JP2018071802A - 凝集抑制方法、凝集抑制材、化合物調整方法、流動床ボイラ、及び流動物 - Google Patents

凝集抑制方法、凝集抑制材、化合物調整方法、流動床ボイラ、及び流動物 Download PDF

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Abstract

【課題】流動材の凝集の抑制効果を向上できる凝集抑制方法、凝集抑制材、化合物調整方法、及び流動床ボイラを提供する。
【解決手段】粒径が15μm以下の融点調整物質をコーティング相と反応させることで、コーティング相の融点を上昇させている。このように、コーティング相の厚みに対して、融点調整物質の粒径を適切な値に設定することで、コーティング相との反応性を高めることができ、コーティング相の融点を良好に上昇させることができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、凝集抑制方法、凝集抑制材、化合物調整方法、流動床ボイラ、及び流動物に関する。
従来、流動床ボイラ(「CFBボイラ」ともいう)へのバイオマス燃料等の適用がなされている(特許文献1参照)。バイオマス燃料のうち、モミ殻やEFB(Empty Fruit Bunches)などの低品位のバイオマス燃料はアルカリ成分を多く含み、このアルカリ成分は低融点の化合物を生じさせる。このような低融点の化合物は流動材の表面に付着して、流動材を凝集させて流動不良を引き起こす原因となる。
特開2005−226930号公報
上述のような低融点の化合物は、流動材の表面に付着してコーティング相を形成する。このようなコーティング相の融点を上げるために、燃焼炉に添加剤を投入する場合があった。コーティング相の融点を上げることで、コーティング相の流動材に対する付着性を低減し、流動材の凝集を抑制できる。このように、コーティング相の融点を下げる場合に、添加した物質とコーティング相との反応性を高め、流動材の凝集の抑制効果を向上することが求められていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、流動材の凝集の抑制効果を向上できる凝集抑制方法、凝集抑制材、化合物調整方法、流動床ボイラ、及び流動物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る凝集抑制方法は、流動床ボイラ内の流動材の凝集を抑制する凝集抑制方法であって、粒径が15μm以下の融点調整物質を流動材の表面に付着形成するコーティング相と反応させることで、コーティング相の融点を上昇させる工程を含む。
本発明に係る凝集抑制方法によれは、粒径が15μm以下の融点調整物質をコーティング相と反応させることで、コーティング相の融点を上昇させている。このように、コーティング相の厚みに対して、融点調整物質の粒径を適切な値に設定することで、コーティング相との反応性を高めることができ、コーティング相の融点を良好に上昇させることができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
本発明に係る凝集抑制方法において、融点調整物質は、MgOであってよい。これにより、少ない融点調整物質の投入量にて、コーティング相の融点を上昇させることができる。
本発明に係る凝集抑制材は、流動床ボイラ内の流動材の凝集を抑制する凝集抑制材であって、流動材の表面に付着するコーティング相と反応して融点を上昇させる融点調整物質を含み、融点調整物質の粒径が15μm以下である。
本発明に係る凝集抑制材によれは、粒径が15μm以下の融点調整物質をコーティング相と反応させることで、コーティング相の融点を上昇させることができる。このように、コーティング相の厚みに対して、融点調整物質の粒径を適切な値に設定することで、コーティング相との反応性を高めることができ、コーティング相の融点を良好に上昇させることができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
本発明に係る化合物調整方法は、流動床ボイラ内の流動材の表面に付着するコーティング相に対して、粒径が15μm以下の融点調整物質を反応させることで、反応前のコーティング相より融点が高い化合物を調整する。
本発明に係る化合物調整方法によれは、粒径が15μm以下の融点調整物質をコーティング相と反応させることで、反応前のコーティング相よりも融点が高い化合物を調整できる。このように、コーティング相の厚みに対して、融点調整物質の粒径を適切な値に設定することで、コーティング相との反応性を高めることができ、融点の高い化合物を良好に調整することができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
