JP2018092986A - 抵抗体用組成物及びこれを含んだ抵抗体ペーストさらにそれを用いた厚膜抵抗体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 鉛を含まないルテニウム酸化物からなる導電粒子とガラス粉末が主な構成成分である抵抗体用組成物であって、そのガラス粉末が、SiO2、B2O3、Al2O3、BaO、ZnO、及びLa2O3を含むSi−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末で、前記La2O3の含有量が、ガラス粉末総量100質量%に対し1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする抵抗体用組成物である。
【選択図】 なし
Description
このルテニウム系導電粒子とガラス粉末が厚膜抵抗体に用いられる理由は、空気中での焼成ができ、抵抗温度係数(TCR)を0に近づける事が可能である事に加え、広い領域の抵抗値の抵抗体が形成可能である事などが挙げられる。
その理由は、PbOにはガラス粉末の軟化点を下げる効果があるため、PbOの配合率を調整する事によって広範囲に渡り厚膜抵抗体に適した軟化点に容易に変更できる事や、PbOを含有させることにより、比較的化学的な耐久性が高いガラス粉末が作れる事、絶縁性が高く耐圧に優れる事があげられる。
なお、抵抗温度係数とは、温度変化に対する抵抗値の変化の割合を表したもので、抵抗体の重要な特性の一つである。
一方、抵抗温度係数を正の値に調整する事は困難であり、負の値の抵抗温度係数を有する抵抗体組成物の抵抗温度係数を0付近に調整する事は実質上行えない。したがって、抵抗温度係数が負の値になりやすい抵抗値が高い領域では、抵抗温度係数が正側に大きくなる、導電粒子とガラス粉末の組み合わせの利用が必要であった。
そのような組み合わせとして利用されるルテニウム酸鉛(Pb2Ru2O7)は酸化ルテニウム(RuO2)よりも比抵抗が高く、厚膜抵抗体を形成した時の抵抗温度係数が高く正の値になる特徴がある。このため抵抗値の高い領域では導電粒子としてルテニウム酸鉛(Pb2Ru2O7)が多く使用されてきた。
しかしながら、鉛成分は人体への影響および公害の点から望ましくなく、RoHS指令などで規制対象物質となっており、鉛を含有しない抵抗体組成物の開発が強く求められている。
しかしながら、通常、粒径の大きい導電粒子を用いると、その形成された抵抗体は電流ノイズが大きくなり、良好な負荷特性が得られない場合があり、特許文献1に記載の粒径ではノイズを低く抑えることが困難である、という課題を抱えている。
しかし、ガラス粉末中に溶解する酸化ルテニウムの量は、製造条件のばらつきに大きく影響されて変動が大きいため、抵抗値が安定しないという課題がある。
しかし、この組み合わせで形成された抵抗体の抵抗温度係数は負の値に大きくなってしまうため、抵抗温度係数を±100ppm/℃以内の0に近い値にする事ができない。
この方法では、厚膜抵抗体中にMSi2Al2O8結晶(M:Ba及び/又はSr)が存在することを特徴としているが、この様な結晶を均一に分散させることは困難であり、抵抗値が安定しない場合がある。
しかし、ガラス組成中に1質量部以上のアルカリ金属酸化物を含有させるとガラスの絶縁性が低下し、抵抗体の負荷特性が低下する恐れがある。
また、その厚膜抵抗体を作製するに当たり、従来と同様な酸化ルテニウムを使用した抵抗体組成物、及び酸化イリジウムを使用した抵抗体組成物を用いた抵抗体ペーストを使用することができる。
SiO2以外の酸化物として、B2O3、Al2O3、BaO、ZnOを用いて、これらの成分の配合比を様々に変化させたガラス粉末とルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子からなる抵抗体組成物を焼成して形成した抵抗体の特性を評価した結果、抵抗体の比抵抗が1×101〜1×102Ω・cmの範囲において抵抗温度係数が負の値を示すことを確認した。
以下、本発明の構成部材、及びその形態などについて詳しく説明する。
