JP2018096111A - マンホールの受枠 - Google Patents

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【課題】マンホール1からの配線の敷設方向を同定することができる。【解決手段】マンホール1の受枠3は、鉛直方向上側の表面が円の形状を有する受枠本体31と、受枠本体31の、鉛直方向上側の表面である上表面側に配置され、鉛直方向に更改基準に関連する長さを有し、幾何学形状を有する3つ以上の凹構造32と、を備え、凹構造32の配置によって形成されるパターンは、受枠本体31が形成する円の中心に対して点対称ではなく、かつ円の中心を通る任意の線分に対して線対称でなく、凹構造32のうちの周方向に連続する1つ以上の凹構造32を含む凹構造群32Kの基準位置は、他の凹構造群32Kの基準位置と、受枠本体31の周方向に所定の間隔及び該所定の間隔の倍数の間隔、離れている。【選択図】図3

Description

本発明は、マンホール本体の出入口に設置されるマンホールの受枠に関する。
近年、マンホールを始めとした高度経済成長期に建設された土木構造物を安全に維持管理していくことが社会的な課題となっている。地中に埋設されるマンホールは、電気や通信信号を伝送する伝送線路の基点となる位置に設置される。マンホールの、地上からの出入口には、図1に示すように、上表面が地表に露出するように地中に埋設される受枠3と、受枠上に設置される蓋4(鉄蓋4)とが配置され、最近ではどちらも金属材料を用いて製造される。マンホールの鉄蓋4及び受枠3の設計製造に当たっては、マンホールへの出入口に設置される点、車両が直上を通過した際に印加される荷重に耐える十分な強度を有する点、車両や人のスリップ事故を防止する凹凸構造を有する点が考慮される。また、鉄蓋4及び受枠3は車両や人が直接触れる位置に設置されるため、当該鉄蓋4又は受枠3に触れた車両や人が滑ることのないように、劣化を把握して維持管理することは重要とされている。そのため、鉄蓋4及び受枠3は、劣化に応じて適切に補修や更改がされている。さらにマンホール付近が工事等によって開削される際、誤って伝送線路を切断することを防止するため、マンホール管理者や作業者はマンホールの設置、埋設深度、マンホールを基点として伝送線路が延伸している敷設方向を把握することが重要である。
マンホールの鉄蓋4及び受枠3に発生する劣化事象は主に摩耗である。現在、鉄蓋4及び受枠3の摩耗を点検する方法は、歩道等の安全な箇所から目視を行った後、摩耗している可能性がある鉄蓋4に対しては路上に安全帯を設置し、ノギス等によって、鉄蓋4の上表面に形成された凹凸模様における模様高さの計測を行う方法が主流である。凹凸模様とは、鉄蓋4を鉛直上方から観測したときに凹凸構造によって表される模様である。模様高さとは、鉄蓋4の凹構造を画定する凹構造壁の鉛直方向の長さである。
しかしながらノギスを用いて模様高さを計測する方法は、交通の流れを遮ることで渋滞の要因なる。また、点検者は路上での実測作業となるため、交通量が多くかつ車両速度の速い市街地における作業では作業者の安全性確保が課題となる。加えて、通信用のマンホールに限っても全国に約68万個の鉄蓋4が設置されているため、安全帯を設置するために必要な道路使用許可申請等の事務手続きに膨大な手間と時間を要すことが課題である。
またマンホール付近の工事において開削を実施する際、マンホールの位置や伝送線路の敷設方向を把握する手法としては、マンホール管理者が有する敷設情報を基に、現場で位置を推測する手法が一般的である。しかしながら実際の現場においては、文字やスケッチ、写真で記された現場付近の状況のみを敷設情報として伝送線路の埋設方向を正確に把握することは実質上困難である。なぜならば、現場付近の状況が敷設情報作成時と変化していることがあるからである。このような状況において特にマンホールを基点とした伝送線路の敷設方向を把握することが困難である。マンホールの位置は鉄蓋4が路上に露出していることから目視で確認可能である一方、伝送線路は地中にあるため、どの方向に延伸しているかを目視で確認することができない。さらに、地磁気を活用した方位情報を用いた敷設方向の判定は誤差が大きく、正確な敷設方向を同定することは極めて困難である。
