JP2018024208A - ガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体、筒状包装体、および筒状フィルム成形体の製造方法 - Google Patents

ガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体、筒状包装体、および筒状フィルム成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高速のシール溶着にも対応でき、レトルト処理時にも包装体のフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することがない、ガスバリア性積層フィルム、ならびに、長期保存性および見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させ得る、筒状フィルム成形体及び筒状包装体の提供。【解決手段】少なくとも表層(A)及び表層(E)を両最外層として有するフィルム1であって、該表層(A)及び該表層(E)は、DSCによる融解ピーク温度が125〜150℃であり、かつ融解熱量が40〜65J/gであるプロピレン系重合体を含み、酸素透過率(OTR)が50〜200ml/m2・day・MPaである、ガスバリア性積層フィルム3。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性積層フィルム、これを用いた筒状フィルム成形体および筒状包装体、ならびに筒状フィルム成形体の製造方法に関し、特にレトルト用食品包装体やフィルムケーシングとして使用可能な、耐熱性、シール性及び保存性に優れるガスバリア性積層フィルムに関する。
従来、魚肉、畜肉ハム・ソーセージ、チーズ、羊羹、ういろう等の加工品の包装方法として、これら被包装物を、樹脂フィルムを封筒貼りにシールした筒状フィルム成形体に充填し、その上端及び下端を結紮(封止)する方法が広く利用されている。この種の包装に使用するフィルムとして、水蒸気、酸素等の気体の遮断性や熱シール性に優れた特性を持つ樹脂の積層フィルムが開発されている。
例えば、特許文献1には、同種のポリオレフィン系樹脂からなる両外層、ポリアミド系樹脂からなるガスバリア性中間層の少なくとも3層からなり、50℃における熱収縮応力が縦方向と横方向においてともに2MPa以下、90℃の熱水収縮率が5%以上かつ20%以下である熱収縮性を有する延伸多層フィルムを、両外層でバックシームしてなる延伸多層フィルムケーシングが記載されている。
また、特許文献2には、少なくとも、その厚さが5μm以上かつ50μm以下であるポリアミド樹脂層(A)及び120℃の加熱処理において透明性を保持し、その厚さが5μm以上かつ100μm以下であるプロピレン系重合体系樹脂層(B)とからなり、120℃における熱収縮率が5%以上かつ30%以下である熱収縮性多層フィルムが開示されている。
さらに、特許文献3には、230℃におけるメルトフローレートが0.5g/10分以上かつ8.0g/10分以下のプロピレン系重合体を含む表層(A)と、プロピレン系重合体を含む接着層(B)と、芳香族ポリアミド系共重合体を含むガスバリア層(C)と、プロピレン系重合体を含む接着層(D)と、230℃におけるメルトフローレートが0.5g/10分以上かつ8.0g/10分以下のプロピレン系重合体を含む表層(E)と、がこの順に積層され、120℃における熱収縮応力が1.0MPa以上かつ3.5MPa以下である、共押出延伸多層フィルムが開示されている。
一方、このタイプの包装体では、フィルムの一方の縁部が包装体の外側にはみ出すようにシールされており、はみ出した当該縁部(以下「フィルムフラップ部」という)に特許文献4の様な傷痕加工が施され、消費者がフィルムフラップ部を摘み、フィルムを裂くことで、包装体を円滑に開封することを目的としている。
特開2000−37828号公報 特許第2711304号公報 特許第5130158号公報 特開昭61−142159号公報
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載の包装フィルムを用いた包装体は、レトルト処理時に包装体のフィルムフラップ部が包装体側面に溶着し、包装体開封のためにフィルムフラップ部を摘む事が困難で、著しく開封性が低下する問題があった。
この問題を解決すべく、包装フィルムの両最外層、すなわち、包装体としたときに被包装物と接する表層及び外気に接する表層に、高融点や高結晶性のプロピレン系重合体を使用することが考えられる。しかしながら、高融点や高結晶性のプロピレン系重合体を使用した包装フィルムは、シール時に高いエネルギーを伝える必要があり、充填速度が著しく低下する。しかも、シール幅のバラつきが生じたり、シール部あるいはシール部以外にピンホールが発生したり、シール部の溶融過多や溶融不足が生じる等のシール不良が頻発する。このようなシール不良は、外観不良による商品価値の低下を招くのみならず、シール強度不足及び密封性の低下を引き起こし、易剥離やレトルト処理時の破裂(パンク)をも生じさせ得る。また、このようなシール不良は、高速のシール溶着で特に顕著に生じる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、高速のシール溶着にも対応でき、レトルト処理時にも包装体のフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することがない、ガスバリア性積層フィルム、ならびに、長期保存性および見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させ得る、筒状フィルム成形体および筒状包装体を提供する事である。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)少なくとも表層(A)及び表層(E)を両最外層として有するフィルムであって、該表層(A)及び該表層(E)は、DSCによる融解ピーク温度が125℃以上150℃以下であり、かつ融解熱量が40J/g以上65J/g以下であるプロピレン系重合体を含み、酸素透過率(OTR)が50ml/m・day・MPa以上200ml/m・day・MPa以下であることを特徴とする、ガスバリア性積層フィルム。
(2)120℃における熱収縮率が10%以上30%以下である、(1)に記載のガスバリア性積層フィルム。
(3)前記表層(A)と前記表層(E)との動摩擦係数が0.30以下である、(1)または(2)に記載のガスバリア性積層フィルム。
(4)さらにガスバリア層を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルムを含み、フィルムフラップ部を有することを特徴とする、筒状フィルム成形体。
(6)両開口端が封止されている(5)に記載の筒状フィルム成形体を含むことを特徴とする、筒状包装体。