SiO2は本発明のガラス構造の骨格となる成分であり、SiO2の配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、20質量%以上45質量%以下である。ガラス組成中の配合量が20質量%より少ないと化学的な安定が低くなり特性がばらついてしまい、45質量%より多いと軟化点が上がり過ぎてしまう。
B2O3も本発明のガラス構造の骨格となる成分で、ガラスの軟化点を下げる効果があり、かつ、厚膜抵抗体の抵抗温度係数を正の値にするために重要な成分である。
B2O3の配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、5質量%以上18質量%以下である。ガラス組成中の配合量が5質量%より少ないとガラスの靱性が低下しクラックが入りやすくなる。一方、18質量%より多く配合しすぎると分相を起こし易く、ガラスの耐湿性、耐水性が低下するため、ガラス組成中のB2O3を18質量%より多くしたガラスを用いた厚膜抵抗体も、耐候性が低下してしまう。また、厚膜抵抗体の抵抗温度係数が負の値になりやすくなってしまい、±100ppm/℃以内の0付近に調整するのが困難になってしまう。
Al2O3は本発明においてガラスの分相を抑制し、ガラス転移点を上昇させガラスの耐熱性を向上させる働きを有する。Al2O3の配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、1質量%以上15質量%以下である。その配合量が、1質量%より少ないとガラスの分相が起こりやすくガラスの耐久性が低下し、15質量%より高いと軟化点が上がり過ぎてしまう。
BaOは本発明の様な鉛を含有しないガラス粉末に含有させると軟化点を下げる働きがあり、誘電率を高くし電圧をかけた際の絶縁性を高める効果がある。
BaOの配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、4質量%以上35質量%以下である。配合量が4質量%より少ないとガラスの軟化点を十分に下げることができない。35質量%より多いとガラスが結晶化しやすく、またガラスの耐久性も低下してしまう。ガラスが結晶化すると厚膜抵抗体中の導電粒子の分散が不均一になりやすく、抵抗体の電気的特性が低下しやすくなる。
ZnOも本発明の様な鉛を含有しないガラス粉末に含有させると軟化点を下げる働きがある。ZnOの配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、5質量%以上35質量%以下である。配合が5質量%より少ないとガラスの軟化点を十分に下げることができない。35質量%より多いととガラスが結晶化しやすく、またガラスの耐久性も低下してしまう。
理由は定かではないが、La2O3を含有するガラス粉末とルテニウム酸化物あるいはイリジウム酸化物からなる導電粒子からなる厚膜抵抗体は、ガラスの軟化点を大きく変化すること無く、その比抵抗が1×101〜1×102Ω・cm以上でも抵抗温度係数が負の値になりにくくすることができる。
この様な特性を示すLa2O3の配合量は、ガラス粉末総量100質量%に対し、1質量%以上30質量%以下である。ガラス成分中のLa2O3の配合量が1質量%より少ないと厚膜抵抗体の抵抗温度係数を負の値になりにくくする効果が十分発揮されず、30質量%を超えるとガラスの耐久性が低下する。
本発明におけるガラス粉末の必須成分は、上記SiO2、B2O3、Al2O3、BaO、ZnO、La2O3であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有させても良い。例として以下の様なものが挙げられる。
CaOやSrOは、BaOと同様に軟化点を下げる成分として使用する事ができる。ただし、BaOと同様に多量に含有させるとガラスが結晶化しやすくなり、また耐久性が低下する原因となるため添加量に注意が必要である。
Bi2O3は鉛の代替え成分としても良く用いられ、ガラスの軟化点を下げる成分として使用する事ができる。しかし、多量に含有させると結晶化しやすくなるため添加量に注意が必要である。
ガラスの化学的な安定性を高める目的でZrO2を含有させても良いが、多量に含有させるとガラスの軟化点が高くなり過ぎてしまう場合がある。