マンホールの鉄蓋4の摩耗状態を簡便に測定する手法として、デジタルカメラの画像から画像に写した物体の大きさを計測するソフトウェアを活用する手法がある(非特許文献1)。非特許文献1のソフトウェアは、画像中の基準となる長さを用いて2点間の距離を計測することができる。撮像した鉄蓋4の画像をパソコンの画面に映し出し、マウス等を用いて画像中から鉄蓋4の領域を選択する。その後、計測したい箇所をクリックすることによって、画像中の鉄蓋4の模様高さを計測することができる。摩耗が進行すると、模様高さが低くなるため、最後に計測した模様高さと新品の鉄蓋4が有する模様高さとを比較することで、摩耗量を算出することが可能である。本ソフトウェアにより、歩道等から撮影した画像を用いた鉄蓋の摩耗計測が可能となる。
しかしながら、受枠3は、地上に露出している面積が小さいため、摩耗量を計測するための凹凸模様を有さない(図1参照)ため、非特許文献1のソフトウェアを使用することができない点が鉄蓋4と異なる。図1に示されない例において、スリップ防止又は位置合わせのための凹構造が形成されている受枠3は存在するが、凹構造の幅(凹構造の水平方向の長さ)が小さいため、画像を用いて模様高さを計測することができない。
また、マンホールを基点とした伝送線路の敷設方向を把握する手法として、電磁波レーダーが用いられている(非特許文献2)。本技術によって地表面から地中を探査でき、電磁波の反射から埋設されている伝送線路の敷設方向を把握することができる。しかしながら、地中を探査できる電磁波レーダーは高価であるため、工事ごとに機器を準備することが極めて困難であることが課題である。
「アイレック技建 段サーチ2」、[online]、アイレック技建、[平成28年9月1日検索]、インターネット<URL:http://www.airec.co.jp/products/renovation/StepSearch2.html> 「アイレック技建 iエスパー」、[online]、アイレック技建、[平成28年9月1日検索]、インターネット<URL:http://www.airec.co.jp/products/espar/iespar.html>
本発明は、上記背景に記述した2つの課題を解決するものである。1つ目は、円形の鉄蓋の受枠の劣化である摩耗量を計測する手法が路上におけるノギスを使った作業となるために高コストかつ危険であるという課題である。2つ目は、マンホール付近が工事等によって開削される際に誤って伝送線路を切断することを防止するため、マンホール管理者や作業者はマンホールの設置、埋設深度、マンホールを基点とした伝送線路の敷設方向を把握することが重要であるにもかかわらず、正確な方位の測定が困難であるために伝送線路の敷設方向の同定に誤差が生じるという課題である。
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、マンホールの受枠に具備された凹構造によって、受枠の摩耗状態を簡便に把握することを可能にすると共に、伝送線路の敷設方向を正しく同定することを可能することである。
上記の課題を解決するため、本発明に係るマンホールの受枠は、鉛直方向上側の表面が円の形状を有する受枠本体と、前記受枠本体の、鉛直方向上側の表面である上表面側に配置され、鉛直方向に更改基準に関連する長さを有し、幾何学形状を有する3つ以上の凹構造と、を備え、前記凹構造の配置によって形成されるパターンは、前記受枠本体が形成する円の中心に対して点対称ではなく、かつ前記円の中心を通る任意の線分に対して線対称でなく、前記凹構造のうちの周方向に連続する1つ以上の凹構造を含む凹構造群の基準位置は、他の凹構造群の基準位置と、前記受枠本体の周方向に所定の間隔及び該所定の間隔の倍数の間隔、離れていることを特徴とする。
本発明によれば、路上におけるノギスを使った作業を実施せずに、外観から観測できる受枠に形成された凹構造の上面視における形状を計測することによって、受枠の摩耗量を計測することが可能となり、受枠の劣化状態の把握が簡便になる。さらに、マンホールの設置時において伝送線路の敷設方向の位置と受枠の凹構造の配置位置との関係を記録しておくことにより、設置後においても、受枠の表面の凹構造の配置によって形成されたパターンを観測することによって、伝送線路の敷設方向を正確に把握することが可能となる。なぜならば、本体、本体の敷設口から伸びている伝送線路、およびマンホール鉄蓋の受枠は全て地面に対して固定されている設備であるため、設置当初の位置関係を正確に保存できるからである。これにより、マンホール付近において開削を伴う工事があった場合においても、現場において簡便に伝送線路の敷設方向を把握でき、開削作業にて発生する可能性がある伝送線路の切断を防ぐことが可能となる。さらに本技術の凹構造、およびその配置は幾何学形状の組み合わせであることから、パターンマッチング法等の画像処理技術、信号処理技術での解析が容易であり、上記の摩耗度判定、方位同定の自動化が容易である。
