによって著しく減少したので(図3C)(53%±10%特異的溶解、E:T 20:1;p=0.03)、その溶解はHLA拘束的である。s24−TCR+T細胞が同胞殺しを生じなかったことを確認するために、HLA−A*02+提供者とHLA−A*02−提供者の両方から生成されたs24−TCR+細胞の表現型、増殖、及び細胞傷害活性を比較した。TCRは両者ともに効率的に発現されており(図9)、s24−TCR+T細胞はLMLでパルスしたaAPC及びIL−2に応えて同様に増殖した(3回の刺激後、HLA−A*02+提供者及びHLA−A*02−提供者はそれぞれ、66±38対76±38倍増殖)(図3D)。さらに、HLA−A*0201+T細胞に対してs24−TCR+T細胞による検出可能な細胞傷害活性はなかった。図3E及びFに示されるように、活性化されたT細胞の溶解はごくわずかであった(2%±4%対6%±3%特異的溶解、E:T 20:1、HLA−A*02+提供者対HLA−A*02−提供者)。これらの細胞はLML又はELTペプチドを積載した後のみ、s24−TCR+T細胞による標的可能となった(LML積載T細胞について46%±12%対55%±7%特異的溶解;ELT積載T細胞について68%±14%対62%±16%、E:T 20:1、HLA−A*02+提供者対HLA−A*02−提供者)。予想された通り、対照T細胞は活性化されたT細胞に対して細胞傷害活性がなかった(図3E、F)。
実施例3
サバイビンTCRリダイレクトT細胞は正常造血前駆細胞に対する傷害性なしに抗腫瘍活性を発揮する
同胞殺しが無いことが抗腫瘍活性の減少を犠牲にして起こらなかったことを確かめるために、サバイビン+血液悪性腫瘍に対するs24−TCR+T細胞の細胞傷害活性を評価した。s24−TCR+T細胞では、HLA−A*02+サバイビン+白血病細胞株BV173(20:1のE:T比で46%±14%特異的溶解)及びHLA−A*02+サバイビン+多発性骨髄腫由来細胞株U266(27%±12%)の溶解が、対照T細胞(それぞれ、8%±6%及び14%±6%)と比較してより多く生じた(BV173に対してp<0.001、U266に対してp=0.003)(図4A)。対照的に、形質導入T細胞及び対照T細胞の両方で、対照標的であるHLA−A*02−サバイビン+白血病細胞株K562及びHL−60に対してごくわずかの殺作用が見られた(図4A)。HLAクラスIブロッキング抗体での標的細胞を予めインキュベーションすることでBV173及びU266細胞に対する細胞傷害活性が妨げられたので、s24−TCR+T細胞の細胞傷害活性はMHCクラスI拘束性であった(図4B)。対照T細胞又はs24−TCR+T細胞をこれらのHLA−A*02+サバイビン+腫瘍細胞と5日間共培養した長期間のアッセイでは、s24−TCR+T細胞の存在下においてのみBV173及びU266腫瘍細胞ともに著しい減少があった(図4C、図10)。これらの細胞傷害性効果は、ELISpotアッセイで評価されたBV173及びU266細胞株に対するs24−TCR+T細胞によるIFN−γ産生(図4D)並びにサイトメトリービーズアレイで評価されたTh1サイトカインの放出(図11)と同時に起きた。また、s24−TCR+T細胞抗腫瘍効果は、原発白血病試料に対するCFUアッセイでも確認された。図4Eに示されるように、白血病CFU形成は、対照T細胞と比較して、s24−TCR+T細胞とインキュベーションした5つのHLA−A*02+白血病試料すべてで著しく減少し、s24−TCR+T細胞の存在下でのCFU形成の減少は中央値が48%であった(範囲32〜78%;p=0.03)。くわえて、2つのHLA−A*0201−白血病試料に対して細胞傷害性効果は見られなかった(図4F)。際立って対照的に、HLA−A*0201+健康な提供者由来の造血幹細胞/前駆細胞のCFU形成は、s24−TCR+T細胞でのインキュベーションに影響されず、対照T細胞との培養と比較して、s24−TCR+T細胞の存在下でCFUはわずか中央値3%の減少であった(図4G)。
実施例4
サバイビンTCRトランスジェニックT細胞は生体内で抗腫瘍活性をもち、生存を向上する
