JP2018079480A - 低温用のBi−In−Sn系はんだ合金、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置 - Google Patents

低温用のBi−In−Sn系はんだ合金、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 接合温度を従来の中低温用のはんだ合金に比べて大きく下げることができ、且つ、接合性、応力緩和性、接合信頼性等に優れた、より融点の低い低温用のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置を提供する。【解決手段】 PbフリーBi−In−Sn系はんだ合金であって、Inを42.0質量%以上50.0質量%以下、Snを7.0質量%以上23.0質量%以下含有、好ましくはInを43.0質量%以上49.0質量%以下、Snを8.0質量%以上21.0質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含有される元素を除きBiからなる。【選択図】 なし

Description

本発明はPbフリーはんだ合金に関し、とくに低温用として好適なBi−In−Sn系はんだ合金に関する。
近年、環境に有害な化学物質に対する規制がますます厳しくなってきており、この規制は電子部品などを基板に接合する目的で使用されるはんだ合金に対しても例外ではない。はんだ合金には古くからPb(鉛)が主成分として使われ続けてきたが、すでにRoHS指令などで鉛は規制対象物質になっている。このため、鉛を含まないはんだ合金(以降、Pbフリーはんだ合金とも称する)の開発が盛んに行われている。
電子部品を基板に接合する際に使用するはんだ合金は、その使用限界温度によって高温用(約260℃〜400℃)と中低温用(約140℃〜230℃)とに大別され、その中で、低温用のはんだ合金は、一般的に、Pb−63Snの共晶合金の融点183℃よりも融点が低いはんだ合金を指すものとされている。しかしながら、電子部品の中には、耐熱性が非常に低く、高温に晒されるとその機能が劣化したり破壊されたりするものがあり、そのような電子部品の接合には、140℃よりも低温の環境下ではんだ付けするための、より融点の低い低温用のはんだ合金が求められている。
従来、このようなより融点の低い低温用はんだ合金としては、例えば、融点が95℃のSn−52Bi−32Pb合金や、融点が113℃のSn−40Pb−40Bi合金等の鉛含有はんだ合金が用いられている。
このようなより融点の低い低温用のはんだ合金のPbフリー化技術としては、特許文献1に、130℃よりも低温の環境下ではんだ付けが可能な、より融点の低い低温用のPbフリーはんだ合金として、Inを48質量%以上52.5質量%以下含有し残部がBiからなり、固相線温度(融点)が85℃以上であるとともに液相線温度が110℃以下であるPbフリーはんだ合金が記載されている。
WO2007/21006
近年、電子部品の小型化に伴い、電子機器類からの発熱が減少すると同時に、電子機器類の回路の細線化などに伴い、電子機器類の耐熱温度もより低くなるため、より融点の低い低温用のはんだ合金として、特許文献1に記載のPbフリーはんだ合金よりも低温の環境下ではんだ付けが可能な、より融点の低い低温用のPbフリーはんだ合金が求められている。また、はんだ合金には、所望の温度で溶融して対象部材を接合させることの他に、接合後にはんだ合金により形成された接合体が十分な応力緩和性を示し、長期にわたる接合信頼性を有することも求められる。
しかるに、従来、130℃よりも低温の環境下ではんだ付けするための、より融点の低い低温用のPbフリーはんだ合金として、接合後にはんだ合金により形成された接合体が十分な応力緩和性を示し、長期にわたる接合信頼性を有するものは存在しなかった。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、接合温度を従来の中低温用のはんだ合金に比べて大きく下げることができ、且つ、接合性、応力緩和性、及び接合信頼性等に優れた、より融点の低い低温用として好適なPbフリーはんだ合金を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明者は、環境規制物質を含まない各種元素を組み合わせて、鋭意研究を重ねた結果、Bi、In、Snの組合せで適切な組成範囲とすることにより、単に融点が下がるだけでなく、各種被接合金属との接合性に優れ、かつ応力緩和性に優れるPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金とすることができ、接合信頼性に優れた電子部品を製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。また、発明者は、上記PbフリーBi−In−Snはんだ合金に、さらにPを含有させることにより、濡れ性を更に改善させ、より接合信頼性に優れた電子部品を製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によるPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、Inを42.0質量%以上50.0質量%以下、Snを7.0質量%以上23.0質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含有される元素を除きBiからなることを特徴としている。
