JP2019016537A - 電池用包装材料、その製造方法、及び電池 - Google Patents

電池用包装材料、その製造方法、及び電池 Download PDF

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宏年 坂元
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Abstract

【課題】成形性に優れた電池用包装材料、及び当該電池用包装材料の製造方法、当該電池用包装材料を用いた電池を提供する。【解決手段】少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、前記基材層側表面の動摩擦係数Pが、0.05以上0.25以下であり、前記熱融着性樹脂層側表面の動摩擦係数Qが、0.05以上0.25以下であり、前記動摩擦係数Pと前記動摩擦係数Qの合計が、0.10以上0.40以下である、電池用包装材料。【選択図】なし

Description

本発明は、電池用包装材料、その製造方法、及び電池に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質などの電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていた。
一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話などの高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材/アルミニウム合金箔層/シーラント層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている。
このような電池用包装材料においては、一般的に、冷間成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの電池素子を配し、シーラント層同士を熱溶着させることにより、電池用包装材料の内部に電池素子が収容された電池が得られる。しかしながら、このようなフィルム状の包装材料は、金属製の包装材料に比べて薄く、成形時にピンホールやクラックが生じ易いという欠点がある。電池用包装材料にピンホールやクラックが生じた場合には、電解液がアルミニウム合金箔層にまで浸透して金属析出物を形成し、その結果、短絡を生じさせることになりかねないため、フィルム状の電池用包装材料には、成形時にピンホールが生じ難い特性、即ち優れた成形性を備えさせることは不可欠となっている。
例えば、特許文献1には、樹脂フィルムからなる内層、第1接着剤層、アルミニウム合金箔層、第2接着剤層、及び樹脂フィルムからなる外層を備えた積層型包装材料において、前記第1接着剤層及び第2接着剤層の少なくとも一方を、側鎖に活性水素基を有する樹脂、多官能イソシアネート類、及び多官能アミン化合物を含む接着剤組成物で形成することにより、より深い成形に対して信頼性の高い包装材料が得られることが開示されている。
特開2008−287971号公報
近年、電池の小型化、薄型化の要求に伴い、電池用包装材料に対しても、より一層の薄膜化が求められている。これに伴い、電池用包装材料に積層されているバリア層(例えばアルミニウム合金箔層)の厚みのさらなる薄型化が求められている。しかしながら、バリア層(例えばアルミニウム合金箔層)の厚みが薄くなると、成形時にバリア層(例えばアルミニウム合金箔層)にピンホールやクラックが生じやすくなるという問題もある。
このような状況下、本発明は、電池用包装材料の成形時において、バリア層にピンホールやクラックが生じることを効果的に抑制することができる、電池用包装材料を提供することを主な目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、基材層側表面の動摩擦係数Pが、0.05以上0.25以下であり、熱融着性樹脂層側表面の動摩擦係数Qが、0.05以上0.25以下であり、さらに、動摩擦係数Pと動摩擦係数Qの合計が、0.10以上0.40以下であることにより、成形性に特に優れた電池用包装材料となることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、
前記基材層側表面の動摩擦係数Pが、0.05以上0.25以下であり、
前記熱融着性樹脂層側表面の動摩擦係数Qが、0.05以上0.25以下であり、
前記動摩擦係数Pと前記動摩擦係数Qの合計が、0.10以上0.40以下である、電池用包装材料。
項2. 前記基材層側表面及び熱融着性樹脂層側表面の少なくとも一方に滑剤が存在している、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記基材層側表面及び熱融着性樹脂層側表面に滑剤が存在している、項1又は2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記バリア層の厚みが、100μm以下である、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている、電池。
項6. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
前記基材層側表面の動摩擦係数Pを0.05以上0.25以下、前記熱融着性樹脂層側表面の動摩擦係数Qを0.05以上0.25以下、前記動摩擦係数Pと前記動摩擦係数Qの合計を0.10以上0.40以下に調整する、電池用包装材料の製造方法。
本発明によれば、成形性に優れた電池用包装材料、当該電池用包装材料の製造方法、及び当該電池用包装材料を用いた電池を提供することができる。
本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、基材層側表面の動摩擦係数Pが、0.05以上0.25以下であり、熱融着性樹脂層側表面の動摩擦係数Qが、0.05以上0.25以下であり、さらに、動摩擦係数Pと動摩擦係数Qの合計が、0.10以上0.40以下であることを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
なお、本明細書において、数値範囲については、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
1.電池用包装材料の積層構造と物性
本発明の電池用包装材料10は、例えば図1に示すように、基材層1、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体から構成されている。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層側になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱融着性樹脂層4同士が熱融着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料は、例えば図2に示すように、基材層1とバリア層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着剤層2を有していてもよい。また、バリア層3と熱融着性樹脂層4との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層5を設けてもよい。また、図4に示すように、基材層1の外側(熱融着性樹脂層4とは反対側)には、必要に応じて表面被覆層6などが設けられていてもよい。