s24−TCR+T細胞の生体内抗腫瘍機能を確認するために、ホタルルシフェラーゼ(FFLuc)で遺伝子改変されたBV173細胞を全身的に移植した異種間NSGマウスモデルを使用し、生物発光イメージング(BLI)で腫瘍増殖をモニターした。残留白血病に似た症状を呈する条件で、白血病輸注に次の日、マウスは対照T細胞又はs24−TCR+T細胞のいずれかで養子T細胞移入を受けた(図5A)。輸注40日目後、s24−TCR+T細胞で処理したマウスは、対照T細胞を受けたマウスと比べて著しくより良く白血病進行を制御した(8.1×106±9×106対195×106±85×106光子/秒)(p=0.003)(図5B、C)。これはs24−TCR+で処理したマウスの全生存期間が80日まで改善することにつながり(p<0.001)(図5D)、10頭のうち3頭のs24−TCR+T細胞処理マウスは腫瘍が無くなった。白血病量(leukemic burden)が高いマウスでの抗腫瘍活性を測定するために、疾患播種及び量がBLIによって確認された白血病接種(leukemia inoculation)の2週間後にT細胞を輸注した(図6A)。s24−TCR+T細胞を受けたマウスは、対照マウスと比べて白血病の進行が著しく遅く、結果として28日まで生物発光信号が弱かった(図6B、C)(40×106±71×106対128×106±176×106光子/秒)(p=0.04)。このTCR媒介抗白血病活性はマウスの生存の著しい向上(p=0.01)につながった(図6D)。
実施例5
アラニンスキャニングはサバイビンエピトープの認識に最適化されたTCR結合様式を明らかにする。
s24−TCRが同胞殺し又は正常造血細胞に対する傷害性なしに抗腫瘍活性を生じた機序を理解するために、s24−TCR又は既報の「同胞殺し」TCR(A72−TCR)(Leisegang, et al., 2010)のいずれかを発現しているT細胞を同時並行実験で比較した。いずれかのTCRを発現するT細胞の間でインビトロでの抗腫瘍活性の点で有意差は見られなかったが(図7A)、A72−TCRを発現するT細胞のみが、自己反応性(図7B)及び正常造血幹細胞/前駆細胞に対する傷害性を示した(図7C)。さらに、A72−TCR+T細胞は、線維芽細胞(図7D)及び心筋細胞(図7E)などの非造血細胞に対する細胞傷害活性も示したが、s24−TCR+細胞は示さなかった。重要なことには、標的をHLA−A*0201発現を調節するIFN−γで予めインキュベーションした場合などの、炎症性傷害に似た症状を呈する条件においてさえも、s24−TCR+T細胞によるより安全なプロファイルが保たれた(図13)。s24−TCR+T細胞は、A72−TCR+T細胞と比較して、優れた腫瘍制御を仲介した(p<0.0001)(図14)ので、この好ましい傷害性プロファイルはBV173腫瘍モデルの生体内抗腫瘍活性の減少に起因するものではなかった。
コンピューターモデリング研究から、大部分がHLA−A*02溝(groove)と相互作用するA72−TCRと対照的に、s24−TCRの選択的腫瘍特異性がTCRとサバイビン−MHC複合体との狭く延びたインターフェースに依存することが示された。具体的には、s24−TCRは、Leu4、Gly5、及びPhe7を含むサバイビンペプチドの局所領域とともに数多くの芳香族残基が関与する高度に最適化された物理的相互作用のネットワークを創った。次いで、この構造解析は、サバイビンペプチドのアラニン置換実験によって行われたTCR−ペプチド−MHC相互作用の機能解析によって裏付けられた。図8に示されるように、10箇所の単置換のうち7つがIFN−γ放出を完全に抑止し、且つ10箇所のうち3つがIFN−γ放出を著しく減少させたので、サバイビンペプチドの一つ一つの残基(10/10)が、s24−TCR機能的活性化に極めて重要なようであった。対照的に、10箇所の置換うち3つのみがA72−TCR活性化の完全な機能喪失に極めて重要であり(図8)、より小さく少ない最適TCR−ペプチド結合様式を示唆した。予測モデルとアラニン置換分析の両方に基づいて、XLTXGEFLKX(配列番号13)及びXXXLXXFLKL(配列番号14)のモチーフを含有するタンパク質配列についてUniProtKB/Swiss−Protデータ塩基配列に照会をかけて、潜在的な交差反応性エピトープを同定した。造血系又はTリンパ球を含む免疫系の細胞に関連した7つのペプチドが選ばれた。IFN−γ ELISpotアッセイから、A72−TCRはこれらのペプチドの数個でパルスしたT2細胞に対して反応したが、s24−TCRは反応しなかったことが示された(表4)。
