JP2018092986A - 抵抗体用組成物及びこれを含んだ抵抗体ペーストさらにそれを用いた厚膜抵抗体 - Google Patents

抵抗体用組成物及びこれを含んだ抵抗体ペーストさらにそれを用いた厚膜抵抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】 抵抗温度係数に優れた鉛成分を含有せずに、抵抗温度係数が±100ppm/℃以内の0に近い優れた特性を有する抵抗体用組成物及び抵抗体ペーストを並びにそれらを用いた厚膜抵抗体を提供する。
【解決手段】 鉛を含まないルテニウム酸化物からなる導電粒子とガラス粉末が主な構成成分である抵抗体用組成物であって、そのガラス粉末が、SiO、B、Al、BaO、ZnO、及びLaを含むSi−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末で、前記Laの含有量が、ガラス粉末総量100質量%に対し1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする抵抗体用組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、チップ抵抗器、ハイブリットIC、または、抵抗ネットワーク等の電子部品の製造に用いられる抵抗体を形成するための抵抗体ペーストと、その抵抗体ペーストを構成する抵抗体用組成物、および、その抵抗体ペーストを用いて形成した厚膜抵抗体に関する。
一般に、チップ抵抗器、ハイブリットIC、又は、抵抗ネットワーク等の電子部品の製造に用いられる厚膜抵抗体は、セラミック基板に抵抗体ペーストを印刷、焼成することによって形成されている。この厚膜抵抗体の形成に用いられる組成物は、酸化ルテニウムを代表とするルテニウム系導電粒子とガラス粉末を主な成分としたものが広く用いられている。
このルテニウム系導電粒子とガラス粉末が厚膜抵抗体に用いられる理由は、空気中での焼成ができ、抵抗温度係数(TCR)を0に近づける事が可能である事に加え、広い領域の抵抗値の抵抗体が形成可能である事などが挙げられる。
このようなルテニウム系導電粒子とガラス粉末からなる抵抗用組成物では、その配合比によって抵抗値を変えることができる。即ち、ルテニウム系導電粒子の配合比を多くすると抵抗値が下がり、ルテニウム系導電粒子の配合比を少なくすると抵抗値が上がる。このことを利用して、厚膜抵抗体では、ルテニウム系導電粒子とガラス粉末の配合比を調整して所望する抵抗値を出現させている。
厚膜抵抗体にもっとも多く使用されているルテニウム系導電粒子としては、ルチル型の結晶構造を有する酸化ルテニウム(RuO)、パイロクロア型の結晶構造を有するルテニウム酸鉛(PbRu)が従来から用いられてきた。これらはいずれも金属的な導電を示す酸化物である。
一方、厚膜抵抗体に使用されるガラス粉末には、一般的に抵抗体ペーストの焼成温度よりも低い軟化点を有するガラス粉末が用いられており、酸化鉛(PbO)を含むガラス粉末が一般的に用いられていた。
その理由は、PbOにはガラス粉末の軟化点を下げる効果があるため、PbOの配合率を調整する事によって広範囲に渡り厚膜抵抗体に適した軟化点に容易に変更できる事や、PbOを含有させることにより、比較的化学的な耐久性が高いガラス粉末が作れる事、絶縁性が高く耐圧に優れる事があげられる。
ところで、ルテニウム系導電粒子とガラス粉末からなる抵抗体組成物において、低い抵抗値が望まれる場合にはルテニウム系導電粒子を多く、ガラス粉末を少なく配合し、高い抵抗値が望まれる場合にはルテニウム系導電粒子を少なく、ガラス粉末を多く配合して抵抗値を調整している。この時、ルテニウム系導電粒子を多く配合する低い抵抗値領域では抵抗温度係数が正の値に大きくなりやすく、ルテニウム系導電粒子の配合が少ない高い抵抗値領域では抵抗温度係数が負の値になりやすい特徴がある。
なお、抵抗温度係数とは、温度変化に対する抵抗値の変化の割合を表したもので、抵抗体の重要な特性の一つである。
この抵抗温度係数は、調整剤と呼ばれる主に金属酸化物からなる添加物を、抵抗体用組成物に加える事で調整が可能である。調整剤によって抵抗温度係数を負側に調整する事は比較的容易であり、調整剤の種類としてはマンガン酸化物、ニオブ酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。
一方、抵抗温度係数を正の値に調整する事は困難であり、負の値の抵抗温度係数を有する抵抗体組成物の抵抗温度係数を0付近に調整する事は実質上行えない。したがって、抵抗温度係数が負の値になりやすい抵抗値が高い領域では、抵抗温度係数が正側に大きくなる、導電粒子とガラス粉末の組み合わせの利用が必要であった。