本発明の電池用包装材料においては、基材層1側表面の動摩擦係数Pが、0.05以上0.25以下であり、熱融着性樹脂層4側表面の動摩擦係数Qが、0.05以上0.25以下であり、さらに、動摩擦係数Pと動摩擦係数Qの合計が、0.10以上0.40以下である。本発明の電池用包装材料においては、基材層1側表面と熱融着性樹脂層4側表面の動摩擦係数P,Qが上記特定の範囲内にあり、かつ、これらの動摩擦係数P,Qの合計が上記特定の範囲内にあることにより、優れた成形性を備えている。
成形性をさらに高める観点からは、さらに、基材層1側表面の動摩擦係数Pは0.05以上0.18以下であり、かつ、動摩擦係数Pと動摩擦係数Qの合計は0.10以上0.35以下であることが好ましい。すなわち、基材層1側表面の動摩擦係数Pが0.05以上0.18以下であり、熱融着性樹脂層4側表面の動摩擦係数Qが、0.05以上0.25以下であり、さらに、動摩擦係数Pと動摩擦係数Qの合計が0.10以上0.35以下であることにより、本発明の電池用包装材料は、特に優れた成形性を発揮する。
本発明の電池用包装材料において、基材層1側表面と熱融着性樹脂層4側表面の動摩擦係数P,Qは、それぞれ、JIS K7125:1999の8.1フィルム対フィルムの測定に準拠して測定した。まず、上記で得られた電池用包装材料をTDの方向80mm、MDの方向200mmのサンプルに2枚切り出した。次に、熱融着性樹脂層同士が対向するようにしてサンプルを重ね、その上に滑り片を置いた。滑り片の底面にはゴムを貼り、滑り片の全質量は200gとし、サンプルと滑り片とも密着させて滑らないようにした。次に、100mm/minの速度で滑り片を引っ張り、2枚のサンプル間の動摩擦力(N)を測定し、動摩擦力を滑り片の法線力(1.96N)で除して動摩擦係数を算出した。なお、基材層表面の動摩擦係数の測定についても、基材層同士が対向するようにしてサンプルを重ねて試験を行うこと以外は同様である。
本発明の電池用包装材料を構成する積層体の総厚みとしては、特に制限されないが、積層体の総厚みを可能な限り薄くしつつ、高い成形性と、高い連続生産性を発揮する観点からは、好ましくは約160μm以下、より好ましくは35〜155μm程度、さらに好ましくは45〜155μm程度が挙げられる。本発明の電池用包装材料を構成する積層体の厚みが、例えば160μm以下と薄い場合にも、本発明によれば、優れた成形性を発揮し得る。このため、本発明の電池用包装材料は、電池のエネルギー密度の向上に寄与することができる。
2.電池用包装材料を形成する各層
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は、最外層側に位置する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。
前述の通り、本発明の電池用包装材料においては、基材層1側表面の動摩擦係数Pが上記の範囲にある。電池用包装材料の最外層が基材層1である場合、基材層1の表面の動摩擦係数Pが、上記の範囲にある。
動摩擦係数Pを上記の範囲に設定する方法としては、例えば、基材層1側表面に滑剤を存在させる方法が挙げられる。基材層1の表面に滑剤を存在させる方法としては、例えば、基材層1の表面に滑剤を塗布する方法や、基材層1を構成する樹脂中に滑剤を配合して、基材層1の表面に滑剤をブリードアウトさせる方法などが挙げられる。また、基材層1の表面に凹凸形状を設けることで、動摩擦係数Pを上記の範囲に設定することもできる。
滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。滑剤の具体例としては、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族系ビスアミドの具体例としては、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
基材層1表面に滑剤が存在する場合、動摩擦係数Pと、動摩擦係数P及び後述する熱融着性樹脂層表面の動摩擦係数Qの合計とを上記の範囲に設定できれば、その存在量としては、特に制限されないが、温度24℃、相対湿度60%の環境において、好ましくは約3mg/m2以上、より好ましくは4〜15mg/m2程度、さらに好ましくは5〜14mg/m2程度が挙げられる。
また、成形性をさらに高める観点からは、電池用包装材料を構成している積層体の基材層1側の表面に存在する滑剤量としては、下限は、好ましくは約5.5mg/m2以上、より好ましくは約7.0mg/m2以上が挙げられ、上限は、好ましくは約15.0mg/m2以下、より好ましくは約12.0mg/m2以下が挙げられる。また、当該滑剤量の好ましい範囲としては、5.5〜15.0mg/m2程度、5.5〜12.0mg/m2程度、7.0〜15.0mg/m2程度、7.0〜12.0mg/m2程度が挙げられる。なお、積層体の基材層側の表面に存在する滑剤量の測定方法としては、積層体の基材層側の表面の所定面積を溶剤で洗い流し、得られた洗浄液中(溶剤)に含まれる滑剤量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いて定量した値である。
さらに、電池用包装材料を構成している積層体の基材層側の表面の滑剤量と、後述の熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計としては、下限は、好ましくは約20.0mg/m2以上、より好ましくは約30.0mg/m2以上が挙げられ、上限は、好ましくは約60.0mg/m2以下、より好ましくは約50.0mg/m2以下が挙げられる。また、当該滑剤量の合計の好ましい範囲としては、20.0〜60.0mg/m2程度、30.0〜60.0mg/m2程度、20.0〜50.0mg/m2程度、30.0〜50.0mg/m2程度が挙げられる。なお、積層体の熱融着性樹脂層側の表面に存在する滑剤量の測定方法としては、積層体の熱融着性樹脂層側の表面の所定面積を溶剤で洗い流し、得られた洗浄液中(溶剤)に含まれる滑剤量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いて定量した値である。
