JP2018111495A - ワイパ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】払拭時のワイパブレードのびびり振動をワイパモータの回転の制御で抑制する。【解決手段】回転センサ42,44により出力軸36,38の回転角度を各々検知する。マイクロコンピュータ62は、回転センサ42,44が各々検知した出力軸36,38の回転角度に係る信号から、フィルタによって所定の周波数域の成分を可変し、当該フィルタで処理した信号をワイパモータ18,20の回転速度の指令値の信号に各々加算する。駆動回路46,48は、かかる加算処理がされた指令値の信号に基づいてワイパモータ18,20に印加する電圧を各々制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、ワイパ装置に関する。
ワイパ装置は、車両のフロントガラス等に設けられ、フロントガラスの雨滴及び汚れを払拭する。かかるワイパ装置では、ガラス表面の汚れ等による摩擦係数の変化、ワイパモータの電源であるバッテリの電圧の変動及びワイパブレードの劣化等によって、払拭中のワイパブレードが細かく振動する、いわゆるびびり振動が発生する場合がある。
特許文献1に記載には、加速度センサによって検出したびびり振動の大きさに応じてワイパモータの回転速度を速めてびびり振動を抑制する技術が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のワイパ装置は、ワイパモータの回転速度を速めてワイパブレードの払拭速度を上げると、ワイパブレードの動きがぎこちなく不自然になるという問題があった。また、ワイパブレードの払拭速度を上げた場合、ワイパブレードが反転すべき位置をオーバーランして車体と接触するという問題があった。
特許文献1に記載の技術以外に、ワイパ装置のリンク機構、及びワイパアーム等の機械的な構成要素を調整することにより、払拭時でのワイパブレードのびびり振動を抑制することも行われている。しかしながら、製品ごとに機械的な構成要素を調整するのは煩雑である上に、機械的な構成要素を調整した結果、ワイパアームの回動が円滑でなくなる等の別個の障害が発生しやすいという問題があった。
また、加速度センサ等によってワイパブレードのびびり振動を検知した場合に、ワイパモータに供給する電力の制御に係るPWM(Pulse Width Modulation)の信号にびびり振動とは逆位相の成分を加えることにより、びびり振動を打ち消す技術もある。しかしながら、かかる技術は、びびり振動が発生してから逆位相の成分を算出するので、制御装置の演算負荷が大きくなるという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、払拭時のワイパブレードのびびり振動をワイパモータの回転の制御で抑制するワイパ装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載のワイパ装置は、ワイパアームの一端が連結された出力軸を有し、該出力軸を回転させることによって前記ワイパアームの他端に設けられたワイパブレードを窓ガラス上で往復回動させるワイパモータと、前記出力軸の回転角度を検知して前記出力軸の回転角度に応じた信号を出力する回転角検知手段と、前記回転角検知手段から出力された信号から得た前記出力軸の角加速度及び前記出力軸の角速度のいずれか一方の信号の高周波数域の成分を低減し、かつ低周波数域のびびり振動成分を通過する第1フィルタと、前記第1フィルタで処理した信号を前記ワイパモータの回転速度の指令値を示す信号に加算する第1加算処理手段と、前記回転角検知手段から出力された信号から得た前記出力軸の回転角度及び前記出力軸の角速度のいずれか一方の信号の低周波数域の成分を低減し、かつ前記第1フィルタで処理した信号を用いた制御の背反によって生じた振動成分を低減する第2フィルタと、前記第2フィルタで処理した信号を前記第1加算処理手段で加算して得られた信号に加算する第2加算処理手段と、前記第2加算処理手段で加算して得られた信号に基づいて前記ワイパモータに印加する電圧を制御する電圧制御手段と、を備えている。