そのような組み合わせとして利用されるルテニウム酸鉛(PbRu)は酸化ルテニウム(RuO)よりも比抵抗が高く、厚膜抵抗体を形成した時の抵抗温度係数が高く正の値になる特徴がある。このため抵抗値の高い領域では導電粒子としてルテニウム酸鉛(PbRu)が多く使用されてきた。
このように、従来、特に高い抵抗値領域の抵抗体組成物には、導電粒子およびガラス粉末の両方に鉛成分を含有した材料が用いられていた。
しかしながら、鉛成分は人体への影響および公害の点から望ましくなく、RoHS指令などで規制対象物質となっており、鉛を含有しない抵抗体組成物の開発が強く求められている。
そのような鉛を含有しない抵抗体組成物として特許文献1には、ルテニウム系導電粒子としてルテニウム酸カルシウム、ルテニウム酸ストロンチウム、ルテニウム酸バリウムを組成物に用いた抵抗体ペーストが開示され、その特徴として平均粒径が5μm以上50μm以下である導電粒子が用いられている。
しかしながら、通常、粒径の大きい導電粒子を用いると、その形成された抵抗体は電流ノイズが大きくなり、良好な負荷特性が得られない場合があり、特許文献1に記載の粒径ではノイズを低く抑えることが困難である、という課題を抱えている。
特許文献2には、酸化ルテニウムを溶解させたガラス粉末を用いる事によって鉛を含有しないルテニウム系導電粒子の分解を抑制する方法が提案されている。
しかし、ガラス粉末中に溶解する酸化ルテニウムの量は、製造条件のばらつきに大きく影響されて変動が大きいため、抵抗値が安定しないという課題がある。
特許文献3では、ルテニウム系導電粒子としてルテニウム酸ビスマスとビスマスを含有するガラス粉末との組成物が提案されている。
しかし、この組み合わせで形成された抵抗体の抵抗温度係数は負の値に大きくなってしまうため、抵抗温度係数を±100ppm/℃以内の0に近い値にする事ができない。
特許文献4では、ガラス粉末の塩基度をルテニウム複合酸化物の塩基度に近づけ、さらにガラス中に結晶相を析出させる事によってルテニウム複合酸化物の酸化ルテニウムへの分解を抑制する方法が提案されている。
この方法では、厚膜抵抗体中にMSiAl結晶(M:Ba及び/又はSr)が存在することを特徴としているが、この様な結晶を均一に分散させることは困難であり、抵抗値が安定しない場合がある。
さらに、特許文献5には、酸化ルテニウムとSiO−B−KOガラス粉末を用いる事によって抵抗温度係数が負の値にはならない厚膜抵抗体が提案されている。
しかし、ガラス組成中に1質量部以上のアルカリ金属酸化物を含有させるとガラスの絶縁性が低下し、抵抗体の負荷特性が低下する恐れがある。
特開2005−129806号公報 特開2003−7517号公報 特開平8−253342号公報 特開2007−103594号公報 特許第3731803号公報
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、鉛成分を含有せずに、抵抗温度係数が±100ppm/℃以内の0に近い優れた特性を有する厚膜抵抗体を形成するための抵抗体用組成物、抵抗体ペーストを提供し、さらにそれらを用いた厚膜抵抗体の提供を目的とするものである。
目的を達成するため、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、鉛を含有しない導電粒子と鉛を含有しないガラス粉末を主な構成成分とする抵抗体用組成物において、ガラス粉末がSiO、B、Al、BaO、ZnO、Laを含むSi−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末で、そのガラス成分のLaの含有量をガラス粉末総量100質量%に対し1質量%以上30質量%以下に制御することによって、鉛成分を含有せずに抵抗温度係数が±100ppm/℃以内の0に近い優れた特性を有する厚膜抵抗体、及びその抵抗体を形成するための抵抗体用組成物、抵抗体ペーストが得られることを見出し、本発明に至ったものである。
このような本発明の第1の発明は、鉛を含まないルテニウム酸化物からなる導電粒子と、鉛を含まないガラス粉末が主な構成成分である抵抗体用組成物であって、そのガラス粉末が、SiO、B、Al、BaO、ZnO、及びLaを含むSi−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末で、Laの含有量がガラス粉末総量100質量%に対し1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする抵抗体用組成物である。