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルムを筒状に湾曲させ、一方の端部の表層(A)と該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)とを重ね合わせ、その重ね合わせた部分に熱を印加して、筒状フィルム成形体を得ることを特徴とする、筒状フィルム成形体の製造方法。
本発明は、内容物を包む包装体等を形成した場合に、高速シール溶着にも対応でき、レトルト処理時に包装体のフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することなく、包装体開封のためにフィルムフラップ部を摘む事で安定して容易に包装体等を開封でき、しかも、長期保存性および見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させ得る、筒状フィルム成形体および筒状包装体を提供するガスバリア性積層フィルムを実現できる。
本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体を用いて製造された本発明の一実施形態の筒状包装体を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体の製造に用いる自動充填包装機を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体の製造における融着工程を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(ガスバリア性積層フィルム)
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、表層(A)及び表層(E)の少なくとも2層を両最外層として有する。表層(A)及び表層(E)は、各々が本実施形態のガスバリア性積層フィルムの片側の表面を構成する。言い換えると、本実施形態のガスバリア性積層フィルムにおいて、表層(A)及び表層(E)の一方が表側を他方が裏側を構成する。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、表層(A)及び表層(E)の少なくとも2層を有すればよいが、表層(A)と表層(E)との間に、例えばガスバリア層、接着層等の、任意の追加の層を1層以上有してもよい。表層(A)と表層(E)との間にさらにガスバリア層を有することが好ましく、表層(A)とガスバリア層との間および/または表層(E)とガスバリア層との間にさらに接着層を有することがより好ましく、例えば、表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)及び表層(E)の少なくとも5層が、前記記載の順、すなわち、(A)/(B)/(C)/(D)/(E)の順で積層されてなる態様が最も好ましい。
−表層(A)−
表層(A)は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの片面を構成する層であり、本実施形態の筒状包装体においては外気と接する最も外側に位置してよく、ヒートシールする際のシール層として機能するとともに、水分やガスの透過を阻害して、特にフィルムにガスバリア層が含まれる場合には、ガスバリア層の性能低下及びこれによって引き起こされるや内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制する機能を有する。また、筒状包装体がレトルト処理された際にもフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することがないような耐熱性も有している。
このような機能を発現させるために、表層(A)は、DSC(示差走査熱量計)による融解ピーク温度が125℃以上150℃以下であり、かつ融解熱量が40J/g以上65J/g以下のプロピレン系重合体を含む。表層(A)に含まれるプロピレン系重合体の融解ピーク温度は、特に限定されないが、130〜150℃であることが好ましく、135〜150℃であることがより好ましい。また、表層(A)に含まれるプロピレン系重合体の融解熱量は、特に限定されないが、40〜60J/gであることが好ましく、40〜55J/gであることがより好ましい。2種類以上のプロピレン系重合体を使用する場合には、プロピレン系重合体の融解ピーク温度、融解熱量は、その混合物を測定して得られる値とする。融解ピーク温度が125℃以上で、かつ融解熱量が40J/g以上であれば、筒状包装体がレトルト処理された際にもフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することがないような耐熱性を有する。融解ピーク温度が150℃以下で、かつ融解熱量が65J/g以下であれば筒状包装体、筒状フィルム成形体の充填時に高速のシール溶着にも対応できる様な高速シール性を有する。
なお、溶融ピーク温度および融解熱量は、JIS K7121に準拠して測定することができ、より具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
−−プロピレン系重合体−−
ここで、プロピレン系重合体とは、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体を意味し、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよい。炭素数4〜8のα−オレフィンの具体例としては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらプロピレン系重合体を構成する単量体成分のうちプロピレン以外のものは、各々を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、プロピレン系重合体の融解熱量を40J/g以上かつ65J/g以下に調整するには、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。これらのプロピレン系重合体は、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
なお、表層(A)におけるプロピレン系重合体の含有量は、特に限定されないが、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。表層(A)におけるプロピレン系重合体の含有量が50質量%以上であれば、上述する機能を十分に発揮することができる。また、表層(A)には50質量%以下でプロピレン系重合体以外の樹脂をブレンドしてもよい。
−表層(E)−
