JP2018062902A - フリーピストンエンジン発電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】フリーピストンエンジン発電機を、測定された上死点の位置に基づき制御に因らずに安定的に運転する。
【解決手段】フリーピストンエンジン発電機10は、シリンダ12内で往復運動するピストン16を有する。ピストン16に永久磁石18が、シリンダ12側にコイル20が設けられている。ピストン16が往復運動する可動範囲s内の一部にコイル20に流れる電流を制御する電力制御区間cが設けられている。電力制御区間cの上死点側端点p1を圧縮行程中のピストン16が通過するときの速度が、その後ピストンが上死点に達したときの燃焼室温度が燃焼可能温度となる可燃速度となるように、コイルに流れる電流を制御する。
【選択図】図2
【解決手段】フリーピストンエンジン発電機10は、シリンダ12内で往復運動するピストン16を有する。ピストン16に永久磁石18が、シリンダ12側にコイル20が設けられている。ピストン16が往復運動する可動範囲s内の一部にコイル20に流れる電流を制御する電力制御区間cが設けられている。電力制御区間cの上死点側端点p1を圧縮行程中のピストン16が通過するときの速度が、その後ピストンが上死点に達したときの燃焼室温度が燃焼可能温度となる可燃速度となるように、コイルに流れる電流を制御する。
【選択図】図2
Description
本発明は、フリーピストンエンジン発電機に関し、特にピストン動作の制御に関する。
フリーピストンエンジンにより駆動されるリニア発電機(以下、フリーピストンエンジン発電機と記す。)が知られている。エンジンのピストンに磁石、エンジンブロックにコイルを設けピストンの往復運動によりコイルに電流を発生させて発電が行われる。また、コイルに電力を供給することによりピストンの動作を制御することもできる。
下記特許文献1に記載されたフリーピストンエンジン発電機では、ピストンの可動範囲の中央寄りの一部区間で発電およびピストン駆動が行われる。この区間では、発電電力が制御され、またピストンを駆動するためにコイルに供給される電力が制御される。この区間を「電力制御区間」と記す。電力制御区間の外側、つまりピストン可動範囲の端寄りの区間では、ピストンは磁石とコイルの間に生じる電磁力の影響を受けずに運動する。この区間を「自由運動区間」と記す。自由運動区間のピストンは、ピストン自身の慣性とシリンダ内の気体の反発力によって運動する。ピストンは、可動範囲の端に向けて移動中、シリンダ内の気体を圧縮しつつ減速する。速度が0となった時点で折り返す。燃焼室側の速度が0となった位置を「上死点」、反対側の速度が0となった位置を「下死点」と記す。
下記特許文献1では、上死点の位置が予め定められた目標位置となるように、電力制御区間内のピストンの速度を制御している。具体的には、上死点の位置を検出し、この位置と目標位置の偏差から次のサイクルにおけるピストンの速度を定めるフィードバック制御が行われる。
上死点の位置に基づきフリーピストンエンジン発電機の制御を行う場合、その運転の安定性を高めるためには、ピストンの位置、特に上死点位置の検出精度を高める必要がある。また、ピストンの速度制御の結果、到達する上死点に達する前に着火すると、燃焼ガスによりピストンが押し戻されてしまい、本来の上死点位置が不明となる。このため、上死点位置に基づくフィードバック制御が精度よく行われないという問題があった。
本発明は、取得された上死点の位置に基づく制御によらずに、フリーピストンエンジン発電機の運転の安定性を高めることを目的とする。
本発明のフリーピストンエンジン発電機は、シリンダを確定するエンジンブロックと、シリンダに沿って往復運動するピストンとを有し、エンジンブロックにコイルが備えられ、ピストンに磁石が備えられている。さらに、ピストンがピストンの可動範囲の一部に設定された電力制御区間にあるときに、コイルに流れる電流を制御する制御部とを有する。制御部は、電力制御区間の上死点側端点を圧縮行程中のピストンが通過するときの速度が、その後ピストンが上死点に達したときの燃焼室温度が燃焼可能温度となる可燃速度となるように、コイルに流れる電流を制御する。
