JP2018143251A - 微生物の検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 微生物の検査方法において、サンプリングを含む検査全体の期間を一層短縮することを可能とする。【解決手段】 環境中における複数種類の微生物の存否を同時に判定する微生物の検査方法であって、空気中に浮遊する微生物を液体中に回収する採取工程と、液体中における微生物から核酸を抽出する核酸抽出工程と、抽出された核酸の一部を増幅する核酸増幅工程と、増幅された核酸を含む溶液を、予め複数種類の微生物の核酸を固定化した担体に滴下して、増幅された核酸と相補的に結合する核酸が担体に固定化されている場合に、微生物の種類を特定する検出工程とを有し、採取工程の後で、かつ核酸抽出工程の前において、微生物の培養を行わない。【選択図】 なし

Description

本発明は、微生物の検査方法に関し、特に複数種類の微生物を同時に迅速に検出するための検査方法に関する。
従来、食品製造現場や臨床現場、また文化財などの保護環境等において、カビなどの微生物が存在するか否かを検査して、安全性を確認するとともに、その繁殖を防止することが重要となっている。
このような微生物、特にカビを対象とした検査方法として、以下に示す3通りの方法を挙げることができる。
まず、第一の方法として、環境中から試料をサンプリングして前培養(採取された菌の同時培養)し、次いで菌種ごとに最適な培地で20日程度の培養を行った後に、形態的特徴を観察することで、微生物を特定し、その存否の確認を行う方法を挙げることができる(特許文献1参照)。
また、第二の方法として、環境中から試料をサンプリングして前培養した後に各菌を個別に培養し、培養細胞からDNAを抽出し、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法によりターゲット領域を増幅して、その領域の塩基配列を解析することで、微生物の特定及び存在確認を行う方法を挙げることができる。
さらに、第三の方法として、ターゲット領域と相補的に結合する塩基配列からなるプローブを作成してDNAチップの基板上に固定化し、PCR法による増幅産物をDNAチップに滴下して、ターゲット領域とプローブとをハイブリダイズさせ、試料に含まれる微生物の特定及び存在確認を行う方法を挙げることができる(特許文献2参照)。
形態にもとづき微生物の特定を行う第一の方法は、前培養して生育した後に個別に培養を行うことが必要である。その際微生物の形態的特徴を発現させるために、菌種ごとに最適な培地を準備して長期間の培養を行うことが必要であるため、微生物種類によっては50日程度もの長い検査期間を要するものであった。また、微生物の特定に熟練が必要であるため、迅速な検査や簡易的な検査に適するものではなかった。
配列解析による第二の方法でも、前培養した後に菌種ごとに個別に培養することが必要である。このため、検査期間として14日程度を要するものであった。また、菌種ごとに個別に解析する方法であるため、多数の検体を同時に検査する必要がある場合に適するものではなかった。
一方、DNAチップを用いる第三の方法では、菌種ごとに個別に培養することなく微生物を検出することができ、検査期間を9日程度に短縮することが可能である。
しかしながら、検査現場においては、環境中から試料をサンプリングした当日中に、その結果を知りたいという、検査のさらなる迅速化の要望がある。
ところが、DNAチップを用いる第三の方法でも前培養が必要であり、この前培養に7日程度を要するため、第三の方法ではその要望に応えることはできなかった。
ここで、DNAチップを用いた微生物の検査を、前培養を行うことなく実施可能にする、微小有機体の迅速な検出のための方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開2007−195454号公報 特開2008−35773号公報 特開2007−508811号公報
しかしながら、この微小有機体の迅速な検出のための方法は、微生物からRNAを抽出するものであるが、微生物が芽胞形態の場合は、RNAを得ることができない。一方で、非芽胞形態の微生物を選択的に捕集することはできないため、芽胞を発芽させるための回復工程が必須になるという問題があった。