表層(E)は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムにおいて表層(A)と逆側の片面を構成する層であって、本実施形態の筒状包装体においては内容物(被包装物)と接する最も内側に位置してよく、ヒートシールする際のシール層として機能するとともに、水分やガスの透過を阻害して、特にフィルムにガスバリア層が含まれる場合には、ガスバリア層の性能低下及びこれによって引き起こされる内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制する機能を有する。また、筒状包装体がレトルト処理された際にもフラップ部が包装体側面に溶着することがないような耐熱性も有している。このような機能を発現させるために、表層(E)は、DSCによる融解ピーク温度が125℃以上150℃以下であり、かつ融解熱量が40J/g以上65J/g以下のプロピレン系重合体を含む。なお、2種類以上のプロピレン系重合体を使用する場合には、プロピレン系重合体の融解ピーク温度、融解熱量は、その混合物を測定して得られる値とする。表層(E)に含まれるプロピレン系重合体の融解ピーク温度は、特に限定されないが、130〜150℃であることが好ましく、135〜150℃であることがより好ましい。また、表層(E)に含まれるプロピレン系重合体の融解熱量は、特に限定されないが、40〜60J/gであることが好ましく、40〜55J/gであることがより好ましい。融解ピーク温度が125℃以上、融解熱量が40J/g以上であれば、筒状包装体がレトルト処理された際にもフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することがないような耐熱性を有する。融解ピーク温度が150℃以下、融解熱量が65J/g以下であれば筒状包装体、筒状フィルム成形体の充填時に高速のシール溶着にも対応できる様な高速シール性を有する。
表層(E)のプロピレン系重合体の具体例としては、例えば、表層(A)で例示したプロピレン系重合体が挙げられる。なお、これらのプロピレン系重合体は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、表層(E)のプロピレン系重合体は、表層(A)のプロピレン系重合体と同一であっても異なっていても構わないが、ヒートシール強度を確保する観点から、同一であることが好ましい。
−ガスバリア層−
ガスバリア層は、酸素等のガスの透過を阻害して、内容物(被包装体)の酸化劣化を防ぐ機能を有する。ガスバリア層の酸素透過率(OTR)は、特に限定されないが、50ml/m・day・MPa以上200ml/m・day・MPa以下であることが好ましい。酸素透過率(OTR)が50ml/m・day・MPa以上であれば、ガスバリア性積層フィルムの製膜時の加工性が好ましく、200ml/m・day・MPa以下であれば、酸素バリア性能が好ましく、内容物を十分保護することが出来る。このような機能を発現させるために、ガスバリア層は、限定されないが、例えば、芳香族ポリアミド系共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびポリ塩化ビニリデン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含むように構成されている。ガスパリア層における芳香族ポリアミド系共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびポリ塩化ビニリデン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、特に限定されないが、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
ガスバリア性積層フィルムのOTRは、製造時におけるガスバリア層(C)の厚みを調節することによって制御可能である。具体的には、ガスバリア層の厚みを厚くするとOTRが低下し、ガスバリア層の厚みを薄くするとOTRが増加する。
なお、本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア層を2層以上有してもよい。
−−芳香族ポリアミド系共重合体−−
ここで、芳香族ポリアミド系共重合体とは、主鎖中に芳香族環を有する結晶性ナイロン(ポリアミド)を意味し、その具体例としては、例えばメタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)や、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸との重縮合物等が挙げられる。芳香族ポリアミド系共重合体は、ナイロン6、ナイロン6/66等の脂肪族ナイロンに比べて、ガスバリア性に優れ、吸水度合いが低く、吸水時のガスバリア性の低下が少なく、その上さらに、耐ピンホール性等の強度や延伸性等の成形加工性にも良好であるので、ガスバリア層を構成する素材として好適に用いられる。ガスバリア層は、芳香族ポリアミド系共重合体のみから構成することができ、この場合は構成が簡易となり、生産性及び経済性が高められる。
なお、ガスバリア層は、上記の芳香族ポリアミド系共重合体の他に、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
−−エチレン−ビニルアルコール共重合体−−
ここで、エチレン−ビニルアルコール共重合体とは、エチレンとビニルアルコールの共重合体を意味する。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、ガスバリア性と透明性に優れ、ガスバリア層を構成する素材として好適に用いられている。ただし、エチレン−ビニルアルコール共重合体は共重合体のエチレン成分の量によって、融点やガスバリア性が大きく変化するため、ガスバリア層を構成する素材としてはエチレン成分が29モル%〜48モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体である必要があり、これらの中でも、エチレン成分が38モル%〜44モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。
なお、ガスバリア層は、上記のエチレン−ビニルアルコール共重合体の他に、必要に応じて他に成分を含んでいてもよい。
−−ポリ塩化ビニリデン共重合体−−
ここで、ポリ塩化ビニリデン共重合体とは、塩化ビニリデン単量体の単独重合体、または塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体との共重合体を意味する。ポリ塩化ビニリデン共重合体は、水分及び酸素等のガスバリア性に優れ、ガスバリア層を構成する素材として好適に用いられている。塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されず、アクリル酸メチル及びアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;塩化ビニル、アクリルニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。これらの中でも、フィルムのガスバリア性と押出加工性のバランスから、アクリル酸メチルが好ましい。これらの共重合可能な単量体は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
なお、ガスバリア層は、上記のポリ塩化ビニリデン共重合体の他に、必要に応じて他に成分を含んでいてもよい。
