JP2018024208A - ガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体、筒状包装体、および筒状フィルム成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)少なくとも表層(A)及び表層(E)を両最外層として有するフィルムであって、該表層(A)及び該表層(E)は、DSCによる融解ピーク温度が125℃以上150℃以下であり、かつ融解熱量が40J/g以上65J/g以下であるプロピレン系重合体を含み、酸素透過率(OTR)が50ml/m2・day・MPa以上200ml/m2・day・MPa以下であることを特徴とする、ガスバリア性積層フィルム。
(2)120℃における熱収縮率が10%以上30%以下である、(1)に記載のガスバリア性積層フィルム。
(3)前記表層(A)と前記表層(E)との動摩擦係数が0.30以下である、(1)または(2)に記載のガスバリア性積層フィルム。
(4)さらにガスバリア層を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、表層(A)及び表層(E)の少なくとも2層を両最外層として有する。表層(A)及び表層(E)は、各々が本実施形態のガスバリア性積層フィルムの片側の表面を構成する。言い換えると、本実施形態のガスバリア性積層フィルムにおいて、表層(A)及び表層(E)の一方が表側を他方が裏側を構成する。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、表層(A)及び表層(E)の少なくとも2層を有すればよいが、表層(A)と表層(E)との間に、例えばガスバリア層、接着層等の、任意の追加の層を1層以上有してもよい。表層(A)と表層(E)との間にさらにガスバリア層を有することが好ましく、表層(A)とガスバリア層との間および/または表層(E)とガスバリア層との間にさらに接着層を有することがより好ましく、例えば、表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)及び表層(E)の少なくとも5層が、前記記載の順、すなわち、(A)/(B)/(C)/(D)/(E)の順で積層されてなる態様が最も好ましい。
表層(A)は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの片面を構成する層であり、本実施形態の筒状包装体においては外気と接する最も外側に位置してよく、ヒートシールする際のシール層として機能するとともに、水分やガスの透過を阻害して、特にフィルムにガスバリア層が含まれる場合には、ガスバリア層の性能低下及びこれによって引き起こされるや内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制する機能を有する。また、筒状包装体がレトルト処理された際にもフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することがないような耐熱性も有している。
このような機能を発現させるために、表層(A)は、DSC(示差走査熱量計)による融解ピーク温度が125℃以上150℃以下であり、かつ融解熱量が40J/g以上65J/g以下のプロピレン系重合体を含む。表層(A)に含まれるプロピレン系重合体の融解ピーク温度は、特に限定されないが、130〜150℃であることが好ましく、135〜150℃であることがより好ましい。また、表層(A)に含まれるプロピレン系重合体の融解熱量は、特に限定されないが、40〜60J/gであることが好ましく、40〜55J/gであることがより好ましい。2種類以上のプロピレン系重合体を使用する場合には、プロピレン系重合体の融解ピーク温度、融解熱量は、その混合物を測定して得られる値とする。融解ピーク温度が125℃以上で、かつ融解熱量が40J/g以上であれば、筒状包装体がレトルト処理された際にもフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することがないような耐熱性を有する。融解ピーク温度が150℃以下で、かつ融解熱量が65J/g以下であれば筒状包装体、筒状フィルム成形体の充填時に高速のシール溶着にも対応できる様な高速シール性を有する。
なお、溶融ピーク温度および融解熱量は、JIS K7121に準拠して測定することができ、より具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
ここで、プロピレン系重合体とは、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体を意味し、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよい。炭素数4〜8のα−オレフィンの具体例としては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらプロピレン系重合体を構成する単量体成分のうちプロピレン以外のものは、各々を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、プロピレン系重合体の融解熱量を40J/g以上かつ65J/g以下に調整するには、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。これらのプロピレン系重合体は、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