また、RNA又はこれに相補的なDNAの増幅を行うことなく微生物の検出を可能にしているため、非常に数多くの微生物の細胞を捕集する必要があり(実施例では百万個の細胞を使用。比較的汚れた環境下において、サンプリングに数日を要する。)、サンプリングを含む検査全体の期間を短縮することは難しいという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、サンプリングを含む検査全体の期間を一層短縮することが可能な微生物の検査方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の微生物の検査方法は、環境中における複数種類の微生物の存否を同時に判定する微生物の検査方法であって、空気中に浮遊する微生物を液体中に回収する採取工程と、液体中における微生物から核酸を抽出する核酸抽出工程と、抽出された核酸の一部を増幅する核酸増幅工程と、増幅された核酸を含む溶液を、予め複数種類の微生物の核酸を固定化した担体に滴下して、増幅された核酸と相補的に結合する核酸が担体に固定化されている場合に、微生物の種類を特定する検出工程とを有し、採取工程の後で、かつ核酸抽出工程の前において、微生物の培養を行わない方法としてある。
本発明によれば、サンプリングを含む検査全体の期間を一層短縮することが可能な微生物の検査方法を提供することが可能となる。
実施例におけるエアーサンプラーで回収した空気量とカビ数との関係を示す図表である。 実施例において使用したプライマーの塩基配列を示す図表である。 実施例において使用したプローブの塩基配列を示す図表である。 実施例におけるDNAチップによる検出結果(S/N比)を示す図表である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の実施形態の微生物の検査方法は、環境中における複数種類の微生物の存否を同時に判定する微生物の検査方法であって、空気中に浮遊する微生物を液体中に回収する採取工程と、液体中における微生物から核酸を抽出する核酸抽出工程と、抽出された核酸の一部を増幅する核酸増幅工程と、増幅された核酸を含む溶液を、予め複数種類の微生物の核酸を固定化した担体に滴下して、増幅された核酸と相補的に結合する核酸が担体に固定化されている場合に、微生物の種類を特定する検出工程とを有し、採取工程の後で、かつ核酸抽出工程の前において、微生物の培養を行わないことを特徴とする。
本実施形態の微生物の検査方法は、以下の工程を含むものとすることができる。
(1)採取工程
採取工程では、空気中に浮遊する微生物を液体中に回収する。このとき、微生物を回収するためのサンプリング装置としては、サイクロン式のエアーサンプラーを用いることが好ましい。また、液体としては、微生物の回収効率を高めるため、界面活性剤を含有するものを用いることが好ましい。
サイクロン式のエアーサンプラーを用いることにより、サンプリング容器における液体中に空気が高速で螺旋状に取り込まれた後に排出され、その過程で空気中の微粒子が遠心力でサンプリング容器の内壁に付着する。これによって、空気中の微生物をサンプリング容器における液体中に回収することが可能になっている。
サイクロン式のエアーサンプラーとしては、例えばコリオリスμ(液相遠心分離法式:液体サイクロン,Bertin社製)を好適に用いることができる。
サイクロン式のエアーサンプラーを用いる場合、流速300L/分で、1〜10分間空気の吸引を行うことが好ましい。
このように採取工程においてサイクロン式のエアーサンプラーを用いることにより、短時間で大量の空気中から比較的多くの微生物を液体中に回収することができる。このため、核酸抽出工程に先だって微生物の培養(前培養)を行わなくても、核酸増幅工程において微生物の核酸を十分に増幅することができ、検出工程において該微生物を検出することが可能となる。
また、微生物の前培養を行う必要がないため、培地の条件が原因となって微生物が適切に生育できないために、該微生物が検出されないというリスクを、低減することも可能となる。
本実施形態の微生物の検査方法において、「微生物」には、カビや酵母等の真菌、食中毒菌などの細菌、その他顕微鏡を使わないと見えない微小な生物が含まれる。
