JP2018106879A - 絶縁層付き負極 - Google Patents

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Abstract

【課題】負極上にポリオレフィン粒子を用いて絶縁層を形成してなる絶縁層付き負極において、絶縁層の強度を高めること。【解決手段】本開示の絶縁層付き負極は、リチウムイオン二次電池用の負極と、負極の少なくとも一方の表面に設けられた多孔性の絶縁層と、を備える。負極は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた負極活物質およびバインダーを含む負極合材層と、を備える。絶縁層は、ポリオレフィン粒子と、ベーマイトと、を含む。ベーマイトは、アスペクト比が20以上の形状を有する。ベーマイトは、絶縁層の表面と平行な方向に配向している。絶縁層中のベーマイトの含有量は、10質量%以上である。絶縁層の厚みは24μm以上である。【選択図】図1

Description

本開示は、絶縁層付き負極に関する。
負極上にポリオレフィン粒子を用いて絶縁層を形成してなる絶縁層付き負極(電極一体型セパレータ)が知られている。特開2015−088369号公報(特許文献1)では、絶縁層中に、ポリオレフィン粒子に加えて、セルロースナノファイバーを配合することで、絶縁層の強度(応力耐性)を向上させている。
特開2015−088369号公報
しかしながら、負極上にポリオレフィン粒子を用いて絶縁層を形成してなる絶縁層付き負極において、絶縁層の強度はさらなる改善の余地があった。
本開示は、上記の課題に鑑みて、負極上にポリオレフィン粒子を用いて絶縁層を形成してなる絶縁層付き負極において、絶縁層の強度を高めることを目的とする。
本開示の絶縁層付き負極は、リチウムイオン二次電池用の負極と、前記負極の少なくとも一方の表面に設けられた多孔性の絶縁層と、を備える。
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた負極活物質およびバインダーを含む負極合材層と、を備える。
前記絶縁層は、ポリオレフィン粒子と、ベーマイトと、を含む。
前記ベーマイトはアスペクト比が20以上の形状を有する。
前記ベーマイトは、前記絶縁層の表面と平行な方向に配向している。
前記絶縁層中の前記ベーマイトの含有量は、10質量%以上である。
前記絶縁層の厚みは24μm以上である。
本開示の絶縁層付き負極においては、アスペクト比が20以上の形状を有する比較的硬度の高いベーマイトが、絶縁層の表面と平行な方向(以下、「面方向」と略す場合がある。)に配向している。これにより、面方向に配向したベーマイトが連なって、梁のような役割を果たし、絶縁層の強度が向上する。その結果、絶縁層付き負極と正極とを積層する際に、両者の間に導電性異物が介在した場合などにおいても、内部短絡の発生を抑制することができる。
本開示によれば、負極上にポリオレフィン粒子を用いて絶縁層を形成してなる絶縁層付き負極において、絶縁層の強度を高めることができる。
本開示の実施形態に係る絶縁層付き負極を示す断面模式図である。
以下、本開示の実施形態について説明する。ただし、本開示はこれらに限定されるものではない。
<絶縁層付き負極1>
図1を参照して、本実施形態の絶縁層付き負極1は、リチウムイオン二次電池用のシート状の負極2と、負極2の少なくとも一方の表面に設けられた多孔性の絶縁層3と、を備える。なお、絶縁層3は、負極2の両面に設けられていてもよい。
このような絶縁層(セパレータ)付き負極を用いることにより、負極とセパレータと正極とを別々に用意して積層する場合に比べて、位置ズレ、シワ、タルミ等の不良による電極およびセパレータのロスが少なく、生産性が向上する。
《負極2》
負極2は、負極集電体20と、負極集電体20の少なくとも一方の表面に設けられた負極合材層21と、を備える。なお、負極合材層21は、負極集電体20の両面に設けられていてもよい。
〔負極集電体20〕
負極集電体20としては、例えば、金属箔が挙げられる。金属箔としては、例えば、圧延銅箔、電解銅箔などが挙げられる。負極集電体の厚みは、例えば、5〜20μm程度である。
〔負極合材層21〕