ピストンがシリンダ内の気体を圧縮し、燃焼室の温度が、最終的に燃料が燃焼可能な温度となれば、そのときのピストンの位置がどこであっても、フリーピストンエンジン発電機の運転を継続することができる。ピストンがある時点で持っている運動エネルギと、その後のある時点における燃焼室温度(例えば上死点到達時)の関係が分かれば、ピストンの運動エネルギを制御することで燃焼室の温度を制御することができる。例えば、ピストンの運動エネルギと内部エネルギの関係に基づき、燃焼室の温度を制御することができる。ピストンがある時点で持っている運動エネルギと、その後のエネルギ収支が分かれば、その後のある時点(例えば上死点到達時)におけるシリンダ内の気体の内部エネルギを算出することができる。さらに、気体の組成が分かれば内部エネルギからシリンダ内の温度も算出することができる。電力制御区間内ではピストンの速度が制御可能であり、この区間の上死点側端点における速度を制御することにより、その後ピストンが上死点に達したときの燃焼室温度を制御することができる。したがって、燃焼室温度が、燃料が燃焼可能な温度となるように、電力制御区間の上死点側端点におけるピストンの速度を制御することで、フリーピストンエンジン発電機の運転を継続することができる。
制御部は、ピストンの速度をフィードバック制御するものとできる。さらに、制御部は、圧縮行程中のピストンの速度が電力制御区間内において可燃速度となるように、コイルに流れる電流を制御するものとできる。
また、制御部は、膨張行程中のピストンが上死点側端点を通過する速度と可燃速度とに基づき、電力制御区間を往復する間に発電すべき電力を算出し、算出された電力に基づきコイルに流れる電流を制御するものとできる。
また、制御部は、ピストンが上死点に達したときに、燃焼室内の気体が燃焼可能温度となる内部エネルギを有することになる、圧縮行程中の上死点側端点を通過するときのピストンの運動エネルギを求め、この運動エネルギをピストンが有するように可燃速度を定めるものとすることができる。
本発明によれば、電力制御区間の上死点側端点における圧縮行程中のピストンの速度を制御することで、上死点位置を取得せずともフリーピストンエンジン発電機を安定的に運転することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態のフリーピストンエンジン発電機10の概略構成を示す模式図である。フリーピストンエンジン発電機10は、フリーピストンエンジンと発電機が組み合わされて、または一体化されている。この実施形態においてはフリーピストンエンジンは単一掃気流ディーゼルエンジンである。フリーピストンエンジンは、シリンダ12を画定するエンジンブロック14と、シリンダ12内をシリンダ12の軸線に沿って往復運動するピストン16を含む。ピストン16の外周部には、磁石18が配置されている。また、エンジンブロック14には、シリンダ12を囲むように、コイル20が配置されている。磁石18とコイル20によりリニア発電機が構成される。さらに、フリーピストンエンジン発電機10は、コイル20に流れる電流を三相インバータ22を介して制御する制御部24を備える。また、発電された電力を蓄えるバッテリ26を備える。
ピストン16は、直径の小さいピストン小径部28と、直径の大きいピストン大径部30を有する。シリンダ12もピストン16に合わせてシリンダ小径部32とシリンダ大径部34を有する。ピストン小径部28とシリンダ小径部32が燃焼室36を画定し、ピストン大径部30とシリンダ大径部34が空気ばね室38を画定する。
燃焼室36には、その頂部において吸気管42が連通している。さらに、吸気管42の燃焼室36に対する開口である吸気口を開閉するように吸気弁44が設けられている。また、シリンダ小径部32の側壁には、掃気口46が設けられ、掃気口46には排気管48が接続されている。掃気口46は、ピストン16、特にピストン小径部28の側面によって開閉される。吸気管42と排気管48には、EGR(排気再循環)管52が接続されている。EGR管52には、EGR弁54が設けられ、必要に応じて開閉して、EGR量が調節される。空気ばね室38は密閉されており、ピストン16の往復運動に伴い、空気ばね室38内の空気が圧縮され、また膨張する。