特に、本実施形態の微生物の検査方法によれば、食品検査、疫学的環境検査、環境検査、臨床試験、及び家畜衛生等において重要となる、空気中に浮遊する胞子又は菌糸形態のカビを好適に検出することが可能である。
また、微生物の培養を行う必要がないため、生きた微生物だけではなく、死菌などの微生物の死がいから、該微生物の種類を特定することも可能である。
(2)核酸抽出工程
核酸抽出工程では、採取工程で得られた液体中における微生物から核酸を抽出する。これによって、微生物からゲノムDNAを得ることができる。核酸の抽出は、通常の方法で行うことができ、特に限定されるものではない。
例えば、市販の核酸抽出キット(Water RNA/DNA Purification Kit-0.22μm,Norgen Biotek Corporation製)を用いて、液体をフィルターで濾過して微生物を濃縮し、その細胞を破砕、溶菌して、核酸を精製することによって、核酸の抽出を好適に行うことができる。また、CTAB法(Cetyl trimethyl ammonium bromide)やDNA抽出装置などによって、核酸の抽出を行っても良い。
(3)核酸増幅工程
核酸増幅工程では、核酸抽出工程で抽出された核酸の一部を増幅する。これによって、試料となるゲノムDNAにおける増幅対象領域を、検出に必要な数量に増幅することができる。
このように本実施形態の微生物の検査方法によれば、採取工程においてサイクロン式のエアーサンプラーを用いて空気中に浮遊する微生物を液体中に回収し、かつ核酸増幅工程において微生物の核酸を増幅することができる。
このため、採取工程において微生物の回収を長時間行わなくても、核酸増幅工程において微生物の核酸を十分に増幅することができるため、検出工程において該微生物を適切に検出することが可能となっている。
核酸の増幅方法としては、特に限定されないが、例えばPCR法を好適に用いることができる。
PCR法において用いるPCR用反応液は、例えば以下の組成からなるものとすることが好ましい。すなわち、核酸合成基質、プライマーセット、核酸合成酵素、標識成分、試料のゲノムDNA、緩衝液、及び残りの容量分として水を含むPCR用反応液を、好適に使用することができる。
PCR法において、試料のゲノムDNAにおける増幅対象領域を増幅させるためのプライマーセットを用いて当該増幅対象領域を増幅させ、増幅産物を得ることができる。さらに、後の検出工程において、増幅対象領域の一部に相補的に結合することができるプローブに、増幅産物をハイブリダイズさせる。そして、ハイブリダイズした増幅産物に含まれる標識成分を検出することにより、当該ゲノムDNAを有する微生物を特定することが可能となる。
緩衝液としては、例えばAmpdirect(R)(株式会社島津製作所)を用いることができる。
PCR装置としては、一般的なサーマルサイクラーなどを用いることができる。
PCRの反応条件としては、例えば以下のようにすることが好ましい。
(a)95℃ 10分、(b)95℃(DNA変性工程) 30秒、(c)56℃(アニーリング工程) 30秒、(d)72℃(DNA合成工程) 60秒((b)〜(d)を40サイクル)、(e)72℃ 10分
(4)検出工程
検出工程では、PCR法によって得られた増幅産物を含む溶液を、予め複数種類の微生物のプローブを固定化した担体に滴下する。この担体に増幅産物と相補的に結合するプローブが固定化されている場合、増幅産物とプローブがハイブリダイズする。そして、ハイブリダイズした増幅産物に含まれる標識成分を検出することにより、複数種類の微生物の種類をそれぞれ特異的に同時に特定することができる。
このような担体としては、DNAチップを好適に用いることができる。DNAチップは、検出対象の微生物のゲノムDNAにおける、PCR法による増幅対象領域から選択されたプローブを予め合成して、基板上に固定化したものであれば良く、その他の点では特に限定されない。例えばスポット型DNAチップ、合成型DNAチップなどを用いることが可能である。
増幅産物の標識成分の検出は、具体的には、例えば次のように行うことができる。