基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、及びこれらの混合物や共重合物などが挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルなどが挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)などが挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化などが発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体などの脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)などのヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸−テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などの芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)などの脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアネートなどのイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体などが挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層1の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層1の形成素材として好適に使用される。
基材層1は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルム及びコーティングの少なくとも一方を積層化(多層構造化)することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造、ナイロンフィルムを複数積層させた多層構造、ポリエステルフィルムを複数積層させた多層構造などが挙げられる。基材層1が多層構造である場合、2軸延伸ナイロンフィルムと2軸延伸ポリエステルフィルムの積層体、2軸延伸ナイロンフィルムを複数積層させた積層体、2軸延伸ポリエステルフィルムを複数積層させた積層体が好ましい。例えば、基材層1を2層の樹脂フィルムから形成する場合、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂を積層する構成、ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成、又はポリエステル樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成にすることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを積層する構成、ナイロンとナイロンを積層する構成、又はポリエチレンテレフタレートとナイロンを積層する構成にすることがより好ましい。また、2軸延伸ポリエステルは、例えば電解液が表面に付着した際に変色し難いことなどから、基材層1が2軸延伸ナイロンフィルムと2軸延伸ポリエステルフィルムの積層体の多層構造である場合、基材層1は、バリア層3側から2軸延伸ナイロンと2軸延伸ポリエステルをこの順に有する積層体であることが好ましい。基材層1を多層構造とする場合、各層の厚みとして、好ましくは3〜25μm程度が挙げられる。
基材層1を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出し法、サンドイッチラミネート法、サーマルラミネート法などの熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。また、接着剤を介して接着させる場合、使用する接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。さらに、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、電子線硬化型や紫外線硬化型などのいずれであってもよい。接着剤の具体例としては、接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが挙げられる。また、接着剤の厚みについても、接着剤層2と同様とすることができる。
基材層1の厚みとしては、電池用包装材料の総厚みを薄くしつつ、成形性に優れた電池用包装材料とする観点からは、好ましくは約4μm以上、より好ましくは10〜75μm程度、さらに好ましくは10〜50μm程度が挙げられる。
[接着剤層2]
本発明の電池用包装材料において、接着剤層2は、基材層1とバリア層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
接着剤層2は、基材層1とバリア層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。さらに、接着剤層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型などのいずれであってもよい。
接着剤層2の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂などのアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどのゴム;シリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン系接着剤が挙げられる。
接着剤層2の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μm程度が挙げられる。
[バリア層3]
電池用包装材料10において、バリア層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止する機能を有する層である。バリア層3は、金属層、すなわち、金属で形成されている層であることが好ましい。バリア層3を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。バリア層3は、例えば、金属箔や金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム合金箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、バリア層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、バリア層は、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H−O、JIS H4160:1994 A8079H−O、JIS H4000:2014 A8021P−O、JIS H4000:2014 A8079P−O)など軟質アルミニウム合金箔により形成することがより好ましい。
バリア層3の厚さは、水蒸気などのバリア機能を発揮すれば特に制限されないが、電池用包装材料の厚さを薄くする観点からは、好ましくは約100μm以下、より好ましくは10〜100μm程度、さらに好ましくは10〜80μm程度が挙げられる。