また、本発明によるPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、Inを42.0質量%以上50.0質量%以下、Snを7.0質量%以上23.0質量%以下含有し、さらにPを0.001質量%以上0.500質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含有される元素を除きBiからなることを特徴としている。
また、本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金においては、Inを43.0質量%以上49.0質量%以下、Snを8.0質量%以上21.0質量%以下含有するのが好ましい。
また、本発明による電子部品実装基板は、上記発明のいずれかのPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金を用いて接合された電子部品を有してなることを特徴としている。
また、本発明による装置は、上記発明の電子部品実装基板を有してなることを特徴としている。
本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、Pbなどの規制対象物質を含有しないため環境にやさしく、かつ固相線温度を62℃程度の非常に低い温度とすることができるため、低耐熱部品を熱損傷させること無く、好適に製造することが可能となる。しかも、本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、接合性、応力緩和性、及び接合信頼性等が極めて優れているため、信頼性の高い接合体を形成することができる。
NiめっきCu基板にはんだ合金を接合した接合体をはんだ合金の上方から見た概略図である。 NiめっきCu基板の上にはんだ合金、さらにその上にSiチップを接合した接合体の断面概略図である。
以下、Biに所定量のInとSnを含有させた、本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金に関する技術について説明する。
本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、Inを42.0質量%以上50.0質量%以下、Snを7.0質量%以上23.0質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含有される元素を除きBiからなる。
また、本発明の他の実施形態のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、Inを42.0質量%以上50.0質量%以下、Snを7.0質量%以上23.0質量%以下含有し、さらにPを0.001質量%以上0.500質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含有される元素を除きBiからなる。
また、本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金、本発明の他の実施形態のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、好ましくは、Inを43.0質量%以上49.0質量%以下、Snを8.0質量%以上21.0質量%以下含有する。
上記の組成を有するPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金を用いてはんだ接合を行う電子部品実装基板やその基板を搭載した装置には、一般的な耐熱温度を有さない低耐熱用の電子部品や基板等が用いられる。本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金を用いれば、上述した接合性、応力緩和性、及び接合信頼性等が極めて優れた、信頼性の高い接合体を形成できる効果に加えて、作製時の接合温度を従来の中低温用のはんだ合金に比べて大きく下げることができるので、はんだ合金を加熱するための製造コストを抑える効果も有する。以下、本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金に用いられる各元素について詳細に説明する。
<Bi>
Biは本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金において後述するIn、Snと共に主成分をなす元素である。BiはVa族元素(N、P、As、Sb、Bi)に属し、その結晶構造は、対称性の低い三方晶(菱面体晶)であるため非常に脆い金属である。また、Biは凝固時に膨張する金属であり、この凝固時の収縮率(−が膨張、+が収縮を意味する)は−3.2%〜−3.4%である。
