JP2018071787A - 滑り軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転軸の外周面に接触する軸受面を備え、軸受面と回転軸との摩擦摩耗を低減でき、初期摩耗で発生した摩耗粉を摺接面から排出することができ、さらにグリースの供給性や保持性にも優れる、低摩耗かつ低トルクの滑り軸受を提供する。【解決手段】滑り軸受1は、回転軸4の外周面に接触する軸受面3を備え、軸受面3において回転軸4の軸線に対して非垂直方向の偏荷重が負荷されるものであり、軸受面3が、回転軸4の外周面に沿った円筒面または一部円筒面であり、軸受面3における回転軸4と摺接して荷重を受ける部分に、回転軸4の軸方向に沿った溝5を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、滑り軸受に関する。特に、複写機、複合機、プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタなど)、ファクシミリなどの画像形成装置における定着部の定着ローラや加圧ローラなどのローラの回転軸を支持する用途に適用される滑り軸受に関する。
複写機、プリンタなどの画像形成装置の定着装置は、感光ドラムから用紙に転写された未定着のトナーを熱と圧力により定着させるものである。定着装置は、筒体にハロゲンヒータ、セラミックヒータなどの熱源を内蔵した定着ローラと、それに対向して設置された加圧ローラとの間に用紙を進入させることで、熱と圧力を同時に加えてトナーを定着させる機構が一般的である。定着ローラおよび加圧ローラのいずれか一方の外周面は、合成ゴムなどの弾性体になっており、他方は剛体である。また、加圧ローラに代えて、ステンレス、ポリイミド樹脂などからなるエンドレスベルトを、弾性体を介して定着ローラ側に押圧する機構も採用されている。
定着ローラおよび加圧ローラは、その回転軸の両端を軸受によって回転自在に支持されている。この軸受としては、ボールベアリング(転がり軸受)、樹脂滑り軸受などが用いられている。このような用途に使用される樹脂滑り軸受としては、円筒状または開口部を備えたU字型の形状が多く用いられ、使用の際には軸受面にグリースが塗布されることが多い。
年々、複写機、プリンタは印刷速度の高速化、消費電力低減が進んでいるため、軸受には高荷重・高速条件への対応、低トルク化、耐摩耗性の向上が要求されている。また、定着装置の構造によっては導電性も必要となる。ボールベアリングは、樹脂滑り軸受に比べて耐荷重性が高く、トルクが低い反面、高コストとボールの転がり振動による異音の問題がある。このような高コストや異音は、近年オフィス環境で問題視されてきており、印刷速度が速い機種においても、樹脂滑り軸受の適用が望まれている。
従来、樹脂滑り軸受の高性能化のため、軸受材を改良する様々な提案がされている。例えば、軸受材として、所定の耐熱・熱可塑性樹脂に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などを配合した耐熱・潤滑性樹脂組成物が提案されている。しかし、軸受材の改良だけでは低トルク化に限界があるため、軸受面の形状設計で回転トルクを低減する試みもなされている。主に、軸受面と回転軸との接触面積を低減させる方法、軸受面にグリースが溜まる部分を設けて潤滑効果を向上させる方法の2つがある。
軸受面と回転軸との接触面積を低減させる方法として、特許文献1と特許文献2が提案されている。特許文献1では、軸受面が、回転軸の外周面形状に略相似の接触面を有する凸部であり、摩耗前後における回転軸との接触面積を一定にしている。この設計により摩耗による接触面積の増加を防ぎ、トルクを安定化させるとしている。また、特許文献2では、軸受面が回転軸と接触する部分の軸方向の長さを、滑り軸受の軸方向の全長より短く設定することで、トルクを低減するとしている。
