JP2017537633A - 低飽和脂肪酸または無飽和脂肪酸トランスジェニックキャノーラの生成 - Google Patents

低飽和脂肪酸または無飽和脂肪酸トランスジェニックキャノーラの生成 Download PDF

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Abstract

組成物および方法は、植物細胞における新規なデルタ−9デサチュラーゼを遺伝的にコードおよび発現することを含む。一部の実施形態において、植物細胞において核酸を発現してデルタ−9デサチュラーゼ酵素の活性を利用し、それによって植物種子における飽和脂肪酸の組成パーセントを低下させ、Δ9脂肪酸を付随的に増大させる方法。他の実施形態において、アミノ酸配列はデルタ−9デサチュラーゼ活性を有する。方法は、植物全体、植物種子、および植物材料、例えば種子における一不飽和脂肪酸の量を増大させる目的で、植物細胞、植物材料、および植物全体におけるデルタ−9デサチュラーゼを発現させることを伴い得る。

Description

一部の実施形態は、全体として、特定のデルタ−9デサチュラーゼ酵素、これらの酵素をコードする核酸、および植物細胞においてこれらの酵素を発現させる方法に関する。一部の実施形態は、特定のデルタ−9デサチュラーゼ酵素の活性を利用して、植物材料(例えば種子)における飽和脂肪酸の組成パーセントを低下させ、ω−7脂肪酸の組成パーセントを増大させることに関する。さらなる実施形態は、種子特異的なプロモーターを利用して、デルタ−9デサチュラーゼ酵素を種子において優先的に発現させることに関する。同様に本明細書において開示されるものは、特定の実施形態における方法によって生産された植物および植物材料、ならびに3.5%未満または2.7%未満の飽和脂肪酸を含有する、これらの植物によって生産された油である。
植物由来油は、食事での主な脂肪摂取源として、動物由来油および脂肪から徐々に置き換わってきている。しかし、ほとんどの先進国における飽和脂肪の摂取は総カロリー消費の約15%から20%のままである。より健康なライフスタイルを促進する試みの一環として、米国農務省(USDA)は最近、飽和脂肪を毎日のカロリー摂取の10%未満にすることを推奨している。消費者が認識しやすくするために、USDAによって公表されている現在の表示ガイドラインは今や、「低飽和脂肪酸」表示をするには総飽和脂肪酸レベルが14gの提供当たり1.0g未満であることを、「無飽和脂肪酸」表示をするには14gの提供当たり0.5g未満であることを要求している。このことは、「低飽和脂肪酸」または「無飽和脂肪酸」表示をするには植物油の飽和脂肪酸含有量がそれぞれ7%および3.5%未満である必要があることを意味する。これらのガイドラインの発行のため、「低飽和脂肪酸」および「無飽和脂肪酸」油に対する消費者の需要が高まってきている。これまで、この需要は主にキャノーラ油で満たされており、ヒマワリ油およびベニバナ油ではほとんど満たされていなかった。
不飽和脂肪(一不飽和脂肪およびポリ不飽和脂肪)が有利である(特に、適度に消費される場合)一方で、飽和脂肪およびトランス脂肪はそうではない。飽和脂肪およびトランス脂肪は、血中の望ましくないLDLコレステロールレベルを上昇させる。食事性コレステロールもまたLDLコレステロールを上昇させ、たとえLDLを上昇させなくても心疾患の原因となり得る。したがって、健康的な食事の一環として、飽和脂肪、トランス脂肪、およびコレステロールが少ない食品を選択することが望ましい。
植物起源でも動物起源でも、油の特徴は、油分子内の炭素原子および水素原子の数、ならびに脂肪酸鎖内に含まれる二重結合の数および位置によって主に決定される。ほとんどの植物由来油は、様々な量のパルミチン脂肪酸(16:0)、ステアリン脂肪酸(18:0)、オレイン脂肪酸(18:1)、リノール脂肪酸(18:2)、およびリノレン脂肪酸(18:3)を含む。従来、パルミチン酸およびステアリン酸は「飽和脂肪酸」と呼ばれ、それは、それらの炭素鎖が水素原子で飽和されており、したがって二重結合を有さないためである。これらは、可能な限り多くの水素原子を含有する。しかし、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸は、1つ、2つ、および3つの二重結合をそれぞれ内部に有する18炭素脂肪酸鎖である。オレイン酸は一不飽和脂肪酸であると典型的には考えられ、一方、リノール酸およびリノレン酸はポリ不飽和脂肪酸であると考えられる。3.5%未満の飽和脂肪酸含有量を有するものを意味する、「無飽和脂肪酸」油製品の米国農務省の定義は、(脂肪酸総量と比較した)重量当たりの組み合わされた飽和脂肪酸含有量として計算される。
キャノーラ油は、全ての植物油の中で、飽和脂肪酸レベルが最も低い。「キャノーラ」はナタネ(アブラナ属(Brassica))を指し、これは、種子の総脂肪酸含有量に基づいて最大2重量%(好ましくは最大0.5重量%、最も好ましくは基本的に0重量%)のエルカ酸(C22:1)含有量を有し、圧搾後に、脱脂(無油)粉末内に30μmol/g未満のグルコシノレートを含有する空気乾燥粉末を生じさせる。これらのタイプのナタネは、より従来の様々な種と比較して、食用となる点で区別される。
油糧種子において、脂肪酸合成は主にプラスチド内で生じることが仮定される。脂肪酸合成の主な産物はパルミチン酸エステル(16:0)であり、これはステアリン酸エステル(18:0)に効率的に伸長されると思われる。プラスチド内に留まっている間、飽和脂肪酸は次いで、アシル−ACPデルタ−9デサチュラーゼとして知られる酵素によって不飽和化されて、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を導入され得る。具体的には、ステアリン酸エステルはプラスチドデルタ−9デサチュラーゼ酵素によって迅速に不飽和化されて、オレイン酸エステル(18:1)を生じ得る。実際、パルミチン酸エステルも、プラスチドデルタ−9デサチュラーゼによってパルミトレイン酸エステル(16:1)に不飽和化され得るが、この脂肪酸はほとんどの植物油においてほんのわずかな量(0〜0.2%)でしか存在しないと思われる。したがって、プラスチド内での脂肪酸合成の主な産物は、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、およびオレイン酸エステルである。ほとんどの油において、飽和脂肪酸が非常にわずかな割合でしか存在しないため、オレイン酸エステルが合成される主な脂肪酸である。
新たに合成された脂肪酸は、プラスチドから細胞質に搬出される。細胞質内の植物脂肪酸のその後の不飽和化はオレイン酸エステルに限定されると思われ、オレイン酸エステルは、ホスファチジルコリン(PC)にエステル化されるオレオイル基質またはリノレオイル基質に作用するミクロソームデサチュラーゼによって、リノール酸エステル(18:2)およびリノレン酸エステル(18:3)に不飽和化され得る。さらに、植物に応じて、オレイン酸エステルは、伸長(20:1、22:1、および/または24:1に)によって、または官能基の付加によって、さらに修飾され得る。これらの脂肪酸は、飽和脂肪酸であるパルミチン酸エステルおよびステアリン酸エステルと共に、次いで、網状内膜内でトリグリセリドに組み立てられる。
植物アシル−ACPデルタ−9デサチュラーゼ酵素は可溶性である。これはプラスチド間質に位置し、ACP、主にステアリル−ACPにエステル化される新たに合成された脂肪酸を、基質として用いる。これは、小胞体膜(ERまたはミクロソーム)内に位置し、Co−Aにエステル化される脂肪酸を基質として用い、かつ飽和脂肪酸であるパルミチン酸エステルおよびステアリン酸エステルの両方を不飽和化する、他のデルタ−9デサチュラーゼ酵素と対照的である。米国特許第5,723,595号明細書および米国特許第6,706,950号明細書は、植物デサチュラーゼに関する。
酵母デルタ−9デサチュラーゼ遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から単離され、クローニングされ、配列決定されている。Stukey et al. (1989) J. Biol. Chem. 264:16537-44;Stukey et al. (1990) J. Biol. Chem. 265:20144-9。この酵母遺伝子はタバコ葉の組織に導入されており(Polashcok et al. (1991) FASEB J. 5:A1157;Polashok et al. (1992) Plant Physiol. 100:894-901)、この組織において明らかに発現した。さらに、この酵母遺伝子はトマトにおいても発現した。Wang et al. (1996) J. Agric. Food Chem. 44:3399-402;およびWang et al. (2001) Phytochemistry 58:227-32を参照されたい。この酵母デルタ−9デサチュラーゼ遺伝子を用いて、特定の不飽和脂肪酸のある程度の増大および特定の飽和脂肪酸のある程度の減少がタバコおよびトマトの両方で報告されたが、タバコおよびトマトは明らかに油糧作物ではない。この酵母遺伝子はまた、セイヨウアブラナ(Brassica napus)にも導入された。米国特許第5,777,201号明細書。
アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)の異なる真菌アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼがキャノーラに導入されており、それによって、油糧種子における飽和脂肪酸レベルの低減が成功している。米国特許出願公開第2008/0260933号明細書。アスペルギルス・ニデュランス(A. nidulans)アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼは、油糧種子において、より豊富なパルミチン脂肪酸(36〜49%)よりもステアリン脂肪酸(61〜90%)を大きく減少させた。
開示
本明細書において開示されるものは、新規な真菌デルタ−9デサチュラーゼ酵素、このようなデサチュラーゼをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸、ならびに、植物、植物材料(例えば種子)、植物の一部分、および前述のもののいずれかを含む植物生産品である。一部の実施形態の態様は、イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)、レプトスフェリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)、およびアメリカタバコガ(Helicoverpa zea)から単離された真菌デルタ−9デサチュラーゼ酵素によって例示される。一部の実施例には、パルミチン酸またはステアリン酸を基質として優先する非変性および合成デルタ−9デサチュラーゼが含まれる。
一部の実施形態は、配列番号1、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、および配列番号33からなる群から選択される配列に少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むデルタ−9デサチュラーゼ酵素をコードする単離された核酸分子を含む。特定の実施例において、核酸分子は、配列番号2、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、および配列番号25からなる群から選択される配列に少なくとも60%同一な配列を含む。これらのおよびさらなる実施形態は、配列番号1、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、および配列番号33からなる群から選択される配列に少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含む単離されたデルタ−9デサチュラーゼポリペプチドを含み得る。
同様に開示されるものは、前述の核酸および/またはポリペプチドの少なくとも1つを植物細胞において発現させる方法である。特定の実施形態は、デルタ−9デサチュラーゼ酵素の活性を利用して、飽和脂肪酸の組成パーセントを植物、植物材料(例えば種子)、および/もしくは植物細胞を含む植物の一部分、ならびに/または前述のもののいずれかから生産された植物生産品において低下させ得る。特定の実施形態において、ω−7脂肪酸が、植物、植物材料、植物の一部分、および/または植物生産品において付随的に増大し得る。さらなる実施形態は、種子特異的な発現を利用して、油糧種子内の飽和脂肪酸レベルをさらに低下させる。
一部の実施形態は、植物、植物材料、植物の一部分、および/または植物生産品における飽和脂肪酸の量を減少させるための方法、植物細胞を本発明のデルタ−9デサチュラーゼポリペプチドをコードする核酸分子で形質転換して、細胞内の飽和脂肪酸の量を減少させる方法を含む。一部の実施形態は、同一種の野生型植物と比較して植物内の飽和脂肪酸の量が減少した遺伝子操作された植物を生成するための方法を含む。このような方法は、植物材料(または植物細胞)を、本発明の1つもしくは複数のデルタ−9デサチュラーゼポリペプチドまたはデルタ−9デサチュラーゼポリペプチドの1つもしくは複数のコピーをコードする核酸分子で形質転換すること、および形質転換された植物材料(または植物細胞)を培養して植物を得ることを含み得る。特定の実施例において、シロイヌナズナ属種(Arabidopsis sp.)から得た植物細胞および/または植物材料を、本発明のデルタ−9デサチュラーゼポリペプチドをコードする核酸分子で形質転換することができる。他の特定の実施例において、各デルタ−9デサチュラーゼ遺伝子が異なるプロモーターによって制御されている、デルタ−9デサチュラーゼ遺伝子の2つ以上のコピーを形質転換することができる。他の特定の実施例において、2つ以上のプロモーターは種子特異的プロモーターである。
前述のおよび他の特徴は、添付の図面を参照しながら進められる、いくつかの実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになると予想される。
