JP2018203157A - 車両のステアリング装置 - Google Patents

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裕之 坂柳
Hiroyuki Sakayanagi
裕之 坂柳
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Abstract

【課題】簡単な構成でありながら、伸縮に伴う共振周波数の変動を抑えた車両のステアリング装置を得る。
【解決手段】車体に固定される筒状のメインハウジング1と、一方の端部にハンドルHを設け、他方の端部がメインハウジング1に挿入されて、メインハウジング1に対して伸縮するアッパーチューブ2と、メインハウジング1とアッパーチューブ2との間に伸縮動作の方向に沿って少なくとも二つ設けられメインハウジング1に対してアッパーチューブ2を支持する軸受Bと、メインハウジング1とアッパーチューブ2との間に設けられアッパーチューブ2の表面を押圧して軸受Bにおけるメインハウジング1とアッパーチューブ2との隙間を解消する押圧部Pと、を備え、少なくとも二つの軸受Bのうちハンドルに最も近い第1軸受B1がアッパーチューブ2に固定されている車両のステアリング装置S。
【選択図】図1

Description

本発明は、車体の一部に固定されたメインハウジングと、このメインハウジングに伸縮可能に取付けられたアッパーチューブを有する車両のステアリング装置に関する。
従来、このような車両のステアリング装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものがある。
このステアリング装置は、筒状のアウターチューブと、このアウターチューブの内部でステアリングコラムの軸方向に摺動する筒状のインナーチューブとを備えており、特にインナーチューブの外周に、インナーチューブが伸長した時にアウターチューブの内周との隙間が順次小さくなるような傾斜面が設けられている。
また、アウターチューブには、インナーチューブの傾斜面を付勢しつつ押圧するバネ部材と係合部材とが設けられており、アウターチューブとインナーチューブとのガタつきを無くしている。
本構成であれば、インナーチューブが伸長したときに、アウターチューブの内周とインナーチューブの傾斜面との隙間が小さくなり、バネ部材および係合部材によるインナーチューブの押し付け力が高まることとなる。よって、インナーチューブの支持剛性が高まり、インナーチューブが伸長したことによるステアリングコラムの共振周波数の低下を打ち消すことができる。
特開2009−248899号公報
しかしながら、上記従来技術の場合、インナーチューブが伸長した際に共振周波数の低下が抑制されるとはいえ、インナーチューブを支えるべくアウターチューブに設けられた支持点からのインナーチューブの突出長さが増加すると、運転者がステアリングに力を加えたときの撓み量が増加する。よって、インナーチューブの伸縮に際して運転者が感じる操作感が変化してしまう。
また、公知技術のような傾斜面をインナーチューブの表面に形成する場合、インナーチューブを伸長させる際のモータの駆動付加が増加する。よって、装着するモータの駆動能力をインナーチューブが最も伸長した状態に適合させておく必要がある。ただし、通常の運転状態では、インナーチューブを最大に伸長させた状態に設定することは少ないから、駆動モータの能力がオーバースペックとなってしまう。
さらに、インナーチューブの外面に傾斜面を形成することは製造工程を煩雑化するものであり、ステアリング装置のコストアップにもつながってしまう。
以上のように、従来のステアリング装置では、未だ改善されるべき課題を含んでおり、簡単な構成でありながら、伸縮に伴う共振周波数の変動を抑えたステアリング装置が求められている。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置の特徴構成は、
車体の一部に固定される筒状のメインハウジングと、
一方の端部にハンドルが取り付けられ、他方の端部が前記メインハウジングに挿入されて、前記メインハウジングに対して伸縮動作するアッパーチューブと、