軸受面にグリースが溜まる部分を設けて潤滑効果を向上させる方法として、特許文献3が提案されている。軸受面にグリースを溜める油溝を形成し、この油溝の開放部を囲む周縁の一部が、回転方向に対して交叉する方向に沿う部分を有していることで、軸受面の広い範囲で潤滑効果を向上させるとしている。
特開2000−035034号公報 特開平05−026228号公報 特開2000−242113号公報
しかしながら、近年における画像形成装置の印刷速度の更なる高速化に伴い、軸受に対する要求特性がより厳しくなっており、特許文献1〜3などの提案では低トルク化、高荷重化が十分とはいえない。また、低コスト化により軸径を最小径にする場合、高荷重化によって回転軸が撓むために、軸受と軸との接触は、軸受内径幅全面で受けることができず、初期は軸受エッジ部で荷重を受ける。このため、軸受エッジ部が摩耗しやすく、摩耗粉が多く発生する。また、発生した摩耗粉はグリースにより保持され、保持された摩耗粉によりさらに軸受が摩耗する悪循環となり、摩擦摩耗特性に悪影響を及ぼす。さらに、軸受面にグリース溝を形成する場合でも、その形状や位置、使用条件によっては逆効果になることがあり、十分な効果が得られないおそれがある。
本発明はこれらの問題に対処するためになされたものであり、回転軸の外周面に接触する軸受面を備え、特にこの回転軸の軸線に対して非垂直方向の荷重が負荷される滑り軸受において、軸受面と回転軸との摩擦摩耗を低減でき、初期摩耗で発生した摩耗粉を摺接面から排出することができ、さらにグリースの供給性や保持性にも優れる、低摩耗かつ低トルクの滑り軸受を提供することを目的とする。
本発明の滑り軸受は、回転軸の外周面に接触する軸受面を備えてなる滑り軸受であって、上記軸受面が、上記回転軸の外周面に沿った円筒面または一部円筒面であり、該軸受面における上記回転軸と摺接して荷重を受ける部分に、上記回転軸の軸方向に沿った溝を有することを特徴とする。特に、上記軸受面に潤滑剤が塗布されていることを特徴とする。
上記軸受面において、上記回転軸の軸線に対して非垂直方向の偏荷重が負荷されることを特徴とする。また、上記軸受面の軸方向両端部のうち、上記偏荷重により受ける荷重が大きい側の軸方向端部に、該端部の軸方向外側に向けて該軸受面を拡径するように形成された傾斜溝を有することを特徴とする。あるいは、上記軸受面の軸方向両端部のうち、上記偏荷重により受ける荷重が大きい側の軸方向端部に、20度以下の面取りを設けたことを特徴とする。
上記滑り軸受が、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、およびポリアミドイミド(PAI)樹脂から選ばれる1種以上の熱可塑性樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の成形体であることを特徴とする。また、上記樹脂組成物が、PTFE樹脂およびリン酸リチウムを含有することを特徴とする。また、上記樹脂組成物が、カーボンブラックおよびカーボンナノチューブから選ばれる少なくとも1つを含有する導電性の樹脂組成物であることを特徴とする。
上記滑り軸受が、画像形成装置における定着ローラまたは加圧ローラの回転軸を支持する軸受であることを特徴とする。
本発明の滑り軸受は、所定の溝がない場合に比べて、軸受面と回転軸との初期摩耗による摩耗粉をスムーズに排出でき、回転トルクと摩耗が低減される。また、所定の溝は、軸受面のエッジ部で荷重を受けることを避けることができ、荷重を溝を挟んだ軸受面の両側に分散して受けることができる。また、グリースなどの潤滑剤保持の役割を果たす。上記溝は軸受と回転軸が摺接する部位、すなわち荷重を受ける部位に設けることで、発生した摩耗粉を速やかに取り込み、かつ、溝のグリースなどは摺接する回転軸に安定供給され続けることにより、良好な摺動状態が維持できる。特に、回転軸の軸線に対して非垂直方向の偏荷重が軸受面に負荷される場合であっても、回転軸が軸受面のエッジ部で初期摺接することで発生する初期摩耗粉を上記溝により速やかに排出できる。