また、バリア層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、バリア層の表面に耐酸性皮膜を形成する処理をいう。化成処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム化合物を用いたクロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などのリン酸化合物を用いたリン酸処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
一般式(1)〜(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一又は異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシル基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500〜100万程度であることが好ましく、1000〜2万程度であることがより好ましい。
また、バリア層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、バリア層3の表面に耐酸性皮膜を形成する方法が挙げられる。また、耐酸性皮膜の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン又はその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、耐酸性皮膜を具体的に設ける方法としては、たとえば、一つの例として、少なくともアルミニウム合金箔の内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法などの周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後脱脂処理面にリン酸クロム塩、リン酸チタン塩、リン酸ジルコニウム塩、リン酸亜鉛塩などのリン酸金属塩及びこれらの金属塩の混合体を主成分とする処理液(水溶液)、あるいは、リン酸非金属塩及びこれらの非金属塩の混合体を主成分とする処理液(水溶液)、あるいは、これらとアクリル系樹脂ないしフェノール系樹脂ないしウレタン系樹脂などの水系合成樹脂との混合物からなる処理液(水溶液)をロールコート法、グラビア印刷法、浸漬法などの周知の塗工法で塗工することにより、耐酸性皮膜を形成することができる。たとえば、リン酸クロム塩系処理液で処理した場合は、リン酸クロム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、フッ化アルミニウムなどからなる耐酸性皮膜となり、リン酸亜鉛塩系処理液で処理した場合は、リン酸亜鉛水和物、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、フッ化アルミニウムなどからなる耐酸性皮膜となる。
また、耐酸性皮膜を設ける具体的方法の他の例としては、たとえば、少なくともアルミニウム合金箔の内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法などの周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後脱脂処理面に周知の陽極酸化処理を施すことにより、耐酸性皮膜を形成することができる。
また、耐酸性皮膜の他の一例としては、リン酸塩系、クロム酸系の皮膜が挙げられる。リン酸塩系としては、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸カルシウム、リン酸クロムなどが挙げられ、クロム酸系としては、クロム酸クロムなどが挙げられる。
また、耐酸性皮膜の他の一例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物などの耐酸性皮膜を形成することによって、エンボス成形時のアルミニウムと基材層との間のデラミネーション防止、電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化アルミニウムが溶解、腐食することを防止し、かつ、アルミニウム表面の接着性(濡れ性)を向上させ、熱融着時の基材層とアルミニウムとのデラミネーション防止、エンボスタイプにおいてはプレス成形時の基材層とアルミニウムとのデラミネーション防止の効果を示す。耐酸性皮膜を形成する物質のなかでも、フェノール樹脂、フッ化クロム(III)化合物、リン酸の3成分から構成された水溶液をアルミニウム表面に塗布し、乾燥焼付けの処理が良好である。
また、耐酸性皮膜は、酸化セリウムと、リン酸又はリン酸塩と、アニオン性ポリマーと、該アニオン性ポリマーを架橋させる架橋剤とを有する層を含み、前記リン酸又はリン酸塩が、前記酸化セリウム100質量部に対して、1〜100質量部程度配合されていてもよい。耐酸性皮膜が、カチオン性ポリマー及び該カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を有する層をさらに含む多層構造であることが好ましい。
さらに、前記アニオン性ポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、あるいは(メタ)アクリル酸又はその塩を主成分とする共重合体であることが好ましい。また、前記架橋剤が、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記リン酸又はリン酸塩が、縮合リン酸又は縮合リン酸塩であることが好ましい。
化成処理は、1種類の化成処理のみを行ってもよいし、2種類以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。化成処理の中でも、クロメート処理や、クロム化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせた化成処理などが好ましい。クロム化合物の中でも、クロム酸化合物が好ましい。
耐酸性皮膜の具体例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、及びトリアジンチオールのうち少なくとも1種を含むものが挙げられる。また、セリウム化合物を含む耐酸性皮膜も好ましい。セリウム化合物としては、酸化セリウムが好ましい。
また、耐酸性皮膜の具体例としては、リン酸塩系皮膜、クロム酸塩系皮膜、フッ化物系皮膜、トリアジンチオール化合物皮膜なども挙げられる。耐酸性皮膜としては、これらのうち1種類であってもよいし、複数種類の組み合わせであってもよい。さらに、耐酸性皮膜としては、アルミニウム合金箔の化成処理面を脱脂処理した後に、リン酸金属塩と水系合成樹脂との混合物からなる処理液、又はリン酸非金属塩と水系合成樹脂との混合物からなる処理液で形成されたものであってもよい。
なお、耐酸性皮膜の組成の分析は、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析法を用いて行うことができる。飛行時間型2次イオン質量分析法を用いた耐酸性皮膜の組成の分析により、例えば、Ce+及びCr+の少なくとも一方に由来するピークが検出される。
