JP2018077231A - 原子炉を炉心の熱水力/中性子不安定性から保護する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、拡張運転出力/流量条件において、特に拡張型出力増強を実施する際に、沸騰水型原子炉等の炉心を、熱水力不安定性による燃料および被覆の損傷から保護する方法に関する。【解決手段】この方法は、出力/流量マップの安定性脆弱領域内での運転を排除するために、既存の認可された安定性方法論を使用し、例えば、平均出力領域モニタ(APRM)に基づくトリップ装置の小規模な変更を含むものである。炉心流量が所定値を下回る場合に、APRMに基づくトリップ装置をAPRM流動バイアス緊急停止線を引き下げるように変更して、炉心が運転不安定領域へ移行するのを防ぐ。【選択図】図2
Description
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、「Alternate Stabiliy Sоlutiоn - fоr MELLLA+」と題する2012年3月16日に提出された米国仮特許出願第61/611、618号に基づく優先権を主張する。
本出願は概して沸騰水型原子炉等の原子炉の運転方法に関し、拡張運転出力/流量条件において、特に拡張型出力増強を実施する際に原子炉を炉心の熱水力/中性子不安定性から保護することを目的とする。
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、「Alternate Stabiliy Sоlutiоn - fоr MELLLA+」と題する2012年3月16日に提出された米国仮特許出願第61/611、618号に基づく優先権を主張する。
本出願は概して沸騰水型原子炉等の原子炉の運転方法に関し、拡張運転出力/流量条件において、特に拡張型出力増強を実施する際に原子炉を炉心の熱水力/中性子不安定性から保護することを目的とする。
一般に、沸騰水型原子炉(BWR)の炉心流量と発電との間には固有の関係がある。炉心から制御棒を一定量引き抜いた場合について、一定制御棒線(流量制御線および負荷線とも呼ばれ、例えば最大拡張負荷線限界解析(MELLLA)とMELLLA+がある)を定めることができる。炉心流量を徐々に増やすと、減速材中のボイドおよびそれに関連するボイド反応度フィードバックが減少し、この一定制御棒線に沿って出力が上昇する。燃料熱限界を含む様々な安全限界を満たすために、負荷線限界が定められている。
出力増強(例えば当初の認可出力の120%まで)が実施されると、設計(最大)炉心流量限界での発電量の増加を実現するために負荷線限界が引き上げられる。ただし、出力増強によって炉心の熱水力安定性が悪化し、図1に示すように、出力/流量運転マップの左上隅(すなわち高出力/低炉心流量条件)で不安定性に遭遇しやすい方向へ変化する。炉心の運転が不安定であると、ボイド反応度フィードバックと、ボイドを発生させる熱流束の発生との間で共振が生じることにより、発散的な中性子束(および熱流束)が発生することがある。発散的な出力振動が起こると、燃料被覆のドライアウトとリウェットとが交互に発生し、最終的に被覆が破損する可能性がある。したがって、出力/流量マップのこの領域(左上隅)における炉心運転を避けることが非常に望ましい。
沸騰水型原子炉所有者グループ(BWROG)の長期安定性解決法は、燃料の健全性を損なうような不安定性を検出および抑制することを目的とする。具体的なプラント安定特性に応じて、原子炉の様々な種類およびサイズに適した種々の方法がある。広く適用されている1つの方法は、オプションIII解決法であり、この方法は、オフライン安定性解析に基づく管理上の安定性排他領域、すなわちバックアップ安定性保護(BSP)とは別に、3つの振動検出アルゴリズムを実装する振動出力領域モニタ(OPRM)のハードウェアおよびソフトウェアシステムを含む。OPRM装置は、局所出力領域モニタ(LPRM)検出器信号の集合を入力に用いる。