表4.同種異系レパトア由来に対比した自己レパトア由来のサバイビンTCRの異なる分子認識パターン
アラニン置換分析によって予想されたAエピトープは、T2細胞に載っており、s24−TCR+又はA72−TCR+T細胞による反応性はIFN−γ ELISpotアッセイで評価した。3名の提供者の代表的な結果。略称:CD3d:CD3デルタ;CD81:CD81抗原;CSF3R:顆粒球コロニー刺激因子受容体;CRLS1:カルジオリピンシンターゼ;EPB42:赤血球膜タンパク質バンド4.2.;INGR2:インターフェロンγ受容体2。
実施例6
あるいくつかの実施形態のまとめ
本開示は、ポリクローナルT細胞に移植されたとき、自己傷害性を生じることなくインビトロでも生体内でも多様な腫瘍細胞を除去するのに十分な機能的アビディティーを示す新規のサバイビン特異的s24−TCRの自己TCRレパトアからの単離を示す。この新規のTCRは、自己組織上サバイビンを腫瘍関連サバイビン発現と識別することができ、「オンターゲット オフ腫瘍」傷害性なしに抗腫瘍反応性を選択的に仲介する。機能性データは、s24−TCRの選択的腫瘍特異性がTCRとサバイビン−MHC複合体との高度に特異的な相互作用に依存することを明らかにする。よって、TCRによる自己ペプチドの最適認識はその選択性を与え、交差反応性、したがって自己反応性を最小限にする。その知見は、機能的なサバイビン特異的TCRは傷害性があり、よって臨床での使用には適さないというこれまでの結論や、そのようなTCRによって仲介される同胞殺し効果は活性化されたT細胞の「オンターゲット」認識のみに起因という主張(Leisegang, et al., 2010)に異議を唱える。観察結果から、数種の異なるTAAを標的にする自己又は同種異系レパトアに由来する7つのさらなるTCRのセットに関する比較分析において一般化され、胸腺選択段階がTCR交差反応性を最小限するのに極めて重要であることが示唆された。
多くの研究から、サバイビンが大部分のがんで増加しているが、CD34+造血幹細胞、Tリンパ球(Altieri, 2003)及び心筋細胞(Wohlschlaeger, et al., 2010; Levkau, 2011)などの正常細胞でも機能的であることが示されている。例えば、コンディショナルノックアウトマウスでは、サバイビン欠失は初期にはダブルネガティブ細胞からダブルポジティブ細胞へのT細胞転換を阻止し、一方で後期には循環血液中のその数が減少することが示されている(Xing, et al., 2004)。また、サバイビンはヒトT細胞においてTCR架橋すると増加することがわかった(Leisegang, et al., 2010; Kornacker, et al., 2001)。サバイビンはうっ血性心不全の間(Wohlschlaeger, et al., 2010)及び虚血再灌流心(Levkau, 2011)における心筋細胞リモデリングの拡散に関与する。こられのサバイビンの機能活性にもかかわらず、の幹細胞移植後にサバイビンベースのワクチンを受けた患者において、自己由来サバイビン特異的CTLの惹起があっても、心毒性及び幹細胞生着又はT細胞再構成の遅れは報告されていない(Rapoport, et al., 2011)。この臨床での経験に一致して、正常造血前駆体の増殖傷害が存在せず、s24−TCRリダイレクトT細胞の存在下におけるT細胞増殖への悪影響は少しもなかった。白血病前駆体及び腫瘍細胞はインビトロでも生体内でもs24−TCRを発現するポリクローナルT細胞によって著しく殺傷されたので、この安全性プロファイルは抗腫瘍効果を弱めることなく現れた。よって、これらのデータから、s24−TCRは腫瘍標的を認識するが、認識の閾値を下回って抗原を発現する健康な細胞に対して「寛容」であることが示唆される。対照的に傷害性効果は、同種異系HLAミスマッチTCRレパトアから単離されたA72−TCRを発現するポリクローナルT細胞によって常時誘導された。