磁石18は、ピストン大径部30の外周部に配置され、シリンダの軸線方向に沿って、極性が交互になるように配置される。エンジンブロック14には、シリンダ大径部34を囲むように、また磁石18に対向するようにコイル20が配置されている。コイル20は、V相、U相、W相のコイルが順に繰り返してシリンダの軸線方向に沿って配列されている。コイル20に流れる電流は、三相インバータ22を介して制御部24により制御される。ピストン16が往復運動することによりコイル20に誘起された三相交流電力は、三相インバータ22にて直流電力に変換されバッテリ26に充電される。また、発電された電力は、他の負荷に供給されてもよい。
エンジンブロック14には、ピストン16の位置を検出するための位置センサ56が設けられている。ピストン16には、位置センサ56に対向するようスケール57が設けられている。スケール57との相対位置に基づき位置センサ56は、ピストン16の位置に応じた信号を出力する。
制御部24は、ピストン16が上死点に達したときの燃焼室36内の温度が、着火温度となるようにピストン16の速度を制御する。制御部24の動作については、後に詳述するが、ここでは簡単に説明する。着火温度は、燃料の性状によって定まる値である。圧縮仕事算出部58は、ピストン16が上死点に達したときの燃焼室温度がこの着火温度となるために、燃焼室内の気体に対しピストン16がなすべき仕事Wを算出する。可燃速度算出部60は、この仕事Wに見合う運動エネルギをピストン16が有するためのピストンの速度を算出する。この速度であれば、ピストン16が上死点に達したとき燃料を燃焼させることができる。この速度を「可燃速度」と記し、その符号をvbとする。速度指令算出部62は、可燃速度vbに基づき速度指令v*を算出する。一方、速度算出部64は、位置センサ56の出力信号に基づき、実際のピストン速度vを算出する。推力指令算出部66は、ピストンの速度指令v*と実際の速度vの差分から推力指令τ*を算出する。さらに、電圧指令算出部68が推力指令τ*と、位置センサ56により検出されたピストン16の位置とに基づき三相の電圧指令V*を算出する。この電圧指令V*に基づき、三相インバータ22によって三相のコイル20の電流が制御され、この結果ピストン速度が制御される。このように、このフリーピストンエンジン発電機10は、ピストンの速度をフィードバック制御している。
フリーピストンエンジン発電機10の動作、特にエンジンの動作について説明する。ピストン16が上死点にあるとき燃料が燃焼し、燃焼ガスがピストン16を押し、ピストン16が移動する。このピストン16の移動により空気ばね室38内の気体が圧縮される。ピストン16が下死点近傍に達すると、掃気口46が開放され、また吸気弁44が開く。掃気口46が開放されることにより、燃焼ガスが排気として排出される。吸気弁44が開くことにより、予圧された新気がシリンダ小径部32内に供給される。ピストン16が下死点に達すると、空気ばね室38内の圧縮された気体の圧力でピストン16は折り返し、上死点に向かい、シリンダ小径部32内の気体を圧縮する。一方、ピストン16が下死点近傍にあるとき吸気弁44が閉じられる。ピストン16が上死点近傍に達すると、燃焼室36内に燃料を噴射し、燃料が燃焼する。このサイクルを繰り返して運転が継続する。
図2は、燃焼室36内の気体のエネルギ収支に関する説明図である。ピストン16は、可動範囲s内で往復運動する。フリーピストンエンジンにおいては、各サイクルにおけるピストン16の折り返し位置(上死点、下死点)は必ずしも一致しないが、可動範囲sは最大の範囲を想定している。磁石18とコイル20により構成される発電機で発電される電力および発電機に供給される電力は、ピストン16が電力制御区間c内に位置する時のみに制御される。図2において、可動範囲sおよび電力制御区間cは、ピストン16の燃焼室36に面した端面の位置を用いて示されている。あるサイクルにおいて、上死点にあるピストン16が一点鎖線で示されている。このピストンの位置、つまり上死点を符号p0で表す。可動範囲sの端付近では、ピストン16の速度が遅くなるため、コイル20に流れる電流によるピストンの動きの制御は効率が悪く、発電効率も悪い。このため、可動範囲sの全区間での制御は行わない。電力制御区間cは、可動範囲sの両端部を除いて、中央寄りに設けられ、この発電制御区間c内にピストン16が位置するときに、電力制御が行われる。電力制御区間cの上死点側の端点を、以降「上死点側端点」と記し、符号p1を付す。
