JP2018043277A - 鋼板の上面冷却装置及び上面冷却方法 - Google Patents

鋼板の上面冷却装置及び上面冷却方法 Download PDF

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Abstract

【課題】遮蔽板の移動距離を短く抑えつつ微小ノズルを短ピッチで配置する場合にも対応することができ、鋼板のエッジ部における過冷却を防止して材質のばらつきが少ない高品質の鋼板を確保することのできる鋼板の上面冷却装置及び冷却方法を提供すること。【解決手段】搬送中の鋼板の上面を冷却する鋼板の上面冷却装置であって、鋼板幅方向に配列され、鋼板の上面に冷却水を噴射するノズルと、前記ノズルの下方に配置され、冷却水を下方に通過させうる開口部を備えた遮蔽板と、前記遮蔽板を鋼板長手方向に沿って変位させる駆動機構と、を有し、前記開口部は、その鋼板長手方向における寸法が、鋼板幅方向の端部に向かうにつれて小さくなっている鋼板の上面冷却装置。【選択図】図6

Description

本発明は、広範な種類の板幅を有する鋼板を対象とする場合であっても、鋼板の上面を幅方向に均一に冷却することができる鋼板の上面冷却装置及び上面冷却方法に関する。
鋼板、例えば熱延鋼板は、図1に示すような設備において製造される。具体的には、スラブを加熱炉で加熱し、デスケーリング装置によって一次スケールを除去し、熱間圧延機(粗圧延機及び仕上圧延機)によってスラブを圧延した後、ランアウトテーブル上の冷却設備において水冷または空冷による鋼板の制御冷却が行われている。ランアウトテーブル上で行われる冷却は、鋼板の析出物や変態組織を制御して、目的の強度や延びなどの材質を得るために行われている。しかし、冷却後の鋼板幅方向(単に「幅方向」とも称する。)に沿った温度分布が不均一になると、幅方向で強度や延びなどの材質にばらつきが生じ、局所的に所定の材質を得ることができないことがある。
熱延鋼板は、上面は円管状のノズル(ラミナーノズル)を使用し、下面はスプレーノズルを使用して冷却されることが多く、一般的に上面のラミナーノズルによる冷却が原因で幅方向に不均一な温度分布が生じるといわれている。
熱延鋼板の上面冷却装置におけるラミナーノズルの配置の一例を図2に示す。図2は、搬送方向に正対して見た正面図である。ラミナーノズル(図では単に「ノズル」とする。)
を用いて鋼板上面の冷却を行う際は、図2に示すように鋼板長手方向(紙面の手前・奥方向、単に「長手方向」とも称する。)と直角をなす幅方向に沿って設けた冷却ヘッダーに、幅方向に沿って複数のノズルを取り付け、各ノズルから一斉に冷却水を噴射する。
しかし、鋼板の上面に到達した冷却水は、幅方向中央部から幅方向端部(エッジ部)へ向かう水流を形成するので、エッジ部に向かうほど通過水量が増加する。よって、鋼板のエッジ部の近傍は幅方向の中央部に比べて冷却されやすく、鋼板の中央部が高温となり両エッジ部が低温となってしまう。
このような鋼板のエッジ部の過冷却を防止する技術を開示した文献として、特許文献1が挙げられる。特許文献1に開示された技術について図3を用いて説明する。特許文献1には、温度降下の大きい鋼板のエッジ部の上方に遮蔽板を配置し、幅方向に複数設置されたノズルのうちエッジ部の上方に配置されたノズルから噴射される冷却水を遮断することで、エッジ部の過冷却を防止することが開示されている。また、特許文献1の技術では、鋼板の板幅の大きさに基づいて、遮蔽板を鋼板幅方向に移動させている。尚、このような手法は、特許文献1以外にも複数開示されている。
特許文献2には、個々のノズルに対して冷却水の流下・遮蔽を制御することのできる冷却装置が記載されている。具体的には、フラッパとこれを揺動させる揺動装置(例えば、空気圧シリンダ)を用いている。冷却水を遮蔽する際、フラッパはノズルの直下にあり、ノズルからの水流はこれに遮蔽されてガターに流入した後、系外に排出される。このように、鋼板のエッジ部に冷却水を噴射するノズルを遮断することによって、鋼板のエッジ部の過冷却を防止する技術が知られている。