本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金のように、Biを含むはんだ合金にInとSnを含有させることにより、Biが凝固時に膨張する問題を改善することができる。すなわち、InやSnは凝固時に体積収縮する。このため、BiにInとSnを含有させることによって、Biの膨張分をInやSnの収縮分で減らし、はんだ合金全体としての体積変化を小さくして、はんだ合金内の残留応力を低減することが可能となる。
更に、Bi−In−Snの三元系合金とすることによって、固相線温度が60℃程度となり、Sn−Pb共晶はんだ合金(固相線温度183℃)よりも格段と融点を下げることができる。また、従来用いられている融点が95℃のSn−52Bi−32Pb合金や、融点が113℃のSn−40Pb−40Bi合金などの、より融点の低い低温用鉛含有はんだ合金よりも融点を下げることができる。このように融点が非常に低いため、はんだ接合環境の温度を下げることができ、耐熱温度が低い物を好適にはんだ接合することができたり、はんだ接合時の電気代などのランニングコストを下げたりできる上、酸化の進行を抑制することもできる。しかも、本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は極めて柔軟性に富むため、応力緩和性及び接合信頼性にも優れる。
<In>
Inは本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金において上述のBi、後述するSnと共に主成分をなす元素である。上述した通り、Biを含むはんだ合金にSnと共にInを含有させることにより、残留応力が少なく低融点のはんだ合金とすることができる。
本発明のBi−In−Sn系はんだ合金におけるInの含有量は42.0質量%以上50.0質量%以下である。Inをこの範囲で含有量させると、結晶が微細化して加工性や応力緩和性が向上し、高い信頼性も得られる。Inの含有量が42.0質量%未満であったり、50.0質量%を超えたりすると、液相線温度が高くなり、低温でのはんだ付けの際に、はんだ合金が十分溶融できず溶け別れ現象などを生じ、十分な加工性や応力緩和性を得ることができないなど良好な接合ができない場合がある。Inの含有量が43.0質量%以上49.0質量%以下であれば、より一層良好な特性が得られるため好ましい。
<Sn>
Snは本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金において上述のBi、Inと共に主成分をなす元素である。上述した通り、Biを含むはんだ合金にInと共にSnを含有させることにより、残留応力を少なくし、はんだ合金の融点を大きく下げることができる。
また、Snは被接合部材に多く用いられるCuやNiなどとの反応性に優れるため、被接合部材との濡れ性や接合性を向上させ、その結果、接合信頼性を向上させる効果も有する。
本発明のBi−In−Sn系はんだ合金におけるSnの含有量は7.0質量%以上23.0質量%以下であり、好ましくは8.0質量%以上21.0質量%以下である。Snの含有量が7.0質量%未満では、含有量が少なすぎて接合面との間に十分な金属間化合物を生成できなかったり、液相線温度と固相線温度の差が大きくなり過ぎて、はんだ合金が十分溶融できず溶け別れ現象などを生じ、十分な加工性や応力緩和性を得ることができなかったりし、良好な接合ができない場合がある。Snの含有量が23.0質量%を超えると、液相線温度が高くなりすぎてしまい、はんだ合金が十分溶融できず溶け別れ現象などを生じ、十分な加工性や応力緩和性が得られなくなり、良好な接合ができない場合がある。
<P>
本発明の他の実施形態のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、含有元素としてBi、In、Snのほか、さらに、Bi−In−Sn系はんだ合金の濡れ性及び接合性を向上させるために、Pを含有する。Pの含有により濡れ性向上の効果が大きくなる理由は、Pは還元性が強く、自ら酸化することにより、はんだ合金表面の酸化を抑制することによる。
Pを含有させることで、さらに接合時のボイドの発生を低減させる効果も得られる。これは、Pは自らが酸化しやすく、接合時にはんだ合金の主成分であるBi、In、Snよりも優先的に酸化が進むことにより、はんだ母相の酸化が抑えられ、ボイド発生の起因となる酸化物を低減することができるためと考えられる。Pは酸化物になると同時に気化するため、Pの酸化物が接合性を邪魔することは無い。その結果、濡れ性も向上し良好な接合が可能となる。
Pは、上述したように非常に還元性が強いため、微量の含有量で濡れ性向上の効果を発揮する。但し、Pの含有量が所定量に到達すると、それ以上含有させても濡れ性向上の効果は変わらず、逆に過剰な含有量によるPの酸化物がはんだ合金内に取り込まれてボイドになったり、Pが脆弱な相を作って偏析し、はんだ合金を脆化したりするおそれがある。とくにワイヤなどを加工する場合には、断線の原因となることが確認された。したがって、Pの含有量は微量が好ましい。具体的には、濡れ性向上の効果を十分発揮させるはんだ合金中のP含有量は、0.001質量%以上0.500質量%以下である。