圧縮行程中のピストン16は、電力制御区間c内では速度が制御され、上死点側端点p1を通過した後は、制御を受けずに運動する。電力制御区間cの外側に設けられた自由運動区間では、ピストン16は、コイル20と磁石18の間の相互作用をを受けないという意味において自由に運動する。上死点側端点p1を通過した後、ピストン16の運動エネルギKは、燃焼室36内の気体の内部エネルギU等に変換され、全運動エネルギが消費されたときピストン16は停止(上死点)する。このとき燃焼室36内の気体の内部エネルギUが最大となり、気体の温度も最高となる。
ピストン16が上死点p0となったときの内部エネルギU0は、式(1)で表される。
U0=U1+ΔU1,0
=U1+K1+(UG1−UG0)−Ef1,0−Ew1,0 ・・・(1)
ここで、UGは、空気ばね室38内の気体の内部エネルギ、ΔU1,0は、上死点側端点p1から上死点p0までの間の内部エネルギUの増分、Ef1,0は、上死点側端点p1から上死点p0までの摩擦による損失エネルギ、Ew1,0は、上死点側端点p1から上死点p0までの冷却による損失エネルギである。また、上死点p0における各パラメータに添え字「0」、上死点側端点p1における各パラメータに添え字「1」を付す。
U0=U1+ΔU1,0
=U1+K1+(UG1−UG0)−Ef1,0−Ew1,0 ・・・(1)
ここで、UGは、空気ばね室38内の気体の内部エネルギ、ΔU1,0は、上死点側端点p1から上死点p0までの間の内部エネルギUの増分、Ef1,0は、上死点側端点p1から上死点p0までの摩擦による損失エネルギ、Ew1,0は、上死点側端点p1から上死点p0までの冷却による損失エネルギである。また、上死点p0における各パラメータに添え字「0」、上死点側端点p1における各パラメータに添え字「1」を付す。
式(1)において、ピストン16の運動エネルギK1(=(1/2)mv1 2)は、予めピストン16の質量mを求めておけば、ピストンの速度v1から算出することができる。ピストンの速度v1は、例えば、位置センサ56により測定されたピストン16の位置を微分することによって求めることができる。
空気ばね室38内の気体の内部エネルギUGは、温度をTg、モル数をng、気体定数をRgとすれば、式(2)で表せる。
UG=(3/2)・ng・Rg・Tg ・・・(2)
空気ばね室38内の気体が空気であれば、組成が分かっているので、成分ごとのモル数、気体定数が分かり、温度Tgを検出すれば内部エネルギUG1,UG0を算出することができる。
UG=(3/2)・ng・Rg・Tg ・・・(2)
空気ばね室38内の気体が空気であれば、組成が分かっているので、成分ごとのモル数、気体定数が分かり、温度Tgを検出すれば内部エネルギUG1,UG0を算出することができる。
また、気体の状態方程式(PV=nRT)を式(2)に適用すれば、式(3)が得られる。
UG=(3/2)・Pg・Vg ・・・(3)
ここで、Pgは空気ばね室38内の圧力、Vgは空気ばね室38の体積である。空気ばね室38内の圧力Pgは、圧力センサを設けることにより取得することができる。また、空気ばね室38の体積Vgは、位置センサ56により測定されたピストン16の位置から算出すことができる。したがって、空気ばね室38内の圧力Pgと空気ばね室38の体積Vgからも内部エネルギUG1,UG0を算出することができる。
UG=(3/2)・Pg・Vg ・・・(3)
ここで、Pgは空気ばね室38内の圧力、Vgは空気ばね室38の体積である。空気ばね室38内の圧力Pgは、圧力センサを設けることにより取得することができる。また、空気ばね室38の体積Vgは、位置センサ56により測定されたピストン16の位置から算出すことができる。したがって、空気ばね室38内の圧力Pgと空気ばね室38の体積Vgからも内部エネルギUG1,UG0を算出することができる。
摩擦による損失エネルギEf1,0は、およそ潤滑油温および冷却水温の関数となり、実験的に求めておく。潤滑油温と冷却水温を変数とした関数として表し、この関数を記憶しておき、取得した潤滑油温および冷却水温を関数に代入して損失エネルギEf1,0を算出することができる。また、潤滑油温と冷却水温の組を損失エネルギEf1,0と対応付け、対応表として記憶し、取得した潤滑油温および冷却水温を対応表に適用して損失エネルギEf1,0を算出することができる。摩擦による損失エネルギEf1,0が、燃焼室36内の圧力にも影響される場合は、潤滑油温、冷却水温に加え燃焼室内圧力も変数として関数または対応表を作成し、これに基づき損失エネルギEf1,0を算出するようにできる。