特開昭61−86022号 特許3305550号
上述したように、特許文献1の方法は、温度が下がりやすいエッジ部の上方に遮蔽板を移動させて、エッジ部の上方のノズルから噴射される冷却水を遮蔽することで、エッジ部の過冷却を防止するものである。この方法では、鋼板の板幅に応じて遮蔽板を幅方向に移動させる必要がある。遮蔽板を移動させる駆動機構としては、ワイヤー、スクリュー、エアシリンダ等が用いられる。例えば、一般的な熱延鋼板は最小板幅が600mm、最大板幅が2400mm程度であり、板幅差は1800mmとなる。この場合には、両エッジ部の遮蔽板について、それぞれ最大で900mmずつという長い距離を移動させる必要がある。厚鋼板のように板幅が5000mmを超える鋼板を製造するラインの場合には、遮蔽板の移動距離がさらに長くなる。例えば、最小板幅が1500〜2000mmであり、最大板幅が4000〜5500mmである厚鋼板の場合には、板幅差が2000〜4000mm程度となるので、遮蔽板の移動距離も片側1000〜2000mmずつと、さらに大きくなる。
遮蔽板の移動距離が大きくなると、設備の設置・維持等にかかる設備コストが大きくなったり、駆動機構の動作が不安定となったりするといった問題がある。例えば、エアシリンダを用いた駆動機構の場合は、一ストロークの長さを長くすることが必要であることから駆動機構の設置スペースが非常に大きくなり、設置やメンテナンス等にかかる設備コストが過大となる他、動作の安定性も良好ではなくなる。また、ワイヤーやスクリュー等を用いた駆動機構では、冷却水が鋼板の上面に衝突した際に発生する蒸気などによって駆動機構が被水してしまい、錆などを起因とした故障が発生するという問題もある。この場合、移動距離が大きい分それだけ大型の駆動機構が必要となり、故障した駆動機構の点検・交換等にかかる設備コストもその分大きくなる。また、移動距離が大きいと、錆等に起因した僅かな不具合により頻繁に動作が不安定となってしまう。その他、遮蔽板の移動距離が大きくなると、移動距離を微調整することが難しく、特定のノズルの開放−遮断(ON/OFF)を厳密に制御することが難しいという問題もある。
特許文献2の方法は、個々のノズルに対してフラッパとフラッパを揺動させる揺動装置とを設けることが必要であり、設備コストが大きくなるという問題がある。例えば、図5のように、ラミナーノズルのピッチが100mmの装置を用いて、板幅が600〜2400mm(板幅差:1800mm)である一般的な熱延鋼板の上面を冷却する場合、左右それぞれ10個ずつ(合計20個)のノズルについて個別にON/OFFを制御する必要があり、個々のノズルに対応したフラッパと揺動装置とを設置する必要があるので、設備コストが大きくなる。さらに、フラッパや揺動装置自体が嵩張ることから、個々のノズルに対応するフラッパと揺動装置とを設けることが物理的に困難となることもある。このような問題は、特に微小のノズルを短いピッチで配置する場合に顕著となる。具体的に、ノズルのピッチが50mm、ノズルの内径が16mm、外径が22mmである従来設備の場合には、フラッパや揺動装置の大きさを鑑みると、個々のノズルに対応するフラッパ及び揺動装置を幅方向に並べて設置するスペースを確保することは困難である。
本発明は、上記の問題を解決し、遮蔽板の移動距離を短く抑えつつ微小ノズルを短ピッチで配置する場合にも対応することができ、鋼板のエッジ部における過冷却を防止して材質のばらつきが少ない高品質の鋼板を確保することのできる鋼板の上面冷却装置及び上面冷却方法を提供することを課題とする。
本発明の手段は、下記の通りである。
[1]搬送中の鋼板の上面を冷却する鋼板の上面冷却装置であって、鋼板幅方向に配列され、鋼板の上面に冷却水を噴射するノズルと、前記ノズルの下方に配置され、冷却水を下方に通過させうる開口部を備えた遮蔽板と、前記遮蔽板を鋼板長手方向に沿って変位させる駆動機構と、を有し、前記開口部は、その鋼板長手方向における寸法が、鋼板幅方向の端部に向かうにつれて小さくなっている鋼板の上面冷却装置。
