JP2018115751A - 内燃機関のコネクティングロッド - Google Patents

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利明 三宅
武志 長谷川
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Abstract

【課題】水素脆性破壊を抑制し耐久性の向上が図れる内燃機関のコンロッドを提供すること。【解決手段】コンロッド本体11と、コンロッド本体の大端部に固定されるキャップ12とを備え、コンロッド本体11とキャップ12との接合面がコンロッド長手方向に直交する面から傾斜されている斜め割タイプであって、キャップ12は、ボルト31,32によりコンロッド本体11に固定され、コンロッド本体には、ボルトを螺合させる袋穴44が形成されている内燃機関のコンロッド10において、袋穴44のボルトに螺合するネジ刻設部分44Aより底部側に位置する空間44Bと、クランクピン穴15を形成する内周面以外の位置の少なくとも1箇所とを連通する貫通孔44Cを、ボルト32の軸方向に直交する方向に設けた。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関のコネクティングロッド(以下、コンロッドと称す)に関し、より詳しくは、コンロッド本体とその大端部側に固定されるキャップとの接合面(割り面)がコンロッド長手方向に直交する面から傾斜されている、いわゆる斜め割タイプのコンロッドに関する。
従来、上述の斜め割タイプのコンロッドとしては、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載のコンロッドは、コンロッド本体と、コンロッドとクランクピンとを回転可能に連結するためのクランクピン穴を形成するべくコンロッド本体の大端部に固定されるキャップと、を備え、コンロッド本体とキャップとの接合面はコンロッド長手方向に直交する面から傾斜されている斜め割タイプであり、キャップはその大端側及び小端側のそれぞれに取り付けられたボルトによりコンロッド本体に固定され、コンロッド本体には、大端側のボルトを螺合させる貫通孔と小端側のボルトを螺合させる袋穴とが形成されている。
そして、コンロッド本体とキャップとの間に形成されるクランクピン穴にクランクピンを介在させて、大端側のボルトを貫通孔に小端側のボルトを袋穴にそれぞれ螺合させることによりキャップをコンロッド本体に締結固定し、クランクピンをコンロッド大端部に回転可能に連結するようにしている。
特開2007−78072号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のコンロッドの構成においては、上記袋穴の形成加工時に水分が袋穴内に残ることがあり、そのまま内燃機関に組み込んでボルトを締結すると水分は逃げずに袋穴内に残存することになる。その状態で内燃機関の運転を継続すると、燃焼熱により水分が加熱されて水蒸気となり、この水蒸気の影響でボルトが水素脆性破壊を起こし、耐久性が悪化するおそれがあるという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、水素脆性破壊を抑制し耐久性の向上が図れる内燃機関のコンロッドを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の一形態は、コンロッド本体と、クランクピン穴を形成するべくコンロッド本体の大端部に固定されるキャップとを備え、前記コンロッド本体と前記キャップとの接合面がコンロッド長手方向に直交する面から傾斜されている斜め割タイプであって、前記キャップは、その大端側及び小端側のそれぞれに取り付けられたボルトにより前記コンロッド本体に固定され、前記コンロッド本体には、前記小端側のボルトを螺合させる袋穴が形成されている内燃機関のコンロッドにおいて、
前記袋穴の前記ボルトに螺合するネジ刻設部分より底部側に位置する空間と、前記クランクピン穴を形成する内周面以外の位置の少なくとも1箇所とを連通する貫通孔を、前記ボルトの軸方向に直交する方向に設けたことを特徴とする。
上記構成を備える本発明の一形態によれば、仮に、袋穴の内部に水分が残存していたとしても、この水分は内燃機関の運転時における燃焼による加熱によって水蒸気となり、前記袋穴の前記ボルトに螺合するネジ刻設部分より底部側に位置する空間と、前記クランクピン穴を形成する内周面以外の位置の少なくとも1箇所とを連通し、前記ボルトの軸方向に直交する方向に設けられた貫通孔を介して、排出される。したがって、水蒸気がボルトに影響することが回避されるので、ボルトが水素脆性破壊を起こすことが抑制され、耐久性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るコンロッドの概要を示す一部断面正面図である。 図1のII - II線に沿う矢視断面図である。 図1の一点鎖線で囲まれたA部分の拡大図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、本発明の他の実施形態に係るコンロッドの一部を示す図1のIV - IV線に沿う矢視断面拡大図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンロッド10の概要を示す一部断面正面図、図2はそのII - II線に沿う断面図である。本実施形態のコンロッド10は、細長状のコンロッド本体11と、このコンロッド本体11の大端部に固定されるキャップ12とを備えている。このコンロッド本体11の大端部には半円状の凹部13が形成されるとともに、キャップ12にも半円状の凹部14が形成されている。そして、キャップ12がコンロッド本体11の大端部に取り付けられることで凹部13と凹部14とが接合されて、不図示のクランク軸のクランクピンに回転可能に連結するための円状のクランクピン穴15が形成される。このクランクピン穴15の内周面には、軸受メタルが装着される。