前記メインハウジングと前記アッパーチューブとの間に前記伸縮動作の方向に沿って少なくとも二つ設けられ、前記メインハウジングに対して前記アッパーチューブを支持する軸受と、
前記メインハウジングと前記アッパーチューブとの間に設けられ、前記アッパーチューブの表面を押圧して前記軸受における前記メインハウジングと前記アッパーチューブとの隙間を解消する押圧部と、を備え、
前記少なくとも二つの軸受のうち、前記ハンドルに最も近い第1軸受が前記アッパーチューブに固定されている点にある。
(効果)
本構成であれば、第1軸受からハンドルまでの距離が一定になるから、アッパーチューブの剛性や共振特性がアッパーチューブの伸縮状態に拘わらず安定なものとなる。よって、ハンドルを操作する際に振動が軽減し、ハンドルの操作感が向上する。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置においては、前記第1軸受が前記アッパーチューブの全周方向に亘る一部に設けられていてもよい。
(効果)
本構成であれば、アッパーチューブの表面に対して垂直方向から第1軸受を取り付けることができ、例えばアッパーチューブに対してリング状の第1軸受を挿通する場合に比べて、第1軸受の取り付けに際する制限が少なくなる。よって、ステアリング装置の組立作業性を向上することができる。
また、第1軸受のサイズを縮小化でき、メインハウジングの内部での第1軸受を収容する空間を小さくできるなど、ステアリング装置をコンパクトに構成することができる。
さらに、第1軸受そのものの部材費用も削減することができる。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置においては、前記第1軸受のうち少なくとも一箇所と前記アッパーチューブの表面とに、互いに係合する凸部と凹部とを各別に形成しておくことができる。
(効果)
本構成であれば、アッパーチューブをメインハウジングに装着する際にアッパーチューブに対して第1軸受を確実に取り付けることができ、メインハウジングに対するアッパーチューブの装着作業が容易となる。
また、第1軸受がアッパーチューブと強固に係合するから、アッパーチューブの伸縮動作に伴って第1軸受がアッパーチューブから脱落する不都合が防止される。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置においては、前記第1軸受を、中心角度にして180度を超える円弧を有するC字状に形成しておくことができる。
(効果)
本構成のように、第1軸受の形状を構成することで、第1軸受が発揮する挟持力のみによってアッパーチューブの表面に取り付くことができる。よって、第1軸受をアッパーチューブに固定するために特段の係合部や接着部等を設ける必要がなく、第1軸受の構成を間便に構成することができる。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置においては、前記第1軸受および前記メインハウジングの内面のうち少なくとも何れか一方に潤滑性のコーティングを施しておくと好都合である。
(効果)
このような潤滑性のコーティングを施すことで、メインハウジングに対するアッパーチューブの摺動抵抗が低減し、アッパーチューブの伸縮動作がさらに円滑なものとなる。コーティングは、第1軸受の表面に設けても良いし、メインハウジングの内面に設けても良い。特に、第1軸受に設ける場合にはコーティングの施工面積が少なくて済むからコスト面で有利である。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置においては、前記少なくとも二つの軸受のうち、前記第1軸受と異なる軸受であって前記第1軸受に最も近い第2軸受を前記メインハウジングに設けておいてもよい。
(効果)
