JP2018093329A - 弾性波素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型の弾性波素子において、温度変化による周波数帯域の変動を一層抑制できるようにする。【解決手段】弾性波素子は、支持基板、圧電単結晶からなる伝搬基板、および伝搬基板の上面に設けられた電極を備えている。伝搬基板の上面の面積が20mm2以下である。圧電性単結晶が、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体からなる。弾性波の伝搬方向における前記支持基板の材質の線熱膨張係数が負の数値である。【選択図】 図2

Description

本発明は、弾性波素子に関するものである。
携帯電話等に使用されるフィルタ素子や発振子として機能させることができる弾性表面波デバイスや、圧電薄膜を用いたラム波素子や薄膜共振子(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)などの弾性波デバイスが知られている。こうした弾性波デバイスとしては、支持基板と弾性表面波を伝搬させる圧電基板とを貼り合わせ、圧電基板の表面に弾性表面波を励振可能な櫛形電極を設けたものが知られている。
しかし、弾性表面波素子は、温度変化によって通過帯域が移動してしまうという問題がある。特に、現在多用されているニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムは、電気機械結合係数が大きく、広帯域のフィルタ特性を実現するのに有利である。しかし、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムは温度安定性に劣る(特許文献1)。
例えば、タンタル酸リチウムの周波数変化の温度係数は−35ppm/Kであり、−30〜+85℃の温度範囲で周波数変動が大きい。このため、周波数変化の温度係数を低減することが必要である。
特許文献2には、SAWの伝搬基板と支持基板とを有機薄膜層によって接着したデバイスが記載されている。伝搬基板は例えば厚さ30μmのタンタル酸リチウム基板であり、これをガラス基板と厚さ1μm以下の有機接着剤によって貼り合わせている。
なお、いわゆるFAB(Fast Atom Beam)方式の直接接合法が知られている(特許文献3)。この方法では、中性化原子ビームを常温で各接合面に照射して活性化し、直接接合する。
特開2008-301066 特許4956569 特開2014−086400
しかし、最近、周波数帯域の安定性の要求も厳しくなってきている。一方、弾性表面波素子には環境変化、特に輸送中や移動中において温度変化があるので、急激な温度変化がおきても素子に剥離やクラックなどのダメージが生じないようにすることが必要である。
本発明の課題は、支持基板、圧電単結晶からなる伝搬基板、および伝搬基板の上面に設けられた電極を備える弾性波素子において、温度変化による周波数帯域の変動を一層抑制できるようにするとともに、熱衝撃サイクル印加後にも素子に剥離やクラックが生じないようにすることである。
本発明は、
支持基板、
圧電性単結晶からなる伝搬基板、および
前記伝搬基板の上面に設けられた電極を備えている弾性波素子であって、
前記伝搬基板の上面の面積が20mm以下であり、
前記圧電性単結晶が、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体からなり、前記弾性波の伝搬方向における前記支持基板の材質の線熱膨張係数が負の数値であることを特徴とする。
本発明によれば、圧電性単結晶からなる伝搬基板に対して、伝搬方向における前記支持基板の材質の線熱膨張係数が負である材質からなる支持基板を接合した構造とするとともに、伝搬基板の上面の面積を20mm以下とすることで、温度変化に対する素子の周波数帯域の変動が著しく低減されるとともに、熱衝撃サイクルを加えた後の素子の剥離やクラックを抑制できる。
(a)は、支持基板1の主面を中性化ビームAによって活性化した状態を示し、(b)は、圧電性単結晶基板6の主面を中性化ビームAによって活性化した状態を示す。 (a)は、支持基板1と圧電性単結晶基板6とが直接接合された接合体3を示し、(b)は、圧電性単結晶基板を加工によって薄くした状態を示し、(c)は、伝搬基板6A上に電極10を設けた弾性波素子5を示す。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