アルミニウム合金箔の表面に、リン、クロム及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む耐酸性皮膜を備えていることが好ましい。なお、電池用包装材料のアルミニウム合金箔の表面の耐酸性皮膜中に、リン、クロム及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素が含まれることは、X線光電子分光を用いて確認することができる。具体的には、まず、電池用包装材料において、アルミニウム合金箔に積層されている熱融着性樹脂層、接着剤層などを物理的に剥離する。次に、アルミニウム合金箔を電気炉に入れ、約300℃、約30分間で、アルミニウム合金箔の表面に存在している有機成分を除去する。その後、アルミニウム合金箔の表面のX線光電子分光を用いて、これら元素が含まれることを確認する。
化成処理においてバリア層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、上記のクロメート処理を行う場合であれば、バリア層3の表面1m2当たり、クロム化合物がクロム換算で0.5〜50mg程度、好ましくは1.0〜40mg程度、リン化合物がリン換算で0.5〜50mg程度、好ましくは1.0〜40mg程度、及びアミノ化フェノール重合体が1〜200mg程度、好ましくは5.0〜150mg程度の割合で含有されていることが望ましい。
耐酸性皮膜の厚さとしては、特に制限されないが、皮膜の凝集力や、バリア層3や熱融着性樹脂層との密着力の観点から、好ましくは1nm〜10μm程度、より好ましくは1〜100nm程度、さらに好ましくは1〜50nm程度が挙げられる。なお、耐酸性皮膜の厚さは、透過電子顕微鏡による観察、又は、透過電子顕微鏡による観察と、エネルギー分散型X線分光法もしくは電子線エネルギー損失分光法との組み合わせによって測定することができる。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、バリア層の表面に塗布した後に、バリア層の温度が70〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、バリア層に化成処理を施す前に、予めバリア層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、バリア層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。
[熱融着性樹脂層4]
本発明の電池用包装材料において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して電池素子を密封する層である。
前述の通り、本発明の電池用包装材料においては、熱融着性樹脂層4側表面の動摩擦係数Qが上記の範囲にある。
動摩擦係数Qを上記の範囲に設定する方法としては、例えば、熱融着性樹脂層4側表面に滑剤を存在させる方法が挙げられる。熱融着性樹脂層4の表面に滑剤を存在させる方法としては、例えば、熱融着性樹脂層4の表面に滑剤を塗布する方法や、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂中に滑剤を配合して、熱融着性樹脂層4の表面に滑剤をブリードアウトさせる方法などが挙げられる。また、熱融着性樹脂層4の表面に凹凸形状を設けることで、動摩擦係数Qを上記の範囲に設定することもできる。
滑剤としては、特に制限されず、基材層1で例示したものと同じものが例示できる。熱融着性樹脂層4表面に滑剤が存在する場合、動摩擦係数Qと、動摩擦係数P及び動摩擦係数Qの合計とを上記の範囲に設定できれば、その存在量としては、特に制限されないが、温度24℃、相対湿度60%の環境において、好ましくは約3mg/m2以上程度、より好ましくは4〜15mg/m2程度、さらに好ましくは5〜14mg/m2程度が挙げられる。
また、熱融着性樹脂層4の表面には、滑剤が存在していることが好ましい。熱融着性樹脂層4の表面に存在する滑剤量としては、特に制限されないが、より一層高い成形性を発揮させる観点からは、下限は、好ましくは約20.0mg/m2以上、より好ましくは約30.0mg/m2以上が挙げられ、上限は、好ましくは約60.0mg/m2以下、より好ましくは約50.0mg/m2以下が挙げられる。また、当該滑剤量の合計の好ましい範囲としては、20.0〜60.0mg/m2程度、30.0〜60.0mg/m2程度、20.0〜50.0mg/m2程度、30.0〜50.0mg/m2程度が挙げられる。なお、熱融着性樹脂層4の表面に存在する滑剤量の測定方法は、前述のとおりである。
熱融着性樹脂層4に使用される樹脂成分については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。すなわち、熱融着性樹脂層4を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよく、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。熱融着性樹脂層4を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)などのポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマーなどが挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネンなどの環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエンなどの環状ジエンなどが挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
前記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記ポリオレフィンの変性に使用されるものと同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン;さらに好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、熱融着性樹脂層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、熱融着性樹脂層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、好ましくは約100μm以下、より好ましくは15〜80μm程度が挙げられる。
[接着層5]