バックアップ安定性保護はオプションIII方法論の一部であり、OPRM装置が作動不能な場合に適用される。この方法は、全域モード、広域モードおよび熱水力振動モードの安定性計算に基づく。「緊急停止領域」は、最も安定性の低いモードの安定限界を表す。「制御エントリー領域」は、「緊急停止領域」に適切な余裕を与えて設定した限界である。
図1に示すように、OPRM装置は、点MFGの左上の領域(領域1)で規定される運転領域において「作動可能」(トリップ可能)な状態にある。不安定な(増大する)出力振動の存在を示す、OPRM装置の設定点を超えると、この振動により燃料損傷が起こる可能性が生じる前に不安定な運転を抑制するための自動緊急停止または選択制御棒挿入が始動される。OPRM装置の設定点は、「限界出力比(CPR)の変化量と初期最小限界出力比(IMCPR)との比と、振動規模との関係」(DIVOM)方法論によって規定される安定性解析によって求められる。DIVOM方法論は、ドライアウト振動規模をホットチャネル振動規模(HCOM)に関連付ける。OPRM装置の設定点は、HCOMをOPRM振動振幅に関連付けた表から求める。限界HCOMは、サイクルの限界燃焼度条件での自然循環曲線3(図1に示す)に基づく計算によって求める。この計算は、ドライアウト振動とホットチャネル出力振動の関係に関して制限的であることから、広域振動モードについて行われる。
不安定な発散的出力振動の存在は、当然のこととして、安全限界最小限界出力比(SLMCPR)を必要とする。出力の振動は、熱流束と冷却材流量が振動し、さらにMCPRが振動することを意味する。DIVOM方法論では、予想される不安定事象の結果として増大する振動が存在することによりSLMCPRを超える状況にならないように、OPRMの設定点を定める。図1に示すように、このオプションは、BC’によって規定されるMELLLA制御棒線5に達するまでの運転に関して承認されている。
拡張型出力増強が実施される場合、MELLLA制御棒線5を超えて許容される運転は、DE’によって規定されるMELLLA+と呼ばれる高位制御棒線7(図1に示す)までであることが非常に望ましい。OPRMの設定点を定めるDIVOM方法論の解析状態点は、自然循環曲線3と最高制御棒線の交点、あるいは二重ポンプトリップ後に到達する状態点、すなわち、図1のE’として規定される。
したがって、図1に示すように、全出力においてフローウィンドウが左側に増大する場合のMELLLA+領域9内での運転は、D点からの二重ポンプトリップが、MELLLA領域の場合に比べて、自然循環曲線3上のより高い出力値で終了する、すなわち、C’ではなくE’で終了することを意味する。この状態点(E’)は、当初の(MELLLA)状態点(C’)よりも不安定であり、個々の燃料チャンネルは、熱水力安定限界に近いかまたはそれを超える可能性がある。これは、無秩序なまたは急速に発散するホットチャンネル振動につながるおそれがあり、DIVOM方法論の破綻を意味する。
DIVOM方法論は、限定されたチャンネルについてドライアウト振動とホットチャネル出力振動の関係を計算するので、熱水力安定性が低下した場合、小さな出力振動が大きなチャンネル流量振動をもたらし、それに応じて大きなドライアウト振動が生じる可能性がある。DIVOM関係式の勾配が大きくなり、許容されるHCOMが小さくなる。その結果、OPRM装置の設定点が低くなる。OPRM装置の設定点は、相対的なLPRM振動規模を反映する。設定点が低すぎると、OPRM装置は、原子炉雑音レベル範囲内の振動に対して緊急停止する可能性がある。しかし、設定点が高すぎると、熱水力的(チャンネル)に不安定な状態で原子炉が運転を続ける可能性がある。
別の既知の安定性解決法であるオプション1‐Dは、既存の原子炉保護系(RPS)を使用して十分な自動検出・抑制機能を提供する。図1に示すように、予想される炉心全体モードの振動に対して、SLMCPRの安全限界は、APRM流量バイアストリップ4(引き下げなし)によって保護される。オプション1‐Dのプラントは、入口オリフィスが狭く炉心が小型であることから、広域振動が起きる確率が非常に低い。したがって、このオプションのためのDIVOM方法論は、全域振動に基づく。オプションIIIへのDIVOM方法論の適用可能性に関する懸念は、オプション1‐Dにも同等に当てはまる。