pDAB7305のプラスミドマップを示す図である。 NEXERA710(商標)キャノーラ対照植物および218−11.30HLトランスジェニックキャノーラ植物からなる陽性対照植物と比較した、分離Tキャノーラ植物のバルクのT種子におけるTSFA(%)の分布を示す図である。 陰性対照NEXERA710(商標)キャノーラ植物と比較した、3つの選択されたトランスジェニック事象から得たT種子集団におけるTSFAの分布を示す図である。黒い点は、TSFAが3.5%(黒線)未満の種子子孫を表す。グラフで示されるように、TSFAが3.5%未満の植物は様々な量の収量を生産し、AnD9DS導入遺伝子と同一のT鎖構成要素上に含有されるpat導入遺伝子の2から10のコピー数を有していた。 キャノーラ単粒におけるTSFAおよび飽和脂肪酸のパーセンテージの分布を示す図である(野生型対照植物は排除されているため、グラフはトランスジェニックキャノーラ事象のTSFA値を示す)。 キャノーラ単粒におけるTSFAおよび飽和脂肪酸のパーセンテージの分布を示す図である(野生型対照植物は排除されているため、グラフはトランスジェニックキャノーラ事象のTSFA値を示す)。
配列表
添付の配列表において列挙される核酸配列は、37C.F.R.§1.822において定義されているヌクレオチド塩基の標準的な省略文字を用いて示されている。各核酸配列の一方の鎖のみが示されているが、相補鎖は、提示されている鎖についてのあらゆる参照によって含まれるものと理解される。添付の配列表において、
配列番号1は、アルペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼタンパク質(一部の箇所ではAnD9DSと呼ばれる)のアミノ酸配列を示す。
配列番号2は、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼ遺伝子(一部の箇所ではAnD9DSと呼ばれる)のv3の核酸配列を示す。
配列番号3は、pDAB7305の第1の植物転写単位(PTU)の核酸配列を示す。
配列番号4は、pDAB7305の第2のPTUの核酸配列を示す。
配列番号5は、pDAB7305の第3のPTUの核酸配列を示す。
配列番号6〜11は、一部の実施形態において有用であり得るプライマーおよびプローブの配列を示す。
配列番号12は、PCRによって増幅されたイネいもち病菌(M. grisea)アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼ遺伝子(一部の箇所ではMgD9DSと呼ばれる)の典型的な断片である。
配列番号13は、典型的なイントロンレスMgD9DSクローンである。
配列番号14は、一部の箇所ではLnD9DS−1と呼ばれる第1のレプトスフェリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼをコードする典型的な核酸配列を示す。
配列番号15は、一部の箇所ではLnD9DS−2と呼ばれる第2の典型的なレプトスフェリア・ノドルム(L. nodorum)アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼをコードする典型的な核酸配列を示す。
配列番号16は、イネいもち病菌(M. grisea)の典型的な非変性デルタ−9デサチュラーゼ遺伝子(MgD9DS v1と表示される)のコード領域を示す。
配列番号17は、アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)の典型的な非変性デルタ−9デサチュラーゼ遺伝子(HzD9DS v1と表示される)のコード領域を示す。
配列番号18は、レプトスフェリア・ノドルム(L. nodorum)の典型的な非変性デルタ−9デサチュラーゼ(LnD9DS−2 v1)遺伝子のコード領域を示す。
配列番号19は、イネいもち病菌(M. grisea)の典型的なキャノーラ最適化されたデルタ−9デサチュラーゼ遺伝子(MgD9DS v2)の配列を示す。
配列番号20は、アメリカタバコガ(H. zea)の典型的なキャノーラ最適化されたデルタ−9デサチュラーゼ遺伝子(HzD9DS v2)の配列を示す。
配列番号21は、レプトスフェリア・ノドルム(L. nodorum)の典型的なキャノーラ最適化されたデルタ−9デサチュラーゼ遺伝子(LnD9DS−2 v2)の配列を示す。
配列番号22は、レプトスフェリア・ノドルム(L. nodorum)のさらなる典型的なキャノーラ最適化されたデルタ−9デサチュラーゼ遺伝子(LnD9DS−2 v3)の配列を示す。
配列番号23は、アメリカタバコガ(H. zea)のさらなる典型的なキャノーラ最適化されたデルタ−9デサチュラーゼ遺伝子(HzD9DS v3)の配列を示す。
配列番号24は、一部の箇所ではAnD9DS v2と呼ばれるアルペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)デルタ−9デサチュラーゼをコードする典型的な核酸配列を示す。
配列番号25は、一部の箇所ではAnD9DS v3と呼ばれるアスペルギルス・ニデュランス(A. nidulans)デルタ−9デサチュラーゼをコードする第2の典型的な核酸配列を示す。
配列番号26は、イネいもち病菌(M grisea)の典型的な非変性デルタ−9デサチュラーゼ(MgD9DS)のアミノ酸配列を示す。
配列番号27は、アメリカタバコガ(H. zea)の典型的な非変性デルタ−9デサチュラーゼ(HzD9DS)のアミノ酸配列を示す。
配列番号28は、レプトスフェリア・ノドルム(L. nodorum)の典型的な非変性デルタ−9デサチュラーゼ(LnD9DS−2)のアミノ酸配列を示す。
配列番号29は、配列番号24〜25によって例示される核酸(AnD9DS)によってコードされるアミノ酸配列を示す。
配列番号30は、別の典型的なAnD9DSデサチュラーゼのアミノ酸配列を示す。
配列番号31は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の典型的な非変性デルタ−9デサチュラーゼ(ScOLE1)のアミノ酸配列を示す。
配列番号32は、典型的なAnD9DSデサチュラーゼのN末端の68残基(1〜68)を示す。
配列番号33は、典型的なAnD9DSデサチュラーゼのC末端の175残基(281〜455)を示す。
発明を実施するための態様
I.いくつかの実施形態の概説
本発明者らは以前に、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)の真菌アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼをキャノーラに導入し、それによって、油糧種子における飽和脂肪酸レベルを低減させることに成功した。米国特許出願公開第2008/0260933号明細書。アスペルギルス・ニデュランス(A. nidulans)デルタ−9デサチュラーゼは、油糧種子において、より豊富なパルミチン脂肪酸(36〜49%)よりもステアリン脂肪酸(61〜90%)を大きく減少させた。アスペルギルス・ニデュランス(A. nidulans)デルタ−9デサチュラーゼの複数のコピーを提供することによってキャノーラにおける飽和脂肪酸レベルが3.5%未満に低減し得ることが発見された。
本明細書において開示されるものは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、および配列番号25からなる群から選択される配列に少なくとも60%同一なヌクレオチド配列を含むデルタ−9デサチュラーゼポリペプチドをコードする核酸分子である。一部の実施形態において、核酸分子は、デルタ−9デサチュラーゼポリペプチドをコードする配列に機能可能に連結している遺伝子調節エレメントをさらに含み得る。特定の実施形態において、遺伝子調節エレメントは、ファセオリンプロモーター、ファセオリン5’非翻訳領域、ファセオリン3’非翻訳領域(「UTR」)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF1の3’非翻訳領域、キャッサバベインモザイクウイルスプロモーター、タバコ(Nicotiana tabacum)RB7マトリクス付着領域、T鎖境界配列、LfKCS3プロモーター、およびFAE1プロモーターであり得る。
一部の実施形態において、デルタ−9デサチュラーゼポリペプチドをコードする核酸分子のいくつかのコピーが存在し得、それぞれは、異なる調節エレメントセットの調節性制御下にあり得る。さらに具体的には、遺伝子調節エレメントは、ファセオリンプロモーターおよびファセオリン5’UTR、ならびにレスケレラ・フェンドレリ(Lesquerella fendleri)LfKCS3プロモーターであり得、その結果、AND9DSの2つのコピーが存在し、一方のコピーはファセオリンプロモーターおよび5’UTRによって制御され、第2のコピーはLfKCS3プロモーターによって制御される。他の実施形態において、1つのデルタ−9デサチュラーゼポリペプチド(または複数のデルタ−9デサチュラーゼポリペプチド)をコードする核酸のいくつかのコピーは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)デルタ−9デサチュラーゼプロモーター、デルタ−9デサチュラーゼ3’UTR/ターミネーター、ole1遺伝子プロモーター、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)のファセオリン3’非翻訳領域、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)のファセオリンマトリクス付着領域、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)マンノピン合成酵素プロモーター、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF23の3’非翻訳領域、キャッサバベインモザイクウイルスプロモーター、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF1の3’非翻訳領域、タバコ(Nicotiana tabacum)RB7マトリクス付着領域、オーバードライブ、T鎖境界配列、LfKCS3プロモーター、FAE1プロモーター、Mycタグ、およびヘマグルチニンタグを含む他の調節エレメントの制御下にあり得る。
同様に開示されるものは、配列番号1からなる群から選択される配列に少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むデルタ−9デサチュラーゼポリペプチド、および、配列番号2のような、このようなデルタ−9デサチュラーゼポリペプチドをコードする核酸分子である。
一部の実施形態において、核酸分子およびデルタ−9デサチュラーゼポリペプチドは、同一種の野生型植物において見られる量と比較して植物材料、細胞、組織、または植物全体における飽和脂肪酸の量が減少するように、植物材料、細胞、組織、または植物全体において発現し得る。本発明の代替的な実施形態は、植物材料、細胞、組織、または植物全体における飽和脂肪酸の量を減少させるための方法を含む。このような方法は、植物材料、細胞、組織、または植物全体を前述の核酸分子の少なくとも1つで形質転換して、植物材料、細胞、組織、または植物全体における飽和脂肪酸の量を減少させることを含み得る。特定の実施形態は、植物材料、細胞、組織、または植物全体においてパルミチン脂肪酸および/またはステアリン脂肪酸を優先的に減少させるための方法を含む。
本明細書において開示されている方法は、例えば、植物、または植物(例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis)属の植物、またはキャノーラ)に由来する植物材料に対して行うことができる。特定の実施形態は、同一種の野生型植物と比較して植物内の飽和脂肪酸の量が減少した遺伝子操作された植物を生成または再生するための方法、植物細胞または植物材料を前述の核酸分子の少なくとも1つで形質転換することおよび形質転換された植物材料を培養して植物を得ることを含む方法について記載されている。前述の方法のいずれかによって得られた植物、植物材料、植物細胞、および種子もまた開示される。
II.略記
x:yΔz x個の炭素とカルボキシル末端から数えて位置zにy個の二重結合とを含有する脂肪酸
ACP アシル担体タンパク質
CoA 補酵素A
FA 脂肪酸
FAS 脂肪酸合成酵素
FAME 脂肪酸メチルエステル
KASII β−ケトアシル−ACP合成酵素II
MUFA 一不飽和脂肪酸
PUFA ポリ不飽和脂肪酸
WT 野生型
III.用語
脂肪酸:本明細書において用いる場合、用語「脂肪酸」は、様々な鎖長の、例えば約C12からC22の、長鎖脂肪族酸(アルカン酸)を指すが、より長いおよびより短い鎖長の酸は知られている。脂肪酸の構造は、表記x:yΔによって表され、式中、「x」は特定の脂肪酸内の炭素(C)原子の総数であり、「y」は、酸のカルボキシル末端から数えて位置「z」における炭素鎖内の二重結合の数である。
代謝経路:用語「代謝経路」は、代謝産物の形成または別の代謝経路の開始を達成するための、酵素によって触媒される、細胞内で生じる一連の化学反応を指す。代謝経路はいくつかのまたは多くのステップを伴い得、特異的反応基質について、異なる代謝経路と競合し得る。同様に、1つの代謝経路の産物は、さらに別の代謝経路の基質であり得る。
代謝の操作:本発明の目的では、「代謝の操作」は、細胞内の1つまたは複数の代謝経路を改変して、細胞内で機能可能な全代謝経路の全体的なスキームにおいて最初の物質から所望の正確な化学構造を有する産物への段階的な修飾を達成させるための、合理的な戦略設計を指す。
