JP2018071748A - 車両用変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドグクラッチを備えた車両用変速機において、変速中に発生するショックによるドラビリ悪化を抑制できる車両用変速機を提供する。【解決手段】変速機構17の出力軸22と駆動輪14との間に第2クラッチ23が設けられているため、第2クラッチ23の伝達トルクを制御することで、駆動輪14側に伝達されるトルクを調整することができる。例えば、変速機構17の変速中において第2クラッチ23の伝達トルクを低減することで、変速機構17の変速中に発生するショックの駆動輪14への伝達を低減できる。結果として、駆動輪を介して運転者に伝達されるショックが低減されるため、変速中のドラビリ悪化が抑制される。【選択図】図7
Description
本発明は、ドグクラッチを備えた車両用変速機に関する。
動力伝達経路を断接する少なくとも1つのドグクラッチを備え、複数のギヤ段に変速可能な車両用変速機が知られている。特許文献1に記載の自動変速機がそれである。特許文献1の自動変速機は、常時噛合式のトランスミッションで構成され、ギヤ段毎に備えられるドグクラッチが、変速されるギヤ段に応じて適宜断接されることで、複数のギヤ段に変速可能に構成されている。
ところで、特許文献1の自動変速機にあっては、シンクロ機構を有さないため、ドグクラッチによって接続される回転要素間に回転速度差が生じていると、そのドグクラッチの噛合歯が噛み合ったときにショックが発生し、そのショックが駆動輪を介して運転者に伝わることでドラビリが悪化する可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ドグクラッチを備えた車両用変速機において、変速中に発生するショックによるドラビリ悪化を抑制できる車両用変速機を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)複数のギヤ段に変速可能に構成され、各ギヤ段を成立させるドグクラッチを少なくとも1つ備えて構成される車両用変速機において、(b)変速前のギヤ段を成立させる前記ドグクラッチが係合した状態で変速後のギヤ段を成立させる前記ドグクラッチが係合された後、前記変速前のギヤ段を成立させる前記ドグクラッチの係合が解放されて変速する変速機構と、(c)前記変速機構の出力軸と駆動輪との間に設けられるクラッチとを、備えることを特徴とする。
第1発明の車両用変速機によれば、変速機構の出力軸と駆動輪との間にクラッチが設けられているため、クラッチの伝達トルクを制御することで、駆動輪側に伝達されるトルクを調整することができる。例えば、変速機構の変速中においてクラッチの伝達トルクを低減することで、変速機構の変速中に発生するショックの駆動輪への伝達を低減できる。結果として、駆動輪を介して運転者に伝達されるショックが低減されるため、変速中のドラビリ悪化が抑制される。
また、好適には、第1発明の車両用変速機において、前記変速機構の変速に際して、前記変速後のギヤ段を成立させる前記ドグクラッチの係合前に前記クラッチの伝達トルクを低減し、前記変速後のギヤ段を成立させる前記ドグクラッチの係合後に前記クラッチの伝達トルクをトルク低減前の状態に復帰させる制御部を備えることを特徴とする。このようにすれば、変速機構の変速の際には、ドグクラッチの係合前にクラッチの伝達トルクが低減されるため、変速機構の変速中に発生するショックの駆動輪への伝達が低減される。また、ドグクラッチの係合後は、クラッチの伝達トルクがトルク低減前の状態に復帰するため、走行に必要なトルクが駆動輪に伝達される。
また、好適には、第1発明の車両用変速機において、前記クラッチは、前記駆動輪へのトルク伝達を遮断できることを特徴とする。このようにすれば、クラッチを発進クラッチとしても使用することができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両用変速機10(以下、変速機10と称す)の構造を簡略的に示す骨子図である。変速機10は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路上に設けられ、エンジン12から入力される回転を所定の変速比γで減速或いは増速することで複数のギヤ段(変速段)に変速可能な平行2軸式のトランスミッションである。
変速機10は、第1クラッチ16と、変速機構17と、第2クラッチ23とを含んで構成されている。第1クラッチ16は、エンジン12と変速機構16との間の動力伝達経路上に設けられている。また、第2クラッチ23は、変速機構17の出力軸22と駆動輪14との間の動力伝達経路上に設けられている。変速機構17は、第1クラッチ16を介してエンジン12に動力伝達可能に連結されている入力軸18、入力軸18に対して平行に配置されているカウンタ軸20、および差動機構21等を介して駆動輪14に動力伝達可能に連結されている出力軸22の3本の回転軸を備えている。入力軸18および出力軸22は、エンジン12のクランク軸24と同じ軸線C上に配置されている。
第1クラッチ16は、図示しない電磁ソレノイドを介して伝達トルクを制御可能に構成されており、電磁ソレノイドの電流指令値を制御することにより、第1クラッチ16の伝達トルクを、ゼロから予め設定されている規定値の間で適宜調整することができる。すなわち、第1クラッチ16を、トルク非伝達状態(クラッチ遮断状態)から完全係合状態の間で適宜調整することができる。なお、第1クラッチ16の伝達トルクの規定値は、第1クラッチ16に予め設定されている最大トルクが伝達されてもクラッチ滑りが生じない十分に大きな値に設定されている。
第2クラッチ23についても同様に、図示しない電磁ソレノイドを介して伝達トルクを制御可能に構成されており、電磁ソレノイドの電流指令値を制御することにより、第2クラッチ23の伝達トルクを、ゼロから予め設定されている規定値の間で適宜調節することができる。すなわち、第2クラッチ23を、トルク非伝達状態(クラッチ遮断状態)から完全係合状態の間で適宜調整することができる。なお、第2クラッチ23の伝達トルクの規定値は、第2クラッチ23に予め設定されている最大トルクが伝達されてもクラッチ滑りが生じない十分に大きな値に設定されている。なお、第2クラッチ23が、本発明のクラッチに対応している。
変速機構17は、軸線C方向でエンジン12から駆動輪14側に向かって順番に、第1ギヤ対26a、第2ギヤ対26b、第3ギヤ対26c、第4ギヤ対26d、第5ギヤ対26e、および第6ギヤ対26fを備えている(以下、第1ギヤ対26a〜第6ギヤ対26fを区別しない場合にはギヤ対26と称す)。