このワイパ装置によれば、第1フィルタによって、ワイパモータの出力軸の回転角度に応じた信号から払拭時のワイパブレードのびびり振動発生の要因となる周波数域の成分を可変する。びびり振動発生の要因となる周波数域の成分を可変した信号をワイパモータの回転速度の指令値の信号に加算することにより、払拭時のワイパブレードのびびり振動をワイパモータの回転の制御で抑制することができる。
また、このワイパ装置によれば、第1フィルタで可変しきれない成分や、動きが悪くなる要因となる成分を第2フィルタで可変することにより、払拭時のワイパブレードのびびり振動をワイパモータの回転の制御で抑制することができる。
請求項2に記載のワイパ装置は、請求項1に記載のワイパ装置において、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタの各々の特性は、前記電圧制御手段に周波数が不規則に変化する試験信号を入力し、前記電圧制御手段が前記試験信号に基づいて制御した電圧によって前記ワイパモータが回転した時の前記出力軸、前記ワイパアーム及び前記ワイパブレードの各々の回転角度、並びに前記出力軸のトルクを予め設定したワイパ装置モデルに適用して決定される、
このワイパ装置によれば、試験信号を入力された時のワイパモータ、ワイパアーム及びワイパブレードの各々の挙動を基に、運動方程式のパラメータを決定する。パラメータに基づいて決定した運動方程式に基づいてワイパ装置のモデリングを行うことにより、各フィルタの特性を決定することができる。
請求項3に記載のワイパ装置は、請求項2に記載のワイパ装置において、前記試験信号は、2値信号又はスィープ信号である。
請求項3に記載のワイパ装置によれば、試験信号として、周波数が不規則に変化する2値信号又はスィープ信号を用いて、各フィルタの特性を決定することができる。
請求項4に記載のワイパ装置は、請求項2又は3に記載のワイパ装置において、前記ワイパ装置モデルは、ワイパモータ、ワイパアーム及びワイパブレードを構成に含み、該構成各部の剛性、粘性及び慣性に基づいて設定される。
図1は、本実施の形態に係るワイパ装置10の構成を示す概略図である。ワイパ装置10は、一例として、車両のフロントガラス12の下部の左に左ワイパ装置14、車両のフロントガラス12の下部の右に右ワイパ装置16を各々備えた対向払拭型のワイパ装置である。
左ワイパ装置14及び右ワイパ装置16は、ワイパモータ18,20、減速機構22,24、ワイパアーム26,28及びワイパブレード30,32を各々備えている。左ワイパ装置14及び右ワイパ装置16は、ワイパモータ18,20の正逆回転が減速機構22,24で各々減速され、減速機構22,24によって減速された正逆回転で出力軸36,38が各々回転する。さらに、出力軸36,38の正逆回転の回転力がワイパアーム26,28に各々作用することによりワイパアーム26,28がフロントガラス12上を往復回動する。かかるワイパアーム26,28の回動により、ワイパアーム26,28の先端に各々設けられたワイパブレード30,32がフロントガラス12表面の下反転位置P1から上反転位置P2の間を払拭する。なお、減速機構22,24は、例えばウォームギア等で構成され、ワイパモータ18,20の回転を、ワイパブレード30,32によるフロントガラス12表面の払拭に適した回転速度に各々減速し、当該回転速度で出力軸36,38を各々回転させる。
ワイパモータ18,20には、ワイパモータ18,20の回転を制御するためのワイパ制御回路60が接続されている。本実施の形態に係るワイパ制御回路60は、マイクロコンピュータ62とメモリ64とを含む。
マイクロコンピュータ62には、ワイパモータ18の出力軸36及びワイパモータ20の出力軸38の回転速度及び回転角度を各々検知する回転センサ42,44並びにワイパモータ18,20に流れる電流を各々検知する電流センサ56,58が接続されている。マイクロコンピュータ62は、回転センサ42,44及び電流センサ56,58からの信号に基づいて、フロントガラス12上でのワイパブレード30,32の位置を各々算出する。また、マイクロコンピュータ62は、算出した位置に応じて出力軸36,38の回転速度が変化するように駆動回路46,48を各々制御する。なお、回転センサ42,44は、ワイパモータ18,20の減速機構22,24内に各々設けられ、出力軸36,38に連動して回転する励磁コイル又はマグネットの磁界(磁力)を電流に変換して検出する。