冷却による損失エネルギEw1,0も、およそ潤滑油温および冷却水温の関数であり、実験的に求めておく。潤滑油温と冷却水温を変数とした関数として表し、これを記憶しておき、取得した潤滑油温および冷却水温を関数に代入して損失エネルギEw1,0を算出することができる。また、潤滑油温と冷却水温の組を損失エネルギEw1,0と対応付け、対応表として記憶し、取得した潤滑油温および冷却水温を対応表に適用して損失エネルギEw1,0を算出することができる。
上死点側端点p1における燃焼室36内の気体の内部エネルギU1は、燃焼室36内のガス量、組成、温度T1から算出できる。ガス量および組成は、式(4)から算出することができる。
(ガス量)=(新気量)+(外部EGR量)+(内部EGR量) ・・・(4)
(ガス量)=(新気量)+(外部EGR量)+(内部EGR量) ・・・(4)
新気量は、EGR管52との合流点より上流の吸気管42にエアフローメータを設け、新気の質量流量を測定して、1回の吸気行程において吸入された新気の質量を求めることができる。空気の組成は既知であるので、成分(窒素、酸素)ごとの質量およびモル数を求めることができる。また、吸気管42内の流速、温度、圧力から新気の質量を求めることもでき、同様に成分ごとの質量およびモル数を求めることができる。
外部EGR量は、EGR管52との合流点より下流の吸気管42の質量流量から、新気の質量流量を減算することにより求めることができる。EGR管52との合流点より下流の質量流量は、この部分に圧力センサを設け、検出された圧力と、ピストン16の移動量から求めた体積流量から求めることができる。また、排気の組成は、燃料の種類および供給量から求めることができる。これらにより、外部EGRされた気体の成分ごとの質量およびモル数を求めることができる。
内部EGRは、掃気行程において、排気されずに残留した燃焼済みガスによるEGRである。内部EGR量は、排気管48と吸気管42の圧力差と、ピストン16が膨張側の折り返し位置(下死点)にあるときのシリンダ小径部32内の体積に基づき算出できる。排気の組成は、燃料の種類および供給量から求めることができる。これらにより、内部EGRされた気体の成分ごとの質量およびモル数を求めることができる。
以上のように、新気量、外部EGR量、および内部EGR量を求めることができ、燃焼室36内のガス量、組成を求めることができる。
温度T1は、燃焼室36内に温度センサを設け、取得することができる。温度T1は、また、例えば燃焼室36に圧力センサを設け、測定された圧力を気体の状態方程式(PV=nRT)に適用して求めることができる。圧力Pは測定され、体積Vはピストン16が上死点側端点p1あるときの燃焼室36の体積であるから既知の値である。前述のようにガスの量、組成が分かっているので、成分ごとのモル数n、気体定数Rが分かり、温度T1を算出することができる。
上死点側端点p1における燃焼室36内の気体の内部エネルギU1は式(5)で求めることができる。
U1=(3/2)naRaT1+(3/2)nbRbT1+(3/2)ncRcT1+・・・
・・・(5)
ここで、na、nb、nc・・・は各成分のモル数、Ra、Rb、Rc・・・は各成分の気体定数である。
U1=(3/2)naRaT1+(3/2)nbRbT1+(3/2)ncRcT1+・・・
・・・(5)
ここで、na、nb、nc・・・は各成分のモル数、Ra、Rb、Rc・・・は各成分の気体定数である。
以上から、式(1)の右辺の各項を求めることができ、よって、左辺である上死点p0における燃焼室36内の気体の内部エネルギU0を求めることができる。そのときの温度T0は、式(6)より求めることができる。
T0=(2/3)[1/(naRa+nbRb+ncRc+・・・]U0 ・・・(6)
T0=(2/3)[1/(naRa+nbRb+ncRc+・・・]U0 ・・・(6)
このように、上死点側端点p1におけるピストン16の運動エネルギK1から上死点p0における燃焼室36内の温度T0を求めることができる。以上の算出と逆の過程により、ピストン16が上死点p0に来たときの燃焼室36内の温度T0がある温度となるような上死点側端点p1におけるピストンの速度v1を算出することができる。
