JP2018097945A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高電位正極活物質を使用した場合にも非水電解液の分解を抑えて、高い容量維持率が実現されるリチウムイオン二次電池を提供すること。【解決手段】ここで開示されるリチウムイオン二次電池は、作動電位が金属リチウム基準で4.3V以上であるスピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であって酸素の一部がフッ素に置換されたフッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる高電位正極活物質を含む正極と、フッ素を含む電解質とフッ素を含むカーボネート系溶媒とを含む非水電解液とを備え、さらに上記高電位正極活物質の表面には、PとSiとを含む皮膜が形成されている。非水電解液には、少なくとも初期充電処理前の組立体の段階において、シリル基を有するリン酸エステル化合物を含むことを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。詳しくは、フッ素が導入された正極活物質を正極に有するリチウムイオン二次電池に関する。
非水電解液二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池は、軽量でありながら比較的高いエネルギー密度が得られることから、車両駆動用電源としての需要が高まっており、今後ますますの高性能化が求められている二次電池である。
かかる要求に応えるべく、スピネル型結晶構造のリチウム遷移金属複合酸化物、例えば、ニッケルとマンガンを含むLiNi0.5Mn1.5O4等のニッケルマンガン含有複合酸化物(以下、「NiMn系スピネル構造複合酸化物」ともいう。)のような作動電位が4.3V以上の高電位正極活物質が開発されてきている。このような高電位正極活物質は、5V級正極材料とも呼ばれ、従来よりも高容量化、高出力化を実現し得るリチウムイオン二次電池を提供するための正極材料として期待されている。この種の先行技術として例えば特許文献1に開示されるものがある。
かかる要求に応えるべく、スピネル型結晶構造のリチウム遷移金属複合酸化物、例えば、ニッケルとマンガンを含むLiNi0.5Mn1.5O4等のニッケルマンガン含有複合酸化物(以下、「NiMn系スピネル構造複合酸化物」ともいう。)のような作動電位が4.3V以上の高電位正極活物質が開発されてきている。このような高電位正極活物質は、5V級正極材料とも呼ばれ、従来よりも高容量化、高出力化を実現し得るリチウムイオン二次電池を提供するための正極材料として期待されている。この種の先行技術として例えば特許文献1に開示されるものがある。
上記のような高電位正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池では、4.3V以上の高電位状態での充放電が行われる。このため、非水電解液の成分が分解され易い傾向にある。そこで、容量維持率(ひいてはサイクル特性)の低下を防止するため、非水電解液成分の分解を抑制し得る種々の方策が考えられ、試行されている。
例えば、特許文献2には、電極表面に安定したSEI(solid electrolyte interface)皮膜を形成させることによって電極活物質と非水電解液との反応を防ぐことを助長する添加剤を非水電解液に添加する技術が記載されている。
例えば、特許文献2には、電極表面に安定したSEI(solid electrolyte interface)皮膜を形成させることによって電極活物質と非水電解液との反応を防ぐことを助長する添加剤を非水電解液に添加する技術が記載されている。
ところで、上述したスピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物(例えばNiMn系スピネル構造複合酸化物)の表面には、酸素(O)が脱離され易い傾向(即ち表面部における酸素欠損量が増大する傾向)にあり、結果、非水電解液の一部が分解され易いという問題がある。特にMnサイトの一部がFe及び/又はTiで置換されたNiMn系スピネル構造複合酸化物では、より酸素(O)が脱離され易く、非水電解液の分解がより助長される。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、5V級正極材料であるNiMn系スピネル構造複合酸化物のような高電位正極活物質を使用した場合にも非水電解液の分解を抑えて、高い容量維持率(ひいては良好なサイクル特性)が実現されるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、5V級正極材料であるNiMn系スピネル構造複合酸化物のような高電位正極活物質を使用した場合にも非水電解液の分解を抑えて、高い容量維持率(ひいては良好なサイクル特性)が実現されるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、NiMn系スピネル構造複合酸化物の分子(結晶)構造を種々検討し、当該スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物では、その結晶構造上、酸素欠損が生じやすいという特徴があるところ、当該スピネル型結晶構造複合酸化物にフッ素(F)を導入することにより、当該酸素欠損部位にフッ素を配置することができること、ならびに、当該配置されたフッ素(F)に対してシリル基を構成するSiが効果的に結合することを見出した。さらに、従来のリン酸由来の皮膜の形成と併せて、当該シリル基が上記酸素欠損部位に配置されたフッ素と結合してなるシリル基由来の皮膜をNiMn系スピネル構造複合酸化物の表面に形成することによって、非水電解液の分解が効果的に抑えられることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記目的を実現するべく以下の構成のリチウムイオン二次電池を提供する。即ち、ここで開示されるリチウムイオン二次電池は、
作動電位が金属リチウム基準で4.3V以上であるスピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であって酸素の一部がフッ素に置換されたフッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる高電位正極活物質を含む正極と、