また、ワイパ制御回路60には、駆動回路46,48の制御に用いるデータ及びプログラムを記憶したメモリ64があり、マイクロコンピュータ62には、ワイパスイッチ66が接続されている。
駆動回路46,48は、ワイパモータ18,20を各々作動させるための電圧(電流)をPWM制御によって生成してワイパモータ18,20に各々供給する。ワイパモータ18,20がブラシレスDCモータであれば、駆動回路46,48は、スイッチング素子にMOSFETを使用したインバータ回路を含み、マイクロコンピュータ62の制御によって、所定のデューティ比の電圧を出力する。
本実施の形態に係るワイパモータ18,20は、上述のように、ウォームギアで構成された減速機構22,24を各々有しているので、出力軸36,38の回転速度及び回転角度は、ワイパモータ18,20本体の回転速度及び回転角度と同一ではない。しかしながら、本実施の形態では、ワイパモータ18,20と減速機構22,24は各々一体不可分に構成されているので、以下、出力軸36,38の回転速度及び回転角度を、ワイパモータ18,20の各々の回転速度及び回転角度とみなす。また、以下、出力軸36,38の回転角度を「モータ角度」と呼称する。
ワイパスイッチ66は、車両のバッテリからワイパモータ18,20に供給される電力をオン又はオフするスイッチである。ワイパスイッチ66は、ワイパブレード30,32を、低速で回動させる低速作動モード選択位置、高速で回動させる高速作動モード選択位置、一定周期で間欠的に回動させる間欠作動モード選択位置、停止モード選択位置に切替可能である。また、各モードの選択位置に応じてワイパモータ18,20を回転させるための指令信号をマイクロコンピュータ62に出力する。
ワイパスイッチ66から各モードの選択位置に応じて出力された信号がワイパ制御回路60に入力されると、ワイパ制御回路60がワイパスイッチ66からの出力信号に対応する制御をメモリ64に記憶されたデータ及びプログラムを用いて行う。具体的には、ワイパ制御回路60のマイクロコンピュータ62は、ワイパスイッチ66からの指令信号並びにメモリ64に記憶されているデータ及びプログラムに基づいて出力軸36,38の回転速度を算出する。さらにマイクロコンピュータ62は、算出した回転速度で出力軸36,38が回転するように駆動回路46,48を制御する。
図2は、本実施の形態に係るワイパ装置10におけるモデリングの一例を示す概念図である。図2では、右ワイパ装置16は、ワイパモータ20、減速機構24、ワイパアーム28及びワイパブレード32で主に構成されているとしてモデルを単純化している。図2に示したモデルでは、ワイパモータ20の回転に係るモータトルクTMが出力軸38を介してワイパアーム28とワイパブレード32に作用すると共に、ワイパブレードには風圧又はフロントガラス表面の摩擦等の負荷(外力)TBが作用する。ワイパモータ20、減速機構24、ワイパアーム28及びワイパブレード32は、一体化された剛体ではないので、モータトルクTMと負荷TBとが作用すると、各部の剛性、粘性及び慣性により、ワイパアーム28の位置及びワイパブレード32の位置が影響を受ける。図2では、ワイパモータ20、減速機構24、ワイパアーム28及びワイパブレード32における慣性、粘性及び剛性、並びにワイパモータ20の出力軸38の回転角度、ワイパブレード32の回動角度及びワイパブレードの回動角度の各々をパラメータとしている。
なお、図2において右ワイパ装置16を例示したが、左ワイパ装置14のモデリングも右ワイパ装置16と同様なので、詳細な説明は省力すると共に、以下、右ワイパ装置16に係る構成に基づいてモデリング等の説明をする。
本実施の形態で設定されるパラメータは、図2に示した通りである。例えば、ワイパモータ20と減速機構24との慣性であるモータ&ギアの慣性J1、並びにワイパモータ20及び減速機構24とワイパアーム28と間の粘性及び剛性であるモータ&ギアとアーム間の粘性C1及びモータ&ギアとアーム間の剛性K1が設定される。
また、ワイパアーム28の慣性であるアームの慣性J2、ワイパアーム28とワイパブレード32との間の粘性であるアームとブレード間の粘性C2及びワイパアーム28とワイパブレード32との間の剛性であるアームとブレード間の剛性K2が設定される。