本構成のように、第1軸受をアッパーチューブに設け、これに最も近い第2軸受をメインハウジングに設けることで、アッパーチューブが外側に引き出される際に、第1軸受と第2軸受との距離が引き出し距離に応じて長くなる。その結果、ハンドルとは反対側のアッパーチューブの保持状態がより強固となり、ハンドルに力が加えられた場合でもアッパーチューブの延出方向が変化し難くなる。通常、ハンドルを引き出す場合は、運転者の身長が高く運転座席を後方に移動させる場合が多い。このような運転者は体重が重くハンドルに加える力も大きくなる傾向にある。よって、本構成であれば、アッパーチューブが突出する場合であっても、ステアリング装置の剛性や支持強度を確保することができる。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置においては、前記少なくとも二つの軸受のうち、前記第1軸受と異なる軸受が前記アッパーチューブの表面に設けられていてもよい。
(効果)
このように構成すると、アッパーチューブの表面において軸受どうしの距離が不変となる。よって、ステアリング装置の剛性がアッパーチューブの伸縮状態に拘わらず略一定なものとなり、ハンドル操作の操作性をさらに一定に維持することができる。
また、全ての軸受が例えばC字状のものに統一されて部材が縮小されることで、軸受コストも削減される。
第1実施形態に係るステアリング装置の構成を示す分解斜視図 第1実施形態に係るステアリング装置の動作態様を示す説明図 第2実施形態に係る第1軸受の構成を示す斜視図 第3実施形態に係る第1軸受の構成を示す斜視図 第4実施形態に係る第1軸受の構成を示す斜視図 第5実施形態に係るステアリング装置の構成を示す分解斜視図
〔第1実施形態〕
(概要)
本発明に係る車両のステアリング装置の実施形態につき図面を参照しながら説明する。
第1実施形態に係るステアリング装置Sの概要を図1および図2に示す。当該ステアリング装置Sは、モータ駆動によってステアリングコラムが伸縮する。車体の一部に固定される筒状のメインハウジング1に、ステアリングコラムとしてのアッパーチューブ2が内挿されている。アッパーチューブ2の一方の端部にはステアリング用のハンドルHが取り付けられ、他方の端部はメインハウジング1に挿入されて、複数の軸受Bによって、メインハウジング1に対して伸縮可能に支持されている。
メインハウジング1の表面には、メインハウジング1に対してアッパーチューブ2を伸縮させるモータMが取り付けてある。このモータMは長尺状のネジ部材3に歯合しており、当該モータMの回転方向を正逆方向に切り替えることで、ネジ部材3の回転方向が反転する。このネジ部材3には、アッパーチューブ2に取り付けられるテレスコピックナット4が係合する。テレスコピックナット4は、アッパーチューブ2の表面に突出した状態に取り付けられるリテーナ5に挿入され、リテーナ5に設けたネジ挿通孔51を介して挿入されたネジ部材3に雌ネジ部41を螺合させる。
リテーナ5はメインハウジング1に対して、例えばスポット溶接により接続される。スポット溶接に際しては、メインハウジング1にアッパーチューブ2を挿通し、メインハウジング1の壁部10に設けた開口部11を介してリテーナ5をアッパーチューブ2の所定位置に位置合わせした状態で、メインハウジング1とリテーナ5とに通電する。勿論、リテーナ5はアッパーチューブ2に対してボルトなどを用いて固定されても良い。
(軸受および押圧部)
メインハウジング1とアッパーチューブ2との間には、メインハウジング1に対してアッパーチューブ2を支持する軸受Bを、伸縮動作の方向に沿って少なくとも二つ設ける。複数の軸受Bを設けることでメインハウジング1に対するアッパーチューブ2の姿勢が安定する。
尚、図1および図2に示すように、メインハウジング1とアッパーチューブ2との隙間をなくし、両者のガタつきを解消するよう、二つの軸受Bの間に押圧部Pを設けてある。押圧部Pは、例えばメインハウジング1の壁部10に設けた二つの孔部12に夫々設けられる。押圧部Pは、アッパーチューブ2の表面に当接する当接片P1と、当該当接片P1をアッパーチューブ2に向けて押圧する少なくとも1枚の皿バネP2と、当該皿バネP2に当接して皿バネP2の反力受けとなる蓋部材P3とを有する。当接片P1は、アッパーチューブ2の上面に設けられた平面状の受圧面24に当接する。蓋部材P3とメインハウジング1の孔部12とは互いにネジ係合していて、蓋部材P3のねじ込み深さを変更することで、皿バネP2の付勢力を調節することができる。