本発明に係る流動床ボイラは、燃料を燃焼させる燃焼炉と、燃焼炉から排出される流動材、及び流動材の表面に付着するコーティング相と反応して融点を上昇させる融点調整物質を循環させる循環系と、循環系の系外に設けられ、循環系から排出される融点調整物質のうち、粒径が15μm以下の融点調整物質を捕捉する捕捉部と、を備える。
本発明に係る流動床ボイラによれは、捕捉部が、循環系から排出される融点調整物質のうち、粒径が15μm以下の融点調整物質を捕捉できる。このように捕捉された融点調整物質を再び燃焼炉へ供給することで、コーティング相の厚みに対して適切な粒径に設定された融点調整物質をコーティング相と反応させることができる。これにより、コーティング相との反応性を高めることができ、融点の高い化合物を良好に調整することができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
本発明に係る流動物は、流動床ボイラ内の流動物であって、複数の流動材を含み、流動材の表面に付着したコーティング相には、粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着形成している。
本発明に係る流動物によれば、粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分がコーティング相に付着している。これは、粒径が15μm以下の融点調整物質とコーティング相とが反応して、反応前のコーティング相よりも融点が高い化合物が調整されたことを示している。このように、コーティング相の厚みに対して、融点調整物質の粒径を適切な値に設定することで、コーティング相との反応性を高めることができ、融点の高い化合物を良好に調整することができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
また、本発明に係る流動物において、複数の流動材のうち、コーティング相に粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着形成している流動材の割合は30%以上であってよい。これにより、十分な量の流動材の凝集を抑制できるため、流動床ボイラ内を流動物が良好に流動することができる。
本発明によれば、流動材の凝集の抑制効果を向上できる。
図1は、本実施形態に係る凝集抑制方法が適用される流動床ボイラの概略構成図である。 図2は、溶融誘発メカニズム及びコーティング誘発メカニズムについて説明するための模式図である。 図3は、KO−SiO状態図である。 図4は、KO−MgO−SiO状態図である。 図5は、KO−CaO−SiO状態図である。 図6は、運転時間に対する初期アメグロ温度の関係、及び運転時間に対するコーティング相の平均厚さの関係を示すグラフである。 図7は、MgO粒子の粒径に関する実験結果を示す表である。 図8は、融点調整物質をコーティング相へ投入する際の様子を示す模式図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示されるように、流動床ボイラ(CFBボイラ)1は、燃料を燃焼し、密閉容器内の水を加熱して蒸気を生成する燃焼炉(炉本体)3と、燃焼炉3で生じた燃焼ガス(以下、「排ガス」という)Gから固形物を分離するサイクロン分離器(循環系)5と、排ガスGの熱を熱回収する熱回収部7と、サイクロン分離器5で排ガスGから分離された飛灰、すなわち排ガスGから分離された流動材Fa(図2参照)を燃焼炉3の下部に戻す循環ライン(循環系)9等を備えている。なお、熱回収部7には、過熱器などの熱交換チューブ等が配置されている。
燃焼炉3には、モミ殻やEFB(Empty Fruit Bunches)などのバイオマス燃料が投入される。この種のバイオマス燃料は、カリウムやナトリウムなどのアルカリ成分を多く含む低品位燃料である。さらに、燃焼炉3には、添加剤が投入される。燃焼炉3には、石英粒子を主成分とする流動材Faが投入されており、この流動材Fa中に下部から空気が供給され、流動材Faが流動して流動床(以下「ベット」という)Fが形成される。ベットFの形成により、燃料の燃焼が促進される。燃焼の結果として生じる排ガスGは、流動材Faの一部を随伴しながら燃焼炉3内を上昇する。