第1ギヤ対26aは、入力ギヤ30aと、その入力ギヤ30aと噛み合うカウンタギヤ32aとから構成されている。入力ギヤ30aは、入力軸18に接続されているとともに、出力軸22に相対回転可能に嵌め付けられており、エンジン12の回転が第1クラッチ16を介して伝達される。カウンタギヤ32aは、カウンタ軸20に対して相対回転不能に設けられている。従って、入力ギヤ30aが回転すると、カウンタギヤ32aに回転が伝達されることでカウンタ軸20が回転させられる。また、入力ギヤ30aには、後述する第1ドグクラッチ28aを構成する噛合歯の一方として機能する噛合歯70aが形成されている。
第2ギヤ対26bは、2速ギヤ30bと、2速ギヤ30bと噛み合う2速カウンタギヤ32bとから構成されている。2速ギヤ30bは、出力軸22の外周面に相対回転可能に嵌め付けられている。2速カウンタギヤ32bは、カウンタ軸20に相対回転不能に設けられている。2速ギヤ30bと出力軸22とは、後述する第1ドグクラッチ28aを介して断接可能に設けられている。第1ドグクラッチ28aによって、2速ギヤ30bと出力軸22とが相対回転不能に接続されると、カウンタ軸20と出力軸22とが第2ギヤ対26bを介して動力伝達可能に接続される。このとき変速機構17において、2速ギヤ段2ndが成立する。また、2速ギヤ30bには、第1クラッチ28aを構成する噛合歯の一方として機能する噛合歯70bが形成されている。
第3ギヤ対26cは、3速ギヤ30cと、3速ギヤ30cと噛み合う3速カウンタギヤ32cとから構成されている。3速ギヤ30cは、出力軸22の外周面に相対回転可能に嵌め付けられている。3速カウンタギヤ32cは、カウンタ軸20に相対回転不能に設けられている。3速ギヤ30cと出力軸22とは、後述する第2ドグクラッチ28bを介して断接可能に設けられている。第2ドグクラッチ28bによって、3速ギヤ30cと出力軸22とが相対回転不能に接続されると、カウンタ軸20と出力軸22とが第3ギヤ対26cを介して動力伝達可能に接続される。このとき、変速機構17において、3速ギヤ段3rdが成立する。また、3速ギヤ30cには、第2ドグクラッチ28bを構成する噛合歯の一方として機能する噛合歯70cが形成されている。
第4ギヤ対26dは、6速ギヤ30dと、6速ギヤ30dと噛み合う6速カウンタギヤ32dとから構成されている。6速ギヤ30dは、出力軸22の外周面に相対回転可能に嵌め付けられている。6速カウンタギヤ32dは、カウンタ軸20に相対回転不能に設けられている。6速ギヤ30dと出力軸22とは、第2ドグクラッチ28bを介して断接可能に設けられている。第2ドグクラッチ28bによって、6速ギヤ30dと出力軸22とが相対回転不能に接続されると、カウンタ軸20と出力軸22とが第4ギヤ対26dを介して動力伝達可能に接続される。このとき、変速機構17において、6速ギヤ段6thが成立する。また、6速ギヤ30dには、第2ドグクラッチ28bを構成する噛合歯の一方として機能する噛合歯70dが形成されている。
第5ギヤ対26eは、4速ギヤ30eと、4速ギヤ30eと噛み合う4速カウンタギヤ32eとから構成されている。4速ギヤ30eは、出力軸22の外周面に相対回転可能に嵌め付けられている。4速カウンタギヤ32eは、カウンタ軸20に相対回転不能に設けられている。4速ギヤ30eと出力軸22とは、後述する第3ドグクラッチ28cを介して断接可能に設けられている。第3ドグクラッチ28cによって、4速ギヤ30eと出力軸22とが相対回転不能に接続されると、カウンタ軸20と出力軸22とが第5ギヤ対26eを介して動力伝達可能に接続される。このとき、変速機構17において、4速ギヤ段4thが成立する。また、4速ギヤ30eには、第3ドグクラッチ28cを構成する噛合歯の一方として機能する噛合歯70eが形成されている。
第6ギヤ対26fは、1速ギヤ30fと、1速ギヤ30fと噛み合う1速カウンタギヤ32fとから構成されている。1速ギヤ30fは、出力軸22の外周面に相対回転可能に嵌め付けられている。1速カウンタギヤ32fは、カウンタ軸20に相対回転不能に設けられている。1速ギヤ30fと出力軸22とは、第3ドグクラッチ28cを介して断接可能に設けられている。第3ドグクラッチ28cによって、1速ギヤ30fと出力軸22とが相対回転不能に接続されると、カウンタ軸20と出力軸22とが第6ギヤ対26fを介して動力伝達可能に接続される。このとき、変速機構17において、1速ギヤ段1stが成立する。また、1速ギヤ30fには、第3ドグクラッチ28cを構成する噛合歯の一方として機能する噛合歯70fが形成されている。
また、変速機構17は、出力軸22上であって、軸線C方向で入力ギヤ30aと2速ギヤ30bとの間に第1ドグクラッチ28aを備え、軸線C方向で3速ギヤ30cと6速ギヤ30dとの間に第2ドグクラッチ28bを備え、軸線C方向で4速ギヤ30eと1速ギヤ30fとの間に第3ドグクラッチ28cを備えている(以下、第1ドグクラッチ28a〜第3ドグクラッチ28cを区別しない場合にはドグクラッチ28と称す)。ドグクラッチ28は、一対の噛合歯を含んで構成され、この一対の噛合歯が互いに噛み合う(係合)ことで接続され、噛合(係合)が解除されることで接続が解除される。
第1ドグクラッチ28aは、軸線C方向で入力ギヤ30aおよび2速ギヤ30bと隣り合う位置に配置され、出力軸22と入力ギヤ30aとの間の動力伝達経路を断接するとともに、出力軸22と2速ギヤ30bとの間の動力伝達経路を断接するクラッチ(断接機構)である。具体的には、第1ドグクラッチ28aは、入力ギヤ30aまたは2速ギヤ30bと出力軸22とが相対回転不能に接続された状態と、入力ギヤ30aおよび2速ギヤ30bと出力軸22との接続が遮断された状態とに、切替可能に構成されている。入力ギヤ30aと出力軸22とが第1ドグクラッチ28aを介して接続された状態に切り替えられると、入力軸18と出力軸22とが直結され、変速比γが1.0の5速ギヤ段5thが成立する。また、2速ギヤ30bと出力軸22とが、第1クラッチ28aを介して接続された状態に切り替えられると、2速ギヤ段2ndが成立する。このように、第1ドグクラッチ28aは、5速ギヤ段5thおよび2速ギヤ段2ndの各ギヤ段を成立させるために備えられている。
第2ドグクラッチ28bは、軸線C方向で3速ギヤ30cおよび6速ギヤ30dと隣り合う位置に配置され、出力軸22と3速ギヤ30cとの間の動力伝達経路を断接するとともに、出力軸22と6速ギヤ30dとの間の動力伝達経路を断接するクラッチ(断接機構)である。具体的には、第2ドグクラッチ28bは、3速ギヤ30cまたは6速ギヤ30dと出力軸22とが相対回転不能に接続された状態と、3速ギヤ30cおよび6速ギヤ30dと出力軸22との接続が遮断された状態とに、切替可能に構成されている。3速ギヤ30cと出力軸22とが第2ドグクラッチ28bを介して接続された状態に切り替えられると、3速ギヤ段3rdが成立し、6速ギヤ30dと出力軸22とが第2ドグクラッチ28bを介して接続された状態に切り替えられると、6速ギヤ段6thが成立する。このように、第2ドグクラッチ28bは、3速ギヤ段3rdおよび6速ギヤ段を成立させるために備えられている。