図1、図2は、支持基板を圧電性単結晶基板の表面に直接接合する実施形態に係るものである。
図1(a)に示すように、支持基板の表面に対して矢印Aのように中性化ビームを照射し、表面を活性化して活性化面1aとする。一方、図1(b)に示すように、圧電性単結晶基板6の表面に中性化ビームを照射することによって活性化し、活性化面6aとする。そして、図2(a)に示すように、圧電性単結晶基板6の活性化面6aと支持基板1の活性化面1aとを直接接合することによって、接合体3を得る。
好適な実施形態においては、接合体3の圧電性単結晶基板の表面6bを更に研磨加工し、図2(b)に示すように圧電性単結晶基板の厚さを小さくし、接合体4を得る。6cは研磨面である。
図2(c)では、伝搬基板6Aの研磨面6c上に所定の電極10を形成することによって、弾性波素子5を作製している。
弾性波素子としては、弾性表面波デバイスやラム波素子、薄膜共振子(FBAR)などが知られている。例えば、弾性表面波デバイスは、圧電性材料基板の表面に、弾性表面波を励振する入力側のIDT(Interdigital Transducer)電極(櫛形電極、すだれ状電極ともいう)と弾性表面波を受信する出力側のIDT電極とを設けたものである。入力側のIDT電極に高周波信号を印加すると、電極間に電界が発生し、弾性表面波が励振されて圧電基板上を伝搬していく。そして、伝搬方向に設けられた出力側のIDT電極から、伝搬された弾性表面波を電気信号として取り出すことができる。
ここで、伝搬基板6Aの上面6cの面積は20mm以下とする。このような小型の弾性波素子の場合には、温度変化に対する周波数帯域の変動が特に大きくなる。この観点からは、伝搬基板の上面の面積は6mm以下とすることが更に好ましい。伝搬基板の上面1bの面積の下限は特にないが、0.01mm以上とすることができ、3mm以上とすることが特に好ましい。
伝搬基板を構成する圧電性単結晶は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体からなる。これらの材質は、弾性表面波の伝搬速度が速く、電気機械結合係数が大きいため、高周波数且つ広帯域周波数用の弾性波デバイスとして適している。また、伝搬基板の上面の法線方向は特に限定されないが、例えば、伝搬基板がタンタル酸リチウムからなるときには、弾性表面波の伝搬方向であるX軸を中心に、Y軸からZ軸に36〜47°(例えば42°)回転した方向のものを用いるのが伝搬損失が小さいため好ましい。伝搬基板がニオブ酸リチウムからなるときには、弾性表面波の伝搬方向であるX軸を中心に、Y軸からZ軸に60〜68°(例えば64°)回転した方向のものを用いるのが伝搬損失が小さいため好ましい。
伝搬基板の接合面6aに金属膜を有していてもよい。金属膜は、弾性波デバイスとしてラム波素子を製造した際に、圧電基板の裏面近傍の電気機械結合係数を大きくする役割を果たす。この場合、ラム波素子は、伝搬基板の上面6cに櫛歯電極が形成され、支持基板に設けられたキャビティによって圧電基板の金属膜が露出した構造となる。こうした金属膜の材質としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、金などが挙げられる。なお、ラム波素子を製造する場合、底面に金属膜を有さない伝搬基板を備えた接合体を用いてもよい。
また、伝搬基板の接合面6aに金属膜と絶縁膜を有していてもよい。金属膜は、弾性波デバイスとして薄膜共振子を製造した際に、電極の役割を果たす。この場合、薄膜共振子は、圧電基板の上面と接合面との両方に電極が形成され、絶縁膜をキャビティにすることによって圧電基板の金属膜が露出した構造となる。こうした金属膜の材質としては、例えば、モリブデン、ルテニウム、タングステン、クロム、アルミニウムなどが挙げられる。また、絶縁膜の材質としては、例えば、二酸化ケイ素、リンシリカガラス、ボロンリンシリカガラスなどが挙げられる。
本発明においては、弾性波の伝搬方向Bにおける支持基板の材質の線熱膨張係数が負の数値である。ここで,本線熱膨張係数は、線膨張係数測定装置で計測される。具体的には、φ3.5mmで長さ15mmの試料および石英ガラスの標準試料を用意し、一定速度で昇温したときの熱膨張量の差から計測されるものである。