道路に設置された受枠、及び受枠に収容された鉄蓋の上表面を示す斜視図である。 第1の実施形態のマンホール及びマンホールに接続された管路を模式的に示す斜視図である。 第1の実施形態における受枠表面の凹構造の配置を説明するための図である。 凹構造の配置と本体との位置関係を説明するための図である。 受枠の一部の上面図であり、図5(a)は製造時における受枠の一部の上面図であり、図5(b)は摩耗が進行したときの受枠の一部の上面図である。 第2の実施形態の凹構造の一例を有する受枠の一部を示す斜視図である。 受枠の一部の上面図であり、図7(a)は製造時における受枠の一部の上面図であり、図7(b)は摩耗が進行したときの受枠の一部の上面図である。 図6に示す受枠のAA線での断面図である。 第2の実施形態の凹構造の一例を有する受枠の一部を示す斜視図である。 図9に示す受枠のAA線での断面図である。 第2の実施形態の凹構造の一例を有する受枠の一部を示す斜視図である。 図11に示す受枠のAA線での断面図である。 第2の実施形態の凹構造の一例を有する受枠の一部を示す斜視図である。 図13に示す受枠のAA線での断面図である。 第2の実施形態の凹構造の一例を有する受枠の一部を示す斜視図である。 第2の実施形態の凹構造の一例を有する受枠の一部を示す斜視図である。 第2の実施形態の凹構造の一例を有する受枠の一部を示す斜視図である。 第2の実施形態の凹構造の一例を有する受枠の一部を示す斜視図である。 第3の実施形態の受枠表面の凹構造と線状凹構造との配置を説明する図である。
[第1の実施形態]
まず、図2を用いて、本発明の第1の実施形態の機能構成について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るマンホール1であり、通信用マンホールの模式図である。
図2に示すように、マンホール1は、マンホール本体2、受枠3、鉄蓋4、及び首部5を備える。
マンホール本体2は、鉄筋コンクリート等で製造された直方体の内空間を有する構造物である。首部5は、該首部5の軸方向が鉛直方向となるように地中に埋設され、マンホール本体2と接続されており、マンホール本体2内部の空間と地上の空間とを連通させる、円形状の出入口を画定する。また、マンホール本体2の側面部には、管路6に接続される貫通孔が具備されており、マンホール本体2の内部空間と管路6の内部空間とを連通させる。管路6には、電気や通信信号を伝送するメタル線路や光ファイバである伝送線路が敷設されている。
受枠3は、首部5の出入口に配置される。受枠3は、受枠本体31と3つ以上の凹構造32を備える。
受枠本体31は、鉛直方向上側の表面が円の形状を有する、すなわち略円筒状であり、鉄蓋4がマンホール本体2の出入口を塞ぐように配置されたときに、該鉄蓋4が変位しないように鉄蓋4の側面と互いに摺接しながら鉄蓋4を支持する。受枠本体31は、マンホール本体2と一体となっていてもよいし、マンホール本体2に接合されてもよい。受枠3の鉛直方向上側の表面である上表面は地表面に露出している。
凹構造32は、受枠3の上表面側に設けられた凹構造壁によって画定されている凹部である。
鉄蓋4は、受枠3の内径より僅かに小さい直径を有する円柱形状の部材である。鉄蓋4は、マンホール本体2の出入口に配置され、受枠3と互いに摺接しながら支持されることによって、マンホール本体2の出入口を塞ぐ。
ここで、図3を参照して、凹構造32、凹構造群及び凹構造32によって形成されるパターンについて詳細に説明する。
凹構造32は、受枠本体31の上表面側に配置されており、3つ以上の凹構造32の配置によって形成されるパターンは、受枠本体31が形成する円の中心に対して点対称ではなく、かつ円の中心を通る任意の線分に対して線対称でない。