まず、増幅産物に所定の緩衝液を混合してDNAチップに滴下し、DNAチップを45℃で1時間静置する。その後、所定の緩衝液を用いて、ハイブリダイズしなかったPCR産物をDNAチップから洗い流す。
次に、DNAチップを標識検出装置にかけて標識成分の検出を行い、検出対象の微生物が存在するか否かを判定する。標識検出装置としては、例えば、蛍光スキャニング装置など一般的なものを用いることができる。標識及びその検出方法は、蛍光によるものに限定されず、その他の方法を用いても良い。
以上説明したように、本実施形態の微生物の検査方法によれば、採取工程においてサイクロン式のエアーサンプラーを用いて空気中に浮遊する微生物を液体中に回収し、かつ核酸増幅工程において微生物の核酸を増幅することができる。このため、従来は核酸抽出工程の前に必須であった微生物の前培養を行わなくても、検出に十分な量の核酸を得ることができ、検出工程において複数種類の微生物を同時に特異的に検出することが可能である。
また、採取工程において微生物の回収を長時間行わなくても、核酸増幅工程において微生物の核酸を十分に増幅することができるため、検出工程において微生物を適切に検出することが可能である。
このため、本実施形態の微生物の検査方法によれば、サンプリングを含む検査全体の期間を一層短縮することが可能となっている。
また、本実施形態の微生物の検査方法によれば、微生物の前培養を行うことなく、該微生物の検出ができるため、空気中に浮遊する微生物の死がいから該微生物を特定することも可能である。微生物の死がいであっても、ヒトが吸い込むと健康被害が生じる場合があり、これを一層迅速に検出可能にすることは有益である。
以下、本発明の微生物の検査方法の実施例について、具体的に説明する。
採取工程において、空気中に浮遊する微生物を液体中に回収するために、サイクロン式のエアーサンプラー(コリオリスμ,Bertin社製)を用いて、2地点における空気を吸引し、以下の通り、合計4つのサンプルを得た。エアーサンプラーの流速は、300L/分で固定した。
まず、地点A(トイレ室内)において空気の吸引を3回行い、回収時間をそれぞれ1分、3分、5分として、サンプル1−3を得た。サンプル1−3の回収空気量は、それぞれ300L、900L、1500Lである。
また、地点B(応接室内)において空気の吸引を1回行い、回収時間を10分として、サンプル4を得た。サンプル4の回収空気量は、3000Lである。
微生物を回収するための液体の量は、全てのサンプルについて、空気回収の開始時点では、10mLであった。空気回収後では、回収中におけるサンプルの蒸発によって液量が減少するため、残存液量は回収時間が長い程少なく、全てのサンプルについて、残存液量は、5.1mL以上存在していた。
サンプル1−4の液体からそれぞれ0.1mLを取り出して、直径90mmのシャーレに滅菌したM40Y培地に塗布した。これをサンプルごとに、2個の培地に対して行い、25℃、7日間培養した。このM40Y培地は、好乾性カビ、耐乾性カビ、好湿性カビのいずれをも好適に培養することができる培地であり、蒸留水1Lに、Malt extract20g,Yeast extract5g,Sucrose400g,Agar20gを添加して得られたものである。
そして、それぞれの培地において4日目、7日目にサンプルを取り出して目視にて生育したコロニー数をカウントし、サンプルごとに平均を算出した。その結果を、図1に示す。
図1に示すように、サンプル1−4の0.1mL中におけるカビ数の平均は、それぞれ2、9、15、3個であった。したがって、液体5mLにおけるカビ数は、それぞれ100、450、750、150個と換算される。回収空気量を考慮すると、地点Aのサンプル1−3におけるカビ数は、地点Bのサンプル4におけるカビ数よりも多い結果になっている。この理由は、地点Aの空気が、地点Bの空気よりも汚れているためと考えられる。
次に、核酸抽出工程において、市販の核酸抽出キット(Water RNA/DNA Purification Kit-0.22μm,Norgen Biotek Corporation製)を用いて、説明書に準じて操作を行い、サンプル1−4の各液体中におけるカビから核酸を抽出した。