また、ワイパブレード32の慣性であるブレードの慣性J3、ワイパブレード32とフロントガラス12との間の粘性であるブレード&ガラス間の粘性C3及びワイパブレード32の剛性であるブレードの剛性K3が設定される。さらには、出力軸38の回転角度であるモータ角度θM、ワイパアーム28が図2の下反転位置P1から回動した角度であるアーム角度θA及びワイパブレード32が下反転位置から回動した角度であるブレード角度θBもパラメータとして設定される。なお、モータ角度θMは、回転センサ42,44によって検知される実測値である。
図2に示した各々のパラメータを用いると、ワイパ装置10における各部の運動は、図3に示したように、下記の式(1)〜(3)で表現できる。図3は、本実施の形態に係るワイパ装置10におけるモデリングに基づいた運動方程式の導出の一例を示す図である。
TM=J1αM+C1ωM+K1θM ・・・(1)
C1(ωM−ωA)+K1(θM−θA)=J2αA+C2ωA+K2θA
・・・(2)
TB+C2(ωA−ωB)+K2(θA−θB)=J3αB+C3ωB+K3θB
・・・(3)
TM=J1αM+C1ωM+K1θM ・・・(1)
C1(ωM−ωA)+K1(θM−θA)=J2αA+C2ωA+K2θA
・・・(2)
TB+C2(ωA−ωB)+K2(θA−θB)=J3αB+C3ωB+K3θB
・・・(3)
上記の式(1)〜(3)におけるωMは、モータ角度θMの角速度であり、αMは、モータ角度θMの角加速度である。また、ωAは、アーム角度θAの角速度であり、αAは、アーム角度θAの角加速度である。さらに、ωBは、ブレード角度θBの角速度であり、αBは、ブレード角度θBの角加速度である。なお、本実施の形態では、減速機構24にワイパアーム28が直結されたワイパ装置10に基づいてモデリングを行っている。減速機構24とワイパアーム28との間にリンク機構を別途有するワイパ装置のモデリングでは、上記の式(1)〜(3)に加えて、リンク機構に係る運動方程式を追加する。
図4は、本実施の形態におけるワイパ装置10に係る運動方程式のパラメータを決定するための実機データ測定の一例を示す概略図である。図4では、例えば、ワイパブレード32をフロントガラス12上の所定の位置から−5°〜5°の範囲で回動させるための指令値を試験信号としてマイクロコンピュータ62内のPI制御部70に入力する。図4に示した入力値は、一例として、周波数が5HZ〜50Hzの範囲で不規則に変化させた2値信号である。本実施の形態では、図4に示した2値信号の他に、周波数が不規則に変化するスィープ信号を試験信号に用いてもよい。なお、フロントガラス12上の所定の位置は、ワイパブレード32が例えば−5°〜5°の範囲で回動可能なところであればよい。
PI制御部70は、ワイパモータ20のアーマチャに印加する電圧をいわゆるPI制御によって算出する。PI制御部70は、指令値で算出される電圧と後述する出力値で算出される電圧との偏差の比例関係に基づいてワイパモータ20に印加する電圧を算出する偏差比例部70Aを含む。また、PI制御部70は、上記の比例関係のみでは残留偏差が生じる場合に、かかる残留偏差を偏差積分によって解消する偏差積分部70Bを含む。
ワイパモータ20のアーマチャにはPI制御部70によって算出された電圧が印加され、前述の指令値に基づいて回転を始める。ワイパモータ20の出力軸38の回転角度は、回転センサ44により、モータ角度θMとして検知される。回転しているワイパモータ20の電流は、電流センサ58によって検知され、検知された電流の値に所定のトルク定数72を乗算することによりワイパモータ20の出力軸38のトルクが算出される。
また、ワイパモータ20の回転力及びトルクは右ワイパ装置16に作用し、ワイパブレード32をフロントガラス12上の所定の位置から回動させる。本実施の形態では、一例として、フロントガラス12上を回動するワイパアーム28及びワイパブレード32の動きを光学的なセンサで捕捉する。光学的なセンサは、ワイパアーム28及びワイパブレード32の各々がフロントガラス12上を回動した際の出力軸38を中心とした角度を、アーム角度θA及びブレード角度θBとして各々検知する。また、回転センサ44によって検知されたモータ角度θMは、出力値としてPI制御部70に入力され、上述のPI制御が行われる。
図4に示したデータ測定により、モータトルクTM、モータ角度θM、アーム角度θA及びブレード角度θBが測定される。さらに、モータ角度θM、アーム角度θA及びブレード角度θBの各々に基づいて、モータ角速度ωM及びモータ角加速度αM、アーム角速度ωA及びアーム角加速度αA、並びにブレード角速度ωB及びブレード角加速度αBを、各々算出する。
