JP2018531027A5 - - Google Patents

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第1の態様では、本明細書で提供するのは、三次元多層皮膚組成物を得る方法である。本明細書中に記載するように、この方法は(a)骨形成タンパク質4(BMP4)およびトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)シグナル伝達の阻害剤を含む培養培地内で約8〜約10日間ヒト多能性幹細胞凝集体を培養し、それによって凝集体内で(表面外胚葉としても知られる)非神経上皮を形成すること、(b)細胞外マトリックス成分を含む半固体培養培地中に(a)の培養凝集体を包埋すること、および(c)包埋凝集体内の細胞の自己集合を促進する条件下で約25〜約30日間(b)の包埋凝集体を培養して、表皮層、真皮層、および機能的毛包を形成することができる複数の細胞を含む三次元多層組成物を得ることを含む。TGFβ1媒介シグナル伝達の阻害剤は、SB431542およびA−83−01からなる群から選択することができる。細胞外マトリックスは基底膜抽出物(BME)であり得る。表皮層は真皮層と直接接触し得る。表皮層はP63KRT5表皮ケラチノサイトを含むことができる。真皮層は毛包を開始する毛乳頭細胞(follicle-initiating dermal papilla cells)を含む。機能的毛包を形成することができる複数の細胞は、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells)、毛乳頭細胞(dermal papilla cells)、皮膚鞘細胞(dermal sheath cells)、および毛包表皮幹細胞(follicular epidermal stem cells)からなる群から選択される細胞を含むことができる。
別の態様では、三次元、多層工学操作皮膚組成物(three-dimensional, multilayered engineered skin composition)は、in vitro由来表皮ケラチノサイトを含む表皮層、in vitro由来皮膚線維芽細胞を含む真皮層、および機能的毛包を形成することができる複数の細胞を含み、表皮層と真皮層は直接接触している。機能的毛包を形成することができる複数の細胞は、間葉系幹細胞、毛乳頭細胞、皮膚鞘細胞、および毛包表皮幹細胞からなる群から選択される細胞を含むことができる。組成物は、少なくとも1つの機能的毛包と少なくとも1つの機能的皮脂腺をさらに含むことができる。組成物は足場(scaffold)をさらに含むことができる。足場は生分解性または生体吸収性であり得る。組成物はヒト対象に生体移植(viable transplantation)および生着(engraftment)可能である。
ヒト多能性幹細胞(human pluripotent stem cells、hPSC)からのヒト皮膚オルガノイドの誘導に関する例示的プロトコールを例証する概略図である。hPSC凝集体は、細胞外マトリックス(ECM)成分の存在下において化学的に明確な(chemically-defined)培地内で培養して、(表面外胚葉としても知られる)非神経外胚葉上皮を生成する。表面外胚葉上皮は、表面上皮細胞と頭部神経堤様細胞(CNCC)の両方を誘発する。培養の第2期では、化学的に明確なオルガノイド培地内で浮遊しながら、CNCCと上皮は突出した毛包を有する嚢胞に自己組織化する。奨励する培養形式は各ステップの下に示す。「攪拌しながらの浮遊培養(floating culture with rotation)」は、インキュベーター内オービタルシェーカー上に置いたスピナーフラスコまたは24ウエルプレートを使用して実施することができる。 (図2A〜2I)マウス多能性幹細胞(mPSC)から作製した皮膚オルガノイドを記載した図である。(A)内耳および皮膚オルガノイド培養物の概略図。