尚、孔部12に対する蓋部材P3の取り付けは、ネジ係合ではなく図外のスナップリングを用いるものであっても良い。例えば、孔部12の内周面に予め溝部を形成しておき、孔部12に蓋部材P3を挿入したのち、C字状のスナップリングを溝部に係合させて蓋部材P3が抜け出ないように固定しても良い。
押圧部Pは、図1および図2に示すように複数個所に設けておいても良いし、二つの軸受Bの間の位置に一つだけ設けてあっても良い。ただし、アッパーチューブ2を局所的に押圧して損傷を与えないように、また、二つの軸受Bの間の位置を強く押圧してアッパーチューブ2が過度に撓むのを防止するために、夫々の軸受Bの近傍に別々に設けておくのが好ましい。
図1および図2に示すように本実施形態では二つの軸受Bを用いる。このうち、ハンドルHに近いものが第1軸受B1であり、もう一方が第2軸受B2である。
第2軸受B2は円環状の部材であり、メインハウジング1の内面に固定してある。メインハウジング1の内面には、第2軸受B2を固定するよう周方向Yに沿った段部13が形成してある。この段部13は、メインハウジング1の一方側の端部14まで延設してあり、第2軸受B2は当該端部14から軸芯Xの方向に沿って挿入して取り付ける。
第2軸受B2に続けて例えば筒状のスペーサ6を挿入し、第2軸受B2を段部13との間で挟む状態とする。さらにスペーサ6の端部に当接してスペーサ6の位置を固定する底部材7をメインハウジング1の端部14に取り付ける。
尚、第2軸受B2は、C字状の部材を用いることもできる。その場合、メインハウジング1の内面に環状の溝部(図外)を形成しておき、メインハウジング1の端部14から径を縮径した状態で第2軸受B2を挿入する。その後、第2軸受B2を溝部に嵌まり込むように拡径させ、メインハウジング1に固定する。本構成であれば、上記スペーサ6のような部材が省略でき、簡単な構成で第2軸受B2を固定することができる。
一方、第1軸受B1はアッパーチューブ2に固定される。第1軸受B1は、例えば図1に示すように、筒状の環状部材を約半周分だけ切り出した形状とする。アッパーチューブ2には、第1軸受B1がアッパーチューブ2の表面から突出する状態に嵌まり込む深さの凹部21を設けてある。この凹部21の寸法のうち軸芯Xの方向に沿った幅は第1軸受B1の同方向に沿った幅よりも僅かに狭く形成してある。これにより、凹部21に対して第1軸受B1を嵌合させることができる。この場合、第1軸受B1そのものと凹部21が係合用の凸部および凹部となる。
ただし、この嵌合は、アッパーチューブ2をメインハウジング1の内部に装着する際に、第1軸受B1がアッパーチューブ2から脱落しないものであれば、それ程強固なものでなくても良い。図2に示すように、アッパーチューブ2をメインハウジング1の内部に挿入した後は、アッパーチューブ2の外周面とメインハウジング1の内面との間の隙間は第1軸受B1の厚みよりも狭く形成してあるから、第1軸受B1が軸芯Xの方向に沿って位置ずれする恐れはない。
本実施形態のように、第1軸受B1をアッパーチューブ2に固定することで、アッパーチューブ2においてハンドルHから第1軸受B1までの距離が一定になる。よって、アッパーチューブ2の剛性や共振特性がアッパーチューブ2の伸縮状態に拘わらず安定化し、ハンドルHを操作する際に振動が軽減されてハンドルHの操作感が向上する。
また、図1に示す第1軸受B1は約半周分の形状を有するが、このようにアッパーチューブ2の周方向Yに沿った一部に設ける構成とすることで、アッパーチューブ2に対する第1軸受B1の取付構造が簡単になる。
例えば、アッパーチューブ2の表面に対して垂直方向から第1軸受B1を取り付けることができ、例えばアッパーチューブ2に対して環状の部材を挿通する場合に比べて、第1軸受B1の取り付けに際する制限が少なくなる。よって、ステアリング装置Sの組立作業性が改善される。
また、第1軸受B1のサイズを小型化でき、メインハウジング1の内部における第1軸受B1の収容空間が縮小されてステアリング装置Sがコンパクトな構成となる。さらに、第1軸受B1の部材費の低減も期待できる。