負極合材層21は、負極活物質およびバインダーを含む。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン、それらの混合物などが挙げられる。なお、負極活物質は、Liイオンを吸蔵および放出できる材料であれば特に限定されない。負極活物質の平均粒径は、例えば5〜20μm程度である。
なお、本明細書において、「平均粒径」の用語は、レーザ回折・散乱法によって測定された体積基準の粒度分布において、積算値50%での粒径(「d50」、「メジアン径」とも称される。)を意味する。
バインダーは、溶媒への分散性が良好なバインダーであることが望ましい。例えば、ポリアクリル酸(PAA)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等をバインダーとして用いることができる。
負極活物質の量とバインダーの量との比は、例えば、質量比で85:15〜99.5:0.5程度である。
負極合材層21は、導電材等をさらに含んでいてもよい。導電材としては、例えば、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類が挙げられる。
負極合材層21の密度は、例えば、0.5〜3g/cm程度である。なお、負極合材層の密度は、プレス処理によって調整してもよい。
《絶縁層3》
絶縁層3は、ポリオレフィン粒子31と、ベーマイト32と、を含む。
絶縁層3は、電気絶縁性である。絶縁層3により、負極2と、絶縁層付き負極1に積層される正極と、を電気的に隔離する。
また、絶縁層3は、多孔性であり、複数の空隙(細孔)を有しているため、電解質を保持し、電解質中のイオンを透過させることが可能である。このような絶縁層3の多孔質構造は、電解質を保持でき、イオンが透過可能な構造であれば、どのような構造であってもよい。絶縁層の透気抵抗度は、たとえば約50秒/100mL未満である。透気抵抗度は、例えば、ガーレー法に従い、ガーレー透気度試験機等を用いて測定できる。
絶縁層3の厚みは、24μm以上である。このような厚みの絶縁層を設ける場合において、本開示の効果がより確実に奏される。なお、絶縁層の厚みの上限は、例えば、50μm程度である。ここで、絶縁層3の厚みは、厚み方向の断面において測定することができる。測定には、光学顕微鏡あるいはSEM等が使用され得る。厚みは、例えば、10箇所以上で測定され、10箇所以上の厚みの算術平均を測定結果として採用すればよい。
〔ポリオレフィン粒子31〕
ポリオレフィン粒子31は、ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂からなる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。
ポリオレフィン粒子31は、例えば、1.0〜2.0程度のアスペクト比を有し、例えば、球状である。なお、球状とは、真球に限定されず、略球状を含む概念である。また、ポリオレフィン粒子の平均粒径は、例えば、0.5〜5μm程度である。絶縁層3の透気抵抗度(イオン透過性)は、例えば、ポリオレフィン粒子31の粒径等によって調整され得る。
なお、ポリオレフィン系樹脂の押出し成型等によって作製されたフィルム状の絶縁層に対して、ポリオレフィン粒子31を用いて形成された絶縁層は、イオン透過性が高く(透気抵抗度が小さく)なり、出力特性に優れる。
また、絶縁層3がポリオレフィン粒子31を含むことにより、絶縁層3(セパレータ)にシャットダウン機能が付与され得る。シャットダウン機能とは、リチウムイオン二次電池が発熱した際に、ポリオレフィン粒子31が溶融することにより、絶縁層3内の細孔が閉塞され、電荷担体(リチウムイオン)が絶縁層3内を透過することを遮断する機能である。
シャットダウン機能の観点から、ポリオレフィン系樹脂は、95℃以上105℃以下の融点を有することが好ましい。電解質の分解、負極と電解液との発熱反応等は、140℃弱程度で開始する虞があり、それよりも十分低い温度でシャットダウン機能が発揮されることが望ましいからである。95℃以上105℃以下の融点を有するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、PEが挙げられる。そのような融点を有するPEの質量平均分子量は、例えば、5000以上25000以下程度である。
〔ベーマイト32〕
ベーマイト32の成分は、水酸化酸化アルミニウム(組成式:AlOOH)である。ベーマイトは、450〜530℃程度の温度で脱水(分解)する。したがって、ポリオレフィン粒子の融点程度の温度(ポリオレフィン粒子がシャットダウン機能を発揮する温度)では、ベーマイト32は分解しない。