−接着層(B)−
接着層(B)は、表層(A)とガスバリア層とを接着する機能を有するとともに、水分やガスの透過を抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、接着層(B)は、プロピレン系酸変性物を含むように構成されている。接着層(B)におけるプロピレン系酸変性物の含有量は、特に限定されないが、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
ここで、プロピレン系酸変性物とは、プロピレン系重合体をマレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸または酸無水物により酸変性したものを意味する。このようなプロピレン系酸変性物を用いると、その酸変性割合を調整することで、表層(A)やガスバリア層との接着性、水分やガスの透過阻害の調整が容易となる。酸変性割合が高いプロピレン系酸変性物を用いることにより、表層(A)やガスバリア層との接着強度が高められる傾向にある。
接着層(B)のプロピレン系酸変性物の具体例としては、例えば、上記したプロピレン系重合体に、マレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸または酸無水物をグラフト共重合した変性重合体が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、このプロピレン系重合体は、表層(A)で例示したプロピレン系重合体と同一であっても異なっても構わないが、表層(A)と接着層(B)との接着性の観点から、同一であることが好ましい。プロピレン系酸変性物中の不飽和カルボン酸及び酸無水物の含有量は、特に限定されないが、0.25質量%以上であることが好ましく、0.50質量%以上であることがより好ましい。
なお、これらのプロピレン系酸変性物は、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
−接着層(D)−
接着層(D)は、上述した接着層(B)と同様に、ガスバリア層と表層(E)とを接着する機能を有するとともに、水分やガスの透過を抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、接着層(D)は、プロピレン系酸変性物を含むように構成されている。
接着層(D)のプロピレン系酸変性物の具体例としては、例えば、接着性(B)で例示したプロピレン系酸変性物が挙げられる。ここで、接着層(D)のプロピレン系酸変性物は、接着層(B)のプロピレン系酸変性物と同一であっても異なっていても構わないが、層間の剥離強度の観点から、同一であることが好ましい。なお、これらのプロピレン系酸変性物は、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
−添加剤−
上述した表層(A)、表層(E)、ガスバリア層、接着層等の各層は、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑材(ワックス等含む)、無機フィラー(アルミノケイ酸塩等を含む)、結晶核剤(タルク)等の各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、内容物(被内装物)と接触し得る表層(A)および/または表層(E)は、内容物との剥離性を高めるために、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の界面活性剤を含んでいてもよい。
(ガスバリア性積層フィルムの物性)
以下、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの物性について記載する。
−厚み−
ガスバリア性積層フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、レトルト用途への使用を考慮すると、ガスバリア性積層フィルムの全体の厚み(総厚み)は30〜50μmであることが好ましい。一般に、レトルト処理時の破袋の発生頻度と開封時の開封性とは、トレードオフの関係にあり、厚みを厚くすると、レトルト処理時の破袋の発生頻度が減少する傾向にあり、厚みを薄くすると、開封時に適度な力で開封し易くなる傾向にある。したがって、これら双方の特性をバランス良く維持するために、全体の厚みが30〜50μmであることが好ましい。
また、ガスバリア性積層フィルムの各層の厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、シール強度や保存性の観点から、各層の厚みはガスバリア性積層フィルムの総厚みを100%として、例えば、表層(A):20〜40%、接着層(B):5〜20%、ガスバリア層(C):5〜40%、接着層(D):5〜20%、表層(E):20〜40%であることが好ましい。
−酸素透過率(OTR)−
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、酸素透過率(OTR)が50ml/m・day・MPa以上200ml/m・day・MPa以下である。酸素透過率が50ml/m・day・MPa以上であれば、ガスバリア性積層フィルムの製膜時の加工性が好ましく、200ml/m・day・MPa以下であれば、酸素バリア性能が好ましく、内容物を十分保護することが出来る。特に限定されないが、酸素透過率が50ml/m・day・MPa以上150ml/m・day・MPa以下であることが好ましく、50ml/m・day・MPa以上100ml/m・day・MPa以下であることがより好ましい。
なお、酸素透過率は、ASTM D−3985に準拠して測定することができ、より具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
−熱収縮率−
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、120℃における熱収縮率が10%以上30%以下であることが好ましく、15%以上25%以下であることがより好ましい。なお、熱収縮率は、MD方向及びTD方向についての熱収縮率を平均した値をいう。熱収縮率が10%以上であれば、ガスバリア性積層フィルムを用いて被包装物を包装した包装体を120℃で20分間のレトルト処理をした際に、ガスバリア性積層フィルムが被包装物にフィットし、長期保存時の被包装物に目減りが生じた際であっても、ガスバリア性積層フィルムの弛み由来のしわの発生を効果的に抑制することができる。また、レトルト処理された際に収縮することで、フィルムフラップ部が包装体側面と接触することが抑制されるので、レトルト処理された際にフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することが抑制される。熱収縮率が30%以下であれば、ガスバリア性積層フィルムをヒートシールする際に過度の収縮が抑制され、シール幅のバラつきによるシール不良が抑制される。ガスバリア性積層フィルムの120℃における熱収縮率は、製造時における延伸倍率、延伸温度及び、延伸中や延伸後の熱処理温度によって制御可能である。具体的には延伸倍率を高めたり、延伸温度や熱処理温度を低めると120℃における熱収縮率が大きくなり、延伸倍率を低めたり、延伸温度や熱処理温度を高めると120℃における熱収縮率が小さくなる傾向にある。