ガラス粉末の粒径は特に規定されず、使用目的に応じて選定すれば良いが、大きすぎると抵抗体の抵抗値ばらつきが増大したり負荷特性が低下したりする原因となるので好ましくない。これらを避けるためには、ガラス粉末の粒径を平均粒径で3μm以下とすることが好ましく、1.5μm以下とすることがより好ましい。
3μmより大きいガラス粉末は、粉砕することにより小粒径化することができるが、このガラス粉末の粉砕にはボールミル、遊星ミル、ビーズミルなど用いることができる。粉砕したガラス粉末の粒度をシャープにするには湿式粉砕を用いることが好ましい。
鉛を含まないルテニウム酸化物からなる導電粒子としては、酸化ルテニウム(RuO2)を用いるのが好ましい。鉛を含有しないガラス粉末と酸化ルテニウムを用いて形成した抵抗体の抵抗温度係数は負の値になりやすく、抵抗値も低くなり過ぎる課題があるが、本発明の抵抗体組成物の構成とすることで、その課題を解決することができる。
用いる酸化ルテニウムは、比表面積が5m2/g以上150m2/g以下である事が好ましい。一般に比表面積が大きい導電粒子を用いると抵抗体の出現抵抗値が低く、同抵抗値で比較すると抵抗温度係数も低くなる傾向がある。そのため、高い抵抗値を望む組成では、比表面積が5m2/g以上50m2/g以下の酸化ルテニウム粒子を用いることが好ましい。
用いる酸化イリジウムは、比表面積が3m2/g以上50m2/g以下である事が好ましい。一般に比表面積が大きい導電粒子を用いると抵抗体の出現抵抗値が低く、同抵抗値で比較すると抵抗温度係数も低くなる傾向がある。そのため、高い抵抗値を望む組成では、比表面積が3m2/g以上30m2/g以下の酸化イリジウム粒子を用いることが好ましい。
所望する抵抗値等によって、ルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子と、ガラス粉末の比率は変えることができる。通常は、ルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子の質量:ガラス粉末の質量の比は=50:50〜5:95の範囲である。
導電粒子がこれより多いと厚膜抵抗体の膜構造が脆くなり、温度サイクルなどで抵抗値が変化しやすくなったり、経時変化を起こしやすくなったりする場合があるので好ましくない。また、導電粒子がこれより少ないと抵抗温度係数が負の値になりやすくなり、0に近づけるのが困難となる場合があるので好ましくない。
本発明の抵抗組成物には、抵抗体の抵抗値や抵抗温度係数や負荷特性、トリミング性の改善、調整を目的として一般に使用される添加剤を加えても良い。
その代表的な添加剤としては、Nb2O5、Ta2O5、TiO2、CuO、MnO2、ZrO2、Al2O3、SiO2、ZrSiO4等が挙げられる。これらの添加剤を加えることでより優れた特性を有する抵抗体を作成することができる。
添加する量は目的によって調整されるが、ルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子とガラス粉末の合計100質量部に対して通常10質量部以下である。
各導電粒子とガラス粉末は、必要に応じて添加剤と共に印刷用のペーストとするために有機ビヒクル中に混合、分散される。
使用する有機ビヒクルには特に制限はなく、通常ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等の溶剤にエチルセルロース、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ロジン、マレイン酸エステル等の樹脂を溶解した溶液が用いられる。また、必要に応じて、分散剤や可塑剤など加えることができる。
ルテニウム系導電粒子あるいはイリジウム系導電粒子、ガラス粉末、添加剤等を有機ビヒクルに分散する方法は特に制限されず、微細な粒子を分散させるのに一般的に用いられている3本ロールミルやビーズミル、遊星ミル等を用いることができる。
[試験1:ガラス粉末の特性評価]
まず、各種組成のガラス粉末を作製し、ガラス粉末の軟化点及び各ガラス粉末の平均粒径を確認した。
結晶化が激しいガラス粉末を抵抗体に用いると、抵抗体の抵抗値のばらつきが大きく、電気的特性も低下するため、本発明の抵抗体用組成物として使用することはできない。そこで、本評価では、事前にガラス粉末の結晶化の発生状況を確認し、結晶化がほとんど確認されなかったガラス粉末を用いて試験を行った。