このとき、サンプル1−4の液体のうち5mLをそれぞれフィルターで濾過し、次いでフィルターを分離して、ガラスビーズを含む破砕チューブに回収後、溶菌バッファを加え、4800rpmで5分間破砕を行った。この工程により液体に回収されたカビをフィルターごとガラスビーズによって破砕して、所定の溶菌処理を行った。これにより得られた溶液において、空気中から液体に回収されたカビの胞子及び菌糸の細胞壁は、いずれも破砕され、溶菌されている。
そして、サンプル1−4ごとに得られた溶液を精製して、DNA溶液を得た。
次に、核酸増幅工程において、サンプル1−4ごとのDNA溶液におけるDNAの一部をPCR法により増幅した。
このとき、検出対象のカビとして、アスペルギルス ペニシリオイデス種菌(Aspergillus penicillioides)、クラドスポリウム属菌(Cladosporium sp.)、及びワレミア セビ種菌(Wallemia sebi)を選択した。
そして、図2に示すように、これら3種類のカビのゲノムDNAにおけるITS領域を増幅するためのプライマーセットとして、配列番号1に示すフォワードプライマー及び配列番号2に示すリバースプライマーを使用した。また、アスペルギルス ペニシリオイデス種菌のゲノムDNAにおけるβ−チューブリン領域を増幅するためのプライマーセットとして、配列番号3に示すフォワードプライマー及び配列番号4に示すリバースプライマーを使用した。
PCR反応液としては、Ampdirect(R)(株式会社島津製作所製)を使用し、次の組成のものを、サンプルごとに20μl作成した。
1.Ampdirect addition(G/Crich) 4.0μl
2.Ampdirect(addition−4) 4.0μl
3.dNTPmixture 1.0μl
4.1.0mM Cy5−dCTP 0.2μl
5.ITS1領域増幅用フォワードプライマー(2.5μM,配列番号1,シグマアルドリッチ社により合成) 1.0μl
6.ITS1領域増幅用リバースプライマー(2.5μM,配列番号2,シグマアルドリッチ社により合成) 1.0μl
7.β−チューブリン領域増幅用フォワードプライマー(10μM,配列番号3,シグマアルドリッチ社により合成) 1.0μl
8.β−チューブリン領域増幅用リバースプライマー(10μM,配列番号4,シグマアルドリッチ社により合成) 1.0μl
9.Nova Taq Hot Start DNA polymerase 0.2μl
10.試料のゲノムDNA 1.0μl
11.水(全体が20.0μlになるまで加水)
このPCR反応液を使用して、核酸増幅装置(TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(R) Gradient タカラバイオ株式会社製)により、サンプルごとに次の条件でDNAの増幅を行った。
1.95℃ 10分
2.95℃ 30秒
3.56℃ 30秒
4.72℃ 60秒(2〜4を40サイクル)
5.72℃ 10分
次に、検出工程において、アスペルギルス ペニシリオイデス種菌検出用のプローブ、クラドスポリウム属菌検出用のプローブ、及びワレミア セビ種菌検出用のプローブを固定化したDNAチップを、サンプルごとに使用した。DNAチップには、ジーンシリコン(R)(東洋鋼鈑株式会社製)を使用した。
また、図3に示すように、アスペルギルス ペニシリオイデス種菌検出用のプローブとして、配列番号5、配列番号6に示される塩基配列からなるプローブを使用し、クラドスポリウム属菌検出用のプローブとして、配列番号7に示される塩基配列からなるプローブを使用し、ワレミア セビ種菌検出用のプローブとして、配列番号8に示される塩基配列からなるプローブを使用した。
配列番号5、配列番号7、及び配列番号8に示される塩基配列からなるプローブは、上述したITS領域を増幅するためのプライマーセットの増幅対象領域の一部とハイブリダイズするものである。また、配列番号6に示される塩基配列からなるプローブは、上述したβ−チューブリン領域を増幅するためのプライマーセットの増幅対象領域の一部とハイブリダイズするものである。
PCR法による増幅産物に緩衝液(3×SSC+0.3%SDS)を混合して、上記DNAチップに滴下した。
このDNAチップを45℃で1時間静置し、上記緩衝液を用いてハイブリダイズしなかったPCR産物をDNAチップから洗い流した。
