JP2018168221A - ころがり軸受用グリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(a)〜(c)で表されるジウレア増ちょう剤と基油の40℃動的粘度が150〜400mm2/secで、粘度指数が120未満のAPI分類グループ又は2に属するの鉱物油とを含み、特定量のカルシウムサリシレート及びカルシウムスルホネートを含む特定ちょう度のグリース組成物を低速回転軸受に適用する、ころがり軸受用ウレアグリース組成物。(a)R1NHCONHR2NHCONHR1(b)R3NHCONHR2NHCONHR3(c)R1NHCONHR2NHCONHR3(R2はジフェニルメタン残基;R1はC6〜10の飽和炭化水素基;R3はC12〜18の飽和炭化水素基)
【選択図】なし
Description
本発明[1]は、
1)下記、一般式(a)〜(c)で示されるジウレア増ちょう剤から選択されるいずれか一つ又は複数の増ちょう剤{ただし、当該ジウレア増ちょう剤全体におけるR1とR3とのモル比(R1:R3)が、20:80〜80:20である}と
(a)R1NHCONHR2NHCONHR1
(b)R3NHCONHR2NHCONHR3
(c)R1NHCONHR2NHCONHR3
(式中R2はジフェニルメタン残基、R1は炭素数6〜10の飽和炭化水素基、R3は炭素数12〜18の飽和炭化水素基である)
2)基油の40℃の動粘度が150mm2/secから400mm2/secの範囲にあり、かつ、粘度指数が120未満の米国石油協会(API:American Petroleum Institute)にて分類されるグループ1又は2に属する鉱物油を基油としたグリースであって、
3)ちょう度がNLGI分類の0号〜00号(ちょう度:355〜430)の範囲であり、
4)添加剤として、下記式(1)で示されるカルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート及びワックスを配合してなり、
5)前記カルシウムサリシレートをグリース組成物全体に対して1〜5質量%配合してなり、
6)前記カルシウムスルホネートをグリース組成物全体に対して0.5〜5質量%配合してなる、軸受の転動体の回転速度が100rpm以下の低速回転軸受用であるころがり軸受用グリース組成物である。
本発明[2]は
前記ワックスが合成ポリエチレンワックスである前記発明[1]のころがり軸受用グリース組成物である。
[増ちょう剤]
本形態に係るグリース組成物は、下記、一般式(a)〜(c)で示されるジウレア増ちょう剤から選択されるいずれか一つ又は複数の増ちょう剤を含む。
(a)R1NHCONHR2NHCONHR1
(b)R3NHCONHR2NHCONHR3
(c)R1NHCONHR2NHCONHR3
(式中R2はジフェニルメタン残基、R1は炭素数6〜10の飽和炭化水素基、R3は炭素数12〜18の飽和炭化水素基である)
本形態のグリース組成物に用いられる基油は、米国石油協会(API:American Petroleum Institute)にて分類されるグループ1又は2に属する鉱物油を基油として使用する。ここで、APIの基油カテゴリーとは、潤滑油基油の指針を作成するためにアメリカ石油協会によって定義された基油材料の広範な分類である。鉱物油の製造方法は特に規定されるものではないが、好ましい例として、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の一種もしくは二種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系の鉱油を挙げることができる。
本形態のグリース組成物は、上記の増ちょう剤(ジウレア)を含有するグリースに、特定の添加剤(カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート及びワックス)を加えたものである。これらの添加剤をジウレアグリース組成物に添加する事により、耐熱性や耐水性などの製鉄設備機械軸受用グリースに求められる基本的な性能を保持し、低速、高荷重の潤滑条件下においても、グリース潤滑膜が十分に形成でき、優れた耐摩耗が実現できる。