第3ドグクラッチ28cは、軸線C方向で4速ギヤ30eおよび1速ギヤ30fと隣り合う位置に配置され、出力軸22と4速ギヤ30eとの間の動力伝達経路を断接するとともに、出力軸22と1速ギヤ30fとの間の動力伝達経路を断接するクラッチ(断接機構)である。具体的には、第3ドグクラッチ28cは、4速ギヤ30eまたは1速ギヤ30fと出力軸22とが相対回転不能に接続された状態と、4速ギヤ30eおよび1速ギヤ30fと出力軸22との接続が遮断された状態とに、切替可能に構成されている。4速ギヤ30eと出力軸22とが第3ドグクラッチ28cを介して接続された状態に切り替えられると、4速ギヤ段4thが成立し、1速ギヤ30fと出力軸22とが第3ドグクラッチ28cを介して接続された状態に切り替えられると、1速ギヤ段1stが成立する。このように、第3ドグクラッチ28cは、1速ギヤ段1stおよび4速ギヤ段4thを成立させるために備えられている。上述のように、変速機構17は、各ギヤ段を成立させる第1ドグクラッチ28a〜第3ドグクラッチ28cの断接状態が切り替えられることにより、前進6速の各ギヤ段に変速可能に構成されている。
各ドグクラッチ28a〜28cは、それぞれシフト機構33によって作動させられる。シフト機構33は、電動式のアクチュエータ35と、アクチュエータ35によって回転させられるシフトシャフト40と、シフトシャフト40の回転に伴って軸線C方向に移動可能に構成されている第1シフトフォーク36a〜第3シフトフォーク36cとを、含んで構成されている。
第1シフトフォーク36aは、一端部がシフトシャフト40に形成されているシフト溝42aに嵌合するとともに、他端部が第1ドグクラッチ28aの外周部に形成されている凹溝34(図3参照)と嵌合している。従って、シフトシャフト40が回転すると、第1シフトフォーク36aがシフト溝42aの形状に応じて軸線C方向に移動させられ、第1シフトフォーク36aと嵌合する第1ドグクラッチ28aも同様に軸線C方向に移動させられる。
第2シフトフォーク36bは、一端部がシフトシャフト40に形成されているシフト溝42bと嵌合するとともに、他端部が第2ドグクラッチ28bの外周部に形成されている凹溝と嵌合している。従って、シフトシャフト40が回転すると、第2シフトフォーク36bがシフト溝42bの形状に応じて軸線C方向に移動させられ、第2シフトフォーク36bと嵌合する第2ドグクラッチ28bも同様に軸線C方向に移動させられる。
第3シフトフォーク36cは、一端部がシフトシャフト40に形成されているシフト溝42cと嵌合するとともに、他端部が第3ドグクラッチ28cの外周部に形成されている凹溝と嵌合している。従って、シフトシャフト40が回転すると、第3シフトフォーク36cがシフト溝42cの形状に応じて軸線C方向に移動させられ、第3シフトフォーク36cと嵌合する第3ドグクラッチ28cも同様に軸線C方向に移動させられる。
シフト溝42a〜42cは、それぞれ異なる形状に形成されている。詳細には、シフトシャフト40が一回転方向に回転するに従って、各ドグクラッチ28の軸線C方向の位置が変化することにより、各ドグクラッチ28の断接状態が切り替えられて、1速ギヤ段1st〜6速ギヤ段6thの順番で順次アップシフトさせられるように、各シフト溝42a〜42cの溝の形状が設定されている。言い換えれば、シフトシャフト40が他方向に回転するに従って、各ドグクラッチ28の軸線C方向の位置が変化することにより、各ドグクラッチ28の断接状態が切り替えられて、6速ギヤ段6th〜1速ギヤ段1stの順番で順次ダウンシフトさせられるように、各シフト溝42a〜42cの溝の形状が設定されている。なお、変速過渡期には、各ドグクラッチ28の掴み替えが実行され、変速先のギヤ段を成立させるドグクラッチ28が接続されるとともに、変速前のギヤ段を成立させるドグクラッチ28の接続が遮断される。
また、各ギヤ段毎のシフトシャフト40の回転位置が、予め定められており、所定のギヤ段への変速が判断されると、シフトシャフト40をその所定のギヤ段に応じた回転位置までアクチュエータ35によって回転させることで、ドグクラッチ28の断接状態が切り替えられて、所定のギヤ段に変速させられる。
次に、ドグクラッチ28の構造について説明する。図2は、第1ドグクラッチ28aを分解して示した斜視図である。以下、第1ドグクラッチ28aの構造について説明するが、第2ドグクラッチ28bおよび第3ドグクラッチ28cについては、第1ドグクラッチ28aの構造と変わらないため、その説明を省略する。
第1ドグクラッチ28aは、ハブ48と、円盤状(ディスク状)の第1ドグリング50aと、円盤状(ディスク状)の第2ドグリング52aとから主に構成されている。
ハブ48は、円筒形状を有し、内周部には出力軸22とスプライン嵌合するスプライン歯が形成されている。従って、ハブ48は、出力軸22とスプライン嵌合されることで出力軸22と一体的に回転させられる。また、ハブ48の外周面には、第1ドグリング50aおよび第2ドグリング52aとスプライン嵌合するためのスプライン歯54が形成されている。
第1ドグリング50aは、軸線Cを中心にして円盤状に形成されている。第1ドグリング50aの内周部には、ハブ48のスプライン歯54とスプライン嵌合するためのスプライン歯56が形成されている。また、第2ドグリング52aは、軸線Cを中心にして円盤状に形成されている。第2ドグリング52aの内周部には、ハブ48のスプライン歯54とスプライン嵌合するためのスプライン歯58が形成されている。従って、第1ドグリング50aおよび第2ドグリング52aが出力軸22にスプライン嵌合されることで、第1ドグリング50aおよび第2ドグリング52aは、出力軸22に対して相対回転不能、且つ、出力軸22に対して軸線C方向へ相対移動可能となる。
また、第1ドグリング50aの外周端部であって、軸線C方向で第2ドグリング52aと向かい合う側には、L字状に切り欠かれた切欠60が周方向全体に渡って形成されている。同様に、第2ドグリング52aの外周端部であって、軸線C方向で第1ドグリング50aと向かい合う側には、L字状に切り欠かれた切欠62が周方向全体に渡って形成されている。そして、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが一体的に組み付けられると、互いのL字状の切欠60、62によって、第1シフトフォーク36aの嵌合用の凹溝34(図3参照)が形成される。
第1ドグリング50aの軸線C方向で入力ギヤ30aと向かい合う側の面には、その入力ギヤ30aに向かって突設された複数個(本実施例では6個)の第1噛合歯66aが、周方向で等角度間隔に形成されている。第1噛合歯66aは、第1ドグリング50aが入力ギヤ30a側に向かって軸線C方向に移動した際に、入力ギヤ30aに形成されている複数個の噛合歯70a(図1参照)と噛み合う位置に形成されている。なお、噛合歯70aは、軸線C方向で第1ドグリング50aと向かい合う側面であって、第1噛合歯66aおよび後述する第4噛合歯76aと噛合可能(係合可能)な位置に形成(突設)されている。この噛合歯70aについても、第1ドグクラッチ28aの構成部材として機能する。