(B)抗サイトケラチン−5(Krt5)およびDAPIで免疫染色した皮膚オルガノイドの凍結切片。(C)発達中の毛球中のSox2毛乳頭細胞。(D)オルガノイドコアに延長した毛幹(矢じり)を有するクリアリングしたオルガノイド。(E)第30日の皮膚オルガノイドから突出した毛包。(F〜H)皮膚オルガノイドにおいて観察した毛包の一部。(I)培養中の経時的な凝集体あたりの毛包の定量化(エラーバー、最小/最大)。ETC、外胚葉;MES、中胚葉;NNE、非神経外胚葉;EPI、表皮;OTP/OTV、耳プラコード/小胞;DERM、真皮。スケールバー、100(B、D、H)、50(E、F、G)、25μm(C)。 (図3A〜3G)三次元(3D)培養におけるヒト多能性幹細胞(hPSC)凝集体からのケラチノサイト誘導を実証する図である。(A)ケラチノサイト誘導の概略図。(B〜D)第0日、第6日、および第20日の凝集物の微分干渉(DIC)顕微鏡画像。コアから上皮に移動する細胞を含有する細胞構造を記す。(E〜F)外側上皮およびその下の組織中の非神経TFAP2細胞を示す第3日凝集体の凍結切片。(G)第20日凝集体の上皮中のKRT5TFAP2ケラチノサイト様細胞。スケールバー、200(D)、100(C、E、F)、50μm(B)。 (図3A〜3G)三次元(3D)培養におけるヒト多能性幹細胞(hPSC)凝集体からのケラチノサイト誘導を実証する図である。(A)ケラチノサイト誘導の概略図。(B〜D)第0日、第6日、および第20日の凝集物の微分干渉(DIC)顕微鏡画像。コアから上皮に移動する細胞を含有する細胞構造を記す。(E〜F)外側上皮およびその下の組織中の非神経TFAP2細胞を示す第3日凝集体の凍結切片。(G)第20日凝集体の上皮中のKRT5TFAP2ケラチノサイト様細胞。スケールバー、200(D)、100(C、E、F)、50μm(B)。 (図4A〜4C)非神経外胚葉誘導が、ヒト胚性幹細胞(WA25)および人工多能性幹細胞(mND2−0)において中胚葉細胞のオフターゲット誘導なしで起こることを実証する図である。第0日に10ng/mlのBMP4(a)、10μMのSB(b)、および10μMのSB+2.5ng/mlのBMP4(c)で処理した第4日凝集体における代表的Brachyury(BRA)免疫組織化学染色。スケールバー、50μm。 (図5A〜5D)FGF−2およびBMP阻害剤(LDN)を用いた処理によって、後頭部表面外胚葉上皮を生成できることを実証する図である。A、誘導プロトコールの概略図。胚発生中の頭部領域では、前頭部表面外胚葉は転写因子PAX6を発現し、一方後頭部表面上皮はPAX8を発現する。非神経誘導凝集体は第4日にFGF−2およびLDNを用いて処理し、8〜12日間培養した。括弧内の培養試薬(すなわちBMP4)は使用する細胞株に応じて任意選択である。B、(SBとして示した)第0〜12日中に10μMのSB−431542および4ng/mlのFGF−2を用いて処理した凝集体は、後部マーカーPAX8ではなく、前部マーカーPAX6を発現するTFAP2+ECAD+非神経外胚葉上皮を生成する。C、(SBとして示した)第0〜12日中に10μMのSB−431542と4ng/mlのFGF−2、および第4〜12日中に50ng/mlのFGF−2と200nMのLDN−193189を用いて処理した凝集体は、前部マーカーPAX6ではなく、後部マーカーPAX8を発現するTFAP2+ECAD+非神経外胚葉上皮を生成した。D、身体前方−後方軸に沿った凝集体のパターン形成に関する、これらの結果の意味するところを示す概略図。FGF−2およびLDN濃度の調整によって、前方または後方外皮組織のいずれかが生成し得る。 (図6A〜6D)第0〜12日中にSB/FGF/LDNを用いて処理した非神経凝集体は、Matrigel小滴に包埋すると頭部神経堤細胞(CNCC)を生成することを実証する図である。第0日にSBおよび第4日にFGF/LDNを用いて処理した後、第12日凝集体をMatrigel小滴に包埋して自己組織化を促進した。