[2]前記遮蔽板には、前記開口部の縁辺のうち、少なくとも遮蔽板の前進方向側の縁辺に堰板が設けられる[1]に記載の鋼板の上面冷却装置。
[3]前記遮蔽板は、鋼板幅方向の両端部に向かって下向きに傾斜し、前記遮蔽板の傾斜角度は、1°以上30°以下である[1]又は[2]に記載の鋼板の上面冷却装置。
[4]前記駆動機構は、前記遮蔽板の鋼板幅方向における端面よりも外側に設置される[1]から[3]までのいずれか一つに記載の鋼板の上面冷却装置。
[5]前記ノズルは、鋼板長手方向に沿って複数列設けられ、前記遮蔽板は、各ノズル列に対応する開口部列を、鋼板長手方向に沿って複数列備える[1]から[4]までのいずれか一つに記載の鋼板の上面冷却装置。
[6][1]から[5]までのいずれか一つに記載の鋼板の上面冷却装置を用いて行う鋼板の上面冷却方法であって、鋼板の板幅に応じて、遮蔽板の鋼板長手方向における位置を変位させる鋼板の上面冷却方法。
[7]前記遮蔽板の開口部は、鋼板長手方向における一端部の位置が揃えられ、他端部の位置が違えて配置され、鋼板の板幅が大きくなる場合には、前記遮蔽板を他端部側へ前進させ、鋼板の板幅が小さくなる場合には、前記遮蔽板を一端部側へ後退させる[6]に記載の鋼板の上面冷却方法。
[8]前記駆動機構は、所定の距離を一ストロークとして、ストローク単位で非連続的に遮蔽板を変位させることができ、一ストローク分遮蔽板を変位させることにより、鋼板幅方向におけるノズル列の遮蔽パターンを1水準変化させることができ、鋼板の板幅に応じて、少なくとも遮蔽パターンを3水準以上変化させることが可能な[6]又は[7]に記載の鋼板の上面冷却方法。
本発明では、鋼板の長手方向に沿って遮蔽板を変位させることが可能であるから、板幅差の大きい鋼板を冷却対象とする場合であっても、鋼板の板幅に応じた遮蔽板の移動距離が小さくてすむ。よって、設備コストを抑えることができ、遮蔽板の変位動作を安定化させることができ、かつ個々のノズルのON/OFFを厳密に制御することができる。
また、本発明では、微小ノズルを短ピッチで配置する場合であっても、ノズルのON/OFFを制御するための設備の設置スペースを抑えることができる。
本発明では、上記の効果を有しつつ、材質のばらつきが少ない高品質の鋼板をより確実に製造することが可能となる。
図1は、熱間圧延ラインを示す模式図である。 図2は、鋼板の上面冷却装置を長手方向に正対して見た正面図である。 図3は、特許文献1に開示された鋼板の上面冷却装置を長手方向に正対して見た正面図である。 図4は、鋼板の上面冷却装置の側面図である。 図5は、鋼板の上面冷却装置におけるノズルの配置の一例を示す模式図である。 図6は、本発明で用いられる遮蔽板の一例を示す平面図である。 図7は、本発明で用いられる遮蔽板の他の一例を示す平面図である。 図8は、本発明で用いられる遮蔽板の他の一例を示す平面図である。 図9は、本発明で用いられる遮蔽板の一例と駆動機構とを示す平面図である。 図10は、本発明で用いられる遮蔽板の一例について、遮蔽板を長手方向に沿って変位させた場合の平面図である。 図11は、本発明で用いられる遮蔽板の一例であり、長手方向に複数の開口部列を備える例を示す平面図である。 図12は、異なる開口部列によって、異なる板幅の鋼板が冷却可能である遮蔽板の一例を示す平面図である。 図13は、堰板を備えた遮蔽板の一例を示す斜視図である。 図14は、傾斜した遮蔽板を有する鋼板の上面冷却装置を長手方向に正対して見た正面図である。
まず、図6を用いて本発明で用いられる遮蔽板の一例について説明する。本発明で用いる遮蔽板は、ノズルと鋼板との間に設けられる板状の部材である。図6は、遮蔽板と、遮蔽板の上部に設けられ、鋼板幅方向に配列されたノズルの位置とを示す平面図である。遮蔽板の鋼板幅方向における長さは、一列分のノズル全てをカバーできるように、左端のノズルと右端のノズルとの間の距離よりも大きいことが好ましい。遮蔽板は、その表面と裏面とを貫通する開口部を有する。ノズルから噴射された冷却水は、開口部を通って下降し、鋼板の上面へと到る。尚、幅方向に配列された一列分のノズルをノズル列と称することがある。