s24−TCRが腫瘍細胞を選択的に認識するという結論は、少なくともサバイビンエピトープの機能的アラニン置換分析によって支持される。これらの研究は、s24−TCRがサバイビンペプチドとその最も強い相互作用の大部分を確立し、一方で既知の「同胞殺し」A72−TCRはペプチドと交差反応しやすいので、s24−TCRは「同胞殺し」でも自己反応的でもないことを示す。その知見は、生来の交差反応性は、任意のペプチド−MHC複合体における限られた数のホットスポット残基に集中しているようであることを示す以前の研究と一致する(Tynan, et al., 2005; Birnbaum, et al., 2014)。これまでのマウスでの研究から、生理的条件で起こる負の選択はTCRによって認識される異なるリガンドの数を大幅に制限するのでペプチド交差反応性は同種異系の設定でのみ起こることが示された(Huseby, et al., 2003)。交差反応性TCRは負の選択が実験的に制限されているマウスでのみ観察でき、よって標的ペプチド内のアミノ酸置換が「許容されている(accepting)」(Huseby, et al., 2006)。アロ拘束性サバイビンTCRに対比して自己由来のサバイビンTCRの分子認識パターン比較することによって、s24−TCRが天然のサバイビン発現レベルを腫瘍サバイビン発現レベルと識別する能力に関する機構を説明する分子決定因子が特定された。したがって、同種異系TCRレパトアから生成されたサバイビン特異的A72−TCRとともに報告されている「同胞殺し」効果は、活性化されたT細胞の「オンターゲット」認識の閾値が下がることに起因しうるだけでなく、最適ではないペプチド−TCR相互作用による交差反応性ペプチドの「オフターゲット」認識にも起因しうると考えられた。結果として、s24 TCRと比較すると、A72−TCR+T細胞の生体内抗腫瘍機能は、実際にBV173マウスモデルで観察されたように限定されうる。さまざまなTAAを標的にする自己及び同種異系TCRのさらなるセットでの知見を検証することによって、研究が示唆するのは、「オフターゲット」傷害性の可能性のある交差反応性が同種異系レパトアから単離されたTCRのより一般的な課題でありうることである。その知見はトランスジェニックTCRを手段として用いる治療腫瘍標的に幅広い影響をもつ。同種異系若しくは異種レパトア由来のTCR又は実験的に増強されたアフィニティーをもつTCRは、高アフィニティーTCRを得る手段として広く使われてきたが、自己レパトアは依然として有効な方法に変わりない。
結論として、本開示は、エピトープ特異性、抗腫瘍活性があり、自己反応性が無いという要件を満たすTCRの異所性発現の手段を用いて、がん免疫療法における標的としてのサバイビンの妥当性を再確立する。このTCRは、MHC−エピトープ複合体の最適で且つ選択的な認識に依存し、腫瘍標的と対比して自己組織上のサバイビン抗原レベルを感知することができる。この方法は、他の共通腫瘍/自己抗原を標的にするさらなるTCRの同定に適応でき、TCR媒介自己反応性を生じるリスクを軽減する。
実施例7
例示的方法
細胞株
腫瘍細胞株BV173(B細胞急性リンパ性白血病)はドイツ培養細胞系統保存機関(DSMZ、ブラウンシュヴァイク、ドイツ)から入手し、並びに腫瘍細胞株U266B1(多発性骨髄腫)、K562(赤白血病)、HL−60(急性骨髄単球性白血病)、CEM−T2(TAPトランスポーター欠損)、293T、及び心筋細胞株AC10は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC、バージニア州マナサス)から入手した。細胞は、業者の推奨による10%又は20%ウシ胎仔血清(FBS、ハイクローン)、1%L−グルタミン、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(インビトロジェン)を含有する、293T細胞ついてはRPMI1640培地(ハイクローン、サーモサイエンティフィック社、マサチューセッツ州ウォルサム)若しくはIMDM培地(ギブコ、インビトロジェンライフテクノロジーズ、ニューヨーク州グランドアイランド)、又はAC10細胞についてはDMEM/F12培地(ギブコ)を用いて、5%CO2を含有する加湿雰囲気で37℃にて培養して維持した。以前の記載(Hoyos, et al., 2010)の通りに、BV173細胞株にホタルルシフェラーゼ(FFluc)及びネオマイシン耐性遺伝子をコードするレトロウィルスベクターを形質導入した。K562細胞株を遺伝子操作してHLA−A*0201分子並びに共刺激分子としてCD40L、CD80、及びOX40Lを発現させ、T細胞増殖のための人工抗原提示細胞(aAPC)として使用した(Quintarelli, et al., 2008)。細胞株は、テキサス大学州MDアンダーソンがんセンター特性化済み細胞株コア施設(Characterized Cell Line Core Facility)により認証された。高分解能シーケンスベースタイピング(ヒューストンメソジスト病院、テキサス州ヒューストン)で、AC10細胞はHLA−A*0201+であることを確認した。