サイクロン分離器5は、燃焼炉3に隣接して配置されており、燃焼炉3から排出された排ガスG及び排ガスGに随伴された流動材Faを受け入れ、遠心分離作用によって排ガスGと流動材Faとを分離し、流動材Faを燃焼炉3に戻し、排ガスGを熱回収部7に送り込む。熱回収部7は、循環系の系外に設けられている。熱回収部7の後段には、排ガスG中の流動材Fa及び後述の融点調整材を捕捉する捕捉するフィルタ(捕捉部)12が設けられている。フィルタ12の構成については後述する。
サイクロン分離器5には、循環ライン9が接続されている。循環ライン9は、燃焼炉3の下部に接続された管路からなり、循環ライン9上にはループシール9aが設けられている。ループシール9aは、燃焼炉3からの排ガスGの逆流を防止する設備であり、ループシール9a内には、サイクロン分離器5から送り込まれた流動材Faが蓄積され、流動材Faはループシール9aの出口のリターンシュート部9bから燃焼炉3内に投入される。
また、流動床ボイラ1は、ループシール9a内に添加剤を供給するための添加剤供給部11を備えている。ループシール9a内に添加剤を供給することで、ループシール9a内での流動不良を効果的に抑えることができる。
次に、バイオマス燃料を流動床ボイラ1に投入して燃焼させた際に生じる現象を説明する。
バイオマス燃料の燃焼におけるボトムアッシュ(BottomAsh)とフライアッシュ(FlyAsh)の生成概念について説明する。ボトムアッシュは、流動材Faである砂を種としてバイオマス燃料中の成分が凝縮、融体、凝集して付着したり、砂表面で化学反応したりして粒子形成される。また、フライアッシュは、粒子形成されたボトムアッシュの一部が細かくなったものを除くと、バイオマス燃料中の成分そのものの凝縮、融体、凝集により形成される。
バイオマス燃料の燃焼における流動材(「流動砂」、「ベット材」ともいう)Fa中での流動阻害の主たる原因であるアグロメX(図2参照)は、ほとんどが低融点化合物の融体、すなわちバイオマス燃料中の成分により形成される物質の融体が流動材Fa表面へ付着したり、流動材Faの表面での共晶形成、すなわちバイオマス燃料中の成分が流動材Faの表面で化学反応したりして引き起こされ、溶融誘発およびコーティング誘発として知られている二つのメカニズムであると考えられている。
具体的には、バイオマス燃料を燃焼した際のアグロメXの生成の主要な原因は、バイオマス燃料からのアルカリ成分、たとえばカリウム(K)やナトリウム(Na)等と流動材Faの主成分である石英粒子との間で化学反応が生じ、流動材Faの表面での粘着性のあるアルカリ珪酸塩層が形成されることに起因すると特定されている。なお、アルカリ成分に加えてリンもアグロメXにおける重要因子であることが確認されている。
(溶融誘発メカニズム)
図2(b)に示されるように、溶融誘発メカニズムのアグロメXは、低融点化合物(アルカリ珪酸塩)の融体Mが流動材Faの表面に付着したボトムアッシュ粒子群が互いに集まって起こる。このメカニズムの制御因子は、局部温度と燃料灰組成とであり、高濃度のアルカリ成分と塩素とが含まれた燃焼灰では、溶融誘発メカニズムを通してアグロメXが形成される傾向にある。
(コーティング誘発メカニズム)
図2(a)に示されるように、コーティング誘発メカニズムのアグロメXは、流動材Faの表面での共晶コーティング(アルカリ珪酸塩相、コーティング相)Cが形成されたボトムアッシュ粒子群が、それらの共晶コーティングCにより接合と離散と繰り返し、その結果、粒子凝集が開始され、徐々にネック(流動阻害要因)になるアグロメXの形成に到る。このメカニズムの主要な制御因子は、共晶コーティング厚さ(接合離間のし易さ)、共晶コーティング組成(接合強度)および局所温度である。
なお、流動材Faの表面に実際にコーティングされた部分の詳細な分析結果から、このコーティング相は、共晶コーティング(KO−SiO:アルカリ珪酸塩相)Cであることが確認されている。この共晶コーティングCは、図3に示されるように、700℃にて溶融しはじめる。流動床ボイラ1の流動材Fa中の温度、具体的には、800℃〜900℃においては、流動材Faである粒子同士を容易に付着、凝集させるものであることが確認できる。なお、図3は、KO−SiO状態図である。