滑り軸受が、PPS樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、PAI樹脂などの熱可塑性樹脂をベース樹脂とし、これにPTFE樹脂およびリン酸リチウムを含有する樹脂組成物の成形体であるので、耐荷重性、耐熱性、潤滑性などに優れ、摩耗を抑制できる。
本発明の滑り軸受の一例を示す斜視図と断面図である。 本発明の滑り軸受の他の例を示す斜視図と断面図である。 軸受面の溝の形状を示す軸受面拡大図と断面図である。 本発明の滑り軸受の他の例を示す斜視図である。 画像形成装置の定着部の構成を示す概略図(側面)である。 画像形成装置の定着部の構成を示す概略図(断面)である。 溝なしの滑り軸受(一部円筒型)を示す斜視図である。 溝が異なる滑り軸受(一部円筒型)を示す斜視図と断面図である。 回転トルクの経時変化を示す図である(実施例1)。 回転トルクの経時変化を示す図である(比較例1)。 回転トルクの経時変化を示す図である(比較例2)。 回転トルクの経時変化を示す図である(比較例3)。 溝なし/溝が異なる滑り軸受(円筒型)を示す斜視図である。 動摩擦係数の経時変化を示す図である(実施例2)。 動摩擦係数の経時変化を示す図である(比較例4)。 動摩擦係数の経時変化を示す図である(比較例5)。 本発明の滑り軸受の他の例を示す断面図である。
本発明の滑り軸受を用いた画像形成装置の定着部の構成を図5および図6に基づいて説明する。図5は側面から見た定着部の構成概略図である。画像形成装置は、光学部で取り込んだ画像を、現像部、感光部で転写ベルト上にトナーで形成する。図5に示すように、定着部では、そのトナー9を用紙10に転写して用紙10に焼き付ける。その際に、用紙10はヒータ12を内蔵する定着ローラ6と加圧ローラ7の間(ニップ部)を通過し、トナー9を焼き付けるために160〜200℃程度で加熱・加圧される。ニップ部を通過した用紙10を定着ローラ6から剥離できるように、剥離部材8が定着ローラ6に接触または近接する位置に設けられている。定着ローラ6と加圧ローラ7は、それぞれの回転軸が軸受によって回転自在に支持されている。ここで、加圧ローラ7は、本発明の滑り軸受1を介してバネ11などで定着ローラ6に押し付けられている。
図6を用いて滑り軸受1に作用する偏荷重について説明する。図6は定着部の断面概略図である。加圧ローラ7の回転軸4を支持する滑り軸受1は、常に一方向の荷重で回転軸4の軸線に対して垂直方向に押し付けられているが、実際は回転軸4が撓み、滑り軸受1の軸受面3のエッジ部3aで荷重を受けている。撓み量は回転軸の軸径にもよるが、0.2〜1度程度である。このように、軸受面3において、その軸方向位置で受ける荷重の大きさが異なる。回転軸4の撓みや熱膨張により、軸受面3ではアキシャル荷重とラジアル荷重の両方が加わり、回転軸の軸線に対して非垂直方向(斜め方向)の偏荷重が負荷される。印刷速度を高速化すると、トナーを短時間で焼き付ける必要があるため、定着ローラ6の温度、加圧ローラ7の押し付け力がともに高くなり、軸受の使用条件は厳しくなる。
本発明の滑り軸受の一例を図1に基づき説明する。図1(a)は該滑り軸受の斜視図であり、図1(b)は該滑り軸受の軸方向断面図である。図1(a)および図1(b)に示すように、この形態の滑り軸受1は、所定の軸方向厚みを有するU字型の軸受本体2からなり、この軸受本体2に、加圧ローラなどの回転軸4の外周面と接触してこれを支持する軸受面3を有する。軸受面3は、軸受本体2のU字底部側に形成されており、U字上部側は開口している。軸受面3は、回転軸4の外周面に沿った一部円筒面(円弧面)である。この軸受面3の表面に、回転軸の軸方向(図1(b)のX線)に沿った凹状の溝5を有している。この滑り軸受1で支持する回転軸4の直径に対して、軸受本体2の内壁面2a、2b間の距離は僅かに大きく、具体的には回転軸4の直径の0.2〜5%、好ましくは0.3〜3%大きい。