健康な提供者及び白血病患者由来の試料
健常ボランティア血液提供者のバフィーコートは、湾岸地域血液センター(Gulf Coast Regional Blood Center)、テキサス州ヒューストンを通して入手した。非特定化された臍帯血(CB)ユニットは、IRB承認プロトコールに基づいてMDアンダーソン臍帯血バンク(テキサス大学、テキサス州ヒューストン)を通して入手した。非特定化されたAML又はCML患者の末梢血(PB)及び骨髄(BM)試料は、地域施設内審査委員会(IRB)承認プロトコール(ベイラー医科大学、テキサス州ヒューストン)に従って採取するか、テキサス小児がんセンター組織バンク(Texas Children' s Cancer Center Tissue Bank)によって提供された。皮膚線維芽細胞は、地域BCM−IRB承認プロトコールに従ってHLA−A*0201+健康な提供者(高分解能シーケンスベースタイピングにより確認、ヒューストンメソジスト病院、テキサス州ヒューストン)から採取し、以前に報告されている通りに(Leen, et al., 2004)生成した。
ペプチド及びアラニン置換実験
天然の10merのペプチドであるサバイビン95−104 ELTLGEFLKL(ELT;配列番号15)、そのヘテロクリット性の9merのバリアントサバイビン96−10497M LMLGEFLKL(LML;配列番号16)、メラノーマ優先発現抗原メラノーマ優先発現抗原(Preferentially Antigen Expressed in Melanoma)(PRAME)P435(P435、NLTHVLYPV[配列番号29])、PRAME P300(P300、ALYVDSLFFL[配列番号30])、MART−1 ELA(ELAGIGILTV[配列番号31])、チロシナーゼYMD(YMDGTMSQV[配列番号32])、及びこれら全てのペプチドの各アミノ酸位置のアラニン置換バリアントは、Genemedmed Synthesis社(テキサス州サンアントニオ)によって合成された。ペプチドはすべてDMSOに再溶解し、他に指示がない限り5μMの濃度で使用した。メラノーマ優先発現抗原(PRAME)P435ペプチド(P435、NLTHVLYPV;配列番号17)又はインフルエンザマトリックスタンパク質58−66(flu、GILGFVFTL;配列番18)を無関係対照(Quintarelli, et al., 2008)として用いた。トランスジェニックT細胞によるHLA−ペプチド複合体の認識を、ペプチドでパルスしたT2細胞を標的にして用いるIFN−γ ELISpotアッセイによって分析した。
サバイビン特異的T細胞株及びクローンの生成と増殖
末梢血単核細胞(PBMC)は、Lymphoprep(Accurate Chemical and Scientific Corp.社、ニューヨーク州ウエストベリー)密度勾配遠心によって単離した。以前に記載されているように(Quintarelli, et al., 2008)、HLA−A2ステータスをフローサイトメトリー(FACS)によって評価し、サバイビン特異的T細胞株をHLA−A2陽性提供者から生成した。簡単に記載すると、樹状細胞(DC)を(CD14+ビーズ及び手動MACSカラム、ミルテニーバイオテク、カリフォルニア州オーバーンを用いて)CD14で選択した単球から精製し、成熟させた後に5μMの特異的ペプチドで37℃にて2時間パルスした。