次に、DNAチップを標識検出装置(ジーンシリコン専用スキャナー BIOSHOT東洋鋼鈑株式会社製)にかけて、各プローブにおける蛍光強度を測定した。その結果を図4に示す。
同図において、各数値は、S/N比((蛍光強度値−バックグラウンド値)/バックグラウンド値)を示しており、3以上であれば対応するカビが存在すると判断することができる。また、アスペルギルス ペニシリオイデス種菌については、ITS領域及びβ−チューブリン領域の両方について、S/N比が3以上である場合に、当該カビが存在すると判断することができ、これによって偽陽性反応が生じることを的確に防止し、より精度の高い検査を行うことを可能にしている。
図4に示すように、地点Aについては、サンプル1によりアスペルギルス ペニシリオイデス種菌の存在を確認することができている。また、サンプル1−3によりクラドスポリウム属菌の存在を確認することができており、サンプル3によりワレミア セビ種菌の存在を確認することができている。
また、地点Bについては、サンプル4により、アスペルギルス ペニシリオイデス種菌及びクラドスポリウム属菌の存在を確認することができている。
このように、本実施形態の微生物の検査方法によれば、微生物の前培養を行うことなく、該微生物の検出が可能になることが分かった。また、サンプリングに要する時間もわずか10分程度で済み、微生物の採取工程から検出工程までの検査全体に要する期間を、大きく低減することができた。
この結果、本実施形態の微生物の検査方法によれば、環境中から試料をサンプリングした当日中に検査結果を得ることができ、従来はサンプリングを含めて数日間を要した微生物の検査を、大きく迅速化できることが明らかとなった。また、上記結果より、換算カビ数で750以下、さらに450以下、150以下、100以下の数においても検査できることがわかった。
本発明は、以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施例では、3種類のカビのみを対象として用いているが、本発明はその特徴上、微生物の種類に拘わらず適用できることは勿論であり、同様の方法をその他の種類のカビやその他の微生物の検出に用いるなど適宜変更することが可能である。
本発明は、食品検査、疫学的環境検査、環境検査、臨床試験、及び家畜衛生等における複数種類のカビを同時に検査する場合に好適に利用することが可能である。
上記目的を達成するため、本発明の微生物の検査方法は、環境中における複数種類の微生物の存否を同時に判定し、且つ、死がいである微生物の種類を特定する微生物の検査方法であって、微生物が、胞子又は菌糸形態のカビであり、空気中に浮遊する微生物を液体中に回収する採取工程と、液体中から第一の液体サンプルと第二の液体サンプルとを得る工程と、破砕の前に微生物の培養を行わずに、第一の液体サンプルの少なくとも一部における微生物の細胞を破砕する破砕工程と、微生物の破砕した細胞から核酸を抽出する核酸抽出工程と、抽出された核酸の少なくとも一部を増幅する核酸増幅工程と、増幅された核酸を含む溶液を、予め複数種類の微生物の核酸を固定化した担体に滴下して、増幅された核酸と相補的に結合する核酸が担体に固定化されている場合に、微生物の種類を特定する検出工程と、第二の液体サンプルを培地培養して、少なくとも一部の微生物のコロニー数をカウントし、第一の液体サンプル中に回収された微生物の数を算出する工程と、算出された微生物の数が100以上である場合、微生物の種類を特定することが可能であると判定する工程と、算出された微生物の数が100以下であり、且つ、検出工程において微生物の種類を特定した場合に、微生物に、微生物の死がいが含まれ、検出工程において、死がいである微生物の種類が特定される工程と、を有する方法としてある。