溝5は、軸受面3における回転軸4と摺接して荷重を受ける部分に設けられている。図1に示す形態では、U字型の軸受本体2の内壁面2a、2b間の最底部に設けられ、該部分は最も荷重を受ける部位である。軸受面3の荷重を受ける部位に溝5を形成することで、軸受面3のエッジ部で荷重を受けることを避けることができ、荷重を溝を挟んだ軸受面の両側に分散して受けることができる。また、発生する摩耗粉が摺接面に入り込まずに溝5に排出される。また、溝5に保持されているグリースと回転軸4が接触することにより、良好な摺動状態が得られる。本発明の滑り軸受は、上述したように回転軸の荷重を溝を挟んだ軸受面の両側に分散して受けるため、より荷重分散を図るため、図3(a)のように、溝5と軸受面3との両境界に形成される軸方向のエッジ部3bの面取りを行うことが望ましい。この面取りは溝の深さにもよるが、R0.05mm〜0.5mm、またはC0.05mm〜0.5mmである。
本発明の滑り軸受の他の例を図2に基づき説明する。図2(a)は該滑り軸受の斜視図であり、図2(b)は該滑り軸受の軸方向断面図である。図2(a)および図2(b)に示すように、この形態の滑り軸受1は、運転初期に回転軸4と摺接する軸受面3のエッジ部3aに傾斜溝13を有している。エッジ部3aは、軸受面3において、偏荷重により受ける荷重が大きい側の軸方向端部である。傾斜溝13は、このエッジ部3aに、その軸方向外側(軸受の外側)に向けて円弧面である軸受面3を拡径するように形成されている。このような傾斜溝13を設けることで、上述の偏荷重を受けやすくなる。また、回転軸4が回転すると軸受面3のエッジ部3aで初期摺接して初期摩耗粉が発生するが、傾斜溝13によりこの発生を抑制できる。また、初期摩耗粉が発生した場合でも、この摩耗粉は、溝5と傾斜溝13により速やかに外部に排出され、摺接面には入り込まない。
傾斜溝13は、軸受幅(軸受本体の軸方向寸法)の1/4以下の長さ、好ましくは1/5以下の長さの範囲で、軸受面に対して0.5〜20°以下、好ましくは0.5〜10°以下、さらに好ましくは0.5〜5°以下の傾斜が付けられている。
本発明の滑り軸受の他の例を図17に基づき説明する。図17は該滑り軸受の縦方向断面図である。図17に示すように、この形態の滑り軸受1は、運転初期に回転軸と摺接する軸受面3のエッジ部3aに緩やかな面取り14を有している。エッジ部3aは、軸受面3において、偏荷重により受ける荷重が大きい側の軸方向端部である。面取り14は、このエッジ部3aに、その軸方向外側(軸受の外側)に向けて円弧面である軸受面3を拡径するように形成されている。このような面取り14を設けることで、上述の偏荷重を受けやすくなる。また、回転軸が回転すると軸受面3のエッジ部3aで初期摺接して初期摩耗粉が発生するが、面取り14によりこの発生を抑制できる。また、初期摩耗粉が発生した場合でも、この摩耗粉は、溝5と面取り14により速やかに外部に排出され、摺接面には入り込まない。
面取り14は、軸受幅(軸受本体の軸方向寸法)の1/4以下の範囲、好ましくは1/5以下の範囲で、軸受面に対する角度θが0.5〜20°以下、好ましくは0.5〜10°以下、さらに好ましくは0.5〜5°以下の面取りとして付けられている。
各形態において、溝の周方向の幅は、回転軸の外周長さの2〜10%が好ましく、特に好ましくは2〜6%である。溝の深さは、溝幅にかかわらず最深部で0.05〜1.0mmであることが好ましい。ここで、溝の深さとは、軸受面(仮想表面)から溝底部までの距離であり、該溝が傾斜溝や円弧溝などである場合は、溝の最も深い部分の深さを上記範囲とすることが好ましい。溝の軸方向の長さは、軸方向で軸受両端面に貫通していることが好ましい。