本形態のグリース組成物には、更に任意の酸化防止剤、防錆剤、油性剤、極圧剤、耐摩耗剤、固体潤滑剤、金属不活性剤、ポリマー、非金属系清浄剤、着色剤の添加剤を配合してもよく、例えば、グリース組成物全体を100質量部として、任意の成分全体で約0.1〜20質量部加えることができる。例えば、酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン等がある。例えば、防錆剤としては、酸化パラフィン、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル、コハク酸エステル、ソルビタンエステルや各種アミン塩等がある。例えば、油性剤や極圧剤並びに耐摩耗剤としては、硫化ジアルキルジチオリン酸亜鉛、硫化ジアリルジチオリン酸亜鉛、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジアリルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジアルキルジチオリン酸モリブテン、硫化ジアリルジチオリン酸モリブテン、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブテン、硫化ジアリルジチオカルバミン酸モリブテン、有機モリブテン錯体、硫化オレフィン、トリフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフォロチオネート、トリクレジンフォスフェート、その他リン酸エステル類、硫化油脂類等がある。例えば、固体潤滑剤としては、二硫化モリブテン、グラファイト、窒化ホウ素、メラミンシアヌレート、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、二硫化タングステン、フッ化黒鉛等がある。例えば、金属不活性剤としては、N,N’ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール等がある。例えば、ポリマーとしては、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリメタクリレート等が挙げられる。例えば、非金属系清浄剤として、コハク酸イミド等を挙げることができる。
本形態に係るグリース組成物における、基油、増ちょう剤及び添加剤等の各成分の配合量は特に限定されないが、上述した範囲等とすればよい。また、任意の成分の配合量に関しても、必要であれば上述の配合量等にて適宜配合すればよい。
本形態に係るグリース組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、上述した各成分を任意の手順で添加及び混合する等によって製造可能である。
[混和ちょう度]
本形態のグリース組成物は、混和ちょう度試験において、好ましくは0号〜00号(ちょう度:355〜430)のちょう度であり、更に好ましくは0号と00号の間の385〜400のちょう度である。尚、ちょう度はグリースの外観的硬さを表す。ここで、ちょう度としては、JIS K 2220 7に従って測定された混和ちょう度の値を用いる。
本形態のグリース組成物は、滴点においての性能上の関連性はないが、ウレアグリースの増ちょう剤構造が本来の結合に達している指標として、180℃以上又は超となるものが好ましい。尚、滴点は、粘性を有するグリースが、温度を上げてゆくと増ちょう剤構造を失う温度をいう。ここで、滴点の測定は、JIS K 2220 8に従って行うことができる。
一般的に潤滑油の油膜厚さは基油の粘度に比例して、粘度の高い基油は油膜厚さも厚く、粘度の低い基油は油膜厚さも薄くなる。しかしながら、グリースの場合は増ちょう剤が潤滑挙動に影響するため、粘度の高い基油を用いたグリースであっても、膜厚が薄くなったり、安定な潤滑膜が形成されないこともある。例えば、増ちょう剤と基油との親和性が弱いグリースは、潤滑境界面において、基油と増ちょう剤が乖離してしまい、乖離した増ちょう剤は、潤滑境界面でのグリースの流動挙動を大きく変動させ、時に堆積した場合は油膜が薄くなり、介入した場合は油膜が極端に厚くなるなどの変化をもたらす。従って、増ちょう剤と基油との親和性が良好で、基油と近似した潤滑挙動を示すグリースは、界面での潤滑膜の変動も起きにくく、安定した潤滑膜を形成し維持できるため、摩耗の抑制効果が高くなる。
基油の膜厚に対するグリース膜厚の変化率=
(グリースの平均膜厚−基油の平均膜厚)/グリースの平均膜厚×100・・・(*)
(試験条件)
装置:PCS社製EHD2油膜厚さ計測器