開口部は、鋼板長手方向における寸法が、鋼板幅方向の端部に向かうにつれて小さくなるように形成される。例えば図6の例では、開口部は、平面が矩形状であり、鋼板幅方向に複数個設けられる。それぞれの開口部においては、鋼板長手方向の寸法(長さ)が幅方向に沿って同じである。また、複数の開口部を比較すると、幅方向の端部側に位置する開口部ほど、鋼板長手方向の寸法が小さくなっている。このように、開口部は、その少なくとも一部においては(図6の例では各開口部においては)、長手方向における寸法が、幅方向に沿って略同等であってもよい。
開口部の形状は、図6のように平面視で矩形状のものに制限されるわけではない。例えば、図7の例では、幅方向の中央部の開口部以外は、矩形の四隅がR状に面取りされた形状となっている。また、図8の例で開口部の形状は、幅方向の中央部から端部に向けて、矩形、五角形、台形、三角形となっている。
図6〜8の例では開口部は複数個設けられているが、一列分の全てのノズルに対応した開口部を1つだけ設ける態様(例えば図6〜8の各開口部が幅方向に連通した態様)であってもよい。但し、遮蔽板の強度を確保する観点からは、複数個の開口部に分けて設ける方が好ましい。例えば、図8では、遮蔽板の強度を確保するために、各開口部の間に狭長な補強部材を介在させている。
また図6〜8では、各開口部は、長手方向の一端部の位置(図の例では下側の端部)を揃え、他端部(図の例では上側の端部)の位置を違えるように配置されている。他端部の位置は、幅方向の中央部ほど遮蔽板の鋼板長手方向における他端部側(図の例では上側)に位置し、幅方向の端部ほど遮蔽板の鋼板長手方向における一端部側(図の例では下側)に位置する。詳細については後述するが、このように開口部を配置することで、遮蔽板を後退させる(図の例で下方向に変位させる)と幅方向の端部側のノズルから順に遮断され、遮蔽板を前進させる(図の例で上方向に変位させる)と幅方向の中央部側のノズルから順に開放されることになる。よって、幅方向に配置されたノズルのON/OFFの制御が容易となる。尚、各開口部の一端部の位置は厳密に同じでなくてもよく、僅かにずれていてもよい。
次に、図9を用いて、遮蔽板を変位させる駆動機構について説明する。
遮蔽板は、駆動機構によって鋼板長手方向に沿って変位する。遮蔽板は、前進及び後退のいずれにも変位することができる。尚、遮蔽板の前進方向及び後退方向のいずれかが、鋼板の搬送方向と一致する。駆動機構としては、電動駆動式、空圧駆動式、油圧駆動式、ワイヤー駆動式等の装置を採用することができる。
駆動機構は、遮蔽板の鋼板幅方向における端面(図9では矩形状の遮蔽板の左右の面)よりも外側に設置することが好ましい。これにより、鋼板の上面で反射した蒸気等が駆動機構に被水することを防ぎ、駆動機構の錆等による劣化を防止することができ、駆動機構の動作をより安定させることができる。駆動機構は、1枚の遮蔽板に対して幅方向の片側に1個取り付けてもよいし、図9のように幅方向の両側に1個ずつ合計2個取り付けてもよい。
駆動機構は、所定の距離を一ストロークとして、ストローク単位で非連続的に遮蔽板を移動させることもできるし、連続的に遮蔽板の移動距離を調節することもできる。以下では、図10を用いてストローク単位で遮蔽板を移動させる態様について説明する。尚、図10では駆動機構の図示を省略している。
図10では、(a)を初期状態とし、(b)〜(d)に向けて徐々に遮蔽板を後退方向へと変位させている。具体的には、遮蔽板を図の下方向に向かって変位させることで、ノズルの位置が相対的に上方向へと変位している。図10の(a)では、一列のノズル全てが開口部の上方に位置しており、全てのノズルの冷却水が鋼板の上面に向けて噴射可能な状態(ON状態)となっている。図10の(b)では、遮蔽板を一ストローク分(L)だけ後退させた状態である。これにより、幅方向の両端にある一対のノズルからの冷却水が板部によって遮蔽された状態(OFF状態)となり、ノズル列の遮蔽パターンが1水準変化している。尚、遮蔽パターンとは、ノズル列におけるON状態のノズルとOFF状態のノズルとの組み合わせのパターンをいう。