本発明の第2の発明は、鉛を含まないイリジウム酸化物からなる導電粒子と、鉛を含まないガラス粉末が主な構成成分である抵抗体用組成物であって、そのガラス粉末が、SiO、B、Al、BaO、ZnO、及びLaを含むSi−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末で、Laの含有量がガラス粉末総量100質量%に対し1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする抵抗体用組成物である。
本発明の第3の発明は、第1の発明におけるルテニウム酸化物が、酸化ルテニウムで、その酸化ルテニウムの比表面積が、5m/g以上、150m/g以下であることを特徴とする抵抗体用組成物である。
本発明の第4の発明は、第2の発明におけるイリジウム酸化物が、酸化イリジウムで、その酸化イリジウムの比表面積が、3m/g以上、50m/g以下であることを特徴とする抵抗体用組成物である。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明におけるガラス粉末の成分組成が、ガラス粉末の総量100質量%に対し、SiOが20質量%以上、45質量%以下、Bが5質量%以上、18質量%以下、Alが1質量%以上、15質量%以下、BaOが4質量%以上、35質量%以下、ZnOが5質量%以上、35質量%以下、Laが1質量%以上、30質量%以下を含み、それらSiO、B、Al、BaO、ZnO、及びLaの合計含有量が、ガラス粉末の総量の36質量%以上であることを特徴とする抵抗体用組成物である。
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明のいずれかに記載の抵抗体組成物と有機ビヒクルを含み、その抵抗体組成物が、有機ビヒクル中に略分散して含まれていることを特徴とする抵抗体ペーストである。
本発明の第7の発明は、第6の発明に記載の抵抗体ペーストの焼結体を備えることを特徴とする厚膜抵抗体である。
本発明の第8の発明は、第7の発明における厚膜抵抗体が、セラミック基板上に焼結体を備えていることを特徴とする厚膜抵抗体である。
本発明によれば、従来では抵抗温度係数が負の値になってしまう高い抵抗値領域において、その抵抗温度係数が±100ppm/℃以内の0に近い値を有する厚膜抵抗体を得ることができる。
また、その厚膜抵抗体を作製するに当たり、従来と同様な酸化ルテニウムを使用した抵抗体組成物、及び酸化イリジウムを使用した抵抗体組成物を用いた抵抗体ペーストを使用することができる。
抵抗体ペーストは、一般に800〜900℃前後の温度で焼成される。抵抗体ペーストの原料として使用されるガラス粉末の軟化点は一般に焼成温度よりも低くする必要がある。本発明では、鉛を含有しないガラス粉末としてガラス構造の主な骨格となるSiO以外に他の金属酸化物を配合する事によって軟化点を調整している。
SiO以外の酸化物として、B、Al、BaO、ZnOを用いて、これらの成分の配合比を様々に変化させたガラス粉末とルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子からなる抵抗体組成物を焼成して形成した抵抗体の特性を評価した結果、抵抗体の比抵抗が1×10〜1×10Ω・cmの範囲において抵抗温度係数が負の値を示すことを確認した。
この、SiO、B、Al、BaO、ZnOからなるガラス成分に、さらにLaを加えて、様々に配合したガラス粉末を評価した結果、厚膜抵抗体の抵抗温度係数が正の値を示す範囲があることを見出した。
鉛を含有しない抵抗体組成物では、抵抗体の抵抗温度係数を大きな正の値にさせる導電粒子であるルテニウム酸鉛(PbRu)を用いる事ができない。ルテニウム酸鉛(PbRu)以外のルテニウム系導電粒子やイリジウム系導電粒子は抵抗温度係数を大きな正の値とすることができないため、ガラス粉末成分の配合は重要である。即ち、温度係数が負の値になり過ぎてしまうと添加剤などを用いて±100ppm/℃の0付近の値に調整する事が困難であるため、調製剤の添加などで抵抗温度係数を±100ppm/℃の0付近に調整する事が可能な正の値とすることが重要となる。
本発明者が数多くの評価を行い鋭意検討した結果、鉛を含有しないガラス粉末の成分としてSiO、B、Al、BaO、ZnO、Laを必須成分とする、Si−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末を用いることにより抵抗温度係数を正の値としながら、適切な軟化点に調整することが可能となり、かつ化学的安定性も有していることを見出した。