ボール:3/4インチ鋼球 材質:SUJ2
ディスク:クロムシリカ蒸着グラス
荷重:46N
回転速度:3mm/sec
計測時間:ディスク上の1点を1分毎測定、10回の平均値
温度と記録:25℃、40℃、60℃、80℃、100℃の各温度にて測定し、全温度域における油膜平均値を記載。
本形態のグリース組成物は、SRV摩擦摩耗試験においての摩擦係数が、好ましくは0.135μ以下であり、より好ましくは0.132μ以下であり、更に好ましくは、0.129μ以下である。尚、SRV摩擦摩耗試験は、潤滑油やグリースの潤滑性能を評価する広く普及した試験であり、すべり摩擦を伴う潤滑環境におけるグリースの潤滑性能を判定する上で重要である。ここで、SRV摩擦摩耗試験の測定は、ASTMD5707に準拠した装置を用いて行うことができるが、本形態におけるSRV摩擦摩耗試験のテストピースは、実機で使用されているコロ軸受の部品形状と近似したシリンダを用い、ディスク間との線接触の摩擦形態にて試験を実施する。なお、具体的な試験条件としては、以下の通りである。
(試験条件)
装置:オプチモール社製SRV4摩擦摩耗試験装置
シリンダ:直径15mm×長さ22mm、SUJ2相当
ディスク:直径24mm×厚さ7.9mm、SUJ2相当
面圧:500MP(荷重:1,120N)
温度:100℃
振動×振幅:10Hz×1mm
時間:30min
本形態のグリース組成物は、高速四球耐摩耗試験においての試験後の鋼球の摩耗痕径が、好ましくは0.65mm以下であり、より好ましくは0.63mm以下であり、更に好ましくは、0.6mm以下である。尚、高速四球耐摩耗試験は、潤滑油やグリースの耐摩耗性を評価する上でもっと広く普及した試験であり、すべり摩擦の潤滑環境におけるグリースの耐摩耗性の指標になる。ここで、高速四球耐摩耗試験の測定は、ASTMD2266に従って行うことができる。なお、具体的な試験条件としては、以下の通りである。
(試験条件)
温度:75℃
回転数:1,200rpm
荷重:40kgf
時間:60min
本形態のグリース組成物は、耐水潤滑耐摩耗試験においての試験後の軸受摩耗量が、好ましくは18mg以下であり、より好ましくは15mg以下であり、更に好ましくは、12mg以下の摩耗量である。ここで耐水潤滑耐摩耗試験の方法は下記のとおりである。図1は、耐水潤滑耐摩耗試験機の概要を示した図である。当該図に示すように、本試験機は、ハウジング内に水を注入しながら、グリースの潤滑性を評価する試験機である。この方法はJIS K 2220 5.12に規定する水洗耐水度試験機を改良したものである。具体的には、JISの仕様のごとく、循環水を試験用玉軸受外輪押さえ(シール板)に噴射(300ml/min)するものではなく、直接ハウジング内に蒸留水を注入することで、清浄で正確な量の水を注入する事が出来ることから、バラツキが少なく、精度の高い潤滑性を評価出来るように改良したものである。具体的な方法としては、試験軸受に供試グリースを5.0g充填し、軸受をハウジングに組み付け後、40℃に加温した蒸留水を毎分100mlにてハウジングに注入しながら、3,000rpmで120分間運転する。注入した水は供試グリースが充填された試験軸受内を通って外に放出される。グリースの潤滑性の評価は、あらかじめ計量した試験前の軸受重量と試験後(洗浄後)の軸受重量の差を摩耗量として算出し含水時のグリースの潤滑性の指標とする。なお、具体的な試験条件としては、以下の通りである。
(試験条件)
試験軸受:No.22208EAE4(自動調心ころ軸受)
グリース充填量:5.0g
回転数:3,000rpm
ラジアル荷重:15kgf
水温:40℃
水量:100ml/min
時間:120分
本形態のグリース組成物は、実際のセグメントロール軸受を模擬した試験において、試験後軸受の外輪レース面の体積摩耗量が、好ましくは10mm3以下であり、より好ましくは7mm3以下であり、更に好ましくは5mm3以下であり、特に好ましくは、3mm3以下の摩耗量である。10mm3以下の摩耗量であれば、実機においてのセグメントロール軸受の交換頻度を確実に延長でき、ランニングコストの低減に大いに貢献できる。なお、具体的な試験条件としては、以下の通りである。
(試験条件)
軸受:22222RHR 自動調心ころ軸受
荷重:Fr:100kN、Fa:10kN
温度:110℃
回転数:11.5rpm
グリース給脂量:3.24g/h
試験時間:30日