第1ドグリング50aの軸線C方向で第2ドグリング52aと向かい合う面には、その第2ドグリング52aに向かって突き出す複数個(本実施例では6個)の第2噛合歯68aが周方向で等角度間隔に形成されている。第2噛合歯68aは、組付後において第2ドグリング52の後述する貫通穴75を貫通し、第2ギヤ30bの噛合歯70bと噛合可能(係合可能)に形成されている。
第1ドグリング50aには、その第1ドグリング50aを軸線C方向に貫通する複数個(本実施例では6個)の貫通穴74が、周方向で等角度間隔に形成されている。貫通穴74は、組付後において第2ドグリング52aの後述する第4噛合歯76aが貫通可能な位置に形成されている。
第2ドグリング52aの軸線C方向で2速ギヤ30bと向かい合う側の面には、その2速ギヤ30bに向かって突設された複数個(本実施例では6個)の第3噛合歯72aが、周方向で等角度間隔に形成されている。第3噛合歯72aは、第2ドグリング52aが2速ギヤ30b側に向かって軸線C方向に移動した際に、2速ギヤ30bに形成されている複数個の噛合歯70bと噛み合う位置に形成されている。なお、噛合歯70bは、軸線C方向で第2ドグリング52aと向かい合う側の面であって、第2噛合歯68aおよび第3噛合歯72aと噛合可能(係合可能)な位置に形成(突設)されている。この噛合歯70bについても、第1ドグクラッチ28aの構成部材として機能する。
第2ドグリング52aの軸線C方向で第1ドグリング50aと向かい合う面には、その第1ドグリング50aに向かって突き出す複数個(本実施例では6個)の第4噛合歯76aが周方向で等角度間隔に形成されている。第4噛合歯76aは、組付後において第1ドグリング50aの貫通穴74を貫通し、入力ギヤ30aの噛合歯70aと噛合可能(係合可能)に形成されている。
第2ドグリング52aには、その第2ドグリング52aを軸線C方向に貫通する複数個(本実施例では6個)の貫通穴75が、周方向で等角度間隔に形成されている。貫通穴75は、組付後において第1ドグリング50aの第2噛合歯68aが貫通する位置に形成されている。
第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとは、周方向の複数箇所(例えば9〜12箇所)が、連結機構80を介して連結される。以下、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとを連結する連結機構80について説明する。
図3は、第1ドグリング50aおよび第2ドグリング52aが連結機構80によって連結された状態であって、後述する連結ピン88の中心線および軸線Cを通る平面で切断した断面図である。図4は、図3において、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが、軸線C方向で互いに離れる方向に相対移動させられたときの状態を示す断面図である。
連結機構80は、第1ドグリング50aに形成される貫通穴82および第2ドグリング52a内に形成される貫通穴83内に設けられている。貫通穴82は、第1ドグリング50aを軸線C方向に貫通する貫通穴であり、周方向で等角度間隔に複数個形成されている。また、貫通穴83は、第2ドグリング52aを軸線C方向に貫通する貫通穴であり、周方向で等角度間隔に複数個形成されている。収容穴82、83は、穴の径が等しく、且つ、第1ドグリング50aおよび第2ドグリング52aを組み付けた状態で軸方向から見たとき、互いに重なる位置に形成されている。
連結機構80は、第1係止部材84、カバー部材86、連結ピン88、円筒部材90、スプリング78、および第2係止部材92とから構成されている。
カバー部材86は、図4に示すように、円筒部86aと円板部86bとから成る有底円筒状の部材である。円筒部86aの外周面が第1ドグリング50aの収容穴82に嵌め入れられている。収容穴82には段付部が形成されており、その段付部に円筒部86aの開口側の端部が当接している。従って、カバー部材86は、前記段付部によって、第1ドグリング50に対して軸線C方向で第2ドグリング52a側への相対移動が阻止されている。カバー部材86の円板部86bには、中心を軸線C方向に貫通する穴が形成されており、この穴に、第1係止部材84が挿し通されている。
第1係止部材84は、図4に示すように、軸部84aと円板部84bとから構成されている。軸部84aには、その中心に軸線Cに平行な軸穴が形成されている。また、軸部84aの軸線C方向で円板部84から遠ざかる側の軸穴の軸端部に、連結ピン88の一端がねじ止めされている。円板部84bは、カバー部材86の円板部86bに当接することで、軸線C方向で第2ドグリング52側への移動が阻止されている。
円筒部材90は、図4に示すように、円筒部90aと円板部90bとから構成される有底円筒状の部材である。円筒部材90は、円板部90b側が貫通穴83から第1ドグリング50a側に向かって挿し入れられ、円筒部90aの外周面が貫通穴83に嵌め入れられている。円板部90bの中心部には、軸線C方向に貫通する穴が形成されており、その穴に第1係止部84の軸部84aが挿し通されている。また、円筒部材90の円筒部90aの外周面には、径方向外側に向かって突設された円環状の鍔部90cが形成されており、その鍔部90cが、第2ドグリング52aの軸線C方向で第1ドグリング50aから遠ざかる側の端部と当接している。従って、円筒部材90は、第2ドグリング52に対して軸線C方向で第1ドグリング50a側への相対移動が阻止されている。
連結ピン88は、軸線C方向の一端が第1係止部材84の軸部84aにねじ止めされているとともに、軸線C方向の他端が、第2係止部材92にねじ止めされている。第2係止部材92は、図4に示すように、軸部92aと、その軸部92aの一端に連結された円板部92bとから構成されている。軸部92aの軸中心部には、軸線Cに平行なねじ穴が形成されており、連結ピン88の他端がそのねじ穴にねじ止めされている。円板部92bは、軸部92aの軸方向の一端から径方向に伸びる円板部材であり、その外周端面が、円筒部90aの内周面に摺動可能に嵌合している。
円筒部材90の円板部90bと第2係止部材92の円板部92bとの間に、スプリング78が介挿されている。スプリング78は、一端が円板部90bに当接するとともに、他端が円板部92に当接している。上記のよう構成されることで、第1ドグリング50aが、カバー部材86、第1係止部材84、連結ピン88、第2係止部材92、スプリング78、および円筒部材90を介して第2ドグリング52に連結される。
図3は、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが当接した状態を示している。変速動作が行われない状態では、図3に示すように、スプリング78が自然長または所定値だけ圧縮された状態となり、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが互いに当接した状態となる。