フッ素を含む電解質とフッ素を含むカーボネート系溶媒とを含む非水電解液と、
を備えており、
前記高電位正極活物質の表面には、リン(P)とケイ素(Si)とを含む皮膜が形成されている、
ことを特徴とする。
作動電位が金属リチウム基準で4.3V以上であるスピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であって酸素の一部がフッ素に置換されたフッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる高電位正極活物質を含む正極と、
フッ素を含む電解質とフッ素を含むカーボネート系溶媒とを含む非水電解液と、
を備えており、
前記高電位正極活物質の表面には、リン(P)とケイ素(Si)とを含む皮膜が形成されている、
ことを特徴とする。
また、本発明は、上記目的を実現するべく、上記リチウムイオン二次電池を構築するための初期充電処理前のリチウムイオン二次電池組立体(換言すれば、リチウムイオン二次電池構築のためのアセンブリ)を提供する。即ち、ここで開示されるリチウムイオン二次電池組立体は、
作動電位が金属リチウム基準で4.3V以上であるスピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であって酸素の一部がフッ素に置換されたフッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる高電位正極活物質を含む正極と、
フッ素を含む電解質とフッ素を含むカーボネート系溶媒とを含む非水電解液と、
を備えており、
ここで前記非水電解液は、シリル基を有するリン酸エステル化合物を含むことを特徴とする。
作動電位が金属リチウム基準で4.3V以上であるスピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であって酸素の一部がフッ素に置換されたフッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる高電位正極活物質を含む正極と、
フッ素を含む電解質とフッ素を含むカーボネート系溶媒とを含む非水電解液と、
を備えており、
ここで前記非水電解液は、シリル基を有するリン酸エステル化合物を含むことを特徴とする。
上記のとおり、ここで開示されるリチウムイオン二次電池組立体では、上記高電位正極活物質であるフッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物(例えばフッ素含有NiMn系スピネル構造複合酸化物)が正極に含有されるとともに、非水電解液にはフッ素含有電解質(例えばLiPF6)とフッ素含有カーボネート系溶媒(例えばフッ素含有鎖状カーボネート、フッ素含有環状カーボネート)とを含む。そして、かかる条件を具備した上でさらにシリル基を有するリン酸エステル化合物(例えばトリス(トリメチルシリル)ホスフェート:TMSP)を含有する。これにより、本構成のリチウムイオン二次電池組立体を比較的高電位条件(例えば金属リチウム基準で4.7V以上)で初期充電した際には、非水電解液において生じる酸化還元反応において上記リン酸エステル化合物はリン酸部分とシリル基部分とに容易に分解(分離)され得る。
そして、図3に模式的に示すように、フッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物1の表面に存在するO原子に対し、主として上記リン酸部分が結合し得る。さらに、当該フッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物1の表面に存在するF(例えば上記酸素欠損部位に配置されたF)に対し、主としてシリル基部分が結合し得る。従って、ここで開示されるリチウムイオン二次電池組立体を初期充電処理することにより、高電位正極活物質であるフッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物1の表面に、リン酸由来のリン(P)とシリル基由来のケイ素(Si)とが混在する皮膜(以下「P−Si混在皮膜」という。)2を形成することができる。かかるP−Si混在皮膜の形成により、正極活物質の表面での電解液の酸化的な分解を抑制することができる。また、電解液の分解が抑えられるため、電解液の分解によるフッ化水素の生成量も減少し、フッ化水素による正極活物質からの金属イオンの溶出も抑制できる。
従って、上記P−Si混在皮膜が高電位正極活物質の表面に形成されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池によると、高電位条件で充放電処理を繰り返しても非水電解液の分解が抑制された高い耐久性(例えば高いサイクル特性)を実現することができる。
なお、高電位正極活物質の表面に形成されたP−Si混在皮膜の確認は、従来のSEI皮膜の確認と同様の手法を用いて行うことができる。例えば、AES分析(オージェ電子分光法)、EDS分析(エネルギー分散型X線分光法)、XPS分析(X線光電分光法)等の手法を電顕観察と組み合わせることによって容易にP−Si混在皮膜の確認を行うことができる。
なお、高電位正極活物質の表面に形成されたP−Si混在皮膜の確認は、従来のSEI皮膜の確認と同様の手法を用いて行うことができる。例えば、AES分析(オージェ電子分光法)、EDS分析(エネルギー分散型X線分光法)、XPS分析(X線光電分光法)等の手法を電顕観察と組み合わせることによって容易にP−Si混在皮膜の確認を行うことができる。
本明細書において「リチウムイオン二次電池」は、非水電解液中のリチウムイオンが電荷の移動を担う二次電池であり、本明細書中において特に言及しない限りにおいて、電池ケースや電極体の構造、形状に限定されない。
「電極体」とは、正極、負極、および正負極間にセパレータとして機能し得る多孔質絶縁層を含む電池の主体を成す構造体をいう。「正極活物質」または「負極活物質」(これらを総称して「電極活物質」という場合がある。)は、電荷担体となるリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能な化合物をいう。
本明細書において「リチウムイオン二次電池組立体」は、リチウムイオン二次電池を構成する部材を組み付けた組立体(アセンブリ)であって、初期充電処理およびそれに続くコンディショニング処理が施されていない段階の構造体をいう。