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、バリア層3と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層5は、バリア層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層5の形成に使用される樹脂としては、その接着機構、接着剤成分の種類などは、接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが使用できる。また、接着層5の形成に使用される樹脂としては、前述の熱融着性樹脂層4で例示したポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂も使用できる。バリア層3と熱融着性樹脂層4との密着性に優れる観点から、ポリオレフィンとしては、カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、カルボン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。すなわち、接着層5を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよく、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。接着層5を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
さらに、電池用包装材料の厚みを薄くしつつ、成形後の形状安定性に優れた電池用包装材料とする観点からは、接着層5は、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であってもよい。酸変性ポリオレフィンとしては、好ましくは、熱融着性樹脂層4で例示したカルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンと同じものが例示できる。
また、硬化剤としては、酸変性ポリオレフィンを硬化させるものであれば、特に限定されない。硬化剤としては、例えば、エポキシ系硬化剤、多官能イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤などが挙げられる。
エポキシ系硬化剤は、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。エポキシ系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂が挙げられる。
多官能イソシアネート系硬化剤は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート系硬化剤の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定されない。カルボジイミド系硬化剤としては、カルボジイミド基を少なくとも2つ以上有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。
オキサゾリン系硬化剤は、オキサゾリン骨格を有する化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン系硬化剤としては、具体的には、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
接着層5によるバリア層3と熱融着性樹脂層4との密着性を高めるなどの観点から、硬化剤は、2種類以上の化合物により構成されていてもよい。
接着層5を形成する樹脂組成物における硬化剤の含有量は、0.1〜50質量%程度の範囲にあることが好ましく、0.1〜30質量%程度の範囲にあることがより好ましく、0.1〜10質量%程度の範囲にあることがさらに好ましい。
接着層5の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、接着剤層2で例示した接着剤を用いる場合であれば、好ましくは2〜10μm程度、より好ましくは2〜5μm程度が挙げられる。また、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂を用いる場合であれば、好ましくは2〜50μm程度、より好ましくは10〜40μm程度が挙げられる。また、酸変性ポリオレフィンと硬化剤との硬化物である場合であれば、好ましくは30μm以下、より好ましくは0.1〜20μm程度、さらに好ましくは0.5〜5μm程度が挙げられる。なお、接着層5が酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である場合、当該樹脂組成物を塗布し、加熱などにより硬化させることにより、接着層5を形成することができる。
[表面被覆層6]
本発明の電池用包装材料においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1のバリア層3とは反対側)に、必要に応じて、表面被覆層6を設けてもよい。表面被覆層6は、電池を組み立てた時に、最外層に位置する層である。
前述の通り、本発明の電池用包装材料においては、基材層1側表面の動摩擦係数Pが上記の範囲にある。電池用包装材料の最外層が表面被覆層6である場合、表面被覆層6の表面の動摩擦係数Pが、上記の範囲にある。
表面被覆層6の表面に滑剤を存在させる方法としては、表面被覆層6の表面に滑剤を塗布する方法や、表面被覆層6を構成する樹脂中に滑剤を配合して、表面被覆層6の表面に滑剤をブリードアウトさせる方法などが挙げられる。
滑剤としては、特に制限されず、基材層1で例示したものと同じものが例示できる。また、滑剤の存在量についても、基材層1の項目に記載したとおりである。
表面被覆層6は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などにより形成することができる。表面被覆層6は、これらの中でも、2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。表面被覆層6を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、表面被覆層6には、添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、例えば、粒径が0.5nm〜5μm程度の微粒子が挙げられる。添加剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物などが挙げられる。また、添加剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状などが挙げられる。添加剤として、具体的には、タルク、シリカ、グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケルなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の中でも、分散安定性やコストなどの観点から、好ましくはシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、添加剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理などの各種表面処理を施しておいてもよい。