制御部24の動作について再度説明する。制御部24の圧縮仕事算出部58は、使用している燃料の性状に基づき予め記憶されている着火温度Tbを取得する。さらに、ピストン16が上死点p0に達したとき燃焼室36内が温度T0が着火温度Tbとなるための上死点側端点p1から上死点p0までにピストン16がなすべき仕事W1,0を算出する。ピストン16は上死点p0において速度v=0であるから、上記の仕事W1,0をなすためには、ピストン16は上死点側端点p1において、仕事W1,0に等しい運動エネルギKb(以下、可燃運動エネルギと記す。)を有していればよい。式(1)を変形して式(1)’を得る。
W1,0=Kb=U0−{U1+(UG1−UG0)−Ef1,0−Ew1,0} ・・・(1)’
W1,0=Kb=U0−{U1+(UG1−UG0)−Ef1,0−Ew1,0} ・・・(1)’
可燃速度算出部60は、上死点側端点p1においてピストン16が可燃運動エネルギKbを有するようそのときの速度vb(=√(2Kb/m)を算出する。速度指令算出部62は、上死点側端点p1において速度vbとなる速度指令v*を出力する。例えば、圧縮行程中の電力制御区間cの全域で速度vbになるように制御することができる。速度指令v*から速度算出部64で算出された現実の速度vが減算され、これに基づき推力指令算出部66で推力指令τ*が算出される。さらに、電圧指令算出部68は、推力指令τ*とピストン16の位置に基づき電圧指令V*を算出し、電圧指令V*に基づき三相インバータ22が動作し、三相交流電力がコイル20に供給される。
以上のように、ピストン16の速度をフィードバック制御して電圧制御区間cの上死点側端点p1におけるピストンの速度v1を可燃速度vbとする。これにより、その後ピストン16が上死点p0に達したとき、燃焼室36内の温度が着火温度Tbとなり、燃料の燃焼が開始される。上死点p0の位置を測定せずともフリーピストンエンジン発電機10の運転を継続することができる。
図3は、本発明に係る他の実施形態のフリーピストンエンジン発電機70の概略構成を示す模式図である。フリーピストンエンジン発電機10と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。フリーピストンエンジン発電機10との相違は、制御部72の構成である。
フリーピストンエンジン発電機70においては、膨張行程および圧縮行程でピストン16が電力制御区間cを通過する際の発電量を制御して、圧縮行程において上死点側端点p1をピストン16が通過する速度v1を可燃速度vbとしている。圧縮仕事算出部58で算出された仕事W1,0は、圧縮行程中のピストン16が上死点側端点p1を通過するときに持っているべき運動エネルギKbである。膨張行程中のピストンが上死点側端点p1を通過するときに持っている運動エネルギK2を、ピストン16が下死点から戻ってきたときに運動エネルギKbまで減少させることで、次のサイクルにおいても燃料が燃焼する。このフリーピストンエンジン発電機70においては、発電量を制御することにより、圧縮行程中の上死点側端点p1におけるピストン16の運動エネルギを可燃運動エネルギKbとしている。
発電量算出部74は、ピストン16が上死点側端点p1と下死点の間で往復する間の発電すべき発電量GEを式(7)に基づき算出する。
GE=K2−Kb−Ef2,1−Ew2,1 ・・・(7)
Ef2,1はピストンが上死点側端点p1と下死点の間で往復する間の摩擦による損失エネルギ、Ew2,1はピストンが上死点側端点p1と下死点の間で往復する間の冷却による損失エネルギである。Ef2,1およびEw2,1は、前述のEf1,0、Ew1,0と同様、潤滑油温および冷却水温の関数として予め求めておき、この関数を用いて算出することができる。また、前述のEf1,0、Ew1,0と同様に対応表を用いて求めるようにすることもできる。
GE=K2−Kb−Ef2,1−Ew2,1 ・・・(7)
Ef2,1はピストンが上死点側端点p1と下死点の間で往復する間の摩擦による損失エネルギ、Ew2,1はピストンが上死点側端点p1と下死点の間で往復する間の冷却による損失エネルギである。Ef2,1およびEw2,1は、前述のEf1,0、Ew1,0と同様、潤滑油温および冷却水温の関数として予め求めておき、この関数を用いて算出することができる。また、前述のEf1,0、Ew1,0と同様に対応表を用いて求めるようにすることもできる。