c〜d、如何なる追加的処理もせずに、試料は中心から四方に広がるTFAP2+PDGFRa+、頭部神経堤様細胞(cncc)を生成した。この現象は試験した100%の細胞凝集体で観察した。 (図7A〜7C)表皮層および真皮層を有する皮膚オルガノイドの形成を実証する図である。A、発生中の頭部領域におけるCNCC移動の概要。移動後CNCC細胞の一部分は、ケラチノサイト前駆体の表面層と接した皮膚線維芽細胞を形成する。B、分化第18〜50日中の皮膚オルガノイド形成の概略図。C、皮膚オルガノイド嚢胞形成のDIC画像。表皮および細胞残骸充填コアの内層は皮膚組織に覆われていることを記す。 (図8A〜8B)分化培地からインスリンを除去することによって、より大きな皮膚オルガノイドが生じることを実証する図である。A−b、第0〜12日中の処理条件は以下のとおりであった。処理なし(NT)、LDN(第4日〜第12日)、LDN/FGF(第4日〜第12日)、およびLDN/FGF(第4日〜第12日)+CHIR(第8日〜第12日)。第22〜55日から、インスリンを含むかまたは含まないLDN/FGFおよびLDN/FGF+CHIR条件で皮膚オルガノイドが形成された。しかしながら、インスリンを含まない条件で生じた皮膚オルガノイドは、インスリンを含む条件(n=6オルガノイド/条件)より約2.5〜3.5倍大きい長軸径を有していた。 (図9A〜9H)どのようにして毛包が皮膚オルガノイドから発芽し、in vivoで毛包発達の特徴を示すかを実証する図である。A、ヒト胚における毛包誘導の最初の3段階を示す概略図。このプロセスは受胎後10〜12週(70〜84日)頃始まる。B〜D、第80〜100日のヒト胎児発育にほぼ等しい、第65〜85日の間に皮膚オルガノイドの表皮から生じた毛包プラコード、胚芽、およびペグのDIC画像。E〜G、TFAP2+KRT5+ケラチノサイトを含む表皮はPDGRFa+真皮層中でSOX2+毛乳頭細胞と連係して、毛包プラコード、胚芽、およびペグを形成する(図f中の星印)。H、第85日の皮膚オルガノイドの3D復元によって、SOX2+毛乳頭細胞のクラスターを有する多数の毛包の形成を示す。 (図10A〜10C)皮膚オルガノイドのCNCC集団中の細胞の組成を、分化第8〜12日中にCHIR処理を使用して制御できることを実証する図である。A、外胚葉性間葉と神経形成系の2つのCNCC集団が存在することを示す概略図。外胚葉性間葉CNCCは線維芽細胞、脂肪細胞、筋細胞、軟骨および骨を生成し、一方で神経形成系CNCCはニューロン、グリア、およびメラノサイトを生成する。B〜C、第8〜12日中にCHIR99021、Wntシグナル伝達アゴニストで予め処理したオルガノイドのみが75%のオルガノイドにおいて色素沈着毛包を生成し、したがって、非CHIR処理試料からメラノサイトが欠けていた。 (図11A〜11E)皮膚オルガノイドが色素沈着皮膚および毛髪を生成し得ることを実証する図である。A〜B、第120日と140日の色素沈着毛包を含む皮膚オルガノイドの生存細胞画像。C、MITF+メラノサイトは、E−カドヘリン+(ECAD+)毛包表皮中および第120日オルガノイドの真皮中に位置した。P75は毛乳頭細胞中で発現された。D〜E、図B中のボックスによって強調した毛包の免疫染色。D、毛包マトリックス領域中のメラノサイトはgp100を発現し、メラニン生成を示した。E、毛包球領域中のKi67+ケラチノサイトおよび切断型カスパーゼ−3発現細胞の欠如は、このオルガノイドの毛包が成長段階にあることを示す。 (図12A〜12G)皮膚オルガノイドの毛包が皮脂腺、立毛筋、角質層、およびバルジ幹細胞を有し、胎児段階の毛髪と類似した完全な毛嚢皮脂単位を含むことを実証する図である。A、後期段階毛包発達を示す4つの特化した細胞区画を示す概略図。それぞれの細胞集団は皮膚オルガノイドにおいて自然に発生する。B〜C、色素沈着毛包を有する第115日皮膚オルガノイドのDIC画像。真珠様脂肪細胞がオルガノイド表面上に見られる。毛包の漏斗状領域近辺に(C)、毛幹から生じた皮脂腺様構造が見られる。