本発明における上記溝は、回転軸の軸方向に沿ったものであるが、これは完全に沿った(平行または一致)ものに限らず、僅かに傾斜していてもよい。傾斜許容角度は、例えば0°〜20°程度である。この傾斜は、荷重方向と水平方向(荷重方向と垂直な方向)のいずれについても同様である。なお、回転軸の軸方向と、軸受本体の円筒面または一部円筒面の円筒中心軸方向はほぼ一致するため、溝は軸受本体の円筒面または一部円筒面の円筒中心軸方向にも沿ったものとなる。
図1および図2に示す形態では、溝は、軸受面(円弧面)の円弧中心付近に1本形成されている。溝の幅、形状、形成範囲などは適宜設定できる。上述の図5および図6で示すように、滑り軸受1は、U字下側から上方向に向けて押し付けられつつ軸受面3で回転軸4を支持するが、軸受面全面では荷重を受けず、特に初期はエッジ部3aで摺動して該部分で荷重を受ける。溝は、軸受面3における、少なくともこのエッジ部3aを含む部位を通るように配置することが好ましい。
軸受面の溝の他の形状を図3に基づいて説明する。図3は、軸受面の拡大図と軸受面の径方向断面図である。溝の深さ方向の形状として、図3(a)〜図3(c)のような形状を採用できる。図3(a)の溝5は、図1や図2の形態の溝であり、深さ方向が円弧状の円弧溝である。図3(b)の溝5’は、深さ方向が矩形の矩形溝であり、図3(c)の溝5’’は、深さ方向が三角形の三角溝である。図3(a)〜図3(c)のいずれの形態であっても、軸受本体の射出成形時に無理抜きとならず、溝部分も軸受本体と一体に容易に形成でき、溝の後加工を不要とできる。
図1、図2および図17では、軸受面が回転軸の外周面に沿った一部円筒面である場合の形態を説明したが、軸受本体に円筒体を用い、軸受面が回転軸の外周面に沿った円筒面となる構造であってもよい。
本発明の滑り軸受の他の例を図4に基づき説明する。図4はこの滑り軸受の斜視図である。この形態の滑り軸受1’は、所定の軸方向厚みを有する略円筒体の軸受本体2からなり、この軸受本体2に、加圧ローラなどの回転軸4の外周面と接触してこれを支持する軸受面3を有する。軸受面3は、軸受本体2の内周面に形成されており、その形状は回転軸4の外周面に沿った円筒面である。この軸受面3の表面に、回転軸4の軸方向に沿った凹状の溝5を有している。この滑り軸受1’で支持する回転軸4の直径に対して、軸受本体2の円筒内径寸法は僅かに大きく、具体的には回転軸4の直径の0.2〜5%、好ましくは0.3〜3%大きい。
図4の滑り軸受1’では、円筒下方側の軸受面で荷重を受けている。溝5は、軸受本体2の固定向きを考慮し、該本体の内周面(軸受面3)の荷重を受ける部位に形成する。これにより、図1等の形態と同様に、軸受面のエッジ部で荷重を受けることを避けることができ、荷重を溝を挟んだ軸受面の両側に分散して受けることができる。また、発生する摩耗粉が摺接面に入り込まずに溝5から排出され、また、溝5に保持されているグリースと回転軸4が接触して良好な摺動状態が得られる。その他、図4における溝の構造としては、上述の図3の形態と同様のものを採用できる。また、溝と軸受面のエッジの面取りや、一部円筒面のエッジ部における傾斜溝や20度以下の面取りも同様に採用できる。
以上、図1〜図4に基づき滑り軸受の形態を説明したが、本発明の滑り軸受の全体的な形状はこれらに限定されず、適用する画像形成装置の仕様に応じて適宜変更できる。例えば、軸受面が一部円筒面である場合では、図1等のようにU字型ではなく、軸受本体2の略全体が一部円筒体(中心角で30°〜300°)で構成されていてもよい。この場合、上記の溝は、一部円筒体の内周面の荷重を受ける部位に形成する。
本発明の滑り軸受の相手材となる回転軸の材質としては特に限定されないが、画像形成装置における加圧ローラなどの回転軸としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金(A5052、A5056、A6063)などの軟質金属やステンレスなどの硬質金属が使用される。