なお、コンロッド本体11の小端部には、図示しないピストンのピストンピンに回転可能に連結するためのピストンピン穴16が構成されている。
コンロッド本体11とキャップ12との接合面(コンロッド大端部の割り面)Pは、コンロッド長手方向軸線に直交する仮想面Vを考えたときに、当該仮想面Vから角度αだけ傾斜されている。この傾斜角αは、例えば、30°〜50°程度の大きさの角度とされ、これにより、いわゆる斜め割タイプのコンロッド10が実現されて、エンジン組立時にコンロッド本体11のシリンダボアへの挿入を良好に行うことを可能としている。
そして、キャップ12は、大端側と小端側の肩部にそれぞれ取り付けられた大端側ボルト31及び小端側ボルト32によって、コンロッド本体11に固定される。具体的には、キャップ12には、大端側ボルト31及び小端側ボルト32の軸部をそれぞれ挿通させる大端側挿通孔41及び小端側挿通孔42が形成されるとともに、コンロッド本体11には、大端側ボルト31の軸部に螺合可能な貫通孔43と、小端側ボルト32の軸部に螺合可能な袋穴44と、が形成されている。ここで、キャップ12の肩部やボルトを特定する場合に用いた「大端側」及び「小端側」とは、それぞれ「コンロッド小端部から遠い側」及び「コンロッド小端部に近い側」を意味している。なお、大端側ボルト31が挿通されるキャップ12の大端側挿通孔41及び大端側ボルト31が螺合されるコンロッド本体11の貫通孔43は、本発明の主要部ではないので断面図を用いて示すことなく、その存在部位のみが、図1において、想像線で示されている。
さらに、本実施形態において、小端側ボルト32の軸部に螺合可能な袋穴44には、図1とその一部の拡大図である図3に示すように、小端側ボルト32の軸部におけるネジ刻設部分32Aが螺合するネジ刻設部分44Aよりも円錐面状の底部側に位置する空間44Bとコンロッド本体11の外側面とを連通する貫通孔44Cが、小端側ボルト32の軸方向に直交する方向に設けられている。本実施形態における袋穴44は、所定の直径(例えば、9mm程度)で空間44Bを含む下穴を加工した後、例えば、M10程度のタップでメネジ加工してネジ刻設部分44Aが形成されている。従って、小端側ボルト32のネジ刻設部分32Aが螺合するメネジ部分(ネジ刻設部分)44Aの径は、9〜10mm程度である。また、貫通孔44Cの大きさ(直径)は、水分の抜けやすさの観点からすると、出来るだけ大きい方がよいが、コンロッド10に加わる外力の影響を考慮して、適切な直径を選ぶことが好ましい。
上記構成において、コンロッド本体11とキャップ12とが接合面Pで接合された状態で、2本のボルト(大端側ボルト31及び小端側ボルト32)を接合面Pに直交する方向にキャップ12側から大端側挿通孔41及び小端側挿通孔42へそれぞれ差し込み、貫通孔43及び袋穴44にそれぞれ捩じ込むことで、キャップ12をコンロッド本体11に固定することができる。
なお、上記の袋穴44を形成する方法としては、上記のような空間44Bの底部(本実施形態では円錐面)に相当する輪郭を有する刃具でドリル加工する方法のほか、コンロッド本体11の鋳造時に上記袋穴44を形成する方法、あるいは、コンロッド本体11を焼結金属で形成する場合、前記袋穴44を中子を用いて形成する方法等が挙げられる。
上記の構成になる本実施形態の作用効果を以下説明する。本実施形態に係るコンロッド10が不図示の内燃機関に組み込まれて使用されるとき、ピストン上部の燃焼室における爆発燃焼によって、ピストンを介して伝達される熱により、コンロッド10も高温(例えば、100℃以上)になる。この結果、前述したように、袋穴44内に水分が残存している場合には、水分が水蒸気となって袋穴44内全体に回り、小端側ボルト32に水素脆性破壊を起こさせるおそれがあった。しかし、本実施形態によれば、残存している水分が水蒸気となった場合には、この水蒸気は空間44Bとコンロッド本体11の外側面とを連通する貫通孔44Cを介して外部に排出されるので、上述の小端側ボルト32の水素脆性破壊の発生が抑制されることになる。
次に、本発明の他の実施形態を、図4を参照して説明する。図4の(A)及び(B)は、それぞれ、図1のIV - IV線に沿う矢視断面拡大図であり、両者は、空間44Bとコンロッド本体11の外側面とを連通する貫通孔44D及び貫通孔44Eを設ける位置が異なるのみで、他の構成は前実施形態と同じである。すなわち、図4の(A)に示される貫通孔44Dは、図1に示されたコンロッド10において後ろ側(紙面の裏側)に向けて開口されているのに対し、図4の(B)に示される貫通孔44Eは、図1に示されたコンロッド10において前側(紙面の表側)に向けて開口されている。