なお、熱収縮率は、後述する実施例で説明する方法により評価することができる。
−動摩擦係数−
また、本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、表層(A)と表層(E)との動摩擦係数が、0.30以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましい。動摩擦係数が、0.30以下であれば、適度なフィルムの滑り性を有し、このガスバリア性積層フィルムを用いて被包装物を包装した包装体を120℃で20分間のレトルト処理をした際に、フィルムフラップ部と包装体側面との密着性が抑制されるので、レトルト処理された際にフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することが抑制される。ガスバリア性積層フィルムの表層(A)と表層(E)との動摩擦係数は、表層(A)と表層(E)の両層、または片方の層に可塑剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑材、無機フィラー、結晶核剤等の各種添加剤を添加することで制御可能である。具体的には、一方または両方の表層への添加剤の添加量を増やせば、動摩擦係数が小さくなる傾向にある。
なお、動摩擦係数は、JIS K7125に準拠して測定することができ、より具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
(ガスバリア性積層フィルムの製造方法)
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、例えば、共押出法で得た積層物を延伸することにより、作製することが好ましい。以下、代表例として、インフレーション法により表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)、表層(E)がこの順で積層してなるガスバリア性積層フィルムを作製する方法につき詳述する。
まず、表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)、表層(E)を構成する各成分をそれぞれの押出機で溶融し、多層サーキュラダイを用いて表層(A)/接着層(B)/ガスバリア層(C)/接着層(D)/表層(E)の層構成となるように共押出しして、水または温水をかけて固化させた後、多層環状押出物(パリソン)を得る。ここでは、パリソンの安定化のために、多層サーキュラダイの下部にパリソン内径と同一かそれよりも数mm小さい径の円筒状の冷却筒を設けることが好ましい。ここで用いる冷却筒は、その表面を、鏡面、梨時、テフロン(登録商標)またはセラミックコート加工したものが好ましい。
次に、上記で得られたパリソンを加熱し、配向を付与するのに適当な温度条件下で空気を圧入し、バブルを形成しながら延伸を行うことにより、ガスバリア性積層フィルムを作製する。120℃における熱収縮率が10%以上かつ30%以下のガスバリア性積層フィルムを得るためには、延伸温度を好ましくは100℃〜130℃、延伸倍率を面積倍率で好ましくは25倍〜45倍に設定することが好ましい。また、延伸中または延伸後に、熱風吹き付け式、熱ロール式、カーボンヒーター等による間接加熱式等のヒートセット処理を、単独でまたは併用して行ってもよい。
(ガスバリア性積層フィルムの用途)
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、酸化劣化又は蒸散しやすい成分を含む食品等の物品の包装に用いることができる。そして、このようなガスバリア性積層フィルムは、酸化変色しやすい食品、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、魚肉等の生肉類、ソーセージ、ハム類等の加工品類、バターやチーズ等の乳製品類の包装材としても好適に利用することができる。
また本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、後述する筒状フィルム成形体に好適に使用できるだけでなく、袋状包装材、ピロー包装材、トレー包装材、トップシール用蓋材、冷凍品包装材、ケーシング包装材等に使用され、真空包装やガス置換包装の包装材にも好適に利用できる。
(筒状フィルム成形体)
図1は、本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体を用いて製造された本発明の一実施形態の筒状包装体を模式的に示す図である。
本実施形態の筒状フィルム成形体は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムを含み、フィルムフラップ部を有することを特徴とする。
より具体的には、本実施形態の筒状フィルム成形体3は、本実施形態のガスバリア性積層フィルム1が筒状に湾曲してなり、当該ガスバリア性積層フィルム1の両端部が互いに重なり合うと共に、一方の端部の表層(A)と該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E))とが接合し、フィルムフラップ部4fを形成している。また、本実施形態の筒状フィルム成形体3は、軸方向の両端部に開口を有しており、その筒内に内容物(被包装物)を包装し得る包装材として使用することができる。
(筒状フィルム成形体の製造方法)
本実施形態の筒状フィルム成形体3は、本実施形態のガスバリア性積層フィルム1を筒状に湾曲させて、一方の端部の表層(A)と該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)とを重ね合わせ、その重ね合わせた部分に熱を印加して、筒状フィルム成形体3を得ることを特徴とする。
例えば、一方の端部の表層(A)上に該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)を封筒貼りに重ね合わせ、その重ね合わせた部分に他方の端部の表層(A)側から熱を印加して熱溶着(ヒートシール)を行うことにより、フィルムフラップ部4fを有する筒状フィルム成形体3を得ることができる。
また、例えば、表層(A)が外周面を構成するように筒状に湾曲させて、一方の端部の表層(E)と該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)とを合掌貼りに重ね合わせて、その重ね合わせた部分に一方の端部の表層(A)側(すなわち、外周面側)から熱を印加してヒートシールを行っても、筒状フィルム成形体3を得ることができる。あるいは、表層(E)が外周面を構成するように筒状に湾曲させて同様に筒状フィルム成形体3を得ることもできる。