図4は、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが、軸線C方向で遠ざけられた状態を示している。変速動作が開始されると、第1ドグリング50aおよび第2ドグリング52aの一方が、第1シフトフォーク36aによって軸線C方向に移動させられる。このとき、スプリング78が圧縮させられ、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが軸線C方向に遠ざけられる。
第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが軸線C方向に遠ざけられると、カバー部材86および第1係止部材84が、第2ドグリング52aから遠ざけられる。また、連結ピン88および第2係止部材92は、第1係止部材84と一体的に移動する。一方、円筒部材90は、第2ドグリング52aとともに一体的に移動するため、円筒部材90と第2係止部材92との軸線C方向の相対位置が変化する。具体的には、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが軸線C方向で離れるに従って、円筒部材90の円板部90bと第2係止部材92の円板部92bとの間の軸線C方向の距離が短くなる。すなわち、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとの間の軸線C方向の距離が遠くなるほど、スプリング78が圧縮されることとなる。
このように、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが軸線C方向に遠ざけられるとスプリング78が圧縮されるため、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとを元位置、すなわち図3に示す第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとが互いに当接する位置に引き寄せる付勢力F(弾性復帰力)が発生する。
上述した連結機構80は、第1ドグリング50aおよび第2ドグリング52aの周方向で等角度間隔に複数個配置されることで、スプリング78についても周方向で等角度間隔に配置され、前記付勢力Fは、第1ドグリング50aと第2ドグリング52aとの間で周方向に略均等に付与される。
次に、ドグクラッチ28の変速中の作動について説明する。以下、1速ギヤ段1stから2速ギヤ段2ndへのアップシフトについて説明するが、他の変速(第1速ギヤ段1stから2速ギヤ段2nd以外のアップシフト、並びにダウンシフト)についても基本的な作動は変わらないため、その説明を省略する。
図5は、1速ギヤ段1stで走行中における、第1ドグクラッチ28aおよび第3ドグクラッチ28cを簡略的に示すものであり、第1ドグクラッチ28aおよび第3ドグクラッチ28cの周方向の一部を、それぞれ平面に展開して簡略的に示したものである。また、第1ドグクラッチ28aの両側には、第1ドグクラッチ28aと噛合可能(係合可能)な入力ギヤ30aの噛合歯70aおよび2速ギヤ30の噛合歯70bが平面に展開されて示され、第3ドグクラッチ28cの両側には、第3ドグクラッチ28cと噛合可能(係合可能)な4速ギヤ30eの噛合歯70eおよび1速ギヤ30fの噛合歯70fが平面に展開されて示されている。なお、第2ドグクラッチ28bについては、1速ギヤ段1stから2速ギヤ段2ndへのアップシフトに関与しないため省略されている。
図5の第1ドグクラッチ28aについて説明すると、第1ドグクラッチ28aの紙面左側が第1ドグリング50aに対応し、紙面右側が第2ドグリング52aに対応している。これら第1ドグリング50aおよび第2ドグリング52aは、連結機構80を構成するスプリング78よって互いに当接する方向に付勢されている。第1ドグリング50aには、入力ギヤ30側に向かって突き出す第1噛合歯66a、および、第2ドグリング52aの貫通穴75を貫通し、2速ギヤ30b側に向かって突き出す第2噛合歯68aが形成されている。また、第2ドグリング52aには、2速ギヤ30b側に向かって突き出す第3噛合歯72a、および、第1ドグリング50aの貫通穴74を貫通し、入力ギヤ30a側に向かって突き出す第4噛合歯76aが形成されている。
第1ドグリング50aおよび第2ドグリング52aによって形成される凹溝34に、第1シフトフォーク36aが嵌合している。また、第1シフトフォーク36aには、図10の黒丸で示す係合部94aが形成されており、この係合部94aがシフトシャフト40に形成されているシフト溝42aと係合している。従って、シフトシャフト40の回転に伴って、係合部94aと係合するシフト溝42aの形状が変化すると、係合部94aとともに第1シフトフォーク36aがシフト溝42aに沿って軸線C方向に移動する。
図5に示す第3ドグクラッチ28cについては、上述した第1ドグクラッチ28aと基本的には変わらないため、その説明を省略する。なお、第3ドグクラッチ28cを構成する第1ドグリングには符号50cを付し、第2ドグリングには符号52cを付し、第1ドグリング50cに形成されている第1噛合歯および第2噛合歯には、それぞれ66cおよび68を付し、第2ドグリング52cに形成されている第3噛合歯および第4噛合歯については、それぞれ72cおよび76cを付している(図5参照)。
図5において、矢印で示す紙面上方方向が、前進走行時回転方向を示している。すなわち、前進走行中は、入力ギヤ30a、2速ギヤ30b、4速ギヤ30e、および1速ギヤ30fが図5の紙面上方に移動する。なお、入力ギヤ30a、2速ギヤ30b、4速ギヤ30e、および1速ギヤ30fは、エンジン12の回転速度、および、各ギヤ段毎に機械的に設定されている変速比γに基づいた回転速度で回転させられる。具体的には、エンジン12の回転速度が同じ場合、1速ギヤ段1stに対応する1速ギヤ30fの回転速度が最も遅く、高速ギヤ段に対応する変速ギヤほど回転速度が速くなる。また、第1ドグクラッチ28aおよび第3ドグクラッチ28cは、出力軸22と一体的に回転する。また、第1噛合歯66aには傾斜面96が形成され、第3噛合歯72aには傾斜面96が形成され、第1噛合歯66cには傾斜面が形成され、第3噛合歯72cには傾斜面96が形成されている。
図5に示す、1速ギヤ段1stで走行中における、第1ドグクラッチ28aおよび第3ドグクラッチ28cの状態(係合状態、噛合状態)について説明する。1速ギヤ段1stで走行中にあっては、第1ドグクラッチ28aの凹溝34に嵌合するシフトフォーク36aは、シフト溝42aに基づいて中立位置(N位置)に移動させられている。このとき、第1ドグクラッチ28aの各噛合歯は、入力ギヤ30aの噛合歯70aおよび2速ギヤ30bの噛合歯70bの何れにも噛み合っておらず、入力ギヤ30aおよび2速ギヤ30bと出力軸22との間の動力伝達が遮断される。