本発明の滑り軸受を形成する軸受材としては、樹脂材を用いることが好ましい。樹脂材のベース樹脂としては、例えば、PPS樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリシアノアリールエーテル樹脂、PAI樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂などの熱可塑性樹脂が使用できる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、PPS樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、または熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
樹脂材としては、上記のベース樹脂にPTFE樹脂およびリン酸リチウムを含有する樹脂組成物を用いることが好ましい。それぞれの配合割合としては、例えば、樹脂組成物全体に対して、熱可塑性樹脂35〜74重量%、PTFE樹脂10〜45重量%、リン酸リチウム16〜30重量%が好ましい。滑り軸受をこのような樹脂材の成形体とすることで、所要の耐熱性を有するとともに、良好な潤滑性を示す転移膜を回転軸上に形成でき、特に軟質のアルミニウム合金であってもその表面を傷つけることがなく、良好な潤滑特性を示す。
リン酸リチウムとしては、Li3PO4または2Li3PO4・H2Oが挙げられる。無水物の方が脱水による発泡がなく好ましい。リン酸リチウムは、主に粉末状のものが使用でき、その粒径としては0.5〜100μmの範囲であることが好ましい。
定着部の構造上、滑り軸受に導電性が必要な場合は、樹脂組成物にカーボンブラック、カーボンナノチューブのいずれか一方、または両方を添加して導電性を付与できる。これらの配合量は、所望の導電性を付与できる量であれば特に限定されないが、例えば、樹脂組成物全体に対して0.03〜10重量%配合される。この樹脂組成物の成形体の体積抵抗率としては、105Ω・cm以下が好ましい。
カーボンブラックとしては、導電性の観点からファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)が好ましく用いられ、このうちケッチェンブラックが導電性に優れるためより好ましい。
カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ(SWNT)または多層カーボンナノチューブ(MWNT)をそれぞれ単独であるいは混合して使用できる。また、単層または多層のカーボンナノチューブは、その表面を化学修飾し、上記のベース樹脂との親和性を向上させてもよい。単層および多層のカーボンナノチューブは、黒鉛などのアーク放電による方法、触媒を用いた熱分解法、レーザー蒸発法、CVD法、SiCから珪素原子を除去する方法など、公知の方法で得ることができる。
その他、本発明の効果を阻害しない程度に、樹脂組成物に対して周知の樹脂用添加剤を配合してもよい。
この樹脂組成物から、滑り軸受を形成する方法は特に限定するものではない。圧縮成形、または押出成形により得た素材成形体を機械加工することで形成してもよいが、コストの面から射出成形が好ましい。また、射出成形後、溝などの必要な部分は機械加工してもよい。
本発明の滑り軸受では、軸受面と相手材となる回転軸との摺動部にグリースや潤滑油などの潤滑剤を介在させることが好ましい。摺動部に潤滑剤を介在させることで、低トルク化が図れ、摩耗も抑制でき、性能寿命を大幅に長くすることができる。グリースや潤滑油としては、低トルク化できれば特に限定するものではなく、通常、滑り軸受に用いられるものを使用できる。画像形成装置における定着部の定着ローラや加圧ローラなどを支持する滑り軸受には、150℃以上の耐熱性が必要となる。このような条件下では耐熱性が高いフッ素グリース、ウレアグリースを用いることが好ましい。また、滑り軸受に導電性が必要な場合は、導電性カーボンなどを配合した導電性グリースを用いてもよい。