「電極体」とは、正極、負極、および正負極間にセパレータとして機能し得る多孔質絶縁層を含む電池の主体を成す構造体をいう。「正極活物質」または「負極活物質」(これらを総称して「電極活物質」という場合がある。)は、電荷担体となるリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能な化合物をいう。
本明細書において「リチウムイオン二次電池組立体」は、リチウムイオン二次電池を構成する部材を組み付けた組立体(アセンブリ)であって、初期充電処理およびそれに続くコンディショニング処理が施されていない段階の構造体をいう。
以下、ここで開示されるリチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池組立体の好適な一実施形態として、捲回電極体および非水電解液を角型形状の電池ケースに収容した構成である密閉構造の角型リチウムイオン二次電池について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。捲回電極体は一例であり、本発明の技術思想は、その他の形状(例えば積層型の電極体)にも適用される。また、電池形状(外形やサイズ)には特に制限はない。
なお、本明細書において数値範囲をA〜B(ここでA,Bは任意の数値)と記載している場合は、一般的な解釈と同様であり、A以上B以下を意味するものである。
なお、本明細書において数値範囲をA〜B(ここでA,Bは任意の数値)と記載している場合は、一般的な解釈と同様であり、A以上B以下を意味するものである。
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)20が、非水電解液とともに扁平な角型(箱形)形状の電池ケース30に収容された構成を有する。
電池ケース30は、上端が開放された扁平な直方体形状の電池ケース本体32と、その開口部を塞ぐ蓋体34とを備える。電池ケース30の上面(すなわち蓋体34)には、捲回電極体20の正極と電気的に接続する外部接続用の正極端子42、および捲回電極体20の負極と電気的に接続する負極端子44が設けられている。蓋体34にはまた、従来のリチウムイオン二次電池の電池ケースと同様に、電池ケース30の内部で発生したガスを電池ケース30の外部に排出するための安全弁36が備えられている。
電池ケース30の材質としては、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;が例示される。ケースの形状(容器の外形)は、例えば円形(円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(直方体形、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であってもよい。
電池ケース30は、上端が開放された扁平な直方体形状の電池ケース本体32と、その開口部を塞ぐ蓋体34とを備える。電池ケース30の上面(すなわち蓋体34)には、捲回電極体20の正極と電気的に接続する外部接続用の正極端子42、および捲回電極体20の負極と電気的に接続する負極端子44が設けられている。蓋体34にはまた、従来のリチウムイオン二次電池の電池ケースと同様に、電池ケース30の内部で発生したガスを電池ケース30の外部に排出するための安全弁36が備えられている。
電池ケース30の材質としては、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;が例示される。ケースの形状(容器の外形)は、例えば円形(円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(直方体形、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であってもよい。
捲回電極体20は、組み立てる前段階において長尺状のシート構造(シート状電極体)を有している。捲回電極体20は、長尺状のアルミニウム等の金属製の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された正極シート50と、長尺状の銅等の金属製の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成された負極シート60とを、長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わせて長尺方向に捲回し扁平形状に成形されている。
捲回電極体20の捲回軸方向における中央部分には、捲回コア部分(すなわち、正極シート50の正極活物質層54と、負極シート60の負極活物質層64と、セパレータシート70とが密に積層された部分)が形成されている。また、捲回電極体20の捲回軸方向の両端部では、正極シート50における正極活物質層非形成部53および負極シート60における負極活物質層非形成部63が、それぞれ捲回コア部分から外方にはみ出ている。かかる正極活物質層非形成部53および負極活物質層非形成部63には、正極集電板42aおよび負極集電板44aがそれぞれ付設され、正極端子42および負極端子44とそれぞれ電気的に接続されている。
捲回電極体20の捲回軸方向における中央部分には、捲回コア部分(すなわち、正極シート50の正極活物質層54と、負極シート60の負極活物質層64と、セパレータシート70とが密に積層された部分)が形成されている。また、捲回電極体20の捲回軸方向の両端部では、正極シート50における正極活物質層非形成部53および負極シート60における負極活物質層非形成部63が、それぞれ捲回コア部分から外方にはみ出ている。かかる正極活物質層非形成部53および負極活物質層非形成部63には、正極集電板42aおよび負極集電板44aがそれぞれ付設され、正極端子42および負極端子44とそれぞれ電気的に接続されている。
正極活物質層54は、少なくとも正極活物質を含んでいる。正極活物質としては、作動電位が金属リチウム基準で4.3V以上であるスピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であって、酸素の一部がフッ素に置換しているものであれば特に制限はない。好適例として、以下の一般式:
LixMn2−a−bNiaMbO4−yFy