このようなコーティング相に対して、流動材Faの凝集を抑制する凝集抑制材が投入される。なお、凝集抑制材は、添加剤を流動床ボイラ1内に入れた後の状態のことを指すものとする。また、添加剤として含まれる化合物と、凝集抑制材として含まれる化合物とでは、組成が異なる場合もある。凝集抑制材は、コーティング相と反応して融点を上昇させる融点調整物質を含んでいる。コーティング相の融点を上昇させることで、高い温度で流動床ボイラ1を運転しても、流動材Fa同士が付着、凝集することを抑制できる。添加剤として、石灰石(CaCO)、消石灰(Ca(OH))、ドロマイト((CaCO(MgCO、CaMg(CO)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化アルミニウム(Al(OH))等が採用される。このような添加剤の組成が変化することで、MgOの粒子、CaOの粒子、Alの粒子等が、凝集抑制材に含まれる融点調整物質として機能する。
次に、コーティング相の形成と融点調整物質との関係について図4及び図5を参照して説明する。図4は、KO−MgO−SiO状態図であり、図5は、KO−CaO−SiO状態図である。
例えば、コーティング相の融点を高めるためKOに対して「Ca/K=2〜10」に相当するCaO(融点調整物質)を入れるとする。この場合、図5に示すように、融点が上昇したコーティング相(KO−CaO−SiO化合物)の融点は、約1000(10%CaO)〜約1500(99%CaO)の範囲にあると推定される。
図4に示すように、融点調整物質がMgOである場合に、コーティング相(KO−MgO−SiO化合物)の融点を上述の温度範囲にする場合、約1000(5%MgO)〜約1500(25%MgO)という添加量となる。このように、融点調整物質としてCaOよりもMgOを使用した方が、少量の添加量で融点を高めることができることが理解される。
ここで、本発明者らは、鋭意研究の結果、次の知見を得るに至った。すなわち、本発明者らは、融点調整物質の粒径を15μm以下とすることにより、コーティング相に対する反応性を向上することができ、コーティング相の融点を良好に高めることができることを見いだした。
例えば、図6に示す表は、2つのタイプのボイラについて、運転時間に対する初期アメグロ温度(流動材同士が付着し始める温度)の関係、及び運転時間に対するコーティング相の平均厚さの関係を示している。四角の点が90MWタイプのボイラでの測定結果を示し、丸の点が122MWタイプのボイラの測定結果を示す。白抜きの測定点に対するグラフが、運転時間に対する初期アメグロ温度を示し、塗りつぶされた測定点に対するグラフが、運転時間に対する平均厚みの関係を示している。なお、初期アメグロ温度とは、流動材Faの凝集初期温度(「凝集が始まる温度」と略同じである)の事を意味している。初期アメグロ温度の推移を参照すると、運転初期においては、初期アメグロ温度は急激に低下してゆき、所定の運転時間が経過した後(例えば10日以降)は、初期アメグロ温度は一定の温度で略横ばいとなる。このように、一定の運転時間が経過した後は、ボイラのタイプに応じて、初期アメグロ温度が安定する。すなわち、運転初期の段階では、コーティング相の平均厚みの増加に伴い、初期アメグロ温度が急激に減少し、安定しない状態であったが、ある程度の運転時間の経過後は、ボイラのタイプや運転条件に応じた固有の初期アメグロ温度に収束することが理解される。一方、初期アメグロ温度が略横ばいとなり始める期間(おおむね、運転時間が10〜20日付近)におけるコーティング相の平均厚みは、約10〜15μmの範囲に収まる。コーティング相の平均厚みは、初期アメグロ温度ほどに横ばいとはなっておらず、運転時間の経過と共に更に平均厚みが増す傾向が見られるが、これ以上コーティング相の平均厚みが増しても、初期アメグロ温度が低下する傾向は見られないため、初期アメグロ温度が略横ばいとなり始める期間におけるコーティング相の平均厚みを考慮して、融点調整物質52の設定を行えばよい。
図8に示すように、融点を上昇させるために融点調整物質52を投入して反応させる際は、融点調整物質52が当該コーティング相51内に含まれることで、反応性を向上できる。すなわち、融点調整物質52の粒径Rの上限値は、流動材50に付着したコーティング相51の厚みtに近いことが好ましい。この点、上述の図6に示す結果より、コーティング相51の厚みtは10〜15μmの範囲に収まるため、融点調整物質52の粒径Rを15μm以下、より好ましくは10μm以下に設定することで、反応性を向上できることを、本願発明者らは見いだした。