次いで、図10(c)では(b)からさらに一ストローク分(L)だけ遮蔽板を後退させている。これに伴い、(b)ではON状態にあった幅方向の最端部から2つ目のノズルが、(c)ではOFF状態となる。図10(d)は、遮蔽板を七ストローク分(7L)変位させた状態であり、中央の六個のノズル以外は全て遮蔽状態となっている。図10では省略しているが、(c)の状態と(d)の状態との間では、遮蔽板が一ストロークずつ後退する(合計の変位量:3L〜6L)ことによって、幅方向の端部側の左右のノズルが1対ずつOFF状態となっていく。
比較的板幅の広い鋼材を冷却する際には、図10(a)のようになるべく多くのノズルがON状態となっているようにする。一方で、板幅の狭い鋼材を冷却する際には、板幅に応じて図10(b)〜(d)のように幅方向端部側のノズルをOFF状態としていき、板幅に応じた幅分のノズルがON状態となるように調節する。尚、一例としては、鋼板の幅方向における端面から、幅方向の中央部側に向かって100mm以内に位置するノズルがOFF状態となるように、遮蔽板の変位を調節することが好ましい。
上述のように、遮蔽板を一ストローク分変位させることによって、ノズル列の遮蔽パターンを変化させるためには、一ストローク分の遮蔽板の変位量(L)を、隣接する開口部の長手方向における長さの差と略一致させることが好ましい。
ここで、遮蔽パターンを1水準ずらす場合に必要な最小ストローク(Lの最小値)は、円管状のラミナーノズルの場合はノズルの内径と等しくなる。尚、この場合、幅方向の最端部に位置する開口部の長手方向における寸法もノズルの内径と略等しくし、隣り合う開口部の長手方向における寸法の差もノズルの内径と略等しくすればよい。例えば、ノズルの内径が16mm、幅方向のノズルのピッチが100mmであり、図5に示す配置のノズル列により板幅600〜2400mmの鋼板の上面を冷却する場合について考える。尚、一列のノズル数は合計で25本であり、中央に位置する5本のノズルは一つの開口部によりON−OFFを一括して制御される。それ以外のノズルについては、左右対称の位置にあるノズルが同様の形状・大きさの開口部によってON−OFF制御を受ける。また、開口部は、図6と同様に、幅方向の中央部の開口部から幅方向の端部の開口部に向かって、長手方向の寸法がLずつ短くする。この場合、遮蔽板を長手方向に沿って一ストロークずつ後退させることによって、幅方向の左右にある10組のノズルは、幅方向端部から順番に1組ずつON状態からOFF状態となる。これら10組のノズルのON状態−OFF状態によって、合計11水準の遮蔽パターンが形成される。尚、最小板幅に対応する中央の5本のノズルは、常にON状態とする。尚、ノズルの噴射流量やノズル先端と遮蔽板との距離等に応じて、一ストローク分の変位量を適宜調節することもできる。
上述したように11水準の遮蔽パターンを形成するために必要なストローク数は10であり、遮蔽板の変位量の最大値は10×内径(16mm)により160mmと計算される。本発明における遮蔽板の変位量は、特許文献1等に開示されているような遮蔽板を幅方向に変位させる従来技術に比べて非常に短くてすむ。よって、設置スペースも少なくて済み、遮蔽板を安定的に動作させることができ、また各ノズルのON−OFFを確実に制御することができる。
また、本発明では、短ピッチ(例えば50mm)で幅方向にノズルが設置される場合であっても、遮蔽板を幅方向に移動させる必要がないので、短ストロークでノズル個々のON/OFF制御が可能となる。
以上のように、本発明では、広範な種類の板幅を有する鋼板を対象とする場合でも、短い遮蔽板の移動距離で、個々のノズルのON−OFF制御が可能となる。よって、広範な種類の板幅を有する鋼板についても、材質のばらつきの少ない高品質な製品の製造が可能となる。
また、前述した遮蔽パターンは少なくとも3水準以上設けることが好ましい。これにより、複数の板幅に対応する遮蔽パターンを準備することができる。尚、広範囲の板幅に対応するためには、4水準以上の遮蔽パターンを準備することがより好ましい。