具体的には、3つ以上の凹構造32は、複数の凹構造群32K(1≦K≦N)、すなわち第1の凹構造群321、第2の凹構造群322、・・・、第Nの凹構造群32Nを含んで構成される。図3に示す例ではN=8である。凹構造群32Kの基準位置は、受枠本体31が形成する円の周方向に、所定の間隔で離れている。なお、凹構造群32Kの基準位置は、周方向に、所定の間隔の倍数の間隔で離れていてもよい。基準位置とは、凹構造群32Kが配置される所定の範囲の領域において予め定められた位置であり、例えば、凹構造群32Kの両端に位置する2つの凹構造を結ぶ曲線の中心である。
例えば、第1の凹構造群321は、受枠3の中心に対して第1の角度範囲α内に位置する。第1の凹構造群321は、周方向に連続する1つ以上の凹構造321−1,321−2,・・・,321−n1を有する。1つ以上の凹構造321−1,321−2,・・・321−n1は、受枠3の径方向に互いに離れて位置する。図3に示す例ではα=10度、n1=2である。
また、第2の凹構造群322は、第1の凹構造群321が位置する範囲の径方向における中心から第2の角度β離れた位置の第1の角度範囲α以内に位置する。第2の凹構造群322は、周方向に連続する1つ以上の凹構造322−1,322−2,・・・,322−n2を有する。凹構造322−1,322−2,・・・,322−n2は、受枠3の径方向に互いに離れて位置する。図3に示す例では、β=45度、n2=2である。
すなわち、第Kの凹構造群32Kは、第(K−1)の凹構造群32(K−1)が位置する範囲の径方向における中心から第2の角度β離れた位置を基準として、第1の角度範囲α(<β)以内に位置する。第Kの凹構造群32Kは、周方向に連続する1つ以上の凹構造32K−1,32K−2,・・・,32K−nkを有する。また、第Kの凹構造群32Kにおける、最も第(K−1)の凹構造群32(K−1)側に位置する凹構造群32K−1と、第(K−1)の凹構造群32(K−1)における、最も第Kの凹構造群32K側に位置する凹構造32(K−1)−n(K−1)の間隔は、第1の角度範囲αより広い角度で離れている。
具体的には、図3に示した受枠3は、所定の間隔を用いて8種類の凹構造群32Kを有する。本事例では、8種類の凹構造群32Kはそれぞれ、図3の12時の方向から時計回りに所定の間隔で0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の位置を基準としてそれぞれ、例えば、5度以内に配置されている。
1つ以上の凹構造32は、該凹構造32によって受枠3の上表面に形成されたパターンが、受枠本体31が形成する円の中心に対して点対称ではなく、かつ円の中心を通る任意の線分に対して線対称でないように配置される。例えば、上述のように、凹構造群32Kに含まれる凹構造の数又は配置間隔は凹構造群32Kごとに異なるようにすることができる。
凹構造32の深さ、すなわち凹構造群32Kにそれぞれ含まれる凹構造32K−kの鉛直方向の長さは、受枠3の更改基準に関連する長さであり、マンホール管理者の任意で設定されるべきである。更改基準とは、受枠3の更改を要求される摩耗の進行状態を示す基準であり、例えば、更改すべき受枠3の鉛直方向の長さにおける製造時からの減少量として定められた値である。後述の効果を最大に得るため、摩耗量が更改基準に到達する前に受枠3が車両等の通行によって摩耗した際に消えることがないように、凹構造32の深さは、受枠3の更改基準となる摩耗量と同等の長さを有していることが望ましい。
図3に示す凹構造32を備える受枠3の設置方法について下記に述べる。作業者は、マンホール1を新設または更改する際、地面を開削して、地面に対して固定して埋設されている首部5の直上に受枠3を設置する。マンホール本体2、受枠3、及び首部5は、設置された後に、土、砕石、砂、アスファルト等により地面に対して固定して埋設される。よって、マンホール本体2、受枠3、及び首部5は、それぞれ地面に対して固定される。したがって、マンホール本体2と受枠3との位置関係は固定されることになる。作業者は、設置作業の際に図4に示すような管路6と受枠3の設置関係を記録した敷設情報を作成する。敷設情報には、例えば、管路6の設置方向、すなわち伝送線路の敷設方向は、図4に示す135度の方向、すなわち受枠3の中心から第4の凹構造群324に向かう方向であることが示される。また、敷設情報には、敷設方向が、315度の方向、すなわち受枠3の中心から第8の凹構造群328に向かう方向であることが示される。地面が開削されているマンホール設置作業時に、作業者は受枠3と管路6との位置関係を目視確認することが可能であるため、図4に示すように、受枠3に設けられている各凹構造群32Kの配置、並びに凹構造群32Kにおける各凹構造32K−kの配置を示す図面を作成することは容易である。