デサチュラーゼ:本明細書において用いる場合、用語「デサチュラーゼ」は、1つまたは複数の脂肪酸内で不飽和化(すなわち、二重結合の導入)して目的の脂肪酸または前駆体を生産し得るポリペプチドを指す。植物可溶性の脂肪酸のデサチュラーゼ酵素は、二重結合を飽和アシル−ACP基質内に位置特異的に導入し得る。アシル−CoAデサチュラーゼは、二重結合を飽和脂肪アシル−CoA基質内に位置特異的に導入する。反応は、デサチュラーゼアーキテクチャの核を形成する4つのらせんの束によって協調している2電子還元型の二鉄中心による分子酸素の活性化を伴う。一部の実施形態において特に興味深いものは、アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼである。
デルタ−9−18:0−ACPデサチュラーゼは、膜流動性の維持のために全ての植物に必要である。この酵素はまずステアロイル−ACPを不飽和化するが、これはまた、パルミトイル−ACPに対してもわずかに活性である。
子孫植物:本発明の目的では、「子孫植物」は、植物交配方法によって得られ得るあらゆる植物またはそれから得られる植物材料を指す。植物交配方法は当技術分野において周知であり、これには、自然交配、人工交配、DNA分子マーカー分析を含む選択的交配、トランスジェニック、および商業的交配が含まれる。
植物材料:本明細書において用いる場合、用語「植物材料」は、植物から得られるあらゆる細胞または組織を指す。
核酸分子:RNA、cDNA、ゲノムDNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含み得るポリマー形態のヌクレオチド、ならびに上記のものの合成形態および混合ポリマー。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾形態を指す。本明細書において用いられる「核酸分子」は、「核酸」および「ポリヌクレオチド」と同義である。この用語には、一本鎖形態および二本鎖形態のDNAが含まれる。核酸分子には、天然のおよび/または非天然のヌクレオチド連結によって共に連結された天然のおよび修飾されたヌクレオチドのいずれかまたは両方が含まれ得る。
核酸分子は、当業者には容易に理解されるように、化学的もしくは生化学的に修飾され得るか、または非天然のもしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含有し得る。このような修飾には、例えば、標識、メチル化、1つまたは複数の天然のヌクレオチドの類似体での置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電連結(例えば、メチルホスホン酸塩、ホスホトリエステル、アミド亜リン酸エステル、カルバミン酸エステルなど)、荷電連結(例えば、チオリン酸エステル、ジチオリン酸エステルなど)、懸垂部分(例えばペプチド)、インターカレーター(例えば、アクリジン、プソラレンなど)、キレート剤、アルキル化剤、および修飾された連結(例えば、アルファアノマー核酸など)が含まれる。用語「核酸分子」にはまた、一本鎖の、二本鎖の、部分的に二重になった、三重になった、ヘアピン化した、環状の、および南京錠型の立体構造を含む、あらゆるトポロジカル立体構造も含まれる。
機能可能に連結している:第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係にある場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列と機能可能に連結している。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に作用していれば、プロモーターはコード配列に機能可能に連結している。組換えによって生産された場合、機能可能に連結している核酸配列は通常連続的であり、2つのタンパク質コード領域を繋げる必要がある場合は同一のリーディングフレーム内で行う。しかし、核酸は、機能可能に連結するために連続的である必要はない。
調節エレメント:本明細書において用いる場合、用語「調節エレメント」は、遺伝子調節活性を有する核酸分子、すなわち、機能可能に連結した転写可能な核酸分子の転写または翻訳に作用する能力を有する核酸分子を指す。プロモーター、リーダー、イントロン、および転写終結領域などの調節エレメントは、生細胞における遺伝子の全体的な発現において不可欠な役割を担う、遺伝子調節活性を有する非コード核酸分子である。植物において機能する単離された調節エレメントは、したがって、分子操作の技術を介して植物の表現型を修飾するために有用である。「調節エレメント」は、特定の遺伝子を発現させるかどうか、その時期、およびそのレベルを決定する一連のヌクレオチドを意味する。調節DNA配列は、調節タンパク質または他のタンパク質と特異的に相互作用する。
本明細書において用いる場合、用語「遺伝子調節活性」は、機能可能に連結している核酸分子の転写または翻訳に作用し得る核酸分子を指す。遺伝子調節活性を有する単離された核酸分子は、一過性のもしくは空間的な発現をもたらし得るか、または機能可能に連結している核酸分子の発現のレベルおよび割合を調節し得る。遺伝子調節活性を有する単離された核酸分子は、プロモーター、イントロン、リーダー、または3’転写終結領域を含み得る。
プロモーター:本明細書において用いる場合、用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼIIまたは転写因子(転写を調節するトランス作用タンパク質因子)などの他のタンパク質の認識および結合に関与して、機能可能に連結している遺伝子の転写を開始させる核酸分子を指す。プロモーター自体は、機能可能に連結している遺伝子の転写に影響するシスエレメントまたはエンハンサードメインなどのサブエレメントを含有し得る。「植物プロモーター」は、植物細胞において機能的な非変性または変性プロモーターである。植物プロモーターは、機能可能に連結している1つまたは複数の遺伝子の発現を調節するための5’調節エレメントとして用いることができる。植物プロモーターは、それらの一過性の、空間的な、または発育的な発現パターンによって定義され得る。本明細書において記載される核酸分子は、プロモーターを含む核酸配列を含み得る。
配列同一性:2つの核酸配列またはポリペプチド配列の文脈で本明細書において用いられる用語「配列同一性」または「同一性」は、特定の比較ウィンドウにわたって最大の対応でアラインされた場合に同一である2つの配列内の残基を指し得る。
配列同一性のパーセンテージがタンパク質に関して用いられる場合、同一ではない残基位置は保存的なアミノ酸置換によって異なることが多いが、アミノ酸残基は類似の化学的特性(例えば、電荷、疎水性、または立体化学的影響)を有する他のアミノ酸残基に置換され、したがって分子の機能的特性は変化させないということが認識される。
したがって、配列が保存的置換によって異なる場合、配列同一性パーセントは、同一ではない残基の部位での置換の保存的性質を修正するように上方調整され得る。このような保存的置換によって異なる配列は「配列類似性」または「類似性」を有すると言われる。この調整を行うための技術は当業者に周知である。典型的には、このような技術は、保存的置換を完全なミスマッチとしてよりも部分的なミスマッチとしてスコアリングすることを伴い、それによって、配列同一性のパーセンテージが増大する。例えば、同一のアミノ酸が0と1との間のスコアを与えられ、非保存的置換が0のスコアを与えられる場合、保存的置換は0と1との間のスコアを与えられる。保存的置換のスコアリングは、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics、Mountain View、CA)において実行されるように計算され得る。
本明細書において用いる場合、用語「配列同一性のパーセンテージ」は、2つの最適にアラインされた配列を比較ウィンドウにわたって比較することによって決定される値を指し得、2つの配列の最適なアラインメントでは、比較ウィンドウ内の配列の部分は、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して付加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。パーセンテージは、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が両配列において生じる位置の数を判定してマッチ位置の数を得、マッチ位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り、その結果に100をかけて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
アミノ酸配列における類似の位置:核酸配列およびアミノ酸配列は、以下の段落において記載される方法によってアラインされ得る。アラインされると、位置がコンセンサス配列において同一であれば、一方の配列内の位置は、アラインされた配列内の位置と「類似の位置」にある。
比較のために配列をアラインするための方法は、当技術分野において周知である。様々なプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが、以下において記載されている。Smith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482, 1981;Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443, 1970;Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988;Higgins and Sharp, Gene 73:237-44, 1988;Higgins and Sharp, CABIOS 5:151-3, 1989;Corpet et al., Nucleic Acids Research 16:10881-10890, 1988;Huang, et al., Computer Applications in the Biosciences 8:155-65, 1992;Pearson et al., Methods in Molecular Biology 24:307-31, 1994;Tatiana et al., FEMS Microbiol. Lett., 174:247-50, 1990;Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990(配列アラインメント方法および相同性の計算についての詳細な検討)。
配列分析プログラム、例えばblastpおよびblastnと組み合わせて用いるための、国立生物工学情報センター(NCBI)のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)は、インターネットで入手可能である(blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)。このプログラムを用いて配列同一性を決定する方法についての説明は、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?CMD=Web&PAGE_TYPE=BlastDocsで、NCBIを介してインターネットで入手可能である。
アミノ酸配列の比較のために、BLASTプログラムの「Blast2配列」機能(bl2seq)が、デフォルトパラメータを用いて採用される。例えばミスマッチに対するペナルティーまたはマッチに対するリワードを与えるための特異的パラメータは、当業者の裁量の範囲内で調整され得る。
形質転換された:本明細書において用いる場合、用語「形質転換された」は、構築物などの外来核酸分子が導入されている細胞、組織、器官、または生物を指す。導入された核酸分子はレシピエント細胞、組織、器官、または生物のゲノムDNA内に組み込まれ得、その結果、導入されたポリヌクレオチド分子はその後の子孫によって受け継がれる。「トランスジェニック」または「形質転換された」細胞または生物にはまた、その細胞または生物の子孫、およびこのようなトランスジェニック植物を例えば交雑において親として用いる交配プログラムから生産され、外来核酸分子が存在することによる改変された表現型を示す子孫も含まれる。
IV.宿主細胞、組織、または生物における飽和脂肪酸を減少させるための代謝操作アプローチ
A.概説
本発明の実施形態は、特異的アシル−CoAを優先する(例えば、パルミチン酸またはステアリン酸)デルタ−9デサチュラーゼを植物種子に導入することを含む。デルタ−9デサチュラーゼの特異的アシル−CoAの優先によって、特定の特異的飽和脂肪酸プール(例えば、一不飽和産物への変換のためのパルミチン酸エステル)を標的化することが可能になる。アシル−CoAデルタ−9デサチュラーゼは植物系において通常はほとんど生産されないため、これらが植物内の飽和脂肪酸含有量を低下させるために選択された。
B.ポリペプチド
本発明の一部の実施形態に従ったポリペプチドは、配列番号1、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、および配列番号33からなる群から選択される配列とアラインした場合に同一性パーセンテージの増大を示すアミノ酸配列を含む。これらのおよび他の実施形態内の特異的アミノ酸配列は、前述の配列と例えば少なくとも約70%、約75%、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含み得る。多くの実施形態において、前述の配列とアラインした場合に前述の配列同一性を有するアミノ酸配列は、酵素的デルタ−9−18:0−ACPデサチュラーゼ活性を有するペプチドまたはこのようなペプチドの一部をコードする。
C.核酸
一部の実施形態は、上記のポリペプチドをコードする核酸分子を含む。例えば、一部の実施形態における核酸配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、および配列番号25からなる群から選択される配列とアラインした場合に同一性パーセンテージの増大を示す。これらのおよび他の実施形態内の特異的核酸配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、および配列番号25からなる群から選択される配列と例えば少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含み得る。当業者には、核酸分子が、例えば、コドン縮重に従った許容されるヌクレオチド置換の導入によって、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列を実質的に変化させることなく修飾され得ることが理解される。