また、一つの遮蔽板によって、複数のノズル列のON−OFF制御を行うこともできる。図11の例では、上下2列のノズル列のON−OFF制御を、一枚の遮蔽板によって可能としている。この場合、1枚の遮蔽板を1個又は2個の遮蔽機構で動かすことができるので、設備スペースをさらにコンパクトにすることができ、設備コストをより抑えることができる。
図11の例では、上方に示される1列目のノズル列と、下方に示される2列目のノズル列とについて、同じ種類の開口部列によって制御を行っている。具体的には、それぞれの開口部列は、同じ大きさ及び形状の開口部が、同様の配置構成にて幅方向に配列されてなる。このような場合、一枚の遮蔽板を変位させることで、1列目のノズル列と2列目のノズル列とについて同じ遮蔽パターンで制御することができる。
一方で、1列目のノズル列と2列目のノズル列とを、それぞれ異なる種類の開口部列によって、異なる遮蔽パターンにて制御することもできる。この場合には、1列目の開口部列を構成する開口部の形状、大きさ、又は配置構成等と、2列目の開口部列を構成する開口部の形状、大きさ、又は配置構成とを違えていればよい。
また、1列目と2列目の開口部列の種類を違えることによって、1列目のノズル列と2列目のノズル列とで異なる板幅の鋼板を冷却対象とすることもできる。これにより、より広範囲の板幅を備えた鋼板に対して幅方向の均一冷却が可能となる。例えば、ノズル列が長手方向に合計10列配置されている装置において、板幅が600mm〜4200mmの範囲の鋼板の上面冷却に対応する必要がある場合、板幅600〜2400mmに対応可能な開口部のパターン(パターンA)を5列分、板幅2400〜4200mmに対応可能な開口部のパターン(パターンB)を5列分配置することで、600〜4200mmという広範囲の板幅に対して鋼板幅方向を均一に冷却できる。
図12に、開口部のパターンA及びパターンBの一例を示す。尚、図12ではノズルの数を一部省略して図示する。パターンAでは、幅方向の中央部に板幅600mm分のノズルに対応する平面矩形状の開口部を有する。また、板幅600mmより外側かつ2400mmより内側には、端部に向かうにつれて長手方向寸法が小さくなるように複数の開口部が設けられる。
一方で、パターンBでは、幅方向の中央部に板幅2400mm分のノズルに対応する平面矩形状の開口部を有し、その外側には7200mmの幅まで、端部に向かうにつれて長手方向寸法が小さくなるように複数の開口部が設けられる。
600mm〜2400mmの板幅の鋼板を冷却する際には、パターンAにおいて適当なノズルをON状態、適当なノズルをOFF状態として鋼板の上面を冷却する。一方で、パターンBの上方におけるノズルは全てOFF状態とする。一方で、2400〜7200mmの板幅の鋼板を冷却する際には、パターンAの開口部上方に位置するノズルを全てON状態(又はOFF状態)とし、パターンBの開口部上方に位置するノズルのうち適当なノズルをON状態、適当なノズルをOFF状態にして鋼板の上面を冷却すればよい。
次に、板部材に単に開口部を設けただけの遮蔽板では、遮蔽板により遮蔽された冷却水が遮蔽板の上面に滞留し、滞留した冷却水が開口部より落下してしまうことで、鋼板の冷却が不均一となることがある。よって、遮蔽板の上面に滞留する冷却水が下方に落下しないように、前記遮蔽板の開口部の縁辺部分に堰板を設置することが好ましい。これにより、滞留した冷却水の落下による冷却能力の乱高下を防止することができ、鋼板を幅方向に沿ってさらに均一に冷却することができる。
堰板は、開口部の縁辺のうち、少なくとも遮蔽板の前進方向側の縁辺に設けられることが好ましい。尚、遮蔽板の前進方向とは、遮蔽板がその方向へ変位することによって幅方向端部側から順にノズルがON状態となる方向をいう。これにより、遮蔽板を後退方向へと変位させる(ノズルを相対的に前進方向へと変位させる)ことで、ノズルの一部がOFF状態となった場合でも、遮蔽板の上面に滞留した冷却水が開口部から落下することが防止される。尚、堰板は、ノズルが設置されている側(上側)に延在していればよい。