一方、シフトフォーク36cが、シフト溝42cの形状に基づいて1速ギヤ段位置(1st位置)に移動させられることで、第3ドグクラッチ28cが、軸線C方向で1速ギヤ30f側に移動させられている。このとき、第3噛合歯72cと1速ギヤ30fの噛合歯70fとが互いに噛み合い、第3ドグクラッチ28cと1速ギヤ30fとの間で動力が伝達される。従って、1速ギヤ30fと出力軸22とが第3ドグクラッチ28cを介して動力伝達可能に連結されることで、1速ギヤ段1stが成立する。
図6は、1速ギヤ段1stから2速ギヤ段2ndへの変速過渡期の第1ドグクラッチ28aおよび第3ドグクラッチ28cの状態を時系列で示したものである。変速過渡期は、図6に示す(a)〜(f)の順番で状態が変化する。
図6(a)は、1速ギヤ段1stで走行中の状態(すなわち変速開始前)を示している。この状態は、前述した図5と全く同じであるため、その説明を省略する。
図6(b)は、2速ギヤ段2ndへのアップシフトが開始されたときの状態を示している。シフトシャフト40が回転することで、第3ドグクラッチ28cにおいて、シフト溝42cの形状の変化に伴ってシフトフォーク36が1速ギヤ30fから離れる方向(紙面左方向)に移動する。このとき、シフトフォーク36に押されて第1ドグリング50cが第2ドグリング52cから離れる方向に移動し、スプリング78が弾性変形させられることで、第1ドグリング50cと第2ドグリング52cとの間に付勢力Fが発生する。一方、第2ドグリング52cの第3噛合歯72cと1速ギヤ30fの噛合歯70fとの間で動力が伝達されているため、第3噛合歯72cと噛合歯70fとの間の摩擦によって、スプリング78の付勢力Fに抗って第3噛合歯72cと噛合歯70fとの噛合が維持されている。従って、第3ドグクラッチ28cの第1ドグリング50cと第2ドグリング52cとが軸線C方向で乖離した状態となる。なお、図6にあっては、第1ドグリング50cと第2ドグリング52cとが軸線C方向で乖離すると、スプリング78が伸びるように記載されているが、実際には、図4の構造に基づいてスプリング78は圧縮されている。
図6(c)は、第2ギヤ段2ndを形成するため、第1ドグクラッチ28aが2速ギヤ30b側に移動した状態を示している。シフトシャフト40が回転することで、シフト溝42aと係合する第1シフトフォーク36aが2速ギヤ30b側に移動し、その第1シフトフォーク36aに押されて第1ドグクラッチ28aが2速ギヤ30b側に移動する。このとき、第1ドグリング50aの第3噛合歯72aと2速ギヤ30bの噛合歯70bとが噛合可能な状態となる(図6(c)ではまだ噛み合っていない)。
図6(d)は、第1ドグクラッチ28aにおいて、第1ドグリング50aの第3噛合歯72aと2速ギヤ30bの噛合歯70bとが噛み合った状態を示している。図6(d)において、2速ギヤ30bの回転速度が第1ドグクラッチ28aの回転速度よりも速いことから、図6(c)の状態になると速やかに第3噛合歯72aと2速ギヤ30bの噛合歯70bとが噛み合わされる。このとき、第1ドグクラッチ28aの第3噛合歯72aと2速ギヤ30bの噛合歯70とが噛み合うとともに、第3ドグクラッチ28cの第3噛合歯72cと1速ギヤ30fの噛合歯70fとが噛み合う、同時噛み合い状態となる。
図6(e)は、第3ドグクラッチ28cにおいて、第1ドグリング50cの第3噛合歯72cと1速ギヤ30fの噛合歯70fとの噛合(係合)が解除された状態を示している。図6(d)において2速ギヤ30bの噛合歯70bと第1ドグクラッチ28aの第3噛合歯72aとが噛み合うと、出力軸22は2速ギヤ段2ndに基づく回転速度で回転させられることから、第3ドグクラッチ28cの第1ドグリング50cおよび第2ドグリング52cの回転速度が1速ギヤ30fの回転速度よりも速くなる。従って、第2ドグリング52cの第3噛合歯72cと1速ギヤ30fの噛合歯70fとの噛合(係合)が解除される。
図6(f)は、第3ドグクラッチ28cの第2ドグリング52cが第1ドグリング50c側に引き寄せられた状態を示している。図6(e)において、第3噛合歯72cと1速ギヤ30fの噛合歯70fとの噛合(係合)が解除されると、これら第3噛合歯72cと噛合歯70fとの間の摩擦による力がなくなる(付勢力Fよりも小さくなる)ため、スプリング78の付勢力Fによって第2ドグリング52cが第1ドグリング50c側に引き寄せられる。従って、第3ドグクラッチ28cは、何れの噛合歯70とも噛み合わないニュートラル状態に切り替わり、2速ギヤ段2ndへの変速が完了する。このように、第1ドグクラッチ28aの第3噛合歯72aと2速ギヤ30bの噛合歯70bとが噛み合うと、第3ドグクラッチ28cの第3噛合歯72cと1速ギヤ30fの噛合歯70fとの噛合(係合)が速やかに解除されるため、変速中のトルク抜けが防止される。なお、図6(c)から図6(f)へは、極めて短い時間のうちに切り替わる。また、第3噛合歯72cには、傾斜面96が形成されていることから、スプリング78の付勢力Fによる引き寄せが遅くなっても、噛合歯70fがこの傾斜面96に接触し、第2ドグリング52cが傾斜面96によって押し出されて噛合(係合)が確実に解除される。
上述したように、変速機10(変速機構17)にあっては、変速中に際して、変速前のギヤ段(例えば1速ギヤ段1st)のドグクラッチ28(例えば第3ドグクラッチ28c)が係合した状態から変速後のギヤ段(例えば2速ギヤ段2nd)が係合された後、変速前のドグクラッチ28(例えば第1ドグクラッチ28a)の係合が速やかに解放されることで、トルク伝達が途切れることなく変速が実行される(シームレス変速)。ところで、変速中に係合されるドグクラッチ28と変速ギヤ30との間に回転速度差が生じた状態で、ドグクラッチ28の噛合歯と変速ギヤ30の噛合歯70とを噛み合わせると、その回転速度差、およびドグクラッチ28よりも上流側(エンジン12側)のイナーシャ(慣性)に起因するショックが発生する。このショックが駆動輪14を介して運転者に伝達されることで、変速中におけるドラビリが悪化する。例えば、アクセルペダルが大きく踏み込まれることによる加速走行中に変速される場合には、運転者の加速要求が大きく、運転者のショックに対する感度が低くなるが、定常走行中に自動変速される場合には、運転者のショックに対する感度が高くなるため、ドラビリ悪化が顕著となる。これに対して、本実施例では、以下に説明するようにして変速機10の変速制御を実行することで、変速中に発生するショックによるドラビリ悪化を抑制する。
図1に戻り、変速機10の変速制御を実行するための電子制御装置100(制御装置)が備えられている。電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェイス等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、変速機10の変速制御を実行する。