(ここで、Mは存在しないか若しくはTi,Fe,Al,Si,Mg,Ca,Ba,Sr,Sc,V,Cr,Co,Cu,Zn,Ga,Y,Ru,Rh,Pd,In,Sn,Sb,La,Ce,Sm,Zr,Nb,Ta,Mo,Wからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、xは、0.9≦x≦1.3を満たし、yは、0.0005≦y≦0.2を満たし、aおよびbは、それぞれ、0.2≦a≦0.8、0≦b≦0.2を満たす。)
で表されるフッ素含有NiMn系スピネル構造酸化物が挙げられる。
例えば、LiMn1.5Ni0.5O3.98F0.02、LiMn1.45Ni0.45Fe0.05Ti0.05O3.95F0.05、等が好適なフッ素含有NiMn系スピネル構造酸化物の具体例として挙げられる。
LixMn2−a−bNiaMbO4−yFy
(ここで、Mは存在しないか若しくはTi,Fe,Al,Si,Mg,Ca,Ba,Sr,Sc,V,Cr,Co,Cu,Zn,Ga,Y,Ru,Rh,Pd,In,Sn,Sb,La,Ce,Sm,Zr,Nb,Ta,Mo,Wからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、xは、0.9≦x≦1.3を満たし、yは、0.0005≦y≦0.2を満たし、aおよびbは、それぞれ、0.2≦a≦0.8、0≦b≦0.2を満たす。)
で表されるフッ素含有NiMn系スピネル構造酸化物が挙げられる。
例えば、LiMn1.5Ni0.5O3.98F0.02、LiMn1.45Ni0.45Fe0.05Ti0.05O3.95F0.05、等が好適なフッ素含有NiMn系スピネル構造酸化物の具体例として挙げられる。
正極活物質の性状は特に限定されないが、例えば粒子状や粉末状であり得る。かかる粒子状正極活物質の平均粒径は、20μm以下(典型的には1μm〜20μm、例えば5μm〜15μm)であり得る。また、比表面積は0.1m2/g以上(典型的には0.7m2/g以上、例えば0.8m2/g以上)であって、5m2/g以下(典型的には1.3m2/g以下、例えば1.2m2/g以下)であり得る。なお、ここで「平均粒径」とは一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布おいて、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)をいう。
正極活物質層54には、上記正極活物質に加え、一般的なリチウムイオン二次電池において正極活物質層54の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、導電材やバインダが挙げられる。導電材としては、例えば、種々のカーボンブラック(典型的にはアセチレンブラック、ケッチェンブラック)、コークス、活性炭、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の炭素材料を好適に用いることができる。また、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等を好適に用いることができる。
正極活物質層54全体に占める正極活物質の割合は、典型的には60質量%〜99質量%とすることが適当であり、70質量%〜95質量%であることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層54全体に占める導電材の割合は、例えば2質量%〜20質量%とすることができ、3質量%〜10質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層54全体に占めるバインダの割合は、0.5質量%〜10質量%とすることができ、1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
正極活物質層54の片面当たりの平均厚みは、例えば20μm以上(典型的には40μm以上、好ましくは50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)であり得る。また、正極活物質層54の密度は、例えば1g/cm3〜4g/cm3(例えば1.5g/cm3〜3.5g/cm3)であり得る。また、正極活物質層54の空隙率(空孔率)は、例えば10〜50vol%(典型的には20〜40vol%)であり得る。このような性状を満たすことにより、正極活物質層54内に適度な空隙を保つことができ、非水電解液を十分に浸潤させることができる。ここで「空隙率」とは、水銀ポロシメータの測定によって得られた全細孔容積(cm3)を活物質層の見かけの体積(cm3)で除して100を掛けた値をいう。
正極活物質層54の片面当たりの平均厚みは、例えば20μm以上(典型的には40μm以上、好ましくは50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)であり得る。また、正極活物質層54の密度は、例えば1g/cm3〜4g/cm3(例えば1.5g/cm3〜3.5g/cm3)であり得る。また、正極活物質層54の空隙率(空孔率)は、例えば10〜50vol%(典型的には20〜40vol%)であり得る。このような性状を満たすことにより、正極活物質層54内に適度な空隙を保つことができ、非水電解液を十分に浸潤させることができる。ここで「空隙率」とは、水銀ポロシメータの測定によって得られた全細孔容積(cm3)を活物質層の見かけの体積(cm3)で除して100を掛けた値をいう。
正極シート50を作製する方法は特に限定されない。例えば、正極活物質と必要に応じて用いられる材料とを適当な溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)に分散させ、スラリー状またはペースト状の組成物(正極活物質層形成用スラリー)を調製する。かかる正極活物質層形成用スラリーを長尺状の正極集電体52に付与し、該スラリーに含まれる溶媒を除去、乾燥し、必要に応じてプレスすることにより、正極集電体52上に所望の性状の正極活物質層54を備えた正極シート50を作製することができる。
一方、負極活物質層64は、少なくとも負極活物質を含んでいる。負極活物質としては、リチウムイオン二次電池の負極活物質として使用し得る各種の材料の1種または2種以上を、特に限定なく使用することができる。好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ、これらを組み合わせた構造を有するもの等の少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む炭素材料が挙げられる。高エネルギー密度が得られることから、天然黒鉛(石墨)や人造黒鉛等の黒鉛系材料を好ましく用いることができる。