原料として、それぞれ純度99.99質量%以上のBi、In、Sn及びPを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく均一になるようにするため、切断、粉砕等を行い、3mm以下の大きさに細かくした。なお、Pは溶融し難く、かつ酸化して揮発しやすいうえ、第2類の危険物であり、そのまま含有させると発火してしまうため、予めSnとの合金を作り、3mm以下の大きさに細かくした。
次に、高周波溶解炉用グラファイトるつぼを準備し、このるつぼ内に準備した原料や合金を所定量秤量して投入した。
原料や合金の入ったるつぼを高周波溶解炉に入れ、溶解中の酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7L/分以上の流量で流し、溶解エリアを窒素雰囲気とした。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料や合金を加熱溶融させた。原料や合金が溶融しはじめた後、混合棒でよく攪拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混合した。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかにるつぼを取り出して、るつぼ内の溶湯をはんだ母合金形成用の鋳型に流し込んだ。鋳型には、厚さ5mm×幅40mm×長さ250mmの板状のはんだ母合金が得られるものを使用した。
各原料の混合比率を様々に変え、上述の方法により試料1〜18のはんだ母合金を作製した。これら試料1〜18のはんだ母合金の組成を、ICP発光分光分析器を用いて分析した。その分析結果を下記の表1に示す。なお、試料18は参考例であり、本発明のはんだ合金とは異なる、従来の約140℃〜230℃の環境下ではんだ付けするための中低温用の融点を有するはんだ合金の一例である。
Figure 2018079480
(注)表中の※を付した試料13〜17は比較例、試料18は参考例としての中低温用はんだ合金組成を有するはんだ合金の一例である。
次に、上記表1に示す試料1〜18のはんだ母合金の各々に対して、下記に示すように、濡れ性の評価として目視による基板上でのはんだ合金の広がりの判定、接合性の第1の評価としてボイド率の測定、接合性の第2の評価としてシェア強度の測定、信頼性の評価としてヒートサイクル試験を行った。なお、はんだ合金の濡れ性等の評価は、通常、はんだ形状に依存しないため、ワイヤ、ボール、ペーストなどの形状で評価してもよいが、本実施例においては、打抜き品に成形して評価した。
<打抜き品への加工>
準備した厚さ5mm×幅40mm×長さ250mmの板状母合金試料を温間圧延機で圧延した。各試料を、圧延回数は5回、圧延速度は15〜30cm/秒、ロール温度は250℃の条件下で、5回の圧延で厚さ30.0±1.2μmのリボン状になるように圧延した。
リボン状に加工した各試料をプレス機で、0.4mm×0.5mmの長方形状に、各試料1000個ずつ打抜いて、打抜き品を製造した。
<濡れ性の評価>
濡れ性の評価は、上記はんだ合金の打抜き品を用いて行った。まず、濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を起動し、加熱するヒーター部分に2重のカバーをしてヒーター部の周囲4箇所から窒素を流した(窒素流量:各12L/分)。その後、ヒーター設定温度を融点より50℃高い温度にして加熱した。
ヒーター部が窒素雰囲気となり、かつ、ヒーター温度が安定した後、Niめっき層2(膜厚:5.0μm)が形成されたCu基板1(板厚:約0.70mm)をヒーター部にセッティングし、25秒加熱した。次に、はんだ合金3を上記Cu基板の上に載せ、さらに25秒加熱した。加熱が完了した後、Cu基板1をヒーター部から取り上げてその横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦移して冷却し、濡れ性評価用の試料を得た(図1参照)。十分に冷却した後、大気中に取り出して接合状態を確認した。接合できなかった場合を「×」、接合できたが濡れ広がりが悪かった場合(はんだが盛り上がった状態)を「△」、良好に濡れ広がった状態で接合できた場合(はんだがCu基板に薄く広がった場合)を「○」と評価した。
<接合性の評価1(ボイド率の測定)>
上記濡れ性の評価に用いたものと同様に作製した、図1に示す接合体を用いて、Cu基板に接合したはんだ合金の接合体のボイド率を、X線透過装置を用いて測定した。具体的には、はんだ合金とCu基板の接合面に対し上部から垂直にX線を透過し、得られたX線画像よりボイド面積とはんだ合金とCu基板の接合面積を求め、下記計算式1を用いてボイド率を算出した。接合体のボイド率の算出結果を表2に示す。
[計算式1]
ボイド率(%)=ボイド面積÷(ボイド面積+はんだ合金とCu基板の接合面積)×100
<接合性の評価2(シェア強度の比較)>