こうした支持基板の材質としては、低膨張結晶化ガラス、セラミック材料があり、セラミック材料の具体例としては日本電気硝子(株)製の商標CERSATが挙げられる。
また、使用する圧電体基板と支持基板との組合せによってことなるが、圧電基板にタンタル酸リチウムを使用し、支持基板にCERSATを使用した場合、伝搬基板の厚さ(TP)と支持基板の厚さ(TS)の厚さとの比率(TP/TS)を0.02〜0.3(好ましくは0.1〜0.2)とすることによって、弾性波の伝搬方向における素子全体の線熱膨張係数を一層0に近づけることができる。
支持基板と伝搬基板とは、直接接合されていることが好ましいが、直接接合しにくい組合せがあり、両者の間に接合層があってもよい。こうした接合層としては、樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂や紫外線硬化型樹脂が更に好ましく、アクリル系樹脂あるいはエポキシ系樹脂が特に好ましい。
接合層の厚さは、樹脂等による線膨張変化の影響が小さくするという観点からは、1.0μm以下が好ましく、0.1μm以下が更に好ましい。また、樹脂以外でも、例えば支持基板側にアルミナ、五酸化タンタルなどを接合層として成膜すると、樹脂を使用しなくても接合層を介した接合が可能な場合がある。接合層として使用するアルミナや五酸化タンタル膜の厚みは薄ければ薄いほど線膨張変化への寄与が小さく、1.0μm以下が好ましく、0.1μm以下が更に好ましい。
好適な接合法においては、圧電性単結晶基板および支持基板の表面を平坦化して平坦面を得る。ここで、表面を平坦化する方法は、ラップ(lap)研磨、化学機械研磨加工(CMP)などがある。また、平坦面は、Ra≦1nmが好ましいが、0.3nm以下にすると更に好ましい。
しかしながら、扱う基板によっては平滑化が困難な場合があり、その際は樹脂を使用した接合を行うか、アルミナや五酸化タンタルを成膜して、その膜を平滑化することでもよい。アルミナ、五酸化タンタルの膜を平滑化する場合は、予め平滑化に要する膜厚の0.2μmから0.5μmを余分に成膜することになる。
次いで、好適な実施形態においては、圧電性単結晶基板の表面、支持基板の表面に中性化ビームを照射することで、平坦面を活性化する。
中性化ビームによる表面活性化を行う際には、特許文献3に記載のような装置を使用して中性化ビームを発生させ、照射することが好ましい。すなわち、ビーム源として、サドルフィールド型の高速原子ビーム源を使用する。そして、チャンバーに不活性ガスを導入し、電極へ直流電源から高電圧を印加する。これにより、電極(正極)と筺体(負極)との間に生じるサドルフィールド型の電界により、電子eが運動して、不活性ガスによる原子とイオンのビームが生成される。グリッドに達したビームのうち、イオンビームはグリッドで中和されるので、中性原子のビームが高速原子ビーム源から出射される。ビームを構成する原子種は、不活性ガス(アルゴン、窒素等)が好ましい。
ビーム照射による活性化時の電圧は0.5〜2.0kVとすることが好ましく、電流は50〜200mAとすることが好ましい。
次いで、真空雰囲気で、活性化面同士を接触させ、接合する。この際の温度は常温であるが、具体的には40℃以下が好ましく、30℃以下が更に好ましい。また、接合時の温度は20℃以上、25℃以下が特に好ましい。接合時の圧力は、100〜20000Nが好ましい。
(実験1)
図1〜図2を参照しつつ説明した方法に従って、弾性波素子を作製した。
具体的には、オリエンテーションフラット部(OF部)を有し、直径が4インチ,厚さが250μmのタンタル酸リチウム基板(LT基板)を、圧電性単結晶基板6として使用した。ただし、弾性表面波(SAW)の伝搬方向をXとし、切り出し角が回転Yカット板である46°YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板を用いた。圧電性単結晶基板6の表面6aは、算術平均粗さRaが0.2nmとなるように鏡面研磨しておいた。
また、支持基板1として、□30mm、厚さが230μmの支持基板1を用意した。支持基板の材質は負の線膨張係数を有するセラミック基板に五酸化タンタルの膜を0.4μm成膜したものである。支持基板の表面の算術平均粗さRaは1nmである。算術平均粗さは原子間力顕微鏡(AFM)で、縦10μm×横10μmの正方形の視野を評価した。