一部の実施形態において、本発明の核酸分子は、遺伝子調節エレメント(例えばプロモーター)を含む。プロモーターは、ベクター構築物が挿入される細胞型に基づいて選択され得る。細菌、酵母、および植物において機能するプロモーターは、当技術分野において周知である。プロモーターはまた、それらの調節特徴に基づいても選択され得る。このような特徴の例には、転写活性、誘発性、組織特異性、および発育段階特異性の増強が含まれる。植物において、誘導性の、ウイルス由来または合成由来の、構成的に活性な、時間的に調節された、かつ空間的に調節されたプロモーターが記載されている。例えば、Poszkowski et al. (1989) EMBO J. 3:2719;Odell et al. (1985) Nature 313:810;およびChau et al. (1989) Science 244:174-81を参照されたい。
有用な誘導性プロモーターには、例えば、毒性緩和剤(置換されたベンゼンスルホンアミド除草剤)の適用によって誘導されるサリチル酸またはポリアクリル酸によって誘導されるプロモーター、熱ショックプロモーター、ホウレンソウ硝酸塩還元酵素の転写可能な核酸分子配列に由来する硝酸塩誘導性プロモーター、ホルモン誘導性プロモーター、ならびにRuBPカルボキシラーゼおよびLHCPファミリーの小さいサブユニットを伴う光誘導性プロモーターが含まれる。
有用な組織特異的な、発育上調節されるプロモーターの例には、β−コングリシニン7Sαプロモーターおよび種子特異的プロモーターが含まれる。種子プラスチドにおける優先的発現に有用な植物の機能的プロモーターには、油糧種子における脂肪酸生合成に関与するタンパク質のプロモーター、および植物の保存タンパク質のプロモーターが含まれる。このようなプロモーターの例には、ファセオリン、ナピン(napin)、ゼイン、大豆トリプシン阻害剤、ACP、ステアロイル−ACPデサチュラーゼ、およびオレオシンなどの転写可能な核酸分子配列の5’調節領域が含まれる。別の典型的な組織特異的プロモーターは、種子組織に特異的なレクチンプロモーターである。
さらに具体的には、プロモーターには、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリンプロモーター(単独で、またはインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリン3’非翻訳領域およびインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリン3’マトリクス付着領域と組み合わせて)、レスケレラ・フェンドレリ(Lesquerella fendleri)KCS3プロモーター、またはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)マンノピン合成酵素プロモーターが含まれ得る。
他の有用なプロモーターには、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の腫瘍誘発性プラスミド上にあるノパリン合成酵素、マンノピン合成酵素、およびオクトピン合成酵素プロモーター;カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19Sおよび35Sプロモーター;増強されたCaMV 35Sプロモーター;ゴマノハグサモザイクウイルス35Sプロモーター;リブロース−1,5−ニリン酸カルボキシラーゼの小さなサブユニット(ssRUBISCO)の光誘導性プロモーター;タバコのEIF−4Aプロモーター(Mandel et al. (1995) Plant Mol. Biol. 29:995-1004);トウモロコシショ糖合成酵素;トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ1;トウモロコシ集光複合体;トウモロコシ熱ショックタンパク質;シロイヌナズナ属(Arabidopsis)のキチナーゼプロモーター;LTP(脂質移入タンパク質)プロモーター;ペチュニアカルコンイソメラーゼ;マメグリシンリッチタンパク質1;ジャガイモパタチン;ユビキチンプロモーター;ならびにアクチンプロモーターが含まれる。有用なプロモーターは、好ましくは種子選択的、組織選択的、または誘導性である。種子特異的な調節は、例えば欧州特許第0255378号明細書において論じられている。
異種遺伝子をより高く発現させるために、発現宿主細胞(例えば植物細胞、例えば、キャノーラ、米、タバコ、トウモロコシ、綿花、および大豆)においてより効率的に発現するように遺伝子を再操作することが好ましい場合がある。したがって、植物発現のための、デルタ−9デサチュラーゼをコードする遺伝子の設計における最適なさらなるステップ(すなわち、1つまたは複数の遺伝子調節エレメントの提供に加えて)は、異種遺伝子タンパク質をコードする領域を最適な発現のために再操作することである。特定の実施形態は、天然の異種遺伝子配列で形質転換されたキャノーラ植物細胞またはシロイヌナズナ属(Arabidopsis)植物細胞におけるよりもトランスジェニックキャノーラ植物細胞またはシロイヌナズナ属(Arabidopsis)植物細胞において発現レベルが増大する(すなわち、より多くのタンパク質を生産する)ように最適化されている再設計された遺伝子を含む。
遺伝子コードの冗長性/縮重(すなわち、いくつかのアミノ酸が2つ以上のコドンによって特定される)によってもたらされる柔軟性に起因して、異なる生物または生物クラスにおけるゲノムの進化の結果、同義のコドンが差次的に利用されている。この「コドンバイアス」は、タンパク質コード領域の平均塩基組成に反映されている。例えば、比較的低いG+C含有量のゲノムを有する生物は、AまたはTを有するより多くのコドンを同義コドンの3番目の位置において利用するが、G+C含有量がより高い生物は、GまたはCを有するより多くのコドンを3番目の位置において利用する。さらに、mRNA内の「マイナー」コドンの存在によって、特にそのマイナーコドンに対応する荷電したtRNAの相対的存在量が少ない場合に、そのmRNAの完全翻訳率が低減し得ると考えられる。この推論の拡張は、個々のマイナーコドンによる翻訳率の低下が複数のマイナーコドンに少なくとも付加的であろうということである。したがって、特定の発現宿主においてマイナーコドンの相対的含有量が多いmRNAは、それ相応に低い翻訳率を有するであろう。この翻訳率は、コードされるタンパク質のレベルがそれ相応に低いことによって反映され得る。
キャノーラまたはシロイヌナズナ属(Arabidopsis)(または、米、タバコ、トウモロコシ、綿花、もしくは大豆などの他の植物)における発現のための、デルタ−9デサチュラーゼをコードする最適化された遺伝子の操作において、見込みのある宿主植物のコドンバイアスが判定されていれば有用である。複数の公に利用可能なDNA配列データベースが存在し、これにおいて、植物ゲノムのコドン分布または様々な植物遺伝子のタンパク質コード領域についての情報を知ることができる。
コドンバイアスは、発現宿主(例えば、キャノーラまたはシロイヌナズナ属(Arabidopsis)などの植物)がそのタンパク質のアミノ酸をコードするために使用するコドンの統計的分布である。コドンバイアスは、全アミノ酸のコドンに対する、単一のコドンが用いられる頻度として計算され得る。あるいは、コドンバイアスは、特定のアミノ酸の全ての他のコドン(同義のコドン)に対する、そのアミノ酸をコードするためにある単一のコドンが用いられる頻度として計算され得る。
デルタ−9デサチュラーゼ遺伝子の植物発現のための最適化されたコード領域の設計において、植物によって好まれる最初の(「第1選択肢の」)コドンが判定され、複数の選択肢が存在する場合には、好ましいコドンの第2、第3、第4などの選択肢も判定される。デルタ−9デサチュラーゼ遺伝子のアミノ配列をコードする新たなDNA配列が次いで設計され得、ここで、新たなDNA配列は、非変性DNA配列(デサチュラーゼをコードする)と、アミノ酸配列内の各位置でアミノ酸を特定するための発現宿主によって好まれるコドン(第1の好まれる、第2の好まれる、第3の好まれる、または第4の好まれるコドンなど)の置換によって異なっている。新たな配列は、次いで、修飾によって生じている可能性のある制限酵素部位について分析される。同定された推定上の制限部位は、これらのコドンを次に好まれるコドンで置き換えて制限部位を除去することによってさらに修飾される。異種配列の転写または翻訳に作用し得る、配列内の他の部位は、エキソン:イントロンジャンクション(5’または3’)、ポリA付加シグナル、および/またはRNAポリメラーゼ終結シグナルである。配列は、さらに分析され得、TAまたはCGダブレットの頻度を低減させるように修飾され得る。これらのダブレットに加えて、約7つ以上の同一のGまたはCヌクレオチドを有する配列ブロックもまた、配列の転写または翻訳に不都合に作用し得る。したがって、これらのブロックは、第1または第2の選択肢などのコドンを次に好まれるコドンの選択肢で置き換えることによって有利に修飾される。
上記の方法によって、当業者が特定の植物にとって外来の遺伝子を修飾して、その遺伝子を植物において最適に発現させることが可能になる。この方法は、PCT出願の国際公開第97/13402号パンフレットにおいてさらに説明されている。したがって、一部の実施形態のデサチュラーゼ/遺伝子に機能的に同等な最適化された合成遺伝子を用いて、植物を含む宿主を形質転換することができる。合成遺伝子の生産に関するさらなるガイダンスは、例えば米国特許第5380831号明細書において見ることができる。
植物最適化されたDNA配列が机上でまたはインシリコで設計されると、実際のDNA分子が、設計された配列に配列が正確に対応するように、実験室において合成され得る。このような合成DNA分子は、天然のまたは非変性の源に由来したかのごとく正確に、クローニングおよび他の操作をされ得る。
D.植物材料の遺伝的形質転換の方法
一部の実施形態は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、および配列番号25からなる群から選択される配列に少なくとも60%同一な核酸配列を含む1つまたは複数の核酸分子を含む形質転換細胞を生産する方法についてのものである。このような核酸分子はまた、例えば、プロモーターなどの非コード調節エレメントも含み得る。他の配列もまた、非コード調節エレメントおよび転写可能な核酸分子配列と共に細胞内に導入され得る。これらの他の配列には、3’転写ターミネーター、3’ポリアデニル化シグナル、他の非翻訳配列、トランジット配列または標的化配列、選択マーカー、エンハンサー、およびオペレーターが含まれ得る。
形質転換の方法は、通常、適切な宿主細胞を選択するステップ、宿主細胞を組換えベクターで形質転換するステップ、および形質転換された宿主細胞を得るステップを含む。DNAを細胞内に導入するための技術は、当業者に周知である。これらの方法は、通常、以下の5つのカテゴリーに分類され得る。(1)化学的方法(Graham and Van der Eb (1973) Virology 54(2):536-9;Zatloukal et al. (1992) Ann. N.Y. Acad. Sci. 660:136-53)、(2)マイクロインジェクション(Capechi (1980) Cell 22(2):479-88)、エレクトロポレーション(Wong and Neumann (1982) Biochim. Biophys. Res. Commun. 107(2):584-7;Fromm et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82(17):5824-8;米国特許第5384253号明細書)、および粒子加速(Johnston and Tang (1994) Methods Cell Biol. 43(A):353-65;Fynan et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(24):11478-82)などの物理的方法、(3)ウイルスベクター(Clapp (1993) Clin. Perinatol. 20(1):155-68;Lu et al. (1993) J. Exp. Med. 178(6):2089-96;Eglitis and Anderson (1988) Biotechniques 6(7):608-14)、(4)受容体介在性のメカニズム(Curiel et al. (1992) Hum. Gen. Ther. 3(2):147-54;Wagner et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89(13):6099-103)、ならびに(5)アグロバクテリウム(Agrobacterium)などの細菌介在性のメカニズム。あるいは、核酸は、植物の生殖器官に直接的に注入されることによって花粉内に直接的に導入され得る。Zhou et al. (1983) Methods in Enzymology 101:433;Hess (1987) Intern. Rev. Cytol. 107:367;Luo et al. (1988) Plant Mol. Biol. Reporter 6:165;Pena et al. (1987) Nature 325:274。他の形質転換方法には、例えば、米国特許第5508184号明細書において説明されているようなプロトプラスト形質転換が含まれる。核酸分子はまた、未熟胚内にも注入され得る。Neuhaus et al. (1987) Theor. Appl. Genet. 75:30。