表層(E)は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムにおいて表層(A)と逆側の片面を構成する層であって、本実施形態の筒状包装体においては内容物(被包装物)と接する最も内側に位置してよく、ヒートシールする際のシール層として機能するとともに、水分やガスの透過を阻害して、特にフィルムにガスバリア層が含まれる場合には、ガスバリア層の性能低下及びこれによって引き起こされる内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制する機能を有する。また、筒状包装体がレトルト処理された際にもフラップ部が包装体側面に溶着することがないような耐熱性も有している。このような機能を発現させるために、表層(E)は、DSCによる融解ピーク温度が125℃以上150℃以下であり、かつ融解熱量が40J/g以上65J/g以下のプロピレン系重合体を含む。なお、2種類以上のプロピレン系重合体を使用する場合には、プロピレン系重合体の融解ピーク温度、融解熱量は、その混合物を測定して得られる値とする。表層(E)に含まれるプロピレン系重合体の融解ピーク温度は、特に限定されないが、130〜150℃であることが好ましく、135〜150℃であることがより好ましい。また、表層(E)に含まれるプロピレン系重合体の融解熱量は、特に限定されないが、40〜60J/gであることが好ましく、40〜55J/gであることがより好ましい。融解ピーク温度が125℃以上、融解熱量が40J/g以上であれば、筒状包装体がレトルト処理された際にもフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することがないような耐熱性を有する。融解ピーク温度が150℃以下、融解熱量が65J/g以下であれば筒状包装体、筒状フィルム成形体の充填時に高速のシール溶着にも対応できる様な高速シール性を有する。
ガスバリア層は、酸素等のガスの透過を阻害して、内容物(被包装体)の酸化劣化を防ぐ機能を有する。ガスバリア層の酸素透過率(OTR)は、特に限定されないが、50ml/m2・day・MPa以上200ml/m2・day・MPa以下であることが好ましい。酸素透過率(OTR)が50ml/m2・day・MPa以上であれば、ガスバリア性積層フィルムの製膜時の加工性が好ましく、200ml/m2・day・MPa以下であれば、酸素バリア性能が好ましく、内容物を十分保護することが出来る。このような機能を発現させるために、ガスバリア層は、限定されないが、例えば、芳香族ポリアミド系共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびポリ塩化ビニリデン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含むように構成されている。ガスパリア層における芳香族ポリアミド系共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびポリ塩化ビニリデン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、特に限定されないが、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
ガスバリア性積層フィルムのOTRは、製造時におけるガスバリア層(C)の厚みを調節することによって制御可能である。具体的には、ガスバリア層の厚みを厚くするとOTRが低下し、ガスバリア層の厚みを薄くするとOTRが増加する。
なお、本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア層を2層以上有してもよい。
ここで、芳香族ポリアミド系共重合体とは、主鎖中に芳香族環を有する結晶性ナイロン(ポリアミド)を意味し、その具体例としては、例えばメタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)や、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸との重縮合物等が挙げられる。芳香族ポリアミド系共重合体は、ナイロン6、ナイロン6/66等の脂肪族ナイロンに比べて、ガスバリア性に優れ、吸水度合いが低く、吸水時のガスバリア性の低下が少なく、その上さらに、耐ピンホール性等の強度や延伸性等の成形加工性にも良好であるので、ガスバリア層を構成する素材として好適に用いられる。ガスバリア層は、芳香族ポリアミド系共重合体のみから構成することができ、この場合は構成が簡易となり、生産性及び経済性が高められる。
なお、ガスバリア層は、上記の芳香族ポリアミド系共重合体の他に、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
ここで、エチレン−ビニルアルコール共重合体とは、エチレンとビニルアルコールの共重合体を意味する。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、ガスバリア性と透明性に優れ、ガスバリア層を構成する素材として好適に用いられている。ただし、エチレン−ビニルアルコール共重合体は共重合体のエチレン成分の量によって、融点やガスバリア性が大きく変化するため、ガスバリア層を構成する素材としてはエチレン成分が29モル%〜48モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体である必要があり、これらの中でも、エチレン成分が38モル%〜44モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。
なお、ガスバリア層は、上記のエチレン−ビニルアルコール共重合体の他に、必要に応じて他に成分を含んでいてもよい。
ここで、ポリ塩化ビニリデン共重合体とは、塩化ビニリデン単量体の単独重合体、または塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体との共重合体を意味する。ポリ塩化ビニリデン共重合体は、水分及び酸素等のガスバリア性に優れ、ガスバリア層を構成する素材として好適に用いられている。塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されず、アクリル酸メチル及びアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;塩化ビニル、アクリルニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。これらの中でも、フィルムのガスバリア性と押出加工性のバランスから、アクリル酸メチルが好ましい。これらの共重合可能な単量体は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
なお、ガスバリア層は、上記のポリ塩化ビニリデン共重合体の他に、必要に応じて他に成分を含んでいてもよい。