以下、本発明の構成部材、及びその形態などについて詳しく説明する。
<SiO
SiOは本発明のガラス構造の骨格となる成分であり、SiOの配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、20質量%以上45質量%以下である。ガラス組成中の配合量が20質量%より少ないと化学的な安定が低くなり特性がばらついてしまい、45質量%より多いと軟化点が上がり過ぎてしまう。
<B
も本発明のガラス構造の骨格となる成分で、ガラスの軟化点を下げる効果があり、かつ、厚膜抵抗体の抵抗温度係数を正の値にするために重要な成分である。
の配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、5質量%以上18質量%以下である。ガラス組成中の配合量が5質量%より少ないとガラスの靱性が低下しクラックが入りやすくなる。一方、18質量%より多く配合しすぎると分相を起こし易く、ガラスの耐湿性、耐水性が低下するため、ガラス組成中のBを18質量%より多くしたガラスを用いた厚膜抵抗体も、耐候性が低下してしまう。また、厚膜抵抗体の抵抗温度係数が負の値になりやすくなってしまい、±100ppm/℃以内の0付近に調整するのが困難になってしまう。
<Al
Alは本発明においてガラスの分相を抑制し、ガラス転移点を上昇させガラスの耐熱性を向上させる働きを有する。Alの配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、1質量%以上15質量%以下である。その配合量が、1質量%より少ないとガラスの分相が起こりやすくガラスの耐久性が低下し、15質量%より高いと軟化点が上がり過ぎてしまう。
<BaO>
BaOは本発明の様な鉛を含有しないガラス粉末に含有させると軟化点を下げる働きがあり、誘電率を高くし電圧をかけた際の絶縁性を高める効果がある。
BaOの配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、4質量%以上35質量%以下である。配合量が4質量%より少ないとガラスの軟化点を十分に下げることができない。35質量%より多いとガラスが結晶化しやすく、またガラスの耐久性も低下してしまう。ガラスが結晶化すると厚膜抵抗体中の導電粒子の分散が不均一になりやすく、抵抗体の電気的特性が低下しやすくなる。
<ZnO>
ZnOも本発明の様な鉛を含有しないガラス粉末に含有させると軟化点を下げる働きがある。ZnOの配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、5質量%以上35質量%以下である。配合が5質量%より少ないとガラスの軟化点を十分に下げることができない。35質量%より多いととガラスが結晶化しやすく、またガラスの耐久性も低下してしまう。
<La
理由は定かではないが、Laを含有するガラス粉末とルテニウム酸化物あるいはイリジウム酸化物からなる導電粒子からなる厚膜抵抗体は、ガラスの軟化点を大きく変化すること無く、その比抵抗が1×10〜1×10Ω・cm以上でも抵抗温度係数が負の値になりにくくすることができる。
この様な特性を示すLaの配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、1質量%以上30質量%以下である。ガラス成分中のLaの配合量が1質量%より少ないと厚膜抵抗体の抵抗温度係数を負の値になりにくくする効果が十分発揮されず、30質量%を超えるとガラスの耐久性が低下する。
上記ガラス成分の総量は、ガラス粉末総量に対する配合量として、少なくとも36質量%以上の配合量とすることにより、目的とする±100ppm/℃以内の0付近の抵抗温度係数とすることができると共に他の特性を満足させるものが得られる。より抵抗温度係数を0に近くし、安定した特性を得るために上記ガラス成分の総量を、ガラス粉末総量に対し50質量%以上とするのが好ましく、60質量%以上とするのが更に好ましい。
<その他のガラス粉末成分>
本発明におけるガラス粉末の必須成分は、上記SiO、B、Al、BaO、ZnO、Laであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有させても良い。例として以下の様なものが挙げられる。