ここで、弾性波の伝搬方向Bにおける支持基板の材質の線熱膨張係数は−8.4ppm/Kであり、伝搬基板の材質の線熱膨張係数は16.1ppm/Kである。
支持基板1で使用のセラミック基板は表面の平滑化加工が難しく、五酸化タンタル膜を0.4μm成膜後、表面を平滑化処理してRaを小さくした。
次いで、支持基板の表面と圧電性単結晶基板の表面とを洗浄し、汚れを取った後、真空チャンバーに導入した。10−6Pa台まで真空引きした後、それぞれの基板の表面に高速原子ビーム(加速電圧1kV、Ar流量27sccm)を120sec間照射した。ついで、支持基板1のビーム照射面(活性化面)1aと圧電性単結晶基板6の活性化面6aとを接触させた後、10000Nで2分間加圧して両基板を接合した。
次いで、圧電性単結晶基板6の表面6bを厚みが当初の250μmから75μmになるように研削及び研磨した(図2(b)参照)。研削および研磨工程中に接合部分の剥がれは確認できなかった。またクラックオープニング法で接合強度を評価した所、1.4J/mであった。ここで、伝搬基板の上面の面積は900mmである。 この状態で接合体全体の伝搬方向における線熱膨張係数を計測した結果、+3.5ppm/Kとなり、ゼロに近づくことがわかった。
次いで、伝搬基板を更に研磨加工し、厚さ40μmまで薄くした。得られた接合体の全体の伝搬方向における線熱膨張係数を計測した結果、+0.2ppm/Kとなった。このように、素子全体の線熱膨張係数をほぼゼロにまで低減できるものであった。
次いで、上述した厚さ40μmまで薄くした接合体の環境耐性を調べるために、熱衝撃サイクル試験を実施した。熱衝撃サイクルの試験条件としては、低温側を−40℃、高温側を+85℃で、両温度間を2秒以内で切り替えられるようにし、各温度の保管温度を30分間として、1000回繰返した。
試験後、接合体の接合箇所を観察した結果、接合界面で剥離が見られ、基板端部から内側に進展するクラックも見られた。特に基板端部は線膨張差により、歪量が大きいので剥離やクラックが生じたものと推定する。
次いで、伝搬基板をダイシングにより切断して小片化し、前記の熱衝撃サイクル試験を行った。この結果、伝搬基板の上面の面積が20mm以下のときに接合部分での剥離が生じなくなることがわかった。
実験1により、接合体により線膨張係数がゼロに近づき、かつ、その基板サイズとして20mm以下にしないと、接合部分で剥離が生じるということが分かったので、最終的な伝搬基板上面の面積が20mmとなるように設計した。具体的には切断に使用するダイシングの砥石の幅(0.1mm)を加味して、伝搬方向を5.1mmピッチ、その垂直方向を4.1mmピッチとして、接合体の表面に縦横に配置するよう設計した。
弾性表面波を発生させるIDT電極は、フォトリソグラフィー工程を経て形成した。電極を形成後、ダイシングにより小片化し、伝搬方向5mm、その垂直方向4mmの素子を得た。また、IDT電極を形成せず、線膨張係数を計測するための同サイズの参照用基板も用意した。
まず、参照用基板で線膨張係数を評価した結果、線膨張係数は+0.03ppm/Kとなった。切断前よりやや増加したが、線膨張係数はゼロに近いことが確認できた。
IDT電極を形成した素子で、25〜80℃の範囲で周波数の温度特性を計測したところ、−5ppm/Kであり、圧電性単結晶基板にのみ形成した圧電素子に比べて温度変化が小さくなることが確認できた。
次いで、上の実験において、伝搬基板上面の面積が10mmおよび3.0mmの素子を設計した。その他は上記と同様にして各素子を得た。この結果、線膨張係数はそれぞれ+0.03ppm/K、+0.04ppm/Kとなり、25〜80℃の範囲で周波数の温度特性はそれぞれ−6ppm/K、−0.07ppm/Kであった。
(実験2)
実験1と同様にして弾性表面波素子を作製した。
ただし、オリエンテーションフラット部(OF部)を有し、直径が4インチ,厚さが250μmのニオブ酸リチウム基板(LN基板)を、圧電性単結晶基板6として使用した。ただし、弾性表面波(SAW)の伝搬方向をXとし、切り出し角が回転Yカット板である46°YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板を用いた。伝搬基板6の表面6aは、算術平均粗さRaが0.2nmとなるように鏡面研磨しておいた。