接着層(B)は、表層(A)とガスバリア層とを接着する機能を有するとともに、水分やガスの透過を抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、接着層(B)は、プロピレン系酸変性物を含むように構成されている。接着層(B)におけるプロピレン系酸変性物の含有量は、特に限定されないが、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
ここで、プロピレン系酸変性物とは、プロピレン系重合体をマレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸または酸無水物により酸変性したものを意味する。このようなプロピレン系酸変性物を用いると、その酸変性割合を調整することで、表層(A)やガスバリア層との接着性、水分やガスの透過阻害の調整が容易となる。酸変性割合が高いプロピレン系酸変性物を用いることにより、表層(A)やガスバリア層との接着強度が高められる傾向にある。
接着層(B)のプロピレン系酸変性物の具体例としては、例えば、上記したプロピレン系重合体に、マレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸または酸無水物をグラフト共重合した変性重合体が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、このプロピレン系重合体は、表層(A)で例示したプロピレン系重合体と同一であっても異なっても構わないが、表層(A)と接着層(B)との接着性の観点から、同一であることが好ましい。プロピレン系酸変性物中の不飽和カルボン酸及び酸無水物の含有量は、特に限定されないが、0.25質量%以上であることが好ましく、0.50質量%以上であることがより好ましい。
なお、これらのプロピレン系酸変性物は、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
接着層(D)は、上述した接着層(B)と同様に、ガスバリア層と表層(E)とを接着する機能を有するとともに、水分やガスの透過を抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、接着層(D)は、プロピレン系酸変性物を含むように構成されている。
接着層(D)のプロピレン系酸変性物の具体例としては、例えば、接着性(B)で例示したプロピレン系酸変性物が挙げられる。ここで、接着層(D)のプロピレン系酸変性物は、接着層(B)のプロピレン系酸変性物と同一であっても異なっていても構わないが、層間の剥離強度の観点から、同一であることが好ましい。なお、これらのプロピレン系酸変性物は、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
上述した表層(A)、表層(E)、ガスバリア層、接着層等の各層は、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑材(ワックス等含む)、無機フィラー(アルミノケイ酸塩等を含む)、結晶核剤(タルク)等の各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、内容物(被内装物)と接触し得る表層(A)および/または表層(E)は、内容物との剥離性を高めるために、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の界面活性剤を含んでいてもよい。
以下、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの物性について記載する。
ガスバリア性積層フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、レトルト用途への使用を考慮すると、ガスバリア性積層フィルムの全体の厚み(総厚み)は30〜50μmであることが好ましい。一般に、レトルト処理時の破袋の発生頻度と開封時の開封性とは、トレードオフの関係にあり、厚みを厚くすると、レトルト処理時の破袋の発生頻度が減少する傾向にあり、厚みを薄くすると、開封時に適度な力で開封し易くなる傾向にある。したがって、これら双方の特性をバランス良く維持するために、全体の厚みが30〜50μmであることが好ましい。
また、ガスバリア性積層フィルムの各層の厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、シール強度や保存性の観点から、各層の厚みはガスバリア性積層フィルムの総厚みを100%として、例えば、表層(A):20〜40%、接着層(B):5〜20%、ガスバリア層(C):5〜40%、接着層(D):5〜20%、表層(E):20〜40%であることが好ましい。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、酸素透過率(OTR)が50ml/m2・day・MPa以上200ml/m2・day・MPa以下である。酸素透過率が50ml/m2・day・MPa以上であれば、ガスバリア性積層フィルムの製膜時の加工性が好ましく、200ml/m2・day・MPa以下であれば、酸素バリア性能が好ましく、内容物を十分保護することが出来る。特に限定されないが、酸素透過率が50ml/m2・day・MPa以上150ml/m2・day・MPa以下であることが好ましく、50ml/m2・day・MPa以上100ml/m2・day・MPa以下であることがより好ましい。