オプション1‐Dの場合、DIVOM方法論の破綻とは、APRM流量バイアストリップ線4より下で熱水力不安定性が起きると言うことである。したがって、DIVOM方法論は十分に堅牢ではなく、熱水力不安定限界においては適用できない。
この問題の解決策として、周知の「確認密度」解決法が提案されている。確認密度は、OPRMハードウェアを使用し、新しいアルゴリズムを実装することによって、炉心の局所領域における小振幅の出力振動の徴候を検出する。十分な数のOPRMセルで、炉心不安定性に特徴的な振動の存在が確認されたら、振動の振幅が大きくなって燃料損傷の危険が生じる前に、警報と緊急停止信号を発生させ、原子炉を緊急停止させる(SRI作動)。しかし、この解決法の導入は、ハードウェアおよび認可が複雑になることや、原子炉雑音レベルの振動の検出が偽の緊急停止につながるおそれがあることなどの欠点がある。
不安定で連動しない熱水力/中性子振動(いわゆる密度波)から炉心を保護する別の周知の関連方法が提案されている。この方法は、連動する(中性子/熱水力)挙動の存否につきLPRM検出器信号を解析するものである。連動する振動が検出されなければ、解析的に求めた排他領域へ移行したかどうかを調べるために計算(オンラインまたはオフライン)がなされる。この排他領域は、熱水力安定限界を規定する。この方法を実施するには、連動しない密度波振動の危険性を測るためのオンラインアルゴリズムと、自動または手動の緊急停止または他の是正措置に関連する追加の論理が必要である。
したがって当技術分野では、炉心の熱水力/中性子不安定性による燃料被覆の破損を防ぐために、出力/流量マップの脆弱領域での原子炉の運転を防止することによる、より信頼性のある解決法を開発する必要がある。さらに、その解決法は、比較的簡単で、運転員にとってわかりやすく、認可が得やすく、実装しやすい(ハードウェアとソフトウェア)ことが要求される。
一局面において、本発明は、増強された出力レベルに対応する拡張された運転領域における熱水力不安定領域での原子炉の運転を防止する方法を提供する。この方法は、出力/流量運転マップを生成するステップを含み、当該ステップは自然循環曲線を定めることと、当初の認可出力の100%に対応し、流量の増加に伴って出力が増加する第1の制御棒線を与えることと、当該第1の制御棒線に対応するOPRMの設定点を与えることと、当該第1の制御棒線に対応するAPRM流量バイアス緊急停止線を与えることと、当初の認可出力の100%超に対応し、流量の増加に伴って出力が増加する第2の制御棒線を与えることであって、当該第1の制御棒線との間に拡張された運転領域を形成するように、当該第2の制御棒線は当該第1の制御棒線の上方に配置され、当該運転領域はさらに当該自然循環曲線を境界とし、当該自然循環曲線上で当該第2の制御棒線は当該第1の制御棒線よりも出力が高いものである、当該第2の制御棒線を与えることと、当該第2の制御棒線の下方、且つ当該第1の制御棒線の上方にあり、さらに、当該OPRMの設定点の上方、且つ当該APRM流量バイアス緊急停止線の下方にある、当該拡張された運転領域内部の不安定領域を特定することを含む。当該方法はさらに、当該不安定領域に対応する、所定の炉心流量の設定点と所定の出力の設定点とを含む熱水力安定限界を特定するステップと、炉心流量が当該所定の炉心流量の設定点を下回り、且つ/又は出力が当該所定の出力の設定点を上回る場合に、当該既存のAPRM流量バイアス緊急停止線を当該熱水力安定限界の下方に引き下げるステップと、APRMを作動させ、APRM緊急停止または選択制御棒挿入動作を引き起こすことによって、炉心の運転が当該不安定領域で行われることを防止するステップとを含む。
前記第2の制御棒制御線に至るまで原子炉の運転を行うことにより、当初の認可出力の120%まで当該原子炉の運転を行うことができる。
流量減少過渡状態に際しては、前記不安定領域外部にある前記OPRMの設定点を用いて自動緊急停止を始動させることができる。