D、図C中の毛包の断面図は、皮脂腺細胞は脂質が豊富であり(LipidTOX+)、皮脂腺(sg)様形態を有することを示す。脂肪細胞(ap)もLipidTOX+であり、典型的な皮下組織脂肪細胞の形態を有する。E、α−SMA+ITGA8+立毛筋様細胞はオルガノイドの毛包と共に発達する。F〜G、KRT15+パッチを有する数個の毛包が毛包バルジ幹細胞に類似していることを示す低倍率および高倍率画像。H、フィラグリンが第120日までに皮膚オルガノイド表皮の角質層(sc)において発現され、基底層表皮ケラチノサイトの分化が示された。 (図12A〜12G)皮膚オルガノイドの毛包が皮脂腺、立毛筋、角質層、およびバルジ幹細胞を有し、胎児段階の毛髪と類似した完全な毛嚢皮脂単位を含むことを実証する図である。A、後期段階毛包発達を示す4つの特化した細胞区画を示す概略図。それぞれの細胞集団は皮膚オルガノイドにおいて自然に発生する。B〜C、色素沈着毛包を有する第115日皮膚オルガノイドのDIC画像。真珠様脂肪細胞がオルガノイド表面上に見られる。毛包の漏斗状領域近辺に(C)、毛幹から生じた皮脂腺様構造が見られる。D、図C中の毛包の断面図は、皮脂腺細胞は脂質が豊富であり(LipidTOX+)、皮脂腺(sg)様形態を有することを示す。脂肪細胞(ap)もLipidTOX+であり、典型的な皮下組織脂肪細胞の形態を有する。E、α−SMA+ITGA8+立毛筋様細胞はオルガノイドの毛包と共に発達する。F〜G、KRT15+パッチを有する数個の毛包が毛包バルジ幹細胞に類似していることを示す低倍率および高倍率画像。H、フィラグリンが第120日までに皮膚オルガノイド表皮の角質層(sc)において発現され、基底層表皮ケラチノサイトの分化が示された。 (図13A〜13D)CNCC由来感覚ニューロンが、皮膚オルガノイド周辺の真皮中に神経回路網を形成することを実証する図である。A〜B、第60日皮膚オルガノイドのKRT5+表皮周辺を覆ったTUJ1+神経突起を示す3D復元。C、分化第35日までに、SOX10+P75+感覚ニューロン様細胞がCNCC由来間葉に出現する。D、(第100〜140日の)成熟皮膚オルガノイドにおいて、ニューロフィラメント−H+神経突起が毛包周辺で混交し、表皮および毛包上皮と接触するようである。 (図14A〜14G)皮膚オルガノイド表皮が、近隣の感覚ニューロンから神経支配を受けるメルケル細胞を生成することを実証する図である。A、表皮および毛包内のメルケル細胞の方向と配置を記載した概略図。B、毛包のバルジ領域内のメルケル細胞前駆体様細胞(eGFP+)を示すATOH1−2A−eGFP幹細胞株で作製した皮膚オルガノイドからの例示的データ。C〜E、eGFP+細胞は、基底層表皮および毛包外毛根鞘様天然メルケル前駆細胞中に分布する。eGFP+細胞はメルケル細胞発生と一致するIslet1+(ISL1+)でもある。F〜G、ISL1およびニューロフィラメント−L(NF−L)による第140日オルガノイドの同時標識によって、オルガノイド真皮層中の感覚ニューロンからメルケル細胞が神経支配を受けることが明らかになる。 (図14A〜14G)皮膚オルガノイド表皮が、近隣の感覚ニューロンから神経支配を受けるメルケル細胞を生成することを実証する図である。A、表皮および毛包内のメルケル細胞の方向と配置を記載した概略図。B、毛包のバルジ領域内のメルケル細胞前駆体様細胞(eGFP+)を示すATOH1−2A−eGFP幹細胞株で作製した皮膚オルガノイドからの例示的データ。C〜E、eGFP+細胞は、基底層表皮および毛包外毛根鞘様天然メルケル前駆細胞中に分布する。eGFP+細胞はメルケル細胞発生と一致するIslet1+(ISL1+)でもある。F〜G、ISL1およびニューロフィラメント−L(NF−L)による第140日オルガノイドの同時標識によって、オルガノイド真皮層中の感覚ニューロンからメルケル細胞が神経支配を受けることが明らかになる。 (図15A〜15B)組織化表皮および皮膚組織を形成する能力を損ねずに、皮膚オルガノイドを解離させ多孔質マトリックス中に包埋することができることを実証する図である。