なお、酸素透過率は、ASTM D−3985に準拠して測定することができ、より具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、120℃における熱収縮率が10%以上30%以下であることが好ましく、15%以上25%以下であることがより好ましい。なお、熱収縮率は、MD方向及びTD方向についての熱収縮率を平均した値をいう。熱収縮率が10%以上であれば、ガスバリア性積層フィルムを用いて被包装物を包装した包装体を120℃で20分間のレトルト処理をした際に、ガスバリア性積層フィルムが被包装物にフィットし、長期保存時の被包装物に目減りが生じた際であっても、ガスバリア性積層フィルムの弛み由来のしわの発生を効果的に抑制することができる。また、レトルト処理された際に収縮することで、フィルムフラップ部が包装体側面と接触することが抑制されるので、レトルト処理された際にフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することが抑制される。熱収縮率が30%以下であれば、ガスバリア性積層フィルムをヒートシールする際に過度の収縮が抑制され、シール幅のバラつきによるシール不良が抑制される。ガスバリア性積層フィルムの120℃における熱収縮率は、製造時における延伸倍率、延伸温度及び、延伸中や延伸後の熱処理温度によって制御可能である。具体的には延伸倍率を高めたり、延伸温度や熱処理温度を低めると120℃における熱収縮率が大きくなり、延伸倍率を低めたり、延伸温度や熱処理温度を高めると120℃における熱収縮率が小さくなる傾向にある。
なお、熱収縮率は、後述する実施例で説明する方法により評価することができる。
また、本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、表層(A)と表層(E)との動摩擦係数が、0.30以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましい。動摩擦係数が、0.30以下であれば、適度なフィルムの滑り性を有し、このガスバリア性積層フィルムを用いて被包装物を包装した包装体を120℃で20分間のレトルト処理をした際に、フィルムフラップ部と包装体側面との密着性が抑制されるので、レトルト処理された際にフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することが抑制される。ガスバリア性積層フィルムの表層(A)と表層(E)との動摩擦係数は、表層(A)と表層(E)の両層、または片方の層に可塑剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑材、無機フィラー、結晶核剤等の各種添加剤を添加することで制御可能である。具体的には、一方または両方の表層への添加剤の添加量を増やせば、動摩擦係数が小さくなる傾向にある。
なお、動摩擦係数は、JIS K7125に準拠して測定することができ、より具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、例えば、共押出法で得た積層物を延伸することにより、作製することが好ましい。以下、代表例として、インフレーション法により表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)、表層(E)がこの順で積層してなるガスバリア性積層フィルムを作製する方法につき詳述する。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、酸化劣化又は蒸散しやすい成分を含む食品等の物品の包装に用いることができる。そして、このようなガスバリア性積層フィルムは、酸化変色しやすい食品、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、魚肉等の生肉類、ソーセージ、ハム類等の加工品類、バターやチーズ等の乳製品類の包装材としても好適に利用することができる。
また本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、後述する筒状フィルム成形体に好適に使用できるだけでなく、袋状包装材、ピロー包装材、トレー包装材、トップシール用蓋材、冷凍品包装材、ケーシング包装材等に使用され、真空包装やガス置換包装の包装材にも好適に利用できる。
図1は、本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体を用いて製造された本発明の一実施形態の筒状包装体を模式的に示す図である。
本実施形態の筒状フィルム成形体は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムを含み、フィルムフラップ部を有することを特徴とする。
より具体的には、本実施形態の筒状フィルム成形体3は、本実施形態のガスバリア性積層フィルム1が筒状に湾曲してなり、当該ガスバリア性積層フィルム1の両端部が互いに重なり合うと共に、一方の端部の表層(A)と該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E))とが接合し、フィルムフラップ部4fを形成している。また、本実施形態の筒状フィルム成形体3は、軸方向の両端部に開口を有しており、その筒内に内容物(被包装物)を包装し得る包装材として使用することができる。
本実施形態の筒状フィルム成形体3は、本実施形態のガスバリア性積層フィルム1を筒状に湾曲させて、一方の端部の表層(A)と該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)とを重ね合わせ、その重ね合わせた部分に熱を印加して、筒状フィルム成形体3を得ることを特徴とする。
例えば、一方の端部の表層(A)上に該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)を封筒貼りに重ね合わせ、その重ね合わせた部分に他方の端部の表層(A)側から熱を印加して熱溶着(ヒートシール)を行うことにより、フィルムフラップ部4fを有する筒状フィルム成形体3を得ることができる。
また、例えば、表層(A)が外周面を構成するように筒状に湾曲させて、一方の端部の表層(E)と該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)とを合掌貼りに重ね合わせて、その重ね合わせた部分に一方の端部の表層(A)側(すなわち、外周面側)から熱を印加してヒートシールを行っても、筒状フィルム成形体3を得ることができる。あるいは、表層(E)が外周面を構成するように筒状に湾曲させて同様に筒状フィルム成形体3を得ることもできる。
上述のようにして得られた筒状フィルム成形体3は、必要に応じて、裏返して用いることもできる。
なお、シール強度は、後述する実施例で説明する方法で測定することができる。
図1は、本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体を用いて製造された本発明の一実施形態の筒状包装体を模式的に示す図である。