なお、これらの貫通孔44D及び貫通孔44Eは、上述のように、コンロッド10に加わる外力の影響を考慮して、コンロッド10に十分な強度が確保される場合には、一方のみに限ることなく両者共設けるようにしてもよい。このようにすると、水蒸気の外部への排出能力が増大され、上述の小端側ボルト32の水素脆性破壊の発生がさらに抑制される。
さらに、袋穴44とコンロッド本体11の外側面とを連通する貫通孔としては、メネジ部分(ネジ刻設部分)44Aに設けることも考えられるが、この場合には、小端側ボルト32を捻じ込む際のネジのかじりや、大きさによっては軸力が低下するので好ましくない。このような理由から上記の実施形態で示したように、ネジの特性に影響を与えない小端側ボルト32の軸部が螺合するネジ刻設部分44Aよりも底部側に位置する空間44Bに設けるのが好ましいのである。
さらにまた、袋穴44の内部とコンロッド本体11の外部とを連通する貫通孔としての(1)他の第1案は、小端側ボルト32の軸線の延長方向に袋穴44に連通する貫通孔Xを設けること、及び(2)他の第2案は、袋穴44とクランクピン穴15を連通する貫通孔Yを設けることが考えられる。しかしながら、(1)における貫通孔Xは、大きな爆発荷重を受けるコンロッド本体11を貫通して形成せざるを得ないので、応力集中によりコンロッド本体11の強度が十分でなくなり破損するおそれが大きい。また、(2)における貫通孔Yは、軸受メタルやクランクピンによって貫通孔Yの出口が塞がれて、水蒸気の排出が保証されないおそれが大きい。このような理由から、これらの他の第1案の貫通孔X及び第2案の貫通孔Yは共に、採用するのに好ましくない。
一方、前述の実施形態で用いられた、貫通孔44C、貫通孔44D,及び貫通孔44Eが小端側ボルト32の軸方向に直交する方向に設けられているという構成は、コンロッド10における強度低下のおそれもほとんどなく、又、その形成もドリル加工などにより容易に可能であるので好ましいのである。
以上説明したように、本実施形態及び他の実施形態のコンロッド10は、コンロッド本体11と、クランクピン穴15を形成するべくコンロッド本体11の大端部に固定されるキャップ12とを備える。そして、前記コンロッド本体11と前記キャップ12との接合面Pがコンロッド長手方向に直交する面から傾斜されている斜め割タイプである。前記キャップ12は、その大端側及び小端側のそれぞれに取り付けられたボルト31・32により前記コンロッド本体11に固定される。前記キャップ12は、その大端側及び小端側のそれぞれに取り付けられたボルト31,32により前記コンロッド本体11に固定され、前記コンロッド本体11には、前記小端側のボルト32を螺合させる袋穴44が形成されている内燃機関のコンロッドである。さらに、前記袋穴44の前記小端側のボルト32に螺合するネジ刻設部分44Aより底部側に位置する空間44Bと、前記クランクピン穴15を形成する内周面以外の位置の少なくとも1箇所とを連通する貫通孔44C(又は44D又は44E)を、前記小端側のボルト32の軸方向に直交する方向に設けている。
このような構成により、袋穴44に水分が残存していたとしても、上述の小端側ボルト32の水素脆性破壊の発生を抑制し、耐久性を増大するようにしている。
なお、上述の実施形態においては、大端側ボルト31は袋穴ではなく貫通孔43に螺着されているが、この大端側ボルト31を螺着する側の穴も、上述のような貫通孔を有する袋穴状とすることもできる。また、キャップ12を取り付けるための大端側ボルト31及び小端側ボルト32は長さの異なる別仕様の部品として図示されているが、これらは径や長さが等しい同一仕様の共通部品としコスト低減を図ってもよい。
10 コネクティングロッド(コンロッド)
11 コンロッド本体
12 キャップ
31 大端側ボルト
32 小端側ボルト
44 袋穴
44A メネジ部分(ネジ刻設部分)
44B 空間
44C、44D、44E 貫通孔

Claims (1)

  1. コンロッド本体と、クランクピン穴を形成するべくコンロッド本体の大端部に固定されるキャップとを備え、前記コンロッド本体と前記キャップとの接合面がコンロッド長手方向に直交する面から傾斜されている斜め割タイプであって、前記キャップは、その大端側及び小端側のそれぞれに取り付けられたボルトにより前記コンロッド本体に固定され、前記コンロッド本体には、前記小端側のボルトを螺合させる袋穴が形成されている内燃機関のコンロッドにおいて、
    前記袋穴の前記ボルトに螺合するネジ刻設部分より底部側に位置する空間と、前記クランクピン穴を形成する内周面以外の位置の少なくとも1箇所とを連通する貫通孔を、前記ボルトの軸方向に直交する方向に設けたことを特徴とする内燃機関のコンロッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116586900A (zh) * 2023-04-12 2023-08-15 陕西柴油机重工有限公司 用于柴油机连杆定位销孔的加工方法

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