負極活物質の性状は特に限定されないが、例えば粒子状や粉末状であり得る。かかる粒子状負極活物質の平均粒径は、例えば50μm以下(例えば1μm〜20μm)であり得る。また、比表面積は1m2/g以上であって、10m2/g以下であり得る。
負極活物質の性状は特に限定されないが、例えば粒子状や粉末状であり得る。かかる粒子状負極活物質の平均粒径は、例えば50μm以下(例えば1μm〜20μm)であり得る。また、比表面積は1m2/g以上であって、10m2/g以下であり得る。
負極活物質層64には、上記負極活物質に加え、一般的なリチウムイオン二次電池において負極活物質層の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、バインダや各種添加剤が挙げられる。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のポリマー材料を好適に用いることができる。その他、増粘剤、分散剤、導電材等の各種添加剤を適宜使用することもでき、例えば増粘剤としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)を好適に用いることができる。
負極活物質層64全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90質量%〜99質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合には、負極活物質層64全体に占めるバインダの割合は1質量%〜10質量%とすることができる。
負極活物質層64の片面当たりの平均厚みは、例えば40μm以上であって、100μm以下とすることができる。また、負極活物質層64の密度は、例えば0.5g/cm3〜2g/cm3程度とすることができる。また、負極活物質層64の空隙率は、例えば5〜50vol%程度であり得る。また、このような性状を満たすことにより、負極活物質層64内に適度な空隙を保つことができ、非水電解液を十分に浸潤させることができる。
負極活物質層64全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90質量%〜99質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合には、負極活物質層64全体に占めるバインダの割合は1質量%〜10質量%とすることができる。
負極活物質層64の片面当たりの平均厚みは、例えば40μm以上であって、100μm以下とすることができる。また、負極活物質層64の密度は、例えば0.5g/cm3〜2g/cm3程度とすることができる。また、負極活物質層64の空隙率は、例えば5〜50vol%程度であり得る。また、このような性状を満たすことにより、負極活物質層64内に適度な空隙を保つことができ、非水電解液を十分に浸潤させることができる。
負極シート60を作製する方法は特に限定されない。例えば、負極活物質と必要に応じて用いられる材料とを適当な溶媒(例えば蒸留水)に分散させ、スラリー状またはペースト状の組成物(負極活物質層形成用スラリー)を調製する。かかる負極活物質層形成用スラリーを長尺状の負極集電体62に付与し、該スラリーに含まれる溶媒を除去、乾燥し、必要に応じてプレスすることにより、負極集電体62上に負極活物質層64を備えた負極シート60を作製することができる。
正負極シート50、60間に介在されるセパレータシート70としては、正極活物質層54と負極活物質層64とを絶縁するとともに非水電解液の保持機能やシャットダウン機能を有するものであればよい。好適例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム)が挙げられる。
本実施形態に係る非水電解液は、非水溶媒と、電解質(即ち支持塩)とから構成される。かかる非水溶媒は、従来のリチウムイオン二次電池と同様、種々のカーボネート系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等の非プロトン性溶媒を用いることができる。なかでもカーボネート系溶媒の使用が好ましい。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池では、非水溶媒として少なくとも1種のフッ素を含むカーボネート系溶媒を用いることが好ましい。例えば、モノフルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート、トリフルオロジメチルカーボネートのようなフッ素含有カーボネート系溶媒を使用することができる。
例えば、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等のフッ素含有環状カーボネート系溶媒と、メチル2、2、2−トリフルオロエチルカーボネート等のフッ素含有鎖状カーボネート系溶媒とを共存させることによって、安定した高誘電率と低粘度を実現するとともに、シリル基を有するリン酸エステル化合物がリン酸部分とシリル基部分とに分解された後、これら分解産物の非水電解液中の安定性を高め、正極活物質表面に到達するのを助長することができる。また、酸化電位が高いこれらカーボネート系溶媒のフッ素化により、高電位正極活物質を有するリチウムイオン二次電池の電池性能をより向上させることができる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池では、非水溶媒として少なくとも1種のフッ素を含むカーボネート系溶媒を用いることが好ましい。例えば、モノフルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート、トリフルオロジメチルカーボネートのようなフッ素含有カーボネート系溶媒を使用することができる。