本実施形態の筒状包装体4は、上記筒状フィルム成形体3と、筒状フィルム成形体3の内部に充填された被包装物(内容物)とを備え、筒状フィルム成形体3の軸方向の両開口端が封止されている。筒状フィルム成形体3の軸方向の両開口端は、超音波、高周波又は熱等を印加して融着してもよく、封止部材を用いて封止してもよい。封止部材は、特に限定されず、合成樹脂製又は金属製の線材等、公知のものを使用することができる。ここで、筒状包装体4のシール部4sから、包装体の外側にはみ出したフィルムの縁の部分がフィルムフラップ部4fに該当している。
図3は、本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体の製造における融着工程を模式的に示す図である。
Perkin Elmer社製 Pyris Diamond DSCを用いて、ガスバリア性積層フィルムの表層の融解ピーク温度及び融解熱量の測定を行った。ガスバリア性積層フィルムの表層(表層(A)、表層(E)のみを剥離させ、測定試料とした。まず、試料を10℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で1分間保持した。次に、試料を10℃/分で0℃まで降温し、0℃で1分間保持した。さらに、試料を再度10℃/分で昇温した時の、結晶融解カーブのピーク値に対応する温度を融解ピーク温度(Tm)とし、結晶融解カーブの積分値を融解熱量(ΔH)とした。
MOCON社製OX−TRAN 2/21を用いて、測定法はASTM D−3985に準拠して、酸素透過率を測定した。ガスバリア性積層フィルムを装置にセットして6時間後の値を採用した。測定は23℃、65%RHの条件下で行った。酸素透過度が小さいほど酸素バリア性が高い。
ガスバリア性積層フィルムの表面に各辺が縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)に平行になるように1辺の長さが50mmの正方形の枠線をつける。その枠線の外側20mmを切り出して試験片とする。その試験片の両面に、タルクをまぶす。タルクをまぶすことで、試験片に熱がかかり、収縮した時にも、フィルムの表面同士が接触して、収縮が阻害されることを抑制することができる。その後、その試験片を、120℃に設定した空気循環乾燥機に入れ、10分間保持した後、取り出す。取り出した試験片の正方形の枠線の各辺の長さを計測する。測定した各辺に対して、
{(収縮前の辺の長さ)−(収縮後の辺の長さ)}/(収縮前の辺の長さ)×100を算出し、それらの平均値をその試験片の120℃における熱収縮率(%)とする。上記の測定をn=2で行い、それぞれの試験片の熱収縮率の平均値をガスバリア性積層フィルムの120℃における熱収縮率(%)として用いた。
ガスバリア性積層フィルムの23℃における動摩擦係数をJIS K7125に従って、測定した。この動摩擦係数の測定においては、ガスバリア性積層フィルムの表層同士(A層とE層)の縦方向(MD方向)について測定し、n=5の平均値を動摩擦係数として用いた。
以下に、自動充填包装機の各種設定条件を示す。
フィルム速度:41m/分
ショット数:180本/分
ノズル開口42a:長さ55mm、幅0.3mm
熱風温度:280℃〜430℃(ノズル内部)
熱風圧力:0.43MPa(ノズル内部)
充填を行う際に、安定したシールを行うことができるシール温度(熱風温度)のレンジについて、以下の基準に従って評価した。
〇:シール温度レンジが15℃以上
△:シール温度レンジが5℃以上15℃未満
×:シール温度レンジが5℃未満
ここで、安定したシールとは、以下のシール強度の基準とシール不良の基準とを共に満たすシールのことを言う。
(シール強度)
筒状フィルム成形体20本から、幅15mm、長さ60mmの短冊状の試験片を作製する。そして、テンシロン万能試験機(商品名:RTC−1210、オリエンテック社製)を用い、得られた試験片の長手方向の両端部をフィルムチャック部に固定し、チャック間距離10mm、180°剥離、引張速度500mm/minの条件下で、シール強度を測定する。シール強度は、試験片20本の平均とし、平均が6N/15mm幅以上であれば、当該成形体にシール強度の基準を満たすシールがなされたものとする。
(シール不良)
筒状フィルム成形体20本のシール部を目視し、シール部に飛び(シール部が熱溶着していない所)やシール部にピンホール(溶融過多によるシール部の穴あき)が1ヶ所も存在しなければ、当該成形体にシール不良の基準を満たすシールがなされたものとする。
20本の筒状包装体について、加熱缶内ゲージ圧が0.25MPaの条件下で120℃、20分のレトルト処理を行い、レトルト処理後の筒状包装体のフィルムフラップ部が筒状包装体側面に一部でも溶着しているものの本数を数えて、以下の基準に従って評価した。
〇:フィルムフラップ部と筒状包装体側面の溶着が発生している本数が0本
△:フィルムフラップ部と筒状包装体側面の溶着が発生している本数が1本または2本
×:フィルムフラップ部と筒状包装体側面の溶着が発生している本数が3本以上
まず、表2に示す樹脂組成及び添加剤にて環状5層ダイを用いて溶融共押出した後、15℃の冷水で固化させて、総厚み1100μmのチューブ状の無延伸原反を作製した。次いで、この無延伸原反を延伸温度120℃で、インフレーション法により縦方向(MD方向)に5.0倍、横方向(TD方向)に6.0倍とした30倍の延伸倍率で二軸延伸した後、90℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み40μmの多層フィルムを得た。そして、得られた多層フィルムを巻き取った後、巻ほどきながら幅100mmに裁断した。さらに、多層フィルムを再度巻き取ることで、実施例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