例えば、図7に示すように、融点調整物質としてMgO粒子の粒径を複数の値に設定して、流動不良の発生の有無について実験した。ここでは、炉内ベッド温度を780℃に設定し、融点調整物質の投入量としてMg/Kを0.3に設定した。当該条件に対して、粒径が53μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下に設定されたMgO粒子を投入した。また、炉内ベッド温度を830℃に設定し、融点調整物質の投入量としてMg/Kを0.8に設定した。当該条件に対して、粒径が53μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下に設定されたMgO粒子を投入した。このとき、図7に示すように、粒径が53μm以下の場合は、いずれの条件下においても流動不良が生じた。粒径が20μmの場合は、炉内ベッド温度が830℃の場合は流動不良が生じなかったが、炉内ベッド温度が780℃の場合は流動不良が生じた。一方、粒径が15μm以下の場合、及び10μm以下の場合は、いずれの条件下においても流動不良が生じなかった。当該実験より、融点調整物質の粒径を15μm以下とすることで、コーティング相との反応性を向上し、流動材の凝集の抑制効果を向上できることが理解される。
以上のような知見より、本実施形態に係る凝集抑制材に含まれる融点調整物質の粒径は15μm以下に設定される。すなわち、流動材の凝集を抑制する凝集抑制方法としては、粒径が15μm以下の融点調整物質をコーティング相と反応させることで、コーティング相の融点を上昇させる工程が実行される。また、化合物調整方法としては、流動床ボイラ1内の流動材の表面に付着するコーティング相に対して、粒径が15μm以下の融点調整物質を反応させることで、反応前のコーティング相より融点が高い化合物を調整する。
このとき、図8に示すように、融点調整物質の粒径は、コーティング相の内部へ投入される瞬間の値が反応性に影響を及ぼす。なお、本発明においては、コーティング相の内部へ投入される瞬間の融点調整物質の粒径が15μm以下であればよいものであり、融点調整物質を流動材に対してどのように投入するかについての投入方法は特に限定されるものではない。すなわち、どのような形態、タイミング、方法で融点調整物質を投入したとしても、コーティング相に投入される瞬間の融点調整物質の粒子が15μm以下であればよい。
なお、流動床ボイラ1に対する添加剤の投入量としては、Mg/Kを0.2〜2の範囲とすることが好ましい。また、ベッド温度を750〜900℃の範囲で運転することで、好適に流動材の凝集抑制効果を得てもよい。
また、図1に示すフィルタ12は、循環系から排出される融点調整物質のうち、粒径が15μm以下の融点調整物質を捕捉する。このようにフィルタ12で捕捉した15μm以下の融点調整物質は、再び燃焼炉3内へ供給されてよい。このとき、フィルタ12で捕捉した融点調整物質を作業者が搬送することによって、燃焼炉3へ供給してもよく、供給装置を設けることで、融点調整物質を燃焼炉3へ供給してもよい。
次に、流動床ボイラ1内の流動物について説明する。ここで、「流動物」とは、流動床ボイラ1内を流動している途中の物質、または流動床ボイラ1が停止した後に当該流動床ボイラ1内に存在する物質である。流動物は、表面にコーティング相が付着した複数の流動材を含んでいる。本実施形態に係る流動物において、流動材の表面に付着したコーティング相には、粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着している。融点調整物質がMgOであった場合、当該成分とはMgのことである。融点調整物質がCaOであった場合、当該成分とはCaのことである。融点調整物質がコーティング相に投入される瞬間は、融点調整物質は粒径15μm以下の粒子の状態が保たれている。その後、当該融点調整物質がコーティング相と反応して融点を上昇させた後は、融点調整物質は投入時と同じような粒子の状態にはない。しかしながら、反応後のコーティング相には、粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着した状態である。後述の方法を用いて反応後のコーティング相の成分を測定することにより、コーティング相に粒径15μm以下の融点調整物質が投入されたことを事後的に確認することができる。
複数の流動材のうち、コーティング相に粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着形成している流動材の割合は30%以上であってよい。これは、例えば流動物の中から流動材の粒子を1000個取り出してコーティング相を解析した時に、コーティング相に粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着している粒子が300個以上存在することを示している。なお、上記割合は、より好ましくは50%以上であってよく、100%であってもよい。