前記所定の炉心流量の設定点と所定の出力の設定点は、プラント固有の炉心設計およびサイクルの開始から終了までの時間の関数としての炉心の減損解析特性に基づいて計算することができる。
前記所定の炉心流量の設定点は定格炉心流量の55%であるとすることができる。
本発明の詳細を、好ましい実施態様を例にとり、添付の図面を参照して以下に説明する。
本発明は、沸騰水型原子炉(BWR)炉心内で予想される連動的な熱水力/中性子不安定性による燃料損傷および燃料被覆の破損を防ぐ方法を提供する。本発明は、全域および広域モードと、拡張された運転領域(EOD)における熱水力不安定性を含む。拡張型出力増強(EPU)の実施に伴って運転領域が拡張される場合に、このような保護は非常に望ましい。
特定の実施態様において、本発明は、出力/炉心流量領域内の拡張された運転領域で運転されるBWR向けのウェスチングハウス安定性解決法(WEOD‐S)を含む。
本発明の目的は、拡張された運転領域において、既存の認可された安定性方法論を使用することである。これを達成するために、特定の(例えば事前に選択または決定した)炉心流量の設定点または設定レベルを下回るような、APRM流量バイアス緊急停止線の引き下げを導入する。引き下げられたAPRM流量バイアス緊急停止線の設定点は、熱水力安定限界の三次元炉心解析を用いて決定する。本発明に基づく方法は、以下の特徴の1つ以上を備える。(i)振動確認が不要である、(ii)現存のハードウェア解決法に対して必要な変更は簡単なまたは軽微なものである、(iii)OPRMを用いた運転に際して設計の多様性を実証する。
本発明の方法は、特定の理論の制約を受けることなしに、連動する熱水力/中性子振動を予測し、出力/流量マップの安定性脆弱領域での運転を先見的かつ自動的に防止することを意図する。
本発明は、拡張された運転領域における炉心の運転に制約を導入する。本発明の特定の実施態様に従って、出力/流量運転マップの脆弱領域での運転を以下のように防止する。平均出力領域モニタ(APRM)に基づくトリップ装置を使用して、予見的な緊急停止または出力低下を行う。炉心出力が増加し、炉心流量が低下すると、APRMトリップが作動する。これは、APRM中性子束流量バイアス緊急停止線を引き下げることによって実現でき、緊急停止線を境界とする領域内で、認可された安定性方法論を引き続き適用できる。必要とされる緊急停止線の引き下げ量の根拠となるのは、炉心の熱水力安定限界の確立である。この解決法では、周知の解決法で一般に必要となる複雑なアルゴリズムや新たな運転員インターフェースを使用する必要がない。したがって、本発明のこれらの特徴によって、認可手続きが容易になると予想される。
当技術分野で周知の既存の方法論では、特定領域(MELLLA制御棒線に達するまでの領域)における原子炉の運転が可能である。OPRM計測器を使用して関連する警報と自動緊急停止または選択制御棒挿入を始動することにより、オプションIIIのプラントを対象にこの領域での不安定な運転を抑制する。APRM流量バイアス緊急停止は、オプション1‐Dのプラントを対象に、燃料の健全性を保護する。拡張型出力増強を実施した結果として、MELLLA制御棒線を超えて高位制御棒線に達するまでのMELLLA+領域での運転が望まれる。しかし、既存の方法論は、この拡張された領域内の低炉心流量領域で予想される不安定な運転を抑制するための十分な保護を提供しない。そこで、本発明の方法は、保護された炉心運転のための熱水力安定限界によって規定される新たな所定レベルを確立できるようにする。この新たな所定レベルは、MELLLA制御棒線を超えたMELLLA+領域内での運転を可能にする。既存のOPRM計測器を引き続き作動可能にし(オプションIIIのプラントの場合)、関連する警報と、自動緊急停止または選択制御棒挿入を始動させることによって、この拡張された領域での不安定な運転の検出および抑制に使用できる。