推力指令算出部66は、この発電量GEに基づき推力指令τ*を算出する。推力τは、例えば、電力制御区間c内で一定値となるようにすることができる。この場合、電力制御区間cの長さをLcとすれば、推力τは、式(8)で算出される。
τ=GE/(2Lc) ・・・(8)
さらに電圧指令算出部68が推力指令τ*とピストンの位置に基づき電圧指令V*を算出し、三相インバータ22が電圧指令V*に従い、三相交流電力をコイル20に供給する。
τ=GE/(2Lc) ・・・(8)
さらに電圧指令算出部68が推力指令τ*とピストンの位置に基づき電圧指令V*を算出し、三相インバータ22が電圧指令V*に従い、三相交流電力をコイル20に供給する。
フリーピストンエンジンは、ディーゼル機関(圧縮着火機関)に限らず、他の熱機関とすることができ、例えばオットー機関(火花点火機関)とすることができる。オットー機関の場合、自己着火はしないので、点火した際に燃料が燃焼可能な温度となるようにピストンの速度が制御される。
10 フリーピストンエンジン発電機、12 シリンダ、14 エンジンブロック、16 ピストン、18 磁石、20 コイル、22 三相インバータ、24 制御部、26 バッテリ、28 ピストン小径部、30 ピストン大径部、32 シリンダ小径部、34 シリンダ大径部、36 燃焼室、38 空気ばね室、42 吸気管、44 吸気弁、46 掃気口、48 排気管、52 EGR管、54 EGR弁、56 位置センサ、57 スケール、58 圧縮仕事算出部、60 可燃速度算出部、62 速度指令算出部、64 速度算出部、66 推力指令算出部、68 電圧指令算出部、70 フリーピストンエンジン発電機、72 制御部、74 発電量算出部、s 可動範囲、c 電力制御区間、p0 上死点、p1 上死点側端点、v ピストンの速度、vb 可燃速度、m ピストンの質量、U 燃焼室内の気体の内部エネルギ、UG 空気ばね室内の気体の内部エネルギ、K ピストンの運動エネルギ、Ef 摩擦による損失エネルギ、Ew 冷却による損失エネルギ、T 燃焼室内温度、Tb 着火温度。
Claims (6)
- コイルを備え、シリンダを画定するエンジンブロックと、
磁石を備え、シリンダに沿って往復運動するピストンと、
ピストンがピストンの可動範囲の一部に設定された電力制御区間にあるときに、コイルに流れる電流を制御する制御部と、
を有し、
制御部は、電力制御区間の上死点側端点を圧縮行程中のピストンが通過するときの速度が、その後ピストンが上死点に達したときの燃焼室温度が燃焼可能温度となる可燃速度となるように、コイルに流れる電流を制御する、
フリーピストンエンジン発電機。 - 請求項1に記載されたフリーピストンエンジン発電機であって、制御部は、ピストンの速度をフィードバック制御する、フリーピストンエンジン発電機。
- 請求項2に記載されたフリーピストンエンジン発電機であって、制御部は、圧縮行程中のピストンの速度が電力制御区間内において可燃速度となるように、コイルに流れる電流を制御する、フリーピストンエンジン発電機。
- 請求項1に記載されたフリーピストンエンジン発電機であって、制御部は、膨張行程中のピストンが上死点側端点を通過する速度と可燃速度とに基づき、電力制御区間を往復する間に発電すべき電力を算出し、算出された電力に基づきコイルに流れる電流を制御する、フリーピストンエンジン発電機。
- 請求項1に記載されたフリーピストンエンジン発電機であって、制御部は、膨張行程中と圧縮行程中のピストンが上死点側端点を通過する速度に基づき、電力制御区間を往復する間のピストンに対する制動力を算出し、算出された制動力に基づきコイルに流れる電流を制御する、フリーピストンエンジン発電機。
- 請求項1〜5に記載されたフリーピストンエンジン発電機であって、制御部は、ピストンが上死点に達したときに、燃焼室内の気体が燃焼可能温度となる内部エネルギを有することになる、圧縮行程中の上死点側端点を通過するときのピストンの運動エネルギを求め、この運動エネルギをピストンが有するように可燃速度を定める、フリーピストンエンジン発電機。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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