電子制御装置100には、例えばエンジン回転速度センサ102によって検出されるエンジン回転速度Neを表す信号、カウンタ軸回転速度センサ104によって検出されるカウンタ軸20のカウンタ軸回転速度Ncontを表す信号、出力軸回転速度センサ106によって検出される出力軸22の出力軸回転速度Noutを表す信号、アクセル開度センサ108によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量(操作量)であるアクセル開度Accを表す信号などが供給される。
また、電子制御装置100からは、第1クラッチ16の伝達トルク(トルク容量)を制御する電磁ソレノイドの駆動信号、第2クラッチ23の伝達トルク(トルク容量)を制御する電磁ソレノイドの駆動信号、ドグクラッチ28の断接状態を切り替えるアクチュエータ35の駆動信号などが出力される。
電子制御装置100は、変速機10の変速制御を実行する変速制御部120を機能的に備えている。変速制御部120は、所定のギヤ段への変速が判断されると実行される。なお、所定のギヤ段への変速は、例えば車速Vおよびアクセル開度Accなどから構成される変速マップ、或いは、運転者によるパドルシフトスイッチ等のシフト操作に基づいて判断される。なお、変速制御部120が、本発明の制御部に対応している。
変速制御部120は、所定のギヤ段への変速が判断されると、先ず、第1クラッチ16の伝達トルク(トルク容量)を予め設定されている所定値まで低下させるとともに、第2クラッチ23の伝達トルク(トルク容量)を予め設定されている所定値まで低下させる。なお、第2クラッチ23の所定値は、ゼロに設定されていても構わない。すなわち、変速中に第2クラッチ23において動力伝達が遮断(トルク非伝達)されるものであっても構わない。
次いで、変速制御部120は、アクチュエータ35を制御することにより、変速先(変速後)のギヤ段を成立させるドグクラッチ28を接続(係合)するとともに、変速前のギヤ段を成立させるドグクラッチ28の接続(係合)を遮断するドグクラッチ28の掴み替えを実行する。変速先のギヤ段を成立させるドグクラッチ28が接続されると、動力伝達経路が、変速前のギヤ段に対応するギヤ対26を介した経路から変速先のギヤ段に対応するギヤ対26を介した経路に切り替わり、駆動力が変速先のギヤ段に対応するギヤ対26を介して伝達されるようになる。このとき、図6で説明したように、変速前のギヤ段を成立させるドグクラッチ28の接続が解除される。ここで、ドグクラッチ28を構成する噛合歯が噛み合う時点において、第2クラッチ23の伝達トルクが低減されているため、ドグクラッチ28の噛合歯が噛み合う際に発生するショックの駆動輪14への伝達が低減される。特に、第2クラッチ23の伝達トルクがゼロの場合には、駆動輪14にはショックが伝達されない。よって、駆動輪14から運転者に伝達されるショックも低減され、ドラビリ悪化が抑制される。
変速先のギヤ段を成立させるドグクラッチ28が接続されると、変速制御部120は、第2クラッチ23の伝達トルクを、クラッチ滑りが生じない規定値に復帰させる。すなわち、第2クラッチ23の伝達トルクを、トルク低減前の状態(クラッチ完全係合状態)に復帰させる。また、変速制御部120は、第1クラッチ16の伝達トルクを増加し、エンジン回転速度Neと入力軸18の入力軸回転速度Ninとが一致すると、第1クラッチ16の伝達トルクをさらに増加させ、クラッチ滑りが生じない規定値に復帰させる。すなわち、第1クラッチ16の伝達トルクを、トルク低減前の状態(クラッチ完全係合状態)に復帰させる。
図7は、電子制御装置100の制御作動の要部、すなわち変速機10の変速制御に関する制御作動を説明するフローチャートである。このフローチャートは、所定のギヤ段への変速が判断される毎に実行される。なお、図7のステップS1〜S5は、何れも変速制御部120の制御機能に対応している。
まず、ステップS1(以下、ステップを省略)において、第1クラッチ16の伝達トルクを予め設定されている所定値まで低下させるとともに、第2クラッチ23の伝達トルクを予め設定されている所定値まで低下させる。S2では、アクチュエータ35を制御することにより、ドグクラッチ28の掴み替えが実行される。具体的には、変速先(変速後)のギヤ段を成立させるドグクラッチ28を接続(係合)させるとともに、変速前のギヤ段を成立させるドグクラッチ28の接続(係合)を遮断する。このとき、動力伝達経路が、変速前のギヤ段に対応するギヤ機構を介した経路から変速先のギヤ段に対応するギヤ機構を介した経路に切り替わり、駆動力が変速先のギヤ段に対応するギヤ機構を介して伝達されることとなる。
ドグクラッチ28の掴み替えが完了すると、S3において第1クラッチ16の伝達トルクが所定の値を目標に増加させられ、第2クラッチ23については完全係合状態となる伝達トルク低減前の規定値に復帰させられる。S4では、第1クラッチ16の伝達トルク増加に伴って、エンジン回転速度Neと入力軸18の入力軸回転速度Ninとが一致したか否かが判定される。なお、入力軸回転速度Ninは、カウンタ軸回転速度センサ104によって検出されるカウンタ軸回転速度Ncont、および、入力ギヤ30aとカウンタギヤ32aとの間のギヤ比から算出される。エンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの回転速度差が予め設定されている閾値以上である場合、回転速度が一致していないと判断され、S4が否定されてS3に戻る。エンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの回転速度差が閾値未満である場合、回転速度が一致したと判断され、S4が肯定されてS5に進む。S5では、第1クラッチ16の伝達トルクが伝達トルク低減前の規定値に復帰させられ、第1クラッチ16が完全係合される。このように、所定のギヤ段に変速する際には、変速中に接続されるドグクラッチ28の噛合歯の噛合前(係合前)に第2クラッチ23の伝達トルクを低減し、そのドグクラッチ28の噛合歯の噛合後(係合後)に伝達トルクをトルク低減前の状態に復帰させることで、噛合歯が噛み合う際に発生するショックの駆動輪14への伝達が低減される。
図8は、電子制御装置100の制御作動に基づく作動結果を示すタイムチャートである。図8において、横軸が時間を示し、縦軸が、上から順番に変速信号、エンジン回転速度Neおよび入力軸回転速度Nin、シフトストローク、第1クラッチ16の伝達トルク(クラッチ伝達トルク)、第2クラッチ23の伝達トルク(DLクラッチ伝達トルク)、車両前後加速度G(本実施例および従来技術)を示している。