さらに、第1軸受B1をアッパーチューブ2の約半周分だけに設けることで、アッパーチューブ2のうち残りの第1軸受B1が存在しない領域は単なる筒状面となり、押圧部Pが当接する領域として利用することができる。図1には二つの押圧部Pを設けているが、特に第1軸受B1に近い側の押圧部Pを配置する際には、軸芯Xの方向に沿って第1軸受B1と同じ位置まで配置位置を広げることができる。
具体的には、二つの押圧部Pは、アッパーチューブ2が伸縮する何れの状態においても、第1軸受B1と第2軸受B2との間の位置にあるか、第1軸受B1あるいは第2軸受B2に対向する位置にあるのが好ましい。この状態であれば、アッパーチューブ2をメインハウジング1に対して安定して付勢することができるからである。その場合に、二つの押圧部Pを設ける位置を決定するには、アッパーチューブ2がメインハウジング1の最も内部に引退し、第1軸受B1と第2軸受B2との支持間隔が最短(L1)となった状態(図2(a))が基準となる。
この状態では、第1軸受B1に対向する位置に押圧部Pを配置することができる。仮に第1軸受B1が完全な環状部材である場合、二つの押圧部Pは第1軸受B1と第2軸受B2とを避けてこれらの内側に配置されることとなり、両者の間隔が短くなる。しかし、本構成では、一方の押圧部Pの位置を第1軸受B1の位置と同じにすることができ、二つの押圧部Pどうしの間隔を最大に確保することができる。その結果、特にアッパーチューブ2が伸長した場合(図2(b))にアッパーチューブ2の基端部を保持する支持間隔が長く(L2)なり、アッパーチューブ2の支持剛性や支持強度を高めることができる。
本実施形態では、上記の如く第1軸受B1をアッパーチューブ2に固定し、第2軸受B2をメインハウジング1に固定している。特に、第2軸受B2を第1軸受B1に最も近い軸受Bとする場合には、アッパーチューブ2が外側に引き出される際に、第1軸受B1と第2軸受B2との距離が引き出し距離に応じて長くなる。その結果、アッパーチューブ2の基端側の保持状態がより強固となり、アッパーチューブ2に対して軸芯Xとは直角な方向に力が加えられた場合でもアッパーチューブ2の姿勢変化が少なくなる。通常、アッパーチューブ2を引き出す場合は、運転者の身長が高く運転座席を後方に移動させる場合が多い。このような運転者は体重が重くハンドルHに加える力も大きくなる傾向にある。よって、本構成であれば、アッパーチューブ2が突出する場合であっても、ステアリング装置Sの支持剛性や支持強度を確保することができる。
(潤滑)
メインハウジング1に対するアッパーチューブ2の伸縮動作を円滑にするために、第1軸受B1とメインハウジング1とのあいだ、および、第2軸受B2とメインハウジング1とのあいだに潤滑性のコーティングを施しておく。例えば、図1に示すように第1軸受B1および第2軸受B2の表面にコーティング層Cを形成しておく。コーティングの種類としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることができる。コーティングは、第1軸受B1や第2軸受B2のみあるいはメインハウジング1のみに施しても良いし、互いに当接する双方の部材に施しても良い。
さらに、コーティングを塗布することの他に、PTFEの薄片を、第1軸受B1や第2軸受B2あるいはメインハウジング1に対して取り付けるものであっても良い。この場合には、接着材や粘着テープなどを用いて取り付けてもよいし、各軸受Bやメインハウジング1の内面に凹部を設けておき、PTFEの薄片を嵌め込むようなものであってもよい。
このように潤滑性のコーティングを施すことで、メインハウジング1に対するアッパーチューブ2の摺動抵抗が低減し、アッパーチューブ2の伸縮動作がさらに円滑なものとなる。特に、コーティングを第1軸受B1および第2軸受B2に設ける場合には、メインハウジング1にコーティングを施す場合に比べてコーティングの施工面積が格段に少なくて済むからコスト面で有利である。
〔第2実施形態〕