以上の実機データ測定に基づいて各パラメータを決定することにより、本実施の形態に係るワイパ装置10のモデリングを行う。図5(A)は、本実施の形態に係るワイパ装置10のモデリングによる負荷TBとブレード角度θBとの周波数応答のシミュレーション結果である。図5(A)は、上述のモデリングによって決定したワイパ装置10のモデルに負荷TBを加えた場合の、負荷TBに対するブレード角度θBの応答の変化を、ワイパブレード32が往復回動する頻度である周波数毎にプロットしたグラフである。
図5(B)は、本実施の形態に係るワイパ装置10のモデリングによるワイパブレード32の動きのシミュレーション結果であり、一例として、横軸に時間、縦軸に出力軸38の回転速度を設定している。
図5(A)では、高域の周波数において、共振90が顕著なピークとなって現れている。かかる共振90が生じている場合には、ワイパブレード32の動きは図5(B)に示したように、出力軸38の回転速度が小刻みに変化する、いわゆるびびり振動が発生している。
図5(A)に示した共振90を抑制することで、理論上は図5(B)に示したびびり振動も抑制される。図6(A)は、本発明の実施の形態に係るワイパ装置のモデルにおいて、共振90を抑制した場合の負荷TBとブレード角度θBとの周波数応答のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図6(A)では、図4においてPI制御部70にフィードバックされるブレード角度θB等の情報に、共振90を抑制し得るローパスフィルタ等のフィルタを適用した場合のシミュレーション結果を示している。フィルタを適用した結果、図5(A)に見られた共振90は共振抑制92されている。しかしながら、低周波域で信号が増幅される背反94が発生している。
図6(B)は、本実施の形態に係るワイパ装置10のモデルにおいて、共振90を抑制した場合のワイパブレード32の動きのシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図6(B)に示した背反94により、出力軸38の回転速度は断続的に変化し、ワイパブレード32のフロントガラス12上での回動が不安定となる。
本実施の形態では、共振90を抑制する例えばローパスフィルタと共に、背反94を抑制する、例えば図7に示したようなハイパスフィルタ等をワイパモータ20のPWM制御にフィードバックされる信号に適用することにより、共振90及び背反94を抑制する。図7は、本実施の形態で、背反94の抑制に用いられるハイパスフィルタの特性の一例を示すグラフである。
図8は、本発明の実施の形態に係るワイパ装置10のモデルにおけるフィルタの特性の決定のための構成の一例を示す概略図である。図8の構成は、図4に示した構成と一部で一致するが、振動低減制御部76及び背反抑制制御部78を有する点が図4の場合と相違する。なお、図8の動作系86において、右ワイパ装置16の動作に伴って、所定の逆起電圧定数74に基づく逆起電圧がワイパモータ20には発生するが、かかる逆起電圧は、各フィルタの特性の決定には直接影響しない。
図8に示した背反抑制制御部78は、モータ角度θMの信号から所定の周波数域を可変して背反抑制をする第2フィルタ78Aを含む。第2のフィルタ78Aは、一例としてハイパスフィルタである。また、背反抑制制御部78は、第2フィルタ78Aの処理結果のゲインを調整して、PI制御部70から出力された指令の信号に加算する第2ゲイン調整部78Bを有している。
図8に示した振動低減制御部76は、モータ角加速度αMの信号から第2フィルタ78Aとは異なる周波数域の成分を可変して共振抑制92をする第1フィルタ76Aを含む。第1のフィルタ76Aは、一例としてローパスフィルタである。また、振動低減制御部76は、第1フィルタ76Aの処理結果のゲインを調整して、第2ゲイン調整部78Bによってゲイン調整された第2フィルタ78Aの処理結果が加算された指令の信号に加算する第1ゲイン調整部76Bを有している。