植物細胞の形質転換のための最も一般的に用いられる方法は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)介在性のDNA移入プロセス(Fraley et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803)(米国特許第5824877号明細書、米国特許第5591616号明細書、米国特許第5981840号明細書、および米国特許第6384301号明細書において説明されているような)および微粒子銃(biolisticsまたはmicroprojectile bombardment)介在性のプロセス(すなわち遺伝子銃)(米国特許第5550318号明細書、米国特許第5538880号明細書、米国特許第6160208号明細書、米国特許第6399861号明細書、および米国特許第6403865号明細書において記載されているような)である。典型的には、核の形質転換が望ましいが、葉緑体またはアミロプラストなどのプラスチドを特異的に形質転換することが望ましい場合には、特定の植物種内、例えばシロイヌナズナ属(Arabidopsis)、タバコ、ジャガイモ、およびアブラナ属(Brassica)種内への所望の核酸分子の微粒子(microprojectile)介在性の送達を用いて、植物のプラスチドを形質転換することができる。
アグロバクテリウム(Agrobacterium)介在性の形質転換は、遺伝子操作されたアグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属する土壌細菌の使用を介して行われる。いくつかのアグロバクテリウム(Agrobacterium)種は、あらゆる所望のDNA片を多くの植物種内に運ぶように遺伝子操作され得る「T−DNA」として知られている特異的なDNAの移入を仲介する。T−DNA介在性の発病のプロセスを特徴付ける主要な事象は、病原性遺伝子の誘発、ならびにT−DNAのプロセシングおよび移入である。このプロセスは、多くの書評の対象である。例えば、Ream (1989) Ann. Rev. Phytopathol. 27:583-618;Howard and Citovsky (1990) Bioassays 12:103-8;Kado (1991) Crit. Rev. Plant Sci. 10:1-32;Zambryski (1992) Annual Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 43:465-90;Gelvin (1993) in Transgenic Plants, Kung and Wu eds., Academic Press, San Diego, CA, pp. 49-87;Binns and Howitz (1994) In Bacterical Pathogenesis of Plants and Animals, Dang, ed., Berlin: Springer Verlag., pp. 119-38;Hooykaas and Beijersbergen (1994) Ann. Rev. Phytopathol. 32:157-79;Lessl and Lanka (1994) Cell 77:321-4;およびZupan and Zambryski (1995) Annual Rev. Phytopathol. 27:583-618を参照されたい。
形質転換の方法にかかわらず、形質転換された植物細胞について選択またはスコアリングするために、細胞内に導入されたDNAは、別の毒性化合物に対する耐性を植物組織に付与する化合物を生産するように再生可能な植物組織において機能する遺伝子を含有し得る。選択可能な、スクリーニング可能な、またはスコアリング可能なマーカーとして用いるための対象遺伝子には、限定はしないが、β−グルクロニダーゼ(GUS)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、および抗生物質または除草剤耐性遺伝子が含まれる。抗生物質耐性遺伝子の例には、ペニシリン、カナマイシン(および、ネオマイシン、G418、ブレオマイシン)、メトトレキサート(およびトリメトプリム)、クロラムフェニコール、およびテトラサイクリンに対する耐性を付与する遺伝子が含まれる。例えば、グリホサート耐性は、除草剤耐性遺伝子によって付与され得る。Della-Cioppa et al. (1987) Bio/Technology 5:579-84。例えば限定はしないが、ホスフィノトリシン、ビアラホスに対する耐性、および正の選択のメカニズム(Joersbro et al. (1998) Mol. Breed. 4:111-7)を含む、他の選択装置もまた実行され得、本発明の実施形態の範囲内であると考えられる。
選択またはスクリーニングによって同定され、再生をサポートする適切な培地において培養された形質転換細胞は、次いで、植物内で成熟させることができる。
本明細書において開示される方法は、あらゆる形質転換可能な植物細胞または組織と共に用いることができる。本明細書において用いられる形質転換可能な細胞および組織には、限定はしないが、植物を生じさせるためのさらなる増殖が可能な細胞または組織が含まれる。当業者であれば、多くの植物細胞または組織が形質転換可能であり、これにおいて、外因性DNAおよび適切な培養条件の挿入の後、植物細胞または組織が分化した植物に形成され得ることを認識している。これらの目的に適した組織には、限定はしないが、未熟胚、胚盤組織、懸濁細胞培養物、未熟花序、新芽の分裂組織、節外植片、カルス組織、胚軸組織、子葉、根、および葉が含まれ得る。
形質転換植物のプロトプラストまたは外植片からの植物の再生、発育、および培養は、当技術分野において知られている。Weissbach and Weissbach (1988) Methods for Plant Molecular Biology, (Eds.) Academic Press, Inc., San Diego, CA;Horsch et al. (1985) Science 227:1229-31。この再生および成長のプロセスには、典型的には、形質転換細胞を選択するステップ、およびこれらの細胞を、根付いた小植物段階を介する通常の胚生育段階を介して培養するステップが含まれる。トランスジェニック胚および種子も同様に再生される。この方法において、形質転換体は、通常、うまく形質転換された細胞を選択し植物新芽の再生を誘発する選択培地の存在下で培養される。Fraley et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803。これらの新芽は、典型的には2から4か月以内に得られる。得られた根付いたトランスジェニック新芽は、その後、土壌などの適切な植物成長培地に植えられる。選択的作用物質の暴露を生き抜いた細胞、またはスクリーニングアッセイにおいて正のスコアリングをされた細胞は、植物の再生をサポートする培地において培養され得る。新芽は次いで、選択的作用物質と細菌の成長を予防するための抗生物質とを含有する適切な根付き誘発培地に移すことができる。新芽の多くが根を生育させる。これらは次いで、根の連続的な生育を可能にするために土壌または他の培地に移植される。上記に概説したような方法は、用いる特定の植物株に応じて通常変化し、方法論の詳細は、したがって、当業者の裁量の範囲内である。
再生したトランスジェニック植物は、自家授粉してホモ接合性のトランスジェニック植物を生じさせ得る。あるいは、再生したトランスジェニック植物から得られた花粉は、非トランスジェニック植物、好ましくは農学的に重要な種の近交系と交雑することができる。逆に、非トランスジェニック植物の花粉は、再生したトランスジェニック植物を授粉するために用いることができる。
トランスジェニック植物は、形質転換された核酸配列をその子孫に伝え得る。トランスジェニック植物は、形質転換された核酸配列について好ましくはホモ接合性であり、その配列を有性生殖の際に、および有性生殖の結果、その子孫の全てに移す。子孫は、トランスジェニック植物によって生産された種子から成長し得る。これらのさらなる植物は、次いで自家授粉して、植物の真の交配系を生成し得る。
これらの植物の子孫は、とりわけ遺伝子発現について評価され得る。遺伝子発現は、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、免疫沈降、およびELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)などのいくつかの一般的な方法によって検出することができる。形質転換植物はまた、導入されたDNAの存在ならびに本発明の核酸分子およびアミノ酸分子によって付与される発現レベルおよび/または脂肪酸プロファイルについても分析され得る。当業者であれば、形質転換植物の分析に利用可能な多くの方法を知っている。例えば、植物の分析方法には、限定はしないが、サザンブロットまたはノーザンブロット、PCRに基づくアプローチ、生化学的アッセイ、表現型スクリーニング方法、フィールド評価、および免疫診断アッセイが含まれる。
双子葉植物を特異的に形質転換する方法は、当業者に周知である。これらの方法を用いる形質転換および植物の再生は、限定はしないが、シロイヌナズナ(Arabidopsis)属のメンバー、綿花(Gossypium hirsutum)、大豆(Glycine max)、ピーナッツ(Arachis hypogaea)、およびアブラナ(Brassica)属のメンバーを含む、多くの作物について記載されている。主にアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を使用することによって双子葉植物を形質転換し、トランスジェニック植物を得る方法は、綿花(米国特許第5004863号明細書、米国特許第5159135号明細書、米国特許第5518908号明細書)、大豆(米国特許第5569834号明細書、米国特許第5416011号明細書、McCabe et al. (1988) Biotechnology 6:923;Christou et al. (1988) Plant Physiol. 87:671-4)、アブラナ属(Brassica)(米国特許第5463174号明細書)、ピーナッツ(Cheng et al. (1996) Plant Cell Rep. 15:653-7;McKently et al. (1995) Plant Cell Rep. 14:699-703)、パパイヤ、およびエンドウ(Grant et al. (1995) Plant Cell Rep. 15:254-8)について公表されている。
単子葉植物を形質転換する方法もまた、当技術分野において周知である。これらの方法を用いる形質転換および植物の再生は、限定はしないが、オオムギ(Hordeum vulgarae)、トウモロコシ(Zea mays)、オートムギ(Avena sativa)、オーチャードグラス(Dactylis glomerata)、コメ(インディカ型およびジャポニカ型を含むOryza sativa)、モロコシ(Sorghum bicolor)、サトウキビ(サトウキビ属種(Saccharum sp))、トールフェスク(Festuca arundinacea)、芝草種(例えば、ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera)、ナガハグサ(Poa pratensis)、セントオーガスチングラス(Stenotaphrum secundatum))、コムギ(Triticum aestivum)、およびアルファルファ(Medicago sativa)を含む、多くの作物について記載されている。当業者には、多くの形質転換方法が使用可能であり、あらゆる数の目的の標的作物について安定なトランスジェニック植物を生産するように修正され得ることが明らかである。
あらゆる植物を、本明細書において開示される方法において用いるために選択することができる。本発明による修飾に好ましい植物には、例えば、限定はしないが、油糧種子植物、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ルリジサ(ボラゴ属種(Borago spp.))、キャノーラ(アブラナ属種(Brassica spp.))、トウゴマ(Ricinus communis)、カカオ豆(カカオ(Theobroma cacao))、トウモロコシ(Zea mays)、綿花(ワタ属種(Gossypium spp))、ハマナ属種(Crambe spp.)、クフェア属種(Cuphea spp.)、アマ(アマ属種(Linum spp.))、レスケレラ属(Lesquerella)およびルミナンテス属(Limnanthes)種、リノラ(Linola)、ノウゼンハレン(ノウゼンハレン属種(Tropaeolum spp.))、マツヨイグサ属種(Oenothera spp.)、オリーブ(オリーブ属種(Olea spp.))、ヤシ(アブラヤシ属種(Elaeis spp.))、ピーナッツ(ナンキンマメ属種(Arachis spp.))、ナタネ、ベニバナ(ベニバナ属種(Carthamus spp.))、大豆(ダイズ属(Glycine)、ソーヤ亜属(Soja)種)、ヒマワリ(ヒマワリ属種(Helianthus spp.))、タバコ(タバコ属種(Nicotiana spp.))、ショウジョウハグマ属種(Vernonia spp.)、コムギ(コムギ属種(Triticum spp.))、オオムギ(オオムギ属種(Hordeum spp.))、コメ(イネ属種(Oryza spp.))、オート(カラスムギ属種(Avena spp.))、モロコシ(モロコシ属種(Sorghum spp.))、およびライムギ(ライムギ属種(Secale spp.))、またはイネ科(Gramineae)の他のメンバーが含まれる。
当業者には、多くの形質転換方法が使用可能であり、あらゆる数の目的の標的作物について安定なトランスジェニック植物を生産するように修正され得ることが明らかである。
E.トランスジェニック種子