解析の結果、DIVOM方法論は、勾配が急なDIVOM曲線が低いOPRM設定点を与えるため、あるいは発散的振動の挙動が無秩序であるために(非線形特性が卓越する状況下で)、熱水力不安定限界で破綻すると言われている。本発明の方法は、DIVOM方法論が破綻する(すなわち適用不能となる)状態点へ原子炉の運転が(意図的にまたは意図せずに)移行するのを防ぐ。本発明の方法は、確立および認可されたDIVOM方法論およびOPRMハードウェアをMELLA制御棒線を超える運転に引き続き適用できる領域を予想し、該領域を控えめに規定する。振動を抑制するためのそのような予見的トリップ信号は、運転において受容可能であり、過渡状態と運転員による排他領域への移行の確率が低いため、プラント稼働率への影響を減少または最小化することが確認されている。
本発明に従って、運転領域をDIVOM方法論の適用可能領域に限定することによって、既存のオプションIII OPRMに基づく解決法は保持される。オプションIIIOPRMに基づく解決法は、大半の運転領域について保持される。OPRMの設定点が燃料損傷を防止できない可能性のある領域については、既存のAPRMに基づくトリップ装置を使用して、予見的緊急停止または出力低下(選択制御棒挿入による)機能を提供することにより、DIVOM方法論を適用できない領域、すなわち熱水力安定限界付近への移行を自動的に防止する。
既存のAPRM流量バイアストリップ装置には、必要な出力低下機能を実現するための予見的緊急停止または選択制御棒挿入トリップを自動的に行うように、最小限の変更(引き下げなど)が施される。この装置は、先進的な三次元炉心力学計算に基づく熱水力的安定性限界によって規定される所定の設定点または設定レベルに比べて炉心出力が高く、かつ炉心流量が低い場合に作動する。
図2は、APRMトリップに関するEOD代替安定性解決法を描画する出力/流量運転マップである。図2には、図1に示した領域1、自然循環曲線3、APRM流量バイアストリップ線(引き下げなし)4、MELLLA制御棒線5、高位制御棒線(MELLLA+)7およびMELLLA+領域9が含まれる。図2にはまた、HJで表される新たな熱水力安定限界線14によって規定される所定レベルXが含まれる。この限界は、熱水力コードシュミレータによって決められる。本発明で使用するのに適したコードには、POLCA‐T(これに限定されない)など、当技術分野で周知の市販のコードが含まれる。一般に、熱水力安定限界を決定するために使用するプラント固有データがコードに入力される。データには、炉心の設計と、サイクルの開始から終了までの時間の関数としての炉心の減損解析特性が含まれることがあるが、これらに限定されるわけではない。熱安定限界に達する出力レベルを突き止めるために、様々な流量におけるもっとも制約的な熱限界線が計算される。
研究の結果、緊急停止トリップ線より右側の高炉心流量領域で局所的な不安定性に遭遇する可能性は非常に低いことがわかった。この予見的緊急停止(または選択制御棒挿入による出力低下)は、運転員操作や不安定性の検出によらずに始動される。したがって、EODで発生する可能性のあった不安定な熱水力振動が回避され、SLMCPRへの不適合が生じる前に広域および全域振動が確実かつ即座に抑制される。
さらに、図2中のAPRM流量バイアス緊急停止トリップ線(引き下げあり)16は、熱水力安定限界の解析に基づいている。すなわち、不安定領域での運転を確実に防ぐために必要な引き下げ量(当初のAPRM流量バイアス緊急停止トリップ線4との比較)を解析により求める。
図3は、全域、広域および熱水力的な安定限界の例を描画する出力/流量運転マップである。この図は、原子炉動力学を始点とする原子炉安定特性の典型的な結果を示す。最初に、炉心全体(全域)安定限界28に到達する。さらに、広域不安定限界30、熱水力不安定限界32へと到達する。安定限界線は、制御棒線より勾配が急である(一定の反応度)。この特性により、以下の方法によって、APRM流量バイアス緊急停止トリップ線の引き下げを規定することができる。
‐ 自然循環において、またはAPRM流量バイアス緊急停止線の2つの接線の交点によって決まる状態点(ST)において、熱水力不安定線は、不安定状態に遭遇するまで出力を上げていく一連の状態点の時間領域解析によって求められる。
‐ 一般およびプラント固有の制約、また特定の実施態様においてはサイクル固有の制約を与えるものとして熱水力不安定性の状態点を求める上で、不確実性に関する適切な方法論を適用する。