各はんだ合金の接合性を確認する第2の評価のため、はんだ合金3を用いて、Siチップ4と、Niめっき層2(膜厚:3.0μm)を有するCu基板1(板厚:0.3mm)との接合体(図2参照)を作製し、シェア強度を測定した。接合体の作製にはダイボンダーを用いた。すなわち、まず装置のヒーター部に窒素ガスを流しながら各はんだ試料の融点より50℃高い温度になるように設定し、ヒーター部が窒素雰囲気で満たされ、かつ、所定の温度になった後、ヒーター部にNiめっき層2を有するCu基板1を載せ15秒加熱した。その後、その上に各試料のはんだ合金3を載せ20秒加熱し、さらに溶融したはんだ合金3の上にSiチップ4を載せスクラブを3秒かけた。スクラブ終了後、接合体を速やかに窒素雰囲気中の冷却部に移し、室温まで冷却した。その後、接合体を大気中に取り出し、シェア強度を測定した。次に、従来の中低温用のはんだ合金組成を有するはんだ合金の一例である試料18におけるシェア強度の測定値を100%として、各試料のシェア強度の測定値の相対的な比率を算出した。算出した各シェア強度の比率を表2に示す。
<信頼性の評価(ヒートサイクル試験)>
はんだ接合体の信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。なお、この試験は、上記接合性の評価2に用いたものと同様に作製した、はんだ合金にてSiチップを接合したCu基板を用いて行った。まず、はんだ合金にてSiチップを接合したCu基板に対して、−55℃の冷却と50℃の加熱を1サイクルとして、これを500サイクルと700サイクル繰り返すヒートサイクル試験を行った。その後、ヒートサイクル試験を実施した、はんだ合金にてSiチップを接合したCu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により接合面の観察を行った。接合面に剥がれやはんだにクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。なお、本ヒートサイクル試験で500サイクルまで欠陥が確認されなければ十分製品として使用可能であるが、本発明の範囲内のはんだ合金組成を有する試料のうち、In及びSnがより好適な含有量の範囲内となっているはんだ合金組成を有する試料とそれ以外のはんだ合金組成を有する試料とにおける信頼性の比較評価のため700サイクルまで確認を行った。上記の評価結果を表2に示す。
Figure 2018079480
(注)表中の※を付した試料13〜17は比較例についての評価結果、試料18は参考例としての中低温用はんだ合金組成を有するはんだ合金の一例についての評価結果である。
上記表2の結果から分かるように、本発明の範囲内のはんだ合金組成を有する試料1〜12は、各評価項目において概ね良好な特性を示した。
濡れ性の評価では、Inの含有量が43.0質量%以上49.0質量%以下、Snの含有量が8.0%以上21.0質量%以下である試料1〜3、8〜10は、Niめっき層を有するCu基板への濡れ性が良好であり、特にPを0.001質量%以上0.500質量%以下で含有した試料8〜10は非常に濡れ広がり方が早く良好であり、試料がCu基板に接した瞬間に薄く濡れ広がった。Inの含有量、Snの含有量のいずれかが上記数値の範囲外であるものの、Inの含有量が42.0質量%以上50.0質量%以下、Snの含有量が7.0質量%以上23.0質量%以下である試料4〜7、11、12のうち、Pを0.001質量%以上0.500質量%以下で含有する試料11、12は、濡れ性が良好であった。一方、Pを含有しない試料4〜7は、はんだがやや盛り上がり濡れ広がりがやや悪くなったが、接合が出来る程度の濡れ性は得られた。
接合性の評価1としてのボイド率の測定では、試料1〜12の全てにおいてボイドは確認されなかった。
接合性の評価2としてのシェア強度の測定では、試料1〜12の全てにおいてシュア強度が110%以上であり、高い接合強度が得られることを確認できた。特に、試料1〜3、8〜10は、シュア強度が120%以上であり、より高い接合強度が得られることを確認できた。
接合信頼性の評価としてのヒートサイクル試験においても、良好な結果が得られ、試料1〜12のいずれも500サイクル後の観察で不良は確認されなかった。特に、試料1〜3、8〜10は、700サイクル後の観察でも不良は確認されなかった。
一方、比較例である本発明の範囲外のはんだ合金組成を有する試料13〜17は、少なくともいずれかの特性において好ましくない結果となった。
濡れ性の評価では、試料13、15は、Niめっき層を有するCu基板への濡れ性が悪く、接合できなかった。
接合性の評価1としてのボイド率の測定では、試料13〜17の全てにおいて少なくとも5%以上のボイドが発生した。特に、Pの含有量が本発明における上限値である0.500質量%を大きく上回る試料17は、ボイドの発生率が15%にまで達した。
接合性の評価2としてのシェア強度の測定では、試料13〜17の全てにおいてシュア強度が90%以下であった。特に、試料17は、シェア強度が75%以下となった。
信頼性の評価としてのヒートサイクル試験においては、試料18を除き全ての試料において500サイクルまでに不良が発生した。なお、試料18は、従来の中低温用のはんだ合金であり、濡れ性が良く、接合性やシェア強度も本発明の範囲よりは劣るものの良好な結果が得られ、接合信頼性に関しても本発明と同様に良好な評価結果が得られたが、融点が高く、130℃よりも低温の環境下ではんだ付けすることはできなかった。