具体例について、図13を用いて説明する。図13では、遮蔽板は駆動機構(図示せず)により図の右側に向かって後退し、それに伴い幅方向の端部側のノズルから順にOFF状態となる。図の左側(前進方向側)の開口部の縁辺には堰板が設けられる。遮蔽板が図面の右側(後退方向側)に向かって移動し、ノズルの一部が遮断された場合にも、遮断されたノズルから噴射された冷却水は堰板によってせき止められ、開口部へ落下することはなく、遮蔽板の幅方向へ排水される。図13の例では、堰板を遮蔽板の前進方向側の縁辺のみに設けたが、開口部の全周や遮蔽物の進行方向前後(前進方向側と後退方向側)の縁辺に設置しても構わない。遮蔽した冷却水を完全にせき止めるために、堰板の高さは好ましくは20mm以上、さらに好ましくは40mm以上とするのが良い。また、堰板の高さが大きすぎると、鋼板のパスラインから遮蔽板までの距離が短くなりすぎて、鋼板との衝突が懸念されるので、堰板の高さは300mm以下とするのが良い。
前記遮蔽板の上面における冷却水の滞留を防止するために、遮蔽板を幅方向端部に向かって下向きに傾斜させ、冷却水を幅方向の外側へ排水することが有効である。図14に具体例を示す。遮蔽板の傾斜角度は、遮蔽板の表面と水平面との間でなす角度をいう。冷却水を速やかに排出するためには、傾斜角度を1°以上とすることが好ましい。傾斜角度が1°よりも小さくなると、冷却水の滞留を完全に防止することができず、滞留した冷却水が開口部から落下することで、鋼板の幅方向における冷却がやや不均一となることがある。排水性の観点から、傾斜角度はさらに好ましくは3°以上、特に好ましくは5°以上が良い。尚、傾斜角度が30°より大きいと、鋼板のパスラインから遮蔽物までの距離が短くなりすぎて、鋼板との衝突が懸念されるので、傾斜角度は30°以下とするのが良い。また、排水されるまでの滞留水の移動距離を少なくし、左右で均等に排水を行うという観点からは、図14のように幅方向の中央部を対称として、左右で遮蔽板を同等程度傾斜させることが好ましい。
尚、以上の説明では主に熱延鋼板のランアウト冷却について説明したが、本発明は厚鋼板の制御冷却や、厚鋼板及び熱延鋼板の圧延時における冷却についても同様に適用することが可能である。
(実施例)
以下、本発明の実施例について説明する。
図1で示す熱間圧延ラインを用いて圧延作業を行った。具体的には、250mmの厚みのスラブを加熱炉で再加熱した後、一次スケールをデスケーリング装置によって除去し、粗圧延機によって50mmの厚みまで圧延し、仕上圧延機によって15mmの厚みまで圧延した後、鋼板をランアウトテーブルで冷却し、コイラーで巻き取った。本ラインで製造可能な板幅は最小で600mm、最大で2400mmであった。本実施例では、板幅が600mm、1200mm、2000mmという3種類の鋼板について、ランアウトテーブルで900℃から550℃まで冷却した。
ランアウトテーブルでは、ラミナーノズルを備えた上面冷却装置によって鋼板上面を冷却し、スプレーノズルによって下面を冷却した。上面のラミナーノズル及び下面のスプレーノズルは、最大板幅まで冷却できるように、幅方向の長さで2400mmの範囲で冷却水を噴射できるようになっている。また、冷却前後の鋼板の温度分布は放射温度計によって測定される。
尚、ラミナーノズルの噴射口から鋼板上面までの距離を1500mmとし、ラミナーノズルの内径を16mmとし、ラミナーノズルの幅方向のピッチを100mmとし、ラミナーノズルの1本当りの流量を30L/minとした。
尚、本発明例2及び3では遮蔽板に堰板を設け、本発明例3〜6では遮蔽板を傾斜させた。堰板は、開口部のうち遮蔽板の前進方向側の縁辺のみに設け、遮蔽板の傾斜は図14に示すように幅方向の左右で対称となるようにした。
本発明例として、ラミナーノズルの下方に、図6で示す開口部を備えた遮蔽板と遮蔽板の幅方向両端部に駆動機構とを設置し、鋼板上面の冷却を行った。尚、遮蔽板は、その幅方向中央部に、5本のノズルに対応する表面矩形状の開口部を備え、幅方向端部に向かって左右対称となるように各々1本のノズルに対応する表面矩形状の開口部を備えていた。また、各開口部は一端部の位置を揃え、他端部の位置を20mmずつ違えて設けられていた。よって、幅方向両端側のノズルを1対ずつ遮断するために必要なストローク(L)は20mmであった。