CaOやSrOは、BaOと同様に軟化点を下げる成分として使用する事ができる。ただし、BaOと同様に多量に含有させるとガラスが結晶化しやすくなり、また耐久性が低下する原因となるため添加量に注意が必要である。
Biは鉛の代替え成分としても良く用いられ、ガラスの軟化点を下げる成分として使用する事ができる。しかし、多量に含有させると結晶化しやすくなるため添加量に注意が必要である。
ガラスの化学的な安定性を高める目的でZrOを含有させても良いが、多量に含有させるとガラスの軟化点が高くなり過ぎてしまう場合がある。
K、Na、Liのアルカリ金属の酸化物は軟化点を下げる効果が大きいが、ガラスの絶縁性が低下するため、添加する際は抵抗体の電気的特性の低下が問題ない範囲での添加が望ましい。
<ガラス粉末の粒径>
ガラス粉末の粒径は特に規定されず、使用目的に応じて選定すれば良いが、大きすぎると抵抗体の抵抗値ばらつきが増大したり負荷特性が低下したりする原因となるので好ましくない。これらを避けるためには、ガラス粉末の粒径を平均粒径で3μm以下とすることが好ましく、1.5μm以下とすることがより好ましい。
3μmより大きいガラス粉末は、粉砕することにより小粒径化することができるが、このガラス粉末の粉砕にはボールミル、遊星ミル、ビーズミルなど用いることができる。粉砕したガラス粉末の粒度をシャープにするには湿式粉砕を用いることが好ましい。
<導電粒子>
鉛を含まないルテニウム酸化物からなる導電粒子としては、酸化ルテニウム(RuO)を用いるのが好ましい。鉛を含有しないガラス粉末と酸化ルテニウムを用いて形成した抵抗体の抵抗温度係数は負の値になりやすく、抵抗値も低くなり過ぎる課題があるが、本発明の抵抗体組成物の構成とすることで、その課題を解決することができる。
用いる酸化ルテニウムは、比表面積が5m/g以上150m/g以下である事が好ましい。一般に比表面積が大きい導電粒子を用いると抵抗体の出現抵抗値が低く、同抵抗値で比較すると抵抗温度係数も低くなる傾向がある。そのため、高い抵抗値を望む組成では、比表面積が5m/g以上50m/g以下の酸化ルテニウム粒子を用いることが好ましい。
酸化ルテニウム以外の鉛を含まないルテニウム酸化物からなる導電粒子としては、ルテニウム酸ビスマス、ルテニウム酸カルシウム、ルテニウム酸ストロンチウム、ルテニウム酸バリウムなどを用いても良い。必要に応じて2種類以上の導電粒子やルテニウム系以外の導電粒子を混合して用いても良い。
鉛を含まないイリジウム酸化物からなる導電粒子としては、酸化イリジウム(IrO)を用いるのが好ましい。鉛を含有しないガラス粉末と酸化イリジウムを用いて形成した抵抗体の抵抗温度係数は負の値になりやすい課題があるが、本発明の抵抗体組成物の構成とすることで、その課題を解決することができる。
用いる酸化イリジウムは、比表面積が3m/g以上50m/g以下である事が好ましい。一般に比表面積が大きい導電粒子を用いると抵抗体の出現抵抗値が低く、同抵抗値で比較すると抵抗温度係数も低くなる傾向がある。そのため、高い抵抗値を望む組成では、比表面積が3m/g以上30m/g以下の酸化イリジウム粒子を用いることが好ましい。
酸化イリジウム以外の鉛を含まないイリジウム酸化物からなる導電粒子としては、イリジウム酸ビスマス、イリジウム酸カルシウム、イリジウム酸ストロンチウム、イリジウム酸バリウムなどを用いても良い。必要に応じて2種類以上の導電粒子やイリジウム系以外の導電粒子を混合して用いても良い。
<導電粒子とガラス粉末の比率>
所望する抵抗値等によって、ルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子と、ガラス粉末の比率は変えることができる。通常は、ルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子の質量:ガラス粉末の質量の比は=50:50〜5:95の範囲である。
導電粒子がこれより多いと厚膜抵抗体の膜構造が脆くなり、温度サイクルなどで抵抗値が変化しやすくなったり、経時変化を起こしやすくなったりする場合があるので好ましくない。また、導電粒子がこれより少ないと抵抗温度係数が負の値になりやすくなり、0に近づけるのが困難となる場合があるので好ましくない。
<添加剤>
本発明の抵抗組成物には、抵抗体の抵抗値や抵抗温度係数や負荷特性、トリミング性の改善、調整を目的として一般に使用される添加剤を加えても良い。
その代表的な添加剤としては、Nb、Ta、TiO、CuO、MnO、ZrO、Al、SiO、ZrSiO等が挙げられる。これらの添加剤を加えることでより優れた特性を有する抵抗体を作成することができる。