例えば、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等のフッ素含有環状カーボネート系溶媒と、メチル2、2、2−トリフルオロエチルカーボネート等のフッ素含有鎖状カーボネート系溶媒とを共存させることによって、安定した高誘電率と低粘度を実現するとともに、シリル基を有するリン酸エステル化合物がリン酸部分とシリル基部分とに分解された後、これら分解産物の非水電解液中の安定性を高め、正極活物質表面に到達するのを助長することができる。また、酸化電位が高いこれらカーボネート系溶媒のフッ素化により、高電位正極活物質を有するリチウムイオン二次電池の電池性能をより向上させることができる。
電解質(即ち支持塩)としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、等のフッ素含有リチウム化合物の1種または2種以上を用いることができる。特に好ましい電解質としてLiPF6が挙げられる。なお、電解質の濃度は特に限定されないが、凡そ0.1〜5mol/L(例えば0.5〜3mol/L、典型的には0.8〜1.5mol/L)の濃度とすることができる。
また、非水電解液は、本発明の目的を実現するべく、添加剤として少なくとも一種のシリル基を有するリン酸エステル化合物を含むように調製される。この種のリン酸エステル化合物の典型例として、以下の構造式(1)で示すトリス(トリアルキルシリル)ホスフェートが挙げられる。
ここで式(1)中のR1〜R9は、同一かあるいはそれぞれ異なっていてもよい、炭素数が1〜8程度の鎖状若しくは環状のアルキル基であり得る。典型例として、R1〜R9は、それぞれが独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基の何れかであり得る。
特に好ましい具体例として、従来から負極の表面にSEI皮膜を形成するのに用いられているトリス(トリメチルシリル)ホスフェート(TMSP:構造式は図4参照)が挙げられる。このようなシリル基を有するリン酸エステル化合物は、初期充電処理の際に、Si−O部位が開裂してリン酸部分とシリル基部分とに分解され、これら分解産物が安定的に産生されるため好ましい。
非水電解液中に含有させるシリル基を有するリン酸エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、非水電解液の全重量(溶媒+電解質)を100wt%としたときの1〜10wt%に相当する量の含有が好適である。特に2〜5wt%に相当する含有量が特に好適である。
特に好ましい具体例として、従来から負極の表面にSEI皮膜を形成するのに用いられているトリス(トリメチルシリル)ホスフェート(TMSP:構造式は図4参照)が挙げられる。このようなシリル基を有するリン酸エステル化合物は、初期充電処理の際に、Si−O部位が開裂してリン酸部分とシリル基部分とに分解され、これら分解産物が安定的に産生されるため好ましい。
非水電解液中に含有させるシリル基を有するリン酸エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、非水電解液の全重量(溶媒+電解質)を100wt%としたときの1〜10wt%に相当する量の含有が好適である。特に2〜5wt%に相当する含有量が特に好適である。
非水電解液は、その他の任意の添加成分を含んでもよい。例えば、電池の出力性能の向上、保存性の向上(保存中における容量低下の抑制等)、サイクル特性の向上、初期充放電効率の向上等の目的で種々の添加剤を含有させることができる。かかる添加剤として、上記シリル基を有するリン酸エステル化合物以外の皮膜形成剤、ガス発生剤、分散剤、増粘剤等が挙げられる。リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)等のオキサレート錯体、ビニレンカーボネート等は、電池の性能向上に寄与する好適な添加剤である。また、過充電対策で用いられ得るシクロヘキシルベンゼン、ビフェニル等も好適な添加剤の例である。
上述した各種の材料、部材を用いて図示されるようなリチウムイオン二次電池を製造する。かかる製造方法(例えば、リチウムイオン二次電池組立体を構築するまでのステップ)自体は、従来から用いられている手法を適宜採用して行うことができ、本発明を特徴付けるものではないので、ここで詳細な説明は省略する。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池は、各種用途に利用可能であるが、高電位正極活物質を有し、サイクル特性に優れることから、車両駆動用電源等として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。車両に備えられるリチウムイオン二次電池は、通常、複数個が接続された組電池の形態で用いられることは従来と同様であり、組電池の構造等の図示は省略する。
以下、本発明に関するいくつかの試験例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<正極シートの作製>
Li以外の構成金属元素の原料として各金属の硫酸塩を所定のモル比となるように配合し、水に溶解させ、水酸化ナトリウムを添加して中和、撹拌することによって前駆体を得た。これを所定量の炭酸リチウム、フッ化リチウムと混合し、900℃で15時間焼成したのち、ボールミルで粉砕することによって平均粒径が10μmのフッ素含有NiMn系スピネル構造酸化物:LiMn1.5Ni0.5O3.98F0.02を得た。
かかるLiMn1.5Ni0.5O3.98F0.02からなる正極活物質をフッ素有り正極活物質として以下の試験例に使用した。
一方、比較対象として、フッ化リチウムを使用しないことを除いて上記と同様の材料およびプロセスにより、平均粒径が10μmのフッ素非含有NiMn系スピネル構造酸化物:LiMn1.5Ni0.5O4を得た。
かかるLiMn1.5Ni0.5O4からなる正極活物質をフッ素無し正極活物質として以下の試験例に使用した。
Li以外の構成金属元素の原料として各金属の硫酸塩を所定のモル比となるように配合し、水に溶解させ、水酸化ナトリウムを添加して中和、撹拌することによって前駆体を得た。これを所定量の炭酸リチウム、フッ化リチウムと混合し、900℃で15時間焼成したのち、ボールミルで粉砕することによって平均粒径が10μmのフッ素含有NiMn系スピネル構造酸化物:LiMn1.5Ni0.5O3.98F0.02を得た。
かかるLiMn1.5Ni0.5O3.98F0.02からなる正極活物質をフッ素有り正極活物質として以下の試験例に使用した。
一方、比較対象として、フッ化リチウムを使用しないことを除いて上記と同様の材料およびプロセスにより、平均粒径が10μmのフッ素非含有NiMn系スピネル構造酸化物:LiMn1.5Ni0.5O4を得た。