表面被覆層6を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、表面被覆層6を形成する2液硬化型樹脂を基材層1の一方の表面に塗布する方法が挙げられる。添加剤を配合する場合には、2液硬化型樹脂に添加剤を添加して混合した後、塗布すればよい。
表面被覆層6中の添加剤の含有量としては、特に制限されないが、好ましくは0.05〜1.0質量%程度、より好ましくは0.1〜0.5質量%程度が挙げられる。
表面被覆層6の厚みとしては、表面被覆層6としての上記の機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、0.5〜10μm程度、好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されない。電池用包装材料の製造方法としては、例えば、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、基材層1側表面の動摩擦係数Pを0.05以上0.25以下、前記熱融着性樹脂層側表面の動摩擦係数Qを0.05以上0.25以下、前記動摩擦係数Pと前記動摩擦係数Qの合計を0.10以上0.40以下に調整する方法が挙げられる。動摩擦係数の調整法としては、例えば、前述の通り、滑剤を用いる方法や、表面に凹凸形状を設ける方法などが挙げられる。
本発明の電池用包装材料の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、基材層1、接着剤層2、バリア層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理されたバリア層3に接着剤層2の形成に使用される接着剤を、グラビアコート法、ロールコート法などの塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該バリア層3又は基材層1を積層させて接着剤層2を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。
次いで、積層体Aのバリア層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4をこの順になるように積層させる。例えば、(1)積層体Aのバリア層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネート法)、(2)別途、接着層5と熱融着性樹脂層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aのバリア層3上にサーマルラミネート法により積層する方法、(3)積層体Aのバリア層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングし、高温で乾燥さらには焼き付ける方法などにより積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4をサーマルラミネート法により積層する方法、(4)積層体Aのバリア層3と、予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aと熱融着性樹脂層4を貼り合せる方法(サンドイッチラミネート法)などが挙げられる。
表面被覆層6を設ける場合には、基材層1のバリア層3とは反対側の表面に、表面被覆層6を積層する。表面被覆層6は、例えば表面被覆層6を形成する上記の樹脂を基材層1の表面に塗布することに形成することができる。なお、基材層1の表面にバリア層3を積層する工程と、基材層1の表面に表面被覆層6を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層1の表面に表面被覆層6を形成した後、基材層1の表面被覆層6とは反対側の表面にバリア層3を形成してもよい。
上記のようにして、必要に応じて設けられる表面被覆層6/基材層1/必要に応じて設けられる接着剤層2/必要に応じて表面が化成処理されたバリア層3/接着層5/熱融着性樹脂層4からなる積層体が形成されるが、接着剤層2又は接着層5の接着性を強固にするために、さらに、熱ロール接触式、熱風式、近又は遠赤外線式などの加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150〜250℃程度で1〜5分間程度が挙げられる。
また、前述の通り、基材層1側表面の動摩擦係数P及び熱融着性樹脂層4側表面の動摩擦係数Qを上記の範囲に設定するために、基材層1側表面及び熱融着性樹脂層4側表面の少なくとも一方に、滑剤を塗布してもよいし、基材層1又は表面被覆層6を構成する樹脂や、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂中に滑剤を配合して、基材層1側表面又は熱融着性樹脂層4側表面に滑剤をブリードアウトさせてもよい。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性などを向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施していてもよい。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質などの電池素子を密封して収容するための包装体に使用される。すなわち、本発明の電池用包装材料によって形成された包装体中に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を収容して、電池とすることができる。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料により形成された包装体中に電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料の熱融着性樹脂部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして、包装体を形成する。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシターなどが挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1−58及び比較例1−51
<電池用包装材料の製造>
それぞれ、基材層としてのナイロンフィルム(厚み15μm)の上に、両面に化成処理を施したアルミニウム合金箔(JIS H 4000:2014 A8021P−O、それぞれ表1〜5に記載の厚み)からなるバリア層をドライラミネート法により積層させた。具体的には、アルミニウム合金箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、バリア層上に接着剤層(厚み3μm)を形成した。次いで、バリア層上の接着剤層と基材層を積層した後、エージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/バリア層の積層体を作製した。なお、バリア層として使用したアルミニウム合金箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥質量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム合金箔の両面に塗布し、焼付けすることにより行った。