添加する量は目的によって調整されるが、ルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子とガラス粉末の合計100質量部に対して通常10質量部以下である。
<有機ビヒクル>
各導電粒子とガラス粉末は、必要に応じて添加剤と共に印刷用のペーストとするために有機ビヒクル中に混合、分散される。
使用する有機ビヒクルには特に制限はなく、通常ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等の溶剤にエチルセルロース、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ロジン、マレイン酸エステル等の樹脂を溶解した溶液が用いられる。また、必要に応じて、分散剤や可塑剤など加えることができる。
有機ビヒクルの配合比率は、印刷や塗布方法によって適宣調整されるが、ルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子、ガラス粉末、添加剤の合計100質量部に対して20〜200質量部程度である。
ルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子、ガラス粉末、添加剤等を有機ビヒクルに分散する方法は特に制限されず、微細な粒子を分散させるのに一般的に用いられている3本ロールミルやビーズミル、遊星ミル等を用いることができる。
本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[試験1:ガラス粉末の特性評価]
まず、各種組成のガラス粉末を作製し、ガラス粉末の軟化点及び各ガラス粉末の平均粒径を確認した。
結晶化が激しいガラス粉末を抵抗体に用いると、抵抗体の抵抗値のばらつきが大きく、電気的特性も低下するため、本発明の抵抗体用組成物として使用することはできない。そこで、本評価では、事前にガラス粉末の結晶化の発生状況を確認し、結晶化がほとんど確認されなかったガラス粉末を用いて試験を行った。
軟化点が800℃を超すなどの、軟化点が高すぎるガラス粉末を抵抗体に用いると、抵抗体の抵抗値のばらつきが大きく、電気的特性も低下するため、本発明の抵抗体用組成物として使用することはできない。そのため、各ガラス粉末の軟化点を測定した。
軟化点の測定は、TG−DTA(セイコー電子社製TG/DTA320型)を用い、DTA曲線を測定し、得られたDTA曲線の第三変曲点から求められる値を軟化点とした。
また、各ガラス粉末を粒度解析計マイクロトラック(登録商標)で測定し、得られた体積基準の積算分率における50%径(D50)を平均粒径とした。
本試験に使用したガラス粉末の組成、軟化点、平均粒径を表1に示す。
Figure 2018092986
ガラス粉末A〜Jは本発明に係るガラス粉末の成分組成、ガラス粉末K〜Oは比較のガラス粉末の成分組成である。
[試験2:抵抗体組成物評価]
実施例ではルテニウム系導電粒子として、酸化ルテニウム粒子を用い、イリジウム系導電粒子としては酸化イリジウム粒子を用い、その導電粒子とガラス粉末A〜Jを、導電粒子とガラス粉末の合計100重量部に対して、43質量部の有機ビヒクル中に3本ロールミルで分散させて抵抗体ペーストを作製した。なお、下記表2の実施例13と15に関しては、有機ビヒクルの他、更に添加剤としてTiO及びNbを添加した。
次に、予めアルミナ基板上に焼成により形成した1wt%Pd、99wt%Agの1対の電極間に、作成した抵抗体ペーストを印刷し、150℃×5分で乾燥した後、ピーク温度850℃×9分、トータル30分で焼成し厚膜抵抗体を形成した。厚膜抵抗体のサイズは、抵抗体幅が1.0mm、抵抗体長さ(電極間)が1.0mmとなるようにした。
形成された厚膜抵抗体に関して、それぞれ、膜厚、抵抗値を測定し、膜厚を7μmとした場合の換算面積抵抗値、25℃から−55℃までの抵抗温度係数(Cold−TCR:以下C−TCR)、25℃から125℃までの抵抗温度係数(Hot−TCR:以下、H−TCR)を算出した。
以下、それぞれの測定方法及び算出方法に関して説明する。
膜厚は、触針式の厚み粗さ計で各々5個の厚膜抵抗体の膜厚を測定し、その平均した値を「実測膜厚」とし、下記換算面積抵抗値の算出に用いた。
抵抗値は、四端子法にて測定し、それぞれ25個の厚膜抵抗体の実測値の平均値を「実測抵抗値」とし、下記換算面積抵抗値の算出に用いた。
試料毎に算出した「実測膜厚」と「実測抵抗値」を用いて、膜厚を7μmとした場合の換算面積抵抗値を、下記の式(1)に示す計算式によってそれぞれ算出した。