本実施の形態では、図8に示した構成のモデルにおいて、共振90及び背反94が抑制されるように、振動低減制御部76の第1フィルタ76A及び背反抑制制御部78の第2フィルタ78Aの各々の特性を変化させる。なお、図8では、PI制御部70から出力された指令の信号に、背反抑制制御部78からの信号を振動低減制御部76からの信号よりも先に加算しているが、振動低減制御部76からの信号を背反抑制制御部78からの信号よりも先に加算してもよい。
図9(A)は、本実施の形態に係るワイパ装置10のモデルにおいて、共振90及び背反94を抑制した場合の負荷TBとブレード角度θBとの周波数応答のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。また、図9(B)は、本実施の形態に係るワイパ装置10のモデルにおいて、共振90及び背反94を抑制した場合のワイパブレード32の動きのシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図9(A)において共振抑制92及び背反抑制96がなされ、その結果、図9(B)に示したように、ワイパブレード32の動きが円滑になっている。本実施の形態では、図8に示したモデル上で共振90及び背反94が抑制された場合の第1フィルタ76A及び第2フィルタ78Aの各々の特性を実機に反映させる。
なお、図8に示したモデルは、上述のように、指令値として周波数が不規則に変化する試験信号を実機に入力してワイパモータを回転させた時の出力軸38、ワイパアーム28及びワイパブレード32の各々の回転角度、並びにモータトルクTMに基づいて決定されている。また、第1フィルタ76A及び第2フィルタ78Aは図8に示したモデルに基づいて各々の特性が決定されている。したがって、第1フィルタ76A及び第2フィルタ78Aの各々の特性は、試験信号を実機に入力してワイパモータを回転させた時の出力軸38、ワイパアーム28及びワイパブレード32の各々の回転角度、並びにモータトルクTMに基づいて決定されているとみなすことができる。
実機においても、図8のように、振動低減制御部76及び背反抑制制御部78を設け、図9(A)に示したように共振抑制92及び背反抑制96が適切に行われた場合の第1フィルタ76A及び第2フィルタ78Aの特性を、振動低減制御部76及び背反抑制制御部78に各々組み込む。
なお、図8に示したモデルでは、振動低減制御部76にはモータ角加速度αMの信号が、背反抑制制御部78にはモータ角度θMの信号が、各々入力されているが、本実施の形態では、これらに限定されるわけではない。本実施の形態では、モータトルクTMと負荷TBとに影響されるものであって、かつ回転センサ42,44等のワイパ装置10の実機に備え付けのセンサの検知結果に基づく信号であれば、第1フィルタ76A及び第2フィルタ78Aを作用させる対象としてよい。
たとえば、モータ角度θMの信号を振動低減制御部76に入力して第1フィルタ76Aの特性を変化させ、モータ角加速度αMの信号を背反抑制制御部78に入力して第2フィルタ78Aの各々の特性を変化させて、各フィルタの特性を最適化してもよい。かかる場合では、実機においても、モータ角度θMの信号を振動低減制御部76に入力すると共にモータ角加速度αMの信号を背反抑制制御部78に入力する。そして、最適化した第1フィルタ76Aをモータ角度θMの信号に作用させると共に最適化した第2フィルタ78Aをモータ角加速度αMの信号に作用させる。
また、モータ角速度ωMの信号を、モータ角度θMの信号及びモータ角加速度αMの信号に代えて、振動低減制御部76及び背反抑制制御部78の少なくともいずれか1つに入力して、第1フィルタ76A及び第2フィルタ78Aの特性を最適化してもよい。
上述のように、本実施の形態では、共振90を抑制する振動低減制御部76及び第1フィルタ76A、並びに背反94を抑制する背反抑制制御部78及び第2フィルタ78Aを備える構成とした。しかしながら、負荷TBとブレード角度θBとの周波数応答において、共振90又は背反94以外にもワイパブレード30,32の挙動を乱す現象が生じた場合には、別途、異なるフィルタを適用することにより、ワイパブレード30,32の挙動を改善してもよい。また、振動低減制御部76の第1フィルタ76Aによる共振90の抑制により、背反94が発生しない場合には、振動低減制御部76のみで処理を行い、背反抑制制御部78による処理を行わなくてもよい。