ベーマイト32は、アスペクト比が20以上の形状を有する。このような形状のベーマイト32をフィラーとして用いることにより、本開示の効果がより確実に奏される。なお、アスペクト比の上限は特に限定されないが、絶縁層中での分散性などの観点からは、アスペクト比は40程度以下であることが好ましい。
ここで、「アスペクト比」とは、粒子(ベーマイト32)の2次元投影像における最大径である長軸径を、該長軸径に直交する径のうち最大径である短軸径で除した値である。なお、アスペクト比は、例えば、絶縁層付き負極の断面像(たとえば断面SEM像)の絶縁層の部分において、100個程度の粒子の長軸径および短軸径を測定し、それらの算術平均値から求めることができる。
ベーマイト32の長軸径は、好ましくは3μm以上である。このような場合に、本開示の効果がより確実に奏されると考えられる。ベーマイト32の長軸径の上限は、例えば、15μm程度である。
ベーマイト32は、図1に示されるように、絶縁層3の表面と平行な方向(面方向)に配向している。なお、絶縁層3の表面に平行な方向は、負極集電体20の表面と平行な方向でもある。これにより、面方向に配向したベーマイト32が連なって、梁のような役割を果たし、絶縁層の強度(圧縮強度)が向上する。
なお、「ベーマイトが絶縁層の表面と平行な方向に配向している」とは、ベーマイト32の長軸径のベクトルを、絶縁層3の面方向のベクトルと絶縁層3の厚み方向のベクトルとに分解したときに、面方向のベクトルの平均長が厚み方向のベクトルの平均長よりも長いことを意味する。なお、必ずしも個々のベーマイト全てについて、面方向のベクトルが厚み方向のベクトルよりも長いことは要しない。
絶縁層3中のベーマイト32の含有量は、10質量%以上である。このような場合に、本開示の効果がより確実に奏されると考えられる。なお、絶縁層3中のベーマイト32の含有量は、好ましくは40質量%以下である。ベーマイト32の含有量が40質量%を超えると、シャットダウン性能が低下してしまう可能性があるからである。
<絶縁層付き負極1の製造>
本実施形態の絶縁層付き負極1の製造の一例について、以下に説明する。まず、負極2を以下のようにして用意する。
例えば、負極活物質、バインダーおよび溶媒を含有する塗料が調製される。塗料は、導電材を含んでいてもよい。塗料が負極集電体20の表面に塗工され、乾燥されることにより、負極合材層21が形成される。これにより、負極2が製造される。ただし、これに限定されず、負極合材層21は、ロール成形、ロール転写などによって製造されてもよい。
次に、得られた負極2の表面に絶縁層3を形成する。まず、ポリオレフィン粒子、ベーマイトおよび溶媒を含有する塗料が調製される。塗料中の固形分濃度(不揮発性分の含有率)は、例えば、20〜60質量%程度である。例えば、塗料には、粘度を調整して均一塗工を容易にするために、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘材を配合してもよい。
該塗料が負極2の表面に塗工され、乾燥されることにより、絶縁層3が形成される。さらに、絶縁層3にはプレス処理が施される。これにより、ベーマイト32を面方向(絶縁層の表面に平行な方向)に配向させることができる。また、絶縁層3を所望の密度に調整することができる。なお、プレス処理の圧力は、例えば、0.5〜5N/mm程度である。プレス処理(プレス加工)としては、ロールプレスなどが挙げられる。
このようにして、本実施形態の絶縁層付き負極1が製造される。なお、絶縁層付き負極1は、リチウムイオン二次電池の仕様に応じて、所定の寸法に加工される。
<リチウムイオン二次電池の製造>
本実施形態の絶縁層付き負極を用いたリチウムイオン二次電池の製造の一例について、以下に説明する。まず、正極を以下のようにして用意する。
例えば、正極活物質およびバインダを含有する塗料が調製される。塗料は、導電材を含んでいてもよい。塗料が正極集電体の表面に塗工され、乾燥されることにより、正極合材層が形成される。これにより、正極が製造される。ただし、これに限定されず、正極は、ロール成形、ロール転写などによって製造されてもよい。なお、正極は、二次電池の仕様に応じて、所定の寸法に加工される。