次に本技術の受枠3を活用した維持管理手法を説明し、本技術の効果を述べる。最初に、本技術を活用した受枠摩耗度の判定について述べる。受枠3の上表面は路面に露出しているために、車両等の通過によって摩耗する。背景で述べたように、従来技術によれば受枠3の上表面の摩耗の度合いを計測するためには、作業者が路上に出て、マンホール蓋を開孔し、ノギス等の計測器具によって、凹構造32の鉛直方向の長さを計測する必要があった。それに対して本実施例の受枠3の凹構造32は、更改基準となる摩耗量と同等の鉛直方向の長さをもっている。そのため受枠3の設置時においては、図5(a)に示すように観測された凹構造32は、摩耗量が更改基準に達すると図5(b)に示すように観測されなくなる。したがって、凹構造32の有無を観測することによって、受枠表面の摩耗量が更改基準に達しているかどうかを、ノギスを使うことなく簡単に判別可能となる。
次に、本技術を活用した管路6の延伸方向の同定手法について述べる。上記で図4を用いて説明したように、管路6を含むマンホール本体2と受枠3の各凹構造32K−kとの配置関係はマンホール1の設置時に敷設情報として記録されており、マンホール管理者によって保存されている。マンホール1の設置後、当該マンホール1付近で開削工事が行われる場合は、マンホール管理者は敷設情報を用いて管路6の敷設方向の同定を行う。まず、マンホール管理者は現場にて受枠3における凹構造32K−kの配置を確認し、図4で説明した敷設情報と照らし合わせる。ここで受枠3はマンホール本体2と共に地面に固定されているため、マンホール1付近の環境変化や鉄蓋4の更改などによらずにマンホール本体2との相対位置関係は保存されている。また、凹構造によって形成されるパターンは、受枠3の中心に対して点対称ではなく、かつ受枠3の中心を通る任意の線分に対して線対称でないため、いずれの凹構造群32Kが管路6の延伸方向に対応するかを識別することができる。
よって、図4で説明した敷設情報を用いることによって、受枠3を外部から観測することによって、管路6の延伸方向、すなわち該管路6に収容されている伝送線路の敷設方向を正確に同定することが可能となる。具体的な手法としては、例えば、受枠3の中心から図4に記載の敷設情報に示される凹構造32のうち、敷設方向に対応する凹構造32の方角の延長線上にチョーク等で路上に目印を引いておき、チョークによる目印の直下には伝送線路が存在することを作業者に知らせる手法が考えられる。
受枠3が工場等で製造される段階において、該受枠3はいずれの道路のいずれの地点に配置されるかということは決定されていない。図2においては、マンホール本体2からの敷設方向は2つあり、かつ2つの方向が互いに逆であるが、敷設方向はこのような例に限らない。例えば、L字路の地中における2つの敷設方向は90度の角度をなしている。また、T字路、Y字路の地中においては3つの敷設方向を有することがあり、それらの成す角度は、90度、180度、60度というように様々である。
例えば、2つの敷設方向が90度をなしており、凹構造によって形成されるパターンが線対称である場合、敷設情報を参照したマンホール管理者及び作業者は敷設方向が南方向と東方向であるのか、北方向と西方向であるのか判別することができないことがある。これに対して、上述のように、受枠3は、該受枠3の形成する円の中心に対して線対称でもなく、点対称でもないパターンを形成する凹構造を有するため、敷設方向がどのような角度をなしている場合にも、マンホール管理者及び作業者は、敷設情報を参照して正確に敷設方向を判別することが可能となる。
また、受枠3の上表面に凹構造が配置されることによって、受枠3上を通過する人、車両がスリップする可能性を低減することができる。