1 Cu基板
2 Ni層
3 はんだ合金
4 Siチップ
本発明はPbフリーはんだ合金に関し、とくに低温用として好適なBi−In−Sn系はんだ合金、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置に関する。
WO2007/21006号公報
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、接合温度を従来の中低温用のはんだ合金に比べて大きく下げることができ、且つ、接合性、応力緩和性、及び接合信頼性等に優れた、より融点の低い低温用として好適なPbフリーはんだ合金、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明者は、環境規制物質を含まない各種元素を組み合わせて、鋭意研究を重ねた結果、Bi、In、Snの組合せで適切な組成範囲とすることにより、単に融点が下がるだけでなく、各種被接合金属との接合性に優れ、かつ応力緩和性に優れるPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金とすることができ、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置において接合信頼性に優れた接合体を形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。また、発明者は、上記PbフリーBi−In−Snはんだ合金に、さらにPを含有させることにより、濡れ性を更に改善させ、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置においてより接合信頼性に優れた接合体を形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、Pbなどの規制対象物質を含有しないため環境にやさしく、かつ固相線温度を62℃程度の非常に低い温度とすることができるため、低耐熱部品を熱損傷させること無く、電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置を好適に製造することが可能となる。しかも、本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金は、接合性、応力緩和性、及び接合信頼性等が極めて優れているため、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置において信頼性の高い接合体を形成することができる。
上記の組成を有するPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金を用いてはんだ接合を行う電子部品実装基板やその実装基板を搭載した装置には、一般的な耐熱温度を有さない低耐熱用の電子部品や基板等が用いられる。本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金を用いれば、それを用いた電子部品実装基板及びその実装基板を搭載した装置において上述した接合性、応力緩和性、及び接合信頼性等が極めて優れた、信頼性の高い接合体を形成できる効果に加えて、作製時の接合温度を従来の中低温用のはんだ合金に比べて大きく下げることができるので、はんだ合金を加熱するための製造コストを抑える効果も有する。以下、本発明のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金に用いられる各元素について詳細に説明する。

Claims (5)

  1. Inを42.0質量%以上50.0質量%以下、Snを7.0質量%以上23.0質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含有される元素を除きBiからなることを特徴とするPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金。
  2. Inを42.0質量%以上50.0質量%以下、Snを7.0質量%以上23.0質量%以下含有し、さらにPを0.001質量%以上0.500質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含有される元素を除きBiからなることを特徴とするPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金。
  3. Inを43.0質量%以上49.0質量%以下、Snを8.0質量%以上21.0質量%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載のPbフリーBi−In−Sn系はんだ合金。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のBi−In−Sn系はんだ合金を用いて電子部品が接合された電子部品実装基板。
  5. 請求項4に記載の電子部品実装基板を搭載した装置。
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