実施例1、比較例1〜比較例3[一部円筒型(U字型)]
実施例および比較例の滑り軸受の製造に用いた樹脂組成物を表1に示す。表1の樹脂組成物を用いて、実施例1では図1に示す形状の滑り軸受を、比較例1と比較例2では図7に示す形状の滑り軸受を、比較例3では図8に示す形状の滑り軸受を、それぞれ射出成形により製作した。ここで、図7に示す滑り軸受21は、軸受本体22における軸受面23が回転軸の外周面に沿った円弧面(溝なし)であり、軸受内径寸法(軸受本体の内壁面間の距離)が8.1mm、軸受幅(軸受本体の軸方向寸法)が6mmである。図8に示す滑り軸受31は、軸受本体32における軸受面33が回転軸の外周面に沿った円弧面であり、軸受面33の軸方向略中央に周方向の溝34が形成されている。なお、実施例1の滑り軸受(図1)は、図7に示す形状の滑り軸受を射出成形により製造後に軸方向の溝5(溝幅1mm、溝深さ0.5mm)を機械加工した。また、比較例3の滑り軸受(図8)は、図7に示す形状の滑り軸受を射出成形により製造後に周方向の溝34(溝幅1mm、溝深さ0.5mm)を機械加工した。
製作した滑り軸受の軸受面にフッ素グリースを0.2g塗布し、ラジアル型試験機により、滑り軸受の軸受面と回転軸の外周面とが摺動する態様で摩擦摩耗試験を実施した。試験条件は、回転速度0.25m/min、ラジアル荷重150N(図7の滑り軸受で面圧に換算すると2.5MPa)、温度150℃で63時間の連続運転である。回転軸の材質は、快削鋼S45Cにニッケルメッキ処理を施した(表面粗さRa0.3μm)。回転軸の軸径はφ7.95mm、運転隙間は0.15mmである。上記した試験条件にて、運転開始から50時間経過後の回転トルク(摩擦力)と、試験前後の軸受高さ(肉厚差)より摩耗量を求めた。結果を表1に示す。また、回転トルク(摩擦力)の経時変化を図9〜図12に示す。
Figure 2018071787
表1と図9、10に示すように、実施例1と比較例1は、同一の樹脂組成物であるが、本発明の形状を用いた実施例1は低摩擦(低トルク)で安定しており、耐摩耗性に優れる結果であった。また、表1と図9、12に示すように、実施例1と比較例3は、同一の樹脂組成物であるが、本発明の形状を用いた実施例1は運転初期から回転トルクが低く安定しており、耐摩耗性に優れる結果であった。
実施例2、比較例4、比較例5[円筒型]
実施例2では図4に示す形状の滑り軸受を、PPS樹脂にリン酸リチウム20重量%、PTFE樹脂25重量%、黒鉛とアラミド繊維をそれぞれ5重量%、さらにカーボンブラックを3重量%配合した樹脂組成物を用いて射出成形により製作した。比較例4では図13(a)に示す形状の滑り軸受を、比較例5では図13(b)に示す形状の滑り軸受を、それぞれ実施例2と同じ樹脂組成物を用いて射出成形により製作した。ここで、図13(a)に示す滑り軸受41は、軸受本体42における軸受面43が回転軸の外周面に沿った円筒面(溝なし)であり、軸受内径寸法が20mm、軸受幅が6mmである。図13(b)に示す滑り軸受51は、軸受本体52における軸受面53が回転軸の外周面に沿った円筒面であり、軸受面53における回転軸の荷重を受ける部分に、3つの周方向の凸部54が形成された3面受け構造であり、この凸部間が溝55である。なお、実施例2の滑り軸受(図4)は、図13(a)に示す形状の滑り軸受を射出成形により製造後に軸方向の溝5(溝幅1mm、溝深さ0.8mm)を機械加工した。また、比較例5の滑り軸受(図13(b))は、図13(a)に示す形状の滑り軸受を射出成形により製造後に3つの凸部54(凸幅1.2mm、凸高さ0.5mm、凸−凸間距離1.2mm)を残すように機械加工した。