一部の実施形態において、トランスジェニック種子は、配列番号1、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、および配列番号33からなる群から選択される配列に少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むデルタ−9デサチュラーゼポリペプチドを含み得る。これらのおよび他の実施形態において、トランスジェニック種子は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、および配列番号25からなる群から選択される配列に少なくとも60%同一な核酸配列を含み得る。特定の実施形態において、トランスジェニック種子は、低下した飽和脂肪酸(例えば、パルミチン脂肪酸および/またはステアリン脂肪酸)レベルを示し得る。種子は、生殖能力のあるトランスジェニック植物から採取することができ、上記に示した少なくとも1つの核酸配列と場合によって少なくとも1つのさらなる目的の遺伝子または核酸構築物とを含むハイブリッド植物系を含む形質転換植物の子孫世代を成長させるために用いることができる。
以下の実施例は、特定の特徴および/または実施形態を説明するために提供される。これらの実施例は、本発明を記載された特定の特徴または実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。
[実施例]
pDAB7305の構築物設計
アルペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)Δ−9デサチュラーゼ(AnD9DS)酵素は、以前に米国特許出願第2008/0260933号明細書において開示されており、本明細書において配列番号1と示される。AnD9DS v3コード配列を含むポリヌクレオチド配列(配列番号2)を合成し、アグロバクテリウム(Agrobacterium)介在性の植物形質転換のために、プラスミド構築物pDAB7305(図1)に組み込んだ。得られた構築物は、3つの植物転写単位(遺伝子発現カセットとしても記載され、区別せずに用いられる)を含有していた。第1の植物転写単位(PTU)(配列番号3)は、RB7マトリクス付着領域(RB7 MAR、国際公開第WO9727207号パンフレット)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリンプロモーター(Pv Phasプロモーター、米国特許第5504200号明細書)、AnD9DSコード配列(デルタ9デサチュラーゼv3)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリン3’非翻訳領域(Pv Phas 3’UTR、米国特許第5504200号明細書)、およびインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリン3’マトリクス付着領域(Pv Phas 3’MAR、米国特許第5504200号明細書)からなるものであった。第2のPTU(配列番号4)は、レスケレラ・フェンドレリ(Lesquerella fendleri)KCS3プロモーター(LfKCS3プロモーター、米国特許第7253337号明細書)、AnD9DSコード配列(デルタ9デサチュラーゼv3)、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF23 3’非翻訳領域(AtuORF23 3’UTR、米国特許第5428147号明細書)からなるものであった。第3のPTU(配列番号5)は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)マンノピン合成酵素プロモーター(AtuMasプロモーター、Barker, R. F., Idler, K. B., Thompson, D. V., Kemp, J. D., (1983), a polynucleotide sequence of the T-DNA region from the Agrobacterium tumefaciens octopine Ti plasmid pTi15955, Plant Molecular Biology, 2(6), 335-50)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(PAT、Wohlleben et al., (1988) Gene, 70: 25-37)、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF1 3’非翻訳領域(AtuORF1 3’UTR、Huang et al., (1990) J. Bacteriol., 172:1814-1822)からなるものであった。構築物を、制限酵素消化およびシーケンシングを介して確認した。最後に、構築物をアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)内に形質転換し、グリセロールストックとして保存した。
キャノーラ(セイヨウアブウラナ(Brassica napus))胚軸のアグロバクテリウム(Agrobacterium)介在性の形質転換
アグロバクテリウム(Agrobacterium)調製物
pDAB7305バイナリープラスミドを含有するアグロバクテリウム(Agrobacterium)株で、ストレプトマイシン(100mg/ml)およびスペクチノマイシン(50mg/mL)を含有するYEP培地(Bacto Peptone(商標)20.0gm/Lおよび酵母抽出物10.0gm/L)プレート上に筋を付け、2日間、28℃でインキュベートした。増殖した、pDAB7305バイナリープラスミドを含有するアグロバクテリウム(Agrobacterium)株を、無菌接種ループを用いて、2日間筋を付けたプレートからこすり取った。こすり取った、pDAB7305バイナリープラスミドを含有するアグロバクテリウム(Agrobacterium)株を次いで、無菌の500mLのバッフル付きフラスコ内のストレプトマイシン(100mg/ml)およびスペクチノマイシン(50mg/ml)を有する150mLの修正されたYEP液に接種し、200rpmで28℃で振とうした。培養物を遠心分離し、M培地(LS塩、3%グルコース、修正されたB5ビタミン、1μMのキネチン、1μMの2,4−D、pH5.8)内に再懸濁し、適切な密度(分光光度計を用いて測定すると50クレット単位)に希釈し、その後、キャノーラ胚軸の形質転換を行った。
キャノーラの形質転換
種子の発芽:キャノーラ種子(var.NEXERA710(商標))の表面を10%Clorox(商標)内で10分間滅菌し、無菌蒸留水で3回すすいだ(種子はこのプロセスの間、鋼鉄製のざるの中に入れられている)。種子を発芽のために、Phytatrays(商標)内に入れられた1/2MSキャノーラ培地(1/2MS、2%ショ糖、0.8%寒天)に播種し(Phytatray(商標)当たり25の種子)、25℃、16時間の明期および8時間の暗期の光周期の成長レジメ設定で、Percival(商標)成長チャンバ内に置き、5日間発芽させた。
前処理:5日目に、約3mm長の胚軸切片を無菌で切除し、残りの根および新芽の部分を廃棄した(胚軸切片の乾燥は、切除プロセスの間に胚軸切片を10mLの無菌milliQ(商標)水に浸すことによって防いだ)。胚軸切片を、Percival(商標)成長チャンバ内のカルス誘発培地、MSK1D1(MS、1mg/Lのキネチン、1mg/Lの2,4−D、3.0%ショ糖、0.7%phytagar)上の無菌フィルター紙に、22〜23℃、および16時間の明期、8時間の暗期の光周期の成長レジメ設定で、水平に置き、3日間前処理した。
アグロバクテリウム(Agrobacterium)との共培養:アグロバクテリウム(Agrobacterium)共培養の前日に、適切な抗生物質を含有するYEP培地のフラスコに、pDAB7305バイナリープラスミドを含有するアグロバクテリウム(Agrobacterium)株を接種した。胚軸切片の乾燥を防ぐために、胚軸切片をフィルター紙カルス誘発培地MSK1D1から10mLの液体M培地を含有する空の100×25mm Petri(商標)皿に移した。へらをこの段階で用いて切片をかき集め、切片を新たな培地に移した。液体M培地をピペットで除去し、40mLのアグロバクテリウム(Agrobacterium)懸濁液をPetri(商標)皿に添加した(500切片と40mLのアグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液)。胚軸切片を30分、Petri(商標)皿を断続的に旋回させることで胚軸切片がアグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液に浸ったままとなるようにして、処理した。処理期間の最後に、アグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液を廃棄物用ビーカーにピペットで移し、オートクレーブにかけて廃棄した(アグロバクテリウム(Agrobacterium)の異常増殖を防ぐためにアグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液を完全に除去した)。処理された胚軸を、鉗子で、MSK1D1培地を含有する、フィルター紙で覆われた元のプレートに戻した(切片が乾燥していないことを確認することに注意した)。形質転換された胚軸切片および形質転換されていない対照胚軸切片を、光の強さを弱めて(プレートをアルミニウム箔で覆うことによって)Percival(商標)成長チャンバに戻し、処理された胚軸切片をアグロバクテリウム(Agrobacterium)と3日間共培養した。
選択培地でのカルス誘発:共培養の3日後、胚軸切片を鉗子で、22〜26℃の成長レジメ設定で、カルス誘発培地MSK1D1H1(MS、1mg/Lのキネチン、1mg/Lの2,4−D、0.5mg/LのMES、5mg/LのAgNO、300mg/LのTimentin(商標)、200mg/Lのカルベニシリン、1mg/LのHerbiace(商標)、3%ショ糖、0.7%phytagar)に個別に移した。胚軸切片を培地に固定したが、培地に深く包埋はしなかった。
選択および新芽の再生:カルス誘発培地上で7日後、カルス形成している胚軸切片を、新芽再生選択培地1、MSB3Z1H1(MS、3mg/LのBAP、1mg/Lのゼアチン、0.5mg/LのMES、5mg/LのAgNO、300mg/LのTimentin(商標)、200mg/Lのカルベニシリン、1mg/LのHerbiace(商標)、3%ショ糖、0.7%phytagar)に移した。14日後、新芽が発芽した胚軸切片を、22〜26℃の成長レジメ設定で、再生増大選択培地2、MSB3Z1H3(MS、3mg/LのBAP、1mg/Lのゼアチン、0.5mg/LのMES、5mg/LのAgNO、300mg/lのTimentin(商標)、200mg/Lのカルベニシリン、3mg/LのHerbiace(商標)、3%ショ糖、0.7%phytagar)に移した。
新芽の伸長:14日後、新芽が発芽した胚軸切片を、22〜26℃の成長レジメ設定で、再生培地2から新芽伸長培地MSMESH5(MS、300mg/LのTimentin(商標)、5mg/lのHerbiace(商標)、2%ショ糖、0.7%TC Agar)に移した。既に伸長している新芽を胚軸切片から単離し、MSMESH5に移した。14日後、新芽伸長培地での最初の培養回で伸長しなかった残りの新芽を、新鮮な新芽伸長培地MSMESH5に移した。この段階で、新芽を生じなかった全ての残りの胚軸切片を廃棄した。
根の誘発:新芽伸長培地での培養の14日後、単離された新芽を、根の誘発のために、22〜26℃でMSMEST培地(MS、0.5g/LのMES、300mg/LのTimentin(商標)、2%ショ糖、0.7%TC Agar)に移した。MSMEST培地への最初の移入におけるインキュベーションの後に根を生じなかったあらゆる新芽を、新芽が根を生じるまで、MSMEST培地での第2回または第3回のインキュベーションに移した。
PCR分析:根を含む新芽に再生した、形質転換キャノーラの胚軸切片を、PCR分子確認アッセイを介してさらに分析した。葉の組織を緑色の新芽から得、pat選択マーカー遺伝子の存在についてPCRを介して試験した。あらゆる萎黄病の新芽を廃棄し、PCR分析は行わなかった。pat選択マーカー遺伝子の存在が陽性であると同定された試料を維持し、MSMEST培地で培養して、新芽および根の発芽および伸長を継続させた。PCR分析によるとpat選択マーカー遺伝子を含有せず陰性であると同定された試料を廃棄した。
pat選択マーカー遺伝子の存在についてPCR陽性の新芽および根を含む形質転換キャノーラ植物を、温室内の土壌に移植した。土壌内でキャノーラ植物が確立した後、キャノーラ植物をさらに分析して、Invader(商標)定量PCRアッセイおよびサザンブロットを介してpat遺伝子発現カセットのコピー数を定量した。pat遺伝子発現カセットの少なくとも1つのコピーを含有することが確認されたトランスジェニックTキャノーラ植物を、種子の脂肪酸プロファイルのさらなる分析に進めた。これらのトランスジェニックTキャノーラ植物から得られた種子、すなわちTキャノーラ種子を、FAME分析方法を介して分析して、対照植物と比較して総飽和脂肪酸が減少している事象を同定した(総飽和脂肪酸含有量は、単鎖および長鎖脂肪酸を含む飽和脂肪酸の全てを合計することによって決定した)。
トランスジェニックpDAB7305キャノーラ植物から得られたTキャノーラ種子のFAME分析
分離Tキャノーラ種子を、FAME分析方法を介して分析して、同一条件で成長した対照植物から得られた種子と比較して総飽和脂肪酸(C14:0、C16:0、C18:0、C20:0、C22:0、C24:0)が減少しているTキャノーラ種子を生産したTキャノーラ事象を同定した。全ての総飽和脂肪酸(TSFA)の合計を定量し、陰性対照植物と比較した。FAME分析は、以下に記載するプロトコルを単一Tキャノーラ種子に用いて行った。それぞれのキャノーラT事象から得られた全部で24の単一Tキャノーラ種子をアッセイし、それぞれの単一種子のTSFAの結果を定量した。