一方、比較例としては、ノズルと鋼板との間に遮蔽板を設けないという条件で同様の実験を行った。
所定の材質を得るためには幅方向の中央部と幅方向の端部との温度偏差ΔTを40℃以内とする必要があり、製造条件のばらつきを考慮すると、好ましくは30℃以内、さらに好ましくは20℃以内であればなお良い。40℃<ΔTでは材質不良が生じるので(×)とし、30℃<ΔT≦40℃では材質と温度均一性は基準を一応は満足するがやや材質にばらつきがあるので(△)とし、20℃<ΔT≦30℃は材質と温度の均一性が共に良好であるので(○)とし、ΔT≦20℃は材質と温度の均一性が極めて良好であるので(◎)と評価した。結果を表1に示す。
本発明例1〜6では、幅方向の端部側ほど長手方向寸法が小さい開口部を持つ遮蔽物をノズル下方に設置しているため、いずれの板幅の鋼板においてもΔTは30℃以内となっており、材質ばらつきの少ない高品質の鋼板を製造することができた。特に本発明例2と3とは、開口部の縁辺部分に堰板を設置しているため、遮蔽した冷却水が開口部から下方に落下することが防止され、ΔTをさらに小さくすることができた。また、本発明例4〜6は遮蔽板を傾斜させており、遮蔽した冷却水の開口部からの落下量を抑え、ΔTをさらに小さくすることができた。
一方、比較例1では、遮蔽板を設置しなかったので、いずれの板幅においても、鋼板の上面に到達した冷却水が形成する幅方向端部への水流によって、鋼板の幅方向端部が過冷却となり、所定の材質を得ることができなかった。

Claims (8)

  1. 搬送中の鋼板の上面を冷却する鋼板の上面冷却装置であって、
    鋼板幅方向に配列され、鋼板の上面に冷却水を噴射するノズルと、
    前記ノズルの下方に配置され、冷却水を下方に通過させうる開口部を備えた遮蔽板と、
    前記遮蔽板を鋼板長手方向に沿って変位させる駆動機構と、を有し、
    前記開口部は、その鋼板長手方向における寸法が、鋼板幅方向の端部に向かうにつれて小さくなっている鋼板の上面冷却装置。
  2. 前記遮蔽板には、前記開口部の縁辺のうち、少なくとも遮蔽板の前進方向側の縁辺に堰板が設けられる請求項1に記載の鋼板の上面冷却装置。
  3. 前記遮蔽板は、鋼板幅方向の両端部に向かって下向きに傾斜し、
    前記遮蔽板の傾斜角度は、1°以上30°以下である請求項1又は2に記載の鋼板の上面冷却装置。
  4. 前記駆動機構は、前記遮蔽板の鋼板幅方向における端面よりも外側に設置される請求項1から3までのいずれか一項に記載の鋼板の上面冷却装置。
  5. 前記ノズルは、鋼板長手方向に沿って複数列設けられ、
    前記遮蔽板は、各ノズル列に対応する開口部列を、鋼板長手方向に沿って複数列備える請求項1から4までのいずれか一項に記載の鋼板の上面冷却装置。
  6. 請求項1から5までのいずれか一項に記載の鋼板の上面冷却装置を用いて行う鋼板の上面冷却方法であって、
    鋼板の板幅に応じて、遮蔽板の鋼板長手方向における位置を変位させる鋼板の上面冷却方法。
  7. 前記遮蔽板の開口部は、鋼板長手方向における一端部の位置が揃えられ、他端部の位置が違えて配置され、
    鋼板の板幅が大きくなる場合には、前記遮蔽板を他端部側へ前進させ、
    鋼板の板幅が小さくなる場合には、前記遮蔽板を一端部側へ後退させる請求項6に記載の鋼板の上面冷却方法。
  8. 前記駆動機構は、所定の距離を一ストロークとして、ストローク単位で非連続的に遮蔽板を変位させることができ、
    一ストローク分遮蔽板を変位させることにより、鋼板幅方向におけるノズル列の遮蔽パターンを1水準変化させることができ、
    鋼板の板幅に応じて、少なくとも遮蔽パターンを3水準以上変化させることが可能な請求項6又は7に記載の鋼板の上面冷却方法。
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