Figure 2018092986
抵抗温度係数は、厚膜抵抗体を−55℃、25℃、125℃にそれぞれ15分保持してから抵抗値を測定し、それぞれの抵抗値をR−55、R25、R125とした時に、下記の式(2)、(3)に示す計算式によって算出した値で、それぞれ5個の厚膜抵抗体から算出し、その平均値を用いた。
Figure 2018092986
上記測定及び算出方法により得られた各試料の、膜厚、換算面積抵抗値、及び抵抗温度係数(C−TCR、H−TCR)の値を、各試料のペースト時の配合条件と共に表2に示す。
Figure 2018092986
本発明の範囲内である実施例1〜20では、いずれも抵抗温度係数を±100ppm/℃以内に調整できていることが分かる。ただし、比表面積150m/gの酸化ルテニウム粒子を用いた実施例16は、換算面積抵抗値が101.8kΩを示す状態で、C−TCRが−98ppm/℃と、本発明判定基準のギリギリの値をしており、高抵抗領域ではなるべく使用しない方が好ましいことが分かる。
一方、比較例1〜5では、抵抗温度係数が大きく負の値を示しており、±100ppm/℃には調整できないことが分かる。
表1、表2に示す実施例、比較例の試験結果から分かるように、本発明によれば、従来困難であったルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子と鉛を含有しないガラスを原料とする厚膜抵抗体の抵抗温度係数を−100ppm/℃より高くすることが出来、容易に±100ppm/℃以内に調整する事が可能であることが分かる。

Claims (8)

  1. 鉛を含まないルテニウム酸化物からなる導電粒子と、鉛を含まないガラス粉末が主な構成成分である抵抗体用組成物であって、
    前記ガラス粉末が、SiO、B、Al、BaO、ZnO、及びLaを含むSi−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末で、
    前記Laの含有量が、ガラス粉末総量100質量%に対し1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする抵抗体用組成物。
  2. 鉛を含まないイリジウム酸化物からなる導電粒子と、鉛を含まないガラス粉末が主な構成成分である抵抗体用組成物であって、
    前記ガラス粉末が、SiO、B、Al、BaO、ZnO、及びLaを含むSi−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末で、
    前記Laの含有量が、ガラス粉末総量100質量%に対し1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする抵抗体用組成物。
  3. 前記ルテニウム酸化物が、酸化ルテニウムで、
    前記酸化ルテニウムの比表面積が、5m/g以上、150m/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の抵抗体用組成物。
  4. 前記イリジウム酸化物が、酸化イリジウムで、
    前記酸化イリジウムの比表面積が、3m/g以上、50m/g以下であることを特徴とする請求項2に記載の抵抗体用組成物。
  5. 前記ガラス粉末の成分組成が、ガラス粉末の総量100質量%に対し、
    前記SiOが20質量%以上、45質量%以下、
    前記Bが5質量%以上、18質量%以下、
    前記Alが1質量%以上、15質量%以下、
    前記BaOが4質量%以上、35質量%以下、
    前記ZnOが5質量%以上、35質量%以下、
    前記Laが1質量%以上、30質量%以下を含み、
    前記SiO、B、Al、BaO、ZnO、及びLaの合計含有量が、ガラス粉末の総量の36質量%以上である事を特徴とする請求項1から4にいずれか1項に記載の抵抗体用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抵抗体組成物と有機ビヒクルを含み、
    前記抵抗体組成物が、前記有機ビヒクル中に略分散して含まれていることを特徴とする抵抗体ペースト。
  7. 請求項6に記載の抵抗体ペーストの焼結体を備えることを特徴とする厚膜抵抗体。
  8. 前記厚膜抵抗体が、セラミック基板上に前記焼結体を備えていることを特徴とする請求項7に記載の厚膜抵抗体。
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