軟化点の測定は、TG−DTA(セイコー電子社製TG/DTA320型)を用い、DTA曲線を測定し、得られたDTA曲線の第三変曲点から求められる値を軟化点とした。
また、各ガラス粉末を粒度解析計マイクロトラック(登録商標)で測定し、得られた体積基準の積算分率における50%径(D50)を平均粒径とした。
本試験に使用したガラス粉末の組成、軟化点、平均粒径を表1に示す。
実施例ではルテニウム系導電粒子として、酸化ルテニウム粒子を用い、イリジウム系導電粒子としては酸化イリジウム粒子を用い、その導電粒子とガラス粉末A〜Jを、導電粒子とガラス粉末の合計100重量部に対して、43質量部の有機ビヒクル中に3本ロールミルで分散させて抵抗体ペーストを作製した。なお、下記表2の実施例13と15に関しては、有機ビヒクルの他、更に添加剤としてTiO及びNb2O5を添加した。
以下、それぞれの測定方法及び算出方法に関して説明する。
抵抗値は、四端子法にて測定し、それぞれ25個の厚膜抵抗体の実測値の平均値を「実測抵抗値」とし、下記換算面積抵抗値の算出に用いた。
試料毎に算出した「実測膜厚」と「実測抵抗値」を用いて、膜厚を7μmとした場合の換算面積抵抗値を、下記の式(1)に示す計算式によってそれぞれ算出した。
一方、比較例1〜5では、抵抗温度係数が大きく負の値を示しており、±100ppm/℃には調整できないことが分かる。
Claims (8)
- 鉛を含まないルテニウム酸化物からなる導電粒子と、鉛を含まないガラス粉末が主な構成成分である抵抗体用組成物であって、
前記ガラス粉末が、SiO2、B2O3、Al2O3、BaO、ZnO、及びLa2O3を含むSi−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末で、
前記La2O3の含有量が、ガラス粉末総量100質量%に対し1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする抵抗体用組成物。 - 鉛を含まないイリジウム酸化物からなる導電粒子と、鉛を含まないガラス粉末が主な構成成分である抵抗体用組成物であって、
前記ガラス粉末が、SiO2、B2O3、Al2O3、BaO、ZnO、及びLa2O3を含むSi−B−Al−Ba−Zn−La系ガラス粉末で、
前記La2O3の含有量が、ガラス粉末総量100質量%に対し1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする抵抗体用組成物。 - 前記ルテニウム酸化物が、酸化ルテニウムで、
前記酸化ルテニウムの比表面積が、5m2/g以上、150m2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の抵抗体用組成物。 - 前記イリジウム酸化物が、酸化イリジウムで、
前記酸化イリジウムの比表面積が、3m2/g以上、50m2/g以下であることを特徴とする請求項2に記載の抵抗体用組成物。 - 前記ガラス粉末の成分組成が、ガラス粉末の総量100質量%に対し、
前記SiO2が20質量%以上、45質量%以下、
前記B2O3が5質量%以上、18質量%以下、
前記Al2O3が1質量%以上、15質量%以下、
前記BaOが4質量%以上、35質量%以下、
前記ZnOが5質量%以上、35質量%以下、
前記La2O3が1質量%以上、30質量%以下を含み、
前記SiO2、B2O3、Al2O3、BaO、ZnO、及びLa2O3の合計含有量が、ガラス粉末の総量の36質量%以上である事を特徴とする請求項1から4にいずれか1項に記載の抵抗体用組成物。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抵抗体組成物と有機ビヒクルを含み、
前記抵抗体組成物が、前記有機ビヒクル中に略分散して含まれていることを特徴とする抵抗体ペースト。 - 請求項6に記載の抵抗体ペーストの焼結体を備えることを特徴とする厚膜抵抗体。
- 前記厚膜抵抗体が、セラミック基板上に前記焼結体を備えていることを特徴とする請求項7に記載の厚膜抵抗体。
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