次に、得られた積層体のバリア層の上に、酸変性ポリプロピレンとエポキシ系硬化剤とを含む接着剤を塗布(厚み3μm)し、その上から、熱融着性樹脂層としての無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み30μm)を積層することで、バリア層上に接着層/熱融着性樹脂層を積層させた。次に、得られた積層体をエージングし、最後に加熱することにより、基材層、接着剤層、バリア層、接着層、熱融着性樹脂層がこの順に積層された電池用包装材料を得た。
次に、積層体の基材層表面及び熱融着性樹脂層表面に、滑剤としてのエルカ酸アミドを所定量塗布し、実施例1−58及び比較例1−51の電池用包装材料を得た。基材層表面及び熱融着性樹脂層表面の動摩擦係数の値(表1〜5)は、滑剤の塗布量によって調整した。
<滑剤量の測定>
実施例1〜14及び比較例1〜11で得られた各電池用包装材料をA4サイズに裁断してサンプルを作製した。次に、各サンプルの基材層側表面及び熱融着性樹脂層表面を、それぞれ、メタノール30mlで洗浄し、回収したメタノールを窒素ブローにて揮発・乾燥させて固形物を得た。次に、固形物にメタノール1.5mlを加えて、固形物を再溶解し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS、島津製作所製のQP2010、イオン化法:電子衝突イオン化法(EI法)、検出器:四重極型検出器、カラム:Inert Cap 5MS)を用いて、基材層側表面及び熱融着性樹脂層表面の滑剤量を測定した。その結果、各電池用包装材料における表面の滑剤量は、表1に示す値となった。
<動摩擦係数の測定>
上記で得られた電池用包装材料の基材層表面及び熱融着性樹脂層表面の動摩擦係数の値を、JIS K7125:1999の8.1フィルム対フィルムの測定に準拠して測定した。まず、上記で得られた電池用包装材料をTDの方向80mm、MDの方向200mmのサンプルに2枚切り出した。次に、熱融着性樹脂層同士が対向するようにしてサンプルを重ね、その上に滑り片を置いた。滑り片の底面にはゴムを貼り、滑り片の全質量は200gとし、サンプルと滑り片とも密着させて滑らないようにした。次に、100mm/minの速度で滑り片を引っ張り、2枚のサンプル間の動摩擦力(N)を測定し、動摩擦力を滑り片の法線力(1.96N)で除して動摩擦係数を算出した。得られた結果を表1に示す。
・測定環境
温度24℃、相対湿度60%
・測定装置
イマダ摩擦係数測定治具COF(株式会社イマダ社製のCOF−10N)
なお、基材層表面の動摩擦係数の測定についても、基材層同士が対向するようにしてサンプルを重ねて試験を行うこと以外は同様にして行った。
<成形性の評価>
上記で得られた各電池用包装材料を90mm(MD:Machine Direction)×150mm(TD:Transverse Direction)の長方形に断裁してサンプルを作製した。このサンプルを32mm(MD)×54mm(TD)の口径を有する成形金型(雌型、表面は、JIS B 0659−1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmである)と、これに対応した成形金型(雄型、表面は、JIS B 0659−1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が1.6μmである)を用いて、押さえ圧0.9MPaで0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを変えて、それぞれ10個のサンプルについて冷間成形を行った。雄型及び雌型のクリアランスは、0.3mmとした。冷間成形後のサンプルについて、アルミニウム合金箔にピンホール、クラックが10個のサンプル全てにおいて発生しない最も深い成形深さをAmm、アルミニウム合金箔にピンホールなどが発生した最も浅い成形深さにおいてピンホールなどが発生したサンプルの数をB個とし、以下の式により算出される値を電池用包装材料の限界成形深さとした。結果を表1〜5に示す。
限界成形深さ=Amm+(0.5mm/10個)×(10個−B個)
表1〜5に示される結果から、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、基材層側表面の動摩擦係数Pが、0.05以上0.25以下であり、熱融着性樹脂層側表面の動摩擦係数Qが、0.05以上0.25以下であり、さらに、動摩擦係数Pと動摩擦係数Qの合計が、0.10以上0.40以下である、実施例1〜58の電池用包装材料は、これらの動摩擦係数の要件を充足していない比較例1〜51の電池用包装材料に比して、成形性に優れていることが分かる。さらに、実施例1〜58の電池用包装材料の中でも、基材層側表面の動摩擦係数Pが、0.05以上0.18以下であり、かつ、動摩擦係数Pと動摩擦係数Qの合計が、0.10以上0.35以下である電池用包装材料は、特に成形性に優れていることが分かる。
1 基材層
2 接着剤層
3 バリア層
4 熱融着性樹脂層
5 接着層
6 表面被覆層
10 電池用包装材料

Claims (6)

  1. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、
    前記基材層側表面の動摩擦係数Pが、0.05以上0.25以下であり、
    前記熱融着性樹脂層側表面の動摩擦係数Qが、0.05以上0.25以下であり、
    前記動摩擦係数Pと前記動摩擦係数Qの合計が、0.10以上0.40以下である、電池用包装材料。
  2. 前記基材層側表面及び前記熱融着性樹脂層側表面の少なくとも一方に滑剤が存在している、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記基材層側表面及び前記熱融着性樹脂層側表面に滑剤が存在している、請求項1又は2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記バリア層の厚みが、100μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている、電池。
  6. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
    前記基材層側表面の動摩擦係数Pを0.05以上0.25以下、前記熱融着性樹脂層側表面の動摩擦係数Qを0.05以上0.25以下、前記動摩擦係数Pと前記動摩擦係数Qの合計を0.10以上0.40以下に調整する、電池用包装材料の製造方法。
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