正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、LiNi1/3Co1/3Mn1/32等のLi含有金属酸化物の粒子、LiFePO4等のLi含有リン酸塩の粒子などが挙げられる。正極活物質の平均粒子径は、例えば0.5〜12μm程度でよい。
バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等でよい。導電材は、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック等でよい。正極集電体は、例えば、アルミニウム(Al)箔でよい。
正極合材層の密度は、例えば、2〜5g/cm程度である。なお、正極合材層の密度は、プレス処理によって調整してもよい。
なお、正極は、その表面に多孔質の耐熱層を備えていてもよい。耐熱層は、例えば、アルミナ、べーマイト、チタニア、シリカ等の耐熱材料(無機粒子)を含んでいる。
次に、リチウムイオン二次電池は、本実施形態の絶縁層付き負極1および上記の正極などから、以下のようにして製造することができる。
まず、上記絶縁層付き負極と上記正極から、電極群が作製される。例えば、長尺状の絶縁層付き負極と長尺状の正極とが積層され、渦巻状に巻回されることにより、電極群(巻回型の電極群)が作製される。また、複数の絶縁層付き負極と、複数の正極とが、交互に積層されることにより、電極群(積層型の電極群)が作製されてもよい。
電極群は、電解質と共に、所定の外装体に収納される。なお、電極群の正極は正極端子に電気的に接続され、負極は負極端子に電気的に接続される。電解質は、例えば、非プロトン性溶媒(エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート等)に、Li塩(LiPF6等)を溶解させた液体電解質(電解液)である。外装体は、例えば、Al合金、ステンレス等の金属筐体である。外装体が密閉されることにより、二次電池が製造される。
なお、本実施形態の絶縁層付き負極を用いたリチウムイオン二次電池は、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車用等の電源として用いることができる。
以下、実施例が説明される。ただし以下の例は、本開示の発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1〜4、比較例1〜4》
〔負極の作製〕
まず、以下の材料を準備した。
・負極活物質: 天然黒鉛
・バインダー: SBR
・増粘材: CMC
・溶媒: イオン交換水
・負極集電体: 銅箔(厚み10μm)
混合装置の混合槽に、負極活物質(98質量部)、バインダー(1質量部)および増粘材(1質量部)を投入し、混合した。混合装置の混合槽に、さらに溶媒(水)を投入し、混合することにより負極合材ペーストを調製した。不揮発分の配合比(質量比)は、負極活物質:バインダー:増粘剤=90:1:1とした。また、ペースト中の不揮発分の比率(NV)は57質量%とした。
ダイコータを用いて、負極集電体の両面に負極合材ペーストを目付量(溶媒を含む)が20mg/cmとなるように塗布し、乾燥させた。これにより負極集電体の両面に負極合材層が形成されてなる負極を得た。乾燥後の負極合材層の密度は、1.5g/cmであった。さらに負極を所定の寸法に切断加工した。
〔絶縁層の形成:絶縁層付き負極の製造〕
まず、以下の(1)〜(3)の材料を準備した。
(1) ポリオレフィン粒子の水分散体
・実施例1、3、4および比較例1〜4用
ケミパール(登録商標)W410 〔三井化学(株)製、PE粒子、平均粒径(d50):1μm、融点:110℃)
・実施例2用
ケミパール(登録商標)WP100 〔三井化学(株)製、PP粒子、平均粒径(d50):1μm、融点:148℃)
(2) ベーマイト
・実施例1〜4および比較例3、4用
セラシュールBMF−520 〔河合石灰工業(株)製、鱗片状ベーマイト、平均長軸径:5μm、平均短軸径:0.25μm、アスペクト比(長短比):20〕
・比較例1用
セラシュールBMT−3LV 〔河合石灰工業(株)製、板状ベーマイト、平均長軸径:3μm、平均短軸径:2μm、アスペクト比:1.5〕
・比較例2用
セラシュールBMB−05 〔河合石灰工業(株)製、粒状ベーマイト、平均長軸径:0.5μm、平均短軸径:0.4μm、アスペクト比:1.25〕
(3) 増粘材