本形態のグリース組成物は、軸受の転動体(例えば、玉やころ)の回転速度が100rpm以下となる(例えば、設備稼働時に想定される回転速度が1〜100rpmの範囲となる)ような、低速回転軸受におけるころがり軸受用として利用可能である。特に低速高負荷で水やスケール等が混入する厳しい環境下で稼働している連続鋳造設備のセグメントロール軸受において、その優れた潤滑性を発揮する事ができる。
本実施例1〜3及び比較例1〜4で用いた原料は以下の通りである。
・基油A:米国石油協会(API:American Petroleum Institute)にて分類されるグループ1に属する脱ろう溶剤精製により得られたパラフィン系鉱油で40℃の動粘度が99.05mm2/s、粘度指数が97のものである。
・基油B:米国石油協会(API:American Petroleum Institute)にて分類されるグループ1に属する脱ろう溶剤精製により得られたパラフィン系鉱油で40℃の動粘度が480.2mm2/s、粘度指数が96のものである。
・基油C:米国石油協会(API:American Petroleum Institute)にて分類されるグループIIIに属するフィシャートロップ法にて合成された基油で40℃の動粘度が43.40mm2/s、粘度指数が143のものである。
(増ちょう剤)
・ウレア:4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート1.0molに対してオクチルアミン1.3mol及びラウリルアミン0.7molの比率になるようそれぞれ原料を計量し、グリース専用のオートクレーブにて基油中で完全に反応させ、ウレア増ちょう剤を合成させたものである。
(添加剤)
・添加剤A:カルシウムサリシレート(INFINEUM社製、M7125)(BN71mgKOH/g)
・添加剤B:カルシウムサリシレート(INFINEUM社製、M7121)(BN225mgKOH/g)
・添加剤C:カルシウムスルホネート(LUBRIZOL社製、Lz5342)(BN307mgKOH/g)
・添加剤D:カルシウムスルホネート(OLOA246A)(BN3.0mgKOH/g)
・添加剤E:低密度ポリエチレンワックス(CASNo:9002−88−4)で分子量が4000、軟化点が122℃である。
表1に示した組成に従い、既知の方法にて、実施例1〜3及び比較例1〜4に係るグリース組成物を得た。
実施例及び比較例について、混和ちょう度試験、滴点、EHD油膜厚さ、SRV摩擦摩耗試験、高速四球耐摩耗試験及び耐水潤滑寿命試験について、前述の試験方法により各試験を行った。得られた実施例及び比較例の各グリースの性質も表1に記す。
Claims (2)
- 1)下記、一般式(a)〜(c)で示されるジウレア増ちょう剤から選択されるいずれか一つ又は複数の増ちょう剤{ただし、当該ジウレア増ちょう剤全体におけるR1とR3とのモル比(R1:R3)が、20:80〜80:20である}と
(a)R1NHCONHR2NHCONHR1
(b)R3NHCONHR2NHCONHR3
(c)R1NHCONHR2NHCONHR3
(式中R2はジフェニルメタン残基、R1は炭素数6〜10の飽和炭化水素基、R3は炭素数12〜18の飽和炭化水素基である)
2)基油の40℃の動粘度が150mm2/secから400mm2/secの範囲にあり、かつ、粘度指数が120未満の米国石油協会(API:American Petroleum Institute)にて分類されるグループ1又は2に属する鉱物油を基油としたグリースであって、
3)ちょう度がNLGI分類の0号〜00号(ちょう度:355〜430)の範囲であり、
4)添加剤として、下記式(1)で示されるカルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート及びワックスを配合してなり、
(式中Rは炭素数8〜22のアルキル基である)
5)前記カルシウムサリシレートをグリース組成物全体に対して1〜5質量%配合してなり、
6)前記カルシウムスルホネートをグリース組成物全体に対して0.5〜5質量%配合してなる、軸受の転動体の回転速度が100rpm以下の低速回転軸受用であるころがり軸受用グリース組成物。 - 前記ワックスが合成ポリエチレンワックスである請求項1に記載のころがり軸受用グリース組成物。
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