次に上述した摩耗度判定手法と、伝送線路の敷設方向の把握をより簡便にするために画像処理や信号処理を用いた際の本技術の効果について述べる。本技術の活用によってマンホール1の鉄蓋4を開くことなく、外観から受枠3の摩耗度や伝送線路の敷設方向を同定できるようになるが、これらをさらに簡便に行うため、受枠3の外観の画像や動画から画像処理や信号処理を用いて自動判定を実施する手法が考えられる。実環境において、路上に設置した本技術のマンホール受枠を撮影する場合、撮影距離や角度、照度などの諸条件が変動する。例えば、図1で示した画像のように、鳥瞰で観測すれば新円に近いマンホール受枠であっても、人間の身長程度の高さから観測したら扁平になって観測される。また、図1のように撮影範囲に対して大きく受枠を撮影できることもあれば、遠距離撮影等理由から、撮影範囲に対して受枠が小さく撮影されることが考えられる。画像処理や信号処理においては、凹構造32の場所の認識、凹構造32の組み合わせ種類の認識、に代表される解析プロセスが必要になる。本技術では凹構造32の形状として幾何学形状を用いており、かつ凹構造群において前期凹構造が所定の間隔、又は所定の間隔の倍数の間隔で配置されていることによって、凹構造の撮影条件が変動する環境においても、パターンマッチング、エッジ検出、特徴量検出など簡易なアルゴリズムによって高精度な認識が可能となる。なぜならば、円や多角形、直線の組み合わせ等からなる既知の幾何学形状であれば、撮影角度に起因する扁平の程度が容易に推測できるために、マッチング認識が高精度に実施できると共に、凹構造群における凹構造の配列が所定の間隔及びその倍数の間隔で配置されていることが既知であれば、撮影画像中の凹構造群の大小にかかわらず、配列の認識が容易だからである。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は上述した第1の実施形態に記載の凹構造32を所定の形状にすることによって、摩耗度の判定にさらなる改善をもたらすことを目的にしている。
図6に本発明の第2の実施形態における受枠3の凹構造32を示す。凹構造32の水平方向の長さは、鉛直方向の位置に応じて変化する。具体的には、凹構造32は幾何学形状であり、例えば、図6に示すように既知の半径Rを有する半球の形状をしている。凹構造の配置の規則は第1の実施形態と同様である。また、凹構造32の深さは、受枠3の更改基準となる摩耗量と同等以上の長さを有していることが望ましい。以下に、本実施形態における摩耗度判定手法について述べる。
凹構造32は、既知の半径Rで製造されたものとする。新たに製造された受枠3を上面視すると、図7(a)に示すように半径Rの円が観察される。受枠3の摩耗が進行すると、図7(b)に示すように半径r(r<R)の円が観察される。
ここで、受枠3の摩耗が進行した状態における摩耗量をx、実際の点検現場で観測できる上表面における凹構造が形成する円の半径をr、図8に示すように、受枠3の摩耗が進行した状態において摩耗量がxとすると、R,r,xには式(1)の関係が成り立つ。図8に示す例において、破線の曲線は、受枠3の設置時における凹構造を画定する凹構造壁であり、実線の曲線は、摩耗進行時における凹構造を画定する凹構造壁であり、破線の直線L1は、受枠3の設置時における上表面であり、実線の直線L2は摩耗進行時における上表面である。
式(1)を変形することによって、摩耗量xは式(2)によって算出される。
すなわち、摩耗量xは、現場で計測された半径rから算出することができる。第1の実施形態では、摩耗量が更改基準に関連して設定された長さに達したか否かを判定していたことに対し、本実施形態では現在の摩耗量xを推定できる点が異なる。
ここで、本実施形態におけるrの計測手法の事例について述べる。受枠3の上表面に、凹構造32によって形成される円の半径rを求めるためには、定規等の道具を用いた直接計測が有効である。さらに、写真等の画像から簡便に半径rを求める手法としては、受枠3の幅、すなわち受枠3の径方向の長さとの比率を用いる方法もある。図7のように受枠3の製造時における幅をWとする。前述したように受枠3の凹構造32が形成する円の半径rは、摩耗が進むにしたがって小さくなるが、受枠3の幅Wは摩耗が進展しても変化することはない。よって現場での計測では、画像や視野で確認できる受枠3の幅Wと円の半径rとの比を求めれば、Wからrが算出可能となる。
本実施形態によって、マンホール管理者は受枠3の劣化の進行が把握可能となる。実際の維持管理においては、劣化と判明された設備を瞬時に更改することは不可能であり、予算や工事の手配などを勘案して順次更改する必要がある。このような場合において本実施形態を用いれば、摩耗量xを基に優先度をつけて受枠3の更改を進めることができる。例えば、劣化が顕著なものから更改することができる。または、摩耗の進行が早い受枠3については次回の点検を待たずに更改計画を立てることが可能となる。このように劣化の実情の勘案した更改の計画は、効率的な維持管理を実現するだけでなく、劣化の度合いを精緻に把握することから安全性も向上することができる。
