JP2019015309A - メカニカルシール - Google Patents

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Abstract

【課題】静止密封環の摺動面と回転密封環の摺動面を早期に低摩擦状態とすることができるメカニカルシールを提供する。【解決手段】基材に硬質炭素薄膜10が被覆された一方の密封環5と、セラミックスを主成分として形成された他方の密封環3とが相対的に回転摺動するメカニカルシールであって、他方の密封環3の摺動面S2は、最大粒子径1.0μm以下のセラミックス粒子3Aにより構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、摺動面に炭素系硬質膜を用いたメカニカルシールに関する。
メカニカルシールは、流体機器のハウジングと該ハウジングを貫通するように配置される回転軸との間に装着して使用されるものであり、ハウジングに固定される静止密封環の摺動面と、回転軸とともに回転する回転密封環の摺動面とを摺接させて、流体機器の内部から外部又は外部から内部への流体の漏れを防ぐものである。
このようなメカニカルシールにおいて、従来、特許文献1に示されるように、静止密封環の摺動面と、回転軸とともに回転する回転密封環の摺動面との一方に低摩擦性と耐摩耗性に優れる硬質炭素薄膜を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−138965号公報(第7頁、第1図)
しかしながら、特許文献1のようなメカニカルシールにあっては、回転密封環はステンレス鋼材で形成されその一面に硬質炭素薄膜が被覆されて摺動面とされ、静止密封環は炭化珪素(SiC)を主成分として形成されその一面が摺動面とされている構成が示されているが、このように静止密封環の摺動面と回転密封環の摺動面が互いに硬質材料である場合、互いの摺動面同士が相互に滑らかに馴染む表面形状に削れるまでは、摩擦が高い状態となり、硬質炭素薄膜の持つ機能である低摩擦性を十分に活用することができないという問題があった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、静止密封環の摺動面と回転密封環の摺動面を早期に低摩擦状態とすることができるメカニカルシールを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のメカニカルシールは、
基材に硬質炭素薄膜が被覆された一方の密封環と、セラミックスを主成分として形成された他方の密封環とが相対的に回転摺動するメカニカルシールであって、
前記他方の密封環の摺動面は、最大粒子径1.0μm以下のセラミックス粒子により構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、他方の密封環の摺動面を構成するセラミックス粒子の最大粒子径が1.0μm以下と極めて小さな単位で粒界の界面から粒子が脱落しやすいことにより、一方の密封環と他方の密封環とが相対的に回転摺動した際に、他方の密封環の摺動面の形状は早期に一方の密封環の形状に倣った形状となって、一方の密封環と他方の密封環との摺動面を早期に低摩擦状態とすることができる。
前記他方の密封環の摺動面は、平均粒子径0.1μm〜1.0μmのセラミックス粒子により構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、セラミックス粒子の大きさにばらつきが少ないため、他方の密封環の摺動面が短い期間で平滑になりやすい。
前記課題を解決するために、本発明のメカニカルシールは、
基材に硬質炭素薄膜が被覆された一方の密封環と、セラミックスを主成分として形成された他方の密封環とが相対的に回転摺動するメカニカルシールであって、
前記他方の密封環の摺動面は、アモルファス構造とされていることを特徴としている。
この特徴によれば、他方の密封環の摺動面がアモルファス構造であり該アモルファス構造は小さな単位で破壊されやすいことにより、一方の密封環と他方の密封環とが相対的に回転摺動した際に、他方の密封環の摺動面の形状は早期に一方の密封環の形状に倣った形状となって、一方の密封環と他方の密封環との摺動面を早期に低摩擦状態とすることができる。