カルボキシメチルセルロース(CMC)
上記の(1)ポリオレフィン粒子の水分散体、(2)ベーマイト、および(3)増粘剤を、固形分(不揮発成分)の組成が表1に示す含有率(質量比率)となるように混合し、塗料を調製した。この塗料を、負極の負極活物質層上にグラビア塗工機を用いて所定の目付量で塗布し、80℃で5分間乾燥させた。
乾燥後、2.0N/mmの圧力でロールプレスを実施して、所定の膜厚を有する絶縁層を形成した。これにより、絶縁層中において、(アスペクト比が20以上である)ベーマイトを面方向に配向させることができる。また、絶縁層の密度を所望の密度に調整することができる。
この操作を負極の両面に対して行うことにより、負極の両面に表1に示す厚みの絶縁層を形成した。このようにして、実施例1〜4および比較例1〜4の絶縁層付き負極が製造された。
〔正極の作製〕
まず、以下の材料を準備した。
・正極活物質:LiNi1/3Co1/3Mn1/32
・導電材 :アセチレンブラック
・バインダー :ポリフッ化ビニリデン
・溶媒 :N−メチル−2−ピロリドン
・正極集電箔:Al箔(厚み12μm)
プラネタリミキサの混合容器に、正極活物質、導電材、バインダーおよび溶媒を投入し、混練することにより、正極合材ペーストを得た。固形分の配合比(質量比)は、正極活物質:導電材:バインダー=90:8:2とした。また、ペースト中のNVは68質量%とした。
ダイコータを用いて、正極集電体の両面に正極合材ペーストを目付量(溶媒を含む)が40mg/cmとなるように塗布し、乾燥させた。これにより正極集電体の両面に正極合材層が形成されてなる負極を得た。乾燥後の正極合材層の密度は、3.0g/cmであった。さらに正極を所定の寸法に切断加工した。
(非水電解質の調製)
ECとDMCとDECとを、体積比でEC:DMC:DEC=3:4:3となるように混合して非プロトン性溶媒を得た。次に、該非プロトン性溶媒に、溶質として1.0M(1.0mol/L)のLiPF、1重量%のCHB(シクロヘキシルベンゼン)、および、1重量%のBP(ビフェニル)を溶解させることにより、非水電解質を調製した。
(リチウムイオン二次電池の作製)
次に、上記のように作製した材料を用いて、二次電池を作製した。
上記絶縁層付き負極と上記正極との積層体を楕円柱状に巻回した後、平板により加圧して、扁平状の電極群(タブレス電極群)を構成した。
次に、電極群を角形のアルミニウム製の外装ケースに収容し、負極集電体および正極集電体の各々を外装ケースの上部の封口体(蓋)に設けられた負極端子および正極端子に電気的に接続した。
次に、上記非水電解質を封口体に設けられた注入孔から外装ケース内に注入し、続いて該注入孔を封止キャップによって封止した。以上のようにして、角形のリチウムイオン二次電池(非水電解質二次電池)が作製された。
《比較例5》
ベーマイトの代わりに、セルロースナノファイバー(CNF)〔繊維径:16〜22nm〕を固形分中の含有率が2質量%となるように配合した。また、ポリオレフィン粒子として、平均粒径2.5μmのポリオレフィン粒子の水分散体であるケミパール(登録商標)W410〔三井化学(株)製、ポリエチレン粒子、平均粒径(D50):2.5μm、融点:110℃〕を含有率が97.8質量%となるように配合した。また、CMCは、含有率が0.2質量%となるように配合した。これら以外の点は、実施例1と同様にして、絶縁層付き負極を製造し、リチウムイオン二次電池を作製した。
《比較例6》
絶縁層(セパレータ)を設けない点以外は、実施例1と同様の負極を作製した。該負極と、実施例1と同様の正極とを、PP/PE/PPの3層からなる多孔性の積層フィルム(厚み24μm)であるセパレータを介して対向するように、積層し、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
Figure 2018106879
<評価>
《圧縮強度評価》
上記実施例および比較例の絶縁層付き負極に関して、圧縮強度の評価を行った。
具体的には、銅箔(負極合材層なし)の片面に、実施例1〜4および比較例1〜5で絶縁層の形成に用いた塗料と同様の塗料を塗布し、乾燥させて、厚み24μmの絶縁層を形成した。また、銅箔(負極合材層なし)の片面に、比較例6と同様のフィルムを積層して絶縁層を形成した。このようにして、上記実施例および比較例の絶縁層付き負極の各々に相当する試験片(絶縁層付き銅箔)を作製した。