オルガノイドは第9日で完全に解離し、Matrigelの層上(A、条件1)または細胞とMatrigelの混合物の小滴内(B、条件2)に解離細胞を再度平板培養することによって、それぞれケラチノサイトまたは多くの個々のケラチノサイト嚢胞の大きな層の形成をもたらした。 (図15A〜15B)組織化表皮および皮膚組織を形成する能力を損ねずに、皮膚オルガノイドを解離させ多孔質マトリックス中に包埋することができることを実証する図である。オルガノイドは第9日で完全に解離し、Matrigelの層上(A、条件1)または細胞とMatrigelの混合物の小滴内(B、条件2)に解離細胞を再度平板培養することによって、それぞれケラチノサイトまたは多くの個々のケラチノサイト嚢胞の大きな層の形成をもたらした。 hPSC由来凝集体における表面外胚葉誘導(SEI)が、中胚葉誘導なしに起こることを実証する図である。ヒトPSCに関しては、TGFβ阻害および内在BMPシグナル伝達が、分化第3〜6日までにTFAP2+ECAD+表面外胚葉の形成を促進する。これらの凝集体は中胚葉を欠いており、一方BMP処理単独により凝集体中の(BRA+)細胞において中胚葉が誘導される。 FGFの時間処理およびBMPの阻害が、CNCCと表面外胚葉の同時誘導を促進することを実証する図である。BMPシグナル伝達の阻害は、FGF処理と合わさると、TFAP2+およびPDGFRa+CNCCとTFAP2+およびECAD+表面外胚葉を同時誘導する。最終的に、このような同時誘導は軟骨および皮膚オルガノイドを含むCNCC由来組織型を誘導した。
次のステップでは、BMPシグナル伝達のアゴニストとTGFβシグナル伝達の阻害剤の存在下で培養した凝集体を、細胞外マトリックス(ECM)成分を含む半固体培養培地中に包埋する。包埋凝集体は、皮膚線維芽細胞を含む表皮および間葉への非神経外胚葉上皮および脳神経堤様細胞の誘導的分化を促進する条件下で培養する。包埋凝集体は、包埋凝集体内の細胞の自己集合を促進し、表皮層、真皮層、および機能的毛包を形成することができる複数の細胞を含む三次元多層皮膚組成物が得られる条件下で、約25〜約30日間培養することが好ましい。生成する皮膚組成物は、一緒に発達して機能的毛包を含む完全な厚さの皮膚を形成する2つの組織層(表皮と真皮)を含む。機能的毛包を形成することができる細胞には、非制限的に、毛包特異的間葉系幹細胞、毛乳頭細胞、皮膚鞘細胞、および毛包表皮幹細胞がある。
前述の必須毛髪皮脂単位の特徴以外に、本発明者らは、感覚ニューロンが皮膚オルガノイドと共に発達し、脳内感覚ニューロン(例えば顔面神経)に類似した複雑な多軸突起(小束)を形成したことを発見した。神経突起(ニューロフィラメント−H/LTUJ1)が第60日および第140日皮膚オルガノイドの表皮の周囲を覆った(図13A〜13D)。第35日に、本発明者らは、皮膚オルガノイド真皮層の表面上にSOX10+P75+CNCC誘導神経前駆体様細胞の凝集体を観察した。これらの凝集細胞は発生中に形成される頭部神経節に類似していた。第140日までに、神経突起が皮膚オルガノイド上皮と接触し、天然ヒト毛包とよく似た毛包の周囲を覆うようである(図13D)。
解離したマウス皮膚オルガノイドは気体−液体界面3D培養において表皮および真皮層に再編する
皮膚オルガノイドが2層に再構成され得るかどうか試験するため、本発明者らは、毛包発生前にマウス皮膚オルガノイドを解離させ、気体−液体界面培養においてオルガノイド細胞を平板培養した。重要なことであるが、本発明者らは、典型的には必要とされる表皮集団と皮膚集団との分離を行わなかった。自己組織化するオルガノイド細胞の能力は経時的に低下するはずなので、解離のタイミングはおそらく重要である。本発明者らは、表皮中でのKRT5発現の開始直後に、第9日皮膚オルガノイドの解離を選択した。簡単に言うと、第9日において(条件あたり)45オルガノイドを、AccuMax(EMD Millipore、Darmstadt、ドイツ)を使用して単細胞に完全に解離させた。