前述で、凹構造32が半球形である場合を説明したように、本発明で使用する凹構造32は、その形状が幾何学形状であり、鉛直方向の位置に応じて形状が変化するものであれば、受枠3の上表面の形状を観測することによって摩耗量が算出され得る。
例えば、凹構造32は、図9に示すように、高さ方向を鉛直方向とする円錐形の形状を有してもよい。この場合、図10に示すように、摩耗量x、受枠3の製造時における円の半径R、計測された円の半径r、高さhとの関係は、式(3)で表される。
R:r=h:h−x 式(3)
これにより、摩耗量xは式(4)で表される。
x=(1−(r/R))×h 式(4)
なお、凹構造32は円錐形の形状に限られず、角錐形の形状であってもよい。
また、凹構造は、図11に示すような、高さ方向を水平方向とし、一の側面が受枠3の上表面に位置する三角柱の形状を有してもよい。この場合、図12に示すように、摩耗量xと、底面を構成する三角形の鉛直方向の長さhと、製造時における上表面内にある、三角形の辺の長さAと、測定時の上表面内の、三角形の辺の長さaとの関係は、式(5)で表される。
A:a=h:h−x 式(5)
これにより、摩耗量xは式(6)で表される。
x=(1−(a/A))×h 式(6)
また、凹構造32は、図13に示すような鉛直方向の位置に応じて段階的に断面形状が変化してもよい。例えば、凹構造32は、図14に示すように、受枠3の製造時において、受枠3の上表面からの深さdが0≦h≦H1の位置における凹構造32の水平方向の長さがb1であるように構成される。また、凹構造32は、深さdがH1<h≦H2の位置における水平方向の長さがb2(≠b1)であるように構成される。したがって、凹構造の水平方向の長さがb1であるとき、摩耗量xは0以上H1以下であり、凹構造32の水平方向の長さがb2であるとき、摩耗量xはH1より大きくH2以下であると判定される。
なお、図6,9,11,及び13に示す例において、凹構造32は受枠3の径方向における中央部に凹構造32が配置されたが、これに限られない。凹構造32は受枠3の径方向の端部に配置されてもよい。
例えば、受枠3は、図15に示すように、図6に示す凹構造32が形成する半球の中心を通り、受枠3の径方向を法線とする面で二分した部分からなる凹構造32を有してもよい。受枠3の製造時において、この凹構造32における半球の中心は、受枠3の上表面の外周側の端部に位置する。この場合、図6についての説明と同様に、摩耗量xは式(2)で表される。
また、受枠3は、図16に示すように、図7に示す凹構造32が形成する錐形の頂点と底面の中心とを通る面で二分した部分からなる凹構造32を有してもよい。受枠3の製造時において、この凹構造32は、錐形の底面の中心が受枠3の上表面の外周側の端部に位置し、該位置から鉛直下方に錐形の頂点が位置するように設けられる。この場合、図7についての説明と同様に、摩耗量xは式(4)で表される。
また、凹構造32は、図17に示すように、高さ方向を水平方向とし、一の側面が受枠3の上表面内の外周側の端部に位置し、他の側面が受枠3の外周面に位置する三角柱の形状を有してもよい。この場合、図8についての説明と同様に、摩耗量xは式(6)で表される。
また、凹構造32は、図18に示すように、所定の深さごとに段階的に上面視における形状が変化し、かつ、凹構造の一の側面が受枠3の外周面内にあってもよい。この場合、摩耗量xは、図8についての説明と同様に判定される。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の何れかの実施形態に対して、現場作業で必要となる目印やスリップ防止のための構造を具備している点が特徴である。第1、第2の実施形態では、凹構造32が形成するパターンが、受枠本体31が形成する円の中心に対して点対称ではなく、中心を通る線分の線対称でもない事例を示した。本実施形態ではそれに加え、受枠3は、鉛直方向に所定の長さを有する線状凹構造33を有し、線状凹構造33によって形成される上表面のパターンは、受枠3の中心に対して点対称又は線対称である。
図19に本実施形態における受枠3の線状凹構造33の配置の事例を示す。図19に例を示す受枠3は、図2に例を示した凹構造に加え線状凹構造33を追加している。