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の実施形態の微生物の検査方法は、環境中における複数種類の微生物の存否を同時に判定し、且つ、死がいである微生物の種類を特定する微生物の検査方法であって、微生物が、胞子又は菌糸形態のカビであり、空気中に浮遊する微生物を液体中に回収する採取工程と、液体中から第一の液体サンプルと第二の液体サンプルとを得る工程と、破砕の前に微生物の培養を行わずに、第一の液体サンプルの少なくとも一部における微生物の細胞を破砕する破砕工程と、微生物の破砕した細胞から核酸を抽出する核酸抽出工程と、抽出された核酸の少なくとも一部を増幅する核酸増幅工程と、増幅された核酸を含む溶液を、予め複数種類の微生物の核酸を固定化した担体に滴下して、増幅された核酸と相補的に結合する核酸が担体に固定化されている場合に、微生物の種類を特定する検出工程と、第二の液体サンプルを培地培養して、少なくとも一部の微生物のコロニー数をカウントし、第一の液体サンプル中に回収された微生物の数を算出する工程と、算出された微生物の数が100以上である場合、微生物の種類を特定することが可能であると判定する工程と、算出された微生物の数が100以下であり、且つ、検出工程において微生物の種類を特定した場合に、微生物に、微生物の死がいが含まれ、検出工程において、死がいである微生物の種類が特定される工程と、を有することを特徴とする。
本発明は、以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施例では、3種類のカビのみを対象として用いているが、本発明はその特徴上、微生物の種類に拘わらず適用できることは勿論であり、同様の方法をその他の種類のカビやその他の微生物の検出に用いるなど適宜変更することが可能である。
また、本明細書に開示された発明は以下のような構成とすることができる。
1. 環境中における複数種類の微生物の存否を同時に判定する微生物の検査方法であって、
空気中に浮遊する微生物を液体中に回収する採取工程と、
前記液体中における前記微生物から核酸を抽出する核酸抽出工程と、
前記抽出された核酸の一部を増幅する核酸増幅工程と、
前記増幅された核酸を含む溶液を、予め複数種類の微生物の核酸を固定化した担体に滴下して、前記増幅された核酸と相補的に結合する核酸が前記担体に固定化されている場合に、前記微生物の種類を特定する検出工程と、を有し、
前記採取工程の後で、かつ前記核酸抽出工程の前において、前記微生物の培養を行わない
ことを特徴とする微生物の検査方法。
2. 前記微生物が、胞子又は菌糸形態のカビであることを特徴とする上記1項に記載の微生物の検査方法。
3. 前記微生物に、微生物の死がいが含まれ、前記検出工程において、死がいである前記微生物の種類が特定されることを特徴とする上記1項又は2項に記載の微生物の検査方法。
4. 前記採取工程において、エアーサンプラーを使用して、空気を300〜3000L回収し、回収された空気中に浮遊する微生物を液体中に回収することを特徴とする上記1項〜3項のいずれかに記載の微生物の検査方法。

Claims (4)

  1. 環境中における複数種類の微生物の存否を同時に判定する微生物の検査方法であって、
    空気中に浮遊する微生物を液体中に回収する採取工程と、
    前記液体中における前記微生物から核酸を抽出する核酸抽出工程と、
    前記抽出された核酸の一部を増幅する核酸増幅工程と、
    前記増幅された核酸を含む溶液を、予め複数種類の微生物の核酸を固定化した担体に滴下して、前記増幅された核酸と相補的に結合する核酸が前記担体に固定化されている場合に、前記微生物の種類を特定する検出工程と、を有し、
    前記採取工程の後で、かつ前記核酸抽出工程の前において、前記微生物の培養を行わない
    ことを特徴とする微生物の検査方法。
  2. 前記微生物が、胞子又は菌糸形態のカビであることを特徴とする請求項1に記載の微生物の検査方法。
  3. 前記微生物に、微生物の死がいが含まれ、前記検出工程において、死がいである前記微生物の種類が特定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の微生物の検査方法。
  4. 前記採取工程において、エアーサンプラーを使用して、空気を300〜3000L回収し、回収された空気中に浮遊する微生物を液体中に回収することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微生物の検査方法。
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