上述のようにして得られた筒状フィルム成形体3は、必要に応じて、裏返して用いることもできる。
熱溶着の方法としては、例えば、熱版を接触させてシールする熱板シール方式、熱風を吹き付けてシールする熱風シール方式、超音波シール方式等の公知の手法を採用することができるが、生産性を高める観点から、熱風シール方式が好ましい。熱風シール方式における熱風の温度及び吹き付け圧力は、所望のヒートシールが実行されるべく、ガスバリア性積層フィルム1の厚み、剛性、融点等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが生産性を高める観点から、温度は280〜430℃程度であることが好ましく、吹き付け圧力は0.2〜0.6MPa程度であることが好ましい。
本実施形態の筒状フィルム成形体3のシール強度は、ボイル、レトルト処理中のシール部の剥離を抑制して信頼性を高める観点から、6N以上/15mm幅であることが好ましい。
なお、シール強度は、後述する実施例で説明する方法で測定することができる。
(筒状包装体)
図1は、本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体を用いて製造された本発明の一実施形態の筒状包装体を模式的に示す図である。
本実施形態の筒状包装体4は、上記筒状フィルム成形体3と、筒状フィルム成形体3の内部に充填された被包装物(内容物)とを備え、筒状フィルム成形体3の軸方向の両開口端が封止されている。筒状フィルム成形体3の軸方向の両開口端は、超音波、高周波又は熱等を印加して融着してもよく、封止部材を用いて封止してもよい。封止部材は、特に限定されず、合成樹脂製又は金属製の線材等、公知のものを使用することができる。ここで、筒状包装体4のシール部4sから、包装体の外側にはみ出したフィルムの縁の部分がフィルムフラップ部4fに該当している。
本実施形態の筒状フィルム成形体3、及びこれに内容物(被包装体)を封入した筒状包装体4は、例えば、公知の自動充填包装機(例えば、旭化成株式会社製「ADP(登録商標)」)を用いることにより、容易に得ることができる。以下、好適に使用可能な自動充填包装機100について図面を用いて詳述する。
図2は、本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体の製造に用いる自動充填包装機を模式的に示す図である。
図3は、本発明の一実施形態の筒状フィルム成形体の製造における融着工程を模式的に示す図である。
自動充填包装機100は、フィルム供給手段11、充填手段21、製筒手段31、熱風シール手段41及び封止手段51を備える。本実施形態においては、フィルム供給手段11、製筒手段31及び熱風シール手段41により、帯状のガスバリア性積層フィルム1から筒状体2が形成され、筒状フィルム成形体3が成形される。
フィルム供給手段11は、送りローラ11a、11b、送りローラ12a、12b及び駆動機構(図示せず)を有し、図示しない駆動機構及び送りローラ12a、12bの駆動に応じて、原反ロールから帯状のガスバリア性積層フィルム1を連続的に供給する。ガスバリア性積層フィルム1の供給速度は、通常、10〜60m/min程度であり、使用するガスバリア性積層フィルム1の種類、厚さ、剛性、融点や、充填される被包装物の素材や粘度などに応じて適宜設定される。
充填手段21は、中空円筒状の充填ノズル22を有し、その上端に、被包装物を充填ノズル22内に供給するフィードポンプ23が接続されている。充填手段21は、フィードポンプ23の駆動に応じて、被包装物を充填ノズル22内へ供給する。
製筒手段31は、所定形状の金属片を略螺線状に巻いて形成された製筒フォルダ32を有する。製筒フォルダ32は、その内周径が充填ノズル22の外周径よりも大きく形成され、充填ノズル22と略同心円上に配置されている。そのため、充填ノズル22の外周壁と製筒フォルダ32の内周壁とは、所定距離、離間して配置された状態となっている。そして、原反ロールから供給される帯状のガスバリア性積層フィルム1は、製筒フォルダ32の上面開口から下面開口へと導かれ、製筒フォルダ32内を通過する際に、その螺線構造に追従して筒状に湾曲され、その両端縁1a、1bが重ね合わされた筒状体2となって(図3参照)、製筒フォルダ32の下面開口から図2の下方へと移送される。
熱風シール手段41は、熱風印加ノズル42と、図示しない加圧調整機構及び温度調整機構とを有し、製筒フォルダ32の下方において、充填ノズル22の外周壁から所定距離、離間した位置に配置されている。熱風印加ノズル42のノズル開口42aから、製筒フォルダ32を通過した筒状体2の重ね合わせ部2a(ガスバリア性積層フィルム1の両端縁1a、1bが重ね合わされた部分)に熱風が吹き付けられ、重ね合わせ部2aが融着することにより熱風シールが実施される。なお、熱風の吹き付け圧力は、上述した図示しない加圧調整機構に設置された圧力センサにて計測され、その加圧調整機構により増減調整される。また、熱風の温度は、上述した図示しない温度調整機構に設置された温度センサにて計測され、その温度調整機構により増減調整される。
熱風印加ノズル42は、シール性を向上させる観点から、筒状体2の重ね合わせ部2aに対して(重ね合わせ部2aの断面における接線の接点に対して)、垂直方向から熱風を吹き付ける位置、換言すれば、筒状体2の断面における重ね合わせ部2aの接線に対して略垂直方向から熱風を吹き付け可能な位置に配置されていることが好ましい。
重ね合わせ部2aが熱風シールされることにより、略円筒状の筒状フィルム成形体3が成形される。この筒状フィルム成形体3内には、上述した充填ノズル22から被包装物が充填され、かくして被包装物が充填された筒状フィルム成形体3は、送りローラ12a、12bに挟持されて図2の下方へと移送される。
封止手段51は、絞りローラ52a、52b及び封止機構53を有する。封止手段51は、被包装物が充填された筒状フィルム成形体3を絞りローラ52a、52bにて所定の間隔で外部から押圧し、その押圧部分の被包装物を押しのけた後、封止機構53にてその押圧された領域のガスバリア性積層フィルム1を集束して封止する。すなわち、封止手段51は、筒状フィルム成形体3の上底と下底に相当する両開口端を封止する。封止機構53における封止処理は、ガスバリア性積層フィルム1の集束部に超音波、高周波又は熱を印加して融着させる手法、ガスバリア性積層フィルム1の集束部に合成樹脂製又は金属製の線材等をかしめて結紮する手法、及びこれらを併用する手法など、公知の手法が採用される。
上記の封止処理により、筒状フィルム成形体3の両端部が封止され、これにより、筒状包装体4が製造される。なお、両端部が封止された筒状包装体4を、封止処理と同時にまたは後続する切断工程において、個々の筒状包装体4へと分割してもよい。また、筒状フィルム成形体3の両端部を封止した後に加熱減菌処理(ボイル、レトルト処理)して、筒状包装体4を得てもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
各種性能の測定方法及び評価方法を以下に記す。