実施例1におけるメカニカルシールを示す断面図である。 実施例1における密封環同士の摺接構造を示す一部拡大断面図である。 (a)は実施例1のメカニカルシールにおいて密封環同士が相対的に回転する前の摺動面同士の状態を示す一部拡大断面図、(b)は実施例1のメカニカルシールにおいて密封環同士が相対的に回転する前の摺動面同士の状態を示す拡大模式図、(c)は実施例1のメカニカルシールにおいて摺動面同士が相対的に回転したときの摺動面同士の状態を示す拡大模式図である。 従来例1のメカニカルシールにおいて密封環同士が相対的に回転したときの摺動面同士の状態を示す拡大模式図である。 従来例2のメカニカルシールにおいて密封環同士が相対的に回転したときの摺動面同士の状態を示す拡大模式図である。 (a)は実施例2のメカニカルシールにおいて密封環同士が相対的に回転する前の摺動面同士の状態を示す拡大模式図、(b)は実施例2のメカニカルシールにおいて密封環同士が相対的に回転したときの摺動面同士の状態を示す拡大模式図である。
本発明に係るメカニカルシールを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
実施例1に係るメカニカルシールにつき、図1から図4を参照して説明する。
図1は、メカニカルシールの一例を示す縦断面図であって、メカニカルシール1は、摺動面の外周から内周方向に向かって漏れようとする流体機器の機械M側の被密封流体を密封する形式のインサイド形式のものであり、高圧流体側のポンプインペラ(図示省略)を駆動させる回転軸8側にスリーブ2を介してこの回転軸8と一体的に回転可能な状態に設けられた一方の摺動部品である円環状のシールリング(回転密封環)3と、流体機器のハウジング4に非回転状態かつ軸方向移動可能な状態で設けられた他方の摺動部品である円環状のメイティングリング(静止密封環)5と、を有している。
メイティングリング5とシールリング3とは、メイティングリング5を軸方向に付勢するコイルドウェーブスプリング6及びベローズ7によって、摺動面S1,S2同士で密接摺動するようになっている。すなわち、このメカニカルシール1は、メイティングリング5とシールリング3との互いの摺動面S1,S2において、被密封流体が回転軸8の外周から大気A側へ流出するのを防止するものである。
メイティングリング5は、基材5A(図2参照)が硬質セラミックス(窒化珪素,ジルコニア,アルミナ,SiC等)で形成されており、図2に示されるように、シールリング3との対向面5aに炭素系硬質膜10が成膜されている。本実施例において、炭素系硬質膜10は対向面5aの全面に亘り形成されており、炭素系硬質膜10の表面10aはメイティングリング5の摺動面S1を構成している。炭素系硬質膜10は、ダイヤモンドを除いた炭素質材料、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイト、無定形炭素、および水素を含有しないカルビンのうちの1種以上のものを物理的製法や化学的製法によって成膜されたものであって、例えばDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜やダイヤモンドコーティングやカーボン膜やBNC膜等であって、低摩擦性と耐摩耗性に優れる。
一方、シールリング3は、メイティングリング5と同様に、硬質セラミックス(窒化珪素,ジルコニア,アルミナ,SiC等)で形成されている。本実施例のシールリング3は、SiCの粉末(セラミックス粒子)を焼結してものであって、摺動面S2のSiC粒子のが、最大粒子径が1.0μm以下であり、且つ平均粒子径が0.1〜1.0μmとして構成されている。
シールリング3の製造方法の一例としては、SiCの粉末に焼結助剤や結合剤、界面活性剤などを加えてスラリーを作り、スプレードライヤで前記スラリーを乾燥させて顆粒化し、前記顆粒をメカニカルシール形状にほぼ近い金属金型プレス、またはラバープレスで圧縮成形し、更に結合剤を硬化させるために、120℃付近で1〜2時間成形体を加熱し硬化を完了させ、これをメカニカルシールの部品寸法に機械加工する。焼成は、無加圧下でアルゴン、または真空雰囲気中で好ましくは2050℃〜2150℃で行えばよい。尚、本実施例では、SiCの粉末主成分としてシールリング3を構成する形態を例示したが、シールリング3を構成するセラミックス粒子として窒化珪素やジルコニア等を用いてもよい。
上記工程で形成されたシールリング3におけるメイティングリング5との対向面3aは、メイティングリング5の摺動面S1(炭素系硬質膜10の表面10a)と摺動する摺動面S2を構成している。シールリング3の摺動面S2を測定すると、最大粒子径が0.6μmであり、且つ平均粒子径が0.5μmであることが確認された。つまり、平均粒径0.4μmのSiC粉末は焼成によりシールリング3の主成分であるSiC粒子は、20%膨張している。
さらに、上記工程で形成されたシールリング3の摺動面S2をラップ加工によって、算術平均粗さRa=0.01μmとした。同様に、炭素系硬質膜10の摺動面S1もラップ加工によって、算術平均粗さRa=0.01μmとした。