解離した細胞は、トランスウエル多孔質膜培養インサート(MilliCell、PTFE、0.4μm孔;条件1)内のMatrigel層の表面上に、または細胞とMatrigel混合物の小滴としてトランスウエル膜上に直接平板培養し(条件2)、ROCK阻害剤を含有するオルガノイド培地の存在下で培養した(図15A〜B)。第12日に使用済み培地を補充し、トランスウエル内の培地を除去して気体−液体界面培養環境をもたらし、細胞が皮膚の異なる層に再編および組織化すると予想した。第23日までに、厚さ約1mmの細胞層が条件1と2の両方で形成され、これらを免疫組織化学法用に固定し処理した。条件1で形成された層は、KRT5ケラチノサイト層とPDGFRa(CD140a)線維芽細胞層が並んで構成されていた。条件2で形成された層は、KRT5ケラチノサイト嚢胞とPDGFRa線維芽細胞で満たされていた。重要なことに、オルガノイド細胞は生存し、これらの条件下で自己組織化することができた。合わせて考えると、第9日でオルガノイドを完全に解離させ、解離した細胞を層中に再度平板培養するこの方法は、異なる層、およびおそらく皮膚付属器を有する完全な厚さの皮膚を生成する可能性を示す。
誘導的分化の2週間後、頭部外胚葉系間充織に類似した、KRT5表面上皮の内側層とAP2PDGFRαCNCC様細胞の外側層を含有するオルガノイドが出現した。特に、これらの組織は層状表皮および真皮、ならびに軟骨塊に自己組織化し、胎児の脳発生をよく模倣する。したがって、本発明者らのヒトPSCベースのin vitro系は、頭顔面部発達の根底にあるメカニズムを徹底的に調査する機会を与え、ニューロクリストパチー(neurocristopathies)をモデル化し、新規な再生療法を特定する。

本発明は以下の態様を含み得る。
[1]
三次元多層皮膚組成物を得る方法であって、
(a)骨形成タンパク質4(BMP4)およびトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)シグナル伝達の阻害剤を含む培養培地内で約8〜約10日間ヒト多能性幹細胞凝集体を培養し、それによって凝集体内で非神経上皮を形成すること、
(b)細胞外マトリックス成分を含む多孔質基質中に(a)の培養凝集体を包埋すること、および
(c)(b)の包埋凝集体を、包埋凝集体内の細胞の自己集合を促進し、表皮層、真皮層、および機能的毛包を形成することができる複数の細胞を含む三次元多層組成物が得られる条件下で少なくとも約25〜約120日間培養すること
を含む方法。
[2]
前記多孔質基質が半固体培養培地からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
[3]
前記多孔質基質が三次元(3D)多孔質バイオマテリアルである、請求項1に記載の方法。
[4]
前記三次元(3D)多孔質バイオマテリアルが、化学的に明確なハイドロゲルである、請求項3に記載の方法。
[5]
TGFβ1媒介シグナル伝達の前記阻害剤がSB431542およびA−83−01からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
[6]
前記細胞外マトリックスが基底膜抽出物(BME)である、請求項1に記載の方法。
[7]
前記表皮層が前記真皮層と直接接触している、請求項1に記載の方法。
[8]
前記表皮層がP63KRT5表皮ケラチノサイトを含む、請求項1に記載の方法。
[9]
前記真皮層が、毛包を開始する毛乳頭細胞を含む、請求項1に記載の方法。
[10]
前記機能的毛包を形成することができる複数の細胞が、間葉系幹細胞、毛乳頭細胞、皮膚鞘細胞、および毛包表皮幹細胞からなる群から選択される細胞を含む、請求項1に記載の方法。
[11]
表皮免疫細胞、中胚葉由来細胞、および内皮細胞からなる群から選択される1つまたは複数の細胞型を前記多孔質基質に播種することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
[12]