本実施の形態では、原則として実機を図8に示した構成とし、上述のモデリングによって最適化した第1フィルタ76A及び第2フィルタ78Aを振動低減制御部76及び背反抑制制御部78に各々組み込む。さらに、実機の動作時において、最適化した第1フィルタ76A及び第2フィルタ78Aを回転センサ42,44等のセンサから制御回路84にフィードバックされる信号に常時適用する。これらのフィルタを常時適用した結果をPWM制御に反映することにより、ワイパブレード30,32びびり振動の発生そのものの抑止が可能となり、払拭時のワイパブレードのびびり振動をワイパモータの回転の制御で抑制することができる。
10・・・ワイパ装置、12・・・フロントガラス、14・・・左ワイパ装置、16・・・右ワイパ装置、18,20・・・ワイパモータ、22,24・・・減速機構、26,28・・・ワイパアーム、30,32・・・ワイパブレード、36,38・・・出力軸、42,44・・・回転センサ、46,48・・・駆動回路、56,58・・・電流センサ、60・・・ワイパ制御回路、62・・・マイクロコンピュータ、64・・・メモリ、66・・・ワイパスイッチ、70・・・PI制御部、70A・・・偏差比例部、70B・・・偏差積分部、72・・・トルク定数、74・・・逆起電圧定数、76・・・振動低減制御部、76A・・・第1フィルタ、76B・・・第1ゲイン調整部、78・・・背反抑制制御部、78A・・・第2フィルタ、78B・・・第2ゲイン調整部、84・・・制御回路、86・・・動作系、90・・・共振、92・・・共振抑制、94・・・背反、96・・・背反抑制、C1・・・モータ&ギアとアーム間の粘性、C2・・・アームとブレード間の粘性、C3・・・ブレード&ガラス間の粘性、J1・・・モータ&ギアの慣性、J2・・・アームの慣性、J3・・・ブレードの慣性、K1・・・モータ&ギアとアーム間の剛性、K2・・・アームとブレード間の剛性、K3・・・ブレードの剛性、P1・・・下反転位置、P2・・・上反転位置、TB・・・負荷、TM・・・モータトルク、αA・・・アーム角加速度、αB・・・ブレード角加速度、αM・・・モータ角加速度、θA・・・アーム角度、θB・・・ブレード角度、θM・・・モータ角度、ωA・・・アーム角速度、ωB・・・ブレード角速度、ωM・・・モータ角速度
Claims (4)
- ワイパアームの一端が連結された出力軸を有し、該出力軸を回転させることによって前記ワイパアームの他端に設けられたワイパブレードを窓ガラス上で往復回動させるワイパモータと、
前記出力軸の回転角度を検知して前記出力軸の回転角度に応じた信号を出力する回転角検知手段と、
前記回転角検知手段から出力された信号から得た前記出力軸の角加速度及び前記出力軸の角速度のいずれか一方の信号の高周波数域の成分を低減し、かつ低周波数域のびびり振動成分を通過する第1フィルタと、
前記第1フィルタで処理した信号を前記ワイパモータの回転速度の指令値を示す信号に加算する第1加算処理手段と、
前記回転角検知手段から出力された信号から得た前記出力軸の回転角度及び前記出力軸の角速度のいずれか一方の信号の低周波数域の成分を低減し、かつ前記第1フィルタで処理した信号を用いた制御の背反によって生じた振動成分を低減する第2フィルタと、
前記第2フィルタで処理した信号を前記第1加算処理手段で加算して得られた信号に加算する第2加算処理手段と、
前記第2加算処理手段で加算して得られた信号に基づいて前記ワイパモータに印加する電圧を制御する電圧制御手段と、
を備えたワイパ装置。 - 前記第1フィルタ及び前記第2フィルタの各々の特性は、前記電圧制御手段に周波数が不規則に変化する試験信号を入力し、前記電圧制御手段が前記試験信号に基づいて制御した電圧によって前記ワイパモータが回転した時の前記出力軸、前記ワイパアーム及び前記ワイパブレードの各々の回転角度、並びに前記出力軸のトルクを予め設定したワイパ装置モデルに適用して決定される請求項1に記載のワイパ装置。
- 前記試験信号は、2値信号又はスィープ信号である請求項2に記載のワイパ装置。
- 前記ワイパ装置モデルは、ワイパモータ、ワイパアーム及びワイパブレードを構成に含み、該構成各部の剛性、粘性及び慣性に基づいて設定される請求項2又は3に記載のワイパ装置。
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2018
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