かかるLiMn1.5Ni0.5O4からなる正極活物質をフッ素無し正極活物質として以下の試験例に使用した。
上記得られたフッ素有りまたはフッ素無し正極活物質と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、活物質:AB:PVdF=87:10:3の質量比となるように混練機に投入し、N−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調整しながら混練して、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、厚み12μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布し、乾燥後にプレスすることによって、正極集電体上に、密度が約2.9g/cm3であるフッ素有り正極活物質を有する正極活物質層またはフッ素無し正極活物質を有する正極活物質層を有する2種類の正極シートを作製した。
<負極シートの作製>
負極活物質として平均粒径が20μmの天然黒鉛と、結着剤としてSBRと、増粘剤としてCMCとを、これらの材料の質量比が98:1:1となるように水で混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、厚さ15μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗付し、乾燥後にプレスすることによって、負極集電体上に、密度が約1.4g/cm3である負極活物質層を有する負極シートを作製した。
負極活物質として平均粒径が20μmの天然黒鉛と、結着剤としてSBRと、増粘剤としてCMCとを、これらの材料の質量比が98:1:1となるように水で混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、厚さ15μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗付し、乾燥後にプレスすることによって、負極集電体上に、密度が約1.4g/cm3である負極活物質層を有する負極シートを作製した。
<非水電解液の調製>
フッ素含有環状カーボネート系溶媒として、トリフルオロメチルエチレンカーボネート(TFMEC)を使用し、フッ素含有鎖状カーボネート系溶媒として、メチル2、2、2−トリフルオロエチルカーボネート(MTFEC)を使用した。
そして、(TFMEC)と(MTFEC)との体積比(TFMEC):(MTFEC)が、30:70となるようにこれらを混合し、その混合溶媒に1mol/LのLiPF6を溶解することにより、非水電解液を調製した。
次いで、添加剤として、図4に構造式を示す3種類の化合物、即ち、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート(TMSP)、メチルビス(トリメチルシリル)アミン(以下「TMSA」という。)、トリエチルホスフェート(以下「TEP」という。)のうちのいずれかを使用し、以下の表1に示す選択、および添加量(非水電解液の全重量を100wt%としたときの添加量:wt%)を適宜異ならせて、複数種類の非水電解液を調製した。
フッ素含有環状カーボネート系溶媒として、トリフルオロメチルエチレンカーボネート(TFMEC)を使用し、フッ素含有鎖状カーボネート系溶媒として、メチル2、2、2−トリフルオロエチルカーボネート(MTFEC)を使用した。
そして、(TFMEC)と(MTFEC)との体積比(TFMEC):(MTFEC)が、30:70となるようにこれらを混合し、その混合溶媒に1mol/LのLiPF6を溶解することにより、非水電解液を調製した。
次いで、添加剤として、図4に構造式を示す3種類の化合物、即ち、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート(TMSP)、メチルビス(トリメチルシリル)アミン(以下「TMSA」という。)、トリエチルホスフェート(以下「TEP」という。)のうちのいずれかを使用し、以下の表1に示す選択、および添加量(非水電解液の全重量を100wt%としたときの添加量:wt%)を適宜異ならせて、複数種類の非水電解液を調製した。
<リチウムイオン二次電池組立体の構築>
上記で作製したいずれかの正極シートと負極シートとを、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)からなる3層構造(PP/PE/PP)で厚み20μmのセパレータシート2枚とともに捲回し、扁平形状に成形して電極体を作製した。
そして、上記作製した非水電解液のいずれかと共にラミネート型のケース(ラミネートフィルム)に収容することにより、表1に示す例1〜9に係る条件の試験用リチウムイオン二次電池組立体を作製した。このとき、電池の設計容量は、約14mAhとなるように、電極のサイズを規定した。
上記で作製したいずれかの正極シートと負極シートとを、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)からなる3層構造(PP/PE/PP)で厚み20μmのセパレータシート2枚とともに捲回し、扁平形状に成形して電極体を作製した。
そして、上記作製した非水電解液のいずれかと共にラミネート型のケース(ラミネートフィルム)に収容することにより、表1に示す例1〜9に係る条件の試験用リチウムイオン二次電池組立体を作製した。このとき、電池の設計容量は、約14mAhとなるように、電極のサイズを規定した。
<初期充電処理>
上記構築した例1〜例9に係るリチウムイオン二次電池組立体に対し、初期充電処理を行った。即ち、1Cの電流値(充電レート)で4.9Vまで定電流充電を行った後、定電圧充電保持した。ここで1Cとは、正極の理論容量より予測した電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流値を意味する。
次に、この処理を行った後の例1〜例9に係るリチウムイオン二次電池の初期電池容量を測定した。即ち、C/5の電流値(充電レート)で4.9Vまで定電流充電を行った後、定電圧充電時の電流値がC/50になる点まで定電圧充電を行うことによって満充電(SOCがほぼ100%)状態とした。その後、25℃の温度条件下において、定電流方式によりC/5の電流値で3.5Vまで放電したときの放電容量を初期電池容量とした。