単一キャノーラ種子試料を、トリアシルグリセロール内部標準としてトリヘプタデカノイン(Nu−Chek prep)を含有するヘプタン内で、鋼鉄製のボールミルを用いてホモジナイズした。ホモジナイズする前に、メタノール内の0.25Mの新たに調製されたナトリウムメトキシド溶液(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。抽出を、40℃で、持続的に振とうしながら行った。内因性の脂肪酸の回収を、メチル化された代替的C17脂肪酸の回収によって正規化した。FAME(脂肪酸メチルエステル)の抽出を3回反復し、ヘプタン層をプールしてその後分析した。得られたFAMEを、SGEのキャピラリーカラムBPX70(15m×0.25mm×0.25μm)を用いて、GC−FIDによって分析した。各FAMEを保持時間によって同定し、適切な長鎖脂肪酸(Nu−Chek Prep、Elysian MN)を添加して、較正標準としてのMatreya LLC(Pleasant Gap、PA)のナタネ油参照混合物を注入することによって定量した。
バルクの種子の分析は、50mgのアリコート(10から15の種子が組み合わされている)から構成され、わずかに修正された上記の同一のプロトコルに従った。誘導体化反応を完全に行わせるために、油をヘプタンでまず3回抽出した。次いで、1つの種子に対応する組み合わされた油抽出物のアリコートを、上記の単一種子プロトコルにおいて記載されているようにFAMEにおいて誘導体化した。反応の完全性を、第4の抽出/誘導体化における内因性FAMEの存在について確認することによって検証した。
3つのトランスジェニックキャノーラ事象(事象2182[12]−138.001、事象2182[12]−125.001、および事象2182[12]−156.001)を、対照キャノーラ植物と比較したTSFAの有意な低減を示すFAMEの結果に基づいて、T世代に進めるために同定および選択した。植物の脂肪酸含有量の2つのさらなるカテゴリーをアッセイした。これらのカテゴリーには一不飽和脂肪酸(MUFA:C16:1、C18:1、およびC20:1)およびポリ不飽和脂肪酸(PUFA:C18:2およびC18:3)の濃度が含まれ、これらを、T種子内のTSFAを低下させる効果を示すために列挙する(表1)。
トランスジェニックキャノーラ事象の平均TSFAは、NEXERA710(商標)非形質転換対照植物と比較して有意に低減している。TSFAの低減と同時に、MUFA含有量(C18:1およびC16:1)の増大も観察された。MUFA含有量の増大は、飽和脂肪酸のカルボキシル基から9番目の炭素(Δ9)に二重結合を導入するAnD9DSの過剰発現の直接的な結果である。興味深いことに、PUFA含有量は、C18:2を合成するグリセロリン脂質デサチュラーゼFAD2のMUFA基質の蓄積で増大しなかった。
キャノーラ植物事象を温室で成長させ、自家受粉させて、移入した導入遺伝子を子孫植物において固定させた。Invader(商標)定量PCRアッセイを各トランスジェニック事象の複数のTキャノーラ植物で行った。これらの結果は、3つの事象のそれぞれから得られたTキャノーラ植物がpDAB7305のT鎖組み込みの約2つまたは3つのコピーを含有していることを示した(図3の上部のパネル)。コピー数の具体的な決定は不可能であり、それは、pDAB7305のT鎖の構成要素が、3つの事象で異なるコピー数で分離していたためである。Tキャノーラ植物事象を温室において成熟まで成長させ、自家受粉させた。得られたTキャノーラ種子を、FAMEアッセイを介する脂肪酸プロファイル分析のために採取した。
トランスジェニックpDAB7305キャノーラ植物から得られたTキャノーラ種子のFAME分析
バルクのTキャノーラ種子を、先に記載されたFAME分析方法を介して分析して、対照植物(NEXERA710(商標))と比較して総飽和脂肪酸が低減しているTキャノーラ植物系を同定した(図2)。各植物の収量を、植物当たりの種子のグラム数として記録した。収量の結果を、開示対象であるトランスジェニック植物と並行して成長させた、アルペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)デルタ−9デサチュラーゼ導入遺伝子(国際公開第2006/042049号パンフレットを参照されたい)を安定的に組み込まれたトランスジェニック陽性対照事象218−11.30(本明細書において218−11.30HS50または218−11.30HLとしても記載される)の収量と比較した。218−11.30植物および開示対象のトランスジェニックキャノーラ植物の両方が、類似の導入遺伝子を発現する。しかし、開示対象の2182[12]−125.Sx001、2182[12]−138.Sx001、および2182[12]−156.Sx00キャノーラ植物の形質転換において用いられた構築物は異なり、それは、これが、AnD9DSコード配列のレスケレラ・フェンドレリ(Lesquerella fendleri)KCS3プロモーター駆動発現から構成され、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF23の3’非翻訳領域が隣接している、第2のPTUを含有しているためである。
開示対象のトランスジェニック植物のTSFA(%)を定量し、陽性対照218−11.30HLトランスジェニックキャノーラ植物および陰性対照NEXERA710(商標)植物から得られたTSFA(%)と比較した。少数の開示対象のトランスジェニック植物が、陰性対照NEXERA710(商標)植物と類似のレベルである高レベルのTSFAを含有すると同定された。これらの植物は、自家受粉の間の導入遺伝子の分離の結果として同胞種を有さないもの(sibling nulls)であり、また、開示対象の導入遺伝子の活性に発現しているコピーを全く含有しない。これらの結果は、バルクのTキャノーラ種子の総飽和脂肪酸含有量が、同定されたTキャノーラ植物において3.5%未満に低減したことを裏付けるものであった。
キャノーラ系をさらに分析して、どのキャノーラ系が低コピー数のpDAB7305のT鎖構成要素を含有し、高いT種子収量を生産したかを判定した(図3)。
3.5%未満のTSFAを生産し、10gを超える収量を生産し、かつ最も少ないT鎖コピー数を含有していた、開示対象の個々のキャノーラ植物を選択した。これらの3つの基準(3.5%未満のTSFA、高い種子収量、および低コピー数のレベル)に基づいて、7つのキャノーラ植物を選択し、TSFAプロファイルのさらなる特徴付けに進めた。コピー数を、インベーダーアッセイを用いて、T1系当たり1つの植物から判定した。表2。これらのTキャノーラ植物系を温室に移し、成熟まで成長させ、自家受粉させた。Tキャノーラ植物系を分子的にさらに分析し、T種子を、FAMEアッセイを介する脂肪酸プロファイル分析のために採取した。
キャノーラ系の分子的確認
pat遺伝子発現カセット(および密接に連結したAnD9DS遺伝子発現カセット)を含有していた選択されたTキャノーラ事象を、定量PCRおよびサザンブロット分析を用いて、それらの分子組み込みパターンについて特徴付けした。
加水分解プローブアッセイを介するAnD9DSの組み込みの確認
AnD9DS遺伝子発現カセットの存在を、加水分解プローブアッセイを介して確認した。単離されたTキャノーラ植物を、TAQMAN(商標)に類似の加水分解プローブアッセイを介してまずスクリーニングして、pat導入遺伝子の存在を確認した。これらの研究から得られたデータを用いて、導入遺伝子のコピー数を判定し、戻し交配およびその後の世代に進めるためのトランスジェニックキャノーラ事象を選択した。
組織試料を96ウェルプレート内に回収し、Qiagen RLT(商標)緩衝液内でKLECO(商標)組織粉砕機およびステンレス鋼ビーズ(Hoover Precision Products、Cumming、GA)を用いて組織を浸軟させた。組織の浸軟の後、ゲノムDNAを、Biosprint 96(商標)Plantキット(Qiagen、Germantown、MD)を製造者の提案するプロトコルに従って用いて、ハイスループットフォーマットで単離した。ゲノムDNAを、Quant−IT Pico Green DNAアッセイキット(商標)(Molecular Probes、Invitrogen、Carlsbad、CA)によって定量した。定量したゲノムDNAを、BIOROBOT3000(商標)自動液体ハンドラー(Qiagen、Germantown、MD)を用いて、加水分解プローブアッセイのために約2ng/μLに調整した。TAQMAN(登録商標)アッセイに類似の加水分解プローブアッセイによる導入遺伝子のコピー数の判定を、LIGHTCYCLER(登録商標)480系(Roche Applied Science、Indianapolis、IN)を用いてリアルタイムPCRによって行った。アッセイを、LIGHTCYCLER(登録商標)プローブ設計ソフトウェア2.0を用いて、patおよび内部参照遺伝子HMG1(Weng et al. (2005). J. AOAC Int. 88(2):577-84)について設計した。増幅のために、LIGHTCYCLER(登録商標)480プローブマスターミックス(Roche Applied Science、Indianapolis、IN)を、AnD9DSおよびpatについての0.4μMの各プライマーならびに0.2μMの各プローブを含有する10μL容積の多重(multiplex)反応物内で1倍の最終濃度で調製した(表3)。60℃で40秒の伸長と蛍光の獲得との2段階の増幅反応を行った。全ての試料をランし、平均サイクル閾値(Ct)を各試料の分析に用いた。リアルタイムPCRデータの分析は、相対的定量モジュールを用いるLIGHTCYCLER(登録商標)ソフトウェアリリース1.5を用いて行い、ΔΔCt方法に基づくものである。対照は、単一のコピーキャリブレーターから得られたゲノムDNA試料および各ランに含まれる既知の2つのコピーチェックを含んでいた。表4は、加水分解プローブアッセイの結果を列挙する。コピー数を、qPCRアッセイを用いてT1系当たりN個の植物から判定した(そして平均し、表4内の値を得た)。
加水分解プローブアッセイの結果は、陽性対照植物(218−11.30(HL))に匹敵する相対的標準偏差(表4においてSDとして示される)および変動係数(表4においてCV%として示される)の組み合わせを有する2つの系(2182[12]−138.Sx001.Sx094および2182[12]−138.SX001.Sx090)を同定した。218−11.30(HL)対照植物は、AnD9DS遺伝子挿入の2つの固定されたコピーを含有することが以前に同定されている(国際公開第2006/042049号パンフレット)。選択されたキャノーラ系(2182[12]−138.Sx001.Sx094および2182[12]−138.SX001.Sx090)を218−11.30(HL)対照植物と比較することによって、pDAB7305のT鎖の構成要素の固定されたコピーを含有するであろう特異的なキャノーラ系を同定した。
サザンブロット分析を介するAnD9DSゲノム組み込みの確認。
サザンブロット分析を用いて、挿入されたT鎖DNA断片の組み込みパターンを確立し、完全長AnD9DS遺伝子発現カセットを含有するキャノーラ系を同定した。データは、キャノーラゲノム内の導入遺伝子インサートの組み込みおよび完全性を実証するように生成した。詳細なサザンブロット分析を、AnD9DS遺伝子発現カセットに特異的なPCR増幅されたプローブを用いて行った。プローブと、特異的制限酵素で消化されたゲノムDNAとのハイブリダイゼーションによって、特異的分子量のゲノムDNA断片が同定され、そのパターンを用いて、次の世代に進めるためのトランスジェニック事象を特徴付けした。
組織試料を2mLのコニカルチューブ内に回収し、2日間凍結乾燥した。組織の浸軟を、KLECKO(商標)組織粉砕機およびタングステンビーズで行った。組織の浸軟の後、ゲノムDNAを、CTAB単離手順を用いて単離した。ゲノムDNAを、Qiagen Genomic Tips(商標)キットを用いてさらに精製した。ゲノムDNAを、Quant−IT Pico Green DNA(商標)アッセイキット(Molecular Probes、Invitrogen、Carlsbad、CA)によって定量した。定量されたゲノムDNAを一貫した濃度に調整した。
各試料で、4μgのゲノムDNAを制限酵素BamHI(New England Biolabs、Beverley、MA)で完全に消化した。消化されたDNAを、Quick Precipitation Solution(商標)(Edge Biosystems、Gaithersburg、MD)を製造者の提案するプロトコルに従って用いて、沈殿によって濃縮した。ゲノムDNAを次いで、25μLの水に65℃で1時間再懸濁した。再懸濁した試料を、1×TAE内に調製された0.8%アガロースゲルにロードし、1×TAE緩衝液内で一晩、1.1V/cmで電気泳動した。ゲルを30分連続的に変性させ(0.2MのNaOH/0.6MのNaCl)、30分中和した(0.5MのTris−HCl(pH7.5)/1.5MのNaCl)。
ナイロン膜へのDNA断片の転移を、クロマトグラフィーペーパー芯およびペーパータオルを用いて、処理済みのIMMOBILON(商標)NY+転移膜(Millipore、Billerica、MA)上でゲルを介して20×SSC溶液を一晩受動的に吸い上げることによって行った。転移の後、膜を2×SSCで簡単に洗浄し、STRATALINKER(商標)1800(Stratagene、LaJolla、CA)と交差させ、80℃で3時間真空ベーキングした。
ブロットを、モデル400ハイブリダイゼーションインキュベーター(Robbins Scientific、Sunnyvale、CA)を用いて、プレハイブリダイゼーション溶液(Perfect Hyb plus、Sigma、St.Louis、MO)と1時間、65℃で、ガラスローラーボトル内でインキュベートした。プローブを、コード配列全体を含有するPCR断片から調製した。PCRアンプリコンを、QIAEX II gel extraction kit(商標)を用いて精製し、DIG DNA Labeling Kit(商標)(Roche Applied BioSciencse、Indianapolis、IN)で標識した。ブロットを一晩、65℃で、ハイブリダイゼーション緩衝液に直接加えられた変性プローブとハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの後、ブロットを65℃で0.1×SSC/0.1%SDSで40分、連続的に洗浄した。最後に、ブロットを保存蛍光体画像化スクリーンに暴露し、Molecular Dynamics Storm 860(商標)画像化システムを用いて画像化した。