各試験片について、カトーテック(株)製のKES−G5圧縮試験機を用いて、先端R=0.5mmのニードルを、0.02cm/秒の速度で試験片の絶縁層側に突き刺して、破断荷重(gf)を測定した。
破断荷重の測定値に基づいて、圧縮強度を以下の基準により、A〜Cの3段階で評価した。なお、評価Aが、最も圧縮強度に優れていることを意味する。
A:240(gf)以上
B:150(gf)以上、240(gf)未満
C:150(gf)未満
圧縮強度の評価結果を表1に示す。
《透気抵抗度評価》
上記実施例および比較例で得られた絶縁層付き負極に関して、透気抵抗度の評価を行った。
具体的には、80メッシュのAlメッシュの片面に、実施例1〜4および比較例1〜5で絶縁層の形成に用いた塗料と同様の塗料を塗布し、乾燥させて、厚み24μmの絶縁層を形成した。また、80メッシュのAlメッシュの片面に、比較例6と同様のフィルムを積層して絶縁層を形成した。このようにして、上記実施例および比較例の絶縁層付き負極の各々に相当する試験片(絶縁層付きAlメッシュ)を作製した。
各試験片について、JIS P 8117に規定される測定法(ガーレー法)に従って、東洋精機(株)製のガーレー式デンソメーターを用いて、透気抵抗度(秒/100mL)を測定した。
透気抵抗度の測定値に基づいて、透気抵抗度を以下の基準により、A〜Cの3段階で評価した。なお、透気抵抗度が小さい程、絶縁層のイオン透過性は高くなる。したがって、Aが最も絶縁層のイオン透過性が高いことを意味する。
A:50(秒/100mL)未満
B:50(秒/100mL)以上、100(秒/100mL)未満
C:100(秒/100mL)以上
透気抵抗度の評価結果を表1に示す。
《シャットダウン温度評価》
上記実施例および比較例で得られた絶縁層付き負極に関して、シャットダウン温度の評価を行った。
具体的には、まず、直径19mmの円形状のAl箔の片面に実施例1〜4および比較例5、6で絶縁層の形成に用いた塗料と同様の塗料を塗布し、乾燥させて、絶縁層を形成した。なお、比較例6については、Al箔の片面に、比較例6と同様のフィルムを積層して絶縁層を形成した。このようにして、上記実施例および比較例の絶縁層付き負極の各々に相当する絶縁層付きAl箔を作製した。
次に、得られた絶縁層付きAl箔と、直径16mmの円形状のAl箔とを、絶縁層を介して積層した。得られた積層体を、円筒状のフッ素樹脂製の外層ケースに格納し、外層ケース内を電解液(実施例1と同様の非水電解質)で満たして、積層体を電解液に含浸させ、積層体をバネ付きの金属板で挟んで定荷重で拘束した。このようにして、上記実施例および比較例(比較例1〜3を除く)の絶縁層付き負極の各々に相当する試験セルを作製した。
各試験セルについて、日置電機(株)製のケミカルインピーダンスメータ3532−80を用いて、シャットダウン温度を測定した。なお、3℃/分で200℃まで昇温しながら3×10Hzでの抵抗を連続的に計測し、抵抗が10Ωに到達した温度(℃)をシャットダウン温度とした。
シャットダウン温度の測定値に基づいて、シャットダウン温度を以下の基準により、A〜Cの3段階で評価した。
A: 130℃未満
B: 130℃以上150℃未満
C: 150℃以上
シャットダウン温度の評価結果を表1に示す。
《セル抵抗評価》
まず、実施例1〜4および比較例5、6と同様の絶縁層付き負極(負極合材層の面積:25cm)と正極(正極合材層の面積:23.04cm)とを、絶縁層を介して積層した。なお、比較例6については、絶縁層がない点以外は実施例1と同様の負極(負極合材層の面積:25cm)と、実施例1と同様の正極(正極合材層の面積:23.04cm)と、比較例6と同様のフィルム(セパレータ)を介して積層した。
次に、得られた積層体をアルミラミネートフィルムで覆い、積層体を実施例1と同様の非水電解質に含浸させて、パウチ型セルを作製した。このようにして、上記実施例および比較例(比較例1〜3を除く)の絶縁層付き負極の各々に相当する試験セルを作製した。
次に、各試験セルについて、充電率(SOC:state of charge)が60%に調整された。25℃の温度環境において、5Cの電流レートにより電池が10秒間放電された。放電は定電流放電である。放電10秒後の電圧降下量が測定された。電圧降下量が電流で除されることにより、IV抵抗(Ω)が算出された。なお、ここでは1時間の充電により、試験セル池のSOCが0%から100%に達する電流レートが「1C」と定義される。