‐ 炉心流量の関数としての制御棒線が熱水力不安定線よりも常に勾配が緩やかであることを勘案する。したがって、APRM流量バイアス緊急停止トリップ線の引き下げ設定点は、熱水力不安定性出力(不確実性を含む)と自然循環における最高位制御棒線出力との差分として規定される。
‐ 右側の境界X(例えば図1の55%流量)は、外挿されたバックアップ安定性保護「制御エントリー」線の右側に位置するものと定める。
‐ MELLLA線上または下方での運転に際して適切な保護を提供する既存の解決法であるOPRMオプションIIIおよびAPRM流量バイアスオプション1‐Dは、保持される。承認・認可済みの方法であるオプションIIIは、運転が排他領域(MFG)へ移行した際に、OPRMが不安定性(広域または炉心全体)を検出して運転員に警報を発するものであり、振動振幅が過度に大きくなった場合に最終的にはプラントを緊急停止させる。熱水力安定限界に基づくAPRM流量バイアス緊急停止線の引き下げにおいても、認可されたオプション1‐D方法論が保持される。さらに、MELLLA+領域で運転する際に、流量減少過渡状態(運転員、制御不良またはポンプトリップにより開始)があった場合、流量減少により不安定領域(安定限界線の左側として定義)に移行する前に、自動緊急停止(または選択制御棒挿入)が始動される。これは、中性子監視システム(NMS)計測器オプションによる以下のいずれかの緊急停止開始機能によって達成される。
1.炉心流量が減少してXを下回った場合、既存のAPRM緊急停止流量バイアストリップ線は通常レベルから自動的に引き下げられるが、その引き下げ量は、流量/出力状態が安定限界線の左側に移行する前に緊急停止を引き起こす量である。
2.安定限界線のすぐ右側を通る個別仕様の緊急停止曲線が与えられ、流量がXを下回るときはいつでも緊急停止可能な状態にされるが、これにより安定限界(前述のようにバックアップ安定性保護(BSP)の制御エントリー線に基づく)に対して十分な余裕が与えられる。
‐ 自然循環において、またはAPRM流量バイアス緊急停止線の2つの接線の交点によって決まる状態点(ST)において、熱水力不安定線は、不安定状態に遭遇するまで出力を上げていく一連の状態点の時間領域解析によって求められる。
‐ 一般およびプラント固有の制約、また特定の実施態様においてはサイクル固有の制約を与えるものとして熱水力不安定性の状態点を求める上で、不確実性に関する適切な方法論を適用する。
‐ 炉心流量の関数としての制御棒線が熱水力不安定線よりも常に勾配が緩やかであることを勘案する。したがって、APRM流量バイアス緊急停止トリップ線の引き下げ設定点は、熱水力不安定性出力(不確実性を含む)と自然循環における最高位制御棒線出力との差分として規定される。
‐ 右側の境界X(例えば図1の55%流量)は、外挿されたバックアップ安定性保護「制御エントリー」線の右側に位置するものと定める。
‐ MELLLA線上または下方での運転に際して適切な保護を提供する既存の解決法であるOPRMオプションIIIおよびAPRM流量バイアスオプション1‐Dは、保持される。承認・認可済みの方法であるオプションIIIは、運転が排他領域(MFG)へ移行した際に、OPRMが不安定性(広域または炉心全体)を検出して運転員に警報を発するものであり、振動振幅が過度に大きくなった場合に最終的にはプラントを緊急停止させる。熱水力安定限界に基づくAPRM流量バイアス緊急停止線の引き下げにおいても、認可されたオプション1‐D方法論が保持される。さらに、MELLLA+領域で運転する際に、流量減少過渡状態(運転員、制御不良またはポンプトリップにより開始)があった場合、流量減少により不安定領域(安定限界線の左側として定義)に移行する前に、自動緊急停止(または選択制御棒挿入)が始動される。これは、中性子監視システム(NMS)計測器オプションによる以下のいずれかの緊急停止開始機能によって達成される。