支持基板1としては、実験1と同じものを使用した。
ここで、弾性波の伝搬方向Bにおける支持基板の材質の線熱膨張係数は−8.4ppm/Kであり、伝搬基板の材質の線熱膨張係数は15.1ppm/Kである。
次いで、支持基板の表面と圧電性単結晶基板の表面とを、実験1と同様にして接合し、接合体を得た。
次いで、圧電性単結晶基板6の表面6bを厚みが当初の250μmから75μmになるように研削及び研磨した(図2(b)参照)。研削および研磨工程中に接合部分の剥がれは確認できなかった。またクラックオープニング法で接合強度を評価した所、1.4J/mであった。
この状態で接合体全体の伝搬方向における線熱膨張係数を計測した結果、+2.5ppm/Kとなり、ゼロに近づくことがわかった。
次いで、伝搬基板を更に研磨加工し、厚さ50μmまで薄くした。得られた接合体の全体の伝搬方向における線熱膨張係数を計測した結果、+0.1ppm/Kとなった。このように、素子全体の線熱膨張係数をほぼゼロにまで低減できるものであった。
次いで、上述した厚さ50μmまで薄くした接合体の環境耐性を調べるために、実験1と同じ熱衝撃サイクル試験を実施した。試験後、接合体の接合箇所を観察した結果、接合界面で剥離が見られ、基板端部から内側に進展するクラックも見られた。特に基板端部は線膨張差により、歪量が大きいので剥離やクラックが生じたものと推定する。
次いで、伝搬基板をダイシングにより切断して小片化し、前記の熱衝撃サイクル試験を行った。この結果、伝搬基板の上面の面積が20mm以下のときに接合部分での剥離が生じなくなることがわかった。
実験2により、ニオブ酸リチウム基板でも、基板サイズを20mm以下にしないと、接合部分で剥離が生じるということが分かったので、実験1と同様に伝搬基板上面の面積が20mmとなるように設計した。デバイスサイズは実験1と同じとした。また、同様にIDT電極を形成しない参照用基板も用意した。
参照用基板で線膨張係数を測定した結果、線膨張係数は+0.04ppm/Kとなった。切断前よりやや増加したが、線膨張係数はゼロに近いことが確認できた。
この接合体上に弾性表面波用の電極を設けて素子を製造し、25〜80℃の範囲で周波数の温度特性を計測したところ、−15ppm/Kであった。
次いで、上の実験において、伝搬基板上面の面積が10mmおよび3.0mmの素子を設計した。その他は上記と同様にして各素子を得た。この結果、線膨張係数はそれぞれ+0.05ppm/K、+0.06ppm/Kとなり、25〜80℃の範囲で周波数の温度特性はそれぞれ−16ppm/K、−18ppm/Kであった。
(実験3)
実験1と同様にして接合体を作製した。
ただし、支持基板の材質はシリコン(Si)とした。シリコンの伝搬方向Bにおける線熱膨張係数は2.35ppm/Kである。シリコンは平坦性の高い研磨が可能で、算術平均粗さRaが0.2nmものを用意し、五酸化タンタルを成膜せずに伝搬基板と接合した。
次いで、伝搬基板を更に研磨加工し、厚さ75μmまで薄くした。得られた接合体の全体の伝搬方向における線熱膨張係数を計測した結果、+7.5ppm/Kとなった。
この後、伝搬基板を更に研磨加工し、厚さを0.001μmとした。しかし、得られた接合体の全体の伝搬方向における線熱膨張係数を計測した結果、+3.5ppm/Kとなった。
この接合体上に弾性表面波用の電極を設けて素子を製造し、25〜80℃の範囲で周波数の温度特性を計測したところ、−30ppm/Kであった。

Claims (3)

  1. 支持基板、
    圧電性単結晶からなる伝搬基板、および
    前記伝搬基板の上面に設けられた電極を備えている弾性波素子であって、
    前記伝搬基板の前記上面の面積が20mm以下であり、
    前記圧電性単結晶が、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体からなり、前記弾性波の伝搬方向における前記支持基板の材質の線熱膨張係数が負の数値であることを特徴とする、弾性波素子。
  2. 前記支持基板の前記材質がセラミックスであることを特徴とする、請求項1記載の素子。
  3. 前記支持基板と前記伝搬基板とが直接接合されていることを特徴とする、請求項1または2記載の素子。
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