ここで、流動物100のコーティング相51に付着する、粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分の測定方法の一例について説明する。当該測定方法では、EDXを備えるSEMを用いて測定を行った。EDXは、電子線照射により発生する特性X線を検出し、エネルギーで分光することで組成解析を行う装置であり、例えばOXFORD INSTRUMENTS社製のINCAを採用した。SEMは走査電子顕微鏡であり、日立ハイテクノロジーズ製のS−3400Nを採用した。以降、SEM及びEDXを組み合わせた物をまとめて「測定器」と称する。
まず、流動床ボイラ1から流動物を取りだし、その中から所定の数量(又は重量)の流動材を採取する。採取したサンプルは、樹脂に埋込後、#1000エメリー紙仕上げ(乾式)を行うことで、流動材の粒子断面を形成する。この粒子断面を測定器で測定する。具体的には、映し出された流動材の断面の画像の中から、コーティング相に相当する部分の所定の測定領域(例えば、図8においてAPで示す領域)を選定する。そして、当該測定領域に含まれる組成成分、及び各成分の濃度を測定する。このとき、所定の厚さのコーティング相内に融点調整物質に含まれる成分(例えばMgやCa)が含まれていることが確認できれば、当該コーティング相の厚さ以下の粒子径の融点調整物質が反応したことを事後的に確認することができる。よって、少なくとも15μm以下の厚みのコーティング相の中に、融点調整物質に含まれる成分が含まれることが確認できれば、測定対象に係る流動材の表面に付着したコーティング相には、粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着していることが確認でき、さらにそこから、反応時においてコーティング相と粒径が15μm以下の融点調整物質が反応したことを確認できる。
次に、本実施形態に係る凝集抑制方法、凝集抑制材、化合物調整方法、及び流動床ボイラ1の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る凝集抑制方法は、流動床ボイラ1内の流動材の凝集を抑制する凝集抑制方法であって、粒径が15μm以下の融点調整物質を流動材の表面に付着するコーティング相と反応させることで、コーティング相の融点を上昇させる工程を含む。
この凝集抑制方法によれは、粒径が15μm以下の融点調整物質をコーティング相と反応させることで、コーティング相の融点を上昇させている。このように、コーティング相の厚みに対して、融点調整物質の粒径を適切な値に設定することで、コーティング相との反応性を高めることができ、コーティング相の融点を良好に上昇させることができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
本実施形態に係る凝集抑制方法において、融点調整物質は、MgOである。これにより、少ない融点調整物質の投入量にて、コーティング相の融点を上昇させることができる。
本実施形態に係る凝集抑制材は、流動床ボイラ1内の流動材の凝集を抑制する凝集抑制材であって、流動材の表面に付着するコーティング相と反応して融点を上昇させる融点調整物質を含み、融点調整物質の粒径が15μm以下である。
この凝集抑制材によれは、粒径が15μm以下の融点調整物質をコーティング相と反応させることで、コーティング相の融点を上昇させることができる。このように、コーティング相の厚みに対して、融点調整物質の粒径を適切な値に設定することで、コーティング相との反応性を高めることができ、コーティング相の融点を良好に上昇させることができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
本実施形態に係る化合物調整方法は、流動床ボイラ内の流動材の表面に付着するコーティング相に対して、粒径が15μm以下の融点調整物質を反応させることで、反応前のコーティング相より融点が高い化合物を調整する。
この化合物調整方法によれは、粒径が15μm以下の融点調整物質をコーティング相と反応させることで、反応前のコーティング相よりも融点が高い化合物を調整できる。このように、コーティング相の厚みに対して、融点調整物質の粒径を適切な値に設定することで、コーティング相との反応性を高めることができ、融点の高い化合物を良好に調整することができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