次にDCを使用して、自己由来のCD8+T細胞(免疫磁気選択によって得た、ミルテニーバイオテク)を、20:1のエフェクター対標的(E:T)比にて、完全CTL培地(45%クリック培地(アーバイン・サイエンティフィック、カリフォルニア州サンタアナ)、45%RPMI1640、5%加熱不活性化ヒトAB血清(Valley Biomedical、バージニア州ウィンチェスター)、1%L−グルタミン、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(インビトロジェン、カリフォルニア州カールズバッド)中で、以前に検証されたサイトカインの組み合わせ(IL−7(10ng/ml)、IL−12(1ng/ml)、及びIL−15(2ng/ml)(Peprotec、ニュージャージー州ロッキー・ヒル又はR&Dシステム、ミネソタ州ミネアポリス)の存在下で刺激した。培養の9日目及び16日目に、IL−7、IL−12、及びIL−15を含有する培地中で、T細胞をペプチドでパルスした人工抗原提示細胞(aAPC)を用いて10:1のE:T比で再び刺激した。以前に記載されている通り(Quintarelli, et al., 2008)、インターロイキン−2(50U/ml)(Teceleukin、ホフマン・ラ・ロシュ社、ニュージャージー州ナットリー)を16日目から培養に加えた。
以前に記載されている通りに(Perna、et al., 2013)、単一細胞サバイビン特異的T細胞クローンをLML及びELT反応性T細胞株から限界希釈によって生成した。成長細胞をIFN−γ ELISpotアッセイでサバイビン特異的反応性についてスクリーニングし、同種異系フィーダー細胞、IL−2、及びOKT3(Orthoclone)の存在下でさらに増殖させた。並行して、非特異的な(無関係)クローンを同一提供者から増殖させ、対照とした。増殖させたクローンは、高分解能シーケンスベースタイピング(メソジスト病院、テキサス州ヒューストン)でHLA−A*0201+であることを確認した。PRAME−特異的クローンを同じ方法に従って生成した。
免疫表現型検査
細胞を、BDバイオサイエンス(カリフォルニア州サンノゼ)又はベックマン・コールター(カリフォルニア州ブレア)のHLA−A2、CD3、CD4、CD8、CD33、CD34、CD38、CD56、CD45に対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗体、フィコエリスリン(PE)結合抗体、ペリジニンクロロフィルタンパク質(PerCP)結合抗体、又はアロフィコシアニン(APC)−結合抗体、サバイビンに対するPE結合抗体(R&Dシステム)、マウスTCR定常β鎖に対するAPC結合抗体(イーバイオサイエンス、カリフォルニア州サンディエゴ)、又はベイラー医科大学MHC四量体作製施設(MHC Tetramer Production Facility)により作製されたPE結合LML若しくはELTサバイビン特異的四量体を用いて染色した。データ取得は、CellQuestソフトウェア(BD)を用いてFACS Caliburで行った。データ分析はFlowJoソフトウェア(Treestar、オレゴン州アシュランド)を用いて行った。
ELISpotアッセイ
以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2008)、インターフェロン−γ(IFN−γ)ELISpotアッセイを行った。簡単に記載すると、1×105個のT細胞/ウェルを3連で播き、次に5μM若しくは示された濃度の特異的ペプチド、又は対応する標的細胞株の1×105個の細胞、又は培地のみで刺激した。陽性対照として、T細胞を25ng/mlのホルボールミリスタートアセタート(PMA)(シグマアルドリッチ、ミズーリ州セントルイス)及び1μg/mlのイオノマイシン(シグマアルドリッチ)で刺激した。IFN−γスポット形成細胞(SFC)を数えた(ZellNet、ニュージャージー州フォートリー)。
クロム放出アッセイ
以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2008)、T細胞の細胞傷害活性を標準的な4時間(ペプチドでパルスしたT2細胞を用いるTCRアビディティー測定のため)〜6時間(腫瘍細胞株、活性化されたT細胞、線維芽細胞、及び心筋細胞の殺作用評価のため)の51Cr放出アッセイを用いて評価した。標的細胞を培地のみ又は1%トリトンX−100(シグマアルドリッチ)中でインキュベーションして、それぞれ自発的及び最大51Cr放出を測定した。3連のウェルの特異的溶解の平均%割合を次のように計算した:[(テストカウン−自然カウント)/(最大カウント−自然カウント)]×100%。ブロッキング実験に関して、以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2008)、標的細胞を抗HLAクラスI又はクラスIIブロッキング抗体(DAKO、カリフォルニア州カーピンテリア)で予めインキュベーションした。選ばれた実験では、線維芽細胞及び心筋細胞をIFN−γ(100U/ml)(Peprotech)で予め48時間インキュベーションした後、LMLペプチド(28)の非存在又は存在下で標的にして使用した。