次に、メイティングリング5とシールリング3とが相対的に回転摺動する様子について図3〜図5を用いて説明する。尚、図3〜図5の断面は、シールリング3の断面が回転方向に同じ角度のものを例に説明している。さらに尚、図3(b)(c)及び図4においては、説明の便宜上、メイティングリング5の摺動面S1の微細な凹凸形状を省略して平坦面に図示している。
上述のように、メイティングリング5とシールリング3は、互いに硬質材料同士で形成されており、且つ炭素系硬質膜10の摺動面S1およびシールリング3の摺動面S2は微細な凹凸が形成されているため、図3(a)に示されるように、メカニカルシール1を流体機器のハウジング4の軸封部に設置後、メイティングリング5とシールリング3とが相対的に回転摺動し始めた状態にあっては、シールリング3の摺動面S2に形成された微細な凹凸と、メイティングリング5に被覆された炭素系硬質膜10の表面10a(摺動面S1)との形状が合致せず、摩擦が高い状態となる。詳しくは、炭素系硬質膜10の摺動面S1に対してシールリング3の摺動面S2に形成された凸部が局所的に接触するため、摩擦が高い状態となる。
メイティングリング5とシールリング3とが相対的に回転摺動し始めると、炭素系硬質膜10の摺動面S1に比べ、炭素系硬質膜10よりも軟質のシールリング3の摺動面S2が摩耗しやすくなっており、且つシールリング3の摺動面S2のSiC粒子は粒子径が小さいためSiC粒子は界面から脱落しやすくなっている。
図4に示されるように、例えば、従来のように、平均粒径が5μm程度のセラミックス粒子34Aから構成されるシールリング34の場合、メイティングリング5とシールリング34とが相対的に回転摺動し始めると、シールリング34の摺動面S21を構成するセラミックス粒子34Aの一部が摩耗により削られるとともに、シールリング34の摺動面S21を構成するセラミックス粒子34Aの一部がその界面から脱落するようになる。セラミックス粒子34Aの粒子径が大きいため、セラミックス粒子34Aの脱落によりシールリング34の摺動面S21の平滑度が損なわれるとともに、セラミックス粒子34Aの摩耗は長時間を要するため、シールリング34の摺動面S21と炭素系硬質膜10の摺動面S1とが馴染むまでに長い時間を要していた。また、シールリング34の摺動面S21を構成するセラミックス粒子34Aが、摺動面S21よりも内部のセラミックス粒子34Aと一緒に大きく脱落することもあり、この場合、シールリング34の摺動面S21の平滑度が大きく損なわれることとなる。
また、図5に示されるように、例えば、平均粒径が10μm程度のセラミックス粒子35Aから構成されるシールリング35の場合、セラミックス粒子35Aが極めて大きいため、隣接するセラミックス粒子35A同士の結合領域も大きくなる。言い換えれば、セラミックス粒子35A同士の結合力が大きくなるため、シールリング35がセラミックス粒子35Aの粒界から破壊されにくく、シールリング35の摺動面S22の凸部を構成するセラミックス粒子35A自体が摩耗して削られるようになる。このように、セラミックス粒子35A自体が削られる場合には、摺動面S22の凸部近傍が大きく脱落することはないが、セラミックス粒子35Aを削ることに長い時間を要していた。
対して、本実施例においては、図3(b)(c)に示されるように、シールリング3は、最大粒子径が0.6μm以下の極めて小さなセラミックス粒子3A,3A,…により構成されているため、極めて小さな単位で粒界の界面からセラミックス粒子3Aが脱落しやすく、メイティングリング5とシールリング3とが相対的に回転摺動した際に、シールリング3の摺動面S2の形状は早期にメイティングリング5の摺動面S1の形状に倣った形状となる。これにより摺動面S1と摺動面S2とを早期に低摩擦状態とすることができる。
また、シールリング3は、小さなセラミックス粒子3Aにより構成されていることから、従来のシールリング34,35よりも密度が高くなっているため、メイティングリング5とシールリング3とが相対的に回転摺動したときに、摺動面S2における凸部を構成するセラミックス粒子3Aが該摺動面S2よりも内部にあるセラミックス粒子3Aと一緒に脱落しにくい。また、摺動面S2よりも内部のセラミックス粒子3Aが凸部を構成するセラミックス粒子3Aと一緒に脱落したとしても、シールリング3の摺動面S2の平滑度が損なわれにくい。
また、シールリング3の脱落したセラミックス粒子3A,3A,…は、シールリング3の摺動面S2に形成された微細な凹部に入り込むことで摺動面S2の平滑度が高められるとともに、摺動面S2を研磨する研磨剤としても機能し、摺動面S2の摩耗が促進される。また、シールリング3は、最大粒子径が0.6μm以下と極めて小さいため、シールリング3のセラミックス粒子3Aが炭素系硬質膜10とシールリング3との隙間に入り込んでもメイティングリング5とシールリング3との間のシール性に影響を与えにくい。