図3に示すように、第1軸受B1をアッパーチューブ2に取り付ける構成として、約半周状に形成した第1軸受B1の内面に凸部B11を形成し、アッパーチューブ2の外周面に、当該凸部B11が嵌まり込む凹部22(もしくは孔部22)を設けておくことができる。
当該凸部B11は、例えば、第1軸受B1のうち軸芯Xに沿った幅方向の中央において周方向Yに沿って延出した状態に設ける。特に、本実施形態の凸部B11と凹部22は、それ自体で、第1軸受B1がアッパーチューブ2に対して軸芯Xの方向に移動するのを防止するものが望ましい。よって、凸部B11を設ける位置は、第1軸受B1の周方向Yにおける中央位置の近傍、即ち、アッパーチューブ2に取り付けた状態で押圧部Pと正反対となる位置であって、アッパーチューブ2が伸縮する際に、第1軸受B1がアッパーチューブ2を介してメインハウジング1の側に強く押される部位に設けるのが望ましい。
図3では二箇所に凸部B11を設けているが設置個数は任意である。一方、アッパーチューブ2の表面には単に凹部22を設けておけばよく、第1軸受B1の全体が嵌まり込む溝部は必ずしも設ける必要はない。このような凸部B11と凹部22とを設けることで、アッパーチューブ2に対する第1軸受B1の固定が容易となる。
凸部B11と凹部22との係合は、アッパーチューブ2に対して第1軸受B1が軸芯Xの方向に移動しない程度のものであればよい。ただし、できれば凸部B11と凹部22との間で摩擦力が作用するか係合機能が発揮されるように両部の寸法や外形が構成されるのが好ましい。そうすることでアッパーチューブ2をメインハウジング1に挿入する際に第1軸受B1を別途保持する必要がなく組付作業が容易となる。
尚、図示は省略するが、上記凸部B11と凹部22に加えて、図1に示したような第1軸受B1の全体が嵌まり込む凹部21をアッパーチューブ2の表面に形成しても良い。本構成であれば、アッパーチューブ2に対する第1軸受B1の位置保持機能がより強化され、ステアリング装置Sの耐久性を高めることができる。
〔第3実施形態〕
第1軸受B1としては、図4に示すように、一部を切り欠いた略環状であって中心角αが180度よりも大きい領域を有するC字状に構成することができる。
このような第1軸受B1は、例えば耐摩耗性に優れた各種金属やPTFEなどで構成することができる。その場合、材料自体がある程度の弾力性を有するから、中心角αを180度以上に構成しておくことで、第1軸受B1が発揮する挟持力のみによってアッパーチューブ2の表面に取り付くことができる。よって、第1軸受B1をアッパーチューブ2に固定するために特段の係合部や接着部等を設ける必要がなく、第1軸受B1の構成を極めて簡単に構成することができる。尚、この場合には、第1軸受B1が嵌まり込む溝状の凹部21等をアッパーチューブ2の表面に形成しておき、第1軸受B1がアッパーチューブ2の表面に固定されるようにしておくとよい。
〔第4実施形態〕
第1軸受B1としては図5に示すように部分的な円周形状とし、第1軸受B1の周方向Yの端部近傍と、アッパーチューブ2の表面とに、互いに係合する係合部B12と被係合部23とを各別に構成するものであっても良い。ここでは、例えば第1軸受B1の端部に舌片状の係合部B12を切欠き形成すると共に中心側に折り込んでおく。この係合部B12を、アッパーチューブ2に被係合部23として形成した穴部に係止させて第1軸受B1を固定する。
部分的な円周形状を有する第1軸受B1をアッパーチューブ2に取り付ける場合、周方向Yに沿った第1軸受B1の端部近傍においては、当該端部領域を形成する部材の平面方向と、第1軸受B1をアッパーチューブ2に接近させる方向とが近似した方向となる。また、第1軸受B1は自身が所定の弾力性を有するから、第1軸受B1がアッパーチューブ2に近接する際に、第1軸受B1の双方の端部あるいは係合部B12がアッパーチューブ2の表面と当接して端部どうしの間隔が広がる状態に変形する。
よって、図5に示すように特に第1軸受B1の端部近傍に係合部B12を設けることで、第1軸受B1をアッパーチューブ2に近接させるだけで係合部B12と被係合部23とを容易に係合させることができる。また、第1軸受B1が有する弾力に基づいて係合状態が維持されるから、第1軸受B1およびアッパーチューブ2をメインハウジング1に挿入する際に第1軸受B1の保持が不要となって、ステアリング装置Sの組立作業が簡略化される。