共培養及びサイトメトリービーズアレイ
24ウェルプレート中でサイトカインの非存在下において、形質導入又は非形質導入T細胞(1×106個/ウェル)を腫瘍細胞株(2×105個/ウェル)と5:1のエフェクター対標的(E:T)比で共培養した。培養の5日目、細胞を採取し、CD3及び特異的腫瘍マーカー(BV173についてはCD19、U266についてはCD138、HL−60及びK562についてはCD33)を染色した。CountBrightビーズ(インビトロジェン)を用いて培養中の残存腫瘍細胞をFACSで数えた。共培養上清を培養の24時間後に採取し、特異的サイトメトリービーズアレイ(BD)を製造業者の取扱説明書に従って使用してサイトカインを測定した。
白血病及び正常造血前駆体のコロニー形成単位アッセイ(CFU)
以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2008)、健康な提供者又は白血病患者のBM、CB、又はPBからの単核細胞(MNC)をサバイビン特異的若しくは非特異的T細胞クローン、又はサバイビンTCR形質導入若しくは非形質導入T細胞と10:1のエフェクター対標的(E:T)比で6時間共インキュベーションし、次に組換えサイトカイン(Methocult H4434 classic、Stem Cell Technologies、ワシントン州タックウィラ)を補充したメチルセルロースベースの培地に2連で播いた。培養の2週間後に、高性能倒立顕微鏡を用いて顆粒球マクロファージコロニー形成ユニット及び赤血球CFUを記録した。
サバイビン特異的TCR遺伝子の単離及びレトロウィルスベクターの生成
キアゲン(メリーランド州ジャーマンタウン)のRNeasyキットを用いて、トータルRNAを、サバイビン特異的クローン#24(s24)、#16(s16)から又はPRAME特異的クローンp11、p28、及びp300から単離し、5’RACE PCR(Generacerキット、インビトロジェン)を用いて製造業者の取扱説明書に従ってTCR cDNAをクローニングした。PCR産物をpCR4 TOPOベクター(インビトロジェン)にクローニングし、One Shot TOP10コンピテント細胞(インビトロジェン)を形質転換した。プラスミドDNAを40個の個別コロニーから調製し、20個がTCRα−鎖cDNAを含み、20個がTCRβ鎖cDNAを含んだ。1つのTCR鎖につき10個のプラスミドから全長インサートを配列決定して(Seqwright、テキサス州ヒューストン)、CTLクローンs24のTCR利用を決定した。同定後、ヒトTCR定常領域をマウスTCR定常領域で置換することによってTCR配列を改変し、2A配列を連結し、Geneart(インビトロジェン)でコドン最適化し、最後にSFGレトロウィルスベクターに導入した(図2A)。A72−TCR(Leisegang、et al., 2010)の天然α鎖及びβ鎖TCR配列を、Geneart(インビトロジェン)でコドン最適化及び合成し、さらに改変することなくSFGレトロウィルスベクターに別々に導入した。MART−1(M1−29及びM1−67)並びにチロシナーゼ(T58)TCR配列(Wilde, et al., 2009)をコドン最適化し、2A配列を連結して、Geneartで合成し、SFGレトロウィルスベクターに導入した。
レトロウイルス上清の生成、T細胞形質導入及び増殖
以前に記載されている通りに(Quintarelli, et al., 2007)、一過性レトロウイルス上清を、293T細胞をトランスフェクションすることによって調製し、磁気ビーズ(ミルテニーバイオテク)を用いて健康な提供者のPBMCから単離したCD8+T細胞に形質導入するのに使用した。形質導入細胞を10%FBSを含有するCTL培地で増殖させ、4:1のE:T比にてサバイビンLMLペプチド積載γ照射(80Gy)aAPC及びIL−2(50U/ml)で週1回刺激した。非形質導入T細胞を10%FBS及びIL2(50U/ml)を含有するCTL培地で維持し、固定化したOKT3及び抗CD28(BD)抗体で再刺激した。