前記表皮免疫細胞がランゲルハンス細胞である、請求項12に記載の方法。
[13]
ヒト多能性幹細胞由来表皮ケラチノサイトを含む表皮層、ヒト多能性幹細胞由来皮膚線維芽細胞を含む真皮層、および機能的毛包を形成することができる複数のヒト多能性幹細胞由来細胞を含み、表皮層と真皮層が直接接触している三次元、多層工学操作皮膚組成物。
[14]
前記機能的毛包を形成することができる複数の細胞が、間葉系幹細胞、毛乳頭細胞、皮膚鞘細胞、および毛包表皮幹細胞からなる群から選択される細胞を含む、請求項13に記載の工学操作皮膚組成物。
[15]
少なくとも1つの機能的毛包、機能的皮脂腺、または感覚ニューロンをさらに含む、請求項13に記載の工学操作皮膚組成物。
[16]
足場をさらに含む、請求項13に記載の工学操作皮膚組成物。
[17]
前記足場が生分解性または生体吸収性である、請求項16に記載の工学操作皮膚組成物。
[18]
前記足場が合成マトリックスである、請求項16に記載の工学操作皮膚組成物。
[19]
ヒト対象に生体移植および生着可能である、請求項13に記載の工学操作皮膚組成物。
[20]
毛髪成長に対する影響に関して化合物を試験する方法であって、
(a)請求項1に記載の方法に従って得た三次元多層皮膚組成物に試験化合物を接触させること、および
(b)接触させた皮膚組成物内の1つまたは複数の細胞型に対する作用物質の影響を検出すること
を含む方法。
[21]
前記検出が、RNA塩基配列決定、遺伝子発現プロファイリング、トランスクリプトーム解析、およびタンパク質発現解析からなる群から選択される方法の実施を含む、請求項20に記載の方法。
[22]
前記作用物質が、遺伝子発現に対する影響に関してスクリーニングされ、前記検出が、非接触皮膚組成物に対する差次的遺伝子発現に関するアッセイを含む、請求項20に記載の方法。
[23]
創薬スクリーニングにおける、請求項1に記載の方法に従って得た三次元多層皮膚組成物の使用。

Claims (26)

  1. 三次元多層ヒト皮膚組成物を得る方法であって、
    (a)FGF−2およびトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)シグナル伝達の阻害剤を含む培養培地内で約日間ヒト多能性幹細胞凝集体を培養し、それによって凝集体内で非神経上皮を形成すること、
    (b)(a)の培養凝集体を、FGFおよび骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達の阻害剤で約8日間培養すること、
    )細胞外マトリックス成分を含む多孔質基質中に()の培養凝集体を包埋すること、および
    )()の包埋凝集体を、包埋凝集体内の細胞の三次元多層ヒト皮膚組成物への自己集合を促進する条件下で少なくとも約48日間浮遊培養中で培養することであって、ここで前記三次元多層ヒト皮膚組成物は、表皮層、真皮層並びに複数の細胞を含み、前記複数の細胞は、毛包プラコード、毛包胚芽、毛包ペグ、毛包、皮脂腺細胞および感覚ニューロンの1以上を形成する複数の細胞である、
    を含む方法。
  2. 前記多孔質基質が半固体培養培地を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多孔質基質が三次元(3D)多孔質バイオマテリアルである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記三次元(3D)多孔質バイオマテリアルが、化学的に明確なハイドロゲルである、請求項3に記載の方法。
  5. TGFβシグナル伝達の前記阻害剤が、SB431542およびA−83−01からなる群から選択されるTGFβ1媒介シグナル伝達の阻害剤である、請求項1に記載の方法。
  6. BMPシグナル伝達の前記阻害剤がLDN−193189を含む、請求項1に記載の方法。
  7. TGFβシグナル伝達の前記阻害剤がSB431542およびA−83−01からなる群から選択され、かつBMPシグナル伝達の前記阻害剤がLDN−193189を含む、請求項1に記載の方法。