<(1)融解ピーク温度 Tm(℃)及び融解熱量ΔH(J/g)>
Perkin Elmer社製 Pyris Diamond DSCを用いて、ガスバリア性積層フィルムの表層の融解ピーク温度及び融解熱量の測定を行った。ガスバリア性積層フィルムの表層(表層(A)、表層(E)のみを剥離させ、測定試料とした。まず、試料を10℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で1分間保持した。次に、試料を10℃/分で0℃まで降温し、0℃で1分間保持した。さらに、試料を再度10℃/分で昇温した時の、結晶融解カーブのピーク値に対応する温度を融解ピーク温度(Tm)とし、結晶融解カーブの積分値を融解熱量(ΔH)とした。
<(2)酸素透過率 OTR(ml/m・day・MPa)>
MOCON社製OX−TRAN 2/21を用いて、測定法はASTM D−3985に準拠して、酸素透過率を測定した。ガスバリア性積層フィルムを装置にセットして6時間後の値を採用した。測定は23℃、65%RHの条件下で行った。酸素透過度が小さいほど酸素バリア性が高い。
<(3)120℃における熱収縮率(%)>
ガスバリア性積層フィルムの表面に各辺が縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)に平行になるように1辺の長さが50mmの正方形の枠線をつける。その枠線の外側20mmを切り出して試験片とする。その試験片の両面に、タルクをまぶす。タルクをまぶすことで、試験片に熱がかかり、収縮した時にも、フィルムの表面同士が接触して、収縮が阻害されることを抑制することができる。その後、その試験片を、120℃に設定した空気循環乾燥機に入れ、10分間保持した後、取り出す。取り出した試験片の正方形の枠線の各辺の長さを計測する。測定した各辺に対して、
{(収縮前の辺の長さ)−(収縮後の辺の長さ)}/(収縮前の辺の長さ)×100を算出し、それらの平均値をその試験片の120℃における熱収縮率(%)とする。上記の測定をn=2で行い、それぞれの試験片の熱収縮率の平均値をガスバリア性積層フィルムの120℃における熱収縮率(%)として用いた。
<(4)動摩擦係数>
ガスバリア性積層フィルムの23℃における動摩擦係数をJIS K7125に従って、測定した。この動摩擦係数の測定においては、ガスバリア性積層フィルムの表層同士(A層とE層)の縦方向(MD方向)について測定し、n=5の平均値を動摩擦係数として用いた。
<(5)高速シール性>
以下に、自動充填包装機の各種設定条件を示す。
フィルム速度:41m/分
ショット数:180本/分
ノズル開口42a:長さ55mm、幅0.3mm
熱風温度:280℃〜430℃(ノズル内部)
熱風圧力:0.43MPa(ノズル内部)
充填を行う際に、安定したシールを行うことができるシール温度(熱風温度)のレンジについて、以下の基準に従って評価した。
〇:シール温度レンジが15℃以上
△:シール温度レンジが5℃以上15℃未満
×:シール温度レンジが5℃未満
ここで、安定したシールとは、以下のシール強度の基準とシール不良の基準とを共に満たすシールのことを言う。
(シール強度)
筒状フィルム成形体20本から、幅15mm、長さ60mmの短冊状の試験片を作製する。そして、テンシロン万能試験機(商品名:RTC−1210、オリエンテック社製)を用い、得られた試験片の長手方向の両端部をフィルムチャック部に固定し、チャック間距離10mm、180°剥離、引張速度500mm/minの条件下で、シール強度を測定する。シール強度は、試験片20本の平均とし、平均が6N/15mm幅以上であれば、当該成形体にシール強度の基準を満たすシールがなされたものとする。
(シール不良)
筒状フィルム成形体20本のシール部を目視し、シール部に飛び(シール部が熱溶着していない所)やシール部にピンホール(溶融過多によるシール部の穴あき)が1ヶ所も存在しなければ、当該成形体にシール不良の基準を満たすシールがなされたものとする。
<(6)フィルムフラップ部のレトルト溶着性>
20本の筒状包装体について、加熱缶内ゲージ圧が0.25MPaの条件下で120℃、20分のレトルト処理を行い、レトルト処理後の筒状包装体のフィルムフラップ部が筒状包装体側面に一部でも溶着しているものの本数を数えて、以下の基準に従って評価した。
〇:フィルムフラップ部と筒状包装体側面の溶着が発生している本数が0本
△:フィルムフラップ部と筒状包装体側面の溶着が発生している本数が1本または2本
×:フィルムフラップ部と筒状包装体側面の溶着が発生している本数が3本以上
実施例及び比較例において使用した樹脂及び添加剤の略号と商品名等を表1に記す。
Figure 2018024208
[実施例1]
まず、表2に示す樹脂組成及び添加剤にて環状5層ダイを用いて溶融共押出した後、15℃の冷水で固化させて、総厚み1100μmのチューブ状の無延伸原反を作製した。次いで、この無延伸原反を延伸温度120℃で、インフレーション法により縦方向(MD方向)に5.0倍、横方向(TD方向)に6.0倍とした30倍の延伸倍率で二軸延伸した後、90℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み40μmの多層フィルムを得た。そして、得られた多層フィルムを巻き取った後、巻ほどきながら幅100mmに裁断した。さらに、多層フィルムを再度巻き取ることで、実施例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
次に、熱風シール方式の自動充填包装機(旭化成株式会社製「ADP(登録商標)」)を用いて、実施例1の多層フィルムを表層(A)が外周面を構成するように製筒フォルダを介して筒状に湾曲させ、一方の端部の表層(A)上に該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)を重ね合わせた。次に、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱風を吹きつけて、封筒貼りにヒートシールすることにより、折幅40mmの筒状フィルム成形体を作製した。引き続き、筒状フィルム成形体に充填ノズルから魚肉ソーセージ原料すり身を充填し、その後両端をアルミワイヤーにて結紮密封することにより、長さ200mmの筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。また、自動充填包装機の各種設定は上に記載した通りである。
[実施例2]
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、延伸温度を125℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例3]
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、延伸温度を115℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例3のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例4]