尚、本構成の場合、係合部B12と被係合部23は、第1軸受B1のうちアッパーチューブ2とメインハウジング1とによる挟持力が最も小さい領域にある。よって、アッパーチューブ2を伸縮する際に、第1軸受B1がアッパーチューブ2の所定位置から変位しないように、アッパーチューブ2の表面には第1軸受B1の全体が嵌まり込む凹部21を形成しておくのが好ましい。
〔第5実施形態〕
図6には、第1軸受B1とこれに最も近い第2軸受B2との双方をアッパーチューブ2に取り付けた例を示している。このように、少なくとも二つの軸受Bを有する場合に、第1軸受B1とこれに最も近い第2軸受B2とをアッパーチューブ2の表面に設けておくことができる。
このようにハンドルHの側の二つの軸受Bどうしの距離を一定にすることで、ハンドルHを保持する運転者は、アッパーチューブ2の伸縮状態に拘わらずアッパーチューブ2を保持する軸受Bの位置が変わらないため、常に同じ操作感覚を得ることができる。
また、第1軸受B1および第2軸受B2を含む全ての軸受Bが例えばC字状のものに統一できるから、軸受Bの部材コストが削減できる。さらに、アッパーチューブ2に対して第1軸受B1も第2軸受B2も同様に取り付けることができるから、メインハウジング1に対するアッパーチューブ2の取り付け作業が簡単になる。
本発明に係る車両のステアリング装置は、例えば車体の一部に固定されたメインハウジングと、このメインハウジングに伸縮可能に取付けられたアッパーチューブを有する車両のステアリング装置に広く適用することができる。
1 メインハウジング
2 アッパーチューブ
22,23 凹部
B 軸受
B1 第1軸受
B11,B12 凸部
B2 第2軸受
S ステアリング装置
P 押圧部

Claims (7)

  1. 車体の一部に固定される筒状のメインハウジングと、
    一方の端部にハンドルが取り付けられ、他方の端部が前記メインハウジングに挿入されて、前記メインハウジングに対して伸縮動作するアッパーチューブと、
    前記メインハウジングと前記アッパーチューブとの間に前記伸縮動作の方向に沿って少なくとも二つ設けられ、前記メインハウジングに対して前記アッパーチューブを支持する軸受と、
    前記メインハウジングと前記アッパーチューブとの間に設けられ、前記アッパーチューブの表面を押圧して前記軸受における前記メインハウジングと前記アッパーチューブとの隙間を解消する押圧部と、を備え、
    少なくとも二つの前記軸受のうち、前記ハンドルに最も近い第1軸受が前記アッパーチューブに固定されている車両のステアリング装置。
  2. 前記第1軸受が前記アッパーチューブの全周方向に亘る一部に設けてある請求項1に記載の車両のステアリング装置。
  3. 前記第1軸受のうち少なくとも一箇所と前記アッパーチューブの表面とに、互いに係合する凸部と凹部とが各別に形成されている請求項2に記載の車両のステアリング装置。
  4. 前記第1軸受が、中心角度にして180度を超える円弧を有するC字状に形成されている請求項2または3に記載の車両のステアリング装置。
  5. 前記第1軸受および前記メインハウジングの内面のうち少なくとも何れか一方に潤滑性のコーティングを施してある請求項1から4の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
  6. 少なくとも二つの前記軸受のうち、前記第1軸受と異なる前記軸受であって前記第1軸受に最も近い第2軸受が前記メインハウジングに設けられている請求項1から5の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
  7. 少なくとも二つの前記軸受のうち、前記第1軸受と異なる前記軸受が前記アッパーチューブの表面に設けられている請求項1から5の何れか一項に記載の車両のステアリング装置。
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