この研究において行われたサザンブロット分析を用いて、コピー数を判定し、選択された事象がキャノーラのゲノム内にAnD9DS遺伝子発現カセットを含有していることを確認した。表5は、表2において上記に規定した基準に基づく、選択された系の複数のT植物のバンド形成プロファイルを示す。対照系は、PCRデータを裏付ける選択マーカーを含有していなかった。3つの事象から選択された系のほとんどは、事象2182[12]−125.Sx001.Sx014の系を除いて、均質なバンドパターン(数およびサイズ)を示す。事象2182[12]−138.Sx001の3つ全てのT2系は、一貫したバンド形成パターンのT2集団を示す。
選択されたキャノーラ系のT種子の収量
キャノーラ系の選択された植物を、温室で成熟するまで成長させた。種子を植物から採取した。種子を清掃し、Tキャノーラ系当たりの種子の収量を判定した(表6)。各系の種子の収量を、同一条件下で成長させた非形質転換対照植物(Nexera(商標)710GS)から得られた種子の収量と比較した。表6は、各Tキャノーラ系から得られた様々な植物についての収量の結果を表す。これらの結果は、収量が試験した各植物および系ごとに様々であったことを示す。しかし、Tキャノーラ系(2182[12]−125.Sx001.Sx014、2182[12]−138.Sx001.Sx085、2182[12]−138.Sx001.Sx090、2182[12]−138.Sx001.Sx094、および2182[12]−156.Sx001.Sx049)の収量の平均量は比較的類似しており、対照植物(Nexera(商標)710G5および218−11.30(HL))から有意に逸脱していなかった。
トランスジェニックpDAB7305キャノーラ植物から得られたTキャノーラ種子のFAME分析
単一およびバルクのTキャノーラ種子の両方を、先に記載したFAME分析方法を介して分析して、系の脂肪酸プロファイルを特徴付けして、対照植物と比較して総飽和脂肪酸が低減した特異的な系を同定した。総飽和脂肪酸の合計を定量し、陽性対照植物および陰性対照植物と比較した。結果は、単一およびバルクのTキャノーラ種子の総飽和脂肪酸および飽和脂肪酸(パルミチン酸およびステアリン酸含有量の合計から判定される)含有量が、選択されたキャノーラ植物系において3.5%未満に低減したことを裏付けた。
驚くべきことに、2つの系、2182[12]−138.Sx001.Sx085および2182[12]−138.Sx001.Sx094は、平均3.0%未満のTSFAレベルを蓄積していた。3.0%未満の飽和脂肪酸を含有するバルクの種子を含むキャノーラ系は初めて記載される。表7および表8。
さらに、キャノーラ系のサブセットを種子のFAME分析に用いて、単一キャノーラ種子で得られ得る最低レベルの総飽和脂肪酸および飽和脂肪酸レベルを判定した。単一種子のFAME分析を、バルクの種子の最低総飽和脂肪酸および高レベルの植物収量に基づいて選択されたキャノーラ系から得られた種子に対して行った。系当たり全部で288個体の種子を、FAME方法を用いて分析した。分析の概要を表9に示す。選択された植物の全ての単一種子は2.8%を下回る平均TSFAを有し、これは、3.5%TSFAレベルを有意に下回る。最も低いTSFAレベルは単一種子キャノーラレベルで2.25%である。これは、Nexera(商標)710G5対照植物において得られた5.11%のTSFAレベルよりも有意に低い。最後に、トランスジェニックキャノーラ系における最大のTSFAパーセンテージは3.5%を超えず、単一種子における平均飽和脂肪酸レベルは、3.5%を大きく下回る2.52%である。表9および図4。
表7は、非形質転換Nexera(商標)710G5対照および形質転換218−11.30(HL)陽性対照植物と比較した、遺伝的に均質なキャノーラ系の5つの集団についてのT成熟種子バルクのFAME分析の分布を示す。個々の測定値(N)の全ての平均を判定して、キャノーラ植物の集団についてTSFAおよび飽和脂肪酸のパーセンテージを表した。キャノーラ系2182[12]−138.Sx001.Sx085および2182[12]−138.Sx001.Sx094を、これらの系が3.00パーセントを下回る平均TSFAパーセンテージを有するため、太字で同定する。
表8は、Nexera(商標)710G5対照と比較した、最も低いT成熟種子バルクのFAMEおよび事象2182[12]−138.Sx001から得られた単一T子孫植物の植物収量を示す。示した結果は、油のパーセンテージ、TSFAのパーセンテージ、飽和脂肪酸のパーセンテージ(パルミチン酸およびステアリン酸含有量を合計することによって判定した)、および種子収量についてのものである。
表9は、選択されたT系のT単一種子のFAME分析結果の分布を示す。表は、同一条件下で成長させたNexera(商標)710G5対照キャノーラ植物と比較した、平均(Mean)、最小(Min)、および最大(Max)TSFAおよび飽和脂肪酸のパーセンテージを示す。選択された事象のT種子において、Nexera(商標)710G5対照キャノーラ植物と比較して、総飽和脂肪酸(TSFA)および飽和脂肪酸レベルが低減していた。

Claims (28)

  1. 配列番号2に少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むデルタ−9デサチュラーゼ酵素をコードする単離された核酸分子。
  2. 少なくとも1つの遺伝子調節エレメントをさらに含む、請求項1に記載の核酸分子。
  3. 前記遺伝子調節エレメントが、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)デルタ−9デサチュラーゼプロモーター、デルタ−9デサチュラーゼ3’UTR/ターミネーター、ole1遺伝子プロモーター、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリンプロモーター、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリン5’非翻訳領域、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリン3’非翻訳領域、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ファセオリンマトリクス付着領域、レスケレラ・フェンドレリ(Lesquerella fendleri)KCS3プロモーター、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)マンノピン合成酵素プロモーター、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF23 3’非翻訳領域、キャッサバベインモザイクウイルスプロモーター、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF1 3’非翻訳領域、タバコ(Nicotiana tabacum)RB7マトリクス付着領域、オーバードライブ、T鎖境界配列、LfKCS3プロモーター、FAE1プロモーター、Mycタグ、およびヘマグルチニンタグからなる群から選択される、請求項2に記載の核酸分子。
  4. 請求項3に記載の第1の核酸分子および請求項3に記載の第2の核酸分子を含む構築物であって、前記第1の核酸分子が第1の遺伝子調節エレメントをさらに含み、前記第2の核酸分子が第2の遺伝子調節エレメントを含む、構築物。
  5. 前記第1または第2の核酸分子が少なくとも2つの遺伝子調節エレメントを含有する、請求項4に記載の構築物。
  6. 細胞内の飽和脂肪酸の量を減少させるための方法であって、
    細胞を請求項1に記載の核酸分子で形質転換して、前記細胞内の飽和脂肪酸の量を減少させるステップ
    を含む、方法。
  7. 細胞内の飽和脂肪酸の量を減少させるための方法であって、
    細胞を請求項5に記載の構築物で形質転換して、前記細胞内の飽和脂肪酸の量を減少させるステップ
    を含む、方法。
  8. 前記細胞が酵母細胞である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記細胞が植物細胞である、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記植物細胞を2つ以上の請求項1に記載の核酸分子で形質転換するステップを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記植物細胞の形質転換によって、前記植物細胞内の16:0−CoAのレベルを低下させるための手段が前記植物細胞に導入される、請求項9に記載の方法。
  12. 前記植物細胞内の16:0−CoAのレベルを低下させるための前記手段がプラスチド外デサチュラーゼである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記プラスチド外デサチュラーゼが、LnD9DSデサチュラーゼ、AnD9DSデサチュラーゼ、HzD9DSデサチュラーゼ、およびMgD9DSデサチュラーゼからなる群から選択されるデサチュラーゼである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記プラスチド外デサチュラーゼがAnD9DSデサチュラーゼである、請求項12に記載の方法。
  15. 前記植物細胞が、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、ボラゴ属(Borago)、キャノーラ、トウゴマ属(Ricinus)、カカオ属(Theobroma)、トウモロコシ属(Zea)、ワタ属(Gossypium)、ハマナ属(Crambe)、クフェア属(Cuphea)、アマ属(Linum)、レスケレラ属(Lesquerella)、ルミナンテス属(Limnanthes)、リノラ(Linola)、ノウゼンハレン属(Tropaeolum)、マツヨイグサ属(Oenothera)、オリーブ属(Olea)、アブラヤシ属(Elaeis)、ナンキンマメ属(Arachis)、ナタネ、ベニバナ属(Carthamus)、ダイズ属(Glycine)、ソーヤ亜属(Soja)、ヒマワリ属(Helianthus)、タバコ属(Nicotiana)、ショウジョウハグマ属(Vernonia)、コムギ属(Triticum)、オオムギ属(Hordeum)、イネ属(Oryza)、カラスムギ属(Avena)、モロコシ属(Sorghum)、ライムギ属(Secale)、およびイネ科(Gramineae)の他のメンバーからなる群から選択される属から選択される植物から得られる、請求項9に記載の方法。
  16. 請求項1に記載の核酸配列を含む油糧種子植物。
  17. 請求項5または6に記載の構築物を含む油糧種子植物。
  18. 配列番号2、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28からなる群から選択されるプラスチド外デサチュラーゼを発現する植物種子。
  19. トランスジェニックセイヨウアブラナ(Brassica napus)系の種子であって、前記トランスジェニックセイヨウアブラナ(Brassica napus)系の同質遺伝子型と比較して飽和脂肪酸のレベルが低下している、種子。
  20. 野生型植物と比較して植物内の飽和脂肪酸の量が減少した遺伝子操作された植物を生成するための方法であって、
    植物材料を請求項1に記載の核酸分子で形質転換するステップ、および
    形質転換された植物材料を培養して植物を得るステップ
    を含む、方法。
  21. 野生型植物と比較して植物内の飽和脂肪酸の量が減少した遺伝子操作された植物を生成するための方法であって、
    植物材料を請求項4に記載の構築物で形質転換するステップ、および
    形質転換された植物材料を培養して植物を得るステップ
    を含む、方法。
  22. 前記植物が、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、ボラゴ属(Borago)、キャノーラ、トウゴマ属(Ricinus)、カカオ属(Theobroma)、トウモロコシ属(Zea)、ワタ属(Gossypium)、ハマナ属(Crambe)、クフェア属(Cuphea)、アマ属(Linum)、レスケレラ属(Lesquerella)、ルミナンテス属(Limnanthes)、リノラ(Linola)、ノウゼンハレン属(Tropaeolum)、マツヨイグサ属(Oenothera)、オリーブ属(Olea)、アブラヤシ属(Elaeis)、ナンキンマメ属(Arachis)、ナタネ、ベニバナ属(Carthamus)、ダイズ属(Glycine)、ソーヤ亜属(Soja)、ヒマワリ属(Helianthus)、タバコ属(Nicotiana)、ショウジョウハグマ属(Vernonia)、コムギ属(Triticum)、オオムギ属(Hordeum)、イネ属(Oryza)、カラスムギ属(Avena)、モロコシ属(Sorghum)、ライムギ属(Secale)、およびイネ科(Gramineae)の他のメンバーからなる群から選択される属から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 請求項21に記載の方法によって得られた植物。
  24. 請求項23に記載の植物から得られた植物材料。
  25. 植物材料が種子である、請求項23に記載の植物材料。
  26. 請求項23に記載の植物の油。
  27. 油が3.5%未満の飽和脂肪酸を含有する、請求項23に記載の植物の油。
  28. 油が3.0%未満の飽和脂肪酸を含有する、請求項23に記載の植物の油。
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