また、シールリング3を構成するセラミックス粒子の平均粒子径は、0.5μmと極めて小さく、且つ大きさにばらつきが少ないため、セラミックス粒子の大きさの差が大きなシールリングに比べて、シールリング3の摺動面S2を平滑にしやすい。また、シールリング3の品質が安定するとともに、セラミックス粒子3Aの密度が高いため構造強度も向上する。
実験によってなじみに要する時間を短くするための好適なセラミックス粒子3Aの最大粒子径は0.1μm以下であることが分かった。
次に、実施例2に係るメカニカルシールにつき、図5を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
図5(a)に示されるように、シールリング3におけるメイティングリング5との対向面3aには、アモルファス層11が形成されている。アモルファス層11は、フェムト秒レーザを用いて加工しきい値未満の照射エネルギーでSiC材料表面(シールリング3の対向面3a)に照射することで形成される。本実施例では、1.0μmの厚さでアモルファス層11が形成されている。このアモルファス層11の表面11aは、メイティングリング5の摺動面S1と摺動する摺動面S20を構成している。
このように、メイティングリング5の摺動面S1と摺動するシールリング3の摺動面S20は、結晶構造を持たないアモルファス層11となっているため、結晶構造のシールリングに比べて摺動面S20が小さな単位で破壊されやすいため、シールリング3の摺動面S20を平滑にしやすい。すなわち、メイティングリング5とシールリング3とが相対的に回転摺動した際に、シールリング3の摺動面S20の形状は早期にメイティングリング5の摺動面S1に倣った形状となって、摺動面S1と摺動面S20とを早期に低摩擦状態とすることができる。
尚、本実施例では、前記実施例1と同様のシールリング3(最大粒子径が0.6μmであり、且つ平均粒子径が0.5μmであるセラミックス粒子から構成されるシールリング3)を用いる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものでなく、アモルファス層11が形成されていれば、シールリング3を構成するセラミックス粒子の大きさは自由に変更することができる。
また、本実施例では、アモルファス層11の厚さが1.0μmである形態を例示したが、所望の厚さに適宜変更できる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、シールリング3は、最大粒子径が0.6μmであるセラミックス粒子3A,3A,…から構成される形態を例示したが、最大粒子径が1.0μm以下であれば、自由に変更してもよい。また、セラミックス粒子3Aの平均粒子径は、1.0μm以下であれば、自由に変更してもよい。
また、前記実施例では、炭素系硬質膜10がメイティングリング5に被覆されている形態を例示したが、炭素系硬質膜10は、メイティングリング5とシールリング3との対向面のうち一方に設けられていればよい。つまり、シールリング3の一方の面に被覆されていてもよい。
また、炭素系硬質膜10は、メイティングリング5とシールリング3との対向面のうち一方に限られず、メイティングリング5とシールリング3のうち一方の全面に亘って被覆されていてもよい。
1 メカニカルシール
3 シールリング(他方の密封環)
3A セラミックス粒子
5 メイティングリング(一方の密封環)
5A 基材
10 炭素系硬質膜(硬質炭素薄膜)
11 アモルファス層
S1 摺動面
S2 摺動面
S20 摺動面

Claims (3)

  1. 基材に硬質炭素薄膜が被覆された一方の密封環と、セラミックスを主成分として形成された他方の密封環とが相対的に回転摺動するメカニカルシールであって、
    前記他方の密封環の摺動面は、最大粒子径1.0μm以下のセラミックス粒子により構成されていることを特徴とするメカニカルシール。
  2. 前記他方の密封環の摺動面は、平均粒子径0.1μm〜1.0μmのセラミックス粒子により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  3. 基材に硬質炭素薄膜が被覆された一方の密封環と、セラミックスを主成分として形成された他方の密封環とが相対的に回転摺動するメカニカルシールであって、
    前記他方の密封環の摺動面は、アモルファス構造とされていることを特徴とするメカニカルシール。
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