上記構築した例1〜例9に係るリチウムイオン二次電池組立体に対し、初期充電処理を行った。即ち、1Cの電流値(充電レート)で4.9Vまで定電流充電を行った後、定電圧充電保持した。ここで1Cとは、正極の理論容量より予測した電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流値を意味する。
次に、この処理を行った後の例1〜例9に係るリチウムイオン二次電池の初期電池容量を測定した。即ち、C/5の電流値(充電レート)で4.9Vまで定電流充電を行った後、定電圧充電時の電流値がC/50になる点まで定電圧充電を行うことによって満充電(SOCがほぼ100%)状態とした。その後、25℃の温度条件下において、定電流方式によりC/5の電流値で3.5Vまで放電したときの放電容量を初期電池容量とした。
<充放電サイクル試験>
次に、例1〜例9に係るリチウムイオン二次電池について、充放電サイクル試験を行い、容量維持率を測定した。
具体的には、60℃の温度条件下において、2Cの充電レートで電圧4.9Vまで定電流充電を行い、その後2Cの放電レートで電圧3.5Vまで定電流放電を行う充放電を1サイクルとし、該充放電を300サイクル繰り返した。
かかる充放電サイクル試験終了後の各電池について、上記初期電池容量測定と同様の方法で300サイクル後の放電容量を測定した。そして、300サイクル後の放電容量を初期電池容量で除することによって、300サイクル後の容量維持率(%)とした。結果を表1の該当欄および図2に示す。
次に、例1〜例9に係るリチウムイオン二次電池について、充放電サイクル試験を行い、容量維持率を測定した。
具体的には、60℃の温度条件下において、2Cの充電レートで電圧4.9Vまで定電流充電を行い、その後2Cの放電レートで電圧3.5Vまで定電流放電を行う充放電を1サイクルとし、該充放電を300サイクル繰り返した。
かかる充放電サイクル試験終了後の各電池について、上記初期電池容量測定と同様の方法で300サイクル後の放電容量を測定した。そして、300サイクル後の放電容量を初期電池容量で除することによって、300サイクル後の容量維持率(%)とした。結果を表1の該当欄および図2に示す。
表1に示す結果から明らかなように、フッ素有り正極活物質を有する正極活物質層を備え且つ非水電解液にTMSPを添加しておいた例1〜4に係るリチウムイオン二次電池は、フッ素無し正極活物質を用いて構築したリチウムイオン二次電池(例5〜6)や、フッ素有り正極活物質を用いて構築した場合であっても非水電解液にTMSPを添加していないリチウムイオン二次電池(例7〜9)と比べて顕著に高い容量維持率を示した。
かかる結果は、高電位正極活物質を用いる場合において、ここで開示される構成のリチウムイオン二次電池を構築することによって、高電位正極活物質の表面にP−Si混在皮膜が形成され、高電位充電時等における非水電解液の分解を抑えて電池の耐久性を向上し得ることを示すものである。
なお、TMSPに代えて、TMSAやTEPを使用した場合には、かかる効果を奏することはできないことも明らかとなった。さらに、図2に示すように、非水電解液全量(100wt%とする)に対するTMSP添加量としては、10wt%以下、特に2〜5wt%程度の添加量が好適であることも認められた。
かかる結果は、高電位正極活物質を用いる場合において、ここで開示される構成のリチウムイオン二次電池を構築することによって、高電位正極活物質の表面にP−Si混在皮膜が形成され、高電位充電時等における非水電解液の分解を抑えて電池の耐久性を向上し得ることを示すものである。
なお、TMSPに代えて、TMSAやTEPを使用した場合には、かかる効果を奏することはできないことも明らかとなった。さらに、図2に示すように、非水電解液全量(100wt%とする)に対するTMSP添加量としては、10wt%以下、特に2〜5wt%程度の添加量が好適であることも認められた。
20 捲回電極体
30 電池ケース
42 正極端子
44 負極端子
50 正極(正極シート)
54 正極活物質層
60 負極(負極シート)
64 負極活物質層
70 セパレータ
100 リチウムイオン二次電池
30 電池ケース
42 正極端子
44 負極端子
50 正極(正極シート)
54 正極活物質層
60 負極(負極シート)
64 負極活物質層
70 セパレータ
100 リチウムイオン二次電池
Claims (2)
- リチウムイオン二次電池であって、
作動電位が金属リチウム基準で4.3V以上であるスピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であって酸素の一部がフッ素に置換されたフッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる高電位正極活物質を含む正極と、
フッ素を含む電解質とフッ素を含むカーボネート系溶媒とを含む非水電解液と、
を備えており、
前記高電位正極活物質の表面には、リン(P)とケイ素(Si)とを含む皮膜が形成されている、リチウムイオン二次電池。 - リチウムイオン二次電池を構築するための初期充電処理前のリチウムイオン二次電池組立体であって、
作動電位が金属リチウム基準で4.3V以上であるスピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であって酸素の一部がフッ素に置換されたフッ素含有リチウム遷移金属複合酸化物からなる高電位正極活物質を含む正極と、
フッ素を含む電解質とフッ素を含むカーボネート系溶媒とを含む非水電解液と、
を備えており、
ここで前記非水電解液は、シリル基を有するリン酸エステル化合物を含むことを特徴とする、リチウムイオン二次電池組立体。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2024225278A1 (ja) * | 2023-04-28 | 2024-10-31 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 正極および二次電池 |
-
2016
- 2016-12-08 JP JP2016238900A patent/JP2018097945A/ja active Pending
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