本実施形態に係る流動床ボイラ1は、燃料を燃焼させる燃焼炉3と、燃焼炉3から排出される流動材、及び流動材の表面に付着するコーティング相と反応して融点を上昇させる融点調整物質を循環させる循環系(サイクロン分離器5及び循環ライン9)と、循環系の系外に設けられ、循環系から排出される融点調整物質のうち、粒径が15μm以下の融点調整物質を捕捉するフィルタ12と、を備える。
この流動床ボイラ1によれは、フィルタ12が、循環系から排出される融点調整物質のうち、粒径が15μm以下の融点調整物質を捕捉できる。このように捕捉された融点調整物質を再び燃焼炉3へ供給することで、コーティング相の厚みに対して適切な粒径に設定された融点調整物質をコーティング相と反応させることができる。これにより、コーティング相との反応性を高めることができ、融点の高い化合物を良好に調整することができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
本実施形態に係る流動物は、流動床ボイラ内の流動物であって、複数の流動材を含み、流動材の表面に付着したコーティング相には、粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着している。
この流動物によれば、粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分がコーティング相に付着している。これは、粒径が15μm以下の融点調整物質とコーティング相とが反応して、反応前のコーティング相よりも融点が高い化合物が調整されたことを示している。このように、コーティング相の厚みに対して、融点調整物質の粒径を適切な値に設定することで、コーティング相との反応性を高めることができ、融点の高い化合物を良好に調整することができる。以上により、流動材の凝集の抑制効果を向上することができる。
また、流動物において、複数の流動材のうち、コーティング相に粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着している流動材の割合は30%以上である。これにより、十分な量の流動材の凝集を抑制できるため、流動床ボイラ内を流動物が良好に流動することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明に係る凝集抑制方法は、図1に示すような流動床ボイラ以外の装置に対して適用されてもよい。
1…流動床ボイラ、3…燃焼炉、5…サイクロン分離器、9…循環ライン、12…フィルタ(捕捉部)、51…コーティング相、52…融点調整物質、F,50…流動材、100…流動物。

Claims (7)

  1. 流動床ボイラ内の流動材の凝集を抑制する凝集抑制方法であって、
    粒径が15μm以下の融点調整物質を前記流動材の表面に付着するコーティング相と反応させることで、前記コーティング相の融点を上昇させる工程を含む、凝集抑制方法。
  2. 前記融点調整物質は、MgOである、請求項1に記載の凝集抑制方法。
  3. 流動床ボイラ内の流動材の凝集を抑制する凝集抑制材であって、
    前記流動材の表面に付着するコーティング相と反応して融点を上昇させる融点調整物質を含み、
    前記融点調整物質の粒径が15μm以下である、凝集抑制材。
  4. 流動床ボイラ内の流動材の表面に付着するコーティング相に対して、粒径が15μm以下の融点調整物質を反応させることで、反応前の前記コーティング相より融点が高い化合物を調整する、化合物調整方法。
  5. 燃料を燃焼させる燃焼炉と、
    前記燃焼炉から排出される流動材、及び前記流動材の表面に付着するコーティング相と反応して融点を上昇させる融点調整物質を循環させる循環系と、
    前記循環系の系外に設けられ、前記循環系から排出される前記融点調整物質のうち、粒径が15μm以下の前記融点調整物質を捕捉する捕捉部と、を備える流動床ボイラ。
  6. 流動床ボイラ内の流動物であって、
    複数の流動材を含み、
    前記流動材の表面に付着したコーティング相には、粒径が15μm以下の融点調整物質に含まれる成分が付着している、流動物。
  7. 前記複数の流動材のうち、前記コーティング相に粒径が15μm以下の前記融点調整物質に含まれる成分が付着している流動材の割合は30%以上である、請求項6に記載の流動物。
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