線状凹構造33は、上面視においていわゆる線状である凹構造である。線状凹構造33は、径方向に、受枠3の径方向の長さと略同一の長さを有し、周方向に所定の幅を有する。所定の幅とは、受枠3の近傍から人間の視力で観察可能な程度の幅であり、かつ、第1及び第2の実施形態における凹構造の幅より短い幅である。また、線状凹構造33の径方向の幅は、受枠3における鉛直方向の位置によらず一定である。
なお、受枠3は、図19に示した例に限らず、パターンは、受枠3の中心に対して点対称又は線対称であれば、任意の配置、位置、及び数の線状凹構造33を配置することができる。
第3の実施形態においては、線状凹構造33は鉛直方向の位置によらず一定の幅を有するため、摩耗が進んでも上表面に現れる形状は線状である。そのため、第1、第2の実施形態で活用する幾何学形状の形状とは明確に区別できる。摩耗が進んだ場合においては、第1、第2の実施形態の幾何学形状についても線のような形状に近づくことが想定されるが、この場合においても点対称又は線対称の特徴を活用すれば、摩耗度判定や伝送線路の敷設方向の同定に活用する凹構造とは明確に区別することが可能となる。したがって、マンホール管理者及び作業者は、敷設方向以外に作業にあたって必要となる方向を同定することが可能となる。
具体的には、マンホール1に係る作業の実施後に鉄蓋4で出入口を塞ぐために、作業者は、まず、鉄蓋4の周縁における所定の位置を、受枠3の所定の位置に合わせて載置する。そして、作業者は鉄蓋4を径方向に回転させる。これによって、鉄蓋4は受枠3に嵌合し、鉄蓋4が受枠3から外れてしまうのを防ぐことができる。そこで、作業者は、受枠3の所定の位置を把握する必要がある。第1の実施形態においては、受枠3の上表面には、敷設方向を判別するための複数の凹構造が配置されており、いずれの凹構造に対応する位置が所定の位置であるのか判別するのが困難である場合がある。これに対し、第3の実施形態のように受枠3は線状凹構造33を有することによって、作業者は、他の凹構造と区別することができ、鉄蓋4を配置するにあたっての受枠3の所定の位置を容易に把握することができる。
また、第3の実施形態では、凹構造に加えて、さらに線状凹構造33が配置されるため、受枠3上を通過する人、車両がスリップする可能性をより低減することができる。
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
1 マンホール
2 マンホール本体
3 受枠
4 鉄蓋
5 首部
6 管路
31 受枠本体
32 凹構造
33 線状凹構造

Claims (4)

  1. 鉛直方向上側の表面が円の形状を有する受枠本体と、
    前記受枠本体の、鉛直方向上側の表面である上表面側に配置され、鉛直方向に更改基準に関連する長さを有し、幾何学形状を有する3つ以上の凹構造と、を備え、
    前記凹構造の配置によって形成されるパターンは、前記受枠本体が形成する円の中心に対して点対称ではなく、かつ前記円の中心を通る任意の線分に対して線対称でなく、
    前記凹構造のうちの周方向に連続する1つ以上の凹構造を含む凹構造群の基準位置は、他の凹構造群の基準位置と、前記受枠本体の周方向に所定の間隔及び該所定の間隔の倍数の間隔、離れていることを特徴とするマンホールの受枠。
  2. 前記凹構造は、半球の形状、錐形、三角柱の形状、及び鉛直方向の位置に応じて段階的に断面形状が変化する形状のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のマンホールの受枠。
  3. 前記凹構造は、前記受枠本体の外周の縁に設置され、半球をさらに半分にした形状、錐形を半分にした形状、三角柱を半分にした形状、および、鉛直方向の位置に応じて段階的に断面形状が変化する形状のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のマンホールの受枠。
  4. 前記受枠本体の前記上表面側に鉛直方向に所定の長さを有する線状凹構造が配置され、前記線状凹構造の配置によって形成されるパターンは、前記中心に対して点対称である、又は前記線分に対して線対称であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマンホールの受枠。
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