t1時点において所定のギヤ段への変速が判断されることで変速信号が出力され、t2時点において第1クラッチ16および第2クラッチ23の伝達トルクの低減が開始される。これと略同時期に、ドグクラッチ28の切替(掴み替え)が開始される。そして、ドグクラッチ28の噛合歯が互いに噛み合うt3時点では、第2クラッチ23の伝達トルクが低下していることから、ドグクラッチ28の噛合歯が噛み合う際に発生するショックの駆動輪14への伝達が低減される。これより、変速中のドグクラッチ28の噛合歯が噛み合う際に発生するショックに起因する、車両前後加速度Gの変動が抑制される。一方、第2クラッチ23を備えない従来技術の場合には、ドグクラッチ28で発生したショックが駆動輪14に伝達されるため、破線で示すように車両前後加速度Gが変動する。ドグクラッチ28の掴み替えが完了(切替完了)すると、第2クラッチ23の伝達トルクがトルク低減前の規定値に復帰させられるとともに、第1クラッチ16の伝達トルクが所定の値まで増加させられる。t4時点において、エンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとが一致したと判断されると、t5時点において第1クラッチ16の伝達トルクがトルク低減前の規定値に復帰(クラッチ完全係合)させられ、変速が完了する。
また、車両発進の際には、第2クラッチの伝達トルクをゼロ、すなわち変速機構17と駆動輪14との間の動力伝達経路を遮断した状態で、変速機構17において1速ギヤ段1stを形成した後、第2クラッチ23の伝達トルクを増加することで車両を発進させることができる。すなわち、第2クラッチ23を車両の発進クラッチとして用いることができる。
上述のように、本実施例によれば、変速機構17の出力軸22と駆動輪14との間に第2クラッチ23が設けられているため、第2クラッチ23の伝達トルクを制御することで、駆動輪14側に伝達されるトルクを調整することができる。例えば、変速機構17の変速中において第2クラッチ23の伝達トルクを低減することで、変速機構17の変速中に発生するショックの駆動輪14への伝達を低減できる。結果として、駆動輪を介して運転者に伝達されるショックが低減されるため、変速中のドラビリ悪化が抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、変速機構17は、3個のドグクラッチ28を備え、前進6段の変速可能に構成されているが、ギヤ段の数およびドグクラッチ28の数は、必ずしもこれに限定されない。
また、前述の実施例では、エンジン12と入力軸18との間に第1クラッチ16が設けられているが、この第1クラッチ16が設けられない車両であっても本発明を適用することができる。
また、前述の実施例では、ドグクラッチ28は、何れも出力軸22上に設けられているが、カウンタ軸20上にドグクラッチ28が設けられていても構わない。また、出力軸22およびカウンタ軸20の両方にドグクラッチ28が設けられていても構わない。
また、第1クラッチ16および第2クラッチ23は、乾式クラッチおよび湿式クラッチの何れであってもよく、単板クラッチおよび多板クラッチの何れにも限定されない。すなわち、本発明のクラッチは、伝達トルクを変更可能な構成であれば適宜適用され得る。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用変速機
14:駆動輪
17:変速機構
22:出力軸
23:第2クラッチ(クラッチ)
28:ドグクラッチ
66、68、70、72、76:噛合歯
100:電子制御装置(制御装置)
120:変速制御部(制御部)
14:駆動輪
17:変速機構
22:出力軸
23:第2クラッチ(クラッチ)
28:ドグクラッチ
66、68、70、72、76:噛合歯
100:電子制御装置(制御装置)
120:変速制御部(制御部)
Claims (1)
- 複数のギヤ段に変速可能に構成され、各ギヤ段を成立させるドグクラッチを少なくとも1つ備えて構成される車両用変速機において、
変速前のギヤ段を成立させる前記ドグクラッチが係合した状態で変速後のギヤ段を成立させる前記ドグクラッチが係合された後、前記変速前のギヤ段を成立させる前記ドグクラッチの係合が解放されて変速する変速機構と、
前記変速機構の出力軸と駆動輪との間に設けられるクラッチとを、
備えることを特徴とする車両用変速機。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016215671A JP2018071748A (ja) | 2016-11-02 | 2016-11-02 | 車両用変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016215671A JP2018071748A (ja) | 2016-11-02 | 2016-11-02 | 車両用変速機 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2018071748A true JP2018071748A (ja) | 2018-05-10 |
Family
ID=62114142
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2016215671A Pending JP2018071748A (ja) | 2016-11-02 | 2016-11-02 | 車両用変速機 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2018071748A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2020133897A (ja) * | 2019-02-13 | 2020-08-31 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用変速機および車両用変速機の制御装置 |
| WO2023112323A1 (ja) * | 2021-12-17 | 2023-06-22 | ヤマハ発動機株式会社 | 変速制御装置 |
| WO2023112324A1 (ja) * | 2021-12-17 | 2023-06-22 | ヤマハ発動機株式会社 | 変速制御装置 |
-
2016
- 2016-11-02 JP JP2016215671A patent/JP2018071748A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2020133897A (ja) * | 2019-02-13 | 2020-08-31 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用変速機および車両用変速機の制御装置 |
| WO2023112323A1 (ja) * | 2021-12-17 | 2023-06-22 | ヤマハ発動機株式会社 | 変速制御装置 |
| WO2023112324A1 (ja) * | 2021-12-17 | 2023-06-22 | ヤマハ発動機株式会社 | 変速制御装置 |
| WO2023113028A1 (ja) * | 2021-12-17 | 2023-06-22 | ヤマハ発動機株式会社 | ビークル |
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