製作した滑り軸受に潤滑油を0.05g塗布し、ラジアル型試験機により、滑り軸受の軸受面と回転軸の外周面とが摺動する態様で摩擦摩耗試験を実施した。試験条件は、回転速度1.5m/min、ラジアル荷重152N(図13(a)の滑り軸受で面圧に換算すると1.3MPa)、温度150℃で50時間の連続運転である。回転軸の材質はA5052(表面粗さRa0.4μm)であり、回転軸の軸径は19.7mm、運転隙間は0.3mmである。上記した試験条件にて、運転開始から50時間までの動摩擦係数の経時変化を図14〜図16に示す。
図14〜図16に示すように、本発明の形状を用いた実施例2は、比較例4および比較例5に対して安定して摩擦係数が低く、低摩擦特性に優れる結果であった。特に10時間以降の摩擦係数は0.01より低く安定しており、比較例4、比較例5と比較して非常に優れている結果であった。
本発明の滑り軸受は、軸受面と回転軸との摩擦摩耗を低減でき、初期摩耗で発生した摩耗粉を摺接面から排出することができ、さらにグリースの供給性や保持性にも優れ、低トルクであるので、複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置における定着部の定着ローラや加圧ローラなどのローラの回転軸を支持する滑り軸受として好適に利用できる。
1 滑り軸受
2 軸受本体
3 軸受面
4 回転軸
5 溝
6 定着ローラ
7 加圧ローラ
8 剥離部材
9 トナー
10 用紙
11 バネ
12 ヒータ
13 傾斜溝
14 面取り

Claims (9)

  1. 回転軸の外周面に接触する軸受面を備えてなる滑り軸受であって、
    前記軸受面は、前記回転軸の外周面に沿った円筒面または一部円筒面であり、該軸受面における前記回転軸と摺接して荷重を受ける部分に、前記回転軸の軸方向に沿った溝を有することを特徴とする滑り軸受。
  2. 前記軸受面に潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の滑り軸受。
  3. 前記軸受面において、前記回転軸の軸線に対して非垂直方向の偏荷重が負荷されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の滑り軸受。
  4. 前記軸受面の軸方向両端部のうち、前記偏荷重により受ける荷重が大きい側の軸方向端部に、該端部の軸方向外側に向けて該軸受面を拡径するように形成された傾斜溝を有することを特徴とする請求項3記載の滑り軸受。
  5. 前記軸受面の軸方向両端部のうち、前記偏荷重により受ける荷重が大きい側の軸方向端部に、20度以下の面取りを設けたことを特徴とする請求項3記載の滑り軸受。
  6. 前記滑り軸受が、ポリフェニレンサルファイド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、およびポリアミドイミド樹脂から選ばれる1種以上の熱可塑性樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の成形体であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の滑り軸受。
  7. 前記樹脂組成物が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂およびリン酸リチウムを含有することを特徴とする請求項6記載の滑り軸受。
  8. 前記樹脂組成物が、カーボンブラックおよびカーボンナノチューブから選ばれる少なくとも1つを含有する導電性の樹脂組成物であることを特徴とする請求項6または請求項7記載の滑り軸受。
  9. 前記滑り軸受が、画像形成装置における定着ローラまたは加圧ローラの回転軸を支持する軸受であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項記載の滑り軸受。
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