1.炉心流量が減少してXを下回った場合、既存のAPRM緊急停止流量バイアストリップ線は通常レベルから自動的に引き下げられるが、その引き下げ量は、流量/出力状態が安定限界線の左側に移行する前に緊急停止を引き起こす量である。
2.安定限界線のすぐ右側を通る個別仕様の緊急停止曲線が与えられ、流量がXを下回るときはいつでも緊急停止可能な状態にされるが、これにより安定限界(前述のようにバックアップ安定性保護(BSP)の制御エントリー線に基づく)に対して十分な余裕が与えられる。
本発明には、以下の利点(これらに限定されない)が少なくとも1つある。本発明の方法は、MELLLA+実装に関する認可の不確実性を大幅に減らし、運転員による入力と措置を大幅に低減かつ簡易化する。本発明は、実装と運用がより簡単でありながら、不安定な炉心出力振動に伴う潜在的な燃料被覆損傷に対してより堅牢で信頼性の高い保護を提供する。さらに本発明は、安定性が脆弱な排他領域での不用意な運転に至る可能性が極めて低く、また既知の解決法に内在するような不用意な緊急停止の可能性を低減するので、プラント稼働率に実質的な影響を与えない。
本発明の特定の実施態様について詳しく説明してきたが、当業者は、本開示書全体の教示するところに照らして、これら詳述した実施態様に対する種々の変更および代替への展開が可能である。したがって、ここに開示した特定の実施態様は説明目的だけのものであり、本発明の範囲を何らも制約せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載の全範囲およびその全ての均等物である。
Claims (5)
- 増強された出力レベルに対応する拡張された運転領域における熱水力不安定領域での原子炉の運転を防止する方法であって、
出力/流量運転マップを生成するステップを含み、当該ステップは
自然循環曲線を定めることと、
当初の認可出力の100%に対応し、流量の増加に伴って出力が増加する第1の制御棒線を与えることと、
当該第1の制御棒線に対応するOPRMの設定点を与えることと、
当該第1の制御棒線に対応するAPRM流量バイアス緊急停止線を与えることと、
当初の認可出力の100%超に対応し、流量の増加に伴って出力が増加する第2の制御棒線を与えることであって、当該第1の制御棒線との間に拡張された運転領域を形成するように、当該第2の制御棒線は当該第1の制御棒線の上方に配置され、当該運転領域はさらに当該自然循環曲線を境界とし、当該自然循環曲線上で当該第2の制御棒線は当該第1の制御棒線よりも出力が高いものである、当該第2の制御棒線を与えることと、
当該第2の制御棒線の下方、且つ当該第1の制御棒線の上方にあり、さらに、当該OPRMの設定点の上方、且つ当該APRM流量バイアス緊急停止線の下方にある、当該拡張された運転領域内部の不安定領域を特定することを含み、
当該方法はさらに、
当該不安定領域に対応する、所定の炉心流量の設定点と所定の出力の設定点とを含む熱水力安定限界を特定するステップと、
炉心流量が当該所定の炉心流量の設定点を下回り、且つ/又は出力が当該所定の出力の設定点を上回る場合に、当該既存のAPRM流量バイアス緊急停止線を当該熱水力安定限界の下方に引き下げるステップと、
APRMを作動させ、APRM緊急停止または選択制御棒挿入動作を引き起こすことによって、炉心の運転が当該不安定領域で行われることを防止するステップと
を含む方法。 - 前記第2の制御棒制御線に至るまで原子炉の運転を行うことにより、当初の認可出力の120%まで当該原子炉の運転を行う請求項1に記載の方法。
- 流量減少過渡状態に際しては、前記不安定領域の外にある前記OPRMの設定点を用いて自動緊急停止を始動させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
- 前記所定の炉心流量の設定点と所定の出力の設定点は、プラント固有の炉心設計およびサイクルの開始から終了までの時間の関数としての炉心の減損解析特性に基づいて計算される請求項1に記載の方法。
- 前記所定の炉心流量の設定点は定格炉心流量の55%である請求項1に記載の方法。
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