IV抵抗の測定値に基づいて、セル抵抗を以下の基準により、A〜Cの3段階で評価した。
A:0.7Ω未満
B:0.7Ω以上、1.0Ω未満
C:1.0Ω以上
セル抵抗の評価結果を表1に示す。
<結果>
表1に示される各評価結果から、ベーマイトのアスペクト比が20以上であり、絶縁層中のベーマイトの含有量が10質量%以上である、絶縁層の厚みが24μm以上である、実施例1〜4については、絶縁層の圧縮強度が高いことが分かる。
これに対して、比較例1においては、ベーマイトのアスペクト比が小さく、プレス処理時にベーマイトが配向しないため、ベーマイトの配向による圧縮強度の向上効果が得られなかったと考えられる。また、比較例2においても、ベーマイトのアスペクト比が小さく、ベーマイトの長軸径もポリオレフィン粒子の平均粒径より小さいため、ベーマイトの配向による絶縁層の圧縮強度の向上効果が得られなかったと考えられる。
比較例3においては、絶縁層中のベーマイトの含有量が少ないため、ベーマイトによる圧縮強度の向上効果が得られなかったと考えられる。
比較例4においては、絶縁層の厚みが薄いため、圧縮により短絡が生じ易くなったと考えられる。
なお、比較例1〜4については、圧縮強度が低く、試験セルを拘束するだけで短絡してしまうため、シャットダウン温度評価およびセル抵抗評価は実施できなかった。
比較例5では、CNFにより、ある程度の強度の向上効果が認められる。しかし、実施例のように面方向に配向したべーマイトによる強度(圧縮強度)の向上効果に比べると、比較例5におけるCNFによる強度の向上効果は低いことが分かる。これは、CNFの自己凝集によりCNFが均一に分散されなかったことも、1つの要因であると推測される。
なお、CNFは保水性が高く、実施例1〜4および比較例1〜4と同様の乾燥条件では、乾燥が不十分であったため、残水分の影響により、比較例5ではセル抵抗が増大したと考えられる。また、比較例5では、CNFの存在と、ポリオレフィン粒子の平均粒径が大きいこととの影響により、シャットダウン温度がやや高くなったと考えられる。
比較例6においては、絶縁層が多孔性フィルムからなるため、圧縮強度は高かったが、透気抵抗度が最も大きかった(イオン透過性が最も低い)。
なお、実施例2においては、ポリオレフィン粒子としてPP粒子(融点:148℃)を使用したため、シャットダウン温度が140℃以上であった。140℃弱程度で電解質の分解、負極と電解液との発熱反応が開始する虞があるため、シャットダウン温度の観点からは、ポリオレフィン粒子として、PE粒子を用いることが好ましいと考えられる。
また、実施例3および4においては、プレス処理によって配向したベーマイトの量が多いことにより、絶縁層の密度が上昇したため、透気抵抗度が増加し(イオン透過性が低下し)、セル抵抗が増大したと考えられる。
また、実施例4においては、絶縁層中のベーマイトの含有率が80質量%であり多過ぎるため、シャットダウン機能を発揮するポリオレフィン粒子の含有率が不足して、シャットダウン性能が低下したと考えられる。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の発明の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 絶縁層付き負極
2 負極
20 負極集電体
21 負極合材層
3 絶縁層
31 ポリオレフィン粒子
32 ベーマイト

Claims (1)

  1. リチウムイオン二次電池用の負極と、
    前記負極の少なくとも一方の表面に設けられた多孔性の絶縁層と、を備える、絶縁層付き負極であって、
    前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた負極活物質およびバインダーを含む負極合材層と、を備え、
    前記絶縁層は、ポリオレフィン粒子と、ベーマイトと、を含み、
    前記ベーマイトは、アスペクト比が20以上の形状を有し、
    前記ベーマイトは、前記絶縁層の表面と平行な方向に配向しており、
    前記絶縁層中の前記ベーマイトの含有量は、10質量%以上であり、
    前記絶縁層の厚みは24μm以上である、絶縁層付き負極。
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