BV173白血病異種移植片モデル及び生体内生物発光イメージング
NSGマウス(8〜10週齢)は、ジャクソン研究所(メイン州バー・ハーバー)から購入し、IACUC承認プロトコールに基づいてベイラー医科大学動物施設で維持した。亜致死照射(120cGy)を受けたNSGマウスに3×106個のFFluc標識BV173細胞を尾静脈から静脈内輸注した。IVISシステム(Xenogen、Caliper Life Sciences、カリフォルニア州アラメダ)を用いる生物発光イメージング(光子/秒/cm2/sr)によって白血病負荷をモニターした。形質導入T細胞又は非形質導入T細胞(10×106/マウス)の計3回のT細胞輸注(2日間隔)を、BV173接種の24時間後(低全身腫瘍組織量モデル;図5A)又は14〜17日後(高全身腫瘍組織量モデル;図6A)に後眼窩注射で行った。組換えヒトIL−2(1000U/マウス)を、T細胞輸注の間及びその次の週に、計6回腹腔内投与した。白血病の進行を週1回イメージング及び記録生存期間によってモニターした。有病マウスを犠牲にし、臓器(脾臓、血液、骨髄、リンパ節、肝臓)を白血病細胞及びT細胞の有無についてFACSで分析した。
交差反応性ペプチドに関するExPASy−PROSITE検索
ExPASy−PROSITEウェブサーバー(http://prosite.expasy.org/scanprosite/)を使用して、s24及びA72 TCRの比較のために、すべてのUniProtKB/Swiss−Prot登録データ(2013年10月16日のリリース2013_10:登録数541561)内のペプチドモチーフを検索した(登録数546000を含む2014年7月9日のリリース2014_07、全TCRについて)。フィルターはホモサピエンス及び造血系に設定した。
統計的解析
データを平均及び標準偏差(SD)でまとめた。スチューデントのt検定を使用して、治療群間の統計的に有意な差を決定した。適切な場合はボンフェローニ法で調整した多重比較を伴った。マウスの白血病進行傾向を経時的に比較するために、各時点の生物発光シグナル強度を対数変換し、反復測定値についてロバスト一般化推定方程式法で解析した。生存分析はカプランマイヤー法を用いてGraphPadソフトウェア(カリフォルニア州ラホヤ)で行った。ログランク検定を使用して、p値<0.05が有意な差であること示すものとして、マウスの群間の統計的有意差を評価した。
参考文献
本明細書で言及された特許及び刊行物はすべて、本発明の属する分野の当業者の水準を示す。特許及び刊行物のすべては、それぞれ個別の刊行物が具体的かつ個別に参照により組み込まれると示されるように、同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
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本発明及びその利点が詳細に記載されてきたが、さまざまな変更、置換、及び改変が本明細書において添付の請求項に規定される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされうることが理解されるべきである。そのうえ、本願の範囲は、本明細書に記載のプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、及び工程の特定の実施形態に限定されることは意図されない。当業者なら本発明の本開示から容易に理解するであろうように、現在存在している又は後に開発される、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たす又は実質的に同じ結果を成し遂げるプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、又は工程が本発明に従って利用されうる。したがって、添付の請求項は、その範囲内にそのようなプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、又は工程を含むことを意図される。