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を25倍(MD/TD=5.0倍/5.0倍)とし、延伸温度を120℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを50μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例4のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例5]
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を40倍(MD/TD=6.0倍/6.7倍)とし、延伸温度を120℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを30μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例5のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例6]
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、実施例1と同様に処理して、実施例6のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例7]
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、120℃における熱収縮率を下げるために、延伸温度を130℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例7のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例8]
表2に示す樹脂組成、添加剤にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、120℃における熱収縮率を上げるために、延伸温度を110℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例8のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例9]
表3に示す樹脂組成にて、実施例1と同様に処理して、実施例9のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
[実施例10]
表3に示す樹脂組成にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、120℃における熱収縮率を下げるために、延伸温度を130℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例10のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
[実施例11]
表3に示す樹脂組成にて、延伸倍率を30倍(MD/TD=5.0倍/6.0倍)とし、120℃における熱収縮率を上げるために、延伸温度を110℃とし、熱処理温度を90℃とし、最終厚みを40μmとすること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例11のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
[比較例1〜4]
表3に示す樹脂組成、添加剤にて、実施例1と同様に処理して、比較例1、2、3、4のガスバリア性積層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
Figure 2018024208
Figure 2018024208
表2及び表3から分かるように、本発明のガスバリア性積層フィルムは、高速のシール溶着にも対応でき、レトルト処理時にも包装体のフィルムフラップ部の包装体側面への溶着が抑制できた。
本発明のガスバリア性積層フィルム、並びに、これを用いた筒状フィルム成形体及び筒状包装体は、ヒートシール時の高速のシール溶着にも対応でき、レトルト処理時にも包装体のフィルムフラップ部が包装体側面に溶着することがないため開封性が高く、ならびに、長期保存性および見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させることができるので、食品その他各種包装用途において広く且つ有効に利用可能であり、レトルト処理等の高温加圧殺菌処理が必要とされる用途において、殊に有効に利用可能である。
1…ガスバリア性積層フィルム、1a、1b…両端縁、2…筒状体、2a…重ね合わせ部、3…筒状フィルム成形体、4…筒状包装体、4s…筒状包装体のシール部、4f…筒状包装体のフィルムフラップ部、11…フィルム供給手段、11a、11b…送りローラ、12a、12b…送りローラ、21…充填手段、22…充填ノズル、23…フィードポンプ、31…製筒手段、32…製筒フォルダ、41…熱風シール手段、42…熱風印加ノズル、42a…ノズル開口、51…封止手段、52a、52b…絞りローラ、53…封止機構、100…自動充填包装機

Claims (7)

  1. 少なくとも表層(A)及び表層(E)を両最外層として有するフィルムであって、該表層(A)及び該表層(E)は、DSCによる融解ピーク温度が125℃以上150℃以下であり、かつ融解熱量が40J/g以上65J/g以下であるプロピレン系重合体を含み、
    酸素透過率(OTR)が50ml/m・day・MPa以上200ml/m・day・MPa以下である
    ことを特徴とする、ガスバリア性積層フィルム。
  2. 120℃における熱収縮率が10%以上30%以下である、請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 前記表層(A)と前記表層(E)との動摩擦係数が0.30以下である、請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. さらにガスバリア層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルムを含み、フィルムフラップ部を有することを特徴とする、筒状フィルム成形体。
  6. 両開口端が封止されている請求項5に記載の筒状フィルム成形体を含むことを特徴とする、筒状包装体。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルムを筒状に湾曲させ、一方の端部の表層(A)と該一方の端部と向かい合う他方の端部の表層(E)とを重ね合わせ、その重ね合わせた部分に熱を印加して、筒状フィルム成形体を得ることを特徴とする、筒状フィルム成形体の製造方法。
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