  8. TGFβシグナル伝達の前記阻害剤がSB431542を含み、かつBMPシグナル伝達の前記阻害剤がLDN−193189を含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記細胞外マトリックスが基底膜抽出物(BME)である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記表皮層が前記真皮層と直接接触している、請求項1に記載の方法。
  11. 前記表皮層がP63 KRT5 表皮ケラチノサイトを含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記真皮層が、毛包を開始する毛乳頭細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記複数の細胞が、間葉系幹細胞、毛乳頭細胞、皮膚鞘細胞、および毛包表皮幹細胞からなる群から選択される細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  14. 表皮免疫細胞、中胚葉由来細胞、および内皮細胞からなる群から選択される1つまたは複数の細胞型を前記多孔質基質に播種することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記表皮免疫細胞がランゲルハンス細胞である、請求項14に記載の方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法によって得られる三次元多層工学操作ヒト皮膚組成物であって、ヒト多能性幹細胞由来表皮ケラチノサイトを含む表皮層、ヒト多能性幹細胞由来皮膚線維芽細胞を含む真皮層、および複数のヒト多能性幹細胞由来細胞を含み、前記複数のヒト多能性幹細胞由来細胞は、毛包プラコード、毛包胚芽、毛包ペグ、毛包、皮脂腺細胞および感覚ニューロンの1以上を形成し、表皮層と真皮層が直接接触している三次元多層工学操作ヒト皮膚組成物。
  17. 前記機能的毛包を形成することができる複数の細胞が、間葉系幹細胞、毛乳頭細胞、皮膚鞘細胞、および毛包表皮幹細胞の1以上を含む、請求項16に記載の工学操作皮膚組成物。
  18. 少なくとも1つの機能的毛包、機能的皮脂腺、または感覚ニューロンをさらに含む、請求項16に記載の工学操作皮膚組成物。
  19. 足場をさらに含む、請求項16に記載の工学操作皮膚組成物。
  20. 前記足場が生分解性または生体吸収性である、請求項19に記載の工学操作皮膚組成物。
  21. 前記足場が合成マトリックスである、請求項19に記載の工学操作皮膚組成物。
  22. ヒト対象に生体移植および生着可能である、請求項16に記載の工学操作皮膚組成物。
  23. 毛髪成長に対する影響に関して化合物を試験する方法であって、
    (a)請求項1に記載の方法に従って得た三次元多層皮膚組成物に試験化合物を接触させること、および
    (b)接触させた皮膚組成物内の1つまたは複数の細胞型に対する作用物質の影響を検出することを含む方法。
  24. 前記検出が、RNA塩基配列決定、遺伝子発現プロファイリング、トランスクリプトーム解析、およびタンパク質発現解析からなる群から選択される方法の実施を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記作用物質が、遺伝子発現に対する影響に関してスクリーニングされ、前記検出が、非接触皮膚組成物に対する差次的遺伝子発現に関するアッセイを含む、請求項23に記載の方法。
  26. 創薬スクリーニングにおける、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法に従って得た三次元多層皮膚組成物の使用。
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