次に、熱風シール方式の自動充填包装機(旭化成株式会社製「ADP(登録商標)」)を用いて、実施例1の多層フィルムを表層(A)が外周面を構成するように製筒フォルダを介して筒状に湾曲させ、一方の端部の表層(A)上に該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)を重ね合わせた。次に、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱風を吹きつけて、封筒貼りにヒートシールすることにより、折幅40mmの筒状フィルム成形体を作製した。引き続き、筒状フィルム成形体に充填ノズルから魚肉ソーセージ原料すり身を充填し、その後両端をアルミワイヤーにて結紮密封することにより、長さ200mmの筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。また、自動充填包装機の各種設定は上に記載した通りである。
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、延伸温度を125℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、延伸温度を115℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例3のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を25倍(MD/TD=5.0倍/5.0倍)とし、延伸温度を120℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを50μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例4のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を40倍(MD/TD=6.0倍/6.7倍)とし、延伸温度を120℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを30μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例5のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、実施例1と同様に処理して、実施例6のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、120℃における熱収縮率を下げるために、延伸温度を130℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例7のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、120℃における熱収縮率を上げるために、延伸温度を110℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例8のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
表3に示す樹脂組成にて、実施例1と同様に処理して、実施例9のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
表3に示す樹脂組成にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、120℃における熱収縮率を下げるために、延伸温度を130℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例10のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
表3に示す樹脂組成にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、120℃における熱収縮率を上げるために、延伸温度を110℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例11のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
表3に示す樹脂組成、添加剤にて、実施例1と同様に処理して、比較例1、2、3、4のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
Claims (7)
- 少なくとも表層(A)及び表層(E)を両最外層として有するフィルムであって、該表層(A)及び該表層(E)は、DSCによる融解ピーク温度が125℃以上150℃以下であり、かつ融解熱量が40J/g以上65J/g以下であるプロピレン系重合体を含み、
酸素透過率(OTR)が50ml/m2・day・MPa以上200ml/m2・day・MPa以下である
ことを特徴とする、ガスバリア性積層フィルム。 - 120℃における熱収縮率が10%以上30%以下である、請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記表層(A)と前記表層(E)との動摩擦係数が0.30以下である、請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルム。
- さらにガスバリア層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルムを含み、フィルムフラップ部を有することを特徴とする、筒状フィルム成形体。
- 両開口端が封止されている請求項5に記載の筒状フィルム成形体を含むことを特徴とする、筒状包装体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルムを筒状に湾曲させ、一方の端部の表層(A)と該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)とを重ね合わせ、その重ね合わせた部分に熱を印加して、筒状フィルム成形体を得ることを特徴とする、筒状フィルム成形体の製造方法。
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| WO2025205325A1 (ja) * | 2024-03-28 | 2025-10-02 | 株式会社クレハ | 充